(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159255
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】容量及び動態が増強された水分スイングCO2吸着剤
(51)【国際特許分類】
B01J 20/26 20060101AFI20221006BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20221006BHJP
B01J 20/34 20060101ALI20221006BHJP
B01D 53/04 20060101ALI20221006BHJP
C08F 293/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B01J20/26 A
B01J20/28 Z
B01J20/34 H
B01D53/04 220
B01D53/04 230
B01J20/34 G
C08F293/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】32
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022061749
(22)【出願日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】63/170,008
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/688,508
(32)【優先日】2022-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・マシュー・メックラー
(72)【発明者】
【氏名】マハティ・チンタパリ
【テーマコード(参考)】
4D012
4G066
4J026
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012CA03
4D012CD02
4D012CD08
4D012CG01
4D012CG05
4G066AC12B
4G066AC13B
4G066AC14B
4G066AC15B
4G066AC17B
4G066AC33B
4G066AC35B
4G066BA09
4G066BA23
4G066BA26
4G066CA35
4G066FA37
4G066GA01
4G066GA06
4G066GA11
4J026HA06
4J026HA10
4J026HA11
4J026HA20
4J026HA29
4J026HA39
4J026HA48
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高い表面積及び改善された細孔特性を有する水分スイング吸着剤、並びにCO
2を捕捉する方法を提供する。
【解決手段】多孔質架橋ポリマーネットワークと、架橋ポリマーネットワーク中の四級アンモニウムイオンと、水酸化物又は水との反応時に水酸化物を形成することができる対イオンのうちの少なくとも1つである、架橋ポリマーネットワーク中の少なくとも1つの対イオンと、を有する、組成物。多孔質材料を生成する方法は、水酸化物又は水との反応時に水酸化物を形成することができる対イオンのうちの少なくとも1つの存在下で、制御重合及びイオン交換を使用して、四級アンモニウム及び架橋剤を含有する化合物を重合することを含む。CO
2を捕捉する方法は、CO
2を吸着する環境において多孔質架橋ポリマーネットワーク中に四級アンモニウムイオンを含む吸着剤を用いることを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
多孔質架橋ポリマーネットワークと、
前記架橋ポリマーネットワーク中の四級アンモニウムイオンと、
水酸化物又は水との反応時に水酸化物を形成することができる対イオンのうちの少なくとも1つである、前記架橋ポリマーネットワーク中の少なくとも1つの対イオンと、を含む、組成物。
【請求項2】
水酸化物を形成することができる前記架橋ポリマーネットワーク中の前記少なくとも1つの対イオンが、重炭酸塩、炭酸塩、リン酸塩、リン酸水素、又はリン酸二水素のうちの1つである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記多孔質架橋ポリマーネットワークが、制御ラジカル重合からの残留化学部分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
制御ラジカル重合の前記残留化学部分が、ニトロキシド、連鎖移動剤、チオール、TEMPO-OH、アルコキシアミンの分解に由来するニトロキシド種、4-ヒドロキシ-TEMPO、TEMPO誘導体、TIPNO、TIPNO誘導体、クロロベンジル-TIPNO、SG1、SG1、チオカルボニルチオ化合物、キサンタート、トリチオカーボネート、ジチオエステル、ジチオカルバメート、ジチオベンゾエート、ATRPに使用される金属触媒、銅、及び鉄のうちの少なくとも1つから形成される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記多孔質架橋ポリマーネットワークが、少なくとも1つの追加のモノマーの残基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの追加のモノマーの前記残基が、スチレン、スチレン化合物、n-ビニルピロリドン、酢酸ビニル、塩化ビニル、メタクリレート、アクリレート、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、メチルアクリレート、エチレン、プロピレン、ジメチルシロキサン、フッ素化ビニル、アクリル、又はメタクリル化合物、ヘキサ-イソ-フルオロイソプロピルメタクリレート、ヘキサ-イソ-フルオロイソプロピルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、及び1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレートのうちの少なくとも1つから形成される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの追加のモノマーの前記残基が、フッ素化基又は脂肪族基のうちの少なくとも1つを含有する疎水性モノマーを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記四級アンモニウムイオンが、ジアリルジメチルアンモニウム。トリメチルアンモニウムイオン、2-(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム、2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム、3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウム、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム、又はトリメチル-アンモニウム官能性モノマーの重合からもたらされる部分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、架橋剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記架橋剤が、ジビニルベンゼン、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、メチル、エチルプロピル、イソプロピル、トリ、テトラ、ペンタ、又はヘキサ-アクリレート及びメタクリレートを含む群、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ-/ヘキサ-アクリレート、トリメタクリルアダマンタン、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパントリメタクリレート、フェニレンジメタクリレート、フェニレンジアクリレート、並びにペルフルオロヘキサンジオールジアクリレートからなる群から選択される1つである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記架橋剤が、疎水性であり、フッ素化基又は脂肪族基のうちの少なくとも1つを含有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記架橋ポリマーネットワークが、エアロゲルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
吸着剤の前記エアロゲルが、粉末、構造化モノリス、自己支持構造のうちの1つを含み得るか、又は別個の構造材料を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、100m2/gを超える、200m2/gを超える、又は500m2/gを超える表面積を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、2~50nmの平均細孔直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物中の前記四級アンモニウム基の質量分率が、5%~90%、20%~70%、50%~70%、又は50%~90%の範囲を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記四級アンモニウムイオンの少なくとも80パーセントが、少なくとも1つの他の四級アンモニウムイオンに直接結合している、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記架橋ポリマーネットワーク中の前記四級アンモニウムイオンが、前記モノマーが塩化物イオン交換形態である場合に、200g/mol未満の分子量を有するモノマーに由来する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
多孔質材料を生成する方法であって、
制御重合を使用して、四級アンモニウム及び架橋剤を含有する化合物を重合することと、
水酸化物又は水との反応時に水酸化物を形成することができる対イオンのうちの少なくとも1つの存在下でイオン交換を実行することと、を含む、方法。
【請求項20】
水と反応して水酸化物を生成することができる前記架橋ポリマーネットワーク中の前記対イオンが、重炭酸塩、炭酸塩、リン酸塩、リン酸水素、又はリン酸二水素のうちの1つである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記架橋剤が、四級アンモニウム基を含有する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記化合物が、少なくとも1つの追加のモノマーの残基を含有する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの追加のモノマーの前記残基が、スチレン、スチレン化合物、n-ビニルピロリドン、酢酸ビニル、塩化ビニル、メタクリレート、アクリレート、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、メチルアクリレート、エチレン、プロピレン、ジメチルシロキサン、フッ素化化合物、ヘキサ-イソ-フルオロイソプロピルメタクリレート、ヘキサ-イソ-フルオロイソプロピルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、及び1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレートのうちの少なくとも1つを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記制御重合が、安定フリーラジカル重合(SFRP)、原子移動ラジカル重合、ニトロキシド媒介重合、可逆的付加-開裂連鎖移動重合、及び逐次重合のうちの1つを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記SFRPプロセスが、前記四級アンモニウム含有モノマー、架橋剤、及び任意選択の他のモノマーを溶媒中に溶解して、開始剤、ニトロキシド媒介剤、及び任意選択の還元剤を有する前駆体溶液を形成することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記制御重合が、アセトール、ジクミルペルオキシド、又はtertブチルペルオキシドのうちの1つ以上の添加を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
最初に四級アンモニウム含有モノマーを一緒に反応させて四級アンモニウム含有オリゴマーを形成することを更に含む、請求項19に記載の方法、そして次に前記架橋剤及び任意の追加のモノマーを反応させて、前記四級アンモニウム含有オリゴマー残基を含有するポリマーゲルを形成する。
【請求項28】
前記四級アンモニウム含有オリゴマー残基が、2~10の四級アンモニウム含有モノマー単位の長さである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
CO2を捕捉する方法であって、CO2を吸着する環境において多孔質架橋ポリマーネットワーク中に四級アンモニウムイオンを含む吸着剤を用いることを含む、方法。
【請求項30】
吸着が、周囲条件のうちの1つにおいて、又は活性水分除去で生じる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
CO2を前記吸着剤から脱着することを更に含み、脱着が、水蒸気の添加、霧の添加、ミストの添加、又は液体水の添加のうちの1つによって生じる、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
脱着が、吸着よりも高い能動的に制御された温度で生じる、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年4月2日に出願された米国仮出願第63/170,008号に対する優先権及びその利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、水分スイング吸着剤、より具体的には、高い表面積及び改善された細孔特性を有する水分スイング吸着剤に関する。
【背景技術】
【0003】
既存の直接空気二酸化炭素(CO2)捕捉プロセスは、1トンのCO2当たり100~1000ドルの範囲の高コストにより、かつ170~570kJ/molのCO2の高エネルギー消費により、採用が限定されている。これは、第2法則効率に対応し、システムの実際の捕捉エネルギーと最小可能捕捉エネルギーとの比較は、4~12パーセントの範囲である。1つの種類の直接空気捕捉は、典型的には液体又は固体の化学又は物理吸着剤を使用する温度スイング吸着(temperature swing adsorption、TSA)プロセスの使用を伴う。
【0004】
これらのプロセスは、希釈周囲濃度でのCO2捕捉のための第2法則効率及びプロセスコストを限定するいくつかの基本的な制限を有する。60kJ/molのCO2を超える、400ppmでの選択的CO2取り込みに必要な高い吸着熱は、大きな温度スイングを必要とする。寄生的な顕熱負荷により、大きな温度スイングが非効率的になる。CO2と水との間の競合吸着のために、追加の制限が生じる。中性アミン吸着剤も、酸化劣化を被る。
【0005】
水分スイング吸着は、TSAの制限を克服する直接空気捕捉(direct air capture、DAC)のための1つのアプローチを表す。MSAは、典型的には、四級アンモニウム(quaternary ammonium、qAm)を有する固体吸着剤を用いる。四級アンモニウムは、四級アミンとも呼ばれ得る。非ヒンダードアミンを有するTSA吸着剤と比較して、MSA吸着剤は、より低い温度で動作し、MSAのqAm吸着剤は、より長い寿命及びより良好な耐酸化性を有する。しかしながら、市販のMSA吸着剤は、ゆっくりした物質移動動態を引き起こす1m2/g未満の小さな比表面積を被る。これらの吸着剤は、ポリマーと空気との界面から離れて埋め込まれたqAm基を有し、容量利用が低くなる。改善された細孔特性を有するMSA吸着剤は、より速いサイクル時間及びより高いアクセス可能な容量を示し得るが、これらを大規模に合成するアプローチはない。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に示される態様によると、多孔質架橋ポリマーネットワークと、架橋ポリマーネットワーク中の四級アンモニウムイオンと、水酸化物又は水との反応時に水酸化物を形成することができる対イオンのうちの少なくとも1つである、架橋ポリマーネットワーク中の少なくとも1つの対イオンと、を有する組成物が提供される。
【0007】
本明細書に示される態様によると、水酸化物又は水との反応時に水酸化物を形成することができる対イオンのうちの少なくとも1つの存在下で、制御重合及びイオン交換を使用して、四級アンモニウム及び架橋剤を含有する化合物を重合することを含む、多孔質材料を生成する方法が提供される。
【0008】
本明細書に示される態様によると、CO2を吸着する環境において多孔質架橋ポリマーネットワーク中に四級アンモニウムイオンを含む吸着剤を用いることを含む、CO2を捕捉する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【0010】
【0011】
【
図3】安定フリーラジカル重合プロセスのフローチャートを示す。
【0012】
【
図4】MSAエアロゲルを形成するためのプロセスの変形のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書の実施形態は、寿命CO2捕捉容量における重要な実現技術の進歩により、最新の水分スイング吸着(moisture swing adsorption、MSA)吸着剤に対する破壊的性能を有する。寿命CO2捕捉容量は、MSAシステムの性能を促進する容量、サイクル速度、及び寿命の合成関数である。実施形態のMSA吸着剤の構造は、表面積の大幅な増加により、物質移動障壁を本質的に低減する。メソ孔サイズによって、急速なガス輸送が可能になる。実施形態のMSA吸着剤は、合成後修飾によって生成された他のqAm(四級アンモニウム)吸着剤よりも良好な劣化耐性を有する。実施形態は、ポリマー骨格に共有結合的に組み込まれたqAm基を有する。
【0014】
実施形態の新規性は、用いられる制御重合合成方法からもたらされる。エアロゲルの制御重合によって、高表面積、小細孔壁、及びメソ孔性を含む、炭素捕捉に最適な構造的特性が可能になる。加えて、ポリマーゲル中の異なるモノマー残基の配置を意図的に設計することができ、活性qAm基をブロック内に一緒に置くことが可能になり、2つのqAm基がCO2を脱着するために近接している必要があるため、この配置は容量を改善する。qAm基の間隔は、選択された比率でコモノマー又は架橋剤を有するqAmのセグメントを予備重合することによって調節されて、qAm基の制御された平均間隔を有するブロックを達成することもできる。この配置も、特に異なる周囲収着及び脱着条件下で容量を改善する。
【0015】
実施形態は、PARCエアロゲル合成技術、エアロゲル吸着剤の作製方法、及びエアロゲル吸着剤を利用する炭素捕捉モジュール/システムを使用して生成された新規のエアロゲル吸着剤に及ぶ。一実施形態は、CO2を吸着する環境において多孔質架橋ポリマーネットワーク中に四級アンモニウムイオンを含む吸着剤を用いることを含む、CO2を捕捉する方法である。吸着は、周囲条件のうちの1つにおいて、又は活性水若しくは水蒸気除去で生じ得る。実施形態は、CO2を吸着剤から脱着することを含み得、脱着は、水蒸気の添加、霧の添加、ミストの添加、又は液体水の添加のうちの1つによって生じる。更に、脱着は、吸着よりも高い能動的に制御された温度で生じ得る。プロセスで使用される吸着剤は、本出願における材料の説明によって更に特定され得る。
【0016】
図1は、一般的なMSAプロセスの図を示す。Aにおいて、プロセスは、装填されていない湿潤吸着剤で開始する。吸着剤が乾燥し、H
2Oが蒸発すると、吸着剤は、BにおいてCO
2を吸着し
、重炭酸塩として安定化される。吸着剤がCにおいて乾燥して装填されると、プロセスは一般に、吸着剤を排気体積に移す。次に、吸着剤を湿潤させ、CO
2は、Dにおいて吸着剤から脱着する。
【0017】
より詳細には、qAm基を使用するMSAプロセスでは、2つのqAm基に結合した炭酸イオン(CO3
2-)が、吸着水によって安定化される。CO2吸着は、吸着剤が約20~50%の相対湿度(relative humidity、RH)などの周囲条件において20℃又はその前後の温度で自然に乾燥するときに生じる。他の温度は、例えば、0~20℃、0~80℃、0~70℃、0~40℃、15~40℃、15~30℃の温度、又はこれらの範囲の任意の部分集合若しくは組み合わせの範囲であり得、圧力は、0.04kPaのCO2、0.5kPaのH2O、及び100kPaの空気の範囲であり得る。プロセスは、周囲温度で、又は能動的に制御された温度で行うことができる。プロセスは、周囲湿度で、又は能動的に制御された湿度で行うことができる。乾燥は、反応CO3
2-+H2O(吸着)→HCO3
-+OH-における炭酸塩の脱安定化と、反応OH-+CO2(g)→HCO3
-におけるCO2の吸着とを引き起こす。
【0018】
乾燥時に、HCO3
-の水和殻がCO3
2-の水和殻よりも小さくなるときに、吸着水に正味の減少がある。脱着のために、吸着剤は、低真空に閉鎖されて空気を分離する。脱着は、60%を超える相対湿度、70%を超える、80%を超える、90%を超える、又は95%を超えるRHの環境などの水又は湿度で、20℃若しくはその前後、又は高温で生じる。温度範囲は、例えば、0~20℃、0~120℃、15~120℃、20~100℃、20~70℃、0~80℃、0~70℃、0~60℃、0~50℃、0~40℃、15~40℃、15~30℃、又はそれらの範囲の任意の部分集合を含み得、CO3
2-の安定性を回復させる。プロセスは、周囲温度で、又は能動的に制御された温度で行うことができる。プロセスは、周囲湿度で、又は能動的に制御された湿度で行うことができる。単段階プロセスでは、水及びCO2は、8~10kPaのCO2、30kPaのH2O、及び1kPaの空気で、圧縮のために回収され、入力空気又はガスよりもより高い濃度、例えば、水が除去された後のおよそ90%のCO2純度のCO2がもたらされる。サイクルは、相対湿度よりもむしろ絶対水蒸気圧によって促進される。プロセスは、複数の段階を用いてCO2をより高い純度で発生させてもよい。
【0019】
実施形態は、qAm含有化合物、例えば、2-(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム、2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム、3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウム、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム、ジアリルジメチルアンモニウム(diallyldimethylammonium、DADMA)、ビニルベンジルトリメチルアンモニウム、又は他のトリメチル-アンモニウム官能性モノマー、及び多孔性安定化架橋剤、例えば、ジビニルベンゼン(divinylbenzene、DVB)、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ-/ヘキサ-アクリレート、トリメタクリルアダマンタン、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、フェニレンジメタクリレート、フェニレンジアクリレート、及び1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、又はペルフルオロヘキサンジオールの重合を伴う。いくつかの実施形態では、架橋剤は、疎水性である。そのような架橋剤は、フッ素化基又は脂肪族基を有する分子を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、コモノマーが使用される。いくつかの実施形態では、架橋剤は、qAm基を含有する。いくつかの実施形態では、コモノマー又は架橋剤は、それらの疎水性又は親水性のために選択されて、水との相互作用強度を制御する。これらの残基は、架橋ポリマーネットワークに現れ得、スチレン、スチレン化合物、n-ビニルピロリドン、酢酸ビニル、塩化ビニル、メタクリレート、アクリレート、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、メチルアクリレート、エチレン、プロピレン、ジメチルシロキサン、フッ素化ビニル、アクリル、又はメタクリル化合物、ヘキサ-イソ-フルオロイソプロピルメタクリレート、ヘキサ-イソ-フルオロイソプロピルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、及び1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレートを含み得る。加えて、追加のモノマーの残基は、フッ素化基又は脂肪族基のうちの少なくとも1つを含有する疎水性モノマーを含み得る。
【0021】
いくつかの事例では、モノマーは、架橋剤を含む任意の重合性種を指し得る。いくつかの実施形態では、吸着剤中のqAm含有化合物の質量分率は、5%~90%、20%~70%、50%~70%、又は50%~90%である。いくつかの実施形態では、吸着剤中のqAm/gの装填は、0.1~6mmol qAm/gの吸着剤、3~5mmol qAm/gの吸着剤、又は4~6mmol qAm/gの吸着剤である。一実施形態では、四級アンモニウムイオンのうちの少なくとも80パーセントは、少なくとも1つの他の四級アンモニウムイオンに直接結合している。
【0022】
循環吸着容量は、25℃、1バールの大気圧、400ppmのCO2での吸着状態と、25℃の液体水中に浸漬されるなどの脱着状態との間のCO2取り込みの差異である。いくつかの実施形態では、循環吸着容量は、0.05mmol/g、0.1mmol/g、0.25mmol/g、0.5mmol/g、0.7mmol/g、1mmol/g、1.2mmol/g、又は1.5mmol/gを超える。
【0023】
重量容量を最大化するために、qAm含有モノマーの含有量は、吸着剤中で最大化され得る。加えて、CO2収着に関与しない原子の含有量を最小限に抑えるために、DADMA-Cl又は2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリドなどの低分子量のqAmモノマーが選択され得る。いくつかの実施形態では、塩化物イオン交換形態では、ポリマー中の四級アミン官能基を生じさせる四級アミン含有モノマーの分子量は、250g/mol、200g/mol、190g/mol、180g/mol、又は170g/mol未満であり得る。
【0024】
実施形態の吸着剤は、米国特許第10,626,224号、及び米国特許公開第2020/0031977号などのいくつかの特許及び公開された特許出願に記載されているPARCの特許取得された多孔質ポリマー安定フリーラジカル重合(stable free radical polymerization、SFRP)からもたらされる吸着剤の物理的及び化学的構造により、比類のないMSA性能を有するであろう。エアロゲルの例は、
図2に示され、四級アンモニウムイオン及び少なくとも1つの対イオンを有する多孔質架橋ポリマーネットワークを含む。
【0025】
一般的なSFRPゲル化プロセスでは、前駆体を溶媒に溶解して、安定フリーラジカル、任意選択の還元剤、及び開始剤を有する前駆体溶液を形成する。前駆体溶液は、四級アンモニウム含有モノマー、架橋剤、及び任意選択の他のモノマーを、開始剤、ニトロキシド媒介剤、及び任意選択の還元剤を有する溶媒中に含んでもよい。ニトロキシド媒介剤の形態の安定フリーラジカルは、成長鎖末端に可逆的に結合し、「休止」鎖を生成する。TEMPO-OH(C8H17N2O2)などのニトロキシド、アルコキシアミンの分解に由来するニトロキシド種、4-ヒドロキシ-TEMPO、TEMPO誘導体、TIPNO、TIPNO誘導体、クロロベンジル-TIPNO、SG1、又はSG1誘導体(SG1は3-ニトロ-4-(2-オキソピロリジン-1-イルとしても知られる)が鎖末端から分離するときにのみ鎖成長が生じる。反応は、望ましくない鎖停止事象の可能性の低下及びバックバイティング反応から形成されたナノゲル析出物の抑制を伴うリビング重合として進行する。エアロゲルを生成するために、SFRPは、100~125℃又は70~200℃の細孔鋳型溶媒中で、6~48時間、又は1時間を超えて実施される。次に、溶媒和ゲルを溶媒交換し、周囲乾燥させる。
【0026】
一実施形態は、SFRPを使用するが、いくつかの実施形態は、原子移動ラジカル重合(atom-transfer radical polymerization、ATRP)、ニトロキシド媒介重合(nitroxide-mediated polymerization、NMP)、及び可逆的付加-開裂連鎖移動(reversible addition-fragmentation chain-transfer、RAFT)重合を含むがこれらに限定されない、他の種類の制御重合を使用する。制御ラジカル重合から得られた架橋ポリマーネットワークは、重合からの残留化学部分を含み得る。これらは、ニトロキシド、連鎖移動剤、チオール、TEMPO-OH、アルコキシアミンの分解に由来するニトロキシド種、4-ヒドロキシ-TEMPO、TEMPO誘導体、TIPNO、TIPNO誘導体、クロロベンジル-TIPNO、SG1、SG1、チオカルボニルチオ化合物、キサンタート、トリチオカーボネート、ジチオエステル、ジチオカルバメート、ジチオベンゾエート、ATRPに使用される金属触媒、銅、及び鉄を含み得る。
【0027】
SFRPプロセスのPARCの特許取得されたバージョンでは、追加の試薬が、SFRP平衡をより活性状態に調整し、調整可能なサイズのナノゲルを生成する。これは、ジクミルペルオキシド又はtertブチルペルオキシドなどのゆっくりと分解する開始剤を使用して、ラジカル及びアセトールなどの還元剤を連続的に発生させ、過剰な遊離ニトロキシドを徐々に消費することによって達成される。qAm基の近接性、吸着剤容量を増加させる脱着の要件を確実にするために、SFRP合成のいくつかの実施形態は、時には2~10単位の長さの範囲であるDADMA又はビニルベンジルトリメチルアンモニウムオリゴマーの制御重合で開始する。重要なことに、SFRPは、重合を中断させ、温度の変化で再開することを可能にする。したがって、有機相中の架橋剤との後続の反応は、ポリ(qAmモノマー)を空間充填架橋ポリマーゲルに組み込むであろう。短いブロックにおけるqAm残基の配置により、高度に剛性の多孔質吸着剤であっても、qAmの対がCO3
2-アニオンに結合することができることが確実になる。
【0028】
他の事例では、同様の技術を展開して、例えば、最初にqAmを所望の濃度の異なる非qAmモノマー又は架橋剤と重合してから重合を中断及び再開することによって、ポリマー中にqAm基を組み込み得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、吸着剤容量は、ポリマー鎖に分布したqAm基を、特定のランダム頻度で、隣接させないことによって増強される。SFRP及び他の制御重合プロセスによってもたらされる重合の中断は、ブロックが純粋な重合qAmモノマー又は重合qAmモノマー及び他のモノマー若しくは架橋剤の統計的混合物であるブロック状アーキテクチャを可能にし得る。
【0030】
図3に示す例示的な逐次合成では、Cl形態の水溶性qAmモノマー(例えば、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド又はDADMA-Cl、qAm-Cl)は、他のアニオン性モノマーのSFRPで先に示されているように、モノマー及びニトロキシド媒介剤の両方を溶解し得る水又は水-アルコール混合物中で重合され、重合は熱的に中断されるであろう。
図2では、実線はポリアンモニウムを表し、破線は架橋剤を表す。図に示すように、CO
2は、ポリアンモニウムに結合する。
【0031】
親水性qAmモノマーとDVBなどの疎水性架橋剤との共重合を達成するために、いくつかの実施形態は、Cl-よりも親水性の低いアニオンへのDADMA-Clオリゴマーのイオン交換を含み、n-メチルピロリドン、NMP、ジメチルスルホキシド、アセトフェノン、ジメチルホルムアミド、キシレンなどの有機溶媒に移動して、DVBを有するSFRPがゲルを形成することを更に可能にする。溶媒は、反応温度よりも高い沸点を有するように選択される。OH-、HCO3
-、又はCO3
2-を含むヒドロキシル又は炭酸イオンなどのMSAプロセスに存在するアニオンへの最終的なイオン交換、その後の溶媒交換及び周囲乾燥により、吸着剤エアロゲルが得られ、これは、モノリスとして使用され得るか、又は結合剤若しくは基質の有無にかかわらず、粉末若しくは構造化吸着剤に加工され得る。ヒドロキシル又は炭酸イオンは、吸着剤エアロゲル中に依然として存在する。
【0032】
ポリマーエアロゲルへのいくつかの代替経路を
図4に概説する。生成物への潜在的な経路はまた、MSAプロセスに関与するアニオンにqAm-Clモノマーを直接イオン交換してから、架橋剤と共重合するか、又はqAm-Clを重合し、MSAプロセスに関与するアニオンにイオン交換してから、コモノマー若しくは架橋剤での重合を再開始することを含み得る。本明細書に記載の手順及び変形はまた、様々なqAm-官能性モノマー、及びビニル基又は末端炭-炭素二重結合を有するqAm官能性モノマーに適用されるであろう。
【0033】
PARCのSFRPの追加の利点は、従来のSFRPポリマーと比較して、MSAの用途により良好な特性を有する、粗い相互連結されたガス透過性ナノゲル粒子から構成される堅牢なエアロゲルをもたらし、ナノゲルの抑制が細孔崩壊、又はラジカルポリマーをもたらし、より大きく、より密度の高いナノゲルが表面積を減少させることである。MSA吸着剤では、PARCのSFRPは、輸送障壁を最小限に抑えることによって、サイクル速度に最大の増強を提供し、ナノゲルサイズに由来する細孔壁サイズは、より薄く、比表面積は、同等の多孔性でより高い。いくつかの実施形態は、100m2/g超などの高い比表面積、メソ孔10~30nmの直径、及び薄い細孔壁(約10nm)を示し、急速度のガス輸送、バルク拡散、及びCO2取り込みが可能になる。合成は、高価な超臨界CO2を伴わずに拡張可能な処理を使用し、コストが低下し、拡張性が増強される。
【0034】
エアロゲル吸着剤によるCO2の直接空気捕捉は、捕捉システム又はプロセスに組み込むことができる。いくつかの実施形態では、水蒸気が、脱着を促進するために使用され、他の場合では、液体水が、噴霧プロセスで使用されるか、又はエアロゲル吸着剤を浸漬することによって使用される。時には、熱、減圧、又はその両方が、脱着を更に促進するために使用される。いくつかの実施形態では、吸着は、周囲条件において生じる。他の場合では、水が、例えば、熱、ファン、又は除湿機若しくは空調ユニットを使用して、エアロゲルから能動的に除去される。いくつかの実施形態では、複数の脱着チャンバが直列に配置される。この配置は、脱着されたCO2圧力を増加させ得る。エアロゲル自体は、粉末又は構造化モノリスであり得、自己支持型であるか、又は別個の構造材料によって形状に保持され得る。
【0035】
本明細書の実施形態は、多孔質架橋ポリマーネットワーク中に四級アンモニウムイオンを含む、二酸化炭素の吸着のための吸着剤を伴う。吸着剤は、高水蒸気含有量又は液体水よりも水蒸気含有量に多くの二酸化炭素を吸着する。吸着剤は、一緒に分類された四級アンモニウム基を有し得る。四級アンモニウムは、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、リン酸水素、又はリン酸二水素対イオンを有するジアリルジメチルアンモニウム又はトリメチルアンモニウムイオンであり得る。水酸化物であるか、又は水と反応して水酸化物を形成し得る任意の対イオンは、機能するであろう。吸着剤の架橋ポリマーネットワークは、粉末又はモノリスを含み得、エアロゲルを含み得る。
【0036】
吸着剤は、ジビニルベンゼン、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、メチル、エチルプロピル、イソプロピル、トリ、テトラ、ペンタ、又はヘキサ-アクリレート及びメタクリレートを含む群、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ-/ヘキサ-アクリレート、トリメタクリルアダマンタン、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパントリメタクリレート、フェニレンジメタクリレート、フェニレンジアクリレート、並びにペルフルオロヘキサンジオールジアクリレートである架橋剤を含み得る。加えて、架橋剤は、疎水性であり得、フッ素化基又は脂肪族基のうちの少なくとも1つを含有し得る。吸着剤は、100m2/gを超える、200m2/gを超える、500m2/gを超える表面積、及び2~50nmの平均細孔直径を有し得る。
【0037】
実施形態は、SFRP(安定フリーラジカル重合)、RAFT(可逆的付加開裂連鎖移動)、ATRP(原子移動ラジカル重合)、又はNMP(ニトロキシド媒介ラジカル重合、SFRPとしても知られる)、又は逐次重合などの制御重合を使用して、吸着剤を作製する方法を含み得る。重合がSFRPである場合、還元剤、又は高分解温度を有するラジカルなどの追加の添加剤も使用してもよい。開始剤は、熱開始剤、光開始剤、ペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、ジt-ブチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、アゾ化合物、アゾビスイソブチロニトリル(Azobisisobutyronitrile、AIBN)、フェニルアゾトリフェニルメタン、ベンゾフェノン、アントラキノン、カンファーキノン、ベンジル、及びベンゾインを含み得る。還元剤の例は、グルコースなどの還元糖、ヘミアセタール基を含有する試薬、ヒドロキシアセトン、又はケトース糖及びアルドース糖などのケトン及びアルデヒドに由来するエンジオール種である。プロセス中、最初に四級アンモニウムのオリゴマーを生成してから、架橋剤と反応させてもよい。
【0038】
RAFTプロセスは、典型的には、連鎖移動剤、通常、ジチオエステル、チオカルバメート、及びキサンタートのようなチオカルボニルチオ化合物を使用して、フリーラジカル重合中の分子量及び多分散性を制御することを可能にした。プロセスは、低分子量分布、及び線状重合に適用される場合に事前選択された分子量をもたらし得る。架橋システムに適用される場合、プロセスは、SFRPと同様に、高い比表面積及び狭い細孔径分布を有する多孔質材料を含む、高表面積の多孔質材料をもたらし得る。ATRPプロセスは、典型的には、触媒として遷移金属及びハロゲン化アルキル開始剤を使用する。休止種は、遷移金属錯体によって活性化されて、電子移動プロセスを介してラジカルを発生させ、遷移金属は、より高い酸化状態に酸化される。開始剤の数は、ポリマー鎖の数を決定する。それは、典型的には、線状重合で使用される場合、同様の分子量及び狭い分子分布を有するポリマーをもたらす。架橋システムに適用される場合、プロセスは、SFRPと同様に、高い比表面積及び狭い細孔径分布を有する多孔質材料を含む、高表面積の多孔質材料をもたらし得る。ニトロキシド媒介ラジカル重合(安定フリーラジカル重合としても知られている)は、ニトロキシド開始剤を使用してポリマーを発生させ、典型的には、十分に制御された立体化学及び非常に低い分散度をもたらす。
【0039】
RAFT又はATRPを使用する場合、化学基は、チオカルボニルチオ化合物、キサンタート、トリチオカーボネート、ジチオエステル、ジチオカルバメート、ジチオベンゾエート、ATRPに使用される金属触媒、銅、又は鉄に由来するポリマーに留まり得る。これらの材料は、共有結合的又は物理的メカニズムを介してポリマー中に残留していてもよく、それらに由来する分子全体又は断片としてのいずれかである。
【0040】
実施形態は、エアロゲル吸着剤を含有する周囲空気からCO2を捕捉するためのシステムを含み得る。吸着は、周囲条件において、活性水分除去で生じ得る。脱着は、水蒸気、霧、ミストの添加、又は液体水の添加によって生じ得る。システムにおける脱着は、直列の複数のチャンバで生じ得る。
【0041】
特許請求の範囲、要約、及び図面を含む本明細書、並びに開示される任意の方法又はプロセスにおける全ての工程に開示される全ての特徴は、そのような特徴及び/又は工程のうちの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせられ得る。特許請求の範囲、要約、及び図面を含む本明細書に開示される各特徴は、特に明記しない限り、同じ目的、同等の目的、又は同様の目的を果たす代替的な特徴によって置き換えることができる。
【0042】
上記で開示されたものの変形、並びに他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、多くの他の異なるシステム又は用途に組み合わされ得ることは、理解されるであろう。様々な現在予見されていないか又は予想されていない代替案、修正、変形、又は改善は、その後、当業者によって行われ得るが、これらはまた、本実施形態によって包含されることが意図されている。
【外国語明細書】