IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ゼンリンデータコムの特許一覧

特開2022-159312ナビゲーション装置、表示方法、プログラム
<>
  • 特開-ナビゲーション装置、表示方法、プログラム 図1
  • 特開-ナビゲーション装置、表示方法、プログラム 図2
  • 特開-ナビゲーション装置、表示方法、プログラム 図3
  • 特開-ナビゲーション装置、表示方法、プログラム 図4
  • 特開-ナビゲーション装置、表示方法、プログラム 図5
  • 特開-ナビゲーション装置、表示方法、プログラム 図6
  • 特開-ナビゲーション装置、表示方法、プログラム 図7
  • 特開-ナビゲーション装置、表示方法、プログラム 図8
  • 特開-ナビゲーション装置、表示方法、プログラム 図9
  • 特開-ナビゲーション装置、表示方法、プログラム 図10
  • 特開-ナビゲーション装置、表示方法、プログラム 図11
  • 特開-ナビゲーション装置、表示方法、プログラム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159312
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置、表示方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20221006BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20221006BHJP
   G08G 1/137 20060101ALI20221006BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20221006BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20221006BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20221006BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20221006BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20221006BHJP
【FI】
G01C21/34
G01C21/26 B
G08G1/137
G09B29/00 Z
G09B29/10 A
G16Y40/60
G16Y20/20
G16Y10/40
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116097
(22)【出願日】2022-07-21
(62)【分割の表示】P 2018153521の分割
【原出願日】2018-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】窪田 慎
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 寿郎
(57)【要約】
【課題】通信できない状況に対応したナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、ナビゲーション装置が保持する第2の地図データを記憶する地図データ記憶手段と、前記情報処理装置から前記第2の地図データよりも情報が新しい第1の地図データを取得する地図データ取得手段と、前記情報処理装置との通信が可能か否かを判断する通信判断手段と、前記通信判断手段が前記情報処理装置との通信が可能であると判断した場合、前記第1の地図データに基づく地図を表示装置に表示させ、前記通信判断手段が前記情報処理装置との通信が可能でないと判断した場合、前記第2の地図データに基づく地図を表示装置に表示させる表示処理手段と、を有するナビゲーション装置を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して情報処理装置と通信し、前記情報処理装置が管理する第1の地図データを取得することができるナビゲーション装置であって、
前記ナビゲーション装置が保持する第2の地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
前記情報処理装置から前記第2の地図データよりも情報が新しい前記第1の地図データを取得する地図データ取得手段と、
前記情報処理装置との通信が可能か否かを判断する通信判断手段と、
前記通信判断手段が前記情報処理装置との通信が可能であると判断した場合、前記第1の地図データに基づく地図を表示装置に表示させ、前記通信判断手段が前記情報処理装置との通信が可能でないと判断した場合、前記第2の地図データに基づく地図を表示装置に表示させる表示処理手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
ネットワークを介して情報処理装置と通信し、前記情報処理装置が管理する第1の地図データを取得することができるナビゲーション装置が行う表示方法であって、
前記情報処理装置との通信が可能か否かを判断するステップと、
前記情報処理装置との通信が可能でないと判断された場合、前記ナビゲーション装置が地図データ記憶手段に保持する第2の地図データに基づく地図を表示装置に表示させるステップと、
前記情報処理装置との通信が可能であると判断された場合、前記情報処理装置から前記第2の地図データよりも情報が新しい前記第1の地図データを取得するステップと、
前記第1の地図データに基づく地図を表示装置に表示させるステップと、
を有することを特徴とする表示方法。
【請求項3】
ネットワークを介して情報処理装置と通信し、前記情報処理装置が管理する第1の地図データを取得することができるナビゲーション装置に、
前記情報処理装置との通信が可能か否かを判断するステップと、
前記情報処理装置との通信が可能でないと判断された場合、前記ナビゲーション装置が地図データ記憶手段に保持する第2の地図データに基づく地図を表示装置に表示させるステップと、
前記情報処理装置との通信が可能であると判断された場合、前記情報処理装置から前記第2の地図データよりも情報が新しい前記第1の地図データを取得するステップと、
前記第1の地図データに基づく地図を表示装置に表示させるステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、表示方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両などに搭載されるナビゲーション装置は、単体でナビゲーションが可能なようにプリインストールされている地図データを利用して経路検索を行ったり電子地図を描画したりすることが可能である。また、近年では無線の通信コストが下がったことから、車両に通信装置が搭載される場合があり、通信により各種のサービスを乗員などのユーザに提供するコネクティッドカーと呼ばれる車両も普及し始めている。コネクティッドカーに明確な定義はないが、インターネットなどのネットワークに接続することをできるものを指す場合もあるし、車両の何からの情報を送信したり受信した情報を車両等が利用したりするものを指す場合もある。
【0003】
地図データには道路や各種のPOI(Point Of Interest)が含まれているが、新しい道路の建設やPOIの統廃合は絶えず行われるため、ナビゲーション装置にプリインストールされている地図データが実際の状況に対し古くなってしまう。無線通信を利用して地図データのアップデートが可能になっているナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、リンクごとにリンクデータが更新された日時と更新の影響範囲をサーバで管理しておき、端末が指定する領域のリンク及び更新後のリンクをサーバが端末に送信する技術が開示されている。このようにプリインストールされている地図データのうち一部を更新することを差分更新という。差分更新では、変更があった地図データのみが送信されるので通信負荷が少なくて済み、ユーザは最新の地図データを利用できるようになる。また、地図データの無線配信はコネクティッドカーへの適用も容易である。
【0004】
しかしながら、従来の差分更新では主に道路ネットワークの地図データのみしか提供されないので、POIについては地図データと実際の状況とが異なる状態が続くおそれがあった。
【0005】
一方、無線通信を用いた地図データの別の提供方法も考案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2には、サーバのルート検索結果にしたがって走行するために必要なメッシュを特定し、端末が必要なメッシュの地図データのみを取得するナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2006/011278号
【特許文献2】特開2003-77095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に開示されたナビゲーション装置では、通信できない状況が考慮されていないという問題がある。例えば、無線通信が途中オフラインとなった場合、ナビゲーション装置はサーバから地図データを取得できないので、経路を逸脱してしまった場合などでは、バージョンが異なる地図データが存在することになり、隣り合ったメッシュの境界で地図描画用データの不整合が生じる可能性が高い。つまり、建物、注記データ、道路などが境界でずれたり色合いが変わったりするおそれがある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、通信できない状況に対応したナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ネットワークを介して情報処理装置と通信し、前記情報処理装置が管理する第1の地図データを取得することができるナビゲーション装置であって、前記ナビゲーション装置が保持する第2の地図データを記憶する地図データ記憶手段と、前記情報処理装置から前記第2の地図データよりも情報が新しい前記第1の地図データを取得する地図データ取得手段と、前記情報処理装置との通信が可能か否かを判断する通信判断手段と、前記通信判断手段が前記情報処理装置との通信が可能であると判断した場合、前記第1の地図データに基づく地図を表示装置に表示させ、前記通信判断手段が前記情報処理装置との通信が可能でないと判断した場合、前記第2の地図データに基づく地図を表示装置に表示させる表示処理手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
通信できない状況に対応したナビゲーション装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】オンライン時とオフライン時のナビゲーション装置35の動作を説明する図の一例である。
図2】ナビゲーションシステムのシステム構成図の一例である。
図3】ナビゲーション装置の種類を説明する図の一例である。
図4】サーバ及びナビゲーション装置のハードウェア構成図の一例である。
図5】ナビゲーションシステムが有するサーバとナビゲーション装置の機能をブロック状にして説明する機能ブロック図の一例である。
図6】ナビゲーション装置が起動した際に電子地図を表示する手順を示すフローチャート図の一例である。
図7】最新地図からプリイン地図への切り替え時における電子地図の描画方法を説明する図である。
図8】最新地図からプリイン地図への切り替え時における電子地図の描画方法を説明するフローチャート図の一例である。
図9】プリイン地図から最新地図への切り替え時における電子地図の描画方法を説明するフローチャート図の一例である。
図10】経路検索におけるオンライン時とオフライン時のナビゲーション装置の動作を説明する図の一例である。
図11】ユーザが経路検索した際のナビゲーション装置の動作を示すフローチャート図の一例である。
図12】エリア1とエリア2の描画範囲を説明する図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
<本実施形態のナビゲーション装置の動作の概略>
まず、図1を用いて本実施形態のナビゲーション装置35の動作の概略を説明する。図1はオンライン時とオフライン時のナビゲーション装置35の動作を説明する図の一例である。図1(a)はオンライン時のナビゲーション装置35の動作を示し、図1(b)はオフライン時のナビゲーション装置35の動作を示す。
【0014】
ナビゲーション装置35には全国を網羅した地図データがプリインストールされている。以下、この地図データをプリイン地図データという。図1のナビゲーション装置35はいわゆるコネクティッドカーに搭載されることが想定されており、サーバ31と無線で通信することができる。サーバ31の地図データは適宜、最新の地図データに更新されている。以下、この地図データを最新地図データという。ナビゲーション装置35は最新地図データのうち地図描画用データをメッシュ単位でサーバ31から取得できる。なお、サーバ31は最新地図データのうち道路ネットワークデータを用いた経路検索の機能も有しているがこれについては後述する。
【0015】
・オンライン時
ナビゲーション装置35がサーバ31と無線で通信できる状態をオンラインと称し、ナビゲーション装置35は通信が可能であることを利用してサービスを提供する。オンライン時のナビゲーション装置35は、サーバ31から取得した最新地図データと経路情報(経路を表す一連の座標点列)に基づくナビゲーションを行う。すなわち、最新地図データの必要な領域の地図描画用データをサーバ31から取得する。必要な領域とは、自車位置周辺、目的地周辺、及び、目的地までの経路周辺などであるが、ユーザがスクロールさせるなどして表示させる領域は必要な領域となる。
本実施形態のナビゲーション装置35は、プリイン地図データに基づくプリイン地図を描画エリアのエリア2に常に描画している。プリイン地図データはほぼ全国を網羅しているため、本実施形態の説明上、表示できない領域はないものとする。ただし、コスト等が考慮された結果、一部地域の地図データが省略されていてよい。一方、ナビゲーション装置35は、メッシュ単位で取得した最新地図データの最新地図データに基づく最新地図を描画エリアのエリア1に描画する。描画エリアとはVRAM(Video RAM)などの描画メモリに相当する。本実施形態ではエリア1の方がエリア2よりも優先して表示される。エリア1とエリア2の地図データはどちらも同じ画面に表示され、エリア1とエリア2の地図データが切り替えて表示される。簡単のため、エリア1とエリア2には同じ領域の電子地図が描画されるものとするが、異ならせることも可能である。
【0016】
したがって、オンライン時のナビゲーション装置35は最新地図を描画するため、表示装置は最新地図を表示した状態になる。つまり、ユーザは最新地図を利用できる。
【0017】
なお、本実施形態のナビゲーション装置35は、プリイン地図データの地図描画用データを最新地図データの地図描画用データで更新しない。つまり、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発メモリのプリイン地図データの全体が残ったまま、それとは別に、最新地図データの地図描画用データが記憶される。
【0018】
・オフライン時
ナビゲーション装置35がサーバ31と無線で通信できない状態をオフラインと称し、オフライン時のナビゲーション装置35はプリイン地図データに基づくナビゲーションを行う。ユーザが必要とする領域の最新地図が不揮発メモリに記憶されていても、最新地図データの地図描画用データは使用されない。
【0019】
オフライン時のナビゲーション装置35は描画エリアのエリア1に最新地図を描画しない。このため、最新地図は非表示になり、常に描画エリアのエリア2に描画されているプリイン地図が表示装置に表示される。すでにサーバ31から取得されている最新地図データの地図描画用データは不揮発メモリに記憶されたままとなる。なお、サーバ31から取得された最新地図データの地図描画用データを保持することを「キャッシュ」という場合がある。
【0020】
以上のような構成によれば、以下の効果を奏することができる。
・まず、描画エリアのエリア2には常にプリイン地図が描画されているので、無線通信がオフラインとなった場合、遅延なく(最小の遅延があることを含む)プリインストールされているプリイン地図に切り替えて表示できる。ユーザが地図をスクロールさせ、サーバ31から取得されていない領域をユーザが表示させたとしても、遅延なくプリイン地図に切り替えて表示できる。
・また、描画エリアのエリア1とエリア2の地図が切り替えて表示されるため、バージョンが異なる地図データが1つの画面に混在することがない。つまり、プリイン地図と最新地図が同時に表示装置に表示されることがないため、メッシュの境界で道路ネットワークの接続関係に不整合が生じることがない。換言すると、道路の接続関係の不整合を解消するための労力が不要になる。道路ネットワークだけでなく電子地図を描画するための地図描画用データについてもバージョンが異なる地図データのメッシュの境界で地図描画用データの不整合が生じるおそれがない。
【0021】
<用語について>
描画エリアのエリア2に「常に」プリイン地図が描画されていると説明したが、車両の移動やユーザのスクロール操作によって表示装置の表示範囲が切り替わる瞬間など、一時的に描画されない状態は生じうる。また、描画エリアのエリア1の描画が優先され、エリア2の描画が時間的に後の場合、エリア1の描画に要する時間、エリア2にプリイン地図が描画されない状態が生じうる。このように「常に」とは、エリア1からエリア2への切り替わり時に遅延がないとユーザが感じられる程度であれば、描画されていない状況を含む。
【0022】
また、オフラインとは、完全に通信できない状態の他、最新地図データの受信に一定以上の時間がかかる場合を含む。例えば、通信帯域が閾値未満の場合をオフラインと称してよい。
【0023】
<システム構成例>
図2は、本実施形態にかかるナビゲーションシステム100のシステム構成図の一例である。ナビゲーションシステム100は、ネットワーク34を介して通信可能に接続されたサーバ31及びナビゲーション装置35を有している。
【0024】
ネットワーク34は、回線事業者が提供する携帯電話網等の主に無線の回線(3G、4G,LTE、無線LAN、WiMAX等)及び、種々の回線をインターネットに接続するプロバイダのプロバイダネットワーク等により構築されている。サーバ31は例えばデータセンタ等の施設に配置されているため室内のLANや広域イーサネット(登録商標)などを含んでいてもよい。また、いわゆるインターネットも含まれる。ネットワーク34は有線又は無線のどちらで構築されてもよく、また、有線と無線が組み合わされていてもよい。
【0025】
また、ネットワーク34にはアクセスポイントなどの基地局32が接続されており、ナビゲーション装置35は無線で基地局32に接続することでネットワーク34に接続する。ナビゲーション装置35は無線で構築される通信網を介して基地局32と通信する。
【0026】
サーバ31は、ナビゲーション装置35に対し、ナビゲーションに関するサービス・機能を提供する。例えば、ナビゲーション装置35から現在地の位置情報を取得して、現在地周辺の最新地図データの地図描画用データをナビゲーション装置35に送信する。また、出発地と目的地(2点間)の位置情報と共に経路検索要求を取得すると、経路を検索し経路情報と案内情報をナビゲーション装置35に送信する。
【0027】
ネットワーク34にはナビゲーション装置35が接続され得る。接続とは、上記のオンライン状態になることをいう。サーバ31と通信するナビゲーション装置35は1台とは限らず、複数のナビゲーション装置35がサーバ31からサービス・機能の提供を受けられる。
【0028】
ナビゲーション装置35は移動体9に搭載して使用される。図2の移動体9は内燃機関又は電気モータの少なくとも一方を動力として走行する車両である。車両には、四輪車だけでなく自動二輪車も含まれる。また、近年では、1~2人乗りのモビリティ(コミュータ)も車両として市販されている。船舶を含めてもよい。また、動力がない、自転車(電動アシストを含む)、及び、軽車両なども移動体9である。また、歩行者について本実施形態のナビゲーション装置35を利用できないとするものではない。歩行者がナビゲーション装置35を携帯して移動することもできる。
【0029】
ナビゲーション装置35は単体で(サーバ31がなくても)ナビゲーションの機能を有している。すなわち、出発地から目的地までの経路を検索して道路地図に設定し、ディスプレイやHUD(Head Up Display)などの表示装置に表示された電子地図に経路と現在地を表示したり、経路に基づいて進路変更の手前で音声案内や電子地図上のアニメーションなどで適切な進路を案内したりする。車両に搭載されると「カーナビゲーション装置」と呼ばれる場合がある。次述するように、車両に搭載される専用のナビゲーション装置35だけでなく、スマートフォンやタブレットなどがアプリを実行してナビゲーションを行う汎用型のナビゲーション装置35がある。
【0030】
図3は、ナビゲーション装置35の種類を説明する図の一例である。ナビゲーション装置35は、専用端末352の場合と汎用的な情報処理端末351の場合とがある。
【0031】
専用端末352としてのナビゲーション装置35は、AV(Audio Visual)機能を有していてよい。AV機能とは、ラジオ・テレビで放送されたコンテンツ又はDVDなどの記憶媒体に記憶されたコンテンツを再生したり、カメラで撮像した周囲の映像を表示したりする機能である。また、ネットワーク34に接続してインターネット上のWebページを表示する機能を有していてよい。ナビゲーション機能とAV機能を併せてAVN機能という場合がある。
【0032】
汎用的な情報処理端末351としてのナビゲーション装置35は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートPC、及び、ウェアラブルPC(例えば、腕時計型、サングラス型など)などである。汎用的なナビゲーション装置35はこれらに限定されるものではなく、ナビ画面の表示や経路案内に適切な装置であればよい。これら汎用的な情報処理端末351は、普段は汎用的な情報処理装置として利用されるが、ナビゲーションのためのアプリケーションソフトウェアを実行すると、専用端末352と同様、経路検索及び経路案内等を行う。
【0033】
汎用的な情報処理端末351が実行するアプリケーションソフトウェアはナビゲーションに専用のアプリケーションソフトウェアの場合とWebブラウザの場合のどちらでもよい。
【0034】
また、ナビゲーション装置35は、汎用的な情報処理端末351と専用端末352のどちらの場合でも、移動体9に搭載された状態と携帯可能な状態の切り替えが可能であってもよい。
【0035】
<ハードウェア構成>
図4は、サーバ31及びナビゲーション装置35のハードウェア構成図の一例である。サーバ31及びナビゲーション装置35は情報処理装置の機能を有している。図4(a)に示すように、サーバ31は、ハードウェア構成として、CPU(Central Processing Unit)211、ROM(Read Only Memory)215、RAM(Random Access Memory)216、補助記憶装置217、及び、通信装置214を有する。
【0036】
また、図4(b)に示すように、ナビゲーション装置35は、ハードウェア構成として、CPU211、ROM215、RAM216、補助記憶装置217、入力装置212、表示装置213、通信装置214、音声入出力装置218、及び、GPS受信装置219を有する。
【0037】
CPU211は、各種プログラムの実行や演算処理を行う。ROM215には、起動時に必要なプログラムなどが記憶されている。RAM216は、CPU211での処理を一時的に記憶したり、データを記憶したりする作業エリアである。補助記憶装置217は、各種データ及びプログラム2101、2102を格納する不揮発性のメモリである。
【0038】
ナビゲーション装置35の入力装置212は、キーボードやマウスに代え又はこれらに加えて、画面に対する接触位置(タッチ座標)を検知可能なタッチパネルにより実現されうる。また、入力装置212は、音声入出力装置218が入力させた音声を認識する音声認識装置としての機能を有していてもよい。
【0039】
表示装置213は、ディスプレイやプロジェクタ、HUDであり、例えば、ナビ画面等が表示される。通信装置214は、基地局32を介してネットワーク34に接続しサーバ31等との通信を行う。音声入出力装置218は、音声の入出力を行う装置であり、例えば、ナビゲーションの音声ガイダンスが出力される。GPS受信装置219は、GPS衛星の電波を受信して現在地を算出するGNSS(Global Navigation Satellite System)の一例である。
【0040】
サーバ31又はナビゲーション装置35の補助記憶装置217に記憶されているプログラム2101,2102は、USBメモリなどの記憶媒体に記憶された状態で配布される。あるいは、プログラムを配布する配信サーバからナビゲーション装置35がダウンロードすることで配布される。ナビゲーション装置35のプログラム2102は、経路案内に専用のアプリケーションソフトウェアでもよいし、ブラウザソフトウェアでもよい。また、実行形式で配布されてもインストール用の形式で配布されてもよい。
【0041】
なお、サーバ31にはクラウドコンピューティングが適用されていてよい。クラウドコンピューティングとは、特定ハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される利用形態をいう。クラウドコンピューティングの物理的な構成に厳密な定義はないが、情報処理装置を構成するCPU、RAM、ストレージなどのリソースが負荷に応じて動的に接続・切断されることで情報処理装置の構成や設置場所が柔軟に変更されることをいう。また、クラウドコンピューティングでは、サーバ31が仮想化されることが一般的である。一台の情報処理装置が仮想化によって複数のサーバ31としての機能を提供することや、複数の情報処理装置が仮想化によって一台のサーバ31としての機能を提供することができる。
【0042】
したがって、図示したサーバ31のハードウェア構成は、1つの筐体に収納されていたり一まとまりの装置として備えられていたりする必要はなく、サーバ31が備えていることが好ましいハード的な要素を示す。なお、サーバ31がクラウドコンピューティングとしてではなく単独の情報処理装置により提供されることも可能である。
【0043】
<機能構成例>
次に、図5を用いてナビゲーションシステム100の機能を説明する。図5は、ナビゲーションシステム100が有するサーバ31とナビゲーション装置35の機能をブロック状にして説明する機能ブロック図の一例である。
<<サーバについて>>
サーバ31は、第2受信部11、経路検索部12、経路情報生成部13、案内情報生成部14、地図データ提供部15、及び、第2送信部16を有している。これらの各機能は図4(a)に示したCPU211がプログラム2101を実行してサーバ31のハードウェアと協働することで実現される機能又は手段である。これらの機能の一部又は全てがICなどのハードウェア回路により実現されてもよい。
【0044】
また、サーバ31は、図4(a)に示した補助記憶装置217、ROM215又はRAM216により構築される記憶部20を有している。記憶部20には、地図描画DB17、道路ネットワークDB18、及び、施設情報DB19が構築されている。これらの各DBは、サーバ31が直接有していなくてもよく、サーバ31がアクセス可能なネットワーク34上の任意の場所にあればよい。
【0045】
まず、各データベースについて説明する。
【0046】
【表1】

表1は、地図描画DB17に格納されている地図描画用データを模式的に示す。地図描画DB17は、最新地図データのうち電子地図をナビゲーション装置35が描画するための地図描画用データを記憶している。電子地図に表示される情報には、都道府県などの区画、緑地や河川、道路や鉄道、記号や注記など多くの表示対象があるため、性質の似たものに分類し各分類の表示対象ごとに描画できるようになっている。それぞれに分類された表示対象又は表示対象が描画された状態をレイヤーといい、電子地図はいくつかのレイヤーを重ねることで描画される。各レイヤーの地図データは、ベクトルデータ又はラスターデータのうち表示対象に適したフォーマットで記述されている。表1のデータファイルには、各レイヤーのデータが含まれている。
【0047】
表1に示すように、地図描画用データは経度・緯度などの領域ごとにメッシュ状に区切られており、1つ以上のメッシュを結合して1画面の電子地図が作成される。ベクトルデータの場合は、緯度・経度でポイント、ポリライン、ポリゴンの位置が定められている。また、ラスターデータの場合は緯度・経度に対応づけて縮尺に応じたデータが用意されている。最新地図データをベクトルデータとすることで通信負荷を低減できる。更新情報には最後に最新地図データが更新されたのがいつであるかメッシュごとに保持されている。
【0048】
このように、地図描画DB17の地図描画用データはメッシュに区切られメッシュIDに対応付けられており、最新地図データの地図描画用データがナビゲーション装置35に送信される際は、メッシュごとに送信される。
【0049】
【表2】

表2は道路ネットワークDB18の構成を模式的に示す。道路ネットワークDB18には、最新地図データのうち車両が通行可能な車道の構造を表す道路ネットワークデータであり、表2(a)のノードテーブルと表2(b)のリンクテーブルとが相互に参照可能な構造で保持されている。ノードテーブルには、ノードを識別するためのノードID、ノードの座標(緯度・経度)、及び、更新情報が登録されている。ノードとは道路網表現上の結節点である。具体的にはノードは例えば交差点、分岐点、合流点、屈曲点などであるが、道路の名称が変わる場合など直線の一部に設定される場合もある。ノードIDが分かればノードに繋がっているリンクがリンクテーブルから判明するので、ノードテーブルとリンクテーブルを相互に参照することで経路を検索できる。更新情報は最後にいつノードが更新されたのかを示す。
【0050】
また、リンクテーブルにはリンクを識別するためのリンクID、リンクの始点ノード、リンクの終点ノード、リンク長、幅員、道路種別、セクションID、制限速度などの法規、メッシュID、及び、更新情報などが登録されている。リンクとはノードとノードを結ぶ道路を表し、リンクはノード同士を結ぶ線分となる。道路種別は、例えば国道、一般道、県道、高速道路、自動車専用道路、トンネル、私道など、道路の種類をいう。セクションとは、ある程度のリンクをひとまとめに扱うための単位である。1つのセクションは、例えば以下のように決定される。リンク2つ分又はリンク3つ分などのように予め決めたルールにしたがって定められる。また、おおよそ数百メートル分のノードやリンクを1つのセクションとしてよい。また、道路種別や、丁目、番地、号などの区切りでセクションも切り替わるようにセクションが設定されてよい。法規には、車両が守るべき交通規則が登録されている。更新情報についてはノードテーブルと同様である。
【0051】
施設情報DB19の詳細は省略するが、施設情報DB19には業種名、店舗名、住所、郵便番号、電話番号、施設座標、及び、アイコンなどが対応づけて登録されている。
【0052】
(サーバが有する機能について)
続いて、サーバ31が有する機能について説明する。第2受信部11は、ナビゲーション装置35からナビゲーションに関する種々の要求を受け付ける。この要求は、例えば、最新地図データの地図描画用データを要求するための現在地、目的地、又は、任意の位置などの位置情報である。また、出発地と目的地を指定した経路検索要求の場合もある。このほか、サーバ31が有する各種の機能の提供の要求を受け付ける。第2受信部11はこれらの要求を経路検索部12及び地図データ提供部15に振り分ける。
【0053】
経路検索部12は、経路検索要求に含まれる出発地から目的地までの経路を検索する。目的地が施設名や住所等で与えられた場合は施設情報DB19を検索し、目的地の位置である施設座標を取得する。経路検索部12は、経路検索要求に対し最新地図データの道路ネットワークデータが記憶された道路ネットワークDB18を用いて、出発地と目的地の経路を検索し検索結果を作成する。検索結果は、車両が走行するリンク又はノードが順番に設定されたリストである。なお、経路検索には、リンク長や幅員、渋滞状況をコストに換算して、出発地から目的地までのコストの合計が最も少なくなる経路を選ぶダイクストラ法及びA-Star法が知られている。検索結果は経路情報生成部13に送出される。
【0054】
経路情報生成部13は、経路情報を生成する。本実施形態の経路情報は検索結果に含まれるリンクを座標で表した座標点列である。すなわち、各リンクを一定間隔で緯度、経度の座標に変換し、出発地から目的地までの座標を移動する順番に配列したものを座標点列とする。座標は地図データのバージョンが変わっても地図データに存在するので、ナビゲーション装置35は地図データのバージョンに関わりなく同じ経路情報で経路を描画できる。これに対し、経路情報としてリンクのリストが送信された場合、リンクIDが地図データのバージョンによって異なる場合があるため、ナビゲーション装置35が経路を描画することが困難になるおそれがある。
【0055】
案内情報生成部14は、経路の検索結果に基づいてユーザを誘導するための案内情報を生成する。案内情報とは案内ポイントと、各案内ポイントでユーザを経路に沿って移動させるための情報である。案内情報生成部14は、リンクとリンクのなす角を算出して、閾値以上の角度で進路を変更するノードを特定する。このノードの所定距離(例えば数km、数100m、数10m、直前等)手前が案内ポイント(位置)である。1つの進路変更機会に対しノートまでの距離に応じた複数の案内が行われることが多い。案内ポイントが右左折の場合は例えば「○メートル先、右折です。」などの音声メッセージ(音声データ又はテキストデータ)を設定する。大きな交差点では、3D表示のアニメーションが用意されており、案内情報では案内ポイントにアニメーション等が対応付けられる。なお、案内ポイントは、無案内区間が長時間にならないようにするための通過ノード(直進ノード)で設定される場合もある。ナビゲーション装置35は案内ポイントを使って音声や映像で経路を案内する。案内情報は地図データ提供部15に送出される。
【0056】
地図データ提供部15は、最新地図データの地図描画用データを要求するための位置情報に対してはその位置の周辺の最新地図データの地図描画用データを地図描画DB17から取得する。また、経路情報(又は検索結果のいずれでもよい)に対しては、経路が通過する(経路情報のリンクが含まれる)全てのメッシュの最新地図データを地図描画DB17と道路ネットワークDB18から取得する。
【0057】
第2送信部16は、最新地図データの地図描画用データ、経路情報、及び、案内情報をナビゲーション装置35に送信する。最新地図データの地図描画用データ及び経路情報を用いた電子地図の描画はナビゲーション装置35が行うため、最新地図データの地図描画用データ、経路情報、及び、案内情報は、ナビゲーション装置35が実行するためのプログラムコードとデータという形式である。一方、最新地図データの地図描画用データがラスターデータで提供される場合は、GIF、BMP、JPEGなどの画像データとプログラムコード(経路情報、及び、案内情報)が送信される。ナビゲーション装置35がブラウザアプリケーションを実行する場合、プログラムコードとしてはJavaScript(登録商標)が知られている。
【0058】
<<ナビゲーション装置について>>
続いてナビゲーション装置35の機能又は手段について説明する。ナビゲーション装置35は、第1送信部41、情報要求部42、位置検出部43、操作受付部44、最新地図データ管理部45、第1受信部46、経路案内部47、ナビ画面描画部48、描画エリア49、経路検索部51、通信判断部52、表示制御部53、及び、表示処理部57を有している。これらは、図4(b)に示したCPU211がプログラム2102を実行してナビゲーション装置35のハードウェアと協働することで実現される機能又は手段である。これらの機能の一部又は全てがICなどのハードウェア回路により実現されてもよい。
【0059】
また、ナビゲーション装置35は図4(b)に示した補助記憶装置217、ROM215又はRAM216により構築される記憶部60を有している。記憶部60には、最新地図データ記憶部55、及び、プリイン地図データ記憶部56が構築されている。最新地図データ記憶部55は、サーバ31から送信された最新地図データの地図描画用データを記憶する(キャッシュする)。すなわち、地図描画用データを記憶している。どのメッシュの最新地図データの地図描画用データを記憶しているかは、過去に、ユーザがどのメッシュを表示装置に表示させたか、又は、検索された経路情報がどのメッシュを通過するか等によって異なる。ただし、経路が通過するメッシュの全てが最新地図データ記憶部55に記憶されるとは限らない。これは、目的地まで検索したが実際には経路に沿って移動しなかった場合、ナビゲーション装置35が最新地図データの地図描画用データを受信していない場合があるためである。
【0060】
プリイン地図データ記憶部56にはプリイン地図データが記憶されている。プリイン地図データは日本の全国を網羅した地図データである。例えば移動体9が移動する可能性がある場所であれば滅多に移動体9が移動しない場所であっても網羅されていることが好ましい。ただし、日本であれば地図データがない領域が全くないことまでは保証されなくてよい。プリイン地図データは、ナビゲーション装置35の出荷時に予めインストールされている。あるいは、少なくともユーザが使用を開始する時にインストールされる。また、プリインストールされているプリイン地図データの全体がディーラーなどで更新されてもよい。この場合は、インストール後の地図データがプリイン地図となる。なお、プリイン地図データの構造は最新地図データと同様でよい。ただし、本願ではプリイン地図データと最新地図データは1画面に混在して表示されることはないので、同じ領域に付与されたメッシュIDなどが異なっていてもよい。最新地図データのバージョンの方がプリイン地図データのバージョンよりも新しい場合が多いが、プリイン地図データがインストールされた直後は、最新地図データのバージョンとプリイン地図データのバージョンとが同じ場合もある。
【0061】
(ナビゲーション装置の機能について)
続いて、ナビゲーション装置35が有する機能について説明する。第1送信部41は、サーバ31に位置情報(地図の要求)、及び、経路検索要求など各種の要求を送信する。また第1受信部46は、サーバ31から最新地図データの地図描画用データ、経路情報、及び、案内情報を受信する。情報要求部42は、位置検出部43、操作受付部44及びナビ画面描画部48からの要求に基づいて第1送信部41に位置情報(地図の要求)、及び、経路検索要求など各種の情報を送信させる。
【0062】
操作受付部44は、ユーザから電子地図を表示させる操作を受け付け、また、経路検索のため少なくとも目的地の入力を受け付け、必要であれば現在地以外の出発地を受け付ける。また、経路案内の開始、リルートの指示、ナビ画面の拡大・縮尺の指示、及び、表示範囲変更などの指示を受け付ける。
【0063】
位置検出部43は、例えばGPS受信装置219を利用して定期的に及びユーザの操作に応じて現在地を検出する。検出した現在地の位置情報は単独で又は経路検索要求と共に第1送信部41からサーバ31に送信される。また、位置検出部43が検出する位置情報は、ナビゲーション装置35の各機能が利用できる。例えば、経路案内部47、及びナビ画面描画部48等が位置情報を利用する場合がある。
【0064】
経路案内部47は、サーバ31から取得した経路情報と現在地とに基づいて経路案内を行う。すなわち、移動体9の現在地が経路情報に含まれる案内ポイントに到着すると、曲がり角などを指示する音声データを音声入出力装置218に出力させる。なお、音声データはサーバ31から送信されてもよいし、ナビゲーション装置35が案内用のテキストデータに基づいて音声合成をおこなって作成してもよい。また、経路案内部47は移動体9の現在地が経路情報に含まれる案内ポイントに到着すると、交差点の3D表示、交差点の拡大表示、及び、道路名などを表示する看板のアイコンを電子地図の一部に又は重畳して表示する。
【0065】
通信判断部52は、以下のタイミングでナビゲーション装置35とサーバ31の通信状態を監視して、オンラインか又はオフラインかを判断する。
(i) IG-ON又はACC-ONなどナビゲーション装置35が電子地図の表示を開始するタイミング
(ii) 表示装置213が表示している電子地図の描画範囲が変更されるタイミング
(iii) オフラインの状態では定期的なタイミング
すなわち、最新地図データの地図描画用データが必要なタイミングで、オンライン又はオフラインかを判断する。また、オフラインの場合はプリイン地図が表示されているので、早期に最新地図を表示するため定期的にオンライン又はオフラインかを判断する。
【0066】
オンラインか又はオフラインかは、上記のように、サーバ31が送信する最新地図データの地図描画用データ等を受信できる帯域が確保されているかどうかに基づいて判断すればよい。判断方法は様々であるが、例えば、一定量のデータの通信速度〔bps〕を測定したり、何らかの問い合わせに対し応答が戻るまでの時間を測定したりして閾値と比較する。通信判断部52は、オンラインかオフラインかを表示制御部53、経路検索部51、及び、ナビ画面描画部48に通知する。
【0067】
最新地図データ管理部45は、第1受信部46が受信した最新地図データの地図描画用データを記憶部60の最新地図データ記憶部55に記憶させる。なお、すでに最新地図データ記憶部55に記憶されている領域と同じ領域の地図描画用データが送信された場合、更新情報を比較して、更新情報が新しい場合に上書きする。こうすることで、常に新しい最新地図データを保持できる。なお、道路ネットワークデータについては送信されない。
【0068】
経路検索部51は、少なくともオフラインである場合、経路検索要求に含まれる出発地から目的地までの経路を、プリイン地図データを用いて検索する。
【0069】
ナビ画面描画部48は、オンラインの場合、サーバ31から受信した最新地図データのうち地図描画用データに基づいて電子地図を描画して描画エリア49のエリア1に書き込む。なお、描画エリア49とは描画用のメモリに相当し、電子地図が描画されるメモリをいう。描画エリア49は、最新地図データの地図描画用データが描画されるエリア1と、プリイン地図データが描画されるエリア2に別れている。実際には例えばアドレスなどで区分けされている。
【0070】
また、ナビ画面描画部48は経路情報に基づいて電子地図に目的地までの経路を描画する。経路が設定されていない場合は経路情報も受信されないので、経路は描画されない。
【0071】
また、ナビ画面描画部48は、ユーザが電子地図を表示させたりナビゲーションを開始したりした場合、常に(オンラインでもオフラインでも)、プリイン地図データ記憶部56から読み出したプリイン地図データのうち地図描画用データに基づいて電子地図を描画して描画エリア49のエリア2に書き込む。経路を示す経路情報からポリラインを作成し、電子地図に目的地までの経路としてポリラインを描画する。ポリラインで示された経路は更に自車位置のマップマッチングに使用される。
【0072】
表示処理部57は、オンラインの場合は、エリア1に描画した最新地図を表示し、オフラインの場合は、エリア2に描画したプリイン地図を表示する。
【0073】
蛇足的であるが、エリア1とエリア2の表示制御に表示制御部53を使用してもよい。
【0074】
経路検索部51の機能は経路検索部12と同様であるとする。ただし、経路検索部51はプリイン地図データを用いて経路検索を行う。
【0075】
<動作手順>
以下では、いくつかのフェーズの動作手順を説明する。
【0076】
<<起動時>>
図6は、ナビゲーション装置35が起動した際に電子地図を表示する手順を示すフローチャート図の一例である。図6の処理はエンジン又はシステムがONになりナビゲーション装置35が起動するとスタートする。ナビゲーション装置35の起動時、ナビゲーション装置35は例えば現在地の電子地図を表示する設定になっているものとする。
【0077】
まず、ナビゲーション装置35の通信判断部52はオンラインかオフラインかを判断する(S10)。
【0078】
オフラインの場合(S10のNo)、ナビゲーション装置35の表示処理部57はプリイン地図データに基づくプリイン地図を表示装置213に表示する(S20)。すなわち、オフラインであるため、ナビ画面描画部48はエリア1に最新地図を描画することなくエリア2にプリイン地図を描画する。また、オフラインであるため、ナビ画面描画部48はキャッシュされている最新地図データの地図描画用データが存在しても最新地図データをエリア1に描画しない。したがって、プリイン地図が表示装置213に表示される。
【0079】
このように、オフライン時にはキャッシュされている最新地図データの地図描画用データが存在してもプリイン地図が表示されるので、最新地図データの地図描画用データが存在しない領域をナビゲーション装置35が表示する状況になった場合に、又は、この逆の場合に、表示される電子地図のバージョンが頻繁に切り替わることを抑制できる。
【0080】
オンラインの場合(S10のYes)、ナビゲーション装置35のナビ画面描画部48が電子地図を描画するため情報要求部42が位置情報と共に最新地図データの地図描画用データを要求するので、最新地図データ管理部45は最新地図データの地図描画用データをサーバ31から取得する(S30)。なお、現在地の最新地図データが記憶部60に記憶されていない場合にだけ、最新地図データの地図描画用データを要求してもよい。しかし、この場合、すでにキャッシュされている最新地図データの地図描画用データが古くなるおそれがあるので、現在地の最新地図データの地図描画用データが記憶部60に記憶されていても少なくとも一定期間ごとに最新地図データの地図描画用データを要求することが好ましい。
【0081】
ステップS30に続いて、ナビゲーション装置35の表示処理部57は最新地図データの地図描画用データに基づく最新地図を表示装置213に表示する(S40)。すなわち、オンラインであるため、ナビ画面描画部48はエリア1に最新地図を描画する。したがって、最新地図が表示装置213に表示される。
【0082】
また、ナビゲーション装置35のナビ画面描画部48はプリイン地図データに基づくプリイン地図を描画エリアのエリア2に描画する(S50)。オンラインであっても、ナビ画面描画部48は常に、描画エリアのエリア2にプリイン地図を描画するためである。これにより、オフラインになった場合、最新地図データからプリイン地図データに遅延なく切り替えて表示することができる。
【0083】
<<オンラインからオフラインに切り替わった場合>>
次に、図7図8を用いてオンラインからオフラインに切り替わった場合の電子地図の描画方法を説明する。
【0084】
図7は、最新地図からプリイン地図への切り替え時における電子地図の描画方法を説明する図である。まず、図7は、最新地図が表示された場合に表示装置213が表示する電子地図の表示範囲502と描画範囲501を示す。描画範囲501は表示装置213の表示範囲502とバッファ(表示範囲の周囲の所定範囲)を合わせた範囲である。バッファが描画されるのは、ちょっとしたスクロールなどによって表示範囲が変わるたびに描画し直す必要がないようにするためである。
【0085】
オンラインであったため描画範囲501には最新地図が描画され、表示範囲502にはその一部が表示されている。ナビゲーション装置35が表示範囲を変更する場合、次のタイミングの描画範囲501を決定し、この描画範囲501の最新地図データの地図描画用データが最新地図データ記憶部55に記憶されているか否か判断する。記憶されていれば最新地図データの表示を継続し、記憶されていなければ最新地図データの地図描画用データを使った描画を取りやめ、プリイン地図データを表示する。
【0086】
図8は、最新地図からプリイン地図への切り替え時における電子地図の描画方法を説明するフローチャート図の一例である。図8は、最新地図が表示された状態でスタートする。
【0087】
まず、ナビ画面描画部48は描画範囲が変更されるか否かを判断する(S101)。描画範囲が変更される場合とは、例えば、移動体9が移動した場合やユーザが画面をスクロールした場合である。描画範囲が変更されない場合(S101のNo)、図8の処理は終了する。
【0088】
描画範囲が変更された場合(S101のYes)、ナビ画面描画部48は新たに描画する範囲のメッシュの最新地図データが最新地図データ記憶部55に記憶されているか否かを判断する(S102)。
【0089】
ステップS102の判断がNoの場合、ナビ画面描画部48はオンラインか否かを判断する(S103)。オンラインか否かは通信判断部52から適宜、通知されるが、ナビ画面描画部48が通信判断部52に問い合わせてもよい。
【0090】
ステップS103の判断がYesの場合、ナビ画面描画部48は情報要求部42に対し最新地図データの地図描画用データをサーバ31から取得するよう要求する(S104)。
【0091】
ステップS104に続いて、ナビ画面描画部48の表示処理部57は最新地図データの地図描画用データに基づいて描画範囲の最新地図を表示装置213に表示させる(S105)。表示方法は、図6のステップS40と同様でよい。このように、新たに描画する範囲のメッシュの最新地図データの地図描画用データが最新地図データ記憶部55に記憶されている場合は、オフラインでも最新地図の描画を優先することができる。
【0092】
次に、ナビ画面描画部48はプリイン地図データに基づくプリイン地図をエリア2に描画する(S106)。オンラインかオフラインかに関係なく、ナビ画面描画部48は常に、エリア2にプリイン地図を描画するためである。これにより、オフラインになった場合、最新地図データからプリイン地図データに遅延なく切り替えて表示することができる。
【0093】
ステップS103の判断がNoの場合、ナビ画面描画部48はプリイン地図データに基づくプリイン地図をエリア2に描画し、表示処理部57がプリイン地図を表示装置213に表示する(S107)。すなわち、オフラインであるため、ナビ画面描画部48はエリア2にプリイン地図を描画する。また、オフラインであり、かつ、最新地図データの地図描画用データが存在しないため、ナビ画面描画部48は最新地図をエリア1に描画しない。表示装置213はエリア2のプリイン地図を表示する。
【0094】
このように、本実施形態のナビゲーション装置35は、オフラインでも可能な限り最新地図を表示できる。最新地図の表示が困難になると、遅延なくプリイン地図に切り替えることができる。
【0095】
<<オフラインからオンラインに切り替わった場合>>
次に、図9を用いてオフラインからオンラインに切り替わった場合の電子地図の描画方法を説明する。図9はプリイン地図から最新地図への切り替え時における電子地図の描画方法を説明するフローチャート図の一例である。図9の処理は、プリイン地図が表示された状態でスタートする。
【0096】
プリイン地図を表示中のナビ画面描画部48は定期的に、プリイン地図を表示した状態でオンラインになったか否かを判断する(S201)。オンラインに復帰した場合は、早期に最新地図を表示するためである。
【0097】
ステップS201の判断がNoの場合、ナビ画面描画部48はプリイン地図データに基づくプリイン地図をエリア2に描画し、表示処理部57が表示装置213に表示させる(S202)。すなわち、オフラインであるため、ナビ画面描画部48はエリア2にプリイン地図を描画する。また、元々、オフラインであるためナビ画面描画部48はエリア1に最新地図を描画しない。これにより、プリイン地図が表示装置213に表示される。
【0098】
ステップS201の判断がYesの場合、ナビ画面描画部48はプリイン地図を表示したまま、情報要求部42に対し最新地図データの地図描画用データをサーバ31から取得するよう要求する(S203)。
【0099】
ナビ画面描画部48は最新地図を表示するために必要な地図描画用データを確保したか否かを判断する(S204)。
【0100】
ステップS204の判断がNoの場合(必要な地図描画用データを確保するまでの間)、処理はステップS201に戻り、オンラインかオフラインかが判断される。
【0101】
ステップS204の判断がYesの場合、ナビ画面描画部48は最新地図に切り替えるかをユーザに問い合わせる(S205)。
【0102】
そして、操作受付部44はユーザからの切替要求を受け付けた否かを判断し(S206)、ユーザからの切替要求を受け付けた場合(S206のYes)、ナビ画面描画部48はプリイン地図から最新地図に切り替えて表示装置213に表示する(S207)。
【0103】
なお、最新地図に切り替えた場合でも、ナビ画面描画部48はプリイン地図データに基づくプリイン地図をエリア2に描画する。オンラインであっても、ナビ画面描画部48は常に、エリア2にプリイン地図を描画するためである。これにより、オフラインになった場合、最新地図データからプリイン地図データに遅延なく切り替えて表示することができる。
【0104】
<経路検索時の処理>
続いて、図10を用いて、ユーザが経路を検索した際の処理について説明する。図10は、経路検索におけるオンライン時とオフライン時のナビゲーション装置35の動作を説明する図の一例である。図10(a)はオンライン時のナビゲーション装置35の動作を示し、図10(b)はオフライン時のナビゲーション装置35の動作を示す。なお、地図データの扱いに関してはすでに説明したため、図10では省略されている。
【0105】
オンラインの場合、ナビゲーション装置35はサーバ31から最新地図データの地図描画用データを取得するが、経路情報もサーバ31から取得できる。仮にナビゲーション装置35が経路検索を行うとすると、出発地から目的地までの広範囲な最新地図データの地図描画用データを、検索前にサーバ31から取得する必要があり通信負荷が大きくなってしまう。
【0106】
また、ナビゲーション装置35は、経路情報に基づいて経路が通過するメッシュの最新地図データの地図描画用データを適宜、取得する。適宜、取得するとは、経路情報に続いて取得してもよいし、移動体9が移動するにつれて、順次、通過するメッシュの最新地図データの地図描画用データを取得してもよいことをいう。例えば、通信負荷が低下しているタイミングで取得してもよい。
【0107】
オフラインの場合、ナビゲーション装置35はサーバ31から最新地図データの地図描画用データを取得できないし、経路情報もサーバ31から取得できない。このため、ナビゲーション装置35がプリイン地図データを使って経路検索を行う。したがって、オフラインの場合、サーバ31と通信しないナビゲーション装置35となるだけであり、プリイン地図に基づいてナビゲーションすることができる。
【0108】
図11は、ユーザが経路検索した際のナビゲーション装置35の動作を示すフローチャート図の一例である。
【0109】
まず、ナビゲーション装置35の操作受付部44は出発地と目的地とを含む経路検索操作を受け付ける(S301)。
【0110】
経路検索をサーバ31とナビゲーション装置35のどちらで行うかを判断するため、通信判断部52がオンラインか否かを判断する(S302)。
【0111】
まず、オンラインの場合(S302のYes)、情報要求部42が第1送信部41を介して出発地と目的地とを含む経路検索要求をサーバ31に送信し、第1受信部46がサーバ31から経路情報と案内情報を取得する(S303)。すなわち、サーバ31の経路検索部12が道路ネットワークDB18を使用して経路検索を実施し、経路を決定する。地図データ提供部15は決定した経路を描画するための経路情報を作成し、案内情報と共にナビゲーション装置35に送信する。
【0112】
次に、ナビ画面描画部48は経路情報を取得したので情報要求部42に対し少なくとも出発地周辺の最新地図データの地図描画用データをサーバ31に要求する(S304)。地図データ提供部15は経路情報を含む領域+バッファに対応するメッシュを特定して、経路が通過する全てのメッシュの最新地図データの地図描画用データを取得する。
【0113】
なお、図11の説明では、経路情報、最新地図データの地図描画用データが別々に送信されているが、経路情報と最新地図データの地図描画用データを例えばステップS303でまとめて送信されてもよい。
【0114】
次に、ナビ画面描画部48は最新地図データの地図描画用データに基づく最新地図をエリア1に描画し、表示処理部57が最新地図を表示装置213に表示する(S305)。すなわち、オンラインであるため、ナビ画面描画部48はエリア1に最新地図を描画する。これにより、最新地図が表示装置213に表示される。
【0115】
また、ナビ画面描画部48はエリア1の最新地図に経路を描画することで、経路も表示装置213に表示させる(S306)。このように、最新地図に最新地図で検索された経路を表示できる。
【0116】
次に、ナビゲーション装置35のナビ画面描画部48はプリイン地図データに基づくプリイン地図をエリア2に描画する(S307)。オンラインであっても、ナビ画面描画部48は常に、エリア2にプリイン地図を描画するためである。これにより、オフラインになった場合、最新地図データからプリイン地図データに遅延なく切り替えて表示することができる。
【0117】
オフラインの場合(S302のNo)、経路検索部51はプリイン地図データを用いて経路検索する(S308)。
【0118】
次に、ナビ画面描画部48はプリイン地図データに基づくプリイン地図をエリア2に描画し、表示処理部57がプリイン地図を表示装置213に表示させる(S309)。すなわち、オフラインであるため、ナビ画面描画部48はエリア2にプリイン地図を描画する。これにより、プリイン地図が表示装置213に表示される。
【0119】
また、ナビ画面描画部48はエリア2のプリイン地図に経路を描画することで、経路も表示装置213に表示させる(S310)。このように、プリイン地図にプリイン地図データで検索された経路を表示できる。
【0120】
この結果、オンライン時は、サーバ31にある最新地図データ(地図描画用データと道路ネットワークデータ)を使った案内が行え、オフライン時はサーバ側のデータを一切使わず、プリイン地図データだけで案内が行える。そのため、地図描画用データと経路にズレは生じない。
【0121】
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態のナビゲーション装置35は、エリア2に常にプリイン地図が描画されているので、無線通信がオフラインとなった場合、遅延なく(最小の遅延があることを含む)プリインストールされているプリイン地図に切り替えて表示できる。
【0122】
また、エリア1とエリア2の地図が切り替えて表示されるため、バージョンが異なる地図データが1つの画面に混在することがない。つまり、プリイン地図と最新地図が同時に表示装置213に表示されることがないため、電子地図を描画するための地図描画用データについてもバージョンが異なる地図データのメッシュの境界で地図描画用データの不整合が生じるおそれがない。
【0123】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0124】
<<エリア1とエリア2の描画範囲>>
上記の実施形態では、エリア1とエリア2の描画範囲が同じであると説明したが、エリア1とエリア2の描画範囲は全く同じでなくてよい。
【0125】
図12は、エリア1とエリア2の描画範囲を説明する図の一例である。エリア1とエリア2で一部が重複するものの電子地図の描画範囲が異なっている。例えば、ナビ画面描画部48は、移動体9の移動方向を考慮してエリア2に移動方向の前方の描画範囲を描画する。ナビゲーション装置35がエリア1の最新地図からエリア2のプリイン地図に切り替えるのは、最新地図データの地図描画用データのメッシュがキャッシュされていない場合なので、表示範囲外の電子地図を表示する場合である。図12のように、移動方向の前方の描画範囲がエリア2に描画されていれば、最新地図からプリイン地図に切り替える際、ナビ画面描画部48がエリア2の電子地図を再描画する必要がないため、より遅延なくプリイン地図を表示できる。
【0126】
図12のような処理は、経路が設定されているが、経路が通過する全てのメッシュの最新地図データ(地図描画用データ)を取得していない場合に有効である。経路によって移動方向が予測できるためである。例えば、最新地図データの地図描画用データがキャッシュされておらず最新地図からプリイン地図に切り替わる際の描画範囲をナビ画面描画部48が予めエリア2に描画しておくことができる。
【0127】
<<その他>>
また、目的地周辺のプリイン地図をエリア2に描画しておいてもよい。ユーザは目的地周辺の電子地図を確認する頻度が多いが、予め目的地周辺のプリイン地図がエリア2に描画されていれば、目的地周辺の最新地図データの地図描画用データがキャッシュされていなくても、遅延なく目的地周辺のプリイン地図を表示できる。
【0128】
また、本実施形態では、エリア1,2に地図が描画されたが、ナビゲーション装置35の場合、メニュー、TV画面、メール画面、ネット画面などがそれぞれ異なるエリアに表示されてよい。
【0129】
また、本実施形態では主にユーザが必要とする領域の最新地図データの地図描画用データが取得されているが、車両が必要とする領域を取得してよい。例えば自動運転のために必要な領域の最新地図データの地図描画用データを取得してよい。
【0130】
また、ナビゲーション装置35はいわゆるディスプレイオーディオなどでもよい。ディスプレイオーディオはナビゲーションの機能を搭載せずに主にAV機能と通信機能を提供する装置である。ディスプレイオーディオは、スマートフォンなどの端末装置との通信によりナビゲーションの機能を提供する。この場合、端末装置に搭載されるアプリがナビ画面等を生成し、このアプリが生成するナビ画面をディスプレイオーディオが通信で取得して表示する。このようなアプリとしてCarPlay(登録商標)やAndroid Auto(登録商標)等が知られている。
【0131】
また、図5などの構成例は、サーバ31とナビゲーション装置35による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。サーバ31及びナビゲーション装置35の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0132】
なお、プリイン地図データ記憶部56は地図データ記憶手段の一例であり、最新地図データ記憶部55は第2地図データ記憶手段の一例であり、通信判断部52は通信判断手段の一例であり、最新地図データ管理部45は地図データ取得手段の一例であり、ナビ画面描画部48は地図描画手段の一例であり、表示処理部57は表示処理手段の一例である。経路検索部51は経路検索手段の一例であり、情報要求部42は経路検索要求手段の一例であり、描画エリア49のエリア1は第1の描画エリアの一例であり、描画エリア49のエリア2は第2の描画エリアの一例である。最新地図データは第1の地図データ、最新地図は第1の地図、プリイン地図データは第2の地図データ、プリイン地図は第2の地図、最新地図データに基づく経路情報又は経路は第1の経路情報又は第1の経路、プリイン地図データに基づく経路情報又は経路は第2の経路情報又は第2の経路のそれぞれ一例である。
【符号の説明】
【0133】
9 移動体
31 サーバ
35 ナビゲーション装置
100 ナビゲーションシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12