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特開2022-158965セラミックヒータ、セラミックヒータの駆動方法及びガスセンサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158965
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】セラミックヒータ、セラミックヒータの駆動方法及びガスセンサ
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/10 20060101AFI20221006BHJP
   H05B 3/18 20060101ALI20221006BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20221006BHJP
   G01N 27/409 20060101ALI20221006BHJP
   G01N 27/41 20060101ALI20221006BHJP
   G01N 27/419 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H05B3/10 Z
H05B3/18
G01N27/416 331
G01N27/409 100
G01N27/41 325Q
G01N27/419 327Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022031411
(22)【出願日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2021059115
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】井畑 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 悠介
(72)【発明者】
【氏名】岩井 志帆
(72)【発明者】
【氏名】関谷 高幸
(72)【発明者】
【氏名】則竹 陽介
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大地
【テーマコード(参考)】
2G004
3K092
【Fターム(参考)】
2G004BB04
2G004BJ03
3K092PP20
3K092QB02
3K092RF11
3K092VV08
3K092VV28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】セラミックヒータの劣化原因である、マイグレーション(イオンマイグレーション)を防止するセラミックヒータを提供する。
【解決手段】セラミックヒータ164は、電子部品に備えられ、通電により発熱部が700[℃]以上、950[℃]未満で加熱されるセラミックヒータ164であって、発熱部への通電波形がパルス波形であり、且つ、前記パルス波形のパルス電圧Vp[V]と周期T[ms]との積が600[V・ms]以下である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品に備えられ、通電により発熱部が700[℃]以上、950[℃]未満で加熱されるセラミックヒータであって、
前記発熱部への通電波形がパルス波形であり、且つ、前記パルス波形のパルス電圧[V]と周期[ms]との積が600[V・ms]以下である、セラミックヒータ。
【請求項2】
請求項1記載のセラミックヒータにおいて、
前記パルス波形のパルス電圧[V]と周期[ms]との積が450[V・ms]未満である、セラミックヒータ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のセラミックヒータにおいて、
前記発熱部は、一対の接続端子からそれぞれヒータパターンが互いに遠ざかる部分と互いに接近した部分とが繰り返されて、先端部において結合された形状を有し、
各ヒータパターンは、複数の互いに接近した部分と、複数の互いに遠ざかる部分とを有する、セラミックヒータ。
【請求項4】
請求項1又は2記載のセラミックヒータにおいて、
前記発熱部は、リード部を介して通電することにより加熱され、
前記発熱部は、
前記電子部品の幅方向に間隔を開けて並び、前記電子部品の長さ方向に延びる4つ以上の直線部と、
前記幅方向に隣り合う2つの前記直線部における前記リード部に近い端部を接続する1以上の第1接続部と、
前記幅方向に隣り合う2つの前記直線部における前記リード部から遠い端部を接続する複数の第2接続部と、
を有する、セラミックヒータ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のセラミックヒータにおいて、
前記電子部品がガスセンサである、セラミックヒータ。
【請求項6】
電子部品に備えられ、通電により発熱部が700[℃]以上、950[℃]未満で加熱されるセラミックヒータの駆動方法であって、
前記発熱部への通電波形をパルス波形とし、
前記パルス波形のパルス電圧[V]と周期[ms]との積が600[V・ms]以下である、セラミックヒータの駆動方法。
【請求項7】
請求項6記載のセラミックヒータの駆動方法において、
前記電子部品がガスセンサである、セラミックヒータの駆動方法。
【請求項8】
通電により発熱部が700[℃]以上、950[℃]未満で加熱されるセラミックヒータであって、且つ、前記発熱部への通電波形がパルス波形であり、前記パルス波形のパルス電圧[V]と周期[ms]との積が600[V・ms]以下であるセラミックヒータを有するガスセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックヒータ、セラミックヒータの駆動方法及びガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、高温時及び冷熱間サイクルにおいて強度的に優れ、早期始動性に優れ、正確な測定を行うことができ、さらには、低消費電力のガスセンサ素子を提供することを課題としている。
【0003】
この課題を解決するため、ガスセンサ素子は、絶縁性基部と、Ipセル(ポンプセル)と、Vsセル(検出セル)とを備える。絶縁性基部は、アルミナを主成分とする部材である。Ipセル及びVsセルの各々は、固体電解質層と一対の電極とを有する。IpセルとVsセルとの間には、拡散室が形成されている。ガスセンサ素子の内部には、積層方向と垂直な方向に拡散室を区画する内壁が設けられている。Ipセルの一方の電極とVsセルの一方の電極とは、互いに向かい合っている。Ipセルの一方の電極とVsセルの一方の電極とは、内壁の少なくとも一部を構成している。絶縁性基部は、Ipセル及びVsセルにおける拡散室が形成されていない箇所に配置されている。絶縁性基部は、Ipセル及びVsセルと直接接合されている。あるいは、絶縁性基部は、他の部材を介して、Ipセル及びVsセルと間接的に接合されている。固体電解質層は、安定化ジルコニアとアルミナとを合計で95[質量%]以上含有する。固体電解質層は、安定化ジルコニアを20[質量%]~90[質量%]含有している。また、固体電解質層は、アルミナを80[質量%]~10[質量%]含有している。
【0004】
特許文献2では、セラミックヒータを高温下で使用した場合、アルカリ金属又はアルカリ土類金属等のイオンマイグレーションによるセラミックヒータの耐久性の劣化を解決することを課題としている。
【0005】
すなわち、この課題を解決するため、セラミックヒータの基材となるセラミックスは、Alと、SiOと、希土類元素酸化物とを含有する。セラミックスは、Alを90[重量%]~99[重量%]含有している。また、セラミックスは、SiOを0.5[重量%]~4[重量%]含有している。さらに、セラミックスは、希土類元素酸化物を0.5[重量%]~6[重量%]含有している。セラミックスは、MgO及びCaOをさらに含有する。MgO及びCaOの合計量は、Al、SiO及び希土類元素酸化物の合計量100重量部に対して、0.4重量部以下である。
【0006】
特許文献3では、マイグレーションの抑制と端子電極の密着強度の向上とを両立するセラミックヒータと、セラミックヒータを熱源とし、被測定ガス中の特定成分の濃度によって変化する電気的特性を検出するセンサ部とを有するガスセンサ素子を提供することを課題としている。
【0007】
この課題を解決するため、ガスセンサ素子のセラミックヒータは、発熱体と、一対の発熱体リード部と、一対の端子電極とを有する。発熱体は、耐熱性セラミックスを主成分とする絶縁体の内側において、通電により発熱する。セラミックヒータの絶縁体のうち、少なくとも発熱体が直接触れる部分は、耐熱性セラミックスの含有率を相対的に高くした絶縁体層である。さらに、セラミックヒータの絶縁体のうち、端子電極が直接触れる部分は、耐熱性セラミックスの主成分の含有率を相対的に低くした絶縁体層である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4035555号公報
【特許文献2】特開2001-135465号公報
【特許文献3】特開2012-146449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
NOxセンサ素子は、セラミックヒータを備える。セラミックヒータは、通電により発熱部が加熱される。このセラミックヒータは、長時間の継続(連続)駆動又は断続駆動により、発熱部の細線化又は断線を引き起こすという問題があった。
【0010】
このようなセラミックヒータの劣化原因として、マイグレーション(イオンマイグレーション)が挙げられる。マイグレーションは、印加電圧によって、ヒータ電極若しくはヒータ絶縁層に含有された不純物が移動する現象、又は、印加電圧によって、焼結助剤中のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の陽イオンが移動する現象である。
【0011】
このマイグレーションは、電圧差又は温度によって加速され、ヒータの駆動時間が経過するほど進行する。
【0012】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様に係るセラミックヒータは、電子部品に備えられ、通電により発熱部が700[℃]以上、950[℃]未満で加熱されるセラミックヒータであって、前記発熱部への通電波形がパルス波形であり、且つ、前記パルス波形のパルス電圧[V]と周期[ms]との積が600[V・ms]以下である。
【0014】
本発明の一態様に係るセラミックヒータの駆動方法は、電子部品に備えられ、通電により発熱部が700[℃]以上、950[℃]未満で加熱されるセラミックヒータの駆動方法であって、前記発熱部への通電波形をパルス波形とし、前記パルス波形のパルス電圧[V]と周期[ms]との積が600[V・ms]以下である。
【0015】
本発明の一態様に係るガスセンサは、通電により発熱部が700[℃]以上、950[℃]未満で加熱されるセラミックヒータであって、且つ、前記発熱部への通電波形がパルス波形であり、前記パルス波形のパルス電圧[V]と周期[ms]との積が600[V・ms]以下であるセラミックヒータを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ガスセンサ等の電子部品に適用することで、ヒータの駆動に伴う劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施形態に係るガスセンサを示す断面図である。
図2図2は、センサ素子の構成の一例を概略的に示した断面模式図である。
図3図3は、パルス電圧Vpと周期Tとパルス幅Wとの関係の1つの例を示す図である。
図4図4は、ガスセンサのヒータ部の電気的な接続関係を示す説明図である。
図5図5は、第1パターン(導体)と第2パターン(導体)との間に電界が生じている状態を示す説明図である。
図6図6Aは、発熱部への通電波形の第1の例を示す図であり、図6Bは、発熱部への通電波形の第2の例を示す図である。
図7図7Aは、発熱部への通電波形の第3の例を示す図であり、図7Bは、発熱部への通電波形の第4の例を示す図である。
図8図8は、発熱部への通電波形の第5の例を示す図である。
図9図9は、発熱部への通電波形の第6の例を示す図である。
図10図10は、実施例1~9及び比較例のパルス電圧Vp[V]、周期T[ms]、駆動電圧パラメータX[V・ms]の試験水準と、試験結果とを示す表1である。
図11図11は、ヒータ抵抗値の上昇率の判定基準を示す表2である。
図12図12は、実施例1~9及び比較例の駆動電圧パラメータX[V・ms]に対するヒータ抵抗値の上昇率の関係を示すグラフである。
図13図13は、第1変形例でのヒータ部の電気的な接続関係を示す説明図である。
図14図14は、第2変形例でのヒータ部の電気的な接続関係を示す説明図である。
図15図15は、第3変形例でのヒータ部の電気的な接続関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態に係るガスセンサ10は、図1に示すように、センサ素子12を備える。センサ素子12は、長尺な直方体形状を有する。以下の説明では、センサ素子12の長手方向(図1の上下方向及び図2の左右方向)をガスセンサ10及びセンサ素子12の前後方向とする。また、センサ素子12の厚み方向(図1の左右方向及び図2の上下方向)をガスセンサ10及びセンサ素子12の上下方向とする。さらに、センサ素子12の幅方向(ガスセンサ10及びセンサ素子12の前後方向及び上下方向に垂直な方向)をガスセンサ10及びセンサ素子12の左右方向とする。
【0019】
図1に示すように、ガスセンサ10は、センサ素子12と、保護カバー14と、センサ組立体18とを備える。保護カバー14は、センサ素子12の前端部を保護する。センサ組立体18は、セラミックハウジング16を有する。セラミックハウジング16には、金属端子20が装着される。金属端子20は、センサ素子12の後端部を保持する。金属端子20は、センサ素子12と電気的に接続される。これにより、セラミックハウジング16は、コネクタ22として機能する。
【0020】
ガスセンサ10は、例えば、車両の排ガス管等の配管24に取り付けられる。ガスセンサ10は、被測定ガスとしての排気ガスに含まれる特定ガスの濃度を測定する。特定ガスは、NOx又はO等である。
【0021】
保護カバー14には、複数の孔が形成される。複数の孔は、被測定ガスを保護カバー14の内方に流通させる。保護カバー14で囲まれた空間は、センサ素子室30である。センサ素子12の前端は、センサ素子室30内に配置される。
【0022】
センサ組立体18は、素子封止体32と、ナット34とを有する。素子封止体32は、センサ素子12をガスセンサ10内に封入固定する。ナット34は、素子封止体32に取り付けられる。センサ組立体18は、外筒36と、上述したコネクタ22とを備える。センサ素子12の後端の表面(上下面)には、図示しない電極が形成される。コネクタ22は、図示しない各電極に接触することで、各電極と電気的に接続される。
【0023】
素子封止体32は、筒状の主体金具40と、筒状の内筒42とを有する。内筒42は、主体金具40と同軸に溶接固定される。素子封止体32は、セラミックスサポータ、圧粉体及びメタルリング等、を備える。セラミックスサポータ、圧粉体及びメタルリング等は、主体金具40及び内筒42の内側の貫通孔内に封入される。これにより、保護カバー14内のセンサ素子室30と外筒36内の空間44との間が封止される。また、センサ素子12は、素子封止体32に固定される。
【0024】
ナット34は、主体金具40と同軸に固定される。ナット34の外周面には、雄ネジ部が形成されている。ナット34の雄ネジ部は、固定用部材46内に挿入される。固定用部材46は、配管24に溶接される。固定用部材46の内周面には、雌ネジ部が設けられる。雌ネジ部には、ナット34の雄ネジ部が螺合する。これにより、ガスセンサ10は、配管24に固定される。ガスセンサ10のうち、センサ素子12の前端及び保護カバー14の部分は、配管24内に突出する。
【0025】
外筒36は、少なくとも、内筒42、センサ素子12及びコネクタ22の周囲を覆う。コネクタ22には、複数のリード線50が接続される。複数のリード線50は、外筒36の後端から外部に引き出される。複数のリード線50は、コネクタ22を介して、センサ素子12の各電極(後述)と導通する。外筒36とリード線50との隙間は、弾性絶縁部材52によって封止される。弾性絶縁部材52は、例えば、グロメットで構成される。外筒36内の空間44は、基準ガス(本実施形態では大気)で満たされる。センサ素子12の後端は、この空間44内に配置される。
【0026】
センサ素子12は、図2に示すように、例えば、6つの層が、図面視で下側から順に積層された積層体を有する。6つの層は、第1基板層60と、第2基板層62と、第3基板層64と、第1固体電解質層66と、スペーサ層68と、第2固体電解質層70とである。上記6つの層は、それぞれがジルコニア(ZrO)等の酸素イオン伝導性固体電解質層である。また、6つの層を形成する固体電解質は、緻密且つ気密である。センサ素子12は、以下のように製造される。例えば、各層に対応するセラミックスグリーンシートに対して、所定の加工及び回路パターンの印刷等を行う。次に、各セラミックスグリーンシートを積層して積層体とする。次に、積層体を焼成して一体化させる。
【0027】
センサ素子12は、複数の拡散律速部と複数の内部空所とを有する。複数の拡散律速部及び複数の内部空所は、第2固体電解質層70の下面と第1固体電解質層66の上面との間に設けられる。すなわち、センサ素子12は、ガス導入口80と、第1拡散律速部82と、緩衝空間84と、第2拡散律速部86と、第1内部空所88と、第3拡散律速部90と、第2内部空所92と、第4拡散律速部94と、第3内部空所96とを有する。
【0028】
ガス導入口80と、緩衝空間84と、第1内部空所88と、第2内部空所92と、第3内部空所96とは、スペーサ層68をくり抜いて設けられる。これら緩衝空間84等は、センサ素子12内部の空間である。すなわち、これらの空間の上部は、第2固体電解質層70の下面で区画される。また、これらの空間の下部は、第1固体電解質層66の上面で区画される。さらに、これらの空間の側部は、スペーサ層68の側面で区画される。
【0029】
第1拡散律速部82と、第2拡散律速部86と、第3拡散律速部90とは、いずれも、2本の横長のスリットである。また、第4拡散律速部94は、第2固体電解質層70の下面との隙間として形成された1本の横長のスリットである。なお、これらのスリットは、図2の紙面に垂直な方向が長手方向である。また、ガス導入口80から第3内部空所96に至る部位を被測定ガス流通部とも称する。
【0030】
センサ素子12の一端側(先端側)から被測定ガス流通部よりも遠い位置には、基準ガス導入空間98が設けられる。具体的には、基準ガス導入空間98は、第3基板層64の上面と、スペーサ層68の下面との間であって、側部が第1固体電解質層66の側面で区画される位置に設けられる。基準ガス導入空間98には、NOx濃度の測定を行う際の基準ガスとして、例えば、大気(図1の空間44内の雰囲気)が導入される。
【0031】
大気導入層100は、多孔質アルミナ等のセラミックスを有する。大気導入層100は、基準ガス導入空間98に露出している。この大気導入層100には、基準ガス導入空間98を通じて、基準ガスが導入される。また、大気導入層100は、基準電極102を被覆する。この大気導入層100は、基準ガス導入空間98内の基準ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与しつつ、拡散抵抗が付与された基準ガスを基準電極102に導入する。
【0032】
なお、大気導入層100のうちの基準電極102よりもセンサ素子12の後端側(図2の右側)は、基準ガス導入空間98に露出している。換言すると、基準ガス導入空間98は、基準電極102の直上までは形成されていない。但し、基準電極102が基準ガス導入空間98の図2における真下に形成されてもよい。
【0033】
基準電極102は、第3基板層64の上面と第1固体電解質層66とに挟まれた電極である。基準電極102の周囲には、基準ガス導入空間98につながる大気導入層100が設けられる。なお、基準電極102は、第3基板層64の上面に直接形成される。基準電極102において、第3基板層64の上面に接する部分以外の部分は、大気導入層100に覆われる。また、後述するように、基準電極102を用いて、第1内部空所88内、第2内部空所92内、及び、第3内部空所96内の酸素濃度(酸素分圧)が測定可能である。基準電極102は、多孔質サーメット電極(例えば、PtとZrO2とのサーメット電極)である。
【0034】
ガス導入口80は、外部空間に対して開口している。ガス導入口80は、外部空間からセンサ素子12内に被測定ガスを取り込む。第1拡散律速部82は、ガス導入口80から取り込まれた被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する。緩衝空間84は、ガス導入口80から第1拡散律速部82を通じて導入された被測定ガスを、第2拡散律速部86に導く。第2拡散律速部86は、緩衝空間84から第1内部空所88に導入される被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する。
【0035】
ここで、被測定ガスが、センサ素子12の外部から第1内部空所88内まで導入されるにあたって、外部空間における被測定ガスの圧力変動による作用の一例を説明する。上記圧力変動としては、被測定ガスが自動車の排気ガスの場合であれば、排気圧の脈動が挙げられる。上記圧力変動によってガス導入口80からセンサ素子12内部に被測定ガスが急激に取り込まれる。しかしながら、被測定ガスは、第1拡散律速部82、緩衝空間84及び第2拡散律速部86を通じて濃度変動が打ち消される。濃度変動が打ち消された後、被測定ガスは、第1内部空所88へ導入される。これによって、第1内部空所88へ導入される被測定ガスの濃度変動は、ほとんど無視できる。第1内部空所88は、第2拡散律速部86を通じて導入された被測定ガス中の酸素分圧を調整するための空間である。上記の酸素分圧は、後述する主ポンプセル110が作動することによって調整される。
【0036】
主ポンプセル110は、電気化学的ポンプセルである。主ポンプセル110は、内側ポンプ電極112と、外側ポンプ電極114と、第2固体電解質層70とを有する。内側ポンプ電極112は、第1内部空所88の内面に設けられる。外側ポンプ電極114は、第2固体電解質層70の上面のうち、内側ポンプ電極112と対応する領域に設けられる。外側ポンプ電極114は、内側ポンプ電極112と対応する領域で、外部空間(図1のセンサ素子室30)に露出している。第2固体電解質層70は、内側ポンプ電極112と外側ポンプ電極114とに挟まれている。
【0037】
内側ポンプ電極112は、第1内部空所88を区画する上下の固体電解質層(第2固体電解質層70及び第1固体電解質層66)と、側壁を構成するスペーサ層68とにわたって形成される。具体的には、第2固体電解質層70の下面には、内側ポンプ電極112の天井電極部112aが形成される。第2固体電解質層70の下面は、第1内部空所88の天井面を構成する。第1固体電解質層66の上面には、底部電極部112bが直接形成される。第1固体電解質層66の上面は、第1内部空所88の底面を構成する。天井電極部112aと底部電極部112bとは、側部電極部(図示省略)を介して接続されている。側部電極部は、第1内部空所88の両側壁部を構成するスペーサ層68の側壁面(内面)に形成される。すなわち、内側ポンプ電極112は、トンネル形態とされた構造として配設される。
【0038】
内側ポンプ電極112と外側ポンプ電極114とは、多孔質サーメット電極として形成される。多孔質サーメット電極は、例えば、Auを1[%]含むPtとZrO2とのサーメット電極である。なお、被測定ガスに接触する内側ポンプ電極112は、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
【0039】
主ポンプセル110は、内側ポンプ電極112と外側ポンプ電極114との間に所望のポンプ電圧Vp0を印加する。これにより、内側ポンプ電極112と外側ポンプ電極114との間に、正方向又は負方向にポンプ電流Ip0が流れる。この結果、主ポンプセル110は、第1内部空所88内の酸素を外部空間に汲み出すことが可能である。また、主ポンプセル110は、外部空間の酸素を第1内部空所88に汲み入れることが可能である。
【0040】
また、センサ素子12は、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル120を有する。以下、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル120を主ポンプセンサセル120と呼称する。主ポンプセンサセル120は、第1内部空所88内の雰囲気中の酸素濃度(酸素分圧)を検出する。この主ポンプセンサセル120は、電気化学的なセンサセルである。主ポンプセンサセル120は、内側ポンプ電極112と、第2固体電解質層70と、スペーサ層68と、第1固体電解質層66と、基準電極102とを有する。
【0041】
センサ素子12は、主ポンプセンサセル120の起電力V0を測定することで、第1内部空所88内の酸素濃度(酸素分圧)を検出する。さらに、センサ素子12は、起電力V0が一定となるように、可変電源122のポンプ電圧Vp0をフィードバック制御することで、ポンプ電流Ip0を制御する。これによって、第1内部空所88内の酸素濃度は、所定の一定値に保たれる。
【0042】
第3拡散律速部90は、第1内部空所88内で主ポンプセル110の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに、所定の拡散抵抗を付与する。第3拡散律速部90は、所定の拡散抵抗が付与された被測定ガスを第2内部空所92に導く。
【0043】
第2内部空所92は、第3拡散律速部90を通じて導入された被測定ガスに対して、補助ポンプセル124による酸素分圧の調整を行うための空間である。これにより、第2内部空所92内の酸素濃度は、高精度に一定値に保たれる。この結果、ガスセンサ10は、NOx濃度を高精度に測定可能である。
【0044】
補助ポンプセル124は、補助的な電気化学的ポンプセルである。補助ポンプセル124は、補助ポンプ電極126と、外側ポンプ電極114と、第2固体電解質層70とを有する。補助ポンプ電極126は、第2内部空所92の内面に設けられる。なお、外側ポンプ電極114は、センサ素子12の外側の適当な電極であればよい。
【0045】
この補助ポンプ電極126は、第2内部空所92内に配設される。補助ポンプ電極126は、第1内部空所88内に設けられた内側ポンプ電極112と同様に、トンネル形態の構造を有する。つまり、補助ポンプ電極126は、第2固体電解質層70に形成された天井電極部126aを有する。第2固体電解質層70は、第2内部空所92の天井面を構成する。また、補助ポンプ電極126は、第1固体電解質層66の上面に直接形成された底部電極部126bをさらに有する。第1固体電解質層66の上面は、第2内部空所92の底面を構成する。天井電極部126aと底部電極部126bとは、側部電極部(図示省略)を介して連結されている。側部電極部は、第2内部空所92の側壁を構成するスペーサ層68の両壁面にそれぞれ形成される。なお、補助ポンプ電極126は、内側ポンプ電極112と同様に、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
【0046】
補助ポンプセル124は、補助ポンプ電極126と外側ポンプ電極114との間に所望の電圧Vp1を印加する。これにより、補助ポンプセル124は、第2内部空所92内の雰囲気中の酸素を外部空間に汲み出すことが可能である。また、補助ポンプセル124は、外部空間から第2内部空所92内に酸素を汲み入れることが可能である。
【0047】
また、補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル130は、第2内部空所92内の雰囲気中の酸素分圧を制御する。以下、補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル130を補助ポンプセンサセル130と呼称する。補助ポンプセンサセル130は、電気化学的なセンサセルである。補助ポンプセンサセル130は、補助ポンプ電極126と、基準電極102と、第2固体電解質層70と、スペーサ層68と、第1固体電解質層66とを有する。
【0048】
なお、補助ポンプセンサセル130は、起電力V1を検出する。可変電源132は、検出された起電力V1に基づいて電圧制御される。補助ポンプセル124は、可変電源132を用いてポンピングを行う。これにより、第2内部空所92内の雰囲気中の酸素分圧は、NOxの測定に実質的に影響がない低い分圧にまで制御される。
【0049】
また、ポンプ電流Ip1は、主ポンプセンサセル120の起電力V0の制御に用いられる。具体的には、ポンプ電流Ip1が制御信号として主ポンプセンサセル120に入力されることで、起電力V0が制御される。これにより、第3拡散律速部90から第2内部空所92内に導入される被測定ガス中の酸素分圧の勾配は、常に一定となるように制御される。ガスセンサ10をNOxセンサとして使用する際は、主ポンプセル110と補助ポンプセル124との働きによって、第2内部空所92内での酸素濃度は、0.001[ppm]程度の一定値に保たれる。
【0050】
第4拡散律速部94は、第2内部空所92内で補助ポンプセル124の動作によって酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与する。また、第4拡散律速部94は、所定の拡散抵抗が付与された被測定ガスを第3内部空所96に導く。第4拡散律速部94は、第3内部空所96に流入するNOxの量を制限する。
【0051】
第3内部空所96には、予め第2内部空所92内で酸素濃度(酸素分圧)が調整された被測定ガスが、第4拡散律速部94を通じて導入される。すなわち、第3内部空所96は、導入された被測定ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度の測定に係る処理を行うための空間である。NOx濃度の測定は、主として、第3内部空所96内で、測定用ポンプセル140の動作により行われる。
【0052】
測定用ポンプセル140は、第3内部空所96内で、被測定ガス中のNOx濃度の測定を行う。測定用ポンプセル140は、電気化学的ポンプセルである。測定用ポンプセル140は、測定電極134と、外側ポンプ電極114と、第2固体電解質層70と、スペーサ層68と、第1固体電解質層66とを有する。測定電極134は、第3内部空所96に面する第1固体電解質層66の上面に直接形成される。測定電極134は、多孔質サーメット電極である。測定電極134は、第3内部空所96内の雰囲気中に存在するNOxを還元するNOx還元触媒としても機能する。
【0053】
測定用ポンプセル140は、測定電極134の周囲の雰囲気中における窒素酸化物の分解によって生じた酸素を汲み出して、その発生量をポンプ電流Ip2として検出する。
【0054】
また、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル142は、測定電極134の周囲の酸素分圧を検出する。以下、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル142を測定用ポンプセンサセル142と呼称する。測定用ポンプセンサセル142は、電気化学的なセンサセルである。測定用ポンプセンサセル142は、第1固体電解質層66と、測定電極134と、基準電極102とを有する。可変電源144は、測定用ポンプセンサセル142で検出された起電力V2に基づいて制御される。
【0055】
第2内部空所92内に導かれた被測定ガスは、酸素分圧が制御された状況下で、第4拡散律速部94を通じて第3内部空所96の測定電極134に到達する。測定電極134の周囲の被測定ガス中の窒素酸化物は、還元されて酸素を発生する(2NO→N2+O2)。発生した酸素は、測定用ポンプセル140によってポンピングされる。また、測定用ポンプセンサセル142にて検出された起電力V2が一定となるように、可変電源144の電圧Vp2が制御される。測定電極134の周囲で発生する酸素の量は、被測定ガス中の窒素酸化物の濃度に比例する。そのため、測定用ポンプセル140のポンプ電流Ip2を用いて被測定ガス中の窒素酸化物濃度が算出される。
【0056】
また、センサセル146は、電気化学的なセンサセルである。センサセル146は、第2固体電解質層70と、スペーサ層68と、第1固体電解質層66と、第3基板層64と、外側ポンプ電極114と、基準電極102とを有する。センサセル146によって得られる起電力Vrefにより、ガスセンサ10外部の被測定ガス中の酸素分圧が検出可能である。
【0057】
さらに、基準ガス調整ポンプセル150は、電気化学的なポンプセルである。基準ガス調整ポンプセル150は、第2固体電解質層70と、スペーサ層68と、第1固体電解質層66と、第3基板層64と、外側ポンプ電極114と、基準電極102とを有する。基準ガス調整ポンプセル150において、可変電源152は、外側ポンプ電極114と基準電極102との間に接続されている。可変電源152は、電圧Vp3を印加することで、外側ポンプ電極114と基準電極102との間に制御電流Ip3を流す。これにより、基準ガス調整ポンプセル150は、ポンピングを行う。この結果、基準ガス調整ポンプセル150は、外側ポンプ電極114の周囲の空間(図1のセンサ素子室30)から基準電極102の周囲の空間(大気導入層100)に酸素の汲み入れを行う。可変電源152の電圧Vp3は、制御電流Ip3が所定の値(一定値の直流電流)となるような直流電圧として、予め定められる。
【0058】
ガスセンサ10は、主ポンプセル110と補助ポンプセル124とを作動させることによって、酸素分圧が常に一定の低い値に保たれた被測定ガスを測定用ポンプセル140に与える。酸素分圧が常に一定の低い値とは、NOxの測定に実質的に影響がない値を指す。従って、上述したポンプ電流Ip2に基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を知ることができる。なお、ポンプ電流Ip2は、上述したように、被測定ガス中のNOxの濃度に略比例して、NOxの還元によって発生する酸素が測定用ポンプセル140より汲み出されることによって流れる。
【0059】
さらに、センサ素子12は、センサ素子12を加熱して保温する温度調整の役割を担うヒータ部160を備える。これにより、固体電解質の酸素イオン伝導性が高まる。ヒータ部160は、ヒータコネクタ電極162と、セラミックヒータ164と、スルーホール166と、ヒータ絶縁層168と、圧力放散孔170と、リード線172とを有する。
【0060】
また、センサ素子12は、図4に示すように、ヒータ電源200と、ヒータ電流取得部202と、ヒータ電圧取得部204と、ヒータ制御部206とを備える。
【0061】
ヒータ電源200は、通電用リード2101、2102を介してセラミックヒータ164と接続される。ヒータ電源200は、セラミックヒータ164に電力を供給してセラミックヒータ164を発熱させる。ヒータ電源200により、セラミックヒータ164にはヒータ電流Ihが流れる。
【0062】
ヒータ電流取得部202は、ヒータ電流Ihを取得する電流検出回路である。ヒータ電流取得部202は、セラミックヒータ164とヒータ電源200との間に接続される。ヒータ電流取得部202は、取得したヒータ電流Ihをヒータ制御部206に出力する。
【0063】
ヒータ電圧取得部204は、セラミックヒータ164の両端の電圧(電位差)であるヒータ電圧Vhを取得する電圧検出回路である。ヒータ電圧取得部204は、通電用リード2101、2102の間に接続される。ヒータ電圧取得部204は、取得したヒータ電圧Vhをヒータ制御部206に出力する。
【0064】
また、図2に示すように、セラミックヒータ164は、第1内部空所88から第3内部空所96の全域に渡って埋設されている。セラミックヒータ164は、センサ素子12全体を上記固体電解質が活性化する温度(例えば800[℃]~900[℃])に調整可能である。
【0065】
ヒータ絶縁層168は、セラミックヒータ164の上下面に、アルミナ等の絶縁体によって形成されている。ヒータ絶縁層168は、多孔質アルミナを有する絶縁層である。ヒータ絶縁層168は、第2基板層62とセラミックヒータ164との間の電気的絶縁性、及び、第3基板層64とセラミックヒータ164との間の電気的絶縁性を得る目的で形成される。
【0066】
圧力放散孔170は、第3基板層64を貫通し、基準ガス導入空間98に連通するように設けられる。圧力放散孔170は、ヒータ絶縁層168内の温度上昇に伴う内圧上昇を緩和する目的で形成される。
【0067】
なお、図2に示した可変電源122、144、132、152等は、実際には、センサ素子12内に形成された図示しないリード線又は図1のコネクタ22及びリード線50を介して、各電極と接続される。
【0068】
本実施形態に係るガスセンサ10に備えられたセラミックヒータ164は、パルス電圧の印加によって、700[℃]以上950[℃]未満に制御される。これにより、センサ素子12での出力値及び出力精度が保たれる。セラミックヒータ164への印加電圧は、図3に示すように、パルス電圧Vpと、周期Tと、パルス幅Wの比(デューティー比)とによって定義される。
【0069】
セラミックヒータ164は、第1パターン1641と第2パターン1642とを有する。第1パターン1641及び第2パターン1642は、例えば、図4に示すように、それぞれ複数の蛇行パターンが連続して形成される。第1パターン1641と第2パターン1642とは、それぞれ並列して形成されている。第1パターン1641の先端部と第2パターン1642の先端部とは、結合されている。第1パターン1641及び第2パターン1642は、セラミックヒータ164の発熱部165を構成する。なお、「結合」は電気的に接続された状態を含む。
【0070】
セラミックヒータ164は、第1パターン1641(導体)と第2パターン1642(導体)とが互いに接近した部分と、互いに遠ざかる部分とを有する。また、第1パターン1641と第2パターン1642との間には、非金属媒体212が介在する。非金属媒体212は、第1パターン1641と第2パターン1642との短絡を防止する。なお、ヒータ絶縁層168の一部を非金属媒体212としてもよい。
【0071】
図5に示すように、第1パターン1641(導体)と第2パターン1642(導体)との間に電圧差があると、第1パターン1641と第2パターン1642との間に電界が生じる。例えば、第1パターン1641が高電位であり、第2パターン1642が低電位であれば、図5中の矢印のように、第1パターン1641から第2パターン1642に向かう電界が生じる。
【0072】
この電界の影響で、例えば、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンによるイオンマイグレーションが生じる。具体的には、カルシウムイオンCa2+又はナトリウムイオンNaによるイオンマイグレーションが発生する。このイオンマイグレーションの発生によって、セラミックヒータ164が劣化して細線化又は断線が生じる場合がある。
【0073】
発熱部165への通電波形をパルス波形とした場合を想定したとき、以下のことが分かった。すなわち、図3図6A及び図6Bに示すように、各パルス波形の電力実効値(パルス電圧Vp×パルス幅W)が同じであっても、周期Tを考慮した駆動電圧パラメータXが大きいほど、劣化が進行する。そこで、本実施形態では、発熱部165(図4参照)への通電波形をパルス波形とし、且つ、駆動電圧パラメータXを600[V・ms]以下に制御する。なお、駆動電圧パラメータXは、パルス波形のパルス電圧Vp[V]と周期T(単位周期)[ms]との積を示す。
【0074】
パルス波形の例としては、例えば、図6Aに示すパルス波形、又は、図6Bに示すパルス波形が挙げられる。図6Aに示すパルス波形は、パルス電圧が12[V]、パルス幅が4[ms]、周期が10[ms]である。図6Bに示すパルス波形は、パルス電圧が24[V]、パルス幅が2[ms]、周期が10[ms]である。
【0075】
図6A及び図6Bの例では、単位周期におけるパルス電圧とパルス幅との積(面積)がいずれも同じである。つまり、図6A及び図6Bの例は、いずれも、周期毎に48[V・ms]が連続通電される。駆動電圧パラメータXは、図6Aの例では120[V・ms]、図6Bの例では240[V・ms]である。従って、電力実効値は、パルス通電及び連続通電のいずれも同じ値である。但し、図6Aの例よりも図6Bの例の方が、駆動電圧パラメータXは大きい。従って、図6Bの例の方が、セラミックヒータ164は、劣化しやすい。
【0076】
その他のパルス波形の例としては、例えば、図7Aに示すパルス波形と、図7Bに示すパルス波形とが挙げられる。図7Aに示すパルス波形は、パルス電圧が12[V]、パルス幅が4[ms]、周期が10[ms]である。図7Bに示すパルス波形は、パルス電圧が12[V]、パルス幅が8[ms]、周期が20[ms]のパルス波形である。図7A及び図7Bの例では、単位周期(20[ms])におけるパルス電圧とパルス幅との積(面積)がいずれも同じである。つまり、図7Aの例は、周期(10[ms])にかけて48[V・ms]が連続通電される。図7Bの例は、周期(20[ms])にかけて96[V・ms]が連続通電される。駆動電圧パラメータXは、図7Aの例が120[V・ms]、図7Bの例が240[V・ms]である。図7Aの例よりも図7Bの例の方が、駆動電圧パラメータXは大きい。従って、図7Bの例の方が、セラミックヒータ164は、劣化しやすい。
【0077】
セラミックヒータ164に印加する電圧の印加時間を短く、且つ、印加電圧を低くする方が、イオンの移動は起こりにくい。また、パルス波形のデューティー比が一定でも、周期が長くなると、パルス1回当たりの電圧印加時間が長くなる。これにより、イオンの移動が起こり易くなる。なお、上述したパルス電圧及びパルス幅等の数値は、あくまでも一例である。
【0078】
図3図6A図7B等では、パルス波形として矩形状の波形を示しているが、これに限らない。例えば、パルス波形として、図8に示すように、パルス波形の先頭に、時間の経過と共に立ち上がる第1傾斜部分L1が存在してもよい。また、パルス波形の後部に、時間の経過と共に立ち下がる第2傾斜部分L2が存在してもよい。さらに、パルス波形の角部分及び立ち上がり部分が湾曲状となってもよい。なお、破線で示すように、立ち上がりの開始部分にアンダーシュートUSが存在し、立ち上がりの終了部分にオーバーシュートOSが存在してもよい。
【0079】
図8のパルス波形において、パルス幅Wは、第1傾斜部分L1のピーク値の50[%]における時点Eから第2傾斜部分L2のピーク値の50[%]における時点Fまでの時間を指す。なお、上記のピーク値は、オーバーシュートOSを除く。周期Tは、例えば、先頭のパルス波形Wf1における第1傾斜部分L1の時点Eから後方のパルス波形Wf2における第1傾斜部分L1の時点Eまでの時間を指す。
【0080】
その他、図9に示すように、パルス波形として、第1傾斜部分L1と第2傾斜部分L2とが近接した三角形状のパルス波形であってもよい。パルス幅Wは、上述した図8に示すパルス波形Wf1(Wf2)と同様である。すなわち、パルス幅Wは、第1傾斜部分L1のピーク値の50[%]における時点Eから第2傾斜部分L2のピーク値の50[%]における時点Fまでの時間を指す。周期Tは、例えば、先頭のパルス波形Wf1における第1傾斜部分L1の時点Eから後方のパルス波形Wf2における第1傾斜部分L1の時点Eまでの時間を指す。
【0081】
上述した図3図6A図9等では、パルス波形として、パルス電圧が印加されていない区間は0[V]としている。パルス波形は、オフセットを含んでもよい。
【0082】
パルス波形としては、上述した例のほか、半波整流波、三角波、のこぎり波、台形波、正弦パルス波等が挙げられる。これらの波形においても、図8及び図9等に示した例に準じてパルス幅及び周期等を定義できる。
【0083】
ここで、実施例1~9と比較例とについて、下記の試験を行った。試験は、環境温度25[℃]、風速約15[m/s]の環境下で行った。この試験では、セラミックヒータ164に印加されるパルス電圧と周期との積である駆動電圧パラメータX[V・ms]を変化させ、2000時間経過後のヒータ抵抗値の上昇率を測定した。
【0084】
図10の表1に、実施例1~9及び比較例のパルス電圧Vp[V]、周期T[ms]、駆動電圧パラメータX[V・ms]の試験水準と、試験結果とを示す。
【0085】
判定基準は、以下の通りである。すなわち、セラミックヒータ164が細線化して抵抗値が上昇すると、ガスセンサ10内の空室の温度及び温度分布が変化する。これにより、ガスセンサ10の出力値及び信号精度に影響が出る。そのため、ヒータ抵抗値の上昇率は、4[%]未満が好ましい。より出力精度を保つには、ヒータ抵抗値の上昇率は、3[%]未満に抑えることが好ましい。そこで、図11の表2に示すように、判定基準として、上述のヒータ抵抗値の上昇率が3[%]未満をA、3[%]以上4[%]未満をB、4[%]以上をCとした。
【0086】
図12は、駆動電圧パラメータに対するヒータ抵抗値の上昇率の変化を示すグラフである。駆動電圧パラメータとヒータ抵抗値の上昇率との関係は、図12のグラフから、略比例関係にある。
【0087】
図12のグラフから下記事項が導き出される。(1)発熱部165への通電波形がパルス波形である。(2)パルス波形のパルス電圧Vp[V]と周期T[ms]との積が600[V・ms]以下であることが好ましい。(3)上記積が450[V・ms]未満であることがさらに好ましい。このように設定することで、長時間駆動後のヒータ抵抗値の上昇率が抑制可能となる。
【0088】
本実施形態の第1変形例について、図13を参照しながら説明する。第1変形例では、セラミックヒータ164を構成する導体のパターンが図4及び図5に示すパターンとは異なる。具体的には、セラミックヒータ164は、リード部180と、発熱部165とを有する。
【0089】
リード部180は、通電用リード2101に接続される第1リード部1801と、通電用リード2102に接続される第2リード部1802とから構成される。発熱部165は、一端部が第1リード部1801に結合され、他端部が第2リード部1802に結合された導体パターン182である。導体パターン182は、第1リード部1801から第2リード部1802に向かって蛇行する導体パターンである。
【0090】
すなわち、導体パターン182は、センサ素子12の左右方向(幅方向)に間隔を開けて、センサ素子12の前後方向(長さ方向)に延びる4つの直線部1821を有する。4つの直線部1821のうち、左端の直線部1821の後端部は、第1リード部1801に結合されている。また、右端の直線部1821の後端部は、第2リード部1802に結合されている。
【0091】
4つの直線部1821のうち、左右方向の中央で隣り合う2つの直線部1821の後端部は、第1接続部1822を介して互いに結合されている。第1接続部1822は、U字状に湾曲したパターン形状であり、リード部180(第1リード部1801、第2リード部1802)に近接する。
【0092】
4つの直線部1821のうち、左側で隣り合う2つの直線部1821の前端部は、一方の第2接続部1823を介して互いに結合されている。また、右側で隣り合う2つの直線部1821の前端部は、他方の第2接続部1823を介して互いに結合されている。また、各第2接続部1823は、U字状に湾曲したパターン形状であり、リード部180(第1リード部1801、第2リード部1802)から離間している。
【0093】
ここで、ヒータ電源200が通電用リード2101、2102及びリード部180を介して発熱部165(導体パターン182)に通電を行った場合、複数の直線部1821の間で電圧差があると、複数の直線部1821の間に電界が生じる。例えば、隣接する2つの直線部1821のうち、一方の直線部1821が高電位であり、他方の直線部1821が低電位であれば、図13中の矢印のように、一方の直線部1821から他方の直線部1821に向かう電界が生じる。また、導体パターン182に通電することで、導体パターン182は高温になる。このように、電位差(電界)が発生すると共に、高温で使用されるので、セラミックヒータ164の劣化が発生しやすい。特に、隣接する2つの直線部1821間で劣化が発生しやすい。
【0094】
そこで、第1変形例でも、発熱部165を700[℃]以上950[℃]未満で加熱する場合に、図6A図9に示したパルス波形を発熱部165に印加する。これにより、ヒータ駆動に伴う劣化が抑制できると共に、長時間駆動後のヒータ抵抗値の上昇率が抑制可能となる。
【0095】
図14に示す第2変形例は、左右方向の中央で隣接する2つの直線部1821が、前方に向かって互いに近接する点で、図13の第1変形例とは異なる。従って、左右方向の中央で隣接する2つの直線部1821の前端部の間隔は、その2つの直線部1821の後端部の間隔よりも短い。そのため、発熱部165に通電した場合、左右方向の中央で隣接する2つの直線部1821の前端部の間で発生する電界は、その2つの直線部1821の後端部で発生する電界よりも大きい。この結果、2つの直線部1821間で劣化が発生しやすくなる。そこで、第2変形例でも、発熱部165を700[℃]以上950[℃]未満で加熱する場合に、図6A図9に示したパルス波形を発熱部165に印加することにより、第1変形例と同様の効果が得られる。
【0096】
図15に示す第3変形例は、6つの直線部1821が設けられる点で、図13の第1変形例とは異なる。そのため、左から2番目の直線部1821の後端部と左から3番目の直線部1821の後端部とは、一方の第1接続部1822を介して互いに接続されている。また、右から2番目の直線部1821の後端部と右から3番目の直線部1821の後端部とは、他方の第1接続部1822を介して互いに接続されている。
【0097】
また、左端の直線部1821の前端部と、左から2番目の直線部1821の前端部とは、左側の第2接続部1823を介して互いに接続されている。さらに、左右方向の中央の2つの直線部1821の前端部は、中央の第2接続部1823を介して互いに接続されている。さらにまた、右端の直線部1821の前端部と、右から2番目の直線部1821の前端部とは、右側の第2接続部1823を介して互いに接続されている。
【0098】
第3変形例でも、発熱部165に通電した場合、隣接する2つの直線部1821の間で電界が生じる。この結果、2つの直線部1821間で劣化が発生しやすい。従って、第3変形例でも、発熱部165を700[℃]以上950[℃]未満で加熱する場合に、図6A図9に示したパルス波形を発熱部165に印加することにより、第1変形例と同様の効果が得られる。
【0099】
なお、図13図15では、第1~第3変形例を例示的に図示したものであり、直線部1821は、4つ以上あればよい。
【0100】
また、上述した実施形態では、センサ素子12は、被測定ガス中のNOx濃度を検出する。上述の実施形態は、被測定ガス中の特定ガスの濃度を検出できればよい。例えば、被測定ガス中の酸素濃度を検出してもよい。
【0101】
上記実施形態をまとめると、以下のようになる。
【0102】
[1] 電子部品に備えられ、通電により発熱部(165)が700[℃]以上、950[℃]未満で加熱されるセラミックヒータ(164)であって、前記発熱部(165)への通電波形がパルス波形であり、且つ、前記パルス波形のパルス電圧[V]と周期[ms]との積が600[V・ms]以下である。これにより、ガスセンサ(10)等の電子部品に適用することで、ヒータ駆動に伴う劣化が抑制できる。しかも、ヒータ抵抗値の上昇率が4[%]未満に抑えられる。
【0103】
[2] 前記パルス波形のパルス電圧[V]と周期[ms]との積が450[V・ms]未満である。これにより、ガスセンサ(10)等の電子部品に適用することで、ヒータ駆動に伴う劣化が抑制できる。しかも、ヒータ抵抗値の上昇率が3[%]未満に抑えられる。
【0104】
[3] 前記発熱部(165)は、一対の接続端子からそれぞれヒータパターン(1641、1642)が互いに遠ざかる部分と互いに接近した部分とが繰り返されて、先端部において結合された形状を有し、各ヒータパターン(1641、1642)は、複数の互いに接近した部分と、複数の互いに遠ざかる部分とを有する。
【0105】
この場合、各ヒータパターン(1641、1642)との間に電圧差があると、各ヒータパターン(1641、1642)間で、いわゆるイオンマイグレーションが生じ易くなる。そこで、[1]、[2]の構成を採用することで、ヒータ駆動に伴う劣化が抑制できる。しかも、ヒータ抵抗値の上昇率が4[%]未満に抑えられる。
【0106】
[4] 前記発熱部(165)は、リード部(180)を介して通電することにより加熱され、前記発熱部(165)は、前記電子部品の幅方向に間隔を開けて並び、前記電子部品の長さ方向に延びる4つ以上の直線部(1821)と、前記幅方向に隣り合う2つの前記直線部(1821)における前記リード部(180)に近い端部を接続する1以上の第1接続部(1822)と、前記幅方向に隣り合う2つの前記直線部(1821)における前記リード部(180)から遠い端部を接続する複数の第2接続部(1823)とを有する。
【0107】
この場合も、隣接する2つの直線部(1821)間に電圧差があると、2つの直線部(1821)間で、いわゆるイオンマイグレーションが生じ易くなる。そこで、[1]、[2]の構成を採用することで、ヒータ駆動に伴う劣化が抑制できる。しかも、ヒータ抵抗値の上昇率が4[%]未満に抑えられる。
【0108】
[5] セラミックヒータ(164)において、前記電子部品がガスセンサ(10)である。すなわち、ガスセンサ(10)に適用することで、ヒータ駆動に伴う劣化が抑制できる。しかも、ヒータ抵抗値の上昇率が4[%]未満に抑えられる。
【0109】
[6] 電子部品に備えられ、通電により発熱部(165)が700[℃]以上、950[℃]未満で加熱されるセラミックヒータ(164)の駆動方法であって、前記発熱部(165)への通電波形をパルス波形とし、前記パルス波形のパルス電圧[V]と周期[ms]との積が600[V・ms]以下である。これにより、ガスセンサ(10)等の電子部品に適用することで、ヒータ駆動に伴う劣化が抑制できる。しかも、ヒータ抵抗値の上昇率が4[%]未満に抑えられる。
【0110】
[7] セラミックヒータ(164)の駆動方法において、前記電子部品がガスセンサ(10)である。すなわち、ガスセンサ(10)に適用することで、ヒータ駆動に伴う劣化が抑制できる。しかも、ヒータ抵抗値の上昇率が4[%]未満に抑えられる。
【0111】
[8] ガスセンサ(10)は、通電により発熱部(165)が700[℃]以上、950[℃]未満で加熱されるセラミックヒータ(164)であって、且つ、前記発熱部(165)への通電波形がパルス波形であり、前記パルス波形のパルス電圧[V]と周期[ms]との積が600[V・ms]以下であるセラミックヒータ(164)を有する。これにより、ガスセンサ(10)におけるヒータ駆動に伴う劣化が抑制できる。しかも、ヒータ抵抗値の上昇率が4[%]未満に抑えられる。
【0112】
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【符号の説明】
【0113】
10…ガスセンサ 12…センサ素子
14…保護カバー 16…セラミックハウジング
18…センサ組立体 20…金属端子
22…コネクタ 24…配管
50、172…リード線 52…弾性絶縁部材
80…ガス導入口 98…基準ガス導入空間
100…大気導入層 102…基準電極
110…主ポンプセル 112…内側ポンプ電極
114…外側ポンプ電極 124…補助ポンプセル
126…補助ポンプ電極 134…測定電極
140…測定用ポンプセル 122、132、144、152…可変電源
160…ヒータ部 162…ヒータコネクタ電極
164…セラミックヒータ 165…発熱部
166…スルーホール 168…ヒータ絶縁層
170…圧力放散孔 180…リード部
200…ヒータ電源 202…ヒータ電流取得部
204…ヒータ電圧取得部 206…ヒータ制御部
1821…直線部 1822…第1接続部
1823…第2接続部 2101、2102…通電用リード
Ih…ヒータ電流
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