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特開2022-159602固液分離装置、固液分離方法、水質測定装置、および水質測定方法
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  • 特開-固液分離装置、固液分離方法、水質測定装置、および水質測定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159602
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】固液分離装置、固液分離方法、水質測定装置、および水質測定方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/26 20060101AFI20221011BHJP
   B01D 21/30 20060101ALI20221011BHJP
   G01N 15/02 20060101ALI20221011BHJP
   G01N 21/53 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
B01D21/26
B01D21/30 A
G01N15/02 Z
G01N21/53 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063885
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早水 庸隆
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 佳介
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB06
2G059EE13
(57)【要約】
【課題】固体粒子を含む被処理液を濃縮液と処理液とに分離する分離処理において、固体粒子の分離性能に優れる固液分離装置および固液分離方法を提供する。
【解決手段】固体粒子を含む被処理液を濃縮液と処理液とに分離するための、曲率を有する壁面を含む流路を有する分離手段として曲がりチャネル10と、濃縮液を曲がりチャネル10から取り出す濃縮液ライン14と、処理液を曲がりチャネル10から取り出す処理液ライン16と、濃縮液ライン14の流量を調整する濃縮液ライン流量調整部18と、処理液ライン16の流量を調整する処理液ライン流量調整部20と、濃縮液ライン流量調整部18および処理液ライン流量調整部20を制御して、濃縮液ライン14の流量および処理液ライン16の流量を調整する制御部22と、を備える固液分離装置1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体粒子を含む被処理液を濃縮液と処理液とに分離するための、曲率を有する壁面を含む流路を有する分離手段と、
前記濃縮液を前記分離手段から取り出す濃縮液ラインと、
前記処理液を前記分離手段から取り出す処理液ラインと、
前記濃縮液ラインの流量を調整する濃縮液ライン流量調整手段と、
前記処理液ラインの流量を調整する処理液ライン流量調整手段と、
前記濃縮液ライン流量調整手段および前記処理液ライン流量調整手段を制御して、前記濃縮液ラインの流量および前記処理液ラインの流量を調整する制御手段と、
を備えることを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の固液分離装置であって、
前記処理液の液質を測定する処理液質測定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記処理液質測定手段により測定された前記処理液の液質に基づいて、前記濃縮液ライン流量調整手段および前記処理液ライン流量調整手段を制御して、前記濃縮液ラインおよび前記処理液ラインの合計流量を調整することを特徴とする固液分離装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の固液分離装置であって、
前記被処理液の液質を測定する被処理液質測定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記被処理液質測定手段により測定された前記被処理液の液質に基づいて、前記濃縮液ライン流量調整手段および前記処理液ライン流量調整手段を制御して、前記濃縮液ラインおよび前記処理液ラインの合計流量を調整することを特徴とする固液分離装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の固液分離装置であって、
前記分離手段において固液分離を行う流量よりも大きい流量で通液して前記分離手段の流路を洗浄するための洗浄手段をさらに備えることを特徴とする固液分離装置。
【請求項5】
請求項2に記載の固液分離装置を備え、
前記処理液質測定手段は、濁度、色度、有機物濃度、粒子径、および粒子径分布のうちの少なくとも1つを測定する手段であることを特徴とする水質測定装置。
【請求項6】
曲率を有する壁面を含む流路を有する分離手段を用いて、固体粒子を含む被処理液を濃縮液と処理液とに分離する分離工程と、
前記濃縮液を前記分離手段から取り出す濃縮液ラインの流量、および前記処理液を前記分離手段から取り出す処理液ラインの流量を調整する流量調整工程と、
を含むことを特徴とする固液分離方法。
【請求項7】
請求項6に記載の固液分離方法であって、
前記処理液の液質を測定する処理液質測定工程をさらに含み、
前記処理液質測定工程により測定された前記処理液の液質に基づいて、前記濃縮液ラインおよび前記処理液ラインの合計流量を調整することを特徴とする固液分離方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の固液分離方法であって、
前記被処理液の液質を測定する被処理液質測定工程をさらに含み、
前記被処理液質測定工程により測定された前記被処理液の液質に基づいて、前記濃縮液ラインおよび前記処理液ラインの合計流量を調整することを特徴とする固液分離方法。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか1項に記載の固液分離方法であって、
前記分離工程において固液分離を行う流量よりも大きい流量で通液して前記分離手段の流路を洗浄する洗浄工程をさらに含むことを特徴とする固液分離方法。
【請求項10】
請求項7に記載の固液分離方法を含み、
前記処理液質測定工程において、濁度、色度、有機物濃度、粒子径、および粒子径分布のうちの少なくとも1つを測定することを特徴とする水質測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体粒子を含む被処理液を濃縮液と処理液とに分離する固液分離装置、固液分離方法、およびその固液分離装置または固液分離方法を用いた水質測定装置、水質測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
混合物から微粒子をろ別する装置として、特許文献1には、i)少なくとも1つの注入口;ii)径方向内側の辺、径方向外側の辺、底辺、および上辺によって規定される台形断面を有し、該断面は、a)高さが等しくない上記径方向内側の辺および上記径方向外側の辺、またはb)上記径方向外側の辺と高さが等しい上記径方向内側の辺、を有しており、上記上辺は、それぞれ幅が上記底辺と等しくない少なくとも2つの連続した直線部を有している、曲線マイクロ流路;およびiii)少なくとも1つの排出口、を備えるマクロ流体装置が記載されている。
【0003】
一方、水処理において、被処理水中に無機凝集剤や高分子凝集剤等の凝集剤を添加して、懸濁物質等を凝集させてフロックを形成し、固液分離する凝集分離処理が行われる。
【0004】
凝集分離処理における凝集条件は、従来、回転数を制御できる複数の撹拌翼を備えるジャーテスタと呼ばれる試験装置を用い、凝集、固液分離に最適な凝集剤の添加量等を決定する試験(ジャーテスト)によって決めていた。
【0005】
このジャーテストにおいて特許文献1のようなマイクロ流体装置を用いると、マイクロ流路の径が1μm~数10μm程度であるため、径が100μm~数100μm程度のフロックは詰まってしまい分離が困難であったり、分離性能が低いという問題があった。流路の径がミリスケールの流体装置にすると、ディーン渦流の発達が不十分であったりすると粒子の分離性能が著しく低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2015-535728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、固体粒子を含む被処理液を濃縮液と処理液とに分離する分離処理において、固体粒子の分離性能に優れる固液分離装置、固液分離方法、およびその固液分離装置または固液分離方法を用いた水質測定装置、水質測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、固体粒子を含む被処理液を濃縮液と処理液とに分離するための、曲率を有する壁面を含む流路を有する分離手段と、前記濃縮液を前記分離手段から取り出す濃縮液ラインと、前記処理液を前記分離手段から取り出す処理液ラインと、前記濃縮液ラインの流量を調整する濃縮液ライン流量調整手段と、前記処理液ラインの流量を調整する処理液ライン流量調整手段と、前記濃縮液ライン流量調整手段および前記処理液ライン流量調整手段を制御して、前記濃縮液ラインの流量および前記処理液ラインの流量を調整する制御手段と、を備える、固液分離装置である。
【0009】
前記固液分離装置において、前記処理液の液質を測定する処理液質測定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記処理液質測定手段により測定された前記処理液の液質に基づいて、前記濃縮液ライン流量調整手段および前記処理液ライン流量調整手段を制御して、前記濃縮液ラインおよび前記処理液ラインの合計流量を調整することが好ましい。
【0010】
前記固液分離装置において、前記被処理液の液質を測定する被処理液質測定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記被処理液質測定手段により測定された前記被処理液の液質に基づいて、前記濃縮液ライン流量調整手段および前記処理液ライン流量調整手段を制御して、前記濃縮液ラインおよび前記処理液ラインの合計流量を調整することが好ましい。
【0011】
前記固液分離装置において、前記分離手段において固液分離を行う流量よりも大きい流量で通液して前記分離手段の流路を洗浄するための洗浄手段をさらに備えることが好ましい。
【0012】
本発明は、前記固液分離装置を備え、前記処理液質測定手段は、濁度、色度、有機物濃度、粒子径、および粒子径分布のうちの少なくとも1つを測定する手段である、水質測定装置である。
【0013】
本発明は、曲率を有する壁面を含む流路を有する分離手段を用いて、固体粒子を含む被処理液を濃縮液と処理液とに分離する分離工程と、前記濃縮液を前記分離手段から取り出す濃縮液ラインの流量、および前記処理液を前記分離手段から取り出す処理液ラインの流量を調整する流量調整工程と、を含む、固液分離方法である。
【0014】
前記固液分離方法において、前記処理液の液質を測定する処理液質測定工程をさらに含み、前記処理液質測定工程により測定された前記処理液の液質に基づいて、前記濃縮液ラインおよび前記処理液ラインの合計流量を調整することが好ましい。
【0015】
前記固液分離方法において、前記被処理液の液質を測定する被処理液質測定工程をさらに含み、前記被処理液質測定工程により測定された前記被処理液の液質に基づいて、前記濃縮液ラインおよび前記処理液ラインの合計流量を調整することが好ましい。
【0016】
前記固液分離方法において、前記分離工程において固液分離を行う流量よりも大きい流量で通液して前記分離手段の流路を洗浄する洗浄工程をさらに含むことが好ましい。
【0017】
本発明は、前記固液分離方法を含み、前記処理液質測定工程において、濁度、色度、有機物濃度、粒子径、および粒子径分布のうちの少なくとも1つを測定する、水質測定方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、固体粒子を含む被処理液を濃縮液と処理液とに分離する分離処理において、固体粒子の分離性能に優れる固液分離装置、固液分離方法、およびその固液分離装置または固液分離方法を用いた水質測定装置、水質測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る固液分離装置の一例を示す概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る固液分離装置における曲がりチャネルの流路断面の一例を示す概略図である。
図3】本発明の実施形態に係る固液分離装置の他の例を示す概略構成図である。
図4】本発明の実施形態に係る固液分離装置の他の例を示す概略構成図である。
図5】本発明の実施形態に係る水質測定装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0021】
本発明の実施形態に係る固液分離装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。
【0022】
本実施形態に係る固液分離装置1は、固体粒子を含む被処理液を濃縮液と処理液とに分離するための、曲率を有する壁面を含む流路を有する分離手段として、曲がりチャネル10を有する。固液分離装置1は、固体粒子が濃縮された濃縮液を曲がりチャネル10から取り出す濃縮液ライン14と、処理液を曲がりチャネル10から取り出す処理液ライン16と、を有する。濃縮液ライン14には、濃縮液ライン14の流量を調整する濃縮液ライン流量調整手段として、濃縮液ライン流量調整部18が設置され、処理液ライン16には、処理液ライン16の流量を調整する処理液ライン流量調整手段として、処理液ライン流量調整部20が設置されている。固液分離装置1は、濃縮液ライン流量調整部18および処理液ライン流量調整部20を制御して、濃縮液ライン14の流量および処理液ライン16の流量を調整する制御手段として、制御装置22を備える。
【0023】
図1に示す固液分離装置1において、曲がりチャネル10の被処理液入口には、被処理液ライン12が接続されている。曲がりチャネル10の濃縮液出口には、濃縮液ライン14が接続され、処理液出口には、処理液ライン16が接続されている。制御装置22は、濃縮液ライン流量調整部18、処理液ライン流量調整部20のそれぞれと電気的接続等によって接続されている。制御装置22は、例えば、プログラムを演算するCPU等の演算手段、プログラムや演算結果を記憶するROMおよびRAM等の記憶手段等を含んで構成されるマイクロコンピュータと電子回路等で構成され、濃縮液ライン流量調整部18、処理液ライン流量調整部20がポンプの場合はポンプの流量、バルブの場合はバルブの開閉度等を制御する機能を有するものである。
【0024】
本実施形態に係る固液分離方法および固液分離装置1の動作について説明する。
【0025】
図1の固液分離装置1において、固体粒子を含む被処理液は、被処理液ライン12を通して、曲がりチャネル10へ送液される。
【0026】
被処理液は、曲がりチャネル10の被処理液入口から渦巻き状チャネルの流路に導入され、流路を流れていくと、固体粒子と液体との密度差と重力と流体力学的作用とにより、流路の例えば外周側の処理液と流路の例えば内周側の濃縮液とに分離される(分離工程)。濃縮液は、濃縮液ライン14を通して排出され、処理液は、処理液ライン16を通して排出される(分離工程)。
【0027】
曲がりチャネル10は、被処理液を流入するための被処理液入口と、流体が流れるための例えば矩形状の1つの流路を有する配管が渦巻き状に形成された渦巻き状チャネルと、処理液を排出するための、流路の例えば外周側から分かれた処理液出口と、濃縮液を排出するための、流路の例えば内周側から分かれた濃縮液出口と、を有する。図2に曲がりチャネル10の流路の断面を示すが、固体粒子を含む被処理液が被処理液入口から渦巻き状チャネルに導入されると、矩形状の流路の断面には二次流れ(ディーン渦)が生じる。これは遠心力による外向きの流れと、直進しようとする流れが外壁により強制的に曲げられることによる内向きへの圧力によるものである。
【0028】
固体粒子はこの二次流れ(ディーン渦)の中では内周側に集まるとされるが、固体粒子の密度、流路中を流れる流体の流束、流路の曲率等のバランスによっては、固体粒子が外周側に集まる場合もある。この場合には、曲がりチャネル10は、流路の内周側から分かれた処理液出口と、流路の外周側から分かれた濃縮液出口と、を有していてもよい。曲がりチャネル10は、曲がりチャネル10における固体粒子の密度、流路中を流れる流体の流束、流路の曲率等のバランスを調整することにより、固体粒子と液体との密度差と、重力と、流体力学的作用とによって、被処理液から固体粒子を分離することができる。
【0029】
固液分離装置1では、例えば制御装置22によって、濃縮液ライン流量調整部18が制御されて濃縮液ライン14の濃縮液の流量が調整され、処理液ライン流量調整部20が制御されて処理液ライン16の処理液の流量が調整される(流量調整工程)。これによって、固体粒子を含む被処理液を濃縮液と処理液とに分離する分離処理において、固体粒子の分離性能を向上させることができる。例えば制御装置22によって、濃縮液ライン流量調整部18が制御されて濃縮液ライン14の濃縮液の流量が調整され、処理液ライン流量調整部20が制御されて処理液ライン16の処理液の流量が調整され、濃縮液ライン14の流量より処理液ライン16の流量が小さくなるように調整される。濃縮液ライン14の流量より処理液ライン16の流量が小さくなるように調整することによって、固体粒子を含む被処理液を濃縮液と処理液とに分離する分離処理において、固体粒子の分離性能が向上する。
【0030】
例えば、処理液ライン16の流量1に対して、濃縮液ライン14の流量を2~10の範囲に調整することが好ましく、濃縮液ライン14の流量を4~8の範囲に調整することがより好ましく、濃縮液ライン14の流量を5~7の範囲に調整することがさらに好ましい。処理液ライン16の流量1に対して、濃縮液ライン14の流量が2未満であると、固体粒子の分離性能が低くなる場合があり、10を超えると、分離前の流束が上がりすぎて、分離せずに撹拌されてしまう場合がある。
【0031】
濃縮液ライン14および処理液ライン16の合計流量によって被処理液中の固体粒子が流路の内周側に集まるか外周側に集まるかが決まるので、流量調整工程において、処理液質が良好な合計流量を決め、その濃縮液ライン14および処理液ライン16の合計流量で、濃縮液ライン14の流量より処理液ライン16の流量が小さくなるように調整することが好ましい。
【0032】
濃縮液ライン流量調整部18、処理液ライン流量調整部20としては、例えば、開閉度を変えることができるバルブ、曲がりチャネル10からの引抜量等を変えることができるポンプ等が挙げられる。制御手段を設けずに、濃縮液ライン流量調整部18、処理液ライン流量調整部20としてバルブやポンプ等を設けずに、濃縮液ライン14と処理液ライン16の流路断面積を変えて、濃縮液ライン14の流量および処理液ライン16の流量を調整してもよい。この場合、濃縮液ライン14と処理液ライン16とが濃縮液ライン流量調整部18、処理液ライン流量調整部20として機能することになる。濃縮液ライン流量調整部18、処理液ライン流量調整部20は、濃縮液ライン14の流量、処理液ライン16の流量を適宜変更できる点で、バルブまたはポンプが好ましい。
【0033】
被処理液は、曲がりチャネル10の入口側、例えば被処理液ライン12にポンプを設けて曲がりチャネル10へ送液してもよいし、水頭差を利用して曲がりチャネル10へ送液してもよい。
【0034】
曲がりチャネル10は、曲率を有する壁面を含む流路を有するものであればよく、特に制限はない。曲がりチャネル10は、例えば、曲率を有する壁面を含む1つの流路を有する配管が渦巻き状に形成されたものである。曲がりチャネル10の流路の断面形状は、矩形状、円状、楕円状等が挙げられ、ディーン渦の形成のためには、流路の断面形状が矩形状であることが望ましい。すなわち、曲がりチャネル10は、上壁面と下壁面と曲率を有する側壁面とを含む流路を有する。
【0035】
上記の通り、被処理液の流量に応じて曲がりチャネル10の内側に固体粒子が濃縮されるのか、外側に濃縮されるのかが変わるため、濃縮液ライン14および処理液ライン16は、被処理液の流量に応じて適宜変更してもよい。
【0036】
曲がりチャネル10は、固体粒子の分離の目的に応じて決められた所定の曲率、長さ、および幅を有することが好ましい。
【0037】
固体粒子の分離に最適となる曲がりチャネルの仕様は、固体粒子の性状(密度、粒子径等)によって変化するため、流動解析ソフトを用いて決定することが望ましい。流動解析ソフトとしては、例えば、「ANSYS Fluent」(ANSYS社)等が挙げられる。
【0038】
上記の通り、曲がりチャネル10における固体粒子の密度、流路中を流れる流体の流束、流路の曲率等のバランスを調整することにより、固体粒子の分離を行うことができる。
【0039】
本実施形態に係る固液分離方法および固液分離装置における処理対象は、固体粒子を含む液体であればよく、特に制限はない。例えば、凝集分離処理における固液分離、センチメートルからマイクロメートルサイズの配管やチャネルにおける固体粒子の選択的な制御や分離等において用いることができる。
【0040】
本発明の実施形態に係る固液分離装置の他の例を図3に示す。図3に示す固液分離装置2は、図1の構成に加え、処理液の液質を測定するための処理液質測定手段を設けた構成である。
【0041】
図3に示す固液分離装置2は、固体粒子を含む被処理液を濃縮液と処理液とに分離するための、曲率を有する壁面を含む流路を有する分離手段として、曲がりチャネル10を有する。固液分離装置2は、固体粒子が濃縮された濃縮液を曲がりチャネル10から取り出す濃縮液ライン14と、処理液を曲がりチャネル10から取り出す処理液ライン16と、を有する。濃縮液ライン14には、濃縮液ライン14の流量を調整する濃縮液ライン流量調整手段として、濃縮液ライン流量調整部18が設置され、処理液ライン16には、処理液ライン16の流量を調整する処理液ライン流量調整手段として、処理液ライン流量調整部20が設置されている。処理液ライン16の処理液ライン流量調整部20の後流側には、処理液の液質を測定する処理液質測定手段として、処理液質測定装置26が設置されている。濃縮液ライン14の濃縮液ライン流量調整部18の後流側に、濃縮液の液質を測定する濃縮液質測定手段として、濃縮液質測定装置24が設置されていてもよい。固液分離装置2は、濃縮液ライン流量調整部18および処理液ライン流量調整部20を制御して、濃縮液ライン14の流量および処理液ライン16の流量を調整する制御手段として、制御装置22を備える。
【0042】
固液分離装置2において、曲がりチャネル10の被処理液入口には、被処理液ライン12が接続されている。曲がりチャネル10の濃縮液出口には、濃縮液ライン14が接続され、処理液出口には、処理液ライン16が接続されている。制御装置22は、濃縮液ライン流量調整部18、処理液ライン流量調整部20、濃縮液質測定装置24、処理液質測定装置26のそれぞれと電気的接続等によって接続されている。制御装置22は、濃縮液ライン流量調整部18、処理液ライン流量調整部20がポンプの場合はポンプの流量、バルブの場合はバルブの開閉度等を制御する機能を有するものである。
【0043】
固液分離装置2において、固体粒子を含む被処理液は、被処理液ライン12を通して、曲がりチャネル10へ送液される。
【0044】
被処理液は、曲がりチャネル10の被処理液入口から渦巻き状チャネルの流路に導入され、流路を流れていくと、固体粒子と液体との密度差と重力と流体力学的作用とにより、流路の例えば外周側の処理液と流路の例えば内周側の濃縮液とに分離される(分離工程)。濃縮液は、濃縮液ライン14を通して排出され、処理液は、処理液ライン16を通して排出される(分離工程)。
【0045】
上記の通り、濃縮液ライン14および処理液ライン16の合計流量によって、被処理液中の固体粒子が流路の内周側に集まるか外周側に集まるかが決まる。固液分離装置2では、例えば、制御装置22は、処理液質測定装置26により測定された処理液の液質に基づいて、または、処理液質測定装置26により測定された処理液の液質と濃縮液質測定装置24により測定された濃縮液の液質とに基づいて、濃縮液ライン流量調整部18および処理液ライン流量調整部20を制御して、目標の処理液質となるように濃縮液ライン14および処理液ライン16の合計流量を調整する(合計流量調整工程)。例えば、処理液質測定装置26により測定された処理液の液質に基づいて、または、処理液質測定装置26により測定された処理液の液質と濃縮液質測定装置24により測定された濃縮液の液質とに基づいて、濃縮液ライン14および処理液ライン16の合計流量を変えながら運転し、処理液質が良好となる合計流量を自動で求め、その条件で運転してもよい。その後、その濃縮液ライン14および処理液ライン16の合計流量で、処理液ライン16の流量を減らしていき、処理液質が良好となる流量比を自動で求め、その条件で運転してもよい。これによって、固体粒子を含む被処理液を濃縮液と処理液とに分離する分離処理において、固体粒子の分離性能が向上する。
【0046】
濃縮液質測定装置24、処理液質測定装置26としては、濃縮液または処理液の液質を測定することができるものであればよく、特に制限はないが、例えば、濁度、色度、有機物濃度、粒子径、および粒子径分布のうちの少なくとも1つを測定する装置である。
【0047】
本発明の実施形態に係る固液分離装置の他の例を図4に示す。図4に示す固液分離装置3は、図2の構成に加え、被処理液の液質を測定するための被処理液質測定手段を設けた構成である。
【0048】
図4に示す固液分離装置3は、固体粒子を含む被処理液を濃縮液と処理液とに分離するための、曲率を有する壁面を含む流路を有する分離手段として、曲がりチャネル10を有する。固液分離装置3は、固体粒子が濃縮された濃縮液を曲がりチャネル10から取り出す濃縮液ライン14と、処理液を曲がりチャネル10から取り出す処理液ライン16と、を有する。濃縮液ライン14には、濃縮液ライン14の流量を調整する濃縮液ライン流量調整手段として、濃縮液ライン流量調整部18が設置され、処理液ライン16には、処理液ライン16の流量を調整する処理液ライン流量調整手段として、処理液ライン流量調整部20が設置されている。処理液ライン16の処理液ライン流量調整部20の後流側には、処理液の液質を測定する処理液質測定手段として、処理液質測定装置26が設置されている。濃縮液ライン14の濃縮液ライン流量調整部18の後流側に、濃縮液の液質を測定する濃縮液質測定手段として、濃縮液質測定装置24が設置されていてもよい。固液分離装置3は、濃縮液ライン流量調整部18および処理液ライン流量調整部20を制御して、濃縮液ライン14の流量および処理液ライン16の流量を調整する制御手段として、制御装置22を備える。
【0049】
固液分離装置3において、曲がりチャネル10の被処理液入口には、被処理液ライン12が接続されている。被処理液ライン12には、被処理液の液質を測定するための被処理液質測定手段として、被処理液質測定装置28が設置されている。曲がりチャネル10の濃縮液出口には、濃縮液ライン14が接続され、処理液出口には、処理液ライン16が接続されている。制御装置22は、濃縮液ライン流量調整部18、処理液ライン流量調整部20、濃縮液質測定装置24、処理液質測定装置26、被処理液質測定装置28のそれぞれと電気的接続等によって接続されている。制御装置22は、濃縮液ライン流量調整部18、処理液ライン流量調整部20がポンプの場合はポンプの流量、バルブの場合はバルブの開閉度等を制御する機能を有するものである。
【0050】
固液分離装置3において、固体粒子を含む被処理液は、被処理液ライン12を通して、曲がりチャネル10へ送液される。
【0051】
被処理液は、曲がりチャネル10の被処理液入口から渦巻き状チャネルの流路に導入され、流路を流れていくと、固体粒子と液体との密度差と重力と流体力学的作用とにより、流路の例えば外周側の処理液と流路の例えば内周側の濃縮液とに分離される(分離工程)。濃縮液は、濃縮液ライン14を通して排出され、処理液は、処理液ライン16を通して排出される(分離工程)。
【0052】
上記の通り、濃縮液ライン14および処理液ライン16の合計流量によって、被処理液中の固体粒子が流路の内周側に集まるか外周側に集まるかが決まる。固液分離装置3では、例えば、制御装置22は、被処理液質測定装置28により測定された被処理液の液質と処理液質測定装置26により測定された処理液の液質とに基づいて、または、被処理液質測定装置28により測定された被処理液の液質と処理液質測定装置26により測定された処理液の液質と濃縮液質測定装置24により測定された濃縮液の液質とに基づいて、濃縮液ライン流量調整部18および処理液ライン流量調整部20を制御して、目標の処理液質となるように濃縮液ライン14および処理液ライン16の合計流量を調整する(合計流量調整工程)。例えば、被処理液質測定装置28により測定された被処理液の液質と処理液質測定装置26により測定された処理液の液質とに基づいて、または、被処理液質測定装置28により測定された被処理液の液質と処理液質測定装置26により測定された処理液の液質と濃縮液質測定装置24により測定された濃縮液の液質とに基づいて、濃縮液ライン14および処理液ライン16の合計流量を変えながら運転し、処理液質が良好となる合計流量を自動で求め、その条件で運転してもよい。その後、その濃縮液ライン14および処理液ライン16の合計流量で、処理液ライン16の流量を減らしていき、処理液質が良好となる流量比を自動で求め、その条件で運転してもよい。これによって、固体粒子を含む被処理液を濃縮液と処理液とに分離する分離処理において、固体粒子の分離性能が向上する。
【0053】
被処理液質測定装置28としては、被処理液の液質を測定することができるものであればよく、特に制限はないが、例えば、濁度、色度、有機物濃度、粒子径、および粒子径分布のうちの少なくとも1つを測定する装置である。
【0054】
図1,3,4に示す固液分離装置1,2,3において、分離工程において固液分離を行う流量よりも大きい流量で通液して、曲がりチャネル10の流路を洗浄してもよい(洗浄工程)。この場合、例えば、被処理液ライン12が、固液分離を行う流量よりも大きい流量で通液して曲がりチャネル10の流路を洗浄するための洗浄手段として機能する。
【0055】
洗浄工程において、例えば、分離工程において固液分離を行う流量の1.2~10倍程度の流量で通液して曲がりチャネル10の流路を洗浄すればよい。
【0056】
洗浄工程で用いる洗浄液は、例えば、水、塩酸や次亜塩素酸水溶液等の酸、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ等が挙げられる。通常の洗浄の洗浄液は水を用いればよいが、曲がりチャネル10の流路の汚れがひどい場合には、次亜塩素酸水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等を組み合わせて洗浄液として用いてもよい。例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等の凝集剤を添加した凝集フロックを含む被処理水を通水した場合には、アルミニウム等の凝集剤由来の汚れが流路等に付着するため、洗浄液として酸を用いる洗浄が効果的である。有機物濃度や色度の高い水、例えばTOC5mg/L以上や色度20度以上の水を通水した場合には、有機物による汚れが流路等に付着する場合がある。この場合には、次亜塩素酸水溶液や水酸化ナトリウム水溶液による洗浄が効果的である。
【0057】
本実施形態に係る固液分離方法および固液分離装置を用いて、凝集分離処理を行ってもよいし、凝集分離処理における水質測定を行ってもよい。以下にその一例を示す。
【0058】
本発明の実施形態に係る水質測定装置は、上記固液分離装置2または固液分離装置3を備える。水質測定装置は、例えば、被処理水に凝集剤を添加するための凝集剤添加手段と、凝集剤が添加されて形成されたフロックを含む濃縮水と処理水とに分離するための分離手段と、を備え、分離手段が上記固液分離装置2または固液分離装置3である。水質測定装置は、被処理水と凝集剤とを混和するための混和手段と、混和された混和液中にフロックを形成するためのフロック形成手段と、をさらに備えてもよい。本実施形態に係る水質測定装置は、凝集分離装置としても機能する。
【0059】
本発明の実施形態に係る水質測定方法は、上記固液分離装置2または固液分離装置3による固液分離方法を含む方法である。水質測定方法は、例えば、被処理水に凝集剤を添加する凝集剤添加工程と、凝集剤が添加されて形成されたフロックを含む濃縮水と処理水とに分離する分離工程と、を含み、分離工程において上記固液分離装置2または固液分離装置3による固液分離方法を用いる。水質測定方法は、被処理水と凝集剤とを混和する混和工程と、混和された混和液中にフロックを形成するフロック形成工程と、をさらに含んでもよい。本実施形態に係る水質測定方法は、凝集分離方法として用いることもできる。
【0060】
本実施形態に係る水質測定装置の一例の概略を図5に示す。
【0061】
図5に示す水質測定装置4は、例えば、被処理水に凝集剤を添加するための凝集剤添加手段として凝集剤添加配管32と、凝集剤と被処理水とを混和する混和手段としてラインミキサ30と、混和された混和液中にフロックを形成するフロック形成手段、および形成されたフロックを含む濃縮水と処理水とに分離する分離手段として、上記固液分離装置2とを備える。
【0062】
水質測定装置4において、曲がりチャネル10の被処理液入口には、被処理液ライン12が接続されている。被処理液ライン12には凝集剤添加配管32が接続されている。被処理液ライン12における凝集剤添加配管32との接続点の後段側にはラインミキサ30が設置されている。
【0063】
図5の水質測定装置4において、懸濁物質等を含む被処理水は、被処理液ライン12を通して、ラインミキサ30を経由して曲がりチャネル10へ送液される。ここで、被処理液ライン12において、凝集剤添加配管32を通して被処理水に凝集剤が添加され(凝集剤添加工程)、ラインミキサ30において、凝集剤と被処理水とが撹拌されて混和される(混和工程)。凝集剤と被処理水とが混和された混和液は、曲がりチャネル10へ送液される。
【0064】
混和液は、曲がりチャネル10の被処理液入口から渦巻き状チャネルの流路に導入され、流路における流体力学的作用により撹拌が行われ、凝集剤と被処理水との混和、凝集により形成された微細なフロック同士が衝突して、フロックの粒子径が成長する(フロック形成工程)。流路を流れていくと、水とフロックとの密度差と重力と流体力学的作用とにより、流路の例えば外周側の処理水と流路の例えば内周側の濃縮水とに分離される(分離工程)。濃縮水は、濃縮液ライン14を通して排出され、処理水は、処理液ライン16を通して排出される(以上が、凝集分離工程)。
【0065】
上記の通り、濃縮液ライン14および処理液ライン16の合計流量によって、被処理液中の固体粒子が流路の内周側に集まるか外周側に集まるかが決まる。固液分離装置2では、例えば、制御装置22は、処理液質測定装置26により測定された処理水の液質に基づいて、または、処理液質測定装置26により測定された処理水の液質と濃縮液質測定装置24により測定された濃縮水の液質とに基づいて、濃縮液ライン流量調整部18および処理液ライン流量調整部20を制御して、目標の処理液質となるように濃縮液ライン14および処理液ライン16の合計流量を調整する(合計流量調整工程)。例えば、処理液質測定装置26により測定された処理水の液質に基づいて、または、処理液質測定装置26により測定された処理水の液質と濃縮液質測定装置24により測定された濃縮水の液質とに基づいて、濃縮液ライン14および処理液ライン16の合計流量を変えながら運転し、処理液質が良好となる合計流量を自動で求め、その条件で運転してもよい。その後、その濃縮液ライン14および処理液ライン16の合計流量で、処理液ライン16の流量を減らしていき、処理液質が良好となる流量比を自動で求め、その条件で運転してもよい。これによって、フロック等の固体粒子を含む被処理液を濃縮水と処理水とに分離する分離処理において、フロック等の固体粒子の分離性能が向上する。
【0066】
固液分離装置2により、高速で凝集分離を行うことができる。この固液分離装置2を備える水質測定装置4を、例えば、凝集、固液分離に最適な凝集剤の添加量等を決定する試験を行うジャーテスタまたはオートジャーテスタとして用いることにより、ジャーテストの高速化が可能となり、処理液質測定装置26によって測定された処理水の水質に基づいて迅速に凝集分離処理の凝集条件等を決定することができる。そのため、被処理水の水質変動があっても、特に被処理水の急激な水質変動があっても、最適な凝集条件を追従させることができるため、処理水質の悪化が抑制される。ジャーテストをインラインで行うことができ、連続的に最適な凝集分離処理条件を決定することができる。
【0067】
水質測定装置4において、凝集剤と被処理水との混和(混和工程)は、ラインミキサ30を用いて行われているが、ラインミキサ30の代わりに、撹拌羽根等を有する撹拌装置を備える撹拌槽を混和手段として用いてもよいし、フロック形成手段および分離手段と同じ曲がりチャネル10、またはフロック形成手段および分離手段とは別の曲がりチャネルを混和手段として用いてもよい。
【0068】
水質測定装置4において、フロック形成手段および分離手段は曲がりチャネルであるが、混和手段、フロック形成手段および分離手段が曲がりチャネルであってもよい。すなわち、フロック形成工程および分離工程を、曲がりチャネルを用いて行うが、混和工程、フロック形成工程および分離工程を、曲がりチャネルを用いて行ってもよい。
【0069】
水質測定装置4において、凝集剤と被処理水とを混和する混和工程に要する時間は、例えば、1秒~60秒程度、好ましくは5秒~30秒程度であり、凝集剤を含む被処理水中にフロックを形成するフロック形成工程に要する時間は、例えば、10秒~10分程度、好ましくは1分~5分程度であり、濃縮水と処理水とに分離する分離工程に要する時間は、例えば、1秒~5分程度、好ましくは1秒~10秒程度であり、処理水の水質を測定する処理液質測定工程に要する時間は、例えば、1秒~30秒程度である。したがって、混和工程から処理液質測定工程に要する時間は、10秒~3分程度、好ましくは10秒~60秒程度である。
【0070】
上記の通り、曲がりチャネル10における粒子の密度、流路中を流れる流体の流束、流路の曲率等のバランスを調整することにより、フロックの形成および分離を行うことができ、さらには、凝集剤と被処理水との混和、フロックの形成および分離を行うことができる。例えば、曲がりチャネル10において、分離に最適な曲率に向けて、小さい曲率から漸近させることによってフロックの形成および分離を連続した曲がりチャネルで行うことができる。流路の断面積を最適な値に向けて漸近させてもよい。狭い流路では流束が高く撹拌がなされ、断面積が分離に最適である流路では分離がなされる。
【0071】
凝集剤としては、無機凝集剤および高分子凝集剤のうちの少なくとも1つが用いられる。
【0072】
無機凝集剤としては、例えば、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄等の鉄系無機凝集剤、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等のアルミニウム系無機凝集剤等が挙げられる。
【0073】
無機凝集剤の添加量は、例えば、1~100mg/Lの範囲である。
【0074】
高分子凝集剤としては、ノニオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤またはカチオン性高分子凝集剤等、特に制限されるものではないが、例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリルアミド・アクリル酸塩共重合体、アクリルアミドプロパンスルフォン酸ナトリウム、キトサン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートおよびポリアミジン等が挙げられる。高分子凝集剤は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
高分子凝集剤の添加量は、例えば、0.1~2mg/Lの範囲である。
【0076】
混和工程において、必要に応じて、pH調整を行ってもよい(pH調整工程)。pH調整剤としては、塩酸、硫酸等の酸や、水酸化ナトリウム等のアルカリである。pHは、例えば、4~11の範囲に調整すればよい。
【0077】
凝集分離処理(混和工程、フロック形成工程、分離工程)における液温度は、特に制限はなく、例えば、15~35℃の範囲である。粘性等によって分離性が変わるため、液温度はできるだけ一定になるように調整することが望ましい。
【0078】
水質測定装置および凝集分離装置における処理対象である被処理水は、例えば、懸濁物質等を含む水であり、例えば、河川水、工業用水、排水等が挙げられる。
【0079】
本実施形態に係る水質測定方法および水質測定装置、または凝集分離方法および凝集分離装置により、例えば、懸濁物質濃度1~10mg/Lの被処理水を、90%~99%の割合で除去することができる。
【0080】
本実施形態に係る水質測定方法および水質測定装置、または凝集分離方法および凝集分離装置において、混和工程、フロック形成工程、分離工程を、それぞれ曲がりチャネルを用いて行ってもよい。
【実施例0081】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0082】
<実施例>
被処理液は、模擬濁度物質としてカオリン10mg/Lをろ過水に分散させ、凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(PAC)20mg/Lを添加したものを用いた。図3に示す固液分離装置を用いて、凝集剤によって形成されたフロックと水とを分離する試験を行った。表1に実験条件を示す。濃縮液ライン、処理液ラインのそれぞれに流量調整部として引抜用のポンプを設置して、ポンプによる引抜量を変化させて、濃縮液ラインと処理液ラインの合計流量(200mL/min)を同じとして、処理液ラインと濃縮液ラインの流量比を1:3、1:5、1:7、1:10とした。また、濃縮液ラインと処理液ラインの合計流量200mL/minで、処理液ラインと濃縮液ラインの流量比を調整せずに1:1として、同様にフロックと水とを分離する試験を行った。
【0083】
曲がりチャネルの内側と外側のどちらが濃縮水ラインになるかは、濃縮液ラインと処理液ラインの合計流量によって変わる。今回の条件では、外側が濃縮液ライン、内側が処理液ラインとなる条件下で試験を行った。表2に処理液の濁度を示す。なお、濁度は、濁度計(OPTEX製、TC-100)を用いて、測定した。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
濃縮液ラインの流量より処理液ライン16の流量が小さくなるように調整することによって、処理液質が良くなることを確認することができた。
【0087】
以上の通り、実施例では、固体粒子を含む被処理液を濃縮液と処理液とに分離する分離処理において、固体粒子の分離性能に優れていた。
【符号の説明】
【0088】
1,2,3 固液分離装置、4 水質測定装置、10 曲がりチャネル、12 被処理液ライン、14 濃縮液ライン、16 処理液ライン、18 濃縮液ライン流量調整部、20 処理液ライン流量調整部、22 制御部、24 濃縮液質測定装置、26 処理液質測定装置、28 被処理液質測定装置、30 ラインミキサ、32 凝集剤添加配管。
図1
図2
図3
図4
図5