(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159207
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】剥離に対する信頼性を高めたプラスチック枠部を有するガラス物品
(51)【国際特許分類】
B32B 17/04 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B32B17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022058852
(22)【出願日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/168,450
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】レイ ゲイジ ギブソン ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】カレド ラヨーニ
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AG00A
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK01G
4F100AR00B
4F100AR00C
4F100BA03
4F100CB10
4F100CB10B
4F100CB10G
4F100EC182
4F100EC18B
4F100EC18C
4F100EC18G
4F100EH01
4F100GB32
(57)【要約】
【課題】ガラスシートに接合される枠部を、従来使用されている金属からガラスに換える。
【解決手段】本開示の実施形態は、ガラス物品に関する。ガラス物品は、第1の主面および第2の主面を有するガラスシート52を含む。第2の主面は、第1の主面の反対側である。ガラス物品は、プラスチック材料で製造された枠部64も含む。プラスチック材料は、ppm/℃の単位の熱膨張率(α)を有する。ガラス物品は、更に、ガラスシート52の第2の主面を枠部64に接合する接着剤を含む。接着剤は、MPaの単位の剪断弾性係数(G)を有する。枠部64のプラスチック材料、および、接着剤は、G≦500,000α
-3となるように選択される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス物品において、
第1の主面、および、該第1の主面の反対側の第2の主面を有するガラスシートと、
ppm/℃の単位の熱膨張率(α)を有するプラスチック材料を含む枠部と、
前記ガラスシートの前記第2の主面を前記枠部に接合し、MPaの単位の剪断弾性係数(G)を有する接着剤と
を含み、
前記枠部の前記プラスチック材料および前記接着剤は、
G≦Aα-3を満たすように選択され、但し、Aは、(MPa)(ppm/℃)+3の単位を有し、500,000に等しいものであるガラス物品。
【請求項2】
前記接着剤の前記剪断弾性係数(G)は、約0.1MPaから約100MPaの範囲である、請求項1に記載のガラス物品。
【請求項3】
前記プラスチック材料の前記熱膨張率(α)は、約5ppm/℃から約100ppm/℃の範囲である、請求項1または2に記載のガラス物品。
【請求項4】
前記ガラスシートは、ガラス弾性率(Eg)および前記第1の主面と前記第2の主面の間のガラス厚さ(tg)を有するガラス材料を含むものであり、
前記プラスチック材料は、プラスチック弾性率(EP)および枠部厚さ(tp)を有し、(Eptp)/(Eptp+Egtg)は、0より大きく、1以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載のガラス物品。
【請求項5】
前記プラスチック弾性率(Ep)は、約4GPaから約40GPaの範囲である、請求項4に記載のガラス物品。
【請求項6】
前記枠部厚さ(tp)は、約1mmから約15mmの範囲である、請求項4に記載のガラス物品。
【請求項7】
前記枠部厚さ(t
p)は、
によって与えられ、但し、α
gは、前記ガラスシートの熱膨張率であり、前記定数は、10から300(ppm/℃)
2MPaである、請求項6に記載のガラス物品。
【請求項8】
前記枠部は、第1の曲率半径を有する第1の湾曲部を画定する湾曲した支持面を含むものであり、
前記接着剤は、前記ガラスシートの前記第2の主面を前記湾曲した支持面に接合して、該ガラスシートが、前記第1の曲率半径から10%以内の第2の曲率半径を有する第2の湾曲部を画定するものである、請求項1から3のいずれか1項に記載のガラス物品。
【請求項9】
前記第1の曲率半径は、50mm以上である、請求項8に記載のガラス物品。
【請求項10】
前記ガラスシートは、0.3から2.0mmの前記第1の主面と前記第2の主面の間の平均厚さを有するものである、請求項1から3のいずれか1項に記載のガラス物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、米国特許法第119条の下、2021年3月31日出願の米国仮特許出願第63/168,450号の優先権の利益を主張し、その内容は依拠され、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、プラスチック枠部を有するガラス物品、特に、接着層およびプラスチック枠部を、同等の金属枠部と同じレベルの機械的信頼性を提供するように選択したガラス物品に関する。
【背景技術】
【0003】
乗物内装部は、装飾面を有し、そのような表面に表示部を組み込みうる。表示面を形成する材料は、典型的には、ガラスの耐久性および光学性能を示さないポリマーに限られる。したがって、特に表示部のカバーとして用いられる場合には、ガラスシートが望ましい。そのようなガラス物品を形成する既存の方法は、ガラスシートを、機械的信頼性を高める金属枠部に接合する工程を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、そのような金属枠部は、材料費および製作費用が高い。更に、金属枠部は、プラスチックなどの他の非金属材料より重い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある態様によれば、本開示の実施形態は、ガラス物品に関する。ガラス物品は、第1の主面および第2の主面を有するガラスシートを含む。第2の主面は、第1の主面の反対側である。ガラス物品は、プラスチック材料で製造された枠部も含む。プラスチック材料は、ppm/℃の単位の熱膨張率(α)を有する。ガラス物品は、更に、ガラスシートの第2の主面を枠部に接合する接着剤を含む。接着剤は、MPaの単位の剪断弾性係数(G)を有する。1つ以上の実施形態において、枠部のプラスチック材料、および、接着剤は、G≦Aα-3を満たすように選択され、但し、Aは、(MPa)(ppm/℃)+3の単位を有し、500,000に等しい。
【0006】
他の態様によれば、本開示の実施形態は、ガラス物品の製造方法に関する。方法において、ガラスシートを枠部に接着剤を用いて接着する。ガラスシートは、第1の主面、および、第1の主面の反対側の第2の主面を有する。枠部は、ppm/℃の単位の熱膨張率(α)を有するプラスチック材料で製造され、接着剤は、MPaの単位の剪断弾性係数(G)を有する。1つ以上の実施形態において、枠部のプラスチック材料および接着剤は、G≦Aα-3を満たすように選択され、但し、Aは、(MPa)(ppm/℃)+3の単位を有し、500,000に等しい。
【0007】
更に他の態様によれば、本開示の実施形態は、乗物内装要素に関する。乗物内装要素は、第1の主面、および、第2の主面を有するガラスシートを含む。第2の主面は、第1の主面の反対側である。ガラス厚さ(tg)が、第1の主面と第2の主面の間に画定される。ガラスシートは、、ガラス弾性率(Eg)およびガラス熱膨張率(αg)を有するガラス材料で製造される。乗物内装要素は、更に、プラスチック材料で製造された枠部を含み、プラスチック厚さ(tp)を有する。プラスチック材料は、プラスチック弾性率(Ep)およびプラスチック熱膨張率(αp)を有する。接着剤は、ガラスシートの第2の主面を枠部に接合し、接着剤は、剪断弾性係数(G)を有する。枠部のプラスチック材料、接着剤、および、ガラスシートのガラス材料は、10(ppm/℃)2MPa≦(αp-αg)2G((Eptp)/(Eptp+Egtg))≦300(ppm/℃)2MPaを満たすように選択される。
【0008】
更なる特徴および利点を、次の詳細な記載に示し、それは、部分的には、当業者には、その記載から明らかであるか、次の詳細な記載、請求項、および、添付の図面を含む本明細書に記載の実施形態を実施することによって分かるだろう。
【0009】
ここまでの概略的記載および次の詳細な記載の両方が、例示にすぎず、請求項の本質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することを意図すると理解すべきである。
【0010】
添付の図面は、更なる理解のために提供され、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、1つ以上の実施形態を示し、明細書の記載と共に、様々な実施形態の原理および動作を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】例示的な実施形態による乗物内装システムを有する乗物内装部の斜視図である。
【
図2A】例示的な実施形態によるプラスチック枠部を有するV字状のガラス物品を示している。
【
図2B】例示的な実施形態によるプラスチック枠部を有するC字状のガラス物品を示している。
【
図3】例示的な実施形態よるガラス物品および処理チャックの分解斜視図を示してる。
【
図4】参考金属枠部と同等の信頼性を有する例示的な実施形態によるプラスチック枠部の設計空間を概略的に示している。
【
図5】参考金属枠部に基づいて、例示的な実施形態によるプラスチック枠部の設計空間の例示的な実施形態を示している。
【
図6】参考金属枠部と機械的に同等のプラスチック枠部の実施形態について、接着剤の剪断弾性係数と熱膨張率のプロットを示しており、プロットは、例示的な実施形態によるプラスチック枠部の熱膨張率を接着剤の剪断弾性係数と関連させた冪乗則曲線とフィットされている。
【
図7】例示的な実施形態によるプラスチック枠部の熱膨張率を、同等の金属枠部の厚さに基づくプラスチック枠部の厚さに関連させたグラフを示している。
【
図8】例示的な実施形態によるプラスチック枠部の熱膨張率を、同等の金属枠部の剛性に基づくプラスチック枠部の厚さに関連させたグラフを示している。
【
図9】例示的な実施形態によるガラスシートの幾何学寸法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、プラスチック枠部を有する乗物内装システム用ガラス物品の様々な実施形態を詳細に記載し、その例を、添付の図面に示している。より詳細に以下に記載するように、ガラス物品は、枠部に接着されたガラスシートを含む。そのようなガラス物品の材料費および製造費用を削減するために、枠部をプラスチック材料から形成するのが望ましい。しかしながら、ガラス物品を組み込んだ自動車などの乗物は、周囲の気象条件およびエンジンの運転により、極端な温度に曝されることが多い。従来から使われてきた金属枠部と比べて、プラスチック枠部は、概して、極端な温度により寸法変化が大きく、それにより、ガラスシートを枠部に連結する接着層で、より大きい内部応力を生じうる。本開示によれば、プラスチック枠部を有するガラス物品の熱的および機械的信頼性に基づく設計ウインドウを開発する。特に、本開示の実施形態は、ガラス物品を、金属枠部を有する同等のガラス物品と同じ程度に信頼できるものにする接着材料の機械的物性とプラスチック枠部の機械的物性との関係を確立する。これらの、および、他の態様および利点を、以下に記載して図面に示した例示的な実施形態について、より完全に記載する。これらの実施形態は、例示にすぎず、限定するものではない。
【0013】
以下の記載のコンテクストを提供するために、プラスチック枠部を有するガラス物品の例示的な実施形態を、乗物内装システムの特定の利用例について記載する。
【0014】
図1は、3つの異なる実施形態である乗物内装システム20、30、40を含む乗物の例示的な内装部10を示している。乗物内装システム20は、センターコンソール基部22として示した基部を含み、表面24が表示部26を含む。乗物内装システム30は、ダッシュボード基部32として示した基部を含み、表面34が表示部36を含む。ダッシュボード基部32は、典型的には、計器パネル38を含み、それも表示部を含みうる。乗物内装システム40は、ハンドル基部42として示した基部を含み、表面44および表示部46を有する。1つ以上の実施形態において、本明細書に記載の任意の実施形態の乗物内装システムは、アームレスト、ピラー、背もたれ、床板、ヘッドレスト、ドアパネル、または、表面を有する乗物内装部の任意の部分である基部を含む。実施形態において、そのような表面は、湾曲または平坦であるか、若しくは、湾曲部および平坦部の両方を含む。
【0015】
本明細書に記載のガラス物品の実施形態を、特に、各乗物内装システム20、30、40で用いうる。いくつかのそのような実施形態において、本明細書に記載のガラス物品は、ダッシュボード、センターコンソール、ハンドル、ドアパネルなどの非表示面も覆うカバーガラスシートを含みうる。そのような実施形態において、ガラス材料を、質量、美的外観などに基づいて選択しうるものであり、更に、パターン(例えば、光沢のない金属外観、木目調外観、皮革調外観、着色した外観など)を含む被膜(例えば、インクまたは顔料膜)を備えて、ガラス要素が、隣接した非ガラス要素と視覚的に調和するようにしうる。特定の実施形態において、そのようなインクまたは顔料膜は、表示部26、36、38、46が作動しない時にデッドフロントまたはカラーマッチング機能を提供する透明度を有しうる。更に、
図1の乗物内装部は、自動車(例えば、車、トラック、バスなど)の形状の乗物を示しているが、本明細書に開示のガラス物品を、電車、船舶(ボート、船、潜水艦など)、および、航空機(例えば、ドローン、飛行機、ジェット機、ヘリコプターなど)などの他の乗物にも組み込みうる。
【0016】
実施形態において、表面24、34、44は、平面または平坦か(例えば、10m以上の曲率半径を有する)、若しくは、実施形態において、表面24、34、44は、
図2A、2Bに示した、各々、V字状またはC字状に曲がったガラス物品など、任意の様々な曲がった形状でありうる。まず、
図2Aを参照すると、V字状のガラス物品50の実施形態の側面図を示している。ガラス物品50は、第1の主面54、第1の主面54の反対側の第2の主面56、および、第1の主面54を第2の主面56につなぐ側面58を有するガラスシート52を含む。第1の主面54および第2の主面56は、ガラスシート52の厚さTを画定する。実施形態において、ガラスシート52の厚さTは、約0.3mmから約2mmの範囲、例えば、約0.5mmから約1.1mmの範囲でありうる。乗物において、第1の主面54は、乗物に乗車している人に向く。
【0017】
実施形態において、第1の主面54、および/または、第2の主面56は、1つ以上の表面処理部を含みうる。第1の主面54と第2の主面56の一方または両方に適用しうる表面処理部の例は、防眩膜、反射防止膜、タッチ機能を提供する膜、装飾(例えば、インクまたは顔料)膜、および/または、掃除し易い膜を含む。
【0018】
図2Aから分かるように、ガラスシート52は、第1の平坦部62aと第2の平坦部62bの間に位置する湾曲領域60を有する。実施形態において、湾曲領域60は、約50mmから、略平面または平坦な曲率半径(例えば、R≧10m)より小さい範囲の曲率半径Rを有しうる。更に、
図2Aに示したように、湾曲領域60は、第1の主面54に対して凹状湾曲部を画定しうるが、その代わりに、他の実施形態において、湾曲領域60は、第1の主面54に対して凸状湾曲部でもありうる。
【0019】
図2Aのガラス物品50において、枠部64は、ガラスシート52の第2の主面56に、接着層66を用いて接着される。実施形態において、接着層66は、強靭性エポキシ、可撓性エポキシ、アクリル、シリコーン、ウレタン、ポリウレタン、および、シラン変性ポリマーなどの構造的接着剤でありうる。実施形態において、接着層66は、枠部64とガラスシート52の間に、例えば、約1mmなど、約0.5mmから約3mmの範囲の厚さを有しうる。
【0020】
部分的には、枠部64は、ガラス物品50を乗物内装基部(
図1に示したセンターコンソール基部22、ダッシュボード基部32、および/または、ハンドル基部42など)に載置するのを容易にする。更に、湾曲したガラス物品50について、枠部64は、ガラスシート52を(少なくとも湾曲領域60で)曲がった形状で保持する、湾曲した枠部支持面65を有しうる。湾曲したガラス物品50の実施形態において、ガラスシート52を、湾曲領域60が永久的ではないように形成しうる。つまり、ガラスシート52が枠部64に接着層66を用いて接着されないと、ガラスシート52は、平坦な非湾曲構成へと跳ね返りうる。したがって、ガラスシート52は、湾曲部を生成するように応力を加えられて、ガラス物品50の使用寿命の間、応力を加えられたままでありうる。したがって、厳しい曲率半径の場合でも、このようにして、湾曲したガラス物品50の形成中に望ましい湾曲部を維持しうる。
【0021】
図2Bは、ガラス物品50の他の実施形態、特に、C字状のガラス物品50を示している。
図2AのV字状のガラス物品50と比べて、
図2BのC字状のガラス物品50は、大きい湾曲領域60および短い平坦部62a、62bを有する。V字状およびC字状は、本開示により生成しうる湾曲したガラス物品50の2つの例にすぎない。他の実施形態において、ガラス物品50は、特に、反対向きの湾曲部を有してS字形状を生成する湾曲領域60、湾曲の次に平坦部62aがあってJ字形状を生成する湾曲領域60、および、平坦部62aによって分離されてU字形状を生成する湾曲領域60を含みうる。
【0022】
ガラス物品50が湾曲した実施形態において、ガラス物品50を、冷間成形技術によって形成しうる。概して、冷間成形処理は、
図3の分解図に示したように、ガラスシート52をチャック68上に配置しながら、曲げ力をガラスシート52に加える工程を含む。図から分かるように、チャック68は、湾曲した形成面70を有し、ガラスシート52は、湾曲した形成面70と一致するように曲げられる。実施形態において、湾曲した形成面70は、第1の曲率半径を有し、ガラスシート52を湾曲した形成面70と一致するように曲げると、ガラスシート52は、第1の曲率半径から10%以内、または、7%以内、または、5%以内、または、2%以内の第2の曲率半径を有するものとなる。更に、実施形態において、枠部64の湾曲した支持面65は、第1の曲率半径と第2の曲率半径の一方または両方から10%以内、または、7%以内、または、5%以内、または、2%以内の第3の曲率半径を有する。実施形態において、第1、第2および第3の曲率半径は、50mm以上である。
【0023】
実施形態において、冷間成形処理は、表示部、および/または、タッチパネルを、ガラスシート52の第2の主面56に取り付ける工程も含みうる。実施形態において、表示部は、特に、発光ダイオード(LED)表示部、有機LED(OLED)表示部、マイクロLED表示部、量子ドットLED(QLED)表示部、液晶表示部(LCD)、または、エレクトロルミネッセント表示部(ELD)でありうる。実施形態において、タッチパネルは、相互作用タッチ機能を提供する。表示パネル、および/または、タッチパネルを、ガラスシート52の第2の主面56に、例えば、光学的に透明な接着剤を用いて接着しうる。
【0024】
有利なことに、ガラスシート52に湾曲部を生成する前に、表面処理部をガラスシート52の平面に加える方が容易であり、冷間成形は、処理したガラスシート52を、表面処理部を破壊することなく曲げるのを可能にする(これに対して、高温成形技術につきものの高温は、表面処理部を破壊する傾向があり、表面処理部を、湾曲した物品に、より複雑な処理で加える必要がある)。実施形態において、冷間成形処理は、ガラスシート52の軟化点より低い温度で行われる。特に、冷間成形処理は、室温(例えば、約20℃)、または、僅かに高い温度、例えば、200℃以下、150℃以下、100℃以下、または、50℃以下で行われうる。
【0025】
本開示によれば、ガラス物品50の枠部64は、プラスチックで製作される。実施形態において、「プラスチック」は、任意のポリマー材料、または、ポリマー材料が最大構成要素の1つである組成物、例えば、着色剤、充填剤、難燃剤、酸化防止剤、滑り化合物、可塑剤などの任意の様々な典型的な処理添加物も含みうる組成物を含む。更に、「プラスチック」は、連続繊維複合材および短繊維複合材を含む繊維強化ポリマーマトリックスを有する複合材料を含む。実施形態において、プラスチックは、3つの軸の少なくとも1つで高い熱膨張率(例えば、>40ppm/℃)と、3つの軸の少なくとも1つで低い弾性率(例えば、<10GPa)の両方を有する材料としても定義されうる。枠部64として用いるのに適したプラスチックの例は、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレンターポリマーブレンド(PC/ABS)、並びに、ガラス繊維、および/または、炭素繊維強化PC/ABSを含む。
【0026】
鋼、アルミニウム、および、マグネシウムの合金などの金属と比べて、プラスチックの熱膨張率(CTE)は、概して高く、それは、概して、プラスチック材料が、温度変動により、より大きく寸法変化することを意味する。例えば、乗物が経験しうる周囲の天候条件に関連する-20°F(約-29℃)から120°F(約49℃)の範囲の温度に曝されると、熱膨張率の高いプラスチックは、極端な温度で、枠部64を、従来の金属枠部より膨張または収縮させうる。この更なる膨張または収縮は、接着層66に応力を生じ、ガラスシート52が枠部64から剥離することにつながりうる。
【0027】
プラスチック枠部を用いることに関連して剥離の可能性が高まるので、本発明者らは、プラスチック枠部64を有するガラス物品50について、接着層66の機械的物性と枠部64の機械的物性との関係に基づいて設計空間を決定した。
【0028】
接着層66で生じる熱応力は、ガラス物品50の構成要素間の熱膨張率の差により生じる歪みによるものである。応力が接着層66の強度を超えると、ガラスシート52と枠部64の間で剥離が起こり、その結果、ガラス物品50の破損を生じうる。接着層66における応力を、ガラスシート52、枠部64、および、接着層66の物性の関数としてモデル化しうる。具体的には、接着層66における最大剪断応力(τmax)は、以下の式(1)によって与えられる:
【0029】
【0030】
但し、αxは、熱膨張率であり(小文字のxは、金属については、mであり、プラスチックについては、pであり、ガラスについては、gであり、初期値または新たな値については、各々、0と1である)、Gadhは、接着剤の剪断弾性係数(G0、G1など)を表し、tadhは、接着剤の厚さを表し、ΔTは、(接合した時の温度からの)温度変化を表し、Lは、枠部長さの1/2を表し、βは、以下の式(2)により与えられる:
【0031】
【0032】
但し、Exは、ヤング率であり、txは、材料の厚さである。上記2つの式を、平坦と湾曲の両方であるガラス物品50に適用する。特に、湾曲したガラス物品50についての曲げ応力は、湾曲と平坦の両方であるガラス物品50が経験する熱膨張率の不一致による熱応力と比べて概して小さく、更に、設計した湾曲部に関する曲げ応力は、同等の金属枠部とプラスチック枠部で湾曲部は同じなので、同じでありうる。
【0033】
上記のように、金属枠部は、ガラス物品において、従来から使われてきたものであり、そのような金属枠部を有するガラス物品は、接着層で生じる熱応力に関する信頼性について厳密に試験されてきた。したがって、本発明者が開発したプラスチック枠部64の設計空間は、従来の金属枠部を有するガラス物品が経験するのと同等の接着応力を生じる接着層66とプラスチック枠部64の組合せを、各材料物性に基づいて見出すことで導き出している。金属枠部を有するガラス物品についての最大剪断応力に対応するτ0、および、本開示によるプラスチック枠部64を有するガラス物品50についての最大剪断応力に対応するτ1について、それらの設計間で最大剪断応力が等しいことは、
【0034】
【0035】
によって与えられる。
【0036】
従来の金属枠部をプラスチック枠部64と置き換えたいという要求に鑑みて、枠部の寸法を同じままにして、長さLは同じで、tanh(βL)は、略同じで、1に近づくようにする。更に、接着剤厚さTadh、および、温度差ΔTは、金属枠部を有するガラス物品とプラスチック枠部64を有するガラス物品50の両方について同じである。更に、同じガラスシート(同じ厚さおよび弾性率)を、各ガラス物品に用いる。式1、2、3を用いて、以下のような金属枠部を有するガラス物品とプラスチック枠部64を有するガラス物品50との関係(式4)を導く:
【0037】
【0038】
但し、定数は、比較対象としての金属枠部を有するガラス物品に基づく:
【0039】
【0040】
式4、5は、枠部のヤング率および厚さ、並びに、ガラスのヤング率および厚さを検討した分数項fを用いており、分数項fは、式1~3から導きうる。プラスチック枠部64を有するガラス物品50に関する分数項fpgは下記となる:
【0041】
【0042】
金属枠部を有するガラス物品についての分数項f
mgでは、金属のヤング率および厚さを、プラスチックのヤング率および厚さと置き換える。分数項f
pg、f
mgは、0と1の間、特に、0.05と0.95の間の範囲に限定される。この限定により、プラスチック枠部64のCTE、ヤング率、および、厚さ、並びに、接着剤の剪断弾性係数値(G
adh)の範囲に基く設計空間の生成が可能になる。これらの4つの変数を用いて、
図4は、プラスチック枠部64を有するガラス物品50の接着剪断応力が、金属枠部を有するガラス物品と等しい設計空間を示している。つまり、
図4は、以下の式(7)による設計空間を示している:
【0043】
【0044】
図4は、プラスチックのCTEまたはプラスチックのヤング率の操作に基づいて、概略的に示している。α
p1、α
p2を付した曲線は、枠部64のプラスチック材料のCTEについての境界条件を表している。例えば、プラスチック材料についての境界条件は、約5ppm/℃から約100ppm/℃の範囲でありうる。分数項f
pgが0から1に変化すると、接着層66の剪断弾性係数G
1は、式7に基づいて変化する。同様に、E
p1、E
p2を付した曲線は、枠部64のプラスチック材料のヤング率についての境界条件を表している。例えば、プラスチック材料についての境界条件は、約4GPaから約40GPaの範囲でありうる。式6から、分数項f
pgは、プラスチック材料のヤング率および枠部64の厚さt
pに基づいて決定され、したがって、分数項f
pgが、ヤング率の境界条件について、0から1に変化すると、枠部厚さt
pは、式6に基づいて変化する。4つの曲線α
p1、α
p2、E
p1、E
p2によって囲まれた領域は、定数を画定する参考対象として用いた金属枠部を有するガラス物品と、最大剪断応力について同等のプラスチック枠部64を有するガラス物品50についての設計を表す。実施形態において、定数は、様々な合金、例えば、合金鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金などの様々な合金の同等の金属枠部に基づいて、約10(ppm/℃)
2MPaから約300(ppm/℃)
2Mpaの範囲、例えば、約13.6(ppm/℃)
2MPaから約257(ppm/℃)
2MPaの範囲である。
【0045】
特定の実施例において、設計空間を画定するのに用いた定数は、表1に示す物性を有する金属(Al合金)枠部を有する例示的ガラス物品に基づくものだった。
【0046】
【0047】
上記境界条件(α
p=5~100ppm/℃、および、E
p=4~40GPa)、および、表1の参考枠部材料に基づく定数を用いて、
図5の設計空間を開発し、接着層66の剪断弾性係数(G
adh)およびプラスチック枠部64の厚さ(t
p)を、材料の分数項f
pgに対してプロットしている。斜線で示した実線および破線内の空間は、式7の解が4つの変数の全てを同時に満たし同等の接着剪断応力条件を満たす空間である。例えば、プラスチックが、α
p=50ppm/℃など、中間のCTEを有し、更に、プラスチックが堅すぎず、E
p=4GPaの場合、次に、結果的に得られるプラスチック厚さt
pは、同等の応力について、約2mmであり、接着剤の剪断弾性係数G
adhは、約2MPaである。所定のヤング率について、プラスチックのCTEが小さいほど、接着剤は、より高い剪断弾性係数G
adhを有する必要があり、更に/若しくは、枠部厚さt
pを厚くする必要がある。
【0048】
プラスチック枠部64の物性を同等の応力について決定する第2の方法は、モンテカルロシミュレーションを用いて行われる。手順は、各々、均一に分布したαpおよびfpgの値をランダムに選択して用いる(つまり、選択した範囲に亘って、等しい確率である)。この例で選択した範囲は、αp=5ppm/℃から80ppm/℃であり、fpg=0.1から0.9である。式(7)は、
【0049】
【0050】
と、書き換えられる。
【0051】
モンテカルロシミュレーションの結果を用いて、G
1のα
pに対するプロットを生成し、
図6に示している。G
1がα
pの関数となるように、データに冪乗則曲線をフィットさせて、次の式9を得た:
【0052】
【0053】
係数Aおよび指数bは、特定の同等の金属枠部設計に特有の値である。表1の物性を有する同等の金属枠部のガラス物品について、
図6に示した曲線の冪乗則式は、G
1=146,683α
p
-3.35だった。
図6から分かるように、式8を満たすデータ点が、冪乗則曲線によって画定された曲線の境界を示している。実施形態において、指数bは、-3.5から-3.0である。更に、実施形態において、係数Aは、100,000から500,000である。1つ以上の実施形態において、係数Aは、(MPa)(ppm/℃)
+3の単位を有する。それでも、曲線より下の領域では、τ
m>τ
p、つまり、プラスチック枠部の最大応力が同等の金属枠部の最大応力より小さいので、機械的に信頼できる枠部を製造しうる。特定の実施形態において、剪断弾性係数G
1および熱膨張率α
pは、G
1≦500,000α
p
-3、または、G1≦150,000α
p
-3、または、G
1≦500,000α
p
-3.35、または、G
1≦146,683α
p
-3.35となるように選択される。実施形態において、剪断弾性係数G
1および熱膨張率α
pは、G
1≧100,000α
p
-3.5となるように選択される。1つ以上の実施形態において、枠部のプラスチック材料、および、接着剤は、G≦Aα
-3となるように選択され、Aは、(MPa)(ppm/℃)
+3の単位を有し、約100,000から約500,000の範囲(例えば、150,000から500,000、200,000から500,000、250,000から500,000、300,000から500,000、350,000から500,000、400,000から500,000、100,000から450,000、100,000から400,000、100,000から350,000、100,000から300,000、100,000から250,000、100,000から200,000)である。1つ以上の実施形態において、枠部のプラスチック材料、および、接着剤は、G≦500,000α
-3となるように選択される。
【0054】
プラスチック枠部の厚さtpについての式(式10)を、2つの変数Ep、αpのみで記述しうる:
【0055】
【0056】
図7は、プラスチック枠部64について、厚さ(t
p)のCTE(α
p)に対するプロットを示している。同等の設計空間は、上側および下側の曲線によって画定された領域内に位置する。上側の曲線は、4GPaのヤング率を有するプラスチック材料、および、同等の金属枠部の10mmおよび4mmの厚さを検討したものである。下側の曲線は、40GPaのヤング率を有するプラスチック材料、および、同等の金属枠部の10mmおよび4mmの厚さを検討した曲線である。表1の金属のヤング率、および、上記同等の枠部厚さを用いて、式10の定数を決定し、更に、式10を用いて、プラスチック枠部の厚さ(t
p)を見出しうる。
図7は、CTEが高いほど(例えば、40ppm/℃以上)、厚いプラスチック枠部が必要なこと、および、ヤング率が低いほど、厚いプラスチック枠部が必要なことを示している。実施形態において、枠部64は、約1mmから約15mmの範囲、例えば、約2mmから約10mmの範囲の厚さ(t
p)を有する。
【0057】
更に、式11に示すように、プラスチック枠部64は、剛性について、同等の金属枠部に匹敵しうる。
【0058】
【0059】
式11において、Kは、剛性であり、Cは、幾何学的定数である。同等の金属枠部とプラスチック枠部64の両方について、幅(w)および長さ(L)が同じと仮定すると、プラスチックの厚さを、式12により表しうる:
【0060】
【0061】
式10と式12を組み合わせて、プラスチック枠部の厚さについて、次の式を提供する:
【0062】
【0063】
図8は、式10および13による同等の剛性の曲線を示すグラフである。式10による曲線は破線であり、
図7に示した上側の境界である破線の曲線と同じである(
図7のグラフは、対数スケールを用いているが、
図8のグラフは、用いていない)。式13による曲線は、
図8の実線である。
図8から分かるように、破線と実線は、2つの点で交差する。これらの2つの点で、接着剤の剪断応力、および、枠部の剛性は、プラスチック枠部64および参考金属枠部について同等である。
図8のグラフが表す実施形態について、2つの位置は、約55ppm/℃および約12ppm/℃のCTEの位置である。これらの点は、各々、接着剤の剪断弾性係数G
1=0.2MPaおよび33MPaに対応し、プラスチック枠部の厚さは、各々、10および12mmである。
【0064】
プラスチック枠部64と接着層66の物性を、それによって決定しうる様々な関係を記載したが、ガラスシート52の物性および組成物を、より詳細に記載する。
図9を参照して、ガラス物品50のガラスシート52の更なる構造的な詳細を示し、記載する。上記のように、ガラスシート52は、略一定で、第1の主面54と第2の主面56の間のそれらの一方または両方に垂直な距離として定義される厚さTを有する。様々な実施形態において、Tを、ガラスシートの平均厚さ、または、最大厚さと称しうる。更に、ガラスシート52は、厚さTに直交する、第1または第2の主面54、56の一方の第1の最大寸法として定義される幅W、および、厚さおよび幅の両方に直交する、第1または第2の主面54、56の一方の第2の最大寸法として定義される長さLを含む。他の実施形態において、WおよびLは、各々、ガラスシート52の平均幅および平均長さでありうる。
【0065】
様々な実施形態において、平均または最大厚さTは、約0.3mmから約2mmの範囲でありうる。様々な実施形態において、幅Wは、約5cmから約250cmの範囲であり、長さLは、約5cmから約1500cmの範囲でありうる。上記のように、ガラスシート52の曲率半径(例えば、
図2A、2Bに示したR)は、約50mm以上でありうる。
【0066】
実施形態において、ガラスシート52を強化しうる。1つ以上の実施形態において、ガラスシート52は強化されて、表面から圧縮深さ(DOC)に延伸する圧縮応力を含みうる。圧縮応力領域は、引張応力を示す中心部分と均衡する。DOCにおいて、応力は、正の(圧縮)応力から、負の(引張)応力に変わる。
【0067】
様々な実施形態において、ガラスシート52を、物品の部分間の熱膨張率の不一致を利用して、圧縮応力領域、および、引張応力を示す中心領域を生成して、機械的に強化しうる。いくつかの実施形態において、ガラスシートを、ガラスをガラス転移点より高い温度まで加熱し、次に急冷することによって、熱的に強化しうる。
【0068】
様々な実施形態において、ガラスシート52を、イオン交換によって、化学的に強化しうる。イオン交換処理において、ガラスシートの表面、および、その近くのイオンは、同じ原子価または酸化状態を有する、より大きいイオンによって置き換えられるか、交換される。ガラスシートがアルカリアルミノケイ酸ガラスを含む、それらの実施形態において、物品の表面層のイオン、および、より大きいイオンは、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+などの一価のアルカリ金属カチオンである。その代わりに、表面層の一価のカチオンを、アルカリ金属カチオン以外の一価のカチオン、Ag+などと置き換えうる。そのような実施形態において、交換されてガラスシートに入った一価のイオン(または、カチオン)は、応力を生じる。
【0069】
イオン交換処理は、典型的には、ガラスシートを、ガラスシート中の小さいイオンと交換される、より大きいイオンを含む溶融塩浴(または、2つ以上の溶融塩浴)に浸漬させることによって行われる。但し、塩水溶液浴も利用しうる。更に、浴の組成物は、1つより多くの種類のより大きいイオン(例えば、Na+、および、K+)、または、単一のより大きいイオンを含みうる。当業者には、限定するものではないが、浴の組成物および温度、浸漬時間、ガラスシートの塩浴(または、浴)への浸漬回数、多数の塩浴の使用、徐冷、洗浄などの更なる工程などを含むイオン交換処理のパラメータは、概して、(物品の構造、および、結晶相の存在を含む)ガラスシートの組成物、強化によって生じるガラスシートの望ましい圧縮深さ(DOC)および圧縮応力(CS)によって決定されることが分かるだろう。本明細書で用いるように、CSは、圧縮応力層内で測定した最も高い圧縮応力値である「最大圧縮応力」でありうる。いくつかの実施形態において、最大圧縮応力は、ガラスシートの表面に位置する。他の実施形態において、最大圧縮応力は、表面より下の深さで生じて、「埋まったピーク」が現れる圧縮プロファイルを生成しうる。
【0070】
例示的な溶融浴の組成物は、より大きいアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩、および、塩化物を含みうる。典型的な硝酸塩は、KNO3、NaNO3、LiNO3、NaSO4、および、それらの組合せを含む。溶融塩浴の温度は、典型的には、約380℃から約450℃までの範囲であり、浸漬時間の範囲は、ガラスシートの厚さ、浴の温度、および、ガラス(または、一価のイオン)の拡散率に応じて、約15分から約100時間までである。しかしながら、上記温度および浸漬時間と異なるものも用いうる。
【0071】
1つ以上の実施形態において、ガラスシート52を、約370℃から約480℃の温度を有する100%のNaNO3、100%のKNO3、または、NaNO3とKNO3を組み合せた溶融塩浴に浸漬させうる。いくつかの実施形態において、ガラスシートを、約5%から約90%のKNO3、および、約10%から約95%のNaNO3を含む溶融混合塩浴に浸漬させうる。1つ以上の実施形態において、ガラスシートを、第1の浴に浸漬させた後に、第2の浴に浸漬させうる。第1と第2の浴は、互いに異なる組成物および/または温度を有しうる。第1および第2の浴での浸漬時間は、異なりうる。例えば、第1の浴での浸漬は、第2の浴での浸漬より長くてもよい。
【0072】
1つ以上の実施形態において、ガラスシートを、約420℃より低い(例えば、約400℃または約380℃の)温度を有するNaNO3、および、KNO3(例えば、49%/51%、50%/50%、51%/49%)を含む溶融混合塩浴に、約5時間未満、または、約4時間以下、浸漬させうる。
【0073】
イオン交換条件を、「スパイク」を提供するか、または、結果的に生じるガラスシートの表面、または、その近くの応力プロファイルの勾配を高めるように調整しうる。スパイクは、より大きい表面CS値を生じうる。本明細書に記載のガラスシートで用いるガラス組成物に特有の物性により、このスパイクは、単一の浴または多数の浴によって、単一の組成物または混合組成物を有する浴を用いて、実現しうる。
【0074】
1つ以上の実施形態において、1つより多くの種類の一価のイオンが、ガラスシート中へと交換された場合、異なる一価のイオンは、ガラスシート内の異なる深さへと交換されうる(更に、ガラスシート内の異なる深さで、異なる大きさの応力を生じうる)。これにより、応力を生じるイオンの相対深さが決定されて、応力プロファイルの異なる特徴を生じうる。
【0075】
CSを、有限会社折原製作所(日本)が製造するFSM-6000など、市販の器具を用いて、表面応力計(FSM)などの従来から知られた手段を用いて測定する。表面応力の測定は、ガラスの複屈折に関係する応力光学係数(SOC)の正確な測定に依存する。一方、SOCは、ファイバおよび4点曲げ法、並びに、バルクシリンダー法など、従来から知られた方法によって測定され、ファイバおよび4点曲げ法は、両方共、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」という名称のASTM規格C770-98(2013)に記載されており、その内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
DOCは、強化方法および条件に応じて、FSM、または、散乱光偏光器(SCALP)(エストニア、タリンのGlasstress Ltd.から入手可能なSCALP-04散乱光偏光器など)によって測定しうる。ガラスシートを、イオン交換処理によって化学的に強化する場合には、どのイオンがガラスシート中へと交換されるかに応じて、FSMまたはSCALPを用いうる。ガラスシート内の応力が、カリウムイオンをガラスシート中へ交換することによって生じる場合には、FSMを用いて、DOCを測定する。応力が、ナトリウムイオンをガラスシート中へ交換することによって生じる場合には、SCALPを用いて、DOCを測定する。ガラスシート内の応力が、カリウムイオンとナトリウムイオンの両方をガラス中へ交換することによって生じる場合には、ナトリウムの交換深さは、DOCを示し、カリウムイオンの交換深さは、(圧縮応力から引張応力への変化ではない)圧縮応力の大きさの変化を示すと考えられるので、SCALPを用いてDOCを測定し、そのようなガラスシートのカリウムイオンの交換深さは、FSMによって測定する。中心張力またはCTは、最大引張応力であり、SCALPによって測定される。
【0077】
1つ以上の実施形態において、ガラスシートを強化して、(本明細書で記載したように)ガラスシートの厚さTの一部と記載されるDOCを示すようにしうる。例えば、1つ以上の実施形態において、DOCは、約0.05Tから約0.25Tの範囲でありうる。いくつかの例において、DOCは、約20μmから約300μmの範囲でありうる。1つ以上の実施形態において、強化されたガラスシート52は、約200MPa以上、約500MPa以上、または、約1050MPa以上の(ガラスシートの表面または深さ位置で観察されうる)CSを有しうる。1つ以上の実施形態において、強化されたガラスシートは、約20MPaから約100MPaの範囲の最大CTを有しうる。
【0078】
ガラスシート52で用いるのに適したガラス組成物は、ソーダライムガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウアルミノケイ酸ガラス、含アルカリアルミノケイ酸ガラス、含アルカリホウケイ酸ガラス、および、含アルカリホウアルミノケイ酸ガラスを含む。
【0079】
特段の記載がない限りは、本明細書に開示するガラス組成物は、酸化物を基に分析したモルパーセント(モル%)で記載する。
【0080】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、約66モル%から約80モル%の範囲の量のSiO2を含みうる。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は約3モル%から約15モル%の範囲の量のAl2O3を含む。1つ以上の実施形態において、ガラス物品は、アルミノケイ酸のガラス物品であるか、アルミノケイ酸ガラス組成物を含みうる。そのような実施形態において、ガラス組成物、または、それから形成された物品は、SiO2およびAl2O3を含み、ソーダライムケイ酸塩ガラスではない。
【0081】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、約0.01モル%から約5モル%の範囲の量のB2O3を含みうる。しかしながら、1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、B2O3を、実質的に含まない。本明細書で用いるように、組成物の成分についての「実質的に含まない」という用語は、初めにバッチ組成物を用意する間に、その成分が、積極的にも、意図的にも、組成物に加えられたものではなく、約0.001モル%未満の量で不純物として存在しうることを意味する。
【0082】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、任意で、約0.01モル%から約2モル%の量のP2O5を含みうる。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、P2O5を、実質的に含まない。
【0083】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、R2Oを合計(Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、および、Cs2Oなどのアルカリ金属酸化物の合計量)で、約8モル%から約20モル%の範囲で含みうる。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、Rb2O、Cs2O、または、Rb2OとCs2Oの両方を実質的に含まないものでありうる。1つ以上の実施形態において、R2Oは、Li2O、Na2O、および、K2Oの合計量のみを含みうる。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、Li2O、Na2O、および、K2Oから選択された少なくとも1つのアルカリ金属酸化物を含み、アルカリ金属酸化物は、約8モル%以上の量で存在しうる。
【0084】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、約8モル%から約20モル%の範囲のNa2Oを含みうる。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、約0モル%から約4モル%の範囲の量のK2Oを含みうる。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、K2Oを実質的に含まないものでありうる。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、Li2Oを実質的に含まない。1つ以上の実施形態において、組成物中のNa2Oの量は、Li2Oの量より多いものでありうる。いくつかの例において、Na2Oの量は、Li2OとK2Oを合わせた量より多いものでありうる。1つ以上の代わりの実施形態において、組成物中のLi2Oの量は、Na2Oの量、または、Na2OとK2Oを合わせた量より多いものでありうる。
【0085】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、ROを合計(CaO、MgO、BaO、ZnO、および、SrOなどのアルカリ土類金属酸化物の合計量)で、約0モル%から約2モル%の範囲で含みうる。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、約1モル%未満の量のCaOを含みうる。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、CaOを、実質的に含まない。いくつかの実施形態において、ガラス組成物は、約0モル%から約7モル%の量のMgOを含みうる。
【0086】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、約0.2モル%以下の量のZrO2を含みうる。1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、約0.2モル%以下の量のSnO2を含みうる。
【0087】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、ガラス物品に、色または色合いを与える酸化物を含みうる。いくつかの実施形態において、ガラス組成物は、ガラス物品が紫外線に曝された時に、ガラス物品の変色を防ぐ酸化物を含みうる。そのような酸化物の例は、限定するものではないが、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、W、および、Moの酸化物を含む。
【0088】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、Fe2O3として表されたFeを含み、Feは、約1モル%までの量で存在しうる。ガラス組成物がTiO2を含む場合、TiO2は、約5モル%以下の量で存在しうる。
【0089】
例示的なガラス組成物は、約65モル%から約75モル%の範囲の量のSiO2、約8モル%から約14モル%の範囲の量のAl2O3、約12モル%から約17モル%の範囲の量のNa2O、約0モル%から約0.2モル%の範囲の量のK2O、および、約1.5モル%から約6モル%の範囲の量のMgOを含む。任意で、SnO2を、本明細書に開示の他の量で含みうる。ここまで、ガラス組成物を近似範囲で表したが、他の実施形態において、ガラスシート52は、上記範囲の正確な数値の任意の1つを満たす任意のガラス組成物から製造しうると理解すべきである。
【0090】
本開示の実施形態を、更に以下の態様に鑑みて理解しうる。
【0091】
態様(1)は、ガラス物品に関し、それは、第1の主面、および、第1の主面の反対側の第2の主面を有するガラスシートと、ppm/℃の単位の熱膨張率(α)を有するプラスチック材料を含む枠部と、ガラスシートの第2の主面を枠部に接合し、MPaの単位の剪断弾性係数(G)を有する接着剤とを含み、枠部のプラスチック材料および接着剤は、G≦Aα-3を満たすように選択され、但し、Aは、(MPa)(ppm/℃)+3の単位を有し、500,000に等しい。
【0092】
態様(2)は、態様(1)のガラス物品に関し、接着剤の剪断弾性係数(G)は、約0.1MPaから約100MPaの範囲である。
【0093】
態様(3)は、態様(1)または(2)のガラス物品に関し、プラスチック材料の熱膨張率(α)は、約5ppm/℃から約100ppm/℃の範囲である。
【0094】
態様(4)は、態様(1)から(3)のいずれか1つのガラス物品に関し、ガラスシートは、ガラス弾性率(Eg)および第1の主面と第2の主面の間のガラス厚さ(tg)を有するガラス材料を含むものであり、プラスチック材料は、プラスチック弾性率(EP)および枠部厚さ(tp)を有し、(Eptp)/(Eptp+Egtg)は、0より大きく、1以下である。
【0095】
態様(5)は、態様(4)のガラス物品に関し、プラスチック弾性率(Ep)は、約4GPaから約40GPaの範囲である。
【0096】
態様(6)は、態様(4)または(5)のガラス物品に関し、枠部厚さ(tp)は、約1mmから約15mmの範囲である。
【0097】
態様(7)は、態様(6)のガラス物品に関し、枠部厚さ(t
p)は、
【0098】
によって与えられ、但し、αgは、ガラスシートの熱膨張率であり、定数は、10から300(ppm/℃)2MPaである。
【0099】
態様(8)は、態様(1)から(7)のいずれか1つのガラス物品に関し、枠部は、第1の曲率半径を有する第1の湾曲部を画定する湾曲した支持面を含むものであり、接着剤は、ガラスシートの第2の主面を湾曲した支持面に接合して、ガラスシートが第1の曲率半径から10%以内の第2の曲率半径を有する第2の湾曲部を画定する。
【0100】
態様(9)は、態様(8)のガラス物品に関し、第1の曲率半径は、50mm以上である。
【0101】
態様(10)は、態様(1)から(9)のいずれか1つのガラス物品に関し、ガラスシートは、0.3から2.0mmの第1の主面と第2の主面の間の平均厚さを有するものである。
【0102】
態様(11)は、態様(1)から(10)のいずれか1つのガラス物品に関し、ガラスシートは、第1の主面、第2の主面、または、第1の主面と第2の主面の両方に表面処理部を含み、表面処理部は、掃除し易い膜、反射防止膜、防眩膜、装飾膜、または、タッチ機能を提供する膜である。
【0103】
態様(12)は、態様(1)から(11)のいずれか1つのガラス物品に関し、ガラスシートの第2の主面に配置された表示パネル、タッチパネル、または、表示パネルとタッチパネルの両方を、更に含む。
【0104】
態様(13)は、態様(1)から(12)のいずれか1つのガラス物品に関し、ガラスシートは、ソーダライムガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウアルミノケイ酸ガラス、含アルカリアルミノケイ酸ガラス、含アルカリホウケイ酸ガラス、または、含アルカリホウアルミノケイ酸ガラスを含む。
【0105】
態様(14)は、態様(1)から(13)のいずれか1つのガラス物品に関し、ガラスシートは、強化されたものである。
【0106】
態様(15)は、態様(14)のガラス物品に関し、ガラスシートは、化学的に強化されたものである。
【0107】
態様(16)は、ガラス物品の製造方法に関し、その方法は、ガラスシートを枠部に接着剤を用いて接着する工程を含み、ガラスシートは、第1の主面、および、第1の主面の反対側の第2の主面を有するものであり、枠部は、ppm/℃の単位の熱膨張率(α)を有するプラスチック材料を含むものであり、接着剤は、MPaの単位の剪断弾性係数(G)を有するものであり、枠部のプラスチック材料および接着剤は、G≦Aα-3を満たすように選択され、但し、Aは、(MPa)(ppm/℃)+3の単位を有し、500,000に等しい。
【0108】
態様(17)は、態様(16)の方法に関し、接着剤の剪断弾性係数(G)は、約0.1MPaから約100MPaの範囲である。
【0109】
態様(18)は、態様(16)または(17)の方法に関し、プラスチック材料の熱膨張率(α)は、約5ppm/℃から約100ppm/℃の範囲である。
【0110】
態様(19)は、態様(16)から(18)のいずれか1つの方法に関し、ガラスシートは、ガラス弾性率(Eg)および第1の主面と第2の主面の間のガラス厚さ(tg)を有するガラス材料を含むものであり、プラスチック材料は、プラスチック弾性率(EP)および枠部厚さ(tp)を有し、(Eptp)/(Eptp+Egtg)は、0より大きく、1以下である。
【0111】
態様(20)は、態様(19)の方法に関し、プラスチック弾性率(Ep)は、約4GPaから約40GPaの範囲である。
【0112】
態様(21)は、態様(19)または(20)の方法に関し、枠部厚さ(tp)は、約1mmから約15mmの範囲である。
【0113】
態様(22)は、態様(16)から(21)のいずれか1つの方法に関し、接着する工程の前に、方法は、ガラスシートを、第1の曲率半径を画定する湾曲した形成面を含む形成チャックの上で曲げる工程を含み、曲げる工程の間に、ガラスシートの第2の主面は、湾曲した形成面と一致して、第2の主面が第1の曲率半径から10%以内である第2の曲率半径を画定する。
【0114】
態様(23)は、態様(22)の方法に関し、枠部は、第3の曲率半径を画定する湾曲した支持面を含み、第3の曲率半径は、第2の曲率半径から10%以内である。
【0115】
態様(24)は、態様(16)から(23)のいずれか1つの方法に関し、表示パネル、タッチパネル、または、表示パネルとタッチパネルの両方を、ガラスシートの第2の主面に接合する工程を、更に含む。
【0116】
態様(25)は、乗物内装要素に関し、それは、第1の主面、および、第1の主面の反対側の第2の主面を有するガラスシートと、枠部と、接着剤とを含み、ガラスシートは、ガラス厚さ(tg)が、第1の主面と第2の主面の間に画定され、ガラス弾性率(Eg)およびガラス熱膨張率(αg)を有するガラス材料を含むものであり、枠部は、プラスチック弾性率(Ep)およびプラスチック熱膨張率(αp)を有するプラスチック材料、並びに、プラスチック厚さ(tp)を含むものであり、接着剤は、剪断弾性係数(G)を有し、ガラスシートの第2の主面を枠部に接合するものであり、枠部のプラスチック材料、接着剤、および、ガラスシートのガラス材料は、
10(ppm/℃)2MPa≦(αp-αg)2G((Eptp)/(Eptp+Egtg))≦300(ppm/℃)2MPa
を満たすように選択される。
【0117】
態様(26)は、態様(25)の乗物内装要素に関し、接着剤の剪断弾性係数(G)は、約0.1MPaから約100MPaの範囲である。
【0118】
態様(27)は、態様(25)または(26)の乗物内装要素に関し、プラスチック材料の熱膨張率(αp)は、約5ppm/℃から約100ppm/℃の範囲である
態様(28)は、態様(25)から(27)のいずれか1つの乗物内装要素に関し、(Eptp)/(Eptp+Egtg)は、ゼロより大きく、1以下である。
【0119】
態様(29)は、態様(25)から(28)のいずれか1つの乗物内装要素に関し、プラスチック弾性率(Ep)は、約4GPaから約40GPaの範囲である。
【0120】
態様(30)は、態様(25)から(29)のいずれか1つの乗物内装要素に関し、ガラス弾性率(Eg)は、約50GPaから約100GPaの範囲である。
【0121】
態様(31)は、態様(25)から(30)のいずれか1つの乗物内装要素に関し、プラスチック厚さ(tp)は、約1mmから約15mmの範囲である。
【0122】
態様(32)は、態様(25)から(31)のいずれか1つの乗物内装要素に関し、ガラス厚さ(tg)は、約0.3mmから約2mmの範囲である。
【0123】
態様(33)は、態様(25)から(32)のいずれか1つの乗物内装要素に関し、枠部は、第1の曲率半径を有する第1の湾曲部を画定する湾曲した支持面を含むものであり、接着剤は、ガラスシートの第2の主面を湾曲した支持面に接合して、ガラスシートが第1の曲率半径から10%以内の第2の曲率半径を有する第2の湾曲部を画定する。
【0124】
態様(34)は、態様(25)から(33)のいずれか1つの乗物内装要素に関し、ガラスシートの第2の主面に配置された表示パネル、タッチパネル、または、表示パネルとタッチパネルの両方を含む。
【0125】
別段の記載がない限りは、本明細書に示した、いずれの方法も、その工程を特定の順序で行うことを必要とすると解釈されることを意図しない。したがって、方法の請求項が、工程の行われる順序を実際に記載しないか、または、そうではなく、請求項または明細書の記載で、工程は特定の順序に限定されると具体的に記載しない場合には、特定の順序が推測されることを意図しない。更に、本明細書で用いるように、原文の英語の不定冠詞は、1つ以上の構成要素または要素を含むことを意図し、1つのみと解釈されることを意図しない。
【0126】
当業者には、開示した実施形態の精神も範囲も逸脱することなく、様々な変更および変形が可能なことが明らかだろう。当業者には、実施形態の精神および実質を組み込んで、開示した実施形態に、変更、組合せ、部分組合せ、および、変形が可能なので、開示した実施形態は、添付の請求項、および、その等価物の範囲内の全てを含むものであると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0127】
52 ガラスシート
60 湾曲領域
62a、62b 平坦部
64 枠部
66 接着層
70 湾曲した形成面
【外国語明細書】