(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159824
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】ソケット、ソケットを製造する製造装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
B21H 3/08 20060101AFI20221011BHJP
F16L 21/00 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
B21H3/08
F16L21/00 D
F16L21/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064249
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】592061050
【氏名又は名称】大川精螺工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000233619
【氏名又は名称】株式会社ニチリン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 健児
(57)【要約】
【課題】材料を無駄にすることなく、円筒部の内周面に効率よく螺旋状の溝部を形成することができるソケット、ソケットを製造する製造装置及び製造方法を得る。
【解決手段】製造装置10は、円筒状のワーク100を用いてソケットを製造する製造装置であって、ワーク100の内側が外挿される円柱状のワーク装着部14と、ワーク装着部14の外周面に形成された螺旋状の凹凸部24と、ワーク装着部14の周囲にワーク装着部14に対して接近離間可能に複数配置され、ワーク装着部14へ装着されたワーク100の外周面112に接触して凹凸部24にワーク100の内周面110を押圧させると共に、軸周りに回転する円柱状のダイス12と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のワークを用いてソケットを製造する製造装置であって、
前記ワークの内側が外挿される円柱状のワーク装着部と、
前記ワーク装着部の外周面に形成された螺旋状の凹凸部と、
前記ワーク装着部の周囲に前記ワーク装着部に対して接近離間可能に配置され、前記ワーク装着部へ装着された前記ワークの外周面に接触して前記凹凸部に前記ワークの内周面を押圧させると共に、軸周りに回転する円柱状の複数のダイスと、
を有する製造装置。
【請求項2】
前記ダイスは、前記ワーク装着部の周囲に3つ設けられ、軸周りに同一方向へ回転する請求項1に記載の製造装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の製造装置を用いてソケットを製造する製造方法であって、
前記ワークの内側をワーク装着部へ外挿するセット工程と、
複数の前記ダイスを前記ワークの外周面に接触させて前記凹凸部に前記ワークの内周面を押圧すると共に、前記ダイスを軸周りに回転させ、圧造により前記ワークの内周面に螺旋状の溝部を形成する圧造工程と、
を有する製造方法。
【請求項4】
軸方向に貫通する貫通孔を備えると共に、軸方向の一端側に設けられた円筒部と、
前記円筒部の内周面に形成された螺旋状の溝部と、
を有するソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケット、ソケットを製造する製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ニップルとニップルの外側に形成されたスリーブとの間にホースを挿入し、スリーブが半径方向外側から加締られることで、ニップルとソケットとの間にホースを固定したホース用継手金具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のホース用継手金具では、スリーブの内周面に軸方向に間隔をあけて複数のリング状の凹溝が形成されている(
図2参照)。しかし、スリーブの内周面に複数のリング状の凹溝を形成する方法については記載されていない。例えば、スリーブの内周面に切削加工によって複数のリング状の凹溝を形成する方法が考えられる。しかし、この方法では、バイト等を用いてスリーブの内周面に間隔をおいて複数の溝部を切削するため、作業が煩雑となると共に、削られた材料が無駄となる。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、材料を無駄にすることなく、円筒部の内周面に効率よく螺旋状の溝部を形成することができるソケット、ソケットを製造する製造装置及び製造方法を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に記載の製造装置は、円筒状のワークを用いてソケットを製造する製造装置であって、前記ワークの内側が外挿される円柱状のワーク装着部と、前記ワーク装着部の外周面に形成された螺旋状の凹凸部と、前記ワーク装着部の周囲に前記ワーク装着部に対して接近離間可能に配置され、前記ワーク装着部へ装着された前記ワークの外周面に接触して前記凹凸部に前記ワークの内周面を押圧させると共に、軸周りに回転する円柱状の複数のダイスと、を有する。
【0007】
第1態様に記載の製造装置によれば、円柱状のワーク装着部には、ワークの内側が外挿される。ワーク装着部の外周面には、螺旋状の凹凸部が形成されている。ワーク装着部の周囲には、ワーク装着部に対して接近離間可能に配置された円柱状の複数のダイスが設けられている。複数のダイスは、ワーク装着部へ装着されたワークの外周面に接触して凹凸部にワークの内周面を押圧させると共に、軸周りに回転する。これにより、複数のダイスが回転しながらワークの内周面をワーク装着部の螺旋状の凹凸部に押し付けることで、ワークがワーク装着部の先端部から軸方向に進出し、凹凸部での圧造によりワークの内周面に螺旋状の溝部が形成される。このため、切削加工によりワークの内周面に溝部を形成する場合と比較して、材料を無駄にすることなく、円筒状のワークの内周面に効率よく螺旋状の溝部を形成することができる。
【0008】
第2態様に記載の製造装置は、第1態様に記載の製造装置において、前記ダイスは、前記ワーク装着部の周囲に3つ設けられ、軸周りに同一方向へ回転する。
【0009】
第2態様に記載の製造装置によれば、ダイスは、ワーク装着部の周囲に3つ設けられ、軸周りに同一方向へ回転する。このため、3つのダイスが軸周りに同一方向に回転しながら、ワークの内周面をワーク装着部の螺旋状の凹凸部に押し付けることで、凹凸部での圧造によりワークの内周面に螺旋状の溝部を効率よく形成することができる。
【0010】
第3態様に記載の製造方法は、第1態様又は第2態様に記載の製造装置を用いてソケットを製造する製造方法であって、前記ワークの内側をワーク装着部へ外挿するセット工程と、複数の前記ダイスを前記ワークの外周面に接触させて前記凹凸部に前記ワークの内周面を押圧すると共に、前記ダイスを軸周りに回転させ、圧造により前記ワークの内周面に螺旋状の溝部を形成する圧造工程と、を有する。
【0011】
第3態様に記載の製造方法によれば、セット工程では、ワークの内側をワーク装着部へ外挿する。さらに、圧造工程では、複数のダイスをワークの外周面に接触させて螺旋状の凹凸部にワークの内周面を押圧すると共に、ダイスを軸周りに回転させる。これにより、ワークをワーク装着部の軸方向に沿って進出させ、螺旋状の凹凸部での圧造によりワークの内周面に螺旋状の溝部を形成する。このため、切削加工によりワークの内周面に溝部を形成する場合と比較して、材料を無駄にすることなく、円筒状のワークの内周面に効率よく螺旋状の溝部を形成することができる。
【0012】
第4態様に記載のソケットは、軸方向に貫通する貫通孔を備えると共に、軸方向の一端側に設けられた円筒部と、前記円筒部の内周面に形成された螺旋状の溝部と、を有する。
【0013】
第4態様に記載のソケットによれば、軸方向に貫通する貫通孔を備えると共に、軸方向の一端側に設けられた円筒部と、円筒部の内周面に形成された螺旋状の溝部と、を有する。このため、切削加工により円筒部の内周面に溝部を形成する場合と比較して、上記製造装置又は上記製造方法により、材料を無駄にすることなく、ソケットの円筒部の内周面に効率よく螺旋状の溝部を形成することができる。また、ソケットの内周側にホースを挿入した状態でソケットを加締めてホースを固定したときに、ソケットの内周面に形成された螺旋状の溝部により、ソケットとホースとの密着性を保つことができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示のソケット、ソケットを製造する製造装置及び製造方法によれば、材料を無駄にすることなく、円筒部の内周面に効率よく螺旋状の溝部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る製造装置を示す概略斜視図である。
【
図2】(A)は、ワークを示す正面図であり、(B)はワークを示す半裁断面図である。
【
図3】(A)は、第1実施形態に係る製造装置に用いられるワーク装着部を示す正面図であり、(B)は、ワーク装着部を示す側面図である。
【
図4】第1実施形態に係る製造装置を用いて、ワークの円筒部の内周面に螺旋状の溝部を形成する工程を示す断面図である。
【
図5】(A)は、製造装置により製造されたソケットを示す正面図であり、(B)は、製造装置により製造されたソケットを示す側面図である。
【
図6】ソケットを備えた継手にホースを固定した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1~
図6を用いて、本発明の第1実施形態に係るソケット、このソケットを製造するための製造装置及び製造方法について説明する。
【0017】
図1には、第1実施形態に係る製造装置10が斜視図にて示されている。
図1に示されるように、製造装置10では、円筒状のワーク100を供給し、ワーク100を加工することで、ソケット120を製造する装置である。円筒部102を備えたワーク100は、円筒状のワークの一例である。
【0018】
本実施形態では、まずワーク100について説明する。
【0019】
図2(A)、(B)には、ワーク100の正面図及び半裁断面図が示されている。
図2(A)、(B)に示されるように、ワーク100は、軸方向の一端部側に形成された円筒部102と、円筒部102に連続して形成された円筒状の中間部104と、中間部104に連続して設けられると共に、軸方向の他端側に形成された円筒状の小径部106と、を備えている。ワーク100は、例えば、金属で形成されている。
【0020】
円筒部102は、軸方向に貫通する円形状の貫通孔108を備えており、貫通孔108により円筒部102の内側に内周面110が形成されている。内周面110の内径は、軸方向にほぼ一定であり、内周面110は滑らかな形状とされている。貫通孔108は、円筒部102の軸方向の先端部102Aの側(小径部106と反対側)に形成されている。また、円筒部102の外周面112の外径は、軸方向にほぼ一定であり、外周面112は滑らかな形状とされている。
【0021】
中間部104は、外径が円筒部102の外径よりも小さい。中間部104の軸方向の長さは、円筒部102の軸方向の長さよりも短い。中間部104は、軸方向に貫通する円形状の貫通孔114を備えている。貫通孔114は、中間部104と円筒部102の一部に跨って形成されており、貫通孔114は貫通孔108と連通されている。貫通孔114の内径は、貫通孔108の内径よりも小さい。
【0022】
小径部106は、外径が中間部104の外径よりも小さい。小径部106の軸方向の長さは、中間部104の軸方向の長さよりも長い。小径部106は、軸方向に貫通する円形状の貫通孔116を備えている。貫通孔116は貫通孔114と連通されている。貫通孔116の内径は、貫通孔114の内径よりも僅かに小さい。
【0023】
次に、製造装置10について説明する。
【0024】
図1に示されるように、製造装置10は、ワーク100の円筒部102の内側が外挿される円柱状のワーク装着部14と、ワーク装着部14の周囲にワーク装着部14に対して接近離間可能に配置された円柱状の複数のダイス12と、を備えている。製造装置10では、ワーク100が矢印Bに示すワーク装着部14の方向に供給され、ワーク100の円筒部102の内側がワーク装着部14に外挿される構成とされている。
図1では、ワーク100及びソケット120が模式的に示されており、ワーク100及びソケット120の形状は実際とは異なる。
【0025】
ダイス12は、ワーク装着部14の周囲に3つ設けられている。3つのダイス12は、同様の構成とされている。ダイス12は、軸部12Aと、軸部12Aの周囲に形成された筒部12Bと、筒部12Bの周囲に形成された外側筒部12Cと、を備えている。ダイス12の外側筒部12Cは、円形状とされており、ワーク100の円筒部102の外周面112に接触する。
【0026】
また、軸部12Aは、図示しないモータと接続されており、モータによりダイス12が回転可能とされている。3つのダイス12は、ワーク100が供給されるときに軸周りに回転する。本実施形態では、3つのダイス12は、ワーク100が供給される際に、予め定められた同一方向(矢印A方向)に回転する。より具体的には、3つのダイス12は、ワーク装着部14との対向位置で同じ方向に回転する。すなわち、3つのダイス12は、ワーク100が矢印B方向に供給された状態で、ワーク100の円筒部102の外周面112との接触部で同じ方向に回転する。
【0027】
3つのダイス12は、一例として、図示しないアクチュエータにより、ワーク装着部14に対して接近離間可能に支持されている。すなわち、3つのダイス12は、ワーク100が矢印B方向に供給された状態で、ワーク100の円筒部102の半径方向に進出及び後退する。これにより、3つのダイス12は、ワーク装着部14へ装着されたワーク100の円筒部102の外周面112に接触してワーク装着部14にワーク100の内周面110を押圧させると共に、軸周りに回転する。ダイス12は、例えば、金属で形成されている。なお、軸部12Aと筒部12Bと外側筒部12Cとは、同じ材料により形成されていてもよいし、異なる材料により形成されていてもよい。
【0028】
図3(A)、(B)には、ワーク装着部14の正面図及び側面図が示されている。
図3(A)、(B)に示されるように、ワーク装着部14は、円柱状の芯部20と、芯部20の周囲に設けられた円筒状の筒部22と、を備えている。筒部22の軸方向の長さは、芯部20の軸方向の長さよりも短い。筒部22は、芯部20の軸方向の先端部20A側に設けられているが、芯部20の先端部20Aの端末部には筒部22は設けられていない。筒部22の外周面には、軸方向に沿って螺旋状の凹凸部24が形成される。凹凸部24は、凸部24Aと凹部24Bとが螺旋状に配置された構成とされている。すなわち、ワーク装着部14の軸方向に対して直交する方向から見て、凸部24Aと凹部24Bとが交互に配置されている。
【0029】
本実施形態では、筒部22の外周面に、螺旋状の凸部24Aが連続して1本設けられている。筒部22の軸方向に対して直交する方向から見て、凸部24Aは、略三角形状に突出した山部とされており、凹部24Bは、隣り合う凸部24Aの間で略三角形状に凹んだ谷部とされている。
図3(B)に示すように、ワーク装着部14の軸方向に対して直交方向から見て、筒部22には、軸方向に対して斜め方向に凸部24Aによる複数の山部と凹部24Bによる複数の谷部とが交互にほぼ平行に配置されている。一例として、凹凸部24は、雄ねじ形状とされている。
【0030】
芯部20の軸方向の先端部20Aと反対側の端部には、芯部20を製造装置10に固定するための取付部26が設けられている。取付部26は、芯部20の外周面が4つにカットされることで、芯部20の軸方向から見て矩形状に形成されている。ワーク装着部14は、芯部20の取付部26が製造装置10に固定されることで、回転しない構成とされている。ワーク装着部14は、例えば、金属で形成されている。ワーク装着部14は、ワーク100を構成する金属よりも硬い金属で形成されていることが好ましい。
【0031】
製造装置10では、ワーク100の円筒部102の内側がワーク装着部14の芯部20の先端部20Aに外挿される位置にワーク100を供給する押し出し部(図示省略)が設けられている。押し出し部は、アクチュエータによりワーク装着部14側に進出及び後退が可能とされている。押し出し部によりワーク100がワーク装着部14の先端部20A側に供給されることで、ワーク100の円筒部102の端部の内側がワーク装着部14の芯部20の先端部20Aに外挿された状態となる。
【0032】
製造装置10では、
図4に示されるように、3つのダイス12(
図1参照)を矢印A方向に回転させながらワーク100の円筒部102の外周面112を半径方向内側(矢印F方向)の方向に押圧する。そして、3つのダイス12により、円筒部102の内周面110をワーク装着部14の螺旋状の凹凸部24に押し付ける。このとき、ワーク100を押し出し部(図示省略)によって支持してもよい。これにより、ワーク100の円筒部102をワーク装着部14の先端部20Aから軸方向に進出させると共に、螺旋状の凹凸部24での圧造(本実施形態では、転造)によりワーク100の円筒部102の内周面110に螺旋状の溝部126(
図4参照)が形成されるようになっている。ここで、圧造とは、素材に強い力を加えて成形する金属加工方法(すなわち、塑性加工)のことをいう。
【0033】
製造装置10では、ワーク100が加工されることで、ソケット120が製造される。ソケット120は、例えば、3つのダイス12を矢印A方向と逆方向に回転させることで、ソケット120の螺旋状の溝部126を凹凸部24から抜く方向に回転させ、ソケット120をワーク装着部14から排出させるようにしてもよい。
【0034】
図5(A)、(B)には、製造装置10(
図1参照)により製造されたソケット120が正面図及び半裁断面図にて示されている。
図5(A)、(B)に示されるように、ソケット120は、軸方向の一端部側に形成された円筒部122と、円筒部122に連続して形成された中間部104と、中間部104に連続して形成された小径部106と、を備えている。円筒部122の内周面110には、螺旋状の溝部126が形成されている。
【0035】
本実施形態では、3つのダイス12(
図1参照)を回転させながらワーク100の円筒部102の内周面110をワーク装着部14の螺旋状の凹凸部24に押し付ける。これにより、螺旋状の凹凸部24での圧造により、円筒部102の内周面110に螺旋状の溝部126が形成される(
図4参照)。このため、ソケット120では、3つのダイス12によりワーク100の円筒部102の外径が縮径されることで、円筒部102の外径よりも外径が小さい円筒部122が形成されると共に、円筒部122の内周面110に螺旋状の溝部126が形成される。
【0036】
図6には、本実施形態のソケット120(
図5参照)が用いられた継手170が示されている。継手170は、接続部材172とソケット120とから構成されている。接続部材172は、円筒状の軸芯部174に貫通孔176が形成されている。貫通孔176は、ソケット120の軸方向と交差する方向(本実施形態では直交する方向)に設けられている。貫通孔176の内周面には、貫通孔176を拡径する環状の溝178が形成されている。溝178は、接続部材172の外周面から穿設された取付孔180と連通している。取付孔180には、ソケット120の一端側である円筒状の小径部106が挿入され、銅ろう付けによって小径部106と取付孔180の壁部とが接合されている。
【0037】
ソケット120の小径部106には、貫通孔116が形成されており、ソケット120の中間部104には、貫通孔116よりも拡径された貫通孔114が形成されている。貫通孔114には、ソケット120の円筒部122の開口部122B側からニップル160の先端部が挿入され、銅ろう付けによってニップル160の先端部と貫通孔114の壁面とが接合されている。
【0038】
また、ソケット120の円筒部122の開口部122B側からソケット120とニップル160との間にホース(フレキシブルホース)188が挿入された後、ソケット120が外側から加締られることでホース188が継手170に接続されている。ホース188には、ニップル160が挿通されており、ニップル160の外周面に軸方向に間隔をあけて複数の環状の溝部162が形成されていることで、継手170に内圧が作用したときにニップル160からのホース188のズレを抑制することができる。
【0039】
また。ソケット120の円筒部122の内周面に螺旋状の溝部126が形成されていることで、ソケット120とホース188との密着性を保つことができると共に、ソケット120からのホース188のズレを抑制することができる。
【0040】
このような継手170は、例えば、油圧ホース用の継手であり、自動車のブレーキシステムに用いられている。ホース188の他端は、図示しないマスターシリンダへ接続されている。さらに、接続部材172は、図示しないブレーキキャリパのシリンダブロックに取付具により固定されている。
【0041】
これにより、ホース188によって送られてくるブレーキオイルが、ソケット120の貫通孔116、溝178、及び図示しないシリンダブロックに形成された連通路を介してシリンダ部に送られるようになっている。
【0042】
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0043】
本実施形態の製造装置10では、ワーク100がワーク装着部14に供給され、ワーク100の円筒部102の内側がワーク装着部14に外挿される。ワーク装着部14の外周面には、螺旋状の凹凸部24が形成されている。ワーク装着部14の周囲には、円柱状の複数(本実施形態では3つ)のダイス12が配置されており、ダイス12がワーク100の円筒部102の外周面112に接触して凹凸部24にワーク100の内周面110を押圧させると共に、ダイス12が同一方向(矢印A方向)に回転する。すなわち、3つのダイス12は、ワーク100の外周面112との接触部で同じ方向に回転する。
【0044】
製造装置10では、複数のダイス12が回転しながら、ワーク100の円筒部102の内周面110をワーク装着部14の螺旋状の凹凸部24に押し付ける。これにより、
図4に示されるように、ワーク100がワーク装着部14の先端部20A側から軸方向に進出し、凹凸部24での圧造によりワーク100の円筒部102の内周面110に螺旋状の溝部126が形成される。このような製造装置10によりワーク100を加工することで、円筒部102の外径よりも外径が小さい円筒部122となると共に、円筒部122の内周面110に螺旋状の溝部126を備えたソケット120が製造される。このため、製造装置10では、切削加工によりワークの内周面に溝部を形成する場合と比較して、材料を無駄にすることなく、ワーク100の円筒部102の内周面110に効率よく螺旋状の溝部126を形成することができる。
【0045】
また、製造装置10では、ダイス12は、ワーク装着部14の周囲に3つ設けられ、軸周りに同一方向(矢印A方向)へ回転する。このため、3つのダイス12が回転しながら、ワーク100の円筒部102の内周面110をワーク装着部14の螺旋状の凹凸部24に押し付けることで、凹凸部24での圧造によりワーク100の円筒部102の内周面110に螺旋状の溝部126を効率よく形成することができる。また、本実施形態では、ワーク装着部14は、凹凸部24を構成する螺旋状の凸部24Aが連続して1本設けられているので、圧造によりワーク100の円筒部102の内周面110に1本の螺旋状の溝部126を効率よく形成することができる。
【0046】
また、製造装置10を用いてソケット120を製造する製造方法では、セット工程で、ワーク100の円筒部102の内側をワーク装着部14の先端部102Aへ外挿する。さらに、圧造工程で、複数のダイス12をワーク100の円筒部102の外周面112に接触させて螺旋状の凹凸部24にワーク100の円筒部102の内周面110を押圧すると共に、ダイス12を軸周りに回転させる。これにより、
図4に示すように、ワーク100をワーク装着部14の軸方向に沿って進出させ、螺旋状の凹凸部24での圧造によりワーク100の円筒部102の内周面110に螺旋状の溝部126を形成する。このような工程によりワーク100を加工することで、円筒部102よりも外径が縮径された円筒部122の内周面110に螺旋状の溝部126を備えたソケット120が製造される。このため、上記製造方法では、切削加工によりワークの内周面に溝部を形成する場合と比較して、材料を無駄にすることなく、ワーク100の円筒部102の内周面110に効率よく螺旋状の溝部126を形成することができる。
【0047】
また、本実施形態のソケット120は、軸方向に貫通する貫通孔108を備えると共に、軸方向の一端側に設けられた円筒部122と、円筒部122の内周面110に形成された螺旋状の溝部126と、を有する。このため、切削加工により円筒部の内周面に溝部を形成する場合と比較して、上記製造装置又は上記製造方法により、材料を無駄にすることなく、ソケット120の円筒部122の内周面110に効率よく螺旋状の溝部126を形成することができる。また、ソケット120を備えた継手170では、ソケット120の円筒部122の内周側にホース188を挿入した状態でソケット120の円筒部122を加締めてホース188を継手170に固定する。このとき、ソケット120の円筒部122の内周面110に形成された螺旋状の溝部126により、ソケット120とホース188との密着性を保つことができる。
【0048】
なお、本実施形態の製造装置10では、ダイス12は3つ設けられているが、ダイスは複数であればよく、ダイスの個数は、変更可能である。
【0049】
また、本実施形態の製造装置10では、ワーク装着部14の形状は、変更可能である。本実施形態では、凹凸部24は、ワーク装着部14に1本の連続した螺旋状の凸部24Aを備えているが、螺旋状の凸部24Aは、複数設けられていてもよいし、分割して設けられていてもよい。
【0050】
また、本実施形態のワーク100は、円筒状の部分を有する構成であれば、全体の形状は変更可能である。また、ワークの円筒部の直径や長さなども変更可能である。
【0051】
また、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0052】
10 製造装置
12 ダイス
14 ワーク装着部
24 凹凸部
100 ワーク
102 円筒部
102A 先端部
108 貫通孔
110 内周面
112 外周面
120 ソケット
122 円筒部
122A 先端部
126 溝部