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特開2022-159215シャットオフバルブ、シャットオフバルブ用のコック、及びシャットオフバルブ用のコックを製造する方法
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  • 特開-シャットオフバルブ、シャットオフバルブ用のコック、及びシャットオフバルブ用のコックを製造する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159215
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】シャットオフバルブ、シャットオフバルブ用のコック、及びシャットオフバルブ用のコックを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/015 20060101AFI20221006BHJP
   A61M 39/22 20060101ALI20221006BHJP
   F16K 5/02 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
A61B1/015 511
A61M39/22
F16K5/02 E
F16K5/02 G
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022059208
(22)【出願日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】10 2021 108 314.1
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510320416
【氏名又は名称】オリンパス・ウィンター・アンド・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ハンネス・ミーアシュ
【テーマコード(参考)】
3H054
4C066
4C161
【Fターム(参考)】
3H054AA01
3H054BB02
3H054CA24
3H054GG11
4C066AA09
4C066BB01
4C066BB02
4C066CC01
4C066JJ04
4C066QQ15
4C161HH14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】医療器具による手術中の局所的出血を洗い流すために、器具が洗浄装置を備えていることが多い。洗浄液の流入及び流出をコントロールできるようにするために、器具はシャットオフバルブを有している。シャットオフバルブの封止作用を達成するために、シャットオフバルブのコックが非常に精密にされている必要がある。このようなコックの既知の製造プロセスは、非常に手間を要し、コストがかかる。
【解決手段】本発明は、シャットオフバルブ用のコック(19)、及びシャットオフバルブ、並びに上記の問題が解消されるコック(19)を製造する方法を提供する。これは、コック(19)がグリップ部品(24)及び円錐部品(20)とワンピースに形成され、唯一のプロセス工程で製造可能であることによって達成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの連結部品(21、22)の間の流体接続を作成及び分離するためのシャットオフバルブ(11)用のコック(19)であって、前記コック(19)は、前記シャットオフバルブ(11)のハウジング(18)の内部空間内で回転可能に支承可能であり、回転軸(25)の方向で前後に位置するように、円錐面(27)を有する円錐部分(20)とグリップ(23)を有するグリップ部分(24)とを有し、前記円錐部品(20)は、前記回転軸(25)に対して垂直に孔(26)、殊に流体通路を有し、前記円錐面(27)は、前記ハウジング(18)の前記内部空間の内面と封止接続することができるウェブ(30、31、32)を有する、コックにおいて、前記コック(19)が前記円錐部品(20)及び前記グリップ部品(24)とワンピースに形成されていることを特徴とする、シャットオフバルブ用のコック。
【請求項2】
前記円錐面(27)が、前記円錐部品(20)の周りにリング状に延在する少なくとも2つの水平ウェブ(30、31)を有し、1つのウェブ(30)が前記孔(26)の上に配置され、1つのウェブ(31)が下に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のシャットオフバルブ(11)用のコック(19)。
【請求項3】
前記円錐面(27)は、前記円錐面(27)に沿ってそれぞれ前記孔(26)の出口開口(28、29)の隣に延在する少なくとも4つの垂直ウェブ(32)を有し、前記ウェブ(32)は、直線的に、又は湾曲させて形成され、前記孔(26)の周囲に特に半円状に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のシャットオフバルブ(11)用のコック(19)。
【請求項4】
前記円錐面(27)が少なくとも2つの水平ウェブ(30、31)と少なくとも4つの垂直ウェブ(32)を有し、前記垂直ウェブ(32)の端部がそれぞれ水平ウェブ(30、31)と一致することを特徴とする、請求項2及び請求項3に記載のシャットオフバルブ(11)用のコック(19)。
【請求項5】
前記垂直ウェブ(32)が、少なくとも前記孔(26)の直径に対応する幅を有することを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のシャットオフバルブ(11)用のコック(19)。
【請求項6】
前記円錐部品(20)、前記グリップ部品(24)、及び前記ウェブ(30、31、32)が同じ材料、殊にPEEKからワンピースに製造されていることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のシャットオフバルブ(11)用のコック(19)。
【請求項7】
少なくとも前記垂直ウェブ(32)、特にすべてのウェブ(30、31、32)の形状がエンボス加工プロセスによって、特に高精度を有することを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のシャットオフバルブ(11)用のコック(19)。
【請求項8】
請求項1に記載のコック(19)を備える、例えば内視鏡(10)などの殊に医療用手持ち機器の少なくとも2つの連結部品(21、22)の間の流体接続を作成及び分離するためのシャットオフバルブ(11)。
【請求項9】
特に請求項1に記載の、少なくとも2つの連結部品(21、22)の間の流体接続を作成及び分離するためのシャットオフバルブ(11)用のコック(19)を製造する方法であって、前記コック(19)は、前記シャットオフバルブ(11)のハウジング(18)の内部空間内で回転可能に支承可能であり、回転軸(25)の方向に前後に位置するように、円錐面(27)を有する円錐部分(20)とグリップ(23)を有するグリップ部分(24)とを有し、前記円錐部品(20)は、前記回転軸(25)に対して垂直に孔(26)、殊に流体通路を有し、前記円錐面(27)は、前記ハウジング(18)の前記内部空間の内面と封止接続することができるウェブ(30、31、32)を有する、方法において、前記コック(19)が前記円錐部品(20)及び前記グリップ部品(24)とワンピースに製造されることを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記コック(19)は、前記円錐部品(20)及び前記グリップ部品(24)と殊にPEEKからワンピースに射出成形され、直後に後置されたプロセスでエンボス加工され、前記エンボス加工によって前記円錐面(27)及び/又は前記ウェブ(30、31、32)が要求される精度を獲得することを特徴とする、請求項9に記載のコック(19)を製造する方法。
【請求項11】
前記コック(19)の前記射出成形及び前記ウェブ(30、31、32)の前記エンボス加工が共通のプロセス工程で行われ、前記射出成形されたコック(19)が射出成形装置においてエンボス加工されることを特徴とする、請求項9又は請求項10に記載のコック(19)を製造する方法。
【請求項12】
前記ウェブ(30、31、32)が前記エンボス加工によって平坦化され、前記ウェブ(30、31、32)が圧縮によって要求される精度を獲得することを特徴とする、請求項9~請求項11のいずれか1項に記載のコック(19)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載のシャットオフバルブ用のコックに関する。さらに、本発明は、請求項8に記載のシャットオフバルブに関する。さらには、本発明は、請求項9の前提部に記載のシャットオフバルブ用のコックを製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
例えば内視鏡などの医療器具は、通常、人体の内部空間の検査、及び低侵襲手術のために使用される細長い管状のシャフトと光学部品を備えている。器具のシャフト区分を通して、採石バスケットなどの通過器具、電気外科的切除用器具、又は鉗子などを手術箇所へ挿通することができる。手術中に生じる局所的出血を洗い流し、例えば高周波の電気外科的な使用による熱損傷から組織を守るために、器具は、遠位のシャフト端の前方に位置する組織を持続的に洗浄する洗浄装置を備えていることが多い。洗浄液は、相応の別個の液体通路、内管、又は器具の被覆管を通して送ることができる。液体の流入流と流出流をコントロールできるようにするために、液体通路は、ふつう、通路の近位端領域にシャットオフバルブを有している。相応のシャットオフバルブが、例えば独国特許発明第102014002158号明細書及び独国特許出願公開第102016011184号明細書に記載されている。
【0003】
シャットオフバルブは、通常、ハウジングと、その中で回転可能に支承されたコックとからなる。ハウジングは、ふつう、内部空間を有する直方体状又は円筒形の基本形状を備える。この内部空間は、2つの連結部品を介して器具の液体通路、並びにポンプ又はそれに類するものの供給管路と接続可能である。この特に円錐形に形成された内部空間内にコックを回転可能に取り付けることができる。コックは円錐面を有する円錐部品からなり、円錐部品の形状は、ハウジングの内部空間の形状に実質的に対応する。コックは、グリップを有するグリップ部品をさらに具備する。円錐部品と接続されたこのグリップにより、コックを回転軸を中心に回転させることができる。円錐部品は、ふつう、回転軸に対して垂直に延びる孔によって貫通される。この孔は、その寸法及びその向きがハウジングにおける2つの連結部品の開口に対応する。回転軸を中心にコックを回転させることによって、孔の両方の開口をハウジングの2つの連結部品の開口と一致させることができ、それによりシャットオフバルブを通る連続通路が形成される。コックをさらに相応に回転させることによって、連続通路若しくは流体通路が遮断される位置に孔を移すことができる。両方の位置において、流体が通路のみを通って流れ、円錐面とハウジングの内壁との間を流れない、若しくは流体がシャットオフバルブを通って流れないことが、シャットオフバルブの機能にとって全く決定的に重要である。
【0004】
コックの円錐面は、シャットオフバルブのこの密封作用若しくは流体の誘導(Kanalisierung)のためにウェブを有する。これらのウェブは、円錐面上に突出部として配置され、それらがハウジングの内壁と共に封止閉鎖するようにされている。このために、円錐部品には2つのリング状のウェブが孔の上と下に割り当てられていることができる。円錐部品が円錐状の形状であることにより、これらのリング状のウェブは異なった直径を有する。さらに、孔の開口の横に配置され、一方のリング状ウェブからもう一方のリング状ウェブへ延在する垂直ウェブを円錐面上に形成することができる。
【0005】
シャットオフバルブの封止作用を達成するために、これらのウェブは非常に精密にされるか、若しくは非常に精密に製造されていなければならず、さらに、相応の耐久性のために高い材料硬度を必要とする。ふつう、コックは、例えばPEEKなどの耐摩耗性及び寸法安定性の材料から製造される。封止面の精度を達成するために、PEEK材料が旋削加工プロセスで加工される。この旋削加工プロセスは、PEEK半製品素材を使って、又は先行する射出成形法でPEEK構成部品若しくはコックの円錐部品が製造された後に行われる。円錐部品の封止面が旋削加工プロセスによって十分な精度を獲得した後に、次のプロセス工程においてコックのグリップ部品がコックの円錐部品に接着される。次に、複数構成の、及び複数のプロセス工程で製造されたコックを入念に洗浄する必要がある。
【0006】
コックをグリップと共に射出成形する場合、射出成形後に射出成形済のコックが追加旋削加工(Ueberdrehen)するための別の機械に収容される必要がある。この追加旋削加工のさらなるプロセス工程によって初めて、ウェブの封止面の十分な精度が達成される。ここで概略を述べたシャットオフバルブ用のコックの両方の製造プロセスは非常に手間を要し、コストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許発明第102014002158号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102016011184号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このことを出発点として、本発明は、上記の問題が解消されるシャットオフバルブ用のコック、及びシャットオフバルブ、並びにコックを製造する方法を提供するという課題にもとづいている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の解決策は、請求項1の特徴により示される。それによれば、コックはグリップ部品及び円錐部品とワンピースに形成され、唯一のプロセス工程で製造可能であることが企図されている。それによって、製造が特に簡単かつ安価である一方で、それによってコックが並外れた安定性を達成する。このようにワンピースであることによって、グリップ部品と円錐部品を次のプロセス工程で貼り合わせる必要がなくなる。むしろ、このコックは唯一の一体部品からなる。
【0010】
殊に、本発明によれば、円錐部品の円錐面が、円錐部品の周りにリング状に延在する少なくとも2つの水平ウェブを有し、1つのウェブが円錐部品を通る孔の上に配置され、1つのウェブが下に配置されていることがさらに企図されている。さらに、円錐面は、円錐面に沿ってそれぞれ孔の出口開口の隣に延在する少なくとも4つの垂直ウェブを有し、垂直ウェブは、直線的に、又は湾曲させて形成され、孔の周囲に特に半円状に配置されていることが企図され得る。その場合、垂直ウェブの端部は、それぞれ水平ウェブと一致する。コックの円錐面におけるこれらのウェブによって、コックとハウジングとの間に十分に高い封止性を生成することができる。しかしその場合、ウェブの封止面が必要な精度を有することが重要である。本明細書中でクレームされるワンピースのコックは、まさにそのようなウェブを有する。特にクレームされる製造方法によって、並外れた硬度を有し、したがって長寿命に、かつ非常に精密に成形された、したがってハウジングの内壁との緊密な接続を作成するウェブを製造することができる。
【0011】
垂直ウェブが、少なくとも孔(26)の直径に対応する幅を有することも考えられる。したがって、コックをごくわずかに回転させるだけで閉位置に移すことができる。
【0012】
特に、円錐部品、グリップ部品、及びウェブが同じ材料、すなわちPEEKからワンピースに製造されていることが企図される。この材料は、特に良好に射出成形及びエンボス加工できる。射出成形法とエンボス加工法を組み合わせることにより、上記の必要な特性を有するワンピースのコックを製造することができる。さらに、その他にコックが別の、しかし同等の材料から製造されることが考えられる。
【0013】
さらに、本発明によれば、少なくとも垂直ウェブの、特にすべてのウェブの形状がエンボス加工プロセスによって特に高精度を有することが企図され得る。エンボス加工プロセスの場合、垂直でリング状のウェブは、その外周が縮小されるようにエンボス加工される。この多次元エンボス加工によって、コックのウェブを、まさに要求される精度と硬度を有するように加工することができる。
【0014】
冒頭で述べた課題を解決するためのシャットオフバルブは請求項8の特徴を有する。それによれば、少なくとも2つの連結部品の間の流体接続を作成及び分離するためのシャットオフバルブが請求項1に記載のコックを有することが企図されている。
【0015】
上記課題を解決するための方法は、請求項9の措置により説明される。それによれば、コックは円錐部品及びグリップ部品とワンピースに製造されることが企図されている。このようにワンピースに製造すること、若しくは製造を主要な製造プロセスに縮小することによって、製造全体を一般的な方法よりも簡単かつ安価に構成することができる。
【0016】
本発明の特に有利な実施例は、コックが円錐部品及びグリップ部品と、殊にPEEKからワンピースに射出成形され、直後に後置されたプロセスでエンボス加工されることである。エンボス加工によって、円錐面及び/又はウェブは、要求される精度を獲得する。その場合、本発明によれば、エンボス加工プロセスは射出成形のための装置で行われる。Konzelmann GmbHは、高性能プラスチックからなる封止リングをすでに製造し、その際、封止性のために封止リングに要求される精度を1つのレベルで生成するために、射出成形法の直後にエンボス加工プロセスが後置されている。ここで説明される方法によって、この一次元原理が多次元領域のコックの円錐部品に転用される。射出成形とエンボス加工を包含するこの方法によって、要求される精度を有するコックを簡単かつ迅速に製造することができる。エンボス加工装置へのコックの付替え、又は次に続くコックの個々の構成部品の貼合せが省略され、それにより方法全体が特に安価になる。さらに、エンボス加工と組み合わせた多段射出成形プロセス(Mehrfachspritzgussprozess)によって複数のコックが同時に製造されることが考えられる。
【0017】
殊に、ウェブ若しくはウェブの封止面がエンボス加工プロセスで平坦化される(flachgedrueckt)。この平坦化によって、ウェブがハウジングの内壁と一緒に必要な封止性を獲得するために必要な硬度及び精度を獲得する。
【0018】
図面に本発明の可能な実施例が模式的に示される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】シャットオフバルブを有する内視鏡の模式的側面図である。
図2】シャットオフバルブの模式的側面図である。
図3】コックの図である。
図4図3によるコックの別の図である。
図5図4によるコックのエンボス加工プロセス後の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1において、内視鏡10がかなり模式化して示されている。この内視鏡10は、シャットオフバルブ11を有する。内視鏡10のシャフト部品12の内部には、ここでは見えない液体通路が延び、液体通路は、本体13を通り、折れ曲がって入口接続パイプ14へ通じている。入口接続パイプ14には、液体通路を通る液体流を調節するためにシャットオフバルブ11が配置されている。入口接続パイプ14には、例えば液体通路への液体供給のためのポンプを連結することができる。
【0021】
ここに示される側面図は、医療用内視鏡10を、これが手術中に通常使用される向きで示す。内視鏡10は、その近位端に手術部位を観察するための接眼レンズ15を有する。手術者が手術中に内視鏡10を確実に把持できるようにするために、内視鏡10に2つのグリップ片16、17が取り付けられている。グリップ片16、17は、通常、手術者がグリップ片16、17を使って内視鏡10を片手で把持できるように人間工学的に成形されている。したがって手術者のもう片方の手は、例えば器具の動作通路に通過器具を引き込み、操作するために自由になる。
【0022】
図2において、本発明によるシャットオフバルブ11の可能な実施例がかなり模式化して示されている。このシャットオフバルブ11は、ハウジング18とコック19を有し、コックは、その円錐部品20でハウジング18に収容されている。ハウジング18は2つの連結部品21、22を有し、これらの連結部品により、ハウジングを内視鏡10の入口接続パイプ14に結合することができる。これらの2つの連結部品21、22には、他にバルブなどの接続部品も割り当てることができる。
【0023】
図2図5に見られるように、コック19は、シャットオフバルブ11の回転軸25に沿って円錐部品20の上に、グリップ23を含むグリップ部品24を有する。この目的で、ユーザによる把持及び移動を容易にするためにグリップ部品24を人間工学的に成形することができる。
【0024】
本発明によれば、コック19はワンピースに形成され、すなわち円錐部品20とグリップ23とはコック19の一体構成要素である。したがって、ここで説明されるコック19は、複数の構成要素から例えば接着によって組立可能ではないため、既知のコックと比べて有利であることが明らかである。これは、組立の手間を削減する一方で、ワンピースであることがコック19の安定性を高める。
【0025】
グリップ23を操作することによって、又はコック19を回転軸25を中心に回転させることによって、シャットオフバルブ11による流体接続を解放又は分離することができる。そのために、円錐部品20は、回転軸25に対して垂直に円錐部品20全体を通って延在する孔26を有する。孔26は、円錐部品20の円錐面27に位置する2つの開口28、29を有する。シャットオフバルブ11が開位置にあるとき、コック19の開口28、29は、ハウジング18の管状の連結部品21、22とぴったり合う。流体通路を分離するためには、孔26の2つの開口28、29が重ならなくなるように、コック19を回転軸25を中心に回動させる。
【0026】
流体通路が開位置にあるときに液体が孔26のみを通り、円錐面27とハウジング18の内部空間の壁との間を通り抜けないようにするため、若しくは閉位置にあるときにシャットオフバルブ11が事実上流体密にもなるようにするために、円錐面27はウェブ30、31、32を有している。ここに図示される実施例では、円錐面27には孔26の上と下にそれぞれ1つのリング状の水平ウェブ30、31が割り当てられている。円錐形にもとづいて、上ウェブ30は下ウェブ31より大きい直径を有する。これらの2つのウェブ30、31は、図3図5に示されたコック19の実施例では4つの垂直ウェブ32が割り当てられている。垂直ウェブ32の端部は水平ウェブ30、31まで達し、それによりウェブ30、31、32が共通の封止面33を有する。この封止面33は、ハウジング18の内壁と重なり、それにより封止する作用を形成するようにされている。この封止が極めて高い要求をも満たすようにするため、ウェブ30、31、32若しくは封止面33は、高い精度で製造される必要がある。さらに、ウェブ30、31、32は、十分な安定性のために高い硬度を有する必要がある。本発明によれば、これは、コック19が射出成形法によりワンピースに製造され、射出成形の直後に引き続きエンボス加工されることにより達成される。その場合、特に円錐部品20のウェブ30、31、32は、それらが相応の精度と材料硬度を獲得するようにエンボス加工される。エンボス加工が射出成形の直後に引き続き、すなわち引き続き射出成形装置内で行われることによって、コック19の製造が唯一の工程で行われる。射出成形されたコック19の取出しと、エンボス加工装置への付替えは本発明による方法によって省略される。したがって、射出成形とエンボス加工の組合せによって、コック19を非常に簡単、迅速、かつ安価に製造することができる。その場合、それどころかここで説明される複数のコック19を同時に製造することができる。
【0027】
図4及び図5に示されるように、エンボス加工プロセスでは、すべてのウェブ30、31、32を同じ程度にエンボス加工することができる。図4において、射出成形プロセス後のコック19が図示されている。直後に続くエンボス加工プロセスにおいて、水平ウェブ30、31は、それらがウェブ32と共に平らな封止面33を形成する(図5)ようにエンボス加工される。このエンボス加工プロセス中に、垂直ウェブ32も形を仕上げることができる。最終的に、ウェブ30、31、32は、コック19に対する高精度の封止面33が形成されるようにエンボス加工される。
【0028】
射出成形法に後置されたこの多次元エンボス加工は、PEEKで特に良好に行うことができる。むろん、類似の材料特性を有する他のプラスチックを使用することもできる。最終的に、シャットオフバルブ11若しくは医療用手持ち機器の他のコンポーネントがここで説明されるように製造されることも考えられる。
【0029】
図3図5に見られるコック19の他の特徴には、それらが本発明と関連しないため、ここでは言及しない。これについての詳しい説明については、上記の先行技術を参照されたい。
【符号の説明】
【0030】
10 内視鏡
11 シャットオフバルブ
12 シャフト部品
13 本体
14 入口接続パイプ
15 接眼レンズ
16 グリップ片
17 グリップ片
18 ハウジング
19 コック
20 円錐部品
21 連結部品
22 連結部品
23 グリップ
24 グリップ部品
25 回転軸
26 孔
27 円錐面
28 開口
29 開口
30 水平ウェブ
31 水平ウェブ
32 垂直ウェブ
33 封止面
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】