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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159111
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/29 20060101AFI20221006BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20221006BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20221006BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20221006BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20221006BHJP
   A61K 8/25 20060101ALN20221006BHJP
   A61K 8/19 20060101ALN20221006BHJP
   A61K 8/26 20060101ALN20221006BHJP
   A61K 8/27 20060101ALN20221006BHJP
【FI】
A61K8/29
A61Q17/04
A61Q1/02
A61K8/86
A61K8/891
A61K8/25
A61K8/19
A61K8/26
A61K8/27
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052722
(22)【出願日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2021059577
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(72)【発明者】
【氏名】吉田 圭汰
(72)【発明者】
【氏名】増渕 祐二
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA122
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB332
4C083AB432
4C083AB442
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC542
4C083AC812
4C083AD022
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD212
4C083AD242
4C083AD262
4C083AD572
4C083CC12
4C083CC19
4C083DD08
4C083DD21
4C083DD23
4C083DD30
4C083DD31
4C083DD32
4C083DD33
4C083DD47
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】 本発明は、高い紫外線遮断効果を有しながらも、シミや色ムラに対して自然な仕上がりで、負担感のない伸び広がりであり、べたつきのない仕上がりを長時間維持する化粧料を提供する。
【解決手段】 本発明は、特定の無機表面処理剤で処理した微粒子酸化チタンを、特定の分散剤と油剤を組み合わせてした化粧料に関するものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(D);
(A)下記(а-1)および(а-2)により表面被覆処理された平均粒子径10~70nmの微粒子酸化チタンであって、(а-1)の被覆量が(A)の全質量%に対し3~7質量%である、表面被覆処理微粒子酸化チタン
(a-1)鉄の水酸化物及び/または酸化物
(а-2)ケイ素の水酸化物及び/または酸化物
(B)ポリヒドロキシステアリン酸およびアクリル-シリコーングラフト共重合体から選ばれる1種または2種以上
(C)25℃で液状のエステル油剤
(D)25℃における動粘度が0.5~6.0mm/sのジメチコン
を含有する化粧料。
【請求項2】
前記成分(A)における、成分(а-1)と成分(a-2)の処理質量割合(а-2)/(a-1)が、0.4~1.5である請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
前記成分(A)が、さらに(a-3)アルミニウムの水酸化物及び/または酸化物で表面被覆処理された請求項1または2記載の化粧料。
【請求項4】
前記成分(A)が、さらに(а-4)疎水化処理剤で処理された請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項5】
さらに成分(E)平均粒子径0.1~1.2μmの酸化チタン及び/または酸化亜鉛の粉体であって、前記粉体が金属の水酸化物及び/または酸化物で被覆され、前記金属が、鉄、ケイ素及びアルミニウムから選ばれる1種また2種以上である請求項1~4のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項6】
さらに成分(F)シリコーン樹脂を含有する請求項1~5のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項7】
さらに成分(G)油相増粘剤を含有する請求項1~6のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項8】
前記化粧料が、油性化粧料または乳化化粧料である請求項1~7のいずれか一項に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料において、消費者の悩みとして高い、肝斑、老人性色素斑といったシミ、ニキビ跡といった色ムラに対して、自然に隠して仕上げることを目的に、種々の粉体が開発され、含有検討がなされてきた。特に酸化チタンは、屈折率が高く、白色度、着色力に優れていることから隠蔽粉体として汎用されており、更に紫外線防御効果を付与する目的で汎用されている。一方、酸化鉄は、人それぞれの肌色に合うよう、調色するための着色顔料として汎用されている。
これらの素材を組み合わせる、日焼け止め剤において、良好な紫外線防御効果を有し、可視光に対する十分な透過性をも有しているものとして、酸化鉄含有二酸化チタンが使用されてきた。(例えば特許文献1参照)
近年では、優れたカバー効果を持ちながら自然に仕上げることを目的として、着色顔料、微粒子酸化亜鉛、パラメトキシケイ皮酸オクチルを含む乳化化粧料に、平均粒子径0.6~4μmの酸化鉄被覆酸化チタンを特定の割合で組み合わせて用いることにより、肌の皮丘・皮溝への付着性に優れ、肌の毛穴の目立ちやキメの乱れを抑え、白浮きや粉っぽさを抑制し、厚ぼったくなく、均一できれいな仕上がりを得る乳化化粧料が開発されている(例えば特許文献2参照)。
また、酸化鉄被覆酸化チタン、架橋型オルガノポリシロキサン及び球状シリコーン弾性粉体を組み合わせて用いることにより、経時での毛穴の目立ちを抑制し、塗布時のすじムラを抑え、カバー力を高め、均一で自然な仕上がりにできる油中水型乳化化粧料が開発されている。(例えば特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-279026号公報
【特許文献2】特許2017-025049号公報
【特許文献3】特開2019-026620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、酸化鉄含有二酸化チタン自体の色が好ましい肌色にはなりにくく、改善の余地があった。
また、上記特許文献2の技術では、肌の毛穴の目立ちを抑制する点から、酸化チタンの平均粒子径が0.6~4μmを好適な粒径としているが、紫外線遮断効果や自然な仕上りに劣る場合があり、処理の方法や、構成する組成に対して、更なる改良の余地があった。更に酸化鉄被覆酸化チタンを疎水化処理で分散性を向上させているが、有機表面処理剤のみでは、母体の無機粉体自体の凝集を根本から改善することができず、油性、乳化化粧料中での分散性が不十分な場合があり、紫外線遮蔽効果を最大限発揮できる無機表面処理剤の選択と分散技術が望まれていた。
さらに、上記特許文献3の技術では、無機表面処理剤の組み合わせによっては、黄色またはオレンジ色のくすみがちな肌色に発色する場合が多くみられ、自然な仕上りを具現化する上でさらなる改善の余地があった。
このように、従来の技術においては、白浮きを抑える効果は訴求されてきたものの、より好ましい肌色を実現するために無機表面処理剤を制御し、自然な仕上りを付与する鉄含有酸化チタンの着想はなく、凝集性を改善する視点でも無機表面処理剤を制御する着想はなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題の解決のため鋭意研究の結果、特定の無機水酸化物及び/または酸化物を処理した特定の大きさの微粒子酸化チタンと、ポリヒドロキシステアリン酸およびアクリル酸基およびジメチルポリシロキサン基を有する共重合体から選ばれる1種または2種以上と、特定の油剤を複数組み合わせることで、負担感のない伸び広がりでありながら、自然な仕上がりを有し、べたつきのない仕上がりを持続すると共に、紫外線遮断効果に優れた化粧料を見出し、発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、特定の無機表面処理剤で処理した微粒子酸化チタンを、特定の分散剤と油剤の組み合わせで分散状態を制御することで、肌上で被覆微粒子酸化チタンを均一に配向させる技術着想に基づき、次の成分(A)~(D)を含有することを特徴とする化粧料である。
〔1〕次の成分(A)~(D);
(A)下記(а-1)および(а-2)により表面被覆処理された平均粒子径10~70nmの微粒子酸化チタンであって、(а-1)の被覆量が(A)の全質量%に対し3~7質量%である、表面被覆処理微粒子酸化チタン
(a-1)鉄の水酸化物及び/または酸化物
(а-2)ケイ素の水酸化物及び/または酸化物
(B)ポリヒドロキシステアリン酸およびアクリル-シリコーングラフト共重合体から選ばれる1種または2種以上
(C)25℃で液状のエステル油剤
(D)25℃における動粘度が0.5~6.0mm/sのジメチコン
を含有する化粧料である。
〔2〕 前記成分(A)における、成分(а-1)と成分(a-2)の処理質量割合(а-2)/(a-1)が、0.4~1.5である〔1〕記載の化粧料である。
〔3〕 前記成分(A)が、さらに(a-3)アルミニウムの水酸化物及び/または酸化物で表面被覆処理された〔1〕または〔2〕記載の化粧料である。
〔4〕前記成分(A)が、さらに(а-4)疎水化処理剤で処理された〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の化粧料である。
〔5〕さらに成分(E)平均粒子径0.1~1.2μmの酸化チタン及び/または酸化亜鉛の粉体であって、前記粉体が金属の水酸化物及び/または酸化物で被覆され、前記金属が、鉄、ケイ素及びアルミニウムから選ばれる1種また2種以上である〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の化粧料である。
〔6〕さらに成分(F)シリコーン樹脂を含有する〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の化粧料である。
〔7〕さらに成分(G)油相増粘剤を含有する〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の化粧料である。
〔8〕前記化粧料が、油性化粧料または乳化化粧料である〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の化粧料である。
【0007】
さらに、本発明には以下の発明を追加することもできる。
〔9〕前記化粧料が、日焼け止め化粧料である〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の化粧料である。
〔10〕さらに成分(H)天然由来又は植物由来の有機粉末であるセルロースパウダー、デンプンパウダー、及び無機粉体であるシリカから選ばれる1種又は2種以上を含有する〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載の化粧料である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化粧料は、高い紫外線遮断効果を有しながらも、シミや色ムラに対して自然な仕上がりで、均一な隠蔽効果があり、べたつきのない仕上がりを長時間維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】成分(A)製造例1~6と比較実施例4~6の280~400nmの紫外線透過率曲線と320-400nmのUVA紫外線遮断効果の評価
図2】成分(A)製造例1~6と比較実施例4~6の400~700nmの可視光反射率曲線による色評価(400-490nm(青)/400-780nm(可視光))透過率の比率%(青味の強さ)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。また、本明細書においては、「~」を用いて数値範囲を表す際は、その範囲は両端の数値を含むものとする。
本発明における「平均粒子径」とは、画像解析法を用いて評価したD50である。平均粒子径の大きさに応じた最適な測定方法を選択する。具体的には、2つの方法を用いる。微粒子酸化チタンの平均粒子径の測定方法は、スライド硝子上で試料約10mgを1-プロパノールで練りよく分散させ、分散物を得る。分散物を引き延ばし薄膜状の試料を得る。試料の薄膜を、支持膜をはった透過型電子顕微鏡(TEM)測定用メッシュにのせる。メッシュ(乾燥塗膜)を透過型電子顕微鏡装置(S-4800、株式会社日立ハイテクノロジーズ)にセットし観察し、個々の粒子が映る乾燥塗布膜の画像を得る。この乾燥塗膜面像の画像を画像解析式粒度分布測定装置(Mac-View、株式会社マウンテック)にて測定粒子数各1000個画像処理を行い粒子径の測定を行う。これにより、透過型電子顕微鏡(TEM)画像の画像解析により、試料(粉体)の平均粒子径D50を得ることができる。また、微粒子酸化チタン以外の粉体の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製、JSM-7800prime)を用いて、表面状態を観察し、画像解析装置(ルーゼックスAP、ニレコ社製)による測定により求めた値(D50)を用いる。
本発明に用いられる成分(A)、成分(E)の各金属の水酸化物及び/または酸化物の処理量の測定方法として、例えば、試料(粉体)に含まれる各金属の処理量は、一般的な手法を用いて調製された試料をICP(Inductively Coupled Plasma;誘導結合プラズマ;ARCOS(独スペクトロ社))発光分析により測定して得ることができる。
【0011】
本発明に用いられる成分(A)は、(a-1)鉄の水酸化物及び/または酸化物、(a-2)ケイ素の水酸化物及び/または酸化物により表面被覆処理された平均粒子径10~70nmの微粒子酸化チタンであって、(а-1)の被覆量が(A)の全質量%に対し3~7質量%である、表面被覆処理微粒子酸化チタンである。表面被覆処理とは、結晶析出させて被覆したものを指す。なお、(a-3)アルミニウムの水酸化物及び/または酸化物により表面被覆されていているほうが好ましい。以下成分(A)を「被覆微粒子酸化チタン」、当該各処理層をそれぞれ「(a-1)」、「(а-2)」、「(а-3)」と記す場合もある。
【0012】
本発明に用いられる成分(A)の被覆微粒子酸化チタンは、平均粒子径は10~70nmの微粒子酸化チタンである。酸化チタンの純度は特に問わないが、粒子中に酸化チタンを60%以上含むものが好ましく、微粒子酸化チタン粒子としての平均粒子径がこの範囲であるものである。形状は特に限定されず、球状、楕円状、板状、粒状、針状、紡錘状、放射状等特に限定されない。平均粒子径は30~50nmがさらに好ましい。この範囲であると、微粒子酸化チタンのUVA領域から可視光領域の透過性が下がり紫外線遮断効果に優れ、自然な肌色において好ましい。なお、被覆微粒子酸化チタンを別の粉体と二次的に複合化させたものでもよい。
【0013】
本発明に用いられる成分(A)の被覆微粒子酸化チタンは、以下のような各金属の水酸化物及び/または酸化物等に処理されるものである。各処理について以下説明する。
【0014】
本発明に用いられる成分(A)の無機表面処理剤の各処理方法は以下の方法が挙げられるが、特に限定はしない。水酸化物及び/または酸化物とは、製造方法に応じて、これらの混在する可能性は高く、どちらかに限定することは本発明において困難であるため、いずれかを含んでいればよいものとする。
前記(а-1)鉄の水酸化物及び/または酸化物による処理を行う方法は特に限定されず、公知の処理方法を利用して行うことができる。例えば、一例として、苛性ソーダ水溶液を30~35℃に加温し、粉体粒子を分散させて、硫酸第二鉄を含む水溶液を添加・撹拌し、90℃で2時間程度反応させる。得られた複合化合物を水洗・中和し乾燥させる。粉砕した後に、原料粒子と鉄の水酸化物を焼成(例えば、750~900℃程度、1~3時間程度)して得ることができる。
前記(a-2)ケイ素の水酸化物及び/または酸化物による処理を行う方法は特に限定されず、公知の処理方法を利用して行うことができる。例えば、原料粒子を含む水スラリーに珪酸ナトリウム等をそのまま、または水溶液にして添加し、後に硫酸等の酸を添加してシリカまたはその水和物を析出させる方法;または、原料粒子を溶媒(アルコール、水、またはアルコール水混合溶媒等)に分散させ、テトラエトキシシラン等のアルコキシシラン系の金属カップリング剤を添加し、酸または塩基を添加または、加熱すること等によりシリカまたはその水酸化物を析出させる方法等が挙げられる。その後、洗浄、ろ過、乾燥等を行うことで処理した粉体粒子が得られる。
前記(a-3)アルミニウムの水酸化物及び/または酸化物による処理を行う場合の方法は特に限定されず、公知の処理方法を利用して行うことができる。例えば、原料粒子を含む水スラリーに、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等をそのまままたは水溶液にして加えて、その後、酸またはアルカリを加えて、アルミニウム化合物を析出させる方法等が挙げられる。また、原料粒子を溶媒(アルコール、水、またはアルコール水混合溶媒等)に分散させ、アルミニウム系の金属カップリング剤を添加し、酸または塩基を添加または、加熱すること等によりアルミニウムまたは水酸化物を析出させる方法等が挙げられる。その後、洗浄、ろ過、乾燥等を行うことで処理された粉体粒子が得られる。
【0015】
本発明に用いられる成分(A)の被覆微粒子酸化チタンは、微粒子酸化チタン粒子表面に(а-2)が処理されているものであり、さらに(а-3)により処理されうるものであり、その場合、本発明に用いられる成分(A)の被覆微粒子酸化チタンは、(а-2)、(а-3)で被覆された粒子表面でもよく、併用する場合の被覆の順番は特に限定せず、さらに(а-1)が処理されて おり、(а-1)の位置は、特に限定されないが、本発明に用いられる成分(A)の被覆微粒子酸化チタンの最外層に位置することが好ましく、表面に析出させているものである。
【0016】
本発明に用いられる成分(A)は、(а-1)鉄の水酸化物及び/または酸化物、および(а-2)ケイ素の水酸化物及び/または酸化物で処理されるものである。本発明に用いられる成分(A)の(а-1)の処理量は、成分(A)全無機物質量に対する酸化物質量換算として、3~7質量%である。(а-2)の処理量は、成分(A)全無機物質量に対する酸化物質量換算として、1~10質量%(以下、%と略す)が好ましく、2~9%がより好ましく、3~8%がさらに好ましい。これらの範囲であると、微粒子酸化チタンの青白さを低減し、より肌に馴染む自然な色調にすることできる。また、UVA領域の紫外線遮断効果向上させることができる。さらに特に、(A)の化粧料中の分散性が向上し、べたつきのない仕上がりを実現することができる。
【0017】
本発明に用いられる成分(A)の被覆微粒子酸化チタンは、特に、(а-2)の存在により(a-1)の発色が赤みによることにより、本処理された成分を含有した化粧料を肌に塗布することにより血色の良い自然な肌色を作りやすく、自然に見える仕上がり向上させることが推定される。なお、無機表面処理剤の比率で分散性を制御することにより、高い紫外線遮断効果と自然な肌色を実現することができる。
【0018】
さらに、本発明に用いられる成分(A)の被覆微粒子酸化チタンは、より好ましくは、成分(а-1)と(а-2)の含有質量割合、(а-2)/(а-1)は、0.1~10が好ましく、0.2~5がより好ましく、0.4~3がさらに好ましい。(а-2)/(а-1)がこの範囲であると、発色が綺麗な赤味になり、血色の良い自然な肌色を作り、成分(A)の化粧料中の分散性も良いことから、肌上で均一に被覆微粒子酸化チタンが並び、べたつきのない仕上がりや自然な仕上がりを実現することができる。
【0019】
本発明に用いられる成分(A)の被覆微粒子酸化チタンは、さらに、無機表面処理剤の(a-3)アルミニウムの水酸化物及び/または酸化物により処理されうる被覆微粒子酸化チタンである。(a-3)は、微粒子酸化チタンの表面活性を抑え、表面の等電点を調整し、化粧料における分散性、表面活性を制御する点で処理されうるが、特に効果の限定はしない。(а-3)の成分(A)中の処理量は、成分(A)全無機物質量に対する酸化物質量換算として、0.5~10%が好ましく、1~8%がより好ましく、2~5%がより好ましい。
【0020】
さらに、本発明に用いられる成分(A)の被覆微粒子酸化チタンは、目視で自然な肌色と評価できる範囲を、20名の専門パネルによって設定し、以下の条件にて評価したが、特に限定するものではない。成分(A)をガラスセルに充填後、30回タッピングを行い、分光色差計(SE-7700 日本電色工業社製)にて色値L*値、C*値、h値を測定した。色値L*値は、明度であり高いほど白く、色値C*値は、彩度であり高いほど鮮やかになり、色値h値は、色相を示すものであり0~90において値が高くなるにしたがって赤色~黄色に変化する値である。その結果、色相h値が65以上80未満であることが好ましく、h値が70以上75未満であることがより好ましい。この幅であると、黄色過ぎず、赤色過ぎず、自然な肌色を付与しやすく自然な仕上りとなりやすいため好ましい。さらに、明度L*値が80以上であることが、色がくすみにくくさらに好ましい。また、彩度C*値が17以上27未満であると、色が濃すぎず自然な仕上りとなるためさらに好ましい。
【0021】
本発明に用いられる成分(A)の被覆微粒子酸化チタンは、さらに(а-4)疎水化処理剤を用いて処理されていることが好ましい。以下、(a-4)と記載する場合もある。(а-4)は粉体表面を疎水化できれば特に構造の限定はなく、2種以上を併用して処理して用いてもよい。公知な粉体の処理方法を利用して行うことができる。(а-4)は、粉体表面と反応性のあるような化学的吸着でも、物理的吸着でも特に限定はしない。特に物理的吸着であるとより好ましい。具体的には、例えば、シリコーン化合物、フッ素化合物、炭素数14~24の脂肪基を有する処理剤、カップリング剤(例えば、アルキルアルコキシシラン処理等のシラン系、アルミニウム系、チタン系等)等が挙げられる。
シリコーン化合物としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ジメチコノール、メチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。フッ素化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルアルコキシシラン処理等が挙げられる。炭素数14~24の脂肪基を有する構造の処理剤としては、例えば、炭化水素、レシチン、水添リン脂質、ペプチド、ポリウレタン、N-アシルアミノ酸処理(例えば、ラウロイルリジン処理、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa処理、ステアロイルグルタミン酸2Na処理、ラウロイルアスパラギン酸Na処理)、酸化ポリエチレン、ロウ、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、スフィンゴ脂質、多糖脂肪酸エステル等が挙げられる。カップリング剤としては、例えば、トリエトキシカプリリルシラン、トリイソステリン酸イソプロピルチタン等が挙げられる。特に、これらの中でも、シリコーン化合物として、ジメチルポリシロキサンやジメチコノール、炭素数14~24の脂肪基を有する処理剤として、ステアリン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸、N-アシル化アミノ酸、セラミド(例えばセラミドNG、セラミド3等)、リン脂質(水添リン脂質含む)がより好ましい。このような(а-4)を用いると、高い紫外線遮断効果と自然な肌色、自然な仕上がり、負担感のない伸び広がり、べたつきのない仕上がりだけでなく、分散性、安定性の観点でもより好ましい。
【0022】
成分(A)の(а-4)の処理量は、この好ましくは、成分(A)の全無機物質量を100%とした場合、0.01%以上が好ましく、1%がより好ましく、2%以上がさらに好ましく、10%以下が好ましく、6%以下がより好ましく、4%以下が更に好ましい。この範囲であると、化粧料中に(A)を分散させやすくし、特に負担感のない伸び広がりとべたつきのない仕上がりを長時間維持するため好ましい。
【0023】
更に、本発明に用いられる成分(A)の被覆微粒子酸化チタンを(а-4)にて処理する方法としては、特に限定しないが、従来からメイクアップ化粧料に使用する粉体の改質の為に使用されている公知の処理方法を利用することができる。例えば、溶媒を用いた湿式法、気相中で処理する乾式法等を用いることができる。特に、揮発性溶媒または油剤とともに混合後、分散物化または乾燥して微粉化することが好ましい。具体的な揮発性溶媒としては、特にイソプロピルアルコール等のアルコール溶媒、ヘキサン、イソドデカン等の炭化水素溶媒、ジメチコン等の揮発性シリコーン溶媒を用いた湿式法にて処理すると、処理が均質になり、分散性が向上するため好ましい。具体的には、湿式法の場合、(а-4)を溶媒に溶解し、成分(A)を加え、ヘンシェルミキサー、ニーダー、ウルトラミキサー、ビーズミル、ロールミル等の混合機で均一に攪拌混合して分散または湿潤させることが好ましい。さらにその後、溶媒を回収せず分散物として化粧料に含有させる方法、溶媒を回収または蒸発して乾燥して均一化したのち粉砕する方法等、特に限定しない。また、乾燥状態で粉砕する場合、粉砕方法は、通常の造粒粉体を解砕するジェットマイザー、アトマイザー、グラインダー等の機器があげられる。なお、処理して分散物化する場合に、下記に説明する本発明に用いられる成分(B)を同時に加えてもよい。
【0024】
本発明に用いられる成分(A)の化粧料中の含有量は、下限として、1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、3%以上がさらに好ましい。上限としては、25%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、15%以下がさらに好ましい。この範囲であれば、紫外線遮断効果の発現や自然な仕上がりの点において特に良好なものが得られる。
【0025】
次に、本発明に用いられる成分(B)のポリヒドロキシステアリン酸およびアクリル-シリコーングラフト共重合体から選ばれる1種または2種以上の分散剤に関して説明する。
【0026】
本発明に用いられる成分(B)のポリヒドロキシステアリン酸は、12ヒドロキシステアリン酸が重合したものであり、重合度は特に限定されないが、下限として重合度4以上が好ましく、重合度6以上がより好ましく、上限として重合度10が好ましい。この範囲であると、成分(A)、またはその他の粉体の油相への分散性を向上させつつ、仕上がりのべたつきを感じさせなくすることができる。例えばサラコスHS-6C(重合度6)(日清オイリオグループ社製)などが挙げられる。
【0027】
本発明に用いられる成分(B)のアクリル-シリコーングラフト共重合体は、アクリル酸基とジメチルポリシロキサン基の両方の特性を有するものである。これらの構造は、特に限定しないが、ジメチルポリシロキサン基を主鎖として側鎖にアクリル酸基を有するグラフト共重合体であっても、ジメチルポリシロキサン基とアクリル酸基とが、交互に結合した直鎖状のブロック共重合体や架橋型の重合体であっても、アクリル酸を主鎖として側鎖にジメチルポリシロキサン基を有するものでもよい。前記ジメチルポリシロキサン基は、直鎖状であっても、分岐構造を有していてもよく、アルキル基等の有機基を共変性したものであってもよい。性状としては、特に限定されないが、25℃で液状であるものを用いることがより好ましい。具体的には、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー等が挙げられる。市販品としては、KP-540、KP-545L、KP-550、KP-545、KP-562、KP-561P、KP-578(信越化学工業社製)等が挙げられる。特に、(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマーが好ましい。
【0028】
本発明に用いられる成分(B)のポリヒドロキシステアリン酸、および、アクリル-シリコーングラフト共重合体から選ばれる1種または2種以上の全含有質量は、特に限定されないが、下限として0.01%以上が好ましく、0.05%以上がより好ましく、0.1%以上がさらに好ましい。上限として1%が好ましく、0.7%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。この範囲であると、成分(A)の化粧料中の分散性を向上させつつ、べたつきのない仕上がりを実現ことができる。
【0029】
本発明に用いられる成分(C)の25℃で液状のエステル油剤は、特に限定されず、化粧料に使用可能な、25℃で液状のエステル油であれば何れのものも使用可能である。例えば、動物油、植物油、合成油等の起源は問わず、ホホバ油、2-エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、オレイン酸エチル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリベヘン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、p-アミノ安息香酸エチルヘキシルジメチル、サリチル酸エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、酢酸トコフェロール、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、メドウフォーム油、ローズヒップ油、コメヌカ油、アボカド油等を例示することができる。
【0030】
成分(C)は、特に分子量が200~1000のエステル油が好ましく、負担感のない伸び広がりとべたつきのない仕上がりを高めることができる。分子量が200~1000のものとしては、例えばジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルへキシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル等が挙げられる。これらは、必要に応じて1種または2種以上を用いることができる。負担感のない伸び広がり、べたつきのない仕上がりにおいてとりわけ優れた効果を発揮することから、2-エチルヘキサン酸セチル、ジカプリル酸プロピレングリコール、イソノナン酸イソトリデシルが特に好ましい。成分(C)として、例えばCETINOL SN-1(BASF社製)、ニッコール PDD(日本サーファクタント工業社製)、サラコス913(日清オイリオグループ社製)等の市販品を用いることができる。
【0031】
本発明に用いられる成分(C)の25℃で液状のエステル油剤の含有量特に限定されないが、下限として2%以上が好ましく、3%以上がより好ましく、4%以上がさらに好ましい。上限として20%が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。この範囲であると、負担感のない伸び広がりで、べたつきのない仕上がりとなる。
【0032】
本発明に用いられる成分(D)25℃における動粘度が0.5~6.0mm/sのジメチコンは、低粘度のジメチルポリシロキサンの油剤である。環状、または、分岐状、または直鎖状等、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されない。メチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、エチルトリシロキサンなどが挙げられる。成分(D)にはこれらの1種または2種以上の組み合わせで利用可能である。負担感のない伸び広がり、べたつきのない仕上がりの観点から、動粘度が6.0mm/s以下の、低分子メチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンが好ましい。成分(D)は、具体的には、デカメチルシクロペンタシロキサンとしてはTFS405(東芝シリコーン社製)、SH245、DC345(東レ・ダウコーニング社製)、KF-995(信越化学工業社製)、低分子メチルポリシロキサンとしては、KF-96A-6CS、KF-96L-2CS、TMF-1.5(信越化学工業社製)、BELSIL DM1 PLUS(旭化成ワッカーシリコーン社製)、BELSIL DM2(旭化成ワッカーシリコーン社製)、ジシロキサンとしてはBELSIL DM0.65(旭化成ワッカーシリコーン社製)、デカメチルテトラシロキサンとしてはKF-96L-1.5CS(信越化学工業社製)、エチルトリシロキサンとしてはSILSOFT ETS(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などが挙げられ、これらを1種または2種以上を用いることができる。
【0033】
本発明に用いられる成分(D)の含有量は、特に制限されないが、下限として、1%以上が好ましく、3%以上がより好ましく、5%以上がさらに好ましい。上限としては、30%以下が好ましく、25%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。この範囲であると、仕上がりのべたつきを感じさせないため好ましい。
【0034】
本発明には、成分(E)として、平均粒子径0.1~1.2μmの酸化チタン及び/または酸化亜鉛は、鉄、ケイ素及びアルミニウムの各水酸化物及び/または酸化物から選ばれる1種また2種以上で処理されているものを含有しても良い。以下、鉄の水酸化物及び/または酸化物を(e-1)、ケイ素の水酸化物及び/または酸化物を(e-2)、アルミニウムの各水酸化物及び/または酸化物を(e-3)、と記載することもある。なお、処理方法は、(e-1)は(a-1)に、(e-2)は(a-2)に、(e-3)は(a-4)に準じてもよいが、特に限定はしない。
【0035】
本発明に用いられる成分(E)の母体となる酸化チタン及び/または酸化亜鉛は、特に形状の限定はしないが、酸化チタン単独、または酸化チタンに亜鉛が含有されている固溶体、または各々の複合化物、または酸化亜鉛単独であってもよい。
なお、製造方法、形状は特に限定されず、例えば、藁束状、短冊状、球状、針状、棒状、板状等が挙げられる。このうち、表面が比較的平滑な球状、または板状が好ましい。
【0036】
本発明に用いられる成分(E)の母体は、鉄、ケイ素及びアルミニウムの各水酸化物及び/または酸化物から選ばれる1種また2種以上、つまり(e-1)、(e-2)または(e-3)から選ばれる1種または2種以上を処理することにより、より良好に肌の自然な仕上がりを得ることができ、さらに肌の青白さ及び黄ぐすみをより少なくできることで、自然な仕上がり効果をもたらすことができる。成分(E)における、(e-3)の処理量は、成分(E)に対し、酸化物質量換算として、好ましくは1~6%、より好ましくは1~5%、さらに好ましくは2~5%である。(e-2)の処理量は、成分(E)に対し、酸化物質量換算として、好ましくは0.5~6%、より好ましくは1~5%である。(e-1)の処理量は、成分(E)に対し、酸化物質量換算として、好ましくは0.5~3%、より好ましくは0.5~2%、さらに好ましくは0.5~1.5%である。
【0037】
また、本発明の化粧料において、成分(E)の含有量は、その下限値として、0.5%以上が好ましく、3%以上がより好ましく、5%以上が更に好ましい。またこの上限値として、30%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、15%以下が更に好ましい。
【0038】
本発明に用いられる成分(E)は、表面に(e-3)で処理されているものが好ましい。さらに、(e-1)または(e-2)を処理するものがより好ましい。さらに、3層処理しているものがより好ましい。このように複数の処理層が表面に混在することにより、様々な処理剤の吸着点を作ることができる場合があり、化粧料中での分散性が良好となり、成分(A)の自然な仕上がり効果を阻害することなく、負担感のない伸び広がりをより高めることができるため好ましい。
【0039】
本発明に用いられる成分(E)は、透過型電子顕微鏡画像解析法による平均粒子径D50が、その下限値として、0.10μm以上が好ましく、0.20μm以上がより好ましく、0.25μm以上が更に好ましい。またこの上限値として、1.20μm以下が好ましく、1.00μm以下がより好ましく、0.8μm以下が更に好ましく、0.50μm以下がよりさらに好ましい。このような平均粒子径を採用することにより、負担感のない伸び広がり、自然な仕上がりを得ることができるため好ましい。
【0040】
本発明に用いられる成分(F)のシリコーン樹脂は、下記平均式(1)の構造を有する化合物である。
nSiO(4―n)/2 ・・・平均式(1)
前記シリコーン樹脂におけるRは、独立して、炭素数1~8のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、及び炭素数1~8のフッ素置換アルキル基から選ばれる基である。具体的には、たとえば、INCI名(International Nomenclature Cosmetic Ingredient labeling names)で表すと、トリメチルシロキシケイ酸、ポリメチルシルセスキオキサン、トリフルオロプロピルジメチル/トリメチルシロキシケイ酸が挙げられるが特に限定しない。
【0041】
前記成分(F)のシリコーン樹脂を具体的に説明する。
トリメチルシロキシケイ酸は、上記平均式(1)におけるn=3単位とn=0単位の共重合体であり、市販品としてはシリコンX-21-5250(50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、シリコンX-21-5250L(50%揮発性ジメチコン溶液)、KF-7312T(60%メチルトリメチコン溶液)、KF-7312J(50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、KF-7312K(60%ジメチコン溶液)、KF-9021(50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、KF-9021L(50%揮発性ジメチコン溶液)(何れも信越化学工業社製)、SR1000(純度100%)、SS4267(35%ジメチコン溶液)、SILSOFT74(75%イソドデカン溶液)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製))、が挙げられる。
ポリメチルシルセスキオキサンは、上記平均式(1)におけるn=3単位とn=1単位(式中、Rは1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂であり、市販品としては、SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)が挙げられる。
なお、上記平均式(1)におけるn=3単位とn=1単位とn=0単位の共重合体であっても、n=1単位とn=2単位の共重合体であっても、n=1~4単位をすべて含む共重合体であってもよい。
トリフルオロプロピルジメチル/トリメチルシロキシケイ酸は、Rは炭素数1~8のパーフルオロアルキル基を有し、nは平均数で0<n≦1.8のものである。具体的には、分子中のシラノール基中のOH基の割合が、樹脂重量に対して下限値0.1質量%(以下、単に%と略す)以上が好ましく、0.3%以上がより好ましく、0.5%以上がさらに好ましい。また、上限値は5%以下が好ましい。市販品としては、例えば、XS66-B8226(50%シクロペンタシロキサン溶液)、XS66-C1191、XS66-B8636(50%ジメチコン溶液)(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)等の市販品が挙げられる。
前記成分(F)のシリコーン樹脂は、特に、ポリメチルシルセスキオキサン、トリメチルシロキシケイ酸、またはそれらの共重合体が、負担感のない仕上がりを長時間維持するため好ましい。
【0042】
本発明に用いられる成分(F)シリコーン樹脂は、皮膜を形成するものであれば特に限定されないが、具体的には、シリコーン樹脂が可溶な揮発性溶剤に40%溶解した溶液を、ガラス板に400μm厚のアプリケーターで塗布し、室温24時間乾燥後に皮膜が形成さていることをいい、特に効果の長時間持続に用いられる成分である。得られる長時間持続性や含有容易性の観点から、溶剤によって希釈された溶液や分散液であること、または、事前に混合して得られる溶液や分散液であることが好ましい。成分(F)を希釈または分散させる溶剤としては、特に限定はしない。例えば、イソパラフィン系の炭化水素油、脂肪酸エステル等の極性油剤でもよい。揮発性とは、35~90℃の引火点を有するものであるが、揮発性油剤に溶解した市販品を用いることもできる。成分(D)であってもよく、希釈する溶剤として、成分(D)を用いる場合、ジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンから選ばれる1種または2種以上が好ましい。特に、ジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン、カプリリルメチコン、イソドデカンがより好ましい。
【0043】
成分(F)の含有量は、全組成中に固体分として、0.01%以上であり、0.2%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、20%以下であり、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に0.01~30%であり、2~10%が好ましく、3~8%がより好ましい。
【0044】
本発明に用いられる(G)油相増粘剤は、液体油を増粘するもので、通常化粧料で使用されるものであれば、特に限定されず、例えば、ワックス、金属石鹸、多糖脂肪酸エステル、有機変性粘土鉱物、架橋型オルガノポリシロキサン重合体、無水ケイ酸等が挙げられる。特に限定されないが、有機変性粘土鉱物、多糖脂肪酸エステル、架橋型オルガノポリシロキサン重合体、無水ケイ酸等がより好ましい。具体的には、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、水添マイクロクリスタリンワックス、フィッシャトロプシュワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ビーズワックス、モクロウ、ゲイロウ、ジロウ、モンタンワックス、ステアリル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン等のワックス、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、パルミチン酸デキストリン等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、でんぷんパルミチン酸エステル、バクモンドウ由来のフラクトオリゴ糖ステアリン酸エステル等の多糖脂肪酸エステル、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト等の有機変性粘土鉱物、架橋型オルガノポリシロキサン重合体としては、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーなどの部分架橋型メチルポリシロキサン、(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマーなどの部分架橋型メチルフェニルポリシロキサン、部分架橋型アルキル変性シリコーン等、無水ケイ酸、ジメチルシリル化シリカ等の無水ケイ酸類、12-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられ、これらを1種または2種以上を用いることができる。
【0045】
本発明に用いられる成分(G)の含有量は、特に制限されないが、下限として、0.01%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましく、0.5%以上がさらに好ましい。上限としては、10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。この範囲であると、負担感のない伸び広がりで優れる化粧料が得られる。
【0046】
さらに、本発明には、成分(H)として、例えば、天然由来又は植物由来の有機粉末であるセルロースパウダー、デンプンパウダー、及び無機粉体であるシリカから選ばれる1種又は2種以上が含まれるとより好ましい。セルロースパウダーのうち、結晶セルロースパウダーが好ましい。デンプンパウダーのうち、架橋若しくは非架橋の、トウモロコシ由来のデンプンパウダー、小麦由来のデンプンパウダー、米由来のデンプンパウダー、及びこれらの骨格を有する化学修飾物のパウダー(例えば、ヒドロキシプロピルデンプン、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプン塩等)、金属酸化物被覆デンプン(例えば酸化チタン被覆コーンスターチ等)パウダー等から選択される1種又は2種以上が好ましい。なお、前記成分(A)の表面処理剤として記載した表面処理剤(а-4)で処理された、疎水化された成分(H)がより好ましい。
【0047】
本発明における成分(H)含有量は、特に限定されないが、上限は25%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、15%以下がさらに好ましい。また、下限は、5%以上が好ましく、7%以上が好ましく、10%以上がさらに好ましい。この範囲であれば、負担感のない伸び広がりで仕上がりのべたつきを感じさせないため好ましい。
【0048】
本発明における成分(H)平均粒子径は、特に限定されないが、下限としては、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましい。上限としては、40μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。この範囲であれば、シミや色ムラに対して自然な仕上がりで、均一な隠蔽効果があり、べたつきのない仕上がりにより優れるため、より好ましい。
【0049】
本発明の化粧料は、上記成分の他に、目的に応じて本発明の効果を損なわない範囲内で他の任意成分を含有することができる。例えば、油性成分、色素、pH調整剤、保湿剤、増粘剤、界面活性剤、分散剤、安定化剤、着色剤、防腐剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、収斂剤、消炎剤、紫外線吸収剤、香料、その他の顔料等が挙げられる。
【0050】
本発明に用いられる界面活性剤の中でも、シリコーン系界面活性剤を含有することがより好ましい。親水基を有するものとしては、ポリエーテル鎖を有するポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン鎖を有するポリグリセリン変性シリコーンなどが挙げられ、オルガノポリシロキサン基を主鎖として側鎖に親水基を有するグラフト共重合体であっても、オルガノポリシロキサン基と親水基とが、交互に結合した直鎖状のブロック共重合体や架橋型の重合体を含有してもよい。直鎖構造のオルガノポリシロキサン基を主鎖として、ポリオキシアルキレン基を側鎖に有するものとしては、具体的には、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン等が挙げられ、市販品として、例えば、KF-6017(信越化学工業社製)、5200 Formulation Aid(東レ・ダウコーニング社製)、ABIL EM97S(EVONIC GOLDSCHMIDT社製)等が挙げられる。また、分岐構造を有するオルガノポリシロキサン基を主鎖として、ポリオキシアルキレン基をグラフトしたもの(シリコーン分岐型ポリエーテル変性シリコーン)としては、具体的には、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、セチルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン等が挙げられ、これらの市販品として、例えば、KF-6028、KF-6038(いずれも信越化学工業社製)、ABIL EM90、ABIL-EM97(EVONIC GOLDSCHMIDT社製)等が挙げられる。また、分岐構造を有するオルガノポリシロキサン基を主鎖として、ポリグリセリン基をグラフトしたもの(シリコーン分岐型ポリグリセリン変性シリコーン)としては、具体的には、ラウリルポリグリセリル3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコンが挙げられ、市販品として、KF-6105(信越化学工業社製)等が挙げられる。前記ブロック共重合体タイプとしては、具体的には、ポリオキシエチレン・ブチレン・ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブチレン・ジメチルポリシロキサン共重合体等が挙げられ、市販品として、例えば、FZ-2250、FZ-2233(いずれも東レ・ダウコーニング社製)、SILWET 236-L日本ユニカー社製)等が挙げられる。これらの中でもポリオキシエチレン基を有するポリエーテル変性シリコーンが、伸び広がりが良好であり、特に好ましい。
【0051】
さらに、本発明には、揮発性炭化水素油を含有してもよい。常温で揮発性を有する液状炭化水素油剤であり、動粘度1.0mm/s以上であると好ましい。概ね沸点は165~250℃のものであり、具体的には例えば、イソドデカン、軽質パラフィンが挙げられる。
【0052】
本発明の化粧料は、粉末を多く含有する剤型、または紫外線遮断効果を必要とする剤型であれば特に限定しない。好ましくは、水性、油性、油性固形、乳化型、乳化固形が挙げられる。
本発明の化粧料への用途としては、例えば、メイクアップ化粧料(例えば、下地、ファンデーション、コンシーラー、コントロールカラー、日焼け止め化粧料、チークカラー、等)、ボディ化粧料等に用いることができる。このうち、本発明を用いれば自然な仕上りを得ることができるので、下地、ファンデーション、コンシーラー、コントロールカラー、日焼け止め化粧料等が好ましく、フェイスに用いる下地、ファンデーションがより好ましい。
【実施例0053】
以下に実施例及び比較例等を挙げて本技術を更に詳細に説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
表1に成分(A)の素材として製造例1~11、及び比較製造例1~8の微粒子酸化チタン粉体の評価項目とその評価結果を示す。なお、被覆微粒子酸化チタン粉体の形状・形態(大きさ、処理等)についても、表1に示す。
微粒子酸化チタン粉体の平均粒子径D50は、前述の透過型電子顕微鏡画像の画像解析法による平均粒子径D50の測定方法及びアスペクト比の測定方法によって測定した。処理量%はICP分析にて測定を行った。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
成分(A)製造例1~11の製造方法:(析出法「A」)
微粒子酸化チタンの強酸系チタニアゾルにケイ酸ソーダ水溶液を添加して、微粒子酸化チタンの表面に含水シリカを形成する。水酸化アルミニウム被覆の場合は水酸化アルミニウムを含む水溶液を加えて、その後、酸を加えて、水酸化アルミニウム化合物を一部析出させ、不完全な処理にし、乾燥粉砕した。当該含水シリカ及び/または水酸化アルミニウムの処理された被覆微粒子酸化チタン粉体の表面に、さらに鉄の水酸化物を処理させた。当該被覆微粒子酸化チタン粉体を、硫酸第二鉄液を含む水溶液を添加・撹拌し、90℃、2時間程度反応させた。得られた被覆粉体を水洗・中和し、乾燥させた。粉砕後、焼成温度750~900℃で2~3時間電気炉で焼成させた後、ふるいにかけ、無機表面処理剤で被覆した。その後、有機表面処理剤と、イソプロパノール60%を添加混合し、減圧乾燥させて、微粉砕し、成分(A)製造例1~11被覆微粒子酸化チタン粉体を得た。
【0057】
成分(A)比較製造例1の製造方法:(焼結法「B」)
前記含水シリカ(場合により、及び水酸化アルミニウム)の処理された被覆微粒子酸化チタン粉体の表面に、超微粒子酸化鉄FeOOH0.01×0.1μmを添加し、微粉砕して混合し、焼成温度750~900℃で2~3時間電気炉で焼成させた後、粉砕し、ふるいにかけ、無機表面処理剤で被覆した。その後、有機表面処理剤と、イソプロパノール60%を添加混合し、減圧乾燥させて、微粉砕し、成分(A)比較製造例1を得た。
【0058】
成分(A)比較製造例2:(製造方法:鉄ドーピング「C」)TTO-F-2(石原産業社製)のジメチコン5%処理品。
【0059】
成分(A)比較製造例3~8の製造方法:
成分(A)製造例1~11の製造方法に準じ、表1に示すように適宜処理層を変更し調製した。
【0060】
[評価方法:UVA紫外線遮断効果]
本発明に用いられる成分(A)の被覆微粒子酸化チタンのUVA紫外線遮断効果を以下の条件にて評価した。始めに、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー24%、成分(A)の複合粉体を酸化チタン純分換算40%、IPAで100%補正した溶液を、ペイントシェイカー、24時間の条件にて分散した。次いで、その分散物をドクターブレード(25μmの厚み)用いて、厚みが同じになる様に石英板上に塗膜を調製し、乾燥した塗布膜を、紫外可視分光光度計(UV-2600 SHIMAZU社製)にて、250~700nmの波長範囲における塗膜の透過率を測定した。図1に示すように、紫外線遮断効果の評価としては、320nm~400nmのUVA領域の透過率が100%の時の積算値に対する、成分(A)製造例、比較製造例の320nm~400nmの透過率を積算した値の割合を算出して評価した。
【0061】
〔評価基準〕:
◎:透過率積算値の割合が8%未満である。
○:透過率積算値の割合が8%以上~11%未満である。
△:透過率積算値の割合が11%以上~14%未満である。
×:透過率積算値の割合が14%以上である。
【0062】
[評価方法:分散性]
製造例1~11、比較製造例1~8の粉体0.5gを、成分(D)シリコンKF-96L-1.5CS(1.5mm/s)(信越化学工業社製)30mlに添加し、規格瓶に入れ、5分間超音波処理(BRANSONIC 1510J-DTH 42kHz)した分散物を作成し、再度手で30回振とう後、底面積1cm、高さ30cmの沈降管に移し入れ、直後、15分後、1日後の粉体分散状態を、着色分散層の高さで目視評価した。
〔判定基準〕:
◎: 1日後に着色分散層が95%以上
○: 15分後に着色分散層が95%以上
△: 15分後に着色分散層が95%以下
×: 直後から分散不良
【0063】
[評価方法:自然な肌色]
本発明に用いられる成分(A)の被覆微粒子酸化チタンの自然な肌色を以下の条件にて評価した。始めに、粉体をガラスセルに充填後、30回タッピングを行い、隙間がないことを確認後、分光色差計(SE-7700 日本電色工業社製)にて色値L*、C*、h値を測定した。以下に、評価基準を示す。
なお、図2に示すように、[評価方法:UVA紫外線遮断効果]と同様の塗膜を用いて、400-780nmの可視光波長の反射率も測定した。「(400-490nm(青)/400-780nm(可視光))透過率の比率%(青味の強さ)」が一定の水準であると自然な肌色が実現しやすく、30~45%を好ましく、32~43%がより好ましい自然な肌色の目安としたが、今回の色値による評価基準と対応するものであったため、簡易の色値評価を採用した。
【0064】
〔評価基準〕:
(評価結果):(評点)
L*値が80以上85未満 :3点
L*値が85以上90未満 :2点
L*値が75以上80未満、90以上95未満:1点
L*値が70未満、95以上 :0点

C*値が20以上23未満 :3点
C*値が17以上20未満、23以上27未満:2点
C*値が14以上17未満、27以上30未満:1点
C*値が14未満、30以上 :0点

h値が70以上75未満 :3点
h値が65以上70未満、75以上80未満:2点
h値が60以上65未満、80以上85未満:1点
h値が60未満、85以上 :0点

〔判定基準〕:L*値の評点+C*値の評点+h値の評点
(評点の平均点):(判定)
7点以上 :◎
6点 :○
4~5点 :△
3点以下 :×
【0065】
表1より、成分(A)製造例1~11の被覆微粒子酸化チタンは、UVA紫外線遮断効果、分散性、自然な肌色に優れるものであった。一方、焼結法(製法B)を用いて調製された比較製造例1は、(а-1)を均一に焼結することが難しいことから、過度に赤色が発色し、自然な肌色が得られず、(а-1)が均一に処理していないために、分散性が劣っていた。また、酸化鉄のドープ(製法C)を用いて調整された比較製造例2は、酸化鉄が赤黒くくすみ、自然な肌色が得られず、表面に(а-1)がないため分散性が悪かった。比較製造例3では(а-2)が処理されていないため、(а-1)が黄色く発色し、黄ぐすみのある仕上がりとなり、(а-3)もないため分散性にも劣るものであった。比較製造例4、5、6は、(а-1)が処理されていないことによる青白さがあり自然な肌色ではなく、UVA遮断効果の低下と負担感のない伸び広がりが低下し、分散性も低いものであった。比較製造例7は、過剰に処理されていることよる過度の赤の発色により、自然な肌色が得られなかった。比較製造例8は、(а-2)がないことによる分散性の低下がみられ、黄味によるため自然な肌色に劣る傾向があった。
【0066】
<実施例1~25及び比較例1~9:リキッドファンデーション>
表3、4に示す組成のリキッドファンデーションを下記の製造方法に従い調製した。併せて得られたリキッドファンデーションについて、下記の評価方法により、「負担感のない伸び広がり」、「自然な仕上がり」、「べたつきのない仕上がり」について評価を行った。
【0067】
【表3】
*1:水酸化アルミニウム2.5%、含水シリカ3%、酸化鉄1%処理した、MP-40(テイカ社製)
*4:タルクJA-13R(浅田製粉社製)
*5:KP-578P(信越化学工業社製)
*6:HS-6C(日清オイリオグループ社製)
*7:CETINOL SN-1(BASF社製)
*9:シリコンKF-96L-1.5CS(1.5mm/s)(信越化学工業社製)
*10:シリコン KF-96A(6CS)(5~7mm/s)(信越化学工業社製)
*11:シリコン KF56(信越化学工業社製)
*12:シリコン KF-6038(HLB3.0)(信越化学工業社製)
*13:BENTONE 38V BC(エレメンティス社製)
*16:UVINUL MC80(BASF社製)
*18:XS66-B8226(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)の固体分
【0068】
【表4】
*2:OTS-2 TiO2 MP-1133(大東化成社製)
*3:MZY-505M (テイカ社製)
*8:ハイマレート DIS (高級アルコール工業社製)
*14: SYNCROWAX HR-C-FL-(JP)(融点57℃~65℃)(クローダジャパン社製)
*15:シリコン KSG-15(信越化学工業社製)
*17:シリコン KP-545L(信越化学工業社製)(ジメチコン溶液)の固体分
【0069】
〔製造方法:表3、4〕(記載のない番号成分は含まれないものとする。)
(1):成分1~22を均一にローラー分散する。
(2):(1)に成分23~33を添加し、均一に分散後する。特に成分26~29は予め分散し、成分を均一に混合する。
(3):(2)に成分34~38を添加し、トリプルミキサーで乳化し、W/O乳化のリキッドファンデーションを得た。
【0070】
[評価:「負担感のない伸び広がり」、「自然な仕上がり」、「べたつきのない仕上がり」]
化粧品評価専門パネル20名に、実施例1~25及び比較例1~9のリキッドファンデーションを使用してもらい、「負担感のない伸び広がり」、「自然な仕上がり」、「べたつきのない仕上がり」について、各自が以下の基準に従って5段階評価し、パウダーファンデーション毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
〔評価基準〕:
(評価結果):(評点)
非常に良好:5点
良好 :4点
普通 :3点
やや不良 :2点
不良 :1点
判定基準: 「負担感のない伸び広がり」、「自然な仕上がり」、「べたつきのない仕上がり」
[評点の平均点] :[判定]
4.5以上 :AA
4.0以上~4.5未満:A
3.5以上~4.0未満:B
2.0以上~3.5未満:C
2.0未満 :D
【0071】
[評価:「紫外線遮断効果」]
実施例1~20及び比較例1~9のリキッドファンデーションを、各試料を、PMMA板に2mg/cm塗布後、20分静置したサンプルについて、SPFアナライザー(Labsphere社製 UV-2000S)を用いたSPF、PFA測定を行った。
4段階評価基準
(評価) :(判定)
SPF値=30以上 PFA値=8以上のいずれかを満たす :AA
SPF値=20以上30未満 PFA値=4以上8未満のいずれかを満たす :A
SPF値=10以上20未満 PFA値=2以上4未満のいずれかを満たす :B
SPF値=10未満 PFA値=2未満のいずれかを満たす :C
【0072】
表2の結果から明らかなように、本発明の実施品である実施例1~25のリキッドファンデーションは、「負担感のない伸び広がり」、「自然な仕上がり」、「べたつきのない仕上がり」、「紫外線遮断効果」の全ての項目に優れた乳化化粧料であった。
一方、表3の結果から明らかなように、成分(A)の代わりに比較製造例1~3、6~9を含有する比較1~7では、「自然な仕上がり」、「紫外線遮断効果」が低い結果であった。さらに、成分(B)を含有しない比較例8は、「自然な仕上がり」、「均一な隠ぺい感」、「紫外線遮断効果」に劣っていた。これらは、いずれも、皮丘に成分(A)が均一に塗布されず、成分(A)の隠蔽効果がなく、その化粧効果が低下したためと推察する。成分(C)を含有しない比較例9は、「負担感のない伸び広がり」、「均一な隠ぺい感」で劣っていた。これは、成分(C)が含有されないことで、成分(A)が均一に伸び広げられず、成分(A)の化粧効果が低下し、さらに成分(A)の粉感が顕著に表れたためと推察する。さらに、成分(E)を含有しない比較例10は、「均一な隠ぺい感」と「べたつきのない仕上がり」が劣っていた。これは皮膜形成効果のある成分(F)が含有されないことで、均一な膜が形成、維持されず、成分(A)の化粧効果が低下したことと推察する。
【0073】
実施例26:O/W乳化リキッドファンデーション
(成分) (%)
1.成分(A)製造例6 5.0
2.成分(E)酸化鉄2%被覆水酸化Al 2.5%被覆酸化チタン(平均粒子径400nm)
3.0
3.ステアロイルグルタミン酸2Na3%処理黄酸化鉄 1.5
4.ステアロイルグルタミン酸2Na3%処理ベンガラ 0.5
5.ステアロイルグルタミン酸2Na3%処理黒酸化鉄 0.2
6.タルク*19 残量
7.ポリヒドロキシステアリン酸*6 0.3
8.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)*20 0.3
9. セスキオレイン酸ソルビタン*21 0.3
10.レシチン*22 0.3
11.1,3-ブチレングリコール 10.0
12.ステアリン酸*23 1.5
13.ベヘニルアルコール*24 0.5
14.自己乳化型モノステアリン酸グリセリル*25 0.5
14.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル*26 5.0
15.パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル*16 5.0
16.メチルポリシロキサン*10 3.0
17. エタノール 3.0
18.フェノキシエタノール 0.3
19.精製水 50.0
20. (アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))
クロスポリマー*27 0.1
21. トリエタノールアミン 1.0
22. シロキクラゲ多糖体*28 0.01
23.成分(H)ジメチコン3%処理シリカ(平均粒子径8μm、吸油量80ml/100g)
1.5
*19:タルクJA-46R(浅田製粉社製)
*20:レオドールTW-O 120V(HLB15)(花王社製)
*21:レオドールAO-15V(HLB3.7)(花王社製)
*22:レシチン―CLO(J-オイルミルズ)
*23:ステアリン酸65(ミヨシ油脂社製)
*24:コノール 2265(新日本理化社製)
*25:ニッコール MGS-ASEV(HLB6.0)(日本サーファクタント社製)
*26:MYRITOL GTEH(BASF社製)
*27:CARBOPOL 1382(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS 社製)
*28:TREMOIST-TP(日本精化社製)
【0074】
(製造方法)
1:成分1~11を均一に分散する。
2:成分12~16を均一に混合溶解する。
3:(2)をトリプルミキサーにて攪拌しながら、成分17~23を添加し、均一分散する。
4:(3)に(1)を添加し、均一に分散し、O/W乳化のリキッドファンデーションを得た。
【0075】
(評価)
前記実施例26のO/W乳化リキッドファンデーションは、「負担感のない伸び広がり」、「自然な仕上がり」、「べたつきのない仕上がり」、「紫外線遮断効果」の全ての項目に優れたものであった。
【0076】
実施例27:W/O乳化下地化粧料
(成分) (%)
1.パルミチン酸デキストリン2%処理黄色酸化鉄 0.3
2.パルミチン酸デキストリン2%処理赤色酸化鉄 0.6
3.パルミチン酸デキストリン2%処理黒色酸化鉄 0.01
4.成分(A)製造例5 6.0
5.成分(E)酸化鉄3%被覆含水シリカ3%酸化チタン(平均粒子径270nm)
4.0
6.成分(E)酸化亜鉛*29 4.0
7.タルク*4 残量
8.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル*26 4.0
9.メチルポリシロキサン*10 2.0
10.(アクリレーツ/アクリル酸エチルへキシル/
メタクリル酸ジメチコン)コポリマー*5 0.5
11.メチルフェニルポリシロキサン*30 5.0
12.デカメチルシクロペンタシロキサン*9 15.0
13.PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン*31 3.0
14.ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシ
エチルジメチコン*12 1.5
15.パラメトキシケイ皮酸2-エチルへキシル*16 5.0
16.メドウフォーム油*32 3.0
17.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト*13 0.6
18.ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト*33 0.3
19.塩化ナトリウム 0.3
20.エタノール 5.0
21.1,3-ブチレングリコール 4.5
22.グリセリン 1.0
23.精製水 35.0
*29:六角板状酸化亜鉛 XZ-300F(粒径300nm)(堺化学工業社製)の酸化鉄2%被覆
*30:SH556 FLUID(東レ・ダウコーティング)
*31:シリコン KF-6028P(HLB4.0)(信越化学工業社製)
*32:CROPURE MEADOWFOAM-LQ-(JP)(クローダジャパン社製)
*33:BENTONE 27V(エレメンティス社製)
【0077】
(製造方法)
1.成分1~10均一に分散する。
2.Aに成分11~18を加え均一に混合する。
3:(2)をトリプルミキサーにて攪拌しながら、成分19~23を添加し、均一分散し、W/O乳化の下地を得た。
【0078】
(評価)
前記実施27のW/O乳化下地は、「「負担感のない伸び広がり」、「自然な仕上がり」、「べたつきのない仕上がり」、「紫外線遮断効果」の全ての項目に優れたものであった。
【0079】
実施例28:W/O乳化エアゾールファンデーション
(成分) (%)
1.成分(A)製造例6 5.0
2.成分(E)酸化鉄1%被覆含水シリカ3%被覆水酸化Al 2%被覆酸化チタン
(平均粒子径:1μm) 10.0
3.レシチン1%処理酸化チタン 10.0
4.ハイドロゲンジメチコン5%、トリイソステアリン酸イソプロピルチタン
3%処理酸化亜鉛*34 5.0
5.トリエトキシカプリリルシラン2%処理黄色酸化鉄 0.2
6.トリエトキシカプリリルシラン2%処理赤色酸化鉄 1.0
7.トリエトキシカプリリルシラン2%処理黒色酸化鉄 0.1
8.タルク*4 残量
9.2-エチルヘキサン酸セチル*7 5.0
10.メチルポリシロキサン*10 5.0
11.(アクリレーツ/アクリル酸エチルへキシル/
メタクリル酸ジメチコン)コポリマー*5 0.5
13.PEG-9ジメチコン*35 0.5
14.ステアリルジメチコン*36 3.0
15.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー*15 0.05
16.パラメトキシケイ皮酸2-エチルへキシル*16 5.0
17.(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー*17 0.05
18.塩化ナトリウム 0.3
19.エタノール 3.0
20.1,3-ブチレングリコール 5.0
21.精製水 40.0
22.液化石油ガス 適量
*34:IIT-3 SIRS-5 MZ-500(粒径25nm)(大東化成工業社製)
*35:KF-6019(HLB4.5)(信越化学工業社製)
*36:DC2503(DN)(融点38-43℃)(東レ・ダウコーニング社製)
【0080】
(製造方法)
(1):成分1~13を均一に分散する。
(2):(1)に成分14~17を添加し、均一に混合する。
(3):(2)をトリプルミキサーにて攪拌しながら、成分18~21を添加し、均一に分散する。
(4):(3)30%に成分22を70%添加して、スプレー缶に充填し、W/O乳化物を添加したエアゾールファンデーションを得た。
【0081】
(評価)
前記実施例28のW/O乳化のエアゾールファンデーションは、「負担感のない伸び広がり」、「自然な仕上がり」、「べたつきのない仕上がり」、「紫外線遮断効果」の全ての項目に優れたものであった。
【0082】
実施例29:油性固形のコンシーラー
(成分) (%)
1.トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル*37 残量
2.水添ポリイソブテン*38 2.0
3.(エチレン/プロピレン)コポリマー*39 4.0
4.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル*26 12.0
5.マイクロクリスタリンワックス 2.0
6.ポリヒドロキシステアリン酸*6
7.トリメチルシロキシケイ酸(固形分30%イソドデカン溶液)*41 5.0
8.パラフィン*40 5.0
9.ジカプリン酸プロピレングリコール*42 0.1
10.ミツロウ*43 0.5
11.成分(A)の製造例5 1.0
12.分(E)酸化鉄3%被覆含水シリカ3%酸化チタン(平均粒子径270nm)
15.0
13.水酸化アルミニウム含有酸化チタン*44 4.0
14.ラウリン酸亜鉛処理セリサイト*45 5.0
15.ジメチコン2%処理合成金雲母*46 0.3
16.架橋型シリコーン処理酢酸セルロース(平均粒子径8μm) 5.0
17.ジメチコン4%処理球状シリカ(平均粒子径30μm) 10.0
18.ジメチコン2%処理黒色酸化鉄 0.3
19.ジメチコン2%処理黄色酸化鉄 2.0
20.ジメチコン2%処理赤色酸化鉄 0.5
21.シリル化処理無水ケイ酸*47 0.3
22.ジプロピレングリコール 0.5
23.クロルフェネシン 0.03
*37:MファインオイルCCT-1(ミヨシ油脂社製)
*38:パールリーム18(分子量1000)(日油社製)
*39:EPSワックス(融点90~99℃)(日本ナチュラルプロダクツ社製)
*40:合成セレシン JNP-81(融点79-89℃)(日本ナチュラルプロダクツ社製)
*41:X-21-5589(信越化学工業社製)
*42:ニッコール PDD(日本サーファクタント工業社製)
*43:WHITE BEES WAX(融点60-67℃)(三木化学社製)
*44:TIPAQUE CR-50(粒径250nm)(石原産業社製)
*45:SS-ZL6(LQ-15)(粒径10μm)(東色ピグメント社製)
*46:SLM-15(トピー工業社製)
*47:AEROSIL R-976S(日本アエロジル)
【0083】
(製造方法)
A.成分(1)~(10)を均一に80~90℃にて溶解する。
B.Aに成分(11)~(23)を加え、均一に混合分散する。
C.Bを樹脂皿に90℃にて溶解充填する。
D.Cを室温に冷却固化しコンシーラーを得た。
【0084】
前記実施例29の油性固形のコンシーラーは、「「負担感のない伸び広がり」、「自然な仕上がり」、「べたつきのない仕上がり」、「紫外線遮断効果」の全ての項目に優れたものであった。
図1
図2