(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159262
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】塗工部周縁処理装置
(51)【国際特許分類】
B05C 11/08 20060101AFI20221007BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
B05C11/08
B05C9/14
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022075716
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】福井 慎也
(72)【発明者】
【氏名】夏 貞雄
(72)【発明者】
【氏名】三浦 一史
【テーマコード(参考)】
4F042
【Fターム(参考)】
4F042AA02
4F042AA06
4F042AB00
4F042DB17
4F042DH09
4F042EB06
4F042EB07
4F042EB09
4F042EB13
4F042EB27
(57)【要約】
【課題】 塗液が塗工された基板を回転テーブルの上に載置させて回転させながら、基板の表面における塗工部の周縁部を簡単に乾燥できるようにする。
【解決手段】 塗液が塗工された基板10の表面における塗工部11の周縁部11aを乾燥させるにあたり、基板における塗工部の周縁部が回転テーブル32の外周側に位置するようにして、基板を回転テーブルの上に載置させると共に、回転テーブルの外周側に位置する基板における塗工部の周縁部を加熱させる加熱体Hを、基板の下側において基板と接触しないように配置させ、前記の回転テーブルにより基板を回転させると共に、回転テーブルの外周側に位置する基板における塗工部の周縁部を、前記の加熱体により加熱させて乾燥させるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗液が塗工された基板の表面における塗工部の周縁部を乾燥させる塗工部周縁処理装置において、前記の基板における塗工部の周縁部が回転テーブルの外周側に位置するようにして、前記の基板を回転テーブルの上に載置させると共に、前記の回転テーブルの外周側に位置する基板における塗工部の周縁部を加熱させる加熱体を、少なくとも前記の基板の下側に基板と接触しないように配置させ、前記の回転テーブルにより前記の基板を回転させると共に、回転テーブルの外周側に位置する基板における塗工部の周縁部を、前記の加熱体により加熱させて乾燥させることを特徴とする塗工部周縁処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗工部周縁処理装置において、前記の回転テーブルにより前記の基板を回転させながら、回転テーブルの外周側に位置する前記の塗工部の周縁部の位置に対応するようにして、前記の加熱体を回転テーブルの中心に対して近接・離間する方向に移動させる移動装置を設けたことを特徴とする塗工部周縁処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の塗工部周縁処理装置において、前記の回転テーブルの外周側に位置する塗工部の周縁部の位置を検知する位置検知手段を設け、前記の位置検知手段によって検知された塗工部の周縁部の位置に基づいて、前記の移動装置によって前記の加熱体を移動させることを特徴とする塗工部周縁処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の塗工部周縁処理装置において、前記の回転テーブルの外周側に位置する基板における塗工部の周縁部を加熱させる第2加熱体を、前記の基板と接触しないようにして、基板の上側に配置させたことを特徴とする塗工部周縁処理装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の基板周縁処理装置において、前記の回転テーブルにより前記の基板を回転させると共に、回転テーブルの外周側に位置する塗工部の周縁部を前記の加熱体により加熱させて、前記の基板における塗工部の周縁部を乾燥させる操作を減圧室内で行うことを特徴とする塗工部周縁処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗液が塗工された基板の表面における塗工部の周縁部を乾燥させる塗工部周縁処理装置に関するものである。特に、塗液が塗工された基板を回転テーブルの上に載置させて回転させながら、基板の表面における塗工部の周縁部を簡単に乾燥できるようにすると共に、基板の表面における塗工部の形状が異なって、塗工部の周縁部の位置が変化する場合においても、基板の表面における塗工部の周縁部を加熱させて簡単に乾燥できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、塗液が塗工された基板の表面における塗工部を乾燥させるようにした場合、塗工部の周縁部の膜厚が中央部の膜厚より大きくになることが知られている。
【0003】
そして、このように塗工部の周縁部の膜厚が中央部の膜厚より大きくなると、周縁部と中央部とにおける基板の特性が異なり、膜厚が大きくなった周縁部の幅が広くなると、塗液が塗工された基板の有効利用面積が縮小して、歩留まりが悪くなる等の問題があった。
【0004】
このため、従来においては、特許文献1に示されるように、加熱接触部材を基板の表面における塗工部の周縁部に沿った形状に調整し、この加熱接触部材を基板の下面に接触させて、この加熱接触部材により基板の表面における塗工部の周縁部の全周を加熱させて乾燥させ、膜厚が大きくなった周縁部の幅が広がるのを抑制するようにしたものが提案されている。
【0005】
また、特許文献2においては、前記のように加熱接触部材により基板の表面における塗工部の周縁部の全周を加熱させて乾燥させるにあたり、塗工部の周縁部における盛り上がりを測定する盛り上がり測定センサーを設け、この盛り上がり測定センサーによって塗工部の周縁部における盛り上がりを測定しながら、前記の加熱接触部材による塗工部の周縁部の全周にわたる加熱を制御して、塗工部の周縁部における盛り上がりを抑制するようにしたものが提案されている。
【0006】
しかし、特許文献1、2に示されるものは、加熱接触部材を基板の表面における塗工部の周縁部に沿った形状に調整し、この加熱接触部材を基板の下面に接触させて、この加熱接触部材により基板の表面における塗工部の周縁部の全周を加熱させて乾燥させるため、基板の表面に塗工された塗工部の大きさや形状が異なる場合、このように塗工部の大きさや形状が異なった加熱接触部材を準備することが必要になり、多数の加熱接触部材を準備するコストが非常に高くつくと共に、加熱接触部材を、塗工部の周縁部に沿うようにして基板の下面に接触させるようにセットする操作も非常に面倒で、時間を要するという問題があった。
【0007】
また、特許文献3においては、基板の表面における塗工部の周縁部に沿った形状になった加熱接触部材を、塗液が塗工された基板を保持する保持部の表面に設け、この加熱接触部材によって保持部に保持された基板の表面における塗工部の周縁部の全周を加熱させた後、前記の保持部を支持する回転軸により前記の基板を回転させて、塗工部の周縁部における塗液を、さらに塗工部の周縁側に流動させて、膜厚が大きくなった周縁部の幅を狭くするようにしたものが提案されている。
【0008】
しかし、この特許文献3に示されるものも、前記の特許文献1、2のものと同様に、加熱接触部材を基板の表面における塗工部の周縁部に沿った形状に調整して、この加熱接触部材を塗液が塗工された基板を保持する保持部の表面に設けるため、基板の表面に塗工された塗工部の大きさや形状に対応した加熱接触部材を設けた数多くの保持部を準備することが必要になり、このような保持部を準備するコストが非常に高くつくと共に、このような保持部の上に、基板を塗工部の周縁部が保持部の表面における加熱接触部材に合致するようにしてセットする操作も非常に面倒で、時間を要するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2019-114378号公報
【特許文献2】特許第6967637号公報
【特許文献3】特開2021-84064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、塗液が塗工された基板の表面における塗工部の周縁部を乾燥させる場合における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0011】
すなわち、本発明においては、塗液が塗工された基板の表面における塗工部の周縁部を乾燥させるにあたり、特に、塗液が塗工された基板を回転テーブルの上に載置させて回転させながら、塗液が塗工された基板の表面における塗工部の周縁部を簡単に乾燥できるようにすると共に、基板の表面における塗工部の形状が異なって、塗工部の周縁部の位置が変化する場合においても、基板の表面における塗工部の周縁部を加熱させて簡単に乾燥できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る塗工部周縁処理装置においては、前記のような課題を解決するため、塗液が塗工された基板の表面における塗工部の周縁部を乾燥させる塗工部周縁処理装置において、前記の基板における塗工部の周縁部が回転テーブルの外周側に位置するようにして、前記の基板を回転テーブルの上に載置させると共に、前記の回転テーブルの外周側に位置する基板における塗工部の周縁部を加熱させる加熱体を、少なくとも前記の基板の下側に基板と接触しないように配置させ、前記の回転テーブルにより前記の基板を回転させると共に、回転テーブルの外周側に位置する基板における塗工部の周縁部を、前記の加熱体により加熱させて乾燥させるようにした。
【0013】
そして、本発明に係る塗工部周縁処理装置のように、塗液が塗工された基板を回転テーブルにより回転させると共に、回転テーブルの外周側に位置する基板における塗工部の周縁部を加熱体により加熱させて乾燥させるようにすると、従来のように、基板の表面に塗工された塗工部の周縁部の全周に接触し、その大きさに合った加熱接触部材を準備し、塗工部の周縁部に合った加熱接触部材を基板の下面に接触させて、基板の表面における塗工部の周縁部の全周を加熱させて乾燥させるというような大がかりな部品を必要とせず、簡単な構造にできて、製作にかかるコストが軽減される。
【0014】
また、本発明に係る塗工部周縁処理装置においては、前記の回転テーブルにより基板を回転させながら、前記の回転テーブルの外周側に位置する塗工部の周縁部の位置に対応するようにして、前記の加熱体を回転テーブルの中心に対して近接・離間する方向に移動させる移動装置を設けることが好ましい。このようにすると、基板の表面における円形状に塗工された塗工部の外径が異なる場合、従来は、大きさの異なる加熱接触部材を数多く準備して、交換する手間が必要であったが、このようにすると、加熱体を回転テーブルの中心に対して近接・離間する方向に移動させるだけで、塗工部の周縁部の全周を加熱させて乾燥させることができるようになる。また、基板の表面に塗工された塗工部の周縁部の外径だけではなく、その大きさや形状が異なる場合においても、従来のように、基板の表面に塗工された塗工部の周縁部の大きさや形状に合った加熱接触部材を数多く準備して、基板の下面に接触させる必要がなく、塗液が塗工された基板を回転テーブルにより回転させながら、前記の移動装置によって加熱体を基板の表面に塗工された塗工部の周縁部の大きさや形状に合わせて移動させることができ、様々な大きさや形状になった塗工部の周縁部を、低コストで簡単に乾燥させることができるようになる。
【0015】
また、本発明に係る塗工部周縁処理装置においては、前記の回転テーブルの外周側に位置する塗工部の周縁部の位置を検知する位置検知手段を設け、前記の位置検知手段によって検知された塗工部の周縁部の位置に基づいて、前記の移動装置によって前記の加熱体を移動させることが好ましい。このようにすると、前記のように基板の表面に塗工された塗工部の周縁部の大きさだけではなく、その形状が異なる場合においても、この位置検知手段によって塗工部の周縁部の位置を正確に検知して、加熱体を前記の移動装置により基板の表面に塗工された塗工部の周縁部の大きさや形状に合わせて正確に移動させることができ、様々な大きさや形状になった塗工部の周縁部を正確に乾燥させることができるようになる。
【0016】
また、本発明に係る塗工部周縁処理装置においては、前記の回転テーブルの外周側に位置する塗工部の周縁部を加熱させる第2加熱体を、前記の基板の上側に基板と接触しないように配置させることもできる。このようにすると、回転テーブルの外周側に位置する基板における塗工部の周縁部を、前記の加熱体に加えてこの第2加熱体により加熱させ、より速やかに乾燥できるようになる。また、この第2加熱体を、前記の加熱体と同様にして、基板の表面に塗工された塗工部の周縁部の大きさや形状に合わせて移動させることもでき、さらにこの第2加熱体を、前記の加熱体と少しずれた位置に移動させて、塗工部の周縁部の適切な位置を効率よく加熱させて乾燥させるようにすることもできる。
【0017】
また、本発明に係る塗工部周縁処理装置においては、前記の回転テーブルにより前記の基板を回転させると共に、回転テーブルの外周側に位置する塗工部の周縁部を前記の加熱体により加熱させて、前記の基板における塗工部の周縁部を乾燥させる操作を減圧室内で行うことが好ましい。このように、減圧室内で前記の操作を行うようにすると、基板における塗工部が減圧下で速やかに乾燥できるようになる。また、基板における塗工部を速やかに乾燥させるため、この減圧室内の上部側や下部側に板状のヒーターを設けることもできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明における塗工部周縁処理装置においては、前記のように基板における塗工部の周縁部が回転テーブルの外周側に位置するようにして、基板を回転テーブルの上に載置させて、前記の基板を回転テーブルにより回転させると共に、回転テーブルの外周側に位置する基板における塗工部の周縁部を、基板の下側に基板と接触しないように配置させた加熱体により加熱させて乾燥させるようにしたため、従来のように、基板の表面に塗工された塗工部の周縁部の大きさに合った加熱接触部材を多数準備し、塗工部の周縁部に合った加熱接触部材をそれぞれ基板の下面に接触させて、基板の表面における塗工部の周縁部の全周を加熱させて乾燥させる必要がなくなり、基板の表面における塗工部の周縁部の大きさ(外径)や形状が異なる場合においても、塗工部の周縁部の全周を簡単に乾燥させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る塗工部周縁処理装置を使用する状態を示した概略断面説明図である。
【
図2】前記の実施形態に係る塗工部周縁処理装置において、表面に塗液が円形状に塗工された四角形状の基板を、塗工部の周縁部が回転テーブルの外周側に位置するようにして回転テーブルの上に載置させて回転させ、塗工部の周縁部を基板の下に設けた加熱体により塗工部の周縁部を加熱させて乾燥させる状態を示した概略平面説明図である。
【
図3】前記の実施形態に係る塗工部周縁処理装置において、(A),(B)は、表面に塗液が円形以外の略四角形状に塗工された四角形状の基板を、略四角形状になった塗工部の周縁部が回転テーブルの外周側に位置するようにして回転テーブルの上に載置させて回転させると共に、基板の下に設けた加熱体を回転テーブルの中心に対して近接・離間する方向に移動させ、基板に表面における不定形になった塗工部の周縁部を前記の加熱体により加熱させて乾燥させる状態を示した概略平面説明図である。
【
図4】前記の実施形態に係る塗工部周縁処理装置の変更例を示した概略断面説明図である。
【
図5】前記の実施形態に係る塗工部周縁処理装置において、表面に塗液が円形状に塗工された円形状の基板を、塗工部の周縁部が回転テーブルの外周側に位置するようにして回転テーブルの上に載置させて回転させ、円形状になった塗工部の周縁部を基板の下に設けた加熱体により塗工部の周縁部を加熱させて乾燥させる例を示した概略平面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る塗工部周縁処理装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る塗工部周縁処理装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0021】
本発明の実施形態に係る塗工部周縁処理装置においては、塗液が塗工された基板10の表面における塗工部11の周縁部11aを乾燥させるにあたり、
図1に示すように、減圧室20内において、回転装置30によって回転する回転軸31の先端に設けられた前記の塗工部11の外径よりも小さな外径になった回転テーブル32の上に前記の基板10を、基板10の表面における塗工部11の周縁部11aが回転テーブル32の外周側に飛び出して位置するようにして載置させている。
【0022】
そして、この実施形態に係る塗工部周縁処理装置においては、回転テーブル32の外周側に位置する基板10の下側において、回転テーブル32の外周側に位置する前記の塗工部11の周縁部11aを加熱させる棒状の加熱体Hを、基板10と接触しないように配置させると共に、この加熱体Hを、移動装置40により回転テーブルの32中心に対して近接・離間する方向に移動させるようにしている。
【0023】
なお、図では、前記の加熱体Hとして棒状のものを示しているが、その先端部で加熱できるものであれば、どのような形状のものであってもよい。
【0024】
また、この実施形態に係る塗工部周縁処理装置においては、前記の減圧室20内の下部に下部ヒーター21を設けると共に、減圧室20内の上部に上部ヒーター22を設け、減圧室20内を減圧手段(図示せず)によって減圧させると共に、前記の下部ヒーター21と上部ヒーター22とによって減圧室20内を加熱させ、塗液が塗工された基板10の表面の塗工部11を乾燥させるようにしている。
【0025】
また、この実施形態に係る塗工部周縁処理装置においては、基板10に塗工された塗工部11の周縁部11aの位置を検知する位置検知手段41として、検知用カメラ41を減圧室20の天井部23の上に設け、天井部23に設けた筒状の監視窓23aを通して、この検知用カメラ41により基板10に塗工された塗工部11における周縁部11aの位置を検知するようにしている。なお、前記の上部ヒーター22が前記の監視窓23aと重なる位置においては、上部ヒーター22に切欠き44を設けている。
【0026】
そして、この実施形態に係る塗工部周縁処理装置においては、この検知用カメラ41によって検知された塗工部11の周縁部11aの位置を制御装置42に出力し、この制御装置42により前記の移動装置40を制御して、移動装置40により、前記の加熱体Hを回転テーブルの32中心に対して近接・離間する方向に移動させ、加熱体Hが塗工部11の周縁部11aに対応する基板10の下に位置するように制御している。
【0027】
ここで、
図2に示すように、正方形状になった基板10の表面に塗液が円形状に塗工されて、表面に円形状の塗工部11が形成された基板10を用い、この実施形態に係る塗工部周縁処理装置により、基板10の表面に円形状に塗工された塗工部11の周縁部11aを加熱・乾燥させるにあたっては、基板10の表面における円形状になった塗工部11の周縁部11aの全部が回転テーブル32の外周側に飛び出して位置するようにして、前記の基板10を回転テーブル32の上に載置させ、前記の検知用カメラ41によって基板10における塗工部11の周縁部11aの位置を検知し、この検知結果に基づいて、前記の制御装置42により前記の移動装置40を制御して、加熱体Hを回転テーブルの32中心に対して近接・離間する方向に移動させ、前記の加熱体Hを円形状に塗工された塗工部11の周縁部11aに対応する基板10の下に位置させるようにする。
【0028】
そして、この状態で、前記の回転装置30によって回転テーブル32を回転させて、前記の加熱体Hにより基板10における塗工部11の周縁部11aを、基板10の下側から加熱させて乾燥させるようにする。
【0029】
このようにすると、1つの棒状の加熱体Hにより基板10における塗工部11の周縁部11aを効率よく加熱させて乾燥させることができるようになり、従来のように、基板の表面に塗工された塗工部の周縁部の大きさに合った加熱接触部材を基板の下面に接触させて、基板の表面における塗工部の周縁部の全周を加熱させて乾燥させる場合に比べて、塗工部11の周縁部11aの全周を加熱させて乾燥させるための設備が少なくてすみ、コストも軽減される。
【0030】
また、基板10の表面に円形状に塗工された塗工部11の径が異なる場合においても、前記のように検知用カメラ41によって基板10における塗工部11の周縁部11aの位置を検知し、この検知結果に基づいて、前記の制御装置42により前記の移動装置40を制御して、加熱体Hを回転テーブルの32中心に対して近接・離間する方向に移動させ、前記の加熱体Hを円形状に塗工された塗工部11の周縁部11aに対応する基板10の下に位置するように調整することにより、径が異なる円形状の塗工部11の周縁部11aを、前記の加熱体Hにより加熱させて乾燥させることが簡単に行えるようになる。
【0031】
また、基板10の表面に塗工させる塗工部11の形状が、円形以外の形状になっている場合、例えば、
図3(A),(B)に示すように、正方形状になった基板10の表面に略四角形状になった塗工部11が形成された基板10において、略四角形状に塗工された塗工部11の周縁部11aを加熱・乾燥させるにあたっては、基板10の表面における略四角形状になった塗工部11の周縁部11aの全部が回転テーブル32の外周側に飛び出して位置するようにして、前記の基板10を回転テーブル32の上に載置させ、前記の検知用カメラ41によって、基板10の表面における略四角形状になった塗工部11の周縁部11aの位置を検知し、この検知結果に基づいて、前記の制御装置42により前記の移動装置40を制御して、加熱体Hを回転テーブルの32中心に対して近接・離間する方向に移動させるようにする。
【0032】
そして、前記の回転装置30によって回転テーブル32を回転させながら、前記のように制御装置42により移動装置40を制御し、前記の加熱体Hを回転テーブルの32中心に対して近接・離間する方向に移動させて、
図3(A),(B)に示すように、常に、前記の加熱体Hを略四角形状になった塗工部11の周縁部11aに対応する位置に導き、加熱体Hにより略四角形状になった塗工部11の周縁部11aを加熱させて乾燥させるようにする。
【0033】
なお、この実施形態においては、検知用カメラ41を用いたが、検知用カメラ41を使用せずに、塗工部11の周縁部11aの形状を、予め制御装置42にプログラミングしておき、これに従って、制御装置42により移動装置40を制御するようにしてもよい。
【0034】
なお、基板10の表面に塗工させる塗工部11の形状は、
図2に示したような円形状のものや、
図3(A),(B)に示したような略四角形状のものに限定されず、様々な形状になった塗工部11が塗工されたものであってもよい。
【0035】
ここで、基板10の表面に様々な形状になった塗工部11を塗工させるにあたっては、例えば、特許第6847560号公報に示されるように、塗液が供給される塗布用ノズルの塗液導入部内において、所定パターン形状になった塗液収容凹部が外周面に形成された円柱状の塗液供給体を、スリット状吐出口の上に位置するように設け、この塗液供給体を回転させて、塗液を前記の塗液収容凹部内からスリット状吐出口を通して被塗布体の表面に供給させるようにした塗布装置を用いることができる。
【0036】
また、この実施形態に係る塗工部周縁処理装置においては、基板10の表面に塗工された塗工部11の周縁部11aを加熱・乾燥させるにあたって、前記のように回転テーブル32の外周側に位置する基板10の下側において、回転テーブル32の外周側に位置する塗工部11の周縁部11aを加熱させる棒状の加熱体Hを、基板10と接触しないように配置させるようにしただけであるが、
図4に示すように、回転テーブル32の外周側に位置する基板10における塗工部11の周縁部11aを加熱させる第2加熱体H2を、前記の基板10と接触しないようにして基板10の上側に配置させ、回転テーブル32の外周側に位置する基板10における塗工部11の周縁部11aを、前記の加熱体Hに加えてこの第2加熱体H2により基板10の上下両方から加熱させて乾燥させるようにすることができる。
【0037】
また、前記のこの第2加熱体H2を、移動装置43により回転テーブルの32中心に対して近接・離間する方向に移動させるようにし、前記の加熱体Hの場合と同様に、前記の検知用カメラ41によって検知された塗工部11の周縁部11aの位置を制御装置42に出力し、この制御装置42により前記の移動装置43を制御して、移動装置43により前記の第2加熱体H2を回転テーブルの32中心に対して近接・離間する方向に移動させ、第2加熱体H2が常に塗工部11の周縁部11aに対応する基板10の上に位置するように制御することができる。さらに、乾燥状態や塗工状態によっては、この第2加熱体H2を、前記の加熱体Hと少しずれた位置に移動させて、塗工部11の周縁部11aの適切な位置を効率よく加熱させて乾燥させるようにすることもできる。
【0038】
また、前記の実施形態においては、四角形状になった基板10の表面に塗液を塗工させたものを示したが、基板10の形状は特に限定されない。
【0039】
例えば、
図5に示すように、円形状になった基板10の表面に塗液が円形状に塗工されて、表面に円形状の塗工部11が形成された円形状の基板10を用い、この基板10の表面における円形状になった塗工部11の周縁部11aの全部が回転テーブル32の外周側に飛び出して位置するようにして、前記の基板10を回転テーブル32の上に載置させ、円形状に塗工された塗工部11の周縁部11aに対応する基板10の下に加熱体Hを位置させ、この状態で、前記の回転装置30によって回転テーブル32を回転させて、基板10における塗工部11の周縁部11aを、前記の加熱体Hにより基板10の下側から加熱させて乾燥させるようにすることもできる。
【0040】
ここで、一定した径になった円形状の塗工部11が表面に形成された円形状の基板10を用いて、円形状の塗工部11の周縁部11aを加熱体Hによって基板10の下側から加熱させて乾燥させる場合には、特に、加熱体Hを移動させることなく一定した位置に設けるようにすることができるため、前記のような移動装置40や、検知用カメラ41や、制御装置42を設ける必要がなくなる。
【符号の説明】
【0041】
10 :基板
11 :塗工部
11a :周縁部
20 :減圧室
21 :下部ヒーター
22 :上部ヒーター
23 :天井部
23a :監視窓
30 :回転装置
31 :回転軸
32 :回転テーブル
40 :移動装置
41 :検知用カメラ(位置検知手段)
42 :制御装置
43 :移動装置
44 :切欠き
H :加熱体
H2 :第2加熱体
【手続補正書】
【提出日】2022-10-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗液が塗工された基板の表面における塗工部の周縁部を乾燥させる塗工部周縁処理装置において、前記の基板における塗工部の周縁部が回転テーブルよりも外側に飛び出すようにして、前記の基板を回転テーブルの上に載置させると共に、前記の回転テーブルよりも外側に飛び出した位置にある前記の塗工部の周縁部を加熱させる加熱体を、少なくとも前記の基板の下側に基板と接触しないように配置させ、前記の回転テーブルにより前記の基板を回転させると共に、回転テーブルよりも外側に飛び出した位置にある前記の塗工部の周縁部を、前記の加熱体により加熱させて乾燥させるにあたり、前記の回転テーブルにより前記の基板を回転させながら、回転テーブルよりも外側に飛び出した前記の塗工部の周縁部の位置に対応するようにして、前記の加熱体を回転テーブルの中心に対して近接・離間する方向に移動させる移動装置を設けたことを特徴とする塗工部周縁処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗工部周縁処理装置において、前記の回転テーブルよりも外側に飛び出した前記の塗工部の周縁部の位置を検知する位置検知手段を設け、前記の位置検知手段によって検知された塗工部の周縁部の位置に基づいて、前記の移動装置によって前記の加熱体を移動させることを特徴とする塗工部周縁処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の塗工部周縁処理装置において、前記の回転テーブルよりも外側に飛び出した位置にある前記の塗工部の周縁部を加熱させる第2加熱体を、前記の基板と接触しないようにして、基板の上側に配置させたことを特徴とする塗工部周縁処理装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の基板周縁処理装置において、前記の回転テーブルにより前記の基板を回転させると共に、回転テーブルよりも外側に飛び出した位置にある前記の塗工部の周縁部を前記の加熱体により加熱させて、前記の基板における塗工部の周縁部を乾燥させる操作を減圧室内で行うことを特徴とする塗工部周縁処理装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明に係る塗工部周縁処理装置においては、前記のような課題を解決するため、塗液が塗工された基板の表面における塗工部の周縁部を乾燥させる塗工部周縁処理装置において、前記の基板における塗工部の周縁部が回転テーブルよりも外側に飛び出すようにして、前記の基板を回転テーブルの上に載置させると共に、前記の回転テーブルよりも外側に飛び出した位置にある前記の塗工部の周縁部を加熱させる加熱体を、少なくとも前記の基板の下側に基板と接触しないように配置させ、前記の回転テーブルにより前記の基板を回転させると共に、回転テーブルよりも外側に飛び出した位置にある塗工部の周縁部を、前記の加熱体により加熱させて乾燥させるにあたり、前記の回転テーブルにより前記の基板を回転させながら、回転テーブルよりも外側に飛び出した前記の塗工部の周縁部の位置に対応するようにして、前記の加熱体を回転テーブルの中心に対して近接・離間する方向に移動させる移動装置を設けた。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
そして、本発明に係る塗工部周縁処理装置のように、塗液が塗工された基板を回転テーブルにより回転させると共に、回転テーブルよりも外側に飛び出した位置にある前記の塗工部の周縁部を加熱体により加熱させて乾燥させるようにすると、従来のように、基板の表面に塗工された塗工部の周縁部の全周に接触し、その大きさに合った加熱接触部材を準備し、塗工部の周縁部に合った加熱接触部材を基板の下面に接触させて、基板の表面における塗工部の周縁部の全周を加熱させて乾燥させるというような大がかりな部品を必要とせず、簡単な構造にできて、製作にかかるコストが軽減される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、本発明に係る塗工部周縁処理装置においては、前記の回転テーブルにより基板を回転させながら、前記の回転テーブルよりも外側に飛び出した前記の塗工部の周縁部の位置に対応するようにして、前記の加熱体を回転テーブルの中心に対して近接・離間する方向に移動させる移動装置を設けるようにした。このようにすると、基板の表面における円形状に塗工された塗工部の外径が異なる場合、従来は、大きさの異なる加熱接触部材を数多く準備して、交換する手間が必要であったが、前記の移動装置により、加熱体を回転テーブルの中心に対して近接・離間する方向に移動させるだけで、塗工部の周縁部の全周を加熱させて乾燥させることができるようになる。また、基板の表面に塗工された塗工部の周縁部の外径だけではなく、その大きさや形状が異なる場合においても、従来のように、基板の表面に塗工された塗工部の周縁部の大きさや形状に合った加熱接触部材を数多く準備して、基板の下面に接触させる必要がなく、塗液が塗工された基板を回転テーブルにより回転させながら、前記の移動装置によって加熱体を基板の表面に塗工された塗工部の周縁部の大きさや形状に合わせて移動させることができ、様々な大きさや形状になった塗工部の周縁部を、低コストで簡単に乾燥させることができるようになる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
また、本発明に係る塗工部周縁処理装置においては、前記の回転テーブルよりも外側に飛び出した前記の塗工部の周縁部の位置を検知する位置検知手段を設け、前記の位置検知手段によって検知された塗工部の周縁部の位置に基づいて、前記の移動装置によって前記の加熱体を移動させることが好ましい。このようにすると、前記のように基板の表面に塗工された塗工部の周縁部の大きさだけではなく、その形状が異なる場合においても、この位置検知手段によって塗工部の周縁部の位置を正確に検知して、加熱体を前記の移動装置により基板の表面に塗工された塗工部の周縁部の大きさや形状に合わせて正確に移動させることができ、様々な大きさや形状になった塗工部の周縁部を正確に乾燥させることができるようになる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
また、本発明に係る塗工部周縁処理装置においては、前記の回転テーブルよりも外側に飛び出した位置にある前記の塗工部の周縁部を加熱させる第2加熱体を、前記の基板の上側に基板と接触しないように配置させることもできる。このようにすると、回転テーブル前記の回転テーブルよりも外側に飛び出した位置にある塗工部の周縁部を、前記の加熱体に加えてこの第2加熱体により加熱させ、より速やかに乾燥できるようになる。また、この第2加熱体を、前記の加熱体と同様にして、基板の表面に塗工された塗工部の周縁部の大きさや形状に合わせて移動させることもでき、さらにこの第2加熱体を、前記の加熱体と少しずれた位置に移動させて、塗工部の周縁部の適切な位置を効率よく加熱させて乾燥させるようにすることもできる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
また、本発明に係る塗工部周縁処理装置においては、前記の回転テーブルにより前記の基板を回転させると共に、回転テーブルよりも外側に飛び出した位置にある前記の塗工部の周縁部を前記の加熱体により加熱させて、前記の基板における塗工部の周縁部を乾燥させる操作を減圧室内で行うことが好ましい。このように、減圧室内で前記の操作を行うようにすると、基板における塗工部が減圧下で速やかに乾燥できるようになる。また、基板における塗工部を速やかに乾燥させるため、この減圧室内の上部側や下部側に板状のヒーターを設けることもできる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明における塗工部周縁処理装置においては、前記のように基板における塗工部の周縁部が回転テーブルよりも外側に飛び出すようにして、基板を回転テーブルの上に載置させて、前記の基板を回転テーブルにより回転させると共に、回転テーブルよりも外側に飛び出した位置にある前記の塗工部の周縁部を、基板の下側に基板と接触しないように配置させた加熱体により加熱させて乾燥させるようにしたため、従来のように、基板の表面に塗工された塗工部の周縁部の大きさに合った加熱接触部材を多数準備し、塗工部の周縁部に合った加熱接触部材をそれぞれ基板の下面に接触させて、基板の表面における塗工部の周縁部の全周を加熱させて乾燥させる必要がなくなり、基板の表面における塗工部の周縁部の大きさ(外径)や形状が異なる場合においても、塗工部の周縁部の全周を簡単に乾燥させることができるようになる。