(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015937
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】車両のドアトリム構造
(51)【国際特許分類】
B60J 5/04 20060101AFI20220114BHJP
B60R 13/02 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B60J5/04 F
B60R13/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020119122
(22)【出願日】2020-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】常世田 昇
(72)【発明者】
【氏名】清水 信近
(72)【発明者】
【氏名】松田 賢
(72)【発明者】
【氏名】川島 章裕
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BB08
3D023BC01
3D023BD03
3D023BE09
3D023BE35
(57)【要約】
【課題】従来よりも鉛直方向の荷重に耐え得る、車両のドアトリム構造を提供する。
【解決手段】ブラケット50は、本体部51、上側アーム52、及び下側アーム53を備える。また本体部51には、その一部が車幅方向外側に窪み上下方向に延設される窪み部55A,55B,55Cが、車両前後方向に間隔を空けて複数設けられる。複数の窪み部55A,55B,55Cの間には、ドアインナパネル60と本体部51との間隙による、上下方向に貫通するポケット56A,56Bが形成される。プルハンドル30は、ドアトリム上面20から下方に延設される側壁32と、側壁32の下端から車幅方向に延設される底壁33と、を備える。プルハンドル30の底壁33には、当該底壁33から下方に延設されポケット56A,56Bに挿入される固定部34が設けられる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアトリム上面に形成されたプルハンドルと、
前記プルハンドルを支持するとともにドアインナパネルに固定されるブラケットと、
を備える、車両のドアトリム構造であって、
前記ブラケットは、
前記ドアインナパネルから車幅方向内側に離隔される本体部と、
前記本体部から上方及び車幅方向外側に延設されその上端が前記ドアインナパネルに固定される上側アームと、
前記本体部から下方及び車幅方向外側に延設されその下端が前記ドアインナパネルに固定される下側アームと、
を備え、
前記本体部には、その一部が車幅方向外側に窪み上下方向に延設される窪み部が、車両前後方向に間隔を空けて複数設けられ、
複数の前記窪み部の間には、前記ドアインナパネルと前記本体部との間隙による、上下方向に貫通するポケットが形成され、
前記プルハンドルは、
前記ドアトリム上面から下方に延設される側壁と、
前記側壁の下端から車幅方向に延設される底壁と、
を備え、
前記プルハンドルの前記底壁には、当該底壁から下方に延設され前記ポケットに挿入される固定部材が設けられる、
車両のドアトリム構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両のドアトリム構造であって、
前記本体部には、車幅方向に貫通する、インサイドハンドル固定用の貫通孔が形成され、
前記貫通孔と前記ポケットとの間に前記窪み部が形成される、
車両のドアトリム構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両のドアトリム構造であって、
前記プルハンドルの前記固定部材は、前記側壁及び前記底壁と一体成型される、
車両のドアトリム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、車両ドアの内張用装飾品である、ドアトリム構造が開示される。
【背景技術】
【0002】
車両のドアトリムには、プルハンドルが設けられる。プルハンドルは、開いた状態のドアを閉じる際の取手として乗員に把持される。
【0003】
プルハンドルはドアの閉扉時に使用されることから、車幅方向の荷重に耐えられるようにドアに取り付けられる。例えば特許文献1では、ドアインナパネルにブラケットを介してプルハンドルが固定される。ブラケットは、ドアインナパネルとの締結点を備える、鉛直方向に延設されたフランジ部と、当該フランジ部から車幅方向に延設され、プルハンドル底面に設けられたボスに挿入される貫通孔を備える本体部を備え、車両正面視でL字型に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、プルハンドルがドアの上方に取り付けられる場合に、降車時に乗員が立ち上がる際に、開扉状態のドアのプルハンドルに当該乗員が手を掛ける可能性がある。つまりプルハンドルが乗員の立ち上がりの際の手摺として利用される可能性がある。
【0006】
乗員がプルハンドルに手を掛けて立ち上がろうとする際に、プルハンドルには鉛直方向の荷重が加えられる。この場合、従来のような車両正面視でL字型のブラケットが用いられる場合、鉛直方向の荷重によりフランジ部と本体部との境界である屈曲部を回動中心として本体部が下方に折れ変形するおそれがある。そこで、本明細書では従来よりも鉛直方向の荷重に耐え得る、車両のドアトリム構造が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示される車両のドアトリム構造は、ドアトリム上面に形成されたプルハンドルと、プルハンドルを支持するとともにドアインナパネルに固定されるブラケットとを備える。ブラケットは、本体部、上側アーム、及び下側アームを備える。本体部は、ドアインナパネルから車幅方向内側に離隔される。上側アームは、本体部から上方及び車幅方向外側に延設されその上端がドアインナパネルに固定される。下側アームは、本体部から下方及び車幅方向外側に延設されその下端がドアインナパネルに固定される。本体部には、その一部が車幅方向外側に窪み上下方向に延設される窪み部が、車両前後方向に間隔を空けて複数設けられる。複数の窪み部の間には、ドアインナパネルと本体部との間隙による、上下方向に貫通するポケットが形成される。プルハンドルは、ドアトリム上面から下方に延設される側壁と、側壁の下端から車幅方向に延設される底壁と、を備える。プルハンドルの底壁には、当該底壁から下方に延設されポケットに挿入される固定部材が設けられる。
【0008】
上記構成によれば、ブラケットの上側アーム及び下側アームによって、プルハンドルが鉛直方向に支持される。加えて、ブラケットの上側アーム、下側アーム、及び本体部と、ドアインナパネルによって閉断面構造が形成される。さらには、上下方向に延設される窪み部の稜線がビードとして機能する。このような構造を備えることで、従来よりも鉛直方向の耐荷重性が向上する。
【0009】
また上記構成において、本体部には、車幅方向に貫通する、インサイドハンドル固定用の貫通孔が形成されてよい。この場合、貫通孔とポケットとの間に窪み部が形成される。
【0010】
上記構成によれば、インサイドハンドルの固定領域と、プルハンドルの固定領域との間に、窪み部によるビードが形成されるので、インサイドハンドル及びプルハンドルの両者に荷重が入力された場合等において、ブラケットの変形が抑制される。
【0011】
また上記構成において、プルハンドルの固定部材は、側壁及び底壁と一体成型されてよい。
【0012】
上記構成によれば、クリップ等の締結部材が不要となり、部品点数が低減される。
【発明の効果】
【0013】
本明細書に開示される車両のドアトリム構造によれば、従来よりも鉛直方向の耐荷重性が向上可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る車両のドアトリム構造を例示する斜視図である。
【
図2】ドアトリムパネルを取り外した時のドア内面を例示する斜視図である。
【
図3】ブラケットの構造について説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1には、本実施形態に係る車両のドアトリム構造が例示される。なお
図1~
図5において、車両前後方向が記号FRで表される軸で示され、車幅方向が記号RWで表される軸で示され、鉛直方向が記号UPで表される軸で示される。記号FRはFrontの略であり、前後方向軸FRは車両前方を正方向とする。記号RWはRight Widthの略であり、幅方向軸RWは右幅方向を正方向とする。また高さ軸UPは上方向を正方向とする。
【0016】
図1に示されているように、これらFR軸、RW軸、UP軸は互いに直交する。以下適宜、これら3軸を基準に、本実施形態に係る車両のドアトリム構造が説明される。例えば「前端」は任意の部材のFR軸正方向側の端部を指し、「後端」は任意の部材のFR軸負方向側の端部を指す。「幅内側」はRW軸に沿って相対的に車両の幅方向内側を指すものとし、「幅外側」はRW軸に沿って相対的に車両の幅方向外側を指すものとする。さらに「上側」は相対的にUP軸の正方向側を指し、「下側」は相対的にUP軸の負方向側を指す。
【0017】
図1には、車両の右側前方のドア10の内面が例示される。本実施形態に係る車両のドアトリム構造は、ドアトリムパネル12、プルハンドル30、インサイドハンドル40、ブラケット50(
図4参照)及びドアインナパネル60を含んで構成される。
【0018】
図1を参照して、ドア10の内面は、内張用装飾品である、ドアトリムパネル12で覆われる。ドアトリムパネル12は、例えば硬化性樹脂等の樹脂材料から構成される。ドアトリムパネル12は、相対的に車幅方向内側に取り付けられる内側パネル12Aと、相対的に車幅方向外側に取り付けられる外側パネル12Bを備える。内側パネル12Aと外側パネル12Bとの間には間隙が設けられ、トリム上面20には、当該間隙にプルハンドル30が設けられる。例えば、ウインドガラス14の近傍にプルハンドル30が設けられる。
【0019】
ドアトリムパネル12の上方に設けられたプルハンドル30は、開放状態のドア10の閉扉時に把持される取手として利用される。加えて、乗員が降車時にシートから立ち上がる際に、トリム上面20に設けられたプルハンドル30が手摺として利用される。この際、プルハンドル30には鉛直方向(下方)に荷重が加えられる。後述されるように、プルハンドル30をドアインナパネル60に支持させるブラケット50が、上下方向の耐荷重性の高い構造を備えており、鉛直方向(下方向)の荷重の入力時に同ブラケット50の変形が抑制される。
【0020】
図5には、
図1のB-B断面が例示される。この図を参照して、プルハンドル30と、プルハンドル30の側壁32に対向する、外側パネル12Bの側壁12B1とによって、プルハンドル構造が構成される。プルハンドル30は、内側パネル12Aの上端に接続される上壁31、上壁31の車幅方向外側端部から下方に延設される側壁32、及び、側壁32の下端から車幅方向に延設される底壁33を含んで構成される。さらに、プルハンドル30は、底壁33の車幅方向外側端部から下方に延設される固定部34(固定部材)を備える。固定部34は平板形状であって、例えば車両前後方向に一対設けられる。この一対の固定部34は、ブラケット50のポケット56A,56B(
図3参照)に挿入される。この固定構造については後述される。
【0021】
プルハンドル30は、例えば樹脂の成型品で構成され、上壁31、側壁32、底壁33、及び固定部34が一体的に成型される。後述されるように、ブラケット50への固定部34(固定部材)がプルハンドル30の一部として一体的に成型されることで、個別に締結具を用いる場合と比較して、部品点数の低減が図られる。
【0022】
図1を参照して、ドアトリムパネル12にはプルハンドル30の他に、インサイドハンドル40及びアームレスト16が設けられる。アームレスト16には、トリム上面20に設けられたプルハンドル30とは異なるプルハンドル18が設けられてよい。
【0023】
図4には、
図1のA-A断面が例示される。インサイドハンドル40は、ケース42及びハンドル本体46を備える。ハンドル本体46が車幅方向内側に引かれることで、ドア10に設けられた図示しないフックが、ボデーに取り付けられたストライカから外れ、ドア10が開扉される。
【0024】
ハンドル本体46はケース42に収容される。ケース42の底には、車幅方向外側に陥没される凹部44が形成される。さらに凹部44には、その厚さ方向に貫通する締結孔45が穿孔される。締結孔45はブラケット50の締結孔51Aと位置合わせされた上で、ビス等の締結具71が挿入される。これによりインサイドハンドル40がブラケット50に締結される。
【0025】
図2には、ドアトリムパネル12を外した時の、ドア10の内面が例示される。ドアトリムパネル12が取り外されると、ドアインナパネル60が露出される。ドアインナパネル60はドアアウタパネル62とともにドア10の剛性を保つための部材であって、例えばアルミ合金等の金属材料から構成される。
【0026】
ドアインナパネル60はその表面(内面)が複雑な凹凸形状となっている。例えばドアインナパネル60に取り付けられる機器との取り合いや、面剛性を向上させるために、ドアインナパネル60の表面が凹凸形状となる。またドアインナパネル60には開口63が形成され、ドア10の内面からはドアアウタパネル62が露出される。
【0027】
ドアインナパネル60には、ブラケット50が取り付けられる。ブラケット50は、ドアインナパネル60に固定され、インサイドハンドル40及びプルハンドル30をドアインナパネル60に支持させるための支持部材である。ブラケット50は例えばアルミ合金等の金属材料をプレス加工することで形成される。
【0028】
図3には、
図2の拡大図が例示される。なお、
図2、及び
図3ともに、ブラケット50をドアインナパネル60に固定させるグロメット等の締結具の図示が省略される。ブラケット50は車両前後方向に延設される部材であって、相対的に前方がインサイドハンドル40の締結部となり、相対的に後方がプルハンドル30の締結部となっている。
【0029】
ブラケット50はドアインナパネル60の上方に取り付けられる。ブラケット50は、ドアインナパネル60の上方の凹凸形状に沿って、同パネルとの締結部であるアームが延設される。
【0030】
ブラケット50は、本体部51、上側アーム52、下側アーム53、及び前側アーム54を備える。さらにブラケット50は、複数の窪み部55A,55B,55C及びポケット56A,56Bを備える。
【0031】
本体部51は、ドアインナパネル60に対して車幅方向内側に離隔される。つまり、本体部51はドアインナパネル60から浮いた配置となる。本体部51は車両前後方向を長手方向とする部材であって、その主面は車幅方向(内側及び外側)に面している。
【0032】
本体部51の車両前方には、厚さ方向に貫通する締結孔51Aが穿孔される。この締結孔51Aは上述のように、インサイドハンドル40を締結させるために用いられる。
【0033】
また本体部51の車両前方部分には、上側アーム52、下側アーム53、及び前側アーム54が延設される。上側アーム52は、本体部51の上縁端から上方及び車幅方向外側に延設される。さらに上側アーム52の上端にはフランジ52Aが形成される。フランジ52Aには、その厚さ方向に貫通する締結孔52Bが穿孔される。フランジ52Aはドアインナパネル60に当接され、締結孔52Bは、
図4に例示されるドアインナパネル60の締結孔61と位置合わせされる。さらに締結孔52B,61にリベット等の締結具70が挿入される。これにより上側アーム52がドアインナパネル60に締結される。
【0034】
下側アーム53は、本体部51の下縁端から下方及び車幅方向外側に延設される。さらに下側アーム53の下端にはフランジ53Aが形成される。フランジ53Aには、その厚さ方向に貫通する締結孔53Bが穿孔される。フランジ53Aはドアインナパネル60に当接され、締結孔53Bは、
図4に例示されるドアインナパネル60の締結孔61と位置合わせされる。さらに締結孔53B,61に締結具70が挿入される。これにより下側アーム53がドアインナパネル60に締結される。
【0035】
同様にして、前側アーム54は、本体部51の前縁端から車両前方及び車幅方向外側に延設される。さらに前側アーム54の前端にはフランジ54Aが形成される。フランジ54Aには、その厚さ方向に貫通する締結孔54Bが穿孔される。フランジ54Aはドアインナパネル60に当接され、締結孔54Bは、図示しないドアインナパネル60の締結孔と位置合わせされる。さらにこれらの締結孔に締結具が挿入される。これにより前側アーム54がドアインナパネル60に締結される。
【0036】
図4に例示されるように、ブラケット50が、上側アーム52及び下側アーム53にてドアインナパネル60に支持されることで、ブラケット50の上下方向(鉛直方向)の耐荷重性が確保される。さらに、ブラケット50とドアインナパネル60によって閉断面構造が形成されるので、開断面構造と比較して耐荷重性が向上する。
【0037】
加えて、
図3に例示されるように、上側アーム52、下側アーム53、及び前側アーム54には、それぞれの延設方向に沿って、突条構造であるビード52C,53C,54Cが形成される。つまり上側アーム52及び下側アーム53には、上下方向に延設されるビード52C,53Cが形成される。前側アーム54には、車両前後方向に延設されるビード54Cが形成される。
【0038】
上側アーム52及び下側アーム53に、上下方向に延設されるビード52C,53Cが形成されることで、上下方向(鉛直方向)荷重への耐荷重性が向上する。したがって、プルハンドル30に乗員の手が掛けられて下方向の荷重が入力された際に、プルハンドル30を支持するブラケット50の変形が抑制される。
【0039】
ブラケット50の本体部51の車両後方部分には、車両前後方向に間隔を空けて、複数の窪み部55A,55B,55Cが形成される。窪み部55A,55B,55Cは、本体部51から車幅方向外側に窪み、上下方向に延設される。
【0040】
上記構造を備えることで、窪み部55A,55B,55Cと本体部51との境界である稜線が上下方向に延設される。この稜線がビードとして機能して、ブラケット50の上下方向の耐荷重性が向上する。
【0041】
加えて、隣り合う窪み部55A,55B及び窪み部55B,55Cの間には、本体部51とドアインナパネルとの間隙によるポケット56A,56Bが形成される。ポケット56A,56Bは上下方向に貫通される。
【0042】
図5を参照して、ポケット56Aに、プルハンドル30の固定部34が挿入される。これによりプルハンドル30はブラケット50に支持される。なお、
図5ではポケット56Aに固定部34が挿入された例が示されているが、上述したようにプルハンドル30の固定部34は一対設けられており、もう一方の固定部34は、
図5と同様にしてポケット56Bに挿入される。
【0043】
このようなポケット56A,56Bの機能に基づいて、窪み部55A,55B,55Cとドアインナパネル60との近接距離は、例えばプルハンドル30の固定部34の厚さ未満である。また、ドアインナパネル60と本体部51との離隔距離は、例えば固定部34の厚さ以上である。
【0044】
また、
図3を参照して、プルハンドル30を支持するポケット56Aと、インサイドハンドル40用の締結孔51Aが設けられた本体部51との間に窪み部55Aが形成される。つまりプルハンドル30の支持領域とインサイドハンドル40の支持領域との間に、窪み部55Aによる上下方向のビードが形成される。これにより、インサイドハンドル40及びプルハンドル30の両者に荷重が入力された場合等において、ブラケット50の変形が抑制される。
【0045】
また、窪み部55B,55Cには、その厚さ方向に貫通する締結孔55B1,55C1が穿孔される。締結孔55B1,55C1は、ドアインナパネル60の図示しない締結孔にそれぞれ位置合わせされ、さらに樹脂製のグロメット等の締結具が挿入される。
【0046】
以上説明した車両のドアトリム構造によれば、ブラケット50が、上側アーム52及び下側アーム53を備えることで、例えば従来の正面視L型のブラケットと比較して、上下方向の耐荷重性が向上する。さらにプルハンドル30の固定部34をポケット56A,56Bに挿入させる支持構造を備えることで、ポケット56A,56Bを形成するために生じる上下方向のビードが、ブラケット50の上下方向(鉛直方向)の耐荷重性を向上させる。
【0047】
<本実施形態の別例>
上述した実施形態では、固定部34がプルハンドル30と一体成型されたが、本実施形態に係る車両のドアトリム構造は、この形態に限らない。例えばプルハンドル30の底壁33に、厚さ方向に貫通する締結孔が穿孔されてもよい。さらにこの締結孔とポケット56A,56Bとを位置合わせして、クリップ等の締結具(固定部材)を挿入するような支持構造が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 ドア、12 ドアトリムパネル、12A 内側パネル、12B 外側パネル、12B1 外側パネルの側壁、14 ウインドガラス、20 トリム上面、30 プルハンドル、31 プルハンドルの上壁、32 プルハンドルの側壁、33 プルハンドルの底壁、34 プルハンドルの固定部(固定部材)、40 インサイドハンドル、42 インサイドハンドルのケース、44 インサイドハンドルの凹部、45 インサイドハンドルの締結孔、46 ハンドル本体、50 ブラケット、51 本体部、52 上側アーム、52C,53C,54C ビード、53 下側アーム、54 前側アーム、55A~55C 窪み部、56A,56B ポケット、60 ドアインナパネル、62 ドアアウタパネル。