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  • 特開-化粧シート及び化粧部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159382
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】化粧シート及び化粧部材
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20221006BHJP
   B32B 27/04 20060101ALI20221006BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20221006BHJP
   E04F 13/07 20060101ALI20221006BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B32B27/04 A
B32B27/18 A
E04F13/07 B
E04F13/08 G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124747
(22)【出願日】2022-08-04
(62)【分割の表示】P 2018047222の分割
【原出願日】2018-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】冨永 孝史
(72)【発明者】
【氏名】折原 隆史
(57)【要約】
【課題】耐候性に優れた化粧シート及び化粧部材を提供する。
【解決手段】基材136と、基材136の表面136a側に設けた透明熱可塑性樹脂層132と、透明熱可塑性樹脂層132の表面132a側に設けた表面保護層131とを備えるようにした。そして、透明熱可塑性樹脂層132及び表面保護層131は、トリアジン系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤を含むようにした。また、表面保護層131の全質量に対して、トリアジン系紫外線吸収剤の比率を5質量%以上20質量%以下とし、ヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤の比率を2.5質量%以上10質量%以下とした。さらに、透明熱可塑性樹脂層132の全質量に対して、トリアジン系紫外線吸収剤の比率を0.1質量%以上1質量%以下とし、ヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤の比率を0.1質量%以上1質量%以下とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の表面側に設けた透明熱可塑性樹脂層と、
前記透明熱可塑性樹脂層の表面側に設けた表面保護層とを備える化粧シートであって、
前記透明熱可塑性樹脂層及び前記表面保護層は、トリアジン系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤を含み、
前記表面保護層の全質量に対して、前記トリアジン系紫外線吸収剤の比率が5質量%以上20質量%以下であり、前記ヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤の比率が2.5質量%以上10質量%以下であり、
前記透明熱可塑性樹脂層の全質量に対して、前記トリアジン系紫外線吸収剤の比率が0.1質量%以上1質量%以下であり、前記ヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤の比率が0.1質量%以上1質量%以下であることを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
前記基材と前記透明熱可塑性樹脂層との層間に、前記基材、絵柄層、透明接着性樹脂層及び前記透明熱可塑性樹脂層の順になるように、前記絵柄層及び前記透明接着性樹脂層が積層されて配置されており、
前記透明接着性樹脂層は、トリアジン系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記透明接着性樹脂層の全質量に対して、前記トリアジン系紫外線吸収剤の比率が0.1質量%以上1質量%以下であり、前記ヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤の比率が0.1質量%以上1質量%以下であることを特徴とする請求項2に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記透明接着性樹脂層及び前記透明熱可塑性樹脂層は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の化粧シート。
【請求項5】
金属系材料により形成された基板と、
前記基板の表面側に設けられた請求項1から4の何れか1項に記載の化粧シートと、を備えることを特徴とする化粧部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧シート及び化粧部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、最表層に設けられた表面保護層に紫外線吸収剤を添加し、有害な紫外線を吸収させて、耐候性を向上させた化粧シートが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、特許文献1に記載の化粧シートでは、耐候性試験を行った場合、透明接着性樹脂層や絵柄層等、表面保護層よりも下側の層の層間で剥離や浮きが発生することが多かった。また、紫外線吸収剤の添加量を増やすと、ブリードアウトを生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5321355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、耐候性に優れた化粧シート及び化粧部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、(a)基材と、(b)基材の表面側に設けた透明熱可塑性樹脂層と、(c)透明熱可塑性樹脂層の表面側に設けた表面保護層とを備える化粧シートであって、(d)透明熱可塑性樹脂層及び表面保護層は、トリアジン系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤を含み、(e)表面保護層の全質量に対して、トリアジン系紫外線吸収剤の比率が5質量%以上20質量%以下であり、ヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤の比率が2.5質量%以上10質量%以下であり、(f)透明熱可塑性樹脂層の全質量に対して、トリアジン系紫外線吸収剤の比率が0.1質量%以上1質量%以下であり、ヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤の比率が0.1質量%以上1質量%以下である化粧シートであることを要旨とする。
また、本発明の他の態様は、(a)金属系材料により形成された基板と、(b)基板の表面側に設けられた上記した化粧シートと、を備える化粧部材であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、透明熱可塑性樹脂層及び表面保護層の両方に、トリアジン系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤を含むため、耐候性評価での層間の剥離や浮きを改善でき、耐候性に優れた化粧シート及び化粧部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る化粧シート及び化粧部材を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る化粧シート及び化粧部材について、図面を参照しつつ説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識を基に設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた形態も、本発明の範囲に含まれる。また、各図面は、理解を容易にするため適宜誇張して表現している。
【0009】
(構成)
図1に示すように、本発明の実施形態に係る化粧部材10は、基板11と、基板11の表面11a側に設けられた化粧シート13と、を備えている。
(基板)
基板11の材料としては、例えば、金属系材料を用いることができる。金属系材料としては、例えば、鋼板、真鍮板、アルミニウム板、ジュラルミン板、ステンレス板を採用できる。金属系材料を用いることにより、エクステリアに使用できる外装材を提供できる。基板11と化粧シート13との間には、必要に応じて、例えば接着剤層を設けてもよい。
【0010】
(化粧シート)
図1に示すように、本発明の実施形態に係る化粧シート13は、基材136と、基材136の表面136a側に設けられた透明熱可塑性樹脂層132と、透明熱可塑性樹脂層132の表面132a側に設けられた表面保護層131と、を有する複層構成の化粧シートを形成している。化粧シート13の厚さは40μm以上300μm以下が好ましい。
【0011】
(基材、透明熱可塑性樹脂層)
基材136、及び透明熱可塑性樹脂層132の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、従来の化粧シートで基材に使用されていた熱可塑性樹脂と同様のものを使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体、1,4-シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6,10-ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン-テトラフロロエチレン共重合体、エチレン-パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂等或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用できる。
【0012】
また、基材136や透明熱可塑性樹脂層132に使用可能な熱可塑性樹脂として、多数の熱可塑性樹脂を挙げたが、近年の環境問題に対する社会的な関心の高まりに鑑みれば、ポリ塩化ビニル樹脂等の塩素(ハロゲン)を含有する熱可塑性樹脂を使用することは望ましくなく、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂を使用することが望ましい。特に、各種物性や加工性、汎用性、経済性等の面からは、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂(非晶質又は二軸延伸)を使用することが最も望ましい。
【0013】
ポリオレフィン系樹脂としては、既に列挙した多くの種類から、化粧シート13の使用目的等に応じて適宜選択して使用すればよい。特に、一般的な用途に最も好適なのは、ポリプロピレン系樹脂、すなわち、プロピレンを主成分とする単独又は共重合体である。例えば、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂等を単独又は適宜配合したり、それらに更にアタクチックポリプロピレンを適宜配合した樹脂等を使用することができる。また、プロピレン以外のオレフィン系単量体を含む共重合体であってもよく、例えば、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン-1、4-メチルペンテン-1、ヘキセン-1又はオクテン-1のコモノマーの1種又は2種以上を15モル%以上含有するプロピレン-α-オレフィン共重合体等を例示できる。また、通常ポリプロピレン系樹脂の柔軟化に用いられている低密度ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-プロピレン共重合ゴム、エチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体又はその水素添加物等の改質剤を適宜添加できる。
【0014】
さらに、基材136には、必要に応じて、例えば、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤及び艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上の添加剤を添加してもよい。なお、透明熱可塑性樹脂層132は、例えば、透明熱可塑性樹脂層132の裏面132b側に配置されているシート等を透視可能な程度の透明性を有するものとするのが好ましい。例えば、無色透明、有色透明、半透明とする。また、基材136は、基板11の表面11aの色のばらつきや欠陥等を隠蔽する場合には、隠蔽性の不透明に着色されたものとするのが好ましい。また、基板11の表面11aの質感を活かす場合には、基材136の表面11aを透視可能な程度の透明性を有するものとするのが好ましい。
【0015】
また、透明熱可塑性樹脂層132には、耐候性の処方を行うため、トリアジン系紫外線吸収剤が添加されている。トリアジン系紫外線吸光剤の比率は、透明熱可塑性樹脂層132の全質量に対して、0.1質量%以上1質量%以下が好ましい。より好ましくは0.2質量%以上0.7質量%以下とする。トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2-(2ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール、2-〔4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル〕-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-エチル-ヘキサノイックアシッド 2-[4-(4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-3-ヒドロキシ-フェノキシ]-エチルエステル、オクタノイックアシッド 2-[4-(4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-3-ヒドロキシ-フェノキシ]-エチルエステル、2,4,6-トリス{2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)}-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-イソ-オクチルオキシフェニル)-s-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体を採用できる。
【0016】
さらに、透明熱可塑性樹脂層132には、光エネルギー起因で誘起されるラジカルや、紫外線吸収剤によって光エネルギーから変換された熱エネルギーが誘起するラジカルを補足し、樹脂自体の劣化を防止するため、ヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤(すなわち、「ヒンダードアミン系光安定剤」)が添加されている。ヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤の比率は、透明熱可塑性樹脂層132の全質量に対して、0.1質量%以上1質量%以下が好ましい。より好ましくは0.2質量%以上0.7質量%以下とする。0.1質量%未満であると、ラジカル補足が十分でなく樹脂自体劣化し易いという問題がある。また、1質量%より多いと、ブリードアウト等析出という問題がある。ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、1-オキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジン、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルステアレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)・ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)・ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-ブチル-2-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノ-ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-モルホリノ-s-トリアジン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-第三オクチルアミノ-s-トリアジン重縮合物、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8-12-テトラアザドデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕アミノウンデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体等を採用できる。
【0017】
(表面保護層)
表面保護層131の材料としては、化粧部材10を外装材として用いる場合、耐擦傷性・耐候性・耐久性等が必要となるが、例えば、アクリルウレタン系樹脂、電離放射線硬化型樹脂を用いることができる。アクリルウレタン系樹脂としては、例えば、アクリルポリオール化合物を主剤とし、イソシアネート化合物を硬化剤とした反応生成物を用いることができる。アクリルポリオール化合物としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル等の通常のアクリル系モノマーに、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル等の水酸基を含有するモノマーと、必要に応じてスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、酪酸ビニル、バーサチック酸ビニル、エチルビニルエーテル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の共重合可能な重合性モノマーとを配合して共重合させて得られる、側鎖に水酸基を有するアクリル系の高分子化合物を採用することができる。
【0018】
また、イソシアネート化合物としては、例えばトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等を使用することができる。特に、化粧部材10をエクステリアの外装部材として用いる場合、表面保護層131に耐候性が必要となるが、耐候性を考慮すると、芳香環を有しない無黄変型イソシアネート化合物、すなわち、脂肪族又は脂環式のイソシアネート化合物が好適である。
【0019】
また、電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、電離放射線の照射により架橋反応する性質を有する(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの少なくとも何れかを主成分とする組成物を用いることができる。電離放射線としては、例えば、電子線、紫外線を用いることができる。電離放射線硬化性樹脂には、例えば、必要に応じて、重合開始剤や増感剤等の添加剤を添加してもよい。
【0020】
重合性不飽和結合を有するプレポリマーやオリゴマーとしては、例えば、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート等を用いることができる。また、モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の単官能モノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート等の2官能モノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマー等を用いることができる。
【0021】
表面保護層131の厚さは、特に限定されるものではないが、薄すぎると効果に乏しく、また、厚すぎると可撓性が低下して割れ易くなる。そのため、例えば、1μm以上20μm以下が好ましい。なお、表面保護層131は、例えば、表面保護層131の裏面131b側に配置されている透明熱可塑性樹脂層132の表面132aを透視可能な程度の透明性を有するものとするのが好ましい。例えば、無色透明、有色透明、半透明とする。
【0022】
また、表面保護層131には、耐候性の処方を行うため、トリアジン系紫外線吸収剤が添加されている。トリアジン系紫外線吸光剤の比率は、表面保護層131の全質量に対して、5質量%以上20質量%以下が好ましい。より好ましくは6質量%以上10質量%以下とする。5質量%未満であると、紫外線吸収性能が低下するという問題がある。また、20質量%より多いと、ブリードアウト等析出という問題がある。また、表面保護層131には、有害なラジカルを補足し、樹脂自体の光・熱・水等による劣化を防止するため、ヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤が添加されている。ヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤の比率は、表面保護層131の全質量に対して、2.5質量%以上10質量%以下が好ましい。より好ましくは3質量%以上7質量%以下とする。2.5質量%未満であると、ラジカル補足性能が劣り、樹脂自体劣化し易いという問題がある。また、10質量%より多いと、ブリードアウト等析出という問題がある。
【0023】
(その他の層)
また、化粧シート13は、従来の複層構成の化粧シートと同様に、基材136及び表面保護層131以外にも、例えば、絵柄層135、透明接着性樹脂層133、透明熱可塑性樹脂層132及びプライマー層137等を適宜備えるようにしてもよい。図1では、絵柄層135及び透明接着性樹脂層133は、基材136と透明熱可塑性樹脂層132との層間に積層されて配置されている。より具体的には、絵柄層135が基材136側に設けられ、透明接着性樹脂層133を透明熱可塑性樹脂層132側に設けられている。さらに、プライマー層137は、基材136の裏面136bに設けられている。すなわち、基材136の表面136aに、絵柄層135、透明接着性樹脂層133、透明熱可塑性樹脂層132及び表面保護層131がこの順に積層されて設けられ、基材136の裏面136bにプライマー層137が設けられた構成となっている。
【0024】
なお、本発明の実施形態に係る化粧シート13では、絵柄層135を基材136側に設け、透明接着性樹脂層133を透明熱可塑性樹脂層132側に設ける例を示したが、他の構成を採用することもできる。絵柄層135及び透明接着性樹脂層133は、製造手順等に応じて任意の配列とすることができる。例えば、基材136の表面136aに絵柄層135を設けた後、透明接着性樹脂層133を介して絵柄層135と透明熱可塑性樹脂層132の裏面132bとを接着してなる配列としてもよい。また、例えば、透明熱可塑性樹脂層132の裏面132bに絵柄層135を設けた後、透明接着性樹脂層133を介して絵柄層135と基材136の裏面132bとを接着してなる配列としてもよい。また、絵柄層135と透明接着性樹脂層133との層間に、プライマー層134を設けてもよい。
また、化粧シート13の最表面、つまり表面保護層131の表面131aには、エンボス加工により形成された凹凸模様139が設けられている。凹凸模様139としては、例えば、絵柄層135の絵柄と同調した模様、絵柄と非同調の模様を用いることができる。
【0025】
(絵柄層)
絵柄層135は、化粧シート13に絵柄による意匠性を付与するために、必要に応じて設けられるものである。絵柄層135は、基材136の着色で代用できる場合には、省略も可能である。絵柄層135は、染料又は顔料等の着色剤を適当なバインダー樹脂とともに適当な希釈溶媒中に溶解又は分散してなる印刷インキ又は塗料等を用いて形成される。印刷インキ又は塗料等は、例えば、グラビア印刷法又はオフセット印刷法等の各種印刷法や、グラビアコート法又はロールコート法等の各種塗工法等によって塗布される。また、バインダー樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、硝化綿等、或いはそれらの混合物等を用いることができるが、勿論これらに限定されるものではない。また、絵柄としては、任意の絵柄を用いることができ、例えば、木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、文字、記号、単色無地等、或いはこれらの2種類以上の組み合わせ等を用いることできる。また、化粧シート13の隠蔽性を向上するために、絵柄層135と基材136との層間に、二酸化チタンや酸化鉄等の不透明顔料を多く含む不透明な印刷インキや塗料による隠蔽層を設けてもよい。
【0026】
(透明接着性樹脂層)
透明接着性樹脂層133は、基材136と透明熱可塑性樹脂層132とを接着させるために、必要に応じて設けられるものである。透明接着性樹脂層133は、他の層が有する接着性を利用可能な場合には省略も可能である。透明接着性樹脂層133は、接着剤を用いて形成される。接着剤としては、例えば、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂を用いることができる。特に、各種物性や加工性、汎用性、経済性等の面からは、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂を使用することが望ましい。
【0027】
また、透明接着性樹脂層133には、耐候性の処方を行うため、トリアジン系紫外線吸収剤が添加されている。トリアジン系紫外線吸光剤の比率は、透明接着性樹脂層133の全質量に対して、0.1質量%以上1質量%以下が好ましい。より好ましくは0.2質量%以上0.7質量%以下とする。0.1質量%未満であると、紫外線吸収性能が低下するという問題がある。また、1質量%より多いと、ブリードアウト等析出という問題がある。また、表面保護層131には、有害なラジカルを補足し樹脂自体の光・熱・水等による劣化を防止するため、ヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤を添加する。ヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤の比率は、透明接着性樹脂層133の全質量に対して、0.1質量%以上1質量%以下が好ましい。より好ましくは0.2質量%以上0.7質量%以下とする。0.1質量%未満であると、ラジカル補足が十分でなく樹脂自体劣化し易いという問題がある。また、1質量%より多いと、ブリードアウト等析出という問題がある。
【0028】
(プライマー層)
プライマー層137は、基板11との接着に用いられる接着剤138との密着性を向上させるために、必要に応じて設けられるものである。プライマー層137の材料としては、例えば、ウレタン系、アクリル系、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系等を用いることができる。特に、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの配合による2液硬化型ウレタン系のプライマー剤等が好ましい。また、例えば、シリカや硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機質粉末を添加すると、巻取保存時のブロッキングの防止や、投錨効果による接着力の向上に有効である。
【0029】
(凹凸模様)
凹凸模様139は、化粧シート13の表面に立体的な意匠感を付与するために、必要に応じて設けられるものである。凹凸模様139としては、任意の凹凸形状を用いることができ、例えば、木目導管状、石目状、布目状、抽象柄状、和紙状、スウェード状、皮革状、梨地状、砂目状、ヘアーライン状、平行直線群、或いはこれらの組み合わせ等を用いることができる。また凹凸模様139の形成方法としては、例えば、基材136の表面136aに対する透明熱可塑性樹脂層132の積層前、積層後又は積層と同時に行われる、ダブリングエンボス法、押出ラミネート同時エンボス法等を採用できる。
【0030】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る化粧シート13は、基材136と、基材136の表面136a側に設けた透明熱可塑性樹脂層132と、透明熱可塑性樹脂層132の表面132a側に設けた表面保護層131とを備える。そして、透明熱可塑性樹脂層132及び表面保護層131は、トリアジン系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤を含む。それゆえ、透明熱可塑性樹脂層132及び表面保護層131の両方にトリアジン系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤を含むため、耐候性評価での層間の剥離や浮きを改善でき、耐候性に優れた化粧シート13を提供できる。
【0031】
また、例えば、表面保護層131にのみ紫外線吸収剤を添加する方法に比べて、表面保護層131の紫外線吸収剤の添加量を低減でき、ブリードアウトの発生を抑制できる。
また、本発明の実施形態に係る化粧シート13は、表面保護層131の全質量に対して、トリアジン系紫外線吸光剤の比率が5質量%以上20質量%以下であり、ヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤の比率が2.5質量%以上10質量%以下である。また、透明熱可塑性樹脂層132の全質量に対して、トリアジン系紫外線吸光剤の比率が0.1質量%以上1質量%以下であり、ヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤の比率が0.1質量%以上1質量%以下である。それゆえ、耐候性をより適切に向上することができる。
【0032】
さらに、本発明の実施形態に係る化粧シート13は、基材136と透明熱可塑性樹脂層132との層間に、基材136、絵柄層135、透明接着性樹脂層133及び透明熱可塑性樹脂層132の順になるように、絵柄層135及び透明接着性樹脂層133が積層されて配置されている。そして、透明接着性樹脂層133は、トリアジン系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤を含む。それゆえ、透明接着性樹脂層133の裏面側への紫外線の照射量を低減でき、より耐候性に優れた化粧シート13を提供できる。
また、本発明の実施形態に係る化粧シート13は、透明接着性樹脂層133の全質量に対して、トリアジン系紫外線吸光剤の比率が0.1質量%以上1質量%以下であり、ヒンダードアミン系光ラジカル捕捉剤の比率が0.1質量%以上1質量%以下である。それゆえ、透明接着性樹脂層133の裏面側への紫外線の照射量をより適切に低減できる。
【0033】
さらに、本発明の実施形態に係る化粧シート13は、透明接着性樹脂層133及び透明熱可塑性樹脂層132はポリオレフィン系熱可塑性樹脂を含む。それゆえ、非ハロゲン系であるため、環境問題の面、各種物性や加工性、汎用性、経済性等の面からも望ましい。
また、本発明の実施形態に係る化粧部材10は、金属系材料により形成された基板11と、基板11の表面11a側に設けられた化粧シート13と、を備える。それゆえ、耐候性評価での層間の剥離や浮きを改善でき、耐候性に優れた化粧部材10を提供できる。
【実施例0034】
以下に、本発明の実施形態に係る実施例及び比較例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、図1に示すように、基材136として、着色されたポリエチレン樹脂(PE)のシート(リケンテクノス(株)製「TPN」)を用意した。基材136の厚さは55μmとした。続いて、基材136の一方の面(表面136a)に、グラビア印刷法によって、印刷インキを塗布して、木質柄模様の絵柄層135を形成した。印刷インキとしては、東洋インキ(株)製「ラミスター」を用いた。続いて、絵柄層135の表面135aに、グラビアコート法によって、プライマーを塗布してプライマー層134を形成した。プライマーとしては、ウレタン変性ポリエステルポリオール80質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート10質量部、イソホロンジイソシアネート10質量部で混合してなる2液硬化型のアンカーコート剤を用いた。プライマー層134の厚さは、1μmとした。
【0035】
続いて、透明熱可塑性樹脂層132用の樹脂と、透明接着性樹脂層133用の樹脂とを、共押出しラミネーション法を用いて、透明接着性樹脂層133側にオゾンガスを吹き付けながら、プライマー層134上にラミネートした。透明熱可塑性樹脂層132の厚さは、60μmとした。また、透明接着性樹脂層133の厚さは、10μmとした。オゾンガスの濃度は、20g/mとする。オゾンガスの流量は、3.0m/時間とする。
透明接着性樹脂層133用樹脂としては、マレイン酸変性ランダムポリプロピレン樹脂69.5質量部に対して、エチレン-プロピレン共重合樹脂29.5質量部、トリアジン系紫外線吸収剤「TINUVIN1600」(BASFジャパン(株)製)0.5質量%と、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤「TINUVINXT850」(BASFジャパン(株)製)0.5質量%とを添加したものを用いた。これにより、透明接着性樹脂層133の全質量に対して、トリアジン系紫外線吸収剤の比率を0.5質量%とし、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤の比率を0.5質量%とした。
【0036】
また、透明熱可塑性樹脂層132用樹脂としては、立体規則性の低いホモポリプロピレン「TPO」((株)プライムポリマー製、MFR4.5g/10min)99質量部に対して、トリアジン系紫外線吸収剤「TINUVIN1600」(BASFジャパン(株)製)0.5質量%と、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤「TINUVINXT850」(BASFジャパン(株)製)0.5質量%とを添加したものを用いた。これにより、透明熱可塑性樹脂層132の全質量に対して、トリアジン系紫外線吸収剤の比率を0.5質量%とし、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤の比率を0.5質量%とした。
【0037】
続いて、透明熱可塑性樹脂層132の表面に、コロナ処理を施した後、表面保護層131用の樹脂を塗布して表面保護層131を形成した。表面保護層131用の樹脂としては、メチルメタクリレートモノマー80質量部と、シクロヘキシルメタクリレート20質量部との混合物とからなるアクリル系樹脂組成物を主成分とし、トリアジン系紫外線吸収剤「アデカスタブLA-46」(株)ADEKA製)6質量部、「TINUVIN479」(BASFジャパン(株)製)6質量部と、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤(BASFジャパン(株)製)5質量部と、固形分調整用に酢酸エチル溶剤を添加した固形分量33質量部の主剤溶液と、固形分調整用に酢酸エチル溶剤を添加した固形分量75質量部のヘキサメチレンジイソシアネート型硬化剤溶液とを、主溶剤液と硬化剤溶液の比率が10:1(このときの主剤溶液中の水酸基数と硬化剤溶液中のイソシアネート基数の比率は約1:2)となるように混合し、更に溶剤成分として酢酸エチルを添加して固形分量を20質量部に調整した塗工液を用いた。表面保護層131の溶剤揮発後の厚さは9μmとした。
続いて、化粧シート13のプライマー層137に、接着剤138を介して基板11を貼り合わせた。基板11としては、厚さ1mmのアルミ板を用いた。また、接着剤138としては、2液硬化性ウレタン系接着剤(乾燥状態での塗布量:25g/m)を用いた。
【0038】
(実施例2)
実施例2では、透明接着性樹脂層133にトリアジン系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を添加しなかった。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順で化粧部材10を作製した。
【0039】
(比較例1)
比較例1では、透明熱可塑性樹脂層132に用いる紫外線吸収剤を、トリアジン系紫外線吸収剤に代えて、ベンゾトリアゾール系「TINUVIN326」(BASFジャパン(株)製)にした。それ以外は、実施例2と同じ材料・手順で化粧部材10を作製した。
【0040】
(比較例2)
比較例2では、表面保護層131に用いる紫外線吸収剤を、トリアジン系紫外線吸収剤に代えて、ベンゾトリアゾール系「TINUVIN329」「TINUVIN1130」(BASFジャパン(株)製)にした。それ以外は、実施例2と同じ材料・手順で化粧部材10を作製した。
【0041】
(比較例3)
比較例3では、透明熱可塑性樹脂層132に用いる紫外線吸収剤を、トリアジン系紫外線吸収剤に代えて、ベンゾトリアゾール系「TINUVIN326」(BASFジャパン(株)製)にした。また、表面保護層131に用いる紫外線吸収剤を、トリアジン系紫外線吸収剤に代えて、ベンゾトリアゾール系「TINUVIN329」「TINUVIN1130」(BASFジャパン(株)製)にした。それ以外は、実施例2と同じ材料・手順で、化粧部材10を作製した。
【0042】
(性能評価)
実施例1、2、比較例1~3の化粧部材10に対して、以下の耐候性試験を行った。
(耐候性試験(メタルウェザー))
耐候性試験では、ライトモード(照度65W/cm2、ブラップパネル温度53℃、湿度50%、20時間)→シャワー30秒→湿潤モード(ブラックパネル温度30℃、湿度98%、4時間)→シャワー30秒のサイクルを、63サイクル行った後、化粧シート13の外観を観察した。外観に異常(例えば、クラック、黄変、チョーキング、剥離等)がなかった場合を合格「○」とし、外観に僅かな異常があった場合を「△」とし、外観に明らかな異常があった場合を不合格「×」とした。
(評価結果)
これらの評価結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1に示すように、実施例1、2の化粧部材10は、耐候性試験の試験結果が合格「○」となった。一方、比較例1~3の化粧部材10は、試験結果が不合格「×」となった。
【0045】
具体的には、比較例1の化粧部材10は、透明熱可塑性樹脂層132の紫外線吸収剤をベンゾトリアゾール系としたため、透明熱可塑性樹脂層132での紫外線吸収量が少なくなり、耐候性試験の試験結果が「×」となった。また、比較例2の化粧部材10は、表面保護層131の紫外線吸収剤をベンゾトリアゾール系としたため、表面保護層131での紫外線吸収量が少なくなり、耐候性試験の試験結果が「×」となった。さらに、比較例3の化粧部材10は、透明熱可塑性樹脂層132の紫外線吸収剤、及び表面保護層131の紫外線吸収剤をベンゾトリアゾール系としたため、透明熱可塑性樹脂層132及び表面保護層131での紫外線吸収量が少なくなり、耐候性試験の試験結果が「×」となった。
【0046】
これに対し、実施例1、2の化粧部材10は、透明熱可塑性樹脂層132及び表面保護層131の両方の紫外線吸収剤をトリアジン系としたため、透明熱可塑性樹脂層132及び表面保護層131での紫外線吸収量が多くなり、耐候性試験の試験結果が「○」となった。特に、実施例2の化粧部材10は、透明接着性樹脂層133もトリアジン系紫外線吸収剤を含むため、透明接着性樹脂層133も紫外線を吸収でき、耐候性がより向上した。
したがって、実施例1、2の化粧部材10は、比較例1~3の化粧部材10よりも、耐候性が良好であることが確認された。
【符号の説明】
【0047】
10…化粧部材、11…基板、11a…表面、13…化粧シート、131…表面保護層、131a…表面、131b…裏面、132…透明熱可塑性樹脂層、132a…表面、132b…裏面、133…透明接着性樹脂層、134…プライマー層、135…絵柄層、135a…表面、136…基材、136a…表面、136b…裏面、137…プライマー層、138…接着剤、139…凹凸模様
図1