(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159170
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】モータ及び電気製品
(51)【国際特許分類】
H02K 11/20 20160101AFI20221006BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H02K11/20
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056963
(22)【出願日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】202110346143.8
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村上 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】三分一 浩司
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5H605BB05
5H605BB10
5H605BB14
5H605CC06
5H605EC20
5H611AA01
5H611AA03
5H611BB01
5H611BB04
5H611PP05
5H611UA04
5H611UB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】センサ部材が軸方向に振動するのを抑制し、センサ部材の安定性が低下するのを抑制する。
【解決手段】モータは、ロータ10とステータ20と、センサ部材30とハウジング40とを備える。ロータ10は、中心軸を中心として回転可能に配置され、シャフト11と、シャフトの周りに配置されたロータコア12とを有する。ステ―タ20は、ロータ10と径方向に対向して配置される。センサ部材30は、少なくとも一部がロータコア12の軸方向一方側に位置する。ハウジング40は、ロータ10、ステータ20、及びセンサ部材30を収容する。センサ部材30は、ロータ10に固定される筒状の固定部と、固定部の軸方向上側から径方向外側に向かって延びる延在部と、を有する。延在部は、ロータコア12の軸方向一方側に位置する。延在部の少なくとも一部とロータ10とは、互いに、軸方向に対向して接触する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心として回転可能に配置され、シャフトと前記シャフトの周りに配置されたロータコアとを有するロータと、
前記ロータと径方向に対向して配置されたステータと、
少なくとも一部が前記ロータコアの軸方向一方側に位置するセンサ部材と、
前記ロータ、前記ステータ、及び前記センサ部材を収容するハウジングと、
を備えるモータであって、
前記センサ部材は、前記ロータに固定される筒状の固定部と、前記固定部の軸方向上側から径方向外側に向かって延びる延在部と、を有し、
前記延在部は、前記ロータコアの軸方向一方側に位置し、
前記延在部の少なくとも一部と前記ロータとは、互いに、軸方向に対向して接触する、モータ。
【請求項2】
前記延在部の少なくとも一部と前記ロータコアとは、互いに、軸方向に対向して接触する、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記固定部の少なくとも一部と前記ロータコアとは、互いに、径方向に重なる、請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記ロータコアにおける軸方向一方側の端面である上面には、軸方向他方側に向かって凹んだ第1の凹部が形成され、
前記固定部の少なくとも一部は、前記第1の凹部に挿入されて前記ロータコアに対して締まり嵌めされている、請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
前記ロータコアにおける軸方向他方側の端面である下面には、軸方向一方側に向かって凹んだ第2の凹部が形成され、
前記第2の凹部と前記第1の凹部とは、互いに、軸方向に対向する、請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記固定部における前記ロータコアと径方向に重なる部分の外周部と前記ロータコアの内周部とは、互いに、締まり嵌めによって固定されており、
前記延在部における前記固定部と連結されている部分は、軸方向において前記ロータコアとの間に間隔を有する、請求項3に記載のモータ。
【請求項7】
前記センサ部材は、
前記延在部の径方向外側から軸方向一方側に向かって延びる連結部と、
前記連結部の軸方向一方側から径方向外側に向かって延び、周方向において等間隔に複数のギャップが形成された検知部と、
をさらに有し、
前記延在部における前記ロータと軸方向に接触する部分は、前記連結部の径方向内側に位置する、請求項1~6のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のモータを有する、電気製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、モータ及び電気製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のように、従来のモータ構造においては、センサ部材とロータとが径方向に位置決めされて固定されているが、軸方向における位置決め及び固定はされていない。
【0003】
技術的背景についての上記の説明は、本願発明の技術的解決策について明確且つ十全に説明するとともに、当業者の理解を容易にするために叙述したものであるに過ぎないことには留意しなければならない。これらの解決策が本願発明の背景技術部分において叙述を行っていることのみを理由に、上記の技術的解決策が当業者にとって公知であると見なしてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
センサ部材が軸方向において位置決め及び固定がされていないため、モータが高速回転している場合又は衝撃を受けた場合に、センサ部材における検知部位が軸方向に振動し易い。
【0006】
上記課題又は他の類似した課題を解決するため、本願発明の実施例は、モータ及び電気製品を提供する。
【0007】
本願発明の実施例の1つによれば、 中心軸を中心として回転可能に配置され、シャフトとシャフトの周りに配置されたロータコアとを有するロータと、ロータと径方向に対向して配置されたステータと、少なくとも一部がロータコアの軸方向一方側に位置するセンサ部材と、ロータ、ステータ、及びセンサ部材を収容するハウジングと、を備えるモータであって、センサ部材は、ロータに固定される筒状の固定部と、固定部の軸方向上側から径方向外側に向かって延びる延在部と、を有し、延在部は、ロータコアの軸方向一方側に位置し、延在部の少なくとも一部とロータとは、互いに、軸方向に対向して接触するモータを提供する。
【0008】
本願発明の1つの実施例では、延在部の少なくとも一部とロータコアとは、互いに、軸方向に対向して接触する。
【0009】
本願発明の1つの実施例では、固定部の少なくとも一部とロータコアとは、互いに、径方向に重なる。
【0010】
本願発明の1つの実施例では、ロータコアにおける軸方向一方側の端面である上面には、軸方向他方側に向かって凹んだ第1の凹部が形成され、固定部の少なくとも一部は、第1の凹部に挿入されてロータコアに対して締まり嵌めされている。
【0011】
本願発明の1つの実施例では、ロータコアにおける軸方向他方側の端面である下面には、軸方向一方側に向かって凹んだ第2の凹部が形成され、第2の凹部と第1の凹部とは、互いに、軸方向に対向する。
【0012】
本願発明の1つの実施例では、固定部におけるロータコアと径方向に重なる部分の外周部とロータコアの内周部とは、互いに、締まり嵌めによって固定されており、延在部における固定部と連結されている部分は、軸方向においてロータコアとの間に間隔を有する。
【0013】
本願発明の1つの実施例では、センサ部材は、延在部の径方向外側から軸方向一方側に向かって延びる連結部と、連結部の軸方向一方側から径方向外側に向かって延び、周方向において等間隔に複数のギャップが形成された検知部と、をさらに有し、延在部におけるロータと軸方向に接触する部分は、連結部の径方向内側に位置する。
【0014】
本願発明の実施例によれば、前述のいずれか1つの実施例に記載のモータを有する電気製品を提供する。
【0015】
本願発明の実施例では、延在部の少なくとも一部とロータとを軸方向に接触させることによって、センサ部材が軸方向に位置決め及び固定され、センサ部材が軸方向に振動するのを抑制し、センサ部材の安定性が低下するのを抑制することができる。
【0016】
後述の説明及び図面を参照すると、本願発明の特定の実施形態を詳細に開示しており、本願発明の原理が採用され得る形態を明示している。本願発明の実施形態は、特許請求の範囲内において、多くの変更、修正及び均等を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、第1の実施例のモータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照すると、以下の明細書によって、本願発明の前述の特徴及びその他の特徴が明確になる。本願発明を採用可能な一部の実施形態を示している、本願発明の特定の実施形態を、明細書及び図面において具体的に開示している。本願発明は、明細書に開示された実施形態に限定されない。本願発明は、添付された特許請求項の範囲に該当するすべての修正、変形及び均等物を含む。
【0019】
本願発明の実施例においては、「及び/又は」という用語は、関連して列挙される用語の1種又は複数のうちのいずれか1つ及びすべての組み合わせを含む。「を含む」、「を備える」、「を有する」等の用語は、申し述べる特徴、要素、部品又はアセンブリの存在を指すが、1つ又は複数の他の特徴、要素、部品又はアセンブリが存在するか又はそれらを添加することを排除しない。
【0020】
本願発明の実施例においては、「一」、「該」等の単数形は複数形を含んでいてよく、「一種の」又は「一タイプの」であると広義に理解するべきであり、「1つの」という意味合いに限定するものではない。また、「前記」という用語は、前後で別途明示されていない限り、単数形も複数形も含む。また、前後で別途明示されていない限り、「によれば」という用語は「少なくとも部分的に……によれば」と理解するべきであり、「に基づいて」という用語は、「少なくとも部分的に……に基づいて」と理解するべきである。
【0021】
なお、本願発明の説明においては、説明の都合のために、モータの中心軸Oに沿って延びる方向又はそれと平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。軸方向のうち、モータハウジングの底部からモータハウジングの開口を指向する方向を「上方」又は「上側」又は「軸方向上側」又は「軸方向一方側」と呼び、モータハウジングの開口からモータハウジングの底部を指向する方向を「下方」又は「下側」又は「軸方向下側」又は「軸方向の他側」と呼ぶ。中心軸Oを中心とする半径方向を「径方向」と呼ぶ。径方向のうち、中心軸Oに近づく方向を「径方向内側」と呼び、中心軸Oから遠ざかる方向を「径方向外側」と呼び、中心軸Oを取り囲む方向を「周方向」と呼ぶ。ただし、これらは説明の都合のための定義であるに過ぎず、モータの使用及び製造時の向きを限定しない。
【0022】
以下、図面を参照し、本願発明の実施例について説明する。
【0023】
<第1の実施例>
【0024】
第1の実施例はモータを提供する。
【0025】
図1は第1の実施例のモータの斜視図であり、
図2はモータの断面図である。
図1及び
図2に示すように、モータは、ロータ10とステータ20とセンサ部材30とハウジング40とを備える。ロータ10は、中心軸Oを中心として回転可能に配置されている。ロータ10は、シャフト11と、シャフト11の周りに配置されたロータコア12と、を有する。ステ―タ20は、ロータ10と径方向に対向して配置されている。センサ部材30は、少なくとも一部がロータコア12の軸方向一方側に位置している。ハウジング40は、ロータ10、ステータ20、及びセンサ部材30を収容している。
【0026】
図3はセンサ部材30の斜視図であり、
図4はセンサ部材30の平面図であり、
図5はセンサ部材30の断面図である。
図3~
図5に示すように、第1の実施例において、センサ部材30は、ロータ10に固定される筒状の固定部31と、固定部31の軸方向上側から径方向外側に向かって延びる延在部32と、を有している。延在部32は、ロータコア12の軸方向一方側に位置する。延在部32の少なくとも一部とロータ10とは、互いに、軸方向に対向して接触している。なお、延在部32におけるロータコア12と接触する部分を接触部P1と示す。
【0027】
第1の実施例によれば、センサ部材30の延在部32の少なくとも一部とロータ10とを軸方向に接触させることによって、センサ部材30が軸方向に位置決め及び固定され、センサ部材が軸方向に振動するのを抑制し、センサ部材30の安定性が低下するのを抑制することができる。
【0028】
第1の実施例においては、
図2に示す通り、固定部31がロータコア12に固定されている。ただし、固定部31は、ロータ10のシャフト11に固定されていてもよく、固定部31が固定される具体的な固定方式については、本願発明において限定されない。
【0029】
第1の実施例では、
図2に示すように、延在部32の接触部P1とロータコア12とは、互いに、軸方向に対向して接触している。これにより、センサ部材30の安定性を高めることができる。
【0030】
第1の実施例では、
図2に示すように、固定部31の少なくとも一部とロータコア12とは、互いに、径方向に重なる。なお、固定部31におけるロータコア12と径方向に重なる部分をオーバーラップ部P2と示す。径方向から見ると、固定部31のオーバーラップ部P2がロータコア12を投影した範囲内に収まる。これにより、センサ部材30をロータコア12に接触させ易く、且つ、モータの軸方向の寸法を小さくすることができる。
【0031】
第1の実施例において、
図2に示すように、ロータコア12の軸方向一方側の端面である上面には、軸方向他方側に向かって凹んだ第1の凹部121が形成されている。固定部31のオーバーラップ部P2は、第1の凹部121に挿入されてロータコア12に対して締まり嵌めによって固定されている。これにより、センサ部材30とロータ10とは、径方向において、互いに位置決めされている。
【0032】
第1の実施例において、図中に示されていないが、ロータコア12の軸方向他方側の端面である下面には、軸方向上側に向かって凹んだ第2の凹部が形成されている。第2の凹部は、第1の凹部121に対してと軸方向に対向していてもよい。また、第2の凹部の深さは、第1の凹部121の深さと同じとなっている。これにより、第2の凹部の深さが第1の凹部121の深さよりも小さい場合よりもモータの重量を軽くすることができる。さらに、ロータコア12の組付けの際に、ロータコア12の上側と下側を区別する必要がなく、モータの製造及び組付け工数が増大するのを抑制することができる。
【0033】
第1の実施例では、
図2に示すように、固定部31のオーバーラップ部P2の外周部とロータコア12の内周部とは、互いに締まり嵌めによって固定されている。延在部32における固定部31と連結されている部分は、軸方向においてロータコア12との間に間隔Gを有する。延在部32と固定部31とが連結する位置に間隔Gを設けることによって、ロータコア12とセンサ部材30の角とが接触するのを抑制することができる。
【0034】
第1の実施例では、
図3~
図5に示すように、センサ部材30は、連結部33と検知部34とをさらに有する。連結部33は、延在部32の径方向外側から軸方向一方側に向かって延びている。検知部34は、連結部33の軸方向一方側から径方向外側に向かって延びており、周方向において等間隔に複数のギャップが形成されている。
【0035】
第1の実施例においては、
図2及び
図5に示すように、延在部32の接触部P1が、連結部33の径方向内側に位置する。これにより、センサ部材30とロータ10とを接触させ易く、センサ部材30の安定性を高め易い。
【0036】
以上、本願発明に関連するモータの構成について例示的な説明を行った。本願発明はこれに限定されず、上記した各実施例を基礎として適当な変形を行ってもよい。また、上述のように、各部材の具体的な構造については関連技術を参照してもよい。また、
図1~
図5に示していない部材を追加するか、又は、
図1~
図5中の1つ又は複数の部材を減らしてもよい。モータの他の構成及び構造については、関連技術を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0037】
本願発明の実施例によれば、センサ部材30の延在部32の少なくとも一部とロータ10とを軸方向に接触させることによって、センサ部材30が軸方向に位置決め及び固定される。これにより、センサ部材30が軸方向に振動するのを抑制し、センサ部材30の安定性が低下するのを抑制することができる。
【0038】
<第2の実施例>
【0039】
本願発明の第2の実施例は、第1の実施例に記載のモータを有する電気製品を提供する。第1の実施例においてモータの構造について詳しく説明しており、ここでは説明を省略する。
【0040】
第2の実施例においては、電気製品は、モータが設置された任意の電気機器である。例えば、空気調和機の室内機、空気調和機の室外機、給水機、洗濯機、掃除機、圧縮機、送風機、ミキサー等の家電機器、又は、ポンプ、コンベア、エレベータ、標準工業用汎用マウンター、風力発電機、磨砕機、トラクションモータ等の工業機器又は各種情報処理機器、又は、自動車の電気式パワーステアリングシステム、自動車のサンルーフ調節部材、シート調節部材、トランスミッション、ブレーキ装置など、自動車の各部材を採用することができる。
【0041】
以上、具体的な実施形態を結び付けて本願発明について記述したが、これらの記述はいずれも例示的なものであり、本願発明の保護範囲に対する制限ではない。当業者は本願発明の趣旨と原理に基づいて本願発明に対して種々の変形や修正を行うことができ、これらの変形や修正も本願発明の範囲内にある。
【0042】
以上、図面を参照して本願発明の好ましい実施形態について記述した。これらの実施形態の多くの特徴及び利点は、明細書によると明白であり、したがって、添付された特許の範囲は、これらの実施形態の、真の趣旨及び範囲に該当するこれらの特徴及び利点をすべてカバーする。なお、当業者は多くの修正及び変更を容易に想到するため、本願発明の実施形態を、例示及び記述された精確な構造及び操作に限定するのではなく、その範囲に該当する適当な修正及び均等物をすべて包含することができる。