(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159189
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
B60W 50/08 20200101AFI20221006BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20221006BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B60W50/08
B60W60/00
G08G1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058074
(22)【出願日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】202110344270.4
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一朝
(72)【発明者】
【氏名】岸本 雄也
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA02
3D241BA33
3D241BA49
3D241BC01
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3D241DA39Z
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3D241DC35Z
3D241DD12Z
3D241DD13Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
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5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】運転支援のための練習を効率良く行うことができる運転支援装置を提供すること。
【解決手段】運転支援装置11は、車両1に搭載され、車両1の操舵及び/又は制動を制御する運転支援を実行可能であり、車両1の運転者が、車両1内に設けられた所定の操作子を用いて所定の操作を行うと、運転支援を実行する運転支援実行部201と、車両1の運転者が所定の操作を練習するための運転支援練習処理を実行する運転支援練習制御部202と、を備え、運転支援練習制御部202は、車両1が起動後であり、かつ停車中に、運転支援練習処理を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載され、前記移動体の操舵及び/又は制動を制御する運転支援を実行可能な運転支援装置であって、
前記移動体の運転者が、前記移動体内に設けられた所定の操作子を用いて所定の操作を行うと、前記運転支援を実行する運転支援実行部と、
前記移動体の運転者が前記所定の操作を練習するための運転支援練習処理を実行する運転支援練習制御部と、を備え、
前記運転支援練習制御部は、前記移動体が起動後であり、かつ停車中に、前記運転支援練習処理を実行する、
運転支援装置。
【請求項2】
前記所定の操作子は、ブレーキペダル、ステアリングホイール、前記ステアリングホイールに配置された自動運転実行ボタン又はウインカを含む、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記移動体は、前記移動体の外部に表示を行う外部表示装置を備え、
前記運転支援装置は、前記移動体の走行中に前記操作子のいずれかの操作が行われる又は前記運転支援を実行中には、前記外部表示装置に外部への表示を行わせるように制御し、前記運転支援練習処理を実行中には、前記外部表示装置に外部への表示を行わせないように制御する表示制御部を更に備える、請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記運転支援練習制御部は、前記運転支援練習処理において、仮想の対象物に向かって走行する前記移動体において衝突軽減ブレーキの実行を練習可能であり、
前記表示制御部は、前記移動体の走行中に前記衝突軽減ブレーキを作動すると、前記衝突軽減ブレーキが作動中であることを前記移動体内の表示部及び前記外部表示装置に表示するように制御し、
前記表示制御部は、前記運転支援練習処理を実行中に前記衝突軽減ブレーキを作動すると、前記衝突軽減ブレーキが作動中であることを前記表示部に表示すると共に、
前記外部表示装置には表示を行わないように制御する、請求項3に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記運転支援練習制御部は、前記運転支援練習処理に関するデータを、前記移動体内に配置された携帯通信装置に記録し、
前記携帯通信装置は、前記運転支援装置と通信することにより前記運転支援練習処理を実行し、
前記携帯通信装置は、前記移動体の停車状態が解除されたことに伴い、前記運転支援練習処理を制限する、請求項1から4のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動運転が実行されているときに、自動運転の少なくとも一部を停止して、車両の運転者による運転に切り換える練習を運転者に行わせる情報処理装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の情報処理装置は、車両の走行中に練習を行うため、車両1の運転者は、練習を落ち着いて行うことができない。
【0005】
そこで、本発明は、運転支援のための練習を効率良く行うことができる運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る、移動体(例えば、後述の車両1)に搭載され、前記移動体の操舵及び/又は制動を制御する運転支援を実行可能な運転支援装置(例えば、後述の運転支援装置11)は、前記移動体の運転者が、前記移動体内に設けられた所定の操作子を用いて所定の操作を行うと、前記運転支援を実行する運転支援実行部(例えば、後述の運転支援実行部201)と、前記移動体の運転者が前記所定の操作を練習するための運転支援練習処理を実行する運転支援練習制御部(例えば、後述の運転支援練習制御部202)と、を備え、前記運転支援練習制御部は、前記移動体が起動後であり、かつ停車中に、前記運転支援練習処理を実行する。
【0007】
また、前記所定の操作子は、ブレーキペダル、ステアリングホイール、前記ステアリングホイールに配置された自動運転実行ボタン又はウインカを含む。
【0008】
また、前記移動体は、前記移動体の外部に表示を行う外部表示装置(例えば、後述の照明装置8)を備え、前記運転支援装置は、前記移動体の走行中に前記操作子のいずれかの操作が行われる又は前記運転支援を実行中には、前記外部表示装置に外部への表示を行わせるように制御し、前記運転支援練習処理を実行中には、前記外部表示装置に外部への表示を行わせないように制御する表示制御部(例えば、後述の表示制御部203)を更に備える。
【0009】
また、前記運転支援練習制御部は、前記運転支援練習処理において、仮想の対象物に向かって走行する前記移動体において衝突軽減ブレーキの実行を練習可能であり、前記表示制御部は、前記移動体の走行中に前記衝突軽減ブレーキを作動すると、前記衝突軽減ブレーキが作動中であることを前記移動体内の表示部(例えば、後述の表示装置92)及び前記外部表示装置に表示するように制御し、前記表示制御部は、前記運転支援練習処理を実行中に前記衝突軽減ブレーキを作動すると、前記衝突軽減ブレーキが作動中であることを前記表示部に表示すると共に、前記外部表示装置には表示を行わないように制御する。
【0010】
また、前記運転支援練習制御部は、前記運転支援練習処理に関するデータを、前記移動体内に配置された携帯通信装置(例えば、後述の携帯通信装置100)に記録し、前記携帯通信装置は、前記運転支援装置と通信することにより前記運転支援練習処理を実行し、前記携帯通信装置は、前記移動体の停車状態が解除されたことに伴い、前記運転支援練習処理を制限する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、運転支援のための練習を効率良く行うことができる運転支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る車両の構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る車両の運転支援装置の機能構成を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る運転支援装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の運転支援装置の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両1の構成を示すブロック図である。
図1は、車両1の概略を平面図と側面図とを組み合わせて示している。車両1は、一例としてセダンタイプの四輪の乗用車である。
【0014】
車両1は、制御装置2を備える。制御装置2は、車内ネットワークにより通信可能に接続された複数のECU(自動運転ECU20~停止制御ECU29)を含む。各ECUは、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインターフェース等を含むコンピュータとして機能する。記憶デバイスには、プロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。各ECUは、プロセッサ、記憶デバイス及びインターフェース等を複数備えていてもよい。
【0015】
以下、各自動運転ECU20~停止制御ECU29の機能等について説明する。なお、ECUの数や、担当する機能については適宜設計可能であり、本実施形態に示すECUよりも細分化する又は統合することが可能である。
【0016】
自動運転ECU20は、車両1の自動運転に関する制御を実行する。自動運転においては、自動運転ECU20は、車両1の操舵と、加減速の少なくともいずれか一方を自動制御する。
【0017】
操舵ECU21は、電動パワーステアリング装置3を制御する。電動パワーステアリング装置3は、ステアリングホイール31に対する運転者の運転操作(操舵操作)に応じて前輪を操舵する機構を含む。また、電動パワーステアリング装置3は、操舵操作をアシストする又は前輪を自動操舵するための駆動力を発揮するモータや、操舵角を検知するセンサ等を含む。車両1の運転状態が自動運転の場合、操舵ECU21は、自動運転ECU20からの指示に対応して電動パワーステアリング装置3を自動制御し、車両1の進行方向を制御する。
【0018】
走行支援ECU22及び23は、車両の周囲状況を検知するカメラ41、LIDAR42及びミリ波レーダ43の制御及び検知結果の情報処理を行う。カメラ41は、車両1の前方、側方及び後方を撮像する。本実施形態の場合、カメラ41は、車両1の前部に2つ設けられ、更に側部及び後部に1つずつ設けられる。走行支援ECU22及び23は、カメラ41が撮影した画像の解析により、物標の輪郭抽出や、道路上の車線の区画線(白線等)を抽出可能である。
【0019】
LIDAR42は、Light Detection and Ranging(LIDAR)であり、車両1の周囲の物標を検知し、物標との距離を測距する。本実施形態の場合、LIDAR42は、5つ設けられており、車両1の前部の各隅部に1つずつ、後部中央に1つ、後部各側方に1つずつ設けられている。
【0020】
ミリ波レーダ43は、車両1の周囲の物標を検知し、物標との距離を測距する。本実施形態の場合、ミリ波レーダ43は、5つ設けられており、車両1の前部中央に1つ、前部各隅部に1つずつ、後部各隅部に1つずつ設けられている。
【0021】
走行支援ECU22は、車両1の前部の一方のカメラ41と、各LIDAR42の制御及び検知結果の情報処理を行う。走行支援ECU23は、車両1の前部の他方のカメラ41と、各ミリ波レーダ43の制御及び検知結果の情報処理を行う。車両1の周囲状況を検知するECUを二組備えたことで、検知結果の信頼性を向上でき、また、カメラ41、LIDAR42及びミリ波レーダ43といった種類の異なる検知ユニットを備えたことで、車両1の周辺環境の解析を多面的に行うことができる。
【0022】
位置認識ECU24は、ジャイロセンサ5、GPSセンサ24b、通信装置24cの制御及び検知結果又は通信結果の情報処理を行う。ジャイロセンサ5は、車両1の回転運動を検知する。位置認識ECU24は、ジャイロセンサ5の検知結果や、車輪速等により車両1の進路を判定することができる。
【0023】
GPSセンサ24bは、車両1の現在位置を検知する。通信装置24cは、地図情報、交通情報等を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。位置認識ECU24は、記憶デバイスに構築された地図情報のデータベース24aにアクセス可能であり、位置認識ECU24は、現在地から目的地へのルート探索等を行う。
ECU24、地図情報のデータベース24a及びGPSセンサ24bは、いわゆるナビゲーション装置を構成する。
【0024】
通信制御ECU25は、車車間通信用の通信装置25aを備える。通信装置25aは、周辺の他車両と無線通信を行い、車両間での情報交換を行う。
【0025】
駆動制御ECU26は、パワープラント6を制御する。パワープラント6は、車両1の駆動輪を回転させる駆動力を出力する機構であり、例えば、エンジンと変速機とを含む。駆動制御ECU26は、例えば、アクセルペダル7Aに設けた操作検知センサ7Dにより検知した運転者の運転操作(アクセル操作あるいは加速操作)に対応してエンジンの出力を制御する。そして、駆動制御ECU26は、車速センサ7Cが検知した車速等の情報に基づいて変速機の変速段を切り替える。車両1の運転状態が自動運転の場合、駆動制御ECU26は、自動運転ECU20からの指示に対応してパワープラント6を自動制御し、車両1の加減速を制御する。
【0026】
車外報知制御ECU27は、方向指示器(ウィンカー)8a、ヘッドライト8b、テールライト8c、ブレーキランプ8d等の照明装置8(後述の
図3参照)を制御する。
図1の例の場合、方向指示器8aは、車両1の前部、ドアミラー及び後部に設けられている。ヘッドライト8bは、車両1の前部に設けられ、テールライト8c及びブレーキランプ8dは、車両1の後部に設けられる。また、照明装置8は、自動運転を実行していることを外部に表示するための自動運転表示ライト(図示せず)を有してもよい。
【0027】
車内報知制御ECU28は、入出力装置9の制御を行う。入出力装置9は、運転者に対する情報の出力と、運転者からの情報の入力の受け付けを行う。入出力装置9は、音声出力装置91と、表示装置92と、表示装置93と、入力装置94と、を有する。
【0028】
音声出力装置91は、運転者に対して音声により情報を報知する。
表示装置92は、運転者に対して画像の表示により情報を報知する。表示装置92は、例えば、運転席正面に配置され、インストルメントパネル等を構成する。
更に、入出力装置9は、運転席の左側に配置され、ナビゲーション装置等からの情報を表示する表示装置93を有する。
【0029】
なお、ここでは、音声と表示を例示したが、入出力装置9は、振動や光により情報を報知してもよい。また、入出力装置9は、音声、表示、振動又は光のうちの複数を組み合わせて情報を報知してもよい。更に、入出力装置9は、報知すべき情報のレベル(例えば緊急度)に応じて、組み合わせを異ならせたり、報知態様を異ならせたりしてもよい。
【0030】
入力装置94は、運転者が操作可能な位置に配置され、車両1に対する指示を行うスイッチ群であるが、音声入力装置を含んでもよい。
【0031】
停止制御ECU29は、ブレーキ装置10やパーキングブレーキ(不図示)等を制御する。ブレーキ装置10は、例えばディスクブレーキ装置であり、車両1の各車輪に設けられ、車輪の回転に抵抗を加えることで車両1を減速又は停止させる。
【0032】
停止制御ECU29は、例えば、ブレーキペダル7Bに設けた操作検知センサ7Eにより検知した運転者の運転操作(ブレーキ操作)に対応してブレーキ装置10の作動を制御する。車両1の運転状態が自動運転の場合、停止制御ECU29は、ECU20からの指示に対応してブレーキ装置10を自動制御し、車両1の減速及び停止を制御する。ブレーキ装置10やパーキングブレーキは、車両1の停止状態を維持するために作動することもできる。また、パワープラント6の変速機がパーキングロック機構を備える場合、当該パーキングロック機構が、車両1の停止状態を維持するために作動することもできる。
【0033】
車両1は、車両1の乗員に関する乗員情報を撮像画像として取得するドライバモニタカメラ50を更に備える。ドライバモニタカメラ50は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラにより構成され、その種類は特に限定するものではない。ドライバモニタカメラ50は、車両1の左右方向中心に配置される。例えば、ドライバモニタカメラ50は、表示装置92の近傍に設けられ、車両1の左右方向中心に配置されてもよい。
【0034】
本実施形態に係る車両1の制御機能は、車両1の駆動、制動、操舵の制御に関わる走行関連機能と、運転者に対する情報の報知に関わる報知機能と、を含む。
【0035】
車線維持制御とは、車線に対する車両の位置の制御の一つであり、車線内に設定した走行軌道上で車両を自動的に(運転者の運転操作によらずに)走行させる制御である。
車線逸脱抑制制御とは、車線に対する車両の位置の制御の一つであり、白線又は中央分離帯を検知し、車両が線を超えないように自動的に操舵を行うものである。車線逸脱抑制制御と車線維持制御とはこのように機能が異なっている。
【0036】
車線変更制御とは、車両が走行中の車線から隣接車線へ車両を自動的に移動させる制御である。
前走車追従制御とは、自車両の前方を走行する他車両に自動的に追従する制御である。
衝突軽減ブレーキ制御とは、車両の前方の障害物との衝突可能性が高まった場合に、自動的に制動して衝突回避を支援する制御である。
誤発進抑制制御は、車両の停止状態で運転者による加速操作が所定量以上の場合に、車両の加速を制限する制御であり、急発進を抑制する。
【0037】
隣接車両報知制御とは、自車両の走行車線に隣接する隣接車線を走行する他車両の存在を運転者に報知する制御であり、例えば、自車両の側方、後方を走行する他車両の存在を報知する。
前走車発進報知制御とは、自車両及びその前方の他車両が停止状態にあり、前方の他車両が発進したことを報知する制御である。これらの報知は上述した車内報知デバイスにより行うことができる。
【0038】
本明細書において、自動運転は、運転操作(加速、制動及び操舵)の一部又は全部を、運転者ではなく、制御装置2で行うことをいう。すなわち、自動運転は、運転操作の全部を制御装置2によって行う(いわゆる完全自動運転)ことだけでなく、運転操作の一部のみを制御装置2によって行う態様(いわゆる運転支援)を含む。
【0039】
運転支援の例としては、車速制御機能、車間距離制御(Adaptive Cruise Control(ACC))機能、車線逸脱防止支援(Lane Keeping Assist System(LKAS))機能、衝突回避支援機能、衝突軽減ブレーキ(Collision Mitigation Brake System(CMBS))制御等が挙げられる。
【0040】
以下、本実施形態に係る車両1の運転支援装置11の処理について説明する。
図2は、本実施形態に係る車両1の運転支援装置11の機能構成を示す図である。
図2に示すように、運転支援装置11は、制御装置2と、照明装置8と、通信装置25aと、周辺情報取得部40と、を備える。
【0041】
また、運転支援装置11は、通信装置25aを介して携帯通信装置100と無線通信可能である。携帯通信装置100は、制御部101と、記憶部102と、通信部103と、表示部104とを備える。
【0042】
制御装置2は、運転支援実行部201と、運転支援練習制御部202と、表示制御部203と、を備える。周辺情報取得部40は、上述したカメラ41と、LIDAR42と、ミリ波レーダ43と、を備える。
【0043】
周辺情報取得部40は、車両1の周辺の周辺情報を取得する。例えば、周辺情報取得部40は、車両1の前方、側方及び後方における周辺情報を取得する。周辺情報は、例えば、カメラ41によって取得される車両1の前方、側方及び後方周辺の画像である。また、周辺情報は、例えば、LIDAR42又はミリ波レーダ43によって取得される車両1の前方、側方及び後方周辺のデータであってもよい。
【0044】
携帯通信装置100の制御部101は、携帯通信装置100の全体を制御する部分であり、記憶部102に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、本実施形態における各種機能を実現している。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)であってよい。
【0045】
記憶部102は、ハードウェア群を携帯通信装置100として機能させるための各種プログラム、及び各種データ等の記憶領域であり、ROM、RAM、フラッシュメモリ又はハードディスク(HDD)等であってよい。具体的には、記憶部102は、本実施形態の各機能を制御部101に実行させるプログラム等を記憶する。
【0046】
通信部103は、携帯通信装置100が外部機器と通信するための通信制御を行う。具体的には、通信部103は、所定の通信プロトコル(例えば、WiFi、3G、4G、5G等)に対応する。通信部103は、これらの通信プロトコルを用いて、制御部101の制御に従って外部機器と通信する。
【0047】
携帯通信装置100は、通信部103により運転支援装置11と通信可能であり、運転支援のためのアプリケーションプログラムを記憶部102に記憶する。そして、運転支援のためのアプリケーションプログラムは、運転支援装置11からデータを受信することによって、運転支援練習処理のための画像の表示及び音声の出力等の処理を実行する。
【0048】
運転支援実行部201は、車両1の運転者が、車両1内に設けられた所定の操作子を用いて所定の操作を行うと、運転支援を実行する。ここで、所定の操作子は、例えば、ブレーキペダル7B、ステアリングホイール31、ステアリングホイール31に配置された自動運転実行ボタン又はウインカ8aを含む。また、所定の操作は、所定の操作子を用いて運転支援を実行するための操作である。
【0049】
運転支援練習制御部202は、車両1の運転者が所定の操作を練習するための運転支援練習処理を実行する。ここで、運転支援練習制御部202は、車両1が起動後(例えば、イグニッション電源がオンとなった後)であり、かつ停車中に、運転支援練習処理を実行する。
【0050】
具体的には、運転支援練習制御部202は、車両1が起動後(例えば、イグニッション電源がオンとなった後)であり、かつ停車中に、自動運転実行ボタンが操作されると、自動運転を実行せず、運転支援練習処理を実行するための運転支援練習モードへ移行する。
【0051】
ここで、運転支援練習モードは、実際に自動運転を実行するのではなく、表示装置93に表示される仮想的な車両に対して、運転支援のための操作が反映される。
【0052】
運転支援練習制御部202は、運転支援練習モードにおいて、例えば、上述した車速制御機能、車間距離制御(Adaptive Cruise Control(ACC))機能、車線逸脱防止支援(Lane Keeping Assist System(LKAS))機能、衝突回避支援機能、衝突軽減ブレーキ制御等の運転支援を練習するための運転支援練習処理を実行する。
【0053】
表示制御部203は、車両1の走行中に操作子のいずれかの操作が行われる又は運転支援を実行中には、表示装置92に表示を行わせると共に、車両1の外部に表示を行う照明装置8に外部への表示を行わせるように制御する。ここで、表示制御部203は、車両1の走行中又は運転支援を実行中には、走行中又は運転支援を実行中であることを示す表示を表示装置92に行わせる。また、表示制御部203は、車両1の走行中又は運転支援を実行中には、走行中又は運転支援を実行中であることを示す表示を照明装置8に行わせる。
【0054】
更に、表示制御部203は、運転支援練習処理を実行中には、表示装置92に表示を行わせると共に、照明装置8に外部への表示を行わせないように制御する。
すなわち、表示制御部203は、車両1の走行中又は運転支援を実行中には、車両1の内部及び外部に表示を行う。また、表示制御部203は、運転支援練習処理を実行中には、車両1の内部に表示を行うが、車両1の外部には表示を行わない。
【0055】
また、表示制御部203は、運転支援練習処理を実行中には、運転支援の練習に関連する操作子に対応する照明装置8のみに外部への表示を行わせるように制御してもよい。例えば、表示制御部203は、衝突軽減ブレーキ制御のための運転支援練習処理を実行中には、ブレーキペダル7Bに対応するブレーキランプ8dのみに外部への表示を行わせるように制御してもよい。
【0056】
また、運転支援練習制御部202は、運転支援練習処理において、仮想の対象物に向かって走行する仮想車両において衝突軽減ブレーキの実行を練習可能である。
表示制御部203は、車両1の走行中に衝突軽減ブレーキを作動すると、衝突軽減ブレーキが作動中であることを車両1の表示装置92及び照明装置8(例えば、ブレーキランプ8d)に表示するように制御する。
【0057】
更に、表示制御部203は、運転支援練習処理を実行中に衝突軽減ブレーキを作動すると、衝突軽減ブレーキが作動中であることを表示装置92に表示すると共に、照明装置8(例えば、ブレーキランプ8d)には表示を行わないように制御する。
【0058】
また、運転支援練習制御部202は、運転支援練習処理に関するデータを、車両1内に配置された携帯通信装置100の記憶部102に記録する。携帯通信装置100は、運転支援のためのアプリケーションプログラムによって運転支援装置11と通信することにより運転支援練習処理を実行する。
【0059】
運転支援のためのアプリケーションプログラムは、車両1の停車状態が解除されたことに伴い、運転支援練習処理を制限する。例えば、運転支援のためのアプリケーションプログラムは、車両1の停車状態が解除され、車両1が発進すると、運転支援練習処理を終了する又は運転支援練習処理を停止する。
【0060】
図3及び
図4は、運転支援練習処理の具体例を示す図である。
図3に示すように、表示制御部203は、運転支援練習モードにおいて、画面A1及び画面A2を表示装置93に表示させる。画面A1は、道路を走行中の仮想的な自車両B1及び仮想的な他車両B2を表示する。画面A2は、運転者へのメッセージ等を表示する。
【0061】
また、
図4に示すように、表示制御部203は、表示装置93に運転支援のための表示を行うと共に、音声出力装置91により音声を出力させる。
具体的には、
図4の上段において、画面A1は、仮想的な自車両B1を表示し、画面A2は、SETボタン(車間距離制御(ACC)実行ボタン)の操作を促すメッセージを表示する。更に、音声出力装置91は、音声によってSETボタンの操作を運転者に促す。
【0062】
そして、SETボタンが操作されると、
図4の下段において、画面A1は、仮想的な自車両B1が車間距離制御(ACC)を実行していることを表示し、画面A2は、車間距離制御(ACC)を実行時のメッセージを表示する。更に、音声出力装置91は、音声によって車間距離制御(ACC)が実行されていることを通知する。
【0063】
また、上記の例では、車間距離制御(ACC)を実行したが、例えば、上述したように、運転支援練習制御部202は、運転支援練習処理において、仮想的な他車両B2に向かって走行する仮想的な自車両B1において衝突軽減ブレーキの実行を練習可能である。運転支援練習処理において、表示装置93が画面を表示し、音声出力装置91が音声を出力することによって、運転者は、運転支援のための練習を行うことができる。
【0064】
図5は、本実施形態に係る運転支援装置11の処理を示すフローチャートである。
ステップS1において、車両1の運転者は、車両1内に設けられた所定の操作子(例えば、自動運転実行ボタン)を用いて所定の操作を行う。
【0065】
ステップS2において、運転支援練習制御部202は、車両1が起動後(例えば、イグニッション電源がオンとなった後)であり、かつ停車中であるか否かを判定する。車両1が起動後であり、かつ停車中である(YES)場合、処理は、ステップS3へ移る。一方、車両1が起動していない、及び/又は停車中でない(NO)場合、処理は、ステップS5へ移る。
【0066】
ステップS3において、運転支援練習制御部202は、自動運転を実行せず、運転支援練習処理を実行するための運転支援練習モードへ移行する。
ステップS4において、表示制御部203は、運転支援練習処理を実行中には、表示装置92に表示を行わせると共に、照明装置8に外部への表示を行わせないように制御する。
【0067】
ステップS5において、運転支援実行部201は、車両1の運転支援を実行する。
ステップS6において、表示装置92に表示を行わせると共に、照明装置8に外部への表示を行わせるように制御する。
【0068】
ステップS7において、運転支援練習制御部202は、車両1の停車状態が解除されたか否かを判定する。停車状態が解除された(YES)場合、処理は、ステップS8へ移る。一方、停車状態が解除されない(NO)場合、処理は、ステップS7を繰り返す。
ステップS8において、運転支援練習制御部202は、車両1の停車状態が解除され、車両1が発進すると、運転支援練習処理を終了する又は運転支援練習処理を停止する。
【0069】
本実施形態によれば、例えば、以下の効果が奏される。
運転支援装置11は、車両1に搭載され、車両1の操舵及び/又は制動を制御する運転支援を実行可能であり、車両1の運転者が、車両1内に設けられた所定の操作子を用いて所定の操作を行うと、運転支援を実行する運転支援実行部201と、車両1の運転者が所定の操作を練習するための運転支援練習処理を実行する運転支援練習制御部202と、を備え、運転支援練習制御部202は、車両1が起動後であり、かつ停車中に、運転支援練習処理を実行する。
【0070】
このように運転支援装置11は、車両1が起動後であり、かつ停車中に、運転支援練習処理を実行することによって、実際の車両1を使用し、走行中を模擬した状態で運転支援の練習を行うことができる。特に、運転支援は、車両1が走行中にのみ実行可能な機能であるため、運転支援装置11は、運転者に対して十分な練習を提供し、運転支援のための練習を効率良く行うことができる。また、運転者は、運転支援練習処理を実行することによって、実際の走行中に余裕を持って運転支援を実行することができる。
【0071】
また、所定の操作子は、例えば、ブレーキペダル7B、ステアリングホイール31、ステアリングホイール31に配置された自動運転実行ボタン又はウインカ8aを含む。これにより、運転支援装置11は、所定の操作子の操作によって、運転支援及び運転支援練習処理を実行することができる。
【0072】
また、車両1は、車両1の外部に表示を行う照明装置8を備え、運転支援装置11は、車両1の走行中に操作子のいずれかの操作が行われる又は運転支援を実行中には、照明装置8に外部への表示を行わせるように制御し、運転支援練習処理を実行中には、照明装置8に外部への表示を行わせないように制御する表示制御部203を更に備える。
【0073】
これにより、運転支援装置11は、車両1の走行中又は運転支援を実行中には、車両1の走行中又は運転支援を実行中であることを外部に報知することができる。更に、運転支援装置11は、運転支援練習処理を実行中には、外部への表示を行わせないように制御することによって、他車両等に対して不要に警戒させることなく、運転支援の練習を行うことができる。
【0074】
また、運転支援練習制御部202は、運転支援練習処理において、仮想の対象物に向かって走行する車両1において衝突軽減ブレーキの実行を練習可能であり、表示制御部203は、車両1の走行中に衝突軽減ブレーキを作動すると、衝突軽減ブレーキが作動中であることを車両1の表示装置92及び照明装置8に表示するように制御する。更に、表示制御部203は、運転支援練習処理を実行中に衝突軽減ブレーキを作動すると、衝突軽減ブレーキが作動中であることを表示装置92に表示すると共に、照明装置8には表示を行わないように制御する。
【0075】
これにより、運転支援装置11は、走行中に衝突軽減ブレーキを作動した場合、外部に衝突軽減ブレーキを作動したことを報知することができる。また、運転支援装置11は、運転支援練習処理を実行中に衝突軽減ブレーキを作動した場合、外部への表示を行わないことによって、他車両等に対して不要に警戒させることなく、運転支援の練習を行うことができる。
【0076】
また、運転支援練習制御部202は、運転支援練習処理に関するデータを、車両1内に配置された携帯通信装置100に記録し、携帯通信装置100は、運転支援装置11と通信することにより運転支援練習処理を実行し、携帯通信装置100は、車両1の停車状態が解除されたことに伴い、運転支援練習処理を制限する。
【0077】
これにより、運転支援装置11は、運転支援練習処理に関する表示及び音声、並びに運転支援練習処理に関するデータを携帯通信装置100から出力させることができる。更に、運転支援装置11は、車両1の停車状態が解除されたことに伴い、運転支援練習処理を制限することによって、運転支援練習処理の終了又は停止を安定に実行することができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の運転支援装置11は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記の運転支援装置11により行なわれる制御方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0079】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
【0080】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 車両
2 制御装置
11 運転支援装置
201 運転支援実行部
202 運転支援練習制御部
203 表示制御部