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特開2022-159043基板処理装置のプロセス判定装置、基板処理システム、基板処理装置のプロセス判定方法、学習モデル群、学習モデル群の生成方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159043
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】基板処理装置のプロセス判定装置、基板処理システム、基板処理装置のプロセス判定方法、学習モデル群、学習モデル群の生成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20221006BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/302 105Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046130
(22)【出願日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2021060521
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】511265154
【氏名又は名称】SPPテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】特許業務法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 佑揮
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004BA09
5F004BB18
5F004BB25
5F004BD04
5F004BD05
5F004CA02
5F004CA03
5F004CA04
5F004CA06
5F004CA08
5F004CB05
5F004CB12
5F004DA22
(57)【要約】
【課題】プロセスの成否を高い判定精度で判定することが可能な基板処理装置のプロセス判定装置等を提供する。
【解決手段】プロセス判定装置20は、基板処理装置10のプロセスログデータを取得するプロセスログ取得部21と、基板処理装置のレシピ及びプロセスログデータに基づき入力データを作成し、プロセスの成否を判定する判定部22と、を備える。判定部は、入力データがそれぞれ入力され、プロセスの成否をそれぞれ出力する、機械学習を行うことでレシピ毎に生成された複数個の学習モデル24から構成される学習モデル群を具備する。判定部は、学習モデル群のうち、判定対象プロセスのレシピに応じた学習モデルを選択し、これを用いて判定対象プロセスの成否を判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置のプロセスの成否を判定する装置であって、
前記基板処理装置のプロセスの条件であるレシピ及び前記基板処理装置のプロセスログデータに基づき入力データを作成し、前記入力データに基づき、前記プロセスの成否を判定する判定部を備え、
前記判定部は、前記入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、機械学習を行うことで前記基板処理装置のレシピ毎に生成された学習モデルから構成される学習モデル群を具備し、
前記判定部は、前記学習モデル群のうち、前記基板処理装置の判定対象とするプロセスである判定対象プロセスのレシピに応じた学習モデルを選択し、前記選択した学習モデルを用いて前記判定対象プロセスの成否を判定する、
ことを特徴とする基板処理装置のプロセス判定装置。
【請求項2】
前記基板処理装置のプロセスログデータを取得するプロセスログ取得部を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置のプロセス判定装置。
【請求項3】
前記学習モデル群は、前記基板処理装置のレシピ毎に複数個生成された学習モデルから構成され、
前記判定部は、前記学習モデル群のうち、前記判定対象プロセスのレシピに応じた複数個の学習モデルを選択し、前記選択した複数個の学習モデルを用いて前記判定対象プロセスの成否を判定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基板処理装置のプロセス判定装置。
【請求項4】
前記複数個の学習モデルは、前記基板処理装置のプロセスが正常であるか異常であるかをそれぞれ判定結果として出力し、
前記判定部は、前記選択した複数個の学習モデルの判定結果のうち、少なくとも1つの判定結果が異常であれば、異常であることを最終的な判定結果として出力する、
ことを特徴とする請求項3に記載の基板処理装置のプロセス判定装置。
【請求項5】
前記複数個の学習モデルは、前記基板処理装置のプロセスが正常であるか異常であるかをそれぞれ判定結果として出力し、
前記判定部は、前記選択した複数個の学習モデルの判定結果の多数決を最終的な判定結果として出力する、
ことを特徴とする請求項3に記載の基板処理装置のプロセス判定装置。
【請求項6】
前記学習モデルは、前記基板処理装置のプロセスが正常である場合の教師データのみを用いた機械学習を行うことで生成されている、
ことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の基板処理装置のプロセス判定装置。
【請求項7】
前記基板処理装置は、内部にプラズマが生成されるチャンバと、前記チャンバ内に配置され、基板が載置され、高周波電力が印加される載置台とを備え、
前記判定部は、前記基板処理装置のプロセスの条件であるレシピと、前記基板処理装置のプロセスログデータを構成するVpp及び/又はVDCとに基づき入力データを作成し、前記入力データに基づき、前記プロセスの成否を判定する、
ことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の基板処理装置のプロセス判定装置。
なお、Vppは、前記載置台に印加される高周波電力の電圧の大きさを意味し、VDCは、前記載置台がプラズマ中の電子を引き込むことで前記載置台に生じる帯電が生み出す直流の電圧成分の大きさを意味する。
【請求項8】
前記判定部は、
前記学習モデル群のうち、前記判定対象プロセスのレシピと同一のレシピについて生成された学習モデルが存在する場合には、当該学習モデルを選択し、
前記学習モデル群のうち、前記判定対象プロセスのレシピと同一のレシピについて生成された学習モデルが存在しない場合には、前記判定対象プロセスのレシピに類似するレシピについて生成された学習モデルを選択する、
ことを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の基板処理装置のプロセス判定装置。
【請求項9】
基板処理装置のプロセスの成否を判定する装置であって、
前記基板処理装置のプロセスの条件であるレシピ及び前記基板処理装置のプロセスログデータに基づき入力データを作成し、前記入力データに基づき、前記プロセスの成否を判定する判定部を備え、
前記判定部は、前記入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、機械学習を行うことで前記基板処理装置のレシピ毎に生成された学習モデルから構成される学習モデル群を具備し、
前記学習モデルは、前記基板処理装置の1つのレシピに対して1個生成されており、
前記判定部は、前記学習モデル群のうち、前記基板処理装置の判定対象とするプロセスである判定対象プロセスのレシピに応じた学習モデルを選択し、前記選択した学習モデルを用いて前記判定対象プロセスの成否を判定する、
ことを特徴とする基板処理装置のプロセス判定装置。
【請求項10】
基板処理装置と、請求項1から9の何れかに記載のプロセス判定装置と、
を備えることを特徴とする基板処理システム。
【請求項11】
基板処理装置のプロセスの成否を判定する方法であって、
前記基板処理装置のプロセスログデータを取得するプロセスログ取得工程と、
前記基板処理装置のプロセスの条件であるレシピ及び前記プロセスログデータに基づき入力データを作成し、前記入力データに基づき、前記プロセスの成否を判定する判定工程と、を含み、
前記判定工程では、前記入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、機械学習を行うことで前記基板処理装置のレシピ毎に生成された学習モデルから構成される学習モデル群が予め用意され、前記学習モデル群のうち、前記基板処理装置の判定対象とするプロセスである判定対象プロセスのレシピに応じた学習モデルを選択し、前記選択した学習モデルを用いて前記判定対象プロセスの成否を判定する、
ことを特徴とする基板処理装置のプロセス判定方法。
【請求項12】
基板処理装置のプロセスの条件であるレシピ及びプロセスログデータに基づき作成された入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、機械学習を行うことで前記基板処理装置のレシピ毎に生成された学習モデルから構成される学習モデル群。
【請求項13】
基板処理装置のプロセスの条件であるレシピ及びプロセスログデータに基づき作成された入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、学習モデルから構成される学習モデル群を生成する方法であって、
前記基板処理装置のレシピ毎に機械学習を行うことで、前記レシピ毎に前記学習モデルを生成する、
ことを特徴とする学習モデル群の生成方法。
【請求項14】
請求項11に記載の基板処理装置のプロセス判定方法が含む前記プロセスログ取得工程及び前記判定工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置のプロセスの成否を判定する基板処理装置のプロセス判定装置、これを備えた基板処理システム、基板処理装置のプロセス判定方法、学習モデル群、学習モデル群の生成方法及びプログラムに関する。特に、本発明は、高い判定精度を得ることが可能な基板処理装置のプロセス判定装置、基板処理システム、基板処理装置のプロセス判定方法、学習モデル群、学習モデル群の生成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造装置等の基板処理装置のプロセス(製造プロセス)の成否(正常又は異常)を判定する際、基板処理装置における基板の処理に関わる各種の測定値の履歴であるプロセスログデータが用いられている。
基板処理装置のプロセスの成否を判定する際には、プロセスログデータを構成する各パラメータに対する閾(しきい)値を、レシピと称されるプロセスの条件毎に予め設定しておき、判定対象とするプロセスのプロセスログデータを構成する各パラメータが、このレシピに応じて設定された閾値を超えるか否かで、このプロセスの成否を判定している。
【0003】
しかしながら、プロセスログデータを構成する各パラメータの数やレシピの数は多いため、プロセスの成否を判定するために用いる適切な閾値を決めるのは困難である。適切な閾値を決めることができなければ、自ずとプロセスの成否を判定する精度も低下することになる。
【0004】
上記の閾値の設定のようなオペレータの手間を軽減しつつ、プロセスログデータを用いてレシピを最適化する装置として、例えば、機械学習を利用した特許文献1に記載の装置が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、プロセスの成否を判定するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-38888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、基板処理装置のプロセスの成否を高い判定精度で判定することが可能な基板処理装置のプロセス判定装置、これを備えた基板処理システム、基板処理装置のプロセス判定方法、学習モデル群、学習モデル群の生成方法及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、基板処理装置のプロセスの成否を判定する装置であって、前記基板処理装置のプロセスの条件であるレシピ及び前記基板処理装置のプロセスログデータに基づき入力データを作成し、前記入力データに基づき、前記プロセスの成否を判定する判定部を備え、前記判定部は、前記入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、機械学習を行うことで前記基板処理装置のレシピ毎に生成された学習モデルから構成される学習モデル群を具備し、前記判定部は、前記学習モデル群のうち、前記基板処理装置の判定対象とするプロセスである判定対象プロセスのレシピに応じた学習モデルを選択し、前記選択した学習モデルを用いて前記判定対象プロセスの成否を判定する、ことを特徴とする基板処理装置のプロセス判定装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、基板処理装置のプロセスの成否を判定する判定部が、学習モデル群を具備する。この学習モデル群は、機械学習を行うことで基板処理装置のレシピ毎に生成された学習モデルから構成されている。判定部が具備する学習モデル群を構成する学習モデルが機械学習を行うことで生成されるため、従来のように、プロセスログデータを構成する多くのパラメータに対する閾値を多くのレシピ毎に定める必要が無く、手間が軽減するという利点が得られる。
そして、判定部は、学習モデル群のうち、判定対象プロセスのレシピに応じた学習モデルを選択し、選択した学習モデルを用いて判定対象プロセスの成否を判定する。このため、レシピに応じた適切な学習モデルでプロセスの成否を判定することができ、判定精度を高めることが可能である。
また、本発明によれば、学習モデルに入力する入力データが基板処理装置のレシピとプロセスログデータとを用いて作成されるため、この入力データを判定部等に記憶させておけば、レシピとプロセスログデータとが確実に紐付けて記憶されることになる。このため、レシピとプロセスログデータとを別々に記憶する場合に比べて、レシピに対応する適切なプロセスログデータが学習モデルへの入力データとして用いられたか否か等の確認や、レシピに対応する適切な学習モデルが選択されたか否かの確認を行い易いという利点が得られる。
なお、判定部は、基板処理装置のレシピとプロセスログデータとを用いて、学習モデルに入力する入力データを作成するが、この入力データは、レシピ及びプロセスログデータを構成する全てのパラメータを用いて作成されたものである必要はなく、一部のパラメータを用いて作成されたものでもよい。例えば、プロセスの成否を判定する上で有用なパラメータを事前に試験して決定しておけばよい。
また、学習モデルの選択は、判定部にレシピが入力されるように構成し、この入力されたレシピに応じて、判定部が自動的に選択することも可能であるし、オペレータが手動で判定部への学習モデルの選択指示を行うことも可能である。
【0009】
好ましくは、本発明に係るプロセス判定装置は、前記基板処理装置のプロセスログデータを取得するプロセスログ取得部を更に備える。
プロセスデータの取得は、本発明に係るプロセス判定装置とは別の装置で行ない、取得したプロセスログデータを本発明に係るプロセス判定装置の判定部に自動的に又は手動で入力してもよい。
しかしながら、上記の好ましい構成によれば、本発明に係るプロセス判定装置自体がプロセスログ取得部を備えてプロセスログデータを取得するため、別の装置が取得する場合に比べて、プロセスログデータの取得に要する時間、ひいては、判定対象プロセスの成否の判定に要する時間が短縮されることが期待できる。
【0010】
本発明の判定部は、レシピ毎に単一の学習モデルを具備する構成とすることが可能である。すなわち、ある1つのレシピに対して1個生成された学習モデルを具備する構成とすることが可能である。この1個の学習モデルの判定精度が高い場合には、1つのレシピに対して1個の学習モデルを具備する構成の方が、学習モデルの管理が容易になる点で好ましい。
しかしながら、判定精度の信頼性を高める上では、レシピ毎に複数個の学習モデルを具備する構成とし、これら複数個の学習モデルを用いてプロセスの成否を判定することが好ましい。換言すれば、判定部が、ある1つのレシピに対して複数個の学習モデルを具備する構成とすることが好ましい。
【0011】
すなわち、好ましくは、前記学習モデル群は、前記基板処理装置のレシピ毎に複数個生成された学習モデルから構成され、前記判定部は、前記学習モデル群のうち、前記判定対象プロセスのレシピに応じた複数個の学習モデルを選択し、前記選択した複数個の学習モデルを用いて前記判定対象プロセスの成否を判定する。
【0012】
上記の好ましい構成によれば、判定対象プロセスのレシピに応じた複数個の学習モデルを用いてプロセスの成否を判定する、すなわち、レシピに応じた複数個の学習モデルのそれぞれから出力されるプロセスの成否に応じて、最終的なプロセスの成否を判定するため、レシピ毎に単一の学習モデルを具備する構成に比べて、判定精度の信頼性を高めることが可能である。
なお、レシピ毎に複数個生成される学習モデルは、その入力データが共通するものであってもよいが、判定精度の信頼性を高める上では、異なるものであることが好ましい。例えば、複数個の学習モデルのうち、一の学習モデルには、レシピ及びプロセスログデータを構成する一部のパラメータから作成された入力データが入力され、他の学習モデルには、レシピ及びプロセスログデータを構成する他の一部のパラメータから作成された入力データが入力されるように構成することが可能である。
【0013】
上記の好ましい構成(基板処理装置のレシピ毎に複数個生成された学習モデルを具備する構成)において、前記複数個の学習モデルは、前記基板処理装置のプロセスが正常であるか異常であるかをそれぞれ判定結果として出力し、前記判定部は、前記選択した複数個の学習モデルの判定結果のうち、少なくとも1つの判定結果が異常であれば、異常であることを最終的な判定結果として出力することが考えられる。
【0014】
上記の構成によれば、少なくとも1つの学習モデルの判定結果が異常であれば、残りの学習モデルの判定結果が正常であったとしても、最終的な判定結果が異常となるため、異常を見逃す可能性が低減するという利点を有する。
【0015】
また、上記の好ましい構成(基板処理装置のレシピ毎に複数個生成された学習モデルを具備する構成)において、前記複数個の学習モデルは、前記基板処理装置のプロセスが正常であるか異常であるかをそれぞれ判定結果として出力し、前記判定部は、前記選択した複数個の学習モデルの判定結果の多数決を最終的な判定結果として出力することが考えられる。
【0016】
上記の構成によれば、複数個の学習モデルの判定結果の多数決を最終的な判定結果とするため、複数個の学習モデルの中に、仮に判定精度の低い学習モデルが含まれていたとしても、最終的な判定結果の判定精度に信頼性をもたせることが可能である。
なお、複数個の学習モデルが偶数個の学習モデルである場合、同じ判定結果を出力する学習モデルの個数が同数になる可能性がある。同数になった場合には、予め決めた判定結果を最終的な判定結果として出力することが考えられる。例えば、判定部が4個の学習モデルを具備し、何れか2個の学習モデルが正常であると判定し、残りの2個の学習モデルが異常であると判定した場合には、同数であるため、最終的な判定結果を異常とすることを予め決めておけばよい。
【0017】
本発明において、好ましくは、前記学習モデルは、前記基板処理装置のプロセスが正常である場合の教師データのみを用いた機械学習を行うことで生成される。
【0018】
一般に、プロセスが異常となる頻度は少ない。このため、プロセスが正常である場合の教師データの収集に比べて、プロセスが異常である場合の教師データの収集は難しい。
上記の好ましい構成によれば、教師データを収集し易いため、学習モデルを生成する際の機械学習や、新たな教師データを用いた学習モデルの再学習を効率良く実行可能であるという利点を有する。
【0019】
好ましくは、前記基板処理装置は、内部にプラズマが生成されるチャンバと、前記チャンバ内に配置され、基板が載置され、高周波電力が印加される載置台とを備え、前記判定部は、前記基板処理装置のプロセスの条件であるレシピと、前記基板処理装置のプロセスログデータを構成するVpp及び/又はVDCとに基づき入力データを作成し、前記入力データに基づき、前記プロセスの成否を判定する。なお、Vppは、前記載置台に印加される高周波電力の電圧の大きさを意味し、VDCは、前記載置台がプラズマ中の電子を引き込むことで前記載置台に生じる帯電が生み出す直流の電圧成分の大きさを意味する。
【0020】
内部にプラズマが生成されるチャンバと、チャンバ内に配置され、基板が載置され、高周波電力が印加される載置台とを備える基板処理装置としては、プラズマ処理装置が挙げられる。プラズマ処理装置としては、プラズマエッチング装置や、プラズマ成膜装置(CVD装置、スパッタ装置を含む。以下同じ)が挙げられる。プラズマ源としては、誘導結合プラズマ(ICP)方式や、容量結合プラズマ(CCP)方式が挙げられる。
上記の何れの基板処理装置であっても、VppやVDCの値が大きくなれば、チャンバ内のプラズマ中のイオン等の載置台への引き込みが強くなる。そして、プラズマが不安定(プラズマ発光が不規則的に明るくなったり暗くなったりする)であれば、VppやVDCの値も安定しなくなる。このため、上記の好ましい構成のように、Vpp及び/又はVDCに基づき入力データを作成すれば、上記の何れの基板処理装置であっても、プロセスの成否を高い判定精度で判定可能である。
なお、上記の好ましい構成において、「前記基板処理装置のプロセスログデータを構成するVpp及び/又はVDCとに基づき入力データを作成」とは、プロセスログデータを構成するパラメータとして、Vpp及び/又はVDCのみを用いて入力データを作成する場合に限られず、プロセスログデータを構成するパラメータとして、Vpp及び/又はVDCと、これ以外のパラメータとを用いて入力データを作成する(すなわち、少なくともVpp及び/又はVDCを用いて入力データを作成する)場合も含む概念である。
【0021】
本発明において、判定精度を高める上では、判定対象プロセスのレシピと同一のレシピについて生成された学習モデルを選択し、この選択した学習モデルを用いて判定対象プロセスの成否を判定することが望ましい。
しかしながら、あるレシピを用いて学習モデルを生成した後、判定対象プロセスを実行する際には、前記レシピを構成するパラメータを微調整する場合がある。このため、判定対象プロセスのレシピと同一のレシピについて生成された学習モデルが、学習モデル群に存在しない場合があり得る。判定対象プロセスのレシピと同一のレシピについて生成された学習モデルが必ず存在するように、パラメータの微調整前後の全てのレシピについて学習モデルを生成することも考えられるものの、多数の学習モデルを生成する必要があり、手間がかかるという問題がある。
一方、本発明者の知見によれば、判定対象プロセスのレシピと、学習モデルを生成するのに用いたレシピとが異なる場合であっても、学習モデルを生成するのに用いたレシピが判定対象プロセスのレシピに類似するレシピ(両レシピを構成する各パラメータの差が±20%以内)であれば、この類似するレシピについて生成された学習モデルを用いて判定対象プロセスの成否を判定しても、実用上問題のない判定精度を得ることができる場合がある
したがって、好ましくは、前記判定部は、前記学習モデル群のうち、前記判定対象プロセスのレシピと同一のレシピについて生成された学習モデルが存在する場合には、当該学習モデルを選択し、前記学習モデル群のうち、前記判定対象プロセスのレシピと同一のレシピについて生成された学習モデルが存在しない場合には、前記判定対象プロセスのレシピに類似するレシピについて生成された学習モデルを選択する。なお、レシピが類似するか否かの基準となる各パラメータの差は、±20%以内の範囲で、実用上問題のない判定精度を得られるか否かを事前に調べて、適宜調整すればよい。
【0022】
上記の好ましい構成によれば、多数の学習モデルを生成する手間を軽減できると同時に、実用上問題のない判定精度を得ることが可能である。
【0023】
また、前記課題を解決するため、本発明は、基板処理装置のプロセスの成否を判定する装置であって、前記基板処理装置のプロセスの条件であるレシピ及び前記基板処理装置のプロセスログデータに基づき入力データを作成し、前記入力データに基づき、前記プロセスの成否を判定する判定部を備え、前記判定部は、前記入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、機械学習を行うことで前記基板処理装置のレシピ毎に生成された学習モデルから構成される学習モデル群を具備し、前記学習モデルは、前記基板処理装置の1つのレシピに対して1個生成されており、前記判定部は、前記学習モデル群のうち、前記基板処理装置の判定対象とするプロセスである判定対象プロセスのレシピに応じた学習モデルを選択し、前記選択した学習モデルを用いて前記判定対象プロセスの成否を判定する、ことを特徴とする基板処理装置のプロセス判定装置としても提供される。
本発明によれば、学習モデルが、1つのレシピに対して1個生成されている(複数個生成されていない)ため、学習モデルの管理が容易になるという利点を有する。
【0024】
また、前記課題を解決するため、本発明は、基板処理装置と、前記の何れかに記載のプロセス判定装置と、を備えることを特徴とする基板処理システムとしても提供される。
【0025】
また、前記課題を解決するため、本発明は、基板処理装置のプロセスの成否を判定する方法であって、前記基板処理装置のプロセスログデータを取得するプロセスログ取得工程と、前記基板処理装置のプロセスの条件であるレシピ及び前記プロセスログデータに基づき入力データを作成し、前記入力データに基づき、前記プロセスの成否を判定する判定工程と、を含み、前記判定工程では、前記入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、機械学習を行うことで前記基板処理装置のレシピ毎に生成された学習モデルから構成される学習モデル群が予め用意され、前記学習モデル群のうち、前記基板処理装置の判定対象とするプロセスである判定対象プロセスのレシピに応じた学習モデルを選択し、前記選択した学習モデルを用いて前記判定対象プロセスの成否を判定する、ことを特徴とする基板処理装置のプロセス判定方法としても提供される。
【0026】
また、前記課題を解決するため、本発明は、基板処理装置のプロセスの条件であるレシピ及びプロセスログデータに基づき作成された入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、機械学習を行うことで前記基板処理装置のレシピ毎に生成された学習モデルから構成される学習モデル群としても提供される。
【0027】
また、前記課題を解決するため、本発明は、基板処理装置のプロセスの条件であるレシピ及びプロセスログデータに基づき作成された入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、学習モデルから構成される学習モデル群を生成する方法であって、前記基板処理装置のレシピ毎に機械学習を行うことで、前記レシピ毎に前記学習モデルを生成する、ことを特徴とする学習モデル群の生成方法としても提供される。
【0028】
さらに、前記課題を解決するため、本発明は、前記基板処理装置のプロセス判定方法が含む前記プロセスログ取得工程及び前記判定工程をコンピュータ(CPU)に実行させるためのプログラムとしても提供される。
なお、上記のプラグラムを記憶させた、コンピュータ(CPU)で読み取り可能な記憶媒体として提供することも可能である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、基板処理装置のプロセスの成否を高い判定精度で判定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1実施形態に係る基板処理システムの概略構成を模式的に示す図である。
図2】測定されるパラメータであるVpp及びVDCを説明する説明図である。
図3図1に示す正規化部23の動作を説明する説明図である。
図4図1に示す判定部22における学習モデルの学習時及び判定時の動作手順を示すフロー図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る基板処理システムが備えるプロセス判定装置の概略構成を示すブロック図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る基板処理システムが備えるプロセス判定装置の概略構成を示すブロック図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る基板処理システムを用いた試験において、第1学習モデルの機械学習に用いた教師データ及び機械学習の結果を説明する説明図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る基板処理システムを用いた試験において、機械学習後の第1学習モデルを用いてプロセスの成否を判定した結果の一例を説明する説明図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る基板処理システムを用いた試験において、機械学習後の第1学習モデルを用いてプロセスの成否を判定した結果の他の例を説明する説明図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る基板処理システムを用いた試験において、機械学習後の第1学習モデルを用いてプロセスの成否を判定した結果の他の例を説明する説明図である。
図11】本発明の第1実施形態に係る基板処理システムを用いた試験において、機械学習後の第1学習モデルを用いてプロセスの成否を判定した結果の他の例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係るプロセス判定装置及びこれを備えた基板処理システムについて説明する。本実施形態(第1実施形態~第3実施形態)では、基板処理装置がプラズマ処理装置である場合を例に挙げて説明する。
【0032】
最初に、本明細書で用いる語句の意味について説明する。
本明細書において、「基板処理装置のプロセス」とは、基板処理装置の製造プロセス(基板処理装置における基板の製造プロセス)を意味する。そして、「基板処理装置のプロセスの成否を判定する」とは、基板処理装置の製造プロセスが正常であるか異常であるかを判定することを意味する。基板処理装置の製造プロセスとは、基板処理装置内で、基板を処理する間及び処理の前後に行われるプロセスを意味する。本実施形態に係るプロセス判定装置は、基板処理装置のプロセスの成否を判定するため、その判定結果が、基板処理装置で処理した後の基板の性能向上や良品率向上などに直接寄与し得る。
また、本明細書において、「基板処理装置のプロセスログデータ」とは、基板処理装置における基板の処理に関わる各種の測定値の履歴や、処理の経過時間(プロセス時間)を意味し、基板処理装置の稼働時に逐次得られるものが一般的である。ただし、プロセスログデータには、処理後の基板の検査(基板処理装置外に搬出された基板の検査)に関わる測定値が含まれてもよい。基板の処理の良否に応じて基板の検査結果も変わり得るため、処理後の基板の検査に関わる測定値も、基板処理装置における基板の処理に関わる測定値といえるからである。
また、本明細書において、「学習モデル」としては、サポートベクタマシンやニューラルネットワークなど、機械学習を用いて生成できる限りにおいて種々の構成を採用可能である。
また、本明細書において、「教師データ」とは、学習モデルへの既知の入出力の組み合わせを意味する。
また、本明細書において、「複数個の学習モデルの判定結果の多数決を最終的な判定結果として出力する」とは、同じ判定結果を出力する学習モデルの個数が同数になった場合に、予め決めた何れか一方の判定結果を最終的な判定結果として出力する場合を含む概念である。
また、本明細書において、「学習モデル群」とは、必ずしも複数個の学習モデルから構成されたものに限定されず、単一の学習モデルから構成されたものも含む概念である。したがって、「基板処理装置のレシピ毎に生成された学習モデルから構成される学習モデル群」には、単一のレシピに応じて生成された単一の学習モデルから構成される学習モデル群も含まれる。
さらに、本明細書において、「判定対象プロセスのレシピに応じた学習モデルを選択」とは、判定対象プロセスのレシピと同一のレシピについて生成された学習モデルを選択する場合に限られるものではなく、判定対象プロセスのレシピに類似するレシピについて生成された学習モデルを選択する場合も含む概念である。本明細書において、「類似するレシピ」とは、判定対象プロセスのレシピを構成する各パラメータと、類似するレシピを構成する各パラメータとの差が、類似するレシピを構成する各パラメータの±20%以内である(好ましくは、±10%以内)ものを意味する。
【0033】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る基板処理システムの概略構成を模式的に示す図である。図1(a)は、基板処理システムの全体構成図である。図1(b)は、プロセス判定装置の概略構成を示すブロック図である。図1(c)は、プロセス判定装置を構成するコンピュータのモニタ画面の表示例を模式的に示す図である。なお、図1(a)では、プロセスログデータとして測定されるパラメータを破線の矩形で囲って図示している。図2は、測定されるパラメータであるVpp及びVDCを説明する説明図である。
図1(a)に示すように、第1実施形態に係る基板処理システム100は、基板処理装置10と、プロセス判定装置20と、を備えている。
【0034】
第1実施形態の基板処理装置10は、チャンバ1と、チャンバ1内に配置された載置台2と、を具備し、載置台2に載置された基板Wにプラズマ処理を施す装置である。より具体的には、第1実施形態の基板処理装置10は、基板Wにプラズマ処理としてのエッチングを施す誘導結合プラズマ(ICP)方式のプラズマエッチング装置である。
【0035】
基板処理装置10のチャンバ1内には、ガス供給源(図示せず)からプラズマを生成するための処理ガスが供給される。図1(a)では、ガスNo.1~ガスNo.6までの6種類の処理ガスを供給可能とした構成が図示されている。しかしながら、エッチング処理を実行する際、6種類の処理ガスの全てを使用する場合に限るものではなく、何れか1種類以上の処理ガスを用いてエッチングを行うことが可能である。なお、供給する各処理ガスの流量は、ガス供給源からチャンバ1までの流路に設けられたマスフローコントローラ(Mass Flow Controller、MFC)11によって測定される。また、チャンバ1には、チャンバ1の壁面を加熱するヒータ(図示せず)が適宜の箇所に設けられており、各箇所のヒータの温度(図1(a)に示す温度No.1-1~No.1-4)が、熱電対等の公知の測定器(図示せず)によって測定される。さらに、チャンバ1内の圧力が、真空計12によって測定される。
【0036】
基板処理装置10は、チャンバ1を囲うようにチャンバ1に配置されたコイル3を具備する(図1(a)では、便宜上、左側に位置するコイル3の断面のみを図示している)。コイル3には、上部高周波電源4から上部マッチングユニット5を介して高周波電力(上部高周波電力)が印加される。コイル3に上部高周波電力を印加することで、チャンバ1内に供給された処理ガスがプラズマ化される。なお、上部高周波電源4が印加する上部高周波電力と、上部マッチングユニット5の整合位置(上部マッチングユニット5が具備する可変コンデンサや可変コイルなどの定数)とが、それぞれ公知の測定器(図示せず)によって測定される。
【0037】
載置台2には、下部高周波電源6から下部マッチングユニット7を介して高周波電力(下部高周波電力)が印加される。載置台2に下部高周波電力を印加することで、載置台2とチャンバ1内のプラズマとの間にバイアス電位を与え、プラズマ中のイオンを加速して載置台2に載置された基板Wに引き込む。これにより、基板Wにエッチングが施される。なお、下部高周波電源6が印加する下部高周波電力と、下部マッチングユニット7の整合位置(下部マッチングユニット7が具備する可変コンデンサや可変コイルなどの定数)とが、それぞれ公知の測定器(図示せず)によって測定される。
また、載置台2に印加される高周波電力の電圧が、電圧計18によって測定される。そして、図2に示すように、その電圧の大きさ(peak to peak)がVppとして測定され、載置台2がプラズマ中の電子を引き込むことで載置台2に生じる帯電が生み出す電圧成分(直流成分)の大きさがVDCとして測定される。
【0038】
プラズマ処理の実行中、載置台2は、チラー8によって冷却される。チラー8の温度が、熱電対等の公知の測定器(図示せず)によって測定される。また、プラズマ処理の実行中、基板Wの裏面にHeガスが供給され、このHeガスによって基板Wが冷却される。この際、供給するHeガスの圧力・流量が、Heガス供給源(図示せず)から基板Wの裏面(載置台2の上面)までの流路に設けられた圧力・流量計9によって測定される。
【0039】
プラズマ処理を実行することでチャンバ1内に生成された反応生成物等は、チャンバ1内に連通する排気管17を通じてチャンバ1外に排気される。排気管17には、バルブ開度を調整することにより、チャンバ1内の圧力を制御する自動圧力制御装置(Auto Pressure Controller,APC)13、反応生成物を排気するための第1ポンプ(ターボ分子ポンプ)14、及び、第1ポンプ14を補助する第2ポンプ(ドライポンプやロータリーポンプなど)15が設けられている。なお、自動圧力制御装置13の温度(図1(a)に示す温度No.1-5)と、第1ポンプ14の温度(図1(a)に示す温度No.1-6)とが、熱電対等の公知の測定器(図示せず)によって測定される。また、排気管17には、排気管17を加熱するヒータ(図示せず)が適宜の箇所(例えば、第1ポンプ14と第2ポンプ15との間)に設けられており、各箇所のヒータの温度(図1(a)に示す温度No.1-7、No.1-8)が、熱電対等の公知の測定器(図示せず)によって測定される。また、自動圧力制御装置13のバルブ開度(APC開度)が、エンコーダ等の公知の測定器(図示せず)によって測定される。さらに、第1ポンプ14と第2ポンプ15との間に位置する排気管17内の圧力(フォアライン圧力)が、真空計16によって測定される。
【0040】
第1実施形態のプロセス判定装置20は、上記の構成を有する基板処理装置10に電気的に接続されており、基板処理装置10のプロセスの成否を判定する装置である。
【0041】
図1(b)に示すように、プロセス判定装置20は、プロセスログ取得部21と、判定部22と、を備え、例えば、コンピュータから構成されている。
プロセス判定装置20が、基板処理装置10の稼働を制御するために一般的に用いられる制御装置としての機能も有する場合(制御装置がプロセス判定装置20としても兼用される場合)、プロセスログ取得部21は、図1(a)を参照して前述した各測定値を測定する測定器(例えば、マスフローコントローラ11)と有線又は無線で電気的に接続されており(図1(a)では、便宜上、圧力・流量計9、マスフローコントローラ11及び真空計12だけに有線で接続されている状態を図示している)、各測定器から逐次入力された測定データを所定のサンプリング周期(例えば、1秒)で取得(A/D変換)し、プロセスログデータとして記憶する機能を有する。
【0042】
プロセスログ取得部21は、例えば、コンピュータに搭載されたA/D変換ボードや、コンピュータが具備するROM、RAM等のメモリや、該メモリに記憶され、プロセスログ取得部21としての動作をCPUに実行させるプログラムによって構成される。後述の判定部22、正規化部23、学習モデル24、論理和演算部25及び多数決決定部26も同様に、コンピュータが具備するROM、RAM等のメモリや、該メモリに記憶され、各部としての動作をCPUに実行させるプログラムによって構成される。
動作をCPUに実行させるプログラムは、プロセス判定装置20が備える記憶媒体であるハードディスク27に記憶され、ハードディスク27からRAMに読み込む態様であってもよい。また、ハードディスク27がプロセスログ取得部21の一部を構成し、プロセスログデータをハードディスク27に記憶させる態様であってもよい。図1(a)では、ハードディスク27が外付けである場合を図示しているが、コンピュータに内蔵されたハードディスクでもよい。以上のようにして取得されたプロセスログデータは、判定部22に入力される。
なお、プロセス判定装置20が上記の制御装置と別体である場合には、測定器と電気的に接続された制御装置によってプロセスログデータが取得され、制御装置に記憶される。そして、制御装置に記憶されたプロセスログデータが、制御装置と電気的に接続されたプロセス判定装置20のプロセスログ取得部21に送信されることになる。
【0043】
判定部22は、プロセスの条件であるレシピ及びプロセスログ取得部21によって逐次(例えば、1秒毎に)取得したプロセスログデータから入力データを作成し、この入力データに基づき、基板処理装置10のプロセスの成否を判定する部分である。
プロセス判定装置20が前述の制御装置としての機能も有する場合(制御装置がプロセス判定装置20としても兼用される場合)には、レシピは、予めプロセス判定装置20(判定部22)に記憶されている。プロセス判定装置20が上記の制御装置と別体であり、両者が電気的に接続されている場合には、制御装置に予め記憶されたレシピがプロセス判定装置20(判定部22)に送信されることになる。
【0044】
判定部22は、レシピ及びプロセスログデータから入力データを作成するが、入力データは、レシピ及びプロセスログデータを構成する全てのパラメータを用いて作成されたものである必要はなく、一部のパラメータを用いて作成されたものでもよい。
第1実施形態の判定部22は、レシピを構成するパラメータのうち、図1に示すガスNo.1の流量、ガスNo.2の流量、ガスNo.3の流量、下部高周波電力、上部高周波電力、Heガスの圧力、チラー8の温度、チャンバ1の壁面を加熱するヒータの温度No.1-1、No.1-2、No.1-3及びチャンバ1内の圧力の計11個のパラメータの設定値を用い、プロセスログデータを構成するパラメータのうち、Vpp及びVDCの計2個のパラメータの測定値を用いて、入力データを作成する。
【0045】
判定部22は、複数個の学習モデル24から構成された学習モデル群を具備する。図1(b)に示す例では、判定部22は、2個の第1学習モデル24a及び第2学習モデル24bを具備するが、本発明はこれに限るものではなく、3個以上の学習モデル24を具備することも可能である。第1学習モデル24a及び第2学習モデル24bは、基板処理装置10のレシピ毎に生成されている。例えば、第1学習モデル24aは、レシピR1のときに得られた教師データを用いた機械学習を行うことで生成され、第2学習モデル24bは、レシピR1と異なるレシピR2(例えば、レシピを構成するパラメータのうちの何れかのパラメータの値がレシピR1と異なる)のときに得られた教師データを用いた機械学習を行うことで生成されている。
【0046】
そして、判定部22は、第1学習モデル24a及び第2学習モデル24bから構成される学習モデル群のうち、成否の判定対象とするプロセスである判定対象プロセスのレシピに応じた学習モデルを選択し、選択した学習モデルを用いて判定対象プロセスの成否を判定する。例えば、判定対象プロセスのレシピがレシピR1である場合、判定部22は、第1学習モデル24aを選択し、これを用いて判定対象プロセスの成否を判定する。判定対象プロセスのレシピがレシピR2である場合、判定部22は、第2学習モデル24bを選択し、これを用いて判定対象プロセスの成否を判定する。
図1(b)に示す例では、第1学習モデル24aが選択されて、後述の正規化部23と接続され、第1学習モデル24aを用いて判定を行う状態を図示している。
【0047】
学習モデル24の選択は、判定部22が自動的に行うように構成してもよいし、オペレータが手動で判定部22への選択指示を行なってもよい。
判定部22が自動的に選択する場合には、例えば、プロセスのレシピに応じた識別子(ID)を付し(例えば、レシピR1に「A」という識別子を付し、レシピR2に「B」という識別子を付す)、各学習モデル24をこの識別子に紐付けて記憶させておけばよい。具体的には、例えば、第1学習モデル24aを識別子Aに紐付けて記憶させ、第2学習モデル24bを識別子Bに紐付けて記憶させておけばよい。そして、判定対象プロセスのレシピにも識別子(A又はB)を付し、予め判定部22に記憶されているか、或いは、前述の制御装置から送信された、この判定対象プロセスのレシピの識別子に応じて、判定部22がこの識別子に紐付けられた学習モデル24を自動的に選択すればよい。
【0048】
第1実施形態では、プロセス判定装置20を構成するコンピュータのモニタ画面に、判定に用いる学習モデル24が表示されるように構成されている。具体的には、判定部22への学習モデル24の選択指示を手動で行う場合には、例えば、図1(c)に示すように、第1学習モデル24a及び第2学習モデル24bの選択ボタン20bがそれぞれモニタ画面に表示される。そして、キーボードやマウスを使って何れかの選択ボタン20bを選んだり、モニタがタッチパネル式の場合には指で何れかの選択ボタン20bを選ぶことで、選択された学習モデル24が他の学習モデル24と識別可能に表示される態様を採用可能である。例えば、図1(c)に示す例では、選択された第1学習モデル24aの表示欄20aがモニタ画面に点灯表示されている。点灯表示に限らず、点滅表示やカラー表示など、選択された学習モデル24を識別可能な限り、種々の態様を採用可能である。
また、判定部22が学習モデル24の選択を自動的に行う場合には、例えば、図1(c)に示す例と同様に(ただし、この場合は、選択ボタン20bは不要)、全ての表示欄20aのうち、選択された学習モデル24の表示欄20aをモニタ画面に点灯表示等することによって、他の学習モデル24と識別可能にする態様を採用可能である。或いは、選択された学習モデル24の表示欄20aのみをモニタ画面に表示(選択されていない学習モデル24の表示欄20aは非表示)することも可能である。なお、判定部22が学習モデル24の選択を自動的に行う場合において、判定対象プロセスのレシピに応じた学習モデル24が存在しない(未だ生成されていない)ために選択できないときには、プロセス判定装置20を構成するコンピュータのモニタ画面に、選択不能である旨や、判定対象プロセスのレシピに応じた学習モデル24を生成することを指示するメッセージ等を表示させる態様を採用することも可能である。
【0049】
上記のように、判定に用いる学習モデル24が表示される構成にすることで、例えば、判定結果を解析するとき(例えば、判定精度が低下した原因を調査するとき)等に有効である。特に、判定部22が学習モデル24の選択を自動的に行う場合には、判定に用いる学習モデル24が表示されないと、どれを用いて判定しているかが一見しただけでは分からないブラックボックスの状態になるため、上記のように表示される構成にすることが有効である。
また、判定結果を解析する上で、判定に用いた学習モデル24と、これに適用したプロセスログデータ(教師データも含む)や判定結果とを紐付けて、例えば、ハードディスク27に記憶させることも有効である。
【0050】
第1実施形態の判定部22は、好ましい構成として、正規化部23を更に具備する。
【0051】
図3は、正規化部23の動作を説明する説明図である。
図3の左図は、プロセスログ取得部21によって取得したプロセスログデータを模式的に示す図である。図3に示すパラメータ1~Nは、例えば、パラメータ1が図1(a)に示す電圧計18で測定したVppであり、パラメータNが図1(a)に示す電圧計18で測定したVDCである等、プロセスログデータの種類を意味する。図3の左図に示すXij(i=1~N、j=1~M)は、パラメータiについてプロセス時間(エッチング開始からの経過時間)がj[sec]のときに取得されたプロセスログデータの値を意味する。例えば、X11は、パラメータ1についてプロセス時間が1[sec]のときに取得されたプロセスログデータの値であり、XNMは、パラメータNについてプロセス時間がM[sec]のときに取得されたプロセスログデータの値である。
【0052】
正規化部23は、プロセスログデータの種類毎(パラメータi毎)に、全プロセス時間(1~M[sec])でのプロセスログデータの最大値MAX、最小値MINを予め算出する。例えば、パラメータ1についての最大値はMAX、最小値はMINであり、パラメータNについての最大値はMAX、最小値はMINである。なお、これらの最大値MAX及び最小値MINは、判定対象プロセスにおいて1つの基板Wをエッチングする際に取得されたプロセスログデータを用いて算出するのではなく、後述の学習モデル24の学習時等において、同じレシピでエッチングされた複数の基板Wについて取得されたプロセスログデータを用いて予め算出しておくことが好ましい。算出したプロセスログデータの種類毎(パラメータi毎)の最大値MAX及び最小値MINは、正規化部23に記憶される。
【0053】
そして、正規化部23は、プロセスログ取得部21によって逐次取得したプロセスログデータXijに対して、プロセスログデータの種類毎(パラメータi毎)に最大値が1となり最小値が0となり得る正規化を行う。
具体的には、以下の式(1)に基づき、図3の右図に示すように、正規化後のプロセスログデータYijを算出する。
ij=(Xij-MIN)/(MAX-MIN) ・・・(1)
上記の式(1)において、i=1~Nであり、j=1~Mである。
上記の式(1)から、Xij=MAXのとき、Yij=1となり、Xij=MINのとき、Yij=0となるように正規化されることは明らかである。
【0054】
プロセスログデータXijの値は、電圧、圧力、温度、流量など、プロセスログデータXijの種類に応じて大きく異なる。また、どのような単位で表すかによっても異なる値となる。このため、プロセスの成否を判定するに際し、各種類のプロセスログデータXijの値をそのまま用いると、判定精度に影響を及ぼす可能性がある。これを避けるには、上記のように正規化して、正規化後の各種類のプロセスログデータYijの値が何れも一定の範囲内で変動するようにすることが好ましい。
【0055】
第1実施形態の判定部22は、プロセスログ取得部21で取得した全てのプロセスログデータXijを正規化部23でYijに正規化した後、計2個のパラメータであるVpp及びVDCに関するYijを用いて、学習モデル24への入力データを作成する。
詳細な説明は省略するが、第1実施形態の判定部22は、レシピについても同様に、ガスNo.1の流量などレシピの種類毎(パラメータ毎)に最大値が1となり最小値が0となり得る正規化を行い、正規化後のレシピのうち、計11個のパラメータの値を用いて、学習モデル24への入力データを作成する。
【0056】
第1実施形態の学習モデル24としては、サポートベクタマシンの一種である、1classSVMが用いられている。1classSVMの構成は公知の内容と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0057】
図4は、判定部22における学習モデル24の学習時及び判定時の動作手順を示すフロー図である。図4(a)は学習時の動作手順を、図4(b)は判定時の動作手順を示す。なお、図4(b)では、基板処理装置10及びプロセスログ取得部21の動作も含めて図示しており、図4(b)の破線で囲った領域が判定部22の動作である。
学習モデル24は、入力データとして正規化部23で正規化されたレシピ及びプロセスログデータが入力された場合に、基板処理装置10のプロセスが正常であるか異常であるかを出力するように、機械学習によって生成された構成である。第1実施形態では、プロセスの開始から終了(エッチングの開始から終了)までの間の適宜の時間帯に逐次得られた(例えば、1秒毎に得られた)正規化後のプロセスログデータとレシピから作成された入力データが一度に学習モデル24に入力され、プロセスの異常の程度を表す異常度(0~1の値であり、完全に正常である場合には0、完全に異常である場合には1である)が学習モデル24から出力される。
【0058】
第1実施形態では、学習モデル24の学習時に、基板処理装置10のプロセスが正常である場合の教師データのみが用いられる。第1実施形態では、プロセス終了後に、基板Wに施されたエッチングの深さを測定し、この測定した深さが所望する範囲内にあった場合を正常とし、範囲外であった場合を異常としている。したがって、学習モデル24の学習時には、基板Wのエッチングの深さが所望する範囲内となったプロセスに関するレシピ及びプロセスログデータを用いて教師データが作成される。
【0059】
具体的には、図4(a)に示すように、レシピR1に応じた教師データD1を準備する。教師データD1は、レシピR1を正規化したデータ及びレシピR1によってプロセスが実行されたときに得られたプロセスログデータを正規化したデータを入力とし、異常度が0又は0に近い小さな値を出力としたデータである。第1実施形態では、教師データD1の出力を異常度=0.05としている。そして、この教師データD1を用いて第1学習モデル24aを学習させる。すなわち、教師データD1の前記入力を第1学習モデル24aに入力した場合に、第1学習モデル24aから異常度=0.05が出力されるように、機械学習を行う。
同様に、図4(a)に示すように、レシピR2に応じた教師データD2を準備する。教師データD2は、レシピR2及びレシピR2によってプロセスが実行されたときに得られたプロセスログデータを正規化したデータを入力とし、異常度が0又は0に近い小さな値を出力としたデータである。第1実施形態では、教師データD2の出力を異常度=0.05としている。そして、この教師データD2を用いて第2学習モデル24bを学習させる。すなわち、教師データD2の前記入力を第2学習モデル24bに入力した場合に、第2学習モデル24bから異常度=0.05が出力されるように、機械学習を行う。
【0060】
上記の機械学習により、概念的には、例えば、後述の図7(b)に示すように、横軸をVppとし、縦軸をVDCとする座標空間が第1学習モデル24aに生成され、図7(b)に破線で示すように、正常であると考えられる領域(正常領域)がこの座標空間に描かれることになる。図7(b)に示す座標空間や破線は、学習モデル24(第1学習モデル24a)の機械学習後の状態を概念的に表したものであるものの、このような図を第1プロセス判定装置20を構成するコンピュータのモニタ画面に実際に表示させる構成を採用すれば、学習結果や判定結果を解析するとき等に有効である。
なお、第1学習モデル24a及び/又は第2学習モデル24bは、一度の機械学習を行うことで生成されたものに限られない。必要に応じて、新たな教師データを用いて第1学習モデル24a及び/又は第2学習モデル24bの再学習を行ったり、従来の教師データに新たな教師データを追加して第1学習モデル24a及び/又は第2学習モデル24bの再学習を行うことも可能である。
【0061】
図4(b)に示すように、判定対象プロセスの成否を判定する判定時には、基板処理装置10で実行する判定対象プロセスのレシピを選択し、このレシピに従って、判定対象プロセスを開始する。この際、前述のように、プロセスログ取得部21が逐次プロセスログデータを取得する。そして、第1実施形態では、判定対象プロセス終了後に、判定部22がレシピ及びプロセスログデータから学習モデル24への入力データを作成する。学習時と同様に、判定部22は、判定対象プロセスの開始から終了までの間の適宜の時間帯に逐次得られた正規化後のプロセスログデータとレシピから入力データを作成する。
そして、判定対象プロセスのレシピがレシピR1である場合には、判定部22は、第1学習モデル24aを選択し、学習時と同様に、作成された入力データが一度に第1学習モデル24aに入力される。これにより、概念的に、第1学習モデル24aにおいて、入力データを構成するVpp及びVDCが、学習時に生成された座標空間にプロットされる。第1学習モデル24aは、プロットされた各点が座標空間に描かれた正常領域内にあるか否かを判定する。そして、第1学習モデル24aは、全ての点の個数に対する正常領域外にある点の個数の割合を異常度として算出し、出力する。
判定対象プロセスのレシピがレシピR2である場合には、判定部22は、第2学習モデル24bを選択し、第1学習モデル24aが選択された場合と同様にして、異常度を算出し、出力する。
【0062】
第1実施形態の判定部22には、予め閾値Thが設定されている。判定部22は、第1学習モデル24a又は第2学習モデル24bから出力された異常度が閾値Th未満であれば、判定対象プロセスは正常であると判定し、異常度が閾値Th以上であれば、判定対象プロセスは異常であると判定し、これを最終的な判定結果として出力する。具体的には、最終的な判定結果が正常であれば、出力値=0を出力し、異常であれば、出力値=1を出力する。
そして、例えば、プロセス判定装置20を構成するコンピュータのモニタ画面に、最終的な判定結果が正常であれば、「正常に処理終了しました」、異常であれば、「異常終了しました。処理基板に異常がないか確認して下さい」というような判定結果を表示させたり、異常と判定した場合に警告音を出力する等の態様を採用可能である。判定部22による判定に要する時間は数秒以下であるため、これらの表示や警告音の出力は、判定対象プロセスの終了毎に行ってもよいし、同一のレシピで基板Wを処理する製造ロットの終了毎に行ってもよい。表示や警告音の出力を判定対象プロセスの終了毎に行う場合、オペレータがこれを確認して、最終的な判定結果が異常であれば、次の基板Wを処理しない運用が可能である。また、表示や警告音の出力を製造ロットの終了毎に行う場合、オペレータがこれを確認して、最終的な判定結果が異常であれば、次の製造ロットの基板Wを処理しない運用が可能である。
【0063】
以上に説明した第1実施形態に係る基板処理システム100(プロセス判定装置20)によれば、基板処理装置10のプロセスの成否を判定する判定部22が、機械学習を行うことで生成された複数個の学習モデル24から構成される学習モデル群を具備し、各学習モデル24が基板処理装置10のプロセスのレシピ毎に設けられている。そして、判定部22は、学習モデル群のうち、判定対象プロセスのレシピに応じた学習モデル24を選択し、選択した学習モデル24を用いて判定対象プロセスの成否を判定する。このため、レシピに応じた適切な学習モデル24でプロセスの成否を判定することができ、判定精度を高めることが可能である。
【0064】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る基板処理システムは、製造プロセス判定装置が具備する判定部の構成のみが第1実施形態と異なり、その他の構成は第1実施形態と同様である。
したがって、以下の説明では、第2実施形態に係る基板処理システムが備えるプロセス判定装置について、第1実施形態と異なる点を説明し、同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0065】
図5は、第2実施形態に係る基板処理システムが備えるプロセス判定装置の概略構成を示すブロック図である。
図5に示すように、第2実施形態のプロセス判定装置20Aの判定部22Aは、学習モデル24として、プロセスのレシピ毎に複数個生成された学習モデルを具備する。具体的には、図5に示す例では、判定部22Aは、レシピR1に応じた3個の学習モデル24(第1-1学習モデル24a1、第1-2学習モデル24a2、第1-3学習モデル24a3)を具備する。すなわち、第1実施形態では、レシピR1に応じた学習モデル24は、単一の学習モデル(第1学習モデル24a)であったのに対し、第2実施形態では複数個の学習モデルが設けられている。同様に、図5に示す例では、判定部22Aは、レシピR2に応じた3個の学習モデル24(第2-1学習モデル24b1、第2-2学習モデル24b2、第2-3学習モデル24b3)を具備する。すなわち、第1実施形態では、レシピR2に応じた学習モデル24は、単一の学習モデル(第2学習モデル24b)であったのに対し、第2実施形態では複数個の学習モデルが設けられている。
また、判定部22Aは、論理和演算部25を具備する。
【0066】
なお、図5に示す例では、判定部22Aは、レシピ毎に3個の学習モデル24を具備するが、これに限るものではなく、2個又は4個以上の学習モデル24を具備することも可能である。また、レシピ毎に異なる個数の学習モデル24を具備する構成を採用することも可能である。さらには、特定のレシピについてのみ、複数個の学習モデル24を具備する構成を採用することも可能である。具体的には、例えば、レシピR1に応じた学習モデル24として第1実施形態と同様に単一の学習モデルを具備し、レシピR2に応じた学習モデル24として複数個の学習モデルを具備する構成を採用することも可能である。ただし、この場合、単一の学習モデル24を具備するレシピR1については、論理和演算部25は用いられず、その単一の学習モデル24の出力が最終的な判定結果となる。
【0067】
判定対象プロセスの成否を判定する判定時には、判定部22Aは、判定対象プロセスのレシピに応じた複数個の学習モデル24を選択する。例えば、判定対象プロセスのレシピがレシピR1である場合には、判定部22Aは、レシピR1に応じた第1-1学習モデル24a1、第1-2学習モデル24a2、第1-3学習モデル24a3を選択し、これらを用いて、判定対象プロセスの成否を判定する。図5に示す例では、レシピR1に応じた第1-1学習モデル24a1、第1-2学習モデル24a2及び第1-3学習モデル24a3が選択されている状態を示している。同様に、判定対象プロセスのレシピがレシピR2である場合には、判定部22Aは、レシピR2に応じた第2-1学習モデル24b1、第2-2学習モデル24b2及び第2-3学習モデル24b3を選択し、これらを用いて、判定対象プロセスの成否を判定することになる。
【0068】
図5に示す第1-1学習モデル24a1~第2-3学習モデル24b3のそれぞれからは、第1実施形態の第1学習モデル24a及び第2学習モデル24bと異なり、算出した異常度を所定の閾値Thと比較した結果を論理和演算部25に対して出力する。すなわち、算出した異常度が閾値Th未満であれば、出力値=0を出力し、閾値Th以上であれば、出力値=1を出力するように構成されている。
図5に示す例では、論理和演算部25は、選択された第1-1学習モデル24a1、第1-2学習モデル24a2及び第1-3学習モデル24a3の出力値の論理和を演算し、その結果を最終的な判定結果として出力する。すなわち、第1-1学習モデル24a1、第1-2学習モデル24a2及び第1-3学習モデル24a3の出力値のうち、少なくとも1つの学習モデルの出力値=1であれば、出力値=1を最終的な判定結果として出力する。換言すれば、第1-1学習モデル24a1、第1-2学習モデル24a2及び第1-3学習モデル24a3の判定結果のうち、少なくとも1つの判定結果が異常(出力値=1)であれば、異常であることを最終的な判定結果として出力する。
【0069】
以上に説明した第2実施形態に係る基板処理システム(プロセス判定装置20A)によれば、判定対象プロセスのレシピに応じた複数個の学習モデル24を用いて判定対象プロセスの成否を判定する、すなわち、判定対象プロセスのレシピに応じた複数個の学習モデル24のそれぞれから出力されるプロセスの成否に応じて、最終的なプロセスの成否を判定するため、プロセスのレシピ毎に単一の学習モデル24を具備する第1実施形態の構成に比べて、判定精度の信頼性を高めることが可能である。
特に、第2実施形態では、論理和演算部25によって、少なくとも1つの学習モデル24の判定結果が異常であれば、残りの学習モデル24の判定結果が正常であったとしても、最終的な判定結果が異常となるため、異常を見逃す可能性が低減するという利点を有する。
【0070】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る基板処理システムは、プロセス判定装置が具備する判定部の構成のみが第2実施形態と異なり、その他の構成は第2実施形態と同様である。
したがって、以下の説明では、第3実施形態に係る基板処理システムが備えるプロセス判定装置について、第2実施形態と異なる点を説明し、同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0071】
図6は、第3実施形態に係る基板処理システムが備えるプロセス判定装置の概略構成を示すブロック図である。
図6に示すように、第3実施形態のプロセス判定装置20Bの判定部22Bも、第2実施形態のプロセス判定装置20Aの判定部22Aと同様に、学習モデル24として、プロセスのレシピ毎に複数個生成された学習モデルを具備する。
しかしながら、第3実施形態の判定部22Bは、第2実施形態の判定部22Aが具備する論理和演算部25に代えて、多数決決定部26を具備する点が相違する。
【0072】
図6に示す例では、レシピR1に応じた第1-1学習モデル24a1、第1-2学習モデル24a2及び第1-3学習モデル24a3が選択されている状態を示している。
図6に示す例では、多数決決定部26は、選択された第1-1学習モデル24a1、第1-2学習モデル24a2及び第1-3学習モデル24a3の出力値の多数決を最終的な判定結果として出力する。例えば、第1-1学習モデル24a1の出力値=0(正常)であり、第1-2学習モデル24a2の出力値=0(正常)であり、第1-3学習モデル24a3の出力値=1(異常)であれば、多数決決定部26は、出力値=0(正常)を最終的な判定結果として出力することになる。
【0073】
以上に説明した第3実施形態に係る基板処理システム(プロセス判定装置20B)によれば、第2実施形態と同様に、判定対象プロセスのレシピに応じた複数個の学習モデル24を用いて判定対象プロセスの成否を判定する、すなわち、判定対象プロセスのレシピに応じた複数個の学習モデル24のそれぞれから出力されるプロセスの成否に応じて、最終的なプロセスの成否を判定するため、プロセスのレシピ毎に単一の学習モデル24を具備する第1実施形態の構成に比べて、判定精度の信頼性を高めることが可能である。
特に、第3実施形態では、多数決決定部26によって、複数個の学習モデル24の判定結果の多数決を最終的な判定結果とするため、複数個の学習モデル24の中に、仮に判定精度の低い学習モデル24が含まれていたとしても、最終的な判定結果の判定精度に信頼性をもたせることが可能である。
【0074】
以下、第1実施形態に係る基板処理システム100の基板処理装置10によって基板Wをエッチングし、プロセス判定装置20によってプロセスの成否を判定する試験を行った結果の一例について説明する。
【0075】
図7は、上記の試験において、第1学習モデル24aの機械学習に用いた教師データ及び機械学習の結果を説明する説明図である。図7(a)は教師データの説明図であり、図7(b)は機械学習の結果の説明図である。
上記の試験では、図7(a)に示すレシピR1によって基板Wをエッチングし、エッチングの深さが何れも正常であることをオペレータが確認した製造ロットNo.1(計6枚の基板W)、No.2(計6枚の基板W)について得られたプロセスログデータを用いて教師データを作成した。具体的には、レシピR1を正規化したデータ及びレシピR1によってプロセスが実行されたときに得られたプロセスログデータ(製造ロットNo.1及びNo.2のプロセスログデータであり、上記の試験では、Vpp及びVDC)を正規化したデータを入力とし、異常度=0.05を出力とした教師データを作成した。
【0076】
図7(b)に示すように、上記の教師データを用いて第1学習モデル24aの機械学習を行った結果、概念的に、横軸をVppとし、縦軸をVDCとする座標空間が第1学習モデル24aに生成され、図7(b)に破線で示すように、正常であると考えられる領域(正常領域)がこの座標空間に描かれた。この座標空間にプロットされた各点が、製造ロットNo.1、No.2について得られたプロセスログデータのVpp及びVDCに対応する。この座標空間にプロットされた全ての点(正常領域内にある点「●」と正常領域外にある点「×」)の個数に対する正常領域外にある点の個数の割合は0.05(5%)であり、機械学習が適切に行なわれたことが分かる。
【0077】
図8は、上記の試験において、機械学習後の第1学習モデル24aを用いて判定対象プロセスの成否を判定した結果の一例を説明する説明図である。図8(a)は判定対象プロセスの説明図であり、図8(b)は図8(a)に示す1枚目の基板Wについての判定結果の説明図であり、図8(c)は図8(a)に示す2枚目の基板Wについての判定結果の説明図であり、図8(d)は図8(a)に示す4枚目の基板Wについての判定結果の説明図であり、図8(e)は図8(a)に示す6枚目の基板Wについての判定結果の説明図である。
図8(a)に示すように、学習時と同じレシピR1によって基板Wをエッチングし、1~3枚目の基板Wについてはエッチングの深さが正常であり、4~8枚目の基板Wについてはエッチングの深さが異常であることをオペレータが確認した製造ロットNo.3について得られたプロセスログデータに基づき、第1学習モデル24aを用いて各基板Wの製造プロセスの成否を判定した。
【0078】
図8(b)に示すように、1枚目の基板W(正常)については、第1学習モデル24aに概念的に生成される座標空間にプロットされたほぼ全ての点が、破線で示す正常領域内にあり、異常度≒0(すなわち、正常)と正しく判定されることが分かった。
図8(c)に示すように、2枚目の基板W(正常)については、第1学習モデル24aに概念的に生成される座標空間にプロットされたほぼ全ての点が、破線で示す正常領域内にあり、異常度≒0(すなわち、正常)と正しく判定されることが分かった。
図8(d)に示すように、4枚目の基板W(異常)については、第1学習モデル24aに概念的に生成される座標空間にプロットされた全ての点が、破線で示す正常領域外にあり、異常度=1(すなわち、異常)と正しく判定されることが分かった。
図8(e)に示すように、6枚目の基板W(異常)についても、第1学習モデル24aに概念的に生成される座標空間にプロットされた全ての点が、破線で示す正常領域外にあり、異常度=1(すなわち、異常)と正しく判定されることが分かった。
【0079】
図9は、上記の試験において、機械学習後の第1学習モデル24aを用いて判定対象プロセスの成否を判定した結果の他の例を説明する説明図である。図9(a)は判定対象プロセスの説明図であり、図9(b)は図9(a)に示す1枚目の基板Wについての判定結果の説明図である。
図9(a)に示すように、学習時と異なるレシピR2によって基板Wをエッチングし、1枚目の基板Wについてエッチングの深さが正常であることをオペレータが確認した製造ロットNo.4について得られたプロセスログデータに基づき、1枚目の基板Wの製造プロセスの成否を第1学習モデル24aを用いて判定した。レシピR2では、下部高周波電力を、レシピR1の170[W]に対して、その47%だけ増加させた250[W]に設定している点がレシピR1と異なる。
【0080】
図9(b)に示すように、1枚目の基板W(正常)について、第1学習モデル24aに概念的に生成される座標空間にプロットされた全ての点が、破線で示す正常領域外にあり、異常度=1(すなわち、異常)と間違って判定されることが分かった。
したがって、第1実施形態に係る基板処理システム100のプロセス判定装置20のように、基板処理装置10のレシピ毎に生成された複数個の学習モデル24から構成される学習モデル群を具備し、学習モデル群のうち、判定対象プロセスのレシピに応じた学習モデル24を選択し、この選択した学習モデル24を用いて判定対象プロセスの成否を判定することが、判定精度を高める上で重要であることが分かる。
なお、レシピR2のように、レシピR2を構成する何れかのパラメータの値が50%近くもレシピR1と異なれば、レシピR1とは異なるレシピだと扱われ、レシピR1について生成された第1学習モデル24aを用いて判定すると、上記のように成否を正しく判定できなくなる。しかしながら、レシピR2がレシピR1と異なるレシピであっても、例えば、各パラメータの値の差が±20%以内(好ましくは、±10%以内)であれば、レシピR1に応じて生成された第1学習モデル24aを用いて判定しても正しく判定できる可能性がある。
【0081】
図10は、本発明の第1実施形態に係る基板処理システムを用いた試験において、機械学習後の第1学習モデルを用いてプロセスの成否を判定した結果の他の例を説明する説明図である。図10(a)は、図8(a)に示す1枚目の基板W(正常)について、プロセスログデータを構成するVpp及びVDCに基づき入力データ(第1学習モデル24aの学習時及び判定時の双方で用いる入力データ。以下、同様)を作成した場合に得られる判定結果の説明図である。すなわち、図10(a)に示す判定結果は、図8(b)に示す判定結果と同一である。図10(b)は、同じ基板W(正常)について、プロセスログデータを構成するVppに基づき入力データを作成した場合に得られる判定結果の説明図である。図10(c)は、同じ基板W(正常)について、プロセスログデータを構成する下部高周波電力及び上部高周波電力に基づき入力データを作成した場合に得られる判定結果の説明図である。図10(d)は、同じ基板W(正常)について、プロセスログデータを構成するガスNo.1の流量及びガスNo.2の流量に基づき入力データを作成した場合に得られる判定結果の説明図である。
【0082】
図10(a)に示すように、Vpp及びVDCに基づき入力データを作成した場合には、図8(b)を参照して前述したように、第1学習モデル24aに概念的に生成される座標空間にプロットされたほぼ全ての点が、破線で示す正常領域内にあり、異常度≒0(すなわち、正常)と正しく判定された。
図10(b)に示すように、Vppに基づき入力データを作成した場合には、第1学習モデル24aに概念的に生成される座標空間にプロットされたほぼ全ての点が、破線で示す正常領域内にあり、異常度≒0(すなわち、正常)と正しく判定された。
図10(c)に示すように、下部高周波電力及び上部高周波電力に基づき入力データを作成した場合には、第1学習モデル24aに概念的に生成される座標空間にプロットされたほぼ全ての点が、破線で示す正常領域内にあり、異常度≒0(すなわち、正常)と正しく判定された。
図10(d)に示すように、ガスNo.1の流量及びガスNo.2の流量に基づき入力データを作成した場合には、第1学習モデル24aに概念的に生成される座標空間にプロットされた全ての点が、破線で示す正常領域外にあり、異常度=1(すなわち、異常)と間違って判定された。
なお、図示を省略するが、VDCに基づき入力データを作成した場合にも、正常であると正しく判定されることを確認した。
【0083】
図11は、本発明の第1実施形態に係る基板処理システムを用いた試験において、機械学習後の第1学習モデルを用いてプロセスの成否を判定した結果の他の例を説明する説明図である。図11(a)は、図8(a)に示す6枚目の基板W(異常)について、プロセスログデータを構成するVpp及びVDCに基づき入力データ(第1学習モデル24aの学習時及び判定時の双方で用いる入力データ。以下、同様)を作成した場合に得られる判定結果の説明図である。すなわち、図11(a)に示す判定結果は、図8(e)に示す判定結果と同一である。図11(b)は、同じ基板W(異常)について、プロセスログデータを構成するVppに基づき入力データを作成した場合に得られる判定結果の説明図である。図11(c)は、同じ基板W(異常)について、プロセスログデータを構成する下部高周波電力及び上部高周波電力に基づき入力データを作成した場合に得られる判定結果の説明図である。図11(d)は、同じ基板W(異常)について、プロセスログデータを構成するガスNo.1の流量及びガスNo.2の流量に基づき入力データを作成した場合に得られる判定結果の説明図である。
【0084】
図11(a)に示すように、Vpp及びVDCに基づき入力データを作成した場合には、図8(e)を参照して前述したように、第1学習モデル24aに概念的に生成される座標空間にプロットされた全ての点が、破線で示す正常領域外にあり、異常度=1(すなわち、異常)と正しく判定された。
図11(b)に示すように、Vppに基づき入力データを作成した場合には、第1学習モデル24aに概念的に生成される座標空間にプロットされた全ての点が、破線で示す正常領域外にあり、異常度=1(すなわち、異常)と正しく判定された。
図11(c)に示すように、下部高周波電力及び上部高周波電力に基づき入力データを作成した場合には、第1学習モデル24aに概念的に生成される座標空間にプロットされたほぼ全ての点が、破線で示す正常領域内にあり、異常度≒0(すなわち、正常)と間違って判定された。
図11(d)に示すように、ガスNo.1の流量及びガスNo.2の流量に基づき入力データを作成した場合には、第1学習モデル24aに概念的に生成される座標空間にプロットされた全ての点が、破線で示す正常領域外にあり、異常度=1(すなわち、異常)と正しく判定された。
なお、図示を省略するが、VDCに基づき入力データを作成した場合にも、異常であると正しく判定されることを確認した。
【0085】
図10及び図11に示す結果から分かるように、第1実施形態に係る基板処理システム100の基板処理装置10によって基板Wをエッチングする際、Vpp及び/又はVDCに基づき入力データを作成すれば、プロセスの成否を高い判定精度で判定可能である。
これに対して、下部高周波電力及び上部高周波電力に基づき入力データを作成した場合には、異常な基板Wを正常と誤判定(図11(c))する場合が生じた。また、ガスNo.1の流量及びガスNo.2の流量に基づき入力データを作成した場合には、正常な基板Wを異常と誤判定(図10(d))する場合が生じた。
したがって、第1実施形態の基板処理装置10(ICP方式のプラズマエッチング装置)の他、例えば、ICP方式のプラズマ成膜装置、CCP方式のプラズマエッチング装置、CCP方式のプラズマ成膜装置など、Vpp及び/又はVDCを測定可能なプラズマ処理装置に対しては、Vpp及び/又はVDCに基づき入力データを作成することが、高い判定精度を得る上で有効であるといえる。
上記の例では、エッチングの深さに関するプロセスの成否を判定する場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。プラズマエッチング装置では、エッチングの深さの他、エッチングレート、エッチング選択比、エッチング形状、CDロス等に関するプロセスの成否を判定する際に、Vpp及び/又はVDCに基づき入力データを作成することが、高い判定精度を得る上で有効である。また、プラズマ成膜装置では、成膜レート、ステップカバレッジ、膜質等に関するプロセスの成否を判定する際に、Vpp及び/又はVDCに基づき入力データを作成することが、高い判定精度を得る上で有効である。
【0086】
なお、以上に説明した第1実施形態~第3実施形態では、判定対象プロセス終了後に、判定部22、22A、22Bがレシピ及びプロセスログデータから学習モデル24への入力データを作成し、これを用いて判定対象プロセスの成否を判定する態様について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、判定対象プロセスの途中で判定を行うことも可能である。例えば、判定部22、22A、22Bの判定に要する時間が許す限りにおいて、プロセスログ取得部21でプロセスログデータを逐次取得するタイミングで(例えば、1秒毎に)、或いは、その数倍のピッチで(例えば、数秒毎に)、判定を行う態様が考えられる。判定対象プロセスの途中で判定を行う場合には、図4(b)に示す「判定対象プロセス終了」が「終了」の一つだけ上流側の位置に移動する動作手順となる。判定対象プロセスの途中で判定を行う場合、判定結果が異常であれば、その直後、すなわち、判定対象プロセスの途中で基板Wの処理を中止することができ、基板Wの歩留まりが向上することが期待できる。
【0087】
また、第1実施形態~第3実施形態では、何れの学習モデル24も1classSVMである態様について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、学習モデル24として、他のサポートベクタマシンや、ニューラルネットワーク(オートエンコーダを含む)を用いることも可能である。また、例えば、第1学習モデル24aとして1classSVMを用い、第2学習モデル24bとしてオートエンコーダを用いるなど、学習モデル24毎に異なる形式にすることも可能である。
【0088】
また、第1実施形態~第3実施形態では、判定部22、判定部22A及び判定部22Bが、何れも正規化部23を具備する構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではない。判定部22、判定部22A及び判定部22Bが正規化部23を具備せず、プロセスログ取得部21によって取得したプロセスログデータを正規化せずに、そのまま用いて入力データを作成することも可能である。
【0089】
さらに、第1実施形態~第3実施形態では、プロセス判定装置20を適用する基板処理装置10が誘導結合プラズマ方式のプラズマ処理装置である場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、容量結合プラズマ(CCP)方式のプラズマ処理装置に適用することも可能であるし、プラズマ処理装置以外の基板処理装置に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0090】
1・・・チャンバ
2・・・載置台
10・・・基板処理装置
20、20A、20B・・・プロセス判定装置
21・・・プロセスログ取得部
22、22A、22B・・・判定部
23・・・正規化部
24・・・学習モデル
24a・・・第1学習モデル
24b・・・第2学習モデル
25・・・論理和演算部
26・・・多数決決定部
100・・・基板処理システム
W・・・基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-08-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置のプロセスの成否を判定する装置であって、
前記基板処理装置は、内部にプラズマが生成されるチャンバと、前記チャンバ内に配置され、基板が載置され、高周波電力が印加される載置台とを備え、
前記基板処理装置のプロセスの条件であるレシピと、前記基板処理装置のプロセスログデータを構成するV pp 及び/又はV DC に基づき入力データを作成し、前記入力データに基づき、前記プロセスの成否を判定する判定部を備え、
前記判定部は、前記入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、機械学習を行うことで前記基板処理装置のレシピ毎に生成された学習モデルから構成される学習モデル群を具備し、
前記判定部は、前記学習モデル群のうち、前記基板処理装置の判定対象とするプロセスである判定対象プロセスのレシピに応じた学習モデルを選択し、前記選択した学習モデルを用いて前記判定対象プロセスの成否を判定する、
ことを特徴とする基板処理装置のプロセス判定装置。
なお、V pp は、前記載置台に印加される高周波電力の電圧の大きさを意味し、V DC は、前記載置台がプラズマ中の電子を引き込むことで前記載置台に生じる帯電が生み出す直流の電圧成分の大きさを意味する。
【請求項2】
基板処理装置のプロセスの成否を判定する装置であって、
前記基板処理装置のプロセスの条件であるレシピ及び前記基板処理装置のプロセスログデータに基づき入力データを作成し、前記入力データに基づき、前記プロセスの成否を判定する判定部を備え、
前記判定部は、前記入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、機械学習を行うことで前記基板処理装置のレシピ毎に生成された学習モデルから構成される学習モデル群を具備し、
前記判定部は、前記学習モデル群のうち、前記基板処理装置の判定対象とするプロセスである判定対象プロセスのレシピと同一のレシピについて生成された学習モデルが存在する場合には、当該学習モデルを選択し、前記学習モデル群のうち、前記判定対象プロセスのレシピと同一のレシピについて生成された学習モデルが存在しない場合には、前記判定対象プロセスのレシピに類似するレシピについて生成された学習モデルを選択し、前記選択した学習モデルを用いて前記判定対象プロセスの成否を判定する、
ことを特徴とする基板処理装置のプロセス判定装置。
なお、判定対象プロセスのレシピに類似するレシピとは、両レシピを構成する各パラメータの差が±20%以内であることを意味する。
【請求項3】
前記基板処理装置のプロセスログデータを取得するプロセスログ取得部を更に備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基板処理装置のプロセス判定装置。
【請求項4】
記学習モデルは、前記基板処理装置の1つのレシピに対して1個生成されている
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の基板処理装置のプロセス判定装置。
【請求項5】
前記学習モデル群は、前記基板処理装置のレシピ毎に複数個生成された学習モデルから構成され、
前記判定部は、前記学習モデル群のうち、前記判定対象プロセスのレシピに応じた複数個の学習モデルを選択し、前記選択した複数個の学習モデルを用いて前記判定対象プロセスの成否を判定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基板処理装置のプロセス判定装置。
【請求項6】
前記レシピ毎に生成された複数個の学習モデルのそれぞれには、レシピ及びプロセスログデータを構成する全てのパラメータのうち互いに異なる一部のパラメータに基づき作成された入力データが入力される、
ことを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置のプロセス判定装置。
【請求項7】
前記複数個の学習モデルは、前記基板処理装置のプロセスが正常であるか異常であるかをそれぞれ判定結果として出力し、
前記判定部は、前記選択した複数個の学習モデルの判定結果のうち、少なくとも1つの判定結果が異常であれば、異常であることを最終的な判定結果として出力する、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の基板処理装置のプロセス判定装置。
【請求項8】
前記複数個の学習モデルは、前記基板処理装置のプロセスが正常であるか異常であるかをそれぞれ判定結果として出力し、
前記判定部は、前記選択した複数個の学習モデルの判定結果の多数決を最終的な判定結果として出力する、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の基板処理装置のプロセス判定装置。
【請求項9】
前記学習モデルは、前記基板処理装置のプロセスが正常である場合の教師データのみを用いた機械学習を行うことで生成されている、
ことを特徴とする請求項1からの何れかに記載の基板処理装置のプロセス判定装置。
【請求項10】
基板処理装置と、請求項1から9の何れかに記載のプロセス判定装置と、
を備えることを特徴とする基板処理システム。
【請求項11】
基板処理装置のプロセスの成否を判定する方法であって、
前記基板処理装置は、内部にプラズマが生成されるチャンバと、前記チャンバ内に配置され、基板が載置され、高周波電力が印加される載置台とを備え、
前記基板処理装置のプロセスログデータを取得するプロセスログ取得工程と、
前記基板処理装置のプロセスの条件であるレシピと、前記プロセスログデータを構成するV pp 及び/又はV DC に基づき入力データを作成し、前記入力データに基づき、前記プロセスの成否を判定する判定工程と、を含み、
前記判定工程では、前記入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、機械学習を行うことで前記基板処理装置のレシピ毎に生成された学習モデルから構成される学習モデル群が予め用意され、前記学習モデル群のうち、前記基板処理装置の判定対象とするプロセスである判定対象プロセスのレシピに応じた学習モデルを選択し、前記選択した学習モデルを用いて前記判定対象プロセスの成否を判定する、
ことを特徴とする基板処理装置のプロセス判定方法。
なお、V pp は、前記載置台に印加される高周波電力の電圧の大きさを意味し、V DC は、前記載置台がプラズマ中の電子を引き込むことで前記載置台に生じる帯電が生み出す直流の電圧成分の大きさを意味する。
【請求項12】
基板処理装置のプロセスの条件であるレシピ及びプロセスログデータに基づき作成された入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、機械学習を行うことで前記基板処理装置のレシピ毎に生成された学習モデルから構成される学習モデル群であって、
前記基板処理装置は、内部にプラズマが生成されるチャンバと、前記チャンバ内に配置され、基板が載置され、高周波電力が印加される載置台とを備え、
前記学習モデルには、前記レシピと、前記プロセスログデータを構成するV pp 及び/又はV DC とに基づき作成された前記入力データが入力される、
学習モデル群。
なお、V pp は、前記載置台に印加される高周波電力の電圧の大きさを意味し、V DC は、前記載置台がプラズマ中の電子を引き込むことで前記載置台に生じる帯電が生み出す直流の電圧成分の大きさを意味する。
【請求項13】
基板処理装置のプロセスの条件であるレシピ及びプロセスログデータに基づき作成された入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、学習モデルから構成される学習モデル群を生成する方法であって、
前記基板処理装置は、内部にプラズマが生成されるチャンバと、前記チャンバ内に配置され、基板が載置され、高周波電力が印加される載置台とを備え、
前記学習モデルには、前記レシピと、前記プロセスログデータを構成するV pp 及び/又はV DC とに基づき作成された前記入力データが入力され、
前記基板処理装置のレシピ毎に機械学習を行うことで、前記レシピ毎に前記学習モデルを生成する、
ことを特徴とする学習モデル群の生成方法。
なお、V pp は、前記載置台に印加される高周波電力の電圧の大きさを意味し、V DC は、前記載置台がプラズマ中の電子を引き込むことで前記載置台に生じる帯電が生み出す直流の電圧成分の大きさを意味する。
【請求項14】
請求項11に記載の基板処理装置のプロセス判定方法が含む前記プロセスログ取得工程及び前記判定工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、第1の手段として、基板処理装置のプロセスの成否を判定する装置であって、前記基板処理装置は、内部にプラズマが生成されるチャンバと、前記チャンバ内に配置され、基板が載置され、高周波電力が印加される載置台とを備え、前記基板処理装置のプロセスの条件であるレシピと、前記基板処理装置のプロセスログデータを構成するV pp 及び/又はV DC に基づき入力データを作成し、前記入力データに基づき、前記プロセスの成否を判定する判定部を備え、前記判定部は、前記入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、機械学習を行うことで前記基板処理装置のレシピ毎に生成された学習モデルから構成される学習モデル群を具備し、前記判定部は、前記学習モデル群のうち、前記基板処理装置の判定対象とするプロセスである判定対象プロセスのレシピに応じた学習モデルを選択し、前記選択した学習モデルを用いて前記判定対象プロセスの成否を判定する、ことを特徴とする基板処理装置のプロセス判定装置を提供する。なお、V pp は、前記載置台に印加される高周波電力の電圧の大きさを意味し、V DC は、前記載置台がプラズマ中の電子を引き込むことで前記載置台に生じる帯電が生み出す直流の電圧成分の大きさを意味する。
また、前記課題を解決するため、本発明は、第2の手段として、基板処理装置のプロセスの成否を判定する装置であって、前記基板処理装置のプロセスの条件であるレシピ及び前記基板処理装置のプロセスログデータに基づき入力データを作成し、前記入力データに基づき、前記プロセスの成否を判定する判定部を備え、前記判定部は、前記入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、機械学習を行うことで前記基板処理装置のレシピ毎に生成された学習モデルから構成される学習モデル群を具備し、前記判定部は、前記学習モデル群のうち、前記基板処理装置の判定対象とするプロセスである判定対象プロセスのレシピと同一のレシピについて生成された学習モデルが存在する場合には、当該学習モデルを選択し、前記学習モデル群のうち、前記判定対象プロセスのレシピと同一のレシピについて生成された学習モデルが存在しない場合には、前記判定対象プロセスのレシピに類似するレシピについて生成された学習モデルを選択し、前記選択した学習モデルを用いて前記判定対象プロセスの成否を判定する、ことを特徴とする基板処理装置のプロセス判定装置としても提供される。なお、判定対象プロセスのレシピに類似するレシピとは、両レシピを構成する各パラメータの差が±20%以内であることを意味する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
前述のように、本発明に係る第1の手段において、前記基板処理装置は、内部にプラズマが生成されるチャンバと、前記チャンバ内に配置され、基板が載置され、高周波電力が印加される載置台とを備え、前記判定部は、前記基板処理装置のプロセスの条件であるレシピと、前記基板処理装置のプロセスログデータを構成するVpp及び/又はVDCとに基づき入力データを作成し、前記入力データに基づき、前記プロセスの成否を判定する
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
内部にプラズマが生成されるチャンバと、チャンバ内に配置され、基板が載置され、高周波電力が印加される載置台とを備える基板処理装置としては、プラズマ処理装置が挙げられる。プラズマ処理装置としては、プラズマエッチング装置や、プラズマ成膜装置(CVD装置、スパッタ装置を含む。以下同じ)が挙げられる。プラズマ源としては、誘導結合プラズマ(ICP)方式や、容量結合プラズマ(CCP)方式が挙げられる。
上記の何れの基板処理装置であっても、VppやVDCの値が大きくなれば、チャンバ内のプラズマ中のイオン等の載置台への引き込みが強くなる。そして、プラズマが不安定(プラズマ発光が不規則的に明るくなったり暗くなったりする)であれば、VppやVDCの値も安定しなくなる。このため、本発明に係る第1の手段のように、Vpp及び/又はVDCに基づき入力データを作成すれば、上記の何れの基板処理装置であっても、プロセスの成否を高い判定精度で判定可能である。
なお、本発明に係る第1の手段において、「前記基板処理装置のプロセスログデータを構成するVpp及び/又はVDCとに基づき入力データを作成」とは、プロセスログデータを構成するパラメータとして、Vpp及び/又はVDCのみを用いて入力データを作成する場合に限られず、プロセスログデータを構成するパラメータとして、Vpp及び/又はVDCと、これ以外のパラメータとを用いて入力データを作成する(すなわち、少なくともVpp及び/又はVDCを用いて入力データを作成する)場合も含む概念である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
本発明において、判定精度を高める上では、判定対象プロセスのレシピと同一のレシピについて生成された学習モデルを選択し、この選択した学習モデルを用いて判定対象プロセスの成否を判定することが望ましい。
しかしながら、あるレシピを用いて学習モデルを生成した後、判定対象プロセスを実行する際には、前記レシピを構成するパラメータを微調整する場合がある。このため、判定対象プロセスのレシピと同一のレシピについて生成された学習モデルが、学習モデル群に存在しない場合があり得る。判定対象プロセスのレシピと同一のレシピについて生成された学習モデルが必ず存在するように、パラメータの微調整前後の全てのレシピについて学習モデルを生成することも考えられるものの、多数の学習モデルを生成する必要があり、手間がかかるという問題がある。
一方、本発明者の知見によれば、判定対象プロセスのレシピと、学習モデルを生成するのに用いたレシピとが異なる場合であっても、学習モデルを生成するのに用いたレシピが判定対象プロセスのレシピに類似するレシピ(両レシピを構成する各パラメータの差が±20%以内)であれば、この類似するレシピについて生成された学習モデルを用いて判定対象プロセスの成否を判定しても、実用上問題のない判定精度を得ることができる場合がある
したがって、前述のように、本発明に係る第2の手段において、前記判定部は、前記学習モデル群のうち、前記判定対象プロセスのレシピと同一のレシピについて生成された学習モデルが存在する場合には、当該学習モデルを選択し、前記学習モデル群のうち、前記判定対象プロセスのレシピと同一のレシピについて生成された学習モデルが存在しない場合には、前記判定対象プロセスのレシピに類似するレシピについて生成された学習モデルを選択する。なお、レシピが類似するか否かの基準となる各パラメータの差は、±20%以内の範囲で、実用上問題のない判定精度を得られるか否かを事前に調べて、適宜調整すればよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
本発明に係る第2の手段によれば、多数の学習モデルを生成する手間を軽減できると同時に、実用上問題のない判定精度を得ることが可能である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
また、前記課題を解決するため、本発明は、基板処理装置のプロセスの成否を判定する方法であって、前記基板処理装置は、内部にプラズマが生成されるチャンバと、前記チャンバ内に配置され、基板が載置され、高周波電力が印加される載置台とを備え、前記基板処理装置のプロセスログデータを取得するプロセスログ取得工程と、前記基板処理装置のプロセスの条件であるレシピと、前記プロセスログデータを構成するV pp 及び/又はV DC に基づき入力データを作成し、前記入力データに基づき、前記プロセスの成否を判定する判定工程と、を含み、前記判定工程では、前記入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、機械学習を行うことで前記基板処理装置のレシピ毎に生成された学習モデルから構成される学習モデル群が予め用意され、前記学習モデル群のうち、前記基板処理装置の判定対象とするプロセスである判定対象プロセスのレシピに応じた学習モデルを選択し、前記選択した学習モデルを用いて前記判定対象プロセスの成否を判定する、ことを特徴とする基板処理装置のプロセス判定方法としても提供される。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
また、前記課題を解決するため、本発明は、基板処理装置のプロセスの条件であるレシピ及びプロセスログデータに基づき作成された入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、機械学習を行うことで前記基板処理装置のレシピ毎に生成された学習モデルから構成される学習モデル群であって、前記基板処理装置は、内部にプラズマが生成されるチャンバと、前記チャンバ内に配置され、基板が載置され、高周波電力が印加される載置台とを備え、前記学習モデルには、前記レシピと、前記プロセスログデータを構成するV pp 及び/又はV DC とに基づき作成された前記入力データが入力される、学習モデル群としても提供される。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
また、前記課題を解決するため、本発明は、基板処理装置のプロセスの条件であるレシピ及びプロセスログデータに基づき作成された入力データがそれぞれ入力され、前記基板処理装置のプロセスの成否をそれぞれ出力する、学習モデルから構成される学習モデル群を生成する方法であって、前記基板処理装置は、内部にプラズマが生成されるチャンバと、前記チャンバ内に配置され、基板が載置され、高周波電力が印加される載置台とを備え、前記学習モデルには、前記レシピと、前記プロセスログデータを構成するV pp 及び/又はV DC とに基づき作成された前記入力データが入力され、前記基板処理装置のレシピ毎に機械学習を行うことで、前記レシピ毎に前記学習モデルを生成する、ことを特徴とする学習モデル群の生成方法としても提供される。