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特開2022-159007プロピレン系ブロック共重合体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159007
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】プロピレン系ブロック共重合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 293/00 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
C08F293/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040605
(22)【出願日】2022-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2021060011
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】505130112
【氏名又は名称】株式会社プライムポリマー
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 喬
(72)【発明者】
【氏名】板倉 啓太
(72)【発明者】
【氏名】古田 貴憲
【テーマコード(参考)】
4J026
【Fターム(参考)】
4J026HA04
4J026HA27
4J026HA35
4J026HA38
4J026HB03
4J026HB04
4J026HB20
4J026HB35
4J026HB38
4J026HB42
4J026HB43
4J026HB45
4J026HC03
4J026HC04
4J026HC20
4J026HC25
4J026HC35
4J026HC38
4J026HC43
4J026HC44
4J026HE03
(57)【要約】
【課題】外観および耐衝撃性に優れた成形体を得ることのできるプロピレン系ブロック共重合体の製造方法を提供すること。
【解決手段】プロピレン系重合体成分1を製造する工程、成分1の存在下でプロピレン系共重合体成分2Aを製造する工程、および成分1および2Aの存在下でプロピレン系共重合体成分2Bを製造する工程をこの順序で含み、下記(i)~(vi)を満たす、プロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
(i)成分2Aまたは2Bの一方が、エチレン含量が40~80mol%、極限粘度が1.5~4.0dl/gである。
(ii)成分2Aまたは2Bの他方が、エチレン含量が30~50mol%、極限粘度が5.0~10dl/gである。
(iii)成分2Aの、成分2Bに対する質量比が10/1~1/1である。
(iv)成分1の、成分2Aおよび成分2Bに対する質量比が10/1~1/1である。
(v)ブロック共重合体のMFRが1~500g/10分である。
(vi)ブロック共重合体の融点が155~170℃である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン系重合体成分(1)を製造する工程(1)、
前記プロピレン系重合体成分(1)の存在下でプロピレン系共重合体成分(2A)を製造する工程(2A)、および
前記プロピレン系重合体成分(1)およびプロピレン系共重合体成分(2A)の存在下でプロピレン系共重合体成分(2B)を製造する工程(2B)
をこの順序で含み、下記要件(i)~(vi)を満たす、プロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
要件(i):プロピレン系共重合体成分(2A)またはプロピレン系共重合体成分(2B)の一方が、エチレン由来の構成単位の含有量が40~80mol%であり、135℃テトラリン中で測定される極限粘度[η]が1.5~4.0dl/gである成分である。
要件(ii):プロピレン系共重合体成分(2A)またはプロピレン系共重合体成分(2B)の他方が、エチレン由来の構成単位の含有量が30~50mol%であり、135℃テトラリン中で測定される極限粘度[η]が5.0~10dl/gである成分である。
要件(iii):プロピレン系共重合体成分(2A)の、プロピレン系共重合体成分(2B)に対する質量比が10/1~1/1である。
要件(iv):プロピレン系重合体成分(1)の、プロピレン系共重合体成分(2A)およびプロピレン系共重合体成分(2B)に対する質量比が10/1~1/1である。
要件(v):プロピレン系ブロック共重合体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1~500g/10分である。
要件(vi):示差走査熱量測定計により測定されるプロピレン系ブロック共重合体の融点が155~170℃である。
【請求項2】
さらに以下の要件(vii)~(viii)を満たす請求項1に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
要件(vii):プロピレン系重合体成分(1)の13C-NMRで測定されるメソペンタッド分率(mmmm分率)が96.0~99.9%である。
要件(viii):プロピレン系重合体成分(1)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が50~1000g/10分である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピレン系ブロック共重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロピレン系重合体は、剛性、耐熱性に優れた材料として広い用途を有している。プロピレン系重合体の中でも多段重合法によってプロピレンと他のオレフィン(エチレン等)との非結晶性共重合体成分が導入されたプロピレン系ブロック共重合体は、上述の特性に加えて耐衝撃性にも優れている。このためプロピレン系ブロック共重合体は、たとえばバンパー、インストルメンタルパネル(ダッシュボード)、ドアトリム、ピラーなどの自動車部品の材料として広く利用されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、成形体にした場合の剛性と耐衝撃性、および低温耐衝撃性のバランスに優れるプロピレン系ブロック共重合体を提供することを目的として、所定の要件を満たすように。第一工程においてプロピレン系重合体成分(1)を製造し、第二工程において該成分(1)の存在下にプロピレン系共重合体成分(2)を製造し、第三工程において該成分(1)および該成分(2)の存在下にエチレン系共重合体成分(3)を製造して得られた、所定の要件を満たすプロピレン系ブロック共重合体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/072790号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のプロピレン系ブロック共重合体には、外観および耐衝撃性に優れた成形体の形成の点でさらなる改善の余地があった。
本発明は、外観および耐衝撃性に優れた成形体を得ることのできるプロピレン系ブロック共重合体の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは前記課題を解決すべく検討した結果、以下に記載のプロピレン系ブロック共重合体により前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、たとえば以下の[1]、[2]に関する。
【0007】
[1]
プロピレン系重合体成分(1)を製造する工程(1)、
前記プロピレン系重合体成分(1)の存在下でプロピレン系共重合体成分(2A)を製造する工程(2A)、および
前記プロピレン系重合体成分(1)およびプロピレン系共重合体成分(2A)の存在下でプロピレン系共重合体成分(2B)を製造する工程(2B)
をこの順序で含み、下記要件(i)~(vi)を満たす、プロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
要件(i):プロピレン系共重合体成分(2A)またはプロピレン系共重合体成分(2B)の一方が、エチレン由来の構成単位の含有量が40~80mol%であり、135℃テトラリン中で測定される極限粘度[η]が1.5~4.0dl/gである成分である。
要件(ii):プロピレン系共重合体成分(2A)またはプロピレン系共重合体成分(2B)の他方が、エチレン由来の構成単位の含有量が30~50mol%であり、135℃テトラリン中で測定される極限粘度[η]が5.0~10dl/gである成分である。
要件(iii):プロピレン系共重合体成分(2A)の、プロピレン系共重合体成分(2B)に対する質量比が10/1~1/1である。
要件(iv):プロピレン系重合体成分(1)の、プロピレン系共重合体成分(2A)およびプロピレン系共重合体成分(2B)に対する質量比が10/1~1/1である。
要件(v):プロピレン系ブロック共重合体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1~500g/10分である。
要件(vi):示差走査熱量測定計により測定されるプロピレン系ブロック共重合体の融点が155~170℃である。
【0008】
[2]
さらに以下の要件(vii)~(viii)を満たす前記[1]のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
要件(vii):プロピレン系重合体成分(1)の13C-NMRで測定されるメソペンタッド分率(mmmm分率)が96.0~99.9%である。
要件(viii):プロピレン系重合体成分(1)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が50~1000g/10分である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法によれば、外観および耐衝撃性に優れた成形体を得ることのできるプロピレン系ブロック共重合体を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
[プロピレン系ブロック共重合体の製造方法]
本発明のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法は、プロピレン系重合体成分(1)を製造する工程(1)、前記プロピレン系重合体成分(1)の存在下でプロピレン系共重合体成分(2A)を製造する工程(2A)、および前記プロピレン系重合体成分(1)およびプロピレン系共重合体成分(2A)の存在下でプロピレン系共重合体成分(2B)を製造する工程(2B)をこの順序で含み、以下に説明する要件(i)~(vi)を満たすことを特徴としている。
【0011】
(要件(i))
要件(i)は、プロピレン系共重合体成分(2A)またはプロピレン系共重合体成分(2B)の一方が、エチレン由来の構成単位の含有量(以下「エチレン含量」とも記載する。各共重合体成分中の構成単位の全量を100mol%とする。)が40~80mol%であり、135℃テトラリン中で測定される極限粘度[η]が1.5~4.0dl/gである成分である、というものである。
エチレン含量は、好ましくは45~70mol%であり、より好ましくは50~60mol%である。
また、極限粘度[η]は、好ましくは2.0~4.0dl/gであり、より好ましくは2.0~3.5dl/gである。
要件(i)は、2つのプロピレン系共重合体成分のうち、好ましくはプロピレン系共重合体成分(2A)が満たす。
【0012】
(要件(ii))
要件(ii)は、プロピレン系共重合体成分(2A)またはプロピレン系共重合体成分(2B)の他方が、エチレン含量が30~50mol%であり、135℃テトラリン中で測定される極限粘度[η]が5.0~10dl/gである成分である、というものである。
エチレン含量は、好ましくは35~50mol%であり、より好ましくは35~48mol%である。
また、極限粘度[η]は、好ましくは6.0~10dl/gであり、より好ましくは7.0~10dl/gである。
要件(ii)は、2つのプロピレン系共重合体成分のうち、好ましくはプロピレン系共重合体成分(2B)が満たす。
【0013】
(要件(iii))
要件(iii)は、プロピレン系共重合体成分(2A)の、プロピレン系共重合体成分(2B)に対する質量比(すなわち、成分(2A)の質量/成分(2B)の質量。以下「質量比(iii)」とも記載する。)が10/1~1/1である、というものである。
質量比(iii)は8/1~2/1であり、より好ましくは6/1~2/1である。
質量比(iii)が上記上限値を上回ると剛性と耐衝撃性のバランスが劣るおそれがあり、上記下限値を下回ると流動性が低くなり成形不良になるおそれがある。
【0014】
(要件(iv))
要件(iv)は、プロピレン系重合体成分(1)の、プロピレン系共重合体成分(2A)およびプロピレン系共重合体成分(2B)に対する質量比(すなわち、成分(1)の質量/成分(2A)および成分(2B)の合計の質量。以下「質量比(iv)」とも記載する。)が10/1~1/1である、というものである。
質量比(iv)は、好ましくは8/1~1/1であり、より好ましくは6/1~2/1である。
質量比(iv)が上記上限値を上回ると衝撃性が低くなるおそれがあり、上記下限値を下回ると流動性が低くなり成形不良になるおそれがある。
【0015】
(要件(v))
要件(v)は、プロピレン系ブロック共重合体のメルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重)が1~500g/10分である、というものである。MFRは、好ましくは10~300g/10分であり、より好ましくは10~150g/10分である。
MFRが上記範囲を下回ると、プロピレン系ブロック共重合体を含む材料を射出成形した際にショートショットが生じることがある。またMFRが上記範囲を上回ると、プロピレン系ブロック共重合体を含む材料を射出成形した際にバリが生じることがある。
【0016】
(要件(vi))
要件(vi)は、示差走査熱量測定計(DSC)により測定されるプロピレン系ブロック共重合体の融解温度が155~170℃である、というものである。測定条件の詳細は以下のとおりである。
具体的には、JIS K7121に従って、示差走査熱量測定計(DSC)を用いて、下記条件下で測定を行い、第3stepにおける吸熱ピークの頂点における温度を融点と定義する。吸熱ピークが複数ある場合は最大吸熱ピーク頂点における温度を融点と定義する。
本発明のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法は、好ましくは以下の要件(vii)を満たす。
【0017】
(要件(vii))
要件(vii)は、プロピレン系重合体成分(1)の13C-NMRにより測定されるメソペンタッド分率(mmmm分率)が96.0~99.9%である、というものである。測定条件等の詳細は、後述する実施例の欄に記載のとおりである。メソペンタッド分率(mmmm分率)は、好ましくは97.0~99.9%である。
要件(vii)が満たされるとホモPP部の立体規則性が高いことから結晶化の際に結晶化度が高くなるので、得られるプロピレン系ブロック共重合体は高剛性となる。
本発明のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法は、好ましくは以下の要件(viii)を満たす。
【0018】
(要件(viii))
要件(viii)は、プロピレン系重合体成分(1)のメルトフローレート(MFR)(230℃、荷重2.16kg)が50~1000g/10分である、というものである。このMFRは、好ましくは80~800g/10分、より好ましくは100~500g/10分である。
要件(viii)が満たされると、得られるプロピレン系ブロック共重合体は、射出成型する際に流動性に優れる。
【0019】
(測定条件)
雰囲気:窒素ガス雰囲気
サンプル量:5mg
サンプル形状:プレスフィルム(230℃成形、厚み200~400μm)
第1step:30℃より速度10℃/分で240℃まで昇温し、10分間保持する。
第2step:10℃/分で60℃まで降温する。
第3step:10℃/分で240℃まで昇温する。
【0020】
前記融点は、好ましくは160~170℃である。
融点が上記範囲を下回ると、プロピレン系ブロック共重合体を用いて形成される成形体の耐熱性が劣る場合がある。
【0021】
<工程(1)、(2A)および(2B)>
上述した工程(1)、(2A)および(2B)では、通常は、メタロセン化合物含有触媒存在下、またはチーグラーナッタ触媒存在下で、好ましくはチーグラーナッタ触媒存在下で、プロピレンの単独重合、またはプロピレンおよびエチレンの共重合が実施される。
チーグラーナッタ触媒存在下で重合を行うと、分子量分布が広く成形性が良好なプロピレン系ブロック共重合体が得られ易い。
【0022】
(メタロセン化合物含有触媒)
前記メタロセン化合物含有触媒としては、メタロセン化合物、並びに、有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物およびメタロセン化合物と反応してイオン対を形成することのできる化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物、さらに必要に応じて粒子状担体とからなるメタロセン触媒を挙げることができ、好ましくはアイソタクチック等の立体規則性重合をすることのできるメタロセン触媒を挙げることができる。前記メタロセン化合物の中では、国際公開第01/27124号に例示されている架橋性メタロセン化合物、国際公開第2010/74001号の[0068]~[0076]に記載のメタロセン化合物などが好ましい。また、有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、および遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物、さらには必要に応じて用いられる粒子状担体としては、国際公開第01/27124号、特開平11-315109号公報等に開示された化合物を制限無く使用することができる。
【0023】
(チーグラーナッタ触媒)
プロピレン系ブロック共重合体は、高立体規則性チーグラーナッタ触媒を用いることにより製造することができる。前記高立体規則性チーグラーナッタ触媒としては、公知の種々の触媒が使用できる。たとえば、(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を含有する固体状チタン触媒成分と、(b)有機金属化合物触媒成分と、(c)シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する有機ケイ素化合物触媒成分とからなる触媒を用いることができ、この触媒成分は公知の方法、たとえば国際公開第2010/74001号の[0078]~[0094]に記載の方法で製造することができる。
【0024】
上記のような固体状チタン触媒成分(a)、有機金属化合物触媒成分(b)、および有機ケイ素化合物触媒成分(c)からなる触媒を用いてプロピレンの重合を行うに際して、予め予備重合を行うこともできる。予備重合は、固体状チタン触媒成分(a)、有機金属化合物触媒成分(b)、および必要に応じて有機ケイ素化合物触媒成分(c)の存在下に、オレフィンを重合させる。
【0025】
予備重合するオレフィンとしては、炭素数2~8のα-オレフィンを用いることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-オクテンなどの直鎖状のオレフィン;3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセンなどの分岐構造を有するオレフィン等を用いることができる。これらは共重合させてもよい。
【0026】
予備重合は、固体状チタン触媒成分(a)1g当り0.1~1000g程度、好ましくは0.3~500g程度の重合体が生成するように行うことが望ましい。予備重合量が多すぎると、本重合における(共)重合体の生成効率が低下することがある。予備重合では、本重合における系内の触媒濃度よりもかなり高い濃度で触媒を用いることができる。
【0027】
本重合の際には、固体状チタン触媒成分(a)(または予備重合触媒)を重合容積1L当りチタン原子に換算して約0.0001~50ミリモル、好ましくは約0.001~10ミリモルの量で用いることが望ましい。有機金属化合物触媒成分(b)は、金属原子の量に換算して、重合系中のチタン原子1モルに対して約1~2000モル、好ましくは約2~500モル程度の量で用いることが望ましい。有機ケイ素化合物触媒成分(c)は、有機金属化合物触媒成分(b)の金属原子1モル当り約0.001~50モル、好ましくは約0.01~20モル程度の量で用いることが望ましい。
【0028】
重合は、気相重合法あるいは溶液重合法、懸濁重合法などの液相重合法いずれで行ってもよく、工程(1)、工程(2A)および工程(2B)を別々の方法で行ってもよい。また連続式、半連続式のいずれの方式で行ってもよく、前記各工程を複数の重合器たとえば2~10器の重合器に分けて行ってもよい。工業的には連続式の方法で重合することが最も好ましい。
【0029】
重合媒体として、不活性炭化水素類を用いてもよく、また液状のプロピレンを重合媒体としてもよい。また各段の重合条件は、重合温度が約-50~+200℃、好ましくは約20~100℃の範囲で、また重合圧力が常圧~10MPa(ゲージ圧)、好ましくは約0.2~5MPa(ゲージ圧)の範囲内で適宜選択される。
【0030】
本発明の製造方法においては、たとえば、3つ以上の重合器を直列につなげた反応装置で、工程(1)、工程(2A)および工程(2B))を連続的に実施する。2つ以上の反応機を直列に連結した重合装置を用いそれぞれの重合装置で工程(1)を行ってもよく、また二つ以上の反応機を直列に連結した重合装置を用いそれぞれの重合装置で工程(2A)を行ってもよく、二つ以上の反応機を直列に連結した重合装置を用いそれぞれの重合装置で工程(2B)を行ってもよい。
【0031】
工程(1)は、重合温度0~100℃、重合圧力常圧~5MPaゲージ圧で、プロピレンと任意にエチレンとを重合させる工程であって、エチレンを供給しないか、またはプロピレンのフィード量に比べて少量のエチレンを供給することによって、Dinsolの主成分となるプロピレン系重合体成分(1)を製造する工程である。Dinsolは、プロピレン系ブロック共重合体のうちの23℃n-デカンに不溶な部分であり、通常、主にプロピレン由来の構成単位からなる成分であり、結晶性を有し、高い剛性を示すと考えられる。
また、必要に応じて水素ガスに代表される連鎖移動剤も導入し、工程(1)で生成されるプロピレン系重合体成分(1)の極限粘度[η]を調整してもよい。
【0032】
工程(2A)は、重合温度0~100℃、重合圧力常圧~5MPaゲージ圧で、プロピレン系重合体成分(1)の存在下でプロピレンとエチレンとを共重合させる工程であって、プロピレンのフィード量に対するエチレンのフィード量の割合を工程(1)のときよりも大きくすることによって、Dsolの主成分となるプロピレン-エチレン共重合ゴムのうちプロピレン系共重合体成分(2A)を製造する工程である。Dsolは、プロピレン系ブロック共重合体のうちの23℃n-デカンに可溶な部分であり、通常、主にプロピレンおよびエチレン由来の構成単位からなる成分である。Dsolは結晶性を示さないか、もしくは結晶性が低い成分であり、ガラス転移温度が低く、耐衝撃性を発現し、および他の重合体と混合する際には他の重合体との相溶性を発現すると考えられる。これはゴム成分と言われることもある。
また、必要に応じて水素ガスに代表される連鎖移動剤も導入し、プロピレン系共重合体成分(2A)の極限粘度[η]を調整してもよい。
【0033】
工程(2B)は、重合温度0~100℃、重合圧力常圧~5MPaゲージ圧で、工程(1)で製造されたプロピレン系重合体成分(1)および工程(2A)で製造されたプロピレン系共重合体成分(2A)の存在下でプロピレンとエチレンとを共重合させる工程であり、Dsolの主成分となるプロピレン-エチレン共重合ゴムのうちプロピレン系共重合体成分(2B)を製造する工程である。
【0034】
要件(i)または(ii)におけるエチレン含量は、それぞれ工程(2A)または工程(2B)を行う際のプロピレンフィード量に対するエチレンフィード量の割合を調整することにより調整できる。つまり、このフィード量の割合を大きくすることにより、エチレン含量を大きくすることができ、このフィード量の割合を小さくすることにより、エチレン含量を小さくすることができる。
【0035】
要件(i)または(ii)における極限粘度[η]は、それぞれ工程(2A)または工程(2B)を行う際に連鎖移動剤として用いる水素ガスのフィード量により調整できる。つまり、モノマー(すなわち、プロピレンおよびエチレン)のフィード量に対する水素ガスのフィード量の割合を大きくすることにより極限粘度[η]を小さくすることができ、モノマーのフィード量に対する水素ガスのフィード量の割合を小さくすることにより極限粘度[η]を大きくすることができる。
【0036】
要件(iii)におけるプロピレン系共重合体成分(2A)の、プロピレン系共重合体成分(2B)の対する質量比(iii)は、たとえば、各工程の重合時間を調整することによりすることにより、調整することができる。つまり、全重合時間に占める工程(2A)の重合時間の割合を高めることで、質量比(iii)を大きくすることができる。また、全重合時間に占める工程(2B)の重合時間の割合を高めることで、質量比(iii)を小さくすることができる。
【0037】
要件(iv)におけるプロピレン系重合体成分(1)の、プロピレン系共重合体成分(2A)およびプロピレン系共重合体成分(2B)の対する質量比(iv)は、たとえば、各工程の重合時間を調整することにより、調整することが出来る。つまり、全重合時間に占める工程(1)の重合時間の割合を高めることで、質量比(iv)を大きくすることができる。また、全重合時間に占める工程(2A)および工程(2B)の重合時間の割合を高めることで、質量比(iv)を小さくすることができる。
【0038】
要件(v)、すなわちプロピレン系ブロック共重合体のMFRは、工程(1)~工程(2B)を行う際のモノマー(すなわち、プロピレンの単独重合の場合にはプロピレンを、共重合の場合にはプロピレンおよびエチレン)のフィード量に対する連鎖移動剤としての水素ガスのフィード量の割合を調整することにより調整できる。すなわち、この割合を大きくすることでMFRを高くすることができ、この割合を小さくすることでMFRを低くすることができる。
【0039】
要件(vi)および(vii)、すなわちプロピレン系ブロック共重合体の融点およびプロピレン系重合体成分のメソペンタッド分率(mmmm分率)は、重合に用いる触媒や外部ドナー系を調整することにより調整することができる。
【0040】
要件(viii)、すなわちプロピレン系重合体成分のMFRは、工程(1)を行う際のプロピレンのフィード量に対する連鎖移動剤としての水素ガスのフィード量の割合を調整することにより調整できる。すなわち、この割合を大きくすることでMFRを高くすることができ、この割合を小さくすることでMFRを低くすることができる。
【0041】
重合終了後、必要に応じて公知の触媒失活処理工程、触媒残渣除去工程、乾燥工程等の後処理工程を行ってもよい。
本発明の製造方法によれば、外観および耐衝撃性に優れた成形体を得ることのできるプロピレン系ブロック共重合体を製造することができる。その理由は、必ずしも定かではないが、比較的エチレン由来の構成単位の含有量が多く衝撃改質性能に優れる低分子量重合ゴム成分と、外観改良効果に優れる高分子量重合ゴム成分とが重合パウダーの段階で良分散していることによってそれらの効果を発現していると考えられる。
【0042】
また、本発明の製造方法により製造されるプロピレン系ブロック共重合体は、バイオマス由来プロピレンに由来する構成単位および/またはバイオマス由来エチレンに由来する構成単位を含んでいてもよい。重合体を構成するモノマー(プロピレンおよび/またはエチレン)がバイオマス由来モノマー(プロピレンおよび/またはエチレン)のみでもよいし、化石燃料由来モノマー(プロピレンおよび/またはエチレン)のみでもよいし、バイオマス由来モノマー(プロピレンおよび/またはエチレン)と化石燃料由来モノマー(プロピレンおよび/またはエチレン)の両方を含んでもよい。バイオマス由来プロピレンおよびバイオマス由来エチレンは、菌類、酵母、藻類および細菌類を含む、植物由来または動物由来などの、あらゆる再生可能な天然原料およびその残渣を原料としてなるモノマーであり、炭素として14C同位体を1×10-12程度の割合で含有し、ASTM D6866に準拠して測定したバイオマス炭素濃度(pMC)が100(pMC)程度である。バイオマス由来プロピレン、バイオマス由来エチレンは、たとえば従来から知られている方法により得られる。
【0043】
前記プロピレン系ブロック共重合体がバイオマス由来プロピレンに由来する構成単位および/またはバイオマス由来エチレンに由来する構成単位を含むことは環境負荷低減の観点から好ましい。重合用触媒、重合温度などの重合体製造条件が同等であれば、原料プロピレンがバイオマス由来プロピレン、および/またはバイオマス由来エチレンを含むプロピレン系ブロック共重合体であっても、14C同位体を1×10-12程度の割合で含む以外の分子構造は化石燃料由来プロピレン、化石燃料由来エチレンからなるプロピレン・エチレンブロック重合体と同等である。従って、性能もこれらと変わらないとされる。
【0044】
(添加剤)
本発明の製造方法により製造されるプロピレン系ブロック共重合体には、本発明の目的を損なわない範囲で適宜、無機フィラー、エラストマー、中和剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、気泡防止剤、分散剤、難燃剤、抗菌剤、蛍光増白剤、架橋剤、架橋助剤等の添加剤;染料、顔料等の着色剤で例示される成分(以下「他の成分」と記載する。)を添加してもよい。
【0045】
他の成分の添加量は、本発明の製造方法により製造されるプロピレン系ブロック共重合体100質量部に対して、通常0.01~5質量部である。
【0046】
[成形体]
本発明の製造方法により製造されるプロピレン系ブロック共重合体は、従来公知の方法により成形してもよい。成形方法としては、たとえば射出成形、押出成形、中空成形、フィルム成形、シート成形、発泡成形、射出発泡成形、延伸成形、射出延伸ブロー成形、真空成形、プレス成形が挙げられる。
【0047】
前記プロピレン系ブロック共重合体から形成された成形体は、インストルメンタルパネルやドアパネル等の自動車内装材、バンパーやフェンダー等の自動車外装材、その他剛性と衝撃性のバランスを必要とする部材に対して好ましく用いることができる。また、家電部品、食品容器、医療容器など様々な分野にも好適に用いることができる。
【実施例0048】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
(測定方法および評価方法)
(1)重合体または重合体混合物:
[MFR]
ASTM D-1238(測定温度230℃、荷重2.16kg)に従って、メルトフローレート(MFR)を測定した。
【0050】
[極限粘度[η]]
試料約25mgをテトラリン25mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このテトラリン溶液にテトラリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求め、この値を極限粘度[η]とした。
【0051】
[エチレン由来の構成単位の割合]
測定試料について、下記条件にて13C-NMRの測定を行った。
【0052】
13C-NMR測定条件)
測定装置:日本電子製LA400型核磁気共鳴装置
測定モード:BCM(Bilevel Complete decoupling)
観測周波数:100.4MHz
観測範囲:17006.8Hz
パルス幅:C核45°(7.8μ秒)
パルス繰り返し時間:5秒
試料管:5mmφ
試料管回転数:12Hz
積算回数:20000回
測定温度:125℃
溶媒:1,2,4-トリクロロベンゼン:0.35ml/重ベンゼン:0.2ml
試料量:約40mg
【0053】
測定で得られたスペクトルより、下記文献(1)に準じて、モノマー連鎖分布(トリアッド(3連子)分布)の比率を決定し、測定試料中のエチレン由来の構成単位のモル分率(mol%)(以下E(mol%)と記す)およびプロピレン由来の構成単位のモル分率(mol%)(以下P(mol%)と記す)を算出した。求められたE(mol%)およびP(mol%)から下記(式1)に従い、測定試料中のエチレン由来の構成単位の割合(質量%)(以下E(質量%)と記す。)を算出した。
【0054】
文献(1):Kakugo,M.; Naito,Y.; Mizunuma,K.; Miyatake,T., Carbon-13 NMR determination of monomer sequence distribution in ethylene-propylene copolymers preparedwith delta-titanium trichloride-diethylaluminum chloride. Macromolecules 1982, 15, (4), 1150-1152
E(質量%)=E(mol%)×28×100/[P(mol%)×42+E(mol%)×28](式1)
【0055】
[融点]
JIS K7121に従って、示差走査熱量計(DSC、パーキンエルマー社製(Diamond DSC))を用いて、下記条件下で測定を行い、第3stepにおける吸熱ピークの頂点における温度を融点(Tm)と定義した。吸熱ピークが複数ある場合は最大吸熱ピーク頂点における温度を融点(Tm)と定義する。
【0056】
(測定条件)
雰囲気:窒素ガス雰囲気
サンプル量:5mg
サンプル形状:プレスフィルム(230℃成形、厚み200~400μm)
第1step:30℃より速度10℃/分で240℃まで昇温し、10分間保持する。
第2step:10℃/分で60℃まで降温する。
第3step:10℃/分で240℃まで昇温する。
【0057】
[D insol の割合およびD sol の割合]
試料5gにn-デカン200mlを加え、145℃で、30分間加熱溶解を行い、溶液
(1)を得た。
【0058】
次に約2時間かけて、溶液(1)を23℃まで冷却し、23℃で30分間放置し、析出物(α)を含む溶液(2)を得た。その後、溶液(2)から析出物(α)を目開き約15μmの濾布でろ別し、析出物(α)を乾燥させた後、析出物(α)の質量を測定した。析出物(α)の質量をサンプル質量(5g)で除したものを、23℃n-デカン不溶部(Dinsol)の割合とした。
【0059】
また、析出物(α)をろ別した溶液(2)を、溶液(2)の約3倍量のアセトン中に入れ、n-デカン中に溶解していた成分を析出させ、析出物(β)を得た。その後、析出物(β)をガラスフィルター(G2、目開き約100~160μm)でろ別し、乾燥させた後、析出物(β)の質量を測定した。析出物(β)の質量をサンプル質量(5g)で除したものを23℃n-デカン可溶部(Dsol)の割合とした。
【0060】
[メソペンタッド分率(mmmm分率)]
重合体の立体規則性の指標の1つであり、そのミクロタクティシティーを調べたメソペンタッド分率(mmmm分率,%)は、プロピレン単独重合体においてA.ZambelliらのMacromolecules 8,687(1975)に基づいて帰属により定められた値であり、13C-NMRにより、下記条件で測定し、メソペンタッド分率=(21.7ppmでのピーク面積)/(19~23ppmでのピーク面積)×100とした。
【0061】
(測定条件)
装置:ブルカー・イオスピン製
AVANCE III cryo-500型核磁気共鳴装置
測定核:13C(125MHz)
測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング
パルス幅:45°(5.00マイクロ秒)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:256回
測定溶媒:o-ジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20体積%)混合溶媒
試料濃度:50mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフト基準:21.59ppm
【0062】
(2)成形体の評価:
[外観]
実施例のプロピレン系ブロック共重合体および比較例の重合体混合物から、それぞれ、以下の方法でフィルムを作製し、得られたフィルムについて、市販のジェルカウンターを用いて以下の条件で、単位面積当たりの直径0.3mm以上のブツの個数(個/m2)を計測した。
【0063】
・フィルム作製条件
Tダイ製膜機:(株)プラスチック工学研究所製
型式:GT-25-A
スクリュー直径:25mm、L/D=2
スクリュー回転数:60rpm
シリンダー温度設定:C1=230℃、C2=260
ヘッド温度設定:260℃
Tダイ温度設定:D1~D3=260℃
Tダイ幅:230mm,リップ開度=1mm
フィルム巻取速度:4m/s
ロール温度:65℃
【0064】
ジェルカウンターの測定条件は次の通りである。
・装置構成
(1)受光器(4096画素)
(2)投光器
(3)信号処理装置
(4)パルスジェネレーター
(5)装置間ケーブル
【0065】
[曲げ弾性率]
JIS K7171に準拠して、実施例のプロピレン系ブロック共重合体および比較例の重合体混合物からそれぞれ試験片を作製し、下記の条件で曲げ弾性率を測定した。
【0066】
《測定条件》
試験片:10mm(幅)×80mm(長さ)×4.0mm(厚さ)
曲げ速度:2mm/分
曲げスパン:64mm
【0067】
[シャルピー衝撃強さ]
JIS K7111に準拠して、実施例のプロピレン系ブロック共重合体および比較例の重合体混合物からそれぞれ試験片を作製し、下記の条件でノッチ付きシャルピー衝撃強さを測定した。
【0068】
《測定条件》
温度:23℃
試験片:10mm(幅)×80mm(長さ)×4mm(厚さ)
ノッチは機械加工である。
【0069】
[製造例1]
(固体状チタン触媒成分)
特開2020-114909号公報の製造例3における<固体状チタン触媒成分(i-1)>の調製に従って、チタン1.3重量%、マグネシウム20重量%、ジイソブチルフタレート13.8重量%、ジエチルフタレート0.8重量%を含有する固体状チタン触媒成分を得た。
【0070】
[製造例2]
(予備重合触媒の調製)
製造例1で合成した固体状チタン触媒成分112.0g、トリエチルアルミニウム83.0mL、ジエチルアミノトリエトキシシラン23.6mL、およびヘプタン10Lを内容量20Lの攪拌機付きオートクレーブに挿入し、内温15~20℃に保ちプロピレンを672g挿入し、120分間攪拌しながら反応させた。重合終了後、固体成分を沈降させ、上澄み液の除去及びヘプタンによる洗浄を2回行った。得られた予備重合触媒を精製ヘプタンに再懸濁して、固体状チタン触媒成分の濃度が0.7g/Lとなるよう、ヘプタンの添加による調整を行った。この予備重合触媒は、1g当りポリプロピレンを6g含んでいた。
【0071】
[実施例1]
(プロピレン系ブロック共重合体(A-1)の製造)
<工程(1)>
内容量1000Lの撹拌機付きベッセル第1重合器に、プロピレンを300L装入し、この液位を保ちながら、プロピレンを118kg/h、予備重合触媒を固体触媒成分として1.2g/h、トリエチルアルミニウムを13.3mL/h、ジエチルアミノトリエトキシシランを5.1mL/h、および水素を気相部の水素濃度が6.6mol%となるように連続的に供給した。温度を73.5℃、圧力を3.39MPa-G、平均滞留時間を1.1時間として重合を行った。
【0072】
得られたスラリーを、内容量500Lの撹拌機付きベッセル第2重合器へ送り、更に重合を行った。第2重合器では、プロピレンを300L装入し、この液位を保ちながら、プロピレンを14.5kg/h、ジシクロペンタジエニルジクロロチタンを3.2g/h、水素を気相部の水素濃度が7.3mol%となるように連続的に供給した。温度を73.5℃、圧力を3.27MPa-G、平均滞留時間を1.0時間として重合を行い、ホモプロピレン重合体(H-1)を得た。
【0073】
<工程(2A)>
得られたホモプロピレン重合体(H-1)のスラリーを内容量500Lの撹拌機付きベッセル第3重合器へ送り、更に重合を行った。第3重合器では、プロピレンを260L装入し、この液位を保ちながら、プロピレンを16.9kg/h、活性調整剤としてエトキシエトキシエチルアセテートを0.28ml/h、エチレンを、プロピレン液相中に溶解しているエチレンの濃度がプロピレン1molに対して0.198molとなるように、水素を気相部の水素濃度が5.9mol%となるように連続的に供給した。温度を53.2℃、圧力を3.24MPa-G、平均滞留時間を0.75時間、気相部のエチレン濃度を29.1mol%として重合を行い、ブロック共重合体(B-1)を得た。
【0074】
<工程(2B)>
得られた共重合体スラリーは内容量500Lの撹拌機付きベッセル第4重合器へ送り、更に重合を行った。第4重合器では、プロピレンを260L装入し、この液位を保ちながら、プロピレンを52.1kg/h、ジシクロペンタジエニルジクロロチタンを35.2mg/h、エチレンを、プロピレン液相中に溶解しているエチレンの濃度がプロピレン1molに対して0.129molとなるように、水素を気相部の水素濃度が0.16mol%となるように連続的に供給して重合を行った。この時の温度は60.4℃、圧力は3.16MPa-G、平均滞留時間は0.55時間、気相部のエチレン濃度は19.7mol%であった。
【0075】
得られたスラリーについて失活、気化後、気固分離を行い、80℃で真空乾燥を行った。これにより、プロピレン系ブロック共重合体(A-1)が得られた。
得られたホモプロピレン重合体(H-1)、ブロック共重合体(B-1)、プロピレン系ブロック共重合体(A-1)の特性は次のとおりであった。
【0076】
・ホモプロピレン重合体(H-1)
極限粘度[η]=0.78dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=240g/10分
メソペンタッド分率(mmmm分率)=98.1mol%
・ブロック共重合体(B-1)
極限粘度[η]=1.04dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=127g/10分
エチレン含量=13.0質量%
23℃n-デカン可溶部の割合=16.7質量%
23℃n-デカン可溶部のエチレン含量=53.6mol%
23℃n-デカン可溶部の極限粘度[η]=2.1dl/g
・プロピレン系ブロック共重合体(A-1)
極限粘度[η]=1.39dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=54g/10分
エチレン含量=15.4質量%
23℃n-デカン可溶部の割合=19.3質量%
23℃n-デカン可溶部のエチレン含量=52.3mol%
23℃n-デカン可溶部の極限粘度[η]=3.3dl/g
【0077】
これらの特性に基づいて決定されたプロピレン系ブロック共重合体(A-1)等の特性を表1に示す。なお、プロピレン系重合体成分(1)は23℃n-デカン不溶部であり、プロピレン系共重合体成分(2A)および(2B)は23℃n-デカン可溶部であるものとみなした。併せて、上記の方法で評価したプロピレン系ブロック共重合体(A-1)のフィルム物性を表1に示す。
【0078】
[実施例2]
(プロピレン系ブロック共重合体(A-2)の製造)
<工程(1)>
内容量1000Lの撹拌機付きベッセル第1重合器に、プロピレンを300L装入し、この液位を保ちながら、プロピレンを118kg/h、予備重合触媒を固体触媒成分として1.2g/h、トリエチルアルミニウムを17mL/h、ジエチルアミノトリエトキシシランを6.8mL/h、および水素を気相部の水素濃度が7.5mol%となるように660NL/h、連続的に供給した。温度を73℃、圧力を3.5MPa-G、平均滞留時間を1.1時間として重合を行った。
【0079】
得られたスラリーを、内容量500Lの撹拌機付きベッセル第2重合器へ送り、更に重合を行った。第2重合器では、プロピレンを300L装入し、この液位を保ちながら、プロピレンを15kg/h、ジシクロペンタジエニルジクロロチタンを3.2g/h、水素を気相部の水素濃度が8.1mol%となるように350NL/h、連続的に供給した。温度を73℃、圧力を3.4MPa-G、平均滞留時間を1.0時間として重合を行い、ホモプロピレン重合体(H-2)を得た。
【0080】
<工程(2A)>
得られたホモプロピレン重合体(H-2)のスラリーを内容量500Lの撹拌機付きベッセル第3重合器へ送り、更に重合を行った。第3重合器では、プロピレンを260L装入し、この液位を保ちながら、プロピレンを17kg/h、活性調整剤としてエトキシエトキシエチルアセテートを0.46ml/h、エチレンを19kg/h、水素を気相部の水素濃度が6.0mol%となるように380NL/h、連続的に供給した。温度を53℃、圧力を3.2MPa-G、平均滞留時間を0.75時間、気相部のエチレン濃度を29.0mol%として重合を行い、ブロック共重合体(B-2)を得た。
【0081】
<工程(2B)>
得られた共重合体スラリーは内容量500Lの撹拌機付きベッセル第4重合器へ送り、更に重合を行った。第4重合器では、プロピレンを260L装入し、この液位を保ちながら、プロピレンを52kg/h、ジシクロペンタジエニルジクロロチタンを25mg/h、エチレンを0.49kg/h、水素を気相部の水素濃度が0.17mol%となるように23NL/h、連続的に供給して重合を行った。この時の温度は60℃、圧力は3.2MPa-G、平均滞留時間は0.55時間、気相部のエチレン濃度は19.2mol%であった。
【0082】
得られたスラリーについて失活、気化後、気固分離を行い、80℃で真空乾燥を行った。これにより、プロピレン系ブロック共重合体(A-2)が得られた。
得られたホモプロピレン重合体(H-2)、ブロック共重合体(B-2)、プロピレン系ブロック共重合体(A-2)の特性は次のとおりであった。
【0083】
・ホモプロピレン重合体(H-2)
極限粘度[η]=0.78dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=250g/10分
メソペンタッド分率(mmmm分率)=98.1mol%
・ブロック共重合体(B-2)
極限粘度[η]=0.89dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=162g/10分
エチレン含量=10.1質量%
23℃n-デカン可溶部の割合=11.5質量%
23℃n-デカン可溶部のエチレン含量=54mol%
23℃n-デカン可溶部の極限粘度[η]=2.0dl/g
・プロピレン系ブロック共重合体(A-2)
極限粘度[η]=1.23dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=95g/10分
エチレン含量=11.8質量%
23℃n-デカン可溶部の割合=14質量%
23℃n-デカン可溶部のエチレン含量=52mol%
23℃n-デカン可溶部の極限粘度[η]=2.8dl/g
【0084】
これらの特性に基づいて決定されたプロピレン系ブロック共重合体(A-2)等の特性を表1に示す。なお、プロピレン系重合体成分(1)は23℃n-デカン不溶部であり、プロピレン系共重合体成分(2A)および(2B)は23℃n-デカン可溶部であるものとみなした。併せて、上記の方法で評価したプロピレン系ブロック共重合体(A-2)のフィルム物性を表1に示す。
【0085】
[実施例3]
(プロピレン系ブロック共重合体(A-3)の製造)
<工程(1)>
内容量1000Lの撹拌機付きベッセル第1重合器に、プロピレンを300L装入し、この液位を保ちながら、プロピレンを118kg/h、予備重合触媒を固体触媒成分として1.2g/h、トリエチルアルミニウムを17mL/h、ジエチルアミノトリエトキシシランを6.8mL/h、および水素を気相部の水素濃度が7.1mol%となるように641NL/h、連続的に供給した。温度を73℃、圧力を3.5MPa-G、平均滞留時間を1.1時間として重合を行った。
【0086】
得られたスラリーを、内容量500Lの撹拌機付きベッセル第2重合器へ送り、更に重合を行った。第2重合器では、プロピレンを300L装入し、この液位を保ちながら、プロピレンを15kg/h、ジシクロペンタジエニルジクロロチタンを3.1g/h、水素を気相部の水素濃度が8.9mol%となるように345NL/h、連続的に供給した。温度を73℃、圧力を3.4MPa-G、平均滞留時間を1.0時間として重合を行い、ホモプロピレン重合体(H-3)を得た。
【0087】
<工程(2A)>
得られたホモプロピレン重合体(H-3)のスラリーを内容量500Lの撹拌機付きベッセル第3重合器へ送り、更に重合を行った。第3重合器では、プロピレンを260L装入し、この液位を保ちながら、プロピレンを17kg/h、活性調整剤としてエトキシエトキシエチルアセテートを0.40ml/h、エチレンを20kg/h、水素を気相部の水素濃度が5.9mol%となるように300NL/h、連続的に供給した。温度を53℃、圧力を3.2MPa-G、平均滞留時間を0.74時間、気相部のエチレン濃度を28.9mol%として重合を行い、ブロック共重合体(B-3)を得た。
【0088】
<工程(2B)>
得られた共重合体スラリーは内容量500Lの撹拌機付きベッセル第4重合器へ送り、更に重合を行った。第4重合器では、プロピレンを260L装入し、この液位を保ちながら、プロピレンを52kg/h、ジシクロペンタジエニルジクロロチタンを25mg/h、エチレンを0.59kg/h、水素を気相部の水素濃度が0.20mol%となるように24NL/h、連続的に供給して重合を行った。この時の温度は60℃、圧力は3.2MPa-G、平均滞留時間は0.55時間、気相部のエチレン濃度は20.0mol%であった。
【0089】
得られたスラリーについて失活、気化後、気固分離を行い、80℃で真空乾燥を行った。これにより、プロピレン系ブロック共重合体(A-3)が得られた。
得られたホモプロピレン重合体(H-3)、ブロック共重合体(B-3)、プロピレン系ブロック共重合体(A-3)の特性は次のとおりであった。
【0090】
・ホモプロピレン重合体(H-3)
極限粘度[η]=0.78dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=240g/10分
メソペンタッド分率(mmmm分率)=98.1mol%
・ブロック共重合体(B-3)
極限粘度[η]=0.89dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=144g/10分
エチレン含量=11.6質量%
23℃n-デカン可溶部の割合=14.1重量%
23℃n-デカン可溶部のエチレン含量=54mol%
23℃n-デカン可溶部の極限粘度[η]=2.1dl/g
・プロピレン系ブロック共重合体(A-3)
極限粘度[η]=1.10dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=76g/10分
エチレン含量=13.5質量%
23℃n-デカン可溶部の割合=17重量%
23℃n-デカン可溶部のエチレン含量=53mol%
23℃n-デカン可溶部の極限粘度[η]=3.1dl/g
【0091】
これらの特性に基づいて決定されたプロピレン系ブロック共重合体(A-3)等の特性を表1に示す。なお、プロピレン系重合体成分(1)は23℃n-デカン不溶部であり、プロピレン系共重合体成分(2A)および(2B)は23℃n-デカン可溶部であるものとみなした。併せて、上記の方法で評価したプロピレン系ブロック共重合体(A-3)のフィルム物性を表1に示す。
【0092】
[実施例4]
(プロピレン系ブロック共重合体(A-4)の製造)
<工程(1)>
内容量58Lの管型重合器に、プロピレンを50kg/h、水素を2.0NL/h、予備重合触媒を固体触媒成分あたり0.58g/h、トリエチルアルミニウムを8.1mL/h、およびジエチルアミノトリエトキシシランを3.1mL/h連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は20℃であり、圧力は3.5MPa-Gであった。
得られたスラリーは、内容量1000Lの撹拌機付きベッセル第1重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へはプロピレンを68kg/h、および水素を気相部の水素濃度が12mol%となるように960NL/h、連続的に供給した。温度を66℃、圧力を3.3MPa-G、平均滞留時間を1.1時間として重合を行った。
【0093】
得られたスラリーを、内容量500Lの撹拌機付きベッセル第2重合器へ送り、更に重合を行った。第2重合器では、プロピレンを300L装入し、この液位を保ちながら、プロピレンを15kg/h、ジシクロペンタジエニルジクロロチタンを3.0g/h、水素を気相部の水素濃度が9.8mol%となるように920NL/h、連続的に供給した。温度を66℃、圧力を3.1MPa-G、平均滞留時間を1.1時間として重合を行い、ホモプロピレン重合体(H-4)を得た。
【0094】
<工程(2A)>
得られたホモプロピレン重合体(H-4)のスラリーを内容量500Lの撹拌機付きベッセル第3重合器へ送り、更に重合を行った。第3重合器では、プロピレンを260L装入し、この液位を保ちながら、プロピレンを17kg/h、活性調整剤としてエトキシエトキシエチルアセテートを3.0ml/h、エチレンを22kg/h、水素を気相部の水素濃度が2.5mol%となるように120NL/h、連続的に供給した。温度を51℃、圧力を3.0MPa-G、平均滞留時間を0.71時間、気相部のエチレン濃度を32.2mol%として重合を行い、ブロック共重合体(B-4)を得た。
【0095】
<工程(2B)>
得られた共重合体スラリーは内容量500Lの撹拌機付きベッセル第4重合器へ送り、更に重合を行った。第4重合器では、プロピレンを260L装入し、この液位を保ちながら、プロピレンを52kg/h、ジシクロペンタジエニルジクロロチタンを50mg/h、エチレンを2.4kg/h、水素を気相部の水素濃度が0.25mol%となるように200NL/h、連続的に供給して重合を行った。この時の温度は53℃、圧力は2.8MPa-G、平均滞留時間は0.53時間、気相部のエチレン濃度は22.0mol%であった。
【0096】
得られたスラリーについて失活、気化後、気固分離を行い、80℃で真空乾燥を行った。これにより、プロピレン系ブロック共重合体(A-4)が得られた。
得られたホモプロピレン重合体(H-4)、ブロック共重合体(B-4)、プロピレン系ブロック共重合体(A-4)の特性は次のとおりであった。
【0097】
・ホモプロピレン重合体(H-4)
極限粘度[η]=0.72dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=290g/10分
メソペンタッド分率(mmmm分率)=98.1mol%
・ブロック共重合体(B-4)
極限粘度[η]=1.1dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=54g/10分
エチレン含量=16.7質量%
23℃n-デカン可溶部の割合=15.8重量%
23℃n-デカン可溶部のエチレン含量=53mol%
23℃n-デカン可溶部の極限粘度[η]=3.3dl/g
・プロピレン系ブロック共重合体(A-4)
極限粘度[η]=1.61dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=31g/10分
エチレン含量=19.3質量%
23℃n-デカン可溶部の割合=20重量%
23℃n-デカン可溶部のエチレン含量=52mol%
23℃n-デカン可溶部の極限粘度[η]=4.6dl/g
【0098】
これらの特性に基づいて決定されたプロピレン系ブロック共重合体(A-4)等の特性を表1に示す。なお、プロピレン系重合体成分(1)は23℃n-デカン不溶部であり、プロピレン系共重合体成分(2A)および(2B)は23℃n-デカン可溶部であるものとみなした。併せて、上記の方法で評価したプロピレン系ブロック共重合体(A-4)のフィルム物性を表1に示す。
【0099】
[重合体製造例1]
(ブレンド用重合体(ブロック共重合体(a-1))の製造)
内容量8Lの管型重合器に、プロピレンを20kg/h、水素を0.5NL/h、予備重合触媒を固体触媒成分あたり0.38g/h、トリエチルアルミニウムを2.1mL/h、およびジエチルアミノトリエトキシシランを1.6mL/h連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は16℃であり、圧力は3.6MPa-Gであった。
【0100】
得られたスラリーは、内容量58Lの管型重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へはプロピレンを23kg/h、および水素を172NL/h連続的に供給し、温度は70℃、圧力は3.6MPa-G、平均滞留時間は0.61時間であった。
【0101】
得られたスラリーは内容量70Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを45kg/h、水素を気相部の水素濃度が9.6mol%になるように水素を連続的に供給した。温度を68.0℃、圧力を3.2MPa-G、平均滞留時間は0.35時間として重合を行い、ホモプロピレン重合体(h-1)を得た。
【0102】
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、移送管内にて、活性調整剤(アトマー163、クローダジャパン(株)製)を1.83g/h、付着防止剤(L-71(商品名)、(株)ADEKA製)を0.51g/h供給し、スラリーと接触させた。接触させたスラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にパウダー量が12.4kgとなるようにホモプロピレン重合体(h-1)のパウダーを送り、その後、気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.3295(モル比)、水素/エチレン=0.1460(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給し、温度を70℃、圧力を1.2MPa-G、滞留時間を0.68時間として、重合を行った。
【0103】
その後、気固分離を行い、80℃で真空乾燥を行い、ブロック共重合体(a-1)を得た。得られたホモプロピレン(h-1)、ブロック共重合体(a-1)の特性は次のとおりであった。
【0104】
・ホモプロピレン重合体(h-1)
極限粘度[η]=0.74dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=252g/10分
メソペンタッド分率(mmmm分率)=98.2mol%
・ブロック共重合体(a-1)
極限粘度[η]=0.94dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=90g/10分
エチレン含量=15.1質量%
23℃n-デカン可溶部の割合=19.5質量%
23℃n-デカン可溶部のエチレン含量=53mol%
23℃n-デカン可溶部の極限粘度[η]=2.1dl/g
【0105】
[重合体製造例2]
(ブレンド用重合体(ブロック共重合体(a-2)の製造)
内容量8Lの管型重合器に、プロピレンを20kg/h、水素を0.5NL/h、予備重合触媒を固体触媒成分あたり0.30g/h、トリエチルアルミニウムを1.7mL/h、およびジエチルアミノトリエトキシシランを1.3mL/h、連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は16℃であり、圧力は3.2MPa-Gであった。得られたスラリーは、内容量58Lの管型重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へはプロピレンを23kg/h、水素を172NL/hを連続的に供給し、温度は63℃、圧力は3.2MPa-G、平均滞留時間は0.60時間であった。
【0106】
得られたスラリーは内容量70Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを45kg/h、水素を気相部の水素濃度が9.5mol%になるように水素を連続的に供給した。温度を62.0℃、圧力を2.8MPa-G、平均滞留時間を0.35時間として重合を行い、ホモプロピレン重合体(h-2)を得た。
【0107】
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、移送管内にて、付着防止剤(L-71(商品名)、(株)ADEKA製)を0.32g/hを供給し、スラリーと接触させた。接触させたスラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にパウダー量が20.6kgとなるようにホモプロピレン重合体(h-2)のパウダーを送り、その後、気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.158(モル比)、水素/エチレン=0.0030(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度を75℃、圧力を1.6MPa-G、滞留時間を1.42時間として、重合を行った。
【0108】
その後、気固分離を行い、80℃で真空乾燥を行い、ブロック共重合体(a-2)を得た。得られたホモプロピレン重合体(h-2)、ブロック共重合体(a-2)の特性は次のとおりであった。
【0109】
・ホモプロピレン重合体(h-2)
極限粘度[η]=0.77dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=250g/10分
メソペンタッド分率(mmmm分率)=98.2mol%
・ブロック共重合体(a-2)
極限粘度[η]=4.06dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=0.8g/10分
エチレン含量=23.8質量%
23℃n-デカン可溶部の割合=39.7質量%
23℃n-デカン可溶部のエチレン含量=45mol%
23℃n-デカン可溶部の極限粘度[η]=8.0dl/g
【0110】
[重合体製造例3]
(ブレンド用重合体(ブロック共重合体(a-3))の製造)
内容量8Lの管型重合器に、プロピレンを20kg/h、水素を1.0NL/h、予備重合触媒を固体触媒成分あたり0.39g/h、トリエチルアルミニウムを2.2mL/h、およびジエチルアミノトリエトキシシランを1.7mL/h連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は20℃であり、圧力は3.5MPa-Gであった。
【0111】
得られたスラリーは、内容量58Lの管型重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へはプロピレンを23kg/h、および水素を176NL/h連続的に供給し、温度は70℃、圧力は3.5MPa-G、平均滞留時間は0.60時間であった。
【0112】
得られたスラリーは内容量70Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを45kg/h、水素を気相部の水素濃度が9.6mol%になるように382NL/h、連続的に供給した。温度を67℃、圧力を3.1MPa-G、平均滞留時間は0.36時間として重合を行い、ホモプロピレン重合体(h-3)を得た。
【0113】
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、移送管内にて、付着防止剤(L-71(商品名)、(株)ADEKA製)を0.60g/h供給し、スラリーと接触させた。接触させたスラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にパウダー量が10kgとなるようにホモプロピレン重合体(h-3)のパウダーを送り、その後、気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.321(モル比)、水素/エチレン=0.168(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給し、温度を70℃、圧力を1.2MPa-G、滞留時間を0.56時間として、重合を行った。
【0114】
その後、気固分離を行い、80℃で真空乾燥を行い、ブロック共重合体(a-3)を得た。得られたホモプロピレン(h-3)、ブロック共重合体(a-3)の特性は次のとおりであった。
【0115】
・ホモプロピレン重合体(h-3)
極限粘度[η]=0.74dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=252g/10分
メソペンタッド分率(mmmm分率)=98.2mol%
・ブロック共重合体(a-3)
極限粘度[η]=0.92dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=137g/10分
エチレン含量=11.3質量%
23℃n-デカン可溶部の割合=15.9質量%
23℃n-デカン可溶部のエチレン含量=53mol%
23℃n-デカン可溶部の極限粘度[η]=2.1dl/g
【0116】
[重合体製造例4]
(ブレンド用重合体(ブロック共重合体(a-4))の製造)
内容量58Lの管型重合器に、プロピレンを23kg/h、予備重合触媒を固体触媒成分あたり0.30g/h、トリエチルアルミニウムを1.6mL/h、およびジエチルアミノトリエトキシシランを1.2mL/h、および水素を246NL/h、連続的に供給し、温度は63℃、圧力は3.5MPa-G、平均滞留時間は0.60時間であった。
【0117】
得られたスラリーは内容量70Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを45kg/h、水素を気相部の水素濃度が15mol%になるように515NL/h、連続的に供給した。温度を62℃、圧力を3.1MPa-G、平均滞留時間は0.35時間として重合を行い、ホモプロピレン重合体(h-4)を得た。
【0118】
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、移送管内にて、付着防止剤(L-71(商品名)、(株)ADEKA製)を0.32g/h供給し、スラリーと接触させた。接触させたスラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にパウダー量が24kgとなるようにホモプロピレン重合体(h-4)のパウダーを送り、その後、気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.115(モル比)、水素/エチレン=0.00280(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給し、温度を75℃、圧力を1.6MPa-G、滞留時間を1.4時間として、重合を行った。
【0119】
その後、気固分離を行い、80℃で真空乾燥を行い、ブロック共重合体(a-4)を得た。得られたホモプロピレン(h-4)、ブロック共重合体(a-4)の特性は次のとおりであった。
【0120】
・ホモプロピレン重合体(h-4)
極限粘度[η]=0.66dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=436g/10分
メソペンタッド分率(mmmm分率)=97.3mol%
・ブロック共重合体(a-4)
極限粘度[η]=5.28dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=1.2g/10分
エチレン含量=20.5質量%
23℃n-デカン可溶部の割合=40.0質量%
23℃n-デカン可溶部のエチレン含量=40mol%
23℃n-デカン可溶部の極限粘度[η]=7.9dl/g
【0121】
[重合体製造例5]
(ブレンド用重合体(ブロック共重合体(a-5))の製造)
内容量8Lの管型重合器に、プロピレンを20kg/h、水素を1.0NL/h、予備重合触媒を固体触媒成分あたり0.30g/h、トリエチルアルミニウムを1.7mL/h、およびジエチルアミノトリエトキシシランを1.3mL/h連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は20℃であり、圧力は3.5MPa-Gであった。
【0122】
得られたスラリーは、内容量58Lの管型重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へはプロピレンを23kg/h、および水素を172NL/h連続的に供給し、温度は63℃、圧力は3.2MPa-G、平均滞留時間は0.60時間であった。
【0123】
得られたスラリーは内容量70Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを45kg/h、水素を気相部の水素濃度が9.5mol%になるように、連続的に供給した。温度を62℃、圧力を2.8MPa-G、平均滞留時間は0.35時間として重合を行い、ホモプロピレン重合体(h-5)を得た。
【0124】
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、移送管内にて、付着防止剤(L-71(商品名)、(株)ADEKA製)を0.32g/h供給し、スラリーと接触させた。接触させたスラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にパウダー量が19kgとなるようにホモプロピレン重合体(h-5)のパウダーを送り、その後、気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.166(モル比)、水素/エチレン=0.00293(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給し、温度を75℃、圧力を1.6MPa-G、滞留時間を1.3時間として、重合を行った。
【0125】
その後、気固分離を行い、80℃で真空乾燥を行い、ブロック共重合体(a-5)を得た。得られたホモプロピレン(h-5)、ブロック共重合体(a-5)の特性は次のとおりであった。
【0126】
・ホモプロピレン重合体(h-5)
極限粘度[η]=0.77dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=250g/10分
メソペンタッド分率(mmmm分率)=98.2mol%
・ブロック共重合体(a-5)
極限粘度[η]=4.15dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=0.80g/10分
エチレン含量=26.2質量%
23℃n-デカン可溶部の割合=39.5質量%
23℃n-デカン可溶部のエチレン含量=46mol%
23℃n-デカン可溶部の極限粘度[η]=8.1dl/g
【0127】
[重合体製造例6]
(ブレンド用重合体(ブロック共重合体(a-6))の製造)
内容量8Lの管型重合器に、プロピレンを20kg/h、水素を1.0NL/h、予備重合触媒を固体触媒成分あたり0.39g/h、トリエチルアルミニウムを2.2mL/h、およびジエチルアミノトリエトキシシランを1.7mL/h連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は20℃であり、圧力は3.5MPa-Gであった。
【0128】
得られたスラリーは、内容量58Lの管型重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へはプロピレンを23kg/h、および水素を176NL/h連続的に供給し、温度は70℃、圧力は3.5MPa-G、平均滞留時間は0.61時間であった。
【0129】
得られたスラリーは内容量70Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを45kg/h、水素を気相部の水素濃度が9.2mol%になるように382NL/h、連続的に供給した。温度を67℃、圧力を3.1MPa-G、平均滞留時間は0.36時間として重合を行い、ホモプロピレン重合体(h-6)を得た。
【0130】
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、移送管内にて、付着防止剤(L-71(商品名)、(株)ADEKA製)を0.60g/h供給し、スラリーと接触させた。接触させたスラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にパウダー量が10kgとなるようにホモプロピレン重合体(h-6)のパウダーを送り、その後、気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.322(モル比)、水素/エチレン=0.0456(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給し、温度を70℃、圧力を1.2MPa-G、滞留時間を0.53時間として、重合を行った。
【0131】
その後、気固分離を行い、80℃で真空乾燥を行い、ブロック共重合体(a-6)を得た。得られたホモプロピレン(h-6)、ブロック共重合体(a-6)の特性は次のとおりであった。
【0132】
・ホモプロピレン重合体(h-6)
極限粘度[η]=0.74dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=252g/10分
メソペンタッド分率(mmmm分率)=98.2mol%
・ブロック共重合体(a-6)
極限粘度[η]=1.10dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=60.5g/10分
エチレン含量=12.4質量%
23℃n-デカン可溶部の割合=17.3質量%
23℃n-デカン可溶部のエチレン含量=53mol%
23℃n-デカン可溶部の極限粘度[η]=3.2dl/g
【0133】
[重合体製造例7]
(ブレンド用重合体(ブロック共重合体(a-7))の製造)
内容量8Lの管型重合器に、プロピレンを20kg/h、水素を1.0NL/h、予備重合触媒を固体触媒成分あたり0.30g/h、トリエチルアルミニウムを1.7mL/h、およびジエチルアミノトリエトキシシランを1.3mL/h連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は20℃であり、圧力は3.5MPa-Gであった。
【0134】
得られたスラリーは、内容量58Lの管型重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へはプロピレンを23kg/h、および水素を172NL/h連続的に供給し、温度は63℃、圧力は3.2MPa-G、平均滞留時間は0.60時間であった。
【0135】
得られたスラリーは内容量70Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを45kg/h、水素を気相部の水素濃度が9.5mol%になるように、連続的に供給した。温度を62℃、圧力を2.8MPa-G、平均滞留時間は0.35時間として重合を行い、ホモプロピレン重合体(h-7)を得た。
【0136】
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、移送管内にて、付着防止剤(L-71(商品名)、(株)ADEKA製)を0.32g/h供給し、スラリーと接触させた。接触させたスラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にパウダー量が18kgとなるようにホモプロピレン重合体(h-7)のパウダーを送り、その後、気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.182(モル比)、水素/エチレン=0.00283(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給し、温度を75℃、圧力を1.6MPa-G、滞留時間を1.3時間として、重合を行った。
【0137】
その後、気固分離を行い、80℃で真空乾燥を行い、ブロック共重合体(a-7)を得た。得られたホモプロピレン(h-7)、ブロック共重合体(a-7)の特性は次のとおりであった。
【0138】
・ホモプロピレン重合体(h-7)
極限粘度[η]=0.78dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=250g/10分
メソペンタッド分率(mmmm分率)=98.2mol%
・ブロック共重合体(a-7)
極限粘度[η]=4.24dl/g
MFR(2.16kg荷重、230℃)=0.67g/10分
エチレン含量=27.9質量%
23℃n-デカン可溶部の割合=39.0質量%
23℃n-デカン可溶部のエチレン含量=48mol%
23℃n-デカン可溶部の極限粘度[η]=8.2dl/g
【0139】
[比較例1]
(重合体混合物(A'-1)の製造)
重合体製造例1で製造したブロック共重合体(a-1)を83質量部、重合体製造例2で製造したブロック共重合体(a-2)を7.8質量部、ホモプロピレン重合体(プライムポリプロ(登録商標)J137G(商品名)、(株)プライムポリマー製)を9.2質量部、ステアリン酸カルシウム(日油(株)製)を0.1質量部、および酸化防止剤としてIRGANOX(登録商標)1010(BASFジャパン(株)製)を0.1質量部、IRGAFOS168(BASFジャパン(株)製)を0.1質量部、H-BHT(本州化学工業(株))を0.1質量部配合してタンブラーミキサーにてドライブレンドした。その後、二軸押出機(ナカタニ機械(株)製:NR-II、同方向回転2軸押出機)により、バレル温度(混練温度)190℃、スクリュー回転速度200rpm、押出し量20kg/hの条件で溶融混練して、重合体混合物(A'-1)を得た。
【0140】
上述したホモプロピレン重合体(h-1)等の特性に基づいて決定された重合体混合物(A'-1)等の特性、および上記の方法で評価した重合体混合物(A'-1)のフィルム物性を表1に示す。
【0141】
[比較例2]
(重合体混合物(A'-2)の製造)
ブロック共重合体(a-1)およびブロック共重合体(a-2)に替えて、重合体製造例3で製造したブロック共重合体(a-3)を75質量部、重合体製造例4で製造したブロック共重合体(a-4)を5.4質量部配合し、ホモプロピレン重合体(プライムポリプロJ137G)の配合量を19.6質量部に変更したこと以外は比較例1と同様にして、重合体混合物(A'-2)を得た。
【0142】
上述したホモプロピレン重合体(h-3)等の特性に基づいて決定された重合体混合物(A'-2)等の特性、および上記の方法で評価した重合体混合物(A'-2)のフィルム物性を表1に示す。
【0143】
[比較例3]
(重合体混合物(A'-3)の製造)
ブロック共重合体(a-1)およびブロック共重合体(a-2)に替えて、重合体製造例5で製造したブロック共重合体(a-3)を88.3質量部、および重合体製造例5で製造したブロック共重合体(a-5)を6質量部配合し、ホモプロピレン重合体(プライムポリプロJ137G)の配合量を5.7質量部に変更したこと以外は比較例1と同様にして、重合体混合物(A'-3)を得た。
【0144】
上述したホモプロピレン重合体(h-3)等の特性に基づいて決定された重合体混合物(A'-3)等の特性、および上記の方法で評価した重合体混合物(A'-3)のフィルム物性を表1に示す。
【0145】
[比較例4]
(重合体混合物(A'-4)の製造)
ブロック共重合体(a-1)およびブロック共重合体(a-2)に替えて、重合体製造例6で製造したブロック共重合体(a-6)を89.2質量部、および重合体製造例7で製造したブロック共重合体(a-7)を10.8質量部配合し、ホモプロピレン重合体(プライムポリプロJ137G)を配合しなかったこと以外は比較例1と同様にして、重合体混合物(A'-4)を得た。
【0146】
上述したホモプロピレン重合体(h-6)等の特性に基づいて決定された重合体混合物(A'-4)等の特性、および上記の方法で評価した重合体混合物(A'-4)のフィルム物性を表1に示す。
【0147】
【表1】