(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158983
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】モータ及び駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 3/50 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
H02K3/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036287
(22)【出願日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】202110346145.7
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】黄 云霆
(72)【発明者】
【氏名】董 修全
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604CC01
5H604DB01
5H604QB01
5H604QB03
5H604QB14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】リブの強度とバスバーの金属電気接続端子のはんだ付けスペースとを両立させることができるモータ及び駆動装置を提供する。
【解決手段】モータは、樹脂製のバスバーホルダと、該バスバーホルダに一体成形された金属電気接続端子1121と、を備えたバスバーアセンブリを備え、バスバーホルダは、外周壁1111と、外周壁1111の径方向内側に位置する軸受支持部1112と、径方向において外周壁1111と軸受支持部1112とを連結する複数の径方向連結部と、を備え、複数の径方向連結部は、金属電気接続端子1121の少なくとも一部が一体成形された第1の径方向連結部1113-1と、金属電気接続端子1121が成形されていない第2の径方向連結部1113-2と、を備え、第1の径方向連結部1113-1の周方向寸法は、第2の径方向連結部1113-2の周方向寸法よりも小さい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のバスバーホルダと、
前記バスバーホルダに一体成形された金属電気接続端子と、
を備えたバスバーアセンブリを備えるモータであって、
前記バスバーホルダは、
外周壁と、
前記外周壁の径方向内側に位置する軸受支持部と、
径方向において、前記外周壁と前記軸受支持部とを連結する複数の径方向連結部と、
を備え、
前記複数の径方向連結部は、
前記金属電気接続端子の少なくとも一部が一体成形された第1の径方向連結部と、
前記金属電気接続端子が成形されていない第2の径方向連結部と、
を備え、
前記第1の径方向連結部の周方向寸法は、前記第2の径方向連結部の周方向寸法よりも小さい、モータ。
【請求項2】
前記金属電気接続端子は、周方向において、前記モータの電源コネクタに近い側に位置し、
前記第1の径方向連結部は、周方向において、前記電源コネクタに近い側に位置する、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記金属電気接続端子は、
前記第1の径方向連結部に埋め込まれ、且つ、前記第1の径方向連結部の径方向外側に位置し、前記電源コネクタの延在方向と平行な第1の方向に沿って延在する第1の延在部と、
前記第1の方向と所定の角度をなす第2の方向に沿って前記第1の延在部の径方向内側端部から延在し、コイル引出線と電気的に接続される第2の延在部と、
を備え、
前記第1の径方向連結部の、前記第1の延在部における幅は、前記第1の径方向連結部の他の部分の幅よりも大きい、請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
前記複数の径方向連結部が備える前記第2の径方向連結部は1つであって、
前記第2の径方向連結部は、前記第1の径方向連結部に対し、周方向において、前記電源コネクタから遠い側に設けられる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記第2の径方向連結部は、前記第1の径方向連結部に対し、周方向において、前記電源コネクタから遠い側に設けられ、
前記第2の径方向連結部は、複数設けられ、
前記バスバーホルダにおいて、複数の前記第2の径方向連結部の周方向の間は、軸方向に貫通する構造である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項6】
少なくとも1つの前記第2の径方向連結部の径方向内側端部において、周方向の少なくとも片側の壁部に、金属ピンが成形された支持樹脂が設けられている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項7】
前記バスバーアセンブリには、前記第1の径方向連結部、及び、前記金属電気接続端子を軸方向に貫通する貫通孔が設けられている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項8】
前記金属電気接続端子は、
前記第1の径方向連結部に埋め込まれ、且つ、前記第1の径方向連結部の径方向外側に位置し、モータの電源コネクタの延在方向に平行な第1の方向に沿って延在する第1の延在部と、
前記第1の径方向連結部に埋め込まれるとともに、前記第1の延在部の径方向内側端部から径方向内側に向かって延在する第3の延在部と、
を備え、
前記貫通孔は、前記第3の延在部を貫通する、請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記金属電気接続端子の末端は、爪部を有し、
前記爪部は、コイル引出線と電気的に接続され、
前記爪部の少なくとも周方向の片側には、前記第1の径方向連結部が設けられる、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のモータを有する、駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、モータ及び駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のモータは、バスバーを保持するバスバーホルダを備える。従来のいくつかの構造においては、バスバーホルダは、外輪と、軸受支持ベースとしての内輪と、外輪と内輪とを径方向に連結する複数の樹脂製リブ部とを有する。複数のリブ部は、周方向において間隔を空けて設けられる。バスバーの金属電気接続端子は、バスバーホルダの外輪から引き出されて、内輪と外輪との間の、リブ部が設けられていない位置に配置され、金属電気接続端子と導線のはんだ付けを行うスペースを確保する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構造を有するバスバーホルダのモータにおいては、モータのロータが軸受を介してバスバーホルダ中心の位置に設けられ、軸受支持ベースとしての内輪が軸受を支持する。モータのロータには安定した回転が必要なため、軸受支持ベースとしての内輪の構造強度について一定の要求を有している。しかも、リブ部が内輪を支持し、リブ部は構造強度を保証するために周方向において十分な寸法を有していなければならないため、金属電気接続端子と導線のはんだ付けを行うスペースが小さくなる。そのため、リブ部の強度と金属電気接続端子のはんだ付けスペースとを両立させることができない。
【0005】
背景技術についての上記の説明は、本願発明が解決しようとする課題について明確且つ十全に説明するとともに、当業者の理解を容易にするために叙述したものであるに過ぎないことには留意しなければならない。これらの課題について、本願の背景技術において叙述を行っていることのみを理由に、当業者にとって公知であると見なしてはならない。
【0006】
上記課題の少なくとも1つ又は類似した課題を解決するために、本願発明の実施例は、リブの強度とバスバーの金属電気接続端子のはんだ付けスペースとを両立させることができるモータ及び駆動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の実施例の1つのモータによれば、樹脂製のバスバーホルダと、前記バスバーホルダに一体成形された金属電気接続端子と、を備えたバスバーアセンブリを備え、前記バスバーホルダは、外周壁と、前記外周壁の径方向内側に位置する軸受支持部と、径方向において前記外周壁と前記軸受支持部とを連結する複数の径方向連結部と、を備え、前記複数の径方向連結部は、前記金属電気接続端子の少なくとも一部が一体成形された第1の径方向連結部と、前記金属電気接続端子が成形されていない第2の径方向連結部と、を備え、前記第1の径方向連結部の周方向寸法は、前記第2の径方向連結部の周方向寸法よりも小さい。
【0008】
本願発明の1つ又は複数の実施例において、前記金属電気接続端子は、周方向において、前記モータの電源コネクタに近い側に位置し、前記第1の径方向連結部は、周方向において、前記電源コネクタに近い側に位置する。
【0009】
本願発明の1つ又は複数の実施例において、前記金属電気接続端子は、前記第1の径方向連結部に埋め込まれ、且つ、前記第1の径方向連結部の径方向外側に位置し、前記電源コネクタの延在方向と平行な第1の方向に沿って延在する第1の延在部と、前記第1の方向と所定の角度をなす第2の方向に沿って前記第1の延在部の径方向内側端部から延在し、コイル引出線と電気的に接続される第2の延在部と、を備え、前記第1の径方向連結部の、前記第1の延在部における幅は、前記第1の径方向連結部の他の部分の幅よりも大きい。
【0010】
本願発明の1つ又は複数の実施例おいて、前記複数の径方向連結部が備える前記第2の径方向連結部は1つであって、前記第2の径方向連結部は、前記第1の径方向連結部に対し、周方向において、前記電源コネクタから遠い側に配置されている。
【0011】
本願発明の1つ又は複数の実施例において、前記第2の径方向連結部は、前記第1の径方向連結部に対し、周方向において、前記電源コネクタから遠い側に設けられ、前記第2の径方向連結部は、複数設けられ、前記バスバーホルダにおいて、複数の前記第2の径方向連結部の周方向の間は、軸方向に貫通する構造である。
【0012】
本願発明の1つ又は複数の実施例において、少なくとも1つの前記第2の径方向連結部の径方向内側端部において、周方向の少なくとも片側の壁部に、金属ピンが成形された支持樹脂が設けられている。
【0013】
本願発明の1つ又は複数の実施例において、前記バスバーアセンブリには、前記第1の径方向連結部、及び、金属電気接続端子を軸方向に貫通する貫通孔が設けられている。
【0014】
本願発明の1つ又は複数の実施例において、前記金属電気接続端子は、前記第1の径方向連結部に埋め込まれ、且つ、前記第1の径方向連結部の径方向外側に位置し、前記モータの電源コネクタの延在方向に平行な第1の方向に沿って延在する第1の延在部と、前記第1の径方向連結部に埋め込まれるとともに、前記第1の延在部の径方向内側端部から径方向内側に向かって延在する第3の延在部と、を備え、前記貫通孔は、前記第3の延在部を貫通する。
【0015】
本願発明の1つ又は複数の実施例において、前記金属電気接続端子の末端は、爪部を有し、前記爪部は、コイル引出線と電気的に接続され、前記爪部の少なくとも周方向の片側には、前記第1の径方向連結部が設けられる。
【0016】
本願発明の1つの実施例において、上述のいずれかのモータを備えるた駆動装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本願発明の一実施例は、第1の径方向連結部の幅を狭くすることで、バスバーの金属電気接続端子をはんだ付けする作業スペースを改善する場合に、第1の径方向連結部の強度を低下させることなく、第1の径方向連結部の強度とバスバーの金属電気接続端子のはんだ付けスペースとを両立させることができる。
【0018】
後述の説明及び図面を参照すると、本願発明の特定の実施形態を詳細に開示しており、本願発明の特徴が採用され得る形態を明示している。本願発明の実施形態は、後述の説明及び図面に開示されているものに限られない。特許請求の範囲内において、本願発明の実施形態は多くの変更、修正及び均等を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本願発明の実施例の1つのモータの概略図である。
【
図2】
図2は、本願発明の実施例の1つのバスバーホルダの概略図である。
【
図3】
図3は、本願発明の実施例のもう1つのバスバーホルダの概略図である。
【
図4】
図4は、本願発明の実施例のさらにもう1つのバスバーホルダの概略図である。
【
図6】
図6は、本願発明の実施例のさらにもう1つのバスバーホルダの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を参照すると、以下の明細書によって、本願発明の前述の特徴及びその他の特徴が明確になる。本願発明を採用可能な一部の実施形態を示している、本願発明の特定の実施形態を、明細書及び図面において具体的に開示している。本願発明は、記述された実施形態に限定されない。逆に、本願発明は、添付された特許請求の範囲に該当するすべての修正、変形及び均等物を含む。
【0021】
以下の実施例においては、「及び/又は」という用語は、関連して列挙される用語の1種又は複数のうちのいずれか1つ及びすべての組み合わせを含む。「を含む」、「を備える」、「を有する」等の用語は、申し述べる特徴、要素、部品又はアセンブリの存在を指すが、1つ又は複数の他の特徴、要素、部品又はアセンブリが存在するか又はそれらを添加することを排除しない。
【0022】
以下の実施例においては、「一」、「該」等の単数形は複数形を含んでいてよく、「一種の」又は「一タイプの」であると広義に理解するべきであり、「1つの」という意味合いに限定するものではない。また、「前記」という用語は、前後で別途明示されていない限り、単数形も複数形も含むと理解するべきである。また、前後で別途明示されていない限り、「によれば」という用語は「少なくとも部分的に……によれば」と理解するべきであり、「に基づいて」という用語は、「少なくとも部分的に……に基づいて」と理解するべきである。
【0023】
なお、本願の下記説明においては、説明の都合のために、モータの中心軸OO’に沿って延在する方向又はそれと平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。中心軸OO’を中心とする半径方向を「径方向」と呼ぶ。径方向において中心軸OO’に近づく方向を「径方向内側」又は「内側」と呼び、径方向において中心軸OO’から遠ざかる方向を「径方向外側」又は「外側」と呼ぶ。中心軸OO’を取り囲む方向を「周方向」と呼ぶ。ただし、これらの方向は、説明の都合のためであるに過ぎず、モータの使用及び製造時の向きを限定することはない。
【0024】
以下、図面を参照し、本願発明の実施例の実施形態について説明する。
【0025】
第1の実施例
【0026】
本願発明の第1の実施例は、モータを提供する。
【0027】
図1は、本願発明の第1の実施例のモータの1つの概略図であり、モータの回転軸に沿ってモータを切り開いて見た図を示している。
【0028】
図1に示すように、モータ100は、バスバーアセンブリ11を備える。バスバーアセンブリ11は、樹脂製のバスバーホルダ111と、バスバーホルダ111に一体成形された金属電気接続端子1121(
図2~
図5参照)と、を備える。
【0029】
図1に示すように、バスバーホルダ111は、外周壁1111、軸受支持部1112及び径方向連結部1113を有する。軸受支持部1112は、外周壁1111の径方向内側に位置する。径方向連結部1113は、複数個ある。径方向連結部1113は、径方向において外周壁1111、及び、軸受支持部1112に連結される。軸方向から見ると、外周壁1111は、環状であってよいが、これに限定されない。外周壁1111は、例えば、方形又は不規則な形状であるなど他の形状であってもよく、本願発明はこれについて制限を行わない。
【0030】
図2は、本願発明の第1の実施例のバスバーホルダの1つの概略図であり、軸方向からバスバーホルダを見た図を示している。
図3は、本願の第1実施例のバスバーホルダのさらにもう1つの概略図であり、側方から
図2のバスバーホルダを見た図を示している。
【0031】
図2~
図3に示すように、外周壁1111と軸受支持部1112とを径方向に連結する径方向連結部1113(1113-1及び1113-2を含む)は、複数設けられる。径方向連結部1113は、金属電気接続端子1121の少なくとも一部が一体成形された第1の径方向連結部1113-1と、金属電気接続端子1121が成形されていない第2の径方向連結部1113-2と、を備える。第1の径方向連結部1113-1の周方向寸法w1は、第2の径方向連結部1113-2の周方向寸法w2よりも小さい。第2の径方向連結部1113-2に金属電気接続端子1121が成形されていないとは、第2の径方向連結部1113-2に金属電気接続端子1121を配置していないことを示している。周方向寸法は、径方向に対して垂直な方向の寸法、或いは、周方向に沿った円弧の長さである。
【0032】
本願発明の上記実施例から、複数の径方向連結部のうち一部の径方向連結部(第1の径方向連結部1113-1)と金属電気接続端子1121とが一体成形されており、且つ、第1の径方向連結部1113-1は、第2の径方向連結部1113-2と比較して小さい周方向寸法を有していることが分かる。金属電気接続端子1121は、樹脂に対して相対的に大きな降伏強度を有している。降伏強度の大きい金属電気接続端子1121が一体成形された第1の径方向連結部1113-1は、比較的小さい周方向寸法w1を有している。そのため、第1の径方向連結部1113-1の周方向寸法w1を小さくすることで、バスバーの金属電気接続端子1121をはんだ付けする作業スペースを改善する場合に、第1の径方向連結部1113-1の強度を低下させることなく、第1の径方向連結部1113-1の強度とバスバーの金属電気接続端子1121のはんだ付けスペースとを両立させることができる。
【0033】
本願発明の実施例において、モータ100は、種々のタイプであってよい。なお、バスバーアセンブリ11以外に、モータ100は、さらに他の部材を備えていてよい。例えば、
図1に示すように、モータ100は、さらに、中心軸OO’を中心として回転する回転軸12と、回転軸12と一緒に回転するロータ13と、ロータ13と径方向に対向して配置されるステータ14と、回転軸12を支持する軸受15と、電源コネクタ16とを備えていてよい(
図2~
図6の通り)。軸受支持部1112は、軸受15を支持する。ステータ14は、ステータコアと、ステータコアに巻回された巻線141と、を備える。巻線141の末端部分は、巻線141が形成するコイルのO側から引き出すことができる。引き出された末端部分の導線(コイル引出線と呼んでもよい)は、バスバー112の金属電気接続端子1121に電気的に接続される。モータ100の他の部材に関して、
図1は例示的な図であるに過ぎず、以上の説明も例示的な説明であるに過ぎない。
【0034】
本願発明の実施例において、バスバー112(
図4参照)が固定された金型に樹脂を注入することによって、バスバーアセンブリ11を一体形成することができる。バスバー112の数は複数個であってよい。このようなバスバーアセンブリ11では、任意の1つのバスバー112については、バスバー112の1つの端部P(
図4参照)がバスバーホルダ111に露出してよい。バスバー112の露出した端部は、バスバー112の、コイル引出線と電気的に接続される金属電気接続端子1121であってよい。例えば、はんだ付けの方式により、コイル引出線と金属電気接続端子1121との電気的接続を実現し、バスバー112の一部を、そのうち1つの径方向連結部(第1の径方向連結部1113-1)に埋め込むことで該径方向連結部の強度を高める。これにより、該径方向連結部の周方向寸法を小さくすることができる。バスバー112の残余の部分は、バスバーホルダ111の外周壁1111や電源コネクタ16等に埋め込むことができる。第1の径方向連結部1113-1に埋め込む部分をすべてのバスバー112が備えていなければならないわけではない。例えば、
図2に示すように、3つの金属電気接続端子1121のうち中央の位置にある金属電気接続端子1121が対応するバスバー112は、第1の径方向連結部1113-1に埋め込む部分を有していない。すなわち、複数のバスバー112のうち、1または2以上の任意のバスバー112が樹脂によって覆われている部分と樹脂によって覆われていない部分とを有してよく、特に限定されるものではない。。本願発明におけるバスバー112をバスバーホルダ111に埋め込むことは、バスバー112の少なくとも一部が樹脂成形によってバスバーホルダ111の内部に一体成形されるか、或いは、バスバー112の少なくとも一部が、挿入嵌合や締まり嵌め等によってバスバーホルダ111の内部に配置されると理解することができる。本願発明の実施例においては、第1の径方向連結部1113-1の数は、
図2に示すように2つであるなど任意の個数であってよい。第1の径方向連結部1113-1の数は、1つ又は3つであってもよく、特に限定されるものではない。
【0035】
本願発明の実施例において、第1の径方向連結部1113-1の周方向寸法w1が、第2の径方向連結部1113-2の周方向寸法w2よりも小さいとは、例えば、第1の径方向連結部1113-1の径方向の任意の位置における周方向寸法が、いずれも、第2の径方向連結部1113-2の径方向の任意の位置における周方向寸法よりも小さいことを指す。つまり、第1の径方向連結部1113-1の周方向寸法w1が、第2の径方向連結部1113-2の周方向寸法w2よりも小さいとは、第1の径方向連結部1113-1の、径方向の各位置における周方向寸法の最大値が、第2の径方向連結部1113-2の、径方向の各位置における周方向寸法の最小値よりも小さいことを指すが、これに限定されない。例えば、第1の径方向連結部1113-1の、径方向の一部の位置の周方向寸法が、第2の径方向連結部1113-2の、径方向における対応する位置の周方向寸法よりも小さくてもよい。例えば、第1の径方向連結部1113-1の、軸受支持部1112に近い位置における周方向寸法が、第2の径方向連結部1113-2の、軸受支持部1112に近い位置における周方向寸法よりも小さくてよい。以上、いくつかの例を挙げて説明したが、適当な位置で第1の径方向連結部1113-1の周方向寸法を小さくすることではんだ付け作業のスペースを確保することができさえすれば、本願発明は特に限定されるものではない。
【0036】
図2~
図3に示すように、本願発明の1つ又は複数の実施例において、金属電気接続端子1121は、周方向において、モータ100の電源コネクタ16に近い側に位置する。第1の径方向連結部1113-1は、周方向において、電源コネクタ16に近い側に位置する。これにより、金属電気接続端子1121の長さを短くすることができる。つまり、バスバー112の長さを短くし、コストを節約することができる。ただし、本願発明は、これに限定されず、金属電気接続端子1121は周方向上の任意の位置に設けることができる。
【0037】
図2~
図3に示すように、本願発明の1つ又は複数の実施例において、第2の径方向連結部1113-2は、第1の径方向連結部1113-1に対し、周方向において、電源コネクタ16から遠い側に設けられる。第2の径方向連結部1113-2は、複数個設けられる。複数個の第2の径方向連結部1113-2の周方向の間は、軸方向に貫通する構造である。これにより、放熱にさらに有利であり、樹脂の使用量を減らし、コストを低減することもできる。
【0038】
図4は、本願発明の第1の実施例のバスバーホルダのさらにもう1つの概略図であり、バスバーホルダーを透過させてバスバーホルダの中のバスバーの状況を示している。
図5は、
図4に示すバスバーの局部Aの拡大概略図である。
【0039】
図4~
図5に示すように、金属電気接続端子1121は、第1の延在部11211と第2の延在部11212とを備える。第1の延在部11211は、第1の径方向連結部1113-1に埋め込まれ、且つ、第1の径方向連結部1113-1の径方向外側の部分に位置する。第1の延在部11211は、第1の方向P1に沿って延在する。第1の方向P1は、電源コネクタ16の延在方向P0と平行である。第2の延在部11212は、第1の延在部11211の径方向内側端部から第2の方向P2に沿って延在する。第2の方向P2と第1の方向P1とが、所定の角度nをなす。第2の延在部11212とコイル引出線とが、電気的に接続される。第1の径方向連結部1113-1の、第1の延在部11211における幅が最も広い箇所の幅w3は、第1の径方向連結部1113-1の他の部分の幅よりも大きい。
【0040】
径方向に延在する第1の径方向連結部1113-1については、第1の径方向連結部1113-1が、その内部に第1の延在部11211を埋め込むために第1の延在部11211の箇所で比較的大きな周方向寸法を有していなければならない。これにより、第1の径方向連結部1113-1は、第1の延在部11211の箇所で比較的大きな周方向寸法を有しており、第1の径方向連結部1113-1の強度を確実に高めて金属電気接続端子1121を確実に支持することができる。第2の延在部11212の延在方向P2と、第1の径方向連結部1113-1に埋め込まれた第1の延在部11211の延在方向P1とは、所定の角度nをなし、第2の延在部11212が第1の径方向連結部1113からずれて延在するようにし、はんだ付け作業のスペースを保証している。本願発明において、該所定の角度nの大きさについては、特に限定されるものではない。。角度nは、鋭角、直角又は鈍角であってよい。例えば、延在方向P2が、延在方向P1と該所定の角度nをなすことによって、延在方向P2と、第1の径方向連結部1113-1が所在する径方向とが、直角又は略直角をなす。第2の延在部11212は、バスバーホルダ111の外側に向かって延在する。これにより、はんだ付け作業のスペースを確保することができる。
【0041】
図4~
図5に示すように、1つ又は複数の実施例において、第1の径方向連結部1113-1に、第1の径方向連結部1113-1の樹脂部分、及び、金属電気接続端子1121を軸方向に貫通する貫通孔hが設けられている。つまり、貫通孔hは、第1の径方向連結部1113-1の樹脂部分と金属電気接続端子1121とを軸方向に貫通する。これにより、バスバー112とバスバーホルダ111とが一体成形される際の位置決めを、貫通孔hによって実現することができる。
【0042】
図4~
図5に示すように、1つ又は複数の実施例において、金属電気接続端子1121は、第1の延在部11211と第3の延在部11213とを備える。第3の延在部11213は、第1の径方向連結部1113-1の樹脂部分に埋め込まれる。第1の延在部11211の径方向内側端部から径方向内側に向かって延在する。貫通孔hは、第3の延在部11213に設けられる。すなわち、貫通孔hは、第1の径方向連結部1113-1の樹脂部分と第3の延在部11213とを軸方向に貫通する。
【0043】
本願発明の実施例において、金属電気接続端子1121は、第1の径方向連結部1113-1内で第1の径方向連結部1113-1の径方向に沿って延在する第3の延在部11213を備える。バスバーの強度をさらに高めて第1の径方向連結部の構造強度を確保することができる。なお、第3の延在部11213に貫通孔hは形成され、貫通孔hは、第1の延在部11211と第2の延在部11212とから構成される主な電流径路上には設けられない。すなわち、バスバー112とバスバーホルダ111とが一体成形される際の位置決めを、貫通孔hによって実現することができ、且つ、電流強度に影響することもなく、モータの動作性能に影響しない。
【0044】
図6は、本願発明の第1の実施例のバスバーホルダ111のさらにもう1つの概略図である。
図2~
図4の例示と異なるのは、
図2~
図4の例示では、電源コネクタ16から周方向において遠い側に設けられる複数の第2の径方向連結部1113-2は、周方向の間において軸方向に貫通する構造である。
図6の例示では、一体に形成される第2の径方向連結部1113-2が、第1の径方向連結部1113-1に対し、周方向において、電源コネクタ16から遠い側に設けられる。これにより、第1の径方向連結部1113-1の反対側に、一体化された第2の径方向連結部1113-2が形成され、軸受支持部1112の強度を確保することができる。
【0045】
以上、第2の径方向連結部1113-2の数、及び、配置について例示的説明を行った。ただし、本願発明はこれに限定されず、第2の径方向連結部1113-2の数は2つ、4つ又は4つ以上であってもよい。例えば、モータ回転速度[回転/分]に適した第2の径方向連結部が必要とする強度に応じて、第2の径方向連結部1113-2の数を選択することができる。例えば、モータ回転速度が4200[回転/分]である場合、
図2に示す、3つの第2の径方向連結部1113-2を有する構造を採用することができる。この場合、さらに、2つの第1の径方向連結部1113-1を設けることもできる。
【0046】
1つ又は複数の実施例においては、少なくとも1つの第2の径方向連結部の径方向内側端部の周方向の少なくとも片側の壁部に、金属ピンが成形された支持樹脂が設けられている。、支持樹脂を設けることによって、バスバーホルダに加わる応力を分散させることができる。例えば、バスバーホルダをモータのハウジング内部に圧入することで組み付けを行い、そして/或いは、軸受、回路基板等の部材をバスバーホルダに圧入することで組み付けを行う場合に、支持樹脂によって応力を分散させ、圧入作業で軸受支持部1112が破損するのを防止することができる。
【0047】
例えば、
図2~
図4に示すように、3つの第2の径方向連結部1113-2を有するバスバーホルダ111については、そのうち任意の2つの第2の径方向連結部1113-2の径方向内側端部の周方向の片側の壁部に支持樹脂113を設けることができるが、これに限定されない。例えば、支持樹脂113は、1つ又は3つすべての第2の径方向連結部1113-2の径方向内側端部の周方向の片側の壁部に設けてもよい。なお、任意の1つの第2の径方向連結部1113-2については、径方向内側端部の周方向の片側又は両側の壁部に支持樹脂113を設けることができる。
【0048】
例えば、
図6に示すように、1つの第2の径方向連結部1113-2を有するバスバーホルダ111について、つまり、第2の径方向連結部1113-2が一体に形成される場合には、軸方向中央寄りの位置など、第2の径方向連結部1113-2の径方向内側端部の任意の1つの位置に支持樹脂113を設けることができる。或いは、第2の径方向連結部1113-2の径方向内側端部の、周方向に沿って並んだ複数の位置に複数の支持樹脂113を設けることもできる。なお、支持樹脂113は、第2の径方向連結部1113-2の径方向内側端部の少なくとも周方向の片側の壁部に設けてもよい。
【0049】
以上、
図2~
図4及び
図6によって、支持樹脂113の設置方法について例示的な説明を行った。第2の径方向連結部1113-2の数が2つ、4つ又は4つ以上の場合については、上記説明を参照して類似した方法で支持樹脂113を設けることができる。
【0050】
本願発明の実施例においては、
図3に示すように、支持樹脂113の軸方向高さが第2の径方向連結部1113-2の軸方向高さよりも大きくてよい。これにより、バスバーホルダをモータのハウジング内部に圧入する際に応力を分散させて、軸受支持部が破損することを防止することができる。なお、支持樹脂113は、軸受支持部1112に連結することができ、軸受支持部1112と他の部材(第2の径方向連結部1113-2、軸受支持部1112)との接触面積を大きくし、構造全体の強度を高めることができる。
【0051】
本願発明の実施例においては、
図3及び
図4に示すように、第2の径方向連結部1113-2にはさらに、部分的に軸方向に沿って突起して形成された突起部114が設けられていてよい。突起部114の数は、1つ、2つ、3つ又は3つ超であるなど任意の個数であってよく、具体的には実際の状況に応じて決定することができる。圧入作業を行う際に、突起部114によって応力をさらに分散させ、圧入する際に軸受支持部が破損するのを防止することができる。
【0052】
図2~
図6に示すように、1つ又は複数の実施例においては、金属電気接続端子1121の末端が爪部11214を有する。爪部11214は、コイル引出線と電気的に接続される。すなわち、該末端は、コイル引出線に近い一端である。爪部11214の少なくとも周方向の片側には、第1の径方向連結部1113-1が設けられる。つまり、爪部11214の周方向両側に位置する、爪部11214に最も近い2つの径方向連結部1113においては、少なくとも1つが第1の径方向連結部1113-1である。これにより、コイル引出線と電気的に接続される爪部11214の少なくとも周方向の片側は、幅が比較的狭い第1の径方向連結部1113-1であり、バスバーをはんだ付けする作業スペースを改善することができる。
【0053】
図2に示すように、1つ又はいくつかの実施例においては、第1の径方向連結部1113-1及び/又は第2の径方向連結部1113-2に、軸方向に沿って凹んだ凹部115を形成することができる。これにより、バスバーホルダ111に使用される材料を節約し、コストをさらに低減することができる。
【0054】
以上、様々な実施例によって様々な角度から本願発明の実施例のモータについて説明した。上記各実施例は任意に組み合わせることができるが、ここでは説明を省略する。また、以上は本願発明について例示的な説明を行ったものに過ぎない。本願発明はこれに限定されず、以上の各実施形態をベースに、適当な変形を行ってもよい。なお、モータはさらに、ケーシングなど他の構成を備えていてもよい。ここでは説明を省略するが、関連技術を参照することができる。
【0055】
本願発明の上記実施例によれば、降伏強度の大きい金属電気接続端子1121が一体成形された第1の径方向連結部1113-1が、比較的小さい周方向寸法を有している。第1の径方向連結部1113-1の周方向寸法を小さくすることで、バスバーの金属電気接続端子1121をはんだ付けする作業スペースを改善する場合に、第1の径方向連結部1113-1の強度を低下させることはなく、第1の径方向連結部1113-1の強度とバスバーの金属電気接続端子1121のはんだ付けスペースとを両立させることができる。
【0056】
第2の実施例
【0057】
本願発明の第2の実施例は、第1の実施例に記載のモータ100を有する駆動装置を提供する。第1の実施例において、モータ100の構造について詳細に説明しており、その内容がここに取り入れられるので、ここでは説明を省略する。
本願発明の実施例においては、該駆動装置は、例えば、モータ100を使用するデュアルクラッチトランスミッション部材など、各種家電機器、オフィスオートメーション機器、工業機器、車載装置又は各種機器の中の構成部材等を含む、モータ100を使用する任意の装置又は機器であってよい。
【0058】
本願発明の実施例によれば、第1の実施例のモータを含む駆動装置において、降伏強度の大きい金属電気接続端子が一体成形された第1の径方向連結部が、比較的小さい周方向寸法を有している。第1の径方向連結部の幅を狭くすることで、バスバーの金属電気接続端子をはんだ付けする作業スペースを改善する場合に、第1の径方向連結部の強度を低下させることがない。これによって、第1の径方向連結部の強度とバスバーの金属電気接続端子のはんだ付けスペースとを両立させ、モータの性能を改善することができる。
【0059】
以上、具体的な実施形態を結び付けて本願発明について記述したが、これらの記述はいずれも例示的なものであり、本願発明の保護範囲に対する制限ではない。当業者は、本願発明の趣旨と原理に基づいて、本願発明に対して種々の変形や修正を行うことができ、これらの変形や修正も本願発明の範囲内にある。
【0060】
以上、図面を参照して本願発明の好ましい実施形態について記述した。これらの実施形態の多くの特徴及び利点は、該詳細な明細書によると明白である。従って、添付された請求項の目的は、これらの実施形態の、真の趣旨及び範囲に該当するこれらの特徴及び利点をすべてカバーすることにある。なお、当業者は多くの修正及び変更を容易に想到するため、本願発明の実施形態を、例示及び記述された精確な構造及び操作に限定するのではなく、その範囲に該当する適当な修正及び均等物をすべて包含することができる。