IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ Joyson Safety Systems Japan株式会社の特許一覧

特開2022-159847カーテンエアバッグ及びカーテンエアバッグ装置
<>
  • 特開-カーテンエアバッグ及びカーテンエアバッグ装置 図1
  • 特開-カーテンエアバッグ及びカーテンエアバッグ装置 図2
  • 特開-カーテンエアバッグ及びカーテンエアバッグ装置 図3
  • 特開-カーテンエアバッグ及びカーテンエアバッグ装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159847
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】カーテンエアバッグ及びカーテンエアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/232 20110101AFI20221011BHJP
   B60R 21/2338 20110101ALI20221011BHJP
【FI】
B60R21/232
B60R21/2338
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064280
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】中西 亮輔
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA02
3D054AA03
3D054AA04
3D054AA07
3D054AA16
3D054BB21
3D054CC04
3D054CC11
3D054DD14
3D054FF16
(57)【要約】
【課題】膨張展開したときにフロントテザーからカーテンエアバッグ本体に加えられる応力が分散するカーテンエアバッグ及びカーテンエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】カーテンエアバッグ本体部1aを構成するパネル2,3のうち車外側のパネル2の前部外側に外付けパネル40が配置されている。外付けパネル40の上辺部42及び下辺部45が線状結合部10によってパネル2,3と縫合されている。外付けパネル40の後部の上下方向途中が環状結合部21によりパネル2,3に縫合されている。フロントテザー50の後部が外付けパネル40の前部に縫合されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテンエアバッグ本体部と、該カーテンエアバッグ本体部の前部から前方へ延出したフロントテザーとを有するカーテンエアバッグにおいて、
該カーテンエアバッグ本体部の前部の車外側の側面に沿って外付けパネルが配置されており、
前記フロントテザーの後部が該外付けパネルに結合されていることを特徴とするカーテンエアバッグ。
【請求項2】
前記外付けパネルの上辺及び下辺がカーテンエアバッグ本体の上辺及び下辺にそれぞれ結合されていることを特徴とする請求項1のカーテンエアバッグ。
【請求項3】
前記外付けパネルの後辺の上下方向の途中部分が、カーテンエアバッグ本体に結合されていることを特徴とする請求項2のカーテンエアバッグ。
【請求項4】
前記外付けパネルの後辺の上下方向途中部分は、前記カーテンエアバッグ本体に環状結合部により結合されていることを特徴とする請求項3のカーテンエアバッグ。
【請求項5】
前記外付けパネルの前辺部は、前記カーテンエアバッグ本体の前端よりも後方に位置することを特徴とする請求項1~4のいずれかのカーテンエアバッグ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項のカーテンエアバッグと、前記カーテンエアバッグにガスを供給するインフレータとを有するカーテンエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の側面衝突や横転時等にサイドドアの窓等に沿って膨張展開するカーテンエアバッグと、このカーテンエアバッグを備えたカーテンエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車乗員頭部の拘束用のエアバッグとして、自動車の室内の天井部と側面部との交叉隅部付近に配置され、ガス導入口から導入されるガスによってサイドドアの窓等に沿って膨張するよう構成されたカーテンエアバッグがある。
【0003】
カーテンエアバッグ装置を備えた自動車にあっては、自動車が側面衝突を受けたり、横転した場合などには該カーテンエアバッグが車両室内の側面(例えばドアやピラーなど)に沿って車体下方に向って膨張し、乗員の頭部を拘束すると共に、窓が開いているときには乗員が車外に投げ出されることを防止する。
【0004】
このようなカーテンエアバッグとして、カーテンエアバッグ本体と、該カーテンエアバッグ本体の前端側とフロントピラー(Aピラー)とを結ぶフロントストラップとを有するものが特許文献1に記載されている。特許文献1では、フロントストラップの後端側がカーテンエアバッグ本体の側面部に縫合されている。
【0005】
特許文献1のカーテンエアバッグは、膨張展開したときに、カーテンエアバッグ本体を構成するパネル(基布)のうち該フロントストラップ後端側の縫合部付近に応力が集中し易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-20719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、膨張展開したときにフロントテザーからカーテンエアバッグ本体に加えられる応力が分散するカーテンエアバッグ及びカーテンエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカーテンエアバッグは、カーテンエアバッグ本体部と、該カーテンエアバッグ本体部の前部から前方へ延出したフロントテザーとを有するカーテンエアバッグにおいて、該カーテンエアバッグ本体部の前部の車外側の側面に沿って外付けパネルが配置されており、前記フロントテザーの後部が該外付けパネルに結合されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様では、前記外付けパネルの上辺及び下辺がカーテンエアバッグ本体の上辺及び下辺にそれぞれ結合されている。
【0010】
本発明の一態様では、前記外付けパネルの後辺の上下方向の途中部分が、カーテンエアバッグ本体に結合されている。
【0011】
本発明の一態様では、前記外付けパネルの後辺の上下方向途中部分は、前記カーテンエアバッグ本体に環状結合部により結合されている。
【0012】
本発明の一態様では、前記外付けパネルの前辺部は、前記カーテンエアバッグ本体の前端よりも後方に位置する。
【0013】
本発明のカーテンエアバッグ装置は、かかる本発明のカーテンエアバッグと、このカーテンエアバッグを膨張させるためのインフレータとを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のカーテンエアバッグでは、フロントテザーの後部が外付けパネルにのみ結合されており、カーテンエアバッグ本体部には直接には結合されていない。そのため、フロントテザー後部の取付位置がカーテンエアバッグ本体部の先端に限定されず、フロントテザーの長さや、カーテンエアバッグ本体部の先端位置の設計自由度が増す。また、フロントテザーをカーテンエアバッグ本体部の先端に結合する場合よりもテザー長を長くすることができ、テザー取付部に生じる負荷を低減できる。
【0015】
本発明の一態様では、外付けパネルの上辺及び下辺に沿う部分がカーテンエアバッグ本体部に結合されている。そのため、フロントテザーから外付けパネルに対し加えられた前方への引張荷重がカーテンエアバッグ本体部の広い範囲に分散される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態に係るカーテンエアバッグの膨張前の車外側からの側面図である。
図2】実施の形態に係るカーテンエアバッグの膨張前の室内側からの側面図である。
図3】カーテンエアバッグが膨張した状態における図1のIII-III線断面図である。
図4】カーテンエアバッグが膨張した状態における図1のIV-IV線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0018】
図1の通り、カーテンエアバッグ1の本体部1aの上辺の長手方向の中央部に、上方かつ斜め後方に延出する短い筒状のガス導入部1bが設けられ、このガス導入部1bの先端がガス導入口1cとなっている。インフレータ9の先端はこのガス導入口1cに差し込まれ、バンド(図示略)により結束される。インフレータは、取付部材(図示略)により自動車の車体のルーフサイド部に固定されている。
【0019】
このカーテンエアバッグ1は、ほぼ同一形状の2枚のパネル(基布)2,3(図3,4)を重ね合わせ、これらパネル2,3同士を線状結合部10~13及び環状結合部21~24によって結合することにより、膨張部(チャンバ)31及び非膨張部30を形成したものである。なお、図示は省略するが、ガス導入部1b付近では複数枚のパッチクロス(基布)が縫着されている。
【0020】
各パネル2,3は、それぞれ、全体として一連一体のものであってもよく、本体部1aとガス導入部とを別体としたものであってもよい。
【0021】
また、パネル2,3を縫合する代りに、カーテンエアバッグをジャガード織り機等で筒状に織製するワンピース織(one piece woven)により形成してもよい。
【0022】
カーテンエアバッグはシリコンシールを有してもよく、有していなくてもよい。
【0023】
各線状結合部10~13及び各環状結合部21~24は、パネル2,3同士を気密に結合し、かつカーテンエアバッグ1の内圧が設計上限圧力にまで上昇してもパネル2,3同士が離反しないような強固な結合手段(例えば、強度の高い縫糸による縫合や、接着力の高い接着剤による接着、或いは溶着。)により形成されている。
【0024】
線状結合部10はカーテンエアバッグ1を周回していると共に、その一部10a,10bは、ガス導入部1bの前縁と後縁に沿って延在している。
【0025】
環状結合部21~24は、カーテンエアバッグ本体部1aの前後方向に間隔をおいて配置されている。環状結合部21は、パネル2,3の前端2fよりも所定距離後方に位置している。
【0026】
線状結合部11は、環状結合部21から下方かつ前方に延在して下縁部の線状結合部10に連なっている。線状結合部12は環状結合部22,24を結ぶように延在している。線状結合部13は線状結合部12から下側に略U字形に延在している。線状結合部13の前部上端及び後部上端はそれぞれ線状結合部12に連なっている。
【0027】
線状結合部12,13で囲まれる領域が非膨張部30となっている。線状結合部10の内側領域で非膨張部30以外の領域が膨張部31である。
【0028】
この実施の形態では、カーテンエアバッグ1の前部の車外側に外付けパネル40が配置されている。外付けパネル40は、前辺41、上辺42、後辺上部43、後辺下部44、及び下辺45を有した略五角形である。
【0029】
上辺42及び下辺45はカーテンエアバッグ1のパネル2,3の上辺及び下辺とそれぞれ合致するように位置している。前辺41は、上下方向に延在しており、パネル2,3の前端2fよりも所定距離後方に位置している。この実施の形態では、前辺41の下端は、パネル2,3の前辺と下辺との交点付近に位置している。
【0030】
外付けパネル40の後辺上部43と後辺下部44との交わり部分46は、環状結合部21の後方に位置している。上辺42及び下辺45の後端は、環状結合部21よりも前方に位置している。
【0031】
外付けパネル40の上辺42及び下辺45に沿う部分が線状結合部10によってパネル2,3に縫合(共縫い)されている。また、外付けパネル40の交わり部分46近傍が環状結合部21によってパネル2,3に縫合(共縫い)されている。外付けパネル40のその他の箇所はパネル2,3に結合されていない。
【0032】
外付けパネル40の前部の上下方向中間付近に、フロントテザー50の後端部51が結合部60によって縫合され、取り付けられている。フロントテザー50は前後方向に延在し、前端はパネル2,3の前辺2fよりも前方に位置している。フロントテザー50の長さは200mm以上が好適である。
【0033】
カーテンエアバッグ1の本体部1aは、車体の前後方向に延在するようにロール折り等により細長く折り畳まれ、結束具(図示略)で結束され、保形される。この結束具は、カーテンエアバッグ1が膨張するときには断裂するか又は結束を解く強度を有している。結束具は、折畳体の長手方向に間隔をおいて複数個所に配置されている。このカーテンエアバッグ1が自動車の天井部と側面部との交差部付近に沿って配置され、フロントテザー50の前端部52がフロントピラー(Aピラー)に取り付けられる。
【0034】
このように構成されたカーテンエアバッグ装置を備えた車両が側突又は横転した場合、インフレータがガス噴出作動し、ガスがカーテンエアバッグ1に供給され、カーテンエアバッグ1が膨張を開始し、ルーフサイドガーニッシュの下縁が車室内方へ開き出し、カーテンエアバッグ1がBピラーガーニッシュやサイドドアガラスに沿って下方に膨張展開する。
【0035】
本実施の形態では、フロントテザー50の後部が外付けパネル40にのみ縫合されており、パネル2,3には直接には結合されていない。そのため、カーテンエアバッグ1の膨張展開時にフロントテザー50がパネル2,3に対し局部的に大きな応力を生じさせることがない。
【0036】
この実施の形態では、外付けパネル40の上辺42及び下辺45に沿う部分が線状結合部10によってパネル2,3に結合されている。また、フロントテザー50の後方に環状結合部21が存在し、この環状結合部21によって外付けパネル40がパネル2,3に連結されている。そのため、フロントテザー50から外付けパネル40に対し加えられた前方への引張荷重がカーテンエアバッグ本体部1aの広い範囲に分散される。
【0037】
なお、ロール折り畳みのカーテンエアバッグが展開するためには、フロントテザー長(以下、テザーと略)は一定以上確保する必要がある。カーテンエアバッグ先端にテザーを締結する従来構造の場合、テザー長を短くし過ぎるとフロントテザーに大きな応力が生じていた。そのため、従来構造ではカーテンエアバッグの膨張体の先端位置がテザー長に規定されていた。
【0038】
これに対し、本実施の形態では、カーテンエアバッグ膨張体の先端位置がテザー長に規制されることがなくなり、カーテンエアバッグ膨張体をより車両前側まで設定することが可能となり、スモールオーバーラップに対応し易くなる。
【0039】
また、本実施の形態によると、テザーとカーテンエアバッグ本体との結合位置の配置自由度が大きくなる。そのため、テザー長を従来よりも長くでき、これにより、展開時にテザーに掛かる負荷が低減される。
【0040】
また、本実施の形態では、フロントテザー50と外付けパネル40との結合部がカーテンエアバッグ膨張部側面の車両外側である。これにより、展開時のカーテンエアバッグ展開位置が従来よりも車両内側となる。そのため、衝突(Oblique Impact)時に、より早く乗員を拘束できるようになる。
【0041】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記以外の態様とされてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 カーテンエアバッグ
1a カーテンエアバッグ本体部
1b ガス導入部
10~13 線状結合部
21~24 環状結合部
30 非膨張部
31 膨張部(チャンバ)
40 外付けパネル
50 フロントテザー
図1
図2
図3
図4