(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159631
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】切削工具
(51)【国際特許分類】
B23B 51/00 20060101AFI20221011BHJP
【FI】
B23B51/00 S
B23B51/00 L
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063934
(22)【出願日】2021-04-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000221144
【氏名又は名称】株式会社タンガロイ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】堀 一生
【テーマコード(参考)】
3C037
【Fターム(参考)】
3C037AA02
3C037BB01
3C037BB13
3C037DD01
(57)【要約】
【課題】被切削材に対する食い付き性、及び、切りくずの排出性の両方を向上させることが可能な切削工具を提供する。
【解決手段】切削工具は、中心軸線周りに回転させられるドリル本体と、ドリル本体の一方端部に回転方向前方側を向いて形成された4つ以上の切れ刃と、周方向に隣接する切れ刃間に形成されており、中心軸線に沿って略螺旋状に延在するフルート溝とを備える。そして、(1)一方端部は、中心軸線を含み、且つ、第1先端角を有する第1先端部と、第1先端部からドリル本体の外周縁まで延在し、且つ、第1先端角よりも大きい第2先端角を有する第2先端部とを有し、(2)ドリル本体は、一方端部から他方端部へ向かって芯厚が徐々に縮小されるように形成された第1芯厚部と、第1芯厚部から他方端部へ向かって芯厚が一定となるように形成された第2芯厚部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線周りに回転させられるドリル本体と、
前記ドリル本体の一方端部に回転方向前方側を向いて形成された4つ以上の切れ刃と、
周方向に隣接する前記切れ刃間に形成されており、前記中心軸線に沿って略螺旋状に延在するフルート溝と、
を備え、
前記一方端部は、前記中心軸線を含み、且つ、第1先端角を成す第1先端部と、該第1先端部から前記ドリル本体の外周縁まで延在し、且つ、前記第1先端角よりも大きい第2先端角を成す第2先端部とを有し、
前記ドリル本体は、前記一方端部から他方端部へ向かって芯厚が徐々に縮小されるように形成された第1芯厚部と、該第1芯厚部から前記他方端部へ向かって芯厚が一定となるように形成された第2芯厚部とを有する、
切削工具。
【請求項2】
前記第1先端部は、前記中心軸線から前記ドリル本体の半径の約20%までの部位となるように形成されており、
前記第1先端角は、約120°であり、
前記第2先端角は、約140°である、
請求項1に記載の切削工具。
【請求項3】
前記第1芯厚部は、前記一方端部の裾外周位置において、前記ドリル本体の直径の約35%の芯厚を有しており、前記一方端部の裾外周位置から前記他方端部に向かって前記ドリル本体の直径の約2倍の距離の位置まで、芯厚が約-2%の割合で縮小するように形成された芯厚テーパを有する、
請求項1又は2に記載の切削工具。
【請求項4】
前記フルート溝の先端に形成されており、前記切れ刃の逃げ面側に配された第1シンニングと、該第1シンニングから前記フルート溝に向かって配された第2シンニングとを有するシンニング部を更に備える、
請求項1乃至3の何れかに記載の切削工具。
【請求項5】
前記第1シンニングの侵入角及び開き角は、それぞれ、前記第2シンニングの侵入角及び開き角よりも大きい、
請求項4に記載の切削工具。
【請求項6】
前記第1シンニングの侵入角及び開き角は、それぞれ、約40°及び約60°であり、
前記第2シンニングの侵入角及び開き角は、それぞれ、約30°及び約55°である、
請求項4又は5に記載の切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被切削材に対する食い付き性、及び、切りくずの排出性の両方に優れる4つ以上のドリル刃を有する切削(孔あけ)工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドリルによる被切削材の加工能率を向上させる手段として、刃数を通常の2枚刃ドリルの2倍にした4枚刃ドリルが提案されている(特許文献1参照)。この従来の4枚刃ドリルは、被切削材への食い付き性を改善し、且つ、被切削材背面側へのバリの生成を抑制することを企図したものであり、以下のような構成を有している。すなわち、かかる4枚刃ドリルでは、ドリルの先端面において、半径方向の外周側端部から中心寄りまで連続する2本の親切れ刃と、周方向に親切れ刃間に位置し、半径方向の外周側端部から中心側の中途まで連続する2本の子切れ刃から、4枚刃が構成されている。また、先端面を子切れ刃の長さに沿った方向に見たとき、親切れ刃の稜線等が、半径方向外周側から中心側へかけて先端面側へ凸状に形成され、先端面を親切れ刃の長さに沿った方向に見たとき、子切れ刃の稜線等が、半径方向外周側から中心側へかけて先端面側へ凹状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来の4枚刃ドリルは、被切削材に対し、高い加工能率にて穴あけ加工が可能であるが、ドリル先端の強度を確保するべく、また、刃数が多いためシンニングが干渉し易いこと等から、2枚刃ドリルに比してチゼルが大きく(チゼルエッヂが厚く)なってしまい、その結果、被切削材に対する食い付き性が未だ不十分であった。さらに、従来の4枚刃ドリルでは、1つのフルート溝の幅が、通常の2枚刃ドリルに比して、不可避的に狭くなるため、フルート溝の容積が比較的小さくなってしまい、その結果、切りくずの排出性が悪いといった問題もある。
【0005】
そこで、本開示は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、被切削材に対する食い付き性、及び、切りくずの排出性の両方を向上させることが可能な切削工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用する。
【0007】
〔1〕本開示に係る切削工具の一例は、中心軸線周りに回転させられるドリル本体と、前記ドリル本体の一方端部に回転方向前方側を向いて形成された4つ以上の(主)切れ刃と、周方向に隣接する前記切れ刃間に形成されており、前記中心軸線に沿って略螺旋状に延在するフルート溝とを備える。そして、(1)前記一方端部は、前記中心軸線を含み、且つ、第1先端角を成す(有する)第1先端部と、該第1先端部から前記ドリル本体の外周縁まで延在し、且つ、前記第1先端角よりも大きい第2先端角を成す(有する)第2先端部とを有し、(2)前記ドリル本体は、前記一方端部から他方端部へ向かって芯厚が徐々に縮小されるように形成された第1芯厚部と、該第1芯厚部から前記他方端部へ向かって芯厚が一定となるように形成された第2芯厚部とを有する。
【0008】
当該構成では、切れ刃が形成されたドリル本体の一方端部が、被切削材に当接して回転することにより、被切削材の孔切削加工が行われる。その際に切れ刃によって生じた切りくずは、周方向に隣接する切れ刃間に形成されたすくい面側(フルート溝)を流れて、加工孔から排出される。この孔切削加工においては、一方端部における比較的小さい(尖った)第1先端角を成す第1先端部(チゼルエッヂを含む)が最初に被切削材に接触するので、2枚刃ドリルに比してチゼルエッヂが大きくなりがちであっても、被切削材への食い付き性を十分に高めることができる。また、一方端部において、第1先端部からドリル本体の外周縁まで延びる第2先端部の第2先端角が、第1先端部の第1先端角よりも大きくされているので、第1先端部が被切削材に食い付いてから最外周の切れ刃までの中心軸線方向の距離が比較的短くなる。これにより、第1先端部が被切削材に食い付き第2先端部による切削が進むときのドリル本体の回転が不安定となる時間が短縮され、第2先端部の肩が加工孔に迅速に収まり易くなるので、ドリル本体のガイド機能を改善することができる。
【0009】
さらに、一方端部から他方端部へ向かう部位の第1芯厚部の芯厚が徐々に縮小され、そこから更に他方端部へ向かう部位の第2芯厚部の芯厚が細く一定とされているので、芯厚の縮小の程度を適宜設定することにより、一方端部に近い部位から芯厚を薄くして、フルート溝の容積を増大させ得る。その結果、切りくずの排出性をより高めることができる。
【0010】
〔2〕上記構成において、より具体的には、前記第1先端部は、前記中心軸線から前記ドリル本体の半径の約20%までの部位となるように形成されており、前記第1先端角が約120°であり、前記第2先端角が約140°であるように構成してもよい。本発明者の知見によれば、かかる構成を採用することにより、第1先端部の欠損や破損を有効に防止しつつ、前述した被切削材への優れた食い付き性、及び、優れたドリル本体のガイド機能をより実現し易くなる。
【0011】
〔3〕上記構成において、更に具体的には、前記第1芯厚部は、前記一方端部の裾外周位置において、前記ドリル本体の直径の約35%の芯厚を有しており、前記一方端部の裾外周位置から前記他方端部に向かって前記ドリル本体の直径の約2倍の距離の位置まで、芯厚が約-2%(約-2mm/100mm)の割合で縮小するように形成された芯厚テーパを有するように構成してもよい。本発明者の知見によれば、かかる構成を採用することにより、ドリル本体の剛性を保ちつつ、一方端部により近い部位から芯厚を薄くして、フルート溝の容積を早期に増大させ得るので、前述した切りくずの優れた排出性を更に実現し易くなる。
【0012】
〔4〕また、上記構成において、前記フルート溝の先端に形成されており、前記切れ刃の逃げ面側に配された第1シンニングと、該第1シンニングから前記フルート溝に向かって配された第2シンニングとを有するシンニング部を更に備えてもよい。かかる構成では、シンニング部によって元のチゼルエッヂが除去加工されることで、シンニング切れ刃が形成される。また、シンニング部が2段構成を有しているので、1段構成のシンニング部に比して、被切削材の孔切削加工時に生じる切りくずを排出するためのシンニングポケットの容積をより大きくすることができる。また、シンニング部が1段の場合に比して、シンニング切れ刃と(主)切れ刃の交点がより鈍角となり得るので、その交点及び周辺部位の欠損を抑制することができる。
【0013】
〔5〕また、上記構成において、前記第1シンニングの侵入角及び開き角が、それぞれ、前記第2シンニングの侵入角及び開き角よりも大きくなるように構成してもよい。かかる構成では、第1シンニングによりシンニングポケットの容積が更に増大するので、切りくずの排出性をより一層向上させることができる。また、第2シンニングにより、生じる切りくずのカール(巻き具合)を小さくすることができる。これにより、切りくずの形状が縮小されて、切りくずがフルート溝をより密に且つ速く移動し易くなり、その結果、切りくずの排出性を殊更に向上させることができる。
【0014】
〔6〕また、上記構成において、より具体的には、前記第1シンニングの侵入角及び開き角が、それぞれ、約40°及び約60°であり、前記第2シンニングの侵入角及び開き角が、それぞれ、約30°及び約55°であるように構成してもよい。本発明者の知見によれば、かかる構成を採用することにより、シンニングポケットの容積の拡大効果と切りくず形状の縮小効果の両方を効率的に高めて最適化することができる。
【0015】
なお、本開示において、数値に付随する「約」とは、その数値±5%の範囲を意味する。例えば、当該数値が「10%」であれば、「約10%」とは9.5%~10.5%を示し、当該数値が「100°」であれば、「約100°」とは95°~105°を示し、当該数値が「10倍」であれば、「約10倍」とは9.5倍~10.5倍を示す。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、ドリル本体の一方端部が第1先端部と第2先端部を含んで構成され、また、ドリル本体が第1芯厚部と第2芯厚部を含んで構成されているので、4つ以上の切れ刃を有していても、被切削材に対する食い付き性、及び、切りくずの排出性の向上を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の一実施形態に係る切削工具の一例の概略構造を模式的に示す斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る切削工具の一例の一方端部を模式的に示す平面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る切削工具の一例の一方端部及びその近傍を模式的に示し、且つ、一方端部の先端角を説明するための模式正面図であり、
図2における矢印IIIの方向から見た図でもある。
【
図4】本開示の一実施形態に係る切削工具の一例におけるドリル本体の芯厚の状態を説明するための模式正面図である。
【
図5A】
図1におけるV-V線に沿う切削工具の一方端部及びその近傍を模式的に示し、且つ、第1シンニングの侵入角を説明するための模式断面図である。
【
図5B】
図1におけるV-V線に沿う切削工具の一方端部及びその近傍を模式的に示し、且つ、第2シンニングの侵入角を説明するための模式断面図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る切削工具の一例の一方端部を模式的に示し、且つ、第1シンニングの開き角を説明するための斜視図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る切削工具の一例の一方端部を模式的に示し、且つ、第2シンニングの開き角を説明するための斜視図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る切削工具の一例における主切れ刃とシンニング切れ刃との交点の周辺部位を拡大して示し、且つ、その交点の状態を説明するための模式平面図である。
【
図9】本開示の一実施形態に係る切削工具の他の一例における主切れ刃とシンニング切れ刃との交点の周辺部位を拡大して示し、且つ、その交点の状態を説明するための模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の一例に係る実施形態について、図面を参照して説明する。但し、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、本開示の一例は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、図面の記載においては、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、図面は模式的なものであって、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。さらに、図面相互間においても互いの寸法や比率が異なる部分が含まれ得る。またさらに、以下に説明する実施形態は本開示の一部の実施形態に過ぎず、本開示の実施形態に基づいて、当業者が創造性のある行為を必要とせずに得られる他の実施形態は、何れも本開示の保護範囲に含まれる。
【0019】
(実施形態の構成)
図1は、本開示の一実施形態に係る切削工具の一例(4枚刃ドリル)の概略構造を模式的に示す斜視図である。また、
図2は、本開示の一実施形態に係る切削工具の一例(4枚刃ドリル)の一方端部を模式的に示す平面図であり、その4枚刃ドリルの軸線方向先端視における形状を示す(x軸及びy軸は目安)。
【0020】
4枚刃ドリル100(切削工具)は、ドリル本体1の一方端部10に回転方向前方側を向いて、例えば、周方向に約90°間隔で形成された4つの曲線状を成す主切れ刃3を有するツイスト超硬ソリッドドリルである。ドリル本体1には、周方向に隣接する主切れ刃3間に、中心軸線Pに沿ってねじれを伴なって略螺旋状に延在する4条のフルート溝2が形成されている。フルート溝2の回転方向に向かう壁と、ドリル本体1の一方端部10の先端面との交わる稜線が主切れ刃3を画成しており、この主切れ刃3は、軸線方向先端視において、4枚刃ドリル100の回転方向に向かって緩やかな凹曲線状を成している。また、ドリル本体1の外周面における各主切れ刃3に対応する位置には、それぞれマージン8が形成されている。
【0021】
さらに、一方端部10の先端面は、例えばねじれ面又は曲面で形成されており、主切れ刃3の先端逃げ面4を画成している。この先端逃げ面4の逃げ角は、一定角度に設定されたり、必要に応じて、被切削材の凝着等を防止するために、或いは、摩耗を抑制して工具寿命を延長させるために、主切れ刃3から離間するにしたがって大きくしたりといったように、被切削材の種類や切削条件に応じて適宜設定され得る。
【0022】
また、ドリル本体1の一方端部10の中心部に形成された元のチゼルエッヂの一部を除去するように、シンニング部6が設けられ、ドリル本体1は、一方端部10の先端面の中心部に除去加工後のチゼルエッヂ7を残している。このシンニング部6によって形成される4つのシンニング切れ刃5は、軸線方向先端視において、略直線状を成し、シンニング切れ刃5と主切れ刃3は、それらの交点(後述する交点CP)が所定の鈍角を有するように連接されている。これらの4つのシンニング切れ刃5も、ドリル本体1の一方端部10において、回転方向前方側を向いて形成されている。このように、主切れ刃3とシンニング切れ刃5から、本開示における「切れ刃」が構成されている。
【0023】
また、シンニング部6は、フルート溝2の先端に形成されており、主切れ刃3の先端逃げ面4側に配された第1シンニング61と、その第1シンニング61からフルート溝2に向かって配された第2シンニング62とを有する2段構成のシンニング部である。
【0024】
ここで、
図3は、本開示の一実施形態に係る切削工具の一例(4枚刃ドリル)の一方端部及びその近傍を模式的に示し、且つ、一方端部の先端角を説明するための模式正面図であり、
図2における矢印IIIの方向から見た図でもある(z軸は目安)。
【0025】
ドリル本体1の一方端部10は、中心軸線Pを含む領域を有して尖頭状を成す第1先端部11と、その第1先端部11の周縁からドリル本体1の外周縁まで延在する第2先端部12を有する。また、
図3に示すとおり、第1先端部11及び第2先端部12は、それぞれ、以下の式(1)で表される関係を有する先端角θ11(第1先端角)及び先端角θ12(第2先端角)を有するように形成されている。なお、
図3において、先端角θ11,θ12を画定する破線は、4枚刃ドリルが中心軸線P周りに連続回転しているときの略直線状の回転軌跡によって画成される面に平行な仮想線である。
【0026】
θ11<θ12 …(1)
【0027】
より具体的には、第1先端部11が、中心軸線P(工具中心)からドリル本体1の半径Rの約20%までの部位となるように、換言すれば、第1先端部11の仮想底面の直径は、2R×約20%となる(
図3参照)ように形成することが好ましい。例えば、4枚刃ドリル100の直径φ=10mm(半径R=5mm)とすると、第1先端部11は、その仮想底面の直径が、10mm×約20%=約2mmである部位である。また、好ましくは、第1先端部11の先端角θ11=約120°であり、且つ、第2先端部12の先端角θ12=約140°である。
【0028】
さらに、
図4は、本開示の一実施形態に係る切削工具の一例(4枚刃ドリル)におけるドリル本体の芯厚の状態を説明するための模式正面図である。なお、
図4においては、本構成の理解を容易ならしめるべく、ドリル本体1の縮尺を、
図1に比して、径方向の寸法のみ適宜拡大して示す。
【0029】
図4に示すように、4枚刃ドリル100のドリル本体1は、芯厚に着目すると2段構成を有している。すなわち、ドリル本体1は、その一方端部10から他方端部20へ向かって芯厚がd1からd2へと徐々に縮小するように形成された第1芯厚部13と、その第1芯厚部13から他方端部20へ向かって芯厚がd2で一定となるように形成された第2芯厚部14を有する。
【0030】
より具体的には、第1芯厚部13は、一方端部10の裾外周位置10gにおいて、ドリル本体1の直径φの約35%の芯厚d1を有しており、一方端部10の裾外周位置10gから他方端部20に向かってドリル本体1の直径φの約2倍の距離(=2φ)の位置まで、芯厚が約-2%(約-2mm/100mm)の割合で縮小するように形成された芯厚テーパSTを有する。例えば、4枚刃ドリル100の直径φ=10mmとすると、第1芯厚部13の一方端部10側の最大芯厚d1=10mm×約35%=約3.5mmとなり、芯厚テーパSTの軸長さ2φ=20mmとなり、第1芯厚部13の他方端部20側の最小芯厚d2(第2芯厚部14の芯厚でもある)=d1-(約-2%×20mm)=約3.5mm-約0.4mm=約3.1mmとなる。
【0031】
次に、
図5A及び
図5Bは、それぞれ、
図2におけるVA-VA線及びVB-VB線に沿う切削工具の一方端部及びその近傍を模式的に示す断面図である(z軸は目安)。また、
図5Aは、第1シンニング61の侵入角を説明するための図でもあり、
図5Bは、第2シンニング62の侵入角を説明するための図でもある。
【0032】
図5Aに示すように、第1シンニング61の侵入角θ21とは、
図2の平面視におけるシンニング部6の言わば稜線における第1シンニング61の稜線(破線丸枠C1で示す部分の直線)と中心軸線Pとが成す角度である。同様に、
図5Bに示すように、第2シンニング62の侵入角θ22とは、
図2の平面視におけるシンニング部6の言わば稜線における第2シンニング62の稜線(破線丸枠C2で示す部分の直線)と中心軸線Pとが成す角度である。そして、具体的には、第1シンニング61の侵入角θ21と第2シンニング62の侵入角θ22は、以下の式(2)で表される関係を有すると好ましく、より具体的には、第1シンニング61の侵入角θ21が約40°であり、第2シンニング62の侵入角θ22が約30°であるとより好ましい。
【0033】
θ21>θ22 …(2)
【0034】
次いで、
図6及び
図7は、本開示の一実施形態に係る切削工具の一例(4枚刃ドリル)の一方端部を先端斜め方向から視認した斜視図である(x軸及びy軸は目安)。
図6に示すように、第1シンニング61の開き角θ31とは、第1シンニング61を侵入方向から見た場合の対向面が成す開き角を示す(但し、第1シンニング61の底部のR形状の部分を除く。)。同様に、
図7に示すように、第2シンニング62の開き角θ32とは、第2シンニング62を侵入方向から見た場合の対向面が成す開き角を示す(但し、第2シンニング62の底部のR形状の部分を除く。)。ここで、具体的には、第1シンニング61の開き角θ31と第2シンニング62の開き角θ32は、以下の式(3)で表される関係を有すると好ましく、より具体的には、第1シンニング61の開き角θ31が約60°であり、第2シンニング62の開き角θ32が約55°であるとより好ましい。
【0035】
θ31>θ32 …(3)
【0036】
(実施形態の作用効果)
このように構成された4枚刃ドリル100によれば、シンニング部6によって形成されたシンニング切れ刃5が、元のチゼルエッヂに比して、すくい角が大きく、被切削材の孔切削加工時に生じる切りくずを排出するためのシンニングポケットの容積が大きくなるので、被切削材の切削抵抗、食い付き性、切りくずの排出性を改善することができる。また、孔切削加工においては、ドリル本体1の一方端部10における比較的小さい(尖った)先端角θ11を有する第1先端部11が最初に被切削材に接触するので、2枚刃ドリルに比してチゼルエッヂ7が大きくなりがちであっても、被切削材への食い付き性を十分に高めることができる。加えて、ドリル本体1の外周面の各主切れ刃3に対応する位置に、各主切れ刃3の垂直方向にマージン8を有するので、主切れ刃3に印加される力をマージン8で受け易くして主切れ刃3を保護することができる。また、対面位置にある主切れ刃3にも必ずマージン8が存在するので、ドリル本体1の直径(外径、工具径)を測定し易くすることができる。
【0037】
さらに、一方端部10において、第1先端部11からドリル本体1の外周縁まで延びる第2先端部12の先端角θ12が、第1先端部11の先端角θ11よりも大きくされているので、第1先端部11が被切削材に食い付いてから最外周の主切れ刃3までの中心軸線P方向の距離が比較的短くなる。これにより、第1先端部11が被切削材に食い付き第2先端部12による切削が進むときのドリル本体1の回転が不安定となる時間が短縮され、第2先端部12の肩が加工孔に迅速に収まり易くなるので、ドリル本体1のガイド機能を改善することができる。特に、第1先端部11を、中心軸線Pからドリル本体1の半径Rの約20%までの部位となるように形成し、第1先端部11の先端角θ11を約120°とし、第2先端部12の先端角θ12を約140°とした場合には、第1先端部11の欠損や破損を有効に防止しつつ、被切削材への優れた食い付き性、及び、優れたドリル本体1のガイド機能をより確実に実現することができる。
【0038】
またさらに、一方端部10から他方端部20へ向かう部位の第1芯厚部13が芯厚テーパSTを有して徐々に縮小され、そこから更に他方端部20へ向かう部位の第2芯厚部14の芯厚d2が細く一定とされているので、芯厚の縮小の程度を適宜設定することにより、一方端部10により近い部位から芯厚を薄くして、フルート溝2の容積を早期に急激に増大させることができる。その結果、切りくずの排出性をより一層高めることができる。特に、第1芯厚部13の裾外周位置10gにおける芯厚d1をドリル本体1の直径φの約35%とし、裾外周位置10gから他方端部20に向かってドリル本体1の直径φの約2倍の距離の位置まで、芯厚d2が芯厚d1の約-2%(約-2mm/100mm)の割合で縮小するように形成した場合には、ドリル本体1の剛性を保ちつつ、切りくずの優れた排出性を更に確実に実現することができる。
【0039】
また、主切れ刃3の先端逃げ面4側に配された第1シンニング61と、その第1シンニング61からフルート溝2に向かって配された第2シンニング62とを有する2段構成のシンニング部6が設けられているので、1段構成(第1シンニング61又は第2シンニング62のみ)のシンニング部に比して、シンニングポケットの容積をより大きくすることができ、これにより、切りくずの排出性を更に一層向上させることができる。
【0040】
ここで、
図8は、本開示の一実施形態に係る4枚刃ドリルの一例における主切れ刃3とシンニング切れ刃5との交点CPの周辺部位を拡大して示し、且つ、その交点CPの状態を説明するための模式平面図である。また、
図9は、本開示の一実施形態に係る4枚刃ドリルの他の一例における
図8に示す領域に相当する部分を拡大して示し、且つ、
図8と同様に、主切れ刃3とシンニング切れ刃5との交点CPの状態を説明するための模式平面図である。なお、両図におけるxc軸及びyc軸は交点CPの目安である。
【0041】
これらの図に示すとおり、2段構成のシンニング部6を備えるときの主切れ刃3とシンニング切れ刃5との交点CPの内角θ41は、1段構成のシンニング部6を備えるときの主切れ刃3とシンニング切れ刃5との交点CPの内角θ42よりも鈍角となり得る(すなわち以下の式(4)で表される関係を有する。)。その結果、その交点CP及び周辺部位の欠損を抑制することができる利点がある。
【0042】
θ41>θ42 …(4)
【0043】
また、第1シンニング61の侵入角θ21及び開き角θ31が、それぞれ、第2シンニング62の侵入角θ22及び開き角θ32よりも大きくなるように構成すれば、第1シンニング61によりシンニングポケットの容積が更に増大するので、切りくずの排出性をより一層向上させることができる。また、第2シンニング62により、生じる切りくずのカール(巻き具合)を小さくすることができる。これにより、切りくずの形状が縮小されて、切りくずがフルート溝2をより密に且つ速く移動し易くなり、その結果、切りくずの排出性を殊更に向上させることができる。さらに、第1シンニング61の侵入角θ21及び開き角θ31を、それぞれ、約40°及び約60°とし、第2シンニング62の侵入角θ22及び開き角θ32を、それぞれ、約30°及び約55°とすれば、シンニングポケットの容積の拡大効果と切りくず形状の縮小効果の両方を効率的に高めて最適化することができる。
【0044】
以上、本開示の一例としての上記実施形態について詳細に説明してきたが、上述したとおり、前述した説明はあらゆる点において本開示の一例を示すに過ぎず、本開示の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。また、上記各構成例は、部分的に置換してもよく、適宜組み合わせて構成することも可能であり、さらに、各例において適宜言及したような変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…ドリル本体、2…フルート溝、3…主切れ刃(切れ刃)、4…先端逃げ面、5…シンニング切れ刃(切れ刃)、6…シンニング部、6…シンニング部、7…チゼルエッヂ、8…マージン、10…一方端部、10g…裾外周位置、11…第1先端部、12…第2先端部、13…第1芯厚部、14…第2芯厚部、20…他方端部、61…第1シンニング、62…第2シンニング、100…4枚刃ドリル(切削工具)、CP…交点、C1,C2…稜線、d1,d2…芯厚、P…中心軸線、R…半径、ST…芯厚テーパ、θ11…先端角(第1先端角)、θ12…先端角(第2先端部)、θ21…第1シンニングの侵入角、θ22…第2シンニングの侵入角、θ31…第1シンニングの開き角、θ32…第2シンニングの開き角、θ41,θ42…交点の内角、φ…直径。
【手続補正書】
【提出日】2021-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線周りに回転させられるドリル本体と、
前記ドリル本体の一方端部に回転方向前方側を向いて形成された4つ以上の切れ刃と、
周方向に隣接する前記切れ刃間に形成されており、前記中心軸線に沿って略螺旋状に延在するフルート溝と、
前記フルート溝の先端に形成されており、前記切れ刃の逃げ面側に配された第1シンニングと、該第1シンニングから前記フルート溝に向かって配された第2シンニングとを有するシンニング部と、
を備え、
前記一方端部は、前記中心軸線を含み、且つ、第1先端角を成す第1先端部と、該第1先端部から前記ドリル本体の外周縁まで延在し、且つ、前記第1先端角よりも大きい第2先端角を成す第2先端部とを有し、
前記ドリル本体は、前記一方端部から他方端部へ向かって芯厚が徐々に縮小されるように形成された第1芯厚部と、該第1芯厚部から前記他方端部へ向かって芯厚が一定となるように形成された第2芯厚部とを有し、
前記第1シンニングの侵入角及び開き角は、それぞれ、前記第2シンニングの侵入角及び開き角よりも大きい、
切削工具。
【請求項2】
前記第1先端部は、前記中心軸線から前記ドリル本体の半径の約20%までの部位となるように形成されており、
前記第1先端角は、約120°であり、
前記第2先端角は、約140°である、
請求項1に記載の切削工具。
【請求項3】
前記第1芯厚部は、前記一方端部の裾外周位置において、前記ドリル本体の直径の約35%の芯厚を有しており、前記一方端部の裾外周位置から前記他方端部に向かって前記ドリル本体の直径の約2倍の距離の位置まで、芯厚が約-2%の割合で縮小するように形成された芯厚テーパを有する、
請求項1又は2に記載の切削工具。
【請求項4】
前記第1シンニングの侵入角及び開き角は、それぞれ、約40°及び約60°であり、
前記第2シンニングの侵入角及び開き角は、それぞれ、約30°及び約55°である、
請求項1~3の何れかに記載の切削工具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
【
図1】本開示の一実施形態に係る切削工具の一例の概略構造を模式的に示す斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る切削工具の一例の一方端部を模式的に示す平面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る切削工具の一例の一方端部及びその近傍を模式的に示し、且つ、一方端部の先端角を説明するための模式正面図で
ある。
【
図4】本開示の一実施形態に係る切削工具の一例におけるドリル本体の芯厚の状態を説明するための模式正面図である。
【
図5A】
図1におけるV-V線に沿う切削工具の一方端部及びその近傍を模式的に示し、且つ、第1シンニングの侵入角を説明するための模式断面図である。
【
図5B】
図1におけるV-V線に沿う切削工具の一方端部及びその近傍を模式的に示し、且つ、第2シンニングの侵入角を説明するための模式断面図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る切削工具の一例の一方端部を模式的に示し、且つ、第1シンニングの開き角を説明するための斜視図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る切削工具の一例の一方端部を模式的に示し、且つ、第2シンニングの開き角を説明するための斜視図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る切削工具の一例における主切れ刃とシンニング切れ刃との交点の周辺部位を拡大して示し、且つ、その交点の状態を説明するための模式平面図である。
【
図9】本開示の一実施形態に係る切削工具の他の一例における主切れ刃とシンニング切れ刃との交点の周辺部位を拡大して示し、且つ、その交点の状態を説明するための模式平面図である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
ここで、
図3は、本開示の一実施形態に係る切削工具の一例(4枚刃ドリル)の一方端部及びその近傍を模式的に示し、且つ、一方端部の先端角を説明するための模式正面図で
ある(z軸は目安)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
次に、
図5A及び
図5Bは、それぞれ、
図2におけるVA-VA線及びVB-VB線に沿う切削工具の一方端部及びその近傍を模式的に示す断面図である(z軸は目安)。また、
図5Aは、第1シンニング61の侵入角を説明するための図でもあり、
図5Bは、第2シンニング62の侵入角を説明するための図でもある。
なお、図2におけるVA-VA線は、図2に示す如く、図2のx-y座標の第4象限における第1シンニング61のすくい面と先端逃げ面4との交差稜線(つまりシンニング切れ刃5のうち第1シンニング61によって形成される部分)に平行であり、図5Aに示すように、シンニング切れ刃5から僅かな所定距離だけシンニング部6寄りに位置する。同様に、図2におけるVB-VB線は、図2に示す如く、図2のx-y座標の第4象限における第2シンニング62のすくい面と先端逃げ面4との交差稜線(つまりシンニング切れ刃5のうち第2シンニング62によって形成される部分)に平行であり、図5Bに示すように、シンニング切れ刃から僅かな所定距離(上記のVA-VA線におけるのと同等距離)だけシンニング部6寄りに位置する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
図5Aに示すように、第1シンニング61の侵入角θ21とは、
図2の
VA-VA線に沿う断面における第1シンニング61
部分の
断面(
図5Aの破線丸枠C1で
囲んだ部分)
の両端点を通る仮想直線(図5Aの破線直線)と中心軸線Pとが成す角度である。同様に、
図5Bに示すように、第2シンニング62の侵入角θ22とは、
図2の
VB-VB線に沿う断面における第2シンニング62
部分の
断面(
図5Bの破線丸枠C2で
囲んだ部分)
の両端点を通る仮想直線(図5Aの破線直線)と中心軸線Pとが成す角度である。そして、具体的には、第1シンニング61の侵入角θ21と第2シンニング62の侵入角θ22は、以下の式(2)で表される関係を有すると好ましく、より具体的には、第1シンニング61の侵入角θ21が約40°であり、第2シンニング62の侵入角θ22が約30°であるとより好ましい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
次いで、
図6及び
図7は、本開示の一実施形態に係る切削工具の一例(4枚刃ドリル)の一方端部を先端斜め方向から視認した斜視図である(x軸及びy軸は目安)。
より具体的には、図6は、図2との対比からわかるように、図2のVA-VA線と直交する方向で、且つ、第1シンニング61の侵入角θ21(図5A)に沿って4枚刃ドリル100を先端側から見たときの斜視図である。図6の例では、図2のx-y座標の第3象限におけるシンニング部6の凹空間を、第1象限側から第1シンニング61の侵入角方向に向かって見たときの斜視図であり、第1シンニング61の開き角θ31とは、
このような図6における第1シンニング61の対向面が成す開き角を示す(但し、第1シンニング61の
凹底部のR形状の部分を除く。)。同様に、
図7は、図2との対比からわかるように、図2のVB-VB線と直交する方向で、且つ、第2シンニング62の侵入角θ22(図5B)に沿って4枚刃ドリル100を先端側から見たときの斜視図である。図7の例では、図2のx-y座標の第3象限におけるシンニング部6の凹空間を、第1象限側から第2シンニング62の侵入角方向に向かって見たときの斜視図であり、第2シンニング62の開き角θ32とは、
このような図7における第2シンニング62の対向面が成す開き角を示す(但し、第2シンニング62の
凹底部のR形状の部分を除く。)。ここで、具体的には、第1シンニング61の開き角θ31と第2シンニング62の開き角θ32は、以下の式(3)で表される関係を有すると好ましく、より具体的には、第1シンニング61の開き角θ31が約60°であり、第2シンニング62の開き角θ32が約55°であるとより好ましい。