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特開2022-159138積層造形された構造体およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159138
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】積層造形された構造体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/379 20170101AFI20221006BHJP
   B22F 10/00 20210101ALI20221006BHJP
   B22F 12/90 20210101ALI20221006BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20221006BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20221006BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20221006BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20221006BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20221006BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20221006BHJP
   B22F 12/50 20210101ALN20221006BHJP
   H05K 3/00 20060101ALN20221006BHJP
【FI】
B29C64/379
B22F10/00
B22F12/90
B29C64/112
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y80/00
B29C64/393
B33Y50/02
B22F12/50
H05K3/00 D
H05K3/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022054856
(22)【出願日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】21166339.8
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521425984
【氏名又は名称】ヘンゾルト センサーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イェルク サンダー
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ バルテス
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス サロモン
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス ジマー
(72)【発明者】
【氏名】トバイアス へーン
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AB13
4F213AH36
4F213AH37
4F213AP06
4F213AQ01
4F213AQ03
4F213AR07
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL53
4F213WL92
4K018KA32
(57)【要約】
【課題】積層造形方法の提供
【解決手段】構造体は、複数の土台構造部(10、20)とバーニア式の位置マーカー(30)を含む。複数の土台構造部(10、20)は、第1の土台構造部(10)、第2の土台構造部(20)、および少なくとも1つの電子部品(15)を含む。第2の土台構造部(20)は、第1の土台構造部(10)上に少なくとも部分的に積層造形される。バーニア式の位置マーカー(30)は、第1の土台構造部(10)と第2の土台構造部(20)との間の相対的なオフセットを示すように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電子部品(15)を保持する第1の土台構造部(10)および第2の土台構造部(20)を含む複数の土台構造部(10、20)であって、前記第2の土台構造部(20)は、前記第1の土台構造部(10)上に少なくとも部分的に積層造形された、複数の土台構造部(10、20)と、
第1の土台構造部(10)と第2の土台構造部(20)との間の相対的なオフセットを示すように構成されたバーニア式の位置マーカー(30)と
を含む、構造体。
【請求項2】
前記位置マーカー(30)は、第1のバーニアパターン(310)および第2のバーニアパターン(320)を含み、前記第1のバーニアパターン(310)は、前記第1の土台構造部(10)上に形成され、前記第2のバーニアパターン(320)は、前記第2の土台構造部(20)上または積層造形用の装置の部品上に形成される、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記第1のバーニアパターン(310)は、前記第1の土台構造部(10)の上面(110)に形成され、前記第2のバーニアパターン(320)は、前記第2の土台構造部(20)の下面(210)に形成され、前記下面(210)と前記上面(110)は、互いに向き合っている、請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
前記第1のバーニアパターン(310)および前記第2のバーニアパターン(320)は、それぞれがグリッド(311、321)を含むか、またはそれぞれが少なくとも1つのバーニア目盛り(312、322)を含み、積層造形方向(Z)に垂直な一方向または両方向(X、Y)のオフセットを示す、請求項2または3に記載の構造体。
【請求項5】
前記少なくとも1つのバーニア目盛り(312、322)は、前記第1の土台構造部(10)の側面に少なくとも1つの第1の側部目盛り(312)と、前記第2の土台構造部(20)の側面に少なくとも1つの第2の側部目盛り(322)とを含み、側面は、前記構造の横方向の境界を形成する、請求項4に記載の構造体。
【請求項6】
前記少なくとも1つのバーニア目盛り(312、322)は、
前記製造方向(Z)に周期的に形成された第1の鉛直バーニア目盛りと、前記第1の土台構造部(10)および/または前記第2の土台構造部(20)の鉛直オフセットを検出するための積層造形用装置の一部に形成された第2の鉛直バーニア目盛りとを含む、請求項4または5に記載の構造体。
【請求項7】
前記土台構造部(10、20)は、光学式センサによる光学的検出を可能にするために、少なくとも前記位置マーカー(30)の位置に透明な材料を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項8】
前記土台構造部(10、20)は、少なくとも前記位置マーカー(30)の位置に誘電体材料を含み、前記位置マーカー(30)は、前記オフセットの電気的検出を可能にする導電性材料を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項9】
前記位置マーカー(30)は、リニアエンコーダを含む、請求項8に記載の構造体。
【請求項10】
前記位置マーカー(30)は第1の位置マーカーであり、前記構造体は、測定精度を高めるか、またはねじれを検出するために、前記第1の位置マーカー(30)から離間された第2のバーニア式の位置マーカーをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の構造体の積層造形用の装置であって、前記構造体は第1のバーニアパターン(310)を含み、前記装置は、部品を含み、前記部品は、前記第1のバーニアパターン(310)と共に、前記部品と前記構造体との間の相対的なオフセットを示すためのバーニアの原理に基づく位置マーカー(30)を形成するように構成された第2のバーニアパターン(320)を有する、装置。
【請求項12】
積層造形装置を使用して構造体を積層造形する方法であって、
第1のバーニアパターン(310)を有する第1の土台構造部(10)を提供するステップと、
前記第1の土台構造部(10)に電子部品(15)を備え付けるステップと、
第2の土台構造部(20)を積層造形するステップであって、第2のバーニアパターン(320)が、前記第2の土台構造部(20)上に製造されるか、または前記積層造形装置上に形成される、ステップとを含み、
前記第1のバーニアパターン(310)および前記第2のバーニアパターン(320)は、前記第1の土台構造部(10)と前記第2の土台構造部(20)との間の相対オフセットを示す位置マーカー(30)を形成する、方法。
【請求項13】
前記第1のバーニアパターン(310)を有する第1の土台構造部(10)を提供するステップは、前記第1のバーニアパターン(310)と共に前記第1の土台構造部(10)を積層造形するステップを含み、
前記第1の土台構造部(10)に電子部品(15)を備え付ける前記ステップは、
積層造形された前記第1の土台構造部(10)を積層造形装置から取り外すステップと、
前記第1の土台構造部(10)に前記電子部品(15)を備え付けるステップと、
前記電子部品(15)と共に前記第1の土台構造部(10)を前記積層造形装置に再挿入するステップとを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記位置マーカー(30)を使用してオフセットを決定するステップと、
閾値を超えたときに前記決定されたオフセットを補正するステップとを含み、
前記第2の土台構造部(20)を積層造形するステップは、前記オフセットの補正後にのみ完了する、請求項12または13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層造形(付加製造)された構造体およびその製造方法に関するものであり、より具体的には、積層造形される電子機器用の積層造形される二部品または多部品型構造体の位置マーカーに係るものである。
【背景技術】
【0002】
積層造形された電子機器の場合、少なくとも2つのインクが処理されるマルチジェットプロセスに基づく印刷システムを使用できる。最小構成では、2つのインクのうちの1つは非導電性インクであり、もう1つのインクは導電性であり、印刷プロセスで導電性トラックに焼結される導電性ナノ粒子を含む。電子部品またはデバイス(マイクロコントローラ、抵抗器、コンデンサなど)を積層造形された基板に塗布できるようにするために、電子部品はピックアンドプレースプロセスを使用して基板上に配置され、はんだ付けされる。
【0003】
このようなプリンタの場合、例えば160mm×160mm×3mmの回路基板の設置スペースを実現できるが、3次元(3D)構造の利点を活用できるようにするために、より高い高さを実現したいという要望もある。特に、設計が平面であるだけでなく、任意の所望のまたは必要なフォームファクターに合わせて三次元に設計され得る基板が必要である。これにより、より高い統合密度、シールド、電気機械式キー、スパイ保護機構などが可能になる。
【0004】
従来のプロセスでは、コンポーネントは基板の上部と下部にのみ配置できる。回路キャリア内(例えば、立方体内)のコンポーネントを取得するために、最初に、必要なコンポーネントに対応するポケットを含む第1の土台構造部が印刷される。印刷プロセスは組み立てのために中断され、組み立て後に続行される。現在、この組み立てはプリンタの外部でのみ行うことができ、これは、ビルドプラットフォームを含む基板は、組み立て前にプリンタから取り外され、組み立て後に再挿入される。再挿入後、プリンタが前の第1の土台構造部に非常に正確に印刷を続行することが重要である。これは、接点接続が十分にオーバーラップし、垂直ビルド方向(Z方向)で十分に良好なスルーホールめっきが可能であることを保証する唯一の方法である。
【0005】
この「ジョブオンジョブ」の精度は、現在、3D印刷後の非常に時間と費用のかかるコンピューター断層撮影検査によってのみチェックされ得る。したがって、従来の印刷の欠点は、このタイプの品質管理に必要な技術的および時間的な多大な労力である。さらに、この品質管理は、印刷プロセスの後にのみ実行され得る。調整が必要な場合、これは印刷プロセス中には不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、前述のジョブオンジョブの精度を大幅に少ない労力でチェックできる代替手順が必要である。また、光学システムまたはさらには人間の目によって、ジョブオンジョブの精度を迅速かつ簡単に100%品質保証する可能性も必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題の少なくとも一部は、請求項1に記載の積層造形された構造体および請求項12に記載の方法によって解決される。従属請求項は、独立請求項の対象の有利なさらなる実施形態に関するものである。
【0008】
本発明は、複数の土台構造部と、バーニア式の位置マーカーとを含む構造体に関するものである。複数の土台構造部は、第1の土台構造部、第2の土台構造部、および少なくとも1つの電子部品を含む。第2の土台構造部は、少なくとも部分的に第1の土台構造部上に積層造形される。バーニア式の位置マーカーは、第1の土台構造部と第2の土台構造部との間の相対オフセットを示すように構成される。
【0009】
特に、構造体は、例えば、電子部品(能動または受動)用の回路基板、電気接続、アンテナ、導波管などを含む、3Dに製造された電子機器の任意の部品を含むものとする。
【0010】
一実施形態によれば、積層造形は、少なくとも2つのインクが処理されるマルチジェットプロセスに基づく印刷システムを使用することができる。2つのインクのうちの1つは非導電性インクとすることができるが、他方のインクは導電性であり、印刷プロセスにおいて導電性トラックに焼結される導電性ナノ粒子を含む。さらに、実施形態によれば、電子部品は、ピックアンドプレースプロセスを使用して基板上に配置され、はんだ付けされる。積層造形は、電子部品を積層造形された構造内に埋め込む。
【0011】
バーニア式の位置マーカーは、オフセット(または変位/回転)を示すためのバーニアの原理に基づく表示手段として理解されるべきである。バーニアの原理は、少なくとも1つの方向に異なる周期性をもつ2つの周期構造(例えば、線目盛りまたはグリッド)に基づいている。最も単純なケースでは、キャリパーゲージの場合と同様に、2つの隣接する線目盛り(または分割スケール)があり、1つは1mmの線間隔(周期性)を有し、もう1つは0.9mmである。線目盛りが少なくとも10本の線を有する場合、2つの線目盛りのオフセットを0.1mm以内で検出できる。これは単なる一例である。2つのスケールは、必要に応じて相互にスケーリングできる。
【0012】
本発明の文脈において、「オフセット」という用語は、直線変位だけでなく、回転または複合運動も包含することを意図している。
【0013】
第1の土台構造部は、積層造形される必要はなく、完成した回路基板または従来のプリント回路基板とすることもできる。しかしながら、有利なことに、第1のバーニアパターンは、積層造形プロセス全体を通して可能な限り最も正確な位置決めを達成するために、その上に積層造形される。
【0014】
任意選択で、位置マーカーは、第1のバーニアパターンおよび第2のバーニアパターンを含み、第1のバーニアパターンは第1の土台構造部上に形成され、第2のバーニアパターンは第2の土台構造部上または積層造形装置の部品上に形成される。部品は、例えば、プリントヘッドまたは固定具または位置決め用に提供される他の部分とすることができる。
【0015】
任意選択で、第1のバーニアパターンは、第1の土台構造部の上面に形成され、第2のバーニアパターンは、第2の土台構造部の下面に形成され、下面と上面は互いに向き合う。これにより、視差誤差を最小限に抑えることができる。
【0016】
任意選択で、第1のバーニアパターンおよび/または第2のバーニアパターンはそれぞれ、積層造形方向に垂直な一方向または両方向のオフセットを示すために、グリッドまたは少なくとも1つのバーニア目盛りを含む。一般的に、両方のバーニアパターンは同一に形成することができるが、実施形態はまた、グリッドが1つまたは複数の線目盛りと組み合わされる形態を含むことを意図している。有利なことに、バーニアパターンは重ね合わされるか、または隣接している。
【0017】
任意選択で、少なくとも1つのバーニア目盛りは、第1の土台構造部の側面に少なくとも1つの第1の側部目盛りと、第2の土台構造部の側面に少なくとも1つの第2の側部目盛りとを含み、両方の側面が、完成後の構造体の横方向の境界を形成する。ここでは、バーニア目盛りは2つの隣接する線目盛りによって形成され得る。
【0018】
任意選択で、少なくとも1つのバーニア目盛りは、第1の土台構造部および/または第2の土台構造部の鉛直オフセットを決定するために、製造方向に周期的に形成される第1の鉛直バーニア目盛り、および積層造形用の装置の部品上の第2の鉛直バーニア目盛りを含む。
【0019】
任意選択で、土台構造部は、光学式センサ(例えば、カメラ)による光学的検出を可能にするために、少なくとも位置マーカーの位置(領域)に透明な材料を含む。オフセットは、ユーザーが目視検査によって検出することもできる。
【0020】
任意選択で、土台構造部は、オフセットの電気的検出を可能にするために、少なくとも位置マーカーの位置(または領域)に誘電体材料を含み、位置マーカー(例えば、バーニアパターン)は、導電性材料を含む。電気的検知は、電気抵抗(直接接触が存在する場合)、静電容量(直接接触が存在しない場合)、または測定されたインダクタンスによって提供され得る。任意選択で、位置マーカーは、直線変位を容量的に測定するリニアエンコーダである。
【0021】
任意選択で、位置マーカーは第1の位置マーカーであり、構造体は、第1の位置マーカーから離間された第2のバーニア式の位置マーカーをさらに含む。第1および第2の位置マーカーは、同じ構造を有することができ、可能な限り離れて(例えば、反対側に)形成される。これにより、特にねじれ(回転)の場合に精度を向上させることができる。
【0022】
実施形態はまた、前述のように、第1のバーニアパターンを有する構造体の積層造形用の装置に関するものである。装置は、第1のバーニアパターンと共に、部品と構造体との間の相対的なオフセットを示すバーニア位置マーカーを形成するように構成された第2のバーニアパターンを有する部品を含む。例えば、部品はプリントヘッドであってもよいし、プリントヘッドの近くのデバイスに取り付けられていてもよい。しかしながら、部品は他の場所(例えば、締結具)に配置することもできる。
【0023】
実施形態はまた、積層造形装置を使用する構造体の積層造形方法に関するものである。この方法は、
第1のバーニアパターンを有する第1の土台構造部を提供するステップと、
第1の土台構造部に電子部品を備え付けるステップと、
第2の土台構造部を積層造形するステップであって、第2のバーニアパターンが、第2の土台構造部上に製造されるか、または積層造形装置上に形成される、ステップと、
第1のバーニアパターンと第2のバーニアパターンから形成された位置マーカーによって、第1の土台構造部と第2の土台構造部との間の相対的なオフセットを示すステップとを含む。
【0024】
任意選択で、第1の土台構造部を提供するステップは、第1のバーニアパターンと共に第1の土台構造部を積層造形するステップを含む。第1の土台構造部を備え付けるステップは、積層造形された第1の土台構造部を積層造形装置から除去するステップと。第1の土台構造部に電子部品を備え付けるステップと。電子部品と共に第1の土台構造部を積層造形装置に再挿入するステップとを含むことができる。
【0025】
任意選択で、この方法は、位置マーカーを使用してオフセットを決定するステップを含む。決定するステップは、光学式センサまたはカメラによって光学的に実行することができ、透照またはレーザースキャンを含むことができる。決定するステップはまた、またはさらに、電気信号によって、すなわち、抵抗、静電容量、共振、インダクタンスなどの測定を介して、実行することができる。
【0026】
任意選択で、第2の土台構造部の積層造形は、オフセットの決定後にのみ終了する。閾値を超えた場合は、補正することができる。
【0027】
実施形態は、バーニアの原理に基づく位置マーカーを使用することによって、最初に述べた問題の少なくとも一部を解決し、その目的のために、2つのパターンが両方の土台構造部に導入される。バーニアは、互いの上部にある2つの単純なマーカーを見ることによって可能となるものよりも、位置ずれのはるかにより正確な判断を可能にする。
【0028】
構造体は、例えば、積層造形された回路キャリア(例えば、プリント回路基板)である。実施形態によれば、印刷プロセスは、例えば電子部品を、追加するために中断することができ、正確に同じ場所で続行される。実施形態はまた、品質保証プロセスが続行された印刷の精度を検証することを可能にする。
【0029】
本発明の実施形態は、以下の詳細な説明の参照によって、および様々な実施形態の添付の図面によって、よりよく理解されるが、これらは、開示を特定の実施形態に限定するものとして解釈されるべきではなく、単に説明および理解のためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態に係る積層造形された構造体の概略図を示している。
図2A】不透明な構造体および2次元位置決定のためのさらなる実施形態を示している。
図2B】不透明な構造体および2次元位置決定のためのさらなる実施形態を示している。
図2C】不透明な構造体および2次元位置決定のためのさらなる実施形態を示している。
図3】さらなる実施形態に係るバーニアグリッドのより詳細な図を示している。
図4】土台構造部のバーニアグリッドの可能な配置を示している。
図5】位置精度の電気的読み出しの一実施形態を示している。
図6】実施形態に係るプロセスの概略フロー図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、一実施形態に係る積層造形された構造体の概略図を示し、構造体は、複数の土台構造部10、20と、少なくとも1つの電子部品15と、バーニア式の位置マーカー30とを含む。土台構造部10、20は、電子部品15が2つの土台構造部10、20に埋め込まれるように上に第2の土台構造部20が積層造形された第1の土台構造部10を含む。
【0032】
例えば、電子部品15は、第1の土台構造部10上に、または第2の土台構造部15上にも取り付けるか、または設置することができる。通常、これはまた、積層造形に使用される装置内(例えば、組立機内)で行われる。
【0033】
バーニア式の位置マーカー30は、相対オフセットを検出するように構成され、オフセットは、以下のもの:第1の水平方向Xおよび/または第2の水平方向Yに沿った変位、鉛直軸Z(積層造形方向)の周りのねじれのうちの少なくとも1つを含み得る。例として、位置マーカー30は、第1の土台構造部10上の第1のバーニアパターン310と、第2の土台構造部20上の第2のバーニアパターン320とを含む。
【0034】
この実施形態では、第1および第2のバーニアパターン310、320はそれぞれ、例として、異なる線間隔を有する線目盛りを含み、その結果、第2の土台構造部20に対する第1の土台構造部10の変位を検出することができる。例えば、線目盛り310、320の第1の線が一致する場合、オフセットはないが、2つの線目盛り310、320の他の線が一致する場合、示されている線のどちらが互いに一致するかに応じて、対応するオフセットが存在する(バーニアの原理)。
【0035】
図1には、X方向およびY方向の両方のオフセットを検出するための2組のバーニアパターン310、320が示されている。さらなる実施形態において、示される位置マーカー30は、第1の位置マーカーであり、第2の位置マーカーは、より離れた位置に形成することができる。これは、特にねじれに関して、より良好な精度を提供する。そのような角度ずれを可能な限り正確に検出するために、第2の位置マーカーは同一のマーカーとすることができ、好ましくは例示的な基板上に遠距離で形成することができる。
【0036】
したがって、図1は、位置マーカー30が、異なるグリッド間隔を有する2つの重ねられたバーニアクロス310、320を含む単純な一実施形態を示している。
【0037】
線目盛り310、320は、上下に配置することもでき、その場合、位置マーカー30の位置に(ほぼ)透明な材料を使用してオフセットを検出するか、または電気的検出を実行することができる(以下を参照)。これもまた、ねじれの検出を容易にする。
【0038】
視差誤差を最小限に抑えるために、第1のバーニアパターン310を、下部の第1の土台構造部10の上面の近くまたは上面上に配置することができる。次に、第2のバーニアパターン320が、上部の第2の土台構造部20の下面に取り付けられる。したがって、垂直線を上から、つまりXY平面上で見ることにより、(例えば、カメラシステムまたは肉眼を使用して)位置ずれの正確な検証を決定できる。
【0039】
誘電体(構造体、基板の非導電部分)が透明な材料を有する場合、この制御は印刷プロセス中に決定できる。材料が不透明な場合は、後で制御を行うこともできる。
【0040】
図2Aは、透明性のない(不透明な)構造体に特に適した別の一実施形態を示している。ここで、位置マーカー30は、第1の土台構造部10および第2の土台構造部20の側面にバーニアパターン310、320を含み、側面は、構造体の完成後に構造体の横方向(XまたはY方向)の境界を提供する。
【0041】
位置マーカー30は、積層造形された構造体の完成後でもここに見ることができ、位置マーカー30は、第1の土台構造部10上で、例示的なY方向に沿った例示的な第1のバーニア目盛り312aおよびX方向に沿った第1のバーニア目盛り312bを示す。同様に、第2のバーニア目盛り312a、312bは、第2の土台構造部20上のXおよびY方向に沿って形成される。Y方向の第1および第2のバーニア目盛り312a、322aは、Y方向のオフセットを検出するためのYバーニアを形成する。X方向の第1および第2のバーニア目盛り312a、322aは、X方向のオフセットを検出するためのXバーニアを形成する。さらなる位置マーカーを他の側面に提供してもよい。
【0042】
透明性のない素材に適していることに加えて、この位置マーカーのために基板スペースが消費されない。さらに、バーニアパターン310、320は、いくつかまたはすべての側面に形成することができるので、ねじれも非常に正確に検出することができる。
【0043】
自動監視には、より高度な形態の単純位置マーカー30が適している。ここでは、目盛りの代わりに、グリッドの形態のクロスパターンが使用され、これは、バーニアグリッドとも呼ばれ、グリッド間隔またはメッシュ幅は、所望の解像度を実現するために特別に設定される。これらのグリッドは、ずれを判定するために、(例えば、カメラによる)自動画像評価を実行し、明るい領域、または明るい領域を囲む暗いフレームを探すのに適している。
【0044】
図2Bは、そのような位置マーカー30の一実施形態を示しており、第1のグリッド311が第1の土台構造部10上に形成され、第2のグリッド321が第2の土台構造部20上に形成されている。線目盛り312、322と同様に、グリッド間隔は同一ではないが、重ね合わせたときに2つのグリッド311、321間の相対オフセットが見られるようにわずかにスケーリングされている。それは、長方形のグリッドである必要もない。それは、三角形またはハニカム(六角形)であってもよい。
【0045】
図2Bの左側には、2つの格子の中央の一致が見られ、右側には、第2の土台構造部20の左下へのシフトが見られる。2つの格子が完全に一致している場合(位置差がゼロに等しい場合)、明るい領域を格子の正確に中央に配置できる。ずれの場合、この明るい領域は、X方向とY方向の比例的なずれに応じて2つのエッジのいずれかにシフトする。
【0046】
グリッドパターン311、321はそれぞれ、グリッド311、321が1グリッド周期を超える分だけ互いにオフセットされているかどうかを判定するために使用することができる外部マーカー315、325をさらに含む。例えば、中心線325が線315によって与えられる領域の外側にある場合、グリッド間隔の倍数のオフセットが存在する。この目的のために、2本の線315の間隔は、関連するグリッド311、321の周期のちょうど2倍である。中心線325は、例えば、2つの線315が第1のグリッド311に関連付けられ得ると同時に、第2のグリッド321に関連付けられ得る。例えば、それらの間隔は、第1のグリッド311のグリッド間隔の2倍とすることができる。しかしながら、割り当てはまったく逆の方法とすることもできる。
【0047】
図2Cは、0°~5°の例示的な格子パターン311、312の相対的なねじれの一例を示している。したがって、重ね合わされた格子パターンの変化により、相対的なねじれを決定することもできる。これは、輝度分布の純粋なシフトにはならない。モアレ効果により、追加の局所強度の最大値が生成され、その配置から相対的なねじれ角を読み取ることができる。これらの追加の強度最大値の位置(例えば、中心の位置)から、相対的なねじれ角を読み取ることができる。この関係は、計算され得るか、または具体的なパターンの較正によって簡単に決定され得る。個々の強度の最大値の位置と角度を評価することに加えて、エッジに対する強度の最大値の接続線の、参照面(例えば、マーカー、基本構造、またはプリンタ)に対する角度を評価することもできる。
【0048】
例示的なバーニア格子311,321のサイズは、光学的検査または目による分析を可能にするように選択することができる。例えば、サイズを10×10mmとすることができる。実施形態によれば、バーニアパターン310、320を使用して、少なくとも±0.5mmのXおよびY方向のずれを検出することができる。しかしながら、さらなる実施形態は、はるかに優れた分解能を可能にする。例えば、±0.05mmの測定精度を達成でき、両方向のずれを検出できる。例えば、バーニアグリッドのグリッド間隔(またはメッシュサイズ)の値は1/10mm(100μm)で、幅のより狭いメッシュのバーニアグリッドの値は1/9mm(111μm)とすることができる。
【0049】
しかしながら、グリッドのサイズとグリッド間隔は、予想されるずれに応じて自由に選択または設定できる。
【0050】
次の寸法は、目で見たときに有利であることが判明している。
グリッドサイズ:10mm
線数:20
グリッド間隔:小 500μm
グリッド間隔:大 525μm
線幅:0.15mm
【0051】
これらのパラメータは、1つの可能な実施形態のみを表す。特に、他の寸法は、光学式センサ(例えば、カメラ)によるオフセットの自動検出のために選択することができ、これは、例えば、センサ(例えば、カメラの解像度)に依存する。
【0052】
図3は、実施形態に従って使用することができる場合のバーニアグリッド311、321の空間図を示している。以下の図3では、第1のバーニアグリッド311が、例示的に第1の土台構造部10上に形成することができるので、最初に示されている。第1のバーニアグリッド311は、第2の土台構造部20に対して第1の土台構造部10のグリッド周期よりも大きいオフセットを検出するように構成された外部マーカーとして、範囲マーカー315を再び含む。第2のバーニアグリッド321もまた、長方形のグリッドパターンを含むが、グリッド間隔がわずかに異なるため、バーニアの原理に従ってわずかなオフセットを検出することができる。また、第2のバーニアグリッド321は、外部マーカーとして複数の線マーカー325を含み、第1の土台構造部10が第2の土台構造部20に対して正確に配置される場合、範囲マーカー315の領域内で可能な限り中央に配置される。上の図3は、2つの重ねられたバーニアグリッド311、321の空間図を示している。そして、上面図は、例えば、図2Bに表示されたパターンを示す。
【0053】
すでに説明したように、オフセットの検出は、例えばカメラによって自動的に行うこともできる。例えば、図2Bでは、明るい半透明の領域は、カメラによって高い光強度の領域として検出することができる。評価ユニットは、明るい領域(=最大強度)が中央にあるかシフトしているかを判定することもできる。大きなシフトは、外側のコントロールマーク315、325を介してカメラで検出することもできる。この目的のために、カメラは画像上の輝度分布を検出するように設計することができる。第2の土台構造部20に対して第1の土台構造部10の変位がある場合、透明度の最大値は、位置決めが正確である(例えば、中央に配置される)場合に期待される場所ではなく、2つの土台構造部10、20のオフセットを示す方向に相対的にシフトした場所となる。
【0054】
図4は、それぞれ第1の土台構造部10および第2の土台構造部20における図3のバーニアグリッド311、321の可能な配置を示している。図4の下部では、第1の土台構造部10は、それらのそれぞれの配置をよりよく示すために、第2の土台構造部20から変位されている。第2の土台構造部20は、第1の土台構造部10上に積層造形されるので、それらは一般的には分離可能ではないことが理解される。
【0055】
例えば、積層造形では、第1のバーニアグリッド311は、第1の土台構造部10の上面110上に形成され、第2のバーニアグリッド321は、第2の土台構造部20の下面210上に形成され、ここで「上」および「下」などの用語は、製造方向によって定義され得る。これにより、第1のバーニアグリッド311と第2のバーニアグリッド321を可能な限り互いに近づけることができるので、視差誤差を最小限に抑えることができる。さらなる実施形態によれば、これは、それぞれ図1および図2Aのバーニア目盛りに対しても行われる。また、視差誤差を最小限に抑えるために、第1の土台構造部10の上側および第2の土台構造部20の下側にそれぞれバーニア目盛り312、322を形成することが可能である。
【0056】
上記の図4では、完成した構造体が、第2の土台構造部20の下に製造された第1の土台構造部10と、互いに隣接する2つのバーニアグリッド311、321と共に示されている。
【0057】
しかしながら、位置ずれは光学的測定法で読み取る必要はない。それは電気的検出を介して行うこともできる。
【0058】
図5は、オフセットの検出が、パターンのオフセットを検出することによって光学的に行われるのではなく、電気的測定によって行われる、対応する実施形態を示している。例えば、グリッド311、321または線目盛り312、322は、導電性要素によって実装することができる。重なり合う量に応じて、送信信号の電気抵抗または静電容量が変化する。したがって、電流の最大値(=電気抵抗の最小値)は、例示的なバーニア目盛り312、322の個々の要素が最大に整列している(最大に重なっている)場所に正確になる。これは、図4(右側を参照)の位置Pの場合である。そこでは、線要素311p、322pが線に沿って整列されている。
【0059】
この最大導電率の位置は、電子回路によって決定することができ、第2の土台構造部20が第1の土台構造部10からオフセットされる程度を示す。位置マーカー30がどのように較正されるかに応じて、特定の線(例えば、中心)での位置合わせは、正確な位置決めを示すことができ、一方、いずれかの側の各線は、オフセットの増加を示すことができる。
【0060】
電気抵抗を測定せずに、容量測定または誘導測定を行うことも可能である。一般的に、インピーダンスを測定することができ、それによって、例えば共振周波数のシフトによって、最小の変化を測定することができる。
【0061】
接触は、外壁(例えば、図5の端面)を介して行うことができ、バーニアパターン310、320は、外壁への電気的接続を確立する導電性トラックを介して接触される。この場合の外壁は、上面および下面だけでなく、側面であってもよい。したがって、マッピングはすべての接点にわたって実行される。その後、最大導電率を自動的に決定できる。バーニア線/グリッドの目視検査と同様に、最大値の位置は相対オフセットを表す。このような測定では、両方向のオフセットがオーバーラップの変化をもたらすため、両水平方向X、Yのオフセットが可能であることが理解される。精度を上げるために、両方向にドットパターンを形成し、両方向にスケーリングしてバーニア効果を実現することができる。
【0062】
さらなる実施形態によれば、少なくとも1つのバーニアパターン310、320は、製造される構造体に統合されないが、(おそらく複数の基板に対する)印刷ジョブ全体の監視を可能にする別個の物体として形成される。例えば、2つのバーニアパターン310、320のうちの1つは、第1の土台構造部10または第2の土台構造部20に形成されなくてもよいが、積層造形用の装置上に存在する。したがって、第1のバーニアパターン310は、例えば、最初に、第1の土台構造部10上に(例えば、側面上に)形成され得る。次に、第1の土台構造部10を製造装置から取り外して、電子部品15を取り付けることができる。電子部品15と共に第1の土台構造部10を積層造形装置に挿入した後、例えば、製造装置のプリントヘッド上のバーニアパターン320を使用して、印刷装置に対する向きが依然として要望通りであるかどうか、または第1の土台構造部10上に第2の土台構造部20を高精度に積層造形するために補正されるのがよいかどうかを決定することができる。
【0063】
この目的のために、積層造形装置に個別の較正目盛りを提供することもでき、これは、繰り返しの位置測定に適している。例えば、3つ以上の土台構造部が上下に製造され、電気部品がピックアンドプレース機によってそれぞれの土台構造部の間に挿入される場合、オフセットは、土台構造部が積層造形装置に再挿入されるたびに、既存の位置マーカー30によって検出することができる。
【0064】
図6に構造体を製造するための概略フロー図を示す。製造される構造体は、特に、回路キャリアまたはプリント回路基板とすることができ、例えば、3D電子システムの一部を形成する。このプロセスは、
土台構造部に第1のバーニアパターンを提供するステップS110であって、前記提供するステップは、特に積層造形を含むことができる、提供するステップS110と、
電子部品を土台構造部に備え付けるステップS120と、
最終(または第2)の土台構造部を積層造形するステップS130とを含む。
【0065】
第2のバーニアパターンは、最後の土台構造部上に製造されるか、または積層造形装置上にすでに存在する。第1のバーニアパターンと第2のバーニアパターンは、土台構造部間の相対的なオフセットを示すための位置マーカーを形成する。
【0066】
任意選択で、この方法は、
位置マーカーを使用してオフセットを決定するステップS122と、
決定されたオフセットを補正するステップS124とをさらに含む。
【0067】
次に、このプロセスは、別の土台構造部の製造(印刷)を継続することができ、各ループを通過する間に補正が行われる。最も単純なケースでは、第1の土台構造部10のみが製造/準備され、その上に第2の土台構造部20が印刷される。
【0068】
特に、第1の土台構造部10を積層造形するステップにおいて、第1の土台構造部10は、第1の土台構造部10内またはその上の第1のバーニアパターン310と共に製造される。第1の土台構造部10はまた、第1のバーニアパターン310が従来の製造プロセスで導入された、(未実装、部分的に実装、または完全に実装され得る)従来の方法で製造された回路基板とすることができる。例えば、従来の方法で製造された回路キャリアは、例えば、FR4(エポキシ樹脂およびグラスファイバー)、ポリマー、またはセラミックスで作製された回路基板であり得る。
【0069】
すでに説明したように、さらなる実施形態によれば、第1の土台構造部10上での第2の土台構造部20の製造は、すぐには行われなくてもよい。第1の土台構造部10は、電子部品15と取り付けるために製造装置から取り外すことができる。再挿入後、起こり得るオフセットが最初に検出され、検出されたオフセットの補正が行われてから、さらに印刷することができる。具体的には、電子部品15を備え付けた後、第2のバーニアパターン320を有する第2の土台構造部20の部分を、第1の土台構造部10上にまず製造することができる。次に、相対的な不整合が決定される。次に、印刷の向きまたはオフセットの任意選択の補正が実行される。最後に、第2の土台構造部20が完成する。印刷ジョブが完了する前にこの再調整は、検出された位置のずれによる不十分なビアを回避できるという利点を提供する。
【0070】
第1の土台構造部10に少なくとも1つの電子部品を備え付けることは、一般的に、3Dプリンタの外部で実行される。しかしながら、3Dプリンタ内部で行うこともできる。どちらの場合も、印刷プロセスの中断は、とりわけ、熱ゆらぎを引き起こし、したがって急激な位置のずれを引き起こす。位置マーカー30を使用する実施形態の例に係る位置決めは、それに応じて、後続のプロセス(例えば、ピックアンドプレースアセンブリ)を較正するために使用することもできる。位置オフセットの決定はまた、例えば、さらに熱的に誘発される位置ずれを最小限に抑えるために、第2の土台構造部20のさらなる印刷の直前に行うこともできる。
【0071】
位置オフセットを決定するためのこれまでに述べた測定方法は、以下のように具体的に実施することができる。
【0072】
A.光学的測定法
第1のバーニアパターン310上への第2のバーニアパターン320の印刷。プリントヘッドとワークピースとの衝突を排除するために、プリントヘッドの最下点から印刷面までの距離を、印刷プロセスの層の厚さよりもかなり大きく選択することができる。この目的のために、実施形態によれば、プリントヘッドの高さオフセットが考慮に入れられる。その後、位置オフセットを光学的に検出することができる。
【0073】
B.電子的測定法
異なるオーバーラップから生じる異なる電気抵抗は、電気的に直接測定することができる。また、静電容量/インダクタンスの測定を行うこともできる。この目的のために、測定ずれの容量検出または誘導検出のための測定装置を、好ましくはプリントノズルの近くで、プリントヘッドに取り付けることができる。容量測定方法および誘導測定方法は当業者に知られており(例えば、キャリパーの場合)、それらの精度は±0.02mm=±20μmである。この精度は、600dpi(25.4mm/600=42.3μm)の範囲で既知の3Dプリンタのプリンタ解像度のレベルで測定精度をもたらす。このように測定精度は1画素幅の範囲であるため、測定方法は十分に正確である。設置スペースをできるだけ少なくするために、位置マーカー30の導電体を、例示的な回路キャリアの側面の近くに取り付けることができる。XおよびY方向の位置ずれを検出するために、好ましくは互いに直角に配置された2つの測定システムを提供することができる。
【0074】
実施形態によれば、測定された値(オフセット)は、リニアエンコーダによって記録することができる。低電力要件の場合、リニアエンコーダは容量的に動作し、程度は少ないが誘導的に動作する場合もある。容量検出のために、コンデンサのプレートを形成する導電体トラックの形態の周期的に配置されたパターン(例えば、第1のバーニアパターン310)を使用することができる。対向して配置された金属ストリップ(例えば、第2のバーニアパターン320)によって、信号は、制御電子機器によって形成されるいくつかの異なるパルス幅変調された方形波信号で生成される。このように形成されたパターンの相対位置に応じて、幾何学的配置の異なる容量結合は、受信電極で異なる信号特性をもたらす。デジタル信号処理により、第1のバーニアパターン310および第2のバーニアパターン310の正確な相対位置を決定し、出力することができる。
【0075】
使用する方法とリニアエンコーダには、様々な手順と実装タイプがある。物理的原理(容量性および誘導性)に加えて、採用されているリニアエンコーダは、相対エンコーダと絶対エンコーダに大別できる。相対リニアエンコーダの場合、測定前にゼロ点の調整(較正)が行われる。次に、オフセットは、電子機器のカウンターによってこのゼロ点に対して決定される。この場合、電子機器によって、例えば、CMOS回路技術によって消費されるエネルギーはごくわずかであるため、回路基板上の他の電子部品15への悪影響は予想されない。絶対リニアエンコーダの場合、位置情報はエンコーダが構造化される方式に固定されており、ゼロ調整は不要である。さらなる実施形態によれば、採用されたリニアエンコーダは、シリアルデータインターフェースを有することができ、これは、外部ストレージまたはより大きな外部ディスプレイへの表示のためのオフセットの自動タッピングを可能にするRS-232インターフェースとして実装することができる。
【0076】
位置オフセットが決定されると、最適化された位置パラメータで印刷を続行できる。この目的のために、決定されたオフセットパラメータを印刷プロセスに導入して、位置のずれを補正し、したがって誤印刷のリスクを低減することができる。
【0077】
したがって、位置マーカー30は、3D印刷中の位置オフセットを決定するために使用されるだけではない。むしろ、印刷プロセスの中断によって引き起こされた決定された位置のずれも、さらに印刷する前に補正する必要がある。これにより、後の良い/悪いチェックだけでなく、ジョブオンジョブの精度を能動的に高めることができる。
【0078】
さらなる実施形態によれば、位置マーカー30またはその位置は、マーカーの発見を単純化するために、さらなるマーカーに符号化することができる。さらなるマーカーは、QRコード(登録商標)と同様の自動検出を可能にすることができ、符号化された情報は、デバイスを位置マーカー30の位置に向かって自動的に案内する。
【0079】
本明細書、特許請求の範囲、および図に開示された本発明の構成は、個別にまたは任意の組み合わせのいずれかで本発明を実現するために不可欠であり得る。
【符号の説明】
【0080】
10 第1の積層造形された土台構造部
110 第1の土台構造部の上側
15 少なくとも1つの電子部品
20 第2の積層造形された土台構造部
210 第2の土台構造部の下側
30 バーニア式の位置マーカー
310、320 バーニアパターン
311、321 バーニアグリッド
312、322 バーニア目盛り
315、325 外部マーカー
Z (鉛直)製造方向
X、Y 製造方向に垂直な(水平)方向
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】