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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159651
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】地面温度調整装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/00 20060101AFI20221011BHJP
【FI】
A01G13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063980
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】592032588
【氏名又は名称】ミツヤ送風機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小宮 英明
(72)【発明者】
【氏名】美野輪 健一
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】路 華偉
【テーマコード(参考)】
2B024
【Fターム(参考)】
2B024AA10
2B024GA10
(57)【要約】
【課題】手間と時間とをほとんどかけることなく、しかも、気温が低くなっても降霜を防止することができる地面温度調整装置を提供する。
【解決手段】筒状に形成されており、筒の内部と筒の外部とをつないでいる貫通孔11が複数設けられており、所定の土地の地中9に埋められるパイプ5と、パイプ5内に空気を送りだすブロワ7とを有し、パイプ5が地中9に埋められている状態で、ブロワ7でパイプ5内に空気が送られたときに、貫通孔11を通って空気がパイプ5の外部に放出され、パイプ5の外部に放出された空気が地中9を通って土地8の表面3に出てくるようになっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成されており、筒の内部と筒の外部とをつないでいる貫通孔が複数設けられており、所定の土地の地中に埋められるパイプと、
前記パイプ内に空気を送りだすブロワと、
を有し、前記パイプが前記地中に埋められている状態で、前記ブロワで前記パイプ内に空気が送られたときに、前記貫通孔を通って前記空気が前記パイプの外部に放出され、前記パイプの外部に放出された空気が前記地中を通って前記土地の表面に出てくるようになっている地面温度調整装置。
【請求項2】
前記パイプは、前記土地の水はけを良くするために予め設けられていたものであり、前記複数の貫通孔は、前記パイプの上側のみに設けられている請求項1に記載の地面温度調整装置。
【請求項3】
前記パイプは、円筒状に形成されているパイプ本体部と、螺旋状に形成されもしくは複数の環状部位で形成され、前記パイプ本体部の外周面から突出しているパイプ突出部とを備えて構成されており、
前記貫通孔は、前記パイプ本体部の、前記パイプ突出部が不存在である部位に設けられている請求項1または請求項2に記載の地面温度調整装置。
【請求項4】
前記パイプにつながっている排水管を有し、
前記ブロワが非稼働状態にあるときは、前記パイプ内の水が前記排水管内に排出されるように構成されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の地面温度調整装置。
【請求項5】
前記土地は、この表面が芝で覆われているゴルフ用グリーンであり、
前記芝の下は砂の層になっており、
前記砂の層の下は砂利の層になっており、
前記パイプは、前記砂利の層に埋められる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の地面温度調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面温度調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴルフ用グリーンへの降霜対策として、大判の特殊シートでグリーン全体を覆っている(特許文献1、特許文献2参照)。すなわち、プレー終了後に大判の特殊シートをゴルフ用グリーンに被せ、プレー前に大判の特殊シートを剥がしている。この剥がした大判の特殊シートは、倉庫等の所定の場所に収容される。
【0003】
ここで霜降について説明する。霜降は、最低気温が4℃以下で、風が弱く、ある程度の湿度があり、晴れた日に発生する。気温とは地表1.5mの高さにおける空気の温度であり、一般的に、気温が4℃以下であると地表の温度が0℃以下となるおそれが高い。
【0004】
夜問、移動性高気圧におおわれて晴天で無風に近い状態のときに、地表の放射冷却が盛んになることで、地表の温度が低くなり霜降が発生する。地表の温度は地形により大きく異なるため、霜降の発生には局地性がある。
【0005】
発生のしやすい場所として、風が弱まりやすく冷気の溜りやすい場所、盆地の低地部、窪地、空気の流れがせき止められる場所、樹木に囲まれた場所などがある。
【0006】
霜の正体は水蒸気であり、厳密に言えば水蒸気が昇華(水が気体から固体に液体を経ずに相変化すること)によって固体である霜に変化する現象である。東京でも冬や早春(12月~3月)の晴れて放射冷却の厳しい朝は、最低気温が4℃以下となり、霜(霜降)が発生するおそれが高くなる。
【0007】
また、お茶畑やみかん畑の防霜対策として扇風機(プロペラファン)を設置し畑上層の温度の高い空気を作物に吹き付け、空気を攪拌し温度を上げるとともに空気を動かし水の昇華をさせないという対策が取られている。ゴルフ場でもグリーン周りの樹木にプロペラファンを設置し、グリーンへの降霜対策がされることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭62-134367号公報
【特許文献2】実開昭62-104656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来の大判の特殊シートを被せることによるゴルフ用グリーンへの降霜対策では、手間と時間がかかってしまう。
【0010】
すなわち、プレー終了後に大判の特殊シートをグリーンに被せ、プレー前に大判の特殊シートを剥がしているが、1枚の大判の特殊シートのサイズは10m×10m程度である。しかも、ゴルフ用グリーンの全体を大判の特殊シートで覆う必要があるためには、複数枚の大判の特殊シートが必要である。さらに、大判の特殊シートをグリーンに被せた後に降雨があり、大判の特殊シートの上に水が溜まっていると、大判の特殊シートを剥がすのに、さらに、手間と時間がかかってしまう。
【0011】
また、扇風機を設置し上層の温度の高い空気を地面に吹き付ける降霜対策では、上層空気が-2℃以下になると効果がほぼ無くなってしまう。
【0012】
これらの問題は、ゴルフ用グリーンや畑だけでなく、降霜対策が必要なその他の土地においても発生する問題である。
【0013】
本発明は、手間と時間とをほとんどかけることなく、しかも、気温が低くなっても降霜を防止することができる地面温度調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の態様に係る地面温度調整装置は、筒状に形成されており、筒の内部と筒の外部とをつないでいる貫通孔が複数設けられており、所定の土地の地中に埋められるパイプと、前記パイプ内に空気を送りだすブロワとを有し、前記パイプが前記地中に埋められている状態で、前記ブロワで前記パイプ内に空気が送られたときに、前記貫通孔を通って前記空気が前記パイプの外部に放出され、前記パイプの外部に放出された空気が前記地中を通って前記土地の表面に出てくるようになっている地面温度調整装置である。
【0015】
また、本発明の態様に係る地面温度調整装置では、前記パイプが、前記土地の水はけを良くするために予め設けられていたものであり、前記複数の貫通孔が、前記パイプの上側のみに設けられている。
【0016】
また、本発明の態様に係る地面温度調整装置では、前記パイプが、円筒状に形成されているパイプ本体部と、螺旋状に形成されもしくは複数の環状部位で形成され、前記パイプ本体部の外周面から突出しているパイプ突出部とを備えて構成されており、前記貫通孔が、前記パイプ本体部の、前記パイプ突出部が不存在である部位に設けられている。
【0017】
また、本発明の態様に係る地面温度調整装置は、前記パイプにつながっている排水管を有し、前記ブロワが非稼働状態にあるときは、前記パイプ内の水が前記排水管内に排出されるように構成されている。
【0018】
また、本発明の態様に係る地面温度調整装置では、前記土地が、この表面が芝で覆われているゴルフ用グリーンであり、前記芝の下が砂の層になっており、前記砂の層の下が砂利の層になっており、前記パイプが、前記砂利の層に埋められる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、手間と時間とをほとんどかけることなく、しかも、気温が低くなっても降霜を防止することができる地面温度調整装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る地面温度調整装置が設置されたゴルフのグリーンの平面図である。
図2】本発明の実施形態に係る地面温度調整装置が設置されたゴルフのグリーンの断面図である。
図3】(a)は、本発明の実施形態に係る地面温度調整装置のパイプの断面図(パイプの長手方向に対して直交する平面による断面図)である。(b)は、(a)のIIIB部の拡大図である。
図4】(a)は、図3におけるIVA矢視図であり、(b)は図3におけるIVB-IVB断面を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る地面温度調整装置に使用される、フロートによる逆止弁の概略構成を示す断面図である。
図6図4(a)に対応する図であって、変形例に係るパイプを示す図である。
図7】別の変形例に係るパイプを示す図であり、(b)は(a)におけるVIIB矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態に係る地面温度調整装置1は、地面3の温度を調整し、たとえば、地面3への降霜を防止するために使用されるものであり、図1図2で示すように、パイプ5とブロワ7とを備えている。地面3への降霜を防止するための地面温度調整装置1を降霜防止装置と呼んでもよい。
【0022】
パイプ5は、所定の土地8の所定の箇所で地中9に埋められて使用されるようになっている。パイプ5は、図3図4用で示すように筒状に形成されている。パイプ5には、筒の内部と筒の外部とをつないでいる貫通孔11が複数設けられている。ブロワ7は、パイプ5内に空気を送りだすようになっている。
【0023】
そして、パイプ5が地中9に埋められている状態で、ブロワ7でパイプ5内に空気が送られたときに、貫通孔11を通って空気がパイプ5の外部に放出されるようになっている。パイプ5の外部に放出された空気は、地中9を通って土地8の表面(上面;地面;地表)3に出てくるようになっている。
【0024】
ブロワ7が稼働してパイプ5内に空気を送り出している状態では、ブロワ7が吸引する空気(図1の矢印A2参照)の温度に対して、ブロワ7が送り出す空気の温度は、気温に比べてたとえば10℃程度高くなっている。これは、ブロワ7により空気が圧縮されることで、空気が断熱変化に近似した状態変化をするからである。したがって、ブロワ7が稼働してパイプ5内に送り出している空気を昇圧昇温空気と呼んでもよい。
【0025】
ここで土地8(土地8の所定の箇所)として、表面3が芝(グリーン用芝)13で覆われているゴルフ用グリーンを掲げることができる。なお、ゴルフ用グリーン8では、図2で示すように、芝13の下が砂の層(改良砂の層)15になっており、砂の層15の下が砂利の層17になっている。パイプ5は、砂利の層17に埋められる。
【0026】
図2に参照符号19で示すものは土地8の地盤である。砂の層15は、たとえば砂と改良剤とで形成されており、砂の層15における砂粒の直径は、0.3mm~1mm程度になっている。砂利の層17における砂利の直径は、5mm~10mm程度になっている。なお、砂の層15と砂利の層17との間に粗砂の層(図示せず)が設けられていてもよい。この粗砂の層における粗砂の直径は5mm程度になる。
【0027】
パイプ5は、たとえば、ゴルフ用グリーン8(上面3と地中9)の水はけを良くするために予め設けられていたものである。パイプ5の複数の貫通孔11は、図3等で示すように、パイプ5の上側のみに設けられている。
【0028】
パイプ5がゴルフ用グリーン8の水はけを良くするために予め設けられていたものである形態では、パイプ5内の水(水と空気)は、吸引装置によって吸引されるようになっている。なお、吸引装置としてブロワ7が用いられているが、吸引装置としてブロワ7とは異なる装置が用いられている構成であってもよい。なお、吸引装置としてブロワ7が用いられている場合にあっては、たとえば、図示しない方向制御弁によって、ブロワ7が発生させる空気の流れを変えるように構成されている。
【0029】
パイプ5は、図3図4で示すように、筒状に形成されているパイプ本体部21と、螺旋状に形成されておりパイプ本体部21の外周面から突出しているパイプ突出部23とを備えて構成されている。貫通孔11は、パイプ本体部21の、パイプ突出部23が不存在である部位に設けられている。
【0030】
なお、図6で示すように、パイプ突出部23が、複数の環状部位25で形成されていてもよい。複数の環状部位25は、パイプ5の長手方向で一定の間隔をあけてならんでいる。貫通孔11は、パイプ本体部21の、パイプ突出部23(環状部位25)が不存在である部位に設けられている。
【0031】
さらに、図7で示すように、パイプ本体部21が複数本のパイプ本体部構成部材51で構成されていてもよい。図7で示すパイプ5では、円柱状の細長い空間(内部空間)39の外周部に沿って所定の間隔をあけてならんでいる複数本のパイプ本体部構成部材51で、パイプ本体部21が構成されている。複数本のパイプ本体部構成部材51の長手方向はお互いに一致しているとともに、パイプ5の長手方向と一致している。なお、図7で示すパイプ5の複数本のパイプ本体部構成部材51によっても、円筒状のパイプ本体部21が形成されていることになる。
【0032】
図7で示すパイプ5では、複数本のパイプ本体部構成部材51の外側に螺旋状のパイプ突出部23が巻き付いているとともに、パイプ突出部23と複数本のパイプ本体部構成部材51とがお互いにくっついて一体化している。なお、螺旋状のパイプ突出部23に代えて図6で示すような複数の環状部位25を設けてあってもよい。
【0033】
図7で示すパイプ5では、パイプ本体部構成部材51の間と螺旋状のパイプ突出部23の間とに(パイプ本体部構成部材51と螺旋状のパイプ突出部23とが非存在な箇所に)、矩形状の貫通孔11が形成されている。
【0034】
ところで、図3図4図6で示すパイプ5では、パイプ5の上側(たとえば上側の2/3~3/4程度のところ)にのみ貫通孔11が設けられているが、図3図4図6で示すパイプ5において、貫通孔11が全体に設けられていてもよい。すなわち、図3図4図6で示すパイプ5において、図3(a)で示すパイプ本体部21の外周の全長にわたって(パイプ本体部21の円周の全長にわたって)、所定の間隔をあけて、複数の貫通孔11が設けられていてもよい。
【0035】
逆に、図7で示すパイプ5において、パイプ5の上側にのみ貫通孔11が設けられていてもよい。この場合、図7で示すパイプ5におけるパイプ本体部21をパイプ5の長手方向で見ると、パイプ本体部21の下側の部位がパイプ本体部構成部材51ではなく1つの円弧状の部材(円の1/4~1/2程度の円弧状の部材)で構成されていることになる。
【0036】
また、図1で示すように、パイプ5には、排水管27がつながっている。そして、ブロワ(吸引装置)7が非稼働状態にあるときに、パイプ5内の水が排水管27内に排出されるように構成されている。
【0037】
さらに説明すると、ブロワ7とパイプ5とは、第1の接続配管29を介してつながっている。排水管27と第1の接続配管29の中間部とが第2の接続配管31を介してつながっている。第2の接続配管31の途中には、第2の接続配管31を導通させ、または、第2の接続配管31を導通させるための切り換える切換弁(たとえばフロートによる逆止弁)33設けられている。
【0038】
なお、ブロワ7と、第1の接続配管29の、ブロワ7近傍の部位とは、たとえば、ゴルフのプレーの邪魔にならない場所(たとえば、ゴルフコースの外)に設置されている。第1の接続配管29の、ブロワ7近傍の部位以外の部位、第2の接続配管31、フロートによる逆止弁33、および、排水管27は、地盤19や砂利の層17に埋まっている。
【0039】
フロートによる逆止弁33は、図5で示すように、弁本体部35と弁体37とを備えて構成されている。弁本体部35が円筒状に形成されていることで、弁本体部35の内側には、円柱状の空間39が形成されている。
【0040】
円柱状の空間39は、一対の小径部41(41A、41B)と一対の拡径部43(43A、43B)と大径部45とで構成されている。小径部41は外径が小さい円柱状に形成されており、拡径部43は円錐台状に形成されており、大径部45は、外径が大きい円柱状に形成されている。
【0041】
また、水平な方向(図5の左右方向)で、小径部41A、拡径部43A、大径部45、拡径部43B、小径部41Bがこの順につながってならんでいる。
【0042】
弁体37は球形になっている。弁体37の外径は、大径部45に内径よりも小さく、小径部41の内径よりも大きくなっている。
【0043】
そして、ブロワ(吸引装置)7が非稼働状態にあるときには、図5(a)で示すように、弁体37が、大径部45のところに位置し、フロートによる逆止弁33が開いており、第2の接続配管31が導通している。
【0044】
吸引装置7が稼働状態にあるときには、図5(b)で示すように、弁体37が、吸引装置7の吸引力により矢印で示すような力を受けている。これにより、弁体37が拡径部43Aの壁面に付勢力を持って当接し、フロートによる逆止弁33が閉じて、第2の接続配管31が閉じられるようになっている。
【0045】
ブロワ7が稼働状態にあるときには、図5(c)で示すように、弁体37が、ブロワ7から送り出された空気の圧力により矢印で示すような力を受けている。これにより、弁体37が拡径部43Bの壁面に付勢力を持って当接し、フロートによる逆止弁33が閉じて、第2の接続配管31が閉じられるようになっている。
【0046】
パイプ5は、図1で示すように、肋骨配管の形態(葉脈のような形態)で設置されている。すなわち、パイプ5は、主管47とこの主管47から分岐している複数の枝管49とを備えている。主管47の長手方向の一方の端が、第1の接続配管29につながっている。主管47の長手方向の他方の端(先端)と枝管49の先端とは、止め栓等で閉じられている。
【0047】
枝管49の内径の値は、主管47の内径の値よりも小さくなっている。具体的には、枝管49の内径は100mm程度になっており、主管47の内径は150mm程度になっている。
【0048】
また、パイプ5内の水が重力によって、排水管27まで流れるように、パイプ5、第1の接続配管29、第2の接続配管31は、若干斜めになって(若干傾斜して)延びている。
【0049】
パイプ5の外側からパイプ5を眺めると、図4(a)等で示すように、パイプ突出部23が設けられていない部位では、パイプ本体部21が露出している。このパイプ本体部21が露出している部位も、パイプ突出部23の間で螺旋状になって延びている。
【0050】
パイプ5の貫通孔11は、図4(a)等で示すように、たとえば、長円状に形成されており、この長円の長手方向とパイプ本体部21が露出している部位の螺旋の延伸方向とはお互いが一致している。また、複数の貫通孔11は、パイプ本体部21が露出している部位の螺旋の延伸方向で所定の間隔をあけてならんでいるが、図3(a)等で示すように、パイプ本体部21の上側にのみ設けられている。すなわち、パイプ5の長手方向で見ると、貫通孔11は、パイプ5の一方の側部とから上側を通ってパイプ5の他方の側部にわたって設けられており、パイプ5の下側には設けられていない。
【0051】
なお、複数の貫通孔11は、パイプ5の長手方向では、大きさや数が変化することなく一定の形態で設けられているが、複数の貫通孔11が、パイプ5の長手方向で、大きさや数が変化していてもよい。たとえば、パイプ5の基端側(ブロワ7側)では、貫通孔11に数を減らしたり、貫通孔11の大きさを小さくし、一方、パイプ5の先端側(反ブロワ7側)では、貫通孔11に数を増やしたり、貫通孔11の大きさを大きくしてもよい。
【0052】
すなわち、複数の貫通孔11による開口面積(パイプ5の外部とパイプ5の内部空間39とをつなぐ貫通11の面積)が、パイプ5の基端側で小さく、先端側に向かうにしたがって次第に大きくなるようにしてもよい。
【0053】
また、パイプ5の断面(パイプ5の中心軸を含む平面による断面)をとると、図4(b)で示すように、パイプ突出部23の外周は等脚台形状になっており、等脚台形の下底がパイプ本体部21の外周のところに位置している。
【0054】
次に、地面温度調整装置1の動作について説明する。
【0055】
ブロワ7(吸引装置)が非稼働状態であるときには、フロートによる逆止弁33が図5(a)で示す状態になっており、パイプ5内の水が、重力の作用によって第1の接続配管29と第2の接続配管31とを通って排水管27に排出される。
【0056】
なお、ブロワ7(吸引装置)が非稼働状態であるときに、フロートによる逆止弁33が、図5(a)ではなくて、図5(b)や図5(c)示す状態に近い状態なっている場合がある。しかし、図5(b)や図5(c)示す状態に近い状態にあっては、弁体37に図5(b)や図5(c)に矢印で示す付勢力がかかっておらず、フロートによる逆止弁33は開いており、フロートによる逆止弁33を通って、第2の接続配管31に水が流れる。
【0057】
吸引装置7が稼働状態であるときには、フロートによる逆止弁33が図5(b)示す状態になっておりフロートによる逆止弁33が閉じている。そして、パイプ5内の水や空気が吸引装置7で吸引され、この吸引された水や空気が、吸引装置7の外部に排出される(図1の矢印A1参照)。
【0058】
ブロワ7が稼働状態であるときには、フロートによる逆止弁33が図5(c)示す状態になっておりフロートによる逆止弁33が閉じている。そして、ブロワ7で吸引(図1の矢印A2参照)された空気が、圧縮され昇温されて、パイプ5内に送り出される。
【0059】
地面温度調整装置1では、ブロワ7でパイプ5内に空気が送られたときに、パイプ5の貫通孔11を通って空気がパイプ5の外部に放出され、パイプ5の外部に放出された空気が地中9を通って土地8の表面3(芝13のところ)に出てくるようになっている。これにより、手間と時間とをほとんどかけることなく、しかも、気温が低くなっても、地表3への降霜を防止することができる。
【0060】
すなわち、ブロワ7が送り出す空気が、グリーン8の表面3に出てくるので、別途シートで被う等の手間と時間をかけなくても、ブロワ7が送り出す空気によって降霜を防止することができる。
【0061】
また、ブロワ7が送り出す空気の温度は、気温に比べてたとえば10℃程度高くなっているので、気温が-2℃より低くなった場合であっても降霜を防止することができる。なお、気温がさらに低くなっても、ブロワ7での空気の圧縮率をさらに上げたり、別途ヒータを設けてブロワ7から送り出される空気の温度をさらに上げたりすることで、降霜を防止することができる。
【0062】
なお、従来の特殊シートでゴルフ用グリーン8を覆う態様では、特殊シートでゴルフ用グリーン8を覆った後に、強風等によって特殊シートが剥がれてしまうおそれがあるが、地面温度調整装置1を用いることで、特殊シート等のルフ用グリーン8を覆う被覆物が不要になり、強風等による特殊シートの剥がれが当然なくなる。
【0063】
また、地面温度調整装置1では、パイプ5が土地8の水はけを良くするために予め設けられていたものであり、複数の貫通孔11がパイプ5の上側のみに設けられている。これにより、パイプ5の設置工数を無くすことができ、また、パイプ5内の水がパイプ5の下部からパイプ5の外部に流れ出てしまうことが防止される。
【0064】
また、パイプ5が円筒状に形成されているパイプ本体部21と、パイプ本体部21の外周面から突出しているパイプ突出部23とを備えて構成されており、貫通孔11が、パイプ本体部21の、パイプ突出部23が不存在である部位に設けられている。
【0065】
これにより、パイプ5の強度が向上しており、パイプ5内での水の流れがよくなっており、また、貫通孔11が土砂(砂の層15や砂利の層17)で塞がることを極力防止することができる。
【0066】
すなわち、パイプ突出部23によってパイプ5の断面二次モーメントの値が大きくなっており、パイプ5が土圧等によって潰れにくくなっている。また、パイプ5(パイプ本体部21)の中の空間の壁面が、凹凸が存在しない滑らかな形態(円柱側面のような形態)になっているので、パイプ5内での水の流れがよくなっている。また、パイプ5が砂利(砂利の層17)の中に埋められているとすると、砂利の粒がパイプ突出部23の間に挟まり、この挟まった砂利の粒によって土砂が貫通孔11まで到達し難くなっている。これによって、土砂によって貫通孔11が詰まってしまうことが防止される。
【0067】
また、地面温度調整装置1では、ブロワ7(吸引装置)が非稼働状態にあるときに、パイプ5内の水が排水管27内に排出されるように構成されている。これにより、ブロワ7によってパイプ5内に空気が送り出されているとき以外のときに、吸引装置が稼働状態、非稼働状態のいずれの状態であっても、ゴルフ用グリーン8の水はけが良くなっている。
【0068】
また、パイプ5の主管47と枝管49とを図3図4で示すパイプ55で構成してもよいし、パイプ5の主管47を図3図4で示すパイプ5で構成し、パイプ5の枝管49を図7で示すパイプ5で構成してもよい。さらに、パイプ5の主管47やパイプ5の枝管49を、図3、4図で示すパイプ5、図6で示すパイプ5、図7で示すパイプ5の中から適宜選択してもよい。
【0069】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0070】
たとえば、ブロワ7によってパイプ5内に冷えた空気を送り込み、夏の猛暑日に芝13が枯れてしまうことを防止するようにしてもよい。また、地面温度調整装置1を畑等の土地の地面温度調整装置として使用してもよい。また、パイプ5を、図3図4図6図7で示す形態以外の形態のものを使用してもよい。たとえば、パイプ5のパイプ本体部21の形状が楕円な筒状や長円の筒状に形成されていてもよいし、パイプ突出部23の形状が、台形状ではなく、円筒状等の他に形状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 地面温度調整装置
3 表面(上面;地面)
5 パイプ
7 ブロワ
8 土地(ゴルフ用グリーン)
9 地中
11 貫通孔
13 芝
15 砂の層
17 砂利の層
21 パイプ本体部
23 パイプ突出部
27 排水管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7