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特開2022-159608表層崩壊の検出方法及びこれに用いる表層傾斜計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159608
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】表層崩壊の検出方法及びこれに用いる表層傾斜計
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20221011BHJP
   G01C 9/00 20060101ALI20221011BHJP
   G01C 9/04 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
E02D17/20 106
G01C9/00 Z
G01C9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063891
(22)【出願日】2021-04-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年10月12日 「ハザードマッピングセンサ 表層傾斜計 クリノポール」パンフレット(発行者:応用地質株式会社)において発表 令和2年10月14日 応用地質株式会社のウェブサイト (https://www.oyo.co.jp/exhibition-oyo-fair-2020/,https://www.oyo.co.jp/exhibition-oyo-fair-2020/online-exhibition/_Modal/02-2.html,https://www.oyo.co.jp/exhibition-oyo-fair-2020/online-exhibition/_Modal/02-4.html)において発表
(71)【出願人】
【識別番号】000121844
【氏名又は名称】応用地質株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】石川 貴規
(72)【発明者】
【氏名】小澤 健志
(72)【発明者】
【氏名】今野 信一
【テーマコード(参考)】
2D044
【Fターム(参考)】
2D044EA07
(57)【要約】
【課題】地盤の表層崩壊を、早期にかつ精度よく検知して、防災に役立てることができる技術を提供する。
【解決手段】未固結土層21の傾斜角度の変化を測定可能な傾斜センサを、未固結土層21中であってかつ地表面から80cm以深の位置に設置する。ついで、傾斜センサにより検出された傾斜角度の変化量が閾値を超えたかどうかを判断する。これにより、表層崩壊発生の危険性を、精度良くかつ早期に判断することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜角度の変化を測定可能な傾斜センサを、未固結土層中であってかつ地表面から80cm以深の位置に設置する工程と、
前記傾斜センサにより検出された傾斜角度の変化量が閾値を超えたかどうかに基づいて表層崩壊発生の危険性を判断する工程とを備える
表層崩壊の検出方法。
【請求項2】
未固結土層中に、地表面から深さ80cm以上の下穴を形成する工程と、
前記下穴の内部であってかつ地表面から深さ80cm以上の位置に、傾斜センサを配置する工程とを備える
表層崩壊検出用の傾斜センサの設置方法。
【請求項3】
センサ部と、本体部と、通信部とを備える表層傾斜計であって、
前記本体部は、長さ約80cm以上の長尺状に形成されており、
前記センサ部は、前記本体部の一端側に取り付けられており、
前記通信部は、前記本体部の他端側に取り付けられており、
前記センサ部は、土層の傾斜を検出可能な傾斜センサを備えており、
前記通信部は、前記本体部及び前記センサ部が前記土層中に埋設された状態で地表に露出し、前記傾斜センサからの検出データを、通信回線を介して外部に送信可能な構成となっている
表層傾斜計。
【請求項4】
請求項3に記載の表層傾斜計を用いた傾斜センサの設置方法であって、
未固結土層の、地表面からの深さを測定する工程と、
前記未固結土層中に、地表面からの深さが80cm以上である下穴を形成する工程と、
前記下穴の内部に前記表層傾斜計の前記センサ部を挿入することにより、前記未固結土層における深さ80cm以深の位置に、前記傾斜センサを配置する工程とを備え、
ここで、前記本体部及び前記センサ部は前記下穴の内面に密着させられている
傾斜センサの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤の斜面崩壊の一種である表層崩壊を検出するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
斜面崩壊には、地滑りと表層崩壊がある。地滑りは、土壌の表面部分の土塊(地滑り部分)の滑動により発生する。つまり、地滑りでは、地滑り部分がその下部の土壌に対して滑ることによって、土壌表面に対して平行に移動する。一方、表層崩壊は、土壌の未固結部分がクリープ(流動)することにより発生する。表層崩壊は斜面崩壊の8割程度を占める。
【0003】
下記特許文献1には、地中に埋設される埋設管中に傾斜センサを配置することにより地盤の傾斜や変位を測定し、斜面崩壊を予測するための技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-169705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した特許文献1の技術は、主に地滑りを検出するためのものであり、表層崩壊を早期に検知することは難しいものと考えられる。
【0006】
また、本発明者らの研究によれば、表層崩壊を早期に検出するには、土壌のわずかな傾斜角を精度よく検出する必要がある。しかしながら、傾斜センサからの信号には、自然環境中の温度変化等に起因するノイズが乗ってしまうため、高精度に傾斜角を検出することは難しいという問題もあった。
【0007】
そこで本発明者らが種々検討した結果、傾斜センサの設置位置及び設置深度を工夫することにより、表層崩壊を早期にかつ精度よく検知することが可能になるという知見を得た。
【0008】
本発明は、前記した状況に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、表層崩壊を早期に精度よく検知して防災に役立てることができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の項目に記載の発明として表現することができる。
【0010】
(項目1)
傾斜角度の変化を測定可能な傾斜センサを、未固結土層中であってかつ地表面から80cm以深の位置に設置する工程と、
前記傾斜センサにより検出された傾斜角度の変化量が閾値を超えたかどうかに基づいて表層崩壊発生の危険性を判断する工程とを備える
表層崩壊の検出方法。
【0011】
(項目2)
未固結土層中に、地表面から深さ80cm以上の下穴を形成する工程と、
前記下穴の内部であってかつ地表面から深さ80cm以上の位置に、傾斜センサを配置する工程とを備える
表層崩壊検出用の傾斜センサの設置方法。
【0012】
(項目3)
センサ部と、本体部と、通信部とを備える表層傾斜計であって、
前記本体部は、長さ約80cm以上の長尺状に形成されており、
前記センサ部は、前記本体部の一端側に取り付けられており、
前記通信部は、前記本体部の他端側に取り付けられており、
前記センサ部は、土層の傾斜を検出可能な傾斜センサを備えており、
前記通信部は、前記本体部及び前記センサ部が前記土層中に埋設された状態で地表に露出し、前記傾斜センサからの検出データを、通信回線を介して外部に送信可能な構成となっている
表層傾斜計。
【0013】
(項目4)
項目3に記載の表層傾斜計を用いた傾斜センサの設置方法であって、
未固結土層の、地表面からの深さを測定する工程と、
前記未固結土層中に、地表面からの深さが80cm以上である下穴を形成する工程と、
前記下穴の内部に前記表層傾斜計の前記センサ部を挿入することにより、前記未固結土層における深さ80cm以深の位置に、前記傾斜センサを配置する工程とを備え、
ここで、前記本体部及び前記センサ部は前記下穴の内面に密着させられている
傾斜センサの設置方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の技術によれば、表層崩壊を早期に精度よく検知して防災に役立てることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る表層傾斜計の斜視図である。
図2図1の表層傾斜計の本体部の上端近傍における概略的な横断面図である。
図3図1の表層傾斜計の設置手順を説明するための説明図である。
図4】表層傾斜計を設置する斜面の構造を説明するための概略的な説明図である。
図5】表層崩壊の機構を説明するための概略的な説明図である。
図6】表層傾斜計を地盤に設置する作業を説明するための説明図であって、図(a)は下穴形成時、図(b)は下穴形成後、図(c)は表層傾斜計設置後の状態を示す。
図7】下穴に表層傾斜計を設置した状態を模式的に示す説明図である。
図8】傾斜センサにより検出された傾斜角度の時間変化を示すグラフであって、横軸は時間(任意単位)、縦軸は傾斜角度である。
図9】傾斜センサの設置深度(cm)と、傾斜センサの出力値の標準偏差σとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る表層崩壊の検出方法を、添付の図面を参照しながら説明する。まず、図1及び図2を参照しながら、この方法に用いる表層傾斜計について説明する。
【0017】
(表層傾斜計の構成)
本実施形態の表層傾斜計1は、センサ部11と、本体部12と、通信部13と、支持部14とを有している。
【0018】
本体部12は、長さ約80cm以上の長尺の筒状に形成されている。具体的には、本実施形態の本体部12は、円筒状(図2参照)とされている。ただし、本体部12の断面形状は、三角形や四角形などの多角形、あるいは楕円形であってもよい。また、本実施形態の本体部12の長さは、1.0m~1.4m程度であることが好ましく、より好ましくは1.2m程度である。また、本体部12の外径は、本例では約25mmとされている。
【0019】
センサ部11は、本体部12の長手方向における一端側(図1において下端)に取り付けられている。センサ部11の内部には、土層の傾斜を検出可能な傾斜センサ(図示せず)が備えられている。この傾斜センサとしては、例えば2軸の傾斜角が測定可能な市販の傾斜センサ(いわゆる2軸傾斜計)を用いることができる。傾斜センサとして1軸あるいは3軸の傾斜角が測定可能なものを用いることもできる。センサ部11は、傾斜センサからの信号(傾斜角度の信号)を、本体部12内部の配線(図示せず)を介して通信部13に送るようになっている。センサ部11に用いる傾斜センサとしては、例えば0.01°程度の高い分解能を持つものであることが望ましい。また、センサ部11は、本体部12と同軸の円筒状とされ、その外径も、本体部12と同様に、約25mmとされている。センサ部11からの出力は、角度の変化量であっても角度そのものであってもよい。いずれについても、この明細書では、傾斜角と称する。
【0020】
通信部13は、本体部12の他端側(図1において上端部)に取り付けられている。通信部13は、本体部12及びセンサ部11が土層中に埋設された状態(後述の図6(c)参照)において地表に露出し、センサ部11(傾斜センサ)からの検出データ(つまり傾斜角度)を、適宜な通信回線を介して外部に送信できるようになっている。通信回線としては、例えば携帯電話用の回線(3G、LTE、4G、5Gなど)であるが、WiFi回線であってもよい。要するに、本実施形態における通信回線は、外部にデータを送信可能な回線であればよく、その通信プロトコルやハードウエア構成には制約されない。
【0021】
また、本実施形態の通信部13は、外部への信号送信機能に加えて、外部からの信号を受信するものであってもよい。例えばGPSを受信することにより、自らの位置や正確な時刻を取得することも可能である。また、通信部13のアップデート、セキュリティ対策、測定間隔(あるいは通信間隔)の変更、動作状態の確認などを外部のサーバー側から遠隔で行なうこともできる。
【0022】
さらに通信部13は、それ自身を動作させるための電源(図示せず)を備えている。電源としては充電式あるいは非充電式の電池(例えばリチウム電池)を用いることができる。ただし電源としては、無線給電や商用電源を用いることも可能である。また、センサ部11と通信部13とで異なる電源を用いてもよい。
【0023】
支持部14は、本実施形態においては、3枚の羽根141~143により構成されている(図1及び図2参照)。これらの羽根141~143は、本体部12の上端近傍に取り付けられている。支持部14においては、2枚の羽根141及び142(図2参照)の長さが、残りの羽根143よりも長くなっている。また、各羽根間の角度は均一ではなく、羽根141と羽根142との間の角度が広く(例えば130°~170°程度)とされている。後述するように、表層傾斜計1の設置時には、この広い角度の部分(広角部分)が、斜面傾斜方向の下側に向けられる(図2参照)。
【0024】
(表層傾斜計の設置及び使用方法)
次に、図3をさらに参照して、前記した表層傾斜計の設置方法及びその使用方法について説明する。
【0025】
(傾斜地盤の構造)
まず、説明の前提として、典型的な傾斜地盤2の構成を、図4及び図5を参照しながら説明する。この地盤2の一部が未固結の土壌(移動部)21となっている。もちろん、表層傾斜計1の設置時点では、実際にどの部分が移動部21になるかは未確定であるが、説明の便宜上、図4では移動部21を特定して記載している。
【0026】
表層傾斜計1の設置時点では、表層崩壊が起きそうな地盤を選んで設置することが好ましい。例えば地形が0次谷である場合は表層崩壊を生じやすいことが知られている。そのほか、地盤の性状、過去の災害履歴などからある程度の確実さで表層崩壊の生じやすさを推測することができる。
【0027】
表層崩壊において移動部21が、その下部の地盤である不動部22に対して滑る場合の機構を、図5を参照しながら説明する。表層崩壊では、移動部21は未固結であって流動性が高い。このため、移動部21は、図5に模式的に示すように、未固結の土壌との接点を支点として回転するように移動する(つまりクリープにより移動する)。そこで、このような回転を、微小角度のうちに精度よく検出できれば、表層崩壊を精度よく推定できると考えられる。
【0028】
図3のステップSA-1)
本実施形態では、まず、未固結土層の、地表面からの深さを測定する。これは例えば、長さ1~2m程度の探針を人手により地表面から地中に向けて差し込むことで測定できる。探針が細くかつその先端がある程度鋭いものであれば、未固結土層においては、探針を人手により差し込むことができる。それ以上差し込めなくなった時点での探針の挿入深さに基づいて未固結土層の深さを推定することができる。この作業を必要な数の地点において行う。この作業により、深さが少なくとも80cm以上ある未固結土層の位置を特定できる。
【0029】
本実施形態では、ボーリング装置を用いることなく未固結土層の深さを推定することができる。これにより、設置コストの低減を期待できる。
【0030】
図3のステップSA-2)
ついで、深さが少なくとも80cm以上ある未固結土層の位置に下穴25を形成する(図6(a))。この下穴25の形成は、未固結土層において行われるものなので、例えば、先端に切刃を有するドリル3を用いて、作業者により人力で実施可能である。ドリル3に代えて、先端を斜めに切って尖らせた中空パイプ(図示せず)を用いて下穴25を形成することもできる。
【0031】
この下穴25の内径は、表層傾斜計1の本体部12及びセンサ部11の外径とほぼ同じか、わずかに小さい程度であることが好ましい。本例では、この内径の直径を25mmとするが、これには制約されない。
【0032】
また、下穴25の深さLは、80cm以上とすることが好ましく、本例では1.1mとする(図6(b)参照)。
【0033】
図3のステップSA-3)
ついで、下穴25の内部に表層傾斜計1のセンサ部11を挿入する(図6(c))。これにより、未固結土層における深さ80cm以深の位置(図7参照)に、傾斜センサを配置することができる。本例では、下穴25の内径を、本体部12及びセンサ部11の外径とほぼ同じかそれより小さいものとしたので、本体部12及びセンサ部11の表面を下穴25の内面に密着させることができる。
【0034】
また、表層傾斜計1を下穴25に設置する際は、既に述べたように、羽根141と羽根142との間の広角部分が傾斜方向下側(図2及び図6(c)参照)を向くように設置する。
【0035】
設置後は、表層傾斜計1のスイッチ(図示せず)を押して起動させておく。起動後は、センサ部11の傾斜センサから定期的に出力される傾斜角を、通信部13を介してシステム側(サーバー側)が受け取ることができる。
【0036】
図3のステップSA-4)
システムは、表層傾斜計1の傾斜角の変動が閾値以上(例えば0.1°や0.2°)であるかを監視することができる。異常があったときは、システムはユーザに警報を発することができる。ここで、閾値についてはユーザが種々に設定することができる。
【0037】
これにより、本実施形態では、検出された傾斜角度の変化量が閾値を超えたかどうかに基づいて、表層崩壊発生の危険性を早期に判断することができ、この判断に基づいて迅速に防災のための対応をとることができる。
【0038】
ここで、傾斜センサから出力された傾斜角度の時間変化の一例を図8の実線に示す。ただし、本発明者らの知見によれば、傾斜センサの位置が地表面に近い場合(例えば地表面に配置したとき)、傾斜センサからの出力は、気温等の自然環境の変化による影響を受けてばらついてしまう。図9に、センサ設置深度と、傾斜センサ出力の標準偏差との関係を示す。センサ設置深度が浅いと標準偏差σは大きい。この場合のセンサ出力を模式的に示すと、図8の破線のようになる。これでは、精度のよい傾斜角の判定は難しくなってしまう。
【0039】
また、図9に示す結果からは、傾斜センサの位置を地表面から80cm以深とすることにより、センサ出力値のばらつきを低く(つまりσ≦0.001程度に)抑えることができることが分かる。ここで、本実施形態では、前記したように傾斜センサの設置位置を地表面から80cm以深としたので、図8の実線に示すような、ばらつきの少ない(つまり精度のよい)傾斜角度を検知することができる。したがって、本実施形態によれば、表層崩壊の危険性の判定を精度良く行うことが可能になる。
【0040】
また、本実施形態では、センサ部11(つまり傾斜センサ)を、未固結の土層中に配置するので、図5に示すような、移動部21でのクリープ(回転)を精度よく検知できるという利点もある。
【0041】
さらに、本実施形態では、羽根141と羽根142との間の広角部分が傾斜方向下側(図2及び図6(c)参照)を向くように表層傾斜計1を設置するので、傾斜方向下側に向かう土壌の移動による押圧力をこれらの羽根141及び142に確実に作用させることができる。ここで、表層崩壊では、土壌が斜面下側方向に向けて回転することが多いと推測される。したがって、本実施形態では、これらの羽根141及び142により、移動部21でのクリープ(回転)をさらに精度よく検知することが可能になる。
【0042】
なお、前記実施形態の記載は単なる一例に過ぎず、本発明に必須の構成を示したものではない。各部の構成は、本発明の趣旨を達成できるものであれば、上記に限らない。
【符号の説明】
【0043】
1 表層傾斜計
11 センサ部(傾斜センサ)
12 本体部
13 通信部
14 支持部
141~143 羽根
2 傾斜した地盤
21 土壌の移動部(未固結の土層)
22 土壌の不動部
25 下穴
3 ドリル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9