(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159225
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】電気推進が提供された車両用の最適な運転プロファイルを生成する方法及び制御システム
(51)【国際特許分類】
B61L 23/14 20060101AFI20221006BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20221006BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20221006BHJP
B61L 27/16 20220101ALI20221006BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20221006BHJP
B60W 30/18 20120101ALI20221006BHJP
B60W 30/14 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B61L23/14 Z
G01C21/26 A
G08G1/00 X
B61L27/16
B60L3/00 N
B60W30/18
B60W30/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022059824
(22)【出願日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】102021000007961
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】522130689
【氏名又は名称】ヒタチ レール エッセティエッセ ソチエタ ペル アツィオニ
(71)【出願人】
【識別番号】522130690
【氏名又は名称】ビンチェンツォ ガルディ
(71)【出願人】
【識別番号】522130704
【氏名又は名称】ピエラ ステッラ
(71)【出願人】
【識別番号】522130715
【氏名又は名称】アントーニオ ピッコロ
(71)【出願人】
【識別番号】522130726
【氏名又は名称】ビート カルデラーロ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100196601
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 祐市
(72)【発明者】
【氏名】ビンチェンツォ ガルディ
(72)【発明者】
【氏名】ピエラ ステッラ
(72)【発明者】
【氏名】アントーニオ ピッコロ
(72)【発明者】
【氏名】ビート カルデラーロ
(72)【発明者】
【氏名】ルイージ フラテッリ
(72)【発明者】
【氏名】ジュゼッペ グラベル
【テーマコード(参考)】
2F129
3D241
5H125
5H161
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129AA05
2F129AA08
2F129CC17
2F129CC20
2F129CC25
2F129DD49
2F129EE52
3D241BA01
3D241BA44
5H125AA05
5H125CA05
5H125CB09
5H125CC04
5H125EE51
5H125EE52
5H125EE53
5H125EE55
5H125EE66
5H161AA01
5H161BB02
5H161BB06
5H161CC03
5H161CC05
5H161EE04
5H161EE07
5H161FF01
5H161FF07
5H161JJ01
5H161JJ22
5H161JJ24
5H181AA06
5H181AA16
5H181AA27
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
(57)【要約】
【課題】電気推進車両用の最適な運転プロファイルを生成する方法を提供する。
【解決手段】加速度及び時間インターバルごとに、均一加速されたモーションの法則を適用し、到着時刻までの連続的な時間インターバルのシーケンスを提供し、車両が各時間インターバル内で仮想的に採用し得る複数の加速度を提供し、電気推進車両の最適運転プロファイルが生成され、ルートに沿った仮想将来ポイントは、車両の現時点の位置及び速度から始まって、生成され、時間インターバルごとに、後続の時間インターバルを分析する前に、生成されたポイントが予め定義された制約を充足しているかチェックされ、チェックが否定的な場合は、チェックされているポイントは納得できる仮説から除去され、残りのポイントの個々のシーケンスによって定義された運転プロファイルが取得され、運転プロファイルのうちから、実行対象の最低全体エネルギーを必要とするものが選択される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気推進が提供された車両用の最適な運転プロファイルを生成する方法であって、
-a)予め確立されたルートの特性に関係する且つ少なくとも1つの到着ポイント(ATn)を有する第1データ(I1b)、
b)前記ルートに沿って移動しなければならない車両の特性に関係する第2データ(I1a)、
c)前記ルートに沿って充足を要する少なくとも1つの時刻(On)を通知する第3データ(I1c)、
を有する入力データを提供するステップと、
-前記時刻(On)までの連続的な時間インターバル(Δt(k))のシーケンスを提供するステップと、
-前記車両が前記時間インターバル(Δt(k))のそれぞれにおいて仮想的に採用し得る加速度(ajk)を有限数において提供するステップと、
-前記車両の現時点の位置及び速度によって定義された初期ポイントから始まって、仮想的な将来ポイントを生成するように、前記加速度(ajk)のそれぞれのものについて且つ前記時間インターバルの第1のものについて均一に加速されたモーションの法則を適用するステップと、
-前記到着ポイントに到達する時点まで、前記以前の時間インターバルにおいて判定されたそれぞれのポイント(P(k-1))から始まって、仮想的な将来ポイント(P(k))を生成するために、次々に、前記加速度(ajk)のそれぞれについて且つ前記その他の時間インターバルのそれぞれについて均一に加速されたモーションの法則の前記適用を反復するステップと、
-前記時間インターバル(Δt(k))のそれぞれごとに、1つ又は複数の予め定義された制約を提供し、且つ、前記連続的時間インターバル(Δt(k+1))を分析する前に、前記生成された将来ポイント(P(k))が前記予め定義された制約のすべてを充足しているかどうかをチェックするステップであって、前記チェックステップが否定的な結果を有する場合には、前記チェックされているポイント(P(k))が、納得できる仮説から除去されている、ステップと、
-前記チェックステップを通過した前記残りのポイントのそれぞれごとに、それに由来する前記ポイントから始まって、前記残りのポイントにおいて到達するために必要とされる前記エネルギー消費(ΔE)を算出するステップと、
-前記到着ポイントまで、それぞれが残りのポイントの個々のシーケンスによって定義され、相互に連結されている複数の可能な運転プロファイルを取得するステップと、
-前記運転プロファイルのそれぞれごとに、前記到着ポイントに到達するために必要とされる対応した全体エネルギーを判定するように、前記エネルギー消費(ΔE)を合計するステップと、
-前記運転プロファイルのうちから、最低全体エネルギーを有するものを選択するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記チェックステップは、前記考慮されている時間インターバル(t(k))の末尾において予見される前記位置(x(k))が前記以前の位置(x(k-1))超であるかどうかをチェックする動作、或いは、前記考慮されている時間インターバル(t(k))の前記末尾において予見される前記速度(v(k))がゼロ超であるかどうかをチェックする前記動作、を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チェックステップは、
-前記考慮されている時間インターバル(t(k))の前記末尾において予見される前記速度v(k)が許容最大値(vmax)未満であるかどうかをチェックする動作、
-前記考慮されている時間インターバル(t(k))内における前記加速度(ajk)が許容最大値未満であるかどうかをチェックする動作、
-前記考慮されている時間インターバル(t(k))内におけるジャークが許容最大値未満であるかどうかをチェックする動作、
の少なくとも1つを有する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
-ADASによって提供されたデータを受け取るステップと、
-前記ADASの前記データに従って、前記速度の前記許容最大値を確立するステップと、
を更に有する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記チェックステップは、前記車両が予め定義されたモーションプロファイルによって前記残りのルートを移動すると仮定することにより、前記生成されたポイント(P(k))のそれぞれから始まって、前記時間内において前記到着ポイントに到達することが可能であるかどうかをチェックする動作を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記加速度のそれぞれが、前記車両の電気牽引システムによって供給され得る最大牽引力超の牽引力を必要とすることになるかどうをチェックする更なる動作を有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記最大牽引力は、力-速度特性を表すチャートを利用して識別されている請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記最大牽引力超の牽引力を必要とすることになる前記加速度は、前記最大牽引力を要求するように、且つ、新しい仮想的な将来ポイントを生成するように、低減されている請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記加速度は、少なくとも5つである請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記時間インターバルは、いずれも、相対的に小さな値を有する前記到着ポイントの近傍を除いて、同一の値を有する請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1データ(I1b)は、それぞれが個々の到着ポイント及び個々の時刻を有する複数のステージを有し、且つ、前記方法は、
-信号機優先権付与システムによって提供されたデータを受け取るステップと、
-前記信号機優先権付与システムによって提供された前記データが赤の信号機に遭遇する予測を通知している場合に新しいステージを定義する偽の停止点を導入するステップと、
を有する請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
-信号機優先権付与システムによって提供されたデータを受け取るステップと、
-前記信号機優先権付与システムによって提供された前記データが赤の信号機に遭遇するという予測を通知している場合に、正又は負の加速度を導入することにより、前記選択された運転プロファイルを変更するステップと、
を有する請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1データ(I1b)は、それぞれが個々の到着ポイント及び個々の時刻を有する複数のステージを有し、且つ、前記方法は、
-ADASによって提供されたデータを受け取るステップと、
-前記ADASによって提供された前記データが障害物の予測を通知している場合に新しいステージを定義する偽の停止点を導入するステップと、
を有する請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
-前記車両の位置及び/又は速度が前記選択された運転プロファイルを充足しているかどうかをチェックするステップと、
-前記車両の位置及び/又は速度が予め設定された閾値内において前記最適な運転プロファイルを充足していない場合に前記最適運転プロファイルを再計算するステップと、
を有する請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
電気推進車両内における制御システムであって、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の前記方法を実行するように構成された運転プロファイル生成ブロックを有する制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月31日付けで出願された伊国特許出願第102021000007961号の優先権を主張するものであり、この特許文献の開示内容は、引用により、そのすべてが本明細書において包含される。
【0002】
本発明は、電気推進が提供された車両用の最適な運転プロファイルを生成する方法に関する。
【0003】
具体的には、本発明の方法は、エネルギーの節約を目的とした運転支援機能の範囲に含まれている。更に詳しくは、運転スタイルに関する本発明は、地上のインフラストラクチャに対する又は車両上において既に提供されている構造及び牽引システムに対する介入を必要としない、エネルギー節約のための即座に適用可能な解決策に含まれている。
【背景技術】
【0004】
本発明の方法は、鉄道及びトラムウェイの分野のみならず、(電池によって電力供給された又は牽引用の電気エネルギーを提供する能力を有する、例えば、燃料電池などの、その他のシステムによって電力供給された)電気推進が提供されているその他のタイプの車両に適用することができる。更に詳しくは、本発明は、使用の際に、そのそれぞれが、移動時間が検証されている停止点、駅、又は場合によっては単に中間ポイントにおいて終了する連続的なステージのシーケンスに分割された一般には「ライン」と呼称されている予め定義されたルートに沿って移動することにより、パブリック又はプライベート輸送サービスを運営する車両に適用することできる。
【0005】
このようなサービスにおいては、それぞれのステージの到着ポイントには、例えばユーザーには既知である一日のうちの予め確立された到着時刻に対応する予め確立された時間インターバル内において到達することを要する。換言すれば、ラインの様々なステージの移動時間は、予め確立されており、且つ、車両運転者が充足するように試みなければならない対応する時刻表において通知されている。
【0006】
この文脈において、エネルギー消費を極小化する且つ同時にそれぞれのステージの到着ポイントへの割り当てられた時間内における到達を許容する最適な運転プロファイルを定義するように、ラインの動作状態に関係する情報(例えば、速度制限又は高度変動、車両の技術的特性、時刻表によって必要とされている到着時刻、などのようなラインに沿って課されている制約)を処理するニーズが存在している。
【0007】
運転プロファイルを最適化する既知の最新技術の方法は、車両がそのミッションを開始する前に最適な運転プロファイルが識別されている「オフライン」と一般に呼称されているものと、ミッション自体において最適な運転プロファイルが識別されている且つリアルタイムで更新され得る「オンライン」と一般に呼称されているもう1つのものと、という2つのタイプを有する。運行中の車両(自動車、バス、トロリーバス、トラム、又はサーフェスメトロ(surface metro)であるかどうかを問わない)は、一般に、都市の環境において動作しており、これは、通常の交通道路と共有されており、且つ、可能な信号機を有する交差点を含み、従って、運転状態は、瞬間ごとに変化する傾向を有する。従って、これらのケースにおいて、効果的な結果を実現するには、動作状態のリアルタイム分析を伴うオンライン方法が必要とされている。
【0008】
最適な運転プロファイルが生成されたら、制御システムは、最適な運転プロファイルを実現するために、車両を運転しつつ、設定を要する加速コマンドの程度を示唆する又は到達を要する速度を示唆する情報を運転者に(運転者及び車両の実際の応答時間との関係においてタイムリーな方式で)提供してもよく、或いは、自動運転システムが提供されている車両上においては、コマンドシステムが、適切なコマンド信号を直接的にその自動運転システムに送信してもよい。
【0009】
従って、(例えば、動作状態が変化した場合に且つ/又は運転者が予期しないイベントに起因して制御システムによって提供された運転示唆に追随できない場合に)情報が再度処理され得るように且つ結果が必要に応じて補正され得るように、最適な運転プロファイルを迅速に得るために、計算の速度及びアルゴリズムの単純さが特に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、上述の要件の単純な且つ経済的な充足を可能にする且つオンライン実装に適した電気推進が提供された車両用の最適な運転プロファイルを生成する方法を提供するというものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、請求項1において定義されている方法が提供されている。
【0012】
また、本発明は、請求項15において定義されている制御システムにも関係している。
【0013】
以下、その例示用の非限定的な実施形態を示す以下の添付の図面を参照し、本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】電気推進が提供された且つステージのシーケンスから構成されたラインに沿って移動する車両を概略的に示す図である。
【
図2】本発明による電気推進が提供された車両用の最適な運転プロファイルを生成する方法の好適な実施形態を概略的な且つ単純化された方式で示すフローチャート又はブロック図である。
【
図3】ステージを後続の時間インターバルの連続体として完成させるように設定された時間の分割を示す図である。
【
図4】本発明による方法の異なるステップを示すチャートを示す図である。
【
図5】本発明による方法の異なるステップを示すチャートを示す図である。
【
図6】
図4に類似しており、且つ、本発明の方法に従って生成された且つ最低エネルギー消費を有するものがそれから選択される様々な可能な運転プロファイルを概略的な方式で示す図である。。
【
図7】電気推進を有する車両の牽引特性(力/速度)を示す例示用のチャートを示す図である。
【
図8】本発明の方法を実行するための制御システム又はアーキテクチャの好適な実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1において、参照符号1は、電気推進を有する、即ち、車輪(図示されてはいない)を駆動する且つ示されていない且つ詳述されていない既知のタイプの適切な電子機器(牽引インバータ、フィルタ、など)を通じて電気エネルギーが供給されている電気モーターを有する、牽引システム2(概略的に示されている)が提供された車両を表記している。車両1は、例として示されているように、鉄道又はトラムウェイ車両又は地下鉄、即ち、レール4上において移動する車両であってもよいが、これは、また、この場合にも電気推進を依然として有するバス、トロリーバス、物品輸送用の車両、又は自動車などの道路上において移動する車輪を有する車両であってもよいであろう。
【0016】
後述することになる例において、車両1は、運転者によって運転されているか、又は遠隔ステーションによって制御されている。或いは、この代わりに、又はこの解決策との組合せにおいて、車両1には、運転者を伴うことなしに自動的に運転されるように、自動運転システムを提供することもできる。
【0017】
使用の際に、車両1は、例えば、予め確立されたタイプのライン10に沿って、乗員の輸送のための輸送サービスを実行している。ライン10は、空間的なシーケンスに従って次々に配置されたステージの連続体T1、...、Tn、Tn+1、....から構成されている。それぞれのステージTnは、対応する出発ポイントPTnにおいて始まっており、且つ、対応する到着ポイントATnにおいて終了している(ここでは、AT(n-1)=PTnであり、且つ、ATn=PT(n+1)である)。例えば、出発及び到着ポイントは、個々の停止点又は駅Fによって定義されており、これらには、乗員が乗車及び/又は下車するために車両が停止するプラットフォームが提供されている。但し、ステージTnは、例えば、予め確立されたポイントにおいてライン10に沿った中間移動時刻をチェックするための、停止が予想されていない、即ち、車両の停止及び可能な駐車の予想を伴っていない、ラインのセクションに沿った中間ポイントにより、定義することもできる。
【0018】
ライン10は、時刻表と関連付けられており、即ち、それぞれのステージTnごとに、そのステージTnを完了させるために、即ち、予め確立されたサービス時刻(これは、サービスユーザーにも通常は既知である)を充足するために、サービスによって必要とされている個々の時刻又は時刻の瞬間Onを含む表と関連付けられている。
【0019】
車両1は、後述されている且つ適切なコンピュータプログラム(ソフトウェア)においてエンコーディングされたアルゴリズムを処理するように且つ
図2において概略的な方式で概略的に示されている方法を実行するように構成された少なくとも1つのブロック又は電子制御ユニットを有するアーキテクチャ又は制御システムを有する。この方法は、複数の入力データに応答して、それぞれのステージTn用の最適な運転プロファイルGottを生成している。
【0020】
入力データは、2つのカテゴリに分割することが可能であり、第1のカテゴリは、ライン10に沿って移動する前に設定された且つ静止型な特性を有する、即ち、それぞれのステージの実行の際に時間に伴って変化しない、構成データによって定義されており、且つ、第2カテゴリは、ミッションの際に、即ち、車両1がそれぞれのステージTnに沿って移動している間に、時間に伴って変化し得る動作状態に関係するデータによって定義されている。
【0021】
第1のカテゴリの入力データは、それ自体が既知であるものと見なされており、且つ、
図2の方法の予備ステップ(ステップ101)において予見されているる。この入力データは、原則的に、様々なモードを介してアルゴリズムに提供されてもよく、例えば、これらは、メモリ(図示されてはいない)内において保存される形態において車両1上の制御システム内において既に利用可能であってもよく、且つ/又は、これらは、操作者によって又は運転者によって手動的に設定されていてもよく、且つ/又は、これらは、例えば、遠隔配置された制御ステーションからなどのように外側から、或いは、利用可能なウェブに基づいたアプリケーションを介して、制御システムに送信することもできる。好ましくは、第1カテゴリの入力データは、4つのデータのタイプを有しており、即ち、
・車両の特性に関係するデータ又は値I1a、
・それぞれのステージTnに沿ったルートの特性に関係するデータ又は値I1b、
・充足対象のパブリックサービスに関係するデータ又は値I1c、
・アルゴリズムによって実行される処理を調節するための設定に関係するデータ又は値I1d、
を有する。
【0022】
具体的には、データI1bは、それぞれのステージTnの出発、到着、中間ポイントの位置、即ち、空間的座標、ルートに沿って存在し得るカーブの場所及び曲率、可能な交差点の場所、運転が制約されている輸送システムのケースにおけるトラック4に沿った可能なインターチェンジの場所、例えば、ルートのそれぞれのポイントにおける正又は負のスロープによって定義されたルートに沿った高度データ、例えば、ルートの様々なポイントにおける道路コードから判明する速度制限、車両の減速又はモーションの中断を結果的にもたらし得る、且つ、従って、車両の牽引に必要とされるパワーの変動を結果的にもたらし得る、静止的特性のルートの任意のその他の要素(例えば、車輪とトラック又は道路の間の摩擦のレベル)、という情報の少なくともいくつかを有する。
【0023】
これらのデータは、ルートのそれぞれのポイントの位置と一両一義的に関連付けられている。換言すれば、ルートのそれぞれのポイントは、その独自の位置によって(即ち、空間基準システム内においてそれを表している1つ又は複数の座標によって)識別されており、且つ、上述のデータI1bに対応するデータの連続体と関連付けられている。
【0024】
好ましくは、データI1bは、ニーズに応じて置換又は変更可能である保存された構成ファイル内において含まれている。実際に、車両1がミッションを変更しなければならない場合には、即ち、サービスのライン及び/又はタイミングを変更しなければならない場合には、更新されたデータを有する新しい構成ファイルを制御システムのメモリ内にアップロードすることで十分となる。また、新しいデータは、車両1にリモート送信することもできる。
【0025】
保存される代わりに、データI1bは、例えば、車両内において提供されているGPS測位アプリケーションとインターフェイスするサービス又はウェブアプリケーションから情報を取得するなどのように、その他の方法によって取得することもできる。
【0026】
データI1cは、様々なステージTnの時刻Onを有し、且つ、到着ポイントATnの位置と一両一義的に関連付けられているが、データI1cは、供給対象のサービスのその他の情報(例えば、乗員が乗車及び下車するための停止点における計画されている任意の停止時間)を有することもできる。また、好ましくは、データI1cも、制御システム内において保存されている且つ更新され得る構成ファイル内において収容されている。実際に、車両1がそのミッションを変更しなければならない場合には、(恐らくは、車両1にリモート送信され得る)新しい構成ファイルをアップロードすることで十分である。
【0027】
車両の技術的特性に関係するデータI1aとの関連において、これらは、車両の質量、牽引システムによって許容されている最大速度、牽引システム及び/又は制動システムによって許容されている最大加速度、乗員によって通常受け入れられている最大ジャーク(加速度変動)、牽引システム2のトルク及び/又は供給可能な最大パワーを通知する情報(この情報は、例えば、
図7のチャートにおいて示されているように、力/速度牽引特性によって表されている)、好ましくは、(レオスタット、機械、ガス圧、液圧タイプなどのエネルギー回復を伴う且つ/又は散逸型の制動を伴う)牽引ステップと関連する歩留まり及び制動ステップと関連する歩留まりを有するエネルギーソースと車輪の間の予測される歩留まり、という情報の少なくともいくつかを有する。また、車両に関係するデータI1aも、好ましくは、構成ファイル内において収容されている(これは、一般に、更新される必要はない)。
【0028】
データI1dとの関連において、これらは、好ましくは、空間的な許容範囲値を有しており、これは、それぞれのステージTnの到着ポイントATnの位置を近似するために、且つ、これにより、エラーがこの空間的許容範囲値を超過しない状態においてステージTnの長さをカバーするように動作するすべての解決策を受け入れるために、アルゴリズムによって使用されている。
【0029】
また、好ましくは、データI1dは、時間許容範囲値をも有しており、これは、それぞれのステージTnを終了させるためにサービスによって必要とされている時刻Onを近似するために、且つ、従って、エラーがこの時間許容範囲値を超過しない状態においてステージTnをカバーするすべての解決策を受け入れるために、方法によって使用されている。
【0030】
アルゴリズムは、車両1がそのステージTnに沿って開始又は移動している間にそれぞれのステージTnごとに最適な運転プロファイルを判定するように構成されている。
【0031】
まず第1に、ステージTnの最適な運転プロファイルについてサーチする際に、アルゴリズム(
図2のステップ102)は、到着ポイントATnの位置及び車両1の現時点の位置に基づいて更に移動を要する空間Sを算出し、且つ、到着を要する時刻Onに基づいて且つ現時点の瞬間に基づいて定時に到着するために依然として利用可能である時間インターバルDを算出している。時間インターバルDは、基礎的な時間インターバル又はステップの連続体に分割されており、即ち、これは、離散化されている。好ましくは、結果の精度を損なうことなしに計算リソースを最適化するために、方法は、
図3に示されているように、ステージTnの大部分にわたって固定されている且つ最終的な部分について、即ち、到着ポイントATnの近傍において、のみ異なる値を有する時間離散化ステップを使用している。換言すれば、時間インターバルDの離散化は、既定により、一定の時間ステップΔtと、アルゴリズムによって算出される新しい時間ステップ(Δt)と、を含む。時間ステップnew(Δt)は、(特に、上述の時間許容範囲値を考慮することにより、時刻Onにおいて到着するために)すべての基礎的時間インターバル(Δt及びnew(Δt))の合計が時間値Dに等しくなるようになっている。好ましくは、離散化及び計算は、new(Δt)に等しい基礎的な時間インターバルの数が正確に2に等しくなるように、実行されている。
【0032】
インターバルΔtの時間的な広がりは、データI1dの一部分である(アルゴリズム設定)。具体的には、これは、アルゴリズムが運転スタイルを運転者自体に示唆するための支援ツールとして使用されている場合には、運転者の反応時間に適合するように設定されている。
【0033】
インターバルΔtに加えて、アルゴリズムの設定に関係するデータI1dは、ステージTnの将来の時間インターバルのそれぞれにおける移動の際に仮定されている複数の予め確立された加速度値aj(正及び負の両方)を有する。これらの予め確立された加速度値ajは、初期(構成可能)設定によって定義されており、車両を運転している間に設定され得る加速度を表しており、且つ、数において有限であり、好ましくは、少なくとも3である。
【0034】
モーションの式によってそれぞれの将来時間インターバルを分析することにより、アルゴリズムは、車輪における加速度ajkを算出することになり、この場合に、それぞれの加速度ajkは、対応する予め確立された加速度値ajと、例えば、ルートに沿ったスロープ、ルートのカーブの曲率半径(データI1b内において予想されている又は判明している場合)、並びに、恐らくは空力学的な抵抗力などのモーションの抵抗力に起因した成分と、の合計によって定義されている
【0035】
これに加えて、方法は、加速度ajkの2つのその他の可能な値を考慮しており、具体的には、
-「クルージング」状態に対応するゼロ値(即ち、車両は、モーションに対する抵抗力についてのみ補償するためにエネルギーを消費している牽引力に起因して一定の速度において移動している)、及び、
-「惰性」状態に対応する値(即ち、牽引又は制動を伴うことなしに慣性によって移動している状態)であって、この加速度値は、そのインターバルにおいて予想されるモーションに対する抵抗力を判定し且つ等価な移動質量(車両の質量と、例えば、乗車及び下車する乗員の数をカウントすることによるなどの既知の方法によって検出又は推定され得る荷重質量の合計に等しい)によってこれらの抵抗力の値を除算することにより、それぞれの時間インターバル(Δt又はnew(Δt))ごとに、アルゴリズムによって算出されている、値、
をも考慮している。
【0036】
従って、アルゴリズムは、ステージTnのそれぞれの将来の時間インターバルにおいて車両の動作を推定又は仮定するために、少なくとも5つの可能な加速度値ajkを考慮している。具体的には、使用される加速度ajkの数は、少ない計算時間と結果の最適化の間の良好な折衷を有するように、6~10の範囲である。
【0037】
好ましくは、データI1d(空間許容範囲及び時間許容範囲値、時間ステップΔtの既定の値、数、及び予め確立された加速度値aj)は、更新され得る別の構成ファイルを通じてアルゴリズムに提供されている。
【0038】
具体的には、アルゴリズムは、点火ステップにおいて、データI1a及びI1dを受け取り且つ読み取り、且つ、(例えば、運転者によって提供される)ミッションの開始を通知する信号の存在下においてデータI1b及びI1cを受け取り且つ読み取っている。
【0039】
予備ステップとして、アルゴリズムは、時間Dが、空間Sをカバーするために十分であるかどうか、即ち、到着ポイントATnに到達するために十分であるかどうか、をチェックしている(
図2のステップ103)。具体的には、このチェックは、ミッションにおいて検出されたルート情報(データI1b)及び非静止型情報を考慮することなしに、簡単な方法で実行されている。例えば、アルゴリズムは、例えば、一定最大速度モーションプロファイル又は「三角形」又は「台形」タイプのモーションプロファイルなどの標準タイプのモーションプロファイルによって空間Sを移動した、即ち、最大許容速度に到達する時点まで最大加速度によって開始し、この状態が、恐らくは、到着の近傍まで維持され、最後に、この到着ポイントまで最大許容減速度が設定される移動である、と仮定することにより、時間Dが十分であるかどうかを算出している。
【0040】
この予備チェックが否定的な結果を有する場合には、アルゴリズムは、移動時間を極小化する、且つ、従って、遅延を制限する、運転プロファイルを生成している(ステップ104)。ステップ103におけるチェックが肯定的な結果を有する場合には、入力データは、最適な運転プロファイルを生成するように処理されている(ステップ105)。
【0041】
この処理は、上述のように、時間Dを上述のインターバルΔt及びnew(Δt)によって定義された将来のインターバル又はステップの連続体Δt1,Δt2....Δt(k),Δt(k+1)に分割するステップを伴っている。インターバルΔt(k)は、別個の且つ後続の分析インターバルに対応しており、換言すれば、アルゴリズムは、インターバルΔt(k)を次々に分析している。
【0042】
それぞれのインターバルΔt(k)ごとに、上述のように、アルゴリズムは、モーションの式を使用しており、車両の位置x(k-1)及び速度v(k-1)の値から始まって、インターバルΔt(k)の開始時点において、アルゴリズムは、上述の加速度ajkのそれぞれごとに、車両がこのインターバルΔt(k)の末尾において到達することになる仮想位置x(k)及び仮想速度v(k)を判定している。
v(k)=v(k-1)+ajk・Δt(k)
x(k)=x(k-1)+v(k-1)・Δt(k)+1/2・ajk・Δt(k)^2
【0043】
第1インターバルΔt1の開始時点における位置x0及び速度v0は、(車両1の搭載状態において提供された既知のタイプの装置によって検出された)現時点の位置及び速度に対応しており、これらの値から始まって、
図4において概略的に示されているように、上述の式により、アルゴリズムは、第1インターバルΔt1の末尾における複数の仮想エンドポイントP1(仮定された加速度aj1のそれぞれごとに1つずつ)を判定している。それぞれのポイントP1は、位置x1及び速度v1の個々の値のみならず、時間値とも関連付けられていることが明らかである。処理は、インターバルΔt(k)のそれぞれごとに同一の方法によって進行し、
図5に概略的に示されているように、アルゴリズムは、インターバルΔt2を考慮しており、且つ、後続のインターバルΔt3、Δt4などについていずれが仮想エンドポイントP2であるのかを判定するために、ポイントP1のそれぞれから始めて、且つ、加速度aj2のそれぞれごとに、モーションの式によって計算を反復している。
【0044】
換言すれば、ステップk-1において判定されたそれぞれのポイントから始まって、アルゴリズムは、加速度ajkの数に等しい数のポイントPkを生成している(いくつかのものは、初期化ステップにおいて予め確立された値を通知しており、且つ、2つは、「惰性」及び「クルージング」を保証する加速度によって定義されている)。
【0045】
それぞれのインターバルΔt(k)ごとのこの仮想的な将来ポイントPkの生成は、
図2においては、全体としてステップ106によって示されている。
【0046】
有利には、(後続のインターバルΔt(k+1)を分析する前に)それぞれのインターバルΔt(k)ごとに、エンドポイントPkを予測するためにモーションの式を使用した後に、アルゴリズムは、モーションの式中において適用されている加速度のそれぞれが、牽引システム2によって供給され得る最大力超の牽引力を必要としていないことをチェックしている。この目的のために、好ましくは、牽引システム2の力-速度特性を表すチャートが使用されている。更に詳しくは、アルゴリズムは、
-車両が加速度ajkのそれぞれごとにインターバルΔt(k)内において遭遇する抵抗力Rを算出する動作であって(ステップ107)、これを目的として、抵抗力Rを取得するための計算方法は、Davisの式に基づいた空力学的抵抗力又はVon Rocklの式に基づいた摩擦にリンクした抵抗力などのように、文献において既知であり、抵抗力Rの値は、ルートのスロープ及びカーブの効果をも含む、動作、
-加速度ajkに到達するために且つ算出された抵抗力を克服するために理論的に必要とされる牽引力Fteorを算出する動作であって、
Fteor=(me・ajk)+R
ここで、meは、等価な移動質量であり、これは、(構成ステップにおいて設定される)車両の質量と(例えば、シートベルト上のセンサ、サスペンション上において取り付けられたセンサ、人物カウンタセンサ、などによるなどのように、搭載されたセンサによって放出される信号に基づいて判定される)荷重の質量を加算することにより、算出される、動作、
-牽引力Fteorを(チャートのx軸上において、モーションの式によって算出された速度v(k)に対応する)力-速度特性によって提供される最大供給可能牽引力(Fc)と比較する動作であって(ステップ108)、Fteor>Fcである場合には、チェックされている加速度ajkによって取得されたポイントP(k)の位置x(k)及び速度v(k)の値は、無視され、好ましくは、このポイントの位置及び速度は、モーションの式において、牽引システムによって実装され得る最大加速度によって定義された補正済みの加速度値を使用して再計算される:ajk′=(Fc-R)/me、動作、
を実行している。
【0047】
本発明の一態様によれば、(後続のインターバルΔt(k+1)を処理する前に)それぞれのインターバルΔt(k)ごとに、
図2のステップ110において、アルゴリズムは、モーションの式を通じて得られたポイントP(k)のそれぞれが、例えば、ルート(データI1b)によって且つ/又は車両の特性(データI1a)によって定義された1つ又は複数の制約を充足しているかどうかを判定するように、少なくとも1つのチェック動作を実行している。チェックが否定的な結果を有する場合には、チェックされているポイントP(k)は、
図5において概略的に示されている例におけるように、納得できる仮説から除去されている(即ち、後続のインターバルΔt(k+1)を処理する際に考慮されてはいない)。
【0048】
更に詳しくは、ステップ110は、
-インターバルΔt(k)の末尾における速度v(k)が(例えば、道路の速度制限によって定義された)最大許容速度vmax超ではないかどうかのチェック、
-(可能なスロープに起因した成分を含む)加速度ajkが最大許容加速度及び/又は減速度超ではないかどうかのチェック、
-ジャーク(加速度変動)が許容最大値超ではないかどうかのチェック、
-到達した位置x(k)が以前の位置x(k-1)超であるかどうか(並びに/或いは、v(k)がゼロ超であるかどうか)のチェック
の1つ又は複数を含む。
【0049】
チェックが破棄されるには、考慮されているポイントP(k)について制約条件の1つが否定的であることで十分である。
【0050】
また、好ましくは、以前のチェックを通過したそれぞれの残りのポイントごとに、アルゴリズムは、到着ポイントATnが依然として残りの時間内において合理的に到達され得るかどうかをチェックしている。例えば、このチェックは、例えば、上述のように「三角形」又は「台形」タイプの標準モーションプロファイルを設定することにより、実行されている。この更なるチェックが否定的な結果を有する場合には、ポイントP(k)は、再度破棄されており、即ち、後続のインターバルΔt(k+1)の処理において結果的に考慮されることになる納得できるポイントのリストから除去されている。
【0051】
納得できないポイントを破棄した後に、それぞれの残りのポイントP(k)ごとに、アルゴリズムは、それが由来する特定のポイントP(k-1)から始まって、このポイントP(k)に到達するために必要とされているエネルギージャンプを算出している。
【0052】
具体的には、ポイントP(k-1)からポイントP(k)までの必要なエネルギージャンプΔEを得るために、車両が運動するために必要とされている牽引又は制動力が考慮されている。この力は、
図7のチャートから得られた最大牽引力Fcと考慮されている加速度ajkに到達するために且つインターバルΔt(k)における抵抗力R(スロープ及びカーブを含む)を克服するために必要とされている力Ftrの間の最小値である。
Ftr=MIN[(me・ajk)+R;Fc]
【0053】
例えば、「惰性」のケースにおいては、Ftr=0であり、且つ、「クルージング」のケースにおいては、Ftr=Rである。
【0054】
次いで、ΔEは、
-考慮されているインターバルにおける変位ΔSについて:ΔS=(x(k)-x(k-1))、並びに、
-(データI1aにおいて含まれている)エネルギーソースから車輪への歩留まりについて、
牽引力Ftrを乗算することにより、算出されている。
【0055】
最後に、アルゴリズムは、現時点の位置及び瞬間から始まって、それぞれの残っているポイントP(k)に到達するのに必要とされる全体エネルギー消費を算出することにより、即ち、すべての以前のインターバルΔtと関連する様々な寄与又はエネルギージャンプΔEを合計することにより、それぞれのステップkごとの動作を終了している。例えば、アルゴリズムは、車両の現時点のポイントに到達する時点まで、それぞれの残りのポイントをそれが由来する以前のポイントP(k-1)と連結し、且つ、次いで、様々な寄与ΔEを加算することにより、ポイントのそれぞれの「チェーン」又はシーケンスと関連する必要なエネルギー消費を算出している。
【0056】
それぞれのエネルギージャンプΔEの計算及び結果的に得られる全体エネルギー消費は、それぞれのインターバルΔt(k)の分析の際に実行されている。
【0057】
将来ポイントP(k)についてのサーチ及びこれらのポイントのチェック/間引きの動作は、考慮されているステージTnの到着ポイントATnに到達する時点まで、それぞれのΔtごとに反復されている。具体的には、最後の時間インターバルについてモーションの法則によって実行されている処理において、アルゴリズムは、演算負荷を大幅に増大させることなしに、最適な運転ルートを見出すための可能な解の数を拡張するために、上記の空間的且つ/又は時間的許容範囲値を適用している。
【0058】
このポイントにおいて、アルゴリズムは、ポイントのいくつかの可能なシーケンスを有しており、この場合に、それぞれのポイントは、それが由来するものと連結されており、得られたポイントのそれぞれのシーケンス又は「チェーン」は、可能な運転プロファイルG1、G2、などを定義し、これは、個々の全体エネルギー消費E1、E2、などと関連付けられている。
【0059】
最低全体エネルギー消費と関連する運転プロファイルが、最適な運転プロファイルGottとしてアルゴリズムによって選択されている。換言すれば、アルゴリズムは、利用可能な時間Dにおいて現時点の位置を考慮されているステージTnの到着ポイントAtnと接続しているすべてのもののなかから、出力において、最小エネルギー運転プロファイルを提供している。アルゴリズムは、識別されたすべての可能な運転プロファイル(G1、G2、など)のうちにおいて、リアルタイム実行と適合し得ない計算リソース及び実行時間を必要としている(即ち、「オンライン」解決策と適合していない)決定論的又は発見的最適化アルゴリズムの利用を伴うことなしに、最低エネルギーを有するものを選択していることが明らかである。例えば、本発明によれば、最適なプロファイルGottは、既知のタイプのアルゴリズムを通じて(値E1、E2、などから構成された)ベクトル/行列内の最小値についてのサーチによって選択されている。
【0060】
これに加えて、それぞれのインターバルΔt(k)におけるポイントの可能な拒絶をもたらすチェックは、生成される且つ次いで最適な運転プロファイルを確立するために相互に比較されることになる代替運転プロファイル(G1、G2、など)の数を大幅に低減する間引き動作である。
【0061】
その一方で、ステップkの任意のものにおいて(即ち、インターバルΔt(k)の任意のものについて)データを処理することにより、ポイントが上述の間引きチェックの後に残っていない場合には、最適なプロファイルを見出すための処理(ステップ105)は停止し、且つ、アルゴリズムは、(図示されてはいない方式で)ステップ104に直接的に進み、アルゴリズムは、確立された時間との関係における遅延を制限するように試みるために、例えば、上述のように「三角形」又は「台形」タイプの標準モーションプロファイルを有する最小時間運転プロファイルを提案している。
【0062】
チェックにおいて考慮されるべき速度制限vmaxとの関連において、アルゴリズムは、構成ファイル内において収容されている値に基づいて、のみならず、時間に伴って変化する入力データに基づいて、特に、信号機シグナリングブロック(利用可能である際)によって且つ/又は搭載状態において提供されたADAS(Adbanced Driver Assistance System)(利用可能である際)によって提供された検出及び/又は信号に基づいて、最大速度値をリアルタイムで判定することができる。具体的には、アルゴリズムは、(データI1aのうちに含まれている)ルートに関係する静止型タイプの速度制限、「交通標識認識」又は「速度限度標識認識」と呼称されるシステムを通じたADASによって識別された速度制限、「自律型緊急制動システム」又は「緊急制動アシスト」と呼称されるシステムを通じてADASによって識別された速度制限、及び信号機シグナリング/優先権付与システムによって確立された速度限度、というものの最小値によって定義された最大速度値を適用している。
【0063】
好ましくは、ADASが障害物の存在下において将来の停止又は減速を予測した場合には、或いは、信号機優先権付与システムが赤の信号機との遭遇を予測した場合には、アルゴリズムは、ゼロ速度における新しい偽の停止点又は経路に沿った新しい速度制限を導入し、次いで、アルゴリズムは、ADAS及び/又は信号機優先権付与システムによってリアルタイムにおいて提供された通知を考慮することにより、移動を要する残りのセクション用の最適な運転プロファイルを再計算している。
【0064】
ステップ105において処理及び選択された最適な運転プロファイルGott(或いは、ステップ104において得られた最小時間運転プロファイル)は、このような運転プロファイルを正確に充足することができるように、設定を要する且つ/又は車両1上において到達を要する速度、加速度、パワー、などを通知する信号を判定するために使用され得る結果を定義している。上述のように、アルゴリズムによって取得された結果は、エネルギー節約を許容する(且つ、ステージTnの到着ポイントATnにおいて定時に到達するための)運転スタイルについて示唆を運転者に提供するために使用することができる。換言すれば、アルゴリズムの結果は、運転支援システムとして使用することが可能であり、運転の示唆は、ヒューマンマシンインターフェイスと呼称されるインターフェイス装置上において表示されている。例えば、このような示唆は、アルゴリズムによって選択された運転プロファイルを得るために、設定を要する加速度又はコマンドレベル並びに/或いは到達及び維持を要する速度を有する。
【0065】
また、好ましくは、アルゴリズムは、車両が実際に最適な運転プロファイルGottに追随しているかどうか、即ち、運転者が自身に付与された示唆に追随しているかどうか、のチェック(ステップ112)を実行している。具体的には、このチェックは、例えば、搭載状態において配置されたGPSブロック、走行距離計、及び/又は速度計によって検出された車両の実際の位置(ステップ111)と運転者に運転示唆を提供するために使用された最適な運転プロファイルGottに基づいた予測位置の間の比較に基づいている。チェックが否定的な結果を有する場合には(即ち、最適な運転プロファイルGott内においてアルゴリズムが予測したものとの関係における車両の振る舞いの間にステップ101において構成ファイル内において定義されている閾値超の逸脱が認識された場合には)、アルゴリズムは、更なる移動を要する空間S、残りの移動時間D、並びに、従って、新しい最適な運転プロファイルを再計算している。
【0066】
図8において概略的に示されているように、最適な運転プロファイルGottを取得するために、アルゴリズムは、車両1上において設置されている特定の数のセンサ及び/又はシステムから到来する情報を統合している。情報は、通常、道路車両の場合には「車両制御ユニット(VCU)」と呼称される又はレール車両の場合には「トレーン制御&管理システム(TCMS)」と呼称される制御ユニットによって仲介されており、このユニットは、搭載センサと会話し且つ車両を管理している。また、アルゴリズムの結果が自動運転システムによって使用されている場合には、VCU/TCMSは、この結果の受領者であり、且つ、牽引システム用のコマンドを判定した後に、その実装の責任を担うことになる。
【0067】
以下、以上において示されているアルゴリズム用のデータフローを部分的に辿ることにより、
図8に示されている制御システム又はアーキテクチャの個々のブロックについて説明する。
【0068】
A.「事前処理構成データ」ブロック
これは、構成ファイルから到来するデータの事前処理及び最適な運転プロファイルGottを生成するアルゴリズムへのその提供を実行している。
【0069】
具体的には、これらのファイルは、以下のように編成されている。
-サービスに関係するデータI1c
〇ルート
〇停止点のシーケンス
〇2つの後続の停止点の間において空間を移動するのに必要とされる時間(セクション)
-ルートに関係するデータI1b
〇高度プロファイル及び曲率半径
〇速度限度
〇ゲージ(提供され且つ/又は既知である場合)
-車両設計特性に関係するデータI1a
〇質量
〇機械的摩擦係数
〇牽引特性
〇制動及び牽引性能
〇車輪直径
〇ピン直径(提供され且つ又は既知である場合)
〇ピン-ベアリング摩擦係数
〇車輪-レール摩擦係数(提供され且つ既知である場合)
-アルゴリズムの構成に関係するデータI1d
〇最大加速度
〇最大減速度
〇既定のインターバル寸法Δt
〇運転プロファイルの再計算のための予測位置とGPS位置の間の最大誤差閾値
〇加速度(aj)の数及び値
【0070】
この「事前処理」ブロックの機能は、構成ファイルのデータを取得し、これらを事前処理し、且つ、ブロックの初期化を提供するというものであり、次いで、このブロックが、プロファイルGottの生成の責任を担っている。
【0071】
第1の動作として、ステージの末尾に到達するために利用可能な時間Dが、上述のように、整数のインターバルΔtに分割されている。これらのインターバルの寸法は、(例えば、運転者の反応時間に適合するように)ユーザーによって選択されている。
【0072】
これに加えて、モーションに対する内部抵抗力を算出するために、可動部品の間の摩擦係数及び機械部品の幾何学的特性も使用されている。
【0073】
B.「エコ-運転プロファイル生成」ブロック
これは、最小エネルギーによる最適運転プロファイルGottの計算に専用の処理ブロックである。
【0074】
このブロックは、以下の入力データを受け取っている。
-時間インターバルのベクトル
-加速度のベクトル(ajk)
-等価質量(me)
-到達時間
-モーションに対する抵抗力
-牽引特性
【0075】
これは、出力において、上述のアルゴリズムによって選択された運転プロファイルを提供している。上述したものを合計することにより、このブロックは、すべての可能な納得できる将来ポイントを算出するために均一に加速されたモーションの式を適用しており、このそれぞれは、特に、分析された時間インターバルにおいて且つ考慮されている加速度のそれぞれのごとに判定された空間、速度、機械及び電気パワー、並びに、エネルギーの値によってマーキングされており、更には、ポイントを集約する且つこれを可能な将来ルートのルートとする前に、このブロックは、すべての制約が充足されていることをチェックしている(上述のように、この間引き動作は、計算時間の大きな低減を許容し、これにより、アルゴリズムをリアルタイム化している、即ち、運転者の反応時間に適合した時間において実行されている)。課され得る制約との関連においては、上述のものを参照されたい。ポイントは、上述の制約の1つと準拠していない際にも除去されている。
【0076】
言及されているように、この動作は、可能な限り多くの数のポイントを除去するために、それぞれの時間インターバルの分析において反復されている。
【0077】
すべての時間インターバルの分析の末尾において、それぞれの可能な運転プロファイルは、個々のインターバルのすべての部分的エネルギー(ΔE)の合計として得られた全体エネルギー値(E)によって特徴付けられており、このブロックは、すべての可能な運転プロファイルのうちから、最低エネルギー値と関連する運転プロファイルを選択している。
【0078】
C.「TCMS/VCU」ブロック
これは、(例えば、CANシリアルバスを介して)車両上の装置及びセンサを管理及び監視している車両制御ユニット、VCU、又はTCMSを識別している。具体的には、このブロックは、以下の入力データを受け取っている。
-走行距離計データ
-速度計データ
-運転者によって操作されているコマンドレバーの位置に関係するデータ
-ADASによって提供されたデータ
【0079】
走行距離計によって提供される速度及び空間データは、GPSブロックによって提供されたものに照らした実際の位置及び速度値のダブルチェックを許容しており、且つ、任意のエラー状態を弁別している。その一方で、コマンドレバーの位置は、(予め取得された運転プロファイルに基づいて確立された)速度ターゲット又は設定点への到達における失敗を予測するように且つ必要とされているコマンド、並びに、従って、牽引力を提供するように運転者を促すように、運転者のアクションが監視されることを許容している。
【0080】
最後に、ADASから到来するデータは、既知の且つ詳述されてはいない方法で、障害物の存在を予測するために且つ移動の際の車両の外側における道路標識を認識するために、使用されている。
【0081】
D.「GPS-TCMS/VCM事前処理」ブロック
これは、この最適運転プロファイルが実際に遵守されていることをチェックするために、最適運転プロファイルから得られた理論的位置及び速度値をGPSブロック及びTCMS/VCMブロックによって提供された実際の値と比較するタスクを有する。
【0082】
これは、GPSによって検出された位置及び速度及び走行距離計によって検出された空間及び速度を受け取るために、TCMS/VCUブロック及びGPSブロックと通信している。
【0083】
このブロックは、それぞれの時間インターバルΔtにおける最適運転プロファイルGottをGPSブロックから且つTCMS/VCUブロックから到来する現時点の空間及び速度値と比較している。(例えば、GPS値とTCMS/VCUブロックによって提供された値の間の平均によって定義された)現時点の値が運転プロファイルの理論的値とマッチングしていない場合には、好ましくは、運転者は、まず、示唆されている速度ターゲットが遵守されていないと警告される。逸脱が持続した場合には、最適速度プロファイルが、実際に残っている時間及び空間値から再計算されている。
【0084】
E.「HMI」ブロック(ヒューマンマシンインターフェイス)
これは、運転者なしモードにおける自動運転車両ではないケースにおいて、最適運転プロファイルに準拠した運転スタイルをサポートするために運転者に有用な示唆を伝達するというタスクを有する。これは、入力として、現時点の位置及び速度データと共にこの運転プロファイル(GPSブロックのデータとTCMS/VCUブロックによって提供されたデータの間においてフィルタリングされた組合せ)を受け取っている。情報は、グラフィックインターフェイス上において出力として報告され、且つ、具体的には、コマンドレバー又は車両のアクセルペダルを動作させることにより、到達を要する設定点又は速度ターゲットにより且つ/又は設定を要する加速度により、定義されている。HMI上において、ターゲットは、示唆されている運転プロファイルが正しく踏襲されているかどうかに関する情報を常に提供するように、連続的に更新されている。
【0085】
グラフィカルインターフェイスは、具体的には、以下の情報を示している。
-後続の停止点(ATn)に到達する前に更に移動しなければならない空間、
-速度計、
-全体ラインとの関係における現時点の位置のグラフィカルな追跡
【0086】
好ましくは、HMIブロックは、運転者が、ミッション、即ち、サービス及び移動を要するライン、を選択することを許容している。手動による選択の後に、HMIブロックは、構成ファイル内のデータI1b及びI1cに従ってアルゴリズムを再初期化している。
【0087】
F.「信号機優先権付与」ブロック
このブロックに起因して、車両の通過を信号機の状態と同期化させることが可能である。この状態に関係する情報は、外部の信号機管理サービス又はシステムによって車両に送信されており、具体的には、このブロックは、
-信号機の信号の現時点の状態(緑、赤、など)、
-現時点の状態が変更されるまでの残りの時間、
-(ステージの持続時間に少なくとも等しい時間をカバーしている)信号機の信号の後続の状態の滞留時間、
に関係する情報を受け取っている。
【0088】
信号機優先権付与ブロックは、この情報をエコ-運転プロファイル生成ブロックに送信しており、エコ-運転プロファイル生成ブロックが、遵守を要する最適運転プロファイルを再計算している。
【0089】
換言すれば、この情報は、赤信号の場合には定時において停止するように、或いは、依然として緑の状態を見出すために定時において信号機の信号に到達するために適切な速度において運転を継続するように、設定を要する速度を予測するために、リアルタイムで、アルゴリズムによって使用されている、
【0090】
詳しくは、エコ-運転プロファイル生成ブロックは、信号機優先権付与ブロックとやり取りしており、且つ、その瞬間において識別された運転プロファイルにより、進め(緑)状態にある間に次の信号機に到達するかどうかをチェックしている。チェックが否定的な結果を有する(否定された方法状態、即ち、赤、になっている際に信号機に到達することになる)場合には、アルゴリズムは、信号機において偽の停止点を導入し(実際には、新しいステージを形成し)、且つ、この新しい偽の停止点を考慮することにより、最適な運転プロファイルを再計算し、これが、ラインサービスにおいて提供されたものに追加されている。
【0091】
また、好ましくは、アルゴリズムは、限られた速度の増大により、車両を停止させることなしに緑の信号機に伴う安全な通過を保証するように、(構成ファイル内においてこちらも通知されている)十分な時間リザーブを伴って信号機に到達するように試みることが可能であるかどうかをもチェックしている。
【0092】
要すれば、信号機優先権付与ブロックによって提供された情報(信号機の現時点の状態、状態の変化に先行する時間、及び一般には変化しないそれぞれの状態の時間スケジュール)を事前処理ブロックから到来するもの(信号機との関係における車両の位置)と組み合わせることにより、緑の状態にある際に信号機に到達するために必要とされる時間が算出されている。上述のアルゴリズムは、このデータを受け取り、且つ、緑の信号機に到達するための最適な運転プロファイルを算出するように、これを使用している。
【0093】
具体的には、出発において既知である信号機情報と信号機の近傍において取得される情報という2つの状況が弁別され得る。
【0094】
1)出発において既知であるトラフィック情報
信号機インフラストラクチャは、出力として、以下を提供している。
-緑又は赤であり得る信号機の現時点の状態(light_state)
-現時点の状態における滞留時間(Tleft)
-信号機が赤の状態にある時間インターバル(Tred)
-信号機が緑の状態にある時間インターバル(Tgreen)
【0095】
最初の2つのデータは、リアルタイム計算が実施され得るように、車両の出発との関連において提供しなければならない。また、最後の2つは、オフラインで、即ち、それぞれの特定の交差点と関連する且つ構成ファイル内において挿入された定数として提供することができる。
【0096】
緑の状態において次の信号機に到達するために利用可能な時間を算出するために、且つ、現時点の状態が緑である場合には、これは、以下のように合計されている。
-現時点の緑の状態のために残された滞留時間(Tleft)
-信号機が赤の状態にある時間インターバル(Tred)、及び、
-信号機が緑の状態にある時間インターバルの半分(Tgreen/2)
【0097】
即ち、次式のとおりである。
Ttrafficlight=Tleft+Tred+Tgreen/2
【0098】
Tgreen/2という項は、事前の且つ緑のインターバルの背後の時間マージンを保証している。
【0099】
エコ-運転プロファイル生成ブロックにTrafficlight時間を供給することにより、アルゴリズムは、Trafficlight時間が、車両の現時点の場所と次の信号機の間の距離を移動するのに十分であるかどうかを評価している。
【0100】
これが可能ではない場合には、緑/赤スイッチングサイクルを加算することにより、次の緑の信号機に到達するために利用可能である新しいTrafficlight時間が再計算され、
Ttrafficlight=Tleft+Tred+Tgreen+Tred+Tgreen/2
この場合にも、Ttrafficlight時間は、エコ-運転プロファイル生成ブロックに提供されており、この場合にも、エコ-運転プロファイル生成ブロックが、Ttrafficlight時間が、車両が次の信号機に到達するために十分なものであるかどうかをチェックしている。手順は、肯定的な結果が得られる時点まで継続している。
【0101】
手順は、次の信号機の現時点の状態が赤である場合に、類似しており、実際に、以下を算出することができる。
Ttrafficlight=Tleft+Tgreen+Tred+Tgreen/2
【0102】
以前の手順から得られたTtrafficlight時間は、可能な偽の中間停止点の到達時間として使用されている。信号機状態が赤になるという情報を優先権付与システムが有する場合には、速度が単純に信号機においてゼロに設定されることになり、その理由は、到着の際に車両が必然的に信号機において停止しなければならなくなるからである。再開の際に、アルゴリズムは、ステージの末尾に到達するための残りの利用可能な時間Dを再計算することになり、且つ、最適な運転プロファイルを再計算することになる。
【0103】
2)信号機インフラストラクチャの近傍において取得される情報
信号機インフラストラクチャによって送信されるデータに基づいて、以下のデータが判明する。
-次の信号機と車両の間の相対距離
-現時点の信号機の状態(赤又は緑)
-現時点の状態の滞留時間
-信号機の状態の持続時間(この情報も構成ファイル内において既に存在し得る)
【0104】
現時点の最適な運転プロファイルについてチェックが実施され、車両が、現時点の運転プロファイルを踏襲することにより、緑の状態において信号機に遭遇することになると予測された場合には、運転プロファイルは、補正を伴うことなしに維持され、且つ、依然として有効であるものと見なされる(具体的には、車両は、黄色の状態に留まっている時間によって表される安全性マージンを有する)。
【0105】
その一方で、車両が、現時点の運転プロファイルを踏襲することにより、赤の状態において信号機に遭遇することになると予測された場合には、運転プロファイルが再算出されている。
【0106】
再計算のために、3つのケースが弁別され得る。
1.車両が、現時点の運転プロファイルを踏襲することにより、赤の状態において信号機に遭遇することになると予測された場合には、赤の状態の滞留時間の第1部分において(例えば、赤の状態の滞留時間の最初の3分の1において)、運転プロファイルは、赤の状態との遭遇を回避するように適合された更なる加速度を設定することにより、再計算される。
2.車両が、現時点の運転プロファイルを踏襲することにより、赤の状態の滞留時間の最後の部分(例えば、赤状態の滞留時間の最後の3分の1)において赤の状態において信号機に遭遇することになると予測された場合には、運転プロファイルは、後続の緑の状態において信号機と遭遇することを許容することになる更なる減速度を設定することにより、再計算される。
3.車両が、現時点の運転プロファイルを踏襲することにより、赤の状態における滞留時間の中間部分において(例えば、赤の状態の滞留時間の1/3と2/3の間のインターバルにおいて)信号機に遭遇することになると予測された場合には、運転プロファイルは、以下のモードの少なくとも1つに従って再計算される。
a.新しい偽の停止点が信号機のポイントにおいて課され、且つ、信号機に到達する時点まで踏襲を要する新しい運転プロファイルが再計算され、新しい偽の停止点からサービスによって確立された次の停止点までの空間は、新しいステージとして見なされ、この場合に、最適な運転プロファイルは、正常に算出される。
b.後続の緑の状態において信号機に遭遇することを許容する減速度が課される。
c.以前の緑の状態において信号機に遭遇することを許容する加速度が課される。
【0107】
好ましくは、これらの再計算モードのすべてが実行され、且つ、エネルギー節約の観点において最良のものを選択するために、3つのモードに従って再計算された運転プロファイルが相互に比較されている。この結果、最適な運転プロファイルは、3つのうちで最良に振る舞うことになる。
【0108】
但し、
図8に示されているアーキテクチャに対する一代替肢として、例えば、入力データが、その使用を必要としているブロックに適切にソートされる前に、フロントエンドプロセッサによって管理及び処理されているアーキテクチャなどのその他の解決策も可能である。
【0109】
以上から、最適な運転プロファイルを判定するように実装された方法の利点が明らかである。
【0110】
具体的には、アルゴリズムは、最小エネルギー消費を伴って割り当てられた時間において定義された場所に到達するために、運転の間に瞬間ごとに使用を要するパワーを通知するリアルタイム信号を提供している。アルゴリズムは、車両、ルート及びサービス特性のいずれをも考慮している。また、好ましくは、搭載されたADASから到来する情報(例えば、障害物検出システムから到来する情報)のみならず、信号機優先権付与ブロックから到来する情報も考慮されている。
【0111】
以上において詳述したように、方法は、例えば、モーションの式の処理において仮定された加速度の離散化に起因し、且つ、分析されたそれぞれのインターバルΔtにおいて納得できないポイントを破棄するためのチェックに起因して、計算速度と結果精度の間の優れた折衷を提示している。
【0112】
更には、運転プロファイルが、加速度ステップ、クルージングステップ、及び惰性減速度ステップから構成された厳格に順序付けられたシーケンスから構成されている既知の解決策との比較において、提案されている方法は、仮定された加速度(ajk)の組成及び順序において制約を有しておらず、実際に、アルゴリズムは、必要に応じて、場合によっては更にはっきりと表現された運転プロファイルを見出すことを許容している。実際に、それぞれのインターバルΔtにおいて、アルゴリズムは、(構成ステップにおいて設定された値ajに基づいて判定される)加速度ajkの任意のものを選択することができる。
【0113】
最後に、以上の内容から、添付の請求項において定義されている本発明の保護の範囲に含まれる添付の図を参照して上述した方法及び制御システムに対して変更及び変形が実施され得ることが明らかである。
【0114】
具体的には、いくつかの情報は、アルゴリズムを単純化するように無視することが可能であり、例えば、ルートのスロープは、車両による移動を要するミッションが基本的にフラットである場合には、モーションの式において加速度を設定する際に且つそれぞれのインターバルΔtにおいて必要とされているエネルギーを算出する際に無視することができよう。また、ルートのカーブに関係する抵抗力は、ルートが相対的に大きな半径(例えば、200m超)のカーブを有する場合には、モーションの式において加速度(ajk)を算出する際に且つそれぞれのインターバルΔtにおいてエネルギーを算出する際に無視することができよう。又、空力学的抵抗力も、大部分の都市ルートにおけるケースと同様に速度が50~55km/hである場合には無視することができよう。
【外国語明細書】