(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159220
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/4093 20060101AFI20221006BHJP
B23Q 15/00 20060101ALI20221006BHJP
G05B 19/408 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G05B19/4093 A
B23Q15/00 305C
G05B19/408 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059540
(22)【出願日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2021061196
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518175670
【氏名又は名称】株式会社アットロボティクス
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】竹中 司
【テーマコード(参考)】
3C269
【Fターム(参考)】
3C269AB01
3C269EF39
3C269EF71
3C269JJ10
3C269JJ19
3C269KK08
3C269MN09
3C269MN14
3C269MN16
3C269QC01
3C269QC03
3C269QD02
3C269QD03
(57)【要約】
【課題】人間が手作業でワークを加工するような柔らかい加工を可能にするための加工パスデータを出力することができる情報処理装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、情報処理装置が提供される。この情報処理装置は、取得部と、算出部と、出力部とを備える。取得部は、ワークの形状をデータ化したワークデータを取得する。算出部は、ワークデータと、予め記憶されたマスターデータとの差分を示す変位量を算出する。マスターデータは、マスターの形状をデータ化したものを示す。算出部は、変位量及び任意のパラメータをマスターデータに加算した加工パスデータを算出する。加工パスデータは、加工ツールがワークを加工する際に辿る経路をデータ化したものを示す。出力部は、加工パスデータを出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
取得部と、算出部と、出力部とを備え、
前記取得部は、ワークの形状をデータ化したワークデータを取得し、
前記算出部は、前記ワークデータと、予め記憶されたマスターデータとの差分を示す変位量を算出し、
前記マスターデータは、マスターの形状をデータ化したものを示し、
前記算出部は、前記変位量及び任意のパラメータを前記マスターデータに加算した加工パスデータを算出し、
前記加工パスデータは、加工ツールが前記ワークを加工する際に辿る経路をデータ化したものを示し、
前記出力部は、前記加工パスデータを出力する、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記任意のパラメータは、前記ワークに対する前記加工ツールの加工調整量を含み、
前記加工調整量は、予め設定された前記ワークの加工量を調整する量を示す、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置において、
前記任意のパラメータは、前記ワークに対する前記加工ツールの加工方向を含む、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記任意のパラメータは、前記ワークに対する前記加工ツールの押圧力を含む、
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記算出部は、前記ワークの特徴点及び傾きに基づいて、前記ワークの座標系を算出し、
前記特徴点は、前記ワークの表面における任意の点を示し、
前記傾きは、前記特徴点からみた前記ワークの傾きを示す、
情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置において、
前記特徴点は、前記ワークの頂点を示す、
情報処理装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の情報処理装置において、
前記特徴点は、前記ワークの表面における任意の3点を示し、
前記算出部は、予め設定されたマスターの重心と、前記特徴点から求められた重心とに基づいて、前記ワークの座標系を算出する、
情報処理装置。
【請求項8】
プログラムであって、
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の情報処理装置の各部としてコンピュータを機能させる、
プログラム。
【請求項9】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
取得工程と、算出工程と、出力工程とを備え、
前記取得工程では、ワークの形状をデータ化したワークデータを取得し、
前記算出工程では、前記ワークデータと、予め記憶されたマスターデータとの差分を示す変位量を算出し、
前記マスターデータは、マスターの形状をデータ化したものを示し、
前記算出工程では、前記変位量及び任意のパラメータを前記マスターデータに加算した加工パスデータを算出し、
前記加工パスデータは、加工ツールが前記ワークを加工する際に辿る経路をデータ化したものを示し、
前記出力工程では、前記加工パスデータを出力する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CADデータから加工製品を製造できるマシニングセンタの自動運転装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マシニングセンタは、ワークの形状及び加工ツールの位置情報に基づいてワークを加工するに留まるため、人間が手作業でワークを加工するような柔らかい加工をすることが困難であった。
【0005】
本発明では上記事情を鑑み、人間が手作業でワークを加工するような柔らかい加工を可能にするための加工パスデータを出力することができる情報処理装置を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、情報処理装置が提供される。この情報処理装置は、取得部と、算出部と、出力部とを備える。取得部は、ワークの形状をデータ化したワークデータを取得する。算出部は、ワークデータと、予め記憶されたマスターデータとの差分を示す変位量を算出する。マスターデータは、マスターの形状をデータ化したものを示す。算出部は、変位量及び任意のパラメータをマスターデータに加算した加工パスデータを算出する。加工パスデータは、加工ツールがワークを加工する際に辿る経路をデータ化したものを示す。出力部は、加工パスデータを出力する。
【0007】
上記の開示によれば、人間が手作業でワークを加工するような柔らかい加工を可能にするための加工パスデータを出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】情報処理システム100を表す構成図である。
【
図2】情報処理装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】加工装置300のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】情報処理装置200(制御部210)によって実現される機能を示すブロック図である。
【
図5】情報処理装置200によって実行される情報処理の流れを示すアクティビティ図である。
【
図10】加工装置300におけるスキャナ380がワーク410をスキャンする状態を示す部分拡大図である。
【
図11】加工装置300におけるスキャナ380がワーク410をスキャンする際のワーク410とキャリッジ381との位置関係を示す部分拡大図である。
【
図12】マスターデータ510と、ワークデータ520との対比を示す図である。
【
図13】ワーク410の断面におけるスキャンエリア382を示す図である。
【
図15】加工調整量、加工方向及び押圧力の設定画面600の一例を示す図である。
【
図16】算出された加工パスデータ560の一例を示す図である。
【
図17】加工装置300がワーク410を加工する状態を示す図である。
【
図18】加工装置300がワーク410を加工する状態を示す図である。
【
図19】加工装置300がワーク410を加工する際に表示される実行画面700を示す図である。
【
図20】3点の特徴点(特徴点913、特徴点923及び特徴点933)からワーク410の座標系を算出する例を示す図である。
【
図21】2回のスキャンでワーク410の座標系を算出する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の第1実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.ハードウェア構成
第1節では、本実施形態のハードウェア構成について説明する。
【0014】
1.1 情報処理システム100
図1は、情報処理システム100を表す構成図である。情報処理システム100は、情報処理装置200と、加工装置300とを備え、これらがネットワークを通じて接続されている。これらの構成要素についてさらに説明する。ここで、情報処理システム100に例示されるシステムとは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。
【0015】
1.2 情報処理装置200
図2は、情報処理装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。情報処理装置200は、制御部210と、記憶部220と、通信部250とを有し、これらの構成要素が情報処理装置200の内部において通信バス260を介して電気的に接続されている。各構成要素についてさらに説明する。
【0016】
制御部210は、情報処理装置200に関連する全体動作の処理・制御を行う。制御部210は、例えば、不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部210は、記憶部220に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、情報処理装置200に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部220に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部210によって具体的に実現されることで、制御部210に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部210は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部210を有するように実施してもよい。またそれらの組み合わせであってもよい。
【0017】
記憶部220は、情報処理装置200の情報処理に必要な様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部210によって実行される情報処理装置200に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。また、これらの組み合わせであってもよい。
【0018】
通信部250は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、5G/LTE/3G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、情報処理装置200は、通信部250を介して、加工装置300とネットワークを介して種々の情報を通信する。
【0019】
1.3 加工装置300
図3は、加工装置300のハードウェア構成を示すブロック図である。加工装置300は、制御部310と、記憶部320と、表示情報生成部330と、入力受付部340と、通信部350と、スピンドル370と、スキャナ380とを有し、これらの構成要素が加工装置300の内部において通信バス360を介して電気的に接続されている。制御部310、記憶部320及び通信部350の説明は、情報処理装置200における制御部210、記憶部220及び通信部250の説明と略同様のため省略する。
【0020】
表示情報生成部330は、テキスト、画像(静止画及び動画を含む)を表示するものであり、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスに表示する情報を生成する。
【0021】
入力受付部340は、加工装置300に種々の情報を入力するものであり、マウス、キーボード、ポインティングデバイス等から入力される信号を受け付ける。ユーザによってなされた操作入力は、命令信号として、通信バス360を介して制御部310に転送される。そして、制御部310は、必要に応じて所定の制御や演算を実行しうる。
【0022】
スピンドル370は、モータ(不図示)の先端同軸上に減速機(不図示)を一体に備え、その減速機の先端から突出した回転出力部372に、エンドミル371が着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0023】
スキャナ380は、キャリッジ381と、計測器(不図示)とを備える。キャリッジ381は、レーザ光を出力可能に構成される。計測器は、レーザ光を照射した方向と、レーザ光の照射から受光までの往復時間とに基づいて、照射対象との距離を計測可能に構成される。
【0024】
2.機能構成
第2節では、本実施形態の機能構成について説明する。前述の通り、記憶部220に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例である制御部210によって具体的に実現されることで、制御部210に含まれる各機能部として実行されうる。
【0025】
図4は、情報処理装置200(制御部210)によって実現される機能を示すブロック図である。具体的には、情報処理装置200(制御部210)は、取得部211と、算出部212と、出力部213とを備える。
【0026】
取得部211は、種々の情報を取得可能に構成される。例えば、取得部211は、ワーク410の形状をデータ化したワークデータ520を取得する。
【0027】
算出部212は、種々の情報を算出可能に構成される。例えば、算出部212は、ワークデータ520と、マスターデータ510との差分を示す変位量530を算出する。マスターデータ510は、記憶部220に予め記憶されたマスターの形状をデータ化したものを示す。また、算出部212は、変位量530及び任意のパラメータをマスターデータ510に加算した加工パスデータ560を算出する。加工パスデータ560は、エンドミル371(請求項の「加工ツール」に相当)がワーク410を加工する際に辿る経路をデータ化したものを示す。
【0028】
出力部213は、種々の情報を出力可能に構成される。例えば、出力部213は、加工パスデータ560を出力する。
【0029】
3.情報処理方法の概要
第3節では、情報処理装置200の情報処理方法の概要について説明する。
【0030】
加工装置は、ハウジングと、回転駆動部と、フランジ部と、押圧部と、押圧抑制部とを備える。回転駆動部は、先端部に回転工具を取り付け可能に構成される。回転駆動部は、ハウジングに挿通して保持され、回転工具が側方から負荷を受けた際に、該回転駆動部の回転軸上の一点を中心にして姿勢を変位可能に構成される。フランジ部は、ハウジングの内部に位置し、回転駆動部の側面から張り出す。押圧部は、フランジ部を押圧可能に構成される。押圧抑制部は、押圧部がフランジ部を押圧することを抑制する。
【0031】
加工装置は、押圧部を複数備える。押圧抑制部は、押圧部の一部がフランジ部を押圧することを抑制する。
【0032】
押圧部は、ストッパーを有する。押圧抑制部は、ストッパーに当接することで、押圧部がフランジ部を押圧することを抑制する。
【0033】
押圧部は、ロッドを有する。押圧抑制部は、孔部を有する板状部材である。ロッドは、孔部に挿通してフランジ部を押圧可能に構成される。押圧抑制部は、ストッパーに当接することで、押圧部がフランジ部を押圧することを抑制する。
【0034】
回転工具は、ワークを切削するための刃具である。回転工具のすくい角は、ネガティブ形状である。回転工具のすくい角は、ワークの切削量に応じて、変更される。
【0035】
情報処理システムは、読出部と、計算部と、生成部とを備える。読出部は、測定されたワークの形状に係るワークデータを読み出す。計算部は、ワークデータと、予め記憶されたマスターの形状に係るマスターデータとの差分である変位量を計算する。生成部は、マスターデータに変位量と任意のパラメータとを加算した加工パスデータを生成する。
【0036】
任意のパラメータは、ワークへの接触圧を含む。
【0037】
任意のパラメータは、ワークへの接触圧の方向を含む。
【0038】
情報処理システムは、取得部を備える。取得部は、測定されたワークの特徴点と傾きとに基づいて、ワークの座標を取得する。特徴点は、ワークの表面上の任意の点であり、傾きは、特徴点からみたワークの傾きである。
【0039】
特徴点は、ワークの頂点である。
【0040】
特徴点は、ワークの表面上の3点である。取得部は、特徴点から求められたワークの重心に基づいて、ワークの座標を取得する。
【0041】
情報処理方法は、コンピュータが実行する情報処理方法である。情報処理方法は、情報処理システムにおける各ステップをコンピュータに実行させる。
【0042】
プログラムは、情報処理システムにおける各ステップをコンピュータに実行させる。
【0043】
3.情報処理方法の詳細
第3節では、情報処理装置200の情報処理方法の詳細について説明する。この情報処理方法は、コンピュータにより実行される情報処理方法である。この情報処理方法は、取得工程と、算出工程と、出力工程とを備える。取得工程では、ワーク410の形状をデータ化したワークデータ520を取得する。算出工程では、ワークデータ520と、記憶部220に予め記憶されたマスターデータ510との差分を示す変位量530を算出する。マスターデータは、マスターの形状をデータ化したものを示す。算出工程では、変位量530及び任意のパラメータをマスターデータ510に加算した加工パスデータ560を算出する。加工パスデータ560は、エンドミル371がワーク410を加工する際に辿る経路をデータ化したものを示す。出力工程では、加工パスデータ560を出力する。
【0044】
図5は、情報処理装置200によって実行される情報処理の流れを示すアクティビティ図である。以下、このアクティビティ図の各アクティビティに沿って、説明するものとする。
【0045】
加工装置300におけるスキャナ380は、ワーク410をスキャンする(アクティビティA110)。アクティビティA110の情報処理は、例えば、次の5段階で構成される。(1)加工装置300における制御部310は、スキャナ380にスキャン実行信号を送信する。(2)受信したスキャン実行信号に基づいて、スキャナ380は、キャリッジ381からレーザ光をワーク410に照射する処理を実行する。(3)スキャナ380における計測器(不図示)は、ワーク410から反射されたレーザ光を受光する。(4)当該計測器は、受光したレーザ光に基づいて、スキャナ380(キャリッジ381又は計測器)とワーク410との距離を計測する。(5)加工装置300における制御部310は、計測された距離情報を記憶部320に記憶させる。
【0046】
図6及び
図7は、加工装置300の全体構成を示す図である。加工装置300は、スピンドル370、スキャナ380、アーム390及び作業台420を備える。
【0047】
スピンドル370は、アーム390の先端に設けられている。スピンドル370は、モータ(不図示)の先端同軸上に減速機(不図示)を一体に備え、当該減速機の先端から突出した回転出力部372に、エンドミル371が着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0048】
スキャナ380は、アーム390の先端に設けられている。スキャナ380は、キャリッジ381と、計測器(不図示)とを備える。キャリッジ381は、回転出力部372の突出方向とは逆方向に突出して設けられる。キャリッジ381は、レーザ光を出力可能に構成される。計測器は、レーザ光を照射した方向と、レーザ光の照射から受光までの往復時間とに基づいて、照射対象との距離を計測可能に構成される。本実施形態では、照射対象はワーク410である。スキャナ380は、キャリッジ381から出力されるレーザ光をワーク410に照射し、ワーク410に当たって反射したレーザ光を受光し、ワーク410に当たったポイントを「点のデータ」として取得可能に構成される。すなわち、スキャナ380は、ワーク410の形状を読み取り可能に構成される。なお、計測器は、例えば、位相差法に基づいて、ワーク410との距離を計測可能に構成される。
【0049】
作業台420は、ワーク410を固定するためのクランプ421を有する。クランプ421は、作業台420に取り付けられている。作業台420は、クランプ421が取り付けられる取付面における中心軸を中心に回転可能に構成される。作業台420は、当該取付面を傾斜可能に構成される。
【0050】
スキャナ380は、作業台420におけるクランプ421に固定されたワーク410をスキャン可能に構成される。加工装置300(制御部310)は、ワーク410をスキャンする際、アーム390の先端を回転させることで、スキャナ380におけるキャリッジ381がワーク410に対向する位置に来るように制御する。加工装置300(制御部310)は、作業台420を回転させることで、ワーク410の向きを変えるように制御する。加工装置300(制御部310)は、作業台420の上記取付面の傾斜角度を変更させることで、キャリッジ381に対向するワーク410の表面を移動させるように制御する。
【0051】
図8及び
図9は、ワーク410の形状を示す図である。本実施形態では、ワーク410は、曲面形状を呈する。ワーク410は、例えば、自動車のボディの一部が該当しうる。なお、ワーク410の形状は、特に限定されず、図面においても説明の便宜のため、様々な形状を例示している。加工装置300は、曲面形状を呈するワーク410の加工処理に好適に使用される。
【0052】
図10は、加工装置300におけるスキャナ380がワーク410をスキャンする状態を示す部分拡大図である。
図10では、キャリッジ381の軌跡を示すために、キャリッジ381を複数表示している。加工装置300における制御部310は、ワーク410に対応するマスターデータ510を記憶部320から読み出し、アクティビティA110の情報処理を実行する。すなわち、加工装置300における制御部310は、作業台420におけるクランプ421が取り付けられる取付面の傾斜角度を変更させることで、スキャナ380のキャリッジ381をマスターデータ510に沿うように相対的に移動させて、スキャンデータを取得する。
【0053】
図11は、加工装置300におけるスキャナ380がワーク410をスキャンする際のワーク410とキャリッジ381との位置関係を示す部分拡大図である。キャリッジ381は、ワーク410の法線方向においてワーク410に対向するように位置する。キャリッジ381とワーク410との位置関係は、マスターデータ510に基づいて定まる。マスターの形状に対するワーク410の形状の相違は、スキャナ380によるワーク410のスキャンデータの取得に支障が生じない程度に収まる。スキャンデータの取得に支障が生じるワーク410は、スキャン工程よりも上流工程で排出される。
【0054】
続いて、制御部310は、ワーク410の形状をデータ化したワークデータ520を生成する(アクティビティA120)。すなわち、制御部310は、記憶部320に記憶された、計測された距離情報を読み出し、生成処理を実行することで、ワークデータ520を生成する。制御部310は、生成されたワークデータ520を記憶部320に記憶させる。
【0055】
図12は、マスターデータ510と、ワークデータ520との対比を示す図である。
図12では、マスターデータ510及びワークデータ520の断面のエッジを示す。後述するように、最終的な加工パスデータ560は、マスターデータ510とワークデータ520との差分をマスターデータ510に加算し、さらに、各種パラメータをマスターデータ510に加算することで生成される。
【0056】
続いて、制御部310は、ワークデータ520を情報処理装置200に送信する(アクティビティA130)。アクティビティA130の情報処理は、例えば、次の3段階で構成される。(1)制御部310は、記憶部320に記憶されたワークデータ520を読み出す。(2)制御部310は、送信処理を実行する。(3)送信処理に基づいて、加工装置300における通信部350は、ワークデータ520を情報処理装置200に送信する。
【0057】
続いて、取得部211は、ワークデータ520を取得する。すなわち、情報処理装置200における制御部210は、ワークデータ520を受信する(アクティビティA140)。アクティビティA140の情報処理は、例えば、次の2段階で構成される。(1)情報処理装置200における通信部250は、ワークデータ520を受信する。(2)情報処理装置200における制御部210は、受信されたワークデータ520を記憶部220に記憶させる。
【0058】
続いて、算出部212は、ワーク410の特徴点384及び傾きに基づいて、ワーク410の座標系を算出する(アクティビティA150)。すなわち、制御部210は、記憶部220に記憶されたワークデータ520を読み出し、算出処理を実行することで、ワーク410の座標系を算出する。ここで、特徴点384は、ワーク410の表面における任意の点であればよく、本実施形態では、ワーク410の頂点を示す。傾き(第1の傾き、第2の傾き及び第3の傾き)は、特徴点384からみたワーク410の傾きを示す。
【0059】
図13は、ワーク410の断面におけるスキャンエリア382を示す図である。スキャナ380は、矢印383に沿って、ワーク410をスキャンする(アクティビティA110)。
【0060】
特徴点384の検出方法について説明する。加工装置300における制御部310は、ワーク410の平らな部分を平面検出する。制御部310は、スキャンエリア382において、ワーク410における2つのエッジ(X方向385のエッジ及びY方向386のエッジ)を検出する。制御部310は、これらの検出データを含むワークデータ520を情報処理装置200に送信する(アクティビティA130)。
【0061】
情報処理装置200における制御部210は、検出された2つのエッジの交点から、特徴点384のX座標及びY座標を取得する。制御部210は、ワーク410の平面情報と、特徴点384のX座標及びY座標に基づいて、特徴点384のZ座標を算出する。
【0062】
傾きの計測方法について説明する。制御部210は、X方向385のエッジと、X軸(センサ座標系)との成す角度を計測し、X方向385の角度(第1の傾き)を計測する。制御部210は、検出されたワーク410の平面情報と、Y方向386のエッジとに基づいて、Y方向386の角度(第2の傾き)を計測する。制御部210は、検出されたワーク410の平面の法線方向と、Z軸(センサ座標系)との成す角度を計測し、Z方向(不図示)の角度(第3の傾き)を計測する。
【0063】
加工装置300は、ワーク410を加工するために、例えば、GコードのG54にワーク座標系が設定される。Gコードは、NC加工装置の内部設定を処理するためのコードを示す。Gコードは、NC加工装置の加工ツールなどの軸移動、座標設定、回転、対象加工物の加工方法などを設定可能である。加工装置300における制御部310は、G54のワーク座標系と、ワーク410のワーク座標系とを対比し、双方のワーク座標系のズレに基づいて、ワーク410の原点位置を補正し、三次元(X方向385、Y方向386及びZ方向)のワーク410の傾きを補正する。
【0064】
アクティビティA150によれば、1回のスキャンでワーク410のズレを補正することができる。すなわち、1回のスキャンでワーク410を加工することができる。ワーク410の頂点を特徴点384とすることによれば、ワーク410のワーク座標系を容易に算出することができる。
【0065】
続いて、算出部212は、ワークデータ520と、予め記憶されたマスターデータ510との差分を示す変位量530を算出する(アクティビティA160)。マスターデータ510は、マスターの形状をデータ化したものを示す。アクティビティA160の情報処理は、例えば、次の3段階で構成される。(1)制御部210は、記憶部220に記憶された、ワークデータ520及びマスターデータ510を読み出す。(2)制御部210は、算出処理を実行して変位量530を算出する。(3)制御部210は、算出した変位量530を記憶部220に記憶させる。
【0066】
図14は、算出された変位量530を示す図である。変位量530は、ワークデータ520とマスターデータ510との差分を示す。本実施形態では、変位量530は、マスターデータ510の半径531からワークデータ520の半径532を減算した長さを示す。
【0067】
続いて、制御部210は、記憶部220に記憶されたパラメータを読み出す(アクティビティA170)。ここで、パラメータは、任意のものであってもよく、本実施形態では、ワーク410に対するエンドミル371の加工調整量、ワーク410に対するエンドミル371の加工方向、及びワーク410に対するエンドミル371の押圧力を含む。ここで、加工調整量は、予め設定されたワーク410の加工量を調整する量を示す。加工調整量、加工方向及び押圧力については、後述する。
【0068】
図14では、パラメータの一例として、加工方向540及び加工方向550を示す。加工方向540及び加工方向550は、ワーク410に対するエンドミル371の押圧方向のことを示す。エンドミル371の押圧方向(加工方向)を変えることで、加工後のワーク形状を変えることができる。
【0069】
図15は、加工調整量、加工方向及び押圧力の設定画面600の一例を示す図である。設定画面600では、入力ボックス610の数値を変更することで加工調整量を変更可能であり、入力ボックス620の数値を変更することで加工方向を変更可能であり、入力ボックス630の数値を変更することで押圧力を変更可能である。各パラメータは、OKボタン640をクリックすることで反映される。
【0070】
加工調整量は、例えば、ワーク410を2mm切削加工するように設定されている(加工量:2mm)場合に、50%の重み付けを設定することで、2mmの50%、すなわち1mm切削加工するように重み付けをする。加工方向は、通常の角度に比べて、+10°の角度でエンドミル371をワーク410に当てることを意味する。押圧力は、フローティングの圧力のことを示し、押圧力が高いほど、エンドミル371をワーク410に当てたときにならい量が減少するため、加工量が増加する。
【0071】
アクティビティA170によれば、ワーク410の加工条件を詳細に設定することができる。
【0072】
続いて、算出部212は、変位量530及び上記パラメータ(加工調整量、加工方向及び押圧力)をマスターデータ510に加算した加工パスデータ560を算出する(アクティビティA180)。すなわち、制御部210は、記憶部220に記憶された変位量530及びマスターデータ510を読み出し、アクティビティA170で読み出されたパラメータ、読みだした変位量530及びマスターデータ510に対して算出処理を実行することで、加工パスデータ560を算出する。制御部210は、加工パスデータ560を記憶部220に記憶させる。ここで、加工パスデータ560は、エンドミル371がワーク410を加工する際に辿る経路をデータ化したものを示す。
【0073】
図16は、算出された加工パスデータ560の一例を示す図である。加工パスデータ560は、マスターデータ510から補正量570だけ補正された加工パスに係るデータである。補正量570は、変位量530、加工調整量、加工方向及び押圧力に基づいて、算出部212(制御部210)によって算出される。
【0074】
続いて、出力部213は、加工パスデータ560を出力する。換言すると、制御部210は、加工パスデータ560を加工装置300に送信する(アクティビティA190)。アクティビティA190の情報処理は、例えば、次の3段階で構成される。(1)制御部210は、記憶部220に記憶された加工パスデータ560を読み出す。(2)制御部210は、送信処理を実行する。(3)送信処理に基づいて、通信部250は、加工パスデータ560を加工装置300に送信する。
【0075】
続いて、加工装置300における制御部310は、加工パスデータ560を受信する(アクティビティA200)。アクティビティA200の情報処理は、例えば、次の2段階で構成される。(1)加工装置300における通信部350は、加工パスデータ560を受信する。(2)加工装置300における制御部310は、受信された加工パスデータ560を記憶部320に記憶させる。
【0076】
続いて、加工装置300は、ワーク410を加工する(アクティビティA210)。すなわち、制御部310は、記憶部320に記憶された加工パスデータ560を読み出し、加工処理を実行することで、ワーク410を加工するように加工装置300全体を制御する。
【0077】
続いて、加工装置300におけるスキャナ380は、ワーク410をスキャンする(アクティビティA220)。アクティビティA220の情報処理は、例えば、次の5段階で構成される。(1)加工装置300における制御部310は、スキャナ380にスキャン実行信号を送信する。(2)受信したスキャン実行信号に基づいて、スキャナ380は、キャリッジ381からレーザ光をワーク410に照射する処理を実行する。(3)スキャナ380における計測器(不図示)は、ワーク410から反射されたレーザ光を受光する。(4)当該計測器は、受光したレーザ光に基づいて、スキャナ380(キャリッジ381又は計測器)とワーク410との距離を計測する。(5)加工装置300における制御部310は、計測された距離情報を記憶部320に記憶させる。
【0078】
続いて、加工装置300における制御部310は、設定通りにワーク410を加工できたか否かを判定する(アクティビティA230)。ここで、設定通りにワーク410を加工できた場合とは、例えば、ワーク410を2mm切削加工するように設定された場合に、ワーク410を2mm切削加工したときのことを示す。設定通りにワーク410を加工できていない場合とは、例えば、ワーク410を2mm切削加工するように設定された場合に、ワーク410を1.5mm切削加工したときのことを示す。すなわち、2mmの切削加工設定に対して、実際には1.5mmしか切削加工していない場合のことを示し、この場合、差分の0.5mmを追加で切削加工する必要がある。
【0079】
すなわち、制御部310は、アクティビティA220で計測された距離情報と、切削加工の設定情報とを記憶部220から読み出し、判定処理を実行することで、設定通りにワーク410を加工できたか否かを判定する。制御部310は、設定通りにワーク410を加工できたと判定した場合は、本実施形態の情報処理を終了する。制御部310は、設定通りにワーク410を加工できていないと判定した場合は、アクティビティA120の情報処理に移行する。
【0080】
図17及び
図18は、加工装置300がワーク410を加工する状態を示す図である。加工装置300(制御部310)は、アーム390の先端を回転させることで、スピンドル370の回転出力部372に取り付けられたエンドミル371がワーク410に対向する位置に来るように制御する。加工装置300(制御部310)は、作業台420を回転させることで、ワーク410の向きを変えるように制御する。加工装置300(制御部310)は、作業台420におけるクランプ421が取り付けられる取付面の傾斜角度を変更させることで、エンドミル371に対向するワーク410の表面を移動させるように制御する。
【0081】
図19は、加工装置300がワーク410を加工する際に表示される実行画面700を示す図である。実行画面700は、加工装置300に接続される表示デバイスに表示される。実行画面700には、反力(N)、押量(mm)、押圧(MPa)、実切削量(mm)、及びならい量(mm)の各値が表示される。反力は、エンドミル371がワーク410から受ける力のことを示す。押量は、前述の加工量に相当し、予め設定された加工量のことを示す。押圧は、前述の押圧力に相当し、フローティングの圧力のことを示す。実切削量は、加工パスデータ560に基づいてワーク410を実際に加工する量(切削量)のことを示す。ならい量は、ワーク410からエンドミル371がならった量のことを示し、押量から実切削量を減算することで算出される。
【0082】
実行画面700によれば、エンドミル371のならい量を測定することができる。したがって、本実施形態によれば、ワーク410の加工の程度をモニタリングすることができる。
【0083】
本実施形態によれば、人間が手作業でワーク410を加工するような柔らかい加工を可能にするための加工パスデータ560を出力することができる。
【0084】
次に、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置200について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成要素には第1実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0085】
第2実施形態の特徴点(特徴点913、特徴点923及び特徴点933)は、ワーク410の表面における任意の3点を示すものである点で第1実施形態と相違する。算出部212は、予め設定されたマスターの重心と、特徴点913、特徴点923及び特徴点933から求められた重心とに基づいて、ワーク410の座標系を算出してもよい。
【0086】
図20は、3点の特徴点(特徴点913、特徴点923及び特徴点933)からワーク410の座標系を算出する例を示す図である。スキャナ380は、矢印911に沿って、ワーク410をスキャンする(アクティビティA110)。スキャナ380は、矢印921に沿って、ワーク410をスキャンする(アクティビティA110)。スキャナ380は、矢印931に沿って、ワーク410をスキャンする(アクティビティA110)。
【0087】
加工装置300における制御部310は、スキャンエリア910において、円912を検出する。制御部310は、スキャンエリア920において、円922を検出する。制御部310は、スキャンエリア930において、円932を検出する。制御部310は、これらの検出データを含むワークデータ520を情報処理装置200に送信する(アクティビティA130)。
【0088】
情報処理装置200における制御部210は、円912の中心を特徴点913として設定する。制御部310は、円922の中心を特徴点923として設定する。制御部310は、円932の中心を特徴点933として設定する。
【0089】
制御部210は、特徴点913、特徴点923及び特徴点933の3点から得られる三角形の重心位置を原点940とする。制御部210は、特徴点933から特徴点923の方向をX方向941とする。制御部210は、特徴点913、特徴点923及び特徴点933の3点による面の法線をZ方向(不図示)とする。制御部210は、X方向941及びZ方向に基づいて、Y方向942を求める。
【0090】
ワーク410の座標系は、予め設定されたマスターの重心と、今回求めた原点940とを合わせることで、求めることができる。情報処理装置200における制御部210は、CAD/CAM上でマスターにおける3点の特徴点から得られる三角形の重心位置を起点にしてマスターのGコードを計算する。制御部210は、マスターの重心位置と、原点940とを合わせる。制御部210は、計算したマスターのGコード、及びマスターの重心位置と原点940との合わせ込みに基づいて、ワーク410の座標系を算出する。
【0091】
本実施形態によれば、ワーク410がどのような形状であっても、ワーク410のズレを補正することができる。
【0092】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0093】
本発明の実施形態の態様は、プログラムであってもよい。このプログラムは、情報処理装置200の各部としてコンピュータを機能させる。
【0094】
第1変形例として、ワーク410の座標系を算出する場合、スキャンを2回実施してもよい。
【0095】
図21は、2回のスキャンでワーク410の座標系を算出する例を示す図である。スキャナ380は、矢印883に沿って、ワーク410をスキャンする(アクティビティA110)。スキャナ380は、矢印888に沿って、ワーク410をスキャンする(アクティビティA110)。
【0096】
特徴点884の検出方法について説明する。加工装置300における制御部310は、ワーク410の平らな部分を平面検出する。制御部310は、スキャンエリア382において、ワーク410における2つのエッジ(X方向885のエッジ及びY方向886のエッジ)を検出する。制御部310は、これらの検出データを含むワークデータ520を情報処理装置200に送信する(アクティビティA130)。
【0097】
情報処理装置200における制御部210は、検出された2つのエッジの交点から、特徴点884のX座標及びY座標を取得する。制御部210は、ワーク410の平面情報と、特徴点884のX座標及びY座標とに基づいて、特徴点884のZ座標を算出する。
【0098】
傾きの計測方法について説明する。制御部210は、1回目のスキャンにおいて、X方向885のエッジと、X軸(センサ座標系)との成す角度を計測し、X方向885の角度(第1の傾き)を計測する。制御部210は、2回目のスキャンにおいて、検出されたワーク410の平面情報と、Y方向886のエッジとに基づいて、Y方向886の角度(第2の傾き)を計測する。制御部210は、検出されたワーク410の平面の法線方向と、Z軸(センサ座標系)との成す角度を計測し、Z方向(不図示)の角度(第3の傾き)を計測する。
【0099】
第2変形例として、ワーク410の座標系を算出する場合、特徴点を3点以上取得してもよい。特徴点の数は、3点以上であれば特に限定されることはなく、具体的には例えば、3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30点であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。
【0100】
ここで、特徴点を3点取得する場合について説明する。加工装置300における制御部310は、ワーク410における任意の3つのエリアをスキャンする。制御部310は、3つのエリアをスキャンしたデータに関するスキャンデータを通信部350を介して情報処理装置200に送信する。情報処理装置200における通信部250は、当該スキャンデータを受信する。制御部210は、当該スキャンデータを記憶部220に記憶させる。制御部210は、記憶部220に記憶された所定のプログラムを読み出し、設定処理を実行することで、ワーク410においてスキャンされた各エリアに基づいて、3点の特徴点を設定する。
【0101】
ワーク410の座標系(傾きを含めた位置)は、X方向、Y方向及びZ方向における位置、並びにX方向の軸を中心とした回転角RX、Y方向の軸を中心とした回転角RY、及びZ方向の軸を中心とした回転角RZの6つの要素によって算出される。マスターデータ510に対する当該6つの要素の変位量は、設定された3点の特徴点から算出される。
【0102】
制御部210は、記憶部220に記憶された所定のプログラムを読み出し、設定処理を実行することで、3点の特徴点に基づいて、基準点(第2実施形態における原点に相当)を算出する。制御部210は、予め設定されたマスターの基準点と、ワーク410の基準点とに基づいて、ワーク410の座標系を算出する。制御部210は、各パラメータに基づいてワーク410の座標系を再計算し、加工パスデータ560を算出する。制御部210は、通信部250を介して加工パスデータ560を加工装置300に送信する。
【0103】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記情報処理装置において、前記任意のパラメータは、前記ワークに対する前記加工ツールの加工調整量を含み、前記加工調整量は、予め設定された前記ワークの加工量を調整する量を示す、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記任意のパラメータは、前記ワークに対する前記加工ツールの加工方向を含む、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記任意のパラメータは、前記ワークに対する前記加工ツールの押圧力を含む、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記算出部は、前記ワークの特徴点及び傾きに基づいて、前記ワークの座標系を算出し、前記特徴点は、前記ワークの表面における任意の点を示し、前記傾きは、前記特徴点からみた前記ワークの傾きを示す、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記特徴点は、前記ワークの頂点を示す、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記特徴点は、前記ワークの表面における任意の3点を示し、前記算出部は、予め設定されたマスターの重心と、前記特徴点から求められた重心とに基づいて、前記ワークの座標系を算出する、情報処理装置。
プログラムであって、前記情報処理装置の各部としてコンピュータを機能させる、プログラム。
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、取得工程と、算出工程と、出力工程とを備え、前記取得工程では、ワークの形状をデータ化したワークデータを取得し、前記算出工程では、前記ワークデータと、予め記憶されたマスターデータとの差分を示す変位量を算出し、前記マスターデータは、マスターの形状をデータ化したものを示し、前記算出工程では、前記変位量及び任意のパラメータを前記マスターデータに加算した加工パスデータを算出し、前記加工パスデータは、加工ツールが前記ワークを加工する際に辿る経路をデータ化したものを示し、前記出力工程では、前記加工パスデータを出力する、情報処理方法。
もちろん、この限りではない。
【符号の説明】
【0104】
100 :情報処理システム
200 :情報処理装置
210 :制御部
211 :取得部
212 :算出部
213 :出力部
220 :記憶部
250 :通信部
260 :通信バス
300 :加工装置
310 :制御部
320 :記憶部
330 :表示情報生成部
340 :入力受付部
350 :通信部
360 :通信バス
370 :スピンドル
371 :フライス
372 :回転出力部
380 :スキャナ
381 :キャリッジ
382 :スキャンエリア
383 :矢印
384 :特徴点
385 :X方向
386 :Y方向
390 :アーム
410 :ワーク
420 :作業台
421 :クランプ
510 :マスターデータ
520 :ワークデータ
530 :変位量
531 :半径
532 :半径
540 :加工方向
550 :加工方向
560 :加工パスデータ
570 :補正量
600 :設定画面
610 :入力ボックス
620 :入力ボックス
630 :入力ボックス
640 :OKボタン
700 :実行画面
883 :矢印
884 :特徴点
885 :X方向
886 :Y方向
888 :矢印
910 :スキャンエリア
911 :矢印
912 :円
913 :特徴点
920 :スキャンエリア
921 :矢印
922 :円
923 :特徴点
930 :スキャンエリア
931 :矢印
932 :円
933 :特徴点
940 :原点
941 :X方向
942 :Y方向