(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159316
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 59/22 20060101AFI20221006BHJP
C08G 59/42 20060101ALI20221006BHJP
C09J 7/30 20180101ALI20221006BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20221006BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20221006BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20221006BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20221006BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C08G59/22
C08G59/42
C09J7/30
C09J163/00
C09J11/04
C09J11/06
H05K1/03 610L
H05K3/46 T
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116410
(22)【出願日】2022-07-21
(62)【分割の表示】P 2021137393の分割
【原出願日】2016-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川合 賢司
(72)【発明者】
【氏名】藤島 祥平
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 恒太
(57)【要約】
【課題】線熱膨張係数及び誘電正接が低く、導体層との密着性が良好な硬化物をもたらすと共に、未硬化時には柔軟性に優れ、タック性の抑制された樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)25℃での粘度が500mPa・s以下である、下記式(1)で表される1価の基を含有する2官能以上のエポキシ化合物:
【化1】
(式中、Xはメチレン基又は単結合を表し、Yは酸素原子、窒素原子、炭素原子又はオキシカルボニル基を表し、mは1~3の整数を表す。Xが複数個ある場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。)
と、(B)活性エステル化合物とを含む樹脂組成物であって、
(A)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、0.5~8質量%である、樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)25℃での粘度が500mPa・s以下である、下記式(1)で表される1価の基を含有する2官能以上のエポキシ化合物:
【化1】
(式中、Xはメチレン基を表し、Yは酸素原子又は窒素原子を表す。Yが酸素原子を表す場合、mは1であり、Yが窒素原子を表す場合、mは2である。)
と、
(A’)(A)成分とは異なる他のエポキシ化合物と、
(B)活性エステル化合物と、
(C)無機充填材と
を混合してなる樹脂組成物であって、
樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、
(A)成分の含有量が0.5質量%~8質量%であり、
(A’)成分の含有量が1質量%~50質量%であり、
(C)成分の含有量が40質量%以上であり、
エポキシ化合物の合計を100質量%としたとき、25℃での粘度が500mPa・s以下であるエポキシ化合物の含有量が10質量%超であり、
以下の(i)及び(ii)の条件:
(i)(A)成分の25℃での粘度が200mPa・s以下、
(ii)(A’)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、10質量%~50質量%
の少なくとも一方を満たす、樹脂組成物(但し、シルセスキオキサン変性エポキシ樹脂を含む樹脂組成物及びシクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂を含む樹脂組成物を除く)。
【請求項2】
(A)25℃での粘度が500mPa・s以下である、下記式(1)で表される1価の基を含有する2官能以上のエポキシ化合物:
【化2】
(式中、Xはメチレン基を表し、Yは酸素原子又は窒素原子を表す。Yが酸素原子を表す場合、mは1であり、Yが窒素原子を表す場合、mは2である。)
と、
(A’)(A)成分とは異なる他のエポキシ樹脂と、
(B)活性エステル化合物と、
(C)無機充填材と
を混合してなる樹脂組成物であって、
(A)成分が、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、1,6-ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、1,4-ブタンジオール型エポキシ樹脂、ベンゼンジメタノール型エポキシ樹脂、ビフェニルジメタノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンジメタノール型エポキシ樹脂、ジエチレングリコール型エポキシ樹脂、及び炭素原子数6~30のアルキルアニリン由来の構造単位を含むエポキシ樹脂からなる群から選択され、
樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、
(A)成分の含有量が0.5質量%~8質量%であり、
(A’)成分の含有量が1質量%~50質量%であり、
(C)成分の含有量が40質量%以上であり、
エポキシ化合物の合計を100質量%としたとき、25℃での粘度が500mPa・s以下であるエポキシ化合物の含有量が10質量%超であり、
以下の(i)及び(ii)の条件:
(i)(A)成分の25℃での粘度が200mPa・s以下、
(ii)(A’)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、10質量%~50質量%
の少なくとも一方を満たす、樹脂組成物。
【請求項3】
(A)25℃での粘度が500mPa・s以下である、下記式(1)で表される1価の基を含有する2官能以上のエポキシ化合物:
【化3】
(式中、Xはメチレン基を表し、Yは酸素原子又は窒素原子を表す。Yが酸素原子を表す場合、mは1であり、Yが窒素原子を表す場合、mは2である。)
と、
(A’)(A)成分とは異なる他のエポキシ樹脂と、
(B)活性エステル化合物と、
(C)無機充填材と
を混合してなる樹脂組成物であって、
(A)成分が、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、1,6-ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、及びo-トルイジン型エポキシ樹脂からなる群から選択され、
樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、
(A)成分の含有量が0.5質量%~8質量%であり、
(A’)成分の含有量が1質量%~50質量%であり、
(C)成分の含有量が40質量%以上である、樹脂組成物。
【請求項4】
(C)成分がシリカである、請求項1~3の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
(A)成分の25℃での粘度が100mPa・s以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
(A’)成分の含有量が10質量%~50質量%である、請求項3~5の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
(A)成分が、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、1,6-ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、及びo-トルイジン型エポキシ樹脂からなる群から選択される、請求項1、2、4~6の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
(A)成分のエポキシ当量が、80~250である、請求項1~7の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
プリント配線板の絶縁層用である、請求項1~8の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載の樹脂組成物を含有するシート状積層材料。
【請求項11】
支持体と、該支持体と接合する樹脂組成物の層とを含む接着フィルムであって、
該樹脂組成物が、
(A)25℃での粘度が500mPa・s以下である、下記式(1)で表される1価の基を含有する2官能以上のエポキシ化合物:
【化4】
(式中、Xはメチレン基を表し、Yは酸素原子又は窒素原子を表す。Yが酸素原子を表す場合、mは1であり、Yが窒素原子を表す場合、mは2である。)
と、
(A’)(A)成分とは異なる他のエポキシ樹脂と、
(B)活性エステル化合物と、
(C)無機充填材と
を混合してなる樹脂組成物であって、
樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、
(A)成分の含有量が0.5質量%~8質量%であり、
(A’)成分の含有量が1質量%~50質量%であり、
(C)成分の含有量が40質量%以上であり、
エポキシ化合物の合計を100質量%としたとき、25℃での粘度が500mPa・s以下であるエポキシ化合物の含有量が10質量%超であり、
以下の(i)及び(ii)の条件:
(i)(A)成分の25℃での粘度が200mPa・s以下、
(ii)(A’)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、10質量%~50質量%
の少なくとも一方を満たす、樹脂組成物(但し、シルセスキオキサン変性エポキシ樹脂を含む樹脂組成物を除く)である、接着フィルム。
【請求項12】
支持体と、該支持体と接合する樹脂組成物の層とを含む接着フィルムであって、
該樹脂組成物が、
(A)25℃での粘度が500mPa・s以下である、下記式(1)で表される1価の基を含有する2官能以上のエポキシ化合物:
【化5】
(式中、Xはメチレン基を表し、Yは酸素原子又は窒素原子を表す。Yが酸素原子を表す場合、mは1であり、Yが窒素原子を表す場合、mは2である。)
と、
(A’)(A)成分とは異なる他のエポキシ樹脂と、
(B)活性エステル化合物と、
(C)無機充填材と
を混合してなる樹脂組成物であって、
(A)成分が、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、1,6-ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、1,4-ブタンジオール型エポキシ樹脂、ベンゼンジメタノール型エポキシ樹脂、ビフェニルジメタノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンジメタノール型エポキシ樹脂、ジエチレングリコール型エポキシ樹脂、及び炭素原子数6~30のアルキルアニリン由来の構造単位を含むエポキシ樹脂からなる群から選択され、
樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、
(A)成分の含有量が0.5質量%~8質量%であり、
(A’)成分の含有量が1質量%~50質量%であり、
(C)成分の含有量が40質量%以上であり、
エポキシ化合物の合計を100質量%としたとき、25℃での粘度が500mPa・s以下であるエポキシ化合物の含有量が10質量%超であり、
以下の(i)及び(ii)の条件:
(i)(A)成分の25℃での粘度が200mPa・s以下、
(ii)(A’)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、10質量%~50質量%
の少なくとも一方を満たす、樹脂組成物である、接着フィルム。
【請求項13】
請求項1~9の何れか1項に記載の樹脂組成物又は請求項10に記載のシート状積層材料を熱硬化して得られた絶縁層を含む、プリント配線板。
【請求項14】
請求項11又は12に記載の接着フィルムの樹脂組成物の層を熱硬化して得られた絶縁層を含む、プリント配線板。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物に関する。さらには、該樹脂組成物を用いたシート状積層材料、プリント配線板及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板の製造技術として、絶縁層と導体層を交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。ビルドアップ方式による製造方法において、一般に、絶縁層は樹脂組成物を硬化させて形成される。例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂、活性エステル化合物、カルボジイミド化合物、熱可塑性樹脂及び無機充填材を含み、無機充填材の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、40質量%以上である、樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2には、エステル骨格を有するエポキシ樹脂を含む樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-27097号公報
【特許文献2】特開2014-177530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、線熱膨張係数及び誘電正接が低く、導体層との密着性が良好な硬化物をもたらすと共に、未硬化時には柔軟性に優れ、タック性の抑制された樹脂組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題につき鋭意検討した結果、(A)25℃での粘度が500mPa・s以下である、特定のエポキシ基含有基を含有する2官能以上のエポキシ化合物と、(B)活性エステル化合物とを組み合わせて含み、(A)成分の含有量が所定範囲にある樹脂組成物が上記課題を実現し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (A)25℃での粘度が500mPa・s以下である、下記式(1)で表される1価の基を含有する2官能以上のエポキシ化合物:
【化1】
(式中、Xはメチレン基又は単結合を表し、Yは酸素原子、窒素原子、炭素原子又はオキシカルボニル基を表し、mは1~3の整数を表す。Xが複数個ある場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。)
と、(B)活性エステル化合物とを含む樹脂組成物であって、
(A)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、0.5質量%~8質量%である、樹脂組成物。
[2] 式(1)中、Xがメチレン基を表し、Yが酸素原子、窒素原子又はオキシカルボニル基を表す、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] (A)成分が、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、1,6-ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、1,4-ブタンジオール型エポキシ樹脂、ベンゼンジメタノール型エポキシ樹脂、ビフェニルジメタノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンジメタノール型エポキシ樹脂、ジエチレングリコール型エポキシ樹脂、及びo-トルイジン型エポキシ樹脂からなる群から選択される、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4] (A)成分が、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、1,6-ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、及びo-トルイジン型エポキシ樹脂からなる群から選択される、[1]~[3]の何れかに記載の樹脂組成物。
[5] (A)成分のエポキシ当量が、80~250である、[1]~[4]の何れかに記載の樹脂組成物。
[6] さらに(C)無機充填材を含む、[1]~[5]の何れかに記載の樹脂組成物。
[7] (C)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、40質量%以上である、[6]に記載の樹脂組成物。
[8] プリント配線板の絶縁層用である、[1]~[7]の何れかに記載の樹脂組成物。
[9] [1]~[8]の何れかに記載の樹脂組成物を含有するシート状積層材料。
[10] [1]~[8]の何れかに記載の樹脂組成物又は[9]に記載のシート状積層材料を熱硬化して得られた絶縁層を含む、プリント配線板。
[11] [10]に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、線熱膨張係数及び誘電正接が低く、導体層との密着性が良好な硬化物をもたらすと共に、未硬化時には柔軟性に優れ、タック性の抑制された樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0009】
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(A)25℃での粘度が500mPa・s以下である、下記式(1)で表される1価の基を含有する2官能以上のエポキシ化合物と、(B)活性エステル化合物とを含み、(A)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、0.5質量%~8質量%であることを特徴とする。
【0010】
【化2】
(式中、Xはメチレン基又は単結合を表し、Yは酸素原子、窒素原子、炭素原子又はオキシカルボニル基を表し、mは1~3の整数を表す。Xが複数個ある場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0011】
活性エステル化合物と組み合わせて、25℃での粘度が500mPa・s以下と低く、かつ、上記式(1)で表される1価の基を含有する2官能以上のエポキシ化合物(以下、「低粘度エポキシ化合物」ともいう。)を所定量含有する本発明の樹脂組成物は、未硬化時には良好な柔軟性、低タック性を示すと共に、線熱膨張係数及び誘電正接が低く、導体層との密着性が良好な硬化物をもたらすことができる。
【0012】
<(A)低粘度エポキシ化合物>
(A)成分の低粘度エポキシ化合物は、25℃での粘度が500mPa・s以下である。
【0013】
後述する(B)活性エステル化合物との組み合わせにおいて一層良好な柔軟性、低タック性を示す樹脂組成物を得る観点、線熱膨張係数、誘電正接、導体層との密着性において一層優れた硬化物を実現し得る観点から、(A)成分の粘度(25℃)は、好ましくは400mPa・s以下、より好ましくは300mPa・s以下、250mPa・s以下、200mPa・s以下、150mPa・s以下、120mPa・s以下、100mPa・s以下、80mPa・s以下、60mPa・s以下、又は50mPa・s以下である。該粘度(25℃)の下限は、特に限定されないが、通常、1mPa・s以上、2mPa・s以上、5mPa・s以上などとし得る。低粘度エポキシ化合物の粘度(25℃)は、後述の<エポキシ化合物の粘度(25℃)の測定>に記載の方法に従って、測定することができる。
【0014】
(A)成分の低粘度エポキシ化合物は、上記式(1)で表される1価の基を含有する2官能以上のエポキシ化合物である。
【0015】
式(1)中、Xは、メチレン基(-CH2-)又は単結合を表す。式(1)中にXが複数個ある場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。好適な一実施形態において、Xは、メチレン基を表す。
【0016】
式(1)中、Yは、酸素原子、窒素原子、炭素原子又はオキシカルボニル基(-O-C(=O)-)を表す。Yが酸素原子又はオキシカルボニル基を表す場合、mは1である。Yが窒素原子を表す場合、mは2である。Yが炭素原子を表す場合、mは3である。好適な一実施形態において、Yは、酸素原子、窒素原子又はオキシカルボニル基を表す。
【0017】
後述する(B)活性エステル化合物との組み合わせにおいて一層良好な柔軟性、低タック性を示す樹脂組成物を得る観点、線熱膨張係数、誘電正接、導体層との密着性において一層優れた硬化物を実現し得る観点から、式(1)中、Xがメチレン基を表し、Yが酸素原子、窒素原子又はオキシカルボニル基を表すことが好ましく、中でも、式(1)中、Xがメチレン基を表し、Yが酸素原子又は窒素原子を表すことがより好ましく、式(1)中、Xがメチレン基を表し、Yが酸素原子を表すことが特に好ましい。
【0018】
(A)成分1分子当たりに含有される式(1)で表される1価の基の数は、(A)成分が2官能以上である限りにおいて、すなわち、(A)成分が2以上のエポキシ基を有する限りにおいて特に限定されない。(A)成分が式(1)で表される1価の基を2以上含有する場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0019】
好適な一実施形態において、(A)成分は、
(i)式(1)で表される1価の基(式中、Xはメチレン基を表し、Yは酸素原子を表し、mは1を表す)を2以上含有するエポキシ化合物;
(ii)式(1)で表される1価の基(式中、Xはメチレン基を表し、Yは窒素原子を表し、mは2を表す)を1以上含有するエポキシ化合物;又は
(iii)式(1)で表される1価の基(式中、Xはメチレン基を表し、Yはオキシカルボニル基を表し、mは1を表す)を2以上含有するエポキシ化合物である。
【0020】
(A)成分は、上記式(1)で表される1価の基を含有する限りにおいて、他のエポキシ基含有基を有していてもよく、有していなくてもよい。斯かる他のエポキシ基含有基としては、例えば、炭素原子数4~10の脂環式エポキシ基が挙げられる。
【0021】
一実施形態において、式(1)で表される1価の基(式中、Xはメチレン基を表し、Yは酸素原子を表し、mは1を表す)を含有するエポキシ化合物、すなわちグリシジルエーテル系エポキシ化合物としては、脂肪族ポリオール、芳香族ポリオール等のポリオール化合物のグリシジルエーテル化物を使用してよい。25℃での粘度が500mPa・s以下であるグリシジルエーテル系エポキシ化合物が得られる限りにおいて、原料のポリオール化合物は特に限定されず、脂環式ポリオール、鎖式ポリオール、芳香族ポリオールの何れであってもよい。
【0022】
一実施形態において、式(1)で表される1価の基(式中、Xはメチレン基を表し、Yは窒素原子を表し、mは2を表す)を含有するエポキシ化合物、すなわちグリシジルアミン系エポキシ化合物としては、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン化合物のグリシジルアミノ化物を使用してよい。25℃での粘度が500mPa・s以下であるグリシジルアミン系エポキシ化合物が得られる限りにおいて、原料のアミン化合物は特に限定されず、脂環式アミン、鎖式アミン、芳香族アミンの何れであってもよく、これらはポリアミン化合物であってもよい。
【0023】
一実施形態において、式(1)で表される1価の基(式中、Xはメチレン基を表し、Yはオキシカルボニル基を表し、mは1を表す)を含有するエポキシ化合物、すなわちグリシジルエステル系エポキシ化合物としては、脂肪族ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸等のポリカルボン酸化合物のグリシジルエステル化物を使用してよい。25℃での粘度が500mPa・s以下であるグリシジルエステル系エポキシ化合物が得られる限りにおいて、原料のポリカルボン酸化合物は特に限定されず、脂環式ポリカルボン酸、鎖式ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸の何れであってもよい。
【0024】
(A)成分のエポキシ官能基数は、2以上(2官能以上)であればよく、所期の粘度特性を満たす限りにおいて特に限定されない。該エポキシ官能基数の上限は、通常、6以下、4以下などとし得る。
【0025】
(B)活性エステル化合物との組み合わせにおいて本発明の効果をより享受し得る観点から、(A)成分としては、式(1)で表される1価の基を含有するポリオール型エポキシ樹脂又はアミン型エポキシ樹脂が好ましい。ここで、「ポリオール型エポキシ樹脂」とは、ポリオール化合物由来の構造単位を含むエポキシ樹脂をいう。「ポリオール化合物由来の構造単位」とは、ポリオール化合物から2以上のヒドロキシ基を除いた残部をいう。ポリオール化合物としては、炭素原子数2~20(好ましくは3~16又は3~14)の脂肪族ジオール、炭素原子数2~20(好ましくは3~16又は3~14)の脂肪族トリオール、炭素原子数6~30(好ましくは6~20又は6~16)の芳香族ジオール、炭素原子数6~30(好ましくは6~20又は6~16)の芳香族トリオール、及びこれらの縮合物からなる群から選択される1種以上が好ましく、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、ジシクロペンタジエンジメタノール、ジエチレングリコール、及びこれらの縮合物からなる群から選択される1種以上がより好ましい。また、「アミン型エポキシ樹脂」とは、アミン化合物由来の構造単位を含むエポキシ樹脂をいう。「アミン化合物由来の構造単位」とは、アミン化合物から1以上のアミノ基を除いた残部をいう。アミン化合物としては、炭素原子数1~20(好ましくは2~16、2~12又は2~8)の脂肪族モノアミン、炭素原子数1~20(好ましくは2~16、2~12、又は2~8)の脂肪族ジアミン、炭素原子数6~30(好ましくは6~20、6~16、6~12又は6~8)の芳香族モノアミン、及び炭素原子数6~30(好ましくは6~20、6~16、6~12又は6~8)の芳香族ジアミンからなる群から選択される1種以上が好ましく、炭素原子数6~30(好ましくは6~20、6~16、6~12又は6~8)のアルキルアニリンがより好ましく、o-トルイジンがさらに好ましい。したがって、好適な一実施形態において、(A)成分は、式(1)で表される1価の基を含有する、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、1,6-ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、1,4-ブタンジオール型エポキシ樹脂、ベンゼンジメタノール型エポキシ樹脂、ビフェニルジメタノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンジメタノール型エポキシ樹脂、ジエチレングリコール型エポキシ樹脂、及びo-トルイジン型エポキシ樹脂からなる群から選択される2官能以上のエポキシ樹脂である。特に好適な一実施形態において、(A)成分は、式(1)で表される1価の基を含有する、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、1,6-ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、及びo-トルイジン型エポキシ樹脂からなる群から選択される2官能以上のエポキシ樹脂である。
【0026】
(A)成分のエポキシ当量は、所期の粘度特性を満たす限りにおいて特に限定されない。好適な一実施形態において、(A)成分のエポキシ当量は、80~250である。(A)成分のエポキシ当量の下限は、より好ましくは90以上、又は100以上であり、エポキシ当量の上限は、より好ましくは240以下、220以下、又は200以下である。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む化合物の質量である。
【0027】
(A)成分の具体例としては、例えば、新日鉄住金化学(株)製の「ZX1658GS」(25℃での粘度34mPa・s、エポキシ当量135、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂)、「ZX1542」(25℃での粘度109mPa・s、エポキシ当量120、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂)、昭和電工(株)製の「ショウフリーCDMDG」(25℃での粘度34mPa・s、エポキシ当量138、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂)、ナガセケムテックス(株)製の「デナコールEX212L」(25℃での粘度10mPa・s、エポキシ当量135、1,6-ヘキサンジオール型エポキシ樹脂)、(株)ADEKA製の「EP-3980S」(25℃での粘度31mPa・s、エポキシ当量115、o-トルイジン型エポキシ樹脂)、「EP-4088S」(25℃での粘度213mPa・s、エポキシ当量170、ジシクロペンタジエンジメタノール型エポキシ樹脂)が挙げられる。
【0028】
樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、0.5質量%~8質量%である。(A)成分の含有量の下限は、特に優れた柔軟性を示す樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0.6質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上、1.2質量%以上、1.4質量%以上、1.6質量%以上、又は1.8質量%以上である。(A)成分の含有量の上限は、タック性が一層抑制された樹脂組成物を得る観点、線熱膨張係数及び誘電正接が特に低い硬化物を実現し得る観点から、好ましくは7.5質量%以下、より好ましくは7.0質量%以下、6.5質量%以下、又は6.0質量%以下である。
【0029】
-(A’)他のエポキシ化合物-
本発明の樹脂組成物は、所期の効果を達成し得る限りにおいて、上記(A)成分とは異なる他のエポキシ化合物(以下、「(A’)成分」ともいう。)を含有してもよい。
【0030】
斯かる(A’)成分としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。他のエポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
(A’)成分は、2官能以上のエポキシ化合物であることが好ましい。(A’)成分としては、温度25℃で固体状のエポキシ樹脂(「固体状エポキシ樹脂」ともいう。)を単独で、又は、固体状エポキシ樹脂と、温度25℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」という。)とを組み合わせて含むことが好ましい。ここで、(A’)成分として使用される液状エポキシ樹脂は、25℃での粘度が500mPa・sより高い。固体状エポキシ樹脂としては、3官能以上の固体状エポキシ樹脂が好ましく、3官能以上の芳香族系固体状エポキシ樹脂がより好ましい。液状エポキシ樹脂としては、2官能以上の液状エポキシ樹脂が好ましく、2官能以上の芳香族系液状エポキシ樹脂がより好ましい。本発明において、芳香族系のエポキシ樹脂とは、その分子内に芳香環を有するエポキシ樹脂を意味する。(A’)成分として固体状エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(固体状エポキシ樹脂:液状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.001~1:5の範囲が好ましく、1:0.01~1:3の範囲がより好ましく、1:0.05~1:2の範囲がさらに好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N-690」、「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP7200」、「HP7200H」、「HP7200HH」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA7311」、「EXA7311-G3」、「EXA7311-G4」、「EXA7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ESN475V」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル(株)製の「PG-100」、「CG-500」、三菱化学(株)製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。また、液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032」、「HP4032H」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「828US」、「828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、ナガセケムテックス(株)製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、(株)ダイセル製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂)、「PB-3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)が挙げられる。
【0032】
樹脂組成物中の(A’)成分の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、又は10質量%以上である。(A’)成分の含有量の上限は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下又は20質量%以下である。
【0033】
<(B)活性エステル化合物>
(B)成分は、活性エステル化合物であり、1分子中に活性エステル基を1個以上有する化合物である。(B)成分としては、1分子中に活性エステル基を2個以上有する活性エステル化合物が好ましく、例えば、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する活性エステル化合物が好ましく用いられる。(B)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
(A)成分との組み合わせにおいて、線熱膨張係数、誘電正接、導体層との密着性において一層優れた硬化物を実現し得る観点から、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物と、ヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られる活性エステル化合物が好ましい。中でも、カルボン酸化合物と、フェノール化合物、ナフトール化合物及びチオール化合物から選択される1種以上とを反応させて得られる活性エステル化合物がより好ましく、カルボン酸化合物と、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物とを反応させて得られる、1分子中に2個以上の活性エステル基を有する芳香族化合物がさらに好ましく、少なくとも2個以上のカルボキシ基を1分子中に有するカルボン酸化合物と、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物とを反応させて得られる芳香族化合物であって、1分子中に2個以上の活性エステル基を有する芳香族化合物がさらにより好ましい。活性エステル化合物は、直鎖状であってよく、分岐状であってもよい。また、少なくとも2個以上のカルボキシ基を1分子中に有するカルボン酸化合物が脂肪族鎖を含む化合物であれば樹脂組成物を構成する他の樹脂成分との相溶性を高くすることができ、芳香環を有する化合物であれば耐熱性を高くすることができる。
【0035】
カルボン酸化合物としては、例えば、炭素原子数1~20(好ましくは2~10、より好ましくは2~8)の脂肪族カルボン酸、炭素原子数7~20(好ましくは7~10)の芳香族カルボン酸が挙げられる。脂肪族カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。中でも、HASTによる高温高湿環境下における絶縁層と回路とのピール強度の低下を抑制する観点、耐熱性の観点から、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、イソフタル酸、テレフタル酸がより好ましい。
【0036】
チオカルボン酸化合物としては、特に制限はないが、例えば、チオ酢酸、チオ安息香酸等が挙げられる。
【0037】
フェノール化合物としては、例えば、炭素原子数6~40(好ましくは6~30、より好ましくは6~23、さらに好ましくは6~22)のフェノール化合物が挙げられ、好適な具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール等が挙げられる。フェノール化合物としてはまた、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、特開2013-40270号公報記載のフェノール性水酸基を有するリン原子含有オリゴマーを使用してもよい。
【0038】
ナフトール化合物としては、例えば、炭素原子数10~40(好ましくは10~30、より好ましくは10~20)のナフトール化合物が挙げられ、好適な具体例としては、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。ナフトール化合物としてはまた、ナフトールノボラックを使用してもよい。
【0039】
中でも、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、フェノール性水酸基を有するリン原子含有オリゴマーが好ましく、カテコール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、フェノール性水酸基を有するリン原子含有オリゴマーがより好ましく、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエン型ジフェノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、フェノール性水酸基を有するリン原子含有オリゴマーがさらに好ましく、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジシクロペンタジエン型ジフェノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、フェノール性水酸基を有するリン原子含有オリゴマーがさらにより好ましく、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジシクロペンタジエン型ジフェノール、フェノール性水酸基を有するリン原子含有オリゴマーが殊更好ましく、ジシクロペンタジエン型ジフェノールが特に好ましい。
【0040】
チオール化合物としては、特に制限はないが、例えば、ベンゼンジチオール、トリアジンジチオール等が挙げられる。
【0041】
(B)成分の好適な具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物、芳香族カルボン酸とフェノール性水酸基を有するリン原子含有オリゴマーとを反応させて得られる活性エステル化合物が挙げられ、中でもジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、芳香族カルボン酸とフェノール性水酸基を有するリン原子含有オリゴマーとを反応させて得られる活性エステル化合物がより好ましい。なお本発明において、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン-ジシクロペンタレン-フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
【0042】
(B)成分としては、特開2004-277460号公報、特開2013-40270号公報に開示されている活性エステル化合物を用いてもよく、また市販の活性エステル化合物を用いることもできる。(B)成分の市販品としては、例えば、DIC(株)製の「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000L-65M」(ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物)、DIC(株)製の「9416-70BK」(ナフタレン構造を含む活性エステル化合物)、三菱化学(株)製の「DC808」(フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物)、三菱化学(株)製の「YLH1026」(フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物)、DIC(株)製の「EXB9050L-62M」(リン原子含有活性エステル化合物)が挙げられる。
【0043】
(A)成分との組み合わせにおいて、線熱膨張係数、誘電正接、導体層との密着性において一層優れた硬化物を実現し得る観点から、樹脂組成物中の(B)成分の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上、2.0質量%以上、2.5質量%以上又は3.0質量%以上がさらに好ましい。(B)成分の含有量の上限は特に限定されないが、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下又は8質量%がさらに好ましい。
【0044】
また、樹脂組成物中のエポキシ化合物(すなわち、(A)成分及び含有する場合には(A’)成分)のエポキシ基数を1とした場合、機械強度の良好な絶縁層を得る観点から、(B)成分の反応基数は、0.1~2が好ましく、0.3~1.5がより好ましく、0.5~1.2がさらに好ましい。ここで、「樹脂組成物中のエポキシ化合物のエポキシ基数」とは、樹脂組成物中に存在する(A)成分及び(A’)成分に該当する各エポキシ化合物の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ化合物について合計した値である。また、(B)成分についていう「反応基」とは活性エステル基を意味し、「(B)成分の反応基数」とは、樹脂組成物中の(B)成分に該当する各活性エステル化合物の固形分質量を反応基当量で除した値を全て合計した値である。
【0045】
<(C)無機充填材>
本発明の樹脂組成物は、(C)成分として、無機充填材をさらに含んでもよい。無機充填材を含むことにより、線熱膨張係数及び誘電正接が一層低い硬化物を実現し得る。
【0046】
無機充填材の材料は特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられ、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。またシリカとしては球形シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。市販されている球形シリカとして、(株)アドマテックス製「SO-C2」、「SO-C1」、Unimin社製「IMSIL A-8」、「IMSIL A-10」等が挙げられる。
【0047】
無機充填材の平均粒径は、好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下、さらにより好ましくは2μm以下、特に好ましくは1μm以下、0.7μm以下、又は0.5μm以下である。無機充填材の平均粒径の下限は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.03μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上、0.07μm以上、又は0.1μm以上である。無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製「LA-500」、「LA-750」、「LA-950」等を使用することができる。
【0048】
無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、アルコキシシラン化合物、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤などの1種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)等が挙げられる。
【0049】
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m2以上が好ましく、0.1mg/m2以上がより好ましく、0.2mg/m2以上がさらに好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度やシート形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1mg/m2以下が好ましく、0.8mg/m2以下がより好ましく、0.5mg/m2以下がさらに好ましい。
【0050】
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、(株)堀場製作所製「EMIA-320V」等を使用することができる。
【0051】
線熱膨張係数及び誘電正接の低い硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。従来技術では、樹脂組成物中の無機充填材の含有量が高くなると、樹脂組成物は脆化し柔軟性が損なわれる傾向にあった。これに対し、上記(A)成分と(B)成分とを組み合わせて含み、(A)成分の含有量が所定範囲にある本発明の樹脂組成物においては、樹脂組成物の脆化を抑えつつ、無機充填材の含有量を更に高めることができる。例えば、樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、又は70質量%以上にまで高めることができる。
【0052】
樹脂組成物中の無機充填材の含有量の上限は、得られる硬化物の機械強度の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。
【0053】
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、(B)成分以外の硬化剤、熱可塑性樹脂、硬化促進剤、難燃剤及び有機充填材からなる群から選択される1種以上の添加剤をさらに含有していてもよい。
【0054】
-(B)成分以外の硬化剤-
本発明の樹脂組成物は、(B)成分以外の硬化剤、すなわち、活性エステル化合物以外の硬化剤をさらに含んでもよい。
【0055】
(B)成分以外の硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されず、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、及びカルボジイミド系硬化剤が挙げられる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0056】
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、導体層との密着性(ピール強度)の観点から、含窒素フェノール系硬化剤又は含窒素ナフトール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤又はトリアジン骨格含有ナフトール系硬化剤がより好ましい。耐熱性、耐水性、及び導体層との密着強度を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック系硬化剤及びトリアジン骨格含有ナフトールノボラック系硬化剤が好ましい。フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成(株)製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、日本化薬(株)製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、新日鉄住金化学(株)製の「SN-170」、「SN-180」、「SN-190」、「SN-475」、「SN-485」、「SN-495」、「SN-375」、「SN-395」、DIC(株)製の「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-3018」、「LA-1356」、「TD2090」等が挙げられる。
【0057】
シアネートエステル系硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、ノボラック型(フェノールノボラック型、アルキルフェノールノボラック型など)シアネートエステル系硬化剤、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル系硬化剤、ビスフェノール型(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型など)シアネートエステル系硬化剤、及びこれらが一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。具体例としては、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート))、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン(株)製の「PT30」、「PT30S」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BADcy」(ビスフェノールAジシアネート)、「BA230」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
【0058】
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子(株)製の「HFB2006M」、四国化成工業(株)製の「P-d」、「F-a」が挙げられる。
【0059】
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル(株)製の「V-03」、「V-07」等が挙げられる。
【0060】
(B)成分以外の硬化剤を使用する場合、樹脂組成物中の該硬化剤の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上、又は2質量%以上である。該含有量の上限は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、又は10質量%以下である。
【0061】
-熱可塑性樹脂-
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂をさらに含んでもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0062】
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は8,000~70,000の範囲が好ましく、10,000~60,000の範囲がより好ましく、20,000~60,000の範囲がさらに好ましい。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC-9A/RID-6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K-800P/K-804L/K-804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
【0063】
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、新日鉄住金化学(株)製の「FX280」及び「FX293」、三菱化学(株)製の「YX7553」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
【0064】
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、例えば、電気化学工業(株)製の「電化ブチラール4000-2」、「電化ブチラール5000-A」、「電化ブチラール6000-C」、「電化ブチラール6000-EP」、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
【0065】
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006-37083号公報記載のもの)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002-12667号公報及び特開2000-319386号公報等に記載のもの)等の変性ポリイミドが挙げられる。
【0066】
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
【0067】
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)製の「PES5003P」等が挙げられる。
【0068】
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
【0069】
熱可塑性樹脂を使用する場合、樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは0.2質量%~10質量%、さらに好ましくは0.3質量%~5質量%である。
【0070】
-硬化促進剤-
本発明の樹脂組成物は、硬化促進剤を含んでもよい。硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられる。中でも、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。硬化促進剤を使用する場合、樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.005質量%~1質量%、より好ましくは0.01質量%~0.5質量%である。
【0071】
-難燃剤-
本発明の樹脂組成物は、難燃剤をさらに含んでもよい。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。難燃剤を使用する場合、樹脂組成物中の難燃剤の含有量は特に限定はされないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは0.5質量%~10質量%である。
【0072】
-有機充填材-
本発明の樹脂組成物は、有機充填材をさらに含んでもよい。有機充填材としては、プリント配線板の絶縁層を形成するに際し使用し得る任意の有機充填材を使用してよく、例えば、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子などが挙げられ、ゴム粒子が好ましい。
【0073】
ゴム粒子としては、ゴム弾性を示す樹脂に化学的架橋処理を施し、有機溶剤に不溶かつ不融とした樹脂の微粒子体である限り特に限定されず、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、ブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。ゴム粒子としては、具体的には、XER-91(日本合成ゴム(株)製)、スタフィロイドAC3355、AC3816、AC3816N、AC3832、AC4030、AC3364、IM101(以上、アイカ工業(株)製)パラロイドEXL2655、EXL2602(以上、呉羽化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0074】
有機充填材の平均粒子径は、好ましくは0.005μm~1μmの範囲であり、より好ましくは0.2μm~0.6μmの範囲である。有機充填材の平均粒子径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤に有機充填材を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(大塚電子(株)製「FPAR-1000」)を用いて、有機充填材の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒子径とすることで測定することができる。有機充填材を使用する場合、樹脂組成物中の有機充填材の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%~10質量%、より好ましくは2質量%~5質量%である。
【0075】
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、他の成分を含んでいてもよい。斯かる他の成分としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
【0076】
本発明の樹脂組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、例えば、配合成分を、必要により溶媒等を添加し、回転ミキサーなどを用いて混合・分散する方法などが挙げられる。
【0077】
本発明の樹脂組成物は、線熱膨張係数の低い硬化物(絶縁層)をもたらすことができる。本発明の樹脂組成物の硬化物の線熱膨張係数は、後述の<線熱膨張係数の測定>に記載の方法により測定することができる。具体的には、引張加重法で熱機械分析を行うことにより、25℃~150℃の範囲における平面方向の平均線熱膨張係数を測定することができる。本発明の樹脂組成物の硬化物は、好ましくは40ppm/℃以下、より好ましくは35ppm/℃以下、さらに好ましくは30ppm/℃以下、さらにより好ましくは25ppm/℃以下、特に好ましくは24ppm/℃以下、又は22ppm/℃以下の線熱膨張係数を示すことができる。線熱膨張係数の下限は特に限定されないが、通常、1ppm/℃以上である。
【0078】
本発明の樹脂組成物は、誘電正接の低い硬化物(絶縁層)をもたらすことができる。本発明の樹脂組成物の硬化物の誘電正接は、後述の<誘電正接の測定>に記載の方法により測定することができる。具体的には、空洞共振器摂動法により周波数5.8GHz、測定温度23℃で測定することができる。高周波での発熱防止、信号遅延及び信号ノイズの低減の観点から、誘電正接は0.010以下が好ましく、0.009以下がより好ましく、0.008以下、0.007以下、0.006以下、又は0.005以下がさらに好ましい。誘電正接の下限は、低いほど好ましいが、通常、0.001以上などとし得る。
【0079】
本発明の樹脂組成物は、導体層との密着性(ピール強度)の高い硬化物(絶縁層)をもたらすことができる。本発明の樹脂組成物の硬化物のピール強度は、後述の<導体層との密着性(ピール強度)の測定>に記載の方法により測定することができる。得られる導体層と絶縁層とのピール強度は、0.40kgf/cm以上が好ましく、0.45kgf/cm以上がより好ましく、0.50kgf/cm以上、0.55kgf/cm以上、又は0.60kgf/cm以上がさらに好ましい。ピール強度の上限は特に限定されないが、通常、1.2kgf/cm以下などとし得る。
【0080】
本発明の樹脂組成物は、未硬化時には良好な柔軟性、低タック性を示すと共に、線熱膨張係数及び誘電正接が低く、導体層との密着性が良好な硬化物をもたらすことができる。したがって本発明の樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物)として好適に使用することができ、プリント配線板の層間絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の層間絶縁層用樹脂組成物)としてより好適に使用することができる。本発明の樹脂組成物はまた、接着フィルム、プリプレグ等のシート状積層材料、ソルダーレジスト、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、樹脂組成物が必要とされる用途の広範囲に使用できる。
【0081】
[シート状積層材料]
本発明の樹脂組成物は、ワニス状態で塗布して使用することもできるが、工業的には一般に、該樹脂組成物を含有するシート状積層材料の形態で用いることが好適である。
【0082】
シート状積層材料としては、以下に示す接着フィルム、プリプレグが好ましい。
【0083】
一実施形態において、接着フィルムは、支持体と、該支持体と接合している樹脂組成物層(接着層)とを含んでなり、樹脂組成物層(接着層)が本発明の樹脂組成物から形成される。
【0084】
樹脂組成物層の厚さは、プリント配線板の薄型化の観点から、好ましくは180μm以下、より好ましくは160μm以下、さらに好ましくは140μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、1μm以上、5μm以上、などとし得る。
【0085】
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
【0086】
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミドなどが挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0087】
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
【0088】
支持体は、樹脂組成物層と接合する側の表面にマット処理、コロナ処理を施してあってもよい。また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する側の表面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型剤の市販品としては、例えば、アルキド樹脂系離型剤である、リンテック(株)製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」などが挙げられる。
【0089】
支持体の厚さは、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、支持体が離型層付き支持体である場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
【0090】
接着フィルムは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどを用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
【0091】
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN-メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0092】
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
【0093】
接着フィルムにおいて、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。接着フィルムは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。接着フィルムが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
【0094】
一実施形態において、プリプレグは、シート状繊維基材に本発明の樹脂組成物を含浸させて形成される。
【0095】
プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。プリント配線板の薄型化の観点から、シート状繊維基材の厚さは、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下、さらにより好ましくは20μm以下である。シート状繊維基材の厚さの下限は特に限定されないが、通常、10μm以上である。
【0096】
プリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の公知の方法により製造することができる。
【0097】
プリプレグの厚さは、上述の接着フィルムにおける樹脂組成物層と同様の範囲とし得る。
【0098】
特定の(A)成分と(B)成分とを組み合わせて含み、(A)成分の含有量が所定範囲にある樹脂組成物を使用する本発明においては、未硬化時には良好な柔軟性、低タック性を示すと共に、線熱膨張係数及び誘電正接が低く、導体層との密着性が良好な硬化物をもたらす、プリント配線板の製造に際して極めて有用なシート状積層材料を実現することができる。
【0099】
本発明のシート状積層材料は、プリント配線板の絶縁層を形成するため(プリント配線板の絶縁層用)に好適に使用することができ、プリント配線板の層間絶縁層を形成するため(プリント配線板の層間絶縁層用)により好適に使用することができる。
【0100】
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の樹脂組成物又は本発明のシート状積層材料を熱硬化して得られた絶縁層を含む。
【0101】
一実施形態において、本発明のプリント配線板は、上述の接着フィルムを用いて、下記(I)及び(II)の工程を含む方法により製造することができる。
(I)内層基板上に、接着フィルムを、該接着フィルムの樹脂組成物層が内層基板と接合するように積層する工程
(II)樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程
【0102】
工程(I)で用いる「内層基板」とは、主として、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板、又は該基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成された回路基板をいう。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物の内層回路基板も本発明でいう「内層基板」に含まれる。プリント配線板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用すればよい。
【0103】
内層基板と接着フィルムの積層は、例えば、支持体側から接着フィルムを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。接着フィルムを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を接着フィルムに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に接着フィルムが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
【0104】
内層基板と接着フィルムの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施する。
【0105】
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、(株)名機製作所製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ(株)製のバキュームアップリケーター等が挙げられる。
【0106】
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された接着フィルムの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
【0107】
支持体は、工程(I)と工程(II)の間に除去してもよく、工程(II)の後に除去してもよい。
【0108】
工程(II)において、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する。
【0109】
樹脂組成物層の熱硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
【0110】
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は120℃~240℃の範囲(好ましくは150℃~220℃の範囲、より好ましくは170℃~200℃の範囲)、硬化時間は5分間~120分間の範囲(好ましくは10分間~100分間、より好ましくは15分間~90分間)とすることができる。
【0111】
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上110℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下)の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上(好ましくは5~150分間、より好ましくは15~120分間)予備加熱してもよい。
【0112】
プリント配線板を製造するに際しては、(III)絶縁層に穴あけする工程、(IV)絶縁層を粗化処理する工程、(V)絶縁層表面に導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。これらの工程(III)乃至(V)は、プリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。なお、支持体を工程(II)の後に除去する場合、該支持体の除去は、工程(II)と工程(III)との間、工程(III)と工程(IV)の間、又は工程(IV)と工程(V)との間に実施してよい。
【0113】
他の実施形態において、本発明のプリント配線板は、上述のプリプレグを用いて製造することができる。製造方法は基本的に接着フィルムを用いる場合と同様である。
【0114】
工程(III)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(III)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法や形状は、プリント配線板のデザインに応じて適宜決定してよい。
【0115】
工程(IV)は、絶縁層を粗化処理する工程である。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に硬化体を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~80℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
【0116】
工程(V)は、導体層を形成する工程である。
【0117】
導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
【0118】
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
【0119】
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
【0120】
一実施形態において、導体層は、メッキにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にメッキして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
【0121】
他の実施形態において、導体層は、金属箔を使用して形成してよい。金属箔を使用して導体層を形成する場合、工程(V)は、工程(I)と工程(II)の間に実施することが好適である。例えば、工程(I)の後、支持体を除去し、露出した樹脂組成物層の表面に金属箔を積層する。樹脂組成物層と金属箔との積層は、真空ラミネート法により実施してよい。積層の条件は、工程(I)について説明した条件と同様としてよい。次いで、工程(II)を実施して絶縁層を形成する。その後、絶縁層上の金属箔を利用して、サブトラクティブ法、モディファイドセミアディティブ法等の従来の公知の技術により、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
【0122】
金属箔は、例えば、電解法、圧延法等の公知の方法により製造することができる。金属箔の市販品としては、例えば、JX日鉱日石金属(株)製のHLP箔、JXUT-III箔、三井金属鉱山(株)製の3EC-III箔、TP-III箔等が挙げられる。
【0123】
特定の(A)成分と(B)成分とを組み合わせて含み、(A)成分の含有量が所定範囲にある本発明の樹脂組成物を使用してプリント配線板を製造する場合、導体層をメッキにより形成するか金属箔を使用して形成するかの別を問わず、導体層と絶縁層との密着性(ピール強度)を著しく向上させることができる。
【0124】
[半導体装置]
本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を含む。
【0125】
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
【0126】
本発明の半導体装置は、プリント配線板の導通箇所に、部品(半導体チップ)を実装することにより製造することができる。「導通箇所」とは、「プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
【0127】
本発明の半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、などが挙げられる。ここで、「バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法」とは、「半導体チップをプリント配線板の凹部に直接埋め込み、半導体チップとプリント配線板上の配線とを接続させる実装方法」のことである。
【実施例0128】
以下、本発明について、実施例を示して具体的に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に限定されるものではない。以下の説明において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ意味する。
【0129】
まず、本明細書での物性評価における測定・評価方法について説明する。
【0130】
<エポキシ化合物の粘度の測定>
エポキシ化合物の粘度(25℃)は、E型粘度計(東機産業製「RE-25U」、1°34’×R24のコーンロータを使用)を用いて、25℃、20rpmの条件で測定した。
【0131】
<導体層との密着性(ピール強度)の測定>
(1)回路基板の下地処理
回路を形成した、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.8mm、日立化成(株)製「E700GR」)の両面をマイクロエッチング剤(メック(株)製「CZ8101」)にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行った。
【0132】
(2)接着フィルムの積層
実施例及び比較例で作製した接着フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーター((株)名機製作所製「MVLP-500」)を用いて、樹脂組成物層が回路基板と接合するように、回路基板の両面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、100℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着することにより実施した。接着フィルムの積層後、支持体を剥離し、樹脂組成物層を露出させた。得られた基板を「基板a」と称する。
【0133】
(3)銅箔の積層
銅箔(厚さ35μm、三井金属鉱業(株)製「3EC-III」)の光沢面をマイクロエッチング剤(メック(株)製「CZ8101」)で1μmエッチングして粗化処理を行った。該銅箔を、その光沢面が樹脂組成物層と接合するように、上記(2)と同条件で基板aに積層した。その後、100℃にて30分間、170℃にて30分間、200℃にて60分間の条件で樹脂組成物層を熱硬化させて絶縁層を形成した。得られた基板を「評価基板A」と称する。
【0134】
(4)ピール強度の測定
評価基板Aの導体層に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具で掴み、室温(25℃)中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm(N/cm))を測定し、ピール強度を求めた。測定には、引っ張り試験機((株)TSE製「AC-50C-SL」)を使用した。
【0135】
<線熱膨張係数の測定>
(1)評価用硬化物の調製
実施例及び比較例で作製した接着フィルムを200℃で90分間加熱して樹脂組成物層を熱硬化させた。次いで、支持体を剥離してシート状の硬化物を得た。該硬化物を「評価用硬化物B」と称する。
【0136】
(2)線熱膨張係数の測定
評価用硬化物Bを、幅5mm、長さ15mmの試験片に切断し、熱機械分析装置((株)リガク製「Thermo Plus TMA8310」)を使用して、引張加重法にて熱機械分析を行った。詳細には、試験片を前記装置に装着後、荷重1g、昇温速度5℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。そして2回目の測定において、25℃から150℃までの範囲における平面方向(X-Y方向)の平均線熱膨張係数(ppm/℃)を算出した。
【0137】
<誘電正接の測定>
評価用硬化物Bを、幅2mm、長さ80mmの試験片に切断した。該試験片について、アジレントテクノロジーズ(株)製「HP8362B」を用いて、空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて誘電正接を測定した。2本の試験片について測定を行い、平均値を算出した。
【0138】
<柔軟性・タック性の評価>
実施例及び比較例で作製した接着フィルムについて、支持体が内側、樹脂組成物層が外側となる状態で180度の角度で折り曲げ、柔軟性を確認した。樹脂組成物層が割れなかったものを○、割れたものを×とした。また、実施例及び比較例で作製した接着フィルムについて、樹脂組成物層を指で押してタック性を確認し、接着フィルムが指に付着したままになるものをタック性あり、そのような付着が見られないものをなしとした。
【0139】
以下の説明において、別に断らない限り、「MEK」とはメチルエチルケトンを示し、「PET」とはポリエチレンテレフタレートを示す。
【0140】
[実施例1]
ナフタレン型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「ESN475V」、エポキシ当量約332)50部、低粘度エポキシ化合物としてシクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学(株)製「ZX1658GS」、エポキシ当量約135、25℃での粘度34mPa・s)5部を、シクロヘキサノン20部、MEK20部に撹拌しながら加熱溶解させ、その後、室温にまで冷却して、混合溶液を得た。そこへ、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SO-C2」)190部、活性エステル化合物(DIC(株)製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)16部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX7553BH30」、固形分30質量%のMEK、シクロヘキサノン混合溶液)5部、フェノール系硬化剤(DIC(株)製「LA3018-50P」、固形分50質量%の2-メトキシプロパノール溶液)11部及び、硬化促進剤(1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール(1B2PZ)、固形分10質量%のMEK溶液)5部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを調製した。
【0141】
支持体として、離型層付きPETフィルム(リンテック(株)製「AL5」、厚さ38μm)を用意した。この支持体の離型層上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが40μmとなるように、樹脂ワニスを均一に塗布した。その後、80℃~120℃(平均100℃)で5分間乾燥させて、支持体上に樹脂組成物層を形成して接着フィルムを得た。
【0142】
[実施例2]
シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂「ZX1658GS」5部を1、6-ヘキサンジオール型エポキシ樹脂(ナガセケムテックス(株)製「デナコールEX212L」、エポキシ当量135、25℃での粘度10mPa・s)5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び接着フィルムを得た。
【0143】
[実施例3]
シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂「ZX1658GS」5部をトリメチロールプロパン型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学(株)製「ZX1542」、エポキシ当量120、25℃での粘度109mPa・s)5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び接着フィルムを得た。
【0144】
[実施例4]
シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂「ZX1658GS」5部を(株)ADEKA製の「EP-3980S」(25℃での粘度31mPa・s、エポキシ当量115、o-トルイジン型エポキシ樹脂)5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び接着フィルムを得た。
【0145】
[実施例5]
シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂「ZX1658GS」5部を(株)ADEKA製の「EP-4088S」(25℃での粘度213mPa・s、エポキシ当量170、ジシクロペンタジエンジメタノール型エポキシ樹脂)5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び接着フィルムを得た。
【0146】
[実施例6]
(i)シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂「ZX1658GS」の配合量を5部から15部に変更した点、(ii)球形シリカの配合量を190部から210部に変更した点以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び接着フィルムを得た。
【0147】
[比較例1]
シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂「ZX1658GS」5部をビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「828US」、エポキシ当量189、25℃での粘度2000mPa・s)5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び接着フィルムを得た。
【0148】
[比較例2]
(i)ナフタレン型エポキシ樹脂「ESN475V」の配合量を50部から30部に変更した点、(ii)シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂「ZX1658GS」の配合量を5部から30部に変更した点、(iii)球形シリカの配合量を190部から210部に変更した点、(iv)活性エステル化合物「HPC-8000-65T」の配合量を16部から17部に変更した点、(v)フェノール系硬化剤「LA3018-50P」の配合量を11部から12部に変更した点以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び接着フィルムを得た。
【0149】
[比較例3]
(i)シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂「ZX1658GS」の配合量を5部から1部に変更した点、(ii)球形シリカの配合量を190部から180部に変更した点以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び接着フィルムを得た。
【0150】
[比較例4]
(i)ナフタレン型エポキシ樹脂「ESN475V」の配合量を50部から35部に変更した点、(ii)ビスフェノールA型エポキシ樹脂「828US」の配合量を5部から15部に変更した点、(iii)球形シリカの配合量を190部から180部に変更した点、(iv)活性エステル化合物「HPC-8000-65T」の配合量を16部から15部に変更した点、(v)フェノール系硬化剤「LA3018-50P」の配合量を11部から10部に変更した点以外は、比較例1と同様にして、樹脂ワニス及び接着フィルムを得た。
【0151】
[比較例5]
シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂「ZX1658GS」5部を脂環式エポキシ樹脂((株)ダイセル製「セロキサイド2021P」、エポキシ当量120、25℃での粘度47mPa・s)5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び接着フィルムを得た。
【0152】
上述した実施例及び比較例の評価結果を、下記の表に示す。
【0153】
【0154】
フェノキシ樹脂「YX7553BH30」を配合しない場合、硬化促進剤(1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール(1B2PZ))を配合しない場合、フェノール系硬化剤「LA3018-50P」を配合しない場合に関しても、程度に差はあるものの、上記実施例と同様の結果に帰着することを確認している。