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特開2022-159489中継アダプタ、および内視鏡システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159489
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】中継アダプタ、および内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/04 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
A61B1/04 520
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130360
(22)【出願日】2022-08-18
(62)【分割の表示】P 2021131507の分割
【原出願日】2018-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池谷 浩平
(57)【要約】
【課題】単回使用内視鏡(シングルユース用内視鏡)のコスト高を招くことなく、単回使用内視鏡を既存の内視鏡システム(既存のプロセッサ)に接続して使用できるようにする。
【解決手段】本開示は、プロセッサと内視鏡装置とを中継接続するための中継アダプタであって、内視鏡装置を接続する第1コネクタ部と、プロセッサを接続する第2コネクタ部と、中継アダプタの全体の動作、および中継アダプタに接続された機器の少なくとも一部の動作を制御する制御部と、制御部の指令に応答して、撮像素子で取得された映像信号のフォーマットを変換する撮像インタフェース回路と、を備え、撮像インタフェース回路は、内視鏡装置から受信した映像信号をプロセッサが処理できるように変換し、変換信号を生成し、当該変換信号をプロセッサに出力し、第1コネクタ部および第2コネクタ部はそれぞれ、LCB接続用部位を含む、中継アダプタを提案する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと内視鏡装置とを中継接続するための中継アダプタであって、
前記内視鏡装置を接続する第1コネクタ部と、
前記プロセッサを接続する第2コネクタ部と、
前記中継アダプタの全体の動作、および前記中継アダプタに接続された機器の少なくとも一部の動作を制御する制御部と、
前記制御部の指令に応答して、撮像素子で取得された映像信号のフォーマットを変換する撮像インタフェース回路と、を備え、
前記撮像インタフェース回路は、前記内視鏡装置から受信した映像信号を前記プロセッサが処理できるように変換し、変換信号を生成し、当該変換信号を前記プロセッサに出力し、
前記第1コネクタ部および前記第2コネクタ部はそれぞれ、LCB接続用部位を含む、中継アダプタ。
【請求項2】
請求項1に記載の中継アダプタと、
前記第1コネクタ部に接続される内視鏡装置と、
前記第2コネクタ部に接続されるプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記中継アダプタから受信した前記映像信号が符号化されている場合に、前記映像信号を複合化する映像信号処理部を備える、内視鏡システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記映像信号処理部は、入力された解像度変更指示に応答して、前記中継器アダプタから受信した前記映像信号に対して、データ補間処理あるいは間引き処理を実行する、内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、中継アダプタ、および内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リユース内視鏡(リユース用内視鏡と同義:洗浄して再利用に供される従来型の内視鏡)とシングルユース(単回使用、ディスポ)内視鏡(シングルユース用内視鏡と同義)とを共通のプロセッサに接続してしようできるようにした中継ケーブルが提案されている。例えば、特許文献1は、「コネクタ形状が異なる2種類の内視鏡で使用できると共に、内視鏡制御装置におけるスイッチ操作がし易く、接続用コネクタ受けと信号処理回路との接続が簡単化できる内視鏡撮像装置を提供すること」を目的とし、「リユース用内視鏡2とシングルユース用内視鏡3はそれぞれ形状が異なる電気コネクタ22及び23を有し、ビデオプロセッサ6に設けた電気コネクタ受け26にはリユース用内視鏡2の電気コネクタ22を着脱自在で接続でき、他方のシングルユース用内視鏡3の電気コネクタ23は中継ケーブル8の一方の端部に設けた電気コネクタ受け32に接続し、この中継ケーブル8の他方の端部に設けた電気コネクタ33をビデオプロセッサ6の電気コネクタ受け26に着脱自在で接続できるようにする」ことを開示している(特許文献1の要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-313454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、リユース内視鏡とシングルユース内視鏡との間で異なるコネクタ形状に対応するための中継ケーブルのみが開示されているだけである。このため、信号フォーマットがリユース内視鏡とシングルユース内視鏡との間で共通であるか、あるいは、両者の信号フォーマットが異なる場合には、シングルユース内視鏡においてプロセッサ(通常、リユース内視鏡が出力する信号のフォーマットに対応する)が処理できる信号フォーマットに変換しなければならない。シングルユース内視鏡は、単回使用を前提としているため、極力コストを抑えることが望ましいが、信号フォーマット変換処理を行えるようにすると回路規模が大きくなり部品点数も増えるため、シングルユース内視鏡のコストが高くなってしまう。
【0005】
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、単回使用内視鏡(シングルユース用内視鏡)のコスト高を招くことなく、単回使用内視鏡を既存の内視鏡システム(既存のプロセッサ)に接続して使用できるようにする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本実施形態は、プロセッサと内視鏡装置とを中継接続するための中継アダプタであって、内視鏡装置を接続する第1コネクタ部と、プロセッサを接続する第2コネクタ部と、中継アダプタの全体の動作、および中継アダプタに接続された機器の少なくとも一部の動作を制御する制御部と、制御部の指令に応答して、撮像素子で取得された映像信号のフォーマットを変換する撮像インタフェース回路と、を備え、撮像インタフェース回路は、内視鏡装置から受信した映像信号をプロセッサが処理できるように変換し、変換信号を生成し、当該変換信号をプロセッサに出力し、第1コネクタ部および第2コネクタ部はそれぞれ、LCB接続用部位を含む、中継アダプタについて開示する。
【0007】
本開示に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本開示は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。
本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味に於いても限定するものではないことを理解する必要がある。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、単回使用内視鏡(シングルユース用内視鏡)のコスト高を招くことなく、単回使用内視鏡を既存の内視鏡システム(既存のプロセッサ)に接続して使用できるようにする技術を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態による内視鏡システム1の概略構成例を示す図である。
図2】単回使用内視鏡装置10の全体外観構成を示す図である。
図3】単回使用内視鏡装置10の先端部101を示す正面構成を示す図である。
図4】本実施形態による単回使用内視鏡装置10の先端部101と湾曲部102との関係を示す斜視図である。
図5】単回使用内視鏡装置10およびリユース内視鏡用プロセッサ20が中継アダプタ40に接続された状態における、それぞれの内部機能構成および電気的接続(信号の流れ)を示すブロック図である。
図6】本実施形態によるフォーマット整合処理について説明するためのフローチャートである。
図7】単回使用内視鏡装置10の操作部104の操作ボタンが操作されたときの、中継アダプタ40における処理内容を説明するためのフローチャートである。
図8】中継アダプタ40がリユース内視鏡用プロセッサ20からホワイトバランス調整制御信号を受信した場合の処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態は、単回使用(「シングルユース」ともいう)内視鏡装置をリユース内視鏡用プロセッサに接続して使用可能にするための中継アダプタ、およびそれを備える内視鏡システムに関するものである。以下、中継アダプタの構成および動作を中心に、当該内視鏡システムについて詳細に説明する。
【0011】
<内視鏡システムの構成>
図1は、本実施形態による内視鏡システム1の概略構成例を示す図である。図1に示される内視鏡システム1は、単回使用内視鏡装置10と、リユース内視鏡用プロセッサ20と、モニタ30と、中継アダプタ40と、中継アダプタ40とネットワークを介して接続されるサーバ50と、を備えている。中継アダプタ40には、単回使用内視鏡装置10のコネクタ部106と、リユース内視鏡用プロセッサのコネクタ部201が接続される。
【0012】
中継アダプタ40は、単回使用内視鏡装置10とリユース内視鏡用プロセッサ20とを接続するための機器であり、例えば、両者のコネクタの物理的形状の不一致があるなしに関係なく(物理的不一致がある場合に構造的な接続を保証するものであってもよい)、単回使用内視鏡装置10で用いられる信号フォーマット(映像信号や制御信号のフォーマット)とリユース内視鏡用プロセッサ20で処理できる信号フォーマットの齟齬を解消する機能を有している。
【0013】
また、本実施形態による内視鏡システム1は、ネットワーク60を介して中継アダプタ40に接続されるサーバ50を備えているが、サーバ50は必須のものではなく、中継アダプタ40にサーバ50のデータ管理機能(例えば、各単回使用内視鏡装置10の使用状況の情報を管理する機能)を持たせるようにしてもよい。サーバ50を設置した場合、例えば、サーバ50は、図示しないコンピュータからアクセスすることができ、サーバ50に保持されているデータを検索することができるように構成される。したがって、単回使用内視鏡装置10を使用する際、当該内視鏡装置のシリアル番号(識別情報)をサーバ50に送信し、当該内視鏡装置が使用済か否か事前に確認することができるようになっている。
【0014】
単回使用内視鏡装置10は、被検体(図示せず)の内部に挿入される、撮像部を含む先端部101と、被検体の体内で湾曲操作可能な湾曲部102と、細長い管状の軟性部103と、軟性部103に接続されてユーザ(オペレータ)の操作を受ける操作部104と、操作部104から延出して中継アダプタ40に接続されるケーブルコネクタ部105と、中継アダプタ40と接続される部分であるコネクタ部106と、を有する。また、本実施形態による内視鏡10は、湾曲部102からコネクタ部106までが単回使用であるが、先端部101のみ、あるいは当該先端部101に含まれる撮像部(例えば、先端部101において、撮像素子を収容する部材(例えば、樹脂部材)が取り除かれて撮像素子が露出する構造となっている)のみが内視鏡10から分離され、洗浄されて再利用することができるように構成してもよい(図2参照)。なお、先端部101、湾曲部102、および軟性部103をまとめて挿入部と言うこともできる。なお、ここでは再利用される部分と単回使用の部分との境界を先端部101と湾曲部102との境界としているが、湾曲部102の途中の所定の位置、あるいは軟性部103の途中の所定の位置とすることも可能である。
【0015】
単回使用内視鏡装置10のうち被検体の体内に挿入される部分は、先端部101、軟性部103と同軸上に連結されて比較的に短く形成された湾曲自在な湾曲部102、および操作部104に連結されて比較的長く形成された軟性部(挿入可撓管)103である。
【0016】
軟性部103および湾曲部102の内部には、撮像信号ケーブル及び電力供給用ケーブル等が軟性部103および湾曲部102の軸方向に沿って延設されている。また、図示しないが、軟性部103および湾曲部102には、処置具挿通チャンネル、2本の送気/送水チューブ、および副送水チューブ、アングルワイヤを通す螺旋状またはチューブ状のガイドチューブ(ガイド金属性の密巻コイルを含む構成であってもよい)が内蔵されている。その他、照明用ライトガイドファイババンドルを内蔵してもよい。
【0017】
図1に示すように、操作部104は、操作把持部を構成する操作部本体104aと、操作部本体104aの軟性部103寄り側に設けられた処置具挿通口104cと、を有する。処置具挿通口104cは上述処置具挿通チャンネルの操作部104側の開口である。また、操作部本体104aには、湾曲部102の湾曲を操作するための湾曲操作ノブ104b、及び内視鏡10の各操作に関するスイッチ類などが設けられている。
【0018】
リユース内視鏡用プロセッサ20は、単回使用内視鏡装置10の先端部101に含まれる撮像部(撮像素子13)により撮像され、中継アダプタ40で所定の信号処理がなされ、撮像信号ケーブルを介して伝送された画像データを処理し、映像信号を生成するための装置である。このリユース内視鏡用プロセッサ20は、生成した映像信号を更にモニタ30に出力する。これによって、モニタ30に撮像された被検体の内部画像が表示される。
【0019】
<単回使用内視鏡装置10の全体構成>
図1でも単回使用内視鏡装置10について説明したが、ここでは、より詳細に説明する。図2は、単回使用内視鏡装置10の全体外観構成を示す図である。なお、図2において、操作部104の位置や形状は、図示の都合上、実際の位置や形状と異なる場合がある。
【0020】
単回使用内視鏡装置10は、例えば、先端部101と、湾曲部102と、軟性部103と、操作部104と、コネクタケーブル部105と、コネクタ部106と、を備える。先端部101以外の、湾曲部102、軟性部103、操作部104、コネクタケーブル部105、およびコネクタ部106は、先端部101よりも可撓性の高い(柔らかい)樹脂によって構成することができる。なお、湾曲部102と、軟性部103と、コネクタケーブル部105と、に用いられる樹脂は、マルチルーメン構造であることが好ましい。このような可撓性の高い樹脂として、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン:Polytetrafluoroethylene)、ePTFE(expanded PTFE)、PE(ポリエチレン:Polyethylene)、HDPE(高密度ポリエチレン:High Density Polyethylene)、およびPP(ポリプロピレン:Polypropylene)(以上、多孔質材料)などや、PU(ポリウレタン:Polyurethane)、PP(ポリプロピレン:Polypropylene)、PE(ポリエチレン:Polyethylene)、ポリアミド(Polyamide)(以上、非多孔質材料)などが挙げられる。単回使用内視鏡装置10においては、先端部101に含まれる撮像素子など再利用に供される部材以外の部品や部材であって、従来の内視鏡で用いられていた金属部品や部材は大部分が樹脂部材で代替されていてもよい。
【0021】
先端部101は、例えば、CMOSやCCDなどの撮像素子と、照明としての小型LEDと、メモリ(撮像素子に内蔵されているメモリでもよいし、撮像素子とは別に搭載されるRFIDタグやEEPROMでもよい)と、撮像素子に取り付けられた対物レンズと、LEDに取り付けられた配光レンズと、鉗子口と、送気口(従来の内視鏡における送気ノズルの代わりとなるもの)と、送水口(従来の内視鏡における送水ノズルの代わりとなるもの)と、ウォータジェット口と、を含む。先端部101は、単回使用内視鏡装置10の他の部位よりも硬度が高く、変形しない樹脂で撮像素子、小型LED、およびメモリなどを覆うようにして構成される。この場合、樹脂によってノズル(送気ノズルや送水ノズル)に相当する部分や照明用レンズは、先端部101と一体として成形することが好ましい。対物レンズは、超広角レンズを用いることができ、汚染防止のために平板状の樹脂製薄膜を対物レンズに装着してもよい。先端部101と湾曲部102とは、例えば、テープや接続剤などの接着手段によって接続され、ユーザ(例えば、病院の医師)が先端部101を内視鏡10から分離できないような構造となっている。また、仮に先端部101を内視鏡10から分離したとしても、分離することにより先端部101の一部(例えば、内部の構造や内視鏡10との取り付け部分の構造)が変形あるいは破損してしまい、ユーザが先端部101を再利用できないようにしてもよい。なお、先端部101に収容されている撮像素子や小型LEDは、通常のリユース式の内視鏡の先端部に収容されるそれらと同等の性能を有している。従って、これら撮像素子や小型LEDは高価であるため、先端部101、あるいはその内部に収容されている撮像素子等は、単回使用内視鏡装置10が病院から回収された後、内視鏡10の製造者あるいは専門業者によって洗浄され、再利用に供される。先端部101以外の、湾曲部102、軟性部103、操作部104、およびコネクタケーブル部105は廃棄(例えば、焼却処分)される。つまり、洗浄され滅菌消毒された先端部101と、全く新規の、湾曲部102、軟性部103、操作部104、およびコネクタケーブル部105とによって、新たな単回使用内視鏡装置10が製造され、再度病院側に提供される。
【0022】
湾曲部102は、上述のように、全て樹脂製である。例えば、湾曲部102は、マルチルーメン構造の樹脂を用いることが好ましい。また、湾曲部102において、図2に示されるように、鉗子パイプを構成する樹脂チューブ、送気チューブを構成する樹脂チューブ、送水チューブを構成する樹脂チューブ、および副送水チューブを構成する樹脂チューブが湾曲部102の端面から突出している。照明光をLEDではなく、光ファイバで導入する場合には、照明用ライトガイドファイババンドルも当該端面から突出させる。なお、4つの樹脂チューブのそれぞれは、湾曲部102と接続される先端部101の各挿入口(鉗子口、送気口、送水口、およびウォータジェット口)に挿入され、先端部101と湾曲部102とがしっかりと接合される。
【0023】
軟性部103は、例えば、樹脂製のラセン管で構成したり、あるいは、マルチルーメン構造の樹脂を用いて構成したりすることができる。軟性部103には金属製ブレードやワイヤが挿入されておらず、その代わりに、軟性部103の外側部(表皮部)に用いられる樹脂よりも高硬度の樹脂製チューブなどが挿入されている。これにより、湾曲部102のみが湾曲できる構造とすることが可能となる。また、軟性部103および湾曲部102の内蔵物は、上記樹脂製ワイヤ(樹脂製アングルワイヤ)あるいは金属製ワイヤ、および高硬度の樹脂製チューブに加えて、電力供給・信号伝達・スイッチ用電気ケーブルである。なお、ワイヤレスで信号伝達する場合には、内蔵物は、例えば、樹脂製アングルワイヤあるいは金属製アングルワイヤ、樹脂製ステイコイル、電力供給の電線(電気ケーブル)、軟性部に設置した信号用アンテナからの電気信号伝達用の電線、およびスイッチ用ケーブルである。
【0024】
操作部104も、全て樹脂製であることが好ましい。操作部104は、例えば、操作把持部を構成する操作部本体104aと、電気スイッチ104bと、操作部本体104aの軟性部103寄り側に設けられた処置具挿通口104cと、を備える。ユーザ(例えば、医師等のオペレータ)は、例えば、操作部104に設けられた電気スイッチ104bを用いて、吸引、送気、および送水を操作することができる。このように電気スイッチ104bを用いて各種操作を切り替えることができるので、粘液や血液等が逆流することによる吹き出しを完全に防止することができる。また、操作部104の内部構造は、ダイスライドインジェクションなどを用いて一体成形してもよい。
【0025】
コネクタケーブル部105およびコネクタ部106も、全て樹脂製であることが好ましい。コネクタケーブル部105は、操作部104から先端部101まで延びるケーブルの一部を収容している。コネクタ部106は、電気回路や電子回路を含んでいてもよい。また、コネクタ部106は、例えば、吸引ニップル(樹脂製)と、送気ニップル(樹脂製)と、送水ニップル(樹脂製)と、ウォータジェット口と、を備えていてもよい。
【0026】
<単回使用内視鏡装置の先端部の正面構成>
図3は、単回使用内視鏡装置10の先端部101を示す正面構成を示す図である。先端部101には、例えば、撮像部(CMOSやCCDなどの撮像素子を含む)の対物レンズ31と、処置具挿通チャンネルとなる鉗子口32と、2本の送気/送水チューブがそれぞれ取り付けられる送気口/送水口33と、副送水チューブが取り付けられるウォータジェット口34と、照明用ライト(LED)に対して設置される配光レンズ35とがそれぞれ配置されている。ここでは照明用ライトとしてLEDを用いているが、光ファイバを束ねて構成されるライトガイドファイババンドルを用いてもよい。
【0027】
<単回使用内視鏡装置の先端部と湾曲部との関係>
図4は、本実施形態による単回使用内視鏡装置10の先端部101と湾曲部102との関係を示す斜視図である。図4において、湾曲部102は、先端に、鉗子口102a、送気口/送水口102b、およびウォータジェット口102cを有している。鉗子口102a、送気口/送水口102b、及びウォータジェット口102cは、それぞれ、湾曲部102に設けられた複数のチャンネル、すなわち、鉗子チャンネル、送気/送水チャンネル、およびウォータジェットチャンネルの端部の開口である。
【0028】
湾曲部102は、先端に、有接点方式の電源コネクタ102dおよび信号コネクタ1002eを有している。電源コネクタ102dは、例えば、軟性部103及び湾曲部102のケーブルチャンネルに通された電源ケーブルを介してコネクタ部106の電源端子に接続されている。信号コネクタ102eは、例えば、軟性部103及び湾曲部102のケーブルチャンネルに通された信号ケーブルを介してコネクタ部106の信号端子に接続されている。
【0029】
先端部101は、円筒形の本体部101aと、本体部101aに設けられた鉗子口101b、送気口/送水口101c、ウォータジェット口101d、LED照明101e(図5における照明素子14に相当、以下同様)、および撮像ユニット101f(図5における撮像素子13に相当、以下同様)を備えている。また、先端部101は、湾曲部102の先端に接続される本体部101aの後端に、電源端子(電源ピン)101gと信号端子(信号ピン)101hを有している。電源端子101gは、例えば、LED照明101eおよび撮像素子101fに接続されている。電源端子101gを湾曲部102の先端の電源コネクタ102dに挿入して接続することで、LED照明101eおよび撮像素子101fに対して電力の供給が可能になる。
【0030】
信号ピン101hは、例えば、撮像素子101fに接続されている。信号ピン101hを湾曲部102の先端の信号コネクタ102eに挿入して接続することで、撮像素子101fの画像信号をコネクタ部106の信号端子へ信号ケーブルを介して出力することが可能になる。なお、撮像素子101fの画像信号を出力するための接続は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの無線方式の接続に変更することも可能である。
【0031】
先端部101と湾曲部102との接合部は、チューブ状の破断部107によって覆われている。破断部107の素材としては、例えば、湾曲部102及び軟性部103を構成する樹脂と同様に、柔軟性および可撓性を有する樹脂を用いることができる。破断部107は、先端部101と湾曲部102との接合部だけでなく、例えば、接合部に隣接する先端部101の本体部101aの後端部と湾曲部102の先端部を覆っている。破断部107は、例えば、先端部101の後端部と湾曲部102の先端部に接着または接合され、先端部101を湾曲部102から取り外すときに破断される。
【0032】
本実施形態による内視鏡10によれば、権限を有しない第三者による先端部101の取り外しを、破断部107によって防止することができる。仮に、先端部101が湾曲部102から取り外された場合にも、破断部107が破断することで、先端部101が取り外されたことを容易に判別することができる。
【0033】
<単回使用内視鏡装置10、中継アダプタ40、およびリユース内視鏡用プロセッサ20の内部機能構成>
図5は、単回使用内視鏡装置10およびリユース内視鏡用プロセッサ20が中継アダプタ40に接続された状態における、それぞれの内部機能構成および電気的接続(信号の流れ)を示すブロック図である。
【0034】
(i)単回使用内視鏡装置10の内部機能構成例
単回使用内視鏡装置10は、装置全体の動作を制御する制御部(CPU:Central Processor Unit)11と、当該単回使用内視鏡装置10の固有情報(例えば、モデル名、シリアル番号、ホワイトバランス情報、画像処理などの各種処理で用いている信号フォーマットや操作ボタンが操作されたときの制御信号フォーマット(ONやOFFの電圧値の情報など)等を含む情報)を格納するメモリ(例えば、EEPROM:これらの情報は単回使用内視鏡装置10の製造時にEEPROMに格納される)12と、観察対象を撮像する撮像素子13と、観察対象に照明光を照射するLEDなどの照明素子14と、を備えている。例えば、撮像素子13として、高解像度のHD(High Definition:100万画素以上)方式で撮像するCMOSイメージセンサが用いられる。また、制御部11は、単回使用内視鏡装置10が中継アダプタ40に接続されたことを検知し、メモリ12から当該単回使用内視鏡装置10の固有情報を取得して、中継アダプタ40に送信する。あるいは、中継アダプタ40が単回使用内視鏡装置10の接続を検知し、固有情報を送信するように指令信号を接続された単回使用内視鏡装置10に送信し、それに応答して制御部11が中継アダプタ40に対して当該固有情報を返送するようにしてもよい。これにより、中継アダプタ40は、単回使用内視鏡装置10の仕様に関する情報を取得することができるようになる。
【0035】
(ii)中継アダプタ40の内部機能構成例
中継アダプタ40は、当該中継アダプタ40の全体の動作および接続された機器の少なくとも一部の動作を制御(例えば、中継制御や接続判別など)する制御部41と、制御部41の指令に応答して照明素子14の光量を変更する照明I/F(interface)回路42と、制御部41の指令に応答して撮像素子13で取得された映像信号のフォーマットを変換する撮像I/F回路43と、制御部41の指令に応答して中継アダプタ40に設けられた表示部(図示せず)に所定の情報を表示させる表示I/F回路44と、制御部41の指令に応答してサーバ50に所定の情報を送信する通信部45と、を備えている。また、中継アダプタ40は、各種データおよびパラメータや、動作プログラムなどを格納する記憶部(メモリなどの記憶デバイス:図5には図示せず)を備えている。
【0036】
制御部41は、中継アダプタ40の第2コネクタ部47に所定の機器(コネクタ部40の形状をリユース内視鏡用プロセッサ20のみが接続可能なように構成してもよいし、単回使用内視鏡用プロセッサも接続可能なように構成してもよい)が接続された場合、接続された機器と通信を行い、接続された機器の種別を認識する。制御部41は、リユース内視鏡用プロセッサ20が接続されたことを検知したときは、当該リユース内視鏡用プロセッサ20に対してその固有情報(例えば、モデル名、シリアル番号、画像処理などの各種処理で用いている信号フォーマットや操作ボタンが操作されたときの制御信号フォーマット(ONやOFFの電圧値の情報など)等を含む情報)を中継アダプタ40に送信するように要求(仕様情報送信要求信号)する。そして、制御部41は、当該要求に応答してリユース内視鏡用プロセッサ20(システム制御部21)が送信してきた上記固有情報を受信し、内部メモリあるいは外部メモリ(図示せず)に格納する。
【0037】
また、制御部41は、中継アダプタ40の第1コネクタ部46に単回使用内視鏡装置10が接続されると、当該単回使用内視鏡装置10と通信し、上述のように、単回使用内視鏡装置10の固有情報を取得する。これにより、制御部41は、接続された単回使用内視鏡装置10およびリユース内視鏡用プロセッサ20の各固有情報を取得することとなり、両者の仕様の異同を認識することができる。
【0038】
撮像I/F回路43は、制御部41による制御の下、撮像素子13で取得された映像信号のフォーマットを、例えば、HD(2K、4K、8Kなど)からSD(Standard Definition)やNTSC方式からPAL方式に変換する処理を実行する。それ以外に、撮像I/F回路43は、取得した映像信号の明るさを判定し、所定の範囲(その範囲内であれば明るさが適切であると判断)の下限未満(暗い)のときには照明I/F回路42に対して、照明を明るくするように指令を出し、所定の範囲の上限よりも大きい(明るい)ときには照明I/F回路42に対して暗くするように指令を出す。当該指令を受信(制御部41を介してもよいし、直接撮像I/F回路43から受信してもよい)した照明I/F回路42は、指令に応答して照明素子14の明るさを変更するように単回使用内視鏡装置10に制御信号を送信する。ただし、撮像I/F回路43から光量増加の指示を受信した場合であって、照明素子(LED)14が既に最大の光量で照明光を照射している場合には、照明I/F回路42は、既に最大光量で制御しており、これ以上の光量で光を照射することができないことを示す情報を撮像I/F回路43に送信する。あるいは、最大の光量で照明光を照射し始めたときに、照明I/F回路42から撮像I/F回路43に最大光量照射開始の情報を送信するようにしてもよい。これにより、撮像I/F回路43は、照明素子14の光の照射制御状況を知ることができる。この状況において、撮像I/F回路43は、映像信号の明るさが十分でないと判断した場合、当該映像信号に対して電気的に明るくする処理を実行して出力する。
【0039】
表示I/F回路44は、制御部41から表示部(図示せず)に表示すべき所定の情報を取得し、制御部41からの指令に応答して、当該表示部に所定の情報を表示する。表示される所定の情報は、例えば、中継アダプタ40に接続された単回使用内視鏡装置10のモデル名、シリアル番号、患者識別情報/名前・オペレータ識別情報/名前(例えば、観察・施術前にオペレータが図示しない入力部から入力してもよい)など、および中継アダプタ40に接続されたリユース内視鏡用プロセッサ20のモデル名、シリアル番号や使用する信号フォーマット情報など、さらに、照明光の強度(光量)や電源の電圧状況(電源の電圧値、動作電圧値)などを含むことができる。
【0040】
通信部45は、例えば、制御部41から外部サーバ50や外部記憶装置(図示せず)に送信して保持すべき所定の情報を取得し、制御部41からの指令に応答して、当該所定の情報を送信する。送信すべき所定の情報は、例えば、これから使用する、あるいは使用した単回使用内視鏡装置10の固有情報(モデル名やシリアル番号)、使用場所(病院識別情報/名称や場所など)、使用日時、患者識別情報/名前、使用済であることを示す情報、オペレータ識別情報/名前などを含むことができる。
【0041】
なお、図示していないが、中継アダプタ40は、操作ボタン、ジョイスティック、タッチパネルなどの入力部を備えていてもよい。そして、リユース内視鏡用プロセッサ20から制御できない、単回使用内視鏡装置10に特有な機能(例えば、撮像素子13によって撮像された映像の中心部分だけを使用する機能)を中継アダプタ40から操作・制御できるようにする。
【0042】
(iii)リユース内視鏡用プロセッサ20の内部機能構成例
リユース内視鏡用プロセッサ20は、リユース内視鏡用プロセッサ20全体の動作を制御するシステム制御部21と、システム制御部21の指令に応答して中継アダプタ40を介して受信した映像信号を処理する映像信号処理部22と、映像信号処理部22によって処理された映像信号を表示する映像表示部23と、装置に電源を供給する電源部24と、を備える。
【0043】
システム制御部21は、例えば、中継アダプタ40の制御部41から受信した仕様情報送信要求信号に応答して、リユース内視鏡用プロセッサ20の固有情報(例えば、モデル名、シリアル番号、画像処理などの各種処理で用いている信号フォーマットや操作ボタンが操作されたときの制御信号フォーマット(ONやOFFの電圧値の情報など)等を含む情報)を中継アダプタ40に送信する。また、システム制御部21は、例えば、オペレータによって入力された指示に従って、映像の表示形態や解像度などの変更の指示を映像信号処理部22に出力するなど、様々な制御を実行する。
【0044】
映像信号処理部22は、例えば、中継アダプタ40から受信した映像信号が圧縮(符号化)されている場合には、圧縮データを伸長(復号化)する。また、例えば、システム制御部21から解像度変更の指示(例えば、オペレータがプロセッサ20の操作パネルから指示を入力)を受け取ったとき、映像信号処理部22は、中継アダプタ40から受信した映像信号に対してデータ補間処理(interpolation)や間引き処理(decimation)を実行して映像表示部23に出力する。
【0045】
電源部24は、リユース内視鏡用プロセッサ20に対して電源を供給するだけでなく、中継アダプタ40や単回使用内視鏡装置10に対して電源を供するようにシステムを構成してもよい。この場合、中継アダプタ40は、リユース内視鏡用プロセッサ20からの電源を自身が使用するだけでなく中継して単回使用内視鏡装置10にも出力する。なお、中継アダプタ40や単回使用内視鏡装置10が電源を備えている場合には、サブ電源を電源24から供給するように構成してもよい。
【0046】
<フォーマット整合処理>
図6は、本実施形態によるフォーマット整合処理について説明するためのフローチャートである。本明細書において、フォーマット整合処理とは、単回使用内視鏡装置10で使用する信号フォーマットとリユース内視鏡用プロセッサ20で使用する信号フォーマットが異なるか否か判断し、異なる場合に両者の整合を取る処理をいうものとする。以下、動作主体を中継アダプタ40の制御部41(以下、単に「制御部41」という)であるとして本フローチャートの各ステップについて説明する。
【0047】
(i)ステップ601
単回使用内視鏡装置10が中継アダプタ40の第1コネクタ部46に接続されると、制御部41は、単回使用内視鏡装置10の制御部11と相互通信し、当該接続された単回使用内視鏡装置10の固有情報を送信するように要求(固有(仕様)情報送信要求)する。単回使用内視鏡装置10の制御部11は、当該固有情報送信要求に応答して、当該固有情報を制御部41に対して送信する。固有情報は、例えば、単回使用内視鏡装置10のメモリ12に格納されている、単回使用内視鏡装置10のモデル名、シリアル番号、ホワイトバランス情報、画像処理などの各種処理で用いている信号フォーマットや操作ボタンが操作されたときの制御信号フォーマット(ONやOFFの電圧値の情報など)等を含む情報である。これにより、中継アダプタ40は、接続された単回使用内視鏡装置10が用いる信号フォーマットなどを把握することが可能となる。
【0048】
(ii)ステップ602
制御部41は、単回使用内視鏡装置10から取得した固有情報に含まれる、少なくとも単回使用内視鏡装置10の識別情報(シリアル番号)と当該単回使用内視鏡装置10が使用済であることを示す情報(例えば、使用済フラグ:ただし、サーバ50側で当該識別情報の受信に基づいて、使用済フラグを生成し、管理してもよい)をサーバ50に送信するように、通信部45に指示する。通信部45は、当該指示に応答して、少なくとも単回使用内視鏡装置10の識別情報と使用済フラグの情報を、ネットワーク60を介してサーバ50に送信する。なお、中継アダプタ40がネットワーク60にアクセス不可能な環境にある場合には、制御部41は、当該識別情報と使用済フラグの情報を一旦記憶部(図示しない)に格納し、ネットワーク環境下に入ったタイミングでサーバ50への送信をリトライするようにしてもよい。
【0049】
なお、ここでは、サーバ50に送信する情報として、単回使用内視鏡装置10の識別情報と使用済フラグの情報としているが、これらの他に、単回使用内視鏡装置10のモデル名、患者識別情報/名前、オペレータ識別情報/名前などをサーバ50に送信するようにしてもよい。また、送信先は遠隔的に設置されたサーバ50(クラウドサーバなど)に限定されるものではなく、例えば、病院内に設置された記憶装置であってもよい。
【0050】
以上のように、単回使用内視鏡装置10が一度使用されると、サーバ50に使用済(使用日時を含むことが好ましい)であることが登録されるため、同一の識別情報(シリアル番号)を持つ単回使用内視鏡装置10を再利用しようとすると、リユース内視鏡用プロセッサ20が動作しなくなるように制御したり、使用済であることを中継アダプタ40の表示部(図示せず)に表示したりして当該使用済の単回使用内視鏡装置10を再使用することを防止することができる。なお、単回使用内視鏡装置10における先端部101はリユースされるが、単回使用内視鏡装置10をリユースの先端部を用いて再構成するときには、制御部(CPU)11の内部メモリに新しい識別情報(シリアル番号)が上書きされる(単回使用内視鏡装置を再構成(再組立て)する工場にて)。
【0051】
(iii)ステップ603
リユース内視鏡用プロセッサ20が中継アダプタ40の第2コネクタ部47に接続されると、制御部41は、当該プロセッサ20のシステム制御部21と相互通信し、当該接続されたプロセッサ20の固有情報を送信するように要求(固有(仕様)情報送信要求)する。リユース内視鏡用プロセッサ20のシステム制御部21は、当該仕様情報送信要求に応答して、当該仕様情報を制御部41に対して送信する。固有情報は、例えば、リユース内視鏡用プロセッサ20のモデル名、シリアル番号、画像処理などの各種処理で用いている信号フォーマットや操作ボタンが操作されたときの制御信号フォーマット(ONやOFFの電圧値の情報など)等を含む情報とすることができる。そして、制御部41は、当該仕様情報送信要求に応答してシステム制御部21が送信してきた上記固有情報を受信し、内部メモリあるいは外部メモリ(図示せず)に格納する。
【0052】
(iv)ステップ604
制御部41は、ステップ602および603で取得した情報を比較し、単回使用内視鏡装置10およびリユース内視鏡用プロセッサ20で使用する信号フォーマット(映像信号フォーマットや制御信号(操作部のボタン操作によるH(ON)やL(OFF)の電圧レベル)のフォーマット)の相違点を把握する。そして、制御部41は、信号フォーマットの相違点に基づいて、単回使用内視鏡装置10で撮像した映像信号をいかなる映像フォーマットに変換するか(例えば、HD→SD)、HやLの電圧レベルの調整量を含む信号変換処理内容を決定し、当該処理内容を図示しないメモリ(記憶部)に格納する。
【0053】
(v)ステップ605
制御部41は、単回使用内視鏡装置10の撮像素子13によって観察対象が撮像され、対応する映像信号を受信した場合、図示しないメモリに格納された信号変換処理内容を確認し、リユース内視鏡用プロセッサ20で使用するフォーマットに整合するように当該映像信号を変換し、リユース内視鏡用プロセッサ20に出力する。
【0054】
また、制御部41は、リユース内視鏡用プロセッサ20からの内視鏡制御信号(例えば、撮像素子13の電子シャッタ制御等)を、単回使用内視鏡装置10が認識できる信号フォーマットに変換し、変換後の信号を単回使用内視鏡装置10に出力する。つまり、例えば、オペレータがリユース内視鏡用プロセッサ20の操作パネルから静止画モードを選択すると、それに対応する制御信号が中継アダプタ40に送信される。この場合、制御部41は、通常(1/60sや1/30s)より高速(例えば、1/250s)なシャッタースピードで観察対象を撮像するように撮像素子13を制御するための信号(指令)を、制御部11が認識できる信号フォーマットで単回使用内視鏡装置10に対して出力する。
【0055】
<単回使用内視鏡装置におけるボタン操作時の処理>
例えば、単回使用内視鏡装置10では、操作ボタンが押下された場合信号レベルをLow(OFF)からHigh(ON)に変化させるとしたとき、リユース内視鏡用プロセッサ20では、LowをON、HighをOFFと認識する場合がある。このような場合、意図する操作が全く逆になってしまうため、信号フォーマットを変換する必要がある。また、単回使用内視鏡装置10において、操作ボタンの数が多く、ボタン押下によって発生する信号のレベルがLevel_1、Level_2、Level_3のように構成される場合がある。しかし、このままではリユース内視鏡用プロセッサ20では処理できないことがあるため、オペレータの操作の意図が何であったか(押下されたボタンがどのような操作に対応する指示のものか)を判断し、その信号をリユース内視鏡用プロセッサ20で処理できる信号フォーマットに変換する必要がある。このような信号フォーマットの変換処理が単回使用内視鏡装置10におけるボタン操作時の処理である。
【0056】
図7は、単回使用内視鏡装置10の操作部104の操作ボタンが操作されたときの、中継アダプタ40における処理内容を説明するためのフローチャートである。
【0057】
(i)ステップ701
制御部41は、単回使用内視鏡装置10から受信した信号に基づいて、操作部104の操作ボタンが操作されたか判断する。操作ボタンが操作された場合(ステップ701でYESの場合)、処理はステップ702に移行する。操作ボタンが操作されていない場合(ステップ701でNOの場合)、制御部41は、監視を継続する。
【0058】
(ii)ステップ702
制御部41は、ステップ602および604で取得した、単回使用内視鏡装置10で使用されるボタン操作に対応する信号フォーマットとリユース内視鏡用プロセッサ20が処理できる信号フォーマットとを比較する。
【0059】
(iii)ステップ703
制御部41は、ステップ702の比較処理の結果、単回使用内視鏡装置10で使用されるボタン操作に対応する信号フォーマットとリユース内視鏡用プロセッサ20が処理できる信号フォーマットが異なるか判断する。両者が同一である場合(ステップ703でNOの場合)、処理はステップ705に移行する。両者が異なる場合(ステップ703でYESの場合)、処理はステップ704に移行する。
【0060】
(iv)ステップ704
制御部41は、ステップ604で決定(生成)した信号変換処理内容に基づいて、単回使用内視鏡装置10におけるボタン操作信号をリユース内視鏡用プロセッサ20が認識できるように変換(フォーマット変換)する。なお、この場合の信号変換処理内容とは、単回使用内視鏡装置10における各操作ボタンが操作に対応する処理内容(ボタン操作と処理内容との対応関係)を示すものである。これにより、リユース内視鏡用プロセッサ20は、単回使用内視鏡装置10で操作されたボタンに対応する処理を正確に実行することが可能となる。
【0061】
(v)ステップ705
制御部41は、単回使用内視鏡装置10におけるボタン操作に対応する信号(ボタン操作に対応する処理の内容)をリユース内視鏡用プロセッサ20に送信する。
【0062】
<ホワイトバランス調整制御信号を受信した場合の処理>
例えば、単回使用内視鏡装置10は、撮像素子13と照明素子14のホワイトバランスが調整され、その内容が内部メモリに記録させた状態(ホワイトバランスが固定の状態となっている)で工場出荷される。このため、リユース内視鏡用プロセッサ20からホワイトバランス調整制御信号(ホワイトバランスの調整を指示する信号であって、オペレータが操作パネルを操作することにより生成される)を受信しても中継アダプタ40はホワイトバランスを調整することはできない。一方、ホワイトバランス調整制御信号を送信したにも拘わらず中継アダプタ40から何も返信がないと、リユース内視鏡用プロセッサ20は、当該ホワイトバランス調整制御信号を中継アダプタ40に送信し続けてしまい、無駄な動作が発生してしまう。このような無駄な動作が実行されることを回避するのが、本処理である。
【0063】
図8は、中継アダプタ40がリユース内視鏡用プロセッサ20からホワイトバランス調整制御信号を受信した場合の処理を説明するためのフローチャートである。
【0064】
(i)ステップ801
制御部41は、リユース内視鏡用プロセッサ20から受信した信号に基づいて、ホワイトバランス調整制御信号を受信したか判断する。ホワイトバランス調整制御信号を受信した場合(ステップ801でYESの場合)、処理はステップ802に移行する。ホワイトバランス調整制御信号がリユース内視鏡用プロセッサ20からの信号に含まれていない場合(ステップ801でNOの場合)、制御部41は、監視を継続する。
【0065】
(ii)ステップ802
制御部41は、実際には撮像素子13や照明素子14のホワイトバランスを調整してはいないが、ホワイトバランスが調整済であることを示すホワイトバランス調整済信号(ホワイトバランスOK信号)を、リユース内視鏡用プロセッサ20に対して送信する。このようにすることにより、リユース内視鏡用プロセッサ20がホワイトバランス調整制御信号を中継アダプタ40に送信し続けてしまうという無駄な動作の発生を回避することができるようになる。
【0066】
<補足説明および変形例>
(i)通常(従来型)の内視鏡(リユース内視鏡)システムでは、プロセッサのシステムコントローラが、撮像素子から送信されてきた映像信号をYUV変換し、そのY(輝度)信号に基づいて映像信号の明るさをチェックする。暗い場合、および明るすぎる場合にはプロセッサ内の光源を制御して適切な明るさに調整している。
【0067】
一方、本実施形態では、リユース内視鏡用プロセッサ20が備える光源を使用しないため、中継アダプタの制御部41(あるいは照明I/F回路42)が単回使用内視鏡装置10の先端部101に設けた照明素子(LED)14を制御(パルス制御あるいはリニア制御)し、観察対象が近いと判断した場合には照明を暗くし、遠いと判断した場合には照明を明るくする。これにより、撮像された映像の明るさが一定になるようにしている。従って、リユース内視鏡用プロセッサ20内の光源を動作させないようにするため、制御部41は、例えば、リユース内視鏡用プロセッサ20に対して明るさの調整が不要であることを示すダミー信号(このような信号がないとプロセッサ20において、光源に関しての処理ループが途切れてしまうため、システム制御部21が不要な制御信号をモータやドライバなどの構成要素に送信してしまい、異常動作をする可能性があるためである)を出力し、プロセッサ20内での照明制御が動作しないようにする。また、制御部41は、撮像I/F回路43からの映像信号の光量をチェックし、当該光量に基づいて、必要に応じて照明I/F回路42を駆動させ、単回使用内視鏡装置10の照明素子(LED)14への制御(光量調整)を実行する。
【0068】
(ii)上述の実施形態では、例えば、単回使用内視鏡装置10のシリアル番号(識別情報)をサーバ50に送信し、当該サーバ50において当該内視鏡装置が使用済であることを管理することにより、再利用を防止するようにしている。しかし、これに代わって、あるいはこれに加えて、単回使用内視鏡装置10を構造的(機構的)に再利用できないように構成してもよい。これを実現するために、例えば、単回使用内視鏡装置10を中継アダプタ40や単回使用内視鏡用プロセッサに接続したら、それを抜くときに、単回使用内視鏡装置10のコネクタ部106に設けられたコネクタピン(図示せず)のみが折れる(再度接続できないように破壊される:中継アダプタ40や専用プロセッサのコネクタ部には影響を与えない)ようにコネクタ部106を構成する。
【0069】
(iii)本実施形態では、単回使用内視鏡装置10が中継アダプタ40に接続されると、そのシリアル番号(識別情報)がサーバ50に送信され、管理される。しかし、単回使用内視鏡装置10が所定時間(例えば、患者の体内に挿入するまでに要する時間(予め決められた時間))中継アダプタ40に接続されている場合に、シリアル番号(識別情報)をサーバ50に送信するようにしてもよい。所定時間経過前に単回使用内視鏡装置10が中継アダプタ40から抜き取られた場合には、直ぐに使用済として管理するのではなく、再度中継アダプタ40に接続して使用可能なようにしてもよい。短い時間で中継アダプタ40から単回使用内視鏡装置10が抜き取られた場合には患者の体内に挿入される前に抜き取られたと考えられる。このような場合まで一律に使用済とするのは材料・資源の無駄になるためである。
【0070】
(iv)中継アダプタ40は、例えば、箱型筐体に各構成要素を収納することによって構成することができる。この場合、図5に示すように、中継アダプタ40として、第1コネクタ部46と第2コネクタ部47を備える構造を採ることができるが、何れか一方のコネクタ部あるいは双方のコネクタ部の途中部分が接続ケーブル構造になっていてもよい。
【0071】
また、オペレータ(医師など)が内視鏡検査中に中継アダプタ40を触る可能性も否定できない。そこで、第1コネクタ部46、第2コネクタ部47、および筐体に防水構造を持たせるようにしてもよい。
【0072】
(v)照明素子(光源)14を設けないで単回使用内視鏡装置10を構成してもよい。この場合、リユース内視鏡用プロセッサ20に設けられた光源(図示せず)から射出された光を観察対象に照射することになる。これを実現するために、中継アダプタ40は、追加の構成要素として、LCB(Light Cable Bundle)と、それを単回使用内視鏡装置10およびリユース内視鏡用プロセッサ20に繋げる構造(例えば、中継アダプタ40の第1コネクタ部46および第2コネクタ47のそれぞれにLCB接続用部位を設ける)を備える。この場合、プロセッサ20内の光源からの光を、中継アダプタ40のLCBを経由させ、単回使用内視鏡装置10に導通させる。このように、プロセッサ20側の光源を用いるため、中継アダプタ40からプロセッサ20に対して、上述したダミー信号やOK信号を出力する必要はない。中継アダプタ40をこのように構成することにより、リユース内視鏡用プロセッサ20内の光源をそのまま使うことができる。
【0073】
<実施形態のまとめ>
(i)本実施形態では、中継アダプタの制御部41は、内視鏡装置(例えば、単回使用内視鏡装置)における信号処理の内容を含む第1仕様情報(内視鏡装置10が用いる映像信号フォーマット情報や操作ボタンに対応する信号レベルの情報)と、プロセッサにおける信号処理の内容を含む第2仕様情報(プロセッサ20が認識可能な映像信号フォーマット情報や操作ボタンに対応する信号レベルの情報)と、を取得する。そして、制御部41は、第1仕様情報と第2仕様情報とを照合し、当該照合の結果に基づいて、内視鏡装置から受信した信号(映像信号やボタン操作の信号)をプロセッサ(例えば、従来型のリユース内視鏡用プロセッサ)が処理できるように変換し、変換信号を生成し、それをプロセッサに出力する。このようにすることにより、内視鏡装置10およびプロセッサ20における信号フォーマットの整合性を担保することができるようになる。よって、プロセッサは、内視鏡装置10からの信号・データ・情報を処理することができるようになる。
【0074】
(ii)中継アダプタ40は、さらに、内視鏡装置に設けられ、光源として機能する照明素子に制御信号を出力する照明I/F部と、内視鏡装置に設けられ、観察対象の映像を撮像する撮像素子に制御信号を出力する撮像I/F部と、を備える。そして、制御部31は、プロセッサ20に対して、プロセッサ20に含まれる光源の明るさ調整が不要であることを示すダミー信号を出力する。このようにすることにより、プロセッサ20における光源制御動作に異常を来さないようにすることができるようになる。
【0075】
(iii)また、制御部41は、プロセッサ41から、内視鏡装置10に含まれる撮像素子13または照明素子14の少なくとも一方のホワイトバランス調整を指示するホワイトバランス調整制御信号を受信すると、ホワイトバランス調整を実行することなしに(工場出荷時の値にホワイトバランス値が固定されているため)、プロセッサ20に対して、ホワイトバランスが調整済であることを示すホワイトバランス調整済信号(OK信号)を出力する。このようにすることにより、プロセッサ20側の動作を保証することが可能となる。つまり、プロセッサ20がホワイトバランス調整制御信号を中継アダプタ40に送信し続けてしまうという無駄な動作の発生を回避することができるようになる。
【0076】
(iv)中継アダプタ40は、内視鏡装置10の機能を制御するための指示を入力する入力部(操作ボタン、ジョイスティック、タッチパネルなど)を備える。そして、制御部41は、入力部から入力された指示に応答して、内視鏡装置10に特有な機能を操作・制御する。例えば、撮像素子13によって撮像された映像の中心部分だけを使用する機能を有効するなどの処理を実行するように、プロセッサ20からは制御できないが、中継アダプタ40から制御することができるようになる。
【0077】
(v)中継アダプタ40は、さらに、外部のサーバ50とネットワーク60を介して通信を行うことを可能にする通信部45を備えている。そして、単回使用内視鏡装置10が中継アダプタ40の第1コネクタ部46に接続されると、通信部45は、単回使用内視鏡装置10の少なくとも識別情報(制御部41によって取得される)をサーバ50に送信する。これにより、中継アダプタ40に接続された単回使用内視鏡装置10を使用済のものとして一元管理することができるようになる。また、中継アダプタ40は、通信部45を介して、使用すべき単回使用内視鏡装置10の識別情報がサーバに使用済として登録されているか否かを示す内視鏡管理情報をサーバ50から受信する。そして、制御部41は、内視鏡管理情報に基づいて、第1コネクタ部46に接続された単回使用内視鏡装置10の使用を許可するか決定する。これにより、使用済の単回使用内視鏡装置10が再利用される危険性を回避することができる。
【0078】
<本開示の特定事項>
(1)特定事項1
プロセッサと内視鏡装置とを中継接続するための中継アダプタであって、
前記内視鏡装置を接続する第1コネクタ部と、
前記プロセッサを接続する第2コネクタ部と、
前記中継アダプタの全体の動作、および前記中継アダプタに接続された機器の少なくとも一部の動作を制御する制御部と、
前記制御部の指令に応答して、照明素子の光量を変更する照明インタフェース回路と、
前記制御部の指令に応答して、撮像素子で取得された映像信号のフォーマットを変換する撮像インタフェース回路と、を備え、
前記撮像インタフェース回路は、前記内視鏡装置から受信した映像信号を前記プロセッサが処理できるように変換し、変換信号を生成し、当該変換信号を前記プロセッサに出力する、中継アダプタ。
【0079】
(2)特定事項2
プロセッサと内視鏡装置とを中継接続するための中継アダプタであって、
前記内視鏡装置を接続する第1コネクタ部と、
前記プロセッサを接続する第2コネクタ部と、
前記中継アダプタの全体の動作、および前記中継アダプタに接続された機器の少なくとも一部の動作を制御する制御部と、
前記制御部の指令に応答して、撮像素子で取得された映像信号のフォーマットを変換する撮像インタフェース回路と、を備え、
前記撮像インタフェース回路は、前記内視鏡装置から受信した映像信号を前記プロセッサが処理できるように変換し、変換信号を生成し、当該変換信号を前記プロセッサに出力し、
前記第1コネクタ部および前記第2コネクタ部はそれぞれ、LCB接続用部位を含む、中継アダプタ。
【0080】
(3)特定事項3
特定事項1または2に記載の中継アダプタと、
前記第1コネクタ部に接続される内視鏡装置と、
前記第2コネクタ部に接続されるプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記中継アダプタから受信した前記映像信号が符号化されている場合に、前記映像信号を複合化する映像信号処理部を備える、内視鏡システム。
【0081】
(4)特定事項4
特定事項3において、
前記映像信号処理部は、入力された解像度変更指示に応答して、前記中継器アダプタから受信した前記映像信号に対して、データ補間処理あるいは間引き処理を実行する、内視鏡システム。
【符号の説明】
【0082】
1 内視鏡システム
10 単回使用内視鏡装置
11 制御部(単回使用内視鏡)
12 メモリ
13 撮像素子
14 照明素子
20 リユース内視鏡用プロセッサ
21 システム制御部
22 映像信号処理部
23 映像表示部
24 電源部
30 モニタ
40 中継アダプタ
41 制御部(中継アダプタ)
42 照明I/F回路
43 撮像I/F回路
44 表示I/F回路
45 通信部
46 第1コネクタ部
47 第2コネクタ部
50 サーバ
60 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8