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特開2022-159287飲料の調製方法、調製容器およびカートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159287
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】飲料の調製方法、調製容器およびカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20221006BHJP
   B65D 85/804 20060101ALI20221006BHJP
   A47J 43/27 20060101ALI20221006BHJP
   A47J 31/40 20060101ALI20221006BHJP
   B65D 85/80 20060101ALN20221006BHJP
【FI】
A23L2/00 W
A23L2/00 Z
B65D85/804
A47J43/27
A47J31/40 104
B65D85/80
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022113541
(22)【出願日】2022-06-28
(62)【分割の表示】P 2018157887の分割
【原出願日】2018-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】321009339
【氏名又は名称】株式会社FEELDOM
(72)【発明者】
【氏名】内藤 俊一
(72)【発明者】
【氏名】岡部 俊彦
(57)【要約】
【課題】 粉末状のプロテインなどの溶けにくい食品を、水などの液体に溶かすに当たって、従来はプロテイン粉末などを計量スプーンに取ってシェイカーに移すことを数回繰り返す、と言うような面倒な作業を繰り返していた。また容器の底にプロテインを入れた場合では、撹拌よりも前にプロテインが水に接触しており、だまになりやすく溶けにくい環境が生じていた。
【解決手段】 オブラートの水溶性フィルム395のカプセルの中に、プロテイン粉末300と空気Aとを封入した。容器に水を注いでからカプセルを入れたら、蓋を閉めてなるべく早い内にシェイクを開始する。1回分の分量のプロテイン粉末300がカプセルに入っていることや、その中の空気Aにより水面に浮かせておいてシェイク出来ること、が特長である。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶かしたいものを溶かすための液、に触れると溶ける、前記溶かしたいものを封入したカプセルであって、その内部に浮力のための気体を含んでいる、飲料カプセル。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料カプセルを、前記溶かすための液を入れたシェイカーに入れて、溶かす液に浮かべた状態でシェイクすることを特徴とする、飲料の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は粉末状のプロテインなどの溶けにくい食品を水などの液体に溶かす際に用いる、飲料の調製方法や調製容器や、溶けにくい食品のカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば従来の粉末のインスタントコーヒーは、カップなどの容器に入れてお湯を注ぐだけで溶くことが出来ている。撹拌はしなくとも良く、せいぜいスプーンで一掻き二掻きすれば十分である。アイスコーヒーを作る場合でも難しくはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに対して、例えば粉末状のプロテインを容器に入れて水や牛乳で溶いてプロテイン飲料を得ようとすると、プロテインが水や牛乳とうまく混ざり合わずにだまが出来てしまうことが多かった。このような問題はココアや黄粉やインスタント味噌汁や小麦粉を溶く場合にも同様に発生していた。
【0004】
なおプロテイン粉末などは、計量スプーンに擦り切り1杯分を取り、粉末を盛ったままの計量スプーンを容器まで運んで、粉末を容器に移すことを数回繰り返すようにして所望の分量を得るようにしていたが、慎重を要する作業である上、何度も同じ作業を繰り返さなくてはならず面倒であると言う欠点があった。
【0005】
そこでこの発明は、粉末状のプロテインなどの溶けにくい食品を水などの液体に溶かすに当たって、より良く溶かすことが出来るようにすること、またはプロテイン粉末などを容器に移すに際して同じ作業を繰り返さなくても良いようにすること、の何れか一の課題をまたは双方の課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
当発明者等は鋭意研究の結果、上述したような問題の原因は粉末状のプロテインなどの溶けにくい食品を飲料の容器の底に入れて水などの液体を加えたり、先に容器に水などの液体を入れておいてからその液体に溶けにくい食品を加えたりした時点で、だまが出来るなどして溶けにくい食品が液体とうまく混ざり合わなくなることを突き止めた。このようなことが起こり始めた後では急いで撹拌を行ったとしても満足の行く結果はなかなか得られない。また粉末状のプロテインなどの飲用食品を容器に移す作業を何度も繰り返し行わなくてはならないのは、一度で済む手頃な手段が見当たらなかったからである。
【0007】
そこでこの発明では溶かしたいもの(例えば粉末状のプロテイン)を、これを溶かす液(例えば水)を入れる容器の内側の上部に配置するようにしたのである。上部とは溶かす液の液面から上のことである。この調製方法を実施するための調製容器として、すなわち溶かしたいものを溶かす液に触れさせると共に撹拌して溶かすための容器として、溶かしたいものを受けるための受け部を、溶かしたいものを溶かす液を入れる容器の内側の液面から上部に設けたものとした。
【0008】
この使用法とその作用とを、溶かしたいものがプロテインである例で説明すれば、容器に水を入れ、この容器の内側の上部に設けた受け部に粉末状のプロテインを納め、容器を密閉して容器を振ることによって(プロテインに水を注ぐのではなくて水の入った容器を振るのである)、跳ね上がった水がプロテインに接触してプロテインが溶け出し、撹拌されてプロテイン溶液が得られる。従来の容器の底にプロテインを入れた場合では、撹拌よりも前にプロテインが水に接触しており、だまになりやすく溶けにくい環境が生じてしまっていた。これに対してこの発明ではおおよそ撹拌する頃にプロテインが水と接触し始めることから、だまになりにくく、溶けやすいと言う作用を生ずる。また撹拌時に従来は、容器の底でプロテインが水に接触して撹拌されていた。これに対してこの発明では容器の上部でプロテインが水に接触しつつ、容器の中を上下に振られつつ降下する、と言うような状況を生ずるため、プロテイン全体が水に良く触れて良く溶けると言う作用が見られるのである。こうして容器の中を降下して下に溜って得られたプロテイン飲料を、この容器に口を付けて容器から直接飲むようにも、この容器から別のカップに移し替えて飲むようにも、自由に設計することが可能である。
【0009】
この発明は、プロテイン以外の溶けにくい飲食物である、ココアやインスタント味噌汁や小麦粉などを溶く場合にも適用可能である。ただし熱湯を容器に入れてシェイクするのは憚られるやも知れず、せいぜい温湯とするのが安心である。この意味で冷し味噌汁や冷製スープはこの発明に好適な料理であると言うことが出来る。
【0010】
次に、溶かしたいものを個状体にしておいて、これを上記容器の内側の上部に配置するようにすることが出来る。溶かしたいものが粉の状態ではなく、粉であっても個状であれば、指やトングで摘まめるから、それを容器に移すのは楽な作業になる。取り扱いは所要の分量の粉末を1個の纏まりにしておけば一番楽になるが、それよりも小さい単位の個状体であっても粉末に比べれば格段に便利である。なお溶かしたいものが個状体であると、粉末の場合の零してしまって拭き作業をすると言うようなことが起こりにくい。また個状物の個数は見れば分かるため、粉末の場合の何杯量って容器に入れたかを忘れてゼロから量り直しになったりする、と言うようなことが無くなる。
【0011】
溶かしたいものの個状体を得るために、インスタントの味噌汁のようにフリーズドライ製法を利用する場合がある。内部まで固形でなくとも、内部は粉末状であっても、表皮のようなもので覆われていれば個状体であると見做して良い。個包装であれば指やトングで摘まむことも1個2個と数えることも可能である。例えば特開平06-315353や、実開平01-82787に記載されている不二製油株式会社製のプロテインシートでプロテイン粉末を包むようにして個状体を得ることが出来る。或いは例えばプロテイン粉末をオブラートで包むようにしても個状体が得られる。澱粉質のオブラートを避けてゼラチンやアルギン酸等々の素材をベースにした水溶性可食フィルムを用いるようにしても良い。この表皮のようなものは溶かす液に触れて溶けるのであるが、仮に溶け切らなかったとしても問題は少ない。
【0012】
次に、溶かしたいものをカートリッジに納めておき、このカートリッジを容器の内側の上部に配置するようにしても良い。上部とは溶かす液の液面から上のことである。容器を振る直前までにカートリッジの蓋部を取り去るなり、カートリッジの蓋部に開口するなりしておく。粉末状や液体状などの溶かしたいものをカートリッジに詰めておけば溶かしたいものを零すことなく取り扱えるし、詰める量を1回分の使用量としておけば、一々量らなくて済むようになるので極めて便利である。なおこのようなカートリッジは使い捨てであるが、そうではなくて繰り返して使用することが出来るカートリッジに付いては後述する。
【0013】
さてこの発明の飲料の調製容器は、上述したように溶かしたいものを受けるための受け部を、溶かしたいものを溶かす液を入れる容器の内側の上部に設けたことを特徴とする。上部とは溶かす液の液面から上のことである。この容器に溶かす液や溶かしたいものを入れる口は必要であって、撹拌時までには容器は密閉されていなくてはならないため、この入れる口は開閉式の蓋や着脱式の蓋を備えている。
【0014】
例えば容器の蓋に上記受け部が設けられているものとすることが出来る。飲み口がこの口と同じになるか別になるかは設計次第であるが、飲み口が別の口である場合には、撹拌時に容器の全体は密閉されなくてはならないから、飲み口に被せて密閉出来るような実質的な蓋も必要になる。
【0015】
溶かしたいものを受けるための受け部は溶かしたいものを溶かす液を入れる容器の内側の上部に設けられるのであるが、この部位が容器の蓋であるものとした。蓋は容器に開閉自在に設けられていても良く、また容器に着脱自在に設けられていても良い。例えば蓋を容器に開閉自在に設けておき、この蓋の内側に、上記プロテイン粉末をオブラートで包んで成る個状体を入れるためのものであると共に溶かす液を透して個状体に触れさせることが出来るような、受け部としての網籠を設けておくのである。また例えば容器に蓋を着脱自在に設けておき、この蓋の内側に上記カートリッジの受け部としての嵌合溝を設けておくのである。この場合、容器から外した蓋の嵌合溝にカートリッジを取り付けてから容器に蓋をすることになる。なお蓋を容器から外せば、容器とは別に洗うことが可能になる。そもそもこの発明は粉末状のプロテインなどの溶けにくい食品を水などの液体に溶かす際に用いるものであり、作られた溶液は容器などに粘り着きやすい性質がある。従って容器とは別に蓋のみを洗うことが出来ると言うことを便利に感じる向きも多いのである。
【0016】
また容器が蓋と中蓋とを備えており、この中蓋が受け部を備えているものとすることが出来る。この中蓋の上側や下側に受け部がありここで溶かしたいものを受けるのであり、この中蓋の受け部も溶かしたいものを溶かす液を入れる容器の内側の上部に設けられていることになる。上部とは溶かす液の液面から上のことである。この中蓋の上側に受け部がある場合は、この受け部は溶かす液を容器側から蓋側へと、また溶かす液に溶かしたいものが溶けた溶液を蓋側から容器側へと通すように構成されている必要がある。すなわち中蓋は容器を密閉するものとは限らない。
【0017】
先ず容器に中蓋を取り付けるのであるが、この前後に中蓋の受け部に溶かしたいものを取り付けるようにする。例えば中蓋の下側に受け部の嵌合溝を設ける場合では、容器から外した中蓋の嵌合溝にカートリッジを取り付けてから、容器に中蓋をするようにしたり、或いは例えば中蓋の上側に受け部の嵌合溝を設ける場合では、容器に中蓋をしてからこの嵌合溝にカートリッジを取り付けるようにしたりする。そしてこの後に容器に蓋をする。なお中蓋が容器に対して着脱自在であると、中蓋をカートリッジごと容器から取り外して容器とは別に洗うことが可能になるため、取り扱いが便利である。
【0018】
このように、溶かしたいものを受けるための受け部に、溶かしたいものを納めたカートリッジを取り付けるようにすることが出来るのであるが、更に受け部とカートリッジとに互いを掛け合うための掛止手段が設けられているものとすることが出来る。そもそもこの発明では、プロテインは容器の上部で水に接触しつつ撹拌されれば良いのであり、たとえ撹拌中にカートリッジが受け部から外れてしまったとしても受け部の近辺にカートリッジが止まっていさえすれば良い。しかしながらこのようなことを良しとしないのであれば、上記掛止手段を設けることは良いことである。例えば蓋の受け部や中蓋の受け部にカートリッジを取り付けるものであれば、この受け部とカートリッジとに螺子を切っておくようにする。また例えば受け部とカートリッジとの間で掛止し合うように、両方に突起を設けたり、一方に突起を他方に溝部を設けたりするのである。
【0019】
次に、上述したカートリッジを受け部に取り付けるようにしたものや、受け部とカートリッジとに互いを掛け合うための掛止手段を設けたものに付き、受け部が突出部を有しており、この突出部でカートリッジを開口するように構成されているものとすることが出来る。受け部にカートリッジを取り付けようとする時に、受け部に突出部があることによって、突出部がカートリッジを、開口しつつ受け入れることになる。
【0020】
上述したようにカートリッジは、容器を振る直前までにカートリッジの蓋部を取り去るなり、カートリッジの蓋部に開口するなり、蓋部を設けない包装体のようなカートリッジであるならば、その包皮を破るなりする必要がある。そこでカートリッジの開口の作業を手作業で行うことなく容器にさせようと言うのである。すなわちこのようなことが可能となるように突出部を受け部に、カートリッジの開口したい部位に向けて設けるのである。突出部は例えば金属刃を合成樹脂製の受け部にインサート成型したり、合成樹脂製の刃部を受け部と共に一体に成型したりするのである。なお突出部に、上述した個状体を砕いて細かくするための役割を担わせることも可能である。
【0021】
なおここで言うカートリッジは使い捨てのものであるが、繰り返し使用することが出来るような詰め替え容器式のカートリッジに付いては後述する。何れにせよ、粉末状や液体状などの溶かしたいものをカートリッジに詰めておいて、受け部に取り付けた時に自動的にカートリッジが開口されるようにしたのである。
【0022】
なお上述した容器が蓋と中蓋とを備えており、この中蓋の上側に上記突出部のある受け部を備えており、突出部でカートリッジを開口するように構成されているものに付いて、次のような構造となるように設計することが出来る。受け部にカートリッジをポンと置いてから蓋をすると、蓋を閉めたり或いは締めたりする時のカートリッジに掛かる押圧力によって、カートリッジが突出部で破られつつ受け部に納まるような構造である。蓋を回す時の回転力を利用するような設計もあり得る。
【0023】
上記蓋を締める、すなわち蓋を捩じって締める構成の容器に付いて、蓋の裏側がカートリッジに接触するとカートリッジに回転力を加えてしまうような場合がある。仮に中蓋の突出部でカートリッジを破る際に、突出部に対してはカートリッジは回転を伴わずに押し付けられる方が好ましく、カートリッジが蓋の動きに連れて回らない方が好ましいと言うのであれば、例えば受け部とこれに嵌まるカートリッジの形状とを円形で合わせるのではなくて、楕円形であるとか、角丸方形であるとかにすれば良い。あるいは例えば受け部とカートリッジとの間で掛止し合うような突起や溝部を設けて、カートリッジが回らないようにすれば良い。
【0024】
なおまた、上述した容器が蓋と中蓋とを備える場合、蓋の内径と中蓋の外径を同じにして中蓋が蓋に嵌まるように構成しても良い。すなわち前記中蓋が、前記容器とは緩く嵌まり、これと比較して前記蓋とはきつく嵌まるように設けるのである。容器に中蓋をセットして、中蓋にはカートリッジが取り付けられるわけであるが、さらに蓋を付けると容器が密閉される。次に容器から蓋を取ると、この蓋に空のカートリッジを有する中蓋が嵌まったまま、蓋が容器から取り外される。すると蓋を上向きにして中蓋と空のカートリッジとを載せたまま洗い場まで運べたり、容器とは別に洗うことが可能になるため、取り扱いが便利である。なお蓋に嵌まった中蓋は蓋から外すことが出来る。
【0025】
さて上記の課題は、溶かしたいものを受けるための受け部が、溶かしたいものを溶かす液を入れる容器の内側の上部に設けられている飲料の調製容器に用いる、前記溶かしたいものを納めたカートリッジであって、前記溶かす液に触れて溶ける皮膜を有するものとすることにより達成される。すなわち溶かしたいものを納めたカートリッジの開口部を溶ける皮膜で塞ぐなどするのである。この溶ける皮膜には上述したようなプロテインシートやオブラートやゼラチン等々のシートを用いるようにすれば良い。カートリッジの蓋の素材を例えばオブラートとすれば、蓋を取り去ったり蓋に開口したりしなくとも、溶かす液に触れて溶け、結果的に蓋が開いたことになる。なおこのオブラートの皮膜を保護するために、この上に更に別の蓋を重ねておき、カートリッジの使用に際してはこの別の蓋のみを開けるような構成とすることも好ましい。
【0026】
この発明は粉末状のプロテインなどの溶けにくい食品を水などの液体に溶かすに当たってより良く溶かすことが出来るようにすること、またはプロテイン粉末などを容器に移すに際して同じ作業を繰り返さなくても良いようにすること、の何れか一の課題を、または双方の課題を解決しようとするものであるから、溶かす液に触れると溶ける皮膜を有するカートリッジはこの課題に良く適合する。
【0027】
また上記の課題は、溶かしたいものを受けるための受け部が、溶かしたいものを溶かす液を入れる容器の内側の上部に設けられていると共に、前記受け部が突出部を有している飲料の調製容器に用いる、前記溶かしたいものを納めたカートリッジであって、前記突出部により破れる皮膜を有するものとすることにより達成される。すなわち溶かしたいものを納めたカートリッジの開口部を破れる皮膜で塞ぐなどするのである。上述のように受け部がカートリッジを開口するための突出部を有している場合に、受け部にカートリッジを取り付けようとすると、破れる皮膜を突出部で開口しつつ、受け部がカートリッジを受け入れることになる。
【0028】
なお上述した蓋部を設けない包装体として、溶かしたいものを薄手の合成樹脂フィルムでパックして成るものも、合成樹脂フィルムが受け部の突出部で破れるのであれば、この合成樹脂フィルムの包皮は破れる皮膜と言うことになる。なおパックは水流に潰されたりしないような工夫が為されていると更に良い。例えばパックの内部に合成樹脂製の枠体を納めておくようにする。また内部が粉末状のまま表面のみが溶けて固まった個状体の表皮や、内部の粉末を覆うプロテインシートやオブラートやゼラチン等々のシートは、破れる皮膜として用いることが出来る。
【0029】
また上記の課題は、溶かしたいものを受けるための受け部が、溶かしたいものを溶かす液を入れる容器の内側の上部に設けられていると共に、前記受け部が突出部を有している飲料の調製容器に用いる、前記溶かしたいものを納めるためのカートリッジであって、前記突出部により押されて開口する開閉部を有するものとすることにより達成される。例えば溶かしたいものを納めるためのカートリッジに開口部を設けて、この開口部に外側から押された時に内側に向かって開くような、開閉部を設けるのである。この開閉部を内側へ向けて押す役割を担うのが突出部である。受け部にカートリッジを、その開閉部の側から取り付けようとすると、受け部側の突出部に開閉部が押されるようにしてカートリッジの開口部が開きつつ、受け部がカートリッジに取り付けられる。このようにして上記破れる皮膜と同じような効果が得られる。
【0030】
開閉部は1箇所でも複数個所でも良い。弾力性がある開閉部を用いれば、突出部に押された時は開閉部が湾曲して開き、突出部による外力が働かなくなった時には開閉部の形状が元に戻って閉じる。また開閉部を開口部にヒンジを以て取り付けるようにしても良い。また更にヒンジに、常には閉じる方向に付勢するバネを仕込むようにしても良い。
【0031】
この開閉部のある開口部をカートリッジ本体に対して着脱自在に設けたり、開口部ではない箇所に別の蓋部を設けたりすることで、ここを溶かしたいものの詰め替え口とする。従ってこのカートリッジは使い捨てではなく、洗って乾かして溶かしたいものを詰めることを行い、繰り返し使用されるものである。
【0032】
また上記の課題は、溶かしたいものを受けるための受け部が、溶かしたいものを溶かす液を入れる容器の内側の上部に設けられている飲料の調製容器に用いる、前記溶かしたいものである所の粉体であって、この粉体が一塊となるようにこの粉体の周りに前記溶かす液に触れて溶ける皮膜を有するカートリッジとすることにより達成される。粉体の種類には粉末や顆粒などが上げられる。
【0033】
溶ける皮膜としては、内部が粉体のままで表面のみが溶けて固まった個状体の表皮や、内部となる粉体を覆うプロテインシートやオブラートやゼラチン等々のシートを上げることが出来る。これ等は溶かす液に触れると溶けて破れてしまい、内部の粉体も溶かす液に触れるようになる。皮膜が溶けた後は、内部の粉体がプロテインであれば、容器の上部でプロテインが水などの溶かす液に接触しつつ容器の中を激しく降下して、良く溶けるのである。
【0034】
さて上記の課題は、溶かしたいもの(例えば粉末状のプロテイン)を容器の内側の上部に配置して、溶かす液(例えば水)を上記溶かしたいものに噴射するようにすることにより達成される。この調製方法を実施するための調製容器として、すなわち溶かしたいものを溶かす液に触れさせて溶かすための容器として、溶かしたいものを受けるための受け部を、溶かして出来る溶液(例えばプロテイン溶液)を入れる容器の内側の上部に設けると共に、溶かしたいものに向かって溶かす液を噴射するための噴射口を設けたものとした。
【0035】
なお噴射口は、溶かしたいものを受けるための受け部よりも上に設けて、上から溶かす液を溶かしたいものに噴射するようにも、また受け部の横に設けて横から溶かす液を溶かしたいものに噴射するようにも、また受け部の下に設けて下から溶かす液を溶かしたいものに噴射するようにも設計することが出来る。これは上述のシェイクする容器に於いて、シェイクによって溶かす液が下からや上からや横から来て溶かしたいものに接触することに対応している。
【0036】
この使用法とその作用とを、溶かしたいものがプロテインである例で説明すれば、この容器の内側の上部に設けた受け部に粉末状のプロテインを納め、容器を密閉して、噴射口から粉末状のプロテインを目掛けて噴射することによって(プロテインに水を注ぐのではなく水を強く浴びせ掛けるのである)、噴射された水がプロテインに当たってプロテインを溶け出させ、さらに噴射流がこれを撹拌してプロテイン溶液が得られる。なお噴射口を受け部の下に設けて下から噴射する構成では、溶け出したプロテイン溶液が、下から吹き上げてくる水によって都合良く撹拌される。このようであるから、プロテインがだまになりにくく溶けやすいと言う効果があるのである。なお容器の中を降下して下に溜って得られたプロテイン飲料を、この容器に口を付けて容器から直接飲むようにも、この容器から別のカップに移し替えて飲むようにも、自由に設計することが可能である。
【0037】
さて上記の課題は、溶かしたいもの(例えば粉末状のプロテイン)を溶かす液(例えば水)を入れるために使用する飲料の調製容器に投入して前記溶かす液に浮かせるものであって、前記溶かす液に触れて溶ける皮膜を有すると共に内部に前記溶かしたいものと浮力のための気体とを含むことを特徴とするカートリッジを提供することにより達成される。溶かしたいものを溶かす液に浮かすことは、これまで説明して来た、溶かす液の液面から上に溶かしたいものを受けるための受け部を設けることと同じである。何となれば受け部に気体入りの皮膜を対応させることが出来るからである。これもこの発明の解決手段の一となる。
【0038】
溶かしたいものの種類には粉末や顆粒や濃縮液などが上げられる。溶ける皮膜としてはプロテインシートやオブラートやゼラチン等々のシートを上げることが出来る。これ等は溶かす液に触れると溶けて破れてしまい、内部の溶かしたいものが溶かす液に触れるようになる。従って浮いている内にシェイクするようにすれば、皮膜が溶け始めると、内部の例えばプロテイン粉末が水などの溶かす液に接触して良く溶けるようになる。
【0039】
この発明は、プロテイン以外の溶けにくい飲食物であるココアやインスタント味噌汁やスープや小麦粉などを溶く場合にも適用可能である。またこれに使用する溶かしたいものの形態は、上述したような粉体や個状体、溶ける皮膜や破れる皮膜に包まれた粉体、剥したり破ったりする蓋や溶ける皮膜や破れる皮膜のあるカートリッジ、開閉部のあるカートリッジ等々任意である。溶かしたいものを納めたカートリッジは、容器の内側の上部の、例えばカートリッジの受け部に取り付けるようにすると使い勝手が更に良好となる。なお溶かす液に付いては溶かしたいものの種類やユーザーの好みによって色々である。例えばプロテインであれば溶かす液に水を用いるのが一般的であるが、飲み易くすべく牛乳を用いるユーザーもいる。
【発明の効果】
【0040】
この発明では、溶かしたいものをこれを溶かす液を入れる容器の内側の上部に配置するようにしたので、溶かす液が溶かしたいものに容器の上部で接触して、ここで溶かしたいものが溶け出して、所望の溶液が得られるようになった。またこの発明によれば溶かしたいものが容器の上部にあるため、おおよそ撹拌の頃に溶かしたいものが溶かす液と接触し始めることから、だまになりにくく溶けやすい。またこの発明によれば、容器の上部で作られた溶液が容器の底に下りた溶液と混ざる状況を生ずるため、溶かしたいものの全体が溶かす液に良く触れて良く溶けると言う作用が見られる。このような作用効果はこれまでにない全く新しいものである。なお溶かしたいものを個状体にしたりカートリッジに納めたりしておき、これを容器の内側の上部に配置するようにしたので、粉末の場合の量って容器に移す作業の繰り返しの必要がなく、零してしまって拭き作業をすると言うようなことが起こりにくく、何杯量って容器に入れたかを忘れてゼロから量り直しになる、と言うようなことが無くなった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】 実施例1を各部に分けて見た説明図である。
図2】 実施例1の使用状態の説明図である。
図3】 実施例1の使用の流れを表す説明図である。
図4】 実施例2を各部に分けて見た説明図である。
図5】 実施例2の使用状態の説明図である。
図6】 実施例2の使用の流れを表す説明図である。
図7】 実施例3を各部に分けて見た説明図である。
図8】 実施例3の使用状態の説明図である。
図9】 実施例3の使用の流れを表す説明図である。
図10】 実施例4の説明図である。
図11】 実施例5の説明図である。
図12】 実施例6の説明図である。
図13】 実施例7の説明図である。
図14】 実施例8の使用状態の説明図である。
図15】 実施例8の使用の流れを表す説明図である。
図16】 実施例9の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下では10種類の実施例に付いて説明するが、この発明はこれ等の実施例に限定されるものではなく、自由に設計することが出来る。
【実施例0043】
この実施例は、水を入れる容器100の蓋130にプロテインのカートリッジ305をセットするための籠200が設けられた合成樹脂製のプロテイン飲料の調製容器である。略円筒形状の容器100の上側に設けられた口110の外周部にネジ山120が形成されている。このネジ山120は、蓋130の内側に形成されているネジ山140にぴたりと噛合する。
【0044】
籠200はそれよりも外に張り出した天板210を有している。籠200は天板210を以て、蓋130の内側の天部にある取付溝150に嵌め込まれている。天板210の周縁部は取付溝150の掛止突起160に掛かっており、一度嵌め込まれると、容器100に水を入れてシェイクした位では、籠200が蓋130から外れることがないようになっている。
【0045】
中空の籠200の一側壁にはプロテインのカートリッジ305の装着口230が設けられている。籠200は柔軟で伸縮性があり装着口230を広げたり歪めたり元に戻したりすることが出来る。この装着口230の下縁部に堤240が形成されており、籠200の中に納めたカートリッジ305がここに掛かるようになっている。籠200の他側壁および底壁には、カートリッジを溶かすための水が出入り可能な孔220が幾つも開けられている。
【0046】
籠200にセットするカートリッジ305はプロテイン粉末300の周りを、この実施例ではオブラートの水溶性フィルム310で包んだものである。このようにプロテイン粉末を個状体にしたものもカートリッジと呼ぶことにする。なおカートリッジ305は図示しない気密性の袋に包装されているので、使用時にはこの袋を破って取り出す。
【0047】
この調製容器を使用するにはS1~S4の使用のステップを踏む。先ず図2に表すように容器100に鎖線の辺りまで水を注ぐ(S1)。次に蓋130の内側の籠200の中にその装着口230を広げて、プロテインのカートリッジ305を押し込むようにして装着する(S2)。カートリッジ305は装着口230の堤240によって外れにくくなっている。次に容器100の口110に、カートリッジ305が装着された蓋130を被せて締める(S3)。容器100と蓋130とは、口110とネジ山120とネジ山140とで密着しており液密な状態である。次に水が水面よりも上にある籠200に入ったカートリッジ305に届くように容器100をシェイクする(S4)。すると水は籠200の孔220を出入りして水溶性フィルム310やプロテイン粉末300を溶かしてプロテイン溶液となり下降する。このプロテイン溶液はシェイクが終わるまで撹拌され続ける。
【0048】
蓋130は、これを捻って容器100から外した後は逆さまにすることで、内側に付着しているプロテイン溶液の雫を零さないようにすることが出来る。蓋130や籠200は水洗いし乾燥させて再使用に備える。
【実施例0049】
この実施例は、水を入れる容器400と中蓋500と上蓋430とから成る合成樹脂製のプロテイン飲料の調製容器である。容器400に中蓋500を載せて、その上から上蓋430を被せて締めると液密に閉じることが出来る。すなわち容器400の上側に設けられた口410の外周部にネジ山420が形成されており、このネジ山420は上蓋430の内側に形成されているネジ山470にぴたりと対応している。なお上では中蓋500に対する上蓋430のことを単に蓋と呼んでいた。
【0050】
中蓋500は上側が開放されており、その外周部にフランジ510が形成されている。中蓋500を容器400の口410から中に入れると、フランジ510が容器400の口410に載った所で中蓋500は容器400に緩く嵌まるようになっている。一方、この上に上蓋430を付けて締めた時、フランジ510の外周部は上蓋430の内周壁460にある程度きつく密着し、またフランジ510の上面は上蓋430の内周壁460の上端の段部440に密着するようになっている。従って上蓋430を容器400から外す時には、中蓋500が上蓋430にくっ付いて来る。このことの利点は後述する。
【0051】
中蓋500の底部中央にカートリッジ315の受け口520が設けられている。受け口520の内壁にはネジ山530が形成されており、カートリッジ315のカップ320に形成されているネジ山325に対応している。従ってカートリッジ315は口を上にして受け口520に捩じ込んで止めることが出来る。中蓋500の底壁の受け口520の外側には底孔540が形成されている。
【0052】
カートリッジ315をセットした中蓋500を容器400に嵌めて、容器400に上蓋430をして締めた状態で、上蓋430では図5に表すように、カートリッジ315の口と上蓋430の天頂部450との間に、容器400の水が回るのに十分な空間が取られている。
【0053】
カートリッジ315は、カップ320の中にプロテイン粉末300が納められており、カップ320の口に包装フィルム330が被せられて接着されている。この包装フィルム330は、図4に表わした鎖線のように、指で剥し取ることが出来るものである。
【0054】
この調製容器を使用するにはS11~S14の使用のステップを踏む。図5で表すように、鎖線の辺りまで水を注いだ容器400の口410に中蓋500を被せる(S11)。次に中蓋500の受け口520にカートリッジ315を捻じ込んで固定し、カップ320の蓋である包装フィルム330を剥してカップ320の口を開ける(S12)。この時点でカップ320の中のプロテイン粉末300が露出している。次に容器400の口410に上蓋430をして締める(S13)。容器400と上蓋430とは液密な状態となる。次に水がこれよりも上にある中蓋500のカートリッジ315に届くように容器400をシェイクする(S14)。水は中蓋500の底孔540から上蓋430の天頂部450の下の空間を出入りして、カップ320の中のプロテイン粉末300を溶かしてプロテイン溶液となり下降する。このプロテイン溶液はシェイクが終わるまで撹拌され続ける。
【0055】
シェイクが終わったら、上蓋430を捻って容器400から外して逆さまにして置く。上述のように上蓋430を容器400に被せて締めた際に、中蓋500のフランジ510の外周部が上蓋430の内周壁460にある程度きつく密着しているも、中蓋500そのものは容器400の口410に緩く嵌まっている。このため上蓋430を容器400から外す時には、中蓋500が上蓋430にくっ付いて来る。容器400から取り外した上蓋430を逆さまにして置くと、空となったカートリッジ315を納めた中蓋500も上蓋430の中にあるため、これ等の内側に付着しているプロテイン溶液をあまり零さないようにすることが出来る。上蓋430と中蓋500とを別々に容器400から外すものよりは、取り扱いがずっと楽である。この後は水洗いをして、空のカートリッジ315は中蓋500から捻り外して廃棄する。自然には容器400から上蓋430に付いたまま外せる中蓋500ではあるが、上蓋430から中蓋500を外すのは難しくない。なおシェイク中に中蓋500の受け口520からカートリッジ315が不本意に外れたとしても、中のプロテイン粉末300を溶かすことに問題は殆どなく、しかも外れたカートリッジ315は上蓋430と中蓋500との間に留まる効果がある。
【実施例0056】
この実施例は、水を入れる容器600と中蓋700と上蓋630とから成る合成樹脂製のプロテイン飲料の調製容器である。容器600に中蓋700を載せて、その上から上蓋630を被せて締めると液密に閉じることが出来る。すなわち容器600の上側に設けられた口610の外周部にネジ山620が形成されており、このネジ山620は上蓋630の内側に形成されているネジ山670にきつく螺合する。
【0057】
中蓋700は上側が開放されており、その外周部にフランジ710が形成されている。中蓋700を容器600の口610から中に入れると、フランジ710が容器600の口610に載った所で中蓋700は容器600に緩く嵌まるようになっている。一方、この上に上蓋630を被せて締めた時、フランジ710の外周部は上蓋630の内周壁660にある程度きつく密着し、またフランジ710の上面は上蓋630の内周壁660の上端の段部640に密着するようになっている。従って上蓋630を容器600から外す時には、中蓋700が上蓋630にくっ付いて来るようになる。
【0058】
中蓋700の底部中央にカートリッジ335の受け口720が設けられている。受け口720の底部には左右1対の円弧状の刃部730が、2回対称の位置に、少し離れて向かい合いとなると共に、刃先が上に向くようにして形成されている。この左右の刃部730の間には円形の底孔740が形成されている。なお中蓋700と一体成型の刃部730の代わりに、例えば金属製の鋸刃を中蓋700にインサート成型することも可能である。
【0059】
カートリッジ335は、カップ340の中にプロテイン粉末300が納められており、カップ340の口には包装フィルム345が接着されている。この包装フィルム345は手で剥がすようにしたものではなく、受け口720の刃部730で破くことが出来るようになっているものである。
【0060】
更に、上蓋630の口から天頂部650までの高さは、容器600に上蓋630を被せて捩じり締めた時に、中蓋700の受け口720にセットし終えたカートリッジ335の高さに等しくなるように設計されている。
【0061】
そこで中蓋700を容器600の口610に嵌めて、包装フィルム345の側が下になるようにして、カートリッジ335を受け口720に置くと、初めカートリッジ335は刃部730によって浮いたような状態となる。この上に上蓋630を被せて捩じるように操作すると、カートリッジ335のカップ340の底部が上蓋630の天頂部650から押さえ付けられて、包装フィルム345が刃部730に喰い込んで破られる。このようにして上蓋630が締め終わる頃には、カートリッジ335は受け口720の底部に浮くことなくセットし終わっている。
【0062】
刃部730で破られた包装フィルム345は、刃部730が左右1対で少し離れて形成されていることから、破れた部分は切り取られることなく孔が開いており、この下は中蓋700の底孔740である。するとこの時からカップ340の中のプロテイン粉末300は底孔740よりぱらぱらと落ち始めるので、容器600の上蓋630を締めたならば、なるべく早くシェイクし始めることが望ましい。
【0063】
この調製容器を使用するにはS21~S24の使用のステップを踏む。図8で表すように、鎖線の辺りまで水を注いだ容器600の口610に中蓋700を被せる(S21)。次に中蓋700の受け口720にカートリッジ335を包装フィルム345の側を下にして置く(S22)。次に容器600の口610に上蓋630を被せて締める(S23)。容器600と上蓋630とは液密な状態となる。またこの時点で刃部730によって包装フィルム345が破られている。次に水がこれよりも上にある中蓋700のカートリッジ335に届くように容器600をシェイクする(S24)。水は中蓋700の底孔740からカートリッジ335のカップ340の中に出入りして、プロテイン粉末300を溶かしてプロテイン溶液となり下降する。このプロテイン溶液はシェイクが終わるまで撹拌され続ける。なおカートリッジ335は上蓋630の天頂部650によって上から押え付けられているため、受け口720から脱落することはまずない。
【0064】
シェイクが終わったら、上蓋630を捻って容器600から外して逆さまにして置く。上述のように上蓋630を容器600に被せて締めた際に、中蓋700のフランジ710の外周部が上蓋630の内周壁660にある程度きつく密着しているも、中蓋700そのものは容器600の口610に緩く嵌まっている。このため上蓋630を容器600から外す時には、中蓋700が上蓋630にくっ付いて来る。容器600から取り外した上蓋630を逆さまにして置くと、空となったカートリッジ335を納めた中蓋700も上蓋630の中にあるため、これ等の内側に付着しているプロテイン溶液の雫をあまり零さないようにすることが出来る。上蓋630と中蓋700とを別々に容器600から外すものよりは、取り扱いがずっと楽である。この後は水洗いをして、空のカートリッジ335は中蓋700から外して廃棄する。自然には容器600から上蓋630に付いたまま外せる中蓋700ではあるが、上蓋630から中蓋700を外すのは難しくない。
【実施例0065】
この実施例はこの発明の調製容器に使用するプロテイン飲料のカートリッジに関係し、特に実施例3のように刃部で包装フィルムを破るようにするカートリッジに関する。すなわちプロテイン粉末300の周りを気密性が高く型崩れしない薄い包装フィルム350で包んで一塊の個状体にしたものである。
【0066】
これを例えば実施例3の中蓋700の受け口720の中の刃部730の所に押し込み、この押し込む力で包装フィルム350を破るようにしてセットするのである。なお刃部の形や包装フィルムの破れやすい方向などの関係でセットに正しい向きがあるようにするのであれば、例えば受け口720の側に突起を設けておいて、これが入る溝を包装フィルム350の側に設けておくなどすれば良い。なお包装フィルム350は刃部730で破られるが、刃部がない受け口にセットするのであれば、例えばスプーンを用いて包装フィルム350を破るようにしても良い。或いはフラップ付きの包装フィルムの容器でフラップを剥すことで初めて開封することが出来るものであれば、これにプロテイン粉末300を詰めたものとして提供することが可能である。なお包装フィルムが型崩れし易いものであれば、内部に合成樹脂製の枠体を納めておいて、水流で潰されないようにすると良い。
【実施例0067】
この実施例は、プロテイン粉末300の周りに前記溶かす液に触れて溶ける皮膜である固形層355を有するカートリッジである。固形層355はプロテイン粉末300の表面のみを溶かして固めたものである。固形層355を周りに有するプロテイン粉末300は指やトングで摘まむのに好都合である。固形層355もプロテインであるから、水などの溶かす液に触れると溶けて破れてしまい、続いて内部のプロテイン粉末300も溶けるようになる。
【0068】
このように溶ける表皮であるから、プロテインのみならずビタミンCやクエン酸などのサプリメントや野菜の粉末による異種固形層としても良い。これを用いるとサプリメントが添加されたプロテイン飲料を手軽に作ることが出来るようになる。従ってサプリメントの種類毎のプロテインのカートリッジを並べて提供することが可能となる。
【実施例0069】
この実施例のカートリッジ360は、カップ365の中にプロテイン粉末300が納められており、カップ365の口に水溶性フィルム370と包装フィルム375とが、包装フィルム375の側を外側にして、水溶性フィルム370が外気や水分に触れないようにして、順次被せられて口の縁部に接着されている。包装フィルム375にはこれを剥離する端緒となる摘み380が設けられている。なおカップ365の中にサプリメントの粉末などを添加するようにしても良い。
【0070】
カートリッジ360を使用するには、摘み380を摘まんで包装フィルム375を剥して、水溶性フィルム370が露出するようにする。これがこの発明の調製容器でシェイクされると、溶かす液により水溶性フィルム370が溶かされ、溶かす液がプロテイン粉末300を溶かすことが出来るようになる。
【実施例0071】
この実施例は、プロテイン粉末を詰め替えて、繰り返して使用することが出来るカートリッジ800に関する。上述した実施例3のカートリッジ335は使い捨てである。またカートリッジ335は中蓋700の受け口720の刃部730の上にセットされて、上蓋630を締める過程で上蓋630に押さえ付けられることによって、包装フィルム345が刃部730に破られてプロテイン粉末300が露出すると言うものである。これを使い捨てではなく、詰め替えて何度でも使用出来るようにしたい。そうすれば詰め替える手間は掛かるが経済的である。またプロテイン粉末はきちんと軽量せずとも、カートリッジをとにかく満杯にすれば良いから考えなくて済む。
【0072】
そこでこの実施例では、詰替容器810とこの蓋部820とがネジ山850で着脱自在なカートリッジ800とした。蓋部820を外して、プロテイン粉末を詰替容器810に詰めて、また蓋部820を付ければ良いようにした。更に蓋部820は開閉部である所の扉830が、中央の開閉軸840から内側へ開閉自在となるように、左右一対で設けられている。
【0073】
一方この詰替容器810をセットする側であるが、例えば実施例3の中蓋700の受け口720であれば、刃部730の代わりに、扉830を内側へ押すことが出来る突出部を設けるようにする(図示せず)。するとカートリッジ800を蓋部820を下にして受け口にセットして上蓋を締めると、左右の扉830が上記突出部に押されて内側へ開いて、中身のプロテイン粉末が露出することになる。なお扉830のように中央の開閉軸840から開閉するものではなく、観音開きの扉のように開閉するものを取り付けることも可能である。なお更に実施例3は刃部730を有しているが、この刃部730を上記突出部として利用するようにしても良い。
【実施例0074】
この実施例は、コップのような飲料容器を下に置き、この上にプロテイン粉末のカートリッジをセットして使用する、プロテイン飲料の調製容器である。コップGを置く空間を有するサーバ900はその内部に、図示しない電動ポンプとこれを制御する制御装置とを備えている。制御装置のON/OFFは電源スイッチ990によって行う。電動ポンプの入口は図示しないミネラルウォーターのタンクに接続されており、出口は噴水口980に接続されている。噴水口980はコップの上方に位置しており、下向きにではなく上向きに噴水するように設けられている。制御装置は電動ポンプのON/OFFや、噴水の継続時間や、噴水の脈動などを制御することが出来る。なおサーバ900は家庭用電源に接続される。
【0075】
サーバ900は噴水口980の上方に、噴水を通したり、後述するプロテインの溶液を落としたりするための抽出口920が開けられた載置台910を有する。載置台910と言うのはカセット940を出し入れする際にカセット940が載って、手前側から奥側にスライドする台となるものである。カセット940は上側が開放されておりその外周部にフランジ970が形成されている。カセット940の底部中央に、プロテイン粉末300の周りにミネラルウォーターに触れて溶ける皮膜であるビタミンCの異種固形層385を有するカートリッジを置くための受け口950が設けられており、受け口950の内側には抽出口920に重なる底孔960が形成されている。なお載置台910の左右の壁面にはカセット940のフランジ970を載せる掛止レール930が設けられている。
【0076】
カセット940には更に、受け口950の壁面の内側に掛止突起955が設けられている。一方プロテイン粉末300を異種固形層385で包んだカートリッジの側面には掛止溝390が設けられており、ここに掛止突起955が嵌まるとカートリッジが正しい姿勢で置かれたことが分かるようになっている。
【0077】
この調製容器を使用するにはS31~S34の使用のステップを踏む。図14で表すようにサーバ900に空のコップGを置く(S31)。プロテイン粉末300を異種固形層385で包んだ一塊の個状体をカセット940の受け口950に正しい姿勢で取り付け、フランジ970を掛止レール930に載せるようにしてカセット940を奥側へスライドさせてセットを完了させ、電源スイッチ990をONにする(S32)。制御装置が電動ポンプを動作させてミネラルウォーターを噴水口980から脈流の状態で吹き上げ、異種固形層385を溶かして破る(S33)。するとプロテイン粉末300が溶け出し、このプロテイン溶液は抽出口920から落ちてコップGの中に溜るが、プロテイン粉末300が溶け終わってもなお数秒ほどは、カセット940や噴水口980を洗浄するために脈流ではない噴水を続けて、電動ポンプを停止する(S34)。サーバ900からコップGを取り出したら、マドラーMで掻き混ぜるようにすると良い。カセット940は必要に応じて水洗いする。なお抽出口920から落ちるプロテイン溶液は吹き上がって来るミネラルウォーターに当たって更に撹拌される作用が見られる。また制御装置の設定として、電動ポンプを停止するまでにコップGには鎖線で表す辺りまでプロテインの溶液が溜るようになっている。なおこの調製容器に電動式の撹拌装置を設けてコップGに溜ったプロテインの溶液を撹拌させるようにすることも可能である。
【0078】
この実施例は、家庭は勿論のこと、スポーツジムやコンビニエンスストアなどと言った人が多く集まる所で使用して、プロテイン飲料を素早く提供し容易に後片付けをすることが出来る。なお基本の溶かす液となるミネラルウォーターにクエン酸などのサプリメントを混入する使用法もある。
【実施例0079】
この実施例は、オブラートの水溶性フィルム395のカプセルの中に、プロテイン粉末300と空気Aとを閉じ込めて成るものである。更に必要に応じてビタミンCやクエン酸などのサプリメントや野菜の粉末などを含めることが出来る。
【0080】
空気Aが入っているために、水などの溶かす液の中に投入すると水に浮くが、次第次第に水溶性フィルム395が水に溶けてカプセルが破れ、プロテイン粉末300が水に触れるようになる。そこで蓋付きの容器に水を注ぎ、この容器の中に上記カプセルを投入したら、蓋を閉めて容器をシェイクする。蓋を閉めたならばなるべく早くシェイクし始めることが望ましい。
【0081】
この実施例では上記カプセルがその中の空気Aによって水の液面に浮くことが出来る。カプセルはこの発明の受け部であると捉えることが出来る。しかも水の最上部である水面にカプセルを浮かせておいて、容器を振ることによって(プロテインに水を注ぐのではなく水の入った容器を振るのである)、プロテインが跳ね上がった水に接触して溶け出し、撹拌されてプロテイン溶液が得られる。従来は容器の底にプロテインを入れた場合では、撹拌よりも前にプロテインが水に接触しており、だまになりやすく溶けにくい環境が生じてしまっていた。これに対しておおよそ撹拌する頃にプロテインが水と接触し始めることから、だまになりにくく溶けやすいと言う作用を生ずる。また撹拌時に従来は容器の底でプロテインが水に接触して撹拌されていた。これに対してこの実施例では、水の最上部である水面でプロテインが水に接触しつつ、容器の中を上下に振られつつ降下する、と言うような状況を生ずるため、プロテイン全体が水に良く触れて良く溶けると言う作用が見られるのである。
【実施例0082】
次にこの実施例10は図面を用いずに説明する。実施例2では容器400に中蓋500を載せてその上から上蓋430を液密に閉じることが出来た。中蓋500に受け口520を設けてここにカートリッジ315を止めていた。カートリッジ315はプロテイン粉末300を納めたカップ320の口に包装フィルム330を接着したものであり、この包装フィルム330はシェイクの直前に指で剥し取られるようになっていた。
【0083】
これに倣って次のような実施例を提供することが出来る。すなわちカートリッジ315を用いることなく、中蓋に、受け口520の代わりに、プロテイン粉末300を直接盛るためのカップを設けるのである。このカップに、一杯分のプロテイン粉末300を納めた例えばスティック状の包装袋からプロテイン粉末300を移し、上蓋430を閉じてから容器をシェイクすれば実施例2と同様に良く溶けたプロテイン溶液を得ることが出来る。容器に水は入れてあり、水よりも上に来る中蓋はセットしてあり、プロテイン粉末300は中蓋のカップに移してあるので、後は上蓋を閉じてシェイクするだけである。このプロテイン溶液はシェイクが終わるまで撹拌され続ける。またプロテイン粉末300は一度の動作で包装袋から上記カップに移すことが可能である。
【0084】
なおこの発明は上述の実施例に限定されないから、例えばWO2007/123113のような顆粒状プロテインにも適用可能である。また実施例3では、上蓋630を被せて捩じるように操作すると、カートリッジ335のカップ340の底部が上蓋630の天頂部650から押さえ付けられて、包装フィルム345が刃部730に喰い込んで破られるように構成されていた。そこでこれに倣い、例えば顆粒状プロテインを壊れやすく固めて成るカートリッジを、容器の内側の上部に於いて蓋で締め付けて壊してからシェイクするような方式も考えられる。
【0085】
実施例3では蓋を捩じって締める構成の容器に付いて、蓋の裏側がカートリッジに接触するとカートリッジに回転力を加えてしまうような場合があることを説明した。この現象を利用して、カートリッジの底に、羽根型の複数枚の板を組み合わせて中心部の穴の大きさを連続的に変える仕組み、すなわち虹彩絞りの構成を有する遮蔽版を取り付けるようにすることが出来る。蓋を捩じって締めた時に、蓋の裏側がカートリッジに接触してカートリッジに回転力が加わるが、この回転力を利用して虹彩絞りの遮蔽版が開放され、カートリッジに詰められたプロテイン粉末が露出するような構成とするのである。なお遮蔽版の開閉を回転式やスライド式などとして、これを手動で開放してプロテイン粉末を露出させるような方式とすることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0086】
この発明では、溶かしたいものを、容器に入れる溶かす液の液面から上に配置するようにした。これによって溶かしたいものがだまになりにくく溶けやすくなった。また溶かしたいものが個状体であれば粉末の場合の量って容器に移す作業の繰り返しの必要がなくなり、何杯量って容器に入れたかを忘れてゼロから量り直しになると言うような面倒も無くなった。このようであるからこの発明の産業上の利用価値は極めて高い。なおこの発明は抽出の分野にも道を拓くものである。
【符号の説明】
【0087】
100:容器 110:口 120:ネジ山
130:蓋 140:ネジ山 150:取付溝
160:掛止突起
200:籠 210:天板 220:孔
230:装着口 240:堤
300:プロテイン粉末 305:カートリッジ 310:水溶性フィルム
315:カートリッジ 320:カップ 325:ネジ山
330:包装フィルム 335:カートリッジ 340:カップ
345:包装フィルム 350:包装フィルム 355:固形層
360:カートリッジ 365:カップ 370:水溶性フィルム
375:包装フィルム 380:摘み 385:異種固形層
390:掛止溝 395:水溶性フィルム
400:容器 410:口 420:ネジ山
430:上蓋 440:段部 450:天頂部
460:内周壁 470:ネジ山
500:中蓋 510:フランジ 520:受け口
530:ネジ山 540:底孔
600:容器 610:口 620:ネジ山
630:上蓋 640:段部 650:天頂部
660:内周壁 670:ネジ山
700:中蓋 710:フランジ 720:受け口
730:刃部 740:底孔
800:カートリッジ 810:詰替容器 820:蓋
830:扉 840:開閉軸 850:ネジ山
900:サーバ 910:載置台 920:抽出口
930:掛止レール 940:カセット 950:受け口
955:掛止突起 960:底孔 970:フランジ
980:噴水口 990:電源スイッチ
S1~S4:使用のステップ
S11~S14:使用のステップ
S21~S24:使用のステップ
S31~S34:使用のステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16