(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159198
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】円筒缶容器のホルダ
(51)【国際特許分類】
B65D 25/28 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B65D25/28 106B
B65D25/28 107
B65D25/28 106A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058484
(22)【出願日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2021062855
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306028423
【氏名又は名称】片山 隆
(72)【発明者】
【氏名】片山 隆
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA04
3E062AB02
3E062AC03
3E062BA02
3E062BB06
3E062BB10
3E062HA01
3E062HA02
3E062HB02
3E062HB07
3E062HC06
3E062HC13
3E062HC17
3E062HD25
3E062HD30
(57)【要約】
【課題】円筒形状の缶容器対して、片手で簡単に装着できかつワンアクションで缶容器を交換できる缶容器用のホルダを提供する。
【解決手段】ホルダ1は、外周に環状のリムが形成された缶容器に外装される。ホルダ1は、複数のガイド11と一対の連結部12a,12bと係止爪13と把持部14とを備える。ガイド11は、缶容器100の円筒壁101bの母線に沿う方向に配置された摺動部11aを有し、缶容器の外周囲に配置される。連結部12a,12bは、摺動部11aよりも円筒壁101bから離れた外周でガイド11を互いに連結する。係止爪13は、ガイド11から延び装着された缶容器の半径方向へ可撓する弾性を有し、缶容器の円筒壁とリムで形成される隅104に当接する。把持部14は、ガイド11が延びる方向と平行に配置され連結部12a,12bにまたがって設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底で円筒形の本体の開口端にヘム加工で蓋が取り付けられてこの接合部の外周に環状のリムが形成された缶容器に外装されるホルダであって、静置された前記缶容器に当該ホルダが装着された状態において、
前記本体の円筒壁の母線に沿う方向に前記円筒壁に対峙して設けられる摺動部を有し前記円筒壁の周方向に複数配置されるガイドと、
前記円筒壁の鉛直方向の両端部近傍に一対に配置され前記摺動部よりも前記円筒壁から離れた外周で周方向に前記ガイドを互いに連結する一対の連結部と、
少なくとも1つの前記ガイドから延びかつ前記缶容器の半径方向へ可撓する弾性を有し、前記円筒壁と前記リムとで形成される隅に当接する係止爪と、
前記ガイドが延びる方向と平行に配置され一対の前記連結部にまたがって設けられる把持部と
を備えることを特徴とするホルダ。
【請求項2】
複数の前記ガイドは、前記円筒壁に沿って周方向へ移動可能に前記連結部に保持される
ことを特徴とする請求項1に記載のホルダ。
【請求項3】
前記把持部は、前記缶容器の接地面と同一面に当接する底部を有している
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホルダ。
【請求項4】
前記底部は、前記缶容器の高さに合わせて延長可能な脚部を含む
ことを特徴とする請求項3に記載のホルダ。
【請求項5】
前記把持部は、前記ガイドの少なくとも1つと一体に設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたホルダ。
【請求項6】
前記把持部は、上端部および下端部が前記ガイドの上部および下部に各々連結し中間部が前記ガイドから離間した縦長の環状に形成され、
前記上端部が前記中間部よりも前記ガイドから離れる方向に膨出しており、
前記下端部が前記上端部よりも前記ガイドから離れる方向に膨出している
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のホルダ。
【請求項7】
一対の前記連結部は、各々上縁および下縁の少なくとも一方に少なくとも1つの切欠部を有した環状に形成され、
複数の前記ガイドは、前記摺動部とは反対側の面に開放されて前記連結部に対して前記切欠部を介して挿嵌される嵌合凹部をそれぞれに有し、
前記把持部は、前記切欠部に嵌るとともに前記切欠部に対応する位置に配置された前記ガイドの前記嵌合凹部に嵌る結合凸部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部外周に環状のリム部を有した円筒形状の缶容器に持ち手を設けるとともにほかの缶容器に付け替えることが可能なホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
缶容器をジョッキのように持つために、缶容器に持ち手を装着する様々な保持具が発明考案されている。例えば、特許文献1に記載された「持ち手」及び特許文献2に記載された「簡易取っ手」は、上下を挟むように缶容器に装着される。また、特許文献3に記載された「ホルダー」は、缶容器上部のヘム部と胴部の間の凹部に嵌合するように装着される。特許文献4に記載された「取手」は、缶容器の円筒形状の胴部に外嵌することで装着される。
【0003】
特許文献5に記載された「保持具」は、タンクの外周よりやや大径で把手を設けた環状体に内側に弾性突出させた爪が設けられている。爪は、タンクのカール部の下縁に係合される。この保持具は、容器が手よりも大きく、特に冷えている場合には素手で持ちにくいことを解消するために、把手を容器に設ける。そして、容器の内容物が空になれば、保持具は、環状体を下げてタンクの下方へ外される。
【0004】
方形の紙パック容器に握り手を設けるための「ホルダ」が特許文献6に記載されている。このホルダは、紙パック容器の外形に沿った角形の枠と、ゲーブルトップを有した紙パック容器の折込部に嵌る係止体を有している。ホルダは、紙パック容器の上方から装着され、取り外す際は下方へ外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3186931号公報
【特許文献2】特開平9-216634号公報
【特許文献3】実公昭60-16511号公報
【特許文献4】特開昭54-1182号公報
【特許文献5】実開昭57-169636号公報
【特許文献6】特開2015- 48138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、缶容器をジョッキのように持つために装着された保持具は、缶容器に装着または取り外す際に、一方の手で保持具を持ち、もう一方の手で缶容器を持ち、作業しなければならない。保持具を付け替えるのに手間取るようでは、使い勝手が悪く、結局使わなくなってしまいがちである。また、タンクの保持具や紙パックのホルダは、下方へ押し下げることで取り外すように作られているが、両手で作業しなければ容器から取り外せない構造である。
【0007】
そこで、本発明は、円筒形状の缶容器に対して、片手で簡単に装着できるだけでなくワンアクションで缶容器を交換することを可能にした缶容器用のホルダを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる一実施形態のホルダは、有底で円筒形の本体の開口端にヘム加工で蓋が取り付けられてこの接合部の外周に環状のリムが形成された缶容器に外装される。そして、ホルダは、ガイドと、連結部と、係止爪と、把持部とを備える。静置された缶容器にホルダが装着された状態において、ガイドは、缶容器の本体の円筒壁の母線に沿う方向に円筒壁に対峙して設けられる摺動部を有し、円筒壁の周方向に複数配置される。連結部は、円筒壁の鉛直方向の両端部近傍に一対に配置され摺動部よりも円筒壁から離れた外周で周方向に複数のガイドを互いに連結する。係止爪は、少なくとも1つのガイドから延びかつ缶容器の半径方向へ可撓する弾性を有し、缶容器の円筒壁とリムとで形成される隅に当接する。把持部は、ガイドが延びる方向と平行に配置され、一対の連結部にまたがって設けられる。
【0009】
このときガイドは、缶容器の円筒壁に沿って周方向へ移動可能に連結部に保持されていてもよい。また、把持部は、缶容器の接地面と同一面に当接する底部を有していてもよい。そして、底部は、缶容器の高さに合わせて延長可能な脚部を含んでいてもよい。また、把持部は、ガイドの少なくとも1つと一体に設けられていてもよい。
【0010】
また、把持部は、上端部および下端部がガイドの上部および下部に各々連結し中間部がガイドから離間した縦長の環状に形成され、上端部が中間部よりもガイドから離れる方向に膨出しており、下端部が上端部よりもガイドから離れる方向に膨出していてもよい。
【0011】
また、一対の連結部は、各々上縁および下縁の少なくとも一方に少なくとも1つの切欠部を有した環状に形成され、複数のガイドは、摺動部とは反対側の面に開放されて連結部に対して切欠部を介して挿嵌される嵌合凹部をそれぞれに有し、把持部は、切欠部に嵌るとともに切欠部に対応する位置に配置されたガイドの嵌合凹部に嵌る結合凸部を有していてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る一実施形態のホルダは、上述の構成を有しているので、円筒形状の缶容器に対して、片手で簡単に装着できるだけでなく、ワンアクションで缶容器を交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る第1の実施形態のホルダを示す斜視図。
【
図2】
図1に示したホルダのF2-F2線に沿う断面図。
【
図3】
図1に示したホルダに装填された缶容器を別の缶容器に交換する一連の動作を示す斜視図であって、(A)は交換するために用意された缶容器に対してホルダが装着された缶容器を上から重ねた状態の斜視図、(B)は缶容器に装着されていたホルダを次に装着される缶容器へ移動させる途中の斜視図、(C)は次の缶容器にホルダが装着され、先にホルダに装着されていた缶容器が上方に排出された状態の斜視図。
【
図4】本発明に係る第2の実施形態のホルダを示す斜視図。
【
図5】
図4に示したホルダを高さの大きい缶容器に装着した状態の側面図。
【
図6】本発明に係る第3の実施形態のホルダを示す斜視図。
【
図7】
図6に示したホルダを組み立てる手順1を示す斜視図。
【
図8】
図6に示したホルダを組み立てる手順2を示す斜視図。
【
図9】
図6に示したホルダを組み立てる手順3を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
本発明に係る第1の実施形態のホルダについて、
図1から
図3を参照して説明する。
図1に示すホルダ1は、円柱型の缶容器100に外装されて使用される。この缶容器100は、有底で円筒形の本体101の開口端101aにヘム加工で蓋102が取り付けられ、接合部の外周に環状のリム103が形成されている。ホルダ1は、ガイド11と連結部12a,12bと係止爪13と把持部14とを備える。
図1において、缶容器100は、例えば、外径φ66.0mmの350ml容器であって、清涼飲料や炭酸飲料などの他、ビールや焼酎などのアルコール飲料の容器として広く使用されている缶容器である。
【0015】
静置された缶容器100にホルダ1が装着された状態において、ガイド11は、缶容器100の本体101の円筒壁101bの母線に沿う方向に対峙して設けられた摺動部11aを有している。ガイド11は、
図1に示すように、缶容器100の外周に複数、本実施形態では3つ、ほぼ等配に配置される。ガイド11は、缶容器100を中央に配した線対称となる位置に配置される2つであってもよいし、本実施形態の3つよりも多い数であってもよい。
【0016】
連結部12a,12bは、ホルダ1に装填された缶容器100の円筒壁101bの両端部(上端部及び下端部)近傍に一対に配置され、摺動部11aよりも円筒壁101bから離れた外周で周方向にガイド11を互いに連結する一対に設けられる。別の言い方をすると、連結部12a,12bは、缶容器100の中心軸から半径方向に離れた位置で複数のガイド11を互いに連結する。
【0017】
本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、連結部12a,12bは、ホルダ1に装填された缶容器100の円筒壁101bに接しない位置で環状に上下二段の一対に配置されている。そして、各ガイド11は、連結部12a,12bによって缶容器100の円筒壁101bに沿って周方向へ移動可能に組み立てられている。
【0018】
より具体的に述べると、環状の連結部12a,12bは、缶容器100の周方向に沿って各ガイド11の上部11c及び下部11dに開口された穴11bに通されている。ガイド11が周方向へ移動可能であることによって、利用者が缶容器100の中身を飲むために口をつける部分または注ぎ口となる部分に干渉しないようにガイド11を移動させることができる。
【0019】
また、連結部12a,12bは、環状の1か所で開放できる構造であって、開放端部が互いに係合する構造を有している。開放端部が互いに組み合わされた状態でガイド11の穴11bの内部に位置することで、連結部12a,12bは、開放しない状態に固定される。なお、ガイド11の上部11c及び下部11dに開口された穴11bは、貫通穴のように周囲が閉じている必要はなく、例えば摺動部11aの反対側の面に一部が開放したスロット状でもよい。
【0020】
係止爪13は、ガイド11から延びかつ装着された缶容器100の半径方向へ可撓する弾性を有している。係止爪13の先端部13aは、
図2に示すように、缶容器100の中心軸に向かって摺動部11aよりも内側に位置している。ホルダ1に缶容器100が装填された状態で、係止爪13は、缶容器100の円筒壁101bとリム103とで形成される隅104に下方から当接する。
【0021】
把持部14は、ガイド11が延びる方向と平行に配置され、一対の連結部12a,12bにまたがって設けられている。言い換えると、ホルダ1に装着された缶容器100の中心軸を通る面に沿って配置されている。本実施形態において、把持部14は、
図1及び
図2に示すように、1つのガイド11に一体的に設けられている。この把持部14は、
図2に示すように、上端部141および下端部142がガイド11の上部11cおよび下部11dに各々連結されており、中間部143がガイド11から離間した縦長の環状に形成されている。把持部14の開口した部分は、平均的な成人男性が親指を除く4本の指を通し入れた状態で、十分なゆとりのある大きさがある。
【0022】
本実施形態では、
図2に示すように、上端部141が中間部143よりもガイド11から離れる方向へ膨出しており、かつ、下端部142が上端部141よりもさらにガイド11から離れる方向へ膨出している。上述のように把持部14が形成されていることで、ホルダ1が装着された缶容器100を利用者が持つ際に、親指を除く他の指を把持部14に通して軽く握るだけで、下端部142が小指球に当たる。したがって、缶容器100が装填されたホルダ1を手に持った場合、内容物の重さで缶容器100が傾くことを防ぐために意識的に手首を外転させて缶容器100を立て起こさなくても缶容器100を鉛直に保持しやすくなる。
【0023】
次に、
図3を参照して、上述のように構成されたホルダ1に装着された缶容器100Aを別の缶容器100Bに交換する場合の操作について説明する。
図3は、缶容器100Aを別の缶容器100Bに交換する一連の動作を示しており、(A)は、新しく交換するために用意された缶容器100Bに対して、ホルダ1に保持された缶容器100Aを上から重ね合わせた状態を示している。(B)は、ホルダに装着されていた缶容器100Aが新しい缶容器100Bによって押し出されている状態であり、ホルダ1が、先の缶容器100Aから次の缶容器100Bへ移動する状態である。(C)は、先の缶容器100Aが押し出され、ホルダ1が新しい缶容器100Bに装着された状態を示している。
【0024】
具体的には、ホルダ1に装着された缶容器100Aが空になった場合に新しい缶容器100Bに交換する一連の動作が想定される。例えば、利用者は、空になった缶容器100Aを新しい缶容器100Bに交換したい場合、ホルダ1の把持部14を片手で持った状態で新しい缶容器100Bの上に空になった缶容器100Aを載せて(
図3(A)の状態)、そのままの勢いでホルダ1を缶容器100Bに向かって下方へ押し下げると(
図3(B)の状態)、先にホルダ1に保持されていた缶容器100Aが上方へ抜けて新たな缶容器100Bがホルダ1に装填される(
図3(C)の状態)。
【0025】
このように、
図3(A)の状態からホルダ1を押し下げると、係止爪13が缶容器100Aによって押し広げられ、
図3の(B)に示すようにそのまま缶容器100Bに外装する位置へ降りていく。そして、
図3の(C)に示すように、ホルダ1の係止爪13の先端部13aが缶容器100Bのリム103を超えて隅104に嵌ることで、新しい缶容器100Bにホルダ1を装着する動作が完了し、空の缶容器100Aがホルダ1から排出される。この一連の動作は、例えばテーブルに置かれた新しい缶容器100Bに交換する場合、ホルダ1の把持部14を持ったままの片手で行うことができる。
【0026】
このホルダ1を使用することによって、ホルダ1の把持部14を持ったまま下方へ押し下げるだけで、缶容器100A,100Bには触れずに、かつ持ち替えるなどの段取り替えすることなく、いわゆるワンアクションで缶容器100Aを缶容器100Bに交換することができる。
【0027】
なお、ガイド11の下端11eは、缶容器100の外径より大きくなる方向へ拡開したテーパに形成しておくと、次に装填する缶容器100Bがホルダ1内に入りやすくなる。
(第2の実施形態)
本発明に係る第2の実施形態のホルダ1について、
図4及び
図5を参照して説明する。第1の実施形態におけるホルダ1と同じ機能を有している第2の実施形態のホルダ1の構造及び部位は、第1の実施形態のホルダ1と同じ符号を付して詳細な説明を参酌するものとし、ここでの記載を省略する。
【0028】
図4に示すように第2の実施形態のホルダ1は、装着された缶容器100の接地面Sと同一面に当接する底部15を把持部14に有している。したがって、缶容器100の内容量が減った場合に、ホルダ1の重さで缶容器100ごと転倒することを防止できる。また、缶容器100を入れ替えたときに、例えば缶容器100がテーブルに置かれた状態であれば、ホルダ1の底部15がテーブルの上面に当接することで、係止爪13の先端部13aが缶容器100の隅104にちょうど嵌る。
【0029】
さらにこの底部15は、
図4及び
図5に示すように、ホルダ1に装着される缶容器100の高さに合わせて延長可能な脚部16を含んでいる。例えば、飲料用の缶容器100として主に流通しているものには、主に内容量350mlの缶容器100Mと内容量500mlの缶容器100Lとがあり、これらは円筒形状の外径が同じで高さが異なっている。
【0030】
図4は、350mlの缶容器100Mにホルダ1を装着した状態を示し、
図5は、脚部16を延長してホルダ1の底部15が缶容器100Lの接地面Sと同一面に当接する状態を示している。本実施形態において、脚部16は、把持部14から取り外し可能に設けられており、把持部14が膨出する方向に沿う軸Yを中心に線対称に形成された嵌合部161を底部15寄りの位置に有している。把持部14には、脚部16と同形状の凹部144が設けられており、脚部16は、この凹部144に収納されている。
【0031】
以上のように構成されたホルダ1は、
図4に示すように、脚部16を把持部14から取り外し、
図5に示す脚部16Aのように軸Yを中心に上下を反転させて嵌合部161を再び把持部14に嵌め込むことで、脚部16Aは把持部14の下端部142よりも下方へ延びた状態になり、かつその遠端部162がホルダ1に装着された500mlの缶容器100Lの接地面Sと同一面に当接する。脚部16は底部15に含まれているので、この脚部16の遠端部162が接地面Sに当接することは、すなわち、底部15が接地面Sに当接していることと解釈できる。
【0032】
第2の実施形態に係るホルダ1によれば、350mlの缶容器100M及び500mlの缶容器100Lのどちらをホルダ1に装着した状態であってもホルダ1の底部15を接地面Sに当接する状態にすることができるので、缶容器100M,100Lが転倒しないように支えることができる。
【0033】
また、脚部16は、嵌合部161が軸Yに対して線対称かつ軸Yに垂直な面に対して反転対称に形成されているので、
図5に示すように軸Yに垂直な面に対して反転した向きで嵌合部161を把持部14に嵌め戻すこともできる。例えば、
図5中の脚部16Bのように遠端部162が把持部14の下端部142よりも下方へ延びた状態で把持部14に嵌めることもできるし、
図5中の脚部16Cのように遠端部162が把持部14に沿う上方へ延びた状態で把持部14に嵌め戻すこともできる。
【0034】
脚部16を脚部16Bの状態で把持部14に嵌めこむと、遠端部162が把持部14の膨出する方向へガイド11から離れる位置に配置されるので、缶容器100Lをより安定した状態に支持することができる。また、脚部16を脚部16Cの状態で把持部14に嵌め込むと、把持部14の中間部143における構造上の断面外形が大きくなるので、手の大きい利用者にとって把持部14を握りやすくなる。
【0035】
なお、
図4及び
図5に示した脚部16の嵌合部161の形状は、本発明を理解しやすくするための一例であって、各図に示された形状に限定されるものではない。同様に、把持部14の意匠的外観の形状も、
図1から
図5に示された形状に限定されるものではない。さらに、ホルダ1の大きさは、内容量が350mlの缶容器100M及び内容量が500mlの缶容器100Lに対応するものに限定されない。
【0036】
例えば、円筒形状の外径がφ53.0mm、高さが104.5mm、内容量が190ml用の缶容器や、これと同じ外径のφ53.0mm、高さが133.0mm、内容量が250ml用の缶容器に対しても上記第1及び第2の実施形態と同じ技術思想で、ホルダ1を構成することが可能である。また、第1及び第2の実施形態で示した外径がφ66.0mmで内容量が350mlの缶容器100,100Mや内容量が500mlの缶容器100Lよりも高さの低く内容量が250mlの缶容器には、ガイド11の長さを短くしたホルダを適用することができる。
【0037】
さらに、上述の第2の実施形態で示した脚部16は、取り外し式の構造で説明したが、把持部14に内蔵されてスライド式又はネジ式に伸縮する脚部であってもよい。
【0038】
缶容器の内容物が例えばビールあるいはそれに類する麦芽炭酸飲料である場合、缶を開栓しただけでは泡が立ちにくいので、缶容器の円筒壁に当接するように例えばガイドや把持部に超音波振動子を内蔵してもよい。超音波振動子によって缶容器内部に振動を加えることできめ細かい泡が立ち、ビールをジョッキで飲んでいる雰囲気が演出できる。
(第3の実施形態)
本発明に係る第3の実施形態のホルダについて、
図6から
図9を参照して説明する。本実施形態において、先に説明した第1及び第2の実施形態のホルダ1と同じ機能や構造を有する構成は、各図において第1及び第2の実施形態のホルダ1と同じ符号を付して詳細な説明を参酌することとし、ここでの説明を省略する。
【0039】
本発明に係る第3の実施形態のホルダ1は、
図6に示すように、組み立てられ状態において、第1及び第2の実施形態のホルダ1と酷似した外観であるが、連結部12a,12bに把持部14を取付固定する構造が第1及び第2の実施形態のホルダ1と異なっている。特に、第1及び第2の実施形態のホルダ1は、把持部14が1つのガイド11と一体に設けられていたことに対して、本実施形態のホルダ1は、係止爪13が一体に設けられたガイド11から把持部14が別体に構成されており、複数のガイド11が共通形状に作られている。
【0040】
具体的には、一対の連結部12a,12bは、
図7に示すように各々同じ周方向位置の上縁および下縁にそれぞれ切欠部121を有した環状に形成されている。なお、切欠部121は、上縁と下縁のいずれか一方に設けられているだけでもよく両方に設けられている必要はない。複数のガイド11は、
図7に示すように摺動部11aとは反対側の面に開放されて、連結部12a,12bに対して切欠部121を介して挿嵌される嵌合凹部11fをそれぞれに有している。嵌合凹部11fの開放幅は、切欠部121よりも大きく開口している。ガイド11は、切欠部121から連結部12a,12bに嵌め込まれ、周方向へ移動させることで、切欠部121以外の連結部12a,12bにほぼがたつくことなく保持される。
【0041】
把持部14は、
図8に示すように、ガイド11とは別体に構成されており、結合凸部145を連結部12a,12bの切欠部121に対応する位置に有している。切欠部121が連結部12a,12bの上縁または下縁のいずれかにみに設けられている場合は、当然、その切欠部に対応した形に形成される。この結合凸部145は、
図9に示すように、連結部12a,12bの切欠部121に嵌り込むことで連結部12a,12bの上縁および下縁と面一のリング状になることで、ガイド11が周方向へ自由に移動可能になっている。
【0042】
次に、このホルダ1の組み立て手順について、以下に説明する。
【0043】
図7に示す手順1では、連結部12a,12bの内周側から外側に向かって、ガイド11の嵌合凹部11fを、連結部12a,12bの切欠部121を介して連結部12a,12bに通したのち、連結部12a,12bの周方向へガイド11を移動させる。これにより、ガイド11を連結部12a,12bに組み合わせる。他のガイド11も同様に連結部12a,12bに挿嵌されることで、
図8に示すように、連結部12a,12bの周方向へ移動可能に保持される。
【0044】
次に、
図8に示す手順2では、連結部12a,12bに複数のガイド11を挿嵌させたのち、連結部12a,12bの切欠部121に把持部14の結合凸部145を嵌め込む。本実施形態では、連結部12a,12bの上縁と下縁の両側に切欠部121が形成されており。その切欠部121に対応するように一対に結合凸部145が設けられているので、切欠部121が設けられていることで細くなった連結部12a,12bは、結合凸部145のちょうど間に嵌り込む。
【0045】
最後に、
図9に示す手順3では、ホルダ1の連結部12a,12bの切欠部121と把持部14の結合凸部145が嵌合された位置へ、1つのガイド11を連結部12a,12bに沿って周方向へ移動させると、連結部12a,12bと把持部14は結合された状態にガイド11で保持される。本実施形態ではガイド11の形状はすべて同じ形状であるので、把持部14を連結部12a,12bに固定するために組み合わされるガイド11は、複数あるガイド11のうち、いずれのガイド11でもよい。
【0046】
ガイド11と把持部14が別体に構成されていることで、ガイド11に一体に設けられた係止爪13が破損した場合に、新たなガイド11に交換することで、ホルダ1を丸ごと破棄することなく、最小限の部品の交換で、継続的に使用することができる。
【0047】
以上のように構成された第3の実施形態のホルダ1によれば、第1及び第2の実施形態のホルダ1と同様に、缶容器100に装着して、いわゆるジョッキのようにして缶容器100を持つことができるとともに、缶容器100を交換する際には、第1の実施形態の
図3のように、把持部14を持ったままホルダ1に装填されている缶容器100Aを次の新しい缶容器100Bへ上から重ねて、下方の新しい缶容器100Bへとホルダ1をスライドさせるだけで、片手で簡単に、しかもワンアクションで缶容器100を交換することができる。
【0048】
なお、本実施形態において摺動部11aと係止爪13を有したガイド11によって環状の連結部12a,12bに把持部14を結合固定する構造は、把持部14に結合凸部145が一体に設けられているが、係合凸部に相当する結合構造を連結部12a,12bに一体に形成し、これに対応する凹部を把持部14に設けて互いに連結固定されるようにしてもよい。このとき、連結部12a,12bは、一続きの環状に形成されていることに限らず、結合構造部分において開放可能な構造であってもよい。
【0049】
なお、
図6から
図9に示したホルダ1の連結部12と把持部14の接続構造は、本発明を理解しやすくするための一例であって、各図に示された形状に限定されるものではない。同様に、把持部14の意匠的外観の形状も、
図6から
図9に示された形状に限定されるものではない。さらに、ホルダ1は、円筒形状の容器で上部にヘム加工によって蓋が取り付けられる構造の容器に対応して作られるものであるから、その容器の大きさに応じて適宜大きさを変えて作られるものであり、
図3に示した内容量が350mlの缶容器100M及び
図5に示した内容量が500mlの缶容器100Lに対応するものに限定されない。
【0050】
また、連結部12a,12bに配置される係止爪13を有したガイド11は、3つに限定されない、2つあるいは、4つであってもよい。また、連結部12a,12bの周方向へ離れて配置されているガイド11の間に、缶容器100の内容物の温度を保ちやすくするために缶容器100を取り巻くように断熱材や保温材(保冷剤)を配置してもよい。さらに、第1から第3の実施形態において、連結部12a,12bは、一続きの環状の部材で形成されている必要はなく、分離可能な複数の部材を繋ぎ合わせて形成されていてもよい。複数の部材をつなぎ合わせて連結部12a,12bを形成する場合、その一部を除くまたは加えることで、太さの異なる缶容器を保持できるようにホルダ1のサイズを変えることも可能である。また、連結部12a,12bを周方向へ伸縮可能なスライド構造にしても同様のことが実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の一実施形態である円筒形状の缶容器のホルダは、同一形状で積み上げ可能なものであって係止爪が下方から掛かる被係合部を上部外周に有しているものに限らず、ホルダによって保持されるものに直接触れることなく交換したい場合にも適用することができる。例えば、円筒形状の缶容器に似たカートリッジを古いものから新しいものに交換する場合、一方から新しいカートリッジを装填し、他方へ古いカートリッジを排出するように交換することで、カートリッジの交換を容易にする。
【符号の説明】
【0052】
1…ホルダ、11…ガイド、11a…摺動部、11c…上部、11d…下部、11f…嵌合凹部、12a,12b…連結部、121…切欠部、13…係止爪、14…把持部、141…上端部、142…下端部、143…中間部、145…結合凸部、15…底部、16,16A,16B,16C…脚部、100,100A,100B,100M,100L…缶容器、101…本体、101a…開口端、101b…円筒壁、102…蓋、103…リム、104…隅、S…接地面。