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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159752
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】締結具
(51)【国際特許分類】
   F16B 37/10 20060101AFI20221011BHJP
   F16B 37/00 20060101ALI20221011BHJP
   E05B 1/00 20060101ALN20221011BHJP
【FI】
F16B37/10
F16B37/00 B
F16B37/00 E
E05B1/00 311B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064138
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000138613
【氏名又は名称】株式会社ユニオン
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】田河 寿一
(57)【要約】
【課題】ケーシングの軸方向の長さをより小さくでき、より広範な形状、デザインの締結対象物に適用できる締結具を提供する。
【解決手段】
締結具は、本願に開示する締結具は、第1雌ネジ体10と、第1ケーシング20と、回転手段30と、第2雌ネジ体40と、第2ケーシング50と、押圧手段60と、付勢手段70とを具備する。第1雌ネジ体10は、軸状の雄ネジ体1の第1ネジ部1aと螺合する。第1ケーシング20は、第1雌ネジ体10を回転可能に収容し、第1物品と係合する。回転手段30は、第1雌ネジ体10を回転する。第2雌ネジ体40は、環状に配される複数の分割ネジ41が合わさって形成され、第2ネジ部1bと螺合する。押圧手段60は、複数の分割ネジ41が、雄ネジ体1の締付方向X1に移動するほど、第2雌ネジ体40の内径が小さくなる向きに複数の分割ネジ41を押圧する。付勢手段70は、締付方向X1に複数の分割ネジ41を付勢する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸状の雄ネジ体(1)の一端側に配設される第1ネジ部(1a)と螺合する第1雌ネジ体(10)と、
前記第1雌ネジ体(10)を回転可能に収容し、締結対象の第1物品と係合する第1ケーシング(20)と、
前記第1雌ネジ体(10)を回転する回転手段(30)と、
環状に配置される複数の分割ネジ(41)が合わさって形成され、前記雄ネジ体(1)の他端側に配設される第2ネジ部(1b)と螺合する第2雌ネジ体(40)と、
前記雄ネジ体(1)の軸方向に沿って移動可能に前記第2雌ネジ体(40)を収容し、締結対象の第2物品と係合する第2ケーシング(50)と、
前記複数の分割ネジ(41)が、前記雄ネジ体(1)の前記他端側から前記一端側に向かう、前記雄ネジ体(1)の締付方向(X1)に移動するほど、前記第2雌ネジ体(40)の内径が小さくなる向きに前記複数の分割ネジ(41)を押圧する押圧手段(60)と、
前記締付方向(X1)に前記複数の分割ネジ(41)を付勢する付勢手段(70)
とを具備する締結具。
【請求項2】
前記第1雌ネジ体(10)は、内周側に雌ネジを有する円筒状の本体部(11)と、前記本体部(11)における前記締付方向(X1)の端部に配設されるフランジ部(12)とを有し、
前記回転手段(30)は、軸方向が前記第1雌ネジ体(10)の軸方向と交わる向きに前記第1ケーシング(20)に軸支される軸付歯車(31)と、前記フランジ部(12)における前記締付方向(X1)と反対方向を向いている面に形成される環状歯車(32)とを含む、請求項1に記載の締結具。
【請求項3】
前記押圧手段(60)は、
前記複数の分割ネジ(41)の各々における前記第2雌ネジ体(40)の外周側の面に形成され、前記締付方向(X1)にいくほど前記第2雌ネジ体(40)の外径が小さくなる傾斜面を有する第1テーパ部(61)と、
擂鉢の内側面状であり、前記第1テーパ部(61)と同じ向きに傾斜する傾斜面を有し、前記第1テーパ部(61)と摺接可能に前記第2ケーシング(50)の内部に配設される第2テーパ部(62)
とを含む、請求項1又は請求項2に記載の締結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結具、特に、締結対象物に内蔵可能であり、雄ネジとの螺合によって各部材を締結する締結具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
締結対象物に内蔵可能であり、雄ネジとの螺合によって各部材を締結する締結具として、特許文献1には、円筒状のケーシングと、雌ネジを形成する複数の分割ネジと、複数の分割ネジを内径側に押圧するテーパ部と、複数の分割ネジが内径側に押圧される方向に複数の分割ネジを付勢する付勢手段と、複数の分割ネジをケーシングの内部において回転する回転手段とを具備する締結具が記載されている。特許文献1に記載の締結具によれば、ケーシングの内部において複数の分割ネジが回転されることによって、増し締めでき、締結具を内蔵した締結対象物を回転できない場合にも、簡易に締結具を増し締めできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-227670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の締結具において、複数の分割ネジは、テーパ部を形成するために比較的に肉厚とする必要があり、ケーシングの径を一定の径以下に抑えようとすると、ケーシングの軸方向に並ぶように、複数の分割ネジと回転手段とを配置する必要があり、ケーシングの軸方向の長さを一定の長さよりも短くすることは困難である。従って、特許文献1に記載の締結具は、締結対象物の形状、デザインによっては、締結対象物に内蔵できず、適用できないといった問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ケーシングの軸方向の長さをより小さくでき、より広範な形状、デザインの締結対象物に適用できる締結具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示する締結具は、第1雌ネジ体(10)と、第1ケーシング(20)と、回転手段(30)と、第2雌ネジ体(40)と、第2ケーシング(50)と、押圧手段(60)と、付勢手段(70)とを具備する。前記第1雌ネジ体(10)は、軸状の雄ネジ体(1)の一端側に配設される第1ネジ部(1a)と螺合する。前記第1ケーシング(20)は、前記第1雌ネジ体(10)を回転可能に収容し、締結対象の第1物品と係合する。前記回転手段(30)は、前記第1雌ネジ体(10)を回転する。前記第2雌ネジ体(40)は、環状に配置される複数の分割ネジ(41)が合わさって形成され、前記雄ネジ体(1)の他端側に配設される第2ネジ部(1b)と螺合する。前記第2ケーシング(50)は、前記雄ネジ体(1)の軸方向に沿って移動可能に前記第2雌ネジ体(40)を収容し、締結対象の第2物品と係合する。前記押圧手段(60)は、前記複数の分割ネジ(41)が、前記雄ネジ体(1)の締付方向(X1)に移動するほど、前記第2雌ネジ体(40)の内径が小さくなる向きに前記複数の分割ネジ(41)を押圧する。前記締付方向(X1)は、前記雄ネジ体(1)の前記他端側から前記一端側に向かう方向である。前記付勢手段(70)は、前記締付方向(X1)に前記複数の分割ネジ(41)を付勢する。
【0007】
本願に開示する締結具において、前記第1雌ネジ体(10)は、円筒状の本体部(11)と、フランジ部(12)とを有する。前記本体部(11)は、内周側に雌ネジを有する。前記フランジ部(12)は、前記本体部(11)における前記締付方向(X1)の端部に配設される。前記回転手段(30)は、軸付歯車(31)と、環状歯車(32)とを含む。前記軸付歯車(31)は、軸方向が前記第1雌ネジ体(10)の軸方向と交わる向きに前記第1ケーシング(20)に軸支される。前記環状歯車(32)は、前記フランジ部(12)における前記締付方向(X1)と反対方向を向いている面に形成される。
【0008】
また、本願に開示する締結具において、前記押圧手段(60)は、第1テーパ部(61)と、第2テーパ部(62)とを含む。前記第1テーパ部(61)は、前記複数の分割ネジ(41)の各々における前記第2雌ネジ体(40)の外周側の面に形成され、前記締付方向(X1)にいくほど前記第2雌ネジ体の外径が小さくなる傾斜面を有する。前記第2テーパ部(62)は、擂鉢の内側面状であり、前記第1テーパ部(61)と同じ向きに傾斜する傾斜面を有し、前記第1テーパ部(61)と摺接可能に前記第2ケーシング(50)の内部に配設される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る締結具によれば、ケーシングの軸方向の長さをより小さくでき、より広範な形状、デザインの締結対象物に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る締結具を示す全体断面図である。
図2】(a)図1の締結具の使用例を示す全体斜視図であって、扉に対し部屋の内部側からの全体斜視図である。(b)図1の締結具の使用例を示す全体斜視図であって、扉に対し部屋の外部側からの全体斜視図である。
図3】第1ケーシングの分解斜視図である。
図4】(a)第1ケーシングの詳細を示す上面図である。(b)図4(a)のA-A矢視断面図である。
図5】第2ケーシングの分解斜視図である。
図6】(a)第2ケーシングの詳細を示す上面図である。(b)図6(a)のB-B矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る締結具を図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するのに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この実施形態に限定されるものではない。
〈実施形態〉
以下に、図1図6を参照して、本発明の実施形態に係る締結具を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る締結具を示す全体断面図である。図2(a)は、図1の締結具の使用例を示す全体斜視図であって、扉に対し部屋の内部側からの全体斜視図である。図2(b)は、図1の締結具の使用例を示す全体斜視図であって、扉に対し部屋の外部側からの全体斜視図である。図3は、第1ケーシングの分解斜視図である。図4(a)は、第1ケーシングの詳細を示す上面図である。図4(b)は、図4(a)のA-A矢視断面図である。図5は、第2ケーシングの分解斜視図である。図6(a)は、第2ケーシングの詳細を示す上面図である。図6(b)は、図6(a)のB-B矢視断面図である。
【0012】
図1図6に示すように、実施形態に係る締結具は、締結対象物に内蔵可能であり、第1雌ネジ体10と、第1ケーシング20と、回転手段30と、第2雌ネジ体40と、第2ケーシング50と、押圧手段60と、付勢手段70とを具備する。本実施形態においては、締結対象物は、第1物品としての第1連結部材2と、第2物品としての第2連結部材3である。第1連結部材2、第2連結部材3は、各々、角棒状で上下に長い第1扉ハンドル4、第2扉ハンドル5を扉6に連結する。また、扉6は、側端面に、図示しない扉枠に扉6を係止するためのラッチボルト6aを有している。
【0013】
図1に示すように、第1雌ネジ体10は、軸状の雄ネジ体1の一端側に配設される第1ネジ部1aと螺合する。なお、雄ネジ体1が、全長に亘って雄ネジが形成されている寸切りボルトであれば、雄ネジ体1の一端から所定長さの部分が第1ネジ部1aである。
【0014】
また、図3に示すように、第1雌ネジ体10は、円筒状の本体部11と、フランジ部12とを有する。本体部11は、内周側に雌ネジ10aを有する。フランジ部12は、本体部11における締付方向X1の端部に配設される。締付方向X1は、雄ネジ体1の他端側から一端側に向かう方向であり、雄ネジ体1を締付ける際に雄ネジ体1が移動する方向である。また、雄ネジ体1は、第2雌ネジ体40に対し、締付方向X1と反対方向には自由に移動でき、締付方向X1には、第2雌ネジ体40との螺合によって、移動が制約される。
【0015】
第1ケーシング20は、図3図4に示すように、第1雌ネジ体10を回転可能に収容し、締結対象の第1物品と係合する。実施形態においては、第1ケーシング20は、第1挿通孔21、及び第1係合部22を有する。第1挿通孔21は、雄ネジ体1の第1ネジ部1aが挿通される。第1係合部22は、第1挿通孔21が開口している第1ケーシング20の外側面に配設される。また、実施形態においては、第1ケーシング20は、第1物品としての第1連結部材2に内蔵され、第1係合部22は、第1連結部材2と係合する。
【0016】
更に、第1ケーシング20は、上部に取出開口を有する角箱状の第1ケーシング本体20aと、第1蓋部20bとを有する。第1ケーシング本体20aは、上端に一対のネジ孔20cを有している。第1蓋部20bは、一対の留ネジ20dが挿通される透孔20eを有し、一対の留ネジ20dによって、第1ケーシング本体20aに固定される。また、第1蓋部20bは、雄ネジ体1が第1雌ネジ体10に奥深くまでねじ込まれるときに挿通される透孔20fを有している。
【0017】
回転手段30は、第1雌ネジ体10を回転する。図3図4に示すように、実施形態においては、回転手段30は、傘歯車状の軸付歯車31と、環状歯車32とを含む。
【0018】
軸付歯車31は、軸方向が第1雌ネジ体10の軸方向と交わる向きに第1ケーシング20に軸支される。実施形態においては、軸付歯車31の軸方向は、第1雌ネジ体10の軸方向と略直交し、軸付歯車31は、軸部31aと歯部31bとを有する。軸部31aには、レンチ孔31cが形成されており、軸付歯車31は、レンチ孔31cに差込まれる図示しない六角棒L形レンチなどの工具によって回転される。また、軸付歯車31は、軸部31aが第1ケーシング本体20aの側壁に形成される軸孔20gに挿通されることによって、第1ケーシング20に軸支される。更に、図1図2に示すように、操作用の透孔2aが連結部材2に形成され、透孔2aを介し、レンチ孔31cに工具が差込まれる。
【0019】
環状歯車32は、図3図4に示すように、フランジ部12における締付方向X1と反対方向を向いている面に形成される。環状歯車32が、フランジ部12における締付方向X1と反対方向を向いている面に形成されることによって、図4(b)に示すように、軸付歯車31を第1雌ネジ体10の本体部11と対向配置することが可能となっている。
【0020】
第2雌ネジ体40は、図1に示すように、雄ネジ体1の他端側に配設される第2ネジ部1bと螺合する。雄ネジ体1が、全長に亘って雄ネジが形成されている寸切りボルトであれば、雄ネジ体1の他端から所定長さの部分が第2ネジ部1bである。
【0021】
図5に示すように、第2雌ネジ体40は、環状に配置される複数の分割ネジ41が合わさって形成される。複数の分割ネジ41の各々における第2雌ネジ体40の内周側には、雌ネジ41aが形成される。
【0022】
図6に示すように、第2ケーシング50は、雄ネジ体1の軸方向に沿って移動可能に第2雌ネジ体40を収納し、締結対象の第2物品と係合する。実施形態においては、第2ケーシング50は、第2挿通孔51、及び第2係合部52を有する。第2挿通孔51は、雄ネジ体1の第2ネジ部1bが挿通される。第2係合部52は、第2挿通孔51が開口している第2ケーシング50の外側面に配設される。また、実施形態においては、第2ケーシング50は、第2物品としての第2連結部材3に内蔵され、第2係合部52は、第2連結部材3と係合する。
【0023】
また、第2ケーシング50は、上部に取出開口を有する角箱状の第2ケーシング本体50aと、第2蓋部50bとを有する。第2蓋部50bは、例えば接着剤によって、第2ケーシング本体50aに固定される。また、第2蓋部50bは、雄ネジ体1が第2雌ネジ体40に奥深くまでねじ込まれるときに挿通される透孔50cを有している。
【0024】
押圧手段60は、複数の分割ネジ41が雄ネジ体1の締付方向X1に移動するほど、第2雌ネジ体40の内径が小さくなる向きに複数の分割ネジ41を押圧する。実施形態においては、押圧手段60は、第1テーパ部61と、第2テーパ部62を含む。
【0025】
第1テーパ部61は、複数の分割ネジ41の各々における第2雌ネジ体40の外周側の面に形成され、雄ネジ体1の締付方向X1にいくほど第2雌ネジ体の外径が小さくなる傾斜面を有する。
【0026】
第2テーパ部62は、擂鉢の内側面状であり、第1テーパ部61と同じ向きに傾斜する傾斜面を有し、第1テーパ部61と摺接可能に第2ケーシング50の内部に配設される。第2テーパ部62の傾斜面は、実施形態においては、第1テーパ部61の傾斜面と略平行である。また、実施形態の締結具は、複数のガイド片63を含む。複数のガイド片63は、複数の分割ネジ41の各々の周方向の長さと対応する間隔を置いて第2テーパ部62に配設され、複数の分割ネジ41の回転移動を阻止するとともに複数の分割ネジ41の軸方向の移動をガイドする。
【0027】
付勢手段70は、実施形態においては、スプリングであり、第2ケーシング50の内部に配設され、締付方向X1に複数の分割ネジ41を付勢する。
【0028】
以下、実施形態に係る締結具の動作を説明する。
【0029】
図1に示すように、第1雌ネジ体10が雄ネジ体1の第1ネジ部1aと螺合し、第2雌ネジ体40が雄ネジ体1の第2ネジ部1bと螺合することによって、実施形態に係る締結具は、第1連結部材2、第2連結部材3を扉6に締結する。
【0030】
実際の締結作業においては、図1に示すように、雄ネジ体1の第1ネジ部1aを第1雌ネジ体10に所定位置までねじ込み、雄ネジ体1を扉6の図示しない挿通孔に挿通するように、第1連結部材2を扉6に押付け、第2ネジ部1bが扉6の反対側に突出した状態とする。
【0031】
次に、第2ケーシング50の第2挿通孔51を介し、第2ケーシング50の内部に第2ネジ部1bを差込むように第2連結部材3を扉6に押付ける。第2連結部材3を扉6に押付けると、付勢手段70の付勢力に抗して複数の分割ネジ41が、第2ネジ部1bに押され、締付方向X1と反対方向に移動する。
【0032】
複数の分割ネジ41が、締付方向X1と反対方向に移動すると、押圧手段60が、第2雌ネジ体40の内径が小さくなる向きに複数の分割ネジ41を押圧している押圧力が小さくなる。従って、雄ネジ体1は、第2雌ネジ体40に対し、締付方向X1と反対方向に自由に移動でき、締結完了位置の近傍まで、第2ネジ部1bは、第2ケーシング50の内部に差込まれる。
【0033】
第2ネジ部1bが、締結完了位置の近傍まで第2ケーシング50の内部に差込まれると、第1連結部材2と第2連結部材3とは、扉6に仮に固定された状態となる。第1連結部材2と第2連結部材3とが扉6に仮に固定された状態で、透孔2aを介し、工具をレンチ孔31cに差し込み、軸付歯車31を回転すると、第1雌ネジ体10が回転され、雄ネジ体1が増し締めされて、締結作業が完了する。
【0034】
以上、図1図6を参照して説明したように、実施形態に係る締結具は、2つの雌ネジ体である第1雌ネジ体10、第2雌ネジ体40を具備しており、回転手段30が、押圧手段60を有する第2ケーシング50ではなく、構造のシンプルな第1雌ネジ体10を回転するように、第1ケーシング20に配設される。従って、第1ケーシング20に収容される第1雌ネジ体10と回転手段30のレイアウトの自由度を大きくすることができ、第1ケーシング20の軸方向の長さを小さくすることが容易となり、第1ケーシング20の軸方向の長さをより小さくでき、より広範な形状、デザインの締結対象物に締結具を適用できる。
【0035】
例えば、図1に示すように、扉枠に持ち手が当たりにくいように、斜めに延びる斜部を有する第1連結部材2、第2連結部材3に、実施形態に係る締結具を適用することも可能となり、使用者の利便性を高めることができる。これに対し、従来技術に記載の締結具は、扉と垂直に延びるような連結部材には好適に適用できるが、ケーシングの軸方向長さが大きいが故に、斜部を有する第1連結部材2、第2連結部材3のような締結対象物への適用は制約される。
【0036】
また、図1図6を参照して説明したように、実施形態に係る締結具によれば、第1雌ネジ体10が、円筒状の本体部11と、フランジ部12とを有し、回転手段30が、軸付歯車31と、環状歯車32とを含み、環状歯車32が、フランジ部12における締付方向X1と反対方向を向いている面に形成される。従って、軸付歯車31を第1雌ネジ体10の本体部11と対向するように配置でき、第1雌ネジ体10と回転手段30とを第1ケーシング20の軸方向に並べて配置する必要がなく、更に確実に、第1ケーシング20の軸方向の長さをより小さくでき、より広範な形状、デザインの締結対象物に適用できる。
【0037】
また、図1図6を参照して説明したように、実施形態に係る締結具によれば、押圧手段60が、第1テーパ部61と、第2テーパ部62とを含み、第1テーパ部61が、複数の分割ネジ41の各々における第2雌ネジ体40の外周側の面に形成され、締付方向X1にいくほど第2雌ネジ体40の外径が小さくなる傾斜面を有し、第2テーパ部62が、第1テーパ部61と同じ向きに傾斜する傾斜面を有し、第1テーパ部61と摺接可能に第2ケーシング50の内部に配設される。従って、複数の分割ネジ41と第2ケーシング50の内部とに斜面を形成するだけの簡単な加工によって押圧手段60を形成でき、機構の単純化によって、不具合の発生を抑え、作動の信頼性を高めることができる。また、製造コストを抑えることもできる。
【0038】
以上、図面(図1図6)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
X1…締付方向
1…雄ネジ体
1a…第1ネジ部
1b…第2ネジ部
2…第1連結部材(第1物品)
3…第2連結部材(第2物品)
10…第1雌ネジ体
11…本体部
12…フランジ部
20…第1ケーシング
30…回転手段
31…軸付歯車
32…環状歯車
40…第2雌ネジ体
41…分割ネジ
50…第2ケーシング
60…押圧手段
61…第1テーパ部
62…第2テーパ部
70…付勢手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6