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  • 特開-キャリブレーションシステム 図1
  • 特開-キャリブレーションシステム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015916
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】キャリブレーションシステム
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/46 20060101AFI20220114BHJP
   G01J 3/52 20060101ALI20220114BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20220114BHJP
   G09G 5/02 20060101ALI20220114BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
G01J3/46 Z
G01J3/52
G09G5/00 X
G09G5/00 550C
G09G5/02 Z
G09G5/36 520L
G09G5/00 555D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020119083
(22)【出願日】2020-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】518120603
【氏名又は名称】株式会社FINEMECH
(72)【発明者】
【氏名】平岩 一美
【テーマコード(参考)】
2G020
5C182
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA05
2G020DA32
2G020DA63
2G020DA65
5C182AB02
5C182AB08
5C182AC03
5C182AC12
5C182BA01
5C182BA06
5C182BA14
5C182BA26
5C182BA75
5C182BC22
5C182BC25
5C182CA42
5C182CC01
5C182CC21
5C182CC27
5C182DA41
5C182DA70
(57)【要約】
【課題】専用の測色センサーを用いることなく、モニターの簡便なカラープロファイル作成システムを得ること。
【解決手段】PC10と、該PC10から発出される信号に基づいて情報を表示するモニター12と、デジタルカメラ14と、を備えた前記モニター12のキャリブレーションシステムであって、PC10から発出した基準データをモニター12に表示させ、モニター12の表示画像をデジタルカメラ14で撮影して評価画像データを得て、該評価画像データと基準データとを比較することによって、PC10とモニター12との間の新カラープロファイルを作成するようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルコンピューターから発出される信号に基づいて情報を表示するモニターと、
デジタルカメラと、を備えた前記モニターのキャリブレーションシステムであって、
前記パーソナルコンピューターから発出した基準データを前記モニターに表示させ、前記モニターの表示画像を前記デジタルカメラで撮影して評価画像データを得て、該評価画像データと前記基準データとを比較することによって、前記パーソナルコンピューターと前記モニターとの間の新カラープロファイルを作成することを特徴としたキャリブレーションシステム。
【請求項2】
前記基準データが、複数の色で構成された矩形または円形または楕円形のカラーチャートであって、該カラーチャートに前記デジタルカメラが認識可能な複数の検出点を有することを特徴とする請求項1に記載のキャリブレーションシステム。
【請求項3】
前記パーソナルコンピューターが、前記デジタルカメラと前記モニターを同じ側面に一体的に備え、前記モニターの表示画像を鏡面に反射させて前記デジタルカメラで撮影することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のキャリブレーションシステム。
【請求項4】
前記モニターに子画面を設けて、前記デジタルカメラで撮影しようとする画像を前記子画面に表示させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のキャリブレーションシステム。
【請求項5】
前記デジタルカメラが、合焦して前記検出点を認識した時点で自動的に前記評価画像を得ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のキャリブレーションシステム。
【請求項6】
前記パーソナルコンピューターの前記デジタルカメラが、前記パーソナルコンピューターとは別のパーソナルコンピューターが備えるモニターのキャリブレーションを行い、前記パーソナルコンピューターと前記別のパーソナルコンピューター同士が無線でデータ授受可能としたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のキャリブレーションシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォンなどのデバイスを含むパーソナルコンピューター(以下、「PC」と記述する)が発出するデータを表示するモニターの、表示する色の正確さを校正するキャリブレーションシステムに関し、特にモニター(表示画面)とデジタルカメラがセットになったデバイスも含めて、具体的にはソフトウエアキャリブレーションと呼ばれる、PCがモニターに表示を指示する際のカラープロファイルを作成するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デバイスと一体のモニターまたは別体のモニターが表示する色の正確さを校正するキャリブレーションシステムとしては、画像の色を測定する装置(測色センサー)を用いる方法(たとえば、特許文献1参照)が知られている。
【0003】
しかしながら、上記従来のキャリブレーションシステムにあっては、専用の測色センサー(特許文献1の図1に示された測定装置1)を必要とするため、価格が高いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-99265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、モニターが表示する色の正確さを校正するキャリブレーションシステムの価格が高い点である。本発明の目的は、専用の測色センサーを用いることなく、簡便にカラープロファイルを作成可能なキャリブレーションシステムを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のキャリブレーションシステムは、パーソナルコンピューターから発出される信号に基づいて情報を表示するモニターと、デジタルカメラと、を備えた前記モニターのキャリブレーションシステムであって、パーソナルコンピューターから発出した基準データをモニターに表示させ、モニターの表示画像をデジタルカメラで撮影して評価画像データを得て、該評価画像データと基準データとを比較することによって、パーソナルコンピューターとモニターとの間の新カラープロファイルを作成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のキャリブレーションシステムは、一般的な写真撮影に用いるデジタルカメラを、モニター画像の測色センサーとして用いることでカラープロファイルを作成することができるので、低コストかつ簡便にモニターが表示する色の正確さを校正するキャリブレーションシステムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例1に係るキャリブレーションシステムを示したものである。
図2図1の上方から見たパーソナルコンピューターの外観である。
図3】パーソナルコンピューターで実行するキャリブレーションソフトの内容である。
図4】本発明の実施例2に係るキャリブレーションシステムを示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係るキャリブレーションシステムを、実施例に基づき図とともに説明する。
【実施例0010】
図1は、本発明の実施例1に係るキャリブレーションシステムの概要を表した図である。PC10は、一般的なスマートフォンであり図1の上方から見た外観を図2に示す。PC10は、モニター12とデジタルカメラ14とを同一側面に備えている。また、後述するようにモニター12の画面をデジタルカメラ14が撮影するための鏡面16aを有する鏡16を備えている。ここで鏡16は、専用のミラーボックスが備えた鏡であってもいいし、一般的な手鏡または鏡台などの鏡を用いてもよい。なお、後述するカラーチャート12cが、モニター12から鏡面16aで反射してデジタルカメラ14に至るイメージを図1中に2点鎖線で示した。
【0011】
PC10は、図示を省略するCPU(中央演算装置:ハードウエア)およびプログラム(ソフトウエア)を備えており、それらによってモニター12の画面12aに必要な情報や画像を表示するため、モニター12が必要な色で表示するようにカラープロファイルと呼ばれる制御データを備えるとともに、後述するようにキャリブレーションを行う一環として、このカラープロファイルをキャリブレーションで新規に作成されたカラープロファイル(更新データ)に上書きまたは切り替えができるようになっている。
【0012】
PC10は、上記したデジタルカメラ14などのほかにバッテリーやメモリーなどを備えているが、これらについては周知なのでそれらの詳細の説明は省略する。また、デジタルカメラ14は、周知のように画面12aにタッチ式のシャッターボタン12bを備える他に、図示しないレンズ、画像センサー、合焦機構などを有する。
【0013】
また、PC10のプログラムには、後述するキャリブレーションを行うソフトウエアとともに、基準データとしてカラーチャートのデータを有している。カラーチャートは光の三原色もしくはこれに近い色と無彩色を含む複数の色からなる画像データであって、一例を示すと図2の画面12aに表示させたカラーチャート12cのように16個の正方形のマス目を有する矩形であって、各マス目に前述の複数の色が割り当てられている。カラーチャート12cは、明度の異なる複数のデータを備えておくことが望ましい。
【0014】
また、カラーチャート12cの四隅に白色またはこれに近い色の明るい検出点12d、12e、12f、12gを形成している。なお、12gは上述した16個のマス目のひとつが兼ねている。また、カラーチャート12cの外形は矩形に限ることなく、円や楕円であってもよい。
【0015】
モニター12の画面12aには後述のキャリブレーションのため、画面12aのデジタルカメラ14に近い側に標準データであるカラーチャート12cを表示するとともに、画面12aのデジタルカメラ14に遠い側に設けた子画面12hに、デジタルカメラ14の画像センサーが得た画像データの要部を映し出すことができるようになっている。
【0016】
図2は、子画面12hにデジタルカメラ14が得たカラーチャート12cの映像12gを示している。また、子画面12hにはガイドマーク12kが四隅に表示してあって、鏡16が手に持った手鏡などであった場合に、鏡面16aの位置や角度を調整して、カラーチャート12cの映像12mがガイドマーク12kに合致させやすいようにしている。
【0017】
つづいて実施例1の作用について説明する。はじめに、図1のようにセットされたPC10およびデジタルカメラ14とは、これから説明するキャリブレーションを行うように前記のプログラムが準備されていて、これによって以下の作用を行うものとする。また、鏡16は操作者が手に持った手鏡である場合とし、カラーチャートが複数あるものとする。
【0018】
そして、モニター12の画面12aや鏡面16aに、キャリブレーションの邪魔になる外光が映り込まないように、図1のPC10の周囲に遮光カーテンなどを備えるか、室内の照明を暗くすることが望ましい。この状態で、操作者がシャッターボタン12bにタッチすると、PC10が図3に示したキャリブレーションのプログラムを以下のように実行する。
【0019】
まず、ステップS1で初期化する。つづいて、ステップS2で、キャリブレーションの第一として、画面12aに基準データの第1のカラーチャートを画像として表示させることから始める。このときは、既存のカラープロファイルに基づいて基準データを表示させる。
【0020】
つぎに、ステップS3で、画面12aに表示されたカラーチャート12cの画像を、鏡面16aを介してデジタルカメラ14で写真撮影して、評価画像データを取得する。この際の撮影条件などはあらかじめプログラムに設定されている。
【0021】
このとき、図1のような設定にあっては、デジタルカメラ14の画像センサーが得る画像は、鏡面16aを介しているので、子画面12hに映る矩形のカラーチャート12cの映像12mは台形もしくはそれに近い形であり、これがガイドマーク12kの内側にくるように鏡面16aの位置を調整する。
【0022】
図2に示すように、映像12gがガイドマーク12kの内側に映り、デジタルカメラ14が合焦して検出点12d、12e、12f、12gを認識すると自動的に撮影が行われ、その旨を示す合図として信号音を発するとともに、画面12aに表示する基準データを第2のカラーチャートに切り替えて、第1のカラーチャートと同様に撮影して再び信号音を発する。
【0023】
このようにカラーチャートを切り替えながら撮影する際に、デジタルカメラ14は前述した検出点12d、12e、12f、12gの位置を得るので、これを基にプログラム上でカラーチャート12cに近い矩形に変換して評価画像データにすることができる。
【0024】
つづいて、ステップS4で、デジタルカメラ14で撮影された評価画像データを基準データと比較することで、既存のカラープロファイルに加えるべき修正内容を導き、これを基に新しいカラープロファイルを作成する。これが更新データとしてのカラープロファイルであり、既存のカラープロファイルに代えて用いることで、モニター12はより正確な色で画像表示を行うようになる。
【0025】
この際に、ステップS5で、PC10に備えた既存のカラープロファイルを上書きして変更してしまうこともできるし、既存のカラープロファイルを残したまま更新データのカラープロファイルに切り替えて使用することもできる。そして、ステップS6でリターンする。
【0026】
このようにキャリブレーションが終了した段階で、既存のカラープロファイルと更新データのカラープロファイルとを交互に切り替えて、更新前後のモニター12の発色を比較して見るようにしてもよい。
【0027】
以上説明したように実施例1のキャリブレーションシステムによれば、専用の測色センサーを用いることなく、一般的なデジタルカメラ14を使ってキャリブレーションを行うことができる。したがって、鏡16を既存のもので済ますなら、PC10に所定のプログラムを組み込んでおくだけでキャリブレーションを実行できるので、従来よりも大幅に低コストのキャリブレーションシステムを得ることができる。
【0028】
また、モニター12に表示した複数の色からなる基準データの画像の撮影で、キャリブレーションを行うことができるので、基準データが複数のカラーチャートからなる場合であっても、従来の測色センサーのように狭い範囲の色を測定する場合の、複数の色を順次表示させて都度測色する必要がないため、キャリブレーションに要する時間を短縮できるという効果もある。
【0029】
上記は、PC10を固定して手に持った鏡16の鏡面16aを移動させる例で説明したが、逆に鏡台などの定置された鏡面16aに対して、PC10を手に持ってその位置や角度を図1に示したように調整して行ってもよい。この場合は、子画面12hに映る映像を、操作者が鏡面16aを介して見ながらPC10の位置や角度の調整を行う。
【0030】
さらに、PC10とは別の図示しない相手パーソナルコンピューター(以降、「相手PC」と記述する)およびそのモニターのキャリブレーションを行うことも容易にできる。すなわち、PC10のデジタルカメラ14で相手PCのモニター画面を撮影して、上記した作用と同様にキャリブレーションを行うことができる。
【0031】
この際に、相手PCのソフトウエアに上記のキャリブレーションを許容するプログラムを入れておくとともに、基準データを持たせておいてもよい。また、PC10と相手PCとは有線または無線で連携して行う。
【0032】
このとき、PC10が備えるモニター12と同一側面のデジタルカメラ14とは別に備えるデジタルカメラ、たとえばスマートフォンのモニターと反対側に備えたデジタルカメラで、相手PCのモニター画面を撮影してもよい。
【0033】
上記は、PC10をスマートフォンとして説明したが、このPC10はいわゆるタブレット端末やノート型またはデスクトップ型のコンピューターであってもいいし、一般的なデジタルカメラであってもよい。なお、PC10が一般的なデジタルカメラの場合は、デジタルカメラ自体がCPUおよびプログラムを備えるものとする。
【実施例0034】
次に、本発明の実施例2のキャリブレーションシステムにつき説明する。実施例2の実施例1との違いは、図4に示すように専用のミラーボックス20を用いていて、該ミラーボックス20は第1鏡面16aを有する第1鏡16と第2鏡面18aを有する鏡18の2つを有していることである。なお、第1鏡面16aと第2鏡面18aの大きさ(面積)は、図4にとらわれることなく適切な大きさにすることができる。
【0035】
図4は、図1と同様に要部を示すもので詳細は省略するが、デジタルカメラ14は画面12aを第1鏡面16aと第2鏡面18aを介して撮影可能であり、実施例1のように矩形のチャート12cが台形に写ることはない。
【0036】
なお、図示は省略するがミラーボックス20は、デジタルカメラ14と画面12aおよび第1鏡面16aと第2鏡面18aの全体をほぼ囲むように構成して、あたかも暗室の中で撮影するようにしてある。むろん、このように周囲をあえて囲わないで、PC10がおかれた環境下でキャリブレーションを行って、より現実的な明るさの元で校正を行うこともできる。
【0037】
つづいて、実施例2の作用であるが基本的に実施例1と同様であるので詳細の説明を省略する。
【0038】
実施例2は、専用のミラーボックス20を必要とするが、明るい場所においてあたかも暗室で行うようにキャリブレーションを容易に行うことができるというメリットがある。
【0039】
上記は、一般的なデジタルカメラを用いてモニターのキャリブレーションを行うことを前提に説明したが、これを応用してプリンターに印刷させた基準データをデジタルカメラで撮影して、プリンターのカラープロファイルを更新するカラーキャリブレーションに用いることも可能である。
【0040】
本発明のキャリブレーションシステムは、当業者の一般的な知識に基づいて、上記した構成にとらわれることなく、年々進歩するモニターおよびデジタルカメラの画像センサーやCPUの性能およびソフトウエア技術を生かして用途に応じた改良や工夫をこらした態様で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のキャリブレーションシステムは、写真映像だけでなくビデオ映像やコンピューターゲームなどの表示における色の正確さを向上させることに用いることができる。
【符号の説明】
【0042】
10 パーソナルコンピューター(PC)
12 モニター
12a 画面
12h 子画面
12k ガイドマーク
14 デジタルカメラ
16a 鏡面、第1鏡面
18a 第2鏡面
20 ミラーボックス
図1
図2
図3
図4