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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159690
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】接着シート、及び接着方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/26 20180101AFI20221011BHJP
   C09J 201/02 20060101ALI20221011BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20221011BHJP
   D04B 21/14 20060101ALI20221011BHJP
   C09J 163/00 20060101ALN20221011BHJP
   C09J 183/04 20060101ALN20221011BHJP
   C09J 133/00 20060101ALN20221011BHJP
【FI】
C09J7/26
C09J201/02
B32B27/00 D
D04B21/14 Z
C09J163/00
C09J183/04
C09J133/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064039
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000108111
【氏名又は名称】セメダイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】紺野 誠
(72)【発明者】
【氏名】小谷 準
(72)【発明者】
【氏名】秋本 雅人
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
4L002
【Fターム(参考)】
4F100AK00A
4F100AK25A
4F100AK41A
4F100AK51A
4F100AK52A
4F100AK53A
4F100AL05A
4F100AL06A
4F100AT00B
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100CB02A
4F100DG13A
4F100EJ82A
4F100JA06A
4F100JB12A
4F100JB13A
4F100JB15A
4F100JL11A
4F100YY00A
4J004AA10
4J004AA13
4J004CB01
4J004CC07
4J004FA08
4J040DF021
4J040EC001
4J040EK031
4J040JA01
4J040JB04
4J040MA02
4J040NA12
4J040PA23
4L002AA06
4L002AA07
4L002AB02
4L002CB01
4L002CB02
4L002DA00
4L002EA00
4L002FA06
(57)【要約】
【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち一様な硬化性組成物の厚さを確保しながら、部材間に硬化性組成物を配置することができる接着技術を提供することである。
【解決手段】本願発明の接着シートは、硬化性組成物を保持し被着体を接着固定させ得るものであって、第1表面材と第2表面材、中間体を備えたものである。なお本願発明の接着シートは、あらかじめ定められた平面寸法の試験体に、あらかじめ定められた基準粘度の硬化性組成物を保持した状態で折り曲げた後、元の状態に戻るまでの復元時間があらかじめ定められた許容時間以下となる要件を満たすものである。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性組成物を保持し、被着体を接着固定させ得る接着シートであって、
複数の空隙が形成される第1表面材と、
複数の空隙が形成される第2表面材と、
前記第1表面材と前記第2表面材との間に形成され、前記硬化性組成物を保持する中間体と、を備え、
前記第1表面材と前記第2表面材と前記中間体を有しあらかじめ定められた平面寸法の試験体に、あらかじめ定められた基準粘度の前記硬化性組成物を保持した状態で折り曲げた後、元の状態に戻るまでの復元時間があらかじめ定められた許容時間以下である、
ことを特徴とする接着シート。
【請求項2】
硬化性組成物を保持し、被着体を接着固定させ得る接着シートであって、
複数の空隙が形成される第1表面材と、
複数の空隙が形成される第2表面材と、
前記第1表面材と前記第2表面材との間に形成され、前記硬化性組成物を保持する中間体と、を備え、
前記第1表面材と前記第2表面材と前記中間体を有し平面寸法が5cm×5cmの試験体に、粘度が25Pa・sの前記硬化性組成物を保持した状態で折り曲げた後、元の状態に戻るまでの復元時間が3秒以下である、
ことを特徴とする接着シート。
【請求項3】
前記試験体に保持させる前記硬化性組成物が、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、変成シリコーン系接着剤、シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤、又はポリエステル系接着剤のうちいずれかの接着剤である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の接着シート。
【請求項4】
前記試験体に保持させる前記硬化性組成物が、1液加熱硬化型エポキシ系接着剤、1液湿気硬化型アクリル変成シリコーン系接着剤、1液湿気硬化型変成シリコーン系接着剤、2液混合硬化型変成シリコーン系接着剤、1液湿気硬化型シリコーン系接着剤、2液混合硬化型シリコーン系接着剤、2液混合湿気硬化型エポキシ変成シリコーン系接着剤、2液混合硬化型エポキシ系接着剤、1液嫌気性硬化型アクリル系接着剤、2液混合速硬化型アクリル系接着剤、2液混合遅硬化型アクリル系接着剤、1液湿気硬化型ウレタン系接着剤、又は2液混合硬化型ウレタン系接着剤 のうちいずれかの接着剤である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の接着シート。
【請求項5】
前記第1表面材と前記第2表面材を連結糸が連結する立体編構造として構成された、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の接着シート。
【請求項6】
前記第1表面材と前記第2表面材と前記連結糸が、それぞれ合成繊維製モノフィラメント糸又は合成繊維製マルチフィラメント糸のいずれかによって形成される、
ことを特徴とする請求項5記載の接着シート。
【請求項7】
硬化性組成物を保持し得る接着シートを用いて、被着体を接着固定させる方法であって、
前記硬化性組成物は、複数の空隙が形成される第1表面材と、複数の空隙が形成される第2表面材と、前記第1表面材と前記第2表面材との間に形成される中間体と、含んで構成され、
前記接着シートの試験体を用いて試験を行い、適正又は不適のいずれかを判定する接着シート試験工程と、
前記接着シート試験工程で適正と判定された前記接着シートに、前記硬化性組成物を含浸させる硬化性組成物含浸工程と、
前記被着体の表面に、前記硬化性組成物を保持した前記接着シートを設置する接着シート設置工程と、を備え、
前記接着シート試験工程では、あらかじめ定められた平面寸法の前記試験体に、あらかじめ定められた基準粘度の前記硬化性組成物を保持した状態で折り曲げた後、元の状態に戻るまでの復元時間があらかじめ定められた許容復元時間以下であるときは適正と判定し、該復元時間が該許容復元時間を超えるときは不適と判定する、
ことを特徴とする接着方法。
【請求項8】
硬化性組成物を保持し得る接着シートを用いて、被着体を接着固定させる方法であって、
前記硬化性組成物は、複数の空隙が形成される第1表面材と、複数の空隙が形成される第2表面材と、前記第1表面材と前記第2表面材との間に形成される中間体と、含んで構成され、
前記接着シートの試験体を用いて試験を行い、適正又は不適のいずれかを判定する接着シート試験工程と、
前記接着シート試験工程で適正と判定された前記接着シートに、前記硬化性組成物を含浸させる硬化性組成物含浸工程と、
前記被着体の表面に、前記硬化性組成物を保持した前記接着シートを設置する接着シート設置工程と、を備え、
前記接着シート試験工程では、平面寸法が5cm×5cmの前記試験体に、粘度が25Pa・sの前記硬化性組成物を保持した状態で折り曲げた後、元の状態に戻るまでの復元時間が3秒以下であるときは適正と判定し、該復元時間が3秒を超えるときは不適と判定する、
ことを特徴とする接着方法。
【請求項9】
前記接着シート試験工程では、前記試験体に前記基準粘度の前記硬化性組成物を含浸させた後、該試験体から前記硬化性組成物が染み出すまでの滲出時間があらかじめ定められた許容滲出時間以下であるときは適正と判定し、該滲出時間が該許容滲出時間を超えるときは不適と判定する、
ことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の接着方法。
【請求項10】
前記硬化性組成物含浸工程では、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、変成シリコーン系接着剤、シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤、又はポリエステル系接着剤のうちいずれかを、前記接着シートに含浸させる、
ことを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の接着方法。
【請求項11】
前記硬化性組成物含浸工程では、1液加熱硬化型エポキシ系接着剤、1液湿気硬化型アクリル変成シリコーン系接着剤、1液湿気硬化型変成シリコーン系接着剤、2液混合硬化型変成シリコーン系接着剤、1液湿気硬化型シリコーン系接着剤、2液混合硬化型シリコーン系接着剤、2液混合湿気硬化型エポキシ変成シリコーン系接着剤、2液混合硬化型エポキシ系接着剤、1液嫌気性硬化型アクリル系接着剤、2液混合速硬化型アクリル系接着剤、2液混合遅硬化型アクリル系接着剤、1液湿気硬化型ウレタン系接着剤、又は2液混合硬化型ウレタン系接着剤 のうちいずれかを、前記接着シートに含浸させる、
ことを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の接着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、被着体を接着する技術に関するものであり、より具体的には、硬化性組成物を保持する接着シートと、これを用いて接着する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場などの生産施設は、H形鋼や鋼管など鋼材を主体とするいわゆる鉄骨構造とされるのが一般的であり、鋼製の柱材や梁材、斜材といった部材を組み合わせた構成とされる。例えば、H形鋼を用いた柱材に、同じくH形鋼を用いた梁材を取り付け、さらに溝形鋼や山形鋼を用いた斜材を柱材と梁材に取り付けることで、この鉄骨構造を構築することができる。
【0003】
従来、鉄骨や補強材を連結するにあたっては、アーク溶接などによる溶接接合が主流であった。しかしながら溶接作業は、アーク溶接機や手溶接トーチなど様々な道具を用意する必要があり、またキャプタイヤコードの引き回しなど相当に手間がかかるうえ、特別な教育を受けた経験者などその作業者は限定されるといった問題を抱えている。そのため近年では、接着剤によって鉄骨や補強材を連結する手法も採用されている。接着剤による接合(以下、「接着固定」という。)は、極めて容易かつ短時間で作業を行うことができ、作業者が限定されることがなく、また溶接のように作業中に火災が生じるおそれもない。
【0004】
しかしながら接着固定にもいくつか問題を指摘することができる。H形鋼や鋼管など建設分野で取り扱う部材は、工業分野の電子機器部材と比較して接着面積や接着厚みが極めて大きいことから、塗布作業を行う者に大きな負担がかかる。一方、水のように粘度が低い接着剤を使用すれば、大面積の部材に対しても容易に接着剤を塗布することができるものの、所定の厚みを確保したうえで接着剤を塗布することは容易ではない。特に、傾斜した状態の部材に他の部材を接着固定する場合、部材に塗布した接着剤が流れてしまい、一様に接着剤を塗布することは著しく困難な作業となる。
【0005】
また、H形鋼などの鋼材はその表面に少なからず不陸(凸凹)が生じており、この不陸に適応しながら所定の厚みを確保しつつ一様に接着剤を塗布することはやはり困難である。さらに、液剤である接着剤を部材表面に直接塗布すると、塗布した接着剤の内部にはボイド(真空の空洞)が発生することもあり、予定した接着強度が発揮されないおそれもある。
【0006】
ところで、液体を内部に保持することができる、いわゆる「担持体」は既に知られており、この担持体に関してはこれまでにも種々の技術が提案され、例えば特許文献1では2枚の編地とこれら編地を連結する連結繊維からなる立体編物によって構成される液体保持材について提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-280927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明の発明者は、担持体を接着固定に利用する技術思想を得た。所定厚を有する担持体に接着剤を含浸させ、接着剤を保持した担持体を部材間に配置することで、これら部材どうしを接着固定するわけである。これにより、傾斜した状態の部材に対しても所定の厚みを確保しつつ一様に接着剤を塗布することができるとともに、接着剤の内部に生じるボイドの発生も抑制することができる。一方、接着固定しようとする部材間に配置された担持体が、肉厚方向に大きく圧縮される(つぶされる)ことも考えられる。例えば、鋼材を接着固定するため厚みが10mmの担持体を用いたとしても、鋼材によって2mm程度まで圧縮され、しかもその後に復元しない(元の厚さに戻らない)こともある。この場合、鋼材表面の不陸に適応しつつ的確に接着剤を塗布することができないおそれがある。
【0009】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち一様な硬化性組成物の厚さを確保しながら、部材間に硬化性組成物を配置することができる接着技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、所定の復元力が確認された接着シートを利用して被着体どうしを接着固定する、という点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われたものである。
【0011】
本願発明の接着シートは、硬化性組成物を保持し被着体を接着固定させ得るものであって、第1表面材と第2表面材、中間体を備えたものである。第1表面材と第2表面材には複数の空隙が形成され、第1表面材と第2表面材との間に形成される中間体は、硬化性組成物を保持することができる。本願発明の接着シートは、あらかじめ定められた平面寸法の試験体に、あらかじめ定められた基準粘度の硬化性組成物を含浸した状態で折り曲げた後、元の状態に戻るまでの復元時間があらかじめ定められた許容時間以下となる要件を満たすものである。なお、試験体の平面寸法を5cm×5cm、基準粘度を25Pa・s、許容時間を3秒として設定することもできる。この試験体は、本願発明の接着シートと同様の構成であり、すなわち第1表面材と第2表面材、中間体を有している。
【0012】
本願発明の接着シートは、試験体に保持させる硬化性組成物を、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、変成シリコーン系接着剤、シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤、又はポリエステル系接着剤から選択された1の接着剤又は2以上の組み合わせからなる接着剤としたものとすることもできる。
【0013】
本願発明の接着シートは、試験体に保持させる硬化性組成物を、1液加熱硬化型エポキシ系接着剤、1液湿気硬化型アクリル変成シリコーン系接着剤、1液湿気硬化型変成シリコーン系接着剤、2液混合硬化型変成シリコーン系接着剤、1液湿気硬化型シリコーン系接着剤、2液混合硬化型シリコーン系接着剤、2液混合湿気硬化型エポキシ変成シリコーン系接着剤、2液混合硬化型エポキシ系接着剤、1液嫌気性硬化型アクリル系接着剤、2液混合速硬化型アクリル系接着剤、2液混合遅硬化型アクリル系接着剤、1液湿気硬化型ウレタン系接着剤、又は2液混合硬化型ウレタン系接着剤 から選択された1の接着剤又は2以上の組み合わせからなる接着剤としたものとすることもできる。
【0014】
本願発明の接着シートは、第1表面材と第2表面材を連結糸が連結する立体編構造とすることもできる。この場合、中間体は、複数の連結糸によって形成される。
【0015】
本願発明の接着シートは、第1表面材と第2表面材を連結糸が連結する立体編構造とすることもできる。この場合、第1表面材と第2表面材、連結糸は、それぞれ合成繊維製モノフィラメント糸か合成繊維製マルチフィラメント糸のいずれかによって形成されたものとすることもできる。
【0016】
本願発明の接着方法は、本願発明の接着シートを用いて被着体を接着固定させる方法であって、接着シート試験工程と硬化性組成物含浸工程、接着シート設置工程を備えた方法である。接着シート試験工程では、接着シートの試験体を用いて試験を行い、適正又は不適のいずれかを判定する。また硬化性組成物含浸工程では、接着シート試験工程で適正と判定された接着シートに硬化性組成物を含浸させ、接着シート設置工程では、被着体の表面に硬化性組成物を保持した接着シートを設置する。なお接着シート試験工程では、あらかじめ定められた平面寸法の試験体に、あらかじめ定められた基準粘度の硬化性組成物を保持した状態で折り曲げた後、元の状態に戻るまでの復元時間があらかじめ定められた許容復元時間以下であるときは適正と判定し、復元時間が許容復元時間を超えるときは不適と判定する。また接着シート試験工程は、試験体の平面寸法を5cm×5cm、基準粘度を25Pa・s、許容時間を3秒としたうえで行うこともできる。
【0017】
本願発明の接着方法は、復元時間に加え滲出時間に基づいて接着シートの適否判定を行う方法とすることもできる。この場合、接着シート試験工程では、試験体に基準粘度の硬化性組成物を含浸させた後、試験体から硬化性組成物が染み出すまでの滲出時間があらかじめ定められた許容滲出時間以下であるときは適正と判定し、滲出時間が許容滲出時間を超えるときは不適と判定する。
【0018】
本願発明の接着方法は、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、変成シリコーン系接着剤、シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤、又はポリエステル系接着剤から選択された1の接着剤又は2以上の組み合わせからなる接着剤を硬化性組成物として用いる方法とすることもできる。
【0019】
本願発明の接着方法は、1液加熱硬化型エポキシ系接着剤、1液湿気硬化型アクリル変成シリコーン系接着剤、1液湿気硬化型変成シリコーン系接着剤、2液混合硬化型変成シリコーン系接着剤、1液湿気硬化型シリコーン系接着剤、2液混合硬化型シリコーン系接着剤、2液混合湿気硬化型エポキシ変成シリコーン系接着剤、2液混合硬化型エポキシ系接着剤、1液嫌気性硬化型アクリル系接着剤、2液混合速硬化型アクリル系接着剤、2液混合遅硬化型アクリル系接着剤、1液湿気硬化型ウレタン系接着剤、又は2液混合硬化型ウレタン系接着剤 から選択された1の接着剤又は2以上の組み合わせからなる接着剤を硬化性組成物として用いる方法とすることもできる。
【発明の効果】
【0020】
本願発明の接着シート、及び接着方法には、次のような効果がある。
(1)作業者に大きな負担がかかることなく、接着固定作業を行うことができる。
(2)傾斜した状態の部材に対しても、所定の厚みを確保しつつ一様に接着剤を塗布することができる。
(3)接着剤の内部に生じるボイドの発生も抑制することができ、その結果、予定した接着強度が十分発揮されることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本願発明の接着シートによって接着固定されるH形鋼と山形鋼を模式的に示す部分断面図。
図2】本願発明の接着シートを模式的に示す斜視図。
図3】(a)は四角形の空隙を模式的に示す平面図、(b)では六角形の空隙を模式的に示す平面図。
図4】(a)は通常の状態(圧縮されない状態)とされた立体編物構造の接着シートを模式的に示す断面図、(b)は圧縮された立体編物構造の接着シートを模式的に示す断面図。
図5】本願発明の接着方法の主な工程の流れを示すフロー図。
図6】本願発明によって接着接合したときの種々の評価を示す実験結果図。
図7】本願発明による接着接合に対して復元試験を行った結果を示す実験結果図。
図8】種々の接着剤を用いて接着接合したときの各評価を示す実験結果図。
図9】引張せん断接着強さを測定するために行った研究実験を模式的に示すモデル図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願発明の接着シート、及び接着方法の実施の一例を図に基づいて説明する。
【0023】
1.全体概要
本願発明は、図1に示すようにH形鋼などの部材(以下、便宜上「第1部材EL1という。」)と山形鋼などの部材(以下、便宜上「第2部材EL2という。」)を硬化性組成物(例えば、接着剤)によって接合する(つまり、接着固定する)技術である。ただし、接着固定を行うにあたっては、図1に示すように本願発明の接着シート100が用いられ、より詳しくは硬化性組成物を保持する接着シート100を設置することによって第1部材EL1と第2部材EL2を接着固定する。これにより、所定の厚みを確保しつつ一様に接着剤を配置する(いわば塗布する)ことができるわけである。なお図1では、H形鋼と山形鋼を接着固定する例を示しているが、本願発明はこのような鋼材(例えば、SS400など)に限らず樹脂製など種々の材質の部材どうしを接着固定する際に利用することができる。
【0024】
2.接着シート
次に、本願発明の接着シート100について詳しく説明する。なお、本願発明の接着方法は、本願発明の接着シート100を用いて部材どうしを接着固定する方法である。したがって、まずは本願発明の接着シート100について説明し、その後に本願発明の接着方法について説明することとする。
【0025】
図2は、本願発明の接着シート100を模式的に示す斜視図である。この図に示すように接着シート100は、第1表面材110と第2表面材120(つまり、表裏面)、そして第1表面材110と第2表面材120との間に形成される中間体130を備えたものである。なお、第1表面材110と第2表面材120には、図3に示すように複数の空隙111が形成されている。この空隙111は、種々の形状とすることができ、例えば図3(a)では四角形の空隙111とされ、図3(b)では六角形の空隙111とされている。もちろん、第1表面材110と第2表面材120で同じ形状の空隙111を形成することもできるし、あるいは第1表面材110と第2表面材120で異なる形状の空隙111を形成することもできる。なお第1表面材110と第2表面材120は、従来用いられている種々の材質製とすることができるが、本願発明の発明者が行った研究実験によれば特に合成繊維製モノフィラメント糸あるいは合成繊維製マルチフィラメント糸によって形成すると好適であることを確認している。
【0026】
接着シート100を硬化性組成物(例えば、接着剤)に含浸すると、中間体130はこの硬化性組成物を保持することができる。そして、中間体130が硬化性組成物を保持した状態で、図1に示すように第1部材EL1と第2部材EL2との間に接着シート100を挟むように設置すると、第1表面材110と第2表面材120の空隙111からそれぞれ硬化性組成物が染み出し、その結果、接着シート100を介して第1部材EL1と第2部材EL2が接着固定される。
【0027】
既述したとおり、接着固定しようとする第1部材EL1と第2部材EL2との間に配置された接着シート100が、肉厚方向に大きく圧縮される(つぶされる)こともある。そして、圧縮されたまま復元しない(元の厚さに戻らない)と、鋼材表面の不陸に適応しつつ的確に接着剤を塗布することができないおそれがある。そこで本願発明の接着シート100は、相当の復元力(以下、「目標復元力」という。)を備えたものとすることとした。換言すれば、目標復元力が確認されたものを本願発明の接着シート100として採用するわけである。
【0028】
目標復元力を確認するにあたっては、復元試験を実施するとよい。以下、復元試験を行う手順について説明する。まず、あらかじめ定められた平面寸法(以下、「基準寸法」という。)の試験体を、あらかじめ定められた粘度(以下、「基準粘度」という。)の硬化性組成物に含浸し、この硬化性組成物を中間体130に保持させる。なおここでいう試験体とは、接着シート100と同様の構造であるが、この時点では目標復元力が確認されていないことから暫定的な接着シート100といえる。そして、硬化性組成物を保持した状態で試験体の第1表面材110(あるいは第2表面材120)を半分に折り曲げた後、元の状態に戻るまでの時間(以下、「復元時間」という。)を計測し、復元時間があらかじめ定められた時間(以下、「許容復元時間」という。)以下であれば目標復元力を有する(つまり、本願発明の接着シート100として採用することができる)と判断し、そうでないときは目標復元力を有していない(つまり、本願発明の接着シート100として採用することができない)と判断する。
【0029】
例えば、基準寸法が5×5cmの試験体に基準粘度が25Pa・sの接着剤を含浸させ、その状態の試験体を半分に折り曲げ、そのときの復元時間が3秒(許容復元時間)以下であれば目標復元力を有すると判断し、そうでないときは目標復元力を有していないと判断することができる。なお、試験体の基準寸法は5×5cmに限らず3~25cmの範囲(つまり、3~25×3~25cm)で設定することもできるし、基準粘度が5~100Pa・sの硬化性組成物(接着剤)を使用することもできる。さらに、許容復元時間も3秒に限らず2~5秒といった範囲内で設定することもできる。
【0030】
本願発明の発明者は、図4に示すような立体編物構造にするとより復元力が向上し、すなわち接着シート100として成立しやすいことを見出した。この立体編物構造は、図4に示すように複数の連結糸131を備えた構造である。より詳しくは、複数の連結糸131によって第1表面材110と第2表面材120が連結されるとともに、第1表面材110と第2表面材120との間に所定の空間(つまり、中間体130)が形成された構造である。それぞれ連結糸131は、図4(a)に示すように通常の状態(圧縮されない状態)において屈曲するように配置される。そして図4(b)に示すように圧縮された状態になると、連結糸131はさらに屈曲することとなり、これにより大きな復元力を発揮することができるわけである。なお連結糸131は、従来用いられている種々の材質製とすることができるが、本願発明の発明者が行った研究実験によれば特に合成繊維製モノフィラメント糸あるいは合成繊維製マルチフィラメント糸によって形成すると好適であることを確認している。
【0031】
ところで、第1部材EL1と第2部材EL2との間に接着シート100を設置し、第1部材EL1や第2部材EL2の自重などに伴う圧縮力が作用したときに、接着シート100(特に、中間体130)の側方のみならず、第1表面材110と第2表面材120の空隙111からも適切に硬化性組成物が染み出さないと接着不良になるおそれがある。そこで本願発明の接着シート100は、目標復元力に加え、相当の硬化性組成物の流動性(以下、「目標流動性」という。)を備えたものとすることもできる。換言すれば、目標復元力と目標流動性が確認されたものを本願発明の接着シート100として採用するわけである。
【0032】
目標流動性を確認するにあたっては、滲出試験を実施するとよい。以下、滲出試験を行う手順について説明する。まず、試験体を基準粘度の硬化性組成物に含浸し、この硬化性組成物を中間体130に保持させる。そして、硬化性組成物を保持した試験体(特に、第1表面材110と第2表面材120)から硬化性組成物が染み出すまでの時間(以下、「滲出時間)という。)を計測し、滲出時間があらかじめ定められた時間(以下、「許容滲出時間」という。)以下であれば目標流動性を有する(つまり、本願発明の接着シート100として採用することができる)と判断し、そうでないときは目標流動性を有していない(つまり、本願発明の接着シート100として採用することができない)と判断する。
【0033】
3.接着方法
続いて、本願発明の接着方法ついて、図5を参照しながら説明する。なお、本願発明の接着方法は、ここまで説明した接着シート100を用いて部材どうしを接着固定する方法である。したがって、接着シート100について説明した内容と重複する説明は避け、本願発明の接着方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「2.接着シート」で説明したものと同様である。
【0034】
図5は、本願発明の接着方法の主な工程を示すフロー図である。この図に示すように本願発明の接着方法は、事前に復元試験などを実施する「試験工程」と、実際に現地で部材どうしを接着固定する「接着工程」に大別される。
【0035】
(試験工程)
はじめに、試験体が複数種類あるときは所望の試験体を選定する(図5のStep211)。もちろん、1の試験体に対して試験を実施する場合は、この工程は省略される。試験体を選定すると、目標復元力を確認するための復元試験(図5のStep212)を行い、復元時間が許容復元時間を下回るとき(図5のStep213のYes)は次の工程に進み、一方、復元時間が許容復元時間を上回るとき(図5のStep213のNo)は改めて試験体を選定したうえで(図5のStep211)で復元試験(図5のStep212)を行うとよい。
【0036】
復元試験の結果、復元時間が許容復元時間以下となったときは、その試験体をそのまま本願発明の接着シート100として接着工程に進むこともできるし、滲出試験(図5のStep214)を実施したうで本願発明の接着シート100を決定することもできる。滲出試験を実施する場合、滲出時間が許容滲出時間を下回るとき(図5のStep215のYes)は接着工程に進み、一方、滲出時間が許容滲出時間を上回る(図5のStep215のNo)ときは改めて試験体を選定したうえで(図5のStep211)、復元試験(図5のStep212)と滲出試験(図5のStep214)を行うとよい。
【0037】
実際の接着工程で使用する接着シート100が決定すると、この接着シート100を計画された硬化性組成物(例えば、接着剤)に含浸する(図5のStep221)。なお、ここで使用する硬化性組成物は、アクリル系接着剤のほか、エポキシ系接着剤、変成シリコーン系接着剤、シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤など従来用いられている様々な硬化性組成物を採用することができ、また施工の観点から1液形や2液形など硬化条件を適宜選択し適用できる。特に、次に挙げる接着剤のうちいずれかを硬化性組成物として採用するとよい。
1液加熱硬化型エポキシ系接着剤
1液湿気硬化型アクリル変成シリコーン系接着剤
1液湿気硬化型変成シリコーン系接着剤
2液混合硬化型変成シリコーン系接着剤
1液湿気硬化型シリコーン系接着剤
2液混合硬化型シリコーン系接着剤
2液混合湿気硬化型エポキシ変成シリコーン系接着剤
2液混合硬化型エポキシ系接着剤
1液嫌気性硬化型アクリル系接着剤
2液混合速硬化型アクリル系接着剤
2液混合遅硬化型アクリル系接着剤
1液湿気硬化型ウレタン系接着剤
2液混合硬化型ウレタン系接着剤
【0038】
含浸工程により中間体130が硬化性組成物を保持した状態になると、第1部材EL1(あるいは第2部材EL2)に接着シート100を設置するとともに(図5のStep222)、この接着シート100に接触させるように第2部材EL2(あるいは第1部材EL1)を配置する(図5のStep223)。これにより、第1表面材110と第2表面材120の空隙111からそれぞれ硬化性組成物が染み出し、その結果、接着シート100を介して第1部材EL1と第2部材EL2が接着固定される。
【0039】
(研究実験例)
発明者らが実際に行った研究実験の結果について説明する。図6は、本願発明によって接着接合したときの種々の評価を示す実験結果図である。この研究実験では、接着シート100の候補として17種類の担持体(No1~No17)を用いて部材どうしを接着固定し、6種類の評価(評価1~評価6)を行うとともに、目標とする引張せん断接着強さ(図では、「接着強度」)の有無と、引張試験を行って部材が剥離したときの状態(図では「破壊状態」)を確認している。
【0040】
なお、立体編物構造の担持体はタイプA~タイプD(No1~No4)の4種類を使用している。いずれも旭化成株式会社製のものであり、タイプAは品番が「AKE65710(ダブルラッセル(六角メッシュ)、ポリエステル-ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)-ポリエステル)」のもので、タイプBは品番が「AKE64036(ダブルラッセル(六角メッシュ)、ポリエステル-ナイロン-ポリエステル)」のもの、タイプCは品番が「AKE65810(ダブルラッセル(フラット)、ポリエステル-ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)-ポリエステル」のもの、タイプDは品番が「AKE65910(ダブルラッセル(四角メッシュ)、ポリエステル-ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)-ポリエステル」のものである。
【0041】
また、ポリエチレンフォームの担持体もタイプA~タイプD(No11~No14)の4種類を使用している。いずれも三和化工株式会社製のものであり、タイプAは品番が「LC300#3(半連続発泡スポンジ、ポリエチレン)」のもので、タイプBは品番が「LR300#2(半連続発泡スポンジ、ポリエチレン)」のもの、タイプCは品番が「LC150#1(半連続発泡スポンジ、ポリエチレン)」のもの、タイプDは品番が「LC300#2(半連続発泡スポンジ、ポリエチレン)」のものである。
【0042】
評価1~評価6ではいずれも5段階で評価しており、値が大きいほど高い評価とされている。また「接着強度」においては、目標とする引張せん断接着強さを有するときは「〇」、有していないときは「×」で表している。さらに「破壊状態」においては、担持体表面と部材表面で接着剤の凝集破壊が生じているときは「接着剤型」、担持体の凝集破壊が生じているときは「担持体型」としている。「接着剤型」は、接着剤が有している本来の引張せん断接着強さを十分に発揮していることを意味し、「担持体型」は引張せん断接着強さを発揮する前に担持体が破壊したことを意味している。
【0043】
評価1は目標復元力の有無を評価したものであり、評価6は目標流動性の有無を評価したものである。また評価2は「液体吸収性」について評価したものであり、評価3は「剛性」について、評価4は「靱性」について、評価5は「担持性」についてそれぞれ評価したものである。ここで「液体吸収性」とは、例えば2液の接着剤を使用する場合における液の出し入れの性能であり、出し入れしやすい方が高評価となる。また「剛性」とは、接着剤を保持する担持体の扱いやすさであり、しなりがあると作業者に付着しやすく現場を汚染するため、このようなしなりがない方が高評価となる。「靱性」は、担持体の小さな範囲に圧縮力が集中したときの破断に対する耐性であり、この性能が高いほど保持している接着剤の流出を防ぐことができるため高評価となる。「担持性」は、傾斜した部材や垂直面に設置したときに自重で液が流れる性能であり、流れにくいほど十分な接着厚さを確保することができるため高評価となる。
【0044】
評価1~評価6を合計した「総合点」を見ると、立体編物構造の担持体(No1~No4)と立体網状構造体であるカルファイバー(No5)はいずれも高得点(つまり、高評価)であり、しかも目標とする引張せん断接着強さを有しており、破壊状態も「接着剤型(担持体表面と部材表面で接着剤の凝集破壊が生じた破壊状態)」となっていることから、本願発明の接着シート100としての適性が高いことが分かる。また、PETフォームの担持体(No6)と高反発ウレタンフォームの担持体(No7)、ウレタンフォームの担持体(No8)、天然ゴムの担持体(No9)、カーボン繊維の担持体(No10)、ガラスフェルトの担持体(No11)なども、立体編物構造の担持体ほどではないものの「総合点」が比較的高く、また目標とする引張せん断接着強さを有しており、破壊状態も「接着剤型(担持体表面と部材表面で接着剤の凝集破壊が生じた破壊状態)」となっていることから、やはり本願発明の接着シート100として採用可能であることが分かる。
【0045】
以上説明したように、本願発明の接着シート100としての適性判断は、図6に示す評価点形式によって行うことができるし、これに限らず目標復元力に基づく定量評価によって行うこともできる。図7は、図6に示す担持体(ただし、No1~No17のうちNo7とNo9、No11を除く)を用いて復元試験を行った結果を示す実験結果図である。なお、表中の「液含浸時間」は、担持体を接着剤に含浸した時間であり、目標復元力は3秒で規定している。この復元試験の結果を見ると、立体編物構造の担持体(No1~No4)の復元時間はいずれも目標復元力(3秒)を下回っており、本願発明の接着シート100として採用可能であることが分かる。また、立体網状構造体であるカルファイバー(No5)の復元時間も目標復元力を下回っており、やはり本願発明の接着シート100として採用可能である。このように立体編物構造にすることで、より復元力が向上し、すなわち接着シート100として成立しやすいことが理解できる。
【0046】
発明者らは、本願発明に好適な硬化性組成物を選出するための研究実験も行っている。図8は、種々の接着剤を用いて接着接合したときの各評価を示す実験結果図である。この研究実験では、担持体として図6図7に示す立体編物構造のタイプA(品番が「AKE65710」のもの)を用いたうえで種々の接着剤について実験を行っており、そのうち結果が良好であった9種類の接着剤(No1~No9)について図8に示している。なお、図8に示す6種類の評価(評価1~評価6)と「接着強度」、「破壊状態」に関しては図6で説明した内容と同様であり、その評価方法も図6で説明した内容と同様である。
【0047】
図8に示す9種類の接着剤は、その「総合点」がいずれも高得点(つまり、高評価)であり、しかも目標とする引張せん断接着強さを有し、かつ破壊状態も「接着剤型(担持体表面と部材表面で接着剤の凝集破壊が生じた破壊状態)」となっている。したがって、これら9種類の接着剤は、本願発明にとって好適な硬化性組成物であることが分かる。
【0048】
ところで、図6図8における「接着強度」と「破壊状態」を評価するため、図9に示す引張せん断接着強さ試験を行っている。以下、この図を参照しながら実際に行った引張せん断接着強さ試験について説明する。まず、平面寸法が25mm×25mmで厚さが10mmの担持体を用意し、これに各種接着剤を担持させた。もちろん、図6のケースでは種々の担持体を用意し、図8のケースではタイプAの立体編物構造を用意している。次に、第1部材EL1に担持体を配置したうえで第2部材EL2を押しあて、さらに担持体の厚さが10mmから3mmになるまで圧縮し、クリップで固定した。なお、第1部材EL1と第2部材EL2は、それぞれ平面寸法が100mm(長さ)×25mm(幅)で厚さが3.2mmのSS400材を使用しており、担持体の厚さが3mm以下とならないように両脇には厚さ3mmのスペーサーSPを設置した。そして所定期間養生した後、引張せん断接着強さの測定を行った。なお、試験要領の詳細は以下のとおりである。
試験条件: JIS K 6850に準拠
被着材(第1部材EL1と第2部材EL2): あらかじめ酸化皮膜(黒皮あるいはミルスケール)をサンドブラスト処理にて除去
養生期間: 23℃50%RH環境下2週間
接着面積: 25mm(長さ)×25mm(幅)×3mm(厚さ)
試験速度: 2.5mm/min.
破壊状態: 目視にて確認
【産業上の利用可能性】
【0049】
本願発明の接着シート、及び接着方法は、工場などの生産施設で利用できるほか、倉庫、体育館などあらゆる建造物で利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
100 本願発明の接着シート
110 第1表面材
111 空隙
120 第2表面材
130 中間体
131 連結糸
EL1 第1部材
EL2 第2部材
SP スペーサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9