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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159682
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】田植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20221011BHJP
【FI】
A01C11/02 350H
A01C11/02 350G
A01C11/02 350D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064027
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】宮西 吉秀
(72)【発明者】
【氏名】山内 一喜
(72)【発明者】
【氏名】西村 浩二
(72)【発明者】
【氏名】原野 朱莉
(72)【発明者】
【氏名】尼崎 喬士
【テーマコード(参考)】
2B064
【Fターム(参考)】
2B064AA05
2B064AA07
2B064CA04
2B064CA26
2B064CA27
2B064CA29
2B064CA30
2B064CB07
(57)【要約】
【課題】苗支持装置を備えた田植機において、苗支持装置の載置ベルトにおける延び等の経年劣化を抑える。
【解決手段】苗支持装置に、駆動軸と、駆動軸に取り付けられた駆動回転体と、従動軸86と、従動軸86に取り付けられた従動回転体87と、駆動回転体及び従動回転体87に亘って取り付けられた載置ベルト85と、駆動軸を回転駆動する駆動部とが設けられる。駆動軸及び従動軸86のうちの少なくとも一方を、載置ベルト85に張力を発生させて駆動回転体により載置ベルト85を回転駆動可能とする緊張位置A21と、載置ベルト85を緩ませて載置ベルト85の張力を落とす弛緩位置とに亘って、位置変更可能な位置変更機構96が備えられる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な機体と、
苗のせ台が設けられ、前記機体の後部に支持された苗植付装置と、
前記機体の上方に位置するように前記機体に支持され、苗が載置可能で、載置された苗を前記苗のせ台に供給可能な苗支持装置とが備えられ、
前記苗支持装置に、左右方向に沿った軸芯周りに回転可能に前記苗支持装置の前部及び後部の一方に支持された駆動軸と、前記駆動軸に取り付けられた駆動回転体と、左右方向に沿って前記苗支持装置の前部及び後部の他方に支持された従動軸と、前記従動軸に取り付けられて前記従動軸を左右方向に沿って通る軸芯周りに回転可能な従動回転体と、苗が載置可能で前記駆動回転体及び前記従動回転体に亘って取り付けられた載置ベルトと、前記駆動軸を回転駆動する駆動部とが設けられ、
前記駆動部により前記駆動軸が回転駆動され、前記駆動回転体及び前記載置ベルトが回転駆動されることにより、前記載置ベルトに載置された苗が、後方に搬送され、前記苗支持装置の後部から前記苗のせ台に供給されるように構成され、
前記駆動軸及び前記従動軸のうちの少なくとも一方を、前記載置ベルトに張力を発生させて前記駆動回転体により前記載置ベルトを回転駆動可能とする緊張位置と、前記載置ベルトを緩ませて前記載置ベルトの張力を落とす弛緩位置とに亘って、位置変更可能な位置変更機構が備えられている田植機。
【請求項2】
前記位置変更機構は、前記従動軸を前記緊張位置と前記弛緩位置とに亘って位置変更可能である請求項1に記載の田植機。
【請求項3】
前記駆動軸及び前記駆動回転体が前記苗支持装置の後部に支持され、前記従動軸及び前記従動回転体が前記苗支持装置の前部に支持されている請求項1又は2に記載の田植機。
【請求項4】
前記苗支持装置が、前記苗支持装置の後部を支点として、水平方向に沿った上昇位置と、斜め下方の前方に向いた下降位置とに亘って、揺動可能に支持されている請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の田植機。
【請求項5】
前記位置変更機構に、
左右方向に沿った支持軸芯周りに上下に揺動可能に支持され、前記支持軸芯から前記載置ベルトの巻回経路に対して外側に向けて延出され、前記駆動軸又は前記従動軸が延出端部に支持された位置変更アームと、
側面視で前記支持軸芯を通り且つ前記載置ベルトに沿って前後方向に延出された仮想線に対して、前記駆動軸又は前記従動軸が側面視で上側又は下側に位置するように前記位置変更アームが揺動して停止した状態が、前記駆動軸又は前記従動軸が前記緊張位置に位置した状態となるように、前記位置変更アームが停止した位置を越えて前記載置ベルトの巻回経路の中央部に向けて揺動するのを止めるストッパー部と、
側面視で、前記駆動軸又は前記従動軸が前記緊張位置よりも前記載置ベルトの巻回経路の中央部に近い位置に位置した状態が、前記駆動軸又は前記従動軸が前記弛緩位置に位置した状態となるように、前記位置変更アームが前記仮想線を越えて前記緊張位置に対して反対側に揺動することを許容する案内領域とが設けられている請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の田植機。
【請求項6】
前記駆動軸又は前記従動軸が前記緊張位置に位置した状態で、前記位置変更アームの揺動を固定可能な固定部が備えられている請求項5に記載の田植機。
【請求項7】
前記駆動回転体と前記従動回転体との間の領域に配置され、前記載置ベルトにおいて苗が載置される上側部分に対して下側から接触することにより、前記上側部分を支持可能な上側ガイド部が備えられている請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の田植機。
【請求項8】
前記駆動回転体と前記従動回転体との間の領域に配置され、前記載置ベルトにおいて苗が載置される上側部分に対して下側に位置する下側部分に対して下側から接触することにより、前記下側部分を支持可能な下側ガイド部が備えられている請求項1~7のうちのいずれか一項に記載の田植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型の田植機や無人の自動操縦型式の田植機において、機体の後部に支持された苗植付装置の苗のせ台への苗の供給の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用型の田植機では、機体の後部に支持された苗植付装置の苗のせ台への苗の供給について、特許文献1に開示されているように、苗を載置可能な苗支持装置が、機体の上方に位置するように機体に支持され、苗を苗支持装置の後部から苗のせ台に供給可能に構成されたものが考えられている。
【0003】
特許文献1では、苗支持装置において、載置ベルトが前後方向に沿って設けられ、苗が載置ベルトに載置されるのであり、載置ベルトが回転駆動されることにより、苗が後方に搬送され、苗支持装置の後部から苗のせ台に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-5546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
苗支持装置において、載置ベルトにより苗の支持及び搬送を無理なく行う為には、載置ベルトに適切な張力を発生させておく必要がある。
これに対して1年のうちで、田植機が使用される期間は比較的短く、田植機が倉庫等に保管される期間は比較的長い。従って、載置ベルトに張力を発生させた状態で田植機を倉庫等に保管しておくと、延び等の経年劣化が載置ベルトに生じる可能性があるので、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、苗支持装置を備えた田植機において、苗支持装置の載置ベルトにおける延び等の経年劣化を抑えることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の田植機は、走行可能な機体と、苗のせ台が設けられ、前記機体の後部に支持された苗植付装置と、前記機体の上方に位置するように前記機体に支持され、苗が載置可能で、載置された苗を前記苗のせ台に供給可能な苗支持装置とが備えられ、前記苗支持装置に、左右方向に沿った軸芯周りに回転可能に前記苗支持装置の前部及び後部の一方に支持された駆動軸と、前記駆動軸に取り付けられた駆動回転体と、左右方向に沿って前記苗支持装置の前部及び後部の他方に支持された従動軸と、前記従動軸に取り付けられて前記従動軸を左右方向に沿って通る軸芯周りに回転可能な従動回転体と、苗が載置可能で前記駆動回転体及び前記従動回転体に亘って取り付けられた載置ベルトと、前記駆動軸を回転駆動する駆動部とが設けられ、前記駆動部により前記駆動軸が回転駆動され、前記駆動回転体及び前記載置ベルトが回転駆動されることにより、前記載置ベルトに載置された苗が、後方に搬送され、前記苗支持装置の後部から前記苗のせ台に供給されるように構成され、前記駆動軸及び前記従動軸のうちの少なくとも一方を、前記載置ベルトに張力を発生させて前記駆動回転体により前記載置ベルトを回転駆動可能とする緊張位置と、前記載置ベルトを緩ませて前記載置ベルトの張力を落とす弛緩位置とに亘って、位置変更可能な位置変更機構が備えられている。
【0008】
本発明によると、苗支持装置において、駆動軸、駆動回転体、従動軸、従動回転体、載置ベルト及び駆動部が設けられている。駆動部により駆動軸が回転駆動され、駆動回転体及び載置ベルトが回転駆動されることにより、載置ベルトに載置された苗が、後方に搬送されて、苗支持装置の後部から苗のせ台に供給される。
この場合、位置変更機構により駆動軸(従動軸)を緊張位置に設定して、載置ベルトに適切な張力を発生させておけばよい。
【0009】
田植機を倉庫等に保管する場合、位置変更機構により駆動軸(従動軸)を弛緩位置に設定して、載置ベルトを緩ませて載置ベルトの張力を落としておけばよい。これにより、載置ベルトにおける延び等の経年劣化を抑えることができるので、載置ベルトの耐久性を向上させることができる。
【0010】
本発明において、前記位置変更機構は、前記従動軸を前記緊張位置と前記弛緩位置とに亘って位置変更可能であると好適である。
【0011】
本発明によると、従動軸を緊張位置と弛緩位置とに亘って位置変更することにより、駆動部を一緒に位置変更する必要がないので、構造の簡素化の面で有利である。
【0012】
本発明において、前記駆動軸及び前記駆動回転体が前記苗支持装置の後部に支持され、前記従動軸及び前記従動回転体が前記苗支持装置の前部に支持されていると好適である。
【0013】
本発明によると、駆動回転体により載置ベルトが回転駆動されることによって、載置ベルトにおいて苗が載置される上側部分が、駆動回転体により後方に向けて引き操作されることになるので、載置ベルトが座屈することなく、載置ベルトにより苗が無理なく搬送される。
【0014】
本発明において、前記苗支持装置が、前記苗支持装置の後部を支点として、水平方向に沿った上昇位置と、斜め下方の前方に向いた下降位置とに亘って、揺動可能に支持されていると好適である。
【0015】
本発明によると、通常の作業状態において、苗支持装置を上昇位置に設定しておけば、苗支持装置は水平に近い姿勢となるので、苗が安定して苗支持装置に載置される。
通常の作業状態において、苗を苗支持装置に補給する場合、苗支持装置を下降位置に設定しておくことにより、苗を苗支持装置の苗載置部に載置し易くなるので、作業性を向上させることができる。風の影響を受け易い場合、苗支持装置を下降位置に設定しておくことにより、風の影響を避けることができる。
【0016】
本発明によると、田植機を倉庫等に保管する場合、苗支持装置を下降位置に設定しておくことにより、苗支持装置がコンパクトに機体に支持される状態となるので、田植機を倉庫等に保管し易くするという点で有利である。
【0017】
例えば乗用型の田植機の場合、苗支持装置を上昇位置に設定しておくことにより、機体に搭乗する作業者の前方の視界が確保されるので、作業者にとって乗用型の田植機の操縦が行い易くなる。
例えば乗用型の田植機の場合、苗支持装置を下降位置に設定しても、苗支持装置の後部の高さに変化は少なく、運転部の領域はある程度確保されているので、苗支持装置を下降位置に設定した状態において、作業者が機体に乗降することに支障はない。
【0018】
例えば、位置変更機構により位置変更される駆動軸(従動軸)が苗支持装置の前部に支持されていれば、苗支持装置を下降位置に設定することにより、駆動軸(従動軸)の位置が下がるので、位置変更機構による駆動軸(従動軸)の位置変更が行い易くなる。
【0019】
本発明において、前記位置変更機構に、左右方向に沿った支持軸芯周りに上下に揺動可能に支持され、前記支持軸芯から前記載置ベルトの巻回経路に対して外側に向けて延出され、前記駆動軸又は前記従動軸が延出端部に支持された位置変更アームと、側面視で前記支持軸芯を通り且つ前記載置ベルトに沿って前後方向に延出された仮想線に対して、前記駆動軸又は前記従動軸が側面視で上側又は下側に位置するように前記位置変更アームが揺動して停止した状態が、前記駆動軸又は前記従動軸が前記緊張位置に位置した状態となるように、前記位置変更アームが停止した位置を越えて前記載置ベルトの巻回経路の中央部に向けて揺動するのを止めるストッパー部と、側面視で、前記駆動軸又は前記従動軸が前記緊張位置よりも前記載置ベルトの巻回経路の中央部に近い位置に位置した状態が、前記駆動軸又は前記従動軸が前記弛緩位置に位置した状態となるように、前記位置変更アームが前記仮想線を越えて前記緊張位置に対して反対側に揺動することを許容する案内領域とが設けられていると好適である。
【0020】
本発明によると、位置変更機構に、位置変更アーム、ストッパー部及び案内領域が設けられている。
駆動軸(従動軸)が緊張位置に位置するように、位置変更アームを揺動させると、位置変更アームは仮想線よりも上側(下側)に位置する状態となる。
この状態で載置ベルトの張力が駆動軸(従動軸)に掛かると、位置変更アームはさらに上側(下側)に揺動しようとするのであるが、位置変更アームの上側(下側)への揺動がストッパー部により止められるので、駆動軸(従動軸)が緊張位置に位置した状態で、位置変更アームは停止するのであり、駆動軸(従動軸)は緊張位置に保持される。
【0021】
駆動軸(従動軸)が緊張位置に位置する状態に対して、位置変更アームを案内領域に沿って仮想線を越えて緊張位置に対して反対側に揺動させ、駆動軸(従動軸)を緊張位置よりも載置ベルトの巻回経路の中央部に近い位置である弛緩位置に移動させることにより、載置ベルトを緩ませて載置ベルトの張力を落とすことができる。
【0022】
本発明によると、位置変更アームの揺動による駆動軸(従動軸)の位置変更構造に、ストッパー部と案内領域とを加えることにより、位置変更機構を簡素に構成することができるので、構造の簡素化の面で有利である。
【0023】
本発明において、前記駆動軸又は前記従動軸が前記緊張位置に位置した状態で、前記位置変更アームの揺動を固定可能な固定部が備えられていると好適である。
【0024】
本発明によると、駆動軸(従動軸)が緊張位置に位置した状態で、固定部より位置変更アームの揺動を固定しておくことにより、駆動軸(従動軸)における緊張位置での保持の確実性を高めることができる。
【0025】
本発明において、前記駆動回転体と前記従動回転体との間の領域に配置され、前記載置ベルトにおいて苗が載置される上側部分に対して下側から接触することにより、前記上側部分を支持可能な上側ガイド部が備えられていると好適である。
【0026】
本発明によると、苗が載置ベルトの上側部分に載置された場合、苗の重量により載置ベルトの上側部分が下がろうとしても、載置ベルトの上側部分が上側ガイド部により支持されるので、載置ベルトによる苗の支持及び搬送が安定して行われるようになる。
【0027】
本発明において、前記駆動回転体と前記従動回転体との間の領域に配置され、前記載置ベルトにおいて苗が載置される上側部分に対して下側に位置する下側部分に対して下側から接触することにより、前記下側部分を支持可能な下側ガイド部が備えられていると好適である。
【0028】
載置ベルトの下側部分には苗は載置されないが、載置ベルトの下側部分は自重により下がる可能性がある。
本発明によると、載置ベルトの下側部分が下側ガイド部により支持されるので、載置ベルトによる苗の支持及び搬送が安定して行われるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】乗用型の田植機の左側面図である。
図2】乗用型の田植機の平面図である。
図3】苗のせ台の背面図である。
図4】苗のせ台の付近の正面図である。
図5】苗支持装置を機体フレーム構造に支持させる為の支持フレーム構造を示す平面図である。
図6】苗支持装置の第1苗載置部の底面図である。
図7】苗支持装置の第1苗載置部の後部の付近の底面図である。
図8】苗支持装置の第1苗載置部の後部及び苗供給装置の第1苗供給部の付近の縦断左側面図である。
図9】苗支持装置の第1苗載置部の後部及び苗供給装置の第1苗供給部の付近の縦断左側面図である。
図10】苗支持装置において、緊張位置に操作された従動軸及び従動輪の付近の縦断左側面図である。
図11】苗支持装置において、緊張位置に操作された従動軸及び従動輪、ストッパー部の付近の縦断左側面図である。
図12】苗支持装置において、弛緩位置に操作された従動軸及び従動輪の付近の縦断左側面図である。
図13】苗支持装置において、弛緩位置に操作された従動軸及び従動輪、ストッパー部の付近の縦断左側面図である。
図14】苗支持装置の第2苗載置部の底面図である。
図15】苗支持装置の第2苗載置部の後部及び苗供給装置の第2苗供給部の付近の縦断左側面図である。
図16】苗支持装置の第2苗載置部の後部の背面図である。
図17】苗支持装置の第3苗載置部の底面図である。
図18】苗供給装置の付近の正面図である。
図19】苗支持装置の第2苗載置部が第2載置作業位置に操作され、苗供給装置の第2苗供給部が第2供給作業位置に操作された状態を示す縦断左側面図である。
図20】苗支持装置の第2苗載置部が第2載置格納位置に操作され、苗供給装置の第2苗供給部が第2供給格納位置に操作された状態を示す縦断左側面図である。
図21】苗支持装置の第1苗載置部及び載置移動機構の付近の縦断正面図である。
図22】苗支持装置の第1苗載置部及び苗供給装置の第1苗供給部における左右方向の移動構造を示す平面図である。
図23】苗支持装置の第1苗載置部及び苗供給装置の第1苗供給部における左右方向の移動構造を示す縦断左側面図である。
図24】苗支持装置が下降位置に操作され、苗支持装置の第1苗載置部が第1載置格納位置に操作され、苗支持装置の第2苗載置部が第2載置格納位置に操作され、苗供給装置の第1苗供給部が第1供給格納位置に操作され、苗供給装置の第2苗供給部が第2供給格納位置に操作され、苗のせ台の苗のせ面が格納位置に操作され、支持レールの右部分及び左部分が格納された状態を示す乗用型の田植機の左側面図である。
図25】苗支持装置が下降位置に操作され、苗支持装置の第1苗載置部が第1載置格納位置に操作され、苗支持装置の第2苗載置部が第2載置格納位置に操作され、苗供給装置の第1苗供給部が第1供給格納位置に操作され、苗供給装置の第2苗供給部が第2供給格納位置に操作され、苗のせ台の苗のせ面が格納位置に操作され、支持レールの右部分及び左部分が格納された状態を示す乗用型の田植機の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1図25に、乗用型の田植機が示されている。図1図25において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0031】
(乗用型の田植機の全体構成)
図1及び図2に示すように、左右の前輪1及び左右の後輪2により機体11が支持されて、機体11が走行可能に構成されている。リンク機構3が、機体11の後部に昇降操作可能に支持され、機体11の後部から後方に向けて延出されており、リンク機構3を昇降操作する油圧シリンダ4が設けられている。
【0032】
苗植付装置5がリンク機構3の後部に支持されており、整地装置18が苗植付装置5の前部に支持されている。苗支持装置50及び苗供給装置60が、機体11に支持されている。
【0033】
機体11の前部に、エンジン(図示せず)及びエンジンを覆うボンネット19が設けられており、ボンネット19の後方に位置するように、運転部20が機体11に設けられている。運転部20に、運転座席21及び前輪1を操向操作する操縦ハンドル22が設けられている。
【0034】
(苗植付装置の構成)
図1図4に示すように、苗植付装置5に、支持フレーム43、植付伝動ケース6、回転ケース7及び植付アーム8、フロート9及び苗のせ台10等が設けられている。
【0035】
支持フレーム43が、左右方向に沿って配置されて、前後方向に沿った軸芯P1周りにローリング可能にリンク機構3の後部に支持されている。4個の植付伝動ケース6が、左右方向に所定間隔を空けて支持フレーム43に連結され、後方に向けて延出されており、植付伝動ケース6の後部の右部及び左部に、回転ケース7が回転可能に支持されて、一対の植付アーム8が回転ケース7の両端部に回転可能に支持されている。
【0036】
苗のせ台10が所定のストロークで左右方向に沿って横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が図1の反時計方向に回転駆動されて、2組の植付アーム8が、苗のせ台10の下部から交互に苗を取り出して、田面に植え付ける。
【0037】
以上のように苗植付装置5は、8条植型式に構成されている。支持フレーム43がローリング可能にリンク機構3の後部に支持されることにより、苗植付装置5が、前後方向に沿った軸芯P1周りにローリング可能に、リンク機構3の後部に支持されている。
【0038】
(整地装置の構成)
図1に示すように、苗植付装置5の前部の下部に、田面を整地する整地装置18が支持されている。
【0039】
整地装置18に、左右方向に沿った軸芯周りに回転可能に支持された駆動軸(図示せず)と、駆動軸に取り付けられた多数の整地体(図示せず)とが設けられている。整地装置18の駆動軸が図1の反時計方向に回転駆動されることにより、整地装置18の整地体により田面の整地が行われる。
【0040】
(苗のせ台の構成)
図2,3,4に示すように、苗植付装置5において、苗のせ台10は、8個の苗のせ面10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10hを有しており、苗のせ面10a~10hの各々の間に、縦壁状の仕切り部10jが設けられている。
【0041】
苗のせ台10の苗のせ面10a~10hの下部に、ゴムベルトにより構成された縦送り機構44及び接触型式の苗センサー45が設けられている。苗ステー46が、苗のせ台10の苗のせ面10a~10hから上方に所定間隔を空けて配置され、上下方向に沿って配置されており、苗のせ台10の苗のせ面10a~10hに載置された苗の浮き上がりが、苗ステー46により抑えられる。
【0042】
支持レール47が、左右方向に沿って植付伝動ケース6に支持されており、苗のせ台10の下部が左右方向に沿って移動可能に支持レール47に支持されている。左右の支持フレーム48が、支持フレーム43の右部及び左部に連結されて上方に向けて延出されており、左右の支持フレーム48の上部に亘って支持フレーム49が連結されている。
【0043】
案内レール71が、苗のせ台10の上部の前部に左右方向に沿って連結されており、支持フレーム49に設けられた案内ローラー49bにより、案内レール71(苗のせ台10の上部)が左右方向に沿って移動可能に支持されている。
【0044】
(苗のせ台の苗のせ面における位置変更の構成)
図3及び図4に示すように、苗のせ台10において、苗のせ面10b~10hは互いに連結されており、苗のせ面10aは苗のせ面10b~10hと分離されている。
【0045】
連係リンク72が設けられており、連係リンク72の右部が、左右方向に沿ってスライド可能に、且つ、苗のせ面10bに沿った軸芯周りに揺動可能に、案内レール71の左部に支持されている。連係リンク72の左部が、苗のせ面10aに沿った軸芯周りに揺動可能に、苗のせ面10aに接続されている。苗のせ面10bの後部の下部に、支持台73が設けられており、苗のせ面10aの後部の下部に、操作ハンドル74が設けられている。
【0046】
図2,3,4に示す状態は、苗のせ台10が横送り駆動の左の端部である供給位置で停止した状態であり、苗のせ台10における供給位置側の苗のせ面10aが、他の苗のせ面10bの横側部に接続され連結された作業位置A11に位置した状態である。
【0047】
苗のせ台10が供給位置で停止した状態において、作業者は、苗のせ面10aと苗のせ面10bとの連結を解除し、操作ハンドル74を持って連係リンク72をスライド操作及び上方に揺動操作しながら、図24及び図25に示すように、苗のせ面10aを、苗のせ面10bの横側部から離して苗のせ面10bの上方に移動させ、支持台73に載せて連結する。
【0048】
苗のせ面10aが支持台73に載せられた状態が、苗のせ台10における供給位置側の苗のせ面10aが、他の苗のせ面10bから分離され位置変更されて苗のせ台10の横幅が狭くなる格納位置A12に、位置変更された状態である。
【0049】
(支持レールの位置変更の構成)
図3及び図4に示すように、支持レール47は、中央部分47a、右部分47b及び左部分47cの3つの部分により構成されている。中央部分47aは6個の苗のせ面10b~10gの横幅と同じ長さであり、右部分47bは1個の苗のせ面10hの横幅と同じ長さであり、左部分47cは1個の苗のせ面10aの横幅と同じ長さである。
【0050】
通常の作業状態では、支持レール47の中央部分47aの右及び左部に、支持レール47の右部分47b及び左部分47cが接続されて、支持レール47の全体が直線状となっている。
【0051】
図24及び図25に示すように、苗のせ台10の苗のせ面10aが格納位置A12に位置変更された状態において、支持レール47の右部分47b及び左部分47cを、支持レール47の中央部分47aから分離して、斜め下方の後方に向く位置に位置変更すればよい。これにより、支持レール47の横幅を苗のせ台10の横幅と略同じ横幅に設定することができる。
【0052】
(苗植付装置のローリング制御の構成)
図4に示すように、リンク機構3の後部の上部に、ローリング機構75が取り付けられている。左右のワイヤ76がローリング機構75から右方及び左方に向けて延出されており、支持フレーム49に連結された左右のブラケット49aに、左右のワイヤ76が、コイル型式の左右のバネ77を介して接続されている。
【0053】
ローリング機構75において、右のワイヤ76がローリング機構75に巻き取られ、左のワイヤ76がローリング機構75から繰り出される操作、並びに、左のワイヤ76がローリング機構75に巻き取られ、右のワイヤ76がローリング機構75から繰り出される操作が行われて、苗植付装置5がローリング機構75によりローリング操作される。
【0054】
ブラケット78がリンク機構3の後部に連結されており、案内レール71に連結された左右のブラケット71aとブラケット78とに亘って、コイル型式の左右のバネ79が接続されている。
【0055】
苗のせ台10が左右方向に沿って横送り駆動されると、苗植付装置5は苗のせ台10が横送り駆動された側に傾斜しようとする。この場合、苗のせ台10が横送り駆動された側のバネ79が延ばされるので、このバネ79の付勢力により苗植付装置5の傾斜が抑えられる。
【0056】
苗植付装置5の水平面に対する左右方向での傾斜角度を検出する傾斜センサー(図示せず)が設けられている。苗植付装置5が水平面に対して傾斜すると、傾斜センサーの検出値に基づいて、ローリング機構75により左右のワイヤ76の巻き取り操作及び繰り出し操作が行われて、苗植付装置5が水平に維持される。
【0057】
図4に示すように、硬質ゴム製の左右の抑制部97が、リンク機構3の後部の左右に近接して位置するように、支持フレーム43に設けられている。苗植付装置5がリンク機構3により田面から上方に離れて上昇操作される場合、ローリング機構75が停止した状態で苗植付装置5が上昇操作されるので、バネ79により苗植付装置5が機体11と左右方向で平行な姿勢に戻され、左右の抑制部97がリンク機構3の後部に下側から当たることにより、苗植付装置5のローリングが抑えられ、苗植付装置5が機体11と左右方向で平行な姿勢に維持される。
【0058】
(苗植付装置のローリングの抑制機構の構成)
前述の(苗植付装置のローリング制御の構成)に記載の抑制部97の機能に加えて、以下の説明のように、苗植付装置5のローリングを抑える右及び左の抑制機構98が備えられている。
【0059】
図1及び図4に示すように、右の可撓性を有する線材である右のワイヤ99が設けられており、右のワイヤ99の後端部が支持フレーム43の右端部に接続され、右のワイヤ99の前端部が、後述の(苗支持装置及び苗供給装置を支持する為の機体フレーム構造)に記載のフレーム24の右の下部に接続されている。
【0060】
左の可撓性を有する線材である左のワイヤ99が設けられており、左のワイヤ99の後端部が支持フレーム43の左端部に接続され、左のワイヤ99の前端部がフレーム24の左の下部に接続されている。
【0061】
苗植付装置5において、左右のブラケット100が左右の支持フレーム48の上部に連結され、左右の支持アーム101がブラケット100の上部に連結されている。線材操作部である左右の操作ローラー102が、左右方向に沿った軸芯周りに自由回転可能に、支持アーム101の上端部に支持されており、左右のワイヤ99の中間部が操作ローラー102に掛けられている。
【0062】
抑制機構98に、ワイヤ99と操作ローラー102とが設けられている。右の抑制機構98が、苗植付装置5の右部と機体11の右部と亘って設けられており、左の抑制機構98が、苗植付装置5の左部と機体11の左部と亘って設けられている。
【0063】
図1及び図4に示す状態は、苗植付装置5が田面に下降操作された状態である。この状態において、抑制部97(前述の(苗植付装置のローリング制御の構成)を参照)が、リンク機構3の後部から離れている。左右の抑制機構98において、操作ローラー102が苗植付装置5と一緒に下降操作されて、ワイヤ99が弛んでいる状態である。この状態において、前述の(苗植付装置のローリング制御の構成)に記載の苗植付装置5のローリングが許容される。
【0064】
前述の(苗植付装置のローリング制御の構成)に記載のように、苗植付装置5がリンク機構3により上昇操作されると、操作ローラー102が苗植付装置5と一緒に上昇操作される。
【0065】
これに伴って図24に示すように、操作ローラー102がワイヤ99の中間部を上方に押し上げ、ワイヤ99に張力を発生させて、左右の抑制機構98により苗植付装置5のローリングが抑えられる。これに加えて、前述の(苗植付装置のローリング制御の構成)に記載の抑制部97の機能により、苗植付装置5のローリングが抑えられる。
【0066】
(苗支持装置及び苗供給装置を支持する為の機体フレーム構造)
後述の(苗支持装置の構成)及び(苗供給装置の構成)に記載の苗支持装置50及び苗供給装置60が、機体11に支持されるのであり、苗支持装置50及び苗供給装置60を支持する為の機体フレーム構造が、以下の説明のように機体11に設けられている。
【0067】
図1に示すように、左右のフレーム23が、運転座席21の左右の横側方に位置するように、機体11の右部及び左部に連結されて上方に向けて延出されている。アーチ状のフレーム24が設けられて、フレーム24の右部及び左部が左右のフレーム23の後部に連結されている。
【0068】
アーチ状のフレーム25が設けられて、フレーム25の右部及び左部が左右のフレーム23の前部に連結され、フレーム25が運転座席21の上方を左右方向に沿って配置されている。フレーム24の左右中央部とフレーム25の左右中央部とに亘って、フレーム30が連結されている。
【0069】
左右のフレーム26が、ボンネット19の左右の横側方に位置するように、機体11の右部及び左部の前部に連結されて上方に向けて延出されている。左右のフレーム27が、ボンネット19の左右の横側方に位置するように、機体11の右部及び左部の前部に連結され上方に向けて延出されて、左右のフレーム26の上部に連結されている。左右のフレーム28が、フレーム26,27の下部に亘って連結されている。
【0070】
左右のフレーム29が設けられており、右のフレーム29が、フレーム25の右部の上部と右のフレーム26の上部とに亘って連結されている。左のフレーム29が、フレーム25の左部の上部と左のフレーム26の上部とに亘って連結されている。
【0071】
(苗支持装置を機体フレーム構造に支持させる為の支持フレーム構造)
苗支持装置50を支持する支持フレーム構造が、以下の説明のように構成されて、前述の(苗支持装置及び苗供給装置を支持する為の機体フレーム構造)に記載の機体フレーム構造に、以下の説明のように支持されている。
【0072】
図1及び図5に示すように、平面視でU字状の支持フレーム31が設けられており、支持フレーム31の前部の右部及び左部に亘って支持フレーム32が連結され、支持フレーム31の後部の右部及び左部に亘って支持フレーム33が連結されている。
【0073】
支持フレーム32の左右中央部と支持フレーム33の左右中央部とに亘って、支持フレーム34が連結されている。支持フレーム32の左右中央部と支持フレーム34とに亘って、支持フレーム35が連結されている。右の支持フレーム35が、支持フレーム31の前部の右部と支持フレーム32の右部とに亘って連結され、左の支持フレーム35が、支持フレーム31の前部の左部と支持フレーム32の左部とに亘って連結されている。
【0074】
左右のボス部36が支持フレーム31の左右の後部に連結されており、ボス部36がフレーム25の上部に、回転可能に取り付けられている。これにより、支持フレーム31~35が、左右方向に沿った軸芯P2周りに上下に揺動可能に、フレーム25の上部に支持されている。
【0075】
図1に示すように、左右の昇降アーム37が、左右方向に沿った軸芯P3周りに上下に揺動可能に、左右のフレーム26の上部に支持されており、左右の電動シリンダ38が、フレーム28と昇降アーム37とに亘って接続されている。
【0076】
左右の連係フレーム39が設けられて、連係フレーム40が左右の連係フレーム39に亘って連結されている。連係フレーム39の下部が、左右の昇降アーム37の前端部に前後揺動可能に接続され、連係フレーム39の上部が、前述の(苗支持装置を機体フレーム構造に支持させる為の支持フレーム構造)の記載及び図5に示すように、支持フレーム32に前後揺動可能に接続されている。
【0077】
電動シリンダ38が伸縮操作されることにより、昇降アーム37が上下に揺動操作されて、連係フレーム39,40を介して、支持フレーム31~35がフレーム25の軸芯P2周りに上下に揺動操作される。図1に示す状態は、電動シリンダ38が伸長操作され、支持フレーム31~35が上昇操作された状態であり、支持フレーム31~35がフレーム25及び電動シリンダ38を介して機体11に支持された状態である。
【0078】
左右の受けフレーム41が、フレーム27の上部に連結されて、斜め上方の前方に向けて延出されている。左右の受けフレーム42が、機体11の前部に連結されて、ボンネット19の前方を上方に向けて延出されている。
【0079】
図1に示す状態から、電動シリンダ38が収縮操作されて、支持フレーム31~35が下降操作されると、図24に示すように、支持フレーム32が受けフレーム41,42の上部に載って支持されるのであり、支持フレーム31~35がフレーム25及び受けフレーム41,42を介して機体11に支持された状態となる。
【0080】
(苗支持装置の構成)
図1及び図2に示すように、苗支持装置50は、前述の(苗支持装置を機体フレーム構造に支持させる為の支持フレーム構造)に記載の支持フレーム31~35に支持されており、機体11の上方に位置するように機体11に支持されている。
【0081】
苗支持装置50は、第1の苗載置部である第1苗載置部51と、第2の苗載置部である第2苗載置部52と、苗載置部である第3苗載置部53とを有している。3個の載置ベルト85が第1苗載置部51に前後方向に沿って設けられ、2個の載置ベルト85が第2苗載置部52に前後方向に沿って設けられ、3個の載置ベルト85が第3苗載置部53に前後方向に沿って設けられている。
【0082】
苗支持装置50において、第1苗載置部51が左部に配置され、第3苗載置部53が右部に配置され、第2苗載置部52が第1苗載置部51と第3苗載置部53との間に配置されている。苗が8個の載置ベルト85の各々に載置可能であり、8個の載置ベルト85の各々が、苗支持装置50の苗載置部に相当する。これにより、苗のせ台10の苗のせ面10a~10hと同じ数(8個)の載置ベルト85が、苗支持装置50に設けられている。
【0083】
第1苗載置部51の左、中央、右の載置ベルト85が、苗のせ台10の苗のせ面10a,10b,10cに対応する。第2苗載置部52の左及び右の載置ベルト85が、苗のせ台10の苗のせ面10d,10eに対応する。第3苗載置部53の左、中央、右の載置ベルト85が、苗のせ台10の苗のせ面10f,10g,10hに対応する。
【0084】
前述の(苗支持装置を機体フレーム構造に支持させる為の支持フレーム構造)に記載のように、電動シリンダ38により支持フレーム31~35がフレーム25の軸芯P2周りに上下に揺動操作されることによって、苗支持装置50は、苗支持装置50の後部を支点として、水平方向に沿った上昇位置A31(図1参照)と、斜め下方の前方に向いた下降位置A32(図24参照)とに亘って、揺動操作される。
【0085】
(苗支持装置の第1苗載置部のフレームに関する構成)
図6及び図7に示すように、前後方向に沿って配置された複数の縦フレーム54が設けられており、複数の横フレーム55,56が縦フレーム54に亘って連結されている。前フレーム57及び案内フレーム58が縦フレーム54の前部に亘って連結され、後フレーム59が縦フレーム54の後部に亘って連結されている。
【0086】
図1,6,7に示すように、4個のブラケット69が、右及び左の縦フレーム54の前部及び後部に下向きに連結されている。2個の縦フレーム70が前後のブラケット69に亘って連結され、2個の横フレーム80,81が左右のブラケット69に亘って連結されている。
【0087】
図7,8,9に示すように、6個のブラケット64が、後フレーム59に連結されて、後方に向けて延出されている。3個の駆動軸65が、右の2個のブラケット64、中央の2個のブラケット64、左の2個のブラケット64の各々に、左右方向に沿った軸芯周りに回転可能に支持されており、3個の駆動回転体66が、駆動軸65の各々に取り付けられている。駆動軸65及び駆動回転体66が、苗支持装置50(第1苗載置部51)の後部に支持された状態となっている。
【0088】
3個のギヤケース67及び3個の駆動部である電動モータ68が、3個のブラケット64の各々に連結されており、3個の電動モータ68により3個の駆動軸65及び駆動回転体66が各々独立に回転駆動される。3個の電動モータ68のうち、中央及び左の電動モータ68が、上方に持ち上げられるように前向きに配置されている。
【0089】
3本の支点軸82が、右の2個のブラケット64、中央の2個のブラケット64、左の2個のブラケット64の各々に、左右方向に沿って連結されている。多数の案内回転体83が、支点軸82に自由回転可能に支持されている。案内回転体83が、苗支持装置50(第1苗載置部51)の後部に支持された駆動回転体66に対して後側の位置で、苗支持装置50の後部と苗供給装置60(後述の(苗供給装置の構成)を参照)の上部との間において、左右方向に沿った軸芯周りに自由回転可能に支持された状態となっている。
【0090】
平板状の3個の案内板84が、上下に自由に揺動可能に支点軸82に支持されて、苗支持装置50(第1苗載置部51)の後部から苗供給装置60(後述の(苗供給装置の構成)を参照)の上端部に向けて延出されている。
【0091】
図6に示すように、1個の従動軸86が、縦フレーム54の前部に支持されて前フレーム57に沿うように配置されており、従動軸86が左右方向に沿って苗支持装置50(第1苗載置部51)の前部に支持されている。3個の従動回転体87が、各々独立に回転可能に従動軸86に取り付けられており、従動回転体87が、従動軸86を左右方向に沿って通る軸芯周りに回転可能に支持されている。
【0092】
(苗支持装置の第1苗載置部の載置ベルトに関する構成)
図6図9に示すように、3個のゴム製の幅広の載置ベルト85が設けられており、載置ベルト85が駆動回転体66及び従動回転体87に亘って取り付けられている。載置ベルト85は、複数の短い幅広のベルトが接続されて、1個の載置ベルト85として構成されている。
【0093】
縦フレーム54が載置ベルト85よりも上側に突出して仕切り壁状となっており、3個の載置ベルト85が縦フレーム54により互いに仕切られた状態となって、3個の載置ベルト85の各々が独立した苗載置部となる。
【0094】
複数の支点軸88が、載置ベルト85の巻回経路を左右方向に沿って通るように、縦フレーム54に連結されており、上側ガイド部である円柱状の上側ガイド体89が、支点軸88に自由回転可能に支持されている。
【0095】
上側ガイド体89が、載置ベルト85の巻回経路の内部の領域における駆動回転体66と従動回転体87との間の領域に配置されている。上側ガイド体89は、載置ベルト85において苗が載置される上側部分に対して下側から接触することにより、載置ベルト85の上側部分を支持する。
【0096】
複数の支点軸90が、載置ベルト85の巻回経路に対して下側を左右方向に沿って通るように、縦フレーム54に連結されており、下側ガイド部である下側ガイド体91が、支点軸88及び横フレーム81に自由回転可能に支持されている。
【0097】
下側ガイド体91が、載置ベルト85の巻回経路に対して下側の領域における駆動回転体66と従動回転体87との間の領域に配置されている。下側ガイド体91は、載置ベルト85において苗が載置される上側部分に対して下側に位置する下側部分に対して下側から接触することにより、載置ベルト85の下側部分を支持する。
【0098】
図8及び図9に示すように、電動モータ68により駆動軸65が回転駆動され、駆動回転体66及び載置ベルト85が図8及び図9の時計方向に回転駆動されるのであり、載置ベルト85に載置された苗が、後方に搬送される。
【0099】
(苗支持装置の第1苗載置部の従動回転体の位置変更に関する構成)
図10図13に示すように、従動軸86を緊張位置A21と弛緩位置A22とに亘って位置変更可能な位置変更機構96が、苗支持装置50(第1苗載置部51)の前部に設けられている。
【0100】
第1苗載置部51において、左右の支持ブラケット92が前フレーム57の右部及び左部に連結されて、ストッパー部94が前フレーム57の左右中間部に連結されている。
側面視でL字形状の位置変更アーム93が、左右方向に沿った支持軸芯である軸芯P4周りに上下に揺動可能に、支持ブラケット92に支持されている。位置変更アーム93から操作部93aが延出されており、操作部93aの端部が折り曲げられて持ち手部93bが形成されている。
【0101】
案内領域である円弧状の案内孔92aが、軸芯P4を中心とするように支持ブラケット92に開口されている。位置変更アーム93が軸芯P4から載置ベルト85の巻回経路に対して外側である前側に向けて延出されており、従動軸86が、位置変更アーム93に支持されて、支持ブラケット92の案内孔92aを通っている。
以上のように、位置変更機構96に、位置変更アーム93、ストッパー部94、支持ブラケット92(案内孔92a)等が設けられている。
【0102】
(苗支持装置の第1苗載置部の従動回転体の位置変更の操作)
図10及び図12に示すように、側面視で軸芯P4を通り且つ載置ベルト85の巻回経路に沿って前後方向に延出された仮想線L1を想定する。
【0103】
図10及び図11に示す状態は、従動軸86及び位置変更アーム93が、側面視で仮想線L1に対して上側に位置するように、位置変更アーム93が揺動して停止した状態であり、従動軸86が緊張位置A21に位置した状態であり、載置ベルト85に張力を発生させて駆動回転体66により載置ベルト85を回転駆動可能な状態である。
【0104】
載置ベルト85の張力により、位置変更アーム93が停止した位置を越えて載置ベルト85の巻回経路の中央部に向けて揺動しようとしても(後方に揺動しようとしても)、従動軸86がストッパー部94の上部分94a及び支持ブラケット92の案内孔92aの上端部に当たることにより、位置変更アーム93の揺動が止められる。
【0105】
固定部であるノブ付きボルト95を、位置変更アーム93の操作部93aと支持ブラケット92とに亘って取り付けることにより、従動軸86が緊張位置A21に位置した状態で、位置変更アーム93の揺動を固定することができる。
【0106】
図10及び図11に示す状態から従動軸86を弛緩位置A22に操作する場合、ノブ付きボルト95を取り外し、位置変更アーム93の持ち手部93bを後方に押し操作する。
これにより、図12及び図13に示すように、従動軸86及び位置変更アーム93が、仮想線L1を越えて緊張位置A21に対して反対側である下側に、支持ブラケット92の案内孔92aに沿って揺動するのであり(支持ブラケット92の案内孔92aにより揺動が許容されるのであり)、従動軸86がストッパー部94の下部分94b及び支持ブラケット92の案内孔92aの下端部に当たることにより、位置変更アーム93の揺動が止められる。
【0107】
図12及び図13に示す状態が、側面視で従動軸86が緊張位置A21よりも載置ベルト85の巻回経路の中央部に近い位置に位置した状態であり、従動軸86が載置ベルト85を緩ませて載置ベルト85の張力を落とす弛緩位置A22に位置した状態である。
従動軸86及び位置変更アーム93を弛緩位置A22から緊張位置A21に操作する場合、前述とは逆の操作を行えばよい。
【0108】
(苗支持装置の第2苗載置部及び第3苗載置部の構成)
図14及び図17に示すように、苗支持装置50において、第2苗載置部52及び第3苗載置部53は、前述の(苗支持装置の第1苗載置部のフレームに関する構成)、(苗支持装置の第1苗載置部の載置ベルトに関する構成)、(苗支持装置の第1苗載置部の従動回転体の位置変更に関する構成)、(苗支持装置の第1苗載置部の従動回転体の位置変更の操作)に記載の構成と同じ構成を備えている。
【0109】
前述の(苗支持装置の構成)に記載のように、第1苗載置部51及び第3苗載置部53に、3個の載置ベルト85が設けられ、第2苗載置部52に2個の載置ベルト85が設けられており、第2苗載置部52の横幅が、第1苗載置部51の横幅及び第3苗載置部53の横幅よりも狭いものとなっている。
【0110】
図14及び図17に示すように、第3苗載置部53において、第1苗載置部51の縦フレーム70及び横フレーム80,81は設けられていない。
第2苗載置部52において、第1苗載置部51の縦フレーム70及び横フレーム80,81は設けられておらず、中央の縦フレーム54の下方に、縦フレーム12が前後方向に沿って配置されている。
【0111】
図14,15,16に示すように、第2苗載置部52において、平板状の3個の案内板84が、上下に揺動可能に支点軸82に支持され、支点軸82に取り付けられたバネ13により上方に付勢されている。案内板84は、苗支持装置50(第2苗載置部52)の後部から苗供給装置60(後述の(苗供給装置の構成)を参照)の上端部に向けて延出されている。
【0112】
(苗支持装置における第1苗載置部、第2苗載置部及び第3苗載置部の支持フレームへの支持構造)
苗支持装置50において、第1苗載置部51、第2苗載置部52及び第3苗載置部53が、前述の(苗支持装置を機体フレーム構造に支持させる為の支持フレーム構造)に記載の支持フレーム31~35に、以下の説明のように支持されている。
【0113】
図5図9に示すように、第1苗載置部51において、上下2個の案内ローラー109aが自由回転可能に支持された案内部109が、前の横フレーム80に2組連結され、後の横フレーム81に2組連結されている。
【0114】
第1苗載置部51において、支持フレーム31の前部の左部が、前の案内部109の上下の案内ローラー109aの間に挿入され、支持フレーム33の左部が、後の案内部109の上下の案内ローラー109aの間に挿入されており、第1苗載置部51が案内部109により支持フレーム31~35に左右方向に沿って移動可能に支持されている。
【0115】
図5に示すように、第3苗載置部53において、ブラケット69が支持フレーム31の前部及び後部の右部、支持フレーム33の右部に連結されており、第3苗載置部53は支持フレーム31~35に対して位置変更はしない。
【0116】
図14,19,20に示すように、第2苗載置部52において、前リンク110が、左右方向に沿った軸芯P5周りに上下に揺動可能に、支持フレーム34の前部に支持されており、後方に向けて延出されている。後リンク111が、左右方向に沿った軸芯P6周りに上下に揺動可能に、支持フレーム34の後部に支持されており、後方に向けて延出されている。
【0117】
第2苗載置部52において、前リンク110及び後リンク111の上部が、左右方向に沿った軸芯周りに揺動可能に、縦フレーム12の前部及び後部に接続されており、第2苗載置部52が前リンク110及び後リンク111により支持フレーム31~35に昇降可能に支持されている。
【0118】
図1,2,5,19に示す状態は、苗支持装置50の左部に位置する第1苗載置部51及び右部に位置する第3苗載置部53と、第1苗載置部51における機体11の右の横外側とは反対側の部分に隣接する第2苗載置部52とにおいて、第2苗載置部52が、第1苗載置部51及び第3苗載置部53と同じ高さに配置された第2載置作業位置B21に位置した状態である。
【0119】
第2載置作業位置B21において、第2苗載置部52のブラケット69が支持フレーム31の前部及び支持フレーム33に載っており、第2苗載置部52は、支持フレーム31~35に支持された状態で、第1苗載置部51及び第3苗載置部53の間に配置されている。
【0120】
図1,2,5に示す状態は、第1苗載置部51が、第2載置作業位置B21に配置された第2苗載置部52に対して左横側に隣接する第1載置作業位置B11に位置した状態である。第1載置作業位置B11において、第1苗載置部51は、支持フレーム31~35に対して左側に移動した位置に位置している。
【0121】
(苗供給装置の構成)
図1及び図2に示すように、苗供給装置60は、前述の(苗支持装置及び苗供給装置を支持する為の機体フレーム構造)に記載のフレーム24,25,30に支持されている。苗供給装置60は、苗支持装置50の後部から斜め下方の後方に向けて延出され、苗支持装置50の後部と苗のせ台10の上端部とに亘るように、フレーム24,25,30を介して機体11に支持されている。
【0122】
図2及び図18に示すように、苗供給装置60は、第1の苗供給部である第1苗供給部61と、第2の苗供給部である第2苗供給部62と、苗供給部である第3苗供給部63とを有している。3個の苗供給面61aが第1苗供給部61に前後方向及び上下方向に沿って設けられ、2個の苗供給面62aが第2苗供給部62に前後方向及び上下方向に沿って設けられ、3個の苗供給面63aが第3苗供給部63に前後方向及び上下方向に沿って設けられている。
【0123】
苗供給装置60において、第1苗供給部61が左部に配置され、第3苗供給部63が右部に配置され、第2苗供給部62が第1苗供給部61と第3苗供給部63との間に配置されている。
【0124】
第1苗供給部61、第2苗供給部62及び第3苗供給部63において、8個の苗供給面61a,62a,63aの各々が、苗供給装置60の苗供給部に相当する。これにより、苗のせ台10の苗のせ面10a~10hと同じ数(8個)の苗供給面61a,62a,63aが、苗供給装置60に設けられている。
【0125】
第1苗供給部61の左、中央、右の苗供給面61aが、苗のせ台10の苗のせ面10a,10b,10cに対応する。第2苗供給部62の左及び右の苗供給面62aが、苗のせ台10の苗のせ面10d,10eに対応する。第3苗供給部63の左、中央、右の苗供給面63aが、苗のせ台10の苗のせ面10f,10g,10hに対応する。
【0126】
(苗供給装置の第1苗供給部、第2苗供給部及び第3苗供給部の構成)
図18に示すように、第1苗供給部61、第2苗供給部62及び第3苗供給部63において、上下方向(前後方向)に沿って配置された2個の縦フレーム103が設けられており、3個の横フレーム104が縦フレーム103に亘って連結されている。
【0127】
第1苗供給部61及び第3苗供給部63において、3個の苗供給面61a,63aが縦フレーム103及び横フレーム104に連結されている。第2苗供給部62において、2個の苗供給面62aが縦フレーム103及び横フレーム104に連結されている。
【0128】
硬質ゴム製のブロック状の弾性材118が、第1苗供給部61の苗供給面61a、第2苗供給部62の苗供給面62a及び第3苗供給部63の苗供給面63aの各々の下端部に取り付けられている。
【0129】
第1苗供給部61、第2苗供給部62及び第3苗供給部63において、駆動軸106が中央の横フレーム104の下部及び下の横フレーム104の下部に沿って左右方向に支持されている。多数の星形状の供給回転体105が、駆動軸106に取り付けられて、苗供給面61a,62a,63aから上側(後側)に出ている。
【0130】
上の駆動軸106を回転駆動する電動モータ107が、中央の横フレーム104に支持されており、上下の駆動軸106に亘って伝動チェーン108が取り付けられている。電動モータ07により、上の駆動軸106及び供給回転体105が図1の時計方向に回転駆動されるのであり、伝動チェーン108を介して下の駆動軸106及び供給回転体105が図1の時計方向に回転駆動される。
【0131】
(苗供給装置における第1苗供給部、第2苗供給部及び第3苗供給部のフレームへの支持構造)
苗供給装置60において、第1苗供給部61、第2苗供給部62及び第3苗供給部63が、前述の(苗支持装置及び苗供給装置を支持する為の機体フレーム構造)に記載のフレーム24,25,30に、以下の説明のように支持されている。
【0132】
図8,9,18に示すように、第1苗供給部61において、上下2個の案内ローラー112aが自由回転可能に支持された供給移動機構である案内部112が、下の横フレーム104に2組連結されている。1個の案内ローラー113aが自由回転可能に支持された供給移動機構である案内部113が、上の横フレーム104に1組連結されている。
【0133】
第1苗供給部61において、フレーム24の上部の左部が案内部112の上下の案内ローラー112aの間に挿入され、フレーム25の上部の左部が案内部113の案内ローラー113aに接触することにより、第1苗供給部61が案内部112,113によりフレーム24,25の左部に左右方向に沿って移動可能に支持されている。
【0134】
図18に示すように、第3苗供給部63において、ブラケット114が上下の横フレーム104に連結され、ブラケット114がフレーム24,25の上部の右部に連結されており、第3苗供給部63はフレーム24,25に対して位置変更はしない。
【0135】
図18,19,20に示すように、第2苗供給部62において、供給昇降機構である上リンク115が、左右方向に沿った軸芯P7周りに上下に揺動可能に、フレーム30の上部に支持されて、上方に向けて延出されている。供給昇降機構である下リンク116が、左右方向に沿った軸芯P8周りに上下に揺動可能に、フレーム30の下部に支持されて、上方に向けて延出されている。
【0136】
第2苗供給部62において、縦フレーム117が、上の横フレーム104と中央の横フレーム104とに亘って連結されている。上リンク115及び下リンク116の上部が、左右方向に沿った軸芯周りに揺動可能に、縦フレーム117の上部及び下部に接続されており、第2苗供給部62が上リンク115及び下リンク116によりフレーム30に昇降可能に支持されている。
【0137】
図1,2,18,19に示す状態は、苗供給装置60の左部に位置する第1苗供給部61及び右部に位置する第3苗供給部63と、第1苗供給部61における機体11の右の横外側とは反対側の部分に隣接する第2苗供給部62とにおいて、第2苗供給部62が、第1苗供給部61及び第3苗供給部63と同じ高さに配置された第2供給作業位置C21に位置した状態である。
【0138】
第2供給作業位置C21において、第2苗供給部62の横フレーム104がフレーム24,25の上部に載っており、第2苗供給部62は、フレーム24,25に支持された状態で、第1苗供給部61及び第3苗供給部63の間に配置されている。
【0139】
第1苗供給部61が、第2供給作業位置C21に配置された第2苗供給部62に対して左横側に隣接する第1供給作業位置C11に位置している。第1供給作業位置C11において、第1苗供給部61は、フレーム24,25の上部に対して左側に移動した位置に位置している。
【0140】
(苗支持装置及び苗供給装置の配置状態)
前述の(苗のせ台の苗のせ面における位置変更の構成)の記載及び図2に示すように、苗のせ台10が供給位置で停止した状態において、苗支持装置50及び苗供給装置60と苗のせ台10とが、左右方向で同じ位置になるように、苗支持装置50及び苗供給装置60が配置されている。
【0141】
これにより、苗支持装置50及び苗供給装置60が、機体11の左右中央(苗植付装置5の左右中央)に対して、苗のせ台10の苗のせ面10a~10hの1個の横幅の1/2だけ、左側に偏移した状態となっている。
【0142】
苗支持装置50の第2苗載置部52の右の載置ベルト85の左右中央が、平面視で機体11の左右中央(苗植付装置5の左右中央)に位置しており、苗供給装置60の第2苗供給部62の右の苗供給面62aの左右中央が、平面視で機体11の左右中央(苗植付装置5の左右中央)に位置している。
【0143】
苗支持装置50において、第1苗載置部51が、苗支持装置50の右部及び左部のうちの供給位置側の部分に配置されており、第3苗載置部53に比べて、第1苗載置部51が機体11の左右中央(苗植付装置5の左右中央)から左側に離れた状態となっている。
【0144】
苗供給装置60において、第1苗供給部61が、苗供給装置60の右部及び左部のうちの供給位置側の部分に配置されており、第3苗供給部63に比べて、第1苗供給部61が機体11の左右中央(苗植付装置5の左右中央)から左側に離れた状態となっている。
図1に示すように、苗植付装置5が田面に下降操作された状態において、苗のせ台10の上端部は、苗供給装置60の下端部(弾性材118)から下方に離れている。
【0145】
(苗の苗支持装置から苗のせ台への供給状態)(その1)
図1に示すように、苗植付装置5が田面に下降操作された状態で、植付作業が行われている状態において、苗のせ台10のいずれかの苗のせ面10a~10hの苗が少なくなったことが、苗センサー45(図3参照)により検出された場合、苗のせ台10が図2に示す供給位置に位置していなければ、苗のせ台10が供給位置に達するまで植付作業が続行される。
【0146】
苗のせ台10が供給位置に達すると、縦送り機構44(図3参照)により苗の縦送りが行われた後、苗植付装置5及び機体11が自動的に停止して、苗支持装置50及び苗供給装置60と苗のせ台10とが、左右方向で同じ位置となる。縦送り機構44による苗の縦送りが行われることにより、苗のせ台10の苗のせ面10a~10hの苗が、支持レール47に接触した状態となっている。
【0147】
苗のせ台10のいずれかの苗のせ面10a~10hの苗が少なくなったことが、苗センサー45により検出された場合、苗のせ台10の他の苗のせ面10a~10hでも、同様に苗が少なくなっていることが多い。
【0148】
運転部20の作業者は、昇降レバー(図示せず)を操作して、苗植付装置5をリンク機構3により上限位置に上昇操作する(図24参照)。上限位置が、苗のせ台10の上端部と苗供給装置60の下端部とが近接する供給高さであり、苗植付装置5が供給高さに上昇操作されると、苗のせ台10の上端部が苗供給装置60の弾性材118(図18参照)に接触するのであり、苗のせ台10の上端部と苗供給装置60の下端部とが弾性材118を介して接触する。
【0149】
この場合、苗植付装置5が供給高さに上昇操作されるのに伴って、前述の(苗植付装置のローリングの抑制機構の構成)に記載のように、左右の抑制機構98及び左右の抑制部97の機能により、苗植付装置5のローリングが抑えられるので、苗のせ台10の上端部と苗供給装置60の下端部(弾性材118)とが無理なく接触する。これにより、苗支持装置50に載置された苗が苗供給装置60を介して苗のせ台10に供給可能となる。
【0150】
(苗の苗支持装置から苗のせ台への供給状態)(その2)
苗植付装置5が供給高さに上昇操作されると、運転部20の作業者は苗供給スイッチ(図示せず)を操作する。
【0151】
苗支持装置50において、第2苗載置部52の載置ベルト85が回転駆動されて、第2苗載置部52の載置ベルト85に載置された苗が、第2苗載置部52から苗供給装置60の第2苗供給部62の苗供給面62aに供給され、苗供給装置60の第2苗供給部62の苗供給面62aから、苗のせ台10の苗のせ面10d,10eに供給される。
【0152】
この場合、前述の(苗支持装置の第1苗載置部のフレームに関する構成)に記載のように、自由回転可能な案内回転体83が、苗支持装置50の駆動回転体66に対して後側の位置に配置されている。平板状の案内板84が、支点軸82に支持されて、第2苗載置部52(苗支持装置50)の後部から苗供給装置60の上端部に向けて延出されている。
【0153】
これにより、苗が第2苗載置部52(苗支持装置50)から苗供給装置60に供給される際に、苗の重量によりバネ13に抗して案内板84が下方に操作され、案内回転体83及び案内板84により、苗が下側から支持されながら、苗供給装置60に円滑に案内される。
【0154】
前述の(苗支持装置の構成)に記載のように、苗支持装置50が上昇位置A31に設定されていると、側面視で苗支持装置50と苗供給装置60との間の角度が大きくなり、苗支持装置50の後部と苗供給装置60の上部とが緩やかに接続される状態となる。これにより、苗が苗支持装置50から苗供給装置60に円滑に案内される。
【0155】
苗が苗支持装置50の第2苗載置部52から苗供給装置60の第2苗供給部62の苗供給面62aに供給されると、苗は、苗供給装置60の第2苗供給部62の苗供給面62aに沿って、苗のせ台10の苗のせ面10d,10eに向けて自重で滑り落ちる。
【0156】
この場合、苗供給装置60において、駆動軸106及び供給回転体105が、電動モータ107により比較的低速で図1の時計方向に回転駆動されているので、前述のように、苗が苗供給装置60の第2苗供給部62の苗供給面62aに沿って滑り落ちる際、苗は、供給回転体105に受け止められ、供給回転体105の回転に伴って比較的低速で苗のせ台10の苗のせ面10d,10eに供給される。
【0157】
前述の(苗の苗支持装置から苗のせ台への供給状態)(その1)に記載のように、苗のせ台10において、縦送り機構44による苗の縦送りが行われており、苗のせ台10の苗のせ面10a~10hの苗が支持レール47に接触した状態となっている。これにより、苗供給装置60の第2苗供給部62から供給された苗が、苗のせ台10の苗のせ面10d,10eの苗の上端部に衝突しても、この衝撃が苗のせ台10の苗のせ面10d,10eの苗により十分に受け止められる。
【0158】
(苗の苗支持装置から苗のせ台への供給状態)(その3)
次に苗支持装置50において、第1苗載置部51の右の載置ベルト85及び第3苗載置部53の左の載置ベルト85が回転駆動されて、苗が苗供給装置60の第1苗供給部61の右の苗供給面61a及び第3苗供給部63の左の苗供給面63aに供給され、苗のせ台10の苗のせ面10c,10fに供給される。
【0159】
次に苗支持装置50において、第1苗載置部51の中央の載置ベルト85及び第3苗載置部53の中央の載置ベルト85が回転駆動されて、苗が苗供給装置60の第1苗供給部61の中央の苗供給面61a及び第3苗供給部63の中央の苗供給面63aに供給され、苗のせ台10の苗のせ面10b,10gに供給される。
【0160】
次に苗支持装置50において、第1苗載置部51の左の載置ベルト85及び第3苗載置部53の右の載置ベルト85が回転駆動されて、苗が苗供給装置60の第1苗供給部61の左の苗供給面61a及び第3苗供給部63の右の苗供給面63aに供給され、苗のせ台10の苗のせ面10a,10hに供給される。
【0161】
この場合、前述の(苗の苗支持装置から苗のせ台への供給状態)(その2)の記載と同様に、苗が第1苗載置部51及び第3苗載置部53から苗供給装置60に供給される際、案内回転体83及び案内板84により、苗が下側から支持されながら、苗供給装置60に円滑に案内される。
【0162】
苗のせ台10において、縦送り機構44による苗の縦送りが行われて、苗のせ台10の苗のせ面10a,10b,10c,10f,10g,10hの苗が支持レール47に接触した状態となっていることにより、苗供給装置60の第1苗供給部61及び第3苗供給部63から供給された苗が、苗のせ台10の苗のせ面10a,10b,10c,10f,10g,10hの苗の上端部に衝突しても、この衝撃が苗のせ台10の苗のせ面10a,10b,10c,10f,10g,10hの苗により十分に受け止められる。
【0163】
(苗支持装置の載置昇降機構の構成)
図14,19,20に示すように、載置昇降機構119が、前述の(苗支持装置における第1苗載置部、第2苗載置部及び第3苗載置部の支持フレームへの支持構造)に記載の前リンク110に対して設けられている。
【0164】
半円状の操作ギヤ120が前リンク110に連結され、ギヤケース121及び電動モータ122が、前述の(苗支持装置を機体フレーム構造に支持させる為の支持フレーム構造)に記載の中央の支持フレーム35に連結されており、ギヤケース121のピニオンギヤ121aが操作ギヤ120と咬合している。
以上のように、載置昇降機構119に、操作ギヤ120、ギヤケース121及び電動モータ122が設けられている。
【0165】
図1,2,19に示す状態は、前述の(苗支持装置における第1苗載置部、第2苗載置部及び第3苗載置部の支持フレームへの支持構造)に記載のように、苗支持装置50において、第2苗載置部52が第2載置作業位置B21に位置した状態である。
【0166】
載置昇降機構119において、電動モータ122によりギヤケース121のピニオンギヤ121aが回転駆動されことにより、操作ギヤ120を介して前リンク110が上昇操作されると、これに伴って後リンク111が上昇操作されるのであり、前リンク110及び後リンク111により第2苗載置部52が上昇操作される。
【0167】
図19及び図20に示すように、支持フレーム31の前部に当たり部31aが設けられており、前リンク110が支持フレーム31の当たり部31aに当たることにより、電動モータ122が停止して、前リンク110及び後リンク111が停止する。
【0168】
図20に示す状態は、苗支持装置50において、第2苗載置部52が、第1苗載置部51及び第3苗載置部53よりも高い位置に配置される第2載置格納位置B22に位置した状態である。
【0169】
第2苗載置部52が第2載置格納位置B22に位置した状態で、電動モータ122によりギヤケース121のピニオンギヤ121aが逆方向に回転駆動されると、前リンク110及び後リンク111が下降操作されて、図19に示すように、第2苗載置部52が第2載置作業位置B21に下降操作される。
【0170】
(昇降伝達機構及び昇降融通部の構成)
図19及び図20に示すように、昇降伝達機構である平板状の連係部材123が、軸芯P2周りに揺動可能に、前述の(苗支持装置及び苗供給装置を支持する為の機体フレーム構造)に記載のフレーム25の上部に支持されている。昇降伝達機構に設けられた昇降融通部である円弧状の長孔123aが、連係部材123に開口されている。
【0171】
昇降伝達機構である連係ロッド124が、前述の(苗支持装置における第1苗載置部、第2苗載置部及び第3苗載置部の支持フレームへの支持構造)に記載の後リンク111と連係部材123とに亘って接続されている。
【0172】
昇降伝達機構である連係ロッド125が、連係部材123の長孔123aと、前述の(苗供給装置における第1苗供給部、第2苗供給部及び第3苗供給部のフレームへの支持構造)に記載の上リンク115のアーム部115aとに亘って接続されている。
【0173】
図19に示すように、苗支持装置50の第2苗載置部52が第2載置作業位置B21に位置し、苗供給装置60の第2苗供給部62が第2供給作業位置C21に位置した状態において、苗支持装置50が上昇位置A31(図1参照)及び下降位置A32(図24参照)に揺動操作された場合、苗支持装置50の揺動操作に伴って、連係ロッド124が前後方向に操作され、連係部材123が揺動操作される。
【0174】
前述のように連係部材123が揺動操作されても、連係ロッド125の上端部に対して連係部材123の長孔123aが上下揺動するだけで、苗支持装置50の上下揺動が連係部材123の長孔123aにより吸収される。これにより、苗支持装置50の上下揺動は前リンク15に伝達されず、苗供給装置60の第2苗供給部62は第2供給作業位置C21に維持される。
【0175】
(苗供給装置の第2苗供給部の昇降操作)
前述の(苗支持装置の載置昇降機構の構成)の記載及び図19,20に示すように、苗支持装置50の第2苗載置部52が第2載置格納位置B22に上昇操作されると、電動モータ122による後リンク111の上昇作動が、連係ロッド124を介して連係部材123に伝達され、連係部材123が図19,20の時計方向に大きく揺動操作される。
【0176】
この場合、後リンク111の上昇作動が大きなものであるので、苗支持装置50が上昇位置A31に設定されていても下降位置A32に設定されていても、連係部材123が、連係部材123の長孔123aの融通範囲を越えて図20の時計方向に揺動操作されるのであり、連係ロッド125の上端部が連係部材123の長孔123aの端部に達して、連係ロッド125が上方に操作される。
【0177】
前述の(苗供給装置における第1苗供給部、第2苗供給部及び第3苗供給部のフレームへの支持構造)に記載の上リンク115が、連係ロッド125により上昇操作され、これに伴って下リンク116が上昇操作されるのであり、上リンク115及び下リンク116により第2苗供給部62が上昇操作される。
【0178】
図20に示すように、苗支持装置50の第2苗載置部52が第2載置格納位置B22で停止すると、苗供給装置60の第2苗供給部62も停止する。この状態が、苗供給装置60において、第2苗供給部62が第1苗供給部61よりも高い位置に配置される第2供給格納位置C22に位置した状態である。
【0179】
図19に示すように、苗支持装置50において、第2苗載置部52が第2載置格納位置B22から第2載置作業位置B21に下降操作されると、電動モータ122による後リンク111の下降作動が連係ロッド124を介して、連係部材123に伝達され、連係部材123が図19の反時計方向に大きく揺動操作される。
【0180】
連係部材123が、連係部材123の長孔123aの融通範囲を越えて図19の反時計方向に揺動操作されるのであり、連係ロッド125の上端部が連係部材123の長孔123aの端部に達して、連係ロッド125が下方に操作される。
【0181】
上リンク115が、連係ロッド125により下降操作され、これに伴って下リンク116が下降操作されるのであり、上リンク115及び下リンク116により、苗供給装置60の第2苗供給部62が第2供給作業位置C21に下降操作される。
【0182】
この場合、前述の(苗支持装置の第2苗載置部及び第3苗載置部の構成)の記載及び図14,15,16に示すように、苗支持装置50の第2苗載置部52において、案内板84がバネ13により上方に持ち上げられているので、苗供給装置60の第2苗供給部62が第2供給作業位置C21に下降操作された際、案内板84と苗供給装置60の第2苗供給部62とが干渉することはない。
【0183】
(苗支持装置の載置移動機構の構成)
図6及び図21に示すように、載置移動機構126が、前述の(苗支持装置を機体フレーム構造に支持させる為の支持フレーム構造)に記載の支持フレーム31の左部と、前述の(苗支持装置の第1苗載置部のフレームに関する構成)に記載の横フレーム56とに亘って設けられている。
【0184】
苗支持装置50の第1苗載置部51において、平板状の連係部材127が、載置ベルト85を跨ぐように、横フレーム56に連結され、左の縦フレーム70に連結されており、ラックギヤ128が左右方向に沿って連係部材127に連結されている。
【0185】
平板状の支持部材129が支持フレーム31の左部に連結され、支持部材129に自由回転可能に支持された案内ローラー129aが、ラックギヤ128の上面に乗せられている。ギヤケース130及び電動モータ131が支持部材129に連結されており、ギヤケース130のピニオンギヤ130aがラックギヤ128と咬合している。
以上のように、載置移動機構126に、連係部材127、ラックギヤ128、支持部材129、ギヤケース130及び電動モータ131が設けられている。
【0186】
図2,5,21に示す状態は、前述の(苗支持装置における第1苗載置部、第2苗載置部及び第3苗載置部の支持フレームへの支持構造)に記載のように、苗支持装置50において、第1苗載置部51が第1載置作業位置B11に位置した状態である。
【0187】
前述の(苗支持装置の載置昇降機構の構成)の記載及び図20に示すように、第2苗載置部52が第2載置格納位置B22に位置した状態で、載置移動機構126において、電動モータ131によりギヤケース130のピニオンギヤ130aが回転駆動されることによって、ラックギヤ128及び連係部材127を介して、第1苗載置部51が右方向に移動操作され、図25に示す位置で停止する。
【0188】
図24及び図25に示す状態は、苗支持装置50において、第1苗載置部51が、第2載置格納位置B22に配置された第2苗載置部52の下方に入り込む第1載置格納位置B12に位置した状態である。
【0189】
第1苗載置部51が第1載置格納位置B12に位置した状態で、電動モータ131によりギヤケース130のピニオンギヤ130aが逆方向に回転駆動されると、ラックギヤ128及び連係部材127を介して、第1苗載置部51が左方向に移動操作され、図2,5,21に示す第1載置作業位置B11に移動操作される。
【0190】
前述の(苗支持装置の第1苗載置部のフレームに関する構成)の記載及び図7,8,9に示すように、第1苗載置部51において、3個の電動モータ68のうち、中央及び左の電動モータ68が上方に持ち上げられるように前向きに配置されているので、前述のように第1苗載置部51が左右方向に移動操作されても、中央及び左の電動モータ68が支持フレーム31,33と干渉することはない。
【0191】
(移動伝達機構及び移動融通部の構成)
図7,22,23に示すように、移動伝達機構である角パイプ状の2個の伝達アーム132が、前述の(苗支持装置の第1苗載置部のフレームに関する構成)に記載の横フレーム81に連結され、後方に向けて延出されている。
【0192】
移動伝達機構である平板状の2個の伝達部材133が、前述の(苗供給装置の第1苗供給部、第2苗供給部及び第3苗供給部の構成)に記載の上の横フレーム104に連結されており、伝達部材133の間に案内部113が位置している。
【0193】
右の伝達アーム132が右の伝達部材133の右側面に接触しており、右の伝達アーム132と右の伝達部材133とは、連結されていない。左の伝達アーム132が左の伝達部材133の左側面に接触しており、左の伝達アーム132と左の伝達部材133とは、連結されていない。
【0194】
前述の(苗支持装置の載置移動機構の構成)の記載及び図20,24に示すように、苗支持装置50の第2苗載置部52が第2載置格納位置B22に位置し、苗供給装置60の第2苗供給部62が第2供給格納位置C22に位置した状態において、図21に示す載置移動機構126により、苗支持装置50の第1苗載置部51が第1載置格納位置B12(図25参照)に移動操作されると、左の伝達アーム132が左の伝達部材133を右方に押し操作する。
【0195】
これにより、載置移動機構126の作動が、左の伝達アーム132及び左の伝達部材133、縦フレーム103及び横フレーム104を介して、案内部112,113に伝達されて、苗供給装置60の第1苗供給部61が第1供給格納位置C12(図25参照)に移動操作される。
【0196】
載置移動機構126により、苗支持装置50の第1苗載置部51が第1載置作業位置B11に移動操作されると、右の伝達アーム132が右の伝達部材133を左方に押し操作する。
【0197】
これにより、載置移動機構126の作動が、右の伝達アーム132及び右の伝達部材133、縦フレーム103及び横フレーム104を介して、案内部112,113に伝達されて、苗供給装置60の第1苗供給部61が第1供給作業位置C11(図2及び図22参照)に移動操作される。
【0198】
伝達アーム132が伝達部材133に接触して、伝達アーム132と伝達部材133とは連結されていないことにより、伝達アーム132と伝達部材133との間に、移動融通部134が設けられている。
【0199】
苗支持装置50が上昇位置A31(図1参照)及び下降位置A32(図24参照)に揺動操作された場合、苗支持装置50の揺動操作に伴って、伝達アーム132が上下に移動する。この場合、伝達アーム132は伝達部材133に接触しながら上下に移動するだけで、苗支持装置50の上下揺動が移動融通部134により吸収される。これにより、苗支持装置50の上下揺動は案内部112,113に伝達されず、苗供給装置60の第1苗供給部61は第1供給作業位置C11及び第1供給格納位置C12に維持される。
【0200】
(田植機をトラックの荷台に載せて運搬する場合や倉庫等に保管する場合の操作)
田植機をトラックの荷台に載せて運搬する場合や倉庫等に保管する場合、以下の説明の操作を行う。
【0201】
図24及び図25に示すように、苗植付装置5において、苗のせ台10が供給位置に位置していない場合には、苗植付装置5を作動させ、苗のせ台10が供給位置に達すると、苗植付装置5(苗のせ台10)を停止させる。前述の(苗のせ台の苗のせ面における位置変更の構成)に記載のように、苗のせ台10の苗のせ面10aを格納位置A12に位置変更する。
【0202】
前述の(支持レールの位置変更の構成)に記載のように、支持レール47の右部分47b及び左部分47cを、支持レール47の中央部分47aから分離し、斜め下方の後方に向く位置に位置変更する。
【0203】
次に、前述の(苗支持装置の構成)に記載のように、苗支持装置50を下降位置A32に設定する。前述の(苗支持装置の第1苗載置部の従動回転体の位置変更の操作)に記載のように、苗支持装置50の第1苗載置部51、第2苗載置部52及び第3苗載置部53の従動軸86を、弛緩位置A22(図12及び図13参照)に位置変更する。
【0204】
次に、前述の(苗支持装置の載置昇降機構の構成)に記載のように、載置昇降機構119を作動させて、苗支持装置50の第2苗載置部52を第2載置格納位置B22に上昇させる。
前述の(苗供給装置の第2苗供給部の昇降操作)に記載のように、苗支持装置50の第2苗載置部52が第2載置格納位置B22に上昇すると、これに伴って苗供給装置60の第2苗供給部62が第2供給格納位置C22に上昇する。
【0205】
この場合、図19及び図20に示すように、前リンク110及び後リンク111が前方に揺動しながら、苗支持装置50の第2苗載置部52が第2載置格納位置B22に上昇するので、苗支持装置50の第2苗載置部52は上昇しながら少し前方に移動する。
上リンク115及び下リンク116が後方に揺動しながら、苗供給装置60の第2苗供給部62が第2供給格納位置C22に上昇するので、苗供給装置60の第2苗供給部62は上昇しながら少し後方に移動する。
【0206】
これにより、苗支持装置50の第2苗載置部52と苗供給装置60の第2苗供給部62とは、互いに前後方向に離れながら、第2載置格納位置B22及び第2供給格納位置C22に上昇するので、苗支持装置50の第2苗載置部52と苗供給装置60の第2苗供給部62とが干渉することはない。
【0207】
次に、前述の(苗支持装置の載置移動機構の構成)の記載及び図24,25に示すように、載置移動機構126を作動させて、苗支持装置50の第1苗載置部51を第1載置格納位置B12に移動させる。
【0208】
前述の(移動伝達機構及び移動融通部の構成)に記載のように、苗支持装置50の第1苗載置部51が第1載置格納位置B12に移動すると、これに伴って苗供給装置60の第1苗供給部61が第1供給格納位置C12に移動する。
【0209】
以上のように、苗のせ台10を供給位置で停止させて、苗のせ台10の苗のせ面10aを格納位置A12に位置変更する。
支持レール47の右部分47b及び左部分47cを斜め下方の後方に向く位置に位置変更する。
苗支持装置50の第2苗載置部52を第2載置格納位置B22に上昇させ、苗供給装置60の第2苗供給部62を第2供給格納位置C22に上昇させる。
苗支持装置50の第1苗載置部51を第1載置格納位置B12に移動させ、苗供給装置60の第1苗供給部61を第1供給格納位置C12に移動させる。
この状態において、田植機をトラックの荷台に載せての運搬や倉庫等での保管を行う。
【0210】
(発明の実施の第1別形態)
苗支持装置50において、位置変更機構96により、駆動軸65が緊張位置A21及び弛緩位置A22に位置変更されるように構成してもよい。この構成によると、駆動軸65と一緒にギヤケース67及び電動モータ68が位置変更される。
位置変更機構96により、駆動軸65及び従動軸86の両方が、緊張位置A21及び弛緩位置A22に位置変更されるように構成してもよい。
【0211】
(発明の実施の第2別形態)
苗支持装置50において、駆動軸65及び駆動回転体66が、苗支持装置50(第1苗載置部51、第2苗載置部52及び第3苗載置部53)の前部に支持され、従動軸86及び従動回転体87が、苗支持装置50(第1苗載置部51、第2苗載置部52及び第3苗載置部53)の後部に支持されるように構成してもよい。
位置変更機構96が、苗支持装置50の後部に設けられた場合、位置変更アーム93は軸芯P4から載置ベルト85の巻回経路に対して外側である後側に向けて延出される。
【0212】
(発明の実施の第3別形態)
苗支持装置50において、第1苗載置部51及び第3苗載置部53では、駆動軸65及び駆動回転体66が後部に設けられて、従動軸86及び従動回転体87が前部に設けられるように構成し、第2苗載置部52では、駆動軸65及び駆動回転体66が前部に設けられて、従動軸86及び従動回転体87が後部に設けられるように構成してもよい。
【0213】
苗支持装置50において、第1苗載置部51及び第3苗載置部53では、駆動軸65及び駆動回転体66が前部に設けられて、従動軸86及び従動回転体87が後部に設けられるように構成し、第2苗載置部52では、駆動軸65及び駆動回転体66が後部に設けられて、従動軸86及び従動回転体87が前部に設けられるように構成してもよい。
【0214】
(発明の実施の第4別形態)
位置変更機構96において、緊張位置A21が仮想線L1に対して下側に設定され、弛緩位置A22が仮想線L1に対して上側に設定されるように構成してもよい。
【0215】
(発明の実施の第5別形態)
位置変更機構96において、支持ブラケット92の案内孔92aを廃止してもよい。
この構成によると、ストッパー部94の上部分94a及び下部分94bとの間の円弧状の領域(空間)が、案内領域となる。
この場合、ストッパー部94の下部分94bが弛緩位置A22の側となれば、ストッパー部94の下部分94bを廃止してもよく、ストッパー部94の上部分94aが弛緩位置A22の側となれば、ストッパー部94の上部分94aを廃止してもよい。
【0216】
(発明の実施の第6別形態)
苗支持装置50において、上側ガイド体89に代えて、固定のレール状又は平板状の部材(図示せず)を、上側ガイド部として使用してもよい。
下側ガイド体91に代えて、固定のレール状又は平板状の部材(図示せず)を、下側ガイド部として使用してもよい。
【0217】
(発明の実施の第7別形態)
苗供給装置60において、第1苗供給部61、第2苗供給部62及び第3苗供給部63の各々の下端部に、出入り可能なストッパー部(図示せず)を設けて、ストッパー部を出し操作することにより、第1苗供給部61、第2苗供給部62及び第3苗供給部63の苗をストッパー部で受け止めて、苗を第1苗供給部61、第2苗供給部62及び第3苗供給部63に載置可能に構成してもよい。
苗のせ台10に苗を供給する際に、ストッパー部を入り操作することにより、苗供給装置60に載置された苗を、苗のせ台10に供給することができるのであり、苗支持装置50に載置された苗を、苗供給装置60を介して苗のせ台10に供給することができる。
【産業上の利用可能性】
【0218】
本発明は、8条植型式の乗用型の田植機ばかりではなく、10条植型式の乗用型の田植機や、無人の自動操縦型式の田植機にも適用できる。
【符号の説明】
【0219】
5 苗植付装置
10 苗のせ台
11 機体
50 苗支持装置
60 苗供給装置
65 駆動軸
66 駆動回転体
85 載置ベルト
68 電動モータ(駆動部)
86 従動軸
87 従動回転体
89 上側ガイド体(上側ガイド部)
91 下側ガイド体(下側ガイド部)
92a 案内孔(案内領域)
93 位置変更アーム
94 ストッパー部
95 ノブ付きボルト(固定部)
96 位置変更機構
A21 緊張位置
A22 弛緩位置
A31 上昇位置
A32 下降位置
L1 仮想線
P4 軸芯(支持軸芯)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図21
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