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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159175
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】天板及び電子機器内蔵天板
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/08 20060101AFI20221006BHJP
   F21S 8/02 20060101ALI20221006BHJP
   F21V 15/01 20060101ALI20221006BHJP
   A47B 13/12 20060101ALI20221006BHJP
   A47B 96/18 20060101ALI20221006BHJP
   A47B 21/007 20060101ALI20221006BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221006BHJP
【FI】
A47B13/08 A
F21S8/02 420
F21V15/01 370
A47B13/12
A47B96/18 D
A47B21/007
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057178
(22)【出願日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2021062529
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】室 尚吾
(72)【発明者】
【氏名】松下 佳祐
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053PA04
3B053PB04
3B053PC04
3B053RA01
(57)【要約】
【課題】 電子機器を収納するスペースを有する天板を得る。
【解決手段】 化粧板1と基材2を含み、前記基材2には電子機器9が収納されうる大きさで、前記化粧板1の表面1sから前記電子機器9を視認できる程度の深さで凹部3aが形成され、前記凹部3aの底部Bには補強材5が前記化粧板1と隣接されている天板。基材2としてはMDF(中密度繊維板)が挙げられる。天板の凹部3aに電子機器9として、例えば無線給電装置を収納する。化粧板には熱硬化性樹脂化粧板を用いる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧板1と基材2を含み、
前記基材2には電子機器9が収納されうる大きさで、前記化粧板1の表面1sから前記電子機器9を視認できる程度の深さで凹部3aが形成され、前記凹部3aの底部Bには補強材5が前記化粧板1と隣接されている天板。
【請求項2】
前記補強材5は透光性を有することを特徴とする請求項1記載の天板。
【請求項3】
前記化粧板1の全光線透過率は0.1以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の天板。
【請求項4】
前記化粧板1の表面1sから前記電子機器9を視認できる程度の深さは、前記化粧板1の厚みをTとし、前記化粧板1の表面1sから凹部3aの底面Bに至る距離をLとした時、LとTは下記式(1)で表されることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の天板。
0.8T≦L≦T (1)
【請求項5】
電子機器収納用であることを特徴とする請求項1~4のいずれか記載の天板。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか記載の天板の凹部3aに電子機器9が収納された電子機器内蔵天板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は天板及び電子機器を内蔵した天板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年モバイル機器のワイヤレス充電機能搭載が進む中で、無線給電装置とテーブルを一体化した製品のニーズが高まっている。その手法としては、図7に示すようにテーブルに開口部yを設けて、無線給電装置を埋め込む方式Aと、図8に示すようにテーブル裏面側に非貫通穴(凹部)を形成して、無線給電装置を埋め込む方式Bが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-158115号公報
【特許文献2】特開2019-155916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、方式Aの場合、無線給電装置がテーブルの表面に露出する為、テーブルを清掃する際に突起物として邪魔になり、清掃に時間を要し、電子機器と天板の隙間xに汚れが堆積することで、菌やカビが発生し衛生的な環境を維持することが困難であった。
【0005】
また、天板の清掃によく使用するアルコール除菌スプレーや次亜塩素酸水スプレーを天板に吹きかけた場合や、飲み物をこぼした際、液体が触れることにより機器が故障する可能性があった。
【0006】
また基材が木質系の場合、機器とテーブルの隙間から液体が染み込み、テーブルが膨れるといった不具合が発生する可能性があった。
【0007】
更には、天板の化粧板が耐汚染性、抗菌性、抗ウイルス性等を有しており、無線給電装置のカバーが同等の表面性能を有していない場合、テーブル表面の全面において性能を発揮できない点が課題であった。
【0008】
方式Bの場合は、無線給電装置を埋め込んだ部分の天板強度が著しく低下するため、凹みや割れといった不具合が発生する可能性があった。
【0009】
また、給電できる場所を示すために、図9に示すようにテーブルに印刷シールz等で場所を示す必要があった。
【0010】
その場合、以下のような、方式Aと似た課題が挙げられる。印刷シールと天板の界面に汚れが蓄積することで、菌やカビが発生し衛生的な環境を維持することが困難であった。
【0011】
また、天板清掃によく使用するアルコール除菌スプレーや次亜塩素酸水スプレーを天板に吹きかけた場合や、飲み物をこぼした際、シールが汚れ、剥がれる可能性があった。
【0012】
天板の化粧板が耐汚染性、抗菌性、抗ウイルス性等を有しており、場所を示すシールが同等の表面性能を有していない場合、テーブル表面全面において、性能を発揮できないといった問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる状況に鑑み、本発明では、化粧板1と基材2を含み、前記基材2には電子機器9が収納されうる大きさで、前記化粧板1の表面1sから前記電子機器9を視認できる程度の深さで凹部3aが形成され、前記凹部3aの底部Bには補強材5が前記化粧板1と隣接されている天板を用いる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の天板によれば電子機器を収納するスペースが補強してあるため凹みや割れといった不具合が発生しにくい。
【0015】
更に電子機器の位置を表面側から認識でき、天板の表面に位置を認識するシールを貼着する必要がない為、必然的に菌やカビが発生する事がなく、シールが汚れ、剥がれるといった事もない。
【0016】
また、化粧板が耐汚染性、抗菌性、抗ウイルス性等を有している場合においては、テーブル表面全面において、機能、性能を発揮する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1の天板の製造方法を示す構成断面図。
図2図1(b)の状態の斜視図。
図3】実施例2の天板の製造方法を示す構成断面図。
図4】実施例3の天板の構成断面図。
図5】実施例4の天板の要部拡大断面図。
図6】電子機器を組み込んだ電子機器内蔵天板の構成断面図。
図7】電子機器を内蔵した従来の天板の構成断面図。
図8】電子機器を内蔵した従来の天板の構成断面図。
図9】電子機器を内蔵した従来の天板の構成断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例0019】
(実施例1)
図1は実施例1の天板71の製造方法を示す構成断面図である。先ず、図1(a)に示すように基材2を用意する。
【0020】
基材2は座ぐり加工しやすいように合板、パーチクルボード、MDF(Medium-Density Fiberboard,中密度繊維板)などの木質系基材が好適に用いられ、実施例1ではMDFを用いている。MDFの厚みは27mmである。尚、基材2の厚みは収納する電子機器の大きさ、厚みに応じて適宜調整される。
【0021】
次いで、図1(b)に示すように基材2に開口部4を設け、周縁には高さ3mmの段部2kを形成する。
【0022】
次いで、補強材5として、開口部4に嵌り合う大きさで厚み3mmの透光性を有するポリカーボネート板を、基材2の段部2kに変成シリコーン系接着剤を用いて接着した(図1(c))。
【0023】
しかる後、ポリカーボネート板と基材2の表面に硬化後に透光性を有する変成シリコーン系接着剤を用いて化粧板1(メラミン化粧板、アイカ工業社製、品番:TJY535K、厚み:1.0mm、全光線透過率:0.9)を接着し、実施例1の天板を得た(図1(d))。
【0024】
本発明に係る好適な化粧板1としては熱硬化性樹脂化粧板、特にメラミン化粧板が挙げられ、実施例1では厚みが1.0mmのメラミン化粧板を用いている。メラミン化粧板は厚み0.2mmの化粧層1bと、厚み0.8mmのコア層1aを含み、化粧層1bは、化粧板用の化粧紙にアミノ-ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液が含浸、乾燥された樹脂含浸化粧紙から成る。コア層1aは未晒しクラフト紙や晒しクラフト紙などにフェノール樹脂を含浸、乾燥した樹脂含浸コア紙や、無機繊維、例えばガラス繊維不織布にバインダー成分と吸熱性金属水酸化物を含むスラリーを含浸、乾燥したプリプレグなどから成る。化粧板1のコア層1aに用いるクラフト紙は黄色や白色等の色味素材を用いることで、全光線透過率を0.1以上とすることができる。
【0025】
化粧板1の全光線透過率としては、0.1以上であることが好ましく、0.1以上10未満であることが特に好ましい。この範囲内であることにより、LEDなどの照明器具を備えた電子機器9を準備し、本発明にかかる天板に組み付けた際に、化粧板1の化粧層1b側から、LED照明によりその電子機器9の位置を視認することができる上、基材2に対する隠ぺい性が向上し基材断面の露出が抑制されるため意匠性が高くなる傾向がある。当該測定値としては、JIS K 7361-1に準拠し、東洋精機製作所社製のヘイズガードを用いて、化粧板1の面内をランダムに5回箇所測定した平均値を全光線透過率とした。
【0026】
化粧板1は上記の化粧層1b、コア層1a以外に化粧層1bの絵柄を保護する目的でオーバーレイ層を含んでいても良く、化粧板の反りを抑制するバランス層を含んでいても良い。
【0027】
図2図1(b)の状態の斜視図であり、開口部4は1か所に設けているが特に制約はない。
【0028】
(実施例2)
図3は実施例2の天板の製造方法を示す断面図である。先ず、図3(a)に示すように化粧板1(メラミン化粧板、アイカ工業社製、品番:TJY10047K、全光線透過率:1.6)と基材2(MDF、厚み:27mm)を含む積層材11を用意する。
【0029】
次いで、図3(b)に示すように電子機器を収納できる大きさの凹部3aを化粧板1の裏面に至るまで座ぐり加工する。
【0030】
しかる後、図3(c)に示すように、凹部3aに補強材5を嵌め込む。実施例2では補強材5として、厚み3mmの透光性を有するポリカーボネート板を用い、硬化後に透光性を有する変成シリコーン系接着剤で接着し、実施例2の天板を得た。
【0031】
(実施例3)
図4は実施例3の天板の製造方法を示す断面図である。実施例2において、厚み3mmの化粧板1(メラミン化粧板、アイカ工業社製、品番:TJY2600K、厚み:3.0mm、全光線透過率:2.7)を用いた以外は実施例2と同様に座ぐり加工まで行った(図4(a)~図4(b))。
【0032】
次いで、図4(c)に示すように、補強材5として硬化後に透光性を有する液状のエポキシ樹脂を採用し、補強している。エポキシ樹脂層の厚みは1mmとし、実施例3の天板を得た。
【0033】
(実施例4)
図5は実施例4の要部拡大断面図である。実施例4では、実施例2において、化粧板1(メラミン化粧板、アイカ工業社製、品番:TJY2215K、厚み:1.0mm、全光線透過率:4.1)を用いて、凹部3aの底部Bの位置を化粧板1の表面1sから0.8T、すなわち0.8mmとし、凹部3aは幾分コア層1aに食い込むまで切削し、補強材5として、硬化後に透光性を有する液状のエポキシ樹脂を用いて、実施例4の天板を得た。
【0034】
化粧板1の表面1sから電子機器9を視認できる程度の深さは、前記化粧板1の厚みをTとし、前記化粧板1の表面1sから凹部3aの底面Bに至る距離をLとした時、下記式(1)で示される範囲であれば、化粧板の割れや破損を抑えられ、化粧板の化粧層1b側から電子機器9の位置を視認できる傾向がある。
0.8T≦L≦T (1)
【0035】
(実施例5)
実施例1の天板を用意し、凹部3aにLED照明器具を備えた電子機器9を組み込んだ。電子機器9としては無線給電装置を用いた。化粧板1の化粧層1b側から観察したところ、LED照明により、その無線給電装置の位置を視認することができ、また基材2に対する隠ぺい性が向上しており意匠性が高かった。さらに、天板上の当該箇所に無線給電に対応した通信端末を静置すると、当該通信端末への送電が可能であった。
【0036】
(実施例6)
実施例2の天板を用意し、凹部3aにLED照明器具を備えた電子機器9を組み込んだ。電子機器9としては無線給電装置を用いた。化粧板1の化粧層1b側から観察したところ、LED照明により、その無線給電装置の位置を視認することができ、また基材2に対する隠ぺい性が向上しており意匠性が高かった。さらに、天板上の当該箇所に無線給電に対応した通信端末を静置すると、当該通信端末への送電が可能であった。
【0037】
(実施例7)
実施例3の天板を用意し、凹部3aにLED照明器具を備えた電子機器9を組み込んだ。電子機器9としては無線給電装置を用いた。化粧板1の化粧層1b側から観察したところ、LED照明により、その無線給電装置の位置を視認することができ、また基材2に対する隠ぺい性が向上しており意匠性が高かった。さらに、天板上の当該箇所に無線給電に対応した通信端末を静置すると、当該通信端末への送電が可能であった。
【0038】
(実施例8)
実施例4の天板を用意し、凹部3aにLED照明器具を備えた電子機器9を組み込んだ。電子機器9としては無線給電装置を用いた。化粧板1の化粧層1b側から観察したところ、LED照明により、その無線給電装置の位置を視認することができ、また基材2に対する隠ぺい性が向上しており意匠性が高かった。さらに、天板上の当該箇所に無線給電に対応した通信端末を静置すると、当該通信端末への送電が可能であった。
【0039】
(実施例9)
実施例2において、化粧板1(メラミン化粧板、アイカ工業社製、品番:K-6000KN、厚み:1.0mm、全光線透過率:4.2)を用いて、天板を用意し、図6に示すように凹部3aにLED照明器具を備えた電子機器9を組み込んだ。電子機器9としては無線給電装置を用いた。化粧板1の化粧層1b側から観察したところ、LED照明により、その無線給電装置の位置を視認することができ、また基材2に対する隠ぺい性が向上しており意匠性が高かった。さらに、天板上の当該箇所に無線給電に対応した通信端末を静置すると、当該通信端末への送電が可能であった。
【0040】
(比較例1)
実施例1において、図7に示すように積層材に凹部3aを形成せず、開口部yを設けて電子機器9として無線給電装置を取り付け、比較例1の電子機器内蔵天板を得た。比較例1の電子機器内蔵天板は無線給電装置が露出していて見栄えがせず、無線給電装置を取り付けた箇所は、必然的に化粧層の有する特性、例えば抗菌性、抗ウイルス性などの機能を発現しなかった。また、隙間xに汚れが堆積しやすかった。
【0041】
(比較例2)
実施例1において、図8に示すように、補強材5を用いず、電子機器9として無線給電装置を取り付け、比較例2の電子機器内蔵天板を得た。比較例2の電子機器内蔵天板は補強材5が無いため、強度が弱く、破損や割れが発生した。
【0042】
(比較例3)
図9に示すように、図3(a)の状態の天板を用いて、電子機器を収納できる大きさの凹部3aを基材2の厚さが3mmになるように座ぐり加工した。そして、基材2側に電子機器9として無線給電装置を取り付け、比較例3の電子機器内蔵天板を得た。化粧板1の表面には無線給電装置の取り付け位置が分かるように印刷シールzを貼着した。この場合、シールz部は汚れが蓄積し、菌やカビが発生する原因となり、また天板をアルコール除菌スプレーで清掃することでシールの汚れや剥がれが発生した。
【符号の説明】
【0043】
1 化粧板
1a コア層
1b 化粧層
1s 化粧板の表面
2 基材
2k 基材2の段部
3a 凹部
4 開口部
5 補強材
71 天板
72 天板
73 天板
75 電子機器内蔵天板
81 比較例1の電子機器内蔵天板
82 比較例2の電子機器内蔵天板
83 比較例3の電子機器内蔵天板
9 電子機器
11 積層材
x 隙間
y 開口部
z 印刷シール
B 凹部3aの底部
T 化粧板1の厚み
L 表面1sから底部Bに至る距離

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9