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特開2022-159837荷こぼれ防止用の回転柵を備えた台車
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159837
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】荷こぼれ防止用の回転柵を備えた台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20221011BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
B62B3/02 B
B62B5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064265
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】398075851
【氏名又は名称】株式会社ホシプラ
(74)【代理人】
【識別番号】100104581
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 伊章
(72)【発明者】
【氏名】星川 和胤
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050CC05
3D050DD01
3D050EE08
3D050EE15
3D050KK11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】荷こぼれ防止のために台車の運搬台の側面に柵を設けた運搬台車でありながら、当該柵部分を取り外しや取り付けが簡単で、運搬中の振動で滑動や滑落するのを防止できる運搬台車を提供すること。
【解決手段】天板に、荷こぼれ防止用の柵を備えた樹脂製運搬台車において、上記柵は、樹脂製でかつ、上記柵を収納する上記天板の収納溝が、天板の長辺側と、短辺側(進行方向)に沿って配置されており上記柵は、柵の長手方向の中心に回転軸を有し、その軸心を中心として回転可能でかつ上記収納溝には、回転軸に対応して配置された軸受けの軸穴を有し上記柵を使用するときは上記柵を回転させることによって、天板の収納溝から引き上げ可能で、上記柵を使用しないときは上記柵を回転させることによって、天板の収納溝の中に収納可能であることを特徴とする。
【選択図】図1(a)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板に、荷こぼれ防止用の柵を備えた樹脂製運搬台車において、
上記柵は、樹脂製で
かつ、上記柵を収納する上記天板の収納溝が、天板の長辺側と、短辺側(進行方向)に沿って配置されており
上記柵は、柵の長手方向の中心に回転軸を有し、その軸心を中心として回転可能で
かつ上記収納溝には、回転軸に対応して配置された軸受けの軸穴を有し
上記柵を使用するときは上記柵を回転させることによって、天板の収納溝から引き上げ可能で、
上記柵を使用しないときは上記柵を回転させることによって、天板の収納溝の中に収納可能である、
ことを特徴とする運搬台車。
【請求項2】
上記収納溝の内部に収まっている柵を天板から出して使用する時は
上記収納溝の穴部から露出している上記柵の一端角を押し込むことによって、
上記柵の回転軸を中心に柵を回転して、起立させ、

上記収納溝で起立している柵を天板に収納する時は
上記柵を、収納溝の穴部の反対側端部にある上記柵の一端角を押し込むことによって、
上記柵の回転軸を中心に、柵を起立させる時と反対方向に回転させ
上記柵を収納することを
特徴とする請求項1記載の運搬台車。

【請求項3】
上記柵は、表面に回転軸を中心として片側に複数のばねあり突起部と、反対側に複数のばねなし突起部を備え、
柵の裏面は、表面と同形状であり、

上記収納溝には、上記柵のばねあり突起部と、ばねなし突起部を収容するリブを備えていることを
特徴とする請求項1および2記載の運搬台車。
【請求項4】
上記柵は、複数のU字状の切り込みでできた舌部を、回転軸を中心として両側に備えており、
上記ばねあり突起部は、上記舌部の先端部分に1つずつあり、
上記ばねなし突起部は、上記舌部と舌部の間に1つずつあることを
特徴とする請求項1から3記載の運搬台車。
【請求項5】
上記収納溝のリブは、
台車の外側の内側壁に形成された深いリブ、台車の内側の内側壁に形成された浅いリブがあり、
上記深いリブと浅いリブには、傾斜のあるリブと傾斜のないリブの2つのパターンがありその2つは交互に並び

上記収納溝のリブ形状が、上記柵のばねあり突起部とばねなし突起部を
樹脂の材料の弾性を利用してはめ込みまたは外すことにより、
上記柵が収納溝に対してロックとロック解除の機構を形成することを

特徴とする請求項1から4記載の運搬台車。
【請求項6】
上記収納溝のリブは、
深いリブ14aは、リブの深さ方向の略中心部に溝の内部に向かって突出部がありその突出以深は台車の外側に向かって傾斜する形状のリブであり、
深いリブ14bは、リブの縦方向の略中心部に溝の内部に向かって突出部があるが傾斜をせずその突出以深は垂直である形状のリブであり、
浅いリブ15aは、リブの深さ方向においての下端に突出部がありその突出以深は台車の内側に向かって傾斜する形状のリブであり、
浅いリブ15bは、リブの深さ方向においての下端に突出部がありその突出以深は台車の内側向かって傾斜せず突出部下部に窪みを有する形状のリブであり、

収納溝の中で傾斜のある深いリブ14aと傾斜のある浅いリブ15aが対面しており、傾斜のない深いリブ14bと傾斜のない浅いリブ15bが対面していることを

特徴とする請求項1から5記載の運搬台車。

【請求項7】
上記柵が収納溝に対してロックとロック解除の機構を形成する台車であって、

上記柵を天板から出して使用する際は、
上記収納溝の穴部から露出している上記柵の一端角を押し込み、
上記柵の回転軸を中心に回転させることによって、

A’― A’断面では、傾斜のある深いリブ14aの突出部16に接触していたばねあり突起部8aが、一定以上の力が加わることによってばねの弾性により突出部16を乗り越えて、
B’―B’断面では、傾斜のない浅いリブ15bの窪み19に接触していたばねなし突起部9bが窪み19から離れ、
A―A断面では傾斜のある浅いリブ15aの突出部18に接触していたばねあり突起部8bが、一定以上の力が加わることによってばねの弾性により突出部18を乗り越えて、
B―B断面では、傾斜のない深いリブの溝14bの突出部17に接触していたばねなし突起部9aが突出部17から離れて、
ロックが解除され、

上記柵が180度回転した後は、

A― A断面において、ばねあり突起部8aが傾斜のある深いリブ14aの傾斜に沿って回転し一定以上の力によって、ばねの弾性により突出部16を乗り越え、
B―B断面では、ばねなし突起部9bが傾斜のない浅いリブ15bの窪み19に接触して係合し、
A’― A’断面において、ばねあり突起部8bが傾斜のある浅いリブ15aの傾斜に沿って回転し一定以上の力によって、ばねの弾性により突出部18を乗り越え、
B’―B’断面では、ばねなし突起部9aが傾斜のない深いリブ14bの突出部17に接触して係止し、
ロックがかかり、

上記柵を天板に収納する際は
上記柵を、収納溝の穴部の反対側端部にある上記柵の一端角を押し込み、
上記柵の回転軸を中心に、柵を天板から出す時と反対方向に回転することによって、

A―A断面では、傾斜のある深いリブ14aの突出部16に接触していたばねあり突起部8aが、一定以上の力が加わることによってばねの弾性により突出部16を乗り越えて、
B―B断面では、傾斜のない浅いリブ15bの窪み19に接触していたばねなし突起部9bが窪み19から離れるように回転し、
A’― A’断面では、傾斜のある浅いリブ15aの突出部18に接触していたばねあり突起部8bが、ばねの弾性により突出部18を乗り越えて、
B’―B’断面では、傾斜のない深いリブ14bの突出部17に接触していたばねなし突起部9aが突出部17から離れるように回転して
ロックが解除され、

上記柵が180度回転した後は、
A’― A’断面において、ばねあり突起部8aが傾斜のある深いリブ14aの傾斜に沿って回転し一定以上の力によって、ばねの弾性により突出部16を乗り越え、
B’―B’断面では、ばねなし突起部9bが傾斜のない浅いリブ15bの窪み19に接触して係合し、
A― A断面において、ばねあり突起部8bが傾斜のある浅いリブ15aの突出部18を一定以上の力によって、ばねの弾性により突出部18を乗り越え、
B―B断面では、ばねなし突起部9aが傾斜のない深いリブ14bの突出部17に接触して係止し、
ロックがかかる

ことを特徴する請求項1から6記載の運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物の運搬に用いる手押しの運搬台車に関し、中でも荷物の荷こぼれ防止のために回転可能な樹脂製柵を設けた樹脂製運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台車、なかでも手押し式の運搬台車のなかには、荷崩れ防止のために台車の運搬台の側面に、荷崩れ防止の柵を設けたものがある。
【0003】
荷崩れ防止のために台車の運搬台の側面に柵を設けた運搬台車は、柵が折り畳みでき、運搬中の振動で、滑動や滑落するのを防止できるものがある。
【特許文献1】特開2012-144207
【0004】
しかしながら、従来の運搬用台車は、運搬台の側面に柵を設けた台車において、簡易な操作で柵の取り外しや取り付けが可能な台車はなかった。これは、柵を設けた台車の場合、柵を取り付けるのに時間がかかり、また一旦取り付けた柵を台車から取り外すには、煩雑で実用的でなかったからである。
【0005】
また、柵を取り付けるのに時間がかからないように柵を折り畳みにした場合、柵の上に荷物を載せてしまうと、柵を起こせないという課題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、上記現状に鑑みて、本発明では、荷こぼれ防止のために台車の運搬台の側面に柵を設けた運搬台車でありながら、当該柵部分を収納や取り付けが簡単で、運搬中の振動で、荷物が滑動や滑落するのを防止でき、荷物を載せた後でも、柵を設けることができる運搬台車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下の手段を用いて上記課題を解決した。
【0008】
すなわち天板に、荷こぼれ防止用の柵を備えた樹脂製運搬台車において、上記柵は、樹脂製で
かつ、上記柵を収納する上記天板の収納溝が、天板の長辺側と、進行方向の短辺側に沿って配置されており、上記柵は、柵の長手方向の中心に回転軸を有し、その軸心を中心として回転可能で
かつ上記収納溝には、回転軸に対応して配置された軸受けの軸穴を有し、上記柵を使用するときは上記柵を回転させることによって、天板の収納溝から引き上げ可能で、上記柵を使用しないときは上記柵を回転させることによって、天板の収納溝の中に収納可能であることを特徴とする運搬台車である。
【0009】
上記収納溝の内部に収まっている柵を天板から出して使用する時は、上記収納溝の穴部から露出している上記柵の一端角を押し込むことによって、上記柵の回転軸を中心に柵を回転して、起立させ、上記収納溝で起立している柵を天板に収納する時は、上記柵を、収納溝の穴部の反対側端部にある上記柵の一端角を押し込むことによって、上記柵の回転軸を中心に、柵を起立させる時と反対方向に回転させる。
【0010】
上記柵を使用するときは、上記柵が回転によって収納溝より引き上げられ、移動時の振動によって柵が収納溝に落ち込まないのが好ましい。上記柵を使用しないときは、上記柵を回転させることによって、天板の収納溝の中に収納可能であり、運搬台上面ができるだけ面一となる上記運搬台車であることが好ましい。
なお、柵は取り外さずそのまま収納溝に収納しておいてもよいが、取り外すことも可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の運搬台車によれば、台車に乗せた荷物を滑動や滑落させたくないときに、荷こぼれ防止用の柵をつくるため柵を収納溝から回転することによって引き上げることができ、柵による凸が不要な時は、回転によって収納溝に収めることができる。柵を使用するかしないかの状況によって、柵を回転することにより、引き上げたり、収納溝に収納したり、また取り付けや取り外しができる。
一般的に、荷こぼれ防止用の柵がないと、荷物をロープやひもなどで固定しなければ、運搬中の振動のため、荷物の滑動や滑落を防止できない。一方、荷こぼれ防止用の柵が常時固定され取り外しができないと、運搬台上面に柵による凸部が形成されることになり、保管時に容易に垂直に積み上げることができない。
本発明の柵では、柵を引き上げたときには運搬中の振動での運搬物の滑動や滑落を防止できる。本発明の柵は使用していないときは、収納溝の中に納まっていて天板の中に回転で収納可能であり、上面が面一となるので保管時に容易に垂直に積み上げることができる。また柵を外した時には上面が面一となり柵による突部が形成されることがないので、保管時に容易に垂直に積み上げることができる。
さらに本発明の運搬台車によれば、柵の取り付けや収納に時間がかからず、また一旦取り付けた柵を台車から取り外すことも可能である。
【0012】
更には、従来の台車で、柵が固定されている場合、荷物を載せる時必ず持ち上げなければならないが、本発明の運搬台車は、柵を収納溝の中に入れることができるので、荷物を載せる時に持ち上げず、スライドして容易に運ぶことかできる。
また、従来の台車で、柵が折り畳みの場合は、柵の上に荷物を載せるともう柵を起こせないが、本発明の運搬台車は、柵を回転させて引き上げるので、荷物を載せた後に柵を使用することが容易である。
【0013】
上記柵は、上記収納溝の内部に収まっている柵を天板から出して使用する際、傾くことはなく、移動時の振動によって起立している柵が収納溝に落ち込むことがなく、当該柵部分を取り付けや取り外しが簡単で、荷物が運搬中の振動により、滑動、また滑落することを防止できる運搬台車を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の運搬台車を詳述する。ただし、本発明の運搬台車は、図面に示された態様に限定されるものではない。
【0015】
本発明の荷こぼれ防止用の柵を備えた台車は、荷物を搭載する天板1と上記天板1の側辺側に沿って配置された柵を具備するものである。
【0016】
図1(a)は、本発明の運搬台車の斜視図であり、上記運搬台車の天板1に柵2a、2b、3aが取り付けられた場合の図である。
【0017】
天板1には、収納溝が天板の側辺側に沿って配置されており、上記天板の両方の長辺側に収納溝4a、4b、短辺側に収納溝5aが配置されている。
【0018】
上記柵2a、2b、3aは、上記天板に取り付けおよび取り外しが可能である。上記柵は荷崩れ防止のためのものであり、図1のように、上記天板1の側縁側に設けるものである。
【0019】
図1(b)は、本発明の運搬台車の斜視図であり、上記運搬台車の天板1に上記柵2a、2b、3aが収納された場合の図である。
【0020】
図1(c)は、本発明の運搬台車の斜視図であり、上記運搬台車の天板1に上記柵2a、2b、3aを収納状態から起立させるために、回転している場合の図である。
【0021】
図1(d)は上記柵が回転している場合の側面図である。
【0022】
図1(b)において、上記収納溝の内部に収まっている柵を天板から出して使用する時は、上記収納溝の穴部10から露出している上記柵の一端角12を下方向に押し込むことによって、上記柵の回転軸を中心に柵を回転して、起立させる。
【0023】
図1(a)において、上記収納溝で起立している柵を天板に収納する時は、上記柵を、収納溝の穴部の反対側端部にある上記柵の一端角13を下方向に押し込むことによって、上記柵の回転軸を中心に、柵を起立させる時と反対方向に回転させて、上記柵を収納する。
すなわち、上記柵は、360度回転するのではなく、収納から起立、起立から収納は反対方向の回転で、もとに戻すことになり、180度の回転となる。
【0024】
上記柵は、表面に回転軸を中心として片側に複数のばねあり突起部と、反対側に複数のばねなし突起部を備え、柵の裏面は、表面と同形状であり、
上記収納溝には、上記柵のばねあり突起部と、ばねなし突起部を収容するリブを備えていることを特徴とする。
以下に、上記柵と上記収納溝の特徴をそれぞれ説明する。
【0025】
図2(a)~(d) は、それぞれ上記柵2aの正面図、側面図、平面図及び底面図である。
【0026】
図2(a)は、上記柵2aの正面図であり、上記柵は、柵の長手方向の中心に回転軸6を有し、両側に、U字状の切り込みでできた複数の舌部7を備えている。複数の舌部7は、回転軸6を中心に左右対称に並んでいる。
【0027】
上記柵は、表面に回転軸を中心として片側に複数のばねあり突起部8a、反対側に複数のばねなし突起部9aを備えている。
上記柵の裏面は、表面と同じ形状である。
【0028】
上記ばねあり突起部8a、8bは、舌部7の先端にそれぞれあり、略半円球状の突起である。(8bは、図2(a)では裏面にあるため、図示しない。)
【0029】
上記ばねなし突起部9aと9bは、それぞれ舌部7と舌部7の間にあり、略半円球状の突起である。(9bは、図2(a)では裏面にあるため、図示しない。)
【0030】
略半円球状の突起部8a、8b、9b、9aは、同じ形状であり、同じ個数あるのが好ましい。
【0031】
ばねあり突起部8a、8bは舌部7の先端にあり、柵全体が樹脂製のため、切り込こむことによってできた舌部は抑えると低反発がある。よって突起部8a、8bはばね性を有している。
一方、突起部9b、9aは、柵の上にあるため、ばね性を有していない 。
【0032】
上記柵は樹脂製であり、樹脂のもつ「弾性」の特徴を利用している。よって、上記柵は、複数のU字状の切り込みでできた舌部を、回転軸を中心として両側に備えており、上記ばねあり突起部は、上記舌部の先端部分に1つずつあり、上記ばねなし突起部は、上記舌部と舌部の間に1つずつあることを特徴とする。
【0033】
また上記柵の回転軸6は、表側に円筒状の突起を備えており、裏側も円筒状の突起を備えている。上記円筒状の突起は、収納溝の軸受けの軸穴が凹状に対応して、上記回転軸6を中心に、柵が回転する。
【0034】
一方、上記天板の収納溝において、図3(a)は、柵を挿入している場合の、収納溝4aの平面図である。
【0035】
上記収納溝には柵を引き上げる際に指を挿入するために収納溝の長手方向の端に穴部10が設けられている。この穴部10によって、指を挿入する空間ができ、柵を容易に下へと押し込み、回転させることができる。
【0036】
収納溝の長手方向の中心には軸穴挿入部があり、その部分のみ溝の幅が天板上面で拡大されている。
上記収納溝の内部には、柵の回転軸に対応して配置された軸受けの軸穴11aと軸穴11bが備えられている。軸穴11aは、収納溝の長手方向の中心に、台車の外側の内側壁にある。軸穴11bは、納溝の長手方向の中心に、台車の内側の内側壁にある。軸穴の形状は、円筒状で、上縁部の数か所に溝が形成されている。軸穴11aと軸穴11bによって、柵の回転軸が支えられている。
【0037】
図3(a)の収納溝は、上記柵を挿入するためのものであり、上記収納内側壁に突起状に複数のリブを形成する。上記リブは、台車の外側の内側壁と、台車の内側の内側壁の両方に形成される。
【0038】
上記収納溝のリブ形状が、上記柵のばねあり突起部とばねなし突起部を樹脂の材料の弾性を利用してはめ込みまたは外すことにより、上記柵が収納溝に対してロックとロック解除の機構を形成することを特徴とする。以下説明をする。
【0039】
上記収納溝内側壁にある複数のリブは、台車の外側の内側壁に形成されたリブ14a、14bと、台車の内側の内側壁に形成されたリブ15a、15bがある。台車の外側の内側壁に形成されたリブの深さ方向の長さが内側の内側壁に形成されたリブより長いので、以下に、台車の外側の内側壁に形成されたリブを深いリブ、台車の内側の内側壁に形成されたリブを浅いリブと記載する。
【0040】
図面で分かりやすく説明するために、深いリブと浅いリブとしたが、台車の外側の内側壁に形成されたリブが浅いリブ、台車の内側の内側壁に形成されたリブを深いリブと反対になっても、問題ない。
【0041】
図3(b)は、収納溝の内部から台車外側を見た断面図である。
深いリブ14の形状は、2つのパターンがあり、交互に並ぶ。1つのパターンを14aとし、もう1つのパターンをリブ14bとする。
【0042】
図3(c)は、収納溝の内部から台車内側を見た断面図である。
浅いリブ15の形状は、2つのパターンがあり、交互に並ぶ。1つのパターンを15aとし、もう1つのパターンを深いリブ15bとする。
【0043】
図3(d)は上記収納溝のリブの側面図である。
上記深いリブ14aは、リブの深さ縦方向の略中心部に溝の内部に向かって突出部16がありその突出以深は台車の外側に向かって傾斜する形状のリブである。14aは傾斜のある深いリブである。
【0044】
上記深いリブ14bは、リブの縦方向の略中心部に溝の内部に向かって突出部17があるが傾斜をせずその突出以深は垂直である形状のリブである。14bは傾斜のない深いリブである。
【0045】
上記浅いリブ15aは、リブの深さ方向においての下端に突出部18がありその突出以深は台車の内側に向かって傾斜する形状のリブである。15aは傾斜のある浅いリブである。
【0046】
上記浅いリブ15bは、リブの深さ方向においての下端に突出部がありその突出以深は台車の内側向かって傾斜せず突出部下部に窪み19を有する形状のリブである。15bは傾斜のない浅いリブである。
【0047】
上記収納溝の中で深いリブ14aと浅いリブ15aは、対面しており、深いリブ14bと浅いリブ15bは、対面している。
【0048】
図4(a)は、図1(b)を正面から見た上記柵の収納時におけるA’― A’断面の上記柵と収納溝の側面図および、B’―B’断面の上記柵と収納溝の側面図である。
上記収納溝の穴部10から露出している上記柵の一端角12を押し込むことによって、上記柵の回転軸を中心に回転して、起立させる。Xは、時計回りで柵の回転方向である。
A’― A’断面において、上記柵の一端角12押し込むことで、下方向に柵が回転し、傾斜のある深いリブ14aの突出部16に接触していたばねあり突起部8aが、一定以上の力によってばねの弾性により突出部16を乗り越える。
B’―B’断面では、これまで傾斜のない浅いリブ15bの窪み19に接触していたばねなし突起部9bが窪み19から離れて下方向に回転する。
【0049】
図4(b)は、図1(b)を正面から見た上記柵の収納時におけるA―A断面の上記柵と収納溝の側面図および、B―B断面の上記柵と収納溝の側面図である。
上記収納溝の穴部10から露出している上記柵の一端角12を押し込むことによって、上記柵の回転軸を中心に回転して、起立させる。Xは、時計回りで柵の回転方向である。
A―A断面において、上記柵の一端角12を一定以上の力で押し込むことで、上方向に回転し、傾斜のある浅いリブ15aの突出部18に接触していたばねあり突起部8bが、一定以上の力によってばねの弾性により突出部18を乗り越える。
B―B断面では、これまで傾斜のない深いリブの溝14bの突出部17に接触していたばねなし突起部9aが突出部17から離れて上方向に回転する。
【0050】
図4(a)と図4(b)は、上記柵が上記収納溝に対してロックが解除されることを示している。
【0051】
図4(c)は、図4(a)の上記柵の収納時から180度回転して起立した後のA―A断面の上記柵と収納溝の側面図および、B―B断面の上記柵と収納溝の側面図である。
Xは、時計回りで柵の回転方向である。
A― A断面において、上方向に柵が、ばねあり突起部8aが傾斜のある深いリブ14aの傾斜に沿って回転し一定以上の力によって、ばねの弾性により突出部16を乗り越える。
B―B断面では、ばねなし突起部9bが傾斜のない浅いリブ15bの窪み19に接触して係合する。
【0052】
図4(d)は、図4(b)の上記柵の収納時から180度回転して起立した後のA’― A’断面の上記柵と収納溝の側面図および、B’―B’断面の上記柵と収納溝の側面図である。
Xは、時計回りで柵の回転方向である。
A’― A’断面において、下方向に柵が、ばねあり突起部8bが傾斜のある浅いリブ15aの傾斜に沿って回転し一定以上の力によって、ばねの弾性により突出部18を乗り越える。
B’―B’断面では、ばねなし突起部9aが傾斜のない深いリブ14bの突出部17に接触して係止する。
【0053】
図4(c)と図4(d)は、上記柵が上記収納溝に対してロックされることを示している。
【0054】
図5(a)は、図1(a)を正面から見た上記柵の起立時におけるA―A断面の上記柵と収納溝の側面図および、B―B断面の上記柵と収納溝の側面図である。
上記柵の一端角13を下に押し込むことによって、上記柵の回転軸を中心に回転し、収納溝に収納できる。
Yは、反時計回りで柵の回転方向である。
A―A断面において、上記柵の一端角13を一定以上の力で押し込むことで、下方向に回転し、傾斜のある深いリブ14aの突出部16に接触していたばねあり突起部8aが、一定以上の力によってばねの弾性により突出部16を乗り越える。
B―B断面では、これまで傾斜のない浅いリブ15bの窪み19に接触していたばねなし突起部9bが窪み19から離れて下方向に回転する。
【0055】
図5(b)は、図1(a)を正面から見た上記柵の起立時におけるA’― A’ 断面の上記柵と収納溝の側面図および、B’―B’断面の上記柵と収納溝の側面図である。
上記柵の一端角13を下に押し込むことによって、上記柵の回転軸を中心に回転し、収納溝に収納できる。
Yは、反時計回りで柵の回転方向である。
A’― A’断面において、上記柵の一端角13を一定以上の力で押し込むことで、上方向に回転し、傾斜のある浅いリブ15aの突出部18に接触していたばねあり突起部8bが、ばねの弾性により突出部18を乗り越える。
B’―B’断面では、これまで傾斜のない深いリブ14bの突出部17に接触していたばねなし突起部9aが突出部17から離れて上方向に回転する。
【0056】
図5(a)と図5(b)は、上記柵が上記収納溝に対してロックが解除されることを示している。
【0057】
図5(c)は、図5(a)の上記柵の起立時から180度回転して収納した後のA’― A’断面の上記柵と収納溝の側面図および、B’―B’断面の上記柵と収納溝の側面図である。
Yは、反時計回りで柵の回転方向である。
A’― A’断面において、上方向に柵が回転し、ばねあり突起部8aが傾斜のある深いリブ14aの傾斜に沿って回転し一定以上の力によって、ばねの弾性により突出部16を乗り越える。
B’―B’断面では、ばねなし突起部9bが傾斜のない浅いリブ15bの窪み19に接触して係合する。
【0058】
図5(d)は、図5(b)の上記柵の起立時から180度回転して収納した後のA― A断面の上記柵と収納溝の側面図および、B―B断面の上記柵と収納溝の側面図である。
Yは、反時計回りで柵の回転方向である。
A― A断面において、下方向に柵が回転し、ばねあり突起部8bが傾斜のある浅いリブ15aの突出部18を一定以上の力によって、ばねの弾性により18を乗り越える。
B―B断面では、ばねなし突起部9aが傾斜のない深いリブ14bの突出部17に接触して係止する。
【0059】
図5(c)と図5(d)は、上記柵が上記収納溝に対してロックされることを示している。
【0060】
上記のように、ばねの弾性を利用したロック機構がある。
図4(a)と図4(b)と図5(a)と図5(b)は、上記柵が上記収納溝に対してロックが解除されることを示している。
図4(c)と図4(d)と図5(c)と図5(d)は、上記柵が上記収納溝に対してロックされることを示している。
【0061】
なお、上記の回転方向については、図面を説明するため、時計回りと反時計回りとしているが、回転方向を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の運搬台車は、荷物の荷こぼれ防止のために回転可能な樹脂製柵を設けた樹脂製運搬台車として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1(a)】本発明の運搬台車において、柵を取り付けた状態を示した斜視図である。
図1(b)】本発明の運搬台車の天板において、柵を収納している状態を示した斜視図である。
図1(c)】本発明の運搬台車の天板において、柵を回転させている状態を示した斜視図である
図1(d)】本発明の運搬台車の天板において、柵を収納している状態を示した側面図である。
図2】上記柵2aの(a)正面図(b)側面図(b’)側面図(c)平面図(d)底面図である。。
図3(a)】柵を挿入している場合の、収納溝4aの平面図である。
図3(b)】収納溝の内部から台車外側を見た断面図である。
図3(c)】収納溝の内部から台車内側を見た断面図である。
図3(d)】収納溝のリブの側面図である。
図4(a)】図1(b)を正面から見た上記柵の収納時におけるA’― A’断面の上記柵と収納溝の側面図および、B’―B’断面の上記柵と収納溝の側面図である。
図4(b)】図1(b)を正面から見た上記柵の収納時におけるA―A断面の上記柵と収納溝の側面図および、B―B断面の上記柵と収納溝の側面図である。
図4(c)】図4(a)の上記柵の収納時から180度回転して起立した後のA―A断面の上記柵と収納溝の側面図および、B―B断面の上記柵と収納溝の側面図である。
図4(d)】図4(b)の上記柵の収納時から180度回転して起立した後のA’― A’断面の上記柵と収納溝の側面図および、B’―B’断面の上記柵と収納溝の側面図である。
図5(a)】図1(a)を正面から見た上記柵の起立時におけるA―A断面の上記柵と収納溝の側面図および、B―B断面の上記柵と収納溝の側面図である。
図5(b)】図1(a)を正面から見た上記柵の起立時におけるA’― A’断面の上記柵と収納溝の側面図および、B’―B’断面の上記柵と収納溝の側面図である。
図5(c)】図5(a)の上記柵の起立時から180度回転して収納した後のA’― A’断面の上記柵と収納溝の側面図および、B’―B’断面の上記柵と収納溝の側面図である。
図5(d)】図5(b)の上記柵の起立時から180度回転して収納した後のA― A断面の上記柵と収納溝の側面図および、B―B断面の上記柵と収納溝の側面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 運搬台車の天板
2a、2b 天板の長辺側の柵
3a、3b 天板の短辺側の柵
4a、4b 天板の長辺側の収納溝
5a 天板の短辺側の柵
6 柵の回転軸6
7 柵の舌部
8a、8b 柵の舌部上にあるばね性あり突起部
9a、9b 柵の舌部上にあるばね性なし突起部
10 収納溝の穴部
11 収納溝の軸受けの軸穴
12 柵の一端角
13 柵の一端角
14a 収納溝の中の傾斜のある深いリブ
14b 収納溝の中の傾斜のない深いリブ
15a 収納溝の中の傾斜のある浅いリブ
15b 収納溝の中の傾斜のない浅いリブ
16 傾斜のある深いリブ14aの突起部
17 傾斜のない深いリブ14bの突起部
18 傾斜のある浅いリブ15aの突起部
19 傾斜のない浅いリブ15bの窪み
図1(a)】
図1(b)】
図1(c)】
図1(d)】
図2
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図3(d)】
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図4(d)】
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図5(d)】