(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158975
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】印刷システムの可動支持面における自閉式穴を介した空気流制御並びに関連するデバイス、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B65H 5/22 20060101AFI20221006BHJP
B65H 29/24 20060101ALI20221006BHJP
B41J 11/06 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B65H5/22 C
B65H29/24 B
B41J11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034853
(22)【出願日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】17/218,925
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エム.・バルタサル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・パトリック・ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】エメット・ジェームズ・スペンス
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・チエン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】メーガン・ジエレンスキ
【テーマコード(参考)】
2C058
3F049
【Fターム(参考)】
2C058AB17
2C058AC07
2C058DA13
2C058DA38
3F049AA01
3F049BA04
3F049FB04
3F049FC08
3F049FC17
3F049FC21
3F049LA01
3F049LB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】信頼できる方法で、かつ印刷及び輸送の速度を維持しながら、最終的な印刷媒体製品のにじみの出現を低減する。
【解決手段】印刷システムは、インク堆積アセンブリ及び媒体輸送アセンブリを備える。インク堆積アセンブリは、インク堆積アセンブリの堆積領域に印刷流体を排出するように配設された印刷ヘッドを備える。媒体輸送アセンブリは、真空源及び可動支持面を備える。可動支持面は、媒体支持面を通る穴を有する弁を備える。媒体輸送アセンブリは、弁を通して真空源から連通される真空吸引によって、可動支持面に対して1つ以上の印刷媒体を保持するように構成されている。弁は各々、それぞれの弁の穴を通る空気流が妨げられる閉状態と、それぞれの弁の穴を通る空気流が許容される開状態との間で移行するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムであって、
インク堆積アセンブリであって、前記インク堆積アセンブリの堆積領域に印刷流体を排出するように配設された印刷ヘッドを含むインク堆積アセンブリと、
真空源と、可動支持面と、を含む媒体輸送アセンブリであって、前記可動支持面が、前記媒体支持面を通る穴を有する弁を含み、前記媒体輸送アセンブリが、前記真空源から弁を通して連通される真空吸引によって、前記可動支持面に対して1つ以上の印刷媒体を保持するように構成されている、媒体輸送アセンブリと、を備え、
前記弁が各々、前記それぞれの弁の前記穴を通る空気流が妨げられる閉状態と、前記それぞれの弁の前記穴を通る空気流が許容される開状態との間で移行するように構成されている、印刷システム。
【請求項2】
前記弁が、前記閉状態に向かって付勢されている、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記弁の各々は、前記印刷媒体のうちの1つが前記それぞれの弁の上方の場所で前記可動支持面に対して保持されている条件で、前記それぞれの弁を前記閉状態に向かって付勢する付勢力への打ち勝ちが起こるように構成されている、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記弁の各々は、前記印刷媒体のいずれも前記それぞれの弁の上方に配置されていない条件で、前記それぞれの弁を前記閉状態に向かって付勢する付勢力が前記弁を前記閉状態に移動させるか、又は前記閉状態に留まらせるように構成されている、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記弁の各々が、可撓性リードを含み、前記可撓性リードは、前記リードが前記それぞれの弁の前記穴を通る空気流を許容する開位置と、前記リードが前記それぞれの弁の前記穴を通る空気流を遮断する閉位置との間で可動である、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記弁の各々は、前記真空源からの真空吸引が前記それぞれの弁の前記穴を経由して、前記可撓性リードを前記閉位置に向かって付勢する付勢力に寄与し、それによって前記弁を前記閉状態に付勢する吸引力を前記可撓性リードに生成するように構成されている、請求項5に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記弁の各々は、前記それぞれの弁が前記開状態にあり、前記印刷媒体のいずれによっても覆われていない条件で、前記付勢力が前記可撓性リードを前記閉位置に移動させて、前記それぞれの弁を前記閉状態に移行させるように構成されている、請求項6に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記弁の各々は、前記それぞれの弁が前記開状態にあり、前記印刷媒体のうちの1つによって覆われている条件で、前記真空源からの前記真空吸引が前記印刷媒体を前記可撓性リードに対して付勢し、その結果、前記印刷媒体が前記可撓性リードを前記開位置に向かって付勢する第2の力を前記可撓性リードに加えるように構成されている、請求項6に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記弁の各々は、前記それぞれの弁が前記開状態にあり、前記印刷媒体のうちの1つによって覆われている条件で、前記第2の力が前記付勢力に打ち勝ち、かつ前記可撓性リードを前記開位置に保持するのに十分であるように構成されている、請求項8に記載の印刷システム。
【請求項10】
印刷システムであって、
前記媒体輸送アセンブリは、ローラであって、前記弁が前記ローラを通過して移動するときに前記弁と係合するように配設されたローラを更に含み、前記ローラと前記弁のうちの1つとの係合が、前記弁を開状態に移行させる、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項11】
前記媒体輸送アセンブリが、前記可動支持面を支持する真空プラテンを含み、前記真空プラテンが、前記真空吸引を前記可動支持面と連通させるプラテン穴を含み、
前記可動支持面が、前記真空プラテンの表面上を移動するように構成されたベルトを含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項12】
前記弁の各々は、前記それぞれの弁が前記印刷媒体のうちの1つによって覆われているかどうかに基づいて、前記開状態と前記閉状態との間で受動的に作動されるように構成されている、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項13】
前記弁の各々は、前記それぞれの弁が前記印刷媒体のいずれによっても覆われていない条件で、前記閉状態に受動的に作動されるように構成されている、請求項12に記載の印刷システム。
【請求項14】
前記弁の各々は、前記開状態に置かれた後、前記それぞれの弁が前記印刷媒体のうちの1つによって覆われている条件で、前記開状態に留まるように構成されている、請求項12に記載の印刷システム。
【請求項15】
印刷システムのための可動支持面であって、
可撓性ベルトと、
前記可撓性ベルトを通して真空吸引を連通させて、前記可動支持面によって輸送されている印刷媒体を前記可撓性ベルトに対して保持するように、前記可撓性ベルトに配設された複数の弁と、を備え、
前記弁は、前記真空吸引が前記それぞれの弁を通して連通される開状態と、前記真空吸引が前記それぞれの弁を通して遮断される閉状態との間で移行するように構成されている、可動支持面。
【請求項16】
前記弁の各々が、可撓性リードを含み、前記可撓性リードは、前記リードが前記それぞれの弁の前記穴を通る空気流を許容する開位置と、前記リードが前記それぞれの弁の前記穴を通る空気流を遮断する閉位置との間で可動である、請求項15に記載の可動支持面。
【請求項17】
前記弁の各々が、前記可撓性リードを前記閉位置に付勢するように構成されている、請求項16に記載の可動支持面。
【請求項18】
前記可撓性リードは、前記可撓性リードが前記閉位置にあるときに、前記可動支持面の上表面より上に延在するように構成された突出部を含む、請求項16に記載の可動支持面。
【請求項19】
前記弁の各々は、真空吸引が前記弁の下方の領域に供給される条件で、前記真空吸引が前記リードを前記閉位置に付勢する付勢力を前記リードに生成するように構成されている、請求項16に記載の可動支持面。
【請求項20】
方法であって、
印刷システムの媒体輸送アセンブリの可動支持面上に印刷媒体を乗せることと、
前記可動支持面の弁を通した真空吸引を介して、前記可動支持面に対して前記印刷媒体を保持することと、
前記弁のうちの前記印刷媒体によって覆われている前記弁を、前記印刷媒体と前記弁との相互作用を介して、前記真空吸引が前記それぞれの弁を通して遮断される閉状態から、前記真空吸引が前記それぞれの弁を通して許可される開状態に移行させることと、
前記可動支持面を介して、前記印刷システムの印刷ヘッドの堆積領域を通して、プロセス方向に前記印刷媒体を輸送することと、
印刷流体を前記印刷ヘッドから排出して、前記堆積領域において前記印刷流体を前記印刷媒体に堆積させることと、を含む、方法。
【請求項21】
前記弁のうちの前記印刷媒体によって覆われている前記弁を前記閉状態から前記開状態に移行させることが、ローラによって前記印刷媒体を前記弁に対して押圧することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記弁のうちの前記印刷媒体によって覆われている前記弁を、前記ローラによる前記弁に対する前記印刷媒体の前記押圧後に、前記それぞれの弁を通して連通される真空吸引によって、前記開状態に留まらせることを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記弁のうちの前記印刷媒体によって覆われていない前記弁を、ローラと前記弁との相互作用を介して、前記閉状態から前記開状態に移行させることを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記弁のうちの前記印刷媒体によって覆われていない前記弁を、前記ローラとの前記相互作用後に、付勢力によって前記開状態から前記閉状態に移行させることを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記真空吸引に少なくとも部分的によって、前記付勢力を生成することを更に含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、概してインクジェット印刷に関し、より具体的には、印刷媒体を保持し、かつ輸送するために真空吸引を利用する媒体輸送アセンブリを有するインクジェット印刷システムに関する。関連するデバイス、システム及び方法も開示される。
【背景技術】
【0002】
いくつかの用途では、インクジェット印刷システムは、1つ以上の印刷ヘッドを有するインク堆積アセンブリと、インク堆積アセンブリのインク堆積領域(例えば、印刷ヘッドの下の領域)を通して印刷媒体(例えば、用紙、封筒又はインクでの印刷に好適な他の基材などの基材)を移動させるための媒体輸送アセンブリと、を使用する。インクジェット印刷システムは、媒体が堆積領域を通過するときに、印刷ヘッドから媒体上にインクを排出することによって、印刷媒体上に印刷画像を形成する。いくつかのインクジェット印刷システムでは、媒体輸送アセンブリは、真空吸引を利用して、輸送デバイスの可動支持面(例えば、コンベヤベルト、回転ドラムなど)に対する印刷媒体の保持を支援する。支持面に対して印刷媒体を保持するための真空吸引は、真空源(例えば、ファン)と、印刷媒体を支持する側とは反対側の可動支持面の側に真空源を流体的に結合する真空プレナムと、を使用して達成することができる。真空源は、真空プレナム内に真空状態をつくり、真空プレナムに流体的に結合された可動支持面の穴を通した真空吸引を引き起こす。印刷媒体が可動支持面上に導入されると、真空吸引は、印刷媒体を可動支持面に対して保持する吸引力を生成する。真空吸引を利用する媒体輸送アセンブリは、印刷媒体が、インク堆積アセンブリの下のインク堆積領域を通って輸送される間、滑りを伴わずに所定の位置にしっかりと保持されることを可能にし、それによって、印刷ヘッドに対する印刷媒体の正確な位置付け、つまりより正確な印刷画像を確実にするのに役立ち得る。真空吸引はまた、印刷媒体が、インク堆積領域を通過するときに平坦に保持されることを可能にし得、これはまた、印刷画像の精度を高めるのに役立つだけでなく、印刷媒体の一部がインク堆積アセンブリの一部が上昇し、インク堆積アセンブリの一部に当たり、ジャム又は損傷を潜在的に引き起こすことを防ぐのにも役立ち得る。
【0003】
真空吸引を利用する媒体輸送アセンブリを含むインクジェット印刷システムで生じ得る1つの問題は、真空吸引によって誘発される気流から生じる画像の意図しないにじみである。いくつかのシステムでは、そのようなにじみは、印刷媒体の縁の近くにある印刷画像の部分、特に印刷媒体の輸送方向(プロセス方向と呼ばれることもある)の前縁部又は後縁部に近い部分で発生し得る。印刷ジョブ中、印刷媒体は、インク堆積アセンブリの堆積領域を通して輸送されるとき、可動支持面上で互いに離間されおり、したがって、隣接する印刷媒体間の可動支持面の部分は、いかなる印刷媒体によっても覆われていない。隣接する印刷媒体間のこの領域は、本明細書では、媒体間ゾーンと呼ばれる。したがって、媒体間ゾーンにおける各印刷媒体の前縁部及び後縁部の両方に隣接して、可動支持面には覆われていない穴がある。これらの穴は覆われていないため、真空プレナムの真空は、それらの覆われていない穴を通って流れるように空気を誘導する。この空気流は、インク液滴が印刷ヘッドから基材に移動するときに、インク液滴を偏向させ、したがって、画像のにじみを引き起こす可能性がある。
【0004】
インクジェット印刷システムにおける液滴の配置の精度を改善し、最終的な印刷媒体製品のにじみの出現を低減する必要性が存在する。効率的なインクジェット印刷システムを提供するために、信頼できる方法で、かつ印刷及び輸送の速度を維持しながら、にじみの問題に対処する必要性が更に存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、上述の問題のうちの1つ以上を解決することができ、かつ/又は上述の望ましい特徴のうちの1つ以上を実証し得る。他の特徴及び/又は利点は、以下の説明から明らかになり得る。
【0006】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、印刷システムは、インク堆積アセンブリ及び媒体輸送アセンブリを備える。インク堆積アセンブリは、インク堆積アセンブリの堆積領域に印刷流体を排出するように配設された印刷ヘッドを備える。媒体輸送アセンブリは、真空源及び可動支持面を備える。可動支持面は、媒体支持面を通る穴を有する弁を備える。媒体輸送アセンブリは、弁を通して真空源から連通される真空吸引によって、可動支持面に対して1つ以上の印刷媒体を保持するように構成されている。弁は各々、それぞれの弁の穴を通る気流が妨げられる閉状態と、それぞれの弁の穴を通る空気流が許容される開状態との間で移行するように構成されている。
【0007】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、印刷システムのための可動支持面は、可撓性ベルトと、可撓性ベルトを通して真空吸引を連通させて、可動支持面によって輸送されている印刷媒体を可撓性ベルトに対して保持するように、可撓性ベルトに配設された複数の弁と、を備える。弁は、真空吸引がそれぞれの弁を通して連通される開状態と、真空吸引がそれぞれの弁を通して遮断される閉状態との間で移行するように構成されている。
【0008】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、方法は、印刷システムの媒体輸送アセンブリの可動支持面上に印刷媒体を乗せることと、可動支持面の弁を通した真空吸引を介して、可動支持面に対して印刷媒体を保持することと、を含む。方法は、弁のうちの印刷媒体によって覆われている弁を、印刷媒体と弁との相互作用を介して、真空吸引がそれぞれの弁を通して遮断される閉状態から、真空吸引がそれぞれの弁を通して許可される開状態に移行させることを更に含む。方法は、可動支持面を介して、印刷システムの印刷ヘッドの堆積領域を通して、プロセス方向に印刷媒体を輸送することと、印刷流体を印刷ヘッドから排出して、堆積領域において印刷流体を印刷媒体に堆積させることと、を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示は、単独で又は添付の図面と一緒に、以下の詳細な説明から理解され得る。図面は、本開示の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本教示の1つ以上の実施形態を示し、説明とともに、特定の原理及び動作を説明する。
【0010】
【
図1A】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
【
図1B】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
【
図1C】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
【
図1D】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
【
図1E】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
【
図1F】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
【
図1G】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
【
図1H】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
【
図1I】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
【
図1J】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
【
図1K】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
【
図1L】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
【0011】
【
図2】空気流制御システムを含むインクジェット印刷システムの実施形態の構成要素を示すブロック図を含む。
【0012】
【
図3】インクジェット印刷システムの一実施形態のインク堆積アセンブリ及び媒体輸送アセンブリの概略図である。
【0013】
【
図4】弁を有する可動支持面の実施形態の上方からの平面図である。
【0014】
【
図5A】断面が
図4のAに沿って取られた、
図4の可動支持面の断面図である。
【
図5B】断面が
図4のAに沿って取られた、
図4の可動支持面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書の図面及び説明において、「_1」、「_2」などの数値インデックスは、いくつかの構成要素の参照番号の後に付加される。複数の同様の構成要素があり、それらの構成要素のうちの特定の1つを指すことが望ましい場合、同じ基準参照番号が使用され、異なるインデックスがそれに付加されて個々の構成要素を区別する。しかしながら、特定のものを区別する必要なしに、構成要素が一般的又は集合的に参照される場合、インデックスは、基準参照番号から省略され得る。したがって、一例として、
図1Aのように、印刷媒体5のうちの特定の1つを識別することが所望される場合、印刷媒体5は、第1の印刷媒体5_1とラベル付けされ、かつ呼ばれてもよいが、複数の印刷媒体5を区別することが所望されない他の場合には、単に印刷媒体5とラベル付けされ、かつ呼ばれることもある。
【0016】
上述のように、媒体間ゾーンが印刷ヘッドの近く又は下にあるとき、媒体間ゾーン内の覆われていない穴は、サテライト液滴をコース外に吹き飛ばし、画像のにじみを引き起こし得る横断流をつくる可能性がある。同様に、印刷媒体のインボード側又はアウトボード側に沿った覆われていない穴もまた、画像のにじみを引き起こす横断流をつくる可能性がある。にじみの問題を生じさせる現象のうちのいくつかをよりよく説明するために、
図1A~
図1Fに言及する。
図1A、
図1D、
図1G及び
図1Jは、それぞれ印刷媒体5の後縁部TE、前縁部LE、インボード縁部及び中央付近の印刷媒体5上に印刷する印刷ヘッド10を概略的に示す。
図1A、
図1D及び
図1Jは、プロセス方向(図中のy軸方向)に沿って印刷ヘッド10を通して取られた断面である一方、
図1Gは、プロセス方向に垂直なクロスプロセス方向(図のx軸方向)に沿って同じ印刷ヘッド10を通して取られた断面であり、
図1Gの図は、1つが他の2つからオフセットされた状態で、x方向に沿って直列に3つの印刷ヘッドを有する実施形態を示す。
図1B、1E、1H及び1Kは、
図1A、AD、1B、及び1Jの領域A、B、C及びDの拡大図をそれぞれ示す。
図1C、1F、1I及び1Lは、印刷画像の拡大写真を示し、印刷画像は、それぞれ用紙の後縁部TE、前縁部LE、インボード縁部、及び中央付近に印刷された線を含む。
【0017】
図1A、
図1D、
図1G及び
図1Jに示されるように、インクジェット印刷システムは、キャリアプレート11において印刷ヘッド開口部19を通してインクを印刷媒体5に排出するための1つ以上の印刷ヘッド10を備える。インクジェット印刷システムはまた、図中のy軸正方向に対応するプロセス方向Pに印刷媒体5を輸送するための可動支持面20を備える。可動支持面20は、真空プラテン26の上部に沿って摺動し、プラテン26の底部側に真空環境が提供される。可動支持面20は、穴21を有し、真空プラテン26は、プラテン穴27を有する。穴21及び27は、可動支持面20が移動すると周期的に整列し、それによって可動支持面20の上方の領域をプラテン26の下方の真空に曝す。印刷媒体5が穴21を覆う領域では、整列した穴21及び27を通る真空吸引が、可動支持面20に対して印刷媒体5を保持する力を生成する。しかしながら、これらの覆われた穴21及び27は、印刷媒体5によって遮断されるため、覆われた穴21及び27には、可動支持面20の上方の環境から空気がほとんど又は全く引き込まれない。一方、
図1A、
図1D及び
図1Gに示されるように、媒体間ゾーン22(
図1A及び
図1D参照)並びにプラテン26のインボード側IB付近の覆われていない領域24(
図1G参照)において、穴21及び27は、印刷媒体5によって覆われておらず、したがって、真空吸引は、これらの穴21及び27を通って下方に流れるように、空気を可動支持面20の上から引っ張る。これは、
図1A、
図1D及び
図1Gの破線矢印によって示される空気流を生成し、空気流は、媒体間ゾーン22及び覆われていない領域24において、印刷ヘッド10の周りの領域から覆われていない穴21及び27に向かって流れ、空気流の一部が、印刷ヘッド10の下を通過する。
【0018】
図1Aでは、印刷媒体5_1は、その後縁部TEの付近に印刷され、したがって、インクが現在排出されている領域(「インク排出領域」)(例えば、
図1Aの領域A)は、媒体間ゾーン22の下流(上流及び下流は、プロセス方向Pに対して画定されている)に位置する。したがって、媒体間ゾーン22に向かって吸い込まれる空気の一部は、印刷ヘッド10の下のインク排出領域を通って上流に流れる。より具体的には、媒体間ゾーン22からの真空吸引は、媒体間ゾーン22のすぐ上の領域、例えば、
図1Aの領域R
1の圧力を低下させ、一方、印刷ヘッド10の下流の領域、例えば、
図1Aの領域R
2は、より高い圧力で留まる。この圧力勾配により、空気が領域R
2から上流方向に領域R
1へと流れ、空気流が、領域R
1と領域R
2との間にあるインク排出領域(例えば、
図1Aの領域A)の一部分を横切る。インク排出領域を横切るこれらのような空気流は、本明細書では横断流15と呼ばれる。
図1Aでは、横断流15は上流に流れているが、他の状況では、横断流15は異なる方向に流れ得る。
【0019】
図1Aの領域Aの拡大図を含む
図1Bの拡大
図A’に示されるように、インクが印刷ヘッド10から媒体5に向かって排出されるときに、メイン液滴12及びサテライト液滴13が形成される。サテライト液滴13は、メイン液滴12よりもはるかに小さく、質量及び運動量が少なくなり、したがって、上流の横断流15は、メイン液滴12よりもサテライト液滴13に影響を及ぼす傾向にある。したがって、メイン液滴12は、横断流15に関係なく、それらの意図された堆積場所16の付近で印刷媒体5上に着弾し得るが、横断流15は、サテライト液滴13を意図された軌道から押し出す可能性があり、その結果、サテライト液滴13は、媒体5上の意図しない場所17に着弾し、意図しない場所17は、意図しない場所16から変位される。そのような横断流及び結果として生じる誤配置された液滴の結果は、
図1Cの実際の印刷画像に見ることができ、ここでは、意図された印刷ラインに対応するより密度の高い印刷ドットの領域16’は、主にそれらの意図された場所で堆積された液滴(例えば、概してメイン液滴12)によって形成され、一方、ラインから離れて分散されたより疎なドットの領域17’は、意図された場所から離れて吹き付けられ、意図しない場所に着弾した液滴(例えば、概して、サテライト液滴13)によって形成される。結果として生じる画像は、印刷ラインに対してにじんだ又は汚れた外観を有する。特に、
図1Cのにじみは、後縁部TEに向かって非対称的に付勢され、これは、主に上流方向に吹き付ける後縁部TE付近の横断流15の予想された結果であろう。媒体間ゾーン22はまた、下流の空気流などの他の方向に流れる他の空気流を、印刷ヘッド10の上流側から誘導してもよいが、これらの他の空気流は、インクが示されているシナリオで現在排出されている領域を通過しないため、画像のにじみに寄与しない。インク排出領域を横切るこれらの空気流のみが、本明細書では横断流と呼ばれる。
【0020】
図1D~
図1Fは、そのようなにじみが発生する別の状況を概略的に示すが、この時間は印刷媒体5_2の前縁部LEに近い。前縁部LEの付近で印刷する場合に、インク排出領域が、ここで媒体間ゾーン22の上流に位置することを除いて、前縁部LEの付近のにじみの原因は、後縁部TEに関連して上述したものと同様である。結果として、インク排出領域を横切る横断流15は、ここで、印刷ヘッド10の上流側から、例えば、領域R
3から発生し、領域R
4の下流に流れる。したがって、
図1Dの領域Bの拡大図を含む
図1Eの拡大
図B’に示されるように、印刷媒体5_2の前縁部LEの付近で印刷する場合に、サテライト液滴13は、印刷媒体5_2の前縁部LEに向かって下流(y軸の正の方向)に吹き付けられて、意図しない場所17に着弾し、メイン液滴12は、意図された場所16又はその付近に着弾する傾向にある。
図1Fに示されるように、そのような効果は、印刷媒体の前縁部LEに向かって付勢される非対称のにじみをもたらす(すなわち、ラインに対応する印刷ドットのより高密度の領域16’は、前縁部LEに向かってラインから離れた印刷ドットのより疎な領域17’と形成される)。
【0021】
図1G~
図1Iは、そのようなにじみが発生する可能性がある更に別の状況を示すが、この場合は、その領域における覆われていない穴21、27による印刷媒体5のインボード縁部IEの付近である。インボード縁部IEの付近で印刷する場合に、インク排出領域が、ここで可動支持面20及びプラテン26における穴21及び27の覆われていない領域24のアウトボードに位置することを除いて、インボード縁部IE付近のにじみの原因は、後縁部TE及び前縁部LEに関連して上述したものと同様である。結果として、インク排出領域を横切る横断流15は、ここで、印刷ヘッド10のアウトボード側から、例えば、領域R
5から発生し、領域R
6に向かってインボード方向に流れる。したがって、
図1Gの領域Cの拡大図を含む
図1Hの拡大
図C’に示されるように、インボード縁部IEの付近で印刷する場合に、サテライト液滴13は、印刷媒体5のインボード縁部IEに向かってインボード(y軸の正の方向)に吹き付けられて、メイン液滴12が着弾する意図された場所16ではなく、意図しない場所17に着弾する。
図1Iに示すように、そのような横断流パターンは、インボード縁部IEに向かって付勢される非対称のにじみをもたらすことが予想される(すなわち、ラインに対応する印刷ドットのより密度の高い領域16’は、インボード縁部IEに向かってラインから離れた印刷ドットのより疎な領域17’と形成される)。
【0022】
対照的に、
図1J及び
図1Jの領域Dの拡大図に対応する
図1Kの拡大
図D’に示されるように、
図1Kの拡大
図D’は、印刷媒体105の縁部(後、前又はインボード)からより遠くに印刷するときに、媒体間ゾーン22及び覆われていない領域24がはるかに離れた空気流を誘導するには離れすぎているため、空気流15がほとんど又は全くない場合がある。横断流15は、印刷媒体5の縁部から離れると、存在しないか又は弱いため、この領域におけるサテライト液滴13は、コースを逸れ吹き付けられる可能性が高い。したがって、
図1K及び
図1Lに示すように、印刷媒体5の縁部からより遠くに印刷するときに、サテライト液滴は、意図された場所16又は意図された場所16にはるかに近い場所18に着弾し、より少ない画像のにじみをもたらす。サテライト液滴の堆積場所18は、サテライト液滴13に影響を与える他の要因に起因して、意図された場所16からやや変化し得るが、偏差は、前縁部又は後縁部の付近にあるよりも小さい。
図1Lは、
図1J及び
図1Kのような状況の結果として得られる画像を示しており、これは、意図された場所16’で着弾する液滴を提示する印刷ラインを示し、いくつかの液滴は、場所18’の意図された場所16’に十分近くに着弾する。結果として得られた画像は、ラインの著しく顕著なにじみ又は汚れの外観を示さない。
【0023】
本明細書に開示される実施形態は、とりわけ、発生し得る結果として生じる画像のにじみを低減するために、横断流の一部を阻害し得る。横断流を抑制することによって、印刷ヘッドから排出された液滴(例えば、サテライト液滴を含む)は、それらの意図された堆積場所のより近くか、又はそれらの意図される堆積場所に着弾する可能性がより高くなる。様々な実施形態によれば、空気流制御システムは、可動支持面に配設されたいくつかの弁を備え、各弁は、可動支持面を通して真空吸引を連通させる閉鎖可能な穴又は通路を形成する。各弁は、印刷媒体が弁の上方に位置するかどうかに基づいて、対応する穴を開閉するように配設される。弁は、印刷媒体によって覆われていないときに穴を閉鎖し、逆に印刷媒体で覆われているときに穴を開放するように付勢される。例えば、いくつかの実施形態では、弁は各々、穴を通る空気流を遮断しない開位置と、穴を通る空気流を遮断する閉位置との間で可動である付勢閉鎖機構(例えば、可撓性リード)を備え得る。弁は、閉鎖機構を閉位置に向かって(例えば、閉鎖機構内部の真空吸引及び/又はばね力によって)付勢するように構成され、その結果、印刷媒体が弁の上方に位置していないときに、閉鎖機構は、閉位置への付勢によって移動される。弁は、印刷媒体が弁の上方にあるときに、印刷媒体との相互作用によって閉鎖機構が開位置に保持されるように更に構成されている。特に、穴を通る真空吸引は、印刷媒体をリードに対して下向きに引っ張り、リードを開位置に向かって押圧し、リードを閉位置に付勢する付勢力に打ち勝つ。このようにして、可動支持面は、能動制御又は電動アクチュエータを必要とせずに(例えば、付勢要素によって、また、真空吸引と印刷媒体との相互作用によって)、所望の状態に受動的に作動される弁によって、任意の覆われていない穴を通る吸引を自動的に妨げるように構成されている。覆われていない穴を通る吸引が妨げられると、そのような覆われていない穴によって誘導されている横断流が低減されるか、又は排除される。印刷媒体の後縁部、前縁部及び/又は横方向縁部(アウトボード縁部及び/又はインボード縁部)付近の横断流が低減されるか、又は排除され、(サテライト液滴を含む)インク液滴は、それらの意図された堆積場所又はそのより付近に着弾する可能性が高く、したがって、印刷媒体のその縁部付近のにじみの量が低減される。
【0024】
ここで
図2を参照すると、印刷システムの実施形態がより詳細に説明される。
図2は、上述の空気流制御システムを利用する印刷システム100を概略的に示すブロック図である。印刷システム100は、印刷媒体上にインクを堆積させるためのインク堆積アセンブリ101と、印刷媒体をインク堆積アセンブリ101を通して輸送するための媒体輸送アセンブリ103と、印刷システム100の動作を制御するための制御システム130と、を備える。
【0025】
インク堆積アセンブリ101は、1つ以上の印刷ヘッドモジュール102を備える。単純化のために、1つの印刷ヘッドモジュール102が
図2に示されているが、任意の数の印刷ヘッドモジュール102が、インク堆積アセンブリ101に含まれ得る。いくつかの実施形態では、各印刷ヘッドモジュール102は、シアン、マゼンタ、黄色及び黒などの特定のインク色に対応し得る。各印刷ヘッドモジュール102は、インクなどの印刷流体を印刷媒体上に排出して画像を形成するように構成された1つ以上の印刷ヘッド110を備える。
図2では、単純化のために、1つの印刷ヘッド110が印刷ヘッドモジュール102において示されているが、印刷ヘッドモジュール102ごとに任意の数の印刷ヘッド110が含まれ得る。印刷ヘッドモジュール102は、本明細書ではキャリアプレート111と呼ばれ得る底壁を含む1つ以上の壁を備え得る。キャリアプレート111は、印刷ヘッド開口部119を備え、印刷ヘッド110は、印刷ヘッド開口部119を通してインクを排出するように配設されている。いくつかの実施形態では、キャリアプレート111は、印刷ヘッド110を支持する。他の実施形態では、印刷ヘッド110は、他の構造によって支持される。印刷ヘッドモジュール102はまた、当技術分野で知られているように、インク供給ライン、インクリザーバ、電気接続などの印刷ヘッド110の動作を支持し、かつ容易にするための追加の構造及びデバイスを含み得る。
【0026】
図2に示すように、媒体輸送アセンブリ103は、可動支持面120と、真空プレナム125と、真空源128と、媒体乗せ/整合デバイス155と、を備える。可動支持面120は、インク堆積アセンブリ101の堆積領域を通して印刷媒体を輸送する。真空プレナム125は、真空源128から可動支持面120の一方の側(例えば、底部側)に真空吸引を供給し、印刷媒体は、可動支持面120の反対側(例えば、上側)に支持される。可動支持面120における弁122は、対応する弁が開状態にあるときに、表面120を通して真空吸引を連通させることができる穴121を備える。穴121を通して連通される真空吸引は、表面120に対して印刷媒体を押し下げることができる。媒体乗せ/整合デバイス155は、印刷媒体を可動支持面120上に乗せ、様々な整合データムに対して印刷媒体を整合する。
【0027】
可動支持面120は、インク堆積アセンブリ101に対して可動であり、したがって、可動支持面120が移動するときに、可動支持面120に対して保持された印刷媒体は、インク堆積アセンブリ101に対して輸送される。具体的には、可動支持面120は、インク堆積アセンブリ101の堆積領域を通して印刷媒体を輸送し、堆積領域は、印刷流体(例えば、インク)が印刷ヘッド110の下の領域などの印刷媒体上に排出される領域である。可動支持面120は、インク堆積アセンブリ101に対して移動するように駆動されることができ、真空吸引が、ベルト、ドラムなどの印刷媒体を押し下げることを可能にする穴121を有する任意の構造を備えることができる。
【0028】
上記のように、可動支持面は、弁122を備え、各弁122は、穴121を備える。穴121は、可動支持面120の下方の領域を可動支持面120の上方の領域に流体的に結合することができる可動支持面120を通る通路を備える。穴121は、対応する弁122の閉鎖機構を通して開閉可能である。弁122は、印刷媒体によって覆われているかどうかに基づいて、開状態と閉状態との間で移行するように構成されている。弁122の開状態では、真空吸引は、関連付けられた穴121を通して可動支持面の上方の領域に連通されるが、弁の閉状態では、穴121を通る空気流が遮断され、真空吸引は、穴121を通して可動支持面の上方の領域まで連通されない。穴121が印刷媒体によって覆われていないときに、各弁122は閉状態に付勢される。一方、印刷媒体が穴121の上に位置するときに、関連付けられた弁122は、穴121を通る空気流が許容される(したがって、プレナム125からの真空吸引が穴121を通して連通される)開状態に保持される。印刷媒体の下に位置する弁122は、印刷媒体との相互作用によって開状態に保持される。いくつかの実施形態では、弁122のうちのすべては、例えば、弁122の上方に設置された印刷媒体との接触及び/又はローラ(
図3の実施形態に対して更に下方に示されている)との接触を介して、外部から加えられた力によって開状態に初期化され、次いで、弁122のうちの印刷媒体によって覆われている弁は、弁122の上方に位置する印刷媒体との相互作用によって開状態に保持され、一方、弁122のうちの印刷媒体によって覆われていない弁は、付勢力に起因して閉状態に戻って移行する。
【0029】
弁122の各々は、印刷媒体がそれぞれの弁122の上方に位置していないときに閉状態に付勢されるため、吸引は、期せずして印刷媒体によって覆われていない任意の穴121を通して自動的に妨げられる。覆われていない穴121を通る吸引が妨げられると、そのような覆われていない穴121によって誘導された横断流が低減されるか、又は排除される。したがって、印刷媒体の縁部付近の画像のにじみが低減される。
【0030】
真空プレナム125は、バッフル、壁、又は真空状態(例えば、低圧状態)が真空源128によって維持される環境を取り囲むか、又は画定するように配設された任意の他の構造を備え、プレナム125は、可動支持面120が真空プレナム125内の真空状態に曝されるように、真空源128を可動支持面120に流体的に結合する。いくつかの実施形態では、可動支持面120は、真空プレナム125の頂壁であり得る真空プラテン126によって支持される。そのような実施形態では、可動支持面120は、真空プラテン126を通るプラテン穴127を介して、プレナム125における真空に流体的に結合されている。いくつかの実施形態では、可動支持面120はそれ自体、真空プレナム125の壁のうちの1つであり、したがって、プレナム125における真空に直接曝される。真空源128は、プレナム125から空気を除去して、ファン、ポンプなどのプレナム125において低圧状態を作成するように構成された任意のデバイスであり得る。
【0031】
上記のように、当業者によく知られているように、媒体乗せ/整合デバイス155は、印刷媒体を可動支持面120上に乗せ、様々な整合データムに対して印刷媒体を整合する。例えば、各印刷媒体が可動支持面120上に乗せられ、各印刷媒体の1つの縁部が、プロセス方向に延在するプロセス方向の整合データム(例えば、
図1Gの整合データムReg)に整合され(すなわち、それと整列され)得る。本明細書では、プロセス方向整合データムに最も近い媒体輸送アセンブリ103の側は、媒体輸送アセンブリ103のアウトボード側と呼ばれ、このデータムに整合される縁部は、アウトボード縁部と呼ばれ、デバイスの反対側は、インボード側と呼ばれ、反対側の縁部は、インボード縁部と呼ばれる。実際には、整合データムは、媒体輸送アセンブリ103の両側に位置することができ、したがって、アウトボード側とみなされる媒体輸送アセンブリ103の側は、印刷媒体が期せずして整合されるのに応じて、システムからシステムに(又は同じシステム内の時間から時間に)変化する。加えて、印刷媒体の前縁部及び/又は後縁部は、印刷媒体がその上に乗せられるときに、可動支持面120に沿って様々なクロスプロセスデータムに整合され得る。したがって、各印刷媒体をプロセス方向整合データム及びクロスプロセス整合データムのうちの1つに整合することによって、可動支持面120に対する印刷媒体の正確な場所及び配向が実施され、印刷媒体上の画像の正確な印刷を可能にすることができる。可動支持面上に印刷媒体を乗せ、可動支持面に対して印刷媒体を整合するための様々な媒体乗せデバイスは、当該技術分野で既知であり、既存の印刷システムで使用される。任意の既存の媒体乗せデバイス又は任意の新しい媒体乗せデバイスを、媒体乗せ/整合デバイス155として使用することができる。そのような媒体整合デバイスの構造及び機能は、当該技術分野で周知であるため、そのようなシステムの更なる詳細な説明は省略される。
【0032】
制御システム130は、印刷システム100の動作を制御するための処理回路を備える。処理回路は、本明細書に記載の様々な動作を実行するための論理で構成された1つ以上の電子回路を含み得る。電子回路は、回路によって実行可能な様々な動作を実行するソフトウェア命令、又はそれらの任意の組み合わせを含むことにより、様々な動作を実行するように構成された専用ハードウェアを含むことによって、動作を実行するための論理で構成され得る。論理がソフトウェア命令を含む例では、処理回路の電子回路は、ソフトウェアを記憶するメモリデバイスと、例えば、プロセッサ、プロセッサコア、中央処理ユニット(central processing unit、CPU)、コントローラ、マイクロコントローラ、システムオンチップ(system-on-chip、SoC)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、グラフィックス処理ユニット(graphics processing unit、GPU)などの命令を実行することができる1つ以上の処理デバイスを備えるプロセッサと、を含む。処理回路の論理が専用ハードウェアを備える例では、プロセッサに加えて、又はプロセッサの代わりに、専用ハードウェアは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)、コンプレックスプログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device、CPLD)、ディスクリート論理回路、ハードウェアアクセラレータ、ハードウェアエンコーダなどの特定の動作を実行するように構成されている任意の電子デバイスを含み得る。処理回路はまた、専用ハードウェア及び汎用ハードウェアのソフトウェアとの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0033】
ここで
図3を参照すると、
図2を参照して上述した印刷システム100として使用され得る印刷システム300の実施形態が説明される。
図3は、側面図からの印刷システム300の一部分を示す概略図を含む。
図3に示すように、印刷システム300は、インク堆積アセンブリ301と、媒体輸送アセンブリ303と、を備え、それらは、インク堆積アセンブリ101及び媒体輸送アセンブリ103としてそれぞれ使用され得る。印刷システム300はまた、制御システム(例えば、制御システム130)などの
図3に示されていない追加の構成要素を備え得る。
【0034】
印刷システム300では、インク堆積アセンブリ301は、
図3に示されるような4つの印刷ヘッドモジュール302を備え、各印刷ヘッドモジュール302は、複数の印刷ヘッド310を有する。印刷ヘッドモジュール302は、印刷媒体305が印刷ヘッドモジュール302の各々の下で順次輸送されるように、媒体輸送アセンブリ303の上方のプロセス方向Pに沿って直列に配設される。印刷ヘッド310は、対応するキャリアプレート311におけるそれぞれ対応する印刷ヘッド開口部319を通して印刷流体(例えば、インク)を排出するように配設されている。一実施形態では、各印刷ヘッドモジュール302は、3つの印刷ヘッド310を有し、印刷ヘッド310は、2つの印刷ヘッド310がクロスプロセス方向に互い内で整列され、第3の印刷ヘッド310が別の2つの印刷ヘッド310から上流又は下流にオフセットされているオフセットパターンで配設されている(
図3では、印刷ヘッド310のうちの1つが、別の印刷ヘッド310によって不明瞭になるので、この図ではモジュール302当たり2つの印刷ヘッド310のみが見える)。他の実施形態では、印刷ヘッド310及び/又は印刷ヘッドモジュール302の異なる数及び/又は配設が使用される。
【0035】
印刷システム300では、媒体輸送アセンブリ303は、可動支持面320を提供する可撓性ベルトを備える。
図3に示すように、可動支持面320は、ローラ329によって駆動されて、ループ状経路に沿って移動し、経路の一部分は、インク堆積アセンブリ301のインク堆積領域323を通過する。加えて、ローラ356が設けられて、印刷媒体を可動支持面320に対して押圧し、それによって、印刷媒体305を可動支持面320に平坦に接着することを容易にし得る。更に、この実施形態では、真空プレナム325は、プレナム325の頂壁を形成し、可動支持面320を支持する真空プラテン326を備える。プラテン326は、プレナム325の内部と可動支持面320の下側との間の流体連通を許容するプラテン穴327を備える。
【0036】
可動支持面320は、
図2の印刷システム100において弁122として使用され得るいくつかの弁322を備える。弁322の各々は、可動支持面320の下方の領域を可動支持面の上の領域に流体的に結合するための穴321と、穴321を開閉するための閉鎖機構と、を備える。したがって、弁322及びそれらのそれぞれの穴321は、開状態及び閉状態を有する。穴321は、各穴321の出口開口部(例えば、印刷媒体を支持する側とは反対側の可動支持面320の底部側)が、対応するプラテン穴327の集合体とプロセス方向(y軸)に整列されるように配設されている。したがって、可動支持面320がプラテン326を横切って移動するときに、各穴321は、対応するプラテン穴327上を周期的に移動し、結果として、穴321及びプラテン穴327が一時的に垂直方向に整列される(すなわち、z軸方向に整列される)。穴321が開状態にあり、対応するプラテン穴327上を移動するときに、穴321及びプラテン穴327は、可動支持面320の上方の環境を真空プレナム325における低圧状態に流体的に結合し、したがって、穴321及びプラテン穴327を通して真空吸引を生成する開放通路を画定する。この吸引は、穴321の上方に設置された印刷媒体305上で真空押さえ力を生成する。穴321が閉状態にあるときに、穴321がプラテン穴327と整列しているかどうかに関係なく、真空吸引がその穴321を通して連通されることが妨げられる。
【0037】
弁322は、上述の弁122と同様に、印刷媒体によって覆われているかどうかに基づいて、開状態と閉状態との間で移行するように構成されている。弁322は、(以下に更に記載される外力によって)開状態に初期化される。以下で更に説明するように、開状態に初期化された後、付勢力により、弁322は、印刷媒体305によって覆われていない場合、開状態から閉状態に自動的に移行する。一方、印刷媒体によって覆われているそれらの弁322は、付勢力に打ち勝つ印刷媒体との相互作用によって開状態に保持される。
【0038】
より具体的には、弁322は、開位置と閉位置との間で可動である閉鎖機構(例えば、可撓性リード)を備え得、閉鎖機構の位置は、弁322の穴321が開状態又は閉状態のいずれであるかを制御する。閉鎖機構は、閉位置に向かって付勢される。閉鎖機構を閉位置に付勢する付勢力は、閉鎖機構がプレナム325からの真空吸引に曝露される結果として、閉鎖機構に加えられる真空吸引力を含み得る。付勢力はまた、閉鎖機構の内部構造力(例えば、ばね力)を含み得る。所与の弁322の上方に印刷媒体がない場合、付勢力に打ち勝つための対向力がないため、閉鎖機構は閉位置に移動される。一方、印刷媒体が所与の弁322の上方に存在するときに、印刷媒体は、閉鎖機構と相互作用して(例えば、閉鎖機構に対して押圧して)、付勢力に打ち勝ち、閉鎖機構を開位置に保持するための対向力を提供する。印刷媒体からの対向力は、開放穴321を介して印刷媒体305に加えられる真空吸引力とともに印刷媒体305の重量を含み得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、弁322の開状態への初期化は、印刷媒体が可動支持面320上に乗せられるときに、印刷媒体の重量が閉鎖機構に対して押圧される結果として生じ得る。そのような実施形態では、印刷媒体の下に期せずして位置する弁322のみが、開状態に初期化され、他の弁は、閉状態に留まり得る。
【0040】
しかしながら、いくつかの実施形態では、印刷媒体305の重量のみでは、閉鎖機構を開位置に移動させるために付勢力に打ち勝つのに不十分である場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、ローラ356(
図3参照)が、弁を開位置に初期化するのを助けるために、追加の外力を提供するために使用される。可動支持面320(及びその上に乗せられている印刷媒体)がローラ356の下を通過するとき、ローラ356は、(直接又は存在する場合は印刷媒体を介して)可動支持面320に対して押圧し、それによって弁322の閉鎖機構に力を加える。閉鎖機構に対して押圧するローラ356によって生成された力は、付勢力に打ち勝つのに十分であり、したがって、閉鎖機構は、弁がローラ356を通過するときに、開位置に移動される。所与の弁322が開位置に初期化されると、上述のように、印刷媒体305が穴321の上方に存在するかどうかに基づいて、開位置に留まるか、又は閉位置に移行する。印刷媒体の下に位置する弁322は、印刷媒体の重量が付勢力に打ち勝つには不十分であるにも関わらず、ローラ356からの押圧力がもはや存在しなくなった後でも、開状態に留まり、穴321がローラ356によって最初に開放されているため、真空プレナムからの真空吸引は、ここで開放穴321を通して弁321の上方の印刷媒体に連通され得、真空吸引は、印刷媒体と相互作用して、印刷媒体を可動支持面に対して引っ張る吸引力を生成する。印刷媒体上のこの吸引力は(印刷媒体の重量と組み合わせて)、付勢力に打ち勝ち、弁を開位置に保持するのに十分である。したがって、ローラ356を通過した直後には、すべての弁322が開放されているが、その後まもなく、印刷媒体によって覆われているすべての穴321は、開状態に留まり、一方で、印刷媒体によって覆われていないすべての穴321は、閉状態321に移行する。
【0041】
弁322は、弁322に関連付けられた穴321を覆う印刷媒体305がない場合に、閉状態に自動的に移動するため、そうでなければそれらの穴321を通して誘発される横断流が妨げられる。したがって、印刷媒体305の縁部付近の画像のにじみが低減されるか、又は防止される。加えて、印刷媒体305によって覆われた穴321が開状態にあるため、真空吸引は、それらの穴321押さえ力印刷媒体305を通して連通され得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、プラテン穴327は、
図3の拡大断面図に見られるように、その上側にチャネルを含む(チャネルに結合される)ことができ、これは、その上側のプラテン穴327の開口部の面積を増加させ得る。具体的には、プラテン穴327は、プラテン326の底部側に開口する貫通穴部分327aと、プラテン326の上側に開口するチャネル部分327bと、を含み得、チャネル部分327bは、プロセス方向に伸長されている。いくつかの実施形態では、複数の貫通穴部分327aは、同じチャネル部分327bに結合され得る。
【0043】
媒体輸送アセンブリ303はまた、印刷媒体305を可動支持面320上に乗せ、可動支持面320に対して印刷媒体305を整列させる、媒体乗せ/整合デバイス355を備える。媒体乗せ/整合デバイス355は、上述の媒体乗せ/整合デバイス155と同様であり、上述の媒体乗せ/整合デバイス155として使用され得る。いくつかの実施形態では、ローラ356は、媒体乗せ/整合デバイス355の一部であり得る。
【0044】
図4~
図5Bは、本開示の様々な実施形態による、可動支持面で使用することができる弁の実施形態を示す。
図4は、弁422の上方からの弁422の詳細な斜視図である。
図5A及び
図5Bは、
図4のA線に沿って取られた断面を含み、
図5Aは、閉状態にある弁422を示し、
図5Bは、開状態にある弁422を示す。
図4のようないくつかの実施形態では、弁422は、可動支持面420に形成され、弁442の一部分は、可動支持面420の材料によって形成される。他の実施形態(図示せず)では、弁442は、可動支持面420に接合され得る別個の構造として形成され得る。
図4~
図5B及び以下の説明では、理解を容易にするために、様々な層428~432が別個の層として例示され、かつ説明される。しかしながら、実際には、層428~432は、一体に接合されるか、又は一体的な全体として一緒に製造されるため、最終製品において互いに区別できない場合がある。言い換えれば、いくつかの実施形態では、弁422は、層428~432を含むことができる別個に識別可能な層から形成されるが、他の実施形態では、弁422は、識別可能な層なしで材料に形成され得、この場合、本明細書に記載の層428~432は、材料の異なる部分(例えば、深さ)を指すものとして理解されるべきである。いくつかの実施形態では、層428~432はまた、可動支持面420の一部である。便宜上、層428~432が可動支持面420の一部であることを以下の説明の一部で想定するが、これは限定的ではない。
図4では、弁422の最上層428(いくつかの実施形態においてはまた、可動支持面420の最上層であり得る)は、他の部分の視認性を可能にするように透明になる。
【0045】
図4~
図5Bに示されるように、弁422は、弁422を通る通路を形成し、弁422が設置される可動支持面420を通る穴421を備える。穴421は、可動支持面420の上側(印刷媒体に面する側)に開口する通路を画定する上部穴部分435と、可動支持面420の底部側(真空プラテン/真空プレナムに面する側)に開口する通路を画定する上部穴部分435からオフセットされた底部穴部分427と、を備える。上部穴部分435は、層428及び429において形成されてもよく、底部穴部分427は、層430~432において形成されている。穴はまた、層430及び431において形成されたチャンバ434を備え、上部穴部分435は、チャンバ434に流体的に結合されている(以下により詳細に説明されるリード423が開位置にあると仮定する)。穴421はまた、層429において形成されている1つ以上のチャネル426を備え、これらは、一端で底部穴部分427に流体的に結合され、他端でチャンバ434に流体的に結合されている(ここでも、リード423が開位置にあると仮定する)。したがって、上部穴部分435は、チャンバ434及びチャネル426を介して底部穴部分427に流体的に結合され(ここでも、リード423が開位置にあると仮定する)、したがって、穴421は、弁422の下方の領域を弁422の上方の領域に流体的に結合することができる。
【0046】
上記のように、
図4では、最上層428が省略され/透明にされて、最上層428の下の特徴を明らかにする。最上層428は、上部穴部分435に対応する領域を除いて、
図4に示される部分の各々を覆い、最上層428は、上部穴部分435の一部を形成するアパーチャを有する。
図4では、底部穴部分427は、プロセス方向(y方向)に上部穴部分435からオフセットされ、したがって、チャネル426は、プロセス方向に延在しているが、他の実施形態では、弁422及び/又は穴421は、任意の様式で配向され得る。
【0047】
上述のように、弁422はまた、上部穴部分435の下でチャンバ434において位置決めされた可撓性リード423を備える。リード423は、弁422の閉鎖機構を形成し、閉位置(
図5Aを参照)と開位置(
図5B参照)との間で可動である。閉位置では、リード423は、上部穴部分435とチャンバ434との間の境界で位置決めされ、したがって、リード423は、チャンバ434と上部穴部分435との間の空気流を遮断する。加えて、閉位置では、リード423は、チャンバ434とチャネル426との間の境界で位置決めされ、したがって、リード423は、チャンバ434とチャネル426との間の空気流を遮断する。したがって、リード423の閉位置では、穴421が閉鎖され、上部穴部分435と底部穴部分427との間で空気流が妨げられる。開位置(
図4及び
図5Bを参照)では、リード423は、上部穴部分435とチャンバ434との間、及びチャンバ434とチャネル426との間の空気流を許容する。したがって、リード423の開位置では、穴421が開放され、上部穴部分435と底部穴部分427との間で空気流が許容される。空気流は、図の破線矢印によって示され、空気流のいくつかの部分は、450a~450dにラベル付けされ、これらは以下で更に論じられる。
【0048】
リード423は、様々な実施形態において可撓性ベルト材料からなど、可動支持面420自体の材料から形成され得るか、又は代替的には別個の構造であり得る。リード423の近位端は、弁422の残りの部分に接続され、リード423の遠位端は、弁422の残りの部分に対して垂直方向に(すなわち、可動支持面420の厚さ寸法に沿って)移動することができる自由端である。したがって、リード423は、リード423の遠位端に加えられる下向きの力がリード423を弾性的に可撓/屈曲させるように、カンチレバーとして構成されている。閉位置(
図5Aを参照)では、リード423は、相対的に屈曲されておらず、可動支持面420の第3の層430上及び底面にほぼ平行である。開位置(
図5Bを参照)では、リード423は、その遠位端が可動支持面420の底部側に向かって下向きに移動するように屈曲されている。リード423は、リード423の遠位端部分に突出部424を備える。突出部424は、リード423の残りの部分から垂直に延在し、その結果、リード435が閉位置にあるときに、突出部424は、上部穴部分435から延在し、突出部424の上部は、層428の上部(すなわち、可動支持面420の上部)の上方に位置する。したがって、印刷媒体405が弁422(
図5Bを参照)の上方に存在する場合、突出部424は、印刷媒体405の底面によって接触される。印刷媒体405が、例えば、ローラによって、又は真空吸引によって、上表面428(すなわち、可動支持面420の上表面)に対して平坦に押し付けられる場合、次いで、突出部424上に印刷媒体405によって加えられる力は、突出部424を下向きに押し、リード423を開位置に移動させる。印刷媒体が存在しない場合(
図4Aを参照)、次いで、リード423は閉位置に戻ることができる。いくつかの実施形態では、リード423は、例えば、材料を切断するか、又は他の方法で除去することによって、リード423を形成するように、一体的に、かつ層430の材料から(例えば、可動支持面420の材料から)形成される。他の実施形態では、リード423は、弁422の残りの部分に接合された別個の構造である。
【0049】
上記のように、1つ以上のチャネル426が層429において形成される。
図4~
図5Bに示すように、チャネル426は、層429から省略されるか、又は除去される開放空間として形成される。チャネル426は、層428によって上側に、層429の部分によって横方向側に境界付けられている。特に、チャネル426は、第2の層429における上部穴部分435を取り囲むバリア425によって上部穴部分435から横方向に分離されている。
図4では、2つのチャネル426が、上部穴部分435の両側に沿って延び、チャネル426を上部穴部分435から分離するバリア425の横方向部分に沿って走って設けられる。チャネル426の底部は、リード423及び/又は第3の層430の残りの部分によって境界付けられている。
【0050】
リード423が閉位置にあるときに(
図5A)、リード423の上面は、(バリア425を含む)層429と接触するか、又はその非常に近くにある。したがって、リード423の閉位置において、リード423及び(バリア425を含む)層429は、協働してチャンバ434からチャネル426を遮断して、それらの間の空気流を妨げる。したがって、リード423の閉位置において、空気流は、底部穴部分427と上部穴部分435との間で遮断され、したがって、真空プレナムからの真空吸引は、上部穴部分435に連通されない。しかしながら、リード423の閉位置では、真空プレナムからの真空吸引が、チャネル426に連通され、したがって、比較的低圧状態がチャネル426において確立される。チャネル426におけるこの比較的低圧力状態は、リード423に加えられる真空吸引力F1がもたらされ、リード423を上方に引っ張る。力F1は、
図5Aの実線矢印で表される。したがって、閉状態では、真空プレナムからの真空吸引は、リード423を閉位置に保持する力を生成する。
【0051】
リード423が開位置にあるときに(
図4及び
図5B)、リード423の上面は、バリア425の底部から離間され、その結果、空気は、バリア425の下を通過することによって(バリア425の底部とリード423の上部との間のギャップを介して)チャンバ423とチャネル426との間を流れることができる。仮説的空気流は、
図4及び
図5Bに破線矢印で示されている。例えば、空気は、空気流450aによって、
図4及び
図5Bに示されるように、上部穴部分435を介して穴421に入り、次いで、空気流450bによって示されるように、空気はバリア425の下を、チャネル426へと通過する。次いで、空気は、空気流450cによって示されるように、チャネル426を通って、空気が穴421を出る空気流405dによって示されるように、底部穴部分427へと流れる。したがって、リード423が開位置にあるときに、可動支持面420の下からの真空吸引は、穴421を通して、底部穴部分427、チャネル426、チャンバ434及び上部穴部分435を介して、可動支持面420の上側に連通されることが可能になる。
図5Bに示すように、印刷媒体405が穴421の上方にあるときに、穴421を通して印刷媒体405の底部側に連通された真空吸引は、印刷媒体405の下方に比較的低圧力状態をつくり、これにより、印刷媒体に真空吸引力F2が印加され、印刷媒体405を下向きに引っ張る。力F2は、
図5Bの実線矢印で表される。この真空吸引力F2は、印刷媒体405を下向きに引っ張る傾向にあり、結果として、印刷媒体405が、リード423の突出部424に対して下向きに押圧される。リード423の上向きのばね力及びリード423に加えられる上向きの真空吸引力F1は、リード423の下向きの移動に抵抗する傾向にあるが、下向きの真空吸引力F2は、この抵抗に打ち勝つのに十分に大きい。印刷媒体405に加えられる下向きの真空吸引力F2は、穴421の幾何学的形状により、リード423に加えられる上向きの真空吸引力F1に打ち勝つのに十分に大きくてもよい。例えば、印刷媒体405のより大きな表面積は、真空吸引に曝され、より大きな吸引力を発生させることができる。更に、力F2がリード423に加えられる(すなわち、突出部424における)位置は、力F1が加えられる位置よりも遠位であり得、力F2がリード423に加えられためのより大きなてこ(機械的利点)をもたらす。したがって、印刷媒体405に加えられる下向きの真空吸引力F2は、上向きの吸引力及びリード423のばね張力の抵抗に打ち勝ち、結果として、印刷媒体405は、可動支持面420の上部に対して面一に引っ張られ、リード423は、開位置に押し下げられる。リード423は、真空吸引が印刷媒体405に加えられ続ける限り、この開位置に留まる。しかしながら、印刷媒体405が除去される場合、上向きの真空吸引力F1及びリード423のばね張力は、次いで、リード423を閉位置に戻すように移動させる。
【0052】
弁422は、いくつかの方法で、アパーチャを通る空気流を一方向に許容する一方で、開口部を通る反対方向の空気流を防げるように、開口部の上に位置決めされた可撓性リードを利用するリード弁と同様であってもよい。しかしながら、弁422は、様々な方法でリード弁とは異なり得る。例えば、弁422は、動作中に弁422を通る空気流が真空吸引により、すでに一方向に移動するように制限されているため、一方向の空気流を許容する一方で、多方向の空気流を妨げることを必ずしも意図していない。更に、リード弁において、リードは概して、(空気流方向の変化の結果として)リードのどの側がより高い圧力に曝され、どれがより低い圧力に曝されるかの結果として作動され、すなわち、より低い圧力がリードの第1の側に位置するときに、リードは開放され、より低い圧力がリードの第2の側に位置するときに、リードは閉鎖される。対照的に、弁422では、低圧は、(真空吸引がオンになっていると仮定して)閉状態及び開状態の両方におけるリード423の同じ側に位置する。したがって、弁422は、リード423のどの側がより低い圧力に曝されるかの変化の結果として、閉鎖から開放に作動されず、むしろ、弁422は、リード423に(例えば、印刷媒体及び/又はローラから)外力を加えた結果として閉状態から開状態に作動される。
【0053】
上記のように、いくつかの実施形態では、弁422は、可動支持面420の材料から少なくとも部分的に形成されている可動支持面420の一体部分である。これらの実施形態のいくつかでは、可動支持面420は、複数の層428~432が一緒に積層され、弁522が層428~432内に形成された可撓性ベルトを備える。層は、
図5A及び
図5Bの破線ラインで示されている。いくつかの実施形態では、層428~432は別個に形成され、次いで、例えば接着剤、融合(例えば、溶融)、縫製又は任意の他の接合技術によって、一緒に接合される。いくつかの実施形態では、層428~432は、例えば、付加製造(例えば、3D印刷)を介して一体的な全体として一緒に形成される。いくつかの実施形態では、層428~432の一部又は全部は、他の層428~432とは異なる材料から形成される。いくつかの実施形態では、層428~432の一部又は全部は、互いに同じ材料から形成される。いくつかの実施形態では、可動支持面420は、約35mmの厚さであり得、層428~432の各々は、0.1mm未満の厚さである。いくつかの実施形態では、リード423及びチャンバ434は、約0.8mmの長さであってもよく、この長さは、可動支持面420が、リード423を損傷することなく、又は他の故障を引き起こすことなく、媒体輸送アセンブリに使用されるローラの周りで屈曲することを可能にし得る。本明細書では、層428~432は、理解を容易にするために別個の層として図示され、かつ説明されているが、実際には、層428~432は、一緒に接合されるか、又は一体的な全体として一緒に製造されるため、最終製品において互いに区別できない場合がある。弁422及び層の好適な材料及び寸法の例の上記の説明はまた、弁422が可動支持面420に接合される(又はされ得る)可動支持面420とは別個の構造として形成される他の実施形態にも適用可能である。
【0054】
弁422の様々な部分について特定の形状及び相対的なサイズが示されているが、これらの形状及び相対的なサイズは限定的ではない。例えば、上部及び底部穴部分435及び427は、より大きく、又はより小さく、異なるアスペクト比を有し(すなわち、より横長であるか、又はより横長でない)、異なる形状(例えば、正方形、多角形など)を有し得る。別の例として、リード423は、より長く、より短く、より広く、より狭く又は異なる形状(例えば、長方形など)であり得る。更に、2つのチャネル42が図示されているが、他の実施形態では、チャンバ434を底部穴部分427に結合するために、より少ない又はより多くのチャネル426が提供され得る。
【0055】
図4~
図5Bに関して上述した実施形態では、弁422は、可動支持面420内に直接形成され、可動支持面420の一体部分である。言い換えれば、自閉式穴421の部分の少なくとも一部は、可動支持面420自体を構成する同じ本体によって形成され、例えば、可動支持面420の材料は、バリア425を形成し、上部穴部分435、底部穴部分427及びチャネル426の境界を画定することができる。更に、いくつかの実施形態では、リード423はまた、上述のように、可動支持面420の材料から形成され得る。しかしながら、同じ弁423は、可動支持面420とは別個の本体において製造され得、次いで、本体は、後で可動支持面420に接合され得ることを理解されたい。そのような実施形態では、
図4~
図5Bに示されるような同じ構造が使用されるが、上記で可動支持面420の層と呼ばれる材料層は、代わりに、弁422が形成される本体の材料層である。弁422を備える本体は、可動支持面420に(例えば、可動支持面452の穴を介して)挿入され、接着剤、融合、圧入嵌合、摩擦嵌合などを介して可動支持面に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、弁422を備える本体は、可動支持面420に固定するように可動支持面420を通して(例えば、屈曲、変形、拡張などを介して)挿入された後に、形状を変化させる部分を有するように、リベットと同様に構成されている。
【0056】
本明細書並びに本発明の態様及び実施形態を例示する添付の図面は、限定として解釈されるべきではなく、特許請求の範囲は、保護された発明を定義する。本明細書及び特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な機械的、組成的、構造的、電気的及び動作的変更を行うことができる。いくつかの例では、本発明を不明瞭にしないために、周知の回路、構造及び技術は、詳細に示されていないか、又は説明されていない。2つ以上の図における同様の番号は、同じ又は同様の要素を表す。
【0057】
更に、空間的及び関係的用語などの本発明の態様を説明するために本明細書で使用される用語は、本発明の実施形態を理解する際に読者を助けるために選択されるが、本発明を限定することを意図するものではない。例えば、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下(lower)」、「上方(above)」、「上部(upper)」、「インボード(inboard)」、「アウトボード(outboard)」、「上(up)」、「下(down)」などの空間的用語が、本明細書では、図に示されるように、別の要素又は特徴に対する方向又は1つの要素若しくは特徴の空間的関係を説明するために使用され得る。これらの空間的用語は、図に示される姿勢に対して使用され、実世界の特定の参照フレームに限定されない。したがって、例えば、図における「上(up)」の方向は、必ずしもワールド参照フレーム内の「上(up)」に(例えば、地球の表面から離れて)対応する必要はない。更に、異なる参照フレームが図に示されるものとみなされる場合、本明細書で使用される空間的用語は、異なる参照フレームにおいて異なって解釈される必要があり得る。例えば、図のうちの1つに対して「上(up)」と呼ばれる方向は、図の参照フレームから180度回転される異なる参照フレームに関して「下(down)」と呼ばれる方向に対応し得る。別の例として、図に示された方法と比較して、デバイスが世界参照フレームにおいて180度に回転される場合、図に関連する第2のアイテムの「上方(above)」又は「上(over)」として本明細書に記載されるアイテムは、世界参照フレームに対して第2のアイテムの「下方(below)」又は「下(beneath)」にある。したがって、どの参照フレームが考慮されているかに応じて、異なる空間的用語を使用して、同じ空間的関係又は方向を説明することができる。更に、図に示されるアイテムの姿勢は、例示及び説明の便宜のために選択されるが、実施における実施態様において、アイテムは異なる姿勢であり得る。
【0058】
「プロセス方向」という用語は、印刷媒体がインク堆積アセンブリの堆積領域を通って輸送されるにつれて移動するときに、同じ方向に平行であり、それを指す方向を指す。したがって、プロセス方向は、図中のy軸に平行であり、かつy軸正方向を指す方向である。
【0059】
「クロスプロセス方向」という用語は、プロセス方向に垂直で、可動支持面に平行な方向を指す。任意の所与の点で、反対方向、すなわち「インボード」クロスプロセス方向及び「アウトボード」クロスプロセス方向を指す2つのクロスプロセス方向がある。したがって、図に示される参照フレームを考慮すると、クロスプロセス方向は、x軸に沿った正又は負の方向を指す方向を含む、x軸に平行な任意の方向である。本明細書における「クロスプロセス方向」への言及は、文脈によって別段に示されない限り、1つの特定のクロスプロセス方向ではなく、概して、クロスプロセス方向のいずれかを指すものとして理解されるべきである。したがって、例えば、「弁がクロスプロセス方向に可動である」という記述は、弁がインボード方向、アウトボード方向又は両方向に移動することができることを意味する。
【0060】
「上流」及び「下流」という用語は、プロセス方向に平行な方向を指し得、「下流」は、プロセス方向と同じ方向を向く(すなわち、印刷媒体がインク堆積アセンブリを通って輸送される方向)を指し、「上流」は、プロセス方向の反対側を向く方向を指す。図において、「上流」は、y軸負方向に対応し、「下流」は、y軸正方向に対応する。「上流」及び「下流」という用語はまた、要素の相対場所を指すために使用されてもよく、「上流」要素は、基準点に対して上流方向に変位され、「下流」要素は、基準点に対して下流方向に変位される。言い換えれば、「上流」要素は、いくつかの他の基準要素よりも、インク堆積アセンブリ(例えば、印刷媒体が可動支持面を接合する場所)を通って輸送されるときに、印刷媒体が取る経路の始まりにより近い。逆に、「下流」要素は、いくつかの他の基準要素よりも、経路の端部(例えば、印刷媒体が支持面を離れる場所)により近い。「上流」又は「下流」要素が比較される他の要素の基準点について、明示的に述べられ(例えば、「印刷ヘッドの上流側」)、又は文脈から推測され得る。
【0061】
「インボード」及び「アウトボード」という用語は、クロスプロセス方向を指し、「インボード」が1つのクロスプロセス方向を指し、「アウトボード」が「インボード」と反対のクロスプロセス方向を指す。図では、「インボード」は、x軸正方向に対応し、「アウトボード」は、x軸負方向に対応する。「インボード」及び「アウトボード」という用語はまた、相対場所を指し、「インボード」要素が基準点に対してインボード方向に変位され、「アウトボード」要素が基準点に対してアウトボード方向に変位される。基準点は、明示的に述べられ(例えば、「印刷ヘッドのインボード側」)、又は文脈から推測され得る。
【0062】
「垂直」という用語は、堆積領域における可動支持面に垂直な方向を指す。任意の所与の点で、反対方向、すなわち「上向き」方向及び「下向き」方向を指す2つの垂直方向がある。したがって、図に示される参照フレームを考慮すると、垂直方向は、z軸正方向(「上(up)」)又はz軸負方向(「下(down)」)を向く方向を含む、z軸に平行な任意の方向である。
【0063】
「水平」という用語は、堆積領域における可動支持面に平行な(又は可動支持面が堆積領域において平坦ではない場合、堆積領域において可動支持面に接する)方向を指す。水平方向は、プロセス方向及びクロスプロセス方向を含む。
【0064】
「真空」という用語は、すべての物質を欠く空間の厳密な意味から比較的低圧力状態のより一般的な意味まで、様々な意味を有する。本明細書では、「真空」という用語は、一般的な意味で使用され、空気圧が周囲圧力又は大気圧などのいくつかの基準圧力よりも低い状態又は環境を広く指すものとして理解されるべきである。真空環境の圧力が、真空」とみなすべき基準圧力の圧力よりも低くなければならない量は、限定的ではなく、少量又は大量であり得る。したがって、本明細書で使用される「真空」としては、これらに限定されないが、用語のより厳密な感覚下で「真空」とみなすことができる状態が挙げられ得る。
【0065】
「空気」という用語は、地球の大気の厳密な意味(又はその組成物が地球の雰囲気のものと同様であるガスの混合物)から、任意のガス又はガスの混合物のより一般的な意味まで、様々な状況において様々な意味を有する。本明細書では、「空気」という用語は、一般的な意味で使用され、ガスの任意のガス又は混合物を広く指すものとして理解されるべきである。これには、これらに限定されないが、地球の大気、いずれか1つの希ガス(例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴンなど)、窒素(N2)ガス、又は任意の他の所望のガス又はガス混合物を含み得る。
【0066】
加えて、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途示されない限り、複数形も含むことが意図される。また、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」という用語は、記載された特徴、ステップ、動作、要素及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素及び/又はグループの存在又は追加を排除しない。別途特に記載されない限り、結合されたものとして記載された構成要素は、電気的又は機械的に結合され得るか、又は1つ以上の中間構成要素を介して間接的に結合され得る。数学的及び幾何学的用語は、当業者は、例えば、実質的に同様の方法で機能する実質的に同様の要素が説明的な用語の範囲内に容易に収まり得ることを理解するであろうことから、用語がまた厳密な定義を有しているとしても、説明の文脈が別途示されていない限り、それらの厳密な定義に従って使用されることを必ずしも意図するものではない。
【0067】
一実施形態を参照して詳細に説明される要素及びそれらの関連付けられた態様は、実用的である場合は常に、それらが具体的に図示されうるか、又は説明されていない他の実施形態に含まれ得る。例えば、一実施形態を参照して、要素が詳細に説明され、第2の実施形態を参照して説明されていない場合、要素は、第2の実施形態に含まれるものとして特許請求され得る。
【0068】
本明細書に記載される特定の実施例及び実施形態は非限定的であり、本教示の範囲から逸脱することなく、構造、寸法、材料及び方法論に対する修正を行うことができることを理解されたい。
【0069】
本開示による他の実装形態は、本明細書及び本明細書に開示された発明の実施を考慮することから当業者には明らかとなるであろう。本明細書及び実施形態は、例示的なものとしてのみ考慮されることが意図され、以下の特許請求の範囲は、適用可能な法則下で、等価物を含むそれらの最大限幅に権利を与える。