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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159431
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】給紙装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/02 20060101AFI20221006BHJP
   B65H 1/26 20060101ALI20221006BHJP
   B65H 3/06 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B65H7/02
B65H1/26 H
B65H3/06 340E
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129559
(22)【出願日】2022-08-16
(62)【分割の表示】P 2017189937の分割
【原出願日】2017-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松井 裕紀
(57)【要約】
【課題】揺動式のアクチュエータを用いて積載部における被記録媒体の積載状態を検出できる給紙装置において、被記録媒体の給紙処理を素早く実行可能とする。
【解決手段】CPU181は、センサ76、77から取得する出力信号の組み合わせに基づいて、給紙トレイ21に積載されている用紙12の用紙残量状態を検出する。また、用紙有無検出処理において、用紙残量状態を検出する前にセンサ76、77からエンプティ以外の用紙残量状態を示す出力信号を少なくとも1回取得したことを条件として、給紙トレイ21に用紙12が積載されていると判断し、給紙処理を実行する。
【選択図】 図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体が積載される積載部と、
前記積載部に積載された被記録媒体を給紙する給紙部と、
前記給紙部に駆動力を付与する駆動部と、
揺動軸を中心に揺動することで前記積載部に積載された被記録媒体に当接し、被記録媒体の積載量に応じて異なる状態に遷移する当接部と、
前記当接部の状態に応じて異なる信号を出力するセンサと、
前記当接部を前記積載部に被記録媒体が積載されていない前記積載量に応じた位置に向けて付勢する付勢手段と、
前記駆動部を制御可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記センサから同じ前記積載量を示す信号が少なくとも2以上の所定回数であるM回連続して出力されたことに基づいて前記積載量を検出する検出処理であって、繰り返し実行される検出処理と、
前記センサから同じ前記積載量を示す信号が前記M回連続して出力されない場合、かつ、前記積載部に前記被記録媒体が補充された場合に、前記センサから出力される前記M回の信号の一部であって、前記M回よりも少ない所定回数であるN回の信号に基づいて前記積載部に被記録媒体が積載されているか否かを判定する積載判定処理と、
前記検出処理によって前記積載部に被記録媒体が積載されていることを示す積載量を検出した場合、又は、前記積載判定処理によって前記積載部に被記録媒体が積載されていると判定した場合に前記給紙部によって被記録媒体を給紙する給紙処理と、を実行する給紙装置。
【請求項2】
前記当接部は、
前記積載量が第1積載量のときに第1状態となり、前記積載量が前記第1積載量よりも少ない第2積載量のときに第2状態となり、前記積載量が前記第2積載量よりも少ない第3積載量のときに第3状態となり、前記積載部に被記録媒体が積載されていない第4積載量のときに第4状態となり、
前記センサは、
前記当接部が前記第1状態、或いは前記第1状態から前記第2状態へ遷移する間において第1信号を出力し、前記当接部が前記第2状態、或いは前記第2状態から前記第3状態へ遷移する間において第2信号を出力し、前記当接部が前記第3状態、或いは前記第3状態から前記第4状態へ遷移する間において第3信号を出力し、前記当接部が前記第4状態において第4信号を出力し、
前記制御部は、
前記積載判定処理において、前記センサから前記第1信号、前記第2信号、及び前記第3信号のいずれか1つが1回出力されたことを条件として前記積載部に被記録媒体が積載されていると判定する請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記検出処理によって前記積載量が前記第1積載量、前記第2積載量、及び前記第3積載量のいずれかであることを検出した場合に前記給紙処理を実行する請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記検出処理によって検出された前記積載量を表示する表示部を更に備え、
前記制御部は、
前記検出処理によって前記積載量が前記第4積載量であることを検出した場合に前記積載部に被記録媒体を補充させるための通知を前記表示部に表示させる補充通知処理と、
前記補充通知処理の実行後に前記積載部への被記録媒体の補充が完了したか否かを判定する補充判定処理と、を更に実行し、
前記センサから同じ前記積載量を示す信号が前記M回連続して出力されない場合、かつ、前記補充判定処理において前記積載部への被記録媒体の補充が完了したと判定した場合、に前記積載判定処理を実行する請求項3に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記積載部が前記給紙装置に装着されたことを検出する検出部を更に備え、
前記制御部は、
前記補充判定処理において、前記補充通知処理の実行後に前記検出部によって前記積載部が前記給紙装置に装着されたことが検出された場合に、前記積載部への被記録媒体の補充が完了したと判定する請求項4に記載の給紙装置。
【請求項6】
操作部を更に備え、
前記制御部は、
前記補充通知処理の実行後に、前記給紙処理を実行するための操作入力を、前記操作部を介して行わせるための通知を前記表示部に表示させる入力通知処理を実行し、
前記入力通知処理の実行後に前記操作入力が行われた場合に前記給紙処理を実行し、
前記積載判定処理によって前記積載部に被記録媒体が積載されていると判定した場合に前記入力通知処理を実行する請求項4又は5に記載の給紙装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記積載判定処理において、前記補充判定処理によって前記積載部への被記録媒体の補充が完了したと判定してからの経過時間が第1所定時間以上である場合に、前記センサから前記第1信号、前記第2信号、及び前記第3信号のいずれか1つが1回出力されたことを条件として前記積載部に被記録媒体が積載されていると判定し、前記補充判定処理によって前記積載部への被記録媒体の補充が完了したと判定してからの経過時間が前記第1所定時間未満である場合に、前記センサから少なくとも2回連続して前記第1信号、前記第2信号、及び前記第3信号のいずれかが出力されたことを条件として前記積載部に被記録媒体が積載されていると判定する請求項4から6のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項8】
前記センサは、前記当接部の状態に応じて異なる信号を第2所定時間ごとに出力し、
前記第2所定時間は、
前記積載量が前記第4積載量である場合における、前記当接部が前記第1状態から前記第4状態に遷移するまでに要する時間よりも長い請求項2から7のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記検出処理において、前記センサから2回連続して同じ前記積載量を示す信号が出力されたことを条件として当該信号に基づいて前記積載量を検出する請求項1~8のいずれか1項に記載の給紙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体を給紙する給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給紙トレイに記録用紙が積載されているか否かを検知する用紙有無検知センサを備えた給紙装置が知られている。例えば、特許文献1には、揺動式のアクチュエータを用いた用紙有無検知センサによって給紙トレイに記録用紙が積載されているか否かを検知する構成について記載されている。詳細には、アクチュエータが給紙トレイに積載された記録用紙に当接するように設けられ、記録用紙の積載量に応じて揺動する。また、アクチュエータの位置に応じた信号を出力するセンサが設けられ、給紙トレイに記録用紙が積載されている状態と積載されていない状態とで異なる信号をセンサが出力することにより、給紙トレイにおける記録用紙の有無を検知している。
【0003】
また、用紙有無検知センサを備えた従来の給紙装置では、センサから出力される信号に基づいて給紙トレイに記録用紙が積載されていることを条件として、給紙動作を実行することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-124669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている揺動式のアクチュエータを用いた用紙有無検知センサでは、ユーザが給紙トレイを装着した際などの衝撃でアクチュエータがばたつく、所謂チャタリングが発生する虞があり、チャタリングが発生するとアクチュエータの位置が安定するまでに時間を要する。センサは、アクチュエータの位置に応じて記録用紙の有無を示す信号を出力するため、アクチュエータの位置が安定するまでの時間が長くなると、記録用紙の有無を検知するまでの時間が長くなってしまう。給紙装置は、給紙トレイに記録用紙が積載されていることを検知しなければ給紙動作が実行されないため、アクチュエータの位置が安定するまでの時間が長くなると、給紙動作が開始されるまでの時間が長くなってしまう。
【0006】
本発明は、上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、揺動式のアクチュエータを用いて積載部における被記録媒体の積載状態を検出できる給紙装置において、被記録媒体の給紙処理を素早く実行可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る給紙装置は、被記録媒体が積載される積載部と、前記積載部に積載された被記録媒体を給紙する給紙部と、前記給紙部に駆動力を付与する駆動部と、揺動軸を中心に揺動することで前記積載部に積載された被記録媒体に当接し、被記録媒体の積載量に応じて異なる状態に遷移する当接部と、前記当接部の状態に応じて異なる信号を出力するセンサと、前記当接部を前記積載部に被記録媒体が積載されていない前記積載量に応じた位置に向けて付勢する付勢手段と、前記駆動部を制御可能な制御部と、を備える。そして、前記制御部は、前記センサから出力される少なくとも2以上の所定回数であるM回の信号に基づいて前記積載量を検出する検出処理と、前記センサから出力される前記M回の信号の一部であって、前記M回よりも少ない所定回数であるN回の信号に基づいて前記積載部に被記録媒体が積載されているか否かを判定する積載判定処理と、前記積載判定処理によって前記積載部に被記録媒体が積載されていると判定した場合に前記給紙部によって被記録媒体を給紙する給紙処理と、を実行する。
【0008】
本構成によれば、被記録媒体の積載量を検出する前に積載部に被記録媒体が積載されていると判定し、給紙処理を実行することができる。これにより、被記録媒体を給紙するまでに要する時間を短縮することができ、素早く給紙処理を実行することができる。
【0009】
(2) 好ましくは、前記当接部は、前記積載量が第1積載量のときに第1状態となり、前記積載量が前記第1積載量よりも少ない第2積載量のときに第2状態となり、前記積載量が前記第2積載量よりも少ない第3積載量のときに第3状態となり、前記積載部に被記録媒体が積載されていないときに第4状態となる。そして、前記センサは、前記当接部が前記第1状態、或いは前記第1状態から前記第2状態へ遷移する間において第1信号を出力し、前記当接部が前記第2状態、或いは前記第2状態から前記第3状態へ遷移する間において第2信号を出力し、前記当接部が前記第3状態、或いは前記第3状態から前記第4状態へ遷移する間において第3信号を出力し、前記当接部が前記第4状態において第4信号を出力する。更に、前記制御部は、前記積載判定処理において、前記センサから前記第1信号、前記第2信号、及び前記第3信号のいずれか1つが1回出力されたことを条件として前記積載部に被記録媒体が積載されていると判定する。
【0010】
本構成によれば、制御部は、センサから第1信号、第2信号、第3信号の内のいずれか1つの信号が1回出力されると、積載部に被記録媒体が積載されていると判定するため、積載部に被記録媒体が積載されていると判定するまでの時間を短縮することができ、素早く給紙処理を実行することができる。
【0011】
(3) 好ましくは、前記制御部は、前記検出処理によって前記積載量が前記第1積載量、前記第2積載量、及び前記第3積載量のいずれかであることを検出した場合に前記給紙処理を実行し、前記検出処理によって前記積載量が前記第4積載量であることを検出した場合に前記積載判定処理を実行する。
【0012】
本構成によれば、制御部は、検出処理によって積載部に被記録媒体が積載されていないことを検出した場合にのみ積載判定処理を実行し、検出処理によって積載量が第1積載量、第2積載量、及び第3積載量のいずれかであることを検出している場合はすぐに給紙処理を実行する。これにより、被記録媒体を給紙するまでに要する時間を短縮することができ、素早く給紙処理を実行することができる。
【0013】
(4) 好ましくは、本発明に係る給紙装置は、前記検出処理によって検出された前記積載量を表示する表示部を更に備える。そして、前記制御部は、前記検出処理によって前記積載量が前記第4積載量であることを検出した場合にユーザに前記積載部に被記録媒体を補充させるための通知を前記表示部に表示させる補充通知処理と、前記補充通知処理の実行後にユーザによる前記積載部への被記録媒体の補充が完了したか否かを判定する補充判定処理と、を実行する。更に、前記補充判定処理においてユーザによる前記積載部への被記録媒体の補充が完了したと判定した場合に前記積載判定処理を実行する。
【0014】
チャタリングは、被記録媒体の補充後にユーザが積載部を装置に装着する際の衝撃によって発生しやすい。ユーザが被記録媒体を補充するタイミングは、印刷の途中である場合が多く、ユーザが被記録媒体を補充した後すぐに給紙処理を再開できることが望ましい。本構成によれば、チャタリングが発生しやすい、ユーザによる被記録媒体の補充が完了したタイミングで積載判定処理を実行する。これにより、ユーザによる被記録媒体の補充後に給紙処理を素早く再開することができ、印刷時間を短縮することができる。
【0015】
(5) 好ましくは、本発明に係る給紙装置は、前記積載部が前記給紙装置に装着されたことを検出する検出部を更に備える。そして、前記制御部は、前記補充判定処理において、前記補充通知処理の実行後に前記検出部によって前記積載部が前記給紙装置に装着されたことが検出された場合に、ユーザによる前記積載部への被記録媒体の補充が完了したと判定する。
【0016】
本構成によれば、検出部による検出結果によって被記録媒体の補充が完了したか否かを判定できる。これにより、被記録媒体の補充の完了後、自動的に給紙処理を開始することができるため、被記録媒体を給紙するまでに要する時間を短縮することができ、素早く給紙処理を実行することができる。
【0017】
(6) 好ましくは、本発明に係る給紙装置は、操作部を更に備える。そして、前記制御部は、前記補充通知処理の実行後に、前記給紙処理を実行するための操作入力を、前記操作部を介して行わせるための通知を前記表示部に表示させる入力通知処理を実行し、前記入力通知処理の実行後に前記操作入力が行われた場合に前記給紙処理を実行する。更に、前記積載判定処理によって前記積載部に被記録媒体が積載されていると判定した場合に前記入力通知処理を実行する。
【0018】
本構成によれば、制御部は、ユーザによって給紙処理を実行するための操作入力が成された場合に給紙処理を実行するため、ユーザは所望のタイミングで給紙処理を実行することができる。また、積載判定処理によって積載部に被記録媒体が積載されていると判定した場合に入力通知処理を実行するため、ユーザが操作入力を実行するとすぐに給紙処理が実行できる。これにより、ユーザの操作入力と給紙処理の実行開始タイミングがずれてユーザに煩わしさを感じさせる虞を低減することができる。
【0019】
(7) 好ましくは、前記制御部は、前記積載判定処理において、前記補充判定処理によって前記積載部への被記録媒体の補充が完了したと判定してからの経過時間が第1所定時間以上である場合に、前記センサから前記第1信号、前記第2信号、及び前記第3信号のいずれか1つが1回出力されたことを条件として前記積載部に被記録媒体が積載されていると判定し、前記補充判定処理によって前記積載部への被記録媒体の補充が完了したと判定してからの経過時間が前記第1所定時間未満である場合に、前記センサから少なくとも2回連続して前記第1信号、前記第2信号、及び前記第3信号のいずれかが出力されたことを条件として前記積載部に被記録媒体が積載されていると判定する。
【0020】
本構成によれば、積載部への被記録媒体の補充が完了してからの経過時間が第1所定時間未満である場合に、センサから少なくとも2回連続して第1信号、第2信号、及び第3信号のいずれかが出力されたことを条件として積載部に被記録媒体が積載されていると判定する。例えば、第1所定時間を積載部への被記録媒体の補充が完了した後、被記録媒体が積載部に積載されていない場合にアクチュエータ74、75の姿勢が安定するまでに要する時間に設定することにより、チャタリングによって当接部の状態が大きく遷移しやすい間は、センサから少なくとも2回連続して第1信号、第2信号、及び第3信号のいずれかが出力されたことを条件として積載部に被記録媒体が積載されていると判定することができるため、一度の出力信号に基づいて積載部に被記録媒体が積載されているか否かを判断する構成に比べて、より確実に積載部における被記録媒体の有無を検出することができる。これにより、積載部に被記録媒体が積載されていない状態を被記録媒体が積載されていると誤って判断する虞を低減することができる。
【0021】
(8) 好ましくは、前記センサは、前記当接部の状態に応じて異なる信号を第2所定時間ごとに出力する。そして、前記第2所定時間は、前記積載量が前記第4積載量である場合における、前記当接部が前記第1状態から前記第4状態に遷移するまでに要する時間よりも長い。
【0022】
積載部に被記録媒体が積載されていない場合、当接部が第4状態に移動する前にセンサが信号を出力すると、積載部に被記録媒体が積載されていない状態を被記録媒体が積載されていると誤って検出する虞がある。しかし、本構成によれば、第2所定時間を、当接部が第1状態から第4状態まで遷移する時間よりも長く設定しているため、積載部に被記録媒体が積載されていないにも関わらず積載部に被記録媒体が積載されていると誤って検出する虞を低減することができる。
【0023】
(9) 好ましくは、前記制御部は、前記検出処理において、前記センサから2回連続して同じ前記積載量を示す信号が出力されたことを条件として当該信号に基づいて前記積載量を検出する。
【0024】
本構成によれば、制御部は、センサから2回連続して同じ信号が出力されれば、積載量を検出することができる。これにより、短時間で積載量を検出することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の給紙装置によると、被記録媒体の積載量を検出する前に積載部に被記録媒体が積載されていると判定し、給紙処理を実行する。これにより、チャタリングによって当接部の位置が安定するまでに時間を要しても、被記録媒体の給紙処理を素早く実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る一実施形態の給紙装置を備える複合機を示す斜視図である。
図2】複合機のプリンタ部の内部構造を示す概略図である。
図3】給紙部を示す斜視図である。
図4】(a)は給紙部のアーム本体と2つのアクチュエータとの長さ関係を説明するための説明図であり、(b)は給紙部の2つのセンサの配置角度を説明するための説明図である。
図5】センサの概略平面図である。
図6】(a)は給紙トレイの用紙積載量が所定量A1であるときの2つのアクチュエータと2つのセンサとの位置関係を示す概略図であり、(b)は給紙トレイの用紙積載量が所定量A2よりも1枚多い状態のときの2つのアクチュエータと2つのセンサとの位置関係を示す概略側面図である。
図7】(a)は給紙トレイの用紙積載量が所定量A2であるときの2つのアクチュエータと2つのセンサとの位置関係を示す概略図であり、(b)は給紙トレイの用紙積載量が所定量A3よりも1枚多い状態のときの2つのアクチュエータと2つのセンサとの位置関係を示す概略側面図である。
図8】(a)は給紙トレイの用紙積載量が所定量A3であるときの2つのアクチュエータと2つのセンサとの位置関係を示す概略図であり、(b)は給紙トレイの用紙積載量が所定量A4であるときの2つのアクチュエータと2つのセンサとの位置関係を示す概略側面図である。
図9】給紙トレイに用紙がないときの2つのアクチュエータと2つのセンサとの位置関係を示す概略側面図である。
図10】制御部のブロック図である。
図11】2つのセンサの状態に対応する用紙残量を示す説明図である。
図12】本発明の第1実施形態に係る用紙残量検出処理のフローを説明するための説明図である。
図13】本発明の第1実施形態に係る用紙有無検出処理のフローを説明するための説明図である。
図14】本発明の第1実施形態に係る印刷処理のフローを説明するための説明図である。
図15】本発明の第1実施形態に係る印刷処理のフローを説明するための説明図である。
図16】本発明の用紙有無検出処理サブルーチンの変形例を説明するための説明図である。
図17】本発明の給紙処理の変形例を説明するための説明図である。
【0027】
以下、適宜図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。以下の説明においては、本発明に係る一実施形態である給紙装置20を備える複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられる側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。なお、本発明は給紙装置が備えるアクチュエータの数によらずに成り立つが、ここでは一例としてアクチュエータを2つ備えた給紙装置について説明する。
【0028】
図1に示すように、複合機10は、略直方体形状を有し、下部にプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。複合機10は、プリント機能として、インクジェット方式で用紙12(シート状の記録媒体:図2参照)の片面に画像を記録する機能を有している。なお、複合機10は、用紙12の両面に画像を記録するものであってもよい。また、複合機10の上面前方には、表示部150、及び操作部160が設けられている。表示部150は、複合機10の状態(例えば、用紙残量など)を表示する。操作部160は、ユーザによる操作入力を受付ける。
【0029】
プリンタ部11は、図2に示すように、筐体11a、用紙12を複合機10の内部において搬送する搬送装置1、記録部40及び制御部180などを有する。筐体11aは、プリンタ部11の本体フレームであって、図2に示すように、搬送装置1、記録部40及び制御部180を収容する。搬送装置1は、後述する、給紙装置20、プラテン42、搬送ローラ対50及び排出ローラ対60を含む。
【0030】
給紙装置20は、給紙トレイ21から用紙12をピックアップして搬送路35に給紙する。搬送ローラ対50は、給紙装置20によって搬送路35に給紙された用紙12を図2に示す一点鎖線の矢印で示される搬送向き15の下流側、すなわち、前方に搬送する。プラテン42は、搬送ローラ対50によって搬送される用紙12を下側から支持する。記録部40は、プラテン42によって支持された用紙12にインク滴を吐出することによって画像を記録する。排出ローラ対60は、記録部40によって画像が記録された用紙12を前方に搬送し、排出トレイ22に排出する。
【0031】
以下に、給紙装置20について、図1図8を参照して説明する。給紙装置20は、図2に示すように、給紙トレイ21と給紙部70とを有する。給紙部70は、給紙トレイ21から用紙12をピックアップして搬送路35に給紙する。本実施形態における給紙部70は、用紙12を後方に向けて給紙する。
【0032】
図1に示すように、プリンタ部11の正面には、開口13が形成されている。給紙トレイ21は、開口13を通じて前後方向8に挿抜可能に筐体11aに支持されている。給紙トレイ21は、その底面21aに複数の用紙12が積層状態で積載されることで、複数の用紙12を収容する。給紙トレイ21の上側には、排出トレイ22が配置されている。排出トレイ22は、給紙トレイ21と一体に移動する。排出トレイ22は、記録部40によって画像が記録され、且つ排出ローラ対60によって排出された用紙12を支持する。
【0033】
給紙部70は、図2に示すように、搬送路35より搬送向き15の上流側であって、給紙トレイ21の上方で且つ記録部40の下方に設けられている。給紙部70は、図2及び図3に示すように、給紙ローラ71と、アーム72と、伝達機構73と、2つのアクチュエータ74、75と、2つのセンサ76、77とを有する。
【0034】
アーム72は、図3に示すように、アーム本体72aと、このアーム本体72aと一体化された支持フレーム72bとを有する。アーム本体72aは、図2に示すように、前後方向8の前方寄りの基端部に設けられた支軸79を中心として、左右方向9における左から右に向かって見たときに、矢印E1向き(反時計回り)及び矢印E2向き(時計回り)に揺動可能に筐体11aに支持されている。これにより、アーム72も筐体11aに対して矢印E1向き及び矢印E2向きに揺動可能に構成される。支軸79は、筐体11aに固定されており、上下方向7に関して給紙トレイ21よりも上方に配置されている。アーム本体72aは、前後方向8の後方よりに位置する先端部に給紙ローラ71を回転可能に支持し、その自重により、矢印E1の下側の向き(図1において反時計回りの向き)に付勢されている。これにより、給紙トレイ21が筐体11aに装着されている状態において、給紙ローラ71は、給紙トレイ21に積載された用紙12に対して接触可能となる。
【0035】
なお、アーム72は、筐体11aに対して給紙トレイ21を挿抜する際に給紙トレイ21の側壁と一時的に係合することでアーム72を回動させて、アーム72全体を支軸79とほぼ同じ高さまで一時的に上昇させて退避させる退避部材(不図示)が設けられている。これにより、最大積載量の用紙12が収容された給紙トレイ21を、筐体11aに対して挿抜する際に、給紙トレイ21の用紙12と給紙ローラ71及び2つのアクチュエータ74、75とが干渉しなくなり、給紙トレイ21の挿抜動作をスムーズに行うことが可能となる。
【0036】
伝達機構73は、図3に示すように、アーム本体72a内において、左右方向9に沿う回転軸(不図示)を中心として回転可能に支持された複数のギヤ73aを有する。なお、ギヤ73aは、図3において4つ図示されているが、アーム本体72aの先端部内であって、後述の一対のローラ71a間には、図3において図示されていない1つのギヤ73aが設けられている。これらの複数のギヤ73aは互いに噛合されて配置されている。そして、アーム本体72aの基端に配置されたギヤ73aに、給紙モータ71M(図10参照)の駆力が伝達されることで、これら複数のギヤ73aが回転する。
【0037】
給紙ローラ71は、一対のローラ71aを有する。一対のローラ71aは、アーム本体72aの先端部内を左右方向9に挟んで配置されている。また、一対のローラ71aは、アーム本体72aの先端部内に設けられた図示しないギヤ73aの回転軸に固定されている。これにより、伝達機構73の複数のギヤ73aが給紙モータ71Mの駆動力によって回転することで、給紙ローラ71も回転する。この給紙ローラ71の回転により、給紙トレイ21の用紙12が搬送路35に向けて給紙される。
【0038】
支持フレーム72bは、図3に示すように、略箱形状を有しており、アーム本体72aの左右方向9の左側の側壁に設けられている。支持フレーム72b内には、2つのアクチュエータ74、75と、2つのセンサ76、77とが設けられている。つまり、支持フレーム72bは、これらアクチュエータ74、75及びセンサ76、77を支持するためのフレームである。支持フレーム72bには、左右方向9に延在する2つの支軸72b1、72b2が設けられている。支軸72b1は、図4(a)に示すように、上下方向7において支軸79と支軸72b2との間に配置されており、前後方向8においても支軸79と支軸72b2との間に配置されている。支持フレーム72bの底部72b3には、上下方向7において貫通する2つの開口部(不図示)が形成されている。これら開口部は、アクチュエータ74、75と上下方向7にそれぞれ対向している。これにより、アクチュエータ74、75が支持フレーム72bから開口部を介して出入り可能となり、用紙12と接触可能となる。
【0039】
アクチュエータ74は、図3及び図4に示すように、支軸72b1を中心として揺動可能に支持フレーム72bに支持されている。アクチュエータ74は、前後方向8における前方寄りに位置する前方部74aと、後方寄りに位置する後方部74bと、これら前方部74aと後方部74bとを接続する接続部74cとを有する。前方部74a及び後方部74bはともに支軸72b1と直交する方向に沿って延在している。接続部74cは左右方向9に延在している。前方部74aと後方部74bとは、左右方向9にずれて配置されている。アクチュエータ74は、後方部74bの延在方向の中央部分における上下方向7の下部において、支軸72b1によって支持されている。また、支軸72b1の外周には、図4(a)に示すように、コイルバネ74dが設けられている。コイルバネ74dの一端は後方部74bに係合し、他端は支持フレーム72bに係合しており、図4(a)に示すように、左右方向9における左から右に向かって見たときに、コイルバネ74dはアクチュエータ74を反時計回り、すなわち、矢印F1方向に付勢する。
【0040】
図4(a)に示すように、アクチュエータ74と給紙トレイ21に積載された用紙12とが接触する接触箇所74eは、後方部74bにおける上下方向7の下部となっており、前後方向8に関して支軸72b1よりも支軸79から離れた位置にある。これからもアクチュエータ74は、アーム72と同じ方向に揺動する構成となる。具体的には、給紙トレイ21の用紙12が減少すると、アーム72は矢印E1の向きに揺動する。このとき、アクチュエータ74も同じ向き(矢印E1)に揺動する。
【0041】
図4(a)に示すように、アクチュエータ74の前方部74aには、干渉部74a1と、当接部74a2とが設けられている。干渉部74a1は、前方部74aの前後方向8における前方寄りに形成されており、後述するようにセンサ76と干渉可能に構成されている。当接部74a2は、干渉部74a1よりも前後方向8における後方寄りにおいて、干渉部74a1よりも上下方向7の上方に突出しており、筐体11aのフレーム11a1に当接可能に構成されている。
【0042】
アクチュエータ74は、図4(a)に示すように、アーム本体72aよりもその長さが短く構成されている。詳細には、アーム本体72aの支軸72b1からアーム本体72aの先端(支軸79に対して給紙ローラ71と同じ側にあって支軸79から最も離れたアーム72の先端)までの仮想直線L1aの距離は、アクチュエータ74の支軸79から最も離れた位置から支軸72b1までの仮想直線L1bの距離よりも長い。さらに、アーム本体72aの支軸72b1から支軸79までの仮想直線L1cの距離は、アクチュエータ74の支軸79に最も近い位置から支軸72b1までの仮想直線L1dの距離よりも長い。
【0043】
アクチュエータ75は、図3及び図4(a)に示すように、支軸72b2を中心として揺動可能に支持フレーム72bに支持されている。アクチュエータ75は、前後方向8における前方寄りに位置する前方部75aと、後方寄りに位置する後方部75bと、これら前方部75aと後方部75bとを接続する接続部75cとを有する。後方部75bは、支軸72b2と直交する方向に延在している。接続部75cは、後方部75bの延在方向の中央よりもやや前方部分から左右方向9に延在している。前方部75aは、接続部75cの右側端部から前方に延在している。このようにアクチュエータ75も、前方部75aと後方部75bとが左右方向9にずれて配置されている。前方部75aは、後述するようにセンサ77と干渉可能な干渉部75a1を有している。アクチュエータ75は、後方部75bの後方端部において、支軸72b2によって支持されている。また、支軸72b2の外周には、図4(a)に示すように、コイルバネ75dが設けられている。コイルバネ75dの一端は後方部75bに係合し、他端は支持フレーム72bに係合しており、図4(a)に示すように、左右方向9における左から右に向かって見たときに、コイルバネ75dはアクチュエータ75を図4中の時計回り、すなわち、矢印F2方向に付勢する。
【0044】
図4(a)に示すように、アクチュエータ75と給紙トレイ21に積載された用紙12とが接触する接触箇所75eは、後方部75bの中央における上下方向7の下部となっており、前後方向8に関して支軸72b2が接触箇所75eよりも支軸79から離れた位置にある。これからもアクチュエータ75は、アーム72とは逆向きに揺動する構成となる。具体的には、給紙トレイ21の用紙12が減少すると、アーム72は矢印E1に揺動する。このとき、アクチュエータ75は矢印F2に揺動する。
【0045】
また、アクチュエータ75も、図4(a)に示すように、アーム本体72aよりもその長さが短く構成されている。つまり、アーム本体72aの支軸72b2からアーム本体72aの先端(支軸79に対して給紙ローラ71と同じ側にあって支軸79から最も離れたアーム72の先端)までの仮想直線L2aの距離は、アクチュエータ75の支軸79から最も離れた位置から支軸72b2までの仮想直線L2bの距離よりも長い。アーム本体72aの支軸72b2から支軸79までの仮想直線L2cの距離は、アクチュエータ75の支軸79に最も近い位置から支軸72b2までの仮想直線L2dの距離よりも長い。このようにアクチュエータ75は、アーム本体72aよりもその長さが短く構成されている。
【0046】
また、アクチュエータ75は、左右方向9に沿ってアクチュエータ74と並んで配置されている。換言すると、2つのアクチュエータ74,75は、前後方向8(給紙ローラ71による用紙12の給送方向)に関して、ほぼ同じ位置に配置されている。このため、給紙装置20の前後方向8に関するサイズを小さくすることができる。
【0047】
図4(a)に示すように、アクチュエータ74は、干渉部74a1(干渉箇所)と接触箇所74eとが、支軸72b1に対して互いに反対側に位置している。また、アクチュエータ75は、干渉部75a1(干渉箇所)と支軸72b2とが、接触箇所75eに対して互いに反対側に位置している。このように2つのアクチュエータ74,75は、給紙トレイ21に積載された用紙12が減少するのに伴って、互いに逆方向(アクチュエータ74は矢印F1、アクチュエータ75は矢印F2)に揺動する。
【0048】
2つのセンサ76、77は、図3及び図4に示すように、左右方向9及び上下方向7において若干ずれて配置され、前後方向8においてほぼ同じ位置に配置されている。2つのセンサ76、77は、図5に示すように、発光ダイオード(LED)などの発光素子76a、77aと、フォトトランジスタなどの受光素子76b、77bと、筐体76c、77cと、をそれぞれ有する透過型光センサである。これら2つのセンサ76、77は同じ構成であるため、センサ76について以下で説明する。
【0049】
図5に示すように、発光素子76a及び受光素子76bは、それぞれ筐体76cに固定されており、左右方向9において所定の間隔を空けて互いに対向して設けられている。筐体76cは、コの字状の平面形状を有する。発光素子76aは、筐体76cの右側壁部に設けられており、左方に光を照射可能に配置されている。発光素子76bは、筐体76cの左側壁部に設けられており、発光素子76aから照射された光を受光可能に配置されている。このように発光素子76aと受光素子76bとが、コの字状の筐体76cにおいて左右方向9へ所定の間隔をあけて対向配置されている。センサ76の発光素子76aと受光素子76bとの間の空間(センサ76の光路)には、アクチュエータ74の干渉部74a1が進入可能である。センサ76の光路に干渉部74a1が進入し、発光素子76aから受光素子76bへの光を遮断すると、センサ76は「ON状態」となり、センサ76が制御部180にON状態であることを示す信号を出力する。一方、センサ76の光路から干渉部74a1が退避し、発光素子76aからの光を受光素子76bが受光すると、センサ76は「OFF状態」となり、センサ76が制御部180にOFF状態であることを示す信号を出力する。
【0050】
なお、センサ77は、センサ76と同様に、発光素子77aと受光素子77bとを有する。これら発光素子77aと受光素子77bも、コの字状の筐体77cにおいて左右方向9へ所定の間隔を空けて対向配置されている。センサ77の発光素子77aと受光素子77bとの間の空間(センサ77の光路)には、アクチュエータ75の干渉部75a1が進入可能である。センサ77の光路に干渉部75a1が進入し、発光素子77aから受光素子77bへの光を遮断すると、センサ77は「ON状態」となり、センサ77が制御部180にON状態であることを示す信号を出力する。一方、センサ77の光路から干渉部75a1が退避し、発光素子77aからの光を受光素子77bが受光すると、センサ77は「OFF状態」となり、センサ77が制御部180にOFF状態であることを示す信号を出力する。
【0051】
このようにセンサ76は、アクチュエータ74と干渉するときに「ON状態」となり、アクチュエータ74と干渉しないときに「OFF状態」となる。同様に、センサ77は、アクチュエータ75と干渉するときに「ON状態」となり、アクチュエータ75と干渉しないときに「OFF状態」となる。そして、センサ76、77はON状態とOFF状態とで、異なる信号を制御部180に出力する。
【0052】
図4(b)に示すように、2つのセンサ76、77、2つの支軸72b1、72b2は、角度θ1と角度θ2とが互いに異なるように配置されている(角度θ1>角度θ2)。角度θ1は、センサ76の発光素子76a(又は受光素子76b)と支軸72b1とを通過する仮想線分L3が、支軸72b1を通過する仮想水平面H1(給紙トレイ21に積載された用紙12の表面と平行な平面)と成す角度である。角度θ2は、センサ77の発光素子77a(又は受光素子77b)と支軸72b2とを通過する仮想線分L4が、支軸72b2を通過する仮想水平面H2となす角度である。これにより、センサ76の状態の切替えと、センサ77の状態の切替えとが行われる用紙12の積載量が互いに異なる構成を容易に実現することができる。
【0053】
図4(b)に示すように、アクチュエータ74,75を支持する2つの支軸72b1、72b2は、上下方向7にずれて配置されている。これにより、センサ76のON状態とOFF状態との切替えと、センサ77のON状態とOFF状態との切替えとが行われる用紙12の積載量が互いに異なる構成を容易に実現することができる。
【0054】
ここで、2つのアクチュエータ74、75の動作に伴う2つのセンサ76、77の状態の切替えについて、図6図9を参照しつつ以下に説明する。
【0055】
本実施形態における給紙トレイ21は、例えば、A4サイズの普通紙を最大で250枚積載することが可能である。アーム72は、給紙ローラ71が最も上方にある用紙12と接触する位置に配置されるように、用紙12の残量が減少するにつれて反時計回りに用紙1枚分ずつ揺動する。図6(a)に示すように、250枚に相当する所定量A1の用紙12が給紙トレイ21に積載されている状態の場合、アクチュエータ74の当接部74a2は、内側ガイド部材19を支持するフレーム11a1に当接し、アクチュエータ74は、接触箇所74eが用紙12から離隔した状態で維持される。また、このときのアクチュエータ74は、その干渉部74a1がセンサ76の光路から下方に退避した状態、つまり、センサ76は「OFF状態」である。一方、積載量が所定量A1であるとき、アクチュエータ75は、フレーム11a1と当接することなく、コイルバネ75dによって時計回り(図4における矢印F2方向)に付勢されているため、接触箇所75eが最も上方にある用紙12に上方から接触する。このとき、アクチュエータ75は、その干渉部75a1がセンサ77の光路から上方に退避した位置、つまり、センサ77は「OFF状態」である。
【0056】
アクチュエータ74は、アーム72の揺動に伴う支軸72b1の変位によってその全体が下方に変位する。アクチュエータ74の当接部74a2は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A1(図6(a)参照)から、第2所定量A2(例えば、150枚に相当)より1枚多い状態(例えば、151枚に相当:図6(b)参照)になるまでの間、フレーム11a1と当接している。このため、アクチュエータ74はその自由な揺動が規制されながらも反時計回り(図4における矢印F1方向)に揺動する。そして、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2よりも1枚多い状態になると、接触箇所74eが用紙12に接触する。給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2よりも1枚多い状態になったとき、アクチュエータ74は、その干渉部74a1がセンサ76の光路から下方に退避した状態のままである。つまり、センサ76は「OFF状態」に維持される。このようにアクチュエータ74は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A1以下で且つ所定量A2よりも多い場合、当接部72a2がフレーム11a1に当接し、センサ76の状態が「OFF状態」に維持される。一方、アクチュエータ75は、接触箇所75eが用紙12に接触した状態で、アーム72の揺動に伴う支軸72b2の変位によってその全体が下方に変位しながらアーム72とは逆方向、すなわち、時計回りに揺動する。給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2よりも1枚多い状態になったとき、アクチュエータ75は、その干渉部75a1がセンサ77の光路から上方に退避した状態のままである(図6(b)参照)。つまり、センサ77は「OFF状態」に維持される。このように給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2よりも多い場合、アクチュエータ74、75は、対応する各センサ76、77が共に「OFF状態」となる揺動姿勢(以下では第1姿勢B1、C1という)をアーム72に対してそれぞれとるように構成されている。
【0057】
続いて、さらに用紙12の残量が減少すると、アクチュエータ74は、アーム72の揺動に伴う支軸72b1の変位によってその全体がさらに下方に変位する。図7(a)に示すように、アクチュエータ74の当接部74a2は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2になると、フレーム11a1から離隔する。このため、アクチュエータ74は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2以下になると、当接部74a2による規制が解除された状態で反時計回りに揺動する。アクチュエータ74は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2となった状態で、その干渉部74a1がセンサ76の光路に進入した状態となる。つまり、センサ76は「ON状態」に切替えられる。そして、アクチュエータ74は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A3(例えば、50枚に相当)よりも1枚多い状態(例えば、51枚:図7(b)参照)まで減少する間、干渉部74a1がセンサ76の光路に進入した状態のままである。つまり、センサ76は「ON状態」に維持される。一方、アクチュエータ75は、アーム72の揺動に伴う支軸72b2の変位によってその全体がさらに下方に変位しながら時計回りに揺動する。アクチュエータ75は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2よりも1枚多い状態(図6(b)参照)から所定量A3よりも1枚多い状態(図7(b)参照)になるまでの間、その干渉部75a1がセンサ77の光路から上方に退避した状態のままである、つまり、センサ77は、「OFF状態」に維持される。このように給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2以下で且つA3よりも多い場合、アクチュエータ74は、センサ76が「ON状態」となる揺動姿勢(以下では「第2姿勢B2」という)をアーム72に対して取るように構成されている。一方、このときアクチュエータ75は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2よりも多い場合と同じく、センサ77が「OFF状態」となる第1姿勢C1のままである。
【0058】
そして、さらに用紙12の残量が減少すると、アクチュエータ74は、アーム72の揺動に伴う支軸72b1の変位によってその全体がさらに下方に変位しながら反時計回りに揺動する。アクチュエータ74は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A3よりも1枚多い状態(図7(b)参照)から用紙残量1枚に相当する所定量A4(図8(b)参照)まで減少する間、その干渉部74a1がセンサ76の光路に進入した状態のままである。つまり、センサ76は「ON状態」を維持される。一方、アクチュエータ75は、用紙12の減少に伴って時計回りにさらに揺動する。アクチュエータ75は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A3の状態(図8(a)参照)で、その干渉部75a1がセンサ77の光路に進入した状態となる。つまり、センサ77は「ON状態」に切替えられる。そして、アクチュエータ75は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A4(図8(b)参照)まで減少する間、干渉部75a1がセンサ77の光路に進入した状態のままである。つまり、センサ77は「ON状態」に維持される。このように給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A3以下所定量A4以上の場合、アクチュエータ74は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A2未満所定量A3以上の場合と同じく、センサ76が「ON状態」となる第2姿勢B2のままである。一方、アクチュエータ75は、センサ77が「ON状態」となる揺動姿勢(以下では「第2姿勢C2」という)をアーム72に対して取るように構成されている。
【0059】
給紙トレイ21の用紙12がなくなると、図9に示すように、アーム72は、反時計回りにさらに揺動し、給紙ローラ71が給紙トレイ21の底面21aに接触する。アクチュエータ74は、その全体が下方に変位しながら反時計回りにさらに揺動し、接触箇所74eが底面21aに形成された穴21bに落ち込む。このとき、アクチュエータ74は、その干渉部74a1がセンサ76の光路から上方に退避した状態となる。つまり、センサ76は「OFF状態」に切替えられる。一方、アクチュエータ75は、その全体が下方に変位しながら時計回りにさらに揺動し、接触箇所75eが底面21aに形成された孔21cに落ち込む。このとき、アクチュエータ75は、その干渉部75a1がセンサ77の光路に進入したままの状態である。つまり、センサ77は「ON状態」に維持される。このように給紙トレイ21に用紙12がない場合は、アクチュエータ74は、センサ76が「OFF状態」となる揺動姿勢(以下では「第3姿勢B3」という)をアーム72に対して取るように構成されている。上述したように、第1姿勢B1と第3姿勢B3とでは、センサ76に対する干渉部74a1の位置は逆である。一方、このときアクチュエータ75は、給紙トレイ21の用紙積載量が所定量A3以下所定量A4以上の場合と同じく、センサ77が「ON状態」となる第2姿勢C2のままである。アクチュエータ74は、給紙トレイ21の用紙12が1枚から0枚に変化すると、揺動姿勢が第2姿勢B2から第3姿勢B3に切替わり、センサ76だけが「ON状態」から「OFF状態」へと切替わる。このため、給紙トレイ21における用紙12が0枚である状態を検知することができる。
【0060】
図2に示すように、給紙トレイ21の後端部から搬送路35が延出されている。搬送路35は、湾曲搬送路33と直線搬送路34とを含む。湾曲搬送路33は、プリンタ部11の後方側を湾曲外側とし且つ前方側を湾曲内側として湾曲しつつ延びている。直線搬送路34は、前後方向8に延びている。給紙トレイ21に支持された用紙12は、湾曲搬送路33を下方から上方へUターンするように搬送された後、直線搬送路34を前方に搬送されて記録部40に導かれる。記録部40により画像記録が行われた用紙12は、直線搬送路34をさらに前方に搬送されて排出トレイ22に排出される。
【0061】
湾曲搬送路33は、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とによって形成されている。これら外側ガイド部材18と内側ガイド部材19は、筐体11aによって支持されている。なお、内側ガイド部材19は、搬送ローラ対50の下方に配置されたフレーム11a1(図6参照)に固定されている。外側ガイド部材18は、湾曲搬送路33の湾曲外側を形成するガイド面18aを有する。内側ガイド部材19は、湾曲搬送路33の湾曲内側を形成するガイド面19aを有する。直線搬送路34は、所定間隔を隔てて互いに対向する記録部40とプラテン42とによって形成されている。
【0062】
搬送ローラ対50は、図2に示すように、一対のローラ52、53により構成されており、記録部40よりも搬送向き15の上流側に配置されている。ローラ52は、ローラ53よりも下流側に配置されており、湾曲搬送路33から直線搬送路34に搬送された用紙12の下面に当接する。ローラ52は、搬送モータ50M(図10参照)からの駆動力が付与されて回転する駆動ローラである。ローラ53は、ローラ52の回転に伴って連れ回る。ローラ52とローラ53とは、協働して用紙12を上下方向7から挟持し、搬送向き15に搬送する。
【0063】
排出ローラ対60は、図2に示すように、一対のローラ62、63により構成されており、記録部40よりも搬送向き15の下流側に配置されている。ローラ62は、ローラ63よりも下側に配置されており、直線搬送路34を搬送される用紙12の下面に当接する。ローラ62は、搬送モータ50Mから駆動力が付与されて回転する駆動ローラである。ローラ63は、ローラ62に対向して配置されており、用紙12の上面に当接する。ローラ63は、ローラ62の回転に伴って連れ回る拍車ローラである。ローラ62とローラ63とは、協働して用紙12を上下方向7から挟持し、搬送向き15に搬送する。その結果、用紙12は、排出ローラ対60より搬送向き15の下流側に位置する開口13(図1参照)に向けて搬送され、排出トレイ22に排出される。
【0064】
プラテン42は、図2に示すように、直線搬送路34の下側で且つ搬送ローラ対50及び排出ローラ対60の間に設けられている。プラテン42は、上下方向7において記録部40に対向して配置され、直線搬送路34を搬送される用紙12を下側から支持する板状部材である。
【0065】
図2に示すように、記録部40は、直線搬送路34の上側で且つ上下方向7においてプラテン42と対向する位置に配置されている。記録部40は、キャリッジ41と、記録ヘッド38と、駆動機構40a(図10参照)とを有している。キャリッジ41は、2つのガイドレール45,46によって支持されている。2つのガイドレール45,46は、前後方向8に互いに離隔して配置され、各々が左右方向9に延設されている。キャリッジ41は、2つのガイドレール45,46を跨ぐようにして配置されている。また、駆動機構40aは、キャリッジ駆動モータ40Mを有し、制御部180の制御により、キャリッジ41を2つのガイドレール45,46に沿って主走査方向である左右方向9に往復移動させる。記録ヘッド38は、キャリッジ41に搭載されている。記録ヘッド38は、インクカートリッジ(不図示)から供給されたインクを、下面に設けられたノズル39から吐出する。すなわち、キャリッジ41が左右方向9に移動している過程において、記録ヘッド38のノズル39からインク滴がプラテン42に向けて吐出されることにより、プラテン42に支持された用紙12の上面に画像が記録される。
【0066】
制御部180は、図10に示すように、CPU(Central Processing Unit)181、ROM(Read Only Memory)182、RAM(Random Access Memory)183、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)184などを含み、これらが協働して、キャリッジ駆動モータ40M、記録ヘッド38、給紙モータ71M、搬送モータ50M、表示部150、操作部160等の動作を制御する。例えば、制御部180は、PC等の外部装置から送信された記録指令に基づいて、記録ヘッド38、キャリッジ駆動モータ40M、給紙モータ71M、搬送モータ50M等を制御して、用紙12に画像等を記録させる。
【0067】
また、ROM182は、2つのセンサ76,77の状態の4種類の組み合わせを記憶している。これら4種類の組み合わせは、4段階の用紙残量状態に対応する。具体的には、図11に示すように、センサ76がOFF状態及びセンサ77がON状態のときは、用紙なしに対応し、センサ76がON状態及びセンサ77がON状態のときは、ニアエンプティに対応し、センサ76がON状態及びセンサ77がOFF状態のときは、用紙中積載に対応し、センサ76がOFF状態及びセンサ77がOFF状態のときは、用紙大積載に対応する。そして、制御部180は、センサ76,77からの信号に基づいて用紙残量を表示部150に表示させる。
【0068】
なお、図10では、CPU181及びASIC184を1つずつ図示しているが、制御部180は、CPU181を1つだけ含み、この1つのCPU181が必要な処理を一括して行うものであってもよいし、CPU181を複数含み、これら複数のCPU181が必要な処理を分担して行うものであってもよい。また、制御部180は、ASIC184を1つだけ含み、この1つのASIC184が必要な処理を一括して行うものであってもよいし、ASIC184を複数含み、これら複数のASIC184が必要な処理を分担して行うものであってもよい。
【0069】
続いて、制御部180が実行する、用紙残量検出処理について説明する。用紙残量検出処理は、複合機10の電源がONになると実行される。図12に示すように、用紙残量検出処理では、まず、用紙残量状態を初期化する(S100)。詳細には、CPU181は、ROM182に記憶されている、用紙残量状態を表す変数(PaperVolumeState)を不定状態(UNKNOWN)にする。PaperVolumeStateには、図11に示される、給紙トレイ21に積載された用紙12の4種類の用紙残量状態(大積載、中積載、ニアエンプティ、エンプティ)のそれぞれに対応した値のいずれかが格納される。S100では、CPU181は、PaperVolumeStateを不定状態としているため、S100の実行時点ではPaperVolumeStateには4種類の用紙残量状態に対応した値のいずれも格納されていない。
【0070】
次に、CPU181は、RAM183に記憶されている変数Nを初期値化する(S102)。詳細には、CPU181は、変数Nを0とする。
【0071】
CPU181は、変数Nを初期値化した後、センサ状態配列(SensorSeries[N])を初期化する(S104)。詳細には、SensorSeries[N]を不定状態とする。SensorSeries[N]は、ROM182に記憶されており、センサ76、77から所定時間T1毎に取得する出力信号の組み合わせを格納するための配列である。CPU181は、センサ76、77のそれぞれから用紙残量状態に応じてON状態、あるいはOFF状態のどちらかを示す出力信号を取得すると、取得したセンサ76、77からの出力信号の組み合わせをSensorSeries[N]に格納する。S104では、SensorSeries[N]は不定状態へと初期化されるため、S104の実行時点ではSensorSeries[N]には何も格納されていない。
【0072】
次に、CPU181は、検出中用紙無しフラグ(EmptyFlg)を不定状態へ初期化する(S106)。検出中用紙無しフラグは、給紙トレイ21に用紙12が積載されているか、積載されていないかのどちらかを表すためのフラグであり、検出中用紙無しフラグが立っていれば(EmptyFlg=TRUE)、給紙トレイ21に用紙12が積載されていないことを表し、検出中用紙無しフラグが下りていれば(EmptyFlg=FALSE)、給紙トレイ21に用紙12が積載されていないことを表す。
【0073】
続いて、CPU181は、S106の実行後に時間T1が経過したか否かを判断する(S108)。ここで、時間T1は、適宜設定可能であるが、一例として、10ms~100msの間の所定値である。CPU181は、例えば、複合機10に内蔵されたリアルタイムクロック(RTC)によって時間を計測することにより、S106の実行後に時間T1が経過した否かを判断する。CPU181は、時間T1が経過するまで待機し(S108:NO)、時間T1が経過したと判断すると(S108:YES)、変数Nに1を加算する(S110)。その後、センサ76、77からの出力信号を取得する(S112)。
【0074】
次に、CPU181は、センサ76、77から取得した出力信号の組み合わせを、SensorSeries[N]に格納する(S114)。その後、CPU181は、S114においてSensorSeries[N]に格納された、センサ76、77からの出力信号の組み合わせが、1つ前のセンサ状態配列であるSensorSeries[N-1]に格納されたセンサ76、77からの出力信号の組合せと同じであるか、つまり、時間T1毎にセンサ76、77から取得する出力信号の組み合わせが、2回連続して同一であるか否かを判断する(S116)。
【0075】
センサ76、77から2回連続して同じ出力信号の組み合わせを取得した場合(S116:Yes)、CPU181は、用紙残量状態を更新する(S118)。詳細には、CPU181は、センサ76、77から取得した出力信号の組み合わせを基に、図11に示す、センサ76、77からの出力信号の組み合わせと用紙残量状態とを対応付けたテーブルを参照する。そして、CPU181は、S114にてセンサ状態配列に格納したセンサ76、77からの出力信号の組み合わせが、4種類の用紙残量状態(大積載、中積載、ニアエンプティ、エンプティ)のいずれを表すのかを判断する。CPU181は、用紙残量状態が4種類の中のいずれであるかを判断すると、判断された用紙残量状態に応じた値を、PaperVolumeStateに格納する。以上により、CPU181は、給紙トレイ21に積載された用紙12の用紙残量状態を決定する。
【0076】
本実施形態では、用紙残量状態を、アクチュエータ74、75とセンサ76、77とによって検出している。アクチュエータ74、75は、それぞれ支軸72b1、72b2によって揺動可能にアーム72に支持されているため、例えば、複合機10に外力がかかると、アクチュエータ74、75に振動が発生する。すると、振動によってアクチュエータ74、75が支軸72b1、72b2を支点としてばたつく、所謂チャタリングが発生する虞がある。チャタリングが発生している間は、アクチュエータ74、75がばたついているため、アクチュエータ74、75の位置が安定しない。そのため、センサ76、77から、実際の用紙残量状態と異なった用紙残量状態を示す信号が誤って制御部180に出力される虞がある。このようなチャタリングによる用紙残量状態の誤検知を防止するために、本実施形態では、用紙残量検出処理において、CPU181は、時間T1毎に取得するセンサ76、77からの出力信号の組み合わせが2回連続して同じである場合に限り、用紙残量状態を決定するようにしている。チャタリングが発生してアクチュエータ74、75がばたついている間は、センサ76、77から2回連続して同一の信号が出力される可能性は低い。つまり、センサ76、77からの出力信号の組み合わせが2回連続して同じであるということは、アクチュエータ74、75の位置が安定している可能性が高いため、チャタリングによって用紙残量状態を誤って検出してしまう虞を低減することができる。
【0077】
CPU181は、S118において用紙残量状態を更新した後、表示部150に用紙残量状態が大積載、中積載、ニアエンプティ、エンプティのいずれであるかを表示させる残量表示処理を実行する(S120)。残量表示処理を実行することで、もし、用紙残量状態がニアエンプティあるいはエンプティである場合に、印刷処理実行中のユーザにその旨を通知することができ、これにより、ユーザは、用紙12の補充タイミングを適切に知ることができる。
【0078】
一方、CPU181は、S116において、センサ76、77からの出力信号の組み合わせが、前回のセンサ76、77からの出力信号の組み合わせと異なる、つまり、センサ76、77からの出力信号の組み合わせが2回連続して同一ではないと判断した場合(S116:NO)、用紙有無検出処理サブルーチンを実行し(S122)、その後、S108に戻る。用紙有無検出処理サブルーチンについては、後述する。本実施形態では、用紙残量検出処理は、複合機10の電源がONになってからその後電源がOFFとなるまで、常に繰り返し実行されている。つまり、用紙残量状態は、用紙残量検出処理によって更新し続けられている。
【0079】
図13を用いて、用紙有無検出処理サブルーチンについて説明する。用紙有無検出処理サブルーチンにおいて、CPU181は、まず、印刷中用紙補充フラグ(PaperRefillFlg)が立っているか否かを判断する(S130)。印刷中用紙補充フラグは、印刷処理中に用紙の補充が行われた場合に立てられるフラグであり、印刷中用紙補充フラグが立っていない場合とは、印刷処理を実行していないか、或いは、印刷処理中ではあるが用紙残量状態がエンプティ以外であり、用紙の補充が行われていない場合である。CPU181は、印刷中用紙補充フラグが立っていないと判断すると(S130:NO)、用紙有無検出処理サブルーチンを終了する。つまり、本実施形態では、用紙有無検出サブルーチンは、印刷中に用紙の補充がなされた場合にのみ、実行される。
【0080】
一方、印刷中用紙補充フラグが立っていると判断した場合(S130:YES)、CPU181は、センサ状態配列に格納されている最新のセンサ76、77からの出力信号の組み合わせが、エンプティ以外(大積載、中積載、ニアエンプティ)の用紙残量状態を示すものか否かを判断する(S132)。センサ状態配列に格納されている最新のセンサ76、77からの出力信号の組み合わせが、エンプティを示す場合(S132:YES)、CPU181は、検出中用紙無しフラグを立てる(S136)。一方、センサ状態配列に格納されている最新のセンサ76、77からの出力信号の組み合わせが、エンプティ以外の用紙残量状態を示すものと判断した場合(S132:NO)、CPU181は、検出中用紙無しフラグを下す(S134)。その後、用紙有無検出処理サブルーチンを終了する。上述したように、検出中用紙無しフラグが立てられている場合は、給紙トレイ21に用紙12が積載されていないことを表し、検出中用紙無しフラグが下ろされている場合は、給紙トレイ21に用紙12が積載されていることを表す。
【0081】
本実施形態では、図9に示すように、給紙トレイ21に用紙12が積載されていないエンプティ状態において、アクチュエータ74の接触箇所74eと、アクチュエータ75の接触箇所75eは、それぞれ、給紙トレイ21の底面21aに設けられた穴21b、21cに入り込む。例えば、複合機10に外力がかかったとき、用紙残量状態がエンプティ以外、つまり、給紙トレイ21に用紙12が積載されている状態であれば、チャタリングによってばたつくアクチュエータ74、75は、接触箇所74e、75eが用紙12に当接する度に振動が加わるため、チャタリングが収まりにくくなる。一方、用紙残量状態がエンプティの場合、アクチュエータ74、75の接触箇所74e、75eは穴21b、21cに入り込むので、アクチュエータ74、75は用紙12とも、給紙トレイ21の底面21aとも接触せず、チャタリングによるばたつきが発生しにくい。また、本実施形態では、コイルバネ74d、コイルバネ75dによって接触箇所74e、75eを給紙トレイ21の底面21a側に付勢しているため、より一層、用紙残量状態がエンプティのときはアクチュエータ74、75の姿勢が図9に示す第3姿勢B3、及び第2姿勢C2に安定して維持される。このように、用紙残量状態がエンプティである場合、アクチュエータ74、75は図9に示す姿勢を安定して維持することができ、これにより、用紙残量状態がエンプティのときは、複合機10に外力がかかったとしても、センサ76、77からエンプティ以外の用紙残量状態を示す信号が出力される可能性を低くすることができ、確実にエンプティ状態を検出することができる。
【0082】
このように、用紙残量状態がエンプティのときは、センサ76、77がエンプティ以外の用紙残量状態を示す信号を出力する可能性は低いため、S132において、センサ状態配列に格納されている最新のセンサ76、77からの出力信号の組み合わせが、エンプティ以外を示すと判断した場合(S132:YES)は、用紙残量状態がエンプティ以外である、つまり、給紙トレイ21に用紙12が積載されている可能性が高い。そのため、S132において、センサ状態配列に格納されている最新のセンサ76、77からの出力信号の組み合わせが、エンプティ以外を示すと判断した場合(S132:YES)、CPU181は、検出中用紙無しフラグを下ろし、給紙トレイ21に用紙12が積載されていると判断する。一方、センサ状態配列に格納されている最新のセンサ76、77からの出力信号の組み合わせが、エンプティを示すと判断した場合(S132:NO)、用紙残量状態はエンプティの可能性が高いため、CPU181は、検出中用紙無しフラグを立てて、給紙トレイ21に用紙12が積載されていないと判断する。このように、用紙有無検出処理サブルーチンを実行することにより、CPU181は、用紙残量状態の検出が完了する前に給紙トレイ21に用紙12が積載されているか否かを判断することができる。
【0083】
次に、図14図15を用いて、複合機10が実行する印刷処理について説明する。印刷処理において、印刷データを受信すると、CPU181は、まず、PaperVolumeStateに格納されている値を参照し、用紙残量状態が、エンプティか、それともエンプティ以外であるのかを判断する(S140)。用紙残量状態がエンプティ以外である、つまり、給紙トレイ21に用紙12が積載されていると判断した場合(S140:NO)、CPU181は、画像記録処理サブルーチンを実行する(S158)。画像記録処理サブルーチンについては後述する。
【0084】
一方、用紙残量状態がエンプティである、つまり、給紙トレイ21に用紙12が積載されていないと判断した場合(S140:YES)、用紙残量状態がエンプティであることを表示部5に表示するとともに、「給紙トレイを取り外して用紙を補充して下さい」等の、用紙補充を促すメッセージを表示部に5に表示させ、ユーザに用紙補充の必要性を報知する(S142)。その後、CPU181は、ユーザが用紙補充を完了させるまでS142の処理を継続し(S144:NO)、ユーザによる用紙補充が完了したと判断した場合(S144:YES)、印刷中用紙補充フラグを立てて(S146)、更に、S100の処理と同様に、用紙残量状態を初期化する(S148)。なお、CPU181は、S144において、例えば、給紙トレイ21の挿抜を検知するトレイセンサ78(図10参照)によって、給紙トレイ21が複合機10から抜かれたことを検知した後、再び給紙トレイ21が複合機10に装着されたことを検知したことを条件として、ユーザによる用紙補充が完了したと判断する。あるいは、操作部160からユーザが用紙補充を完了したことを手入力できるように構成し、ユーザによる操作入力結果に基づいて、用紙補充が完了したことを判断するようにしてもよい。トレイセンサ78は、公知のトレイセンサであり、ここでは詳細な説明は省略する。
【0085】
CPU181は、用紙残量状態を初期化した(S148)後、図12に示す、用紙残量検出処理において、用紙残量状態が検出されたか否かを判断する(S150)。詳細には、CPU181は、S116においてセンサ74、75から取得した出力信号の組み合わせが2回連続して同一であると判断され(S116:YES)、PaperVolumeStateが更新された(S118)か、否かを判断する。S144において用紙補充が完了したと判断した場合、給紙トレイ21がユーザによって複合機10に装着された可能性が高い。給紙トレイ21が複合機10に装着される際、複合機10には、給紙トレイ21の装着による外力がかかり、その結果、アクチュエータ74、75に振動がかかってチャタリングが発生しやすい状態となる。したがって、ユーザによる用紙補充の完了後は、チャタリングによってアクチュエータ74、75の位置が安定しにくく、用紙残量状態の検出が完了するまでに時間がかかる虞がある。CPU181は、S150において、用紙残量状態の検出が完了していないと判断した場合(S150:NO)、S154に進む。ここで、用紙残量状態の検出が完了していないということは、チャタリングが発生してアクチュエータ74、75の位置が安定していない状態である可能性が高い。
【0086】
S154において、CPU181は、用紙有無検出処理サブルーチンにおいて、検出中用紙無しフラグが立てられたか、あるいは、検出中用紙無しフラグが下ろされたかを判定し、まだ検出中用紙無しフラグが不定状態のままであると判定する(S154:NO)と、S150に戻る。CPU181は、検出中用紙無しフラグが不定状態でないと判定する(S154:YES)と、その後、検出中用紙無しフラグが立てられたか、下ろされたかを判断する(S156)。用紙有無検出処理サブルーチンにおいて、検出中用紙無しフラグが下ろされたと判断した場合は(S156:YES)、上述したように給紙トレイ21に用紙12が積載されていると判断した場合であるため、CPU181は、用紙残量状態の検出の完了を待たずに、画像記録処理サブルーチンを実行する(S158)。一方、用紙有無検出処理サブルーチンにおいて、検出中用紙無しフラグが立てられたと判断した場合は(S156:NO)、上述したように給紙トレイ21に用紙12が積載されていないと判断した場合であるため、S142に戻る。
【0087】
また、S150において、用紙残量状態の検出が完了したと判断した場合(S150:YES)、CPU181は、用紙残量状態がエンプティか否か、つまり、給紙トレイ21に用紙が補充されたか否かを判断する(S152)。S150において、用紙残量状態の検出が完了した場合とは、用紙補充後にチャタリングが発生しなかった、或いはアクチュエータ74、75にかかる振動が小さく、アクチュエータ74、75の姿勢が比較的すぐに安定して素早く用紙残量状態の検出が完了した場合である。CPU181は、用紙残量状態がエンプティであると判断した場合(S152:YES)、S142に戻る。ここで、S152においてYESと判断される場合とは、例えば、ユーザが給紙トレイ21を引き出した後、用紙12を補充することなく複合機10に給紙トレイ21を装着した場合、あるいは、用紙補充が完了していないにもかかわらず、ユーザが操作部160から用紙補充の完了を示す操作入力を実行した場合等が考えられる。CPU181は、S152において用紙残量状態がエンプティ以外であると判断した場合(S152:NO)、画像記録処理サブルーチンを実行する(S158)。
【0088】
続いて、図15を用いて、画像記録処理サブルーチンについて説明する。画像記録処置サブルーチンにおいて、CPU181は、まず、印刷中用紙補充フラグを下す(S170)と共に、S106と同様に、検出中用紙無しフラグを不定状態へ初期化する(S172)。その後、CPU181は、給紙モータ71Mや搬送モータ50M、キャリッジ駆動モータ40M等を駆動させることにより、用紙12の給紙動作(S174)、印字動作(S176)、排紙動作(S178)を実行する。そして、次ページがあるか否かを判断し(S180)、次ページがあると判断された場合(S180:YES)、画像記録処理サブルーチンを終了し、S140に戻る。一方、S180において次ページがないと判断された場合(S180:NO)、印刷処理を終了する。
【0089】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、CPU181は、センサ76、77から取得する出力信号の組み合わせに基づいて、給紙トレイ21に積載されている用紙12の用紙残量状態を検出する。また、用紙有無検出処理サブルーチンにおいて、用紙残量状態を検出する前にセンサ76、77からエンプティ以外の用紙残量状態を示す出力信号を少なくとも1回取得したことを条件として、給紙トレイ21に用紙12が積載されていると判断し、給紙処理を実行する。
【0090】
これにより、用紙残量状態を検出するためにセンサ76、77からの出力信号を取得する回数よりも少ない取得回数で、給紙トレイ21に用紙12が積載されていることを検出できるため、用紙残量状態を検出してから給紙処理を実行する場合に比べて給紙処理を実行するまでの時間を短縮することができ、素早く給紙処理を実行することができる。
【0091】
また、本実施形態によれば、用紙有無検出処理サブルーチンにおいて、CPU181は、エンプティ以外の用紙残量状態を示すセンサ76、77からの出力信号を一度でも取得したら、給紙トレイ21に用紙12が積載されていると判断し、給紙処理を実行する。これにより、給紙トレイ21に用紙12が積載されていることを検出するまでの時間を短縮することができ、給紙処理をより素早く実行することができる。
【0092】
また、本実施形態によれば、用紙残量検出処理において、CPU181は、時間T1毎にセンサ76、77から取得する出力信号の組み合わせが、2回連続して同一である場合に、取得したセンサ76、77からの出力信号の組み合わせに基づいて用紙残量状態を判断する。これにより、チャタリングによってアクチュエータ74、75の位置が安定しない間に用紙残量状態を誤って検出する虞を低減すると共に、素早く用紙残量状態を検出することが可能となる。
【0093】
また、本実施形態によれば、CPU181は、印刷処理の実行中において用紙残量状態がエンプティになった場合にのみ、給紙トレイ21に用紙12が積載されているか否かを判定する。そして、用紙残量状態がエンプティ以外であれば(S140:NO)、給紙トレイ21に用紙12が積載されているか否かを判定することなく、画像記録処理を実行する(S158)。これにより、CPU181が不要な処理を実行することを抑制し、印刷処理が完了するまでの時間を短縮することができる。
【0094】
また、本実施形態によれば、CPU181は、印刷中に用紙残量状態がエンプティとなり、その後、ユーザによる用紙補充が完了した場合(S144:YES)にのみ、給紙トレイ21に用紙12が積載されているか否かを判定する。これにより、チャタリングが発生しやすい、ユーザによる用紙12の補充が完了したタイミングで積載判定処理を実行できるため、ユーザによる用紙12の補充後に給紙処理を素早く再開することができ、印刷時間を短縮することができる。
【0095】
また、本実施形態によれば、ユーザによる用紙補充が完了したか否かを、トレイセンサ78を用いて判断することができる。これにより、ユーザに負担をかけることなく用紙補充の完了を判断できる。
【0096】
以下に、本実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明では、本実施形態との相違点について主に説明し、本実施形態と同様の点については、説明を省略する。
【0097】
[変形例1]
図16を用いて、用紙有無検出処理サブルーチンの変形例について説明する。変形例における用紙有無検出処理サブルーチンでは、CPU181は、まず、印刷中用紙無しフラグが立っていることを判断する(S190)。印刷中用紙無しフラグが立っていると判断すると(S190:YES)、CPU181は、ユーザによる用紙補充が完了してから時間T2が経過したか否かを判断する(S192)。ここで、時間T2は、ユーザによる用紙補充完了後において、用紙残量状態がエンプティである場合にアクチュエータ74、75の姿勢が安定するまでに要する時間であり、例えば、出荷前にトライ&エラーを繰り返して実験的に設定される。CPU181は、用紙補充完了後に時間T2が経過したと判断すると(S192:YES)、S132に進む。一方、用紙補充完了後に時間T2が経過していないと判断すると(S192:NO)、CPU181は、センサ76、77から取得した出力信号の組み合わせが、2回連続してエンプティ以外の用紙残量状態を示すものであるか否かを判断する(S194、S196)。その結果、センサ76、77から取得した出力信号の組み合わせが、2回連続してエンプティ以外の用紙残量状態を示すものであると判断した場合(S194:YES、S196:YES)、検出中用紙無しフラグを下す(S198)。センサ76、77から取得した出力信号の組み合わせが、2回連続してエンプティ以外の用紙残量状態を示すものではないと判断すると(S194:NO、S196:NO)、検出中用紙無しフラグを立てる(S200)。
【0098】
アクチュエータ74、75にかかる振動が大きい場合、例え用紙残量状態がエンプティであったとしても、アクチュエータ74、75の姿勢が安定するまでに時間を要する場合があり、センサ74、75からエンプティ以外の用紙残量状態を示す信号が出力される虞がある。変形例1では、ユーザによる用紙補充完了後において、用紙残量状態がエンプティである場合にアクチュエータ74、75の姿勢が安定するまでに要する時間である時間T2が経過していない、つまり、エンプティ状態であってもアクチュエータ74、75にチャタリングが発生する可能性のある間は、センサ76、77から取得した出力信号の組み合わせが2回連続してエンプティ以外の用紙残量状態を示すものである場合に、給紙トレイ21に用紙12が積載されていると判断するようにしている。これにより、エンプティ状態であるにも関わらず、給紙トレイ21に用紙12が積載されていると誤って判断してしまう虞を低減することができる。
【0099】
[変形例2]
本実施形態では、時間T1について、適宜設定可能なように構成していたが、アクチュエータ74、75が、用紙残量状態が大積載状態であるときに対応した位置から、用紙残量状態がエンプティであるときに対応した位置まで移動する移動時間よりも長く設定することが好ましい。このように構成することで、用紙残量状態がエンプティである場合において、アクチュエータ74、75がエンプティ状態に対応した位置に移動する前にCPU181がセンサ76、77からの出力信号を取得してしまう虞を低減することができる。もし、用紙残量状態がエンプティである場合において、アクチュエータ74、75がエンプティ状態に対応した位置に移動する前にCPU181がセンサ76、77からの出力信号を取得してしまうと、図13に示した用紙有無検出処理サブルーチンにおいて、CPU181は、用紙残量状態がエンプティであるにも関わらず給紙トレイ21に用紙12が積載されていると誤って判断し、検出中用紙無しフラグを下してしまう虞がある。変形例2では、時間T1を、アクチュエータ74、75が、用紙残量状態が大積載状態であるときに対応した位置から、用紙残量状態がエンプティであるときに対応した位置まで移動する移動時間よりも長く設定するため、用紙残量状態がエンプティであるにも関わらず、給紙トレイ21に用紙12が積載されていると誤って判断してしまう虞を低減することができる。
【0100】
[変形例3]
図17を用いて、印刷処理の変形例について説明する。変形例における印刷処理では、ユーザによる用紙補充の完了後、ユーザによる操作入力に基づいて印刷処理を再開するようにしている。詳細には、CPU181は、用紙補充が完了した後に検出中用紙無しフラグが下りていると判断した場合(S156:YES)、表示部150に、印刷処理の再開を指示する操作入力を、操作部160を介して実行するようにユーザに通知をするためのメッセージを表示する(S300)。その後、ユーザによる、印刷処理の再開を指示する操作入力がなされるまでS300を実行し(S302:NO)、ユーザによる、印刷処理の再開を指示する操作入力がなされたと判断すると(S302:YES)、画像記録処理サブルーチンを実行する(S158)。
【0101】
変形例3によれば、CPU181は、ユーザによって給紙処理を再開するための操作入力が成された場合に給紙処理を実行するため、ユーザは所望のタイミングで給紙処理を再開することができる。また、給紙トレイ21に用紙12が積載されていることを検出した後にユーザに給紙処理を再開するための操作入力を促す通知を行うため、ユーザが操作入力を実行するとすぐに給紙処理が実行できる。これにより、ユーザの操作入力と給紙処理の実行開始タイミングがずれてユーザに煩わしさを感じさせる虞を低減することができる。
【0102】
[変形例4]
実施形態では、図12に示す、用紙残量検出処理において、CPU181は、時間T1毎にセンサ76、77から取得する出力信号の組み合わせが同一である場合に、取得した出力信号の組み合わせに基づいて、用紙残量状態を判断していた。しかし、用紙残量状態を検出する手段はこれに限定されない。例えば、予め決められた回数だけ、所定時間毎にセンサ76、77からの出力信号の組み合わせを取得し、取得した出力信号の中で最も多い出力信号の組み合わせが示す用紙残量状態を、実際の用紙残量状態と判断するようにしてもよい。
【0103】
[変形例5]
本実施形態では、4種類の用紙残量状態を検出するために、2つのアクチュエータを用いていたが、これに限定されない。例えば、1つのアクチュエータに対して複数のセンサを、位置をずらして設けるように構成し、1つのアクチュエータが4種類の用紙残量状態に応じた位置をそれぞれとる時の複数のセンサからの出力信号の組み合わせに基づいて4種類の用紙残量状態を検出可能としてもよい。また、用紙残量状態は4種類に限定されず、4種類よりも多い、あるいは4種類よりも少ない複数種類の用紙残量状態を検出可能な構成としてもよい。
【0104】
[変形例6]
本実施形態では、CPU181は、時間T1毎にセンサ76、77から取得する出力信号の組み合わせが同一である場合に、取得した出力信号の組み合わせに基づいて、用紙残量状態を判断していた。しかし、用紙残量状態がエンプティである場合、センサ74、75からはエンプティ以外の用紙残量状態を示す信号が出力される可能性が低いため、エンプティを示す信号がセンサ74,75から1回でも出力されれば、用紙残量状態がエンプティであると判断するようにしてもよい。これにより、用紙残量状態がエンプティであることを検出するまでの時間を短縮することができ、より早いタイミングでユーザに用紙補充を促す通知を実行することができる。
【0105】
用紙12が、本発明の被記録媒体の一例である。給紙トレイ21が、本発明における積載部の一例である。給紙モータ71Mが、本発明における駆動部の一例である。支軸71b、72bの組み合わせが、本発明における揺動軸の一例である。アクチュエータ74、75の組み合わせが、本発明における当接部の一例である。センサ76、77の組み合わせが、本発明のセンサの一例である。コイルバネ74d、75dの組み合わせが、本発明における付勢手段の一例である。CPU181が実行する用紙残量検出処理が、本発明における検出処理の一例である。CPU181が実行する用紙有無検出処理サブルーチンが、本発明における積載判定処理の一例である。所定量A1が、本発明における第1積載量の一例である。所定量A2が、本発明における第2積載量の一例である。所定量A3が、本発明における第3積載量の一例である。給紙トレイ21に用紙12が積載されていない状態が、本発明における第4積載量の一例である。CPU181が実行するS142の処理が、本発明における補充通知処理の一例である。CPU181が実行するS150の処理が、本発明における補充判定処理の一例である。トレイセンサ78が、本発明における検出部の一例である。CPU181が実行するS300の処理が、本発明における入力通知処理の一例である。時間T2が、本発明における第1所定時間の一例である。時間T1が、本発明における第2所定時間の一例である。
【0106】
[符号の説明]
10・・・・・・・・・・複合機
21・・・・・・・・・・給紙トレイ
71M・・・・・・・・・給紙モータ
71・・・・・・・・・・給紙ローラ
72・・・・・・・・・・アーム
74、75・・・・・・・アクチュエータ
74d、75d・・・・・コイルバネ
76、77・・・・・・・センサ
150・・・・・・・・・表示部
180・・・・・・・・・制御部
181・・・・・・・・・CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2022-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体が積載される積載部と、
前記積載部に積載された被記録媒体を給紙する給紙部と、
動軸を中心に揺動することで前記積載部に積載された被記録媒体に当接し、被記録媒体の積載量に応じて異なる状態に遷移する当接部と、
前記当接部の状態に応じて異なる信号を出力するセンサと、
前記当接部を前記積載部に被記録媒体が積載されていない前記積載量に応じた位置に向けて付勢する付勢手段と、
御部と、を備え、
前記制御部は、
前記信号が第1条件を満たす場合に、前記第1条件を満たした信号に基づく前記積載量を決定する決定処理と、
前記信号が前記第1条件を満たさない場合、かつ、前記積載部に前記被記録媒体が補充された場合に、第2条件を満たした前記信号に基づき前記積載部に被記録媒体が積載されているか否かを判定する積載判定処理と、
前記決定処理によって前記積載部に前記被記録媒体が積載されていることを示す積載量が決定された場合、又は、前記積載判定処理によって前記積載部に前記被記録媒体が積載されていると判定した場合に前記給紙部によって被記録媒体を給紙する給紙処理と、を実行し、
前記第1条件は、前記信号が2以上の値であるМ回連続して同一の信号であること、又は、前記信号が予め決められた回数の前記信号の中で最も多い回数出力された信号であることであり、
前記第2条件は、前記信号が前記М回又は前記最も多い回数よりも少ないN回出力された信号であることである、給紙装置。
【請求項2】
前記当接部は、
前記積載量が第1積載量のときに第1状態となり、前記積載量が前記第1積載量よりも少ない第2積載量のときに第2状態となり、前記積載量が前記第2積載量よりも少ない第3積載量のときに第3状態となり、前記積載部に被記録媒体が積載されていない第4積載量のときに第4状態となり、
前記センサは、
前記当接部が前記第1状態、或いは前記第1状態から前記第2状態へ遷移する間において第1信号を出力し、前記当接部が前記第2状態、或いは前記第2状態から前記第3状態へ遷移する間において第2信号を出力し、前記当接部が前記第3状態、或いは前記第3状態から前記第4状態へ遷移する間において第3信号を出力し、前記当接部が前記第4状態において第4信号を出力し、
前記制御部は、
前記積載判定処理において、前記センサから前記第1信号、前記第2信号、及び前記第3信号のいずれか1つが1回出力されたことを前記第2条件として前記積載部に被記録媒体が積載されていると判定する請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記決定処理によって決定された前記積載量を表示する表示部を更に備え、
前記制御部は、
前記決定処理によって前記積載量が前記第4積載量であることを決定した場合に前記積載部に被記録媒体を補充させるための通知を前記表示部に表示させる補充通知処理と、
前記補充通知処理の実行後に前記積載部への被記録媒体の補充が完了したか否かを判定する補充判定処理と、を更に実行し、
前記信号が前記第1条件を満たさない場合、かつ、前記補充判定処理において前記積載部への被記録媒体の補充が完了したと判定した場合、に前記積載判定処理を実行する請求項に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記積載部が前記給紙装置に装着されたことを検出する検出部を更に備え、
前記制御部は、
前記補充判定処理において、前記補充通知処理の実行後に前記検出部によって前記積載部が前記給紙装置に装着されたことが検出された場合に、前記積載部への被記録媒体の補充が完了したと判定する請求項に記載の給紙装置。
【請求項5】
操作部を更に備え、
前記制御部は、
前記補充通知処理の実行後に、前記給紙処理を実行するための操作入力を、前記操作部を介して行わせるための通知を前記表示部に表示させる入力通知処理を実行し、
前記入力通知処理の実行後に前記操作入力が行われた場合に前記給紙処理を実行し、
前記積載判定処理によって前記積載部に被記録媒体が積載されていると判定した場合に前記入力通知処理を実行する請求項又はに記載の給紙装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記積載判定処理において、前記補充判定処理によって前記積載部への被記録媒体の補充が完了したと判定してからの経過時間が第1所定時間以上である場合に、前記センサから前記第1信号、前記第2信号、及び前記第3信号のいずれか1つが1回出力されたことを前記第2条件として前記積載部に被記録媒体が積載されていると判定する請求項からのいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項7】
前記センサは、前記当接部の状態に応じて異なる信号を第2所定時間ごとに出力し、
前記第2所定時間は、
前記積載量が前記第4積載量である場合における、前記当接部が前記第1状態から前記第4状態に遷移するまでに要する時間よりも長い請求項2からのいずれか1項に記載の給紙装置。