(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159364
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】投影装置
(51)【国際特許分類】
G03B 21/16 20060101AFI20221006BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20221006BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G03B21/16
G03B21/00 D
H05K7/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123818
(22)【出願日】2022-08-03
(62)【分割の表示】P 2021017720の分割
【原出願日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】P 2020159224
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 航平
(72)【発明者】
【氏名】上田 智之
(72)【発明者】
【氏名】藤倉 拓史
(57)【要約】
【課題】1つの冷却ファンで投影装置を良好に冷却する。
【解決手段】投影装置10は、光学装置60と、光学装置60の上側に配置されている制御回路基板300と、投影方向とは反対側のケース250の後面吸気部である吸気部264の近傍に配置され、上面より吸気する上面吸気口280aと、下面より吸気する下面吸気口280bと、を有する冷却ファン280と、冷却ファン280の吐出口280cに対応して設けられ、光学装置60と連結されるヒートシンク(第1ヒートシンク281、第2ヒートシンク282)と、を備え、下面吸気口280b側の流路抵抗は、上面吸気口280a側の流路抵抗より小さい。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学装置と、
前記光学装置の上側に配置されている制御回路基板と、
投影方向とは反対側のケースの後面吸気部の近傍に配置され、上面より吸気する上面吸気口と、下面より吸気する下面吸気口と、を有する冷却ファンと、
前記冷却ファンの吐出口に対応して設けられ、前記光学装置と連結されているヒートシンクと、
を備え、
前記下面吸気口側の流路抵抗は、前記上面吸気口側の流路抵抗より小さいことを特徴とする投影装置。
【請求項2】
前記下面吸気口は、前記上面吸気口より大きい、
請求項1に記載の投影装置。
【請求項3】
前記冷却ファンは、前記ケースの厚み方向の上側に配置され、
前記ケース内における前記冷却ファンの下側空間は、前記ケース内における前記冷却ファンの上側空間より広い、
請求項1又は2に記載の投影装置。
【請求項4】
前記冷却ファンは、前記ケースの第一側面の近傍に設けられ、
前記冷却ファンの動作に応じて、前記ケースにおける投影口が設けられている前面、前記第一側面に対向する第二側面及び前記前面に対向する後面の3つの面から、外気が前記ケース内に取り込まれ、
外気は前記第一側面からは取り込まれない、
請求項1乃至3のいずれかに記載の投影装置。
【請求項5】
前記ケース内に、前記冷却ファンは1つのみ設けられ、複数設けられていない、
請求項1乃至4のいずれかに記載の投影装置。
【請求項6】
前記ヒートシンクは、レーザー用の第1ヒートシンクと、前記第1ヒートシンクより前記冷却ファン側に発光ダイオード用の第2ヒートシンクと、を備える、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の投影装置。
【請求項7】
前記制御回路基板は、前記光学装置の上側に設けられる第1の空気流通路内に配置され、
前記冷却ファンの動作に応じて、前記第1の空気流通路を通って前記冷却ファンに取り込まれる空気が、前記制御回路基板を冷却する、
請求項1乃至6のいずれかに記載の投影装置。
【請求項8】
前記第1の空気流通路に、ICチップ冷却用の板金部材からなるICヒートシンクが配置されている、
請求項7に記載の投影装置。
【請求項9】
前記第1の空気流通路は、前記光学装置の下側に設けられる第2の空気流通路よりも広く、前記第1の空気流通路の流路抵抗は前記第2の空気流通路の流路抵抗より小さい、
請求項7又は8に記載の投影装置。
【請求項10】
前記光学装置の開口部は、前記ケースの厚み方向の下側に設けられ、
前記開口部は、カバー部材により塞がれている、
請求項1乃至9のいずれかに記載の投影装置。
【請求項11】
前記ケースは、投影口が設けられている前面に、吸気部と排気部を備える吸排気部を含み、
前記排気部の排気方向は、前記吸気部の吸気方向に対して離反する方向に傾斜する、
請求項1乃至10のいずれかに記載の投影装置。
【請求項12】
前記ケースは、前記吸排気部の複数の吸排気孔と正面視において重なる複数の流通孔を有する金属製のシールド壁を有する、
請求項11に記載の投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)と呼ばれるマイクロミラー表示素子や液晶板を用いて形成した画像をスクリーンに投影する投影装置が備える光源や制御用の基板等を冷却するための技術が提案されている。例えば、特許文献1の投影装置は、光源や透過型の液晶板を含む光学ユニットを備える第1領域と、電源や制御基板が配置される第2領域とを仕切る仕切り部を有し、各領域にはそれぞれ冷却ファンが設けられて、防塵フィルタを介して外気が吸入される。第2領域は、第1領域よりも防塵性を緩和して、第2領域の冷却効率を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
投影装置をコンパクトな形状としたい場合には、投影装置のケース内部の複数の発熱部材が密集する。すると、コンパクトなケース内部を従来のように仕切り部により領域を区切ろうとしても、仕切り部を設けるスペースが無かったり、仕切り部自体が複雑形状となる等して、第1領域と第2領域とされる領域に区分けすることが難しい場合がある。そして、投影装置の小型化のため1つの冷却ファンで第1領域と第2領域とを冷却しようとすると、投影装置のケースの内部部品全体を良好に冷却することが困難なことがある。
【0005】
本発明は、1つの冷却ファンで投影装置を良好に冷却することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の投影装置は、光学装置と、前記光学装置の上側に配置されている制御回路基板と、投影方向とは反対側のケースの後面吸気部の近傍に配置され、上面より吸気する上面吸気口と、下面より吸気する下面吸気口と、を有する冷却ファンと、前記冷却ファンの吐出口に対応して設けられ、前記光学装置と連結されているヒートシンクと、を備え、前記下面吸気口側の流路抵抗は、前記上面吸気口側の流路抵抗より小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、1つの冷却ファンで投影装置を良好に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る投影装置の外観を示す正面側斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る投影装置の外観を示す後面側斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る投影装置を示し、(a)は上方から見た分解斜視図であり、(b)は下方から見た分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る投影装置における光学装置を下側から見た分解斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る投影装置における冷却ファンを示す図であり、(a)は上面図であり、(b)は下面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る投影装置における光学ケースの内部を省略して網掛けして示す
図1のVI-VI断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る投影装置における基板のICチップ用のヒートシンクを示す斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る投影装置における光学ケースの内部を省略して網掛けして示す
図1のVIII-VIII断面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る投影装置における光学ケースの内部を省略して網掛けして示す
図1のIX-IX断面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る投影装置の機能回路ブロックを示す図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る投影装置の内部構造を示す平面模式図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る投影装置における冷却風の流れを示す平面模式図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る投影装置のケースと電源回路基板を示す
図11のXIII-XIII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。
図1、
図2に示すように、投影装置10は、コンパクトな形状とされるものであり、外周面である6面(上面250a、下面250b、左側面250c(第二側面)、右側面250d(第一側面)、前面250e、後面250f)(なお、第一側面と第二側面は対向する)を有して、左右方向を長手方向とする略長矩形箱状とされるケース250を備える。投影装置10は、前面250e側に投影口11を有する。投影装置10は、投影口11から投影光が出射される。なお、以下の説明においては、投影装置10における左右とは投影口11からの投影方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影装置10の投影光の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0010】
ケース250は、上ケース251、下ケース252、左側パネル253、前側パネル254、後側パネル255を有する。上ケース251は、
図3(a),(b)にも示すように、上面250aを備える上側パネル部251aと、右側面250dの上側の一部となる面を備える右上パネル部251bとを有する。下ケース252は、下面250bを備える下側パネル部252aと、右側面250dの下側の一部となる面を備える右下パネル部252bとを有する。上側パネル部251aと右上パネル部251bの接続部及び下側パネル部252aと右下パネル部252bの接続部は、角R状に湾曲する。左側パネル253、前側パネル254、後側パネル255は、上ケース251の上側パネル部251a、右上パネル部251b及び下ケース252の下側パネル部252a、右下パネル部252bと共に外周板とされる。
【0011】
右側面250dの後方下側(右下パネル部252bの後方側)には、電源プラグ15が設けられる。なお、下ケース252は、マグネシウム合金やアルミ合金等の金属材料を用いたダイキャストにより製造される。上ケース251や前後及び左の各パネルは樹脂材料により成形される。
【0012】
上ケース251の上面であって投影口11に対応する部位には、一つ又は複数の回動摘みを備える投影画像調整部12が設けられる。投影画像調整部12の回動摘みを操作することにより、投影光学系の稼働レンズの位置が調節され、投影画像の大きさやピントの調節が行われる。また、上ケース251の後方側の上面には、キー/インジケータ部37が設けられる。キー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、投影のオン、オフを切り替える投影スイッチキー、光学装置60や表示素子51(
図11で後述)又は制御回路等が過熱した時に報知をする過熱インジケータ等の各種設定を行うためのキーやインジケータが配置されている。
【0013】
左右方向に長い前側パネル254は、ケース250の左前角部250gまで延在し、左前角部250gは角R状とされる。同様に左右方向に長い後側パネル255は、ケース250の左後角部250hまで延在し、左後角部250hは角R状とされる。左側パネル253は、左前角部250gまで延在した前側パネル254と、左後角部250hまで延在した後側パネル255との間に設けられる。
【0014】
左側パネル253、前側パネル254、後側パネル255は、上下方向略中央に、各パネルに亘って横リブ256が設けられる。各パネルにおける横リブ256の上側及び下側は、略横長の格子状とされる。左側パネル253、前側パネル254、後側パネル255は、横リブ256を頂部として、横リブ256の上側及び下側がケース250の内部側に傾斜する。
【0015】
左側パネル253の略中央部から後方側に亘る領域は、横長格子状に複数の細い横長の吸気孔を備える吸気部261が設けられる。吸気部261には、略横長の格子状に沿って、複数の細い横長の吸気孔が設けられる。左側パネル253の前側には、横長格子状の一部が開口されるスピーカ部48aが設けられる。スピーカ部48aの内部には、スピーカ48が設けられる。左側パネル253の後側には、画像信号用の入出力コネクタ部21が設けられる。
【0016】
前側パネル254は、右端側の所定領域を排気部260とし、略中央部の所定領域を吸気部262としている。吸気部262は、右側吸気部262a及び左側吸気部262bを備える。前側パネル254は、投影口11を臨む投影口用開口部254aが左前角部250g近傍に設けられる。前側パネル254と右側面250dの右上パネル部251b及び右下パネル部252bとが接続する右前角部250iは平面視直角状とされる。
【0017】
排気部260は、横リブ256の右端から放射方向の上側及び下側に、それぞれ傾斜リブ254bが設けられる。また、排気部260には、傾斜リブ254bよりも中央寄りに所定間隔を空けて、横リブ256の上側及び下側にそれぞれ2枚の縦リブ254cが設けられる。排気部260には、傾斜リブ254b及び縦リブ254cに亘って横長の略U字状のU字リブ254dが2重に設けられる。排気部260は、吸気部261,262,263,264に比して孔部が大きく開口する。
【0018】
傾斜リブ254b及び縦リブ254cは、
図11にも示すように、排気方向が右方向となるよう傾斜して設けられる。前側パネル254の排気部260、投影口用開口部254a以外の領域は、略横長の格子状とされる。
【0019】
後側パネル255は、左上側に音響機器への出力プラグ14が設けられる。後側パネル255の右端側は、他の部分の横長格子状に倣った略U字状の格子とされる。後側パネル255の左側から略中央部に亘っては、横長格子状の細い横長の吸気孔を備える吸気部263が設けられる。後側パネル255の右側部分には、同様に吸気孔(細い横長の吸気孔及び略U字状の細い吸気孔)を備える吸気部264(後面吸気部)が設けられる。後側パネル255と右側面250dの右上パネル部251b、右下パネル部252bとが接続する右後角部250jは平面視直角状とされる。
【0020】
このようにして、投影装置10は、複数の吸気孔や排気孔を備えた吸気部261~264、排気部260を含む吸排気部を備える。換言すれば、投影装置10の吸排気部は、複数の吸排気孔を有する。
【0021】
次に、投影装置10のケース250の収納形態について述べる。
図3(a),(b)に示すように、投影装置10のケース250には、光学ケース61、制御回路基板300、冷却ファン280、第1ヒートシンク281、第2ヒートシンク282が収納される。光学ケース61は、光学装置60の各種光源やレンズ、ミラー等の光学部材が配置され、レンズ鏡筒225が取り付けられる。
【0022】
光学ケース61は、
図3(b)及び
図4に示すように、下側(ケース250の下面250b側、ケース250の厚み方向の下側)に開口部61aが設けられる。開口部61aには、防塵のため、図示しないシール部材と共にカバー部材62が複数のボルトにより固定される。シール部材は、開口部61aの縁部に沿って配置される。開口部61aは、カバー部材62により覆われて、光学ケース61の内部は密閉空間とされる。光学装置60の製造の際には、この開口部61aを介して、光学ケース61の内部にレンズやミラー等の光学部材や光源の取り付けが行われる。ここで、
図4は、光学ケース61の内部に収納される集光レンズ等の光学部材を省略して下側から見た分解斜視を示している。
【0023】
なお、後述する蛍光板装置100は、一部が光学ケース61の上面の開口部を介して突出してカバー65により覆われている。カバー65は、その取付け範囲はカバー部材62に比して限定的であり、取付け範囲が小さい。従って、カバー65が覆う開口に対しては、シール部材等による防塵対策を施し易い。
【0024】
図3(a)に示すように、光学ケース61の上面側には、主基板となる制御回路基板300が設けられる。制御回路基板300は、光学ケース61の上面や下ケース252の下側パネル部252aの内側面から立設するボスやブラケットに対してねじ止めして、ケース250の上側に固定して配置される。
図11にも示すように、光学ケース61の右側後方(換言すれば、投影方向とは反対側のケース250の吸気部264の近傍)には、シロッコファンを用いたブロア型の冷却ファン280が配置される。投影装置10には、一つの冷却ファン280のみが設けられ、複数設けられていない。
【0025】
冷却ファン280の上面には、
図5(a)に示すように、冷却ファン280の上面より吸気する上面吸気口280aが設けられる。上面吸気口280aは、3つの略円弧状の開口からなる。一方、冷却ファン280の下面には、下面吸気口280bが設けられる。下面吸気口280bは、1つの円形の開口からなる。下面吸気口280bの面積は、上面吸気口280aの面積(3つの略円弧状の開口を合算した面積)より大きい。冷却ファン280は、上面吸気口280a及び下面吸気口280bから吸気し、開口方向が上面吸気口280a及び下面吸気口280bの開口方向と直交する吐出口280cから排気される。
【0026】
また、
図6に示すように、冷却ファン280は、右側面250d(右上パネル部251b及び右下パネル部252b)の近傍に設けられる。ここで、右側面250dは、吸排気孔は設けられず、外気は右側面250dからは取り込まれない。また、冷却ファン280は、ケース250の厚み方向の上側に配置される。つまり、ケース250内における冷却ファン280の下側の空間(二点鎖線で囲まれて内側にハッチングを施した下側空間Y)は、ケース250内における冷却ファン280の上側の空間(二点鎖線で囲まれて内側にハッチングを施した上側空間X)より広い。従って、下面吸気口280b側の流路抵抗は、上面吸気口280a側の流路抵抗より小さい。なお、
図6では、光学装置60の内部の集光レンズやミラー等の部材を省略し、内部を網掛けにて示す。
【0027】
図3(a)に戻り、冷却ファン280の前方側には、光学装置60と連結されるヒートシンク(第1ヒートシンク181及び第2ヒートシンク282)が冷却ファン280の吐出口280cに対応して設けられる。具体的には、冷却ファン280の吐出口280cの前方側には第2ヒートシンク282が設けられ、第2ヒートシンク282の前方側には、第1ヒートシンク281が設けられる。なお、冷却ファン280の下側の直下(冷却ファン280と下ケース252との間、つまり、下側空間Y)には、電源回路基板310(
図6参照)が配置される。また、光学ケース61の略中央後方側には、光学装置60と連結される第3ヒートシンク283が設けられる。第3ヒートシンク283は、複数のフィンを有する。下ケース252の下面250bにおける前方中央部には、凹状の把持部270が設けられる。
【0028】
制御回路基板300には、前側の左端に、制御回路基板300の下面に設けられるICチップ301を冷却するためのICヒートシンク285が取り付けられている。
図7に示すように、ICヒートシンク285は、板金部材からなり、ICチップ301に当接するよう平板状に配置される当接板285aと、当接板285aから下方に垂直に延設される櫛歯状の第1フィン285bと、第1フィン285bと直角方向に隣り合い、内側に傾斜する第2フィン285cとを有する。ICヒートシンク285は、第1フィン285bが前面250e側に向けて、光学ケース61の角部に取り付けられる。従って、第1フィン285b、第2フィン285cは、光学ケース61の外周に沿って配置される。
【0029】
図8,9及び
図6にも示すように、投影装置10のケース250と光学ケース61(光学装置60)との間には間隙が設けられる。そして、光学ケース61(光学装置60)の上面と、ケース250の上ケース251における上側パネル部251aの下面との間の間隙を含む領域(内側にハッチングを施した二点鎖線で囲う上側の領域)は、冷却風が流通する第1の空気流通路91とされる。また、光学ケース61(光学装置60)の下面(カバー部材62の下面)と、ケース250の下ケース252における下側パネル部252aの上面との間の間隙を含む領域(内側にハッチングを施した二点鎖線で囲う下側の領域)は、冷却風が流通する第2の空気流通路92とされる。なお、
図8,9では、光学装置60の内部の集光レンズやミラー等の部材を省略し、密閉空間の内部を網掛けにて示す。
【0030】
第1の空気流通路91における光学ケース61とケース250との間隙は、第2の空気流通路92における光学ケース61とケース250との間隙よりも大きい。換言すれば、
図8,9の縦断面に示すような第1の空気流通路91の縦断面の断面積は、第2の空気流通路92の縦断面の断面積よりも大きい。さらに換言すれば、第1の空気流通路91は、第2の空気流通路92よりも広い。従って、第1の空気流通路91の冷却風の流量は、第2の空気流通路92における冷却風の流量よりも大きい。すなわち、第1の空気流通路91の流路抵抗は第2の空気流通路92の流路抵抗より小さい。そして、第2の空気流通路92の冷却風は、光学ケース61のカバー部材62側を流通する。
【0031】
図10は、投影装置10の機能回路ブロック図である。投影装置制御部は、画像変換部23と制御部38とを含むCPU、入出力インターフェース22を含むフロントエンドユニット、表示エンコーダ24と表示駆動部26とを含むフォーマッタユニットを備える。入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバスSBを介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
【0032】
また、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶した上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0033】
表示駆動部26は、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜のフレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動する。投影装置10は、光学装置60から出射された光線束を、導光光学系を介して表示素子51に照射することにより、表示素子51の反射光で光画像を形成し、投影側光学系220を介して図示しないスクリーン等の被投影体に画像を投影表示する。なお、この投影側光学系220の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動を行うことができる。
【0034】
また、画像圧縮/伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体であるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。さらに、画像圧縮/伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力する。よって、画像圧縮/伸長部31は、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の出力を行うことができる。
【0035】
制御部38は、投影装置10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成される。
【0036】
キー/インジケータ部37は、筐体に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成される。キー/インジケータ部37の操作信号は、制御部38に直接送出される。また、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36でコード信号に復調されて制御部38に出力される。
【0037】
制御部38はシステムバスSBを介して音声処理部47と接続されている。音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
【0038】
制御部38は、光源制御回路41を制御している。光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光学装置60から出射されるように、光学装置60の励起光照射装置の動作を個別に制御する。
【0039】
さらに、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光学装置60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファン280の回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等により投影装置10本体の電源オフ後も冷却ファン280の回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によっては投影装置10本体の電源をオフにする等の制御も行う。
【0040】
次に、
図11に基づいて、光学装置60の内部構造について説明する。なお、
図11は、第1ヒートシンク281、第2ヒートシンク282が有する複数のフィンが表れるよう第1ヒートシンク281、第2ヒートシンク282を断面で表している。
【0041】
光学装置60は、赤色波長帯域光の光源である赤色光源装置120と、緑色波長帯域光の光源である緑色光源装置80と、青色波長帯域光の光源である青色光源装置であると共に励起光源でもある励起光照射装置70と、を備える。緑色光源装置80は、励起光照射装置70と、蛍光板装置100により構成される。光学装置60は、導光光学系140を有する。導光光学系140は、緑色波長帯域光及び青色波長帯域光及び赤色波長帯域光の光線束を合わせて、各色波長帯域の光線束を同一光路上に導光する。
【0042】
励起光照射装置70は、光学ケース61の右後側に配置される。励起光照射装置70は、後側パネル255と光軸が平行になるよう配置された複数の半導体発光素子を備える。本実施形態の半導体発光素子は、青色波長帯域光を発する複数の青色レーザダイオード71である。各青色レーザダイオード71には、青色レーザダイオード71からの出射光の指向性を高めて平行光に変換するコリメータレンズ73が一体的に取り付けられている。これら青色レーザダイオード71は、保持プレート74に固定される。保持プレート74には、2行4列で合計8個の青色レーザダイオード71が設けられる。
【0043】
また、励起光照射装置70は、反射ミラー群76、集光レンズ77、拡散板78を備える。反射ミラー群76は、右側から左側に出射された各青色レーザダイオード71からの出射光の光軸を後側から前側、すなわち、集光レンズ77に向けて略90度変換する。集光レンズ77の前側に配置される拡散板78は、反射ミラー群76で反射して集光レンズ77により集光された各青色レーザダイオード71からの出射光を予め定められた拡散角度で拡散する。
【0044】
励起光照射装置70は、保持プレート74の背面側でヒートパイプ79と接続される。ヒートパイプ79は、第1ヒートシンク281と接続される。レーザーである複数の青色レーザダイオード71は、第1ヒートシンク281により冷却される。第1ヒートシンク281の左側の複数のフィン281aの先端部は、排気部260における傾斜リブ254b及び縦リブ254cと同様に先端部が傾斜している。
【0045】
赤色光源装置120は、光学ケース61における励起光照射装置70の前側に設けられる。赤色光源装置120は、青色レーザダイオード71の光線束と光軸が平行となるように配置された赤色光源121と、赤色光源121からの出射光を集光する集光レンズ群125と、を備える。この赤色光源121は、赤色波長帯域光を出射する半導体発光素子である赤色発光ダイオードである。赤色光源装置120は、赤色光源装置120が出射する赤色波長帯域光の光軸が、蛍光板101から出射される緑色波長帯域光の光軸と交差するように配置される。赤色光源装置120の背面側は、ヒートパイプ129と接続される。ヒートパイプ129は、第2ヒートシンク282と接続される。発光ダイオードである赤色光源121は、第2ヒートシンク282により冷却される。
【0046】
緑色光源装置80を構成する蛍光板装置100は、蛍光板101、モータ110、入射側の集光レンズ群117を備える。蛍光板101は、励起光照射装置70からの出射光の光軸と直交するように配置された蛍光ホイールである。この蛍光板101はモータ110により回転駆動する。集光レンズ群117は、励起光照射装置70から出射される励起光の光線束を蛍光板101に集光する。
【0047】
蛍光板101には、図示しないが、蛍光発光領域と拡散透過領域とが周方向に並設されている。蛍光発光領域は、青色レーザダイオード71から出射された青色波長帯域光を励起光として受けて、励起された緑色波長帯域の蛍光を出射する。拡散透過領域は、青色レーザダイオード71からの出射光を拡散透過する。拡散透過した出射光は、光学装置60の青色波長帯域光として出射される。
【0048】
導光光学系140は、第一ダイクロイックミラー141、第一反射ミラー143、集光レンズ146、第二ダイクロイックミラー148、集光レンズ149、第二反射ミラー145、集光レンズ147を有する。第一ダイクロイックミラー141は、励起光照射装置70から出射される青色波長帯域光及び蛍光板101から出射される緑色波長帯域光と、赤色光源装置120から出射される赤色波長帯域光とが交差する位置に配置される。第一ダイクロイックミラー141は、青色波長帯域光及び赤色波長帯域光を透過し、緑色波長帯域光を反射する。第一ダイクロイックミラー141が反射した緑色波長帯域光の光軸は、集光レンズ149に向かう左側パネル253方向に90度変換される。従って、第一ダイクロイックミラー141を透過した赤色波長帯域光の光軸は、第一ダイクロイックミラー141により反射された緑色波長帯域光の光軸と一致する。
【0049】
集光レンズ149は、第一ダイクロイックミラー141の左側に配置される。第一ダイクロイックミラー141を透過した赤色波長帯域光及び第一ダイクロイックミラー141により反射された緑色波長帯域光は、共に集光レンズ149に入射する。第二ダイクロイックミラー148は、集光レンズ149の左側であって、集光レンズ147の後側に配置される。第二ダイクロイックミラー148は、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光を反射し、青色波長帯域光を透過する。したがって、集光レンズ149で集光された赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光は、第二ダイクロイックミラー148によって反射されて、後側に90度変換される。第二ダイクロイックミラー148の後側には、集光レンズ173が配置される。第二ダイクロイックミラー148により反射された赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光は、集光レンズ173に入射する。
【0050】
第一反射ミラー143は、蛍光板101を透過した青色波長帯域光の光軸上に配置される。第一反射ミラー143は、青色波長帯域光を反射して、この青色波長帯域光の光軸を左方に90度変換する。集光レンズ146は、第一反射ミラー143の左側に配置される。また、第二反射ミラー145は、集光レンズ146の左側に配置される。第二反射ミラー145は、第一反射ミラー143により反射されて、集光レンズ146により集光された青色波長帯域光の光軸を、後側に90度変換する。集光レンズ147は、第二反射ミラー145の後側に配置される。第二反射ミラー145により反射された青色波長帯域光は、集光レンズ147を介して第二ダイクロイックミラー148を透過し、集光レンズ173に入射する。このようにして、導光光学系140により導光された赤色、緑色、青色の各波長帯域光の光線束は、光源側光学系170の同一光路上に導光される。
【0051】
光源側光学系170は、集光レンズ173、光軸変換ミラー179、マイクロレンズアレイ175、集光レンズ183、照射ミラー185、コンデンサレンズ195を備える。なお、コンデンサレンズ195は、コンデンサレンズ195の後側に配置される表示素子51から出射された画像光を、投影側光学系220に向けて出射するため、投影側光学系220の一部でもある。
【0052】
集光レンズ173から出射した各光線束は、集光レンズ173の後側に配置される光軸変換ミラー179により略左方向に反射される。光軸変換ミラー179により反射された各光線束は、マイクロレンズアレイ175により均一な強度分布の光線束とされ、集光レンズ183を介して照射ミラー185に入射され、反射される。照射ミラー185により反射された各光線束は、コンデンサレンズ195を介して表示素子51に所定の角度で照射される。なお、表示素子51は、背面側でヒートパイプ59と接続する。ヒートパイプ59は第3ヒートシンク283と接続する。DMDとされる表示素子51は、第3ヒートシンク283により冷却される。
【0053】
光源側光学系170により表示素子51の画像形成面に照射された光源光である光線束は、表示素子51の画像形成面で反射され、投影光として投影側光学系220を介してスクリーンに投影される。投影側光学系220は、コンデンサレンズ195、レンズ鏡筒225を備える。レンズ鏡筒225には、可動レンズ群235や固定レンズ群を備える。
【0054】
このように投影装置10を構成することで、蛍光板101を回転させるとともに励起光照射装置70及び赤色光源装置120から異なるタイミングで光を出射すると、赤色、緑色及び青色の各波長帯域光が導光光学系140を介して光源側光学系170の集光レンズ173に入射され、さらに光源側光学系170を介して表示素子51に入射される。よって、投影装置10の表示素子51であるDMDがデータに応じて各色の光を時分割表示することにより、投影口11からスクリーンにカラー画像を投影することができる。
【0055】
投影装置10の使用中は、冷却ファン280の動作に応じて、前面250e、左側面250c及び、後面250fより冷却ファン280の上面吸気口280a及び下面吸気口280bに空気が取り込まれ、第1ヒートシンク281、第2ヒートシンク282を介して排気部260から外部に放出される。
図12に示すように、外気は、吸気部261,262,263,264から冷却ファン280に取り込まれる。このとき、第1の空気流通路91及び第2の空気流通路92に面する吸気部261,262,263からの外気は、流路の断面積が大きい(流路が広い、流路抵抗が小さい)第1の空気流通路91に多く流れ、第2の空気流通路92に流れる外気の流量は少ない。従って、光学ケース61のカバー部材62側を流通する第2の空気流通路92に流れる外気が少ないので、カバー部材62で覆われた光学ケース61の開口部61aを介した、光学ケース61内部への塵埃の混入が低減される。
【0056】
また、上記の通り第2の空気流通路92に流れる外気を少なくして光学ケース61内部への塵埃の混入が低減されているので、投影装置10では、吸気部261~264に防塵のためのフィルターを設けていない。これにより、フィルター交換等のメンテナンスが不要となり、また、フィルターの目詰まりによるダウンタイムの発生も無い。
【0057】
そして、ケース250をコンパクトな形状とすることで、投影装置10は、第1ヒートシンク281や第2ヒートシンク282、励起光照射装置70や赤色光源装置120、表示素子51や制御回路基板300等の発熱部品を含む内部部品が密集する。しかしながら、投影装置10は、冷却ファン280及び第1ヒートシンク281、第2ヒートシンク282を右側面250d側に配置し、右側面250d以外の前面250e、左側面250c及び、後面250fに吸気部261~264を設けて、この3面から空気を内部に取り込むことで良好に内部部品を冷却することができる。
【0058】
以下は、主に第1の空気流通路91における冷却風の流れである。投影装置10の前面250eの吸気部262の左側吸気部262bから取り込まれた外気は、主にICチップ301(ICヒートシンク285)を冷却し、右側吸気部262aは、主に蛍光板装置100を冷却する。なお、吸気部262の左側吸気部262bから取り込まれた外気のうち、光学ケース61の側面を流れる外気によってもICヒートシンク285は冷却される。ICチップ301(ICヒートシンク285)と蛍光板装置100を冷却した吸気部262からの冷却風は、次に赤色光源装置120を冷却する。
【0059】
一方、投影装置10の左側面250cの吸気部261から取り込まれた外気は、主に投影光学系220を冷却する。また、投影装置10の後面250fの吸気部263から取り込まれた外気は、直接に第3ヒートシンク283及び表示素子51を冷却する。そして、吸気部261からの冷却風と、吸気部263からの冷却風は合流する。この合流した冷却風は、さらにICチップ301(ICヒートシンク285)、蛍光板装置100及び赤色光源装置120を冷却した吸気部262からの冷却風と合流し、励起光照射装置70を冷却する。
【0060】
冷却ファン280の動作に応じて第1の空気流通路91を流通する冷却風は、上記の冷却を行いつつ、制御回路基板300を冷却する。制御回路基板300は、第1の空気流通路91において、上下方向略中央位置に配置されるので、制御回路基板300の上側及び下側を略均等に冷却風が流通する。また、第2の空気流通路92では、各吸気部261,262,263から取り込まれた外気が流通して光学ケース61の下面全体を冷却する。
【0061】
励起光照射装置70を冷却した第1の空気流通路91からの冷却風は主に冷却ファン280の上面吸気口280aに取り込まれ、第2の空気流通路92からの冷却風は主に冷却ファン280の下面吸気口280bに取り込まれる。一方、冷却ファン280の後側に位置する後面250fの吸気部264からの外気は、主に冷却ファン280の下面吸気口280bに取り込まれる。このとき、吸気部264からの外気により、冷却ファン280の直下に配置される電源回路基板310が冷却される。なお、第1の空気流通路91からの冷却風及び第2の空気流通路92からの冷却風も、一部は電源回路基板310の冷却に用いられる。
【0062】
冷却ファン280に取り込まれた冷却風は、冷却ファン280の吐出口280cから吐出される。吐出口280cから吐出した冷却風は、吐出口280c側に配置される第2ヒートシンク282を冷却し、次に前面250e側に配置される第1ヒートシンク281を冷却して、排気部260から外部に放出される。排気部260からの排気方向は、排気部260の傾斜リブ254b、縦リブ254c及び第1ヒートシンク281のフィン281aの先端部により、近接する吸気部262の吸気方向に対して離反する方向に傾斜している。
【0063】
投影装置10は、前面250eに配置される1箇所の排気部260から排気される。ゆえに、排気抵抗に配慮が必要なブロア型の冷却ファン280を備える投影装置10であっても、投影装置10の上下左右及び後側に他の機器を接近して配置することができる。従って、投影装置10は、組み込み機器として利用しやすい。
【0064】
このようにして、冷却ファン280の動作に応じて吸気部261,262,263,264から取り込まれた外気(冷却風)は、比較的発熱量が低い部材(ICチップ301、蛍光板装置100、赤色光源装置120や表示素子51、第3ヒートシンク283)から徐々に発熱量の高い部材(励起光照射装置70、電源回路基板310、第2ヒートシンク282、第1ヒートシンク281)を冷却する。そして、部材の発熱量を考慮して、励起光照射装置70は赤色光源装置120よりも風下側に配置され、第1ヒートシンク281は第2ヒートシンク282よりも風下側に配置される。
【0065】
ここで、前側パネル254は、第1ヒートシンク281と第1の空気流通路91及び第2の空気流通路92とを仕切る仕切り板254eを備える。仕切り板254eは、排気部260の左端(すなわち、第1ヒートシンク281の左側)に配置される。また、第1ヒートシンク281及び第2ヒートシンク282の右側面と、上ケース251の右上パネル部251b及び下ケース252の右下パネル部252bとの間には、右上パネル部251b及び右下パネル部252bの内面から立設する縦リブ状の複数の閉塞板258が設けられる。閉塞板258により、排気部260から排気した空気が第1ヒートシンク281の右側に巻き込まれて冷却ファン280に取り込まれることが低減される。
【0066】
また、
図13に示すように、下ケース252には、吸気部264と近接してシールド壁252cが設けられる。シールド壁252cは、金属ダイキャストで成形される下ケース252と一体的に設けられる。シールド壁252cは、後側パネル255と平行に設けられる。シールド壁252cは、複数の流通孔252c1を有する。複数の流通孔252c1は、それぞれ、後側パネル255に設けられる吸気部264としての吸気孔264aと位置、形状が合致する。具体的には、流通孔252c1、吸気孔264a共に細い横長形状の孔とされ、両者は正面視において(平板状の後側パネル255を平板側(投影装置10の前後方向)から見て)重なるように配置される。
【0067】
シールド壁252cにより、複数の吸気孔264aの近傍に電源回路基板310を配置しても、吸気部264の吸気孔264aを介した投影装置10の外部からの静電気や電磁波が電源回路基板310に与える影響を低減することができる。そして、流通孔252c1、吸気孔264aは合致して配置されるので、シールド壁252cが吸気部264からの外気の流入を阻害することがない。
【0068】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は本実施形態により限定されることは無く、適宜変更を加えて実施することができる。例えば、本実施形態は、投影装置10の上側に第1の空気流通路91を設け、下側に第2の空気流通路92を設けたが、これに関わらず、例えば、光学ケース61の開口部61aを上面側に設けて、光学ケース61の上面側にカバー部材62を設けた場合には、投影装置10の上側に第2の空気流通路92を設け、下側に第1の空気流通路91を設けてもよい。また、シールド壁252cは、下ケース252と別体として設けてもよい。また、冷却ファン280を第1ヒートシンク281の前側に配置して、第1の空気流通路91、第2の空気流通路92から第2ヒートシンク282、第1ヒートシンク281を冷却した空気を冷却ファン280で取り込み、冷却ファン280から直接に排気部260を介して空気を外部に放出するよう構成してもよい。
【0069】
以上の本発明の実施形態によれば、投影装置10は、光学装置60と、光学装置60の上側に配置されている制御回路基板300と、投影方向とは反対側のケース250の後面吸気部である吸気部264の近傍に配置され、上面より吸気する上面吸気口280aと、下面より吸気する下面吸気口280bと、を有する冷却ファン280と、冷却ファン280の吐出口280cに対応して設けられ、光学装置60と連結されるヒートシンク(第1ヒートシンク281、第2ヒートシンク282)と、を備え、下面吸気口280b側の流路抵抗は、上面吸気口280a側の流路抵抗より小さい。
【0070】
これにより、吸気部264から吸い込まれる外気を、主に冷却ファン280の下面吸気口280bから取り込むとともに、制御回路基板300を冷却した空気を上面吸気口280aから取り込むことで、1つの冷却ファン280で投影装置10を良好に冷却できる。
【0071】
また、冷却ファン280の下面吸気口280bは、上面吸気口280aより大きい。これにより、流路抵抗が小さい冷却ファン280の下面側を介して、吸気部264からより多くの外気を取り込むことができる。
【0072】
また、冷却ファン280は、ケース250の厚み方向の上側に配置され、ケース250内における冷却ファン280の下側空間Yは、ケース250内における冷却ファン280の上側空間Xより広い。これにより、更に効率よく冷却ファン280の下側から、吸気部264を介して外気を取り込むことができる。
【0073】
また、冷却ファン280は、ケース250の第一側面である右側面250dの近傍に設けられ、冷却ファン280の動作に応じて、ケース250における投影口11が設けられている前面250e、第一側面(右側面250d)に対向する第二側面である左側面250c及び前面250eに対向する後面250fの3つの面から、外気がケース250内に取り込まれ、外気は右側面250dからは取り込まれない。これにより、制御回路基板300全体を良好に冷却することができる。
【0074】
仮に、冷却ファン280及び光源用のヒートシンク(第1ヒートシンク281、第2ヒートシンク282)が配置される右側面250d側に吸気部を設けたとしても、他の3面からの空気取込量が低下するため、全体的な冷却効率は悪化する。よって、ケース250の右側面250dには吸気部を設けていない方が望ましい。
【0075】
また仮に、ケース250の上面250aに吸気部を設けると、冷却ファン280に近接するレーザー光源を備える励起光照射装置70に対しては良好に冷却できる可能性があるが、同様に他の3面からの空気取り込み量が低下するため、全体的な冷却バランスが崩れ、全体的な冷却効率は悪化する。よって、ケース250の上面250aには吸気部を設けていない方が望ましい。
【0076】
また仮に、ケース250の下面250bに吸気部を設けた場合、冷却効果が期待できる場合もある。しかし、下面250b側はケース250の設置面側に近く、ユーザの使用場所や使用態様に、上面250a側より影響を受けやすい。例えば、ケース250がクッションの上に設置された場合、内部に良好に空気を取り込めないリスクがある。また、製品全体をコンパクトな形状にするために内部のスペースは極力無くしたい。そこで、本実施例では、下面250b側にスペースはほとんど設けない設計を採用し、光学装置60のカバー部材62を下面250b側に設けた。このような設計は、防塵の観点からも利点がある。またこのことから、ケース250の下面250bには吸気部を設けていない方が望ましい。
【0077】
また、ケース250内に、冷却ファン280は1つのみ設けられ、複数設けられていない。これにより、投影装置10の小型化を実現することができる。
【0078】
また、レーザー(青色レーザダイオード71)用の第1ヒートシンク281と、第1ヒートシンク281より冷却ファン280側に発光ダイオード(赤色光源121)用の第2ヒートシンク282とを備える。これにより、冷却風が発熱量の小さいものから大きいものに順に吹き付けられるので、冷却効率を更に高めることができる。
【0079】
また、制御回路基板300は、光学装置60の上側に設けられる第1の空気流通路91内に配置され、冷却ファン280の動作に応じて、第1の空気流通路91を通って冷却ファン280に取り込まれる空気が、制御回路基板300を冷却する。これにより、発熱量が高い電子部品を備える制御回路基板300を良好に冷却することができる。
【0080】
また、第1の空気流通路91に、ICチップ301の冷却用の板金部材からなるICヒートシンク285が配置される。これにより、特に高い発熱量を発するICチップ301を良好に冷却することができる。
【0081】
また、第1の空気流通路91は、光学装置60の下側に設けられる第2の空気流通路92よりも広く、第1の空気流通路91の流路抵抗は、第2の空気流通路92の流路抵抗より小さい。これにより、第1の空気流通路91には十分なスペースを確保して、発熱量の高い機器を配置することができる。
【0082】
また、光学装置60の開口部61aは、ケース250の厚み方向の下側に設けられ、開口部61aは、カバー部材62により塞がれている。これにより、光学装置60の下側とケース250の底板との間隙を狭くすることで、空気の流通量、すなわち塵埃の流入を低減させることができるので、光学装置60内部への塵埃の混入を低減することができる。そして、吸気部261~264に防塵フィルタを設ける必要もない。
【0083】
また、ケース250は、投影口11が設けられている前面250eに、吸気部262と排気部260を備える吸排気部を含み、排気部260の排気方向は、吸気部262の吸気方向に対して離反する方向に傾斜する。これにより、別途ダクト等の流通路を設けることなく、前面250e側に配置される排気部260から排出される熱を帯びた空気が、再度、吸気部262から吸気されてしまうことを低減することができるので、前面250e側にも吸気部262を設けることができる。
【0084】
また、ケース250は、吸排気部の複数の吸排気孔である吸気部264の複数の吸気孔264aと正面視において重なる複数の流通孔252c1を有する金属製のシールド壁252cを有する。これにより、吸気部264に近接して配置される電源回路基板310への電気的悪影響を低減させることができる。なお、このようなシールド壁252cは、吸気部264だけではなく、排気部も含めた、すなわち、吸排気孔を有する吸排気部に設けることができる。
【0085】
なお、以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0086】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]光学装置と、
前記光学装置の上側に配置されている制御回路基板と、
投影方向とは反対側のケースの後面吸気部の近傍に配置され、上面より吸気する上面吸気口と、下面より吸気する下面吸気口と、を有する冷却ファンと、
前記冷却ファンの吐出口に対応して設けられ、前記光学装置と連結されているヒートシンクと、
を備え、
前記下面吸気口側の流路抵抗は、前記上面吸気口側の流路抵抗より小さいことを特徴とする投影装置。
[2]前記下面吸気口は、前記上面吸気口より大きい、
前記[1]に記載の投影装置。
[3]前記冷却ファンは、前記ケースの厚み方向の上側に配置され、
前記ケース内における前記冷却ファンの下側空間は、前記ケース内における前記冷却ファンの上側空間より広い、
前記[1]又は[2]に記載の投影装置。
[4]前記冷却ファンは、前記ケースの第一側面の近傍に設けられ、
前記冷却ファンの動作に応じて、前記ケースにおける投影口が設けられている前面、前記第一側面に対向する第二側面及び前記前面に対向する後面の3つの面から、外気が前記ケース内に取り込まれ、
外気は前記第一側面からは取り込まれない、
前記[1]乃至[3]のいずれかに記載の投影装置。
[5]前記ケース内に、前記冷却ファンは1つのみ設けられ、複数設けられていない、
前記[1]乃至[4]のいずれかに記載の投影装置。
[6]前記ヒートシンクは、レーザー用の第1ヒートシンクと、前記第1ヒートシンクより前記冷却ファン側に発光ダイオード用の第2ヒートシンクと、を備える、
前記[1]乃至[5]のいずれか1項に記載の投影装置。
[7]前記制御回路基板は、前記光学装置の上側に設けられる第1の空気流通路内に配置され、
前記冷却ファンの動作に応じて、前記第1の空気流通路を通って前記冷却ファンに取り込まれる空気が、前記制御回路基板を冷却する、
前記[1]乃至[6]のいずれかに記載の投影装置。
[8]前記第1の空気流通路に、ICチップ冷却用の板金部材からなるICヒートシンクが配置されている、
前記[7]に記載の投影装置。
[9]前記第1の空気流通路は、前記光学装置の下側に設けられる第2の空気流通路よりも広く、前記第1の空気流通路の流路抵抗は前記第2の空気流通路の流路抵抗より小さい、
前記[7]又は[8]に記載の投影装置。
[10]前記光学装置の開口部は、前記ケースの厚み方向の下側に設けられ、
前記開口部は、カバー部材により塞がれている、
前記[1]乃至[9]のいずれかに記載の投影装置。
[11]前記ケースは、投影口が設けられている前面に、吸気部と排気部を備える吸排気部を含み、
前記排気部の排気方向は、前記吸気部の吸気方向に対して離反する方向に傾斜する、
前記[1]乃至[10]のいずれかに記載の投影装置。
[12]前記ケースは、前記吸排気部の複数の吸排気孔と正面視において重なる複数の流通孔を有する金属製のシールド壁を有する、
前記[11]に記載の投影装置。
【符号の説明】
【0087】
10 投影装置 11 投影口
12 投影画像調整部 14 出力プラグ
15 電源プラグ 21 入出力コネクタ部
22 入出力インターフェース 23 画像変換部
24 表示エンコーダ 25 ビデオRAM
26 表示駆動部 31 画像圧縮/伸長部
32 メモリカード 35 Ir受信部
36 Ir処理部 37 キー/インジケータ部
38 制御部 41 光源制御回路
43 冷却ファン駆動制御回路 45 レンズモータ
47 音声処理部 48 スピーカ
48a スピーカ部 51 表示素子
59 ヒートパイプ 60 光学装置
61 光学ケース 61a 開口部
62 カバー部材 65 カバー
70 励起光照射装置 71 青色レーザダイオード
73 コリメータレンズ 74 保持プレート
76 反射ミラー群 77 集光レンズ
78 拡散板 79 ヒートパイプ
80 緑色光源装置 91 第1の空気流通路
92 第2の空気流通路 100 蛍光板装置
101 蛍光板 110 モータ
117 集光レンズ群 120 赤色光源装置
121 赤色光源 125 集光レンズ群
129 ヒートパイプ 140 導光光学系
141 第一ダイクロイックミラー 143 第一反射ミラー
145 第二反射ミラー 146 集光レンズ
147 集光レンズ 148 第二ダイクロイックミラー
149 集光レンズ 170 光源側光学系
173 集光レンズ 175 マイクロレンズアレイ
179 光軸変換ミラー 183 集光レンズ
185 照射ミラー 195 コンデンサレンズ
220 投影側光学系 225 レンズ鏡筒
235 可動レンズ群 250 ケース
250a 上面 250b 下面
250c 左側面(第二側面) 250d 右側面(第一側面)
250e 前面 250f 後面
250g 左前角部 250h 左後角部
250i 右前角部 250j 右後角部
251 上ケース 251a 上側パネル部
251b 右上パネル部 252 下ケース
252a 下側パネル部 252b 右下パネル部
252c シールド壁 252c1 流通孔
253 左側パネル 254 前側パネル
254a 投影口用開口部 254b 傾斜リブ
254c 縦リブ 254d U字リブ
254e 仕切り板 255 後側パネル
256 横リブ 258 閉塞板
260 排気部 261 吸気部
262 吸気部 262a 右側吸気部
262b 左側吸気部 263 吸気部
264 吸気部 264a 吸気孔
270 把持部 280 冷却ファン
280a 上面吸気口 280b 下面吸気口
280c 吐出口
281 第1ヒートシンク 281a フィン
282 第2ヒートシンク 283 第3ヒートシンク
285 ICヒートシンク 285a 当接板
285b 第1フィン 285c 第2フィン
300 制御回路基板 301 ICチップ
310 電源回路基板
SB システムバス