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特開2022-159135OCT装置、OCTデータ処理方法、プログラム、および記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159135
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】OCT装置、OCTデータ処理方法、プログラム、および記録媒体
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20221006BHJP
   A61B 3/12 20060101ALI20221006BHJP
   G16H 30/00 20180101ALI20221006BHJP
【FI】
A61B3/10 100
A61B3/12
G16H30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054616
(22)【出願日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2021/018022
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】WO
(31)【優先権主張番号】P 2021061791
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 寿成
(72)【発明者】
【氏名】藤生 賢士朗
(72)【発明者】
【氏名】柴 涼介
(72)【発明者】
【氏名】樋口 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】加納 徹哉
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 倫全
(72)【発明者】
【氏名】西山 潤平
(72)【発明者】
【氏名】中村 健二
【テーマコード(参考)】
4C316
5L099
【Fターム(参考)】
4C316AA09
4C316AB02
4C316FB05
4C316FB13
4C316FB16
4C316FB27
4C316FC14
4C316FC15
4C316FZ01
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】必要なOCTデータを保存し、不要なOCTデータを削減する。
【解決手段】OCT装置(1)は、測定動作に基づいて被検眼を撮影するOCT光学系(
20)と、OCTデータを取得するデータ取得部(11)と、非削減対象データ、または
削減対象データを決定する対象データ決定部(12)と、削減対象データのデータ量を削
減、または削除する削減処理部(13)と、非削減対象データおよび削減処理後データを
記憶部(30)に記憶させる記憶実行部(14)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定動作に基づいて被検者の被検眼を撮影するOCT光学系と、
前記測定動作に基づいて複数のOCTデータを取得するデータ取得部と、
前記複数のOCTデータのそれぞれについて、
非削減対象データとするか、または
前記非削減対象データとする場合と比較してデータ量が削減されるか、あるいは削除される削減対象データとするか、を決定する対象データ決定部と、
前記対象データ決定部が決定した前記削減対象データに対してデータ量を削減する処理または削除する処理を行う削減処理部と、
前記対象データ決定部が決定した前記非削減対象データ、および前記削減処理部がデータ量を削減した処理後の削減処理後データを記憶部に記憶させる記憶実行部と、を備えるOCT装置。
【請求項2】
前記データ取得部は、前記被検者の被検眼の予め定められたスキャン位置におけるOCTデータである所定OCTデータを取得し、
前記記憶実行部は、前記非削減対象データおよび前記削減処理後データに加え、前記所定OCTデータを前記記憶部に記憶する、請求項1に記載のOCT装置。
【請求項3】
前記複数のOCTデータは、前記測定動作を伴う検査毎に取得され、
前記対象データ決定部は、前記検査で取得された前記複数のOCTデータのそれぞれについて、
非削減対象データとするか、または、
削減対象データとするか、を決定する請求項1または2に記載のOCT装置。
【請求項4】
前記OCTデータを含むレポートを生成するためのテンプレートが予め複数準備されており、
前記対象データ決定部は、前記テンプレートのうち、前記被検者に割り当てられたテンプレートに基づいて、前記複数のOCTデータのそれぞれについて、
前記非削減対象データとするか、または
前記削減対象データとするか、
を決定する、請求項1から3のいずれか1項に記載のOCT装置。
【請求項5】
表示部に、前記テンプレートを選択させるための提示画面を表示させる提示画面表示部と、
前記被検者に割り当てる前記テンプレートの選択を受け付ける選択受付部と、を備え、
前記対象データ決定部は、前記提示画面において選択された前記テンプレートに基づいて、前記複数のOCTデータのそれぞれについて、
前記非削減対象データとするか、または
前記削減対象データとするか、
を決定する、請求項4に記載のOCT装置。
【請求項6】
前記レポートが、前記OCTデータの解析結果を含む場合、前記記憶実行部は、前記OCTデータに基づく解析結果を、前記非削減対象データに対応付けて前記記憶部に記憶させる、請求項5に記載のOCT装置。
【請求項7】
前記レポートのテンプレートは、前記OCTデータに基づく画像を合成するものであり、
黄斑部を中心とした網膜断層面を眼球に対して水平方向にスキャンされた複数のライン、および眼球に対して垂直方向にスキャンされた複数ラインを示す画像、
黄斑部を中心としたOCTデータの3次元表示、および黄斑部の厚みを示すマップ、
網膜表層と網膜全層の厚みを示すマップ、
乳頭付近の所定の測定範囲の厚みを示すマップ、および乳頭中心をサークルスキャンした場合のスキャンライン毎の厚み分布を示す画像、ならびに、
黄斑部における各層の眼球正面から見た正面画像、および網膜断層面における基準となるラインの2次元断層画像、
のうち少なくとも1つを含むものである、請求項4~6のいずれか1項に記載のOCT装置。
【請求項8】
前記レポートを外部装置に送信し、該外部装置からの信号を受信するための通信部をさらに備え、
前記対象データ決定部は、前記記憶部に記憶された前記OCTデータのうち、前記外部装置に送信済のレポートに含まれるOCTデータについて、
削減対象データの候補とすることを示すフラグを付す請求項4~7のいずれか1項に記載のOCT装置。
【請求項9】
前記外部装置は、前記記憶部に記憶された前記OCTデータにアクセス可能であり、
前記対象データ決定部は、前記フラグが付されたOCTデータのうち、前記外部装置に前記レポートを送信してから所定時間内に、前記外部装置からのアクセスが無かったOCTデータを削減対象データとする請求項8に記載のOCT装置。
【請求項10】
前記対象データ決定部は、前記外部装置からの所定の信号を、前記通信部が受信した場合に、前記フラグが付されたOCTデータを削減対象データとする請求項8または9に記載のOCT装置。
【請求項11】
前記所定の信号は、前記外部装置が、前記レポートを受信したことを示す応答信号である、請求項10に記載のOCT装置。
【請求項12】
前記所定の信号は、前記外部装置において、前記OCT装置から受信した前記レポートが開かれたことを示す信号である、請求項10に記載のOCT装置。
【請求項13】
前記対象データ決定部は、前記フラグが付されたOCTデータの被検者と同じ被検者のn+m回目(m≧1)の検査において取得されたOCTデータを含むレポートを前記外部装置に送信した場合に、前記フラグが付されたOCTデータのうち、n回目までの前記検査のOCTデータを削減対象データとする請求項8~12のいずれか1項に記載のOCT装置。
【請求項14】
表示部に、前記OCTデータを、前記非削減対象データと前記削減対象データとの少なくとも何れにするかを選択させるための提示画面を提示させる提示画面表示部と、
前記非削減対象データと、前記削減対象データとの選択を受け付ける選択受付部と、を備え、
前記対象データ決定部は、前記選択受付部が受け付けた結果に基づいて、前記複数のOCTデータのそれぞれについて、
前記非削減対象データとするか、または
前記削減対象データとするか、
を決定する、請求項1~13のいずれか1項に記載のOCT装置。
【請求項15】
表示部に、前記対象データ決定部が決定した前記削減対象データの適否を選択させるための提示画面を提示させる提示画面表示部と、
前記適否の選択を受け付ける選択受付部と、を備え、
前記提示画面には、領域が選択されることにより再度の撮影を行う再撮影受付領域が設けられている、
請求項1~14のいずれか1項に記載のOCT装置。
【請求項16】
前記OCT光学系により撮影された被検眼における異常箇所の入力を受け付ける入力受付部を備え、
前記対象データ決定部は、前記入力受付部で受け付けた前記異常箇所に応じて、前記複数のOCTデータのそれぞれについて、
前記非削減対象データとするか、または
前記削減対象データとするか、
を決定する、請求項1~15のいずれか1項に記載のOCT装置。
【請求項17】
前記被検眼に関する症状の入力を受け付ける入力受付部を備え、
前記対象データ決定部は、前記入力受付部で受け付けた前記症状に応じて、前記複数のOCTデータのそれぞれについて、
前記非削減対象データとするか、または
前記削減対象データとするか、
を決定する、請求項1~16のいずれか1項に記載のOCT装置。
【請求項18】
前記データ取得部が取得した前記OCTデータを解析し、前記被検眼における異常箇所を検出する解析部を備え、
前記対象データ決定部は、前記解析部が検出した前記異常箇所に応じて、前記複数のOCTデータのそれぞれについて、
前記非削減対象データとするか、または
前記削減対象データとするか、
を決定する、請求項1~17のいずれか1項に記載のOCT装置。
【請求項19】
前記データ取得部が取得する前記OCTデータは、前記OCT光学系の光軸に交差する方向に広がる2次元の情報を示す2次元OCTデータ、および前記光軸に交差する方向および前記光軸の方向に広がる3次元の情報を示す3次元OCTデータのうち少なくとも1つである、請求項1~18のいずれか1項に記載のOCT装置。
【請求項20】
前記データ取得部で取得した前記複数のOCTデータが、過去に測定された履歴を有する被検者のものである場合、前記対象データ決定部は、前記被検者の前記履歴に基づいて、前記複数のOCTデータのそれぞれについて、
前記非削減対象データとするか、または
前記削減対象データとするか、
を決定する、請求項1~19のいずれか1項に記載のOCT装置。
【請求項21】
前記OCTデータは、被検眼の黄斑部、視神経乳頭部、および網膜血管の少なくとも1つの情報を含むことを特徴とする、請求項1~20のいずれか1項に記載のOCT装置。
【請求項22】
測定動作に基づいて被検者の被検眼を撮影する撮影ステップと、
前記測定動作に基づいて複数のOCTデータを取得するデータ取得ステップと、
前記複数のOCTデータのそれぞれについて、
非削減対象データとするか、または
前記非削減対象データとする場合と比較してデータ量が削減されるか、あるいは削除される削減対象データとするか、
を決定する対象データ決定ステップと、
前記対象データ決定ステップにおいて決定された削減対象データの適否を選択させる対象データ確認ステップと、
前記対象データ決定ステップで決定された前記削減対象データに対して削除する処理、またはデータ量を削減する処理を行う削減処理ステップと、
前記対象データ決定ステップにおいて決定された前記非削減対象データ、および前記削減処理ステップにおいてデータ量を削減した処理後の削減処理後データを記憶させる記憶実行ステップと、を含む、OCTデータ処理方法。
【請求項23】
請求項1~21のいずれか1項に記載のOCT装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、コンピュータを機能させるためのプログラムであって、コンピュータを前記対象データ決定部、前記削減処理部、および前記記憶実行部として機能させるためのプログラム。
【請求項24】
請求項23に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はOCT装置、OCTデータ処理方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定光の反射光と参照光とによって被検体の網膜のOCTデータ(例えば断層画像等)を取得するOCT装置が知られている。OCT装置は、より深く高分解に撮影できるように進化し続けている。
【0003】
特許文献1には、3次元OCTデータを取得した後に、どのスキャンラインと対応するデータを抽出するかを決定し、決定したスキャンラインに応じた2次元断層画像を3次元OCTデータから抽出して画面に表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特開2019-150532号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
年々、OCTスキャンデータの容量は大きくなり、記憶部に格納するデータサイズが膨大になってきている。本発明の一態様は、必要なOCTデータを保存し、不要なOCTデータを削減するOCT装置等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るOCT装置は、測定動作に基づいて被検者の被検眼を撮影するOCT光学系と、前記測定動作に基づいて複数のOCTデータを取得するデータ取得部と、前記複数のOCTデータのそれぞれについて、非削減対象データとするか、または前記非削減対象データとする場合と比較してデータ量が削減されるか、あるいは削除される削減対象データとするか、を決定する対象データ決定部と、前記対象データ決定部が決定した前記削減対象データに対してデータ量を削減する処理または削除する処理を行う削減処理部と、前記対象データ決定部が決定した前記非削減対象データ、および前記削減対象データを前記削減処理部がデータ量を削減した処理後の削減処理後データを記憶部に記憶させる記憶実行部と、を備えるOCT装置。
【0007】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るOCTデータ処理方法は、測定動作に基づいて被検者の被検眼を撮影する撮影ステップと、前記測定動作に基づいて複数のOCTデータを取得するデータ取得ステップと、前記複数のOCTデータのそれぞれについて、非削減対象データとするか、または前記非削減対象データとする場合と比較してデータ量が削減されるか、あるいは削除される削減対象データとするか、を決定する対象データ決定ステップと、前記対象データ決定ステップにおいて決定された削減対象データの適否を選択させる対象データ確認ステップと、前記対象データ決定ステップで決定された前記削減対象データに対して削除する処理またはデータ量を削減する処理を行う削減処理ステップと、前記対象データ決定ステップにおいて決定された前記非削減対象データ、および前記削減処理ステップにおいてデータ量を削減した処理後の削減処理後データを記憶させる記憶実行ステップと、を含む。
【0008】
本発明の各態様に係るOCT装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記OCT装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記OCT装置をコンピュータにて実現させるOCT装置のプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、必要なOCTデータを保存し、不要なOCTデータを削減するOCT装置等を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係るOCT装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
図2】提示部に提示される提示画面の一例を示す図である。
図3】提示部に提示される提示画面の一例を示す図である。
図4】提示部に提示される提示画面の一例を示す図である。
図5】レポートの種類の例を示す図である。
図6】提示部に提示される提示画面の一例を示す図である。
図7】提示部に提示される提示画面の一例を示す図である。
図8】本発明の実施形態1に係るOCT装置が行う処理の流れを示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態2に係るOCT装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
図10】本発明の実施形態3に係るOCT装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0012】
(OCT装置1の構成)
OCT装置1の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態1に係るOCT装置の1の要部構成の一例を示すブロック図である。
【0013】
OCT装置1は、OCT光学系20、制御部10、記憶部30、および表示部40を備える。OCT装置1は、操作部50、およびレポート作成部70を備えてもよい。
【0014】
<OCT光学系20>
OCT光学系20は、予め設定された測定動作に基づいて被検者の被検眼を撮影するための光学装置である。OCT光学系20は、特に限定されないが、一例として、OCT光源、分岐光学素子、照射光学系、合波光学素子、および受光素子を備える。
【0015】
予め設定された測定動作とは、例えば、OCT光学系20に被検眼をどのようなパターンでスキャンさせるか、被検眼のどの位置をスキャンさせるか、などの情報である。また、測定動作には、撮影後、後述するデータ取得部11にどのスキャンパターンのデータを送信するか、被検眼のどの部位のデータを送信するか、などの情報が含まれてもよい。
【0016】
<記憶部30>
記憶部30は、例えば、後述する非削減対象データおよび削減処理後データが記憶される。また、記憶部30には、OCTデータを合成するための複数のテンプレートが保存されていてもよい。記憶部30には、テンプレートに利用される正常眼のデータベースが保存されていてもよい。また、記憶部30には、OCTデータが所定のテンプレートに合成されたレポートが保存されていてもよい。
【0017】
ここで、非削減対象データとは、OCTデータからデータ量が削減されないデータであってもよいし、後述するように、削減対象データに対して行われる処理によって削減されるデータ量よりも少ないデータ量が削減される処理が施されるデータであってもよい。
【0018】
また、非削減対象データおよび削減処理後データが保存される場所は、図1に示されるようなOCT装置1に内蔵の記憶部だけでなく、外部ストレージ(施設内のストレージサーバー等)でもよいし、クラウドストレージでもよい。また、非削減対象データおよび削減処理後データが保存される場所は複数あってもよく、複数のストレージに対して選択的にデータを保存可能である場合、どのストレージに保存するかによって、非削減対象データと削減対象データとの設定が変更されてもよい。
【0019】
<表示部40>
表示部40は、例えば、後述する提示画面表示部18によって指定される提示画面を提示する。表示部40は、一例として、OCT装置1のディスプレイであってもよい。
【0020】
<操作部50>
操作部50は、例えば、入力者の操作を受け付ける。操作部50は、例えば、タッチパネル、コントローラ、ボタン、キーボードなどであってもよい。操作部50は、受け付けた操作に対応する信号を、例えば、後述する選択受付部15、入力受付部16などに出力してもよい。
【0021】
<レポート作成部70>
レポート作成部70は、OCTデータを後述のテンプレートに合成することによりレポートを作成する。この場合、レポート作成部70は、次の(i)~(iv)の何れかのタイミングにおいてレポートを作成してもよい。(i)選択受付部15によってレポートのテンプレートが選択された後であって、対象データ決定部12が非削減対象データ、または削減対象データを決定する前。(ii)選択受付部15によってレポートのテンプレートが選択され、対象データ決定部12が非削減対象データ、または削減対象データを決定した後。(iii)削減処理部13が削減処理を行った後。(iv)記憶実行部14が削減対象データまたは非削減対象データを記憶部30に記憶した後。
【0022】
<制御部10>
制御部10は、OCT光学系20からOCTデータを取得する。制御部10は、データ取得部11、対象データ決定部12、削減処理部13、記憶実行部14、選択受付部15、入力受付部16、および提示画面表示部18を備える。
【0023】
[データ取得部11]
データ取得部11は、予め設定された測定動作に基づいて複数のOCTデータを取得する。取得された複数のOCTデータは、複数の2次元OCTデータであってもよいし、複数の2次元のOCTデータを含む、3次元OCTデータであってもよい。ここで、2次元OCTデータとは、OCT光学系20の光軸(図示せず)に交差する方向に広がる2次元の情報を示すOCTデータである。また、3次元OCTデータとは、光軸に交差する方向および光軸の方向に広がる3次元の情報を示すデータである。また、OCTデータは、解析処理後のデータを含んでもよい。
【0024】
OCTデータは、被検眼の黄斑部、視神経乳頭部、および網膜血管の少なくとも1つを含む情報であってよい。OCTデータが画像データである場合には、被検眼の黄斑部、視神経乳頭部、および網膜血管の少なくとも1つが写っていてもよい。
【0025】
また、OCTデータは、眼底の他に、角膜、隅角、強膜、鋸状縁などの眼の部位の少なくとも1つが写っていてもよい。
【0026】
複数のOCTデータは、1回の検査毎に取得されるものであってよい。OCT装置1において、眼の状態を解析するために複数枚のOCTデータを要するためである。対象データ決定部12は、1回の検査で取得された複数のOCTデータのそれぞれについて非削減対象データとするか、または削減対象データとするかを決定してもよい。
【0027】
1回の検査は、同一被検者に対して行われる片眼の検査のみが含まれていてもよいし、両眼に対する検査が含まれていてもよい。また、1回の検査は、同一検査日に取得される同一被検者に対して行われる検査でありうる。
【0028】
[対象データ決定部12]
対象データ決定部12は、取得されたOCTデータを、データ量を削減することなく保存される対象となる非削減対象データとするかを決定する。また、対象データ決定部12は、非削減対象データとする場合と比較してデータ量が削減される削減対象データとするか、または削除される対象となる削除対象データとするかを決定する。対象データ決定部12は、取得されたOCTデータを、データ量を削減することなく保存される対象となる非削減対象データとするか、非削減対象データとする場合と比較してデータ量が削減される削減対象データとするか、を決定してもよい。また、対象データ決定部12は、取得されたOCTデータを、非削減対象データとするか、削除される対象となる削除対象データとするかを決定してもよい。更にまた、対象データ決定部12は、取得されたOCTデータを、非削減対象データとするか、削減対象データとするか、または、削除対象データとするかを決定してもよい。なお、削減対象データおよび削除対象データをまとめて削減対象データとも呼ぶ。非削減対象データ、削減対象データ、および削除対象データの決定は、例えば、測定動作毎、または前記被検者毎に行われてもよい。測定動作毎に決定されるとは、例えば、OCT光学系20によって1回の測定動作が行われる毎に、OCTデータが、非削減対象データ、削減対象データ、または削除対象データとして決定されることをいう。対象データ決定部12の対象データ決定方法については後述する。また、測定動作とは、例えば、OCT光学系20が被検眼を撮影することである。測定動作は、予め定められたスキャンパターンに基づいて、行われればよい。1回の測定動作には、複数のスキャンパターンが含まれてもよい。
【0029】
対象データ決定部12は、測定動作毎、または被検者毎について非削減対象データ、削減対象データ、または削除対象データを決定する。これにより、保存するデータ、および保存しないデータを一律に決定する場合と比較して、測定動作毎、および被検者毎に対応が可能となる。これによれば、必要なOCTデータであるにも関わらず保存していない、不要なOCTデータであるにも関わらず保存している、ということを低減できる。
【0030】
[削減処理部13]
削減処理部13は、対象データ決定部12が決定した削除対象データに対して削除する処理を行う。ここで、削除する処理とは、非可逆的な削除である。
【0031】
また、削減処理部13は、対象データ決定部12が決定した削減対象データに対してデータ量を削減する処理を行う。データ量を削減する処理とは、例えば、OCTデータを圧縮(可逆・非可逆)する処理、OCTデータの解像度を低下させる処理、所定のパターンのOCTデータを削除する処理、所定の部位のOCTデータを削除する処理、などが挙げられる。OCTデータを圧縮(可逆・非可逆)する処理は、例えば、解析に必要な特徴のみを残して他を削除する処理であってもよい。具体的には、2次元断層画像において、被検眼の特徴を示す層に対応するラインのみを残し、その他のラインを削除する処理であってもよい。なお、ラインは解析処理(セグメンテーション処理)の結果である。OCTデータの解像度を低下させる処理は、例えば、直接的には診断に用いないがサムネイルとしてOCTデータを残しておきたい場合に行われてもよい。また、所定のパターンのOCTデータを削除する処理は、例えば、撮影前に予め複数回の撮影を含む測定動作が選択されていた場合、撮影後に不要と判断された撮影に基づくOCTデータを削除する処理であってもよい。所定の部位のOCTデータを削除する処理は、例えば、正面画像においては所定の領域以外の領域を削除する処理であってもよい。具体的には、後述する異常箇所以外の領域を削除する処理であってもよい。
【0032】
[記憶実行部14]
記憶実行部14は、対象データ決定部12が決定した非削減対象データ、および削減処理部13が処理した後の削減処理後データを記憶部30に記憶させる。
【0033】
また、記憶実行部14は、測定動作毎、および被検者毎のうち少なくとも一方毎に非削減対象データおよび削減処理後データを保存するのに加えて、被検者の被検眼のうち予め定められたスキャン位置におけるOCTデータ(所定OCTデータ)を記憶部30に記憶させてもよい。予め定められたスキャン位置は、被検眼におけるスキャン位置を示す座標であってもよく、被検眼における特定の部位であってもよい。これによれば、設定された測定動作、被検者によらずに、予め定められたスキャン位置におけるOCTデータを記憶部30に記憶することができる。
【0034】
[提示画面表示部18]
提示画面表示部18は、表示部40に、撮影前に、予め測定動作を選択させるための提示画面を提示させてもよい。図2は、表示部40が提示するスキャンパターンを選択させるための提示画面41の一例を示す。図2に示すように、提示画面41には、一例として、被検眼表示欄410、スキャンパターン選択欄414、および位置選択欄415が提示される。被検眼表示欄410には、OCT光学系20によって撮影されているリアルタイムの被検眼の所定部位が示され、一例として、2次元正面画像411と、2次元断層画像413A、413Bとが示される。また、一例として、2次元断層画像413Aは、ライン412Aに交差する断面における2次元断層画像であり、2次元断層画像413Bは、ライン412Bに交差する断面における2次元断層画像である。スキャンパターン選択欄414は、OCT光学系20に撮影させるためのスキャンパターンの選択肢を示している。位置選択欄415は、OCT光学系20に撮影させるための被検眼における位置の選択肢を示している。
【0035】
また、提示画面表示部18は、表示部40に、OCTデータを、非削減対象データ、削減対象データ、または削除対象データとするかを選択させるための提示画面を提示させてもよい。図3は、表示部40が提示するOCTデータと、削除対象データを選択させるための提示画面42の一例を示す。図3に示すように、提示画面42には、一例として、被検者IDを表示する識別情報欄420、テキストを表示するテキスト表示欄421、および非削減対象データを選択させるためのOCTデータ選択欄422が提示される。テキスト表示欄421には、一例として「削除するデータを選択してください。」のように、データを選択させるためのメッセージが提示されてもよい。OCTデータ選択欄422には、所定の画像種別で示された複数のOCTデータが示されてもよい。所定の画像種別とは、例えば、B-scan画像、3D-scan画像、En-face画像、およびOCT-Angiography画像の形式である。B-scan画像とは2次元断層画像、3D-scan画像とは複数の2次元断層画像からなる3次元眼底像、En-face画像とは複数の2次元断層画像を平面で再構成した正面画像、OCT-Angiography画像とは、眼部の血流が描出された画像である。また、所定の画像種別には、OCTデータを解析した結果である解析結果が含まれていてもよい。解析結果とは、例えば、2次元断層画像から厚みを算出して生成された厚みマップ、所定のスキャンに基づくスキャンラインに基づく部位の厚みを算出して生成された厚み分布を示す画像などである。また、OCTデータ選択欄422と共に、被検眼の対象部位およびスキャンパターンを示す眼底正面画像が提示されてもよい。眼底正面画像としては、例えば、SLO(共焦点走査型レーザー検眼鏡)画像、眼底カメラ画像、En-face画像などが挙げられる。
【0036】
図3では、削除対象データのみを選択する形態を示したが、例えば、削除対象データを選択した後に、削減対象データ、または非削減対象データを選択させるための提示画面が提示されてもよい。例えば、非削減対象データを選択させる場合は、テキスト表示欄421には、一例として「保存するデータを選択してください。」のように、データを選択させるためのメッセージが提示されてもよい。また、削減対象データを選択させる場合は、具体的な削減方法について選択させるためのメッセージが提示されてもよい。
【0037】
また、提示画面42には、選択されることにより再度の撮影を行う再撮影受付領域423が表示されていてもよい。例えば、撮影に失敗したときなどに、再撮影受付領域423が選択された場合は、OCTデータ選択欄422に表示されているOCTデータは削除されてもよい。
【0038】
また、提示画面表示部18は、表示部40に、対象データ決定部12で決定された削減対象データ、または削除対象データの適否を選択させるための提示画面を提示させてもよい。図4は、表示部40が提示する、削減対象データ、または削除対象データの適否を選択させるための提示画面45の一例である。提示画面45には、図3で示した提示画面42において、削除対象データの適否を選択させるためのポップアップ454が表示されている。例えば、B-scan画像が削除対象データとして選択された場合、「B-scan画像を削除してもよいですか?」というメッセージのポップアップ454を表示して、該画像の削除対象データとしての適否を選択させる。ポップアップ454内の「はい」が選択され、削除対象データとして適であることを選択受付部15が受け付けた場合は、削減処理部13によって削除処理が行われる。ポップアップ454内の「いいえ」が選択され、削除対象データして否であることを選択受付部15が受け付けた場合は、対象データを選択させるための提示画面が提示されてもよい。具体的には、提示画面表示部18は、再度、表示部40に、OCTデータを、非削減対象データ、削減対象データ、または削除対象データとするかを選択させるための提示画面を提示させてもよい。
【0039】
また、対象データ決定部12で決定された削減対象データ、または削除対象データの適否を選択させるための提示画面はこれに限定されない。例えば、それぞれにチェックボックスを備えたOCTデータが一覧表示され、チェックされたデータは非削除対象データ、非チェックのデータは削除対象データとし、削除対象データの確認をさせる表示であってもよい。
【0040】
また、提示画面表示部18は、複数のテンプレートを選択させるための提示画面を提示させてもよい。ここで、テンプレートとは、被検眼の情報がブランク(未記入、未配置)なレポートであり、例えば、上述した所定の画像種別のOCTデータ、解析結果、被検者、被検者の識別情報、所見などを所定の位置に合成するためのレポートであってもよい。また、テンプレートは、レポートのひな形、見本であってもよく、OCTデータが合成されたテンプレートは、レポートとして記憶部30に記憶されてもよい。複数のテンプレートは、被検者、または被検眼に応じて選択されてもよい。テンプレートには、OCTデータ、解析結果などが配置される領域の数および配置と、各領域に対応するOCTデータ、解析結果などの種別とが予め紐づけられており、この紐づけを使ってレポートが生成されてもよい。また、疾患種別、および疾患部位ごとに複数のテンプレートが用意されてもよい。
【0041】
被検者の診断に用いられるOCTデータを含むレポートを生成するためのテンプレートは、予め複数準備されていてもよい。また、これらのテンプレートのうち、被検者に割り当てられたテンプレートに基づいて、対象データ決定部12は複数のOCTデータを、非削減対象データとするか、削減対象データとするか、または削除される対象となる削除対象データとするか決定してもよい。具体的には、各テンプレートに合成されるOCTデータの画像種別は決まっており、所定のテンプレートが選択されると、対象データ決定部12は、該テンプレートに合成するためのOCTデータを決定する。このとき、対象データ決定部12は、テンプレートに合成されるOCTデータを、データ量を削減することなく保存される保存対象(非削減対象データ)として決定してもよい。また、対象データ決定部12は、テンプレートに合成できる形式に変換するために、OCTデータを削減対象データとして決定してもよい。また、対象データ決定部12は、テンプレートの合成にしようしないOCTデータを削除対象データとして決定してもよい。これによれば、レポートに必要なOCTデータを保存することができ、不要なOCTデータを削減することができる。
【0042】
テンプレートの種類としては、特に限定されないが、例えば、以下の(a)~(f)が挙げられる。(a)~(f)のいずれかのテンプレートが選択された場合、対象データ決定部12は、OCTデータを各種テンプレートに合成するための画像種別に変換する。図5には、(a)~(f)のテンプレートに所定のOCTデータを合成した場合のレポートの例を示す。図5を用いて、(a)~(f)のテンプレート、および該テンプレートに合成するためのOCTデータの形式の例について説明する。
【0043】
(a)黄斑マルチ
黄斑マルチは、例えば、黄斑部を中心とした網膜断層面を眼球に対して水平方向にスキャンされた複数のライン、および眼球に対して垂直方向にスキャンされた複数ラインを示す2次元断層画像101を合成するためのテンプレートである。所定数のラインは、特に限定されないが、例えば、縦5ライン、横5ラインであってもよい。また、黄斑マルチのテンプレートには、一例として、別の光学系で撮影した眼底の正面画像102が共に表示されてもよい。
【0044】
(b)黄斑マップ(3D)
黄斑マップ(3D)は、例えば、黄斑を中心としたOCTデータの3次元表示である3次元眼底像104と、黄斑部の厚み毎に色分けを施した厚みを示す厚みマップ103とを合成するためのテンプレートである。
【0045】
(c)黄斑マップ(緑内障)
黄斑マップ(緑内障)は、緑内障の診断に必要な情報を合成するためのテンプレートである。例えば、網膜の所定の層における厚みを示す厚みマップ105を合成するためのテンプレートである。網膜の所定の層とは、例えば、網膜表層、網膜全層であってもよい。また、黄斑マップ(緑内障)は、厚みマップを解析した結果を示す解析チャート106を合成させるものであってもよい。解析チャートは、厚みマップに基づいて、黄斑付近の平均厚みをセクター毎に解析したチャート、正常眼データベースとの比較をカラースケールで表示するチャートなどであってもよい。
【0046】
(d)乳頭マップ
乳頭マップは、例えば、乳頭付近の所定の測定範囲の厚みを示す厚みマップ107と、乳頭中心をサークルスキャンした場合のスキャンライン毎の厚み分布を示す画像108とを合成させるためのテンプレートである。
【0047】
(e)黄斑マップ(En-face)
黄斑マップ(En-face)とは、例えば、黄斑部における各層の眼球正面から見た正面画像(En-face)画像111と、網膜断層面における基準となる2次元断層画像110とを合成させるためのテンプレートである。また、黄斑マップ(En-face)は、正面画像111に対応する範囲の黄斑部の厚みを示す厚みマップ109を合成させるものであってもよい。
【0048】
(f)黄斑マップ(OCT-Angiography)
黄斑マップ(OCT-Angiography)とは、例えば、(e)黄斑マップ(En-face)に加え、網膜表層と網膜深層との各層の正面画像(En-face)画像111が、各層のOCT-Angiographyによる正面画像に置き換えられる、テンプレートであってもよい。
【0049】
テンプレートとしては、(a)~(f)以外に、構造異常度マップを合成するためのテンプレートが含まれていてもよい。構造異常度マップは、組織における乖離度の二次元分布を示すマップである。例えば、機械学習アルゴリズムによって訓練された数学モデルに眼科画像(OCTデータ)を入力することで、眼科画像中の組織を識別するための確率分布が取得される。乖離度は、組織が正確に識別される場合の確率分布に対する、取得された確率分布の乖離度であり、組織の構造の異常度を示す構造情報である。乖離度が高い程、組織の構造に異常が認められる可能性が高い。二次元分布を示す方向は特に限定されないが、一例として、構造異常度マップでは、組織(例えば、眼底)を正面から見た場合の、解離度の二次元分布であってよい。
【0050】
なお、テンプレートは、医療関係者が診断に利用したり、見返したりする用途以外に、学会で発表したり、第三者に提示したりするためのレポートを作成するためのテンプレートであってもよい。例えば、テンプレートは、プレゼンテーション用の資料作成に応じたテンプレートであってもよい。
【0051】
[選択受付部15]
選択受付部15は、操作部50の操作に基づいて、非削減対象データと、削減対象データとの選択を受け付けてもよい。[提示画面表示部18]での説明に用いた図3を再度用いて説明する。選択受付部15は、例えば、図3の提示画面42のOCTデータ選択欄422のいずれかのOCTデータが削減対象データとして選択されたことを受け付ける。選択は、例えばタッチパネル、コントローラなどの操作部50の操作によってされてもよい。図3では、削除対象データのみを選択する形態を示したが、例えば、削除対象データを選択した後に、削減対象データ、または非削減対象データを選択させるための提示画面が提示されてもよい。選択受付部15は、該提示画面においていずれかのOCTデータが削除対象データとして選択されたことを受付けてもよい。
【0052】
選択受付部15が受け付けた選択に基づき、対象データ決定部12は、OCTデータを、非削減対象データとして、または削減対象データとして決定してもよい。これによれば、提示画面42において選択されたOCTデータに基づいて、必要なOCTデータを保存することができ、不要なOCTデータを削減することができる。
【0053】
選択受付部15は、操作部50の操作に基づいて、被検者に割り当てるテンプレートの選択を受け付けてもよい。図6は、表示部40が提示するテンプレートを選択させるための提示画面43の一例を示す。図6に示すように、提示画面43には、一例として、被検者IDを表示する識別情報欄430、テキストを表示するテキスト表示欄431、およびテンプレートを選択させるためのテンプレート選択欄432が提示される。選択受付部15は、例えば、テンプレート選択欄432の選択肢であるいずれかのテンプレートが選択されたことを受け付ける。選択は、例えばタッチパネル、コントローラなどの操作部50の操作によってされてもよい。選択受付部15が受け付けたテンプレートに基づき、対象データ決定部12は、OCTデータを、非削減対象データとして、または削減対象データとして決定してもよい。これによれば、提示画面43において選択されたOCTデータに基づいて、必要なOCTデータを保存することができ、不要なOCTデータを削減することができる。
【0054】
上記では、テンプレートが、OCTデータ取得後に選択される形態を記載したが、テンプレートは、OCTデータ取得前に選択されてもよい。この場合、OCT光学系20は、選択されたテンプレートに応じた測定動作に基づいて撮影を行ってもよい。
【0055】
[入力受付部16]
入力受付部16は、OCT光学系により撮影された被検眼における異常箇所の入力を受け付けてもよい。異常箇所とは、入力者によって任意に判断され入力される箇所であり、特に限定されないが、例えば、黄斑部、黄斑の周辺、視神経、血管などである。また、異常箇所とは、周辺と比べて輝度が異なる局所部位であってもよく、例えば、黄斑部および乳頭から離れた局所部位であってもよい。また、異常箇所の異常の判断基準も入力者によってされてよいが、例えば、各部の層厚の異常値、OCT-Angiographyに基づく網膜表層の血管密度の低さ、血管の虚血、血管の瘤、新生血管の有無、無血管領域(FAZ)の大きさなどから異常と判断されてもよい。
【0056】
図7は、表示部40が提示する被検眼における異常箇所および症状の入力を受け付けるための提示画面44の一例を示す。図7に示すように、提示画面44には、一例として、被検者IDを表示する識別情報欄440、テキストを表示するテキスト表示欄441、443、被検眼における異常箇所を入力するための異常箇所入力欄442、および症状を入力するための症状入力欄444が提示される。図7に示すように、異常箇所入力欄442は、一例として、被検眼のSLO画像、および2次元断層画像を提示する。入力受付部16は、例えば、入力者の任意の操作によって入力された結果を受け付ける。ここで、任意の操作とは、例えば、提示されている画像の一点をクリックする操作、提示されている画像の特定領域を直線ツール、曲線ツールなどで囲む操作などが挙げられる。また、操作はタッチパネル、コントローラなどの操作部50によってされてもよい。異常箇所入力欄442は、テキストを入力する欄であってもよい。例えば、テキスト入力欄への「黄斑部」、「乳頭部」などのテキスト入力を入力受付部16が受け付ける形態であってもよい。また、入力受付部16が受け付けた異常箇所に基づいて、対象データ決定部12は、OCTデータを、非削減対象データ、または前記削減対象データとして決定してもよい。対象データ決定部12は、異常箇所と保存するデータの内容、種類とが対応付けられたテーブル(図示せず)を用いて、OCTデータを非削減対象データ、または前記削減対象データとして決定することができる。具体的には、「黄斑部」が入力された場合は、対象データ決定部12は、「黄斑部」と「保存するデータの内容、種類」とが対応付けられたテーブル(図示せず)を用いて、OCTデータを非削減対象データまたは削減対象データとして決定してもよい。また、当該OCTデータを、黄斑部を中心とした2次元断層画像、黄斑部の厚みマップとして保存してもよい。このとき、例えば、黄斑部を中心とした2次元断層画像、および黄斑部の厚みマップ以外のOCTデータは削除されてもよい。これによれば、被検眼の異常箇所に応じて、必要なOCTデータを保存することができ、不要なOCTデータを削減することができる。
【0057】
また、入力受付部16は、被検眼に関する症状の入力を受け付けてもよい。被検眼に関する症状とは、例えば、上述した被検眼における異常箇所における所定の症状である。被検眼に関する症状は、例えば、画像から診断される症状であってもよく、問診から診断される症状であってもよい。被検眼に関する症状は、入力者によって任意に入力されてよいが、黄斑の周辺における所定の症状としては、例えば、加齢黄斑変性(AMD)、黄斑浮腫、黄斑円孔などの黄斑疾患、および糖尿病網膜症が挙げられる。また、視神経における所定の症状としては、例えば、緑内障のような視神経疾患が挙げられる。また、黄斑および乳頭から離れた局所部位の症状としては、剥離、腫瘍、委縮、レーザーの照射痕、虚血、新生血管などが挙げられる。
【0058】
症状の入力を受け付ける形態について、図7を用いて説明する。被検眼における異常箇所の入力について、図7を用いて説明したが、提示画面44には、症状を入力するための症状入力欄444がさらに提示されてもよい。症状入力欄444は、一例として、テキストを入力する欄であってもよい。例えば、テキスト入力欄への「加齢黄斑変性」、「緑内障」などのテキスト入力を入力受付部16が受け付ける形態であってもよい。また、症状入力欄444は、異常箇所入力欄442で入力された異常箇所に基づいて、症状の選択肢が提示されてもよく、入力受付部16は、入力者の選択の結果を受け付けてもよい。入力受付部16が受け付けた症状に基づいて、対象データ決定部12は、OCTデータを、非削減対象データとして、または削減対象データとして決定してもよい。例えば、対象データ決定部は、症状と保存するデータの内容、種類とが対応付けられたテーブル(図示せず)を用いて、OCTデータを非削減対象データ、または前記削減対象データとして決定することができる。これによれば、被検眼の症状に応じて、必要なOCTデータを保存することができ、不要なOCTデータを削減することができる。
【0059】
入力受付部16が受け付けた被検眼における異常箇所、または症状に基づき、テンプレートが選択されてもよい。テンプレートが選択されることにより、例えば、図5に示したようにテンプレートに合成するためのOCTデータが決定されてもよい。これは、テンプレートと必要なOCTデータとが対応付けられたテーブル(図示せず)を用いることにより実現できる。
これによれば、入力受付部16が受け付けた被検眼における異常箇所、または症状に応じたレポートのテンプレートが選択され、該テンプレートに合成するためのOCTデータが決定される。これによれば、被検眼の異常箇所、または症状に応じたレポートに必要なOCTデータを保存することができ、不要なOCTデータを削減することができる。
【0060】
(対象データ決定方法)
対象データ決定部12が行う、複数のOCTデータのそれぞれについて、非削減対象データとするか、非削減対象データとする場合と比較してデータ量が削減される削減対象データとするか、または削除される対象となる削除対象データとするかを決定する方法は、特に限定されない。対象データ決定方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
【0061】
(1)被検者の測定履歴に基づく決定
データ取得部11で取得した複数のOCTデータが、過去に測定された被検者のものである場合、対象データ決定部12は、被検者の測定の履歴に基づいて、複数のOCTデータを非削減対象データ、削減対象データ、または削除対象データとして決定してもよい。すなわち、対象データ決定部12は、例えば、入力された被検者IDから、以前に同じ被検者を測定したことがあると判定された場合は、前回の測定動作および対象データを今回の測定においても適用することができる。また、該被検者について、予め経過観察のための基準が定められている場合は、該基準に基づいて、OCTデータを、非削減対象データ、削減対象データ、または削除対象データとして決定してもよい。例えば、緑内障の被検者について、基準となる所定のOCTデータ、および該OCTデータに基づく解析結果が保存されている場合、経過観察の撮影時にはOCTデータは削減対象データまたは削除対象データとされ、解析結果のみを非削減対象データとされてもよい。これによれば、被検者毎に、眼の経過観察を行うことができる。
【0062】
(2)入力者によるOCTデータ選択に基づく決定
非削減対象データ、削減対象データ、または削除対象データを入力者が選択してもよい。対象データ決定部12は、選択された結果に基づいて、OCTデータを、非削減対象データ、削減対象データ、または削除対象データとして決定してもよい。OCTデータの選択は、[選択受付部15]に記載した通りに行われてもよい。
【0063】
(3)入力者によるテンプレートの選択に基づく決定
対象データ決定部12は、選択されたテンプレートに基づいて、OCTデータを、非削減対象データ、削減対象データ、または削除対象データとして決定してもよい。テンプレートの選択は、[選択受付部15]に記載した通りに行われてもよい。
【0064】
(4)入力者による被検眼における異常箇所の入力に基づく決定
対象データ決定部12は、被検眼における異常箇所の入力に基づいて、OCTデータを、非削減対象データ、削減対象データ、または削除対象データとして決定してもよい。異常箇所の入力は、[入力受付部16]に記載した通りに行われてもよい。
【0065】
(5)入力者による被検眼に関する症状の入力に基づく決定
対象データ決定部12は、被検眼に関する症状の入力に基づいて、OCTデータを、非削減対象データ、削減対象データ、または削除対象データとして決定してもよい。
【0066】
被検眼に関する症状としては、[入力受付部16]に記載した症状が挙げられる。また、対象データ決定部12は、各症状に対して以下のOCTデータを非削減対象データに決定してもよい。
・黄斑系疾患、糖尿病網膜症の場合 黄斑部を中心とするマルチ/クロス/ラジアルスキャンさせた2次元断層画像。
・視神経疾患の場合 乳頭中心でサークルスキャンさせた2次元断層画像、および厚み分布を示す画像、網膜表層の層厚マップ。
・黄斑部以外、乳頭部以外の局所的な症状の場合 異常箇所を拡大したマップ、異常箇所を中心とするマルチ/クロス/ラジアルスキャンさせた2次元断層画像。
・血管の虚血、瘤が有る場合 OCT-Angiography(En-face画像)・新生血管がある場合 該当する層のOCT-Angiography(En-face画像)。
【0067】
上記の症状が入力された場合、上記の症状に対応するテンプレートが選択されてもよい。非削減対象データ、または削減対象データとして決定されたOCTデータを、該テンプレートに合成したレポートが作成されてもよい。
【0068】
また、症状の入力時に、既にレポートが生成されている場合であって、該レポートがOCTデータに基づく解析結果を含む場合、OCTデータと対応付けて該解析結果が保存されてもよい。解析結果とは、上述したように、OCTデータを解析した結果であり、例えば、2次元断層画像から厚みを算出して生成された厚みマップ、所定のスキャンに基づくスキャンラインに基づく部位の厚みを算出して生成された厚み分布を示す画像などである。これによれば、後の診断の際に、OCTデータと共に、解析結果を見ることができる。
【0069】
(OCT装置1が実行するOCTデータ処理方法)
図8は、本実施形態に係るOCT装置1によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【0070】
S1では、まず、OCT光学系20が予め設定された測定動作に基づいて被検眼を撮影する(撮影ステップ)。
【0071】
S2では、データ取得部11が、OCT光学系20による測定動作に基づいて複数のOCTデータを取得する(データ取得ステップ)。
【0072】
S3では、対象データ決定部12は、複数のOCTデータを、複数のOCTデータのそれぞれについて、非削減対象データとするか、削減対象データとするか、または削除対象データとするか決定する(対象データ決定ステップ)。
【0073】
S4では、提示画面表示部18が、表示部40に対象データ決定ステップにおいて決定された非削減対象データ、削減対象データまたは削除対象データの適否を選択させるための提示画面を提示させる(対象データ確認ステップ)。非削減対象データ、削減対象データまたは削除対象データが適であると選択された場合はS5に進む。また、非削減対象データ、削減対象データまたは削除対象データが否であると選択された場合は、S3に戻る。
【0074】
なお、上記では、非削減対象データ、削減対象データ、削除対象データについて適否を選択させるとしたが、本実施形態はこれに限られるものではない。削減対象データ、削除対象データについてのみ適否を選択させる構成であってもよい。
【0075】
S5では、削減処理部13は、対象データ決定部12が決定した削除対象データに対して削除する処理、または削減対象データに対してデータ量を削減する処理を行う(削減処理ステップ)。
【0076】
S6では、記憶実行部14は、対象データ決定部12が決定した非削減対象データ、および削減処理部13が処理した後の削減処理後を記憶部30に記憶する(記憶実行ステップ)。
【0077】
上記の処理によれば、OCT装置1は、取得した複数のOCTデータのそれぞれについて、非削減対象データとするか、削減対象データとするか、または削除対象データとするかを決定することができる。削減対象データは、前記非削減対象データとする場合と比較してデータ量が削減される対象であり、削除対象データは、削除される対象である。また、OCT装置1は、削除対象データに対しては削除する処理、または削減対象データに対してはデータ量を削減する処理を行い、前記非削減対象データ、および削減処理後データを記憶部30に記憶することができる。これによれば、全てのOCTデータを記憶部30に保存する場合と比較して、保存するデータ量を削減することができる。
【0078】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0079】
実施形態1では、前回の測定の履歴に基づいて、または、入力者が入力した結果に基づいて、複数のOCTデータのそれぞれについて、対象データ決定部12が対象データを決定する形態について説明した。具体的には、対象データ決定部12は、非削減対象データとするか、前記非削減対象データとする場合と比較してデータ量が削減される削減対象データとするか、または削除される対象となる削除対象データとするかを決定した。これに対し、本実施形態では、OCT装置1がOCTデータを解析し、被検眼における異常箇所を検出する。該異常箇所に基づいて、OCT装置1がOCTデータを非削減対象データとするか、前記非削減対象データとする場合と比較してデータ量が削減される削減対象データとするか、または削除される対象となる削除対象データとするかを決定する形態について説明する。
【0080】
本実施形態に係るOCT装置1aの構成について、図9を用いて説明する。図9は、本発明の実施形態2に係るOCT装置1aの要部構成の一例を示すブロック図である。
【0081】
OCT装置1aは、OCT光学系20、制御部10a、記憶部30、表示部40、操作部50、およびレポート作成部70を備える。制御部10aは、データ取得部11、対象データ決定部12a、削減処理部13、記憶実行部14、選択受付部15、入力受付部、および提示画面表示部18の他に、解析部17を備える。
【0082】
[解析部17]
解析部17は、データ取得部11が取得したOCTデータを解析し、異常箇所を検出してもよい。解析部17が検出する異常箇所は、例えば、実施形態1の[入力受付部16]に記載の異常箇所に相当する箇所であってもよい。解析部17がOCTデータの解析に用いる方法は、公知の画像解析方法が用いられてもよい。対象データ決定部12aは、解析部17が検出した異常箇所に応じて、OCTデータを、非削減対象データ、削減対象データ、または削除対象データとして決定してもよい。これによれば、自動的に、被検眼の異常箇所に応じたOCTデータを保存することでき、不要なOCTデータを削減することができる。
【0083】
解析部17が検出した異常箇所に応じて、上記の異常箇所に対応するテンプレートが選択されてもよい。非削減対象データ、または削減対象データとして決定されたOCTデータが、該テンプレートに合成されたレポートが作成されてもよい。
【0084】
また、解析部17は、異常箇所を検出するに加え、被検眼の症例について診断してもよい。解析部17は、例えば、公知のAI技術を用いて被検眼の症例を診断してもよい。対象データ決定部12aは、解析部17が診断した症例に基づいて、OCTデータを、非削減対象データ、削減対象データ、または削除対象データとして決定してもよい。例えば、解析部17が診断する症例、および対象データ決定部12aが非削減対象データとして決定するOCTデータの例を以下に示す。
・糖尿病網膜症、網膜静脈分岐閉塞症(BRVO)、または網膜中心静脈閉塞症(CRVO)と診断された場合 2次元断層画像から抽出される1ライン、網膜のOCT-Angiography(En-face画像)。
・加齢黄斑変性、または網膜色素変性症と診断された場合 2次元断層画像から抽出される1ライン、脈絡膜のOCT-Angiography(En-face画像)。
・網膜剥離、網膜裂孔、または黄斑円孔と診断された場合 表層のOCTデータ(2次元断層画像の表層部分、表層の正面画像など)、硝子体のOCTデータ。
【0085】
また、解析部17が診断した症例に応じて、上記の症例に対応するテンプレートが選択されてもよい。非削減対象データとして決定されたOCTデータが、該テンプレートに合成されたレポートが作成されてもよい。
【0086】
また、解析部17が症例を診断する形態において、テンプレートは、医療関係者などが見るための用途のみならず、解析部17が行う解析に必要なデータセットを指定するためのテンプレートであってもよい。
【0087】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0088】
本実施形態に係るOCT装置1bは、外部装置と通信可能である。外部装置は、一例として、OCT装置1bが設置されている病院の電子カルテシステム2であってよい。電子カルテシステム2には、被検者の過去の検査に基づくレポートが、被検者を特定するための個人情報と紐付けられて管理されている。また、医療関係者は、検査後に作成されたレポートを、電子カルテシステム2上で閲覧することができる。
【0089】
OCT装置1bは、作成したレポートを外部装置である電子カルテシステム2に送信し、また、該電子カルテシステム2からの信号を受信する。また、電子カルテシステム2は、OCT装置1bの記憶部30に記憶されたOCTデータにアクセス可能であってよい。
【0090】
また、実施形態1および2においては、対象データ決定部12、12aは、記憶部30にOCTデータを記憶する前に、非削減対象データ/削減対象データを決定する。一方、本実施形態においては、記憶部30に一度記憶されたOCTデータのうち、外部装置へ送信されたレポートに含まれるOCTデータを削減対象データの候補とする。
【0091】
本実施形態に係るOCT装置1bの構成について、図10を用いて説明する。図10は、本発明の実施形態3に係るOCT装置1bの要部構成の一例を示すブロック図である。
【0092】
OCT装置1bは、OCT光学系20、制御部10b、記憶部30、表示部40、操作部50、通信部60、およびレポート作成部70を備える。
【0093】
[通信部60]
通信部60は、後述する通信制御部19の制御に従って、外部との通信を行う通信装置として機能する。通信部60は、外部との間で信号の送受信を行うことが可能な構成であればどのようなものであってもよく、例えば、使用する通信方式はどのようなものであってもよい。本実施形態において、通信部60は、外部装置である電子カルテシステム2との通信を行い、レポートを外部装置である電子カルテシステム2に送信し、電子カルテシステム2からの信号を受信する。
【0094】
<制御部10b>
制御部10bは、データ取得部11b、対象データ決定部12b、削減処理部13、記憶実行部14、選択受付部15、入力受付部16、提示画面表示部18、および通信制御部19を備える。
【0095】
[データ取得部11b]
データ取得部11bは、OCT光学系20から複数のOCTデータを取得することに加え、記憶部30より、一度記憶されたOCTデータのうち、電子カルテシステム2へ送信されたレポートに含まれるOCTデータを取得する。
【0096】
[対象データ決定部12b]
対象データ決定部12bは、取得されたOCTデータを、非削減対象データとするか、非削減対象データとする場合と比較してデータ量が削減される削減対象データとするか、または削除される対象となる削除対象データとするかを決定する。非削減対象データは、データ量を削減することなく保存される対象である。また、対象データ決定部12bは、記憶部30に記憶されたOCTデータのうち、外部装置に送信済のレポートに含まれるOCTデータについて、削減対象データの候補とすることを示すフラグを付す。対象データ決定部12bは、記憶部30内のOCTデータのうち、外部装置に送信済のレポートに含まれるOCTデータにフラグを付してもよいし、送信するレポートにフラグを付してもよい。また、対象データ決定部12bは、フラグを付したデータを、例えばテキストファイルとしてOCT装置1b側の記憶部30内に残してもよい。なお、フラグを付したデータを残す箇所は、OCT装置1b側の記憶部30に限られるものではなく、限定されない。
【0097】
[通信制御部19]
通信制御部19は、通信部60を制御する。具体的には、通信制御部19は、OCT装置1bと、外部装置である電子カルテシステム2との通信を制御する。
【0098】
通信制御部19は、レポート作成部70が作成したレポートを通信部60を介して電子カルテシステム2へ送信する。また、電子カルテシステム2からの信号を通信部60を介し受信し、受信した信号に応じた指示を対象データ決定部12bに出力する。
【0099】
(対象データ決定方法)
本実施形態における、対象データ決定部12bが行う、複数のOCTデータのそれぞれについて、非削減対象データとするか、削減対象データとするかを決定する方法について以下に説明する。
【0100】
まず、対象データ決定部12bは、記憶部30に記憶されたOCTデータのうち、電子カルテシステム2に送信済のレポートに含まれるOCTデータについて、削減対象データの候補とすることを示すフラグを付してもよい。これにより、対象データ決定部12bは、削減対象データの候補であるか否かをフラグの有無によって判定することができる。
【0101】
電子カルテシステム2に送信されたレポートに含まれるOCTデータは、医療関係者によって電子カルテシステム2側で閲覧されるため、OCT装置1b側で再度レポートに含まれるOCTデータを閲覧する可能性は低い。そのため、対象データ決定部12bが送信済のレポートに含まれるOCTデータについて、削減対象データの候補とすることを示すフラグを付すことにより、その後のOCTデータの削減処理は、フラグが付されたデータについてスムーズに行われうる。また、対象データ決定部12bは、外部装置に送信するレポートにフラグを付してもよい。レポートにフラグが付された場合は、電子カルテシステム2が、レポートに含まれるOCTデータに対応する、記憶部30に記憶されたOCTデータを削除するようOCT装置1bへ信号を送信してもよい。
【0102】
対象データ決定部12bは、フラグが付されたOCTデータのうち、以下の(1)~(3)のOCTデータを削減対象データとして決定してもよい。
【0103】
(1)所定時間電子カルテシステムからのアクセスが無かったOCTデータ
対象データ決定部12bは、フラグが付されたOCTデータのうち、電子カルテシステム2にレポートを送信してから所定時間内に、電子カルテシステム2からのアクセスが無かったOCTデータを削減対象データとしてもよい。例えば、レポートを閲覧した医療関係者が、OCT装置1bの記憶部30に記憶された元のデータであるOCTデータを電子カルテシステム2側から閲覧しようとするのは、通常、検査を行った直後、すなわちレポートが送信された直後であることが多い。また、医療関係者が、検査を行った当日中にOCTデータを閲覧せず、後日改めてOCTデータを閲覧することは稀である。そのため、所定時間、電子カルテシステム2からのアクセスが無かったOCTデータについては、今後も閲覧される可能性が低いため、対象データ決定部12bが、削減対象データとしてもよい。これによれば、対象データ決定部12bが不要なOCTデータを削減対象とすることができる。所定時間は、特に限定されず、ユーザによって設定されてよいが、具体的には、12時間、24時間などであってよい。
【0104】
(2)電子カルテシステムからの所定の信号を通信部が受信した場合
対象データ決定部12は、電子カルテシステム2からの所定の信号を通信部60が受信した場合に、フラグが付されたOCTデータを削減対象データとしてもよい。具体的には、電子カルテシステム2の通信部22から所定の信号をOCT装置1b側の通信部60が受信し場合に、対象データ決定部12は、フラグが付されたOCTデータ全てを削減対象データとする。すなわち、対象データ決定部12がフラグが付されたOCTデータを削減対象データとするきっかけは、電子カルテシステム2から取得する信号である。所定の信号については以下に示す。
【0105】
(2-1)電子カルテシステムがレポートを受信したことを示す応答信号
電子カルテシステム2がレポートを受信したことを示す応答信号を、通信部60が受信した場合に、対象データ決定部12bは、フラグが付されたOCTデータを削減対象データとしてもよい。すなわち、OCT装置1bから電子カルテシステム2へ問題なく送信されたレポートに含まれるOCTデータについては、後で生データであるOCTデータを見返す可能性が低いため、削除対象とする構成である。
【0106】
(2-2)電子カルテシステムにおいてレポートが開かれたことを示す信号
電子カルテシステム2において、OCT装置1bから受信したレポートが開かれたことを示す信号を、通信部60が受信した場合に、対象データ決定部12bは、フラグが付されたOCTデータを削減対象データとしてもよい。電子カルテシステム2においてレポートが開かれた、すなわちレポートが閲覧された場合に、レポートに含まれるOCTデータについては削減対象とする構成である。
【0107】
(3)被検者のn+2回目の検査に基づくレポートが電子カルテシステムに送信された場合
フラグが付されたOCTデータの被検者と同じ被検者のm回前(m≧1)の検査において取得されたOCTデータを削減対象としてもよい。フラグが付されたOCTデータの被検者と同じ被検者のn+m回目の検査において取得されたOCTデータが含まれるレポートが電子カルテシステム2に送信された場合、対象データ決定部12bは、n回目までの検査のOCTデータを削減対象データとしてもよい。mの値は適宜設定されうる。ユーザである医療関係者が予めmの値を設定してもよく、被検者毎にmの値が設定されてもよい。
【0108】
複数回検査を受けている被検者については、過去のOCTデータを全て残す必要はなく、例えば、直近2回のOCTデータが残っていれば医師の診断において困ることは少ない。この場合、mの値は2に設定され、具体的には、3回目の検査において取得されたOCTデータを含むレポートを電子カルテシステム2に送信した場合は、対象データ決定部12bは、前々回(1回目)の検査のOCTデータを削減対象データとすればよい。この場合、1回目の検査は、被検者の初診における検査であってよい。
【0109】
また、上述したように、1回の検査は、同一検査日に取得される同一被検者に対して行われる検査でありうる。そのため、フラグが付されたOCTデータの被検者と同じ被検者のm日前(m≧1)の検査において取得されたOCTデータを削減対象としてもよい。フラグが付されたOCTデータの被検者と同じ被検者のn+m日目の検査において取得されたOCTデータが含まれるレポートが電子カルテシステム2に送信された場合、対象データ決定部12bは、n日目までの検査のOCTデータを削減対象データとしてもよい。
【0110】
〔実施形態4〕
実施形態3においては、記憶部30に一度記憶されたOCTデータのうち、外部装置へ送信されたレポートに含まれるOCTデータを、対象データ決定部12bが削減対象データの候補とし、候補のデータから削減対象とするデータを決定する。一方、本実施形態に係るOCT装置1bは、実施形態3と同様に外部装置と相互に通信可能であるが、対象データ決定部12bが対象データを決定する方法が実施形態3とは異なる。
【0111】
(対象データ決定方法)
電子カルテシステム2に送信したレポートに含まれるOCT画像は、医師が診断を行うために使用される重要なOCT画像であるともいえる。そのため、対象データ決定部12bは、レポートに含まれるOCTデータを非削減対象データとし、それ以外のOCTデータを削減対象データとしてもよい。これによれば、レポートに含まれるOCTデータについて、記憶部30に格納されたOCTデータを、例えば、医師が後に閲覧することができる。
【0112】
また、対象データ決定部12bは、レポートに含まれるOCTデータ、および該OCTデータと連続して取得されたOCTデータを非削減対象データとし、それ以外のOCTデータを削減対象データとしてもよい。OCTデータと連続して取得されたOCTデータとは、少しずつスキャン位置をずらして撮影された複数のOCTデータのうち、対象のOCTデータと連続する上下数枚のスライス画像である。レポートに含まれるOCTデータには、診断に有用な情報が含まれていることは言うまでもないが、そのOCTデータと連続するOCTデータにも有用な情報が含まれている可能性がある。そのため、レポートに含まれるOCTデータ、及び該OCTデータと連続して取得されたOCTデータを非削減対象データとし、それ以外のOCTデータを削減対象データとすることにより、必要なOCTデータを残し、不要なOCTデータは削減することができる。
【0113】
また、対象データ決定部12bは、複数のOCTデータのうち、解剖学的特徴がある領域を含むOCTデータを非削減対象データとしてもよい。解剖学的特徴がある領域とは、例えば、中心窩、視神経乳頭であってよい。また、解剖学的特徴がある領域以外の領域を含むOCTデータについては、削減対象データとしてもよい。これによれば、後に見返す可能性の高い解剖学的特徴がある領域を含むOCTデータのみを残し、見返す可能性の低い不要なOCTデータは削減することができる。
【0114】
また、上述した構造異常度マップを含むレポートを電子カルテシステム2に送信した場合、対象データ決定部12bは、構造異常度マップにおいて、乖離度が所定より高いOCTデータを非削減対象データとしてもよい。乖離度が所定より高いOCTデータは、すなわち組織の構造に異常が認められるOCTデータである。また、乖離度が所定より低いOCTデータ、すなわち組織の構造に異常が認められないOCTデータについては、削減対象データとしてもよい。これによれば、後に見返す可能性の高い、組織の構造に異常が認められるOCTデータのみを残すことができる。
【0115】
黄斑マルチ、乳頭マップなど、種々の解析マップを作成するためには複数のOCTデータが使用されるが、種類の異なる解析マップを作成するためには、重複して撮影されるOCTデータがある。対象データ決定部12は、このように重複したOCTデータについて、1つのデータのみを非削減対象データとし、重複しているその他のOCTデータを削減対象データとしてもよい。例えば、黄斑ラインを作成するために使用されたOCTデータと同じデータが、黄斑マップを作成するために使用されたOCTデータにも含まれていた場合、対象データ決定部12は、黄斑ラインに含まれるOCTデータを削減対象としてもよい。
【0116】
外部装置である電子カルテシステム2へ送信されたレポートに含まれているOCTデータは、高圧縮されて保存されてもよい。保存形式としては特に限定されないが、一例として、電子カルテシステム2へレポートを送信する前は、ビットマップ形式にて保存されているOCTデータを、レポート送信後に、JPEGなどの高圧縮な画像形式に変換して記憶部30に保存してもよい。
【0117】
〔変形例〕
本発明の変形例について、以下に説明する。変形例は、上述にいずれの実施形態においても適用することができる。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0118】
削減処理部13が行う削減処理の変形例について説明する。
・削減処理部13は、2次元断層画像そのものは残さず、層境界検出によって検出される層境界を表すラインのみを抽出し、それ以外の部分は削除してもよい。
・削減処理部13は、取得されたOCTデータのうち、層の深さ方向、または全方向のOCTデータを間引いてもよい。すなわち、深さ方向に対して所定の距離間隔のOCTデータ以外のOCTデータは削除してもよい。
・異常箇所の検出が解析部17において行われる場合、OCTデータにおける異常箇所の領域のみ高解像度のデータとし、削減処理部13は、異常箇所以外の領域の解像度を下げてもよい。
・削減処理部13は、各被検者に対し、初診において撮影されたOCTデータは全て保存し、2回目以降の診察においては、今後経過観察(フォローアップ)を行う被検者に対してのみ削減処理を適用してもよい。
・削減処理部13の削減処理、および削除処理の内容については、例えば、被検者毎、医療施設毎などに、予め設定されていてもよい。また、削減処理を行うモード/削除処理を行わないモードは切換え可能であってもよい。
【0119】
実施形態3においては、電子カルテシステム2に送信されたレポートに含まれるOCTデータであって、対象データ決定部12bが削減対象としたデータを削減処理部13が削減する。一方、削減対象データは電子カルテシステム2以外のクラウドなどにアーカイブされてもよい。アーカイブとは、OCTデータをよりコストが低い、別の記憶装置、記録媒体などに移動することを示す。アーカイブは、通信制御部19によって行われてもよい。
【0120】
また、削減処理部13は、削減対象データに対して削減処理を行わずに、加工を行ってもよい。加工は、例えば、削減対象データの被検者が特定できないよう匿名処理化であってもよい。このように、被検者が特定できないように加工されたデータは、例えば、通信制御部19を介して、電子カルテシステム2以外のクラウドなどに格納されてもよい。また、加工済のデータは機械学習用のデータとして利用されてもよい。
【0121】
〔ソフトウェアによる実現例〕
OCT装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部10に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0122】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0123】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0124】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0125】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0126】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
1 OCT装置
10、10a、10b 制御部
11 データ取得部
12 対象データ決定部
13 削減処理部
14 記憶実行部
15 選択受付部
16 入力受付部
17 解析部
18 提示画面表示部
20 OCT光学系
30 記憶部
40 表示部
41、42、43 提示画面
60 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10