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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159019
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】光電センサ
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20221006BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G02B26/10 101
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022043121
(22)【出願日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】10 2021 108 318.4
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591005615
【氏名又は名称】ジック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ウルリッヒ ニューブリング
(72)【発明者】
【氏名】アウグスト バウムガルトナー
【テーマコード(参考)】
2H045
5J084
【Fターム(参考)】
2H045AC00
2H045BA14
5J084AA05
5J084AA10
5J084BA48
5J084BB28
5J084DA01
5J084DA05
5J084EA31
(57)【要約】      (修正有)
【課題】監視領域内の物体を検出するための光電センサ、特にレーザスキャナの構造をより簡単にする。
【解決手段】該センサは、発射光を送出するための発光器と、固定子及び回転子を有する駆動部と、前記発射光で監視領域を周期的に走査するための、回転子を用いて運動させることができる走査ユニットと、監視領域内の物体により反射された光から受信信号を生成するための受光器と、前記受信信号に基づいて監視領域内の物体に関する情報を取得するための制御及び評価ユニットと、カバーを有する基礎ケーシングとを備え、基礎ケーシングとカバーは機械的な接続のための少なくとも1つの接続箇所を相互に備えており、カバーは走査ユニットを受けるための少なくとも1つの第1の軸受を含み、走査ユニットは回転子と一緒に回転可能に第1の軸受内で支持されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域(32)内の物体(34)を検出するための光電センサ(10、60)、特にレーザスキャナであって、発射光(30)を送出するための発光器(26)と、固定子(24)及び回転子(22)を有する駆動部と、前記発射光(30)で前記監視領域(32)を周期的に走査するための、前記回転子(22)を用いて運動させることができる走査ユニット(12、62)と、前記監視領域(32)内の物体(34)により反射された光(30)から受信信号を生成するための受光器(40)と、前記受信信号に基づいて前記監視領域(32)内の物体(34)に関する情報を取得するための制御及び評価ユニット(44)と、カバー(16)を有する基礎ケーシング(14)とを備えるセンサ(10、60)において、
前記基礎ケーシング(14)と前記カバー(16)が機械的な接続のための少なくとも1つの接続箇所(18)を相互に備えており、前記カバー(16)が前記走査ユニット(12、62)を受けるための少なくとも1つの第1の軸受(20)を含み、前記走査ユニット(12、62)が前記回転子(22)と一緒に回転可能に前記第1の軸受(20)内で支持されていることを特徴とする光電センサ(10、60)。
【請求項2】
前記固定子(24)が前記基礎ケーシング(14)内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光電センサ(10、60)。
【請求項3】
前記固定子(24)が前記カバー(16)内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光電センサ(10、60)。
【請求項4】
前記第1の軸受(20)が前記カバー(16)のうち前記基礎ケーシング(14)の方を向いた側に配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の光電センサ(10、60)。
【請求項5】
前記カバー(16)が前記走査ユニット(12、62)を回転可能に支持するための第2の軸受(54)を備え、前記第2の軸受(54)が前記カバー(16)のうち前記基礎ケーシング(14)とは反対の方を向いた側に配置されている請求項4に記載の光電センサ(10、60)。
【請求項6】
前記カバー(16)が側壁(50)と蓋領域(52)を有する回転体として構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の光電センサ(10、60)。
【請求項7】
前記カバー(16)が、前記発射光(30)の出射領域及び前記反射光(36)の入射領域としての前面パネル(50)を備えている請求項1~6のいずれかに記載の光電センサ(10、60)。
【請求項8】
前記カバー(16)が前記発射光(30)に対して透明な合成物質で作製されていることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の光電センサ(10、60)。
【請求項9】
前記発光器(26)及び前記受光器(40)が前記基礎ケーシング(14)内に配置されており、前記走査ユニット(12)が、前記発射光(30)を前記監視領域(32)へと向かわせるとともに該監視領域(32)内の物体(34)による反射光(36)を前記受光器(40)へ向かわせる方向転換ミラー(25)を備えていることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の光電センサ(10)。
【請求項10】
前記走査ユニット(62)が前記発光器(26)及び/又は前記受光器(40)を備えていることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の光電センサ(60)。
【請求項11】
前記光電センサ(60)が前記カバー(16)を中央で支えるための支持要素(72)を備えていることを特徴とする請求項10に記載の光電センサ(60)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブルに記載の監視領域内の物体を検出するためのセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
水平方向に広い角度範囲を有する測定システムが必要となるような距離測定には光電式のシステム、特にレーザスキャナが適している。レーザスキャナでは、レーザにより生成された光線が偏向ユニットを用いて監視領域を塗りつぶすように周期的に掃引される。この光が監視領域内の物体の表面で反射され、スキャナ内で評価される。偏向ユニットの角度位置から物体の角度位置が推定され、更に光速を用いて光伝播時間からレーザスキャナと物体の間の距離が推定される。
【0003】
前記角度及び距離の情報を用いて監視領域内での物体の場所が2次元極座標で検出される。これにより各物体の位置を算出したり、同じ物体を様々な箇所で複数回走査することによりその輪郭を特定したりすることができる。また、例えばレーザスキャナ内で偏向ユニットにもう1つの運動自由度を与えたり、物体をレーザスキャナに対して動かしたりすることにより、交差方向に相対運動させることによって、第3の空間座標を同様に把握することもできる。そうすれば3次元的な輪郭も計測することができる。
【0004】
このような測定での利用の他、レーザスキャナは危険の発生源(例えば危険な機械)を監視するための安全技術にも用いられる。このような安全用レーザスキャナは特許文献1から知られている。そのレーザスキャナでは、機械の稼働中に操作者が入ってはならない防護区域が監視される。操作者の脚等の防護区域への許可なき侵入を認識すると、レーザスキャナが機械の緊急停止を発動する。安全技術に用いられるセンサは特に高い信頼性で作動しなければならないため、例えば機械の安全に関する規格EN13849や非接触型防護装置(beruehrungslos wirkende Schutzeinrichtungen: BWS)に関する機器規格EN61496といった高い安全要求を満たさなければならない。
【0005】
レーザスキャナにおける監視平面の走査は通常、発射光線が回転式の方向転換ミラーに当たることにより達成される。この場合、発光器、受光器並びに付属の電子機器及び光学系は装置内に固定的に取り付けられており、一緒に回転運動を行うことはない。一方、方向転換ミラーを一緒に運動する走査ユニットで置き換えることも知られている。例えば特許文献2では発光器と受光器を有する測定ヘッド全体が回転する。特許文献3でも同様に回転式の発信/受信ユニットが設けられる。この走査ユニットには例えば変圧の原理によってセンサの回転しない領域からエネルギーが供給される。
【0006】
図1はこのような回転式の走査ユニット102を有する従来のレーザスキャナ100の概略断面図を示している。回転運動は走査ユニット102が駆動部106のシャフト104上に据え付けられていることによって生み出される。レーザスキャナ100は、上部がカバー110から成るケーシング108で防護されている。
【0007】
多数の構造組立品(ケーシング、カバー、駆動部、走査ユニット)及びそれらの構造組立品の間の接続箇所があることから、特にセンサが非常に平面性の高い走査野を持っていなければならない場合に組立て及び調整のコストが大きい。一緒に運動する走査ユニットではセンサの回転部分に更にエネルギー及びデータ伝送用のインターフェイスを設ける必要がある。そのために更に別の部品乃至は構造組立品が必要とされ、それらがセンサ並びに該センサの組立て及び調整をより複雑にしてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE 43 40 756 A1
【特許文献2】DE 197 57 849 B4
【特許文献3】EP 2 388 619 A1
【特許文献4】EP 3 293 546 B1
【特許文献5】DE 10 2013 111 547 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
故に本発明の課題は、より簡単な構造を持つ、冒頭で述べた種類のセンサを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は請求項1に記載の監視領域内の物体を検出するためのセンサ、及び、請求項1に記載の光電センサの一部である走査ユニットの支持方法により解決される。
【0011】
本センサは監視領域を走査するために発光器と受光器を備えており、固定子及び回転子を有する駆動部と前記回転子を用いて駆動される走査ユニットが周期的な走査運動を生じさせる。本センサはカバーを有する基礎ケーシングを備えており、基礎ケーシングとカバーは機械的な結合のための少なくとも1つの接続箇所を相互に備えている。カバーは走査ユニットを受けるための少なくとも1つの第1の軸受を含み、走査ユニットは前記回転子と一緒に回転可能に第1の軸受内で支持されている。第1の軸受は好ましくはカバーのうち基礎ケーシングの方を向いた側に配置することができる。
【0012】
本発明には、カバー内で走査ユニットを軸受で支持することにより許容差を伴う接続箇所の数が少なくなり、その結果、組立て及び/又は調整が容易になり、以て製造コストが削減されるという利点がある。更に、カバー内で走査ユニットを軸受で支持することにより最適な軸受配置(軸受箇所間の質量の重心)になり、その結果、振動及び/又は衝撃に関する要求がある場合に明らかな改善が見られる。同時にセンサ全体がフィールドにおいてより頑強になり、衝撃及び振動耐性がより高くなり、特に屋外での性能や、センサを機械的な負荷から防護することができない厳しい環境での使用可能性が著しく高まる。機器の欠陥による欠損が生じる可能性がはるかに低くなる。
【0013】
本発明の一実施形態では、発光器と受光器を基礎ケーシング内に配置することができる。その場合、走査ユニットは、発射光を監視領域へと向かわせるとともに該監視領域内の物体による反射光を受光器へ向かわせる方向転換ミラーを備える。発光器及び受光器とともに、付属の発光及び受光光学系、並びに発信及び受信電子機器の少なくとも一部、更に可能であれば評価ユニットも基礎ケーシング内に収めることが好ましい。この実施形態には、方向転換ミラーと駆動部の回転子しか運動しないため、系のうち運動する部分の質量が抑えられるという利点がある。
【0014】
本発明の一実施形態では、走査ユニットが発光器及び/又は受光器を備えることができる。このようにすると、走査ユニットが回転式の測定ヘッドになる。発光器及び受光器とともに、付属する発光及び受光光学系、並びに発信及び受信電子機器の少なくとも一部、更に可能であれば評価ユニットも走査ユニットに収めることが好ましい。
【0015】
駆動部の固定子は基礎ケーシング内又はカバー内に配置することができる。固定子と回転子をカバー内に配置すれば、回転子と固定子の相互の位置合わせに関係するカバーと基礎ケーシングとの間の機械的な接続箇所の許容差がなくなる。基礎ケーシング内に配置することは、走査ユニットが方向転換ミラーとして実装される一方、センサの他の構成要素が基礎ケーシング内に配置されている場合に有利となり得る。なぜなら、その場合はカバーとの電気的な接続が不要になるからである。
【0016】
カバーは走査ユニットを回転可能に支持するための第2の軸受を備え、第1の軸受はカバーのうち基礎ケーシングの方を向いた側に配置され、第2の軸受はカバーのうち基礎ケーシングとは反対の方を向いた側に配置されているものとすることができる。これにより、センサの衝撃及び振動耐性をより高めることができる。軸受の寸法設定はカバーの形状に任意に合わせることができる。例えば第2の軸受は第1の軸受よりも直径を小さくすることができる。
【0017】
カバーは第1及び/又は第2の軸受のための機械的な受容部を備えるものとすることができ、該受容部がカバーの不可分の構成要素であれば有利である。これによりカバーと走査ユニットの間のあらゆる許容差がほぼなくなる。第1及び/又は第2の軸受のための受容部は例えばカバーを製造するための射出成形プロセスの間にカバー内に固定することができる。
【0018】
カバーは側壁と蓋領域を有する回転体として構成することができる。側壁は例えば円柱、円錐台又は球欠であるが、例えば脚付きグラスのようなより複雑な輪郭も考えられる。そしてこの側壁は上の方で蓋領域により封鎖されている。蓋領域は円形でもよいが、膨らみがあってもよい。
【0019】
カバーは、発射光の出射領域及び反射光の入射領域としての前面パネルを備えるものとすることができる。この前面パネルはカバー(特に側壁)の不可分の構成要素であることが好ましい。
【0020】
カバーは発射光に対して透明な合成物質で作製されていることが好ましい。反射された受信光も同じ波長を有しているから、前記透明性は受信光に対しても当然に当てはまる。このようにすればカバーが前面パネルも兼ねるような特性を獲得する。もっとも、カバーが裸眼で見て透明である必要は全くなく、例えば黒色で不透明である。なぜなら、発射光にはしばしば可視領域以外のスペクトル領域、特に赤外光が用いられるからである。
【0021】
カバーの製造及びセンサ組立て中のカバーの取り扱いを容易にするため、カバーは複数の要素から成る構造組立品ではなく単一の部品であることが好ましい。
【0022】
カバーを中央で支える支持要素を設けることができる。この場合、カバーの支持領域は特に蓋領域のほぼ中央にある。好適な支持要素及び配置は例えば特許文献4に記載されている。
【0023】
本センサは、評価ユニットが光信号の送出と反射光の受光との間の光伝播時間を測定して該光伝播時間から物体の距離を特定する距離測定型のセンサであることが好ましい。これにより単に物体の存在を確認するよりもはるかに正確な物体情報を得ることができる。
【0024】
好ましくは、走査ユニットの角度位置を検出するための角度測定ユニットが設けられる。そうすれば、全体として、検出された物体に対して完全な2次元位置座標が利用可能になる。走査ユニットを2軸で運動させることにより空間的に広がった監視領域を作り出す場合は、その都度の走査ユニットの傾斜角も検出することで、全体として、監視領域内の物体位置を同様に完全に記述する3次元球座標を取得することが好ましい。
【0025】
本センサは安全出力を備えた安全センサとして構成され、評価ユニットは監視領域内の防護区域に物体があるかどうかを判定し、その判定に基づいて安全出力を通じて安全確保に向けた遮断信号を出力するように構成されていることが好ましい。安全センサは冒頭に記載したような安全規格の意味で安全なものであり、従って特に危険の発生源付近での人の防護に用いることができる。
【0026】
以下、本発明について、更なる特徴及び利点をも考慮しつつ、模範的な実施形態に基づき、添付の図面を参照しながら詳しく説明する。なお、図面において同じ符号は同一又は類似の特徴を指している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】従来のレーザスキャナの概略断面図。
図2】方向転換ミラーとして仕上げられた走査ユニットを有する本発明に係るレーザスキャナの一実施形態の概略断面図。
図3図2に類似した本発明に係るレーザスキャナの一実施形態の概略断面図。
図4図2に類似した本発明に係るレーザスキャナの別の実施形態の概略断面図。
図5】発光器と受光器を含む走査ユニットを有する本発明に係るレーザスキャナの一実施形態の概略断面図。
図6図6に類似した本発明に係るレーザスキャナの別の実施形態の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図2はレーザスキャナ10の形態で仕上げられた本発明に係る光電センサの概略断面図を示している。レーザスキャナ10は大きく分けて可動式の走査ユニット12、基礎ケーシング14及びカバー16を含んでいる。基礎ケーシング14とカバー16は少なくとも1つの接続箇所18を介して相互に機械的に結合されている。カバー16は側壁50(ここでは円筒状)を備えており、全体として適宜の輪郭から形成された回転体となっている。側壁50は前面パネルの役割を果たしており、これを通って発射光が出射するとともに監視領域32から反射光36が入射する。従ってこの側壁50は発光器26で生成される発射光30に対して透明な材料で作製されている。カバー16は上の方で蓋領域52により封鎖されている。この領域は側壁50と結合されており、好ましくは該側壁と一緒に形成されている。例えばカバー16は射出成形法で製造できる単一の合成物質部品である。
【0029】
カバー16は走査ユニット12を受けるための少なくとも1つの第1の軸受20を含んでおり、該第1の軸受20はカバー16のうち基礎ケーシング14の方を向いた側に配置されており、走査ユニット12は回転可能に第1の軸受20内で支持されている。走査ユニット12は更に少なくとも1つの回転子22を備えており、これにより走査ユニットを基礎ケーシング14内に配置された少なくとも1つの固定子24と結合させて揺動又は回転運動させることができる。従って回転子22と固定子24は一緒に走査ユニット12の駆動部となる。
【0030】
走査ユニット12はこの実施形態では方向転換ミラー25を備えており、レーザスキャナ10の他の構成要素は基礎ケーシング14内に配置されている。発光器26が発光光学系28の助けを借りて発射光30を生成する。この光は走査ユニット12の方向転換ミラー25を経て監視領域32へと送出される。監視領域32で発射光30が物体34に当たると、それに対応する反射光36がレーザスキャナ10まで戻る。反射光36は走査ユニット12の方向転換ミラー25を経て基礎ケーシング14内の受光光学系38へ導かれ、該光学系により受光器40へと集光されて電気的な受信信号に変換される。発光器26と受光器34はここでは一緒に回路基板42上に収められている。
【0031】
制御及び評価ユニット44が走査ユニットの駆動部の固定子24と発光器26を制御し、受光器40の受信信号を評価するとともに、走査ユニット12のその都度の角度位置を測定する角度測定ユニット46から信号を受け取る。制御及び評価の機能は回路基板42と評価ユニット44との間で幅広く自由に分配することができるが、ここでは評価ユニット44だけがそれを担当するかのように記載する。
【0032】
評価のため、好ましくは、検知された物体34までの距離を光伝播時間法で測定する。そのために、位相ベースのシステムでは発光器26の発射光が変調され、受光器40の受信信号に対する位相関係が評価される。他方、パルスベースのシステムでは、発信時点に短い光パルスが送出され、受信信号からその受信時点が算出される。その際、個々の発射パルスからそれぞれ距離を特定する個別パルス法も、また多数の連続した発射パルスからの受信信号を集めて統計的に評価するパルス平均法も考えられる。発射光30がそれぞれ送出されたその都度の角度位置は角度測定ユニット46から同様に分かる。従って、各走査周期が完了する度、即ち走査ユニット12の回転の度に、走査平面内の全ての物点の角度及び距離の2次元極座標が利用可能になる。
【0033】
こうして物体の位置又は物体の輪郭が分かり、センサインターフェイス48を通じて出力することができる。センサインターフェイス44又は別の接続部(図示せず)が逆にパラメータ設定インターフェイスとして用いられる。安全技術に応用する場合、監視領域22内に設定できる防護区域に不許可の侵入がないか監視され、それに基づき、必要であれば、安全確保に向けた遮断信号が、安全に構成されたインターフェイス48(例えばOSSD: Output Signal Switching Device)を通じて出力される。
【0034】
図3図2のレーザスキャナ10の実施形態の変形を示している。ここではカバー16が、安定化要素56で走査ユニット12を回転可能に支持するための第2の軸受54を備えており、その第2の軸受54はカバー16のうち基礎ケーシング14とは反対の方を向いた側に配置されている。第2の軸受54は第1の軸受20よりも直径が小さい。
【0035】
図4図2のレーザスキャナ10の実施形態の別の変形を示している。図2の実施形態とは違って、ここではカバー16が走査ユニット12の駆動部の回転子22と固定子24の両方を含んでいる。このようにすれば、回転子22と固定子24の位置合わせに相互に関係するカバー16と基礎ケーシング14の機械的な接続箇所18のための許容差がなくなる。
【0036】
図5は本発明に係るセンサの別の実施形態を示している。図2~5に示した各実施形態の場合と同様に、レーザスキャナ60として仕上げられたこの光電センサは大きく分けて可動の走査ユニット62、基礎ケーシング14及びカバー16を含んでいる。基礎ケーシング14とカバー16は少なくとも1つの接続箇所18を介して相互に機械的に結合されている。カバー16は側壁50(ここでは円筒状)を備えており、全体として適宜の輪郭から形成された回転体となっている。側壁50は前面パネルの役割を果たしており、これを通って発射光30が出射するとともに監視領域から反射光36が入射する。従ってこの側壁50は発光器26で生成される発射光30に対して透明な材料で作製されている。カバー16は上の方で蓋領域52により封鎖されている。この領域は側壁50と結合されており、好ましくは該側壁と一緒に形成されている。例えばカバー16は射出成形法で製造できる単一の合成物質部品である。カバー16は走査ユニット62を受けるための少なくとも1つの第1の軸受20を含んでおり、該第1の軸受20はカバー16のうち基礎ケーシング14の方を向いた側に配置されており、走査ユニット12は回転可能に第1の軸受20内で支持されている。走査ユニット62は更に少なくとも1つの回転子22を備えており、これにより走査ユニット62を基礎ケーシング14内に配置された少なくとも1つの固定子24と結合させて揺動又は回転運動させることで、監視領域32を周期的に走査することができる。従って回転子22と固定子24は一緒に走査ユニット62の駆動部となる。
【0037】
図2~5に示した実施形態とは違って、走査ユニット62は光学的測定ヘッドとして構成されており、該ヘッド内で発光器26が発光光学系28の助けを借りて発射光30を監視領域32内へ送出する。監視領域32で発射光30が物体34に当たると、それに対応する反射光36がレーザスキャナ60まで戻る。反射光36は受光光学系38により受光器40へ導かれて電気的な受信信号に変換される。発光器26と受光器40はここでは一緒に第1の回路基板42上に収められている。走査ユニット62は更に第1のエネルギー伝送モジュール64と第1のデータ伝送モジュール66を備えている。
【0038】
走査ユニット62内の配置は純粋に模範的なものと理解すべきである。例えば、発光器26と受光器40はそれぞれ独自の回路基板に収めてもよいし、全体ではより多数又は少数の回路基板を他の配置で設けてもよい。原理的には、発光光学系を受光レンズの中心に備える二重レンズ型のものや光線分割ミラーを用いたもの等、単一ビーム式の光電センサ又はレーザスキャナに関して知られているいかなる配置も可能である。探知系を発光器26と受光器40から構成することすら必須ではなく、代わりに別のセンサを回転させることや、特許文献5に記載されているように複数の平面における多重走査を行うために複数のセンサの組み合わせを回転させることも可能である。
【0039】
レーザスキャナ62の基礎ケーシング14は固定子24の他、制御及び評価ユニット44とセンサインターフェイス48、更には第2のエネルギー伝送モジュール68と第2のデータ伝送モジュール70を含んでいる。第1及び第2のエネルギー伝送モジュール64、68を通じて走査ユニット62、特に発光器26と受光器40への給電を行うことができる。第1及び第2のデータ伝送モジュールは、制御及び評価ユニット44の制御信号を走査ユニット62へ、そして受光器40の電気的な受信信号を制御及び評価ユニット44へ送る無線双方向データ通信に用いられる。制御及び評価ユニット44は受信信号を評価し、駆動部16を制御し、走査ユニット62のその都度の角度位置を測定する角度測定ユニット42から信号を受け取る。制御及び評価の機能は走査ユニット62(特に回路基板42)と評価ユニット40との間で幅広く自由に分配することができる。受信信号の評価は図2の説明と同様に行われる。
【0040】
図6図5のレーザスキャナ60の実施形態の変形を示している。カバー16は蓋領域52において、この実施形態では中央で、支持要素72により支えられている。支持要素72は単純な形状でよく、例えばピン又は棒として構成することができる。カバー16と支持要素72の間の接続は固定的であることが好ましい。回転可能な軸受はここには設けられておらず、また必要でもない。なぜなら、支持要素72は走査ユニット62と一緒に運動するものではないからである。それどころか支持要素72は走査ユニット62の空所を通って基礎ケーシング14まで延在している。こうしてカバー16は接続箇所18に加えて蓋領域52において頑丈に基礎ケーシングと結合されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】