(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159768
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】食材塊分離搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65B 35/06 20060101AFI20221011BHJP
B65G 47/30 20060101ALI20221011BHJP
B65G 47/31 20060101ALI20221011BHJP
B65B 35/24 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
B65B35/06
B65G47/30 D
B65G47/31 D
B65B35/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064161
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000236746
【氏名又は名称】不二精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】青木 太志
【テーマコード(参考)】
3E054
3F081
【Fターム(参考)】
3E054AA08
3E054BA01
3E054CA08
3E054DA02
3E054DA03
3E054DD01
3E054DD11
3E054DE03
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3E054GC05
3E054HA02
3E054HA07
3E054JA02
3F081AA51
3F081BA08
3F081BD08
3F081BD16
3F081BD17
3F081BD18
3F081BF06
3F081CC08
3F081CD01
3F081DA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】多数の食材塊を弁当箱等の容器まで分離搬送し容器内へ必要個数のみ充填を行う食材塊の分離搬送装置を提供する。
【解決手段】食材塊の群集を収納した収納ケースと仕切り壁を一定間隔で立設して構成した無端ベルトを配設してなる傾斜ベルト部と傾斜ベルト部の傾斜頂部下方に傾斜ベルト部作動方向と直交するように横向きにベルト本体を配設してベルト表面に一定間隔で立設した仕切り体を介して食材塊を単体ごとに仕切って横搬送可能に構成した横搬送ベルト部と横搬送ベルト部の終端に同じ作動方向となるように配設して該ベルト部の搬送速度と対比制御しながら食材塊収納部に食材塊単体を落下搬送するように構成した終末落下ベルト部とより構成したことで、群集状態の食材塊を個別分離し、必要個数のみを容器内へ搬送する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種異形の食材塊の群集を収納した収納ケースと、
登り傾斜状に配設してベルト表面に搬送食材塊の略標準高さ以下の高さに形成した仕切り壁を一定間隔で立設して構成した無端ベルトを配設してなる傾斜ベルト部と、
傾斜ベルト部の傾斜頂部下方に傾斜ベルト部作動方向と直交するように横向きにベルト本体を配設するとともにベルト表面に一定間隔で立設した仕切り体を立設し、仕切り体で食材塊を単体ごとに仕切って横搬送可能に構成した横搬送ベルト部と、
横搬送ベルト部の終端に配設され、更に横搬送ベルト部の搬送速度と対比制御して食材塊収納部に食材塊単体を落下搬送するように構成した終末落下ベルト部と、
から構成したことを特徴とする食材塊の個別分離搬送装置。
【請求項2】
終末落下ベルト部において、横搬送ベルト部の搬送速度と対比制御するとは終末落下ベルト部を横搬送ベルト部よりも速い搬送速度とすることを特徴とする請求項1に記載の食材塊の個別分離搬送装置。
【請求項3】
横向きにベルト本体を配設すると共に表面に立設した仕切り体を介して食材塊を単体ごとに仕切って横搬送可能に構成した横搬送ベルト部は並列に複数個配設し、それぞれのベルト本体からの作動によって群集状態の食材塊を個別分離し、食材塊を単体状態として複数の終末落下ベルト部から落下排出可能に構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の食材塊の個別分離搬送装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の食材塊を弁当箱等の容器まで分離搬送し容器内へ必要個数のみ充填を行う食材塊の分離搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弁当箱などの所定の容器内に各種の惣菜を詰め合わせるためには多数の容器を並べて人手により逐一各種の惣菜を収納するという人海戦術による流れ作業が行われていた。
【0003】
近年、かかる人海戦術に頼る大量の食材容器への食材塊詰め込み作業は徐々に機械化されてきており、例えば食材種類ごとに区別された容器から把持爪を介して個々に食材を摘み取り容器に移動して収納するというロボット機構を利用した弁当の惣菜充填作業形態に進展してきた。
【0004】
しかし、基本的には個々の食材をハンド先端機構で把持(特許文献1参照)、或いは串刺して容器まで移動し充填するという作業形態は同じである。
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているような把持機構では、食材塊を把持して移動する作業工程においてハンド部分の動作によって食材塊を損傷したり的確な把持移動が行えなかったり、移動の途中で食材を高い位置から落下させてしまうなどの機械的な不始末を生起する事例が頻発して機械的な食材塊詰め込み作業の信頼性が揺らぐ結果となっていた。
【0007】
また、食材塊を把持する動作は、非常に繊細に行われる作業であるため、かかる動作を高速化することが困難であり、作業効率が低いといった問題があった。
さらには、把持動作の微妙な制御には、複雑な機構に対し緻密な電気制御が必要であり、組み立てが煩雑になったり維持コストが高かったりといった問題も生じていた。
【0008】
そのために人手を最低限まで省き、食材塊を弁当箱等の容器まで必要個数のみを迅速搬送することのできる搬送装置の開発が求められていた。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、複数の搬送用ベルトにより群集状態にある食材塊を単独の食材塊に分散し、個々の食材塊を容器位置まで搬送し、最終的にはベルトからの落下によって単一の食材塊毎に容器へ詰め込み完了するように構成した個別分離搬送装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題を解決するために、本発明にかかる個別分離搬送装置は、各種異形の食材塊の群集を収納した収納ケースと、登り傾斜状に配設してベルト表面に搬送食材塊の略標準高さ以下の高さに形成した仕切り壁を一定間隔で立設して構成した無端ベルトを配設してなる傾斜ベルト部と、傾斜ベルト部の傾斜頂部下方に傾斜ベルト部作動方向と直交するように横向きにベルト本体を配設するとともにベルト表面に一定間隔で仕切り体を立設し、仕切り体で食材塊を単体ごとに仕切って横搬送可能に構成した横搬送ベルト部と、横搬送ベルト部の終端に配設され、更に横搬送ベルト部の搬送速度と対比制御して食材塊収納部に食材塊単体を落下搬送するように構成した終末落下ベルト部と、より構成したことに特徴を有する。
【0011】
また、終末落下ベルト部において、横搬送ベルト部の搬送速度と対比制御するとは終末落下ベルト部を横搬送ベルト部よりも速い搬送速度としたことであり、この構成にも特徴を有する。
【0012】
また、横向きにベルト本体を配設すると共に表面に立設した仕切り体を介して食材塊を単体ごとに仕切って横搬送可能に構成した横搬送ベルト部は並列に複数個配設し、それぞれのベルト本体からの作動によって群集状態の食材塊を個別分離し、食材塊を単体状態として複数の終末落下ベルト部から落下排出可能に構成したことにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、各種異形の食材塊の群集を収納した収納ケースと登り傾斜状に配設してベルト表面に搬送食材塊の略標準高さ以下の高さに形成した仕切り壁を一定間隔で立設して構成した無端ベルトを配設してなる傾斜ベルト部と傾斜ベルト部の傾斜頂部下方に傾斜ベルト部作動方向と直交するように横向きにベルト本体を配設するとともにベルト表面に一定間隔で仕切り体を立設し、仕切り体で食材塊を単体ごとに仕切って横搬送可能に構成した横搬送ベルト部と横搬送ベルト部の終端に配設され、更に横搬送ベルト部の搬送速度と対比制御して食材塊収納部に食材塊単体を落下搬送するように構成した終末落下ベルト部とより構成したことにより、収納ケース内に大量に収納された食材塊を各ベルト部による搬送作動で群集状態から徐々に個別分離し終末落下ベルト部から単体として落下排出することで必要個数のみを容器内へ充填することができる効果がある。
【0014】
具体的には、傾斜ベルト部から横搬送ベルト部へ搬送される際に、傾斜ベルト部のベルト表面に立設した仕切り壁に直接引っかかるように支持された食材塊のみが搬送されると共に、支持されないものは下方へ転がり落ちるような構成となっていることで、群集状態にあった食材塊を作動方向に横一列となるように搬送することができる。
【0015】
次に、横搬送ベルト部は、前工程の傾斜ベルト部の作動方向と直交するように横向きにしてベルト本体を配設していることで、傾斜ベルト部において横一列で搬送された食材塊の流通方向を略90度変更し作動方向に前後一列に整列した状態として搬送することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、終末落下ベルト部の搬送速度を、横搬送ベルト部よりも速い搬送速度としたことにより、終末落下ベルト部へ食材塊が受け渡された際に、前後一列に密着して整列した状態の食材塊同士の前後間隔を広げ個別分離することができ、落下排出時に食材塊単体での排出を可能とする効果がある。
【0017】
請求項3の発明によれば、横搬送ベルト部のベルト及び終末落下ベルト部をそれぞれ並列に複数配設することで、食材塊の搬送と排出を複数のレーンによって同時に行い搬送効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の個別分離搬送装置の全体を示す斜視図である。
【
図2】本発明の個別分離搬送装置の詳細を示すための拡大斜視図である。
【
図3】本発明の個別分離搬送装置にかかる各搬送機構を示すため各種カバー体等を外した状態とした全体斜視図である。
【
図4】本発明の個別分離搬送装置にかかる各搬送機構を示すため各種カバー体等を外した状態とした平面図である。
【
図5】本発明の個別分離装置の作動の流れを示すフロー図である。
【
図6】本発明の個別分離搬送装置にかかる内壁及び食材塊供給ベルト部での食材塊の動きを示す模式的説明図である。
【
図7】本発明の個別分離搬送装置にかかる傾斜ベルト部での食材塊の動きを示す模式的説明図である。
【
図8】本発明の個別分離搬送装置にかかる横搬送ベルト部及び終末落下ベルト部での食材塊の動きを示す模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の要旨は、各種異形の食材塊の群集を収納した収納ケースと、登り傾斜状に配設してベルト表面に搬送食材塊の略標準高さ以下の高さに形成した仕切り壁を一定間隔で立設して構成した無端ベルト配設してなる傾斜ベルト部と、傾斜ベルト部の傾斜頂部下方に傾斜ベルト部作動方向と直交するように横向きにベルト本体を配設するとともにベルト表面に一定間隔で仕切り体を立設し、仕切り体で食材塊を単体ごとに仕切って横搬送可能に構成した横搬送ベルト部と、横搬送ベルト部の終端に配設され、更に横搬送ベルト部の搬送速度と対比制御して食材塊収納部に食材塊単体を落下搬送するように構成した終末落下ベルト部と、より構成したことにある。
【0020】
また、終末落下ベルト部において、横搬送ベルト部の搬送速度と対比制御するとは終末落下ベルト部を横搬送ベルト部よりも速い搬送速度としたことであり、この構成にも特徴を有する。
【0021】
また、横向きにベルト本体を配設すると共に表面に立設した仕切り体を介して食材塊を単体ごとに仕切って横搬送可能に構成した横搬送ベルト部は並列に複数個配設し、それぞれのベルト本体からの作動によって群集状態の食材塊を個別分離し、食材塊を単体状態として複数の終末落下ベルト部から落下排出可能に構成したことにも特徴を有する。
【0022】
[1.個別分離搬送装置の全体構成について]
以下、本発明にかかる食材塊の個別分離搬送装置の実施例を図面に基づいて詳説する。
図1~
図4は、本発明にかかる食材塊の個別分離装置の構成を説明する図であり、それぞれ
図1は食材塊個別分離搬送装置の全体図を、
図2は食材塊の個別分離搬送装置の要部詳細を示す拡大図を、
図3は各種カバー部材を外しそれぞれのベルト部を露出した状態とした斜視図、
図4は各種カバー部材を外しそれぞれのベルト部を露出した状態とした平面図である。
図7は、各ベルト部での食材塊搬送状態を示す模式的説明図である。
【0023】
本発明にかかる食材塊Fの個別分離搬送装置Mは、
図1に示すように、弁当箱等の容器Tが搬送されるベルトコンベアCの流通方向に対し並列状態に隣接し設置される。
【0024】
個別分離搬送装置Mの搬送を行う主な構成としては、
図1及び
図2に示すように、からあげや肉団子といった食材塊Fを大量に、すなわち群集状態で収納可能とする収納ケース1と、登り傾斜状に配設し、食材塊Fを流通方向に対して横一列の状態で搬送可能とする傾斜ベルト部2と、傾斜ベルト部2の流通方向に対して流通方向を直交するように配設し、傾斜ベルト部2によって横一列の状態で搬送された食材塊Fを前後一列に整列搬送させる横搬送ベルト部3と、横搬送ベルト部3と流通方向を同じとするように終端に配設し、横搬送ベルト部3の搬送速度よりも速い速度に設定して互いに一定間隔を保持して食材塊を前後一列状態で搬送して容器T又は後述する充填補助機構62における食材塊F着地点である食材塊収納部63へ単体で落下搬送させる終末落下ベルト部4とからなる。
【0025】
上述した各構成は、
図1に示すように、架台61上に一体となるように設置される。
架台61は、天板上に各構成を一体として設置すると共に、その下部空間は上下2つに分割され、下から1段目には個別分離搬送装置M全体の電気制御を担う電気部64が配され、2段目には電源ボタンやタッチパネルや緊急停止ボタン等の実際の操作や駆動調整を行う操作パネル65が配されている。
【0026】
食材塊Fを収納する収納ケース1は、
図1及び
図2に示すように、容器Tを搬送するベルトコンベアCの流通方向に対し並列に配置され、外観は略方形筒状で内部には下方に向け先細としたテーパー状となるような内壁11を有している。
また、収納ケース1の下部には、ベルトコンベアCの流通方向に同一平行な方向へ回転駆動する食材塊供給ベルト部12が配置されると共に、ベルト本体121の流通方向側に位置する壁面は、ベルト本体121の上面から食材塊Fの高さとほぼ同じ高さの隙間とした供給口13を備えている。
【0027】
食材塊供給ベルト部12は、食材塊供給ベルト部12の搬送始端側と終端側とにそれぞれ設けた2つのプーリ122、122’の間に懸架する無端状のベルト本体121とベルト本体121の表面に所定間隔毎にベルト本体121の幅員と略同幅に立設した複数枚の搬送補助体123とからなる。
また、2つのプーリ122、122’の両方又は2つのうちいずれか一方のプーリ122(122’)は収納ケース1の横に設置された駆動部カバー66内の図示しない駆動部に接続されている。
【0028】
傾斜ベルト部2は、
図1~
図4に示すように、食材塊供給ベルト部12と同一の流通方向で、食材塊供給ベルト部12の終端部下方に始端を有し、さらに一部を重複させ登り傾斜状に配設される。
【0029】
傾斜ベルト部2の構成としては、傾斜ベルト部2の搬送始端側と終端側とにそれぞれ設けた2つのプーリ22、22’の間に懸架する無端状のベルト本体21とベルト本体21の表面に所定間隔毎に立設した複数枚の仕切り壁23とベルト本体21の両側縁に立設する左右落下防止壁24、24’とベルト本体21の始端側で左右落下防止壁24、24’に介在し一体とした転落防止壁25とよりなる。
また、食材塊供給ベルト部12と同様に、2つのプーリ22、22’の両方又は2つのうちいずれか一方のプーリ22(22’)は収納ケース1の横に設置された駆動部カバー66内の図示しない駆動部に接続されている。
【0030】
横搬送ベルト部3は、
図1~
図4に示すように、傾斜ベルト部2の終端部下方に位置し、水平状態、かつ流通方向を傾斜ベルト部2の流通方向に対し直交するように配設される。
【0031】
横搬送ベルト部3の構成としては、横搬送ベルト部3の搬送始端側と終端側の2箇所に設けた2つのプーリ32、32’と2つのプーリ32、32’との間で下方に位置に配したテンションプーリ33との各プーリ32、32’及び33に懸架する無端状のベルト本体31とベルト本体31の表面に所定間隔毎にベルト本体31の幅員と略同幅に立設した複数枚の仕切り体34とベルト本体31の左右縁部に立設された左右落下防止壁35、35’とよりなる。
また、搬送始端及び終端に設けた2つのプーリ32、32’の両方又は2つのうちいずれか一方のプーリ32(32’)は傾斜ベルト部2の下方に設置された駆動部カバー66内の図示しない駆動部に接続されている。
【0032】
横搬送ベルト部3は、ベルト本体31を並列に複数配設する構成としてもよく、本実施例では、ベルト本体31を2つ並列に配設し搬送レーンを2つとしている。
この並列に配設した2つのレーンのうち傾斜ベルト部2側のレーンを第一レーン31a、もう一方を第二レーン31bとする。
【0033】
また、ベルト本体31を並列に複数配設する際には、第一レーン31aから第二レーン31bへと傾斜ベルト部2から遠ざかるにつれて下方位置に、すなわち階段状に排泄されることが望ましい。
さらには、第一レーン31aと第二レーン31bとの間には第一レーン上方でくの字に傾斜して折り曲げた、例えば棒状の振分け杆36を複数連続して立設させるとよい。
【0034】
終末落下ベルト部4は、
図1~
図4に示すように、横搬送ベルト部3と同一の流通方向で、横搬送ベルト部3の終端部に連結するように水平状態に配設されると共に、終末落下ベルト部4の終端部はベルトコンベアCの上方位置となるように配設される。
また、終末落下ベルト部4は、横搬送ベルト部3の搬送速度との対比制御を行っており、横搬送ベルト部3の搬送速度に比して速い搬送速度としている。
【0035】
終末落下ベルト部4の構成としては、終末落下ベルト部4の搬送始端側と終端側の2箇所に設けた2つのプーリ42、42’と2つのプーリ42、42’との間で下方に位置に配したテンションプーリ43との各プーリ42、42’及び43に懸架する無端状のベルト本体41とベルト本体41の表面に所定間隔毎にベルト本体41の幅員と略同幅に立設した複数枚の仕切り体44と、ベルト本体41の左右縁部に立設された左右落下防止壁45と、ベルト本体41終端部の先に設置された充填補助壁46と、よりなる。
また、搬送始端及び終端に設けた2つのプーリ42、42’の両方又は2つのうちいずれか一方のプーリ42(42’)は傾斜ベルト部2の下方に設置された駆動部カバー66内の図示しない駆動部に接続されている。
【0036】
終末落下ベルト部4は、横搬送ベルト部3のベルト本体31を並列に複数配設した場合にはそのレーンの数に対応するようにレーン数を増設することとなり、本実施例では、横搬送ベルト部3が第一レーン31aと第二レーン31bとの2つのレーンを備えているため、終末落下ベルト部4も同様にして2つのレーンを備えた構成としている。
【0037】
本実施例では、終末落下ベルト部4の終端下方に、食材塊Fを容器T内に盛り付けるに際して補助を行う充填補助機構62を備えている。
この充填補助機構62は、先端先細のテーパー形状を有した補助用筒体が終末落下ベルト部4と容器Tとの間で上下に往復動自在な構成となっており、食材塊Fの落下に合わせて容器Tへ向け加工することで、正確に盛り付けることと、食材塊が落下の衝撃で転がり落ちないようにする効果がある。
ただし、充填補助機構62は、往復動しない単なる筒状のガイド部材であってもよいし、終末落下ベルト部4の終端が容器Tの真上となっていることから、必ずしも必要な構成ではない。
【0038】
本実施例では、
図1及び
図2に示すように、上述してきた各構成の動作制御のための供給指示検知部51と先頭距離検知部52と落下個数検知部53とを備えている。
【0039】
供給指示検知部51は、横搬送ベルト部3の始端側上方に設置される。
供給指示検知部51は、横搬送ベルト部3の始端側から始端側へ、すなわちベルト本体31の上を搬送される食材塊Fに向けてレーザーを照射する。
食材塊Fによって反射したレーザーから食材塊F、すなわち横搬送ベルト部3にて搬送される前後一列状態の最後尾の食材塊Fの距離を算出する。
【0040】
算出された距離が予め決められた任意の距離より遠い場合には、食材塊供給ベルト部12及び傾斜ベルト部2へ動作の指示を送り、横搬送ベルト部3への食材塊F供給を行う。
【0041】
先頭距離検知部52は、終末落下ベルト部4の終端部上方に設置される。
先頭距離検知部52は、終末落下ベルト部4の終端側から始端側へ、すなわち横搬送ベルト部3の上を搬送される食材塊Fに向けてレーザーを照射する。
食材塊Fによって反射したレーザーから食材塊F、すなわちすなわち横搬送ベルト部3にて搬送される前後一列状態の先頭位置の食材塊Fの距離を算出する。
【0042】
算出された距離が第一レーン31a上の食材塊Fと第二レーン31b上の食材塊Fとのどちらの方がより距離が近いかを判断し、容器Tへ盛り付けられる食材塊Fの必要個数に対し距離が近いレーンのみを作動させ最後の1個を落下搬送させる。
【0043】
落下個数検知部53は、終末落下ベルト部4の終端上方に設置される。
落下個数検知部53は、終末落下ベルト部4の終端上方から下方へ向けてレーザーを照射する。
そうすることで、終末落下ベルト部4から食材塊収納部63へ食材塊Fを落下搬送した際に照射したレーザーを一時的に遮ることで実際に落下搬送した食材塊Fの個数を算出する。
【0044】
個数を算出することで、確実に必要個数の落下搬送を行うと同時に、上述した先頭距離検知部52へ最後の1個を判定する指示を行う。
[2.個別分離搬送装置の搬送手順について]
次に個別分離搬送装置の搬送手順について図面に基づいて詳説する。
図5は、本発明にかかる食材塊の個別分離装置の動作の流れを説明するフロー図である。また、
図6~
図8は、各ベルト部での食材塊の動きを説明するための模式的説明図であり、それぞれ
図6は内壁及び食材塊供給機構での食材塊の動き、
図7は傾斜ベルト部での食材塊の動き、
図8は横搬送ベルト部及び終末落下ベルト部での食材塊の動きを示している。
【0045】
本発明の個別分離搬送装置Mにより容器Tまで食材塊Fが搬送される動きとしては、
図5に示すように、主に食材塊Fの収納と傾斜ベルト部2への供給を行う収納供給ステップS1と、傾斜ベルト部2により横搬送ベルト部3へ搬送を行う傾斜搬送ステップS2と、横搬送ベルト部3により終末落下ベルト部4へ搬送を行う横搬送ステップS3と、終末落下ベルト部4により容器Tへ食材塊Fを投入する落下投入ステップS4と、からなる。
【0046】
収納供給ステップS1は、作業者が収納ケース1へ食材塊Fを投入することで、食材塊Fの収納と次の搬送工程となる傾斜ベルト部2へ食材塊Fを供給するステップであり、食材塊Fを群集状態で収納する食材塊収納ステップS1-1と傾斜ベルト部2へ食材塊Fを供給する食材塊排出ステップS1―2とよりなる。
また、傾斜ベルト部2へ食材塊Fの供給を行う食材塊供給ベルト部12の食材塊排出ステップS1-2における速度をT1とする。
【0047】
食材塊収納ステップS1-1は、作業者により収納ケース1の上方開口より大量に投入された食材塊Fを群集状態で収納するステップである。
この時、収納ケース1での食材塊F収納状態としては、
図6(a)に示すように、大量に投入された食材塊Fは、収納ケース1の先細のテーパー形状とした内壁11により食材塊供給ベルト部12の略中央に集積されることで群集状態として収納されることとなる。
【0048】
食材塊排出ステップS1-2は、食材塊収納ステップS1-1において群集状態で収納された食材塊Fを次工程である傾斜ベルト部2へ供給するステップである。
傾斜ベルト部2への供給までの動作としては、
図6に示すように、食材塊供給ベルト部12により排出するために設けた供給口13へ向け搬送を行う。
【0049】
供給口13は、
図6(b)に示すように、高さを食材塊Fとほぼ同じ高さとしているため、排出時には群集状態に積み重なった食材塊Fが供給口13の上部にある内壁11によって排出を阻まれることとなる。
すなわち、実際の排出時には、積み重なった状態で食材塊Fが排出されることがなく、傾斜ベルト部2への供給において一度に供給を行う食材塊Fの個数を限定し、一度に大量の食材塊Fが傾斜ベルト部2上へ供給されないような構成となっている。
【0050】
傾斜搬送ステップS2は、収納ケース1から供給された食材塊Fを受け取る食材塊受け取りステップS2-1と登り傾斜のベルト本体21により食材塊Fを横一列の状態で搬送を行う横一列搬送ステップS2-2とベルト本体21の終端部から次工程の横搬送ベルト部3へ向け食材塊Fの落下排出を行う食材塊落下排出ステップS2-3とよりなる。
また、横搬送ベルト部3へ食材塊Fの落下搬出を行う傾斜ベルト部2の横一列搬送ステップS2-2における速度をT2とする。
【0051】
食材塊受け取りステップS2-1は、供給ベルト排出ステップS1-2により供給口13より排出された食材塊Fを受け取るステップである。
受け取った食材塊Fは、傾斜ベルト部2を構成するベルト本体21の始端側、すなわち登り傾斜の麓部分で受け取り一旦保持されることとなる。
【0052】
横一列搬送ステップS2-2は、傾斜ベルト部2により食材塊Fを排出位置である登り傾斜の頂上部分へむけて搬送を行うステップである。
傾斜面を上るように搬送される食材塊Fは、登り傾斜の頂上付近で流通方向に対して横一列の状態で搬送されることとなる。
【0053】
食材塊Fは始め食材塊供給ベルト部12から食材塊Fを受け取ると、登り傾斜状態のベルト本体21の麓部分に積層状態で保持される。
食材塊Fは、積層状態のまま搬送を開始されるものの、ベルト本体21を登り傾斜状態としているため、積み重なった食材塊Fのうち仕切り壁23の高さを超えて積み重なった食材塊Fは何にも支持されることなく登り傾斜の麓部分に取り残されることとなる。
【0054】
仕切り壁23はベルト本体21の表面に立設され、高さを食材塊F略1個分以下の高さとしている。
そのため、傾斜ベルト部2での搬送序盤において、食材塊Fは、
図7(a)に示すように仕切り壁23に直に支持されるものと直に支持される食材塊Fによって間接的に支持されるものとに分けられる。
【0055】
傾斜ベルト部2の搬送中盤では、
図7(b)に示すように、搬送方向であるX方向への力と、ベルト本体21の駆動時の振動によるY方向の力と、が働くこととなり2つの力はZ方向へ動こうとする力へと変換される。
このZ方向による力の影響を受けた食材塊Fは、時計回りに微量な回転運動を行うこととなる。
【0056】
そのため、仕切り壁23により直に支持される食材塊Fはその場で時計回りの回転をしながら搬送されていくこととなるが、仕切り壁23により直に支持される食材塊Fにより間接的に支持される食材塊Fは仕切り壁23により直に支持される食材塊Fの回転の影響も受け回転運動が激しくなり、間接的な支持では耐えることができず、転がり落ちることとなる。
【0057】
上述したように、傾斜ベルト部2では、仕切り壁23によって直に支持される食材塊F以外の食材塊Fは登り傾斜の麓部分へ転がり落ちることで、登り傾斜の中腹部分から頂上部分にかけて食材塊Fは流通方向に対して横一列の状態となる。
【0058】
食材塊落下排出ステップS2-3は、横一列搬送ステップS2-2により流通方向に対して横一列の状態となった食材塊Fを傾斜頂上から落下させ横搬送ベルト部3へ受け渡しを行うステップである。
横搬送ベルト部3は、傾斜ベルト部2の終端部下方に位置しているため、傾斜ベルト部2の頂上から食材塊Fを落下させることで受け渡しを行う。
【0059】
横搬送ステップS3は、傾斜ベルト部2から落下排出された食材塊Fの流通方向を転換して受け取る食材塊受け取りステップS3-1と横向き搬送を行う前後一列搬送ステップS3-2と終末落下ベルト部4へ受け渡しを行う食材塊受け渡しステップS3-3とよりなる。
【0060】
食材塊受け取りステップS3-1は、傾斜ベルト部2の登り傾斜頂上部分から排出された食材塊Fを受け取るステップである。
横搬送ベルト部3は、
図3及び
図4に示すように、傾斜ベルト部2の終端部下方位置で傾斜ベルト部2の流通方向に対して直行する向きに配設されている。
【0061】
そのため、傾斜ベルト部2によって、流通方向に対して横一列の状態で搬送される食材塊Fは、流通方向を90度転換することとなる。
換言するならば、傾斜ベルト部2では流通方向に対して横一列の状態で搬送されていたのに対して、横搬送ベルト部3は横向きに搬送方向を変えることにより前後一列状態で搬送を行うこととなる。
【0062】
本実施例では、横搬送ベルト部3の搬送レーンを2つ備えた構成としているため、落下距離を長くすることで第一レーン31aと第二レーン31bの両方に食材塊Fがいきわたり易い形態としているが、搬送レーンを1つとした場合では、落下距離を短くすることで食材塊Fがより列を乱すことなく傾斜ベルト部2からの受け取りを行うことができる。
【0063】
前後一列搬送ステップS3-2は、食材塊受け取りステップS3-1によって前後一列状態となった食材塊Fを横向き搬送するステップである。
ここでの横向きとは、傾斜ベルト部2の流通方向に対しての横向きであり、上述したように傾斜ベルト部2の流通方向に対して直行する向きに横搬送ベルト部3を配設し、流通方向を90度転換させることで横向きに搬送を行うことができる。
【0064】
また、横搬送ベルト部3のベルト本体31は、幅員を食材塊Fと略同幅としていることで、流通方向に対して1個ずつ搬送される状態としている。
【0065】
食材塊受け渡しステップS3-3は、前後一列搬送ステップS3-2により流通方向に対して前後一列の状態となった食材塊Fを横搬送ベルト部3の終端部から終末落下ベルト部4へ受け渡しを行うステップである。
終末落下ベルト部4は、横搬送ベルト部3の終端部に配設されており、終端部まで搬送された食材塊Fは1個ずつ終末落下ベルト部に乗り換えるようにして受け渡しが行われる。
【0066】
上述した食材塊受け取りステップS3-1と横一列搬送ステップS3-2と食材塊受け渡しステップS3-3との各ステップの作動構成を形成する横搬送ベルト部3の速度をT3とする。
【0067】
終末落下ステップS4は、横搬送ベルト部3から搬送されてきた食材塊Fをベルトの速度制御によって単体状態に受け取る食材塊受け取りステップS4-1と食材塊Fを個別単体で搬送する個別搬送ステップS4-2と容器Tへ食材塊Fを投入する食材塊投入ステップS4-3とよりなる。
【0068】
食材塊受け取りステップS4-1は、横搬送ベルト部3から食材塊Fを受取るステップである。
終末落下ベルト部4は、
図8に示すように、横搬送ベルト部3の終端部に配設され、更に搬送速度を横搬送ベルト部3よりも速くなるように対比制御している。
また、本実施例では、横搬送ベルト部3よりもやや下方位置に配設している。
【0069】
そのため、横搬送ベルト部3によって、流通方向に対して前後一列状態で搬送される食材塊Fは、終末落下ベルト部4上へ移動した際に横搬送ベルト部3よりも速い速度で搬送されるため、後続の食材塊Fとの間隔が広がることとなり、食材塊Fは列を成しつつ個別分離されることとなる。
すなわち、終末落下ベルト部4の速度制御は、横搬送ベルト部3において、前後一列状態、かつ密着して搬送される複数の食材塊F同士の間隔を広げるための構成である。
【0070】
また、終末落下ベルト部4を横搬送ベルト部3よりもやや下方位置に配設したことで、傾斜ベルト部2から横搬送ベルト部3へ受け渡す食材塊Fの落下に際して、積み重なってしまった場合に、速度制御だけでなく段差状に配設することでより個別分離しやすくなる効果がある。
【0071】
個別搬送ステップS4-2は、食材塊受け取りステップS4-1によって個別分離させた食材塊Fを単体状態で搬送するステップである。
すなわち、食材塊受け取りステップS4-1において、横搬送ベルト部3の速度制御によって前後一列状態で搬送される複数の食材塊F同士の前後間隔を広げることで個別分離し、個別分離した食材塊Fを個々の単体状態で搬送を行う。
また、個別搬送ステップS4-2及び終末落下ステップS4-3の各ベルト部の速度をT4とする。
【0072】
食材塊投入ステップS4-3は、個別搬送ステップS4-2により個々の単体状態で搬送される食材塊Fを終末落下ベルト部4の終端部から容器Tへ投入するステップである。
終末落下ベルト部4の終端部は、容器Tの食材塊収納部63の上方に位置しており、終端部から食材塊を落下させることで容器T内への投入が行われる。
【0073】
また、終末落下ステップS4によって食材塊Fは個々の単体状態で搬送落下させることで、落下個数検知部53による個数検知を確実に行い必要個数のみの投入を可能としている。
【0074】
上述した各ステップにおける速度T3と速度T4は速度T4の方が速い速度とすることにより、前後一列状態で搬送された複数個の食材塊F同士の前後間隔を食材塊受け渡しステップS3-3と食材塊受け取りステップS4-1との相対的な速度変化から広げて個別分離することができる。
その結果、食材塊Fを個々の単体で搬送して最終的に単体で一個ずつ所定位置や場所、例えば弁当容器の惣菜盛付け箇所に落下盛付けできる。
【0075】
また、速度T1と速度T2は、基本的には同じ速度が望ましく、速度T3と速度T4との関係は特に限定されない。
ただし、食材塊供給ベルト部12及び傾斜ベルト部2は、供給指示検知部51の指示により断続的に作動される構成としているため、速度が速すぎる場合には横搬送ベルト部3での食材塊F搬送がされる際に流れ切れていない食材塊Fの上に新たな食材塊Fが供給される虞があるし、速度が遅すぎる場合には終末落下ベルト部4から容器Tへの盛り付けが途切れてしまい容器Tを搬送するベルトコンベアCの流通を止めてしまう虞がある。
そのため、速度T1と速度T2の速さ調整は、横搬送ベルト部3への供給の過多及びベルトコンベアCの流通を止めない範囲に調整されることが望ましい。
【0076】
上述した各種効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0077】
M 食材塊分離搬送装置
T 容器
C ベルトコンベア
F 食材塊
1 収納ケース
11 内壁
12 食材塊供給ベルト部
121 ベルト本体
122、122’ プーリ
123 搬送補助体
13 供給口
2 傾斜ベルト部
21 ベルト本体
22、22’ プーリ
23 仕切り壁
24、24’ 左右落下防止壁
25 転落防止壁
3 横搬送ベルト部
31 ベルト本体
31a 第一レーン
31b 第二レーン
32、32’ プーリ
33 テンションプーリ
34 仕切り体
35、35’ 左右落下防止壁
36 振分け杆
4 終末落下ベルト部
41 ベルト本体
42、42’ プーリ
43 テンションプーリ
44 仕切り体
45、45’ 左右落下防止壁
46 充填補助壁
51 供給指示検知部
52 先頭距離検知部
53 落下個数検知部
61 架台
62 充填補助機構
63 食材塊収納部
64 電気部
65 操作パネル
66 駆動部カバー
S1 収納供給ステップ
S1-1 食材塊収納ステップ
S1-2 食材塊排出ステップ
S2 傾斜搬送ステップ
S2-1 食材塊受け取りステップ
S2-2 傾斜搬送ステップ
S2-3 食材塊落下排出ステップ
S3 横搬送ステップ
S3-1 食材塊受け取りステップ
S3-2 前後一列搬送ステップ
S3-3 食材塊受け渡しステップ
S4 終末落下ステップ
S4-1 食材塊受け渡しステップ
S4-2 個別搬送ステップ
S4-3 食材塊投入ステップ