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特開2022-158976印刷システムの真空プレナムにおける空気流ゾーンを介した空気流制御、並びに関連するデバイス、システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158976
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】印刷システムの真空プレナムにおける空気流ゾーンを介した空気流制御、並びに関連するデバイス、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/06 20060101AFI20221006BHJP
   B65H 5/02 20060101ALI20221006BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B41J11/06
B65H5/02 A
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034857
(22)【出願日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】17/218,887
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】チュヘン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・ケイ.・ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・エム.・ルフェーヴル
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ.・マッコンビル
(72)【発明者】
【氏名】シーミット・プラハラジ
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
3F049
【Fターム(参考)】
2C056EA05
2C056FA13
2C056HA29
2C058AB04
2C058AB17
2C058AC07
2C058AE02
2C058AF31
2C058DA13
2C058DA38
3F049AA04
3F049BA04
3F049DA03
3F049DB02
3F049LA07
3F049LB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】最終的な印刷媒体製品のにじみの外観を低減させる。
【解決手段】印刷媒体は、真空吸引を介して可動支持面に対して保持され、可動支持面は、印刷媒体を堆積領域を通して輸送する。真空プレナムは、可動支持面が移動する真空プラテンを含む。真空プラテンは、真空プレナムから可動支持面に真空吸引を連通するプラテン穴を有する。空気流制限機構は、真空プラテンにおいて高インピーダンスゾーンを形成し、高インピーダンスゾーンは、プラテン穴のサブセットを含む。高インピーダンスゾーンを通る空気流インピーダンスは、低インピーダンスゾーンの一部であるプラテン穴の別のサブセットを通る空気流インピーダンスと比較して比較的高い。高インピーダンスゾーンは、印刷ヘッド付近に位置して、印刷ヘッド付近の覆われていないプラテン穴を通る空気流を減少させることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムであって、
インク堆積アセンブリであって、前記インク堆積アセンブリの堆積領域に印刷流体を排出するように配設された印刷ヘッドを含むインク堆積アセンブリと、
媒体輸送アセンブリであって、
真空源と、
前記真空源と流体連通している真空プレナムであって、前記真空プレナムが、前記真空プレナムの内部を前記真空プレナムの第1の表面における開口部に流体的に結合する複数のプラテン穴を含む真空プラテンを含む、真空プレナムと、
前記真空プラテンの前記第1の表面上で移動可能な可動支持面であって、前記媒体輸送アセンブリが、前記真空源から前記プラテン穴を通って前記可動支持面まで連通される真空吸引によって、前記可動支持面に対して印刷媒体を保持するように構成されている、可動支持面と、を含む、媒体輸送アセンブリと、を備え、
前記真空プレナムが、前記真空プラテンにおいて高インピーダンスゾーンを形成する空気流制限機構を含み、前記高インピーダンスゾーンは、前記複数のプラテン穴の第1のグループのプラテン穴を含み、
前記高インピーダンスゾーンが、前記複数のプラテン穴の第2のグループのプラテン穴を含む前記真空プラテンの低インピーダンスゾーンの空気流インピーダンスと比較して、比較的高い空気流インピーダンスを有する、印刷システム。
【請求項2】
前記空気流制限機構が、空気流が前記第1のグループのプラテン穴を通ることを妨げるように配設された空気流阻害構造を含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記空気流阻害構造が、前記真空プラテンの前記第1の表面の反対側の前記真空プラテンの第2の表面にあり、前記第1のグループのプラテン穴の空気流出口開口部を覆う位置にある、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記空気流阻害構造が、多孔質材料、メッシュ、布、繊維アレイ、又はそれらの任意の組み合わせのうちのいずれかを含む、請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記空気流阻害構造が、前記真空プラテンの前記第1の表面の反対側の前記真空プラテンの第2の表面に1つ以上のバッフルを含み、前記バッフルが、前記第1のグループのプラテン穴の出口開口部を包囲する第1の開口部を有する通路及び前記第1の開口部よりも少ない開放断面積を有する第2の開口部を画定する、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記真空プラテンが、前記第1の表面において開口部を有する複数のプラテンチャネルを含み、前記プラテン穴の各々が、複数のプラテンチャネルのうちの1つに流体的に結合され、前記複数のプラテンチャネルが、前記第1のグループのプラテン穴に流体的に結合されている第1のグループのプラテンチャネルを含み、
前記空気流制限機構が、複数の空気流阻害構造を含み、前記空気流阻害構造の各々が、第1のグループのプラテンチャネルのうちの1つ内に位置決めされている、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記空気流阻害構造が、多孔質材料、メッシュ、布、繊維アレイ、フィンアレイ、ピンアレイ、バッフル、又はそれらの任意の組み合わせのうちのいずれかを含む、請求項6に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記空気流制限機構が、複数の空気流阻害構造を含み、前記空気流阻害構造の各々が、前記第1のグループのプラテン穴における前記プラテン穴のうちの1つ内に位置決めされている、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記空気流制限機構が、前記複数のプラテン穴の前記第2のグループのプラテン穴の第2の構成とは異なる、前記複数のプラテン穴の前記第1のグループのプラテン穴の第1の構成を含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項10】
前記第1の構成が、第1の断面積を有する前記第1のグループのプラテン穴において前記プラテン穴の各々を含み、前記第2の構成は、第2の断面積を有する前記第2のグループのプラテン穴において前記プラテン穴の各々を含み、前記第1の断面積は、前記第2の断面積よりも小さい、請求項8に記載の印刷システム。
【請求項11】
前記第1の構成が、第1の穴密度で配設されている前記第1のグループのプラテン穴を含み、前記第2の構成は、単位面積当たりの第2の数のプラテン穴を含む第2の穴密度で配設されている前記第2のグループのプラテン穴を含み、前記第1の穴密度は、前記第2の穴密度よりも低い、請求項8に記載の印刷システム。
【請求項12】
前記第1のグループのプラテン穴が、前記印刷ヘッドの下に位置するプラテン穴を含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項13】
前記第2のグループのプラテン穴は、印刷媒体が前記可動支持面上に乗せられ、最初に前記可動支持面に接着されている領域に位置する前記プラテン穴を含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項14】
前記第1のグループのプラテン穴が、前記印刷ヘッドの下に位置する前記プラテン穴のすべてを含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項15】
前記インク堆積アセンブリは、複数の印刷ヘッドを備え、前記印刷ヘッドが、前記複数の印刷ヘッドのうちの1つであり、
前記真空プレナムは、前記真空プラテンにおいてそれぞれの高インピーダンスゾーンを形成する複数の空気流制限機構を含み、前記空気流制限機構が、前記複数の空気流制限機構のうちの1つであり、
前記高インピーダンスゾーンの各々が、前記印刷ヘッドのうちの1つに対応し、前記対応する印刷ヘッドの下に位置する前記プラテン穴を含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項16】
前記可動支持面が、前記真空プラテンの表面上を移動するように構成されたベルトを含み、前記ベルトは、前記真空吸引が前記印刷媒体に連通されているベルト穴を含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項17】
方法であって、
印刷システムの媒体輸送アセンブリの可動支持面上に印刷媒体を乗せることと、
真空プラテンのプラテン穴を通した真空吸引を介して、前記可動支持面に対して前記印刷媒体を保持することと、
前記可動支持面を移動させることによって、前記印刷システムの印刷ヘッドの堆積領域を通して、プロセス方向に前記印刷媒体を輸送することと、
印刷流体を前記印刷ヘッドから排出して、前記堆積領域において前記印刷流体を前記印刷媒体に堆積させることと、を含み、
前記印刷媒体によって覆われていないときに、前記第1のグループのプラテン穴を通る前記真空吸引によって、より高い速度の空気流が誘発され、前記印刷媒体によって覆われていないときに、前記第2のグループのプラテン穴を通る前記真空吸引によって、より低い速度の空気流が誘発される、方法。
【請求項18】
前記第1のグループ及び前記第2のグループによって前記印刷媒体に提供される吸引力のパーセンテージ差が、前記第1のグループ及び前記第2のグループを通る前記空気流の速度のパーセンテージ差よりも小さい、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第2のグループが、前記印刷ヘッドの下に位置する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のグループは、前記印刷媒体が前記可動支持面上に乗せられる領域に位置する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
真空吸引を介して前記可動支持面に対して前記印刷媒体を保持することは、空気流が前記第1のグループを通って妨げられるよりも多くの前記第2のグループを通る空気流を妨げることを含む、請求項17に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、概してインクジェット印刷に関し、より具体的には、印刷媒体を保持し、かつ輸送するために真空吸引を利用する媒体輸送アセンブリを有するインクジェット印刷システムに関する。関連するデバイス、システム及び方法も開示される。
【背景技術】
【0002】
いくつかの用途では、インクジェット印刷システムは、1つ以上の印刷ヘッドを有するインク堆積アセンブリ及び媒体輸送アセンブリを使用して、インク堆積アセンブリのインク堆積領域(例えば、印刷ヘッドの下の領域)を通して印刷媒体(例えば、用紙、封筒又はインクでの印刷に好適な他の基材などの基材)を移動させる。インクジェット印刷システムは、媒体が堆積領域を通過するときに、印刷ヘッドから媒体上にインクを排出することによって、印刷媒体上に印刷画像を形成する。いくつかのインクジェット印刷システムでは、媒体輸送アセンブリは、真空吸引を利用して、輸送デバイスの可動支持面(例えば、コンベヤベルト、回転ドラムなど)に対する印刷媒体の保持を支援する。支持面に対して印刷媒体を保持するための真空吸引は、真空源(例えば、ファン)及び、真空源を印刷媒体を支持する側面とは反対側の可動支持面の側面に流体的に結合する真空プレナムを使用して達成することができる。真空源は、真空プレナム内に真空状態を作成し、真空プレナムに流体的に結合された可動支持面内の穴を通した真空吸引を引き起こす。印刷媒体が可動支持面上に導入されると、真空吸引は、印刷媒体を可動支持面に対して保持する吸引力を生成する。真空吸引を利用する媒体輸送アセンブリは、印刷媒体が、インク堆積アセンブリの下のインク堆積領域を通って輸送される間に滑りを伴わずに所定の位置にしっかりと保持されることを可能にし、それによって、印刷ヘッドに対する印刷媒体の正確な位置特定及びそれによるより正確な印刷画像を確実にするのに役立ち得る。真空吸引はまた、印刷媒体が、インク堆積領域を通過するときに平坦に保持されることを可能にし得、これはまた、印刷画像の精度を高めるのに役立ち、印刷媒体の一部がインク堆積アセンブリの一部を上昇させて、インク堆積アセンブリの一部に当たり、ジャム又は損傷を潜在的に引き起こすことを防止するのに役立ち得る。
【0003】
真空吸引を利用する媒体輸送アセンブリを含むインクジェット印刷システムで生じ得る1つの問題は、真空吸引によって誘発される気流から生じる画像の意図しないにじみである。いくつかのシステムでは、そのようなにじみは、印刷媒体の縁付近にある印刷画像の部分、特に印刷媒体の輸送方向(プロセス方向と称されることもある)の前縁部又は後縁部付近の部分で発生し得る。印刷ジョブ中、印刷媒体は、インク堆積アセンブリの堆積領域を通って輸送されるときに可動支持面上で互いに離間され、したがって隣接する印刷媒体間の可動支持面の部分は、いかなる印刷媒体によっても覆われていない。隣接する印刷媒体間のこの領域は、本明細書では、媒体間ゾーンと称される。したがって、媒体間ゾーンにおける各印刷媒体の前縁部及び後縁部の両方に隣接して、可動支持面には覆われていない穴がある。これらの穴は覆われていないため、真空プレナムの真空は、それらの覆われていない穴を通して流れるように、空気を誘導する。この空気流は、印刷ヘッドから基材に移動するときに、インク滴を偏向させ、したがって、画像のにじみを引き起こす可能性がある。
【0004】
インクジェット印刷システムにおける液滴の配置の精度を改善し、最終的な印刷媒体製品のにじみの外観を低減させる必要性が存在する。効率的なインクジェット印刷システムを提供するために、信頼できる方法で、かつ印刷及び輸送の速度を維持しながら、にじみの問題に対処する必要性が更に存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、上述の問題のうちの1つ以上を解決することができ、かつ/又は上述の望ましい特徴のうちの1つ以上を実証し得る。他の特徴及び/又は利点は、以下の説明から明らかになり得る。
【0006】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、印刷システムは、インク堆積アセンブリの堆積領域に印刷流体を排出するように配設された印刷ヘッドを含むインク堆積アセンブリと、媒体輸送アセンブリと、を備える。媒体輸送アセンブリは、真空源と、真空源と流体連通する真空プレナムと、可動支持面と、を備える。真空プレナムは、真空プレナムの内部を真空プラテンの第1の表面の開口部に流体的に結合する複数のプラテン穴を含む真空プラテンを含む。可動支持面は、真空プラテンの第1の表面上を移動可能である。媒体輸送アセンブリは、真空源からプラテン穴を通って可動支持面まで連通される真空吸引によって、可動支持面に対して印刷媒体を保持するように構成されている。真空プレナムは、真空プラテンにおいて高インピーダンスゾーンを形成する空気流制限機構を含み、高インピーダンスゾーンは、複数のプラテン穴の第1のグループのプラテン穴を含む。高インピーダンスゾーンは、複数のプラテン穴の第2のグループのプラテン穴を含む真空プラテンの低インピーダンスゾーンの空気流インピーダンスと比較して、比較的高い空気流インピーダンスを有する。
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、方法は、印刷システムの媒体輸送アセンブリの可動支持面上に印刷媒体を乗せることと、真空吸引を介して、可動支持面に対して印刷媒体を保持することと、可動支持面を移動させることによって、印刷システムの印刷ヘッドの堆積領域を通して、プロセス方向に印刷媒体を輸送することと、印刷流体を印刷ヘッドから排出して、堆積領域において印刷流体を印刷媒体に堆積させることと、を含む。印刷媒体を可動支持面に対して保持する真空吸引は、印刷媒体が輸送される第2のゾーンにおける真空吸引と比較して、印刷媒体が輸送される第1のゾーンにおいて、より高い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示は、単独で又は添付の図面と一緒に、以下の詳細な説明から理解され得る。図面は、本開示の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本教示の1つ以上の実施形態を示し、説明とともに、特定の原理及び動作を説明する。図面において、
【0008】
図1A】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
図1B】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
図1C】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
図1D】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
図1E】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
図1F】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
図1G】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
図1H】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
図1I】従来のインクジェット印刷システムのインク堆積領域を通る印刷媒体輸送の異なる段階の間の、印刷ヘッドアセンブリ、輸送デバイス及び印刷媒体に対する空気流パターン、並びに、結果として生じる印刷媒体製品におけるにじみ効果を概略的に示す。
【0009】
図2】空気流制御システムを含むインクジェット印刷システムの実施形態の構成要素を示すブロック図である。
【0010】
図3】インクジェット印刷システムの一実施形態のインク堆積アセンブリ及び媒体輸送アセンブリの概略図である。
【0011】
図4図3のインクジェット印刷システムの上方からの平面図である。
【0012】
図5図4のDに沿った断面を有するインクジェット印刷システムの一実施形態の断面図である。
【0013】
図6図4のDに沿った断面を有するインクジェット印刷システムの別の実施形態の断面図である。
【0014】
図7図4のDに沿った断面を有するインクジェット印刷システムの更に別の実施形態の断面図である。
【0015】
図8図4のDに沿った断面を有するインクジェット印刷システムの更なる実施形態の断面図である。
【0016】
図9A】インクジェット印刷システムの更なる実施形態を示す。図9BのEに沿った断面を有する断面図である。
図9B】インクジェット印刷システムの更なる実施形態を示す。実施形態のプラテンの上方からの部分平面図である。
【0017】
図10A】インクジェット印刷システムの更なる実施形態を示す。図10BのFに沿った断面を有する断面図である。
図10B】インクジェット印刷システムの更なる実施形態を示す。実施形態のプラテンの上方からの部分平面図である。
【0018】
図11A】インクジェット印刷システムの更なる実施形態を示す。図11BのGに沿った断面を有する断面図である。
図11B】インクジェット印刷システムの更なる実施形態を示す。実施形態のプラテンの上方からの部分平面図である。
図11C】インクジェット印刷システムの更なる実施形態を示す。図11DのHに沿った断面を有する断面図である。
図11D】インクジェット印刷システムの更なる実施形態を示す。実施形態のプラテンの上方からの部分平面図である。
【0019】
図12A】インクジェット印刷システムの更なる実施形態を示す。図12BのIに沿った断面を有する断面図である。
図12B】インクジェット印刷システムの更なる実施形態を示す。実施形態のプラテンの上方からの部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書の図面及び説明において、「_1」、「_2」などの数値インデックスは、いくつかの構成要素の参照番号の後に付加される。複数の同様の構成要素があり、それらの構成要素の特定のものを指すことが望ましい場合、同じ基準参照番号が使用され、異なるインデックスがそれに付加されて個々の構成要素を区別する。しかしながら、特定のものを区別する必要なしに、構成要素が一般的又は集合的に参照される場合、インデックスは、基準参照番号から省略され得る。したがって、一例として、印刷媒体5は、図1Aのように、印刷媒体5の特定のものを識別することが所望される場合、第1の印刷媒体5_1とラベル付けされ、かつ称されてもよいが、複数の印刷媒体5を区別することが望ましくない他の場合には、単に印刷媒体5とラベル付けされ、かつ称されることもある。
【0021】
上述のように、媒体間ゾーンが印刷ヘッド付近又は下にあるとき、媒体間ゾーン内の覆われていない穴は、印刷ヘッドから排出された液滴を、コースを逸れて吹き付け得る横断流を生成し、画像のにじみを引き起こす可能性がある。同様に、印刷媒体の内側又は外側に沿って覆われていない穴もまた、画像のにじみを生じさせる横断流を作成し得る。にじみの問題を生じさせる現象のいくつかをよりよく説明するために、図1A図1Iを参照する。図1A図1D及び図1Gは、それぞれ印刷媒体5の後縁部TE、前縁部LE及び中間付近の印刷媒体5上に印刷する印刷ヘッド10を概略的に示す。図1A図1D、及び図1Gは、プロセス方向(図中のy軸方向)に沿って、印刷ヘッド10のうちの1つを通って取られた断面である。図1B図1E及び図1Hは、それぞれ、図1A図1D及び図1Gの領域A、B及びCの拡大図を示す。図1C図1F及び図1Iは、印刷画像の拡大写真を示し、印刷画像は、それぞれ用紙の後縁部TE、前縁部LE及び中間部分付近に印刷された線を含む。
【0022】
図1A図1D及び図1Gに示されるように、インクジェット印刷システムは、キャリアプレート11における印刷ヘッド開口部19を通して媒体5(例えば、印刷媒体5_1及び5_2)にインクを排出する1つ以上の印刷ヘッド10と、印刷媒体5を、図のy軸の正の方向に対応するプロセス方向Pに輸送する可動支持面20と、を備える。可動支持面20は、真空プラテン26の頂部に沿って可動であり(例えば、摺動し)、プラテン26の底部側に真空環境が提供される。真空プラテン26は、プラテンチャネル30に結合されたプラテン穴27を有し、プラテン穴27は、プラテン26の下方の真空環境に開放し、プラテンチャネル30は、プラテン26の上方の領域に開放する。したがって、プラテンチャネル30は、プラテン26の側面において開放側が可動支持面20を支持する開放チャネルである。したがって、プラテン穴27及びプラテンチャネル30は、可動支持面の底部側に真空を連通させる。プラテンチャネル30は、プロセス方向Pに延在し、各々は、1つ又は複数の穴27に結合され得る。可動支持面20は、穴21を有し、各穴21は、可動支持面20が移動するときに、プラテンチャネル30と周期的に整列する。したがって、穴21のうちの1つがチャネル30の上に位置するとき、穴21は、チャネル30から可動支持面20の上方の領域に真空吸引を連通させる。印刷媒体5が穴21を覆う領域では、(プラテン穴27及びプラテンチャネル30を介した)穴21を通して連通される真空吸引は、可動支持面20に対して印刷媒体5を保持する力を生成する。しかしながら、空気は印刷媒体5によって遮断されるため、これらの覆われた穴21を通ってほとんど又は全く流れない。一方、図1A図1D、及び図1Gに示されるように、隣接する印刷媒体間の(例えば、印刷媒体5_1、5_2の間の)媒体間ゾーン22において、穴21は、いずれの印刷媒体によっても覆われておらず、したがって、真空吸引は、空気を引っ張り、覆われていない穴21を通って流れ落ちる。これは、図1A図1D及び図1Gの破線矢印によって示される空気流を生成し、空気流は、媒体間ゾーン22において、印刷ヘッド10の周りの領域から覆われていない穴21及び27に向かって流れる。図1A及び図1Dに示すように、媒体間ゾーン22が印刷ヘッド10の近く又は下にあるとき、媒体間ゾーン22によって誘発される空気流の一部は、印刷ヘッド10の下を通過する。
【0023】
図1Aでは、印刷媒体5_1は、その後縁部TEの付近に印刷され、したがって、インクが現在排出されている領域(「インク排出領域」)(例えば、図1Aの領域A)は、媒体間ゾーン22の下流(上流及び下流は、可動支持面20による印刷媒体の輸送方向であるプロセス方向Pに対して画定されている)に位置する。したがって、媒体間ゾーン22に向かって吸い込まれる空気の一部は、インク排出領域Aを通って上流に流れる。より具体的には、媒体間ゾーン22からの真空吸引は、媒体間ゾーン22のすぐ上の領域、例えば、図1Aの領域Rの圧力を低下させ、一方、印刷ヘッド10の下流の領域、例えば、図1Aの領域Rは、より高い圧力で留まる。この圧力勾配により、空気が領域Rから上流方向に領域Rへと流れ、空気流が、領域Rと領域Rとの間にあるインク排出領域(例えば、図1Aの領域A)を横切る。この空気の一部は、印刷ヘッド10の下流面と、印刷ヘッド10がインクを排出する開口部19の縁との間のギャップ9dから引っ張られ得る。インク排出領域を横切るこれらのような空気流は、本明細書では横断流15と称される。図1Aでは、横断流15は上流に流れているが、他の状況では、横断流15は異なる方向に流れ得る。
【0024】
領域Aの拡大図を含む図1Bの拡大図A’に示されるように、インクが印刷ヘッド10から媒体5に向かって排出されるときに、メインインク液滴12及びサテライトインク液滴13が形成される。サテライト液滴13は、メイン液滴12よりもはるかに小さく、質量及び運動量が少なくなり、したがって、上流の横断流15は、メイン液滴12よりもサテライト液滴13に影響を及ぼす傾向にある。したがって、メイン液滴12は、横断流15に関係なく、それらの意図された堆積場所16の付近で印刷媒体5上に着弾し得るが、横断流15は、サテライト液滴13を意図された軌道から押し出す可能性があり、その結果、サテライト液滴13は、媒体5上の意図しない場所17に着弾し、意図しない場所17は、意図しない場所16から変位される。この効果は、図1Cの実際の印刷画像で見ることができ、図1Cでは、より高密度の/より暗いライン形状部分は、主にそれらの意図された場所16で堆積されたメイン液滴によって形成されるが、ラインから離れて分散されたより小さな点は、意図された場所16から離れて(y軸の負の方向に)吹き付けられ、意図しない場所17に着弾したサテライト液滴によって形成され、印刷されたラインににじんだ又は汚れた外観をもたらす。特に、図1Cのにじみは、図示された紙の後縁部TEに向かって非対称的に付勢され、これは、後縁部TE付近の横断流15が、主に図1A及び図1Bに示された上流方向に吹き付けることに起因するであろう。媒体間ゾーン22はまた、下流の空気流などの他の方向に流れる他の空気流を、印刷ヘッド10の上流側から誘導してもよいが、これらの他の空気流は、インクが示されているシナリオで現在排出されている領域を通過しないため、画像のにじみに寄与しない。インク排出領域を横切るこれらの空気流のみが、本明細書では横断流と称される。
【0025】
図1D図1Fは、そのようなにじみが発生する別の例を示しているが、この場合は印刷媒体5_2の前縁部LE付近である。図1C及び図1Dに示されるような前縁部LEの付近で印刷する場合に、インク排出領域が、ここで媒体間ゾーン22の上流に位置することを除いて、前縁部LEの付近のにじみの原因は、後縁部TEに関連して上述したものと同様である。結果として、インク排出領域を横切る横断流15は、ここで、印刷ヘッド10の上流側から、例えば、領域Rから発生し、領域Rの下流に流れ、ここに、前縁部LEに隣接する媒体間ゾーン22の覆われていない穴21、27がある。例えば、空気は、印刷ヘッド10の上流面とキャリアプレート11の開口部19の縁との間のギャップ9uから引っ張られ得る。したがって、インク吐出領域Bの拡大図を含む図1Eの拡大図B’に示されるように、前縁部LEの付近で印刷する場合に、サテライト液滴13は、印刷媒体5_2の前縁部LEに向かって下流(y軸の正の方向)に吹き付けられる。図1Fに示されるように、そのような現象は、前縁部LEに向かって付勢される非対称のにじみをもたらし、サテライト液滴は、意図された場所16に対して所望されない場所17に堆積される。
【0026】
対照的に、図1G及び排出領域Cの拡大図に対応する図1Hの拡大図C’に示されるように、印刷媒体(例えば、印刷媒体5_2)が、後縁部及び前縁部TE、LEからより遠くの中間部分上に印刷されているときに、媒体間ゾーン22及び覆われていない領域24は、印刷ヘッド10及びインク排出領域Dから離れ過ぎて、インク排出領域D付近の多くの空気流を誘発するため、横断流15はほとんど又は全く存在しない可能性がある。横断流15は、印刷媒体5の縁部から離れると存在しないか、又は弱いため、この領域のサテライト液滴13は、コースを逸れて吹き付けられない。したがって、図1H及び図1Iに示すように、印刷媒体5_2の縁部からより遠くに印刷するときに、サテライト液滴は、意図された場所16にはるかに近い場所18に着弾し、より少ない画像のにじみをもたらす。サテライト液滴の堆積場所18は、サテライト液滴に影響を与える他の要因に起因して、意図された場所16からやや変化し得るが、偏差は、前縁部又は後縁部の付近にあるよりも小さく、したがって、顕著なにじみをもたらさない。
【0027】
本明細書に開示される実施形態は、とりわけ、このような横断流をもたらし得る画像のにじみを低減させるために、横断流のいくつかを阻害し得る。横断流を抑制することによって、印刷ヘッドから排出された液滴(例えば、サテライト液滴を含む)は、それらの意図された堆積場所のより近くか、又はそれらの意図される堆積場所に着弾する可能性がより高くなり、したがって、にじみの量を低減させることができる。様々な実施形態によれば、真空プレナムは、空気流ゾーンに分割され、各気流ゾーンは、それぞれの気流ゾーン内にあるプラテン穴を通る空気流を調節する。空気流ゾーンは、少なくとも1つの高インピーダンスゾーン及び少なくとも1つの低インピーダンスゾーンを含み、高インピーダンスゾーンは、低インピーダンスゾーンと比較して比較的高いインピーダンスを有する。そのような比較的高いインピーダンスゾーン及び比較的低いインピーダンスゾーンを提供するために、本開示は、それぞれの高インピーダンスゾーンにおいてプラテン穴を通る全体の空気流を妨げる、各高インピーダンスゾーンにおいて空気流制限機構を使用することを企図する。いくつかの実施形態では、空気流制限機構は、プラテン穴と真空源との間、又はプラテン穴若しくはプラテンチャネル自体内で、真空プレナムにおいて位置決めされた1つ以上の空気流阻害構造を含む。そのような空気流阻害構造は、プラテン穴を通る空気流を低減するが、完全には遮断しないように構成されている。好適な空気流阻害構造としては、限定されないが、多孔質材料(例えば、スポンジ、フィルタ)、メッシュ(例えば、ワイヤメッシュスクリーン)、布、フィンアレイ(例えば、スカイビングされたフィン)、ピンアレイ、ピンフィンアレイ、1つ以上のバッフル、1つ以上の開口部を備えた1つ以上の壁、繊維のアレイ(例えば、ブラシ)、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、空気流阻害構造の代わりに、又はそれに加えて、空気流制限機構は、高インピーダンスゾーンと低インピーダンスゾーンとの間のプラテン穴自体の構成の変化を含む。例えば、いくつかの実施形態では、空気流制限機構は、各々が低インピーダンスゾーンにおけるプラテン穴よりも比較的小さい断面積を有する高インピーダンスゾーンのプラテン穴を含む。別の例として、いくつかの実施形態では、空気流制限機構は、低インピーダンスゾーンよりも低い穴密度(面積単位当たりのプラテン穴の数)を有する高インピーダンスゾーンにおけるプラテン穴を含む。高インピーダンスゾーンにおける空気流制限機構の使用は、空気がそれらのゾーンのプラテン穴を通って流れる速度を大幅に低減することができ、低インピーダンスゾーンにおける空気流制限機構の省略は、それらのゾーンにおけるより高い空気流速度を提供することができる。
【0028】
高インピーダンスゾーン及び低インピーダンスゾーンは、プラテンの異なる場所に異なる空気流速度を提供するように、真空プレナム内に配設され得る。様々な実施形態では、高インピーダンスゾーンは、各印刷ヘッド付近に提供される。そのような配置は、それらが媒体間ゾーン内に位置するときに、空気が印刷ヘッド付近のプラテン穴に引き込まれる強度を低減し、したがって、媒体間ゾーンによって誘発される横断流の強度を低減する。横断流の強度が低減されると、(サテライト液滴を含む)インク液滴は、それらの意図された堆積場所又はそのより付近に着弾する可能性が高く、したがって、印刷媒体のその縁部付近のにじみの量が低減される。
【0029】
一方、高い空気流速度は、印刷媒体が可動支持面上に乗せられる場所などのいくつかの場所で所望され得る。最初に印刷媒体を可動支持面に吸引するために、高い空気流速度が必要とされ得る。可動支持面に接着されると、印刷媒体を印刷媒体の保持状態に維持するために、必要とされる空気流が少なくなり得る。したがって、いくつかの実施形態では、低インピーダンスゾーンは、印刷媒体が可動支持面に最初に乗せられて、可動支持面への印刷媒体の吸引を容易にする場所に提供され得る。低インピーダンスゾーンはまた、より高い空気流速度が所望され、かつ/又は印刷ヘッド付近(例えば、下)に位置していない他の場所で提供されてもよい。低インピーダンスゾーンは、印刷ヘッド付近(例えば、下)に位置していないため、これらのゾーンにおける比較的高い空気流速度は、印刷ヘッドの周りの横断流に非常に大きく寄与する可能性が低く、したがって、画像のにじみに大きな影響を与えない。
【0030】
高インピーダンスゾーンにおいてインピーダンスを増加させることはまた、これらのゾーンにおいて印刷媒体に加えられる押し下げ力の量を減少させる。しかしながら、押し下げ力のこの低減は比較的小さい。高インピーダンスゾーンにおいてインピーダンスが増加するにつれて、押し下げ力が減少すると、空気流速度はより速く減少する。したがって、高インピーダンスゾーンを通る空気流の速度の有意な低減は、これらのゾーンにおける押し下げ力をわずかに減少させる一方で、それらのインピーダンスを増加させることによって得ることができる。例えば、いくつかのシステムでは、吸引力の約85%を依然として維持しながら、低インピーダンスゾーンにおける流量の4分の1まで、高インピーダンスゾーンにおいて空気流速度を低減させてもよい。更に、印刷媒体を可動支持面に最初に接着するために有意な吸引が必要であり得るが、印刷媒体が可動支持面に接着されると、可動支持面に対して印刷媒体を保持し続けるのに必要な吸引が比較的少ないことが見出された。高インピーダンスゾーンは概して、印刷媒体が可動支持面上に乗せられている場所に位置していないため、高インピーダンスゾーンでは、印刷媒体を可動支持面に対して維持するために必要な吸引力が比較的少ない。したがって、高インピーダンスゾーンにおいて発生する押し下げ力の小さな低減にもかかわらず、印刷媒体を可動支持面に接着するのに十分な吸引が提供されてもよい。
【0031】
したがって、上記のように、高インピーダンスゾーンを印刷ヘッド付近に配設することによって、真空プラテンの覆われていない穴を通る空気流速度を、印刷ヘッド付近で低減し、したがって、画像のにじみに対抗しながら、印刷媒体に依然として十分な押し下げ力を提供することができる。更に、低インピーダンスゾーンは、印刷ヘッドからより離れた場所でより高い空気流速度を提供してもよく、したがって、画像のにじみに大きく寄与することなく、より高い空気流速度の有益な効果(可動支持面への印刷媒体の初期吸引を促進するなど)を可能にする。
【0032】
ここで図2を参照すると、印刷システムの実施形態がより詳細に説明される。図2は、空気流インピーダンスの異なるゾーンで構成された上述のプラテンを利用する印刷システム100を概略的に示すブロック図である。印刷システム100は、印刷媒体上にインクを堆積させるためのインク堆積アセンブリ101と、印刷媒体をインク堆積アセンブリ101を通して輸送するための媒体輸送アセンブリ103と、印刷システム100の動作を制御するための制御システム135と、を備える。
【0033】
インク堆積アセンブリ101は、1つ以上の印刷ヘッドモジュール102を備える。単純化のために、1つの印刷ヘッドモジュール102が図2に示されているが、任意の数の印刷ヘッドモジュール102が、インク堆積アセンブリ101に含まれ得る。いくつかの実施形態では、各印刷ヘッドモジュール102は、シアン、マゼンタ、黄色及び黒などの特定のインク色に対応し得る。各印刷ヘッドモジュール102は、インクなどの印刷流体を印刷媒体上に排出して画像を形成するように構成された1つ以上の印刷ヘッド110を備える。図2では、単純化のために、1つの印刷ヘッド110が印刷ヘッドモジュール102において示されているが、印刷ヘッドモジュール102ごとに任意の数の印刷ヘッド110が含まれ得る。印刷ヘッドモジュール102は、本明細書ではキャリアプレート111と称され得る底壁を含む1つ以上の壁を備え得る。キャリアプレート111は、印刷ヘッド開口部119を備え、印刷ヘッド110は、印刷ヘッド開口部119を通してインクを排出するように配設されている。いくつかの実施形態では、キャリアプレート111は、印刷ヘッド110を支持する。他の実施形態では、印刷ヘッド110は、他の構造によって支持される。印刷ヘッドモジュール102はまた、当技術分野で知られているように、インク供給ライン、インクリザーバ、電気接続などの印刷ヘッド110の動作を支持し、かつ容易にするための追加の構造及びデバイスを含み得る。
【0034】
図2に示すように、媒体輸送アセンブリ103は、可動支持面120と、真空プレナム125と、真空源128と、媒体装着/整合デバイス155と、を備える。可動支持面120は、インク堆積アセンブリ101の堆積領域を通して印刷媒体を輸送する。真空プレナム125は、真空源128から可動支持面120の片側(例えば、底部側)に真空吸引を供給し、印刷媒体は、可動支持面120の反対側(例えば、頂部側)に支持される。可動支持面120を通る穴121は、真空吸引が表面120に対して印刷媒体を押し下げるように、表面120を通して真空吸引を連通させる。媒体整合デバイス155は、印刷媒体を可動支持面120上に乗せ、印刷媒体を整合させる。
【0035】
可動支持面120は、インク堆積アセンブリ101に対して可動であり、したがって、可動支持面120が移動するときに、可動支持面120に対して保持された印刷媒体は、インク堆積アセンブリ101に対して輸送される。具体的には、可動支持面120は、インク堆積アセンブリ101の堆積領域を通して印刷媒体を輸送し、堆積領域は、印刷流体(例えば、インク)が印刷ヘッド110の下の領域などの印刷媒体上に排出される領域である。可動支持面120は、インク堆積アセンブリ101に対して移動するように駆動されることができ、真空吸引が、ベルト、ドラムなどの印刷媒体を押し下げることを可能にする穴121を有する任意の構造を備えることができる。
【0036】
真空プレナム125は、バッフル、壁、又は真空状態(例えば、低圧状態)が真空源128によって維持される環境を取り囲むか、又は画定するように配設された任意の他の構造を備え、プレナム125は、可動支持面120が真空プレナム125内の真空状態に曝されるように、真空源128を可動支持面120に流体的に結合する。真空プレナム125は、真空プレナム125の頂壁を形成し、可動支持面120を支持する真空プラテン126を備える。真空プラテン126は、真空プレナム125の内部を真空プラテン126の第1の表面の開口部に流体的に結合し、第1の表面が可動支持面120に隣接している、プラテン穴127を含む。したがって、可動支持面120は、プラテン穴127を介して、真空プラテン126を通ってプレナム125における真空に流体的に結合されている。真空源128は、プレナム125から空気を除去して、ファン、ポンプなどのプレナム125において低圧状態を作成するように構成された任意のデバイスであり得る。
【0037】
上記のように、プラテン穴127は、真空プラテン127の第1の表面(例えば、上面)の開口部に流体的に結合されている。第1の表面におけるこれらの開口部は、プラテン穴127自体の開口部であってもよいか、又はそれらは、真空プラテン126の第1の表面におけるチャネルの開口部であってもよい。プラテン126の第1の表面における開口部(すなわち、プラテン穴127及び/又はチャネルの開口部)は、プロセス方向に延在する列に配設され、列は、クロスプロセス方向の真空プラテン126を横切って分布している。可動支持面120における穴121は、穴127(及び/又はチャネル)の対応する列とプロセス方向に整列され、したがって、可動支持面120が真空プラテン126に対して移動するとき、各それぞれの穴121は、それぞれの対応する列における穴127(及び/又はチャネル)の各々を順次移動する。穴121がプラテン穴127(及び/又はチャネル)の上方に位置するとき、真空吸引は、真空プレナム125からプラテン穴127(及び、存在する場合は、対応するチャネル)及び穴121を通って、所与の穴121の上方の領域に連通される。印刷媒体が穴121の上方に位置する場合、穴121を通して連通される真空吸引は、印刷媒体を可動支持面120に向かって引っ張る印刷媒体上で吸引力を生成する。印刷媒体が穴121の上方に位置しない場合、真空吸引は、穴121及び穴127を通って真空プラテン126内に流れ落ちるように、可動支持面120の上方から空気を誘発する。
【0038】
真空プレナム125は、少なくとも1つの高インピーダンスゾーン131及び少なくとも1つの低インピーダンスゾーン133を含む、複数の空気流ゾーンを更に備える。空気流ゾーンは、上述のように、高インピーダンスゾーンが低インピーダンスゾーンよりも比較的高い空気流インピーダンスを有する、真空プラテン126の対応する領域を通る空気流を調節するためのプラテン穴127及び場合によっては追加の構造を含む。高インピーダンスゾーン131のより高い空気流インピーダンスは、上述のように、空気流制限機構を使用することによって提供される。いくつかの実施形態では、空気流制限機構は、高インピーダンスゾーン131のプラテン穴127の下方又は内部に配設されて、それらのプラテン穴127(集合的に)を通る空気流に比較的高いインピーダンスを提供する1つ以上の空気流阻害構造を備える。空気流阻害構造は、そのような空気流を完全に遮断することなく、それぞれの高インピーダンスゾーン131におけるプラテン穴127を通る真空プラテン126の第1の側(例えば、上側)から真空プレナム125の内部までの空気流を抑制するように配設された任意の構造を備え得る。例えば、好適な空気流阻害構造は、多孔質材料のブロック又はプレート(例えば、スポンジ、フィルタ、有孔プレート)、メッシュ(例えば、ワイヤメッシュ)、布、フィン(例えば、スカイビングされたフィン)、ピン、ピンフィンアレイ、フィルタ、一連のバッフル、1つ以上のアパーチャを有する壁若しくは壁(複数)、繊維(例えば、ブラシ)などを備え得る。いくつかの実施形態では、空気流阻害構造を空気流制限機構として使用することに加えて、又はその代わりに、空気流制限機構は、プラテン穴127自体の構成を含む。言い換えれば、空気流制限機構は、第1の構成を有する高インピーダンスゾーン131のプラテン穴127を含み、一方、低インピーダンスゾーン133のプラテン穴127は、第1の構成とは異なる第2の構成を有する。いくつかの実施形態では、第1の構成は、第1の断面積を有する高インピーダンスゾーン131においてプラテン穴127の一部又は全部を含み、第2の構成は、第2の断面積を有する低インピーダンスゾーン133においてプラテン穴127を含み、第1の断面積は、第2の断面積よりも小さい。言い換えれば、いくつかの実施形態では、空気流制限機構は、低インピーダンスゾーン133におけるプラテン穴127よりも小さい高インピーダンスゾーン131におけるプラテン穴127を含む。別の例として、いくつかの実施形態では、第1の構成は、第1の穴密度(単位面積当たりのプラテン穴の数)を有する高インピーダンスゾーン131におけるプラテン穴127を含み、第2の構成は、第2の穴密度を有する低インピーダンスゾーン133におけるプラテン穴127を含み、第1の穴密度は、第2の穴密度よりも小さい。いくつかの実施形態では、空気流阻害構造及びプラテン穴の異なる構成の両方が、空気流制限機構として一緒に使用される。高インピーダンスゾーン131における前述の空気流制限機構のうちのいずれかの使用は、空気がそれらのゾーンのプラテン穴127を通って流れる速度を大幅に低減することができ、低インピーダンスゾーン133における空気流制限機構の省略は、それらのゾーンにおけるより高い空気流速度を提供することができる。
【0039】
本明細書では、異なるゾーン(例えば、ゾーン131及び133)を通る空気流速度又はプラテン穴の異なるグループ(例えば、ゾーン131及び133内のプラテン穴127)を参照する。特に指定されない限り、空気流速度は、ゾーン又はグループにおけるプラテン穴が印刷媒体によって覆われていないときに、ゾーン又はグループにおける平均の穴1つ当たりの空気流速度を指す。空気流速度は、ゾーンのインピーダンスに加えて、可動支持面上の印刷媒体の数及びサイズ、真空源からの吸引の強度などの様々な要因に依存し得る。しかしながら、異なるゾーンを通る空気流速度の比較では、他の要因がゾーン又はグループ間で一定に保たれると想定され得る。したがって、高インピーダンスゾーンが低インピーダンスゾーンよりも低い空気流速度を有すると言われるとき、これは、すべての他の要因が等しいことを意味するものとして理解されるべきであり、覆われていない高インピーダンスゾーンにおける平均の穴ごとの空気流速度は、覆われていない低インピーダンスゾーンにおける平均の穴ごとの空気流速度よりも低い。
【0040】
高インピーダンスゾーン131及び低インピーダンスゾーン133は、プラテン126の異なる場所に異なる空気流速度を提供するように、真空プレナム125内に配設される。特に、いくつかの実施形態では、高インピーダンスゾーン131は、少なくとも各印刷ヘッド110付近に提供される。いくつかの実施形態では、印刷ヘッド110のうちの1つの直下に位置する各プラテン穴127は、高インピーダンスゾーン131のうちの1つに含まれる。いくつかの実施形態では、印刷ヘッド110に直接隣接する(例えば、閾値距離内で)プラテンホテル127も、高インピーダンスゾーン131に含まれる。いくつかの実施形態では、別個の高インピーダンスゾーン131が、各印刷ヘッド110に提供される。いくつかの実施形態では、別個の高インピーダンスゾーン131が各印刷ヘッドモジュール102に提供され、印刷ヘッドモジュール102内の印刷ヘッド110は、同じ高インピーダンスゾーン131を共有し得る。いくつかの実施形態では、単一の高インピーダンスゾーンが、印刷ヘッドアセンブリのインク堆積領域全体に提供され得る。
【0041】
低インピーダンスゾーン133は、印刷媒体が最初に可動支持面120上に乗せられる領域に位置決めされている少なくとも1つの低インピーダンスゾーン133を含み得る。この低インピーダンスゾーン133は、印刷媒体が可動支持面120上に乗せられるときに、印刷媒体の周りに比較的高い吸引を提供し得、これは、可動支持面120への印刷媒体の接着を容易にする。追加の低インピーダンスゾーン133はまた、高インピーダンスゾーン131間の空間に提供され得る。例えば、いくつかの実施形態では、低インピーダンスゾーン131は、隣接する印刷ヘッドモジュール102間の空間に提供される。いくつかの実施形態では、低インピーダンスゾーン131はまた、印刷ヘッド110のうちの1つの下にない領域などの、印刷ヘッドモジュール102のキャリアプレート111の下に提供され得る。高インピーダンスゾーン131間に低インピーダンスゾーン133を提供することは、空気漏れによって引き起こされる問題を防止し、印刷媒体に加えられる押し下げ力を回復させるのに役立ち得、これは、印刷媒体が可動支持面120を持ち上げないようにするのに役立ち得る。
【0042】
当業者は、高インピーダンスゾーン131及び低インピーダンスゾーン133の数、サイズ、形状、及び/又は場所を、1つのシステムから次のシステムに変化させて、画像のにじみに対抗し、可動支持面上の印刷媒体を押し下げるのに十分に強い真空吸引を維持するように、空気流を低減する所望のバランスを提供することができる。したがって、上記のように高インピーダンスゾーン131及び低インピーダンスゾーン133を提供することによって、真空プラテン126を通る空気流速度を、印刷ヘッド110付近で低減させることができ、したがって、印刷媒体を可動支持面120に接着するのに十分な吸引を依然として提供しながら、画像のにじみに対抗することができる。
【0043】
上記のように、当業者によく知られているように、媒体装着/整合デバイス155は、印刷媒体を可動支持面120上に乗せ、様々な整合データに対して印刷媒体を整合させる。例えば、各印刷媒体が可動支持面120上に乗せられ、各印刷媒体の一方の縁部が、プロセス方向に延在するプロセス方向整合データに整合され得る(すなわち、整列され得る)。本明細書では、プロセス方向整合データに最も近い媒体輸送アセンブリ103のいずれかの側が、媒体輸送アセンブリ103の外側と称され、このデータに整合される縁部は、外側縁部と称され、デバイスの反対側は、内側縁部と称され、反対側の縁部は、内側縁部と称される。実際には、整合データは、媒体輸送アセンブリ103の両側に位置することができ、したがって、外側とみなされる媒体輸送アセンブリ103の側は、印刷媒体が期せずして整合されるのに応じて、システムからシステムに(又は同じシステム内の時間から時間に)変化する。加えて、印刷媒体の前縁部及び/又は後縁部は、印刷媒体がその上に乗せられるときに、可動支持面120に沿って様々なクロスプロセスデータに整合され得る。したがって、各印刷媒体をプロセス方向整合データ及びクロスプロセス整合データのうちの1つに整合させることによって、可動支持面120に対する印刷媒体の正確な場所及び配向が実施され、印刷媒体上の画像の正確な印刷を可能にすることができる。可動支持面上に印刷媒体を乗せ、可動支持面に対して印刷媒体を整合させるための様々な媒体装着/整合デバイスは、当該技術分野で既知であり、既存の印刷システムで使用される。任意の既存の媒体装着/整合デバイス又は任意の新しい媒体装着/整合デバイスを、媒体装着/整合デバイス155として使用することができる。そのような媒体装着/整合デバイスの構造及び機能は、当該技術分野で周知であるため、そのようなシステムの更なる詳細な説明は省略される。
【0044】
制御システム135は、印刷システム100の動作を制御するための処理回路を備える。処理回路は、本明細書に記載の様々な動作を実行するための論理で構成された1つ以上の電子回路を含み得る。電子回路は、回路によって実行可能な様々な動作を実行するソフトウェア命令、又はそれらの任意の組み合わせを含むことにより、様々な動作を実行するように構成された専用ハードウェアを含むことによって、動作を実行するための論理で構成され得る。論理がソフトウェア命令を含む例では、処理回路の電子回路は、ソフトウェアを記憶するメモリデバイスと、例えば、プロセッサ、プロセッサコア、中央処理ユニット(central processing unit、CPU)、コントローラ、マイクロコントローラ、システムオンチップ(system-on-chip、SoC)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、グラフィックス処理ユニット(graphics processing unit、GPU)などの命令を実行することができる1つ以上の処理デバイスを備えるプロセッサと、を含む。処理回路の論理が専用ハードウェアを備える例では、プロセッサに加えて、又はプロセッサの代わりに、専用ハードウェアは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)、コンプレックスプログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device、CPLD)、ディスクリート論理回路、ハードウェアアクセラレータ、ハードウェアエンコーダなどの特定の動作を実行するように構成されている任意の電子デバイスを含み得る。処理回路はまた、専用ハードウェア及び汎用ハードウェアのソフトウェアとの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0045】
ここで図3及び図4を参照すると、図2を参照して上述した印刷システム100として使用され得る印刷システム300の実施形態が示される。図3は、側面図からの印刷システム300の一部分を示す概略図を含む。図4は、媒体輸送アセンブリ303の上方からの印刷システム300の一部分の平面図を含む。図4では、図から隠されたいくつかの構成要素が破線で示されている。
【0046】
図3及び図4に示すように、印刷システム300は、インク堆積アセンブリ301と、媒体輸送アセンブリ303と、を備え、それらは、図2を参照して上述したように、インク堆積アセンブリ101及び媒体輸送アセンブリ103としてそれぞれ使用され得る。印刷システム300はまた、制御システム(例えば、制御システム135と同様)などの図3及び図4に示されていない追加の構成要素を備え得る。
【0047】
印刷システム300では、インク堆積アセンブリ301は図3に示されるような4つの印刷ヘッドモジュール302を備え、各印刷ヘッドモジュール302は、複数の印刷ヘッド310を有する。印刷ヘッドモデル302は、印刷媒体305が印刷ヘッドモジュール302の各々の下で順次輸送されるように、媒体輸送アセンブリ303の上方のプロセス方向Pに沿って直列に配設される。図4では、印刷ヘッドモジュール302のうちの1つのみが見える。印刷ヘッド310は、対応するキャリアプレート311において、それぞれ対応する印刷ヘッド開口部319を通して印刷流体(例えば、インク)を排出するように配設されている。一実施形態(図4を参照)では、各印刷ヘッドモジュール302は3つの印刷ヘッド310を有し、印刷ヘッド310は、2つの印刷ヘッド310_1及び310_2がクロスプロセス方向に互いに整列し、第3の印刷ヘッド310_3が他の2つの印刷ヘッド310_1及び310_2の上流又は下流にオフセットされているオフセットパターンで配設されている。他の実施形態では、印刷ヘッド310及び/又は印刷ヘッドモジュール302の異なる数及び/又は配置が使用される。
【0048】
印刷システム300では、媒体輸送アセンブリ303の可動支持面320は、ローラ329によって駆動されて、ループ状経路に沿って移動するベルトを備え、経路の一部分は、インク堆積アセンブリ301のインク堆積領域323を通過する。当業者によく知られているように、可動支持面320上に乗せられたときに、可動支持面320に対して印刷媒体を押し付けるための1つ以上のローラ、可動支持面320の外向面に係合するための1つ以上のローラなどの追加のローラも提供され得る。可動支持面320が図3に取る経路は、非限定的であり、他の経路を利用することができる。媒体輸送アセンブリ303はまた、印刷媒体305を可動支持面320上に乗せ、可動支持面320に対して印刷媒体305を整合させる、媒体装着/整合デバイス355を備える。媒体装着/整合デバイス355は、上述の媒体装着/整合デバイス155と同様であり、上述の媒体装着/整合デバイス155として使用されてもよい。
【0049】
可動支持面320は、ベルトを通って延在するいくつかの穴321を含む。穴321は、ベルトの下方から(以下に更に記載される真空プレナム326から)真空吸引をベルトの上方の領域に連通させて、印刷媒体を可動支持面320に対して保持するための真空吸引力を提供する。穴321は、印刷媒体に比較的均一な真空吸引力を提供するように、また、様々なサイズの印刷媒体に対応するように、可動支持面320を横切るパターンで配設される。
【0050】
真空プレナム325は、プレナム325の頂壁を形成し、可動支持面320を支持する真空プラテン326を備える。真空プラテン326は、上記の真空プラテン126として使用され得る。真空プラテン326は、真空プレナム325の内部をプラテン326の上方の領域に流体的に結合する、プラテン326を横切って分布するいくつかのプラテン穴327を含む。プラテン穴327は、円筒貫通穴などの比較的単純な形状を有する貫通穴であり得るが、プラテン穴327は、そのような単純な貫通穴に限定されず、真空プレナム325からプラテン326の上方の領域に真空吸引を連通するための通路を提供する任意の形状又は構成を有することができる。プラテン穴327は、プラテン穴327自体の開口部又はプラテン穴327が流体的に結合されている真空プラテン326のチャネル又は他の特徴部の開口部であり得る真空プラテン326の第1の表面(例えば、上面)の開口部に流体的に結合されている。例えば、いくつかの実施形態(図3図8に例示される実施形態を含む)では、プラテン穴327は、真空プラテン326の第2の表面(例えば、底面)の出口開口部及び入口開口部を介して、真空プラテン325の内部の一方の端部に、反対側の端部で、図3の拡大された断面図及び図4の破線に見られるように、真空プラテン327の第1の表面(例えば、上面)において形成されている開放プラテンチャネル330に結合されている貫通穴として構成されている。プラテンチャネル330は、プロセス方向に細長くてもよい。いくつかの実施形態では、複数のプラテン穴327は、同じプラテンチャネル330に流体的に結合されている。プラテン穴327及びチャネル330は、プロセス方向(図においてy方向)を延在する列に配設され、列は、プラテン326を横切ってクロスプロセス方向(図中のx方向)に分布している。可動支持面320の穴321の各々は、可動支持面がプラテン326に対して320を移動するときに、各穴321が列におけるプラテン穴327/チャネル330の各々を順次移動するように、プラテン穴327/チャネル330の列と整列する。所与の穴321が所与のプラテン穴327/チャネル330の上方に位置するとき、真空吸引は、真空プレナム325から、プラテン穴327/チャネル330及び可動支持表面孔321を介して、可動支持面320の上方の領域に連通される。
【0051】
真空プラテン326はまた、少なくとも1つの高インピーダンスゾーン331及び少なくとも1つの低インピーダンスゾーン333を含む。いくつかの実施形態では、真空プラテン326は、複数の高インピーダンスゾーン331を含む。高インピーダンスゾーン331及び低インピーダンスゾーン333は、それぞれ、上述した高インピーダンスゾーン131及び低インピーダンスゾーン133と同様であり、上述した高インピーダンスゾーン131及び低インピーダンスゾーン133として使用され得る。印刷システム300では、高インピーダンスゾーン331は、印刷ヘッドごとに提供され、すなわち、各印刷ヘッド310は、対応する高インピーダンスゾーン331を有する。例えば、図4に示すように、第1の印刷ヘッド310_1は、対応する高インピーダンスゾーン331_1を有し、第2の印刷ヘッド310_2は、対応する高インピーダンスゾーン331_2を有し、第3の印刷ヘッド310_3は、対応する高インピーダンスゾーン331_3を有する。更に、印刷システム300では、各高インピーダンスゾーン331は、対応する印刷ヘッド310の直下に位置するプラテン穴327の少なくともすべてを含む。いくつかの実施形態では、各高インピーダンスゾーン331は、対応する印刷ヘッド310の直下に位置するチャネル330に結合されているプラテン穴327の少なくともすべてを含む。一実施形態では、各高インピーダンスゾーン331はまた、対応する印刷ヘッド310に隣接して(例えば、すぐ上流又は下流に)位置するいくつかの追加のプラテン穴327(及び/又はチャネル330)を含むことができる。少なくとも各印刷ヘッド310について高いインピーダンスゾーン331を提供することにより、媒体間ゾーン322が印刷ヘッド310の下にあるとき、高インピーダンスゾーン331は、印刷ヘッド310の下にあるか、又は印刷ヘッド310に隣接している覆われていないプラテン穴327を通る空気流の速度を低減し、したがって、横断流の強度を低減する。
【0052】
図3に示すように、低インピーダンスゾーン333は、印刷媒体がまず可動支持面320上に乗せられる領域において真空プラテン326の上流側に提供される。したがって、この領域において高い吸引を維持して、印刷媒体を可動支持面320に接着することを容易にすることができる。1つの低インピーダンスゾーン333のみが図3及び図4にラベル付けされているが、高インピーダンスゾーン331のうちの1つの一部ではない真空プラテン326の各部分は、低インピーダンスゾーンの事実上の一部である。したがって、印刷システム300のいくつかの実施形態では、装着領域に位置するラベル付けされた低インピーダンスゾーン333に加えて、低インピーダンスゾーンはまた、隣接する印刷ヘッドモジュール302の間、及び印刷ヘッド310の下になく、印刷ヘッド310に隣接していない領域における各印刷ヘッドモジュール302の下に位置し得る。これらの低インピーダンスゾーンは、印刷媒体が堆積領域を通過するときに、それに十分な保持力が提供されるようにする(又は低減された場合に押し下げ力を回復する)のに役立つことができ、これらの低インピーダンスゾーンが印刷ヘッド310のインク堆積領域から比較的離れているため、これらの低インピーダンスゾーンを通る比較的高い吸引速度は、横断流の強度に大きく寄与しない。いくつかの実施形態では、低インピーダンスゾーンの空気流インピーダンスは、必ずしも互いにすべて同じではない。-例えば、いくつかの実施形態では、低インピーダンスゾーン333は、他の低インピーダンスゾーンよりも比較的低い空気流インピーダンスを有し得、これは次に、各々が高インピーダンスゾーン331よりも比較的低い空気流インピーダンスを有する。
【0053】
いくつかの実施形態(図示せず)では、印刷ヘッド310ごとの代わりに、印刷ヘッドモジュール302ごとに高インピーダンスゾーン331が提供され得る。いくつかの実施形態では、単一の高インピーダンスゾーン331は、印刷ヘッド310ごと又は印刷ヘッドモジュール302ごとではなく、堆積領域323のすべて(すなわち、印刷ヘッドモジュール302のすべて)に提供される。
【0054】
印刷システム300は、高インピーダンスゾーンに位置するプラテン穴327のグループを介して、真空プラテン326を通る集合的な空気流を制限するための空気流制限機構を含むことによって確立された高インピーダンスゾーン331を有するプラテン326を利用する。図3及び図4に示すように、印刷システム300の実施形態では、空気流阻害構造332を含む空気流制限機構が使用される。空気流阻害構造332として使用することができる空気流阻害構造の様々な実施形態は、図5図7に関して以下に説明される。図5図7は、印刷システム300として使用することができる印刷システムのいくつかの実施形態を示し、各々が空気流阻害構造の異なる実施形態を有する。
【0055】
印刷システム300と同様の印刷システムのいくつかの実施形態では、空気流制限機構は、空気流阻害構造を備えず、代わりに、上述のように、プラテン穴自体の構成(例えば、サイズ、形状、密度など)を含む。以下で更に説明される図8は、高インピーダンスゾーンの空気流制限機構が、低インピーダンスゾーンのプラテン穴の構成と比較して、プラテン穴(断面積及び/又は密度)の構成によって確立されることを除いて、印刷システム300と同様の印刷システムの別の実施形態を示す。
【0056】
ここで図5を参照すると、印刷システム500の実施形態が説明される。印刷システム500は、上記の印刷システム300及び100として使用することができる。印刷システム500は、印刷アセンブリ501及び媒体輸送アセンブリ503を備え、これらは、印刷アセンブリ301又は101及び媒体輸送アセンブリ303又は301としてそれぞれ使用され得る。媒体輸送アセンブリ503は、印刷ヘッドモジュール302と同様に、各々が印刷ヘッド510及びキャリアプレート511を有する、いくつかの印刷ヘッドモジュール502を備える。媒体輸送アセンブリ503は、真空プラテン327と同様に、プラテン穴527を有する真空プラテン527、及び可動支持面320と同様の穴521を有する可動支持面520を備える。図5では、プラテン穴527は、上述のように、チャネル530に結合された貫通穴である。しかしながら、他の実施形態では、異なる形状のプラテン穴527を使用することができる。図5では、断面が取る線(すなわち、図4のD)に沿うため、図には隠されているいくつかのプラテン穴527が、破線で示される。
【0057】
印刷システム500はまた、高インピーダンスゾーン331及び131として使用され得る複数の高インピーダンスゾーン531(例えば、531_1及び531_3)を含む。高インピーダンスゾーン531は、図4に示す高インピーダンスゾーン331と同様の方法で、各印刷ヘッド510に提供され得る。したがって、印刷ヘッド510_1に高インピーダンスゾーン531_1が提供され、印刷ヘッド510_3に高インピーダンスゾーン531_3が提供される(図4の印刷ヘッド310_2など、図5では見えない他の印刷ヘッド510に追加の高インピーダンスゾーン531を提供することができる)。印刷システム500では、各高インピーダンスゾーン531は、それぞれの高インピーダンスゾーン531に位置する各穴527の底部開口部(真空源への真空空気流の出口側)を覆うように、真空プラテン526の底部側に対して位置決めされている空気流阻害構造532を含む空気流制限機構を備える。したがって、所与の高インピーダンスゾーン531における穴527のうちのいずれかと真空プレナムの内部との間を流れる空気は、対応する空気流阻害構造532を通過する。任意の流動阻害構造は、空気流阻害構造332及び132に関して上述した構造を含む、空気流阻害構造532として使用され得る。例えば、空気流阻害構造532は、多孔質材料(例えば、スポンジ、フィルタなど)、メッシュ、布、又は繊維アレイ(例えば、ブラシ、スチールウール)を含み得る。
【0058】
上述のように、少なくとも印刷ヘッド510付近に高インピーダンスゾーン531を提供することは、横断流の強度を低減することができ、したがって、印刷媒体の前縁部及び後縁部付近で発生する画像のにじみの量を低減することができる。例えば、図5は、印刷媒体505_2の前縁部LEが、図1Dに示される状態と同様の印刷ヘッド510_1の下に位置する状態を示す。そのような状態では、図5の破線矢印によって示されるように、空気は、中間媒体ゾーン522における覆われていない穴521及び穴527を通して引き下げられる。これらの覆われていない穴521及び527が印刷ヘッド510_1のインク堆積領域512に近接しているため、これらの穴521及び526を通して吸引されるこれらの空気流のいくつかは、図1Dに示される同様の状態に関して上で説明したように、堆積領域512を通過する横断流を含み、したがって、前縁部LE付近で画像のにじみを生成する。しかしながら、空気流阻害構造532_1が存在するため、この状態での覆われていない穴521及び527を通る空気流の速度は、そのような構造が存在しない図1Dに示される状態と比較して著しく低減される。覆われていない穴521及び527を通る空気流の流量が低減されるため、横断流の強度が低減され、したがって、前縁部LE近くの画像のにじみの量が減少する。
【0059】
図5はまた、印刷媒体505_1の後縁部TEが、図1Aに示される状態と同様の印刷ヘッド510_3の下に位置する状態を示している。そのような状態では、印刷ヘッド510_3のインク堆積領域512への媒体間ゾーンの近接性により、媒体間ゾーン522における覆われていない穴521及び527は、印刷ヘッド510_3のインク堆積領域512を通って流れるいくつかの横断流を含む気流を誘導する。これらの横断流は、図1Aに関して上述したように、後縁部TEの近くに画像のにじみを生じる。しかしながら、空気流阻害構造532_3が存在するため、これらの空気流の流量は、図1Aに示す状態と比較して著しく低減され、したがって、横断流の強度及び後縁部TEの近くの画像のにじみの量が低減される。
【0060】
ここで図6を参照すると、印刷システム600の別の実施形態が説明される。印刷システム600は、上記の印刷システム300及び100として使用することができる。印刷システム600は、印刷アセンブリ601及び媒体輸送アセンブリ603を備え、これらは、印刷アセンブリ301又は101及び媒体輸送アセンブリ303又は301としてそれぞれ使用され得る。媒体輸送アセンブリ603は、印刷ヘッドモジュール302と同様に、各々が印刷ヘッド610及びキャリアプレート611を有する、いくつかの印刷ヘッドモジュール602を備える。媒体輸送アセンブリ603は、真空プラテン327と同様に、プラテン穴627を有する真空プラテン627、及び可動支持面320と同様の穴621を有する可動支持面620を備える。図6では、プラテン穴627は、上述のように、プラテンチャネル630に結合された貫通穴である。しかしながら、他の実施形態では、異なる形状のプラテン穴627を使用することができる。図6では、断面が取る線(例えば、図4のD)に沿うため、図には隠されているいくつかのプラテン穴627が、破線で示される。
【0061】
印刷システム600はまた、高インピーダンスゾーン331及び131として使用され得る複数の高インピーダンスゾーン631(例えば、631_1及び631_3)を含む。高インピーダンスゾーン631は、図4に示す高インピーダンスゾーン331と同様の方法で、各印刷ヘッド610に提供され得る。したがって、印刷ヘッド610_1に高インピーダンスゾーン631_1が提供され、印刷ヘッド610_3に高インピーダンスゾーン631_3が提供される(図4の印刷ヘッド332_2など、図6では見えない他の印刷ヘッド610に対して追加の高インピーダンスゾーン631が提供され得る)。印刷システム600では、高インピーダンスゾーン631は、空気流阻害構造632(例えば、空気流阻害構造632_1及び632_2)を備える。各気流阻害構造632は、真空プラテン626の底部側に対して位置決めされ、それぞれの高インピーダンスゾーン631に位置するプラテン穴627の底部開口部を包含する一方の端部に第1の開口部及び真空プレナムの内部に開口する第2の開口部を有する通路を形成するバッフル634を備える。したがって、高インピーダンスゾーン631を介してプラテン626の上方から真空プレナムに流れる集合的な空気流は、バッフル634によって画定される通路を通過する。空気流阻害構造632はまた、空気流が真空プレナムと通路の内部との間を通過することを妨げるために、1つ以上のアパーチャ有する流動阻害部分635を備える。この文脈では、流動が妨げられることを可能にすることは、空気流が完全に、制限され、抑制されるか、又はそうでなければ、空気流の流量がそうでなければ制限がない場合よりも低くなるように、空気流を阻害することを指す。例えば、流動不良部分635は、穿孔部又は他のアパーチャを有するバッフル634の一部を含み得る。別の例として、流動阻害部分635は、フィルタ、メッシュ、多孔質材料、布、繊維のアレイ(例えば、ブラシ)、又は空気流を可能にするが阻止する任意の他の構造を含み得る。この実施形態の1つの利点は、高インピーダンスゾーン631全体のサイズと比較した、流動阻害部分635のコンパクトなサイズである。-比較的小さい流れの阻害部分635を使用して、プラテン626の比較的大きな領域を通る空気流を制御することができる。
【0062】
高インピーダンスゾーン631は、印刷媒体の前縁部LE及び後縁部TEの近くに発生する画像のにじみの量を低減する。例えば、図6は、印刷媒体605_2の前縁部LEが、図1Dに示される状態と同様の印刷ヘッド610_1の下に位置する状態を示す。そのような状態では、図6の破線矢印によって示されるように、空気は、中間媒体ゾーン622における覆われていない穴621及び穴627を通して引き下げられる。これらの覆われていない穴621及び627が印刷ヘッド610_1のインク堆積領域612に近接しているため、これらの穴621及び626を通して吸引されるこれらの空気流のいくつかは、図1Dに示される同様の状態に関して上で説明したように、堆積領域612を通過する横断流を含み、したがって、前縁部LE付近で画像のにじみを生成する。しかしながら、空気流阻害構造632_1が存在するため、この状態での覆われていない穴621及び627を通る空気流の速度は、そのような構造が存在しない図1Dに示される状態と比較して著しく低減される。覆われていない穴621及び627を通る空気流の流量が低減されるため、横断流の強度が低減され、したがって、前縁部LE近くの画像のにじみの量が減少する。
【0063】
図6はまた、印刷媒体605_1の後縁部TEが、図1Aに示される状態と同様の印刷ヘッド610_3の下に位置する状態を示している。そのような状態では、印刷ヘッド610_3のインク堆積領域612への媒体間ゾーンの近接性により、媒体間ゾーン622における覆われていない穴621及び627は、印刷ヘッド610_3のインク堆積領域612を通って流れるいくつかの横断流を含む気流を誘導する。これらの横断流は、図1Aに関して上述したように、後縁部TEの近くに画像のにじみを生じる。しかしながら、空気流阻害構造632_3が存在するため、これらの空気流の流量は、図1Aに示す状態と比較して著しく低減され、したがって、横断流の強度及び後縁部TEの近くの画像のにじみの量が低減される。
【0064】
ここで図7を参照すると、印刷システム700の更に別の実施形態が説明される。印刷システム700は、上記の印刷システム300及び100として使用することができる。印刷システム700は、印刷アセンブリ701及び媒体輸送アセンブリ703を備え、これらは、印刷アセンブリ301又は101及び媒体輸送アセンブリ303又は301としてそれぞれ使用され得る。媒体輸送アセンブリ703は、印刷ヘッドモジュール302と同様に、各々が印刷ヘッド710及びキャリアプレート711を有する、いくつかの印刷ヘッドモジュール702を備える。媒体輸送アセンブリ703は、真空プラテン327と同様に、プラテン穴727を有する真空プラテン727、及び可動支持面320と同様の穴721を有する可動支持面720を備える。図7では、プラテン穴727は、上述のように、プラテンチャネル730に結合された貫通穴部分である。しかしながら、他の実施形態では、異なる形状のプラテン穴727を使用することができる。図7では、断面が取る線(例えば、図4のD)に沿うため、図には隠されているいくつかのプラテン穴727が、破線で示される。
【0065】
印刷システム700は、高インピーダンスゾーン331及び131として使用され得る複数の高インピーダンスゾーン731(例えば、731_1及び731_3)を備える。高インピーダンスゾーン731は、図4に示す高インピーダンスゾーン331と同様の方法で、各印刷ヘッド710に提供され得る。したがって、印刷ヘッド710_1に高インピーダンスゾーン731_1が提供され、印刷ヘッド710_3に高インピーダンスゾーン731_3が提供される(図7では見えない他の印刷ヘッド710に対して追加の高インピーダンスゾーン731が提供され得る)。印刷システム700では、各高インピーダンスゾーン731は、複数の空気流阻害構造732、すなわち、各プラテン穴327及び/又はそれぞれの高インピーダンスゾーン731に位置するプラテンチャネル330のための1つの空気流阻害構造732を備える。図7では、空気流阻害構造732は、プラテンチャネル330内に位置決めされているものとして示されているが、他の実施形態では、空気流阻害構造732は、プラテン穴727内、又はプラテン穴727内及びチャネル730内の両方に位置決めされ得る。したがって、各空気流阻害構造732は、個々のプラテン穴727及び/又はチャネル730のインピーダンスを増加させ、これにより、高インピーダンスゾーン731の集合的な空気流インピーダンスが増加する。空気流阻害構造732は、多孔質材料(例えば、スポンジ)、フィン、ピンアレイ、ピンフィンアレイ、繊維のアレイ(例えば、ブラシ)、フィルタ、メッシュ、布、又は空気流を可能にするが阻止するが、プラテン穴727内に位置決めすることができる任意の他の構造を備え得る。この実施形態は、調整された吸引流及び吸引圧力の均一性を潜在的に改善することができる。更に、いくつかの実施形態では、空気流阻害構造732は、プラテン穴727及び/又はチャネルごとに提供されるため、インピーダンスは、プラテン穴727及び/又はチャネル730ごとに(例えば、異なるプラテン穴727及び/又はチャネル730内に異なるインピーダンスを有する空気流阻害構造732を提供することによって)微調整又は最適化され得る。いくつかの実施形態では、空気流阻害構造732は、(可動支持面の取り外し時に)真空プラテン726の上側からアクセス可能であり得、必要に応じて(例えば、それらが汚染され、詰まっているか、又は損傷するため)、空気流阻害構造732を、洗浄、修復、取り外し、及び/又は交換することを容易にし得る。
【0066】
高インピーダンスゾーン731は、印刷媒体の前縁部LE及び後縁部TEの近くに発生する画像のにじみの量を低減する。例えば、図7は、印刷媒体705_2の前縁部LEが、図1Dに示される状態と同様の印刷ヘッド710_1の下に位置する状態を示す。そのような状態では、図7の破線矢印によって示されるように、空気は、中間媒体ゾーン722における覆われていない穴721及び穴727を通して引き下げられる。これらの覆われていない穴721及び727が印刷ヘッド710_1のインク堆積領域712に近接しているため、これらの穴721及び726を通して吸引されるこれらの空気流のいくつかは、図1Dに示される同様の状態に関して上で説明したように、堆積領域712を通過する横断流を含み、したがって、前縁部LE付近で画像のにじみを生成する。しかしながら、空気流阻害構造732が存在するため、この状態の覆われていない穴721及び727を通る空気流の速度は、そのような構造が存在しない図1Dに示される状態と比較して著しく低減される。覆われていない穴721及び727を通る空気流の流量が低減されるため、横断流の強度が低減され、したがって、前縁部LE近くの画像のにじみの量が減少する。
【0067】
図7はまた、印刷媒体705_1の後縁部TEが、図1Aに示される状態と同様の印刷ヘッド710_3の下に位置する状態を示している。そのような状態では、印刷ヘッド710_3のインク堆積領域712への媒体間ゾーンの近接性により、媒体間ゾーン722における覆われていない穴721及び727は、印刷ヘッド710_3のインク堆積領域712を通って流れるいくつかの横断流を含む気流を誘導する。これらの横断流は、図1Aに関して上述したように、後縁部TEの近くに画像のにじみを生じる。しかしながら、空気流阻害構造732が存在するため、これらの空気流の流量は、図1Aに示す状態と比較して著しく低減され、したがって、横断流の強度及び後縁部TEの近くの画像のにじみの量が低減される。
【0068】
ここで図8を参照すると、印刷システム800の別の実施形態が説明される。印刷システム800は、上記の印刷システム300及び100として使用することができる。印刷システム800は、印刷アセンブリ801及び媒体輸送アセンブリ803を備え、これらは、印刷アセンブリ301又は101及び媒体輸送アセンブリ303又は301としてそれぞれ使用され得る。媒体輸送アセンブリ803は、印刷ヘッドモジュール302と同様に、各々が印刷ヘッド810及びキャリアプレート811を有する、いくつかの印刷ヘッドモジュール802を備える。媒体輸送アセンブリ803は、真空プラテン327と同様に、プラテン穴827を有する真空プラテン827、及び可動支持面320と同様の穴821を有する可動支持面820を備える。図8では、プラテン穴827は、上述のように、プラテンチャネル830に結合された貫通穴である。しかしながら、他の実施形態では、異なる形状のプラテン穴827を使用することができる。図8では、断面が取る線(例えば、図4のD)に沿うため、図には隠されているいくつかのプラテン穴827が、破線で示される。
【0069】
印刷システム800は、高インピーダンスゾーン331及び131として使用され得る複数の高インピーダンスゾーン831(例えば、831_1及び831_3)を備える。高インピーダンスゾーン831は、図4に示す高インピーダンスゾーン331と同様の方法で、各印刷ヘッド810に提供され得る。したがって、印刷ヘッド810_1に高インピーダンスゾーン831_1が提供され、印刷ヘッド810_3に高インピーダンスゾーン831_3が提供される(図8では見えない他の印刷ヘッド810に対して追加の高インピーダンスゾーン831が提供され得る)。印刷システム500、600及び700とは対照的に、印刷システム800において、高インピーダンスゾーン831は、空気流阻害構造832を備えない。代わりに、印刷システム800において、高インピーダンスゾーン831は、真空プラテン826における他の場所でプラテン穴827と比較して、高インピーダンスゾーン831におけるプラテン穴827の異なる構成を含む空気流制限機構によって確立される。例えば、図8では、高インピーダンスゾーン831に位置するプラテン穴827は、低インピーダンスゾーンに位置するプラテン穴827よりも小さい断面積を有する、すなわち、高インピーダンスゾーン831におけるプラテン穴827の直径dは、インピーダンスゾーンにおけるプラテン穴827の直径dよりも小さい。高インピーダンスゾーン831におけるプラテン穴827のより小さな断面積は、プラテン穴827を通るより大きな空気流インピーダンスをもたらす。他の実施形態では、増加したインピーダンスは、高インピーダンスゾーン831における単位領域(本明細書では「穴密度」と称される)にわたる穴827の数を減らすことによって、高インピーダンスゾーン831におけるプラテン穴827の他の態様を変更することによって提供され得る。いくつかの実施形態では、高インピーダンスゾーン831におけるプラテン穴827の複数の態様は、それらの直径及びそれらの密度の両方を減少させるなど、変更される。この実施形態の利点は、空気流制限機構がプレナム構造に組み込まれていることであり、これは、別個の部品を有するよりも全体的な製造及び維持をより簡単にすることができ、空気流制限機構を提供する。
【0070】
プラテン826に高インピーダンスゾーン831を含めることにより、印刷媒体の前縁部LE及び後縁部TE付近に生じる画像のにじみの量が減少する。例えば、図8は、印刷媒体805_2の前縁部LEが、図1Dに示される状態と同様の印刷ヘッド810_1の下に位置する状態を示す。そのような状態では、図8の破線矢印によって示されるように、空気は、中間媒体ゾーン822における覆われていない穴821及び穴827を通して引き下げられる。これらの覆われていない穴821及び827が印刷ヘッド810_1のインク堆積領域812に近接しているため、これらの穴821及び826を通して吸引されるこれらの空気流のいくつかは、図1Dに示される同様の状態に関して上で説明したように、堆積領域812を通過する横断流を含み、したがって、前縁部LE付近で画像のにじみを生成する。しかしながら、印刷ヘッド810付近のプラテン穴827は、より高いインピーダンスを有するため、この状態の覆われていない穴821及び827を通る空気流の速度は、図1Dに示される状態と比較して著しく低減され、プラテン穴のすべてが同様のインピーダンスを有する。覆われていない穴821及び827を通る空気流の流量が低減されるため、横断流の強度が低減され、したがって、前縁部LE近くの画像のにじみの量が減少する。
【0071】
図8はまた、印刷媒体805_1の後縁部TEが、図1Aに示される状態と同様の印刷ヘッド810_3の下に位置する状態を示している。そのような状態では、印刷ヘッド810_3のインク堆積領域812への媒体間ゾーンの近接性により、媒体間ゾーン822における覆われていない穴821及び827は、印刷ヘッド810_3のインク堆積領域812を通って流れるいくつかの横断流を含む気流を誘導する。これらの横断流は、図1Aに関して上述したように、後縁部TEの近くに画像のにじみを生じる。しかしながら、プラテン穴827がより高いインピーダンスを有するため、これらの空気流の流量は、図1Aに示す状態と比較して著しく低減され、したがって、横断流の強度及び後縁部TEの近くの画像のにじみの量が低減される。
【0072】
図5図8は、真空プラテンにおいて高インピーダンスゾーンを確立する空気流制限機構を備える印刷システムの様々な実施形態を示す。これらの実施形態は限定的ではない。特に、真空プラテンの別のゾーンと比較して、真空プラテンの1つのゾーンを通るインピーダンスを増加させるために、任意の流動阻害構造及び/又はプラテン穴の任意の構成を使用することができる。例えば、上記のアプローチのいずれかは、修正の有無にかかわらず、上記の他のアプローチのいずれかと組み合わせることができる。特に、流動阻害構造は、プラテン穴の構成を変化させることと組み合わせて使用することができる。更に、様々な構成要素の特定の構成が図に示され、文脈を提供し、かつ理解を支援するように詳細に説明されるが、本明細書に開示される実施形態は、異なるように構成された印刷ヘッドモジュール、印刷ヘッド、真空プレナム、真空プラテン、プラテン穴、及び/又は可動支持面など、例示される例とは異なるように構成され得る様々な印刷システムを包含することを理解されたい。特に、高インピーダンスゾーン(例えば、印刷ヘッド付近)及び低インピーダンスゾーン(例えば、印刷媒体装填領域付近)を提供することに関連する本明細書に開示される技術は、印刷ヘッドモジュール、印刷ヘッド、真空プレナム、真空プラテン、プラテン穴、及び/又は可動支持面の特定の構成に関係なく、様々な印刷システムで使用することができる。
【0073】
上記のように、様々な実施形態では、空気流制限機構は、高インピーダンスゾーンに位置する個々のプラテン穴又はプラテンチャネル内に設置された複数の空気流阻害構造を含む。様々な実施形態を含む印刷システムの実施形態は、図9A図12Bに関して以下でより詳細に説明される。これらの空気流阻害構造は、例えば、印刷システム100の実施形態において、かつ/又は上述の空気流阻害構造732として高インピーダンスゾーン131を形成するために使用され得る。以下に記載される空気流阻害構造の様々な実施形態は、単なる例であり、非限定的である。当業者は、他のタイプの流動阻害構造が、以下に記載されるように同様の方法でプラテン穴及び/又はプラテンチャネル内に設置され得ることを理解するであろう。
【0074】
図9A及び図9Bは、流動阻害構造がプラテン926内のプラテンチャネル930内に設置されたフィンアレイ971を備える実施形態を示している。図9Bは、プラテン926の一部分の平面図を示し、図9Aは、図9BのEに沿った断面図である。フィンアレイ971は、チャネル930の長手方向寸法にほぼ平行に延在し、プラテン穴927上に延在する数フィン972を備える。フィン972は、互いに平行に位置決めされた比較的薄いプレート様構造を備える。フィン972は、プラテン926に一体的に接続され得る(例えば、プラテン926に機械加工されたスカイビングされたフィン)か、又はそれらは、プラテン926とは別個に形成され、次いで、その後にプラテン926に結合され得る。フィン972の寸法、フィン972間の間隔、及び提供されるフィン972の数は限定されない。
【0075】
図10A及び図10Bは、流動阻害構造が、プラテン穴1027内に設置されたアパーチャ1074を有する壁1073を備える実施形態を示す。プラテン穴1027は、プラテン1026におけるチャネル1030に結合されている。図10Bは、プラテン1026の一部分の平面図を示し、図10Aは、図10BのFに沿った断面図である。単純化のために1つのアパーチャ1074のみが図示されているが、任意の数のアパーチャ1074が提供され得る。インピーダンスは、アパーチャ1074の数及び/又は寸法を調整することによって、所望のレベルに制御され得る。アパーチャ1074は、任意のサイズ及び形状であり得、壁1073内のどこに位置し得る。
【0076】
図11A図11Dは、プラテンチャネル1130及び/又はプラテン1126内のプラテン穴1127内に設置された多孔質材料1175(例えば、多孔質材料1175a、1175b)を含む実施形態を示す。図11B及び図11Dは、プラテン1126の一部分の平面図を示し、図11A及び図11Cは、図11B及び図11DのそれぞれG及びHに沿った断面図である。図11A及び図11Bは、多孔質材料1175aがプラテンチャネル1130内に設置されている実施形態の第1の構成を示す。図11C及び図11Dは、多孔質材料1175bがプラテン穴1127内に設置されている実施形態の第2の構成を示す。多孔質材料1175は、スポンジ、布、フィルタ、フォーム、スチールウールなどを含む非限定的な例を有する任意のタイプの多孔質材料を含み得る。
【0077】
図12A及び図12Bは、流動阻害構造が、プラテン穴1227上、プラテン穴1227の下方、又はプラテン穴1227内に設置された1つ以上のメッシュスクリーン1278を含む実施形態を示す。プラテン穴1227は、プラテン1226におけるチャネル1230に結合されている。図12Bは、プラテン1226の一部分の平面図を示し、図12Aは、図12BのIに沿った断面図である。メッシュスクリーン1278は、ワイヤメッシュ、ファイバメッシュなどの任意のタイプのメッシュを含むことができる。インピーダンスは、メッシュスクリーン1278の開口部のサイズを変化させることによって、かつ/又は提供されるメッシュスクリーン1278の数を変更することによって、所望のレベルに制御され得る。メッシュスクリーン1278の寸法及び数は限定されない。
【0078】
本明細書並びに本発明の態様及び実施形態を例示する添付の図面は、限定として解釈されるべきではなく、特許請求の範囲は、保護された発明を定義する。本明細書及び特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な機械的、組成的、構造的、電気的及び動作的変更を行うことができる。いくつかの例では、本発明を不明瞭にしないために、周知の回路、構造及び技術は、詳細に示されていないか、又は説明されていない。2つ以上の図における同様の番号は、同じ又は同様の要素を表す。
【0079】
更に、空間的及び関係的用語などの本発明の態様を説明するために本明細書で使用される用語は、本発明の実施形態を理解する際に読者を助けるために選択されるが、本発明を限定することを意図するものではない。例えば、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下(lower)」、「上方(above)」、「上部(upper)」、「内側(inboard)」、「外側(outboard)」、「上(up)」、「下(down)」などの空間的用語が、本明細書では、図に示されるように、別の要素又は特徴に対する方向又は1つの要素若しくは特徴の空間的関係を説明するために使用され得る。これらの空間的用語は、図に示される姿勢に対して使用され、実世界の特定の参照フレームに限定されない。したがって、例えば、図における「上(up)」の方向は、必ずしもワールド参照フレーム内の「上(up)」に(例えば、地球の表面から離れて)対応する必要はない。更に、異なる参照フレームが図に示されるものとみなされる場合、本明細書で使用される空間的用語は、異なる参照フレームにおいて異なって解釈される必要があり得る。例えば、図のうちの1つに対して「上(up)」と称される方向は、図の参照フレームから180度回転される異なる参照フレームに関して「下(down)」と呼ばれる方向に対応し得る。別の例として、図に示された方法と比較して、デバイスが世界参照フレームにおいて180度に回転される場合、図に関連する第2のアイテムの「上方(above)」又は「上(over)」として本明細書に記載されるアイテムは、世界参照フレームに対して第2のアイテムの「下方(below)」又は「下(beneath)」にある。したがって、どの参照フレームが考慮されているかに応じて、異なる空間的用語を使用して、同じ空間的関係又は方向を説明することができる。更に、図に示されるアイテムの姿勢は、例示及び説明の便宜のために選択されるが、実施における実施態様において、アイテムは異なる姿勢であり得る。
【0080】
「プロセス方向」という用語は、印刷媒体がインク堆積アセンブリの堆積領域を通して輸送されるにつれて移動するときに、同じ方向に平行であり、それを指す方向を指す。したがって、プロセス方向は、図中のy軸に平行であり、かつy軸の正の方向を指す方向である。
【0081】
「クロスプロセス方向」という用語は、プロセス方向に対して垂直で、可動支持面に平行な方向を指す。任意の所与の点で、反対方向、すなわち「内側」クロスプロセス方向及び「外側」クロスプロセス方向を指す2つのクロスプロセス方向がある。したがって、図に示される参照フレームを考慮すると、クロスプロセス方向は、x軸に沿った正又は負の方向を指す方向を含む、x軸に平行な任意の方向である。本明細書における「クロスプロセス方向」への言及は、文脈によって別段に示されない限り、1つの特定のクロスプロセス方向ではなく、概して、クロスプロセス方向のいずれかを指すものとして理解されるべきである。したがって、例えば、「弁がクロスプロセス方向に可動である」という記述は、弁が内側方向、外側方向又は両方向に移動することができることを意味する。
【0082】
「上流」及び「下流」という用語は、プロセス方向に平行な方向を指し得、「下流」は、プロセス方向と同じ方向を向く(すなわち、印刷媒体がインク堆積アセンブリを通って輸送される方向)を指し、「上流」は、プロセス方向の反対側を向く方向を指す。図において、「上流」は、y軸の負の方向に対応し、「下流」は、y軸の正の方向に対応する。「上流」及び「下流」という用語はまた、要素の相対場所を指すために使用されてもよく、「上流」要素は、基準点に対して上流方向に変位され、「下流」要素は、基準点に対して下流方向に変位される。言い換えれば、「上流」要素は、いくつかの他の基準要素よりも、インク堆積アセンブリ(例えば、印刷媒体が可動支持面を接合する場所)を通って輸送されるときに、印刷媒体が取る経路の始まりにより近い。逆に、「下流」要素は、いくつかの他の基準要素よりも、経路の端部(例えば、印刷媒体が支持面を離れる場所)により近い。「上流」又は「下流」要素が比較される他の要素の基準点について、明示的に述べられ得(例えば、「印刷ヘッドの上流側」)、又は文脈から推測され得る。
【0083】
「内側」及び「外側」という用語は、クロスプロセス方向を指し、「内側」が1つのクロスプロセス方向を指し、「外側」が「内側」と反対のクロスプロセス方向を指す。図において、「内側」は、x軸の正の方向に対応し、「外側」は、x軸の負の方向に対応する。「内側」及び「外側」という用語はまた、相対場所を指し、「内側」要素が基準点に対して内側方向に変位され、「外側」要素が基準点に対して外側方向に変位される。基準点は、明示的に述べられ得(例えば、「印刷ヘッドの内側」)、又は文脈から推測され得る。
【0084】
「垂直」という用語は、堆積領域における可動支持面に垂直な方向を指す。任意の所与の点で、反対方向、すなわち「上向き」方向及び「下向き」方向を指す2つの垂直方向がある。したがって、図に示される参照フレームを考慮すると、垂直方向は、z軸の正の方向(「上(up)」)又はz軸の負の方向(「下(down)」)を向く方向を含む、z軸に平行な任意の方向である。
【0085】
「水平」という用語は、堆積領域における可動支持面に平行な(又は可動支持面が堆積領域において平坦ではない場合、堆積領域において可動支持面に接する)方向を指す。水平方向は、プロセス方向及びクロスプロセス方向を含む。
【0086】
「真空」という用語は、すべての物質を欠く空間の厳密な意味から比較的低圧力状態のより一般的な意味まで、様々な意味を有する。本明細書では、「真空」という用語は、一般的な意味で使用され、空気圧が周囲圧力又は大気圧などのいくつかの基準圧力よりも低い状態又は環境を広く指すものとして理解されるべきである。真空環境の圧力が、「真空」とみなすべき基準圧力の圧力よりも低くなければならない量は、限定的ではなく、少量又は大量であり得る。したがって、本明細書で使用される「真空」としては、これらに限定されないが、用語のより厳密な感覚下で「真空」とみなすことができる状態が挙げられ得る。
【0087】
「空気」という用語は、地球の大気の厳密な意味(又はその組成物が地球の雰囲気のものと同様であるガスの混合物)から、任意のガス又はガスの混合物のより一般的な意味まで、様々な状況において様々な意味を有する。本明細書では、「空気」という用語は、一般的な意味で使用され、ガスの任意のガス又は混合物を広く指すものとして理解されるべきである。これには、これらに限定されないが、地球の大気、希ガスなどのうちの1つの不活性ガス(例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴンなど)、窒素(N)ガス、又は任意の他の所望のガス又はガス混合物を含み得る。
【0088】
加えて、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が他に示されない限り、複数形も含むことが意図される。また、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」という用語は、記載された特徴、ステップ、動作、要素及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素及び/又はグループの存在又は追加を排除しない。別途特に記載されない限り、結合されたものとして記載された構成要素は、電気的又は機械的に結合され得るか、又は1つ以上の中間構成要素を介して間接的に結合され得る。数学的及び幾何学的用語は、当業者は、例えば、実質的に同様の方法で機能する実質的に同様の要素が説明的な用語の範囲内に容易に収まり得ることを理解するであろうことから、用語がまた厳密な定義を有しているとしても、説明の文脈が別途示されていない限り、それらの厳密な定義に従って使用されることを必ずしも意図するものではない。
【0089】
一実施形態を参照して詳細に説明される要素及びそれらの関連付けられた態様は、実用的である場合は常に、それらが具体的に図示されていないか、又は説明されていない他の実施形態に含まれ得る。例えば、一実施形態を参照して、要素が詳細に説明され、第2の実施形態を参照して説明されていない場合、要素は、第2の実施形態に含まれるものとして特許請求され得る。
【0090】
本明細書に記載される特定の実施例及び実施形態は非限定的であり、本教示の範囲から逸脱することなく、構造、寸法、材料及び方法論に対する修正を行うことができることを理解されたい。
【0091】
本開示による他の実装形態は、本明細書及び本明細書に開示された発明の実施を考慮することから当業者には明らかとなるであろう。本明細書及び実施形態は、例示的なものとしてのみ考慮されることが意図され、以下の特許請求の範囲は、適用可能な法則下で、等価物を含むそれらの最大限幅に権利を与える。

図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B