(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159825
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】生体状態判定装置、生体状態判定方法及び生体状態判定プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20221011BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20221011BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20221011BHJP
B60W 50/08 20200101ALI20221011BHJP
A61B 5/18 20060101ALN20221011BHJP
【FI】
A61B5/16 130
A61B5/11 100
A61B5/0245 A
B60W50/08
A61B5/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064250
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝部 健一
(72)【発明者】
【氏名】松澤 剛
(72)【発明者】
【氏名】古閑 智貴
(72)【発明者】
【氏名】杤久保 修
【テーマコード(参考)】
3D241
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
3D241BA50
3D241BA60
3D241BA70
3D241DD04Z
4C017AA02
4C017AC26
4C017AC40
4C017BB12
4C017BC11
4C017BC14
4C017BC21
4C017BD06
4C017CC01
4C017DD14
4C017DD17
4C038PP05
4C038PQ04
4C038PQ06
4C038PS00
4C038VA04
4C038VB31
4C038VC05
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】被験者の心拍情報の取得が容易になり且つ心拍情報の個人毎のばらつきの影響が少なくなる生体状態判定装置を得る。
【解決手段】生体状態判定装置は、被験者の基底心拍数を取得する基底心拍数取得部と、前記被験者の心拍数を取得する心拍数取得部と、前記基底心拍数と前記心拍数とを用いて前記被験者の状態を判定する判定部と、を備える。心拍数は、心電図の波形における山の数に相当するが、この山の数と心臓の収縮の回数とは一致する。このため、被験者の心拍情報として心拍数を取得する場合、心拍間隔を取得する場合と比較して、正しい数値を取得し易い。また、基底心拍数は、個人特有の深睡眠時の心拍数であり、平常時の心拍数と相関がある。この相関関係に基づいて被験者の状態を判定することにより、心拍情報の個人毎のばらつきの影響が少なくなる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の基底心拍数を取得する基底心拍数取得部と、
前記被験者の心拍数を取得する心拍数取得部と、
前記基底心拍数と前記心拍数とを用いて前記被験者の状態を判定する判定部と、
を備える生体状態判定装置。
【請求項2】
前記心拍数取得部は、前記被験者の瞬時心拍数を取得し、当該瞬時心拍数の平均値である平均心拍数を算出すると共に、当該平均心拍数の単位時間当たりの変化量を前記基底心拍数で除して得られる補正変化量を算出し、
前記判定部は、負の値である第1基準値より前記補正変化量が小さい状態が一定時間継続するか否かに基づいて、前記被験者の眠気度合いを判定する請求項1に記載の生体状態判定装置。
【請求項3】
前記心拍数取得部は、前記平均心拍数の標準偏差を算出し、
前記判定部は、前記状態が一定時間継続した場合、前記瞬時心拍数が前記基底心拍数の第1係数倍より小さいか否かに基づいて前記眠気度合いを更に判定する一方、前記状態が一定時間継続しない場合、前記標準偏差が前記基底心拍数の第2係数倍より小さいか否かに基づいて前記眠気度合いを更に判定する請求項2に記載の生体状態判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記状態が一定時間継続した場合、前記瞬時心拍数が前記基底心拍数の第3係数倍より小さいか否かに基づいて前記眠気度合いを更に判定する一方、前記状態が一定時間継続しない場合、前記瞬時心拍数が前記基底心拍数の第4係数倍より小さいか否かに基づいて前記眠気度合いを更に判定する請求項2に記載の生体状態判定装置。
【請求項5】
前記被験者の体動の情報を取得する体動取得部を備え、
前記判定部は、前記基底心拍数と前記心拍数とを用いた判定の後に、前記体動の情報を用いて前記眠気度合いを更に判定する請求項2~請求項4の何れか1項に記載の生体状態判定装置。
【請求項6】
被験者の基底心拍数を取得する基底心拍数取得ステップと、
前記被験者の心拍数を取得する心拍数取得ステップと、
前記基底心拍数と前記心拍数とを用いて前記被験者の状態を判定する判定ステップと、
を有する生体状態判定方法。
【請求項7】
前記心拍数取得ステップでは、前記被験者の瞬時心拍数を取得し、当該瞬時心拍数の平均値である平均心拍数を算出すると共に、当該平均心拍数の単位時間当たりの変化量を前記基底心拍数で除して得られる補正変化量を算出し、
前記判定ステップでは、負の値である第1基準値より前記補正変化量が小さい状態が一定時間継続するか否かに基づいて、前記被験者の眠気度合いを判定する請求項6に記載の生体状態判定方法。
【請求項8】
前記心拍数取得ステップでは、前記平均心拍数の標準偏差を算出し、
前記判定ステップでは、前記状態が一定時間継続した場合、前記瞬時心拍数が前記基底心拍数の第1係数倍より小さいか否かに基づいて前記眠気度合いを更に判定する一方、前記状態が一定時間継続しない場合、前記標準偏差が前記基底心拍数の第2係数倍より小さいか否かに基づいて前記眠気度合いを更に判定する請求項7に記載の生体状態判定方法。
【請求項9】
前記判定ステップでは、前記状態が一定時間継続した場合、前記瞬時心拍数が前記基底心拍数の第3係数倍より小さいか否かに基づいて前記眠気度合いを更に判定する一方、前記状態が一定時間継続しない場合、前記瞬時心拍数が前記基底心拍数の第4係数倍より小さいか否かに基づいて前記眠気度合いを更に判定する請求項7に記載の生体状態判定方法。
【請求項10】
前記被験者の体動の情報を取得する体動取得ステップを有し、
前記判定ステップでは、前記基底心拍数と前記心拍数とを用いた判定の後に、前記体動の情報を用いて前記眠気度合いを更に判定する請求項7~請求項9の何れか1項に記載の生体状態判定方法。
【請求項11】
請求項6~請求項10の何れか1項に記載の生体状態判定方法の各ステップをプロセッサに実行させる生体状態判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の状態を判定する生体状態判定装置、生体状態判定方法及び生体状態判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者の眠気判定を行う技術としては、心拍間隔変動の周波数スペクトルから自律神経系の活動状況を推測する技術が一般的に知られている。例えば下記特許文献1に記載された先行技術では、被験者の心拍間隔変動の周波数解析を行い、その周波数成分の標準偏差を用いて眠気判定を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の先行技術では、被験者の心拍間隔を取得する必要がある。心拍間隔は、心電図の波形におけるピークの間隔に対応するが、心臓の収縮との間に時間差があるため、心電図のピーク間隔と心拍間隔とが一致しない場合がある。この心拍間隔を正確に取得するためには、高度な又は測定方法に制限がある測定システムが必要となる。また、生理指標である心拍間隔には個人差があるため、一定の閾値で判定する場合、正しく判定できない可能性がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、被験者の心拍情報の取得が容易になり且つ心拍情報の個人毎のばらつきの影響が少なくなる生体状態判定装置、生体状態判定方法及び生体状態判定プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る生体状態判定装置は、被験者の基底心拍数を取得する基底心拍数取得部と、前記被験者の心拍数を取得する心拍数取得部と、前記基底心拍数と前記心拍数とを用いて前記被験者の状態を判定する判定部と、を備える。
【0007】
請求項1に記載の生体状態判定装置では、基底心拍数取得部は、被験者の基底心拍数を取得し、心拍数取得部は、被験者の心拍数を取得し、判定部は、基底心拍数と心拍数とを用いて被験者の状態を判定する。心拍数は、心電図の波形における山の数に相当するが、この山の数と心臓の収縮の回数とは一致する。このため、被験者の心拍情報として心拍数を取得する場合、心拍間隔を取得する場合と比較して、正しい数値を取得し易い。また、基底心拍数は、個人特有の深睡眠時の心拍数であり、平常時の心拍数と相関がある。この相関関係に基づいて被験者の状態を判定することにより、心拍情報の個人毎のばらつきの影響が少なくなる。
【0008】
請求項2に記載の発明に係る生体状態判定装置は、請求項1に記載の生体状態判定装置において、前記心拍数取得部は、前記被験者の瞬時心拍数を取得し、当該瞬時心拍数の平均値である平均心拍数を算出すると共に、当該平均心拍数の単位時間当たりの変化量を前記基底心拍数で除して得られる補正変化量を算出し、前記判定部は、負の値である第1基準値より前記補正変化量が小さい状態が一定時間継続するか否かに基づいて、前記被験者の眠気度合いを判定する。
【0009】
請求項2に記載の生体状態判定装置では、心拍数取得部は、被験者の瞬時心拍数を取得し、当該瞬時心拍数の平均値である平均心拍数を算出すると共に、当該平均心拍数の単位時間当たりの変化量を前記基底心拍数で除して得られる補正変化量を算出する。判定部は、負の値である第1基準値より上記の補正変化量が小さい状態が一定時間継続するか否か、すなわち平均心拍数の減少傾向が強い状態が一定時間継続するか否かに基づいて、被験者の眠気度合いを判定する。これにより、被験者の眠気度合いを正確に判定することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明に係る生体状態判定装置は、請求項2に記載の生体状態判定装置において、前記心拍数取得部は、前記平均心拍数の標準偏差を算出し、前記判定部は、前記状態が一定時間継続した場合、前記瞬時心拍数が前記基底心拍数の第1係数倍より小さいか否かに基づいて前記眠気度合いを更に判定する一方、前記状態が一定時間継続しない場合、前記標準偏差が前記基底心拍数の第2係数倍より小さいか否かに基づいて前記眠気度合いを更に判定する。
【0011】
請求項3に記載の生体状態判定装置では、心拍数取得部は、平均心拍数の標準偏差を算出する。判定部は、前述の補正変化量が第1基準値より小さい状態が一定時間継続した場合、瞬時心拍数が基底心拍数の第1係数倍より小さいか否かに基づいて被験者の眠気度合いを更に判定する。一方、上記の状態が一定時間継続しない場合、判定部は、上記の標準偏差が基底心拍数の第2係数倍より小さいか否かに基づいて被験者の眠気度合いを更に判定する。これらのうち何れかの判定が追加されることにより、眠気度合いの判定精度を高めることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明に係る生体状態判定装置は、請求項2に記載の生体状態判定装置において、前記判定部は、前記状態が一定時間継続した場合、前記瞬時心拍数が前記基底心拍数の第3係数倍より小さいか否かに基づいて前記眠気度合いを更に判定する一方、前記状態が一定時間継続しない場合、前記瞬時心拍数が前記基底心拍数の第4係数倍より小さいか否かに基づいて前記眠気度合いを更に判定する。
【0013】
請求項4に記載の生体状態判定装置では、判定部は、前述の補正変化量が第1基準値より小さい状態が一定時間継続した場合、瞬時心拍数が基底心拍数の第3係数倍より小さいか否かに基づいて前記眠気度合いを更に判定する。一方、上記の状態が一定時間継続しない場合、判定部は、瞬時心拍数が基底心拍数の第4係数倍より小さいか否かに基づいて眠気度合いを更に判定する。これらのうち何れかの判定が追加されることにより、眠気度合いの判定精度を高めることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明に係る生体状態判定装置は、請求項2~請求項4の何れか1項に記載の生体状態判定装置において、前記被験者の体動の情報を取得する体動取得部を備え、前記判定部は、前記基底心拍数と前記心拍数とを用いた判定の後に、前記体動の情報を用いて前記眠気度合いを更に判定する。
【0015】
請求項5に記載の生体状態判定装置は、被験者の体動の情報を取得する体動取得部を備えている。判定部は、基底心拍数と心拍数とを用いた判定の後に、体動検出部の検出結果を用いて被験者の眠気度合いを更に判定する。この判定が追加されることにより、眠気度合いの判定精度を高めることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明に係る生体状態判定方法は、被験者の基底心拍数を取得する基底心拍数取得ステップと、前記被験者の心拍数を取得する心拍数取得ステップと、前記基底心拍数と前記心拍数とを用いて前記被験者の状態を判定する判定ステップと、を有する。
【0017】
請求項6に記載の生体状態判定方法によれば、基底心拍数取得ステップでは、被験者の基底心拍数を取得し、心拍数取得ステップでは、被験者の心拍数を取得し、判定ステップでは、基底心拍数と心拍数とを用いて被験者の状態を判定する。心拍数は、心電図の波形における山の数に相当するが、この山の数と心臓の収縮の回数とは一致する。このため、被験者の心拍情報として心拍数を取得する場合、心拍間隔を取得する場合と比較して、正しい数値を取得し易い。また、基底心拍数は、個人特有の深睡眠時の心拍数であり、平常時の心拍数と相関がある。この相関関係に基づいて被験者の状態を判定することにより、心拍情報の個人毎のばらつきの影響が少なくなる。
【0018】
請求項7に記載の発明に係る生体状態判定方法は、請求項6に記載の生体状態判定方法において、前記心拍数取得ステップでは、前記被験者の瞬時心拍数を取得し、当該瞬時心拍数の平均値である平均心拍数を算出すると共に、当該平均心拍数の単位時間当たりの変化量を前記基底心拍数で除して得られる補正変化量を算出し、前記判定ステップでは、負の値である第1基準値より前記補正変化量が小さい状態が一定時間継続するか否かに基づいて、前記被験者の眠気度合いを判定する。
【0019】
請求項7に記載の生体状態判定方法によれば、心拍数取得ステップでは、被験者の瞬時心拍数を取得し、当該瞬時心拍数の平均値である平均心拍数を算出すると共に、当該平均心拍数の単位時間当たりの変化量を前記基底心拍数で除して得られる補正変化量を算出する。判定ステップでは、負の値である第1基準値より上記の補正変化量が小さい状態が一定時間継続するか否か、すなわち平均心拍数の減少傾向が強い状態が一定時間継続するか否かに基づいて、被験者の眠気度合いを判定する。これにより、被験者の眠気度合いを正確に判定することができる。
【0020】
請求項8に記載の発明に係る生体状態判定方法は、請求項7に記載の生体状態判定方法において、前記心拍数取得ステップでは、前記平均心拍数の標準偏差を算出し、前記判定ステップでは、前記状態が一定時間継続した場合、前記瞬時心拍数が前記基底心拍数の第1係数倍より小さいか否かに基づいて前記眠気度合いを更に判定する一方、前記状態が一定時間継続しない場合、前記標準偏差が前記基底心拍数の第2係数倍より小さいか否かに基づいて前記眠気度合いを更に判定する。
【0021】
請求項8に記載の生体状態判定方法によれば、心拍数取得ステップでは、平均心拍数の標準偏差を算出する。判定ステップでは、前述の補正変化量が第1基準値より小さい状態が一定時間継続した場合、瞬時心拍数が基底心拍数の第1係数倍より小さいか否かに基づいて被験者の眠気度合いを更に判定する。一方、上記の状態が一定時間継続しない場合、判定ステップでは、上記の標準偏差が基底心拍数の第2係数倍より小さいか否かに基づいて被験者の眠気度合いを更に判定する。これらのうち何れかの判定が追加されることにより、眠気度合いの判定精度を高めることができる。
【0022】
請求項9に記載の発明に係る生体状態判定方法は、請求項7に記載の生体状態判定方法において、前記判定ステップでは、前記状態が一定時間継続した場合、前記瞬時心拍数が前記基底心拍数の第3係数倍より小さいか否かに基づいて前記眠気度合いを更に判定する一方、前記状態が一定時間継続しない場合、前記瞬時心拍数が前記基底心拍数の第4係数倍より小さいか否かに基づいて前記眠気度合いを更に判定する。
【0023】
請求項9に記載の生体状態判定方法によれば、判定ステップでは、前述の補正変化量が第1基準値より小さい状態が一定時間継続した場合、瞬時心拍数が基底心拍数の第3係数倍より小さいか否かに基づいて前記眠気度合いを更に判定する。一方、上記の状態が一定時間継続しない場合、判定ステップでは、瞬時心拍数が基底心拍数の第4係数倍より小さいか否かに基づいて眠気度合いを更に判定する。これらのうち何れかの判定が追加されることにより、眠気度合いの判定精度を高めることができる。
【0024】
請求項10に記載の発明に係る生体状態判定方法は、請求項7~請求項9の何れか1項に記載の生体状態判定方法において、前記被験者の体動の情報を取得する体動取得ステップを有し、前記判定ステップでは、前記基底心拍数と前記心拍数とを用いた判定の後に、前記体動の情報を用いて前記眠気度合いを更に判定する。
【0025】
請求項10に記載の生体状態判定方法は、被験者の体動の情報を取得する体動取得ステップを有している。判定ステップでは、基底心拍数と心拍数とを用いた判定の後に、上記体動の情報を用いて被験者の眠気度合いを更に判定する。この判定が追加されることにより、眠気度合いの判定精度を高めることができる。
【0026】
請求項11に記載の発明に係る生体状態判定プログラムは、請求項6~請求項10の何れか1項に記載の生体状態判定方法の各ステップをプロセッサに実行させる。
【0027】
請求項11に記載の生体状態判定プログラムによってプロセッサが上記各ステップを実行する。これにより、請求項6~請求項10の何れか1項に記載の発明と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明に係る生体状態判定装置、生体状態判定方法及び生体状態判定プログラムでは、被験者の心拍情報の取得が容易になり且つ心拍情報の個人毎のばらつきの影響が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1実施形態に係る生体状態判定装置としての眠気判定警告装置を含んで構成された眠気判定警告システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る眠気判定警告装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】平均心拍数及び標準偏差の算出の仕方について説明するための説明図である。
【
図4】第1実施形態に係る眠気判定警告装置の眠気判定部が行う制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】脈波の波形の一例を示す線図であり、心拍数及び心拍間隔について説明するための図である。
【
図6】第2実施形態に係る生体状態判定装置としての眠気判定警告装置を含んで構成された眠気判定警告システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図7】第2実施形態に係る眠気判定警告装置の眠気判定部が行う制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】第3実施形態に係る生体状態判定装置としての眠気判定警告装置の眠気判定部が行う制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1の実施形態>
以下、
図1~
図5を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。
図1には、第1実施形態に係る生体状態判定装置としての眠気判定警告装置12を含んで構成された眠気判定警告システム10が示されている。この眠気判定警告システム10は、眠気判定警告装置12の他、基底心拍数取得装置14、生体データ集積装置16、心拍数センサ18、警告装置20、及び他制御装置22を含んで構成されている。
【0031】
眠気判定警告装置12は、例えば車両に搭載され、当該車両の運転者の眠気度合いを判定し、当該運転者に対して必要に応じて警告を行う装置である。当該運転者は、本発明における「被験者」に相当する。この眠気判定警告装置12は、CPU(Central Processing Unit;プロセッサ)12A、ROM(Read Only Memory)12B、RAM(Random Access Memory)12C、ストレージ12D、通信I/F(Inter Face)12E、及び入出力I/F(Inter Face)12Fを含んで構成されている。CPU12A、ROM12B、RAM12C、ストレージ12D、通信I/F12E及び入出力I/F12Fは、バス12Gを介して相互に通信可能に接続されている。
【0032】
CPU12Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU12Aは、ROM12Bからプログラムを読み出し、RAM12Cを作業領域としてプログラムを実行する。本実施形態では、ROM12Bにプログラムが記憶されている。このプログラムは、本発明における「生体状態判定プログラム」に相当する。このプログラムをCPU12Aが実行することで、眠気判定警告装置12は、
図2に示される記憶部121、心拍数指標算出部122、眠気判定部123及び警告装置制御部124として機能する。
【0033】
ROM12Bは、各種プログラム及び各種データを記憶している。RAM12Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ12Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム等を記憶している。
【0034】
通信I/F12Eは、ネットワークに接続するためのインタフェースを含む。このネットワークは、一例としてインターネット等の公衆回線を用いた有線及び無線の通信網である。上記のインタフェースとしては、例えば、LTE、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格が用いられる。眠気判定警告装置12は、上記のネットワークを介して基底心拍数取得装置14及び生体データ集積装置16と相互に通信可能に接続される。また、基底心拍数取得装置14と生体データ集積装置16とは、上記のネットワークを介して相互に通信可能に接続される。
【0035】
基底心拍数取得装置14は、例えばウェアラブル端末等に搭載される心拍数センサ等であり、例えば運転者(被験者)が車両に乗車する直前の睡眠時に被験者の基底心拍数を測定する。基底心拍数は、睡眠時の心拍数の分布(すなわちヒストグラム)の1パーセンタイルに相当する心拍数である。基底心拍数取得装置14によって測定された基底心拍数のデータは、ネットワークを介して眠気判定警告装置12に直接又は生体データ集積装置16を経由して間接的に送信される。生体データ集積装置16は、例えばスマートフォンやデータサーバ等である。この生体データ集積装置16には、被験者毎の基底心拍数のデータが集積される。
【0036】
入出力I/F12Fには、心拍数センサ18、警告装置20及び他制御装置22が接続されている。心拍数センサ18は、例えば電波式又は光学式の心拍計であり、車両に搭載されて運転者の瞬時心拍数を測定する。この瞬時心拍数は、最小の時間単位で測定される心拍数である。警告装置20は、例えば警告音を発する音声出力装置や、警告のための振動を運転者に加える振動出力装置等であり、車両や車両用シート等に搭載される。他制御装置22は、例えば車両の自動運転等を制御する車両制御装置や、車両に搭載された表示装置を制御する表示制御装置等である。なお、上記の心拍数センサ18は、R波とR波の間隔(所謂RRI)を計測する心拍間隔センサであってもよい。その場合の心拍数情報は、心拍数(bpm)=60/RRIとして心拍間隔から取得する。
【0037】
眠気判定警告装置12は、前述したように、機能構成として
図2に示される記憶部121、心拍数指標算出部122、眠気判定部123及び警告装置制御部124を有している。これらの機能構成は、CPU12AがROM12Bに記憶されたプログラムを読み出し、これを実行することで実現される。これらの機能構成により、本発明に係る「生体状態判定方法」が実施される。
【0038】
記憶部121は、基底心拍数取得装置14によって測定された基底心拍数のデータを取得する。つまり、この記憶部121は、本発明における「基底心拍数取得部」に相当するものであり、本発明における「基底心拍数取得ステップ」を実施する機能を有している。この記憶部121は、取得した基底心拍数のデータをストレージ12D等に記憶させる。この場合、記憶部121は、複数の被験者毎に基底心拍数のデータをストレージ12D等に記憶させる。
【0039】
心拍数指標算出部122は、心拍数センサ18によって測定された瞬時心拍数のデータを取得する。つまり、この心拍数指標算出部122は、本発明における「心拍数取得部」に相当するものであり、本発明における「心拍数取得ステップ」を実施する機能を有している。さらに、この心拍数指標算出部122は、瞬時心拍数の平均値である平均心拍数を算出すると共に、当該平均心拍数の単位時間当たりの変化量を基底心拍数で除して得られる補正変化量と、平均心拍数の標準偏差とを算出する。
【0040】
具体的には、心拍数指標算出部122は、
図3に示されるように、取得済みの複数の瞬時心拍数のデータHR
1、HR
2、HR
3、・・・HR
nを平均することで、平均心拍数HR
anを算出する。また、心拍数指標算出部122は、算出済みの複数の平均心拍数のデータHR
an、HR
an+1を用いた以下の(1)式により、平均心拍数の単位時間当たりの変化量の補正変化量X
nを算出する。以下の(1)式において、HR
0は基底心拍数であり、t
nは時間である。
【0041】
【0042】
さらに、心拍数指標算出部122は、算出済みの複数の平均心拍数のデータHRan、HRan+1を用いた以下の(2)式により、平均心拍数の標準偏差SDを算出する。なお、以下の(2)式において、xはHRan~HRamのデータの数である。
【0043】
【0044】
眠気判定部123は、基底心拍数HR0と瞬時心拍数HRn及び平均心拍数HRanとを用いて運転者の状態(ここでは眠気度合い)を判定する。つまり、眠気判定部123は、本発明における「判定部」に相当するものであり、本発明における「判定ステップ」を実施する機能を有している。この眠気判定部123は、補正変化量Xn、基底心拍数HR0と瞬時心拍数HRnとの比較、及び標準偏差SD、という3つの指標により運転者の眠気度合いを判定する。
【0045】
具体的には、補正変化量Xnによる判定では、眠気判定部123は、負の値である第1基準値Xcよりも補正変化量Xnが小さい状態(すなわちXn<Xc)が一定時間(例えば10~60秒)継続するか否かに基づいて、運転者の眠気度合いを判定する。上記の第1基準値Xcは、例えば、-0.0005~-0.005の範囲内に設定される。Xn<Xcが満たされる状態は、平均心拍数の減少傾向が強い状態である。
【0046】
基底心拍数HR0と瞬時心拍数HRnとの比較による判定では、眠気判定部123は、瞬時心拍数HRnが基底心拍数HR0の第1係数Yc倍より小さいか否かに基づいて運転者の眠気度合いを判定する。この場合、眠気判定部123は、以下の(3)式が満たされるか否かを判定する。以下の(3)式において第1係数Ycは、例えば1.2~1.7の範囲内に設定される。
【0047】
【0048】
標準偏差SDによる判定では、眠気判定部123は、標準偏差SDが基底心拍数HR0の第2係数SDc倍より小さいか否かに基づいて運転者の眠気度合いを判定する。この場合、眠気判定部123は、以下の(4)式が満たされるか否かを判定する。以下の(4)式において第2係数SDcは、0.003~0.03の範囲内に設定される。
【0049】
【0050】
警告装置制御部124は、眠気判定部123で判定された運転者の眠気度合い(眠気レベル)に応じて、予め設定された通りに警告装置20の動作を制御する。例えば、警告装置制御部124は、運転者の眠気が浅い段階では運転者の不快感に繋がらない程度の警告音や振動等で警告を行う。一方、運転者の眠気が深い段階(居眠り状態)にあり、運転者を覚醒させる緊急性が高い場合には、警告装置制御部124は運転者に対して強い警告を行う。このように、眠気判定部123によって判定された眠気レベルに応じた警告を行うことで運転者の覚醒を効果的に促すことが期待できる。
【0051】
眠気判定部123の判定結果は、入出力I/F12Fを介して他制御装置22にも出力され、他制御装置22での制御に利用される。なお、基底心拍数取得装置14によって測定する心拍数から、被験者の前日の睡眠状態(深睡眠の時間)を推定し、被験者の車両運転時に警告を発したり、車両の自動運転制御に活用する等してもよい。
【0052】
以下、
図4に示されるフローチャートを用いて、眠気判定警告装置12で実施される制御処理の流れについて説明する。この制御処理では、眠気判定警告装置12のCPU12Aは、眠気判定部123の機能により、運転者の眠気度合い(眠気レベル)をレベル0(覚醒)~レベル3(深い眠気)の4段階に分別する。先ず
図4のステップS1では、CPU12Aは、補正変化量X
nが第1基準値X
cより小さい状態、すなわち平均心拍数の減少傾向が強い状態が一定時間継続するか否かを判定する。この判定が肯定された場合、ステップS2に移行し、この判定が否定された場合、ステップS3に移行する。
【0053】
ステップS2に移行した場合、CPU12Aは、瞬時心拍数HRnが基底心拍数HR0の第1係数Yc倍より小さいか否かを判定する。このステップS2での判定が肯定された場合、運転者の眠気レベルは、深い眠気のレベルであるレベル3と判定される。一方、このステップS2での判定が否定された場合、運転者の眠気レベルは、レベル3よりも一段階浅い眠気レベルであるレベル2と判定される。
【0054】
ステップS3に移行した場合、CPU12Aは、平均心拍数の標準偏差SDが基底心拍数HR0の第2係数SDc倍より小さいか否かを判定する。このステップS3での判定が肯定された場合、運転者の眠気レベルは、レベル2よりも一段階浅い眠気のレベルであるレベル1と判定される。一方、このステップS3での判定が否定された場合、運転者の眠気レベルは、覚醒レベルであるレベル0と判定される。
【0055】
(本実施形態のまとめ)
本実施形態によれば、眠気判定警告装置12のCPU12Aは、眠気判定部123の機能により、運転者の基底心拍数と心拍数(瞬時心拍数及び平均心拍数)とを用いて運転者の状態(ここでは眠気)を判定する。
図5に示されるように、心拍数は、心電図の波形における山の数に相当するが、この山の数と心臓の収縮の回数とは一致する。一方、心拍間隔は、心電図の波形におけるピークの間隔に対応するが、心臓の収縮との間に時間差があるため、心電図のピーク間隔と心拍間隔とが一致しない場合がある。このため、運転者の心拍情報として心拍数を取得する場合、心拍間隔を取得する場合と比較して、正しい数値を取得し易い。
【0056】
また、基底心拍数は、個人特有の深睡眠時の心拍数であり、平常時の心拍数と相関がある。この相関関係に基づいて運転者の状態を判定することにより、心拍情報の個人毎のばらつきの影響が少なくなるので、判定アルゴリズムにおいて一定の閾値で判定する場合でも、正しく判定を行うことが可能となる。その結果、運転者に対してその眠気度合いに応じて適切に警告を行うことが可能となる。
【0057】
このように、本実施形態では、正しい数値を取得し易い心拍数を判定に用いるため、心拍情報を取得するためのセンサの低コスト化を図ることができる。しかも、周波数分析などの複雑な解析を行わないため、演算装置であるCPU12Aの低コスト化をも図ることができる。
【0058】
また、本実施形態では、心拍数指標算出部122は、運転者の瞬時心拍数を取得し、当該瞬時心拍数の平均値である平均心拍数を算出すると共に、当該平均心拍数の単位時間当たりの変化量を前記基底心拍数で除して得られる補正変化量を算出する。眠気判定部123は、負の値である第1基準値より上記の補正変化量が小さい状態が一定時間継続するか否か、すなわち平均心拍数の減少傾向が強い状態が一定時間継続するか否かに基づいて、運転者の眠気度合いを判定する。このように、平均心拍数の単位時間当たりの変化量を基底心拍数で除する(補正する)ことにより、運転者の眠気度合いを正確に判定することができる。
【0059】
さらに、本実施形態では、心拍数指標算出部122は、平均心拍数の標準偏差を算出する。眠気判定部123は、前述の補正変化量が第1基準値より小さい状態が一定時間継続した場合、瞬時心拍数が基底心拍数の第1係数倍より小さいか否かに基づいて運転者の眠気度合いを更に判定する。一方、上記の状態が一定時間継続しない場合、眠気判定部123は、上記の標準偏差が基底心拍数の第2係数倍より小さいか否かに基づいて運転者の眠気度合いを更に判定する。これらのうち少なくとも何れか一方の判定が追加されることにより、眠気度合いの判定精度を高めることができる。
【0060】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、第1実施形態と基本的に同様の構成及び作用については、第1実施形態と同符号を付与しその説明を省略する。
【0061】
<第2の実施形態>
図6には、本発明の第2実施形態に係る生体状態判定装置としての眠気判定警告装置12を含んで構成された眠気判定警告システム30のハードウェア構成がブロック図にて示されている。また、
図7には、第2実施形態に係る眠気判定警告装置12の制御処理の流れがフローチャートにて示されている。
【0062】
図6に示されるように、本実施形態に係る眠気判定警告システム30は、体動センサ32を備えている。体動センサ32は、例えば運転者に装着されて運転者の身体の体動(加速度)を検出する装着式加速度センサや、車両に搭載されて運転者を撮像し、画像解析により運転者の身体の体動を検出するカメラ式センサ等である。この体動センサ32は、ネットワークを介して眠気判定警告装置12と相互に通信可能に接続される。この眠気判定警告装置の機能構成である眠気判定部123は、本発明における「判定部」と「体動取得部」とを兼ねており、体動センサ32から運転者の体動の情報を取得する。
【0063】
図7に示されるように、本実施形態では、眠気判定警告装置12のCPU12Aは、ステップS1~S3において第1実施形態と同様の処理を行うが、ステップS2での判定が肯定された場合、ステップS4に移行し、ステップS3での判定が肯定された場合、ステップS5に移行する。ステップS4、S5では、本発明における「体動取得ステップ」が行われる。
【0064】
ステップS4に移行した場合、CPU12Aは、体動センサ32から運転者の体動の情報(加速度の情報)を取得し、当該加速度が第2基準値より小さいか否かを判定する。このステップS4での判定が肯定された場合、運転者の眠気レベルは、深い眠気のレベルであるレベル3と判定される。一方、このステップS4での判定が否定された場合、運転者の眠気レベルは、レベル3よりも一段階浅い眠気レベルであるレベル2と判定される。
【0065】
ステップS5に移行した場合も同様に、CPU12Aは、体動センサ32から運転者の体動の情報(加速度の情報)を取得し、当該加速度が第2基準値より小さいか否かを判定する。このステップS5での判定が肯定された場合、運転者の眠気レベルは、レベル2よりも一段階浅い眠気のレベルであるレベル1と判定される。一方、このステップS5での判定が否定された場合、運転者の眠気レベルは、覚醒レベルであるレベル0と判定される。
【0066】
この実施形態では、上記以外の構成は第1実施形態と同様とされている。この実施形態では、基底心拍数と心拍数とを用いた判定の後に、体動の情報を用いて運転者の眠気度合いが更に判定される。この判定が追加されることにより、眠気度合いの判定精度を一層高めることができる。
【0067】
<第3の実施形態>
図8には、本発明の第3実施形態に係る生体状態判定装置としての眠気判定警告装置の眠気判定部が行う制御処理の流れがフローチャートにて示されている。この実施形態では、ステップS1での判定が肯定された場合、ステップS6に移行し、ステップS1での判定が否定された場合、ステップS7に移行する。
【0068】
ステップS6に移行した場合、CPU12Aは、瞬時心拍数HRnが基底心拍数HR0の第3係数Yc1倍より小さいか、すなわちHRn<Yc1×HR0が成立するか否かを判定する。このステップS6での判定が肯定された場合、運転者の眠気レベルは、深い眠気のレベルであるレベル3と判定される。一方、このステップS6での判定が否定された場合、運転者の眠気レベルは、レベル3よりも一段階浅い眠気レベルであるレベル2と判定される。
【0069】
ステップS7に移行した場合、CPU12Aは、瞬時心拍数HRnが基底心拍数HR0の第4係数Yc2倍より小さいか否か、すなわちHRn<Yc2×HR0が成立するか否かを判定する。上記の第3係数Yc1及び第4係数Yc2は、例えば1.2~1.7の範囲内に設定され、第4係数Yc2は第3係数Yc1より大きく設定される(Yc1<Yc2)。このステップS7での判定が肯定された場合、運転者の眠気レベルは、レベル2よりも一段階浅い眠気のレベルであるレベル1と判定される。一方、このステップS7での判定が否定された場合、運転者の眠気レベルは、覚醒レベルであるレベル0と判定される。
【0070】
この実施形態では、上記以外の構成は第1実施形態と同様とされている。この実施形態では、ステップS1での判定の後に、ステップS6又はステップS7の判定が追加されることにより、眠気度合いの判定精度を高めることができる。
【0071】
<実施形態の補足説明>
上記各実施形態では、生体状態判定装置としての眠気判定警告装置12によって運転者(被験者)の眠気度合いを判定する場合について説明したが、これに限るものではない。本発明に係る生体状態判定装置は、例えば被験者の基底心拍数と心拍数とを用いて被験者のストレス状態を判定するものでもよい。
【0072】
また、上記各実施形態では、生体状態判定装置としての眠気判定警告装置12が車両に搭載された構成にしたが、これに限らず、生体状態判定装置は、車両から持ち出し可能な携帯端末(スマートフォン、タブレット端末など)であってもよい。
【0073】
また、上記各実施形態において、CPU12Aがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した各処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0074】
また、上記各実施形態において、プログラムはコンピュータが読み取り可能な非一時的記録媒体に予め記憶(インストール)されている態様で説明した。例えば、眠気判定警告装置12においてプログラムは、ストレージ12Dに予め記憶されている。しかしこれに限らず、プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、各プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0075】
上記各実施形態で説明した制御処理の流れも、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0076】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記各実施形態に限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0077】
12 眠気判定警告装置(生体状態判定装置)
12A CPU(プロセッサ)
121 記憶部(基底心拍数取得部)
122 心拍数指標算出部(心拍数取得部)
123 眠気判定部(判定部)