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特開2022-159765鍋加熱装置、及びそれを備えたガス炊飯器
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  • 特開-鍋加熱装置、及びそれを備えたガス炊飯器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159765
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】鍋加熱装置、及びそれを備えたガス炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20221011BHJP
   A47J 27/14 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
A47J27/00 102
A47J27/14 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064158
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】堀本 正也
(72)【発明者】
【氏名】田原 英明
【テーマコード(参考)】
4B054
4B055
【Fターム(参考)】
4B054AA02
4B054AB01
4B054AC02
4B054BA12
4B054BC02
4B054BC11
4B055AA01
4B055BA10
4B055BA22
4B055CA16
4B055CB30
4B055DA02
4B055DB08
(57)【要約】
【課題】安全な着火が行えながらも不着火を防止できる共に、平面視での釜底部の中央領域を含めた全体を良好に加熱でき、更には、低負荷における熱効率を向上させて、低負荷であっても比較的高温まで昇温させることができる鍋加熱装置、及びそれを備えたガス炊飯器を提供する。
【解決手段】鍋10の下方において、環状に配設される複数の炎孔から環の環径方向で外側へ向かって放射状に伸びる火炎を形成するバーナ本体20と、バーナ本体20の下方において、バーナ本体20の火炎により加熱されて輻射熱を輻射する熱輻射体30とを備え、当該熱輻射体30は、平面視においてバーナ本体20の環径方向の外側に、環径方向で内側へ向く熱輻射壁Hを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に載置される鍋を加熱する鍋加熱装置であって、
前記鍋の下方において、環状に配設される複数の炎孔から前記環の環径方向で外側へ向かって放射状に伸びる火炎を形成するバーナ本体と、
前記バーナ本体の下方において、前記バーナ本体の火炎により加熱されて輻射熱を輻射する熱輻射体とを備え、
当該熱輻射体は、平面視において前記バーナ本体の前記環径方向の外側に、前記環径方向で内側へ向く輻射壁を有する鍋加熱装置。
【請求項2】
前記熱輻射体の前記輻射壁は、前記環径方向で内側で且つ前記鍋の底面へ向いて立設されている請求項1に記載の鍋加熱装置。
【請求項3】
前記輻射壁は、平面視において環状の前記バーナ本体の外側に環状で、且つ環径の異なる複数の環状壁から構成され、
当該複数の前記環状壁は、環径方向で内側から外側へ向かうにつれて鉛直方向で上方に位置する形態で設けられる請求項1又は2に記載の鍋加熱装置。
【請求項4】
前記鍋の側方面に対向する側方壁部と、前記鍋の底面に対向する前記バーナ本体及び前記熱輻射体とが設けられる底側壁部とからなる外囲筐体とを備え、
前記外囲筐体と前記鍋との間に排気流路を形成する請求項1~3の何れか一項に記載の鍋加熱装置。
【請求項5】
前記バーナ本体は、環状に配設される複数の前記炎孔が隣接する前記炎孔にて形成される火炎の間で火移り可能に設けられた単一のバーナである請求項1~4の何れか一項に記載の鍋加熱装置。
【請求項6】
前記熱輻射体は、アルミナとシリカを主成分とするセラミックファイバーを含む耐熱セラミックから構成されている請求項1~5の何れか一項に記載の鍋加熱装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項の鍋加熱装置を用いて構成されるガス炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部に載置される鍋を加熱する鍋加熱装置、及びそれを備えたガス炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炊飯器等の鍋を加熱する鍋加熱装置として、特許文献1に記載のように、メタルニットバーナ等の面燃焼バーナが知られている(特許文献1を参照)。
当該炊飯器等の鍋加熱装置は、加熱対象物が入れられる鍋と、当該鍋の下方にて混合ガスを金属繊維内で燃焼させつつ対流熱を発生させるメタルニット(耐熱金属繊維)と、混合ガスを燃焼させる燃焼部とが、上方から記載の順に設けられている。
更に、当該炊飯器等の鍋加熱装置では、燃焼部として、複数の混合気噴出部が、メタルニットの下方で、格子状に配列された構成が採用される場合があり、当該構成においては、複数の混合気噴出部のうち一の混合気噴出部に対してイグナイタを備え、当該一の混合気噴出部に点火した後、爆発着火により他の混合気噴出部にも点火する構成を採用しており、一の混合気噴出部とは異なる他の混合気噴出部に備えられる火炎検知部における火炎の検知により、爆発着火による火炎の火移りが起きたか否かを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-61656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような構成においては、まずもって、格子状に設けられた複数の混合気噴出部に点火する際に爆発着火しており、それによる着火については、他の混合気噴出部に設けられた火炎検知部による検知により判定しているため、火炎検知部が設けられていない混合気噴出部で確実に着火が起きているか否かが不明であり、不着火の混合気噴出部から未燃の混合気が漏れ出している状態で、炊飯器が使用され続ける虞があった。
更に、上述の炊飯器は、一般的には、鍋の下方から鍋と鍋を囲む側周壁との間へ、燃焼排ガスが通流する形態で、鍋を加熱するものであるから、平面視での鍋底の中央領域への燃焼排ガスの対流が少なく、鍋底の中央領域の加熱が不十分となる虞があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、安全な着火が行えながらも不着火を防止できる共に、平面視での鍋の底面の中央領域を含めた全体を良好に加熱でき、更には、低負荷における熱効率を向上させて、低負荷であっても比較的高温まで昇温させることができる鍋加熱装置、及びそれを備えたガス炊飯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための鍋加熱装置は、上部に載置される鍋を加熱する鍋加熱装置であって、その特徴構成は、
前記鍋の下方において、環状に配設される複数の炎孔から前記環の環径方向で外側へ向かって放射状に伸びる火炎を形成するバーナ本体と、
前記バーナ本体の下方において、前記バーナ本体の火炎により加熱されて輻射熱を輻射する熱輻射体とを備え、
当該熱輻射体は、平面視において前記バーナ本体の前記環径方向の外側に、前記環径方向で内側へ向く輻射壁を有する点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、バーナ本体が、環状に配設される複数の炎孔からバーナ本体の環径方向で外側へ向かって放射状に伸びる火炎を形成するから、環状に配設される炎孔の一部に着火することで、複数の炎孔での火移りを良好に行わせて、不着火を防止できる。
更に、バーナ本体の下方において、バーナ本体の火炎により加熱されて輻射熱を輻射する熱輻射体を備え、当該熱輻射体が、平面視においてバーナ本体の環径方向の外側に、環径方向で内側へ向く輻射壁を有するから、当該熱輻射体からの輻射熱を、環径方向で内側へ輻射でき、平面視での鍋底部の中央領域を良好に加熱できる。
特に、当該構成によれば、火炎の下方に環径方向で内側へ向く輻射壁を有する熱輻射体を設けるから、火炎の下方へ放射される熱にて加熱される熱輻射体の輻射壁から鍋の底面へ輻射熱を輻射することで、熱を良好に鍋に伝達して、熱効率の向上を図ることができ、特に、低負荷であっても鍋の温度を比較的高温まで昇温できる。
以上より、安全な着火が行えると共に不着火及び火炎の立ち消えを良好に検知可能であると共に、釜底部の中央領域を含めた全体を良好に加熱できる鍋加熱装置を実現できる。
【0008】
鍋加熱装置の更なる特徴構成は、
前記熱輻射体の前記輻射壁は、前記環径方向で内側で且つ前記鍋の底面へ向いて立設されている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、従来技術では十分に加熱され難かった平面視で鍋の底面の中央領域を、効率的且つ効果的に加熱できる。
【0010】
鍋加熱装置の更なる特徴構成は、
前記輻射壁は、平面視において環状の前記バーナ本体の外側に環状で、且つ環径の異なる複数の環状壁から構成され、
当該複数の前記環状壁は、環径方向で内側から外側へ向かうにつれて鉛直方向で上方に位置する形態で設けられる点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、環径方向で外側へ向かうに従って、徐々に上方へ巻き上がる火炎の熱により、効率的に輻射壁を加熱しつつ、当該輻射壁からの輻射熱を平面視で鍋の底面の中央領域へ向けて良好に輻射できる。
【0012】
鍋加熱装置の更なる特徴構成は、
前記鍋の側方面に対向する側方壁部と、前記鍋の底面に対向する前記バーナ本体及び前記熱輻射体とが設けられる底側壁部とからなる外囲筐体とを備え、
前記外囲筐体と前記鍋との間に排気流路を形成する点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、鍋の下方に設けられるバーナ本体から排出される燃焼排ガスを、鍋の側方を通流させることができるから、当該燃焼排ガスの対流により鍋の加熱を良好に行うことができると共に、燃焼排ガスが鍋の側方に導かれることに伴い、燃焼排ガスの対流による加熱が期待し難い平面視で鍋の底面の中央領域は、熱輻射体による熱輻射により加熱できるから、鍋の全体を効率よく加熱することができる。
【0014】
鍋加熱装置の更なる特徴構成は、
前記バーナ本体は、環状に配設される複数の前記炎孔が隣接する前記炎孔にて形成される火炎の間で火移り可能に設けられた単一のバーナである点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、従来技術の如く、爆発着火により火炎の火移りを行わせるといったことをする必要がないため、安全な着火を実現できる。
【0016】
鍋加熱装置の更なる特徴構成は、
前記熱輻射体は、アルミナとシリカを主成分とするセラミックファイバーを含む耐熱セラミックから構成されている点にある。
【0017】
上述の如く、熱輻射体を、アルミナとシリカを主成分とするセラミックファイバーを含む耐熱セラミックから構成することにより、1000℃以上の高温域であっても高い構造安定性を発揮できると共に、熱伝導率を耐火レンガの1/10程度、断熱レンガの1/2程度と低く抑えることができるから、鍋加熱装置への下方への熱放射量を低減できる。
また、レンガと比較して重量が1/10程度と軽量であるため、蓄熱損失を低減でき、省エネルギ性を高めることができる。
【0018】
上記目的を達成するためのガス炊飯器は、上述した鍋加熱装置を用いて構成されることが好ましい。
【0019】
上記特徴構成を有するガス炊飯器によれば、特に、鍋底部の平面視で中央領域を効果的に加熱できるから、米の炊飯に必要な米の鍋内での対流を促すことができ、良好な炊きあがりを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る鍋加熱装置、及びそれを備えたガス炊飯器の分解斜視図である。
図2図1に示す鍋加熱装置、及びそれを備えたガス炊飯器のII-II断面図である。
図3】温度測定試験に用いた温度センサの鍋に対する設置状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態に係る鍋加熱装置、及びそれを備えたガス炊飯器は、安全な着火が行えながらも不着火を防止できる共に、平面視での鍋の底面の中央領域を含めた全体を良好に加熱でき、更には、低負荷における熱効率を向上させて、低負荷であっても比較的高温まで昇温できるものに関する。
以下、図面に基づいて、実施形態に係る鍋加熱装置、及びそれを備えたガス炊飯器について説明する。
【0022】
鍋加熱装置100は、図1に示されるように、有底角筒形状で上方が開放した鍋10を加熱するものとして構成されており、加熱状態を制御することにより、当該鍋10にて米を炊飯するガス炊飯器として機能するものである。
更に、鍋加熱装置100は、図1、2に示されるように、鍋10の上端の4隅に形成される鍔部11を、載置支持する天板面50aを有する天板50と、当該天板50の天板面50aに鍋10の鍔部11を載置した状態において、鍋10の側方面12に対向する側方壁部42と鍋10の底面13に対向する底側壁部41とからなる外囲筐体40とを備えている。
因みに、天板50は、平面視でその四方がボルトBにより外囲筐体40の側方壁部42に締結されており、外囲筐体40の側方外側には、化粧板70が設けられている。
更に、当該外囲筐体40の底側壁部41には、鍋10の鉛直方向で下方(矢印Zに沿う方向で矢示基端側)において、環状に配設される複数の炎孔21から環径方向(図2では、矢印Xや矢印Yに沿う方向)で外側へ向かって放射状に伸びる火炎Kを形成するバーナ本体20と、当該バーナ本体20の下方において、バーナ本体20の火炎Kにより加熱されて輻射熱を輻射する熱輻射体30とが設けられている。
【0023】
バーナ本体20は、円環状で且つ隣接して配設される複数の炎孔21と、当該炎孔21の何れか一つに対向する位置に設けられる一のイグナイタ(図示せず)と、炎孔21の何れか一つに対向する位置に設けられる一の火炎検知部(図示せず)とを備える。
更に、当該バーナ本体20には、燃料ガスFを通流する燃料ガス通流管61と、当該燃料ガス通流管61を通流する燃料ガスFの流れにより燃焼用空気Aを引き込んで混合する混合部62と、混合部62にて混合された混合気をバーナ本体20の炎孔21まで導く混合気通流管63とからなる混合気供給部60が接続されている。
即ち、鍋加熱装置100に設けられるバーナ本体20は、図1、2に示すように、単一のバーナであり、イグナイタにより複数の炎孔21の一つに点火されることで、隣接する炎孔21に火移りする形態で、環径方向で外側へ向けて放射される円環状で火炎Kが形成され、当該形成される火炎Kを一の火炎検知部にて検知することにより、すべての炎孔21での混合気の点火及び火炎Kの立ち消えを良好に検出できる。
【0024】
更に、鍋加熱装置100では、図2に示すように、鍋10の鍔部11を天板50の天板面50aに載置した載置状態において、外囲筐体40と鍋10との間に排気流路EPが形成されており、平面視で鍋10の底面13の略中央領域に重畳するバーナ本体20にて形成された火炎Kの燃焼排ガスEが、鍋10の底面13に沿ってバーナ本体20の環径方向で外側へ放射状に導かれるた後に、鍋10の側方面12に沿って通流した後、外囲筐体40の側方壁部42の四隅の上方に形成される壁部開孔43及び天板面50aに形成された複数の天板開孔51とを介して、上方へ導かれることになる。
【0025】
さて、これまで説明してきた構成においては、平面視で鍋10の底面13の略中央領域、即ち、バーナ本体20に重畳する位置は、火炎Kが接触し難く且つ燃焼排ガスEの対流も少ないため、熱が伝熱し難い。このため、平面視で鍋10の底面13の略中央領域が、他の領域に比べて比較的低温になり、特に、当該鍋加熱装置100をガス炊飯器として用いる場合、鍋10で米の対流が起き難くなり、炊きあがったご飯の食味を十分に高くすることができない。
【0026】
そこで、当該実施形態に係る鍋加熱装置100では、図1、2に示すように、熱輻射体30が、平面視においてバーナ本体20の環径方向の外側に、環径方向で内側で且つ鍋10の底面13へ向く熱輻射壁Hを備えている。換言すると、当該熱輻射壁Hは、環径方向で内側のバーナ本体20と対向すると共に、鍋10の底面13に対向する状態で設けられている。
説明を追加すると、当該熱輻射壁Hは、平面視において環状のバーナ本体20の外側に円環状で、且つ環径の異なる複数(当該実施形態では5つ)の環状壁H1~H5から構成され、当該複数の環状壁H1~H5は、環径方向で内側から外側へ向かうにつれて鉛直方向で上方に位置する形態で設けられる。
【0027】
尚、熱輻射体30は、アルミナとシリカを主成分とするセラミックファイバーを含む耐熱セラミックから構成されており、原綿形状をしたセラミックファイバーであるバルクに、無機又は有機バインダーを添加して水中で分散させ、これを板状に成型した後に、切削加工等により熱輻射壁Hを設けて構成される。
因みに、後述する試験に用いる熱輻射体30は、熱伝導率(W・mK)は、平均温度が600℃のときに0.11、平均温度が800℃のときに0.15、平均温度が1000℃のときに0.20、平均温度が1200℃のときに0.26となっている。
また、最高使用温度は1400℃であり、嵩密度は300kg/mであり、曲げ強度は常温で0.76Mpaである。
【0028】
〔第1加熱試験〕
これまで説明してきた鍋加熱装置100を用いる場合 (以下、本発明と略称する場合がある)と、従来のメタルニットバーナ(図示せず)を用いた加熱装置を用いる場合(以下、従来技術と略称する場合がある)とで、同一の鍋10を加熱する場合の第1加熱試験を、以下に示す。
因みに、従来技術に係るメタルニットバーナを用いた加熱装置は、図示は省略するが、鍋10の底面13に対向して、格子状に設けられた複数のバーナと、当該バーナの上方にメタルニットを設ける構成を採用している。
当該第1加熱試験では、本発明では0.7m/hの燃料ガスFを供給し、従来技術では、0.84m/hの燃料ガスFを供給する形態で、夫々の空気過剰率を1として、鍋10を加熱しているときに、図1に示すT1~T13の夫々での計測点において鍋10の底面13の温度を計測し、何れかの温度が95℃を超える時点での夫々の計測点の温度を取得するものである。
本発明の第1加熱試験の結果を〔表1〕に、従来技術の第1加熱試験の結果を〔表2〕に示す。当該第1加熱試験の結果から、従来技術に比べ、本発明のほうが、平面視で鍋10の中央領域(T7)を昇温できていると共に、全体の温度のばらつきを低減できていることがわかる。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
〔第2加熱試験〕
当該第2加熱試験では、本発明及び従来技術において、第1加熱試験と同様の温度計測形態で、出力を変更させる場合に、燃焼排ガスEの最下流側での温度(T1、T3、T11、T13)が、所定温度(95℃、97℃、99℃)に到達するまでの所要時間を確認した。
因みに、本発明の鍋加熱装置100は、空気過剰率を1.0として、定格運転時(最大出力運転時)は、入力熱量が33.84kW、ガス流量が3.0m/h、バーナ本体20の炎孔21における混合気圧が2080Paであり、最小出力運転時は、入力熱量が5.64kW、ガス流量が0.5m/h、バーナ本体20の炎孔21における混合気圧が120Paであり、ターンダウン比が6:1の加熱装置である。
【0032】
本発明の結果を〔表3〕に、従来技術の結果を〔表4〕に示す。
当該第2加熱試験の結果から、本発明は、従来技術に比べ、比較的低出力の微燃焼である場合にも、鍋10の底面13における燃焼排ガスEの最下流側の位置を、所定温度(95℃、97℃、99℃)にまで昇温することができ、低負荷での高い熱効率を実現できていることがわかる。
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態において、熱輻射体30の熱輻射壁Hは、平面視においてバーナ本体20の環径方向の外側に、環径方向で内側で且つ鍋10の底面13へ向く構成のものを例示した。
しかしながら、当該熱輻射体30の熱輻射壁Hは、鍋10の底面13へ向いておらず、環径方向で内側に向く構成であっても構わない。換言すると、当該熱輻射壁Hは、環径方向で内側のバーナ本体20と対向する状態で設けられている。
【0036】
(2)上記実施形態では、熱輻射壁Hが、平面視において環状のバーナ本体20の外側に円環状で、且つ環径の異なる複数(当該実施形態では5つ)の環状壁H1~H5から構成され、当該複数の環状壁H1~H5は、環径方向で内側から外側へ向かうにつれて鉛直方向で上方に位置する形態で設けられる構成例を示した。
他の構成例としては、熱輻射壁Hとしての環状壁H1~H5は、円環状でなく、少なくとも3つの角部を有する環形状であっても構わないし、その壁は、環周方向で連続していなくても構わない。
【0037】
(3)また、熱輻射壁Hは、環径が異なる複数の環状壁H1~H5でなく、一の環状壁(図示せず)であっても構わない。
この場合、当該環状壁は、環径方向で内側から外側へ向かうに従って徐々に広がると共に、下方から上方へ向かうに従って徐々に大径となる、所謂、擂鉢形状とすることができる。
【0038】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の鍋加熱装置、及びそれを備えたガス炊飯器は、安全な着火が行えながらも不着火を防止できる共に、平面視での鍋の底面の中央領域を含めた全体を良好に加熱でき、更には、低負荷における熱効率を向上させて、低負荷であっても比較的高温まで昇温させることができる鍋加熱装置、及びそれを備えたガス炊飯器として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 :鍋
12 :側方面
13 :底面
20 :バーナ本体
21 :炎孔
30 :熱輻射体
40 :外囲筐体
41 :底側壁部
42 :側方壁部
100 :鍋加熱装置
E :燃焼排ガス
EP :排気流路
H :熱輻射壁
H1 :環状壁
H2 :環状壁
H3 :環状壁
H4 :環状壁
H5 :環状壁
K :火炎
図1
図2
図3