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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159853
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】容器処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/24 20060101AFI20221011BHJP
【FI】
B65B55/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064288
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000116699
【氏名又は名称】株式会社アイホー
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 富和
(57)【要約】
【課題】容器を処理室内での処理に適した姿勢で搬送することと、処理室から排出する容器の姿勢を適正に制御することと、を両立可能な容器処理装置の提供。
【解決手段】容器処理装置1は、処理後の容器30を処理室11から排出する排出口22と、容器30を、処理室11内部から排出口22に向かう所定の搬送経路に対して上下に起立し且つ搬送経路に対して側方に傾いた姿勢に保持しながら、搬送経路に沿って移動させる搬送装置2と、搬送装置2によって排出口22から押し出される途中の容器30を搬送装置2との間に挟んだ状態にて受け止め可能な位置に配置され、排出口22から押し出された容器30を搬送経路に対する容器30の傾きが直交に近づくように案内する、第1案内部70と、排出口22から押し出された容器30の下部を所定の排出向きに案内する第2案内部80と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に所定の処理を施す処理室を有する容器処理装置であって、
処理後の前記容器を前記処理室から排出するための排出口と、
前記容器を、前記処理室の内部から前記排出口に向かう所定の搬送経路に対して上下に起立し且つ前記搬送経路に対して側方に傾いた姿勢に保持しながら、前記搬送経路に沿って移動させる搬送装置と、
前記搬送装置によって前記排出口から押し出される途中の前記容器を前記搬送装置との間に挟んだ状態にて受け止め可能な位置に配置され、前記排出口から押し出された前記容器を前記搬送経路に対する前記容器の傾きが直交に近づくように案内する、第1案内部と、
前記排出口から押し出された前記容器の下部を所定の排出向きに案内する第2案内部と、を備える、
容器処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の容器処理装置であって、
前記排出口の開口縁から前記第1案内部に向けて延び且つ前記排出口から押し出された前記容器が一つずつ通過可能な隙間を前記第1案内部との間にあける位置に配置され、前記容器を前記第1案内部に向けて案内する、第3案内部を、更に備える、
容器処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の何れか一項に記載の容器処理装置において、
前記第2案内部は、
前記容器の前記下部に接触しながら回転して前記排出向きに前記容器を案内するローラを有する、
容器処理装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の容器処理装置であって、
前記排出口の開口縁から前記第2案内部に向けて延び、前記容器の前記下部を前記第2案内部に向けて案内する第4案内部を、更に備える、
容器処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に処理を施す処理室を有する容器処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、皿やトレイ等の食器類やホテルパン等の調理器具(以下「容器」と総称する。)を搬送しながら洗浄等の処理を施す容器処理装置が提案されている。例えば、従来の容器処理装置の一つは、搬送方向に延びるコンベヤ上に調理等に使用した後のトレイを並べるように配置し、コンベヤと共にトレイを連続的に搬送しながらトレイに洗浄処理等を施すようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭55-137979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の容器処理装置では、トレイは、コンベヤが有する複数の係止突起に挟まれるように保持され、その開口面を上方に向けた状態で搬送される。トレイが搬送終了位置(即ち、処理後のトレイを装置外部の回収用容器等に向けて排出する位置)に到達すると、容器処理装置の筐体に固定され且つコンベヤの搬送面に沿って延びるシャフトにトレイが干渉することで、トレイが係止突起から分離する。そして、トレイは、その開口面を上方に向けた状態で、コンベヤから回収用容器等に向けて滑り落ちる。このように、従来の容器処理装置では、トレイをその開口面を上方に向けた状態で回収用容器等に収めるべく、あらかじめ、トレイをその開口面を上方に向けた状態でコンベヤの係止突起に係止させるようになっている。
【0005】
このように、上述した従来の容器処理装置では、排出時のトレイの姿勢を整えることを前提に、搬送中のトレイの姿勢が定められているが、トレイの開口面を上方に向けているため、洗浄水が開口面の内部に溜まってしまう等の不都合が生じる場合もあった。そのため、例えば、容器処理装置の本来の目的である処理室内での処理(例えば、洗浄等)の性能を高めるべく、搬送中のトレイの姿勢を処理に更に適した姿勢に変更すると、係止突起から分離した後のトレイの姿勢が不安定になり、回収容器等にトレイを適正に収めることが困難になる可能性がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、容器を処理室内での処理に適した姿勢で搬送することと、処理室から排出する容器の姿勢を適正に制御することと、を両立可能な容器処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る容器処理装置は、下記[1]~[4]を特徴としている。
[1]
容器に所定の処理を施す処理室を有する容器処理装置であって、
処理後の前記容器を前記処理室から排出するための排出口と、
前記容器を、前記処理室の内部から前記排出口に向かう所定の搬送経路に対して上下に起立し且つ前記搬送経路に対して側方に傾いた姿勢に保持しながら、前記搬送経路に沿って移動させる搬送装置と、
前記搬送装置によって前記排出口から押し出される途中の前記容器を前記搬送装置との間に挟んだ状態にて受け止め可能な位置に配置され、前記排出口から押し出された前記容器を前記搬送経路に対する前記容器の傾きが直交に近づくように案内する、第1案内部と、
前記排出口から押し出された前記容器の下部を所定の排出向きに案内する第2案内部と、を備える、
容器処理装置であること。
[2]
上記[1]に記載の容器処理装置であって、
前記排出口の開口縁から前記第1案内部に向けて延び且つ前記排出口から押し出された前記容器が一つずつ通過可能な隙間を前記第1案内部との間にあける位置に配置され、前記容器を前記第1案内部に向けて案内する、第3案内部を、更に備える、
容器処理装置であること。
[3]
上記[1]又は上記[2]の何れか一つに記載の容器処理装置において、
前記第2案内部は、
前記容器の前記下部に接触しながら回転して前記排出向きに前記容器を案内するローラを有する、
容器処理装置であること。
[4]
上記[1]~上記[3]の何れか一つに記載の容器処理装置であって、
前記排出口の開口縁から前記第2案内部に向けて延び、前記容器の前記下部を前記第2案内部に向けて案内する第4案内部を、更に備える、
容器処理装置であること。
【0008】
上記[1]の構成の容器処理装置によれば、容器は、搬送経路に対して上下に起立し且つ搬送経路に対して側方に傾いた姿勢にて保持されながら、搬送経路に沿って搬送される。例えば、処理室内での処理として、このように搬送される容器に対し搬送経路の側方から容器に向けて洗浄水を噴射する洗浄処理を行えば、容器が起立した状態にあるため、容器に洗浄水を行き渡らせて容器の汚れを洗い落としながら、洗浄後の洗浄水を容器上に留めずに速やかに容器の下方に流出させられる。更に、複数の容器を上記のように保持して規則的に高密度で搬送すれば、容器処理装置を小型化できる。処理後の容器が排出口から排出されるとき、容器は、搬送装置と第1案内部とに挟まれた状態で搬送装置によって徐々に排出口の外に押し出され、第1案内部の案内効果によって搬送経路に対する傾きが直交に近づくように姿勢変更がなされる。加えて、容器の下部を案内する第2案内部の案内効果により、所定の排出向きに(例えば、装置の外部の回収用容器等に向けて)容器が案内される。このように、搬送装置、第1案内部および第2案内部の協働により、容器の姿勢が処理室内での処理に適した姿勢から排出に適した姿勢に変更されながら、排出口から容器が排出されることになる。したがって、本構成の容器処理装置によれば、容器を処理室内での処理に適した姿勢で搬送することと、処理室から排出する容器の姿勢を適正に制御することと、を両立することが可能となる。
【0009】
上記[2]の構成の容器処置装置によれば、排出口から排出された容器が、第1案内部と第3案内部との間の隙間を通過して、第1案内部に向けて案内される。そのため、複数の容器を処理室内で連続して処理して排出する場合であっても、複数の容器が排出口から第1案内部にひとまとめになだれ込むことが抑制され、容器が一つ一つ整然と第1案内部に案内されることになる。よって、本構成の容器処理装置は、複数の容器が乱雑に第1案内部に入り込む場合に比べ、第1案内部による案内効果(上述した姿勢制御)を適正に発揮することができる。
【0010】
上記[3]の構成の容器処置装置によれば、容器の下部を案内する第2案内部が、容器の下部に接触しながら回転して容器を排出向きに案内するローラを有する。これにより、排出口からの容器の排出を更に円滑に行うことができる。
【0011】
上記[4]の構成の容器処置装置によれば、第4案内部が、容器の下部を第2案内部に向けて案内する。これにより、搬送装置による容器の押し出しの度合いや第1案内部による容器の姿勢制御の度合いに多少のバラツキが生じても、容器の下部をより確実に第2案内部に導くことができ、第2案内部による容器の案内効果をより適正に発揮することができる。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明によれば、容器を処理室内での処理に適した姿勢で搬送することと、処理室から排出する容器の姿勢を適正に制御することと、を両立可能な容器処理装置を提供できる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態に係る容器処理装置の構造の概要を示す側面図である。
図2図2は、容器を保持した状態の搬送装置を示し、図2(a)は、搬送装置全体の側面図であり、図2(b)は、搬送装置の一部を示す上面図である。
図3図3は、搬送装置によって保持された容器を拡大して示す斜視図である。
図4図4は、容器処理装置の排出口の周囲に設けられた出口シュートを示す斜視図である。
図5図5(a)~図5(c)は、排出口から押し出される容器が、出口シュートによって姿勢を制御されながら排出される様子を、時系列に示した平面図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、排出口から押し出される容器が、出口シュートによって姿勢を制御されながら排出される様子を、時系列に示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る容器処理装置1について説明する。図1に示す容器処理装置1は、搬送装置2(図1図3参照)と、洗浄装置3(図1参照)と、出口シュート4(図4等参照)と、を備える。容器処理装置1は、容器処理装置1の筐体10に設けた投入口21(図1参照)から投入した複数の容器30を、搬送装置2によって連続的に搬送しながら洗浄装置3によって洗浄し、洗浄された容器30を筐体10に設けた排出口22から押し出し、押し出された容器30を、出口シュート4によって姿勢を制御しながら排出するように構成されている。排出された容器30は、出口シュート4の下方に載置された回収用容器5に向けて滑り落ちて、回収用容器5に回収される。容器処理装置1によって洗浄される容器30として、皿やトレイ等の食器類やホテルパン等の調理器具が想定され得る。容器処理装置1は容器30に主として洗浄処理を施す装置であるため、以下では、容器処理装置1を「洗浄機1」と記載する。
【0016】
本例での容器30は、図3に示すホテルパンである。具体的には、容器30は、図3に示すように、長手方向を有する略矩形平板状の底板31と、略矩形枠状の側板32と、側板32の突出端の周縁から全周に亘って外側に広がる鍔部33と、を有する略直方体状の金属製の薄底容器である。側板32の突出端の周縁は、容器30の「開口」を画成している。側板32には、鍔部33の延出端の周縁から全周に亘って底板31側に折り返された返し部34が設けられている。
【0017】
以下、容器30における底板31、側板32、鍔部33及び返し部34のおもて面を、総称して容器30の「開口面」と呼び、容器30における底板31、側板32、鍔部33及び返し部34の裏面を、総称して容器30の「背面」と呼ぶことがある。
【0018】
以下、説明の便宜上、図1図6に示すように、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。前後方向は、搬送装置2による容器30の搬送方向(搬送経路の方向)と一致しており、前側は、搬送経路の下流側に対応しており、後側は、搬送経路の上流側に対応している。
【0019】
<洗浄機1の全体構成>
まず、洗浄機1の全体構成について説明する。図1に示すように、洗浄機1は、全体として、前後方向に長い略直方体状の筐体10を有する。筐体10の内部空間は、搬送装置2によって搬送される容器30を洗浄装置3によって洗浄するための処理室11として機能する。
【0020】
筐体10の後端部近傍の左側壁(左方を向いた平板状の壁)には、容器30を投入するための投入口21(図1参照)が設けられている。筐体10の前端壁(前方を向いた平板状の壁)には、洗浄された容器30を排出するための排出口22(図1及び図4参照)が設けられている。排出口22は、本例では、図4に示すように、上下方向に長い矩形状を有し且つ前後方向に貫通する孔である。
【0021】
洗浄機1の筐体10全体の壁面には、断熱材が挟み込まれている。これにより、筐体10の表面全体の温度が、手で触れても熱くない程度の温度とされている。
【0022】
<搬送装置2の構成>
次いで、洗浄機1が有する搬送装置2について説明する。図1図3に示すように、搬送装置2は、容器30を保持するための保持具50と、保持具50を搬送経路に沿って移動させる移動機構40と、で構成されている。まず、移動機構40について説明する。
【0023】
図1及び図2に示すように、筐体10の処理室11の前端部近傍の下部には、左右方向に延びる駆動軸41が回転可能に支持されている。駆動軸41には、左右方向に間隔を空けて並ぶ左右一対の駆動ギヤ42が一体に設けられている。同様に、筐体10の処理室11の後端部近傍の下部には、左右方向に延びる従動軸43が回転可能に支持されている。従動軸43には、左右方向に間隔を空けて並ぶ左右一対の従動ギヤ44が一体に設けられている。左右一対の駆動ギヤ42と左右一対の従動ギヤ44にはそれぞれ、左右一対の搬送チェーン45が、左右方向に間隔を空けて前後方向に延びるように掛け回されている。左右一対の搬送チェーン45には、搬送チェーン45の延在方向に所定の間隔を空けて並ぶように、複数の保持具50が固定されている。
【0024】
駆動軸41及び駆動ギヤ42の下方には、モータ46が設けられている。モータ46の回転軸にはモータギヤ47が一体に設けられている。モータギヤ47と駆動ギヤ42には、駆動チェーン48が、ほぼ上下方向に延びるように掛け回されている。このように、移動機構40は、駆動軸41、従動軸43、搬送チェーン45、モータ46及び駆動チェーン48によって構成されている。
【0025】
移動機構40において、モータ46の回転軸が左方からみて時計回りに一定の回転速度で回転駆動されると、その駆動トルクが、駆動チェーン48、駆動ギヤ42(駆動軸41)、搬送チェーン45、従動ギヤ44(従動軸43)に順に伝達される。この結果、搬送チェーン45が左方からみて時計回りに一定の回転速度で回転駆動されることで、保持具50(即ち、容器30)を、投入口21近傍から排出口22近傍までに亘って前後方向に沿って一定速度で前方へ搬送する搬送経路が構成される。
【0026】
移動機構40の従動軸43(即ち、搬送経路の後端部)は、上述したように、筐体10の処理室11の後端部近傍に配置される。このため、処理室11の後端部近傍では、搬送チェーン45に固定された複数(例えば6個)の保持具50が、所定の間隔を空けて並んで搬送されるようになっている。投入口21は、これら複数の保持具50に対して開口するようになっている。
【0027】
次いで、保持具50について説明する。保持具50は、図2及び図3に示すように、容器30の長手方向が上下方向に沿う向きで容器30が上下に起立し、且つ、容器30の開口が前方から左側に向けて角度θ(<90度、図2(b)参照)だけ傾いた向きで容器30の右端部が容器30の左端部より前方に位置する姿勢で、容器30を保持する機能を果たす。換言すると、容器30は、上下軸に沿って立ち上がり且つ上下軸周りに左側に向けて角度θだけ傾いた状態で、保持される。角度θは、45度以上(本例では、60度)であることが好適である。
【0028】
具体的には、保持具50は、1枚の金属板に対してプレス加工及び曲げ加工等を施すことで形成されており、図2及び図3に示すように、帯状に延びる矩形平板状の連結部51と、連結部51の一端部に設けられた第1保持部52と、連結部51の他端部に設けられた第2保持部53と、を備える。第1保持部52は、容器30の下方右端部を保持する機能を果たし、第2保持部53は、容器30の下方左端部を保持する機能を果たす。連結部51は、図2及び図3に示すように、第1保持部52及び第2保持部53がそれぞれ右側及び左側に位置し且つ連結部51が左右方向に延びて左右一対の搬送チェーン45を跨ぐように、右側の搬送チェーン45に連結部51の一端部が固定され且つ左側の搬送チェーン45に連結部51の他端部が固定される。
【0029】
上記構成を有する複数の保持具50は、移動機構40の搬送チェーン45の延在方向(即ち、前後方向)に所定の間隔を空けて並ぶように、搬送チェーン45に固定される(図2及び図3参照)。容器30は、容器30の長手方向が上下方向に沿う向きで上下に起立し且つ容器30の開口が前方から左側に向けて傾斜した状態で、下方右端部が、一の保持具50の第1保持部52に上方から挿入されて保持され(図3参照)、下方左端部が、例えば、一の保持具50から後方に向けて2番目に位置する保持具50の第2保持部53に上方から挿入されて保持される(図3参照)。これにより、容器30は、上下に起立し、且つ、容器30の開口が前方から左側に向けて角度θ(<90度、図2(b)参照)だけ傾いた向きで容器30の右端部が容器30の左端部より前方に位置する姿勢で、保持される。
【0030】
上記のように保持具50によって保持された容器30は、自身の重心位置に起因して容器30の背面側に傾く場合がある。仮にこのように容器30が傾いた場合であっても、図1及び図3に示すように、搬送ガイド板49が容器30の背面を支持することで、容器30を上述したように上下に起立した本来の姿勢に維持することができる。搬送ガイド板49は、投入口21の近傍から排出口22の近傍までに亘って、右側の搬送チェーン45の上方にて前後方向に延びるように配置されている。
【0031】
図2(b)に示すように、複数の容器30は、それぞれが前後において傾き且つ上下において立ち上がった姿勢で、搬送チェーン45上に所定の間隔(即ち、隣接する保持具50間のピッチ)を空けて前後方向に並ぶように、複数の保持具50を利用して保持される。この結果、前後方向に隣接する容器30同士は、互いの一部が前後方向に重なるように配置される。これにより、複数の容器30をより高密度で保持かつ搬送しながら、搬送方向に直交する左右方向および搬送方向(前後方向)の双方において搬送装置2を小型化できる。
【0032】
<搬送装置2の作用・効果>
搬送装置2によれば、容器30を保持する保持具50が、容器30を搬送経路に対して上下に起立した姿勢にて保持するとともに、容器30の側方右端部と容器30の側方左端部とが搬送経路の前後において異なる位置にあるように保持するようになっている。換言すると、容器30は、上下軸に沿って立ち上がり且つ上下軸周りに側方に向けて傾いた状態で、搬送経路に沿って搬送される。これにより、上述した従来の搬送装置に比べ、容器30をより高密度で保持かつ搬送しながら、搬送方向に直交する左右方向および搬送方向(前後方向)の双方において搬送装置2を小型化できる。搬送装置2を後述する洗浄装置3に適用することで、容器30が高密度に配置されていても、容器30の上下方向や側方から洗浄水等を容器30に噴き付けて、容器30の開口面および背面を含む全面を適正に洗浄することができる。このように、搬送装置2は、多数の容器30の適正な搬送可能であり且つ小型化が可能である。
【0033】
更に、搬送装置2によれば、容器30の下方右端部を保持する第1保持部52と、容器30の下方左端部を下方右端部よりも搬送経路の後方にて保持する第2保持部53と、によって容器30が保持される。これにより、保持具50の上方から容器30を載せることで、容器30を保持具50に保持させることができる。よって、移動機構40によって移動している保持具50に容器30を保持させる作業が容易になり、搬送装置2の実際の使用時の作業効率を向上できる。更に、容器30の重量を容器30の下方で支えることで、搬送時における容器30の姿勢を安定させることができる。
【0034】
更に、搬送装置2によれば、保持具50は、搬送経路の前方から側方に向けて45度以上傾いた向きに容器30が開口する姿勢にて容器30を保持する。換言すると、上下軸周りに容器30の開口面が側方に向けて45度以上の角度で傾いた姿勢で、容器30が保持される。即ち、搬送方向から見た容器30の大きさが、搬送方向に直交する左右方向から見た容器30の大きさよりも小さくなるように、容器30が保持される。これにより、左右方向における搬送装置2の大きさを更に小型化できる。更に、適度な傾きで容器30を保持させることができるため、移動機構40によって移動している保持具50に、容器30の側方右端部と側方左端部とを順次保持させる作業が更に容易になる。
【0035】
更に、搬送装置2によれば、保持具50が第1保持部52と第2保持部53とが連結部51で一体化された構造を有し、搬送経路に沿って並べられた複数の保持具50のうちの一の保持具50で容器30の下方右端部を保持し且つ他の保持具50で容器30の下方左端部を保持する。これにより、保持具50自体は搬送方向に直交するように並べられながら、容器30を搬送経路の前後において傾いた状態で保持できる。よって、搬送装置2の構造が過度に複雑化することを避けながら容器30の適正な保持を実現できる。更に、保持具50の交換等のメンテナンス性も向上することができる。
【0036】
容器30の下方左端部及び下方右端部がそれぞれ、第1保持部52及び第2保持部53に保持されると、作業者は容器30から手を離す。このとき、容器30は自重により背面側に重心移動して傾く場合があるが、仮にそのように傾いたとしても、搬送ガイド板49(図1及び図3参照)によって容器30の背面が支持され、上下に起立した本来の姿勢に容器30を維持することができる。
【0037】
容器30の開口面が搬送方向に対し45度以上の角度で側方に向いているので、容器30の左右方向の長さが前後方向の長さより短くなり、省スペースで容器30を搬送することができる。更に、容器30の下方左右端部をそれぞれ保持することで、容器30の開口面を立て、かつ左側方に向けた不安定な状態の容器30を、確実に保持し安定して搬送することができる。
【0038】
更に、上述したように、処理室11の後端部近傍に複数の保持具50が搬送され且つ投入口21がそれら複数の保持具50に対して開口しているので、作業者は、一度に複数の容器30を保持具50に保持させることができる。よって、作業者は、容器30の投入作業を効率よく行うことができる。更に、一度に投入した複数の容器30の全てが処理室11内にて搬送されていく期間中、作業者は、別の作業をすることができる。よって、作業者は、容器30の投入作業および別の作業を含む複数の作業を効率よく行うことができる。
【0039】
<搬送装置2の他の形態>
容器30を保持するための保持具50の具体的な構造は、特に限定されない。例えば、搬送装置2では、搬送経路に沿って並べられた複数の保持具50のうちの一の保持具50の第1保持部52に容器30の下方右端部が保持され、且つ、他の保持具50の第2保持部53に容器30の下方左端部が保持されている。これに対し、容器30の下方右端部及び下方左端部が、搬送経路に沿って並べられた複数の保持具50のうちの1つの(同じ)保持具50の第1保持部52及び第2保持部53に保持されてもよい。
【0040】
更に、搬送装置2では、左右一対の搬送チェーン45を跨ぐように左右一対の搬送チェーン45に複数の保持具50が固定されている。これに対し、単一の搬送チェーン45に複数の保持具50が固定されていてもよい。
【0041】
更に、搬送装置2では、保持具50の第1保持部52と第2保持部53とが連結部51によって連結されている。これに対し、連結部51が省略されて、保持具50の第1保持部52と第2保持部53とが独立していてもよい。
【0042】
<洗浄装置3の構成>
次いで、洗浄機1が有する洗浄装置3について説明する。図1に示すように、洗浄装置3は、洗浄水供給系統を構成する、洗浄タンク61と、ポンプ62と、複数本の洗浄パイプ63と、を備える。洗浄水供給系統は、筐体10の処理室11内にて、洗浄水を、搬送装置2によって搬送される容器30に向けて噴射するための系統である。洗浄水は、水と洗剤とを混合させて製造される。洗剤としては、高温高濃度に対応可能であり且つ低発泡タイプのものが好適である。
【0043】
洗浄タンク61は、図1に示すように、本例では、処理室11の前後方向中央部の下部に設けられている。処理室11内にて容器30の洗浄に使用された洗浄水は、タンクストレーナのメッシュ等(図示省略)を介して洗浄タンク61に回収されるようになっている。
【0044】
洗浄タンク61に貯留されている洗浄水は、蒸気式ヒータ(図示省略)によって加熱されて、所定の温度(例えば、60℃以上の高温)に維持されるようになっている。なお、洗浄水の加熱は、電気式ヒータによって行われてもよいし、洗浄機1の内部又は外部に設けられる給湯器によって行われてもよい。
【0045】
洗浄タンク61は、図1に示すように、配管64を介してポンプ62の吸入側に接続されている。ポンプ62の吐出側は、配管65を介して、複数の洗浄パイプ63に接続されている。よって、ポンプ62は、洗浄タンク61に貯留されている高温の洗浄水を吸入し、複数の洗浄パイプ63に向けて所定の吐出圧で吐出するようになっている。
【0046】
複数の洗浄パイプ63は、処理室11内の前後方向中央部(洗浄タンク61の上方)において、左側の搬送チェーン45よりも左側の位置であり且つ搬送装置2によって搬送される容器30の左側の位置にて、前後方向に間隔を空けて上下方向に延びるように設けられている。
【0047】
各洗浄パイプ63は、上下方向に延び且つ上端が開口し下端が閉塞された円筒状のパイプである。各洗浄パイプ63の上端は、配管65に接続されている。各洗浄パイプ63には、上下方向の複数箇所にて、右向きに開口する第1洗浄水噴射ノズル(図示省略)と、右斜め前向きに開口する第2洗浄水噴射ノズル(図示省略)と、が設けられている。なお、各洗浄パイプ63の周方向の向き(即ち、第1、第2洗浄水噴射ノズルの向き)は、所定の調整機構(図示省略)によって調整可能となっている。
【0048】
ポンプ62から圧送された洗浄水は、各洗浄パイプ63に流入し、搬送装置2によって搬送されている容器30の左側方に位置する第1、第2洗浄水噴射ノズルから、容器30の開口面に向けて、噴射される。このとき、第1洗浄水噴射ノズルからは、洗浄水が容器30の開口面の手前側の部分(前側に隣接する容器30と重なっていない部分)に向けて、右方に向かうように噴射される。一方、第2洗浄水噴射ノズルからは、洗浄水が容器30の開口面の奥側の部分(前側に隣接する容器30と重なる部分)に向けて、右斜め前方に向かうように噴射される。
【0049】
容器30の洗浄が終了すると、ポンプ62が停止し、洗浄水の圧送が停止される。各洗浄パイプ63に残存した洗浄水は、第1、第2洗浄水噴射ノズルからそれぞれ排出される。配管65等の内部に残存した洗浄水は、ポンプ62を通じて洗浄タンク61に排出される。
【0050】
以上に説明したように、洗浄装置3が備える洗浄水供給系統は、洗浄タンク61、ポンプ62、及び、洗浄パイプ63によって構成されている。なお、洗浄装置3は、洗浄水供給系統に加えて、蒸気(水蒸気)を、処理室11内にて、搬送装置2によって搬送される容器30に向けて噴射するための系統、並びに、仕上げ洗浄用にて使用される水(温水)を、処理室11内にて、搬送装置2によって搬送される容器30に向けて噴射するための系統などを備えていてもよい。
【0051】
<洗浄装置3の作動>
次いで、上記のように構成される洗浄装置3の作動について説明する。洗浄装置3の作動中に亘って、ポンプ62などの電装品の作動状態が、図示しない制御装置によって自動的に、又は、作業者による手作業で、適宜調整される。
【0052】
洗浄機1の投入口21(図1参照)の近傍にいる作業者は、処理室11内にて搬送装置2の作動により搬送経路に沿って前方に移動している複数の保持具50に、順次、容器30を保持させていく。
【0053】
これにより、複数の容器30は、それぞれが、上下に起立し、且つ、容器30の開口が前方から左側に向けて角度θ(<90度、図2(b)参照)だけ傾いた向きで容器30の右端部が容器30の左端部より前方に位置する姿勢で、所定の間隔を空けて前後方向に並ぶように、複数の保持具50を利用して保持される。この結果、前後方向に隣接する容器30同士は、互いの一部が前後方向に重なるように配置される(図2(a)参照)。
【0054】
このように配置された複数の容器30は、搬送装置2によって、処理室11内にて前方へと移動していく。複数の洗浄パイプ63の右側方領域に進入した複数の容器30は、その後、当該右側方領域を通過する間に亘って、洗浄装置3によって洗浄される。
【0055】
具体的には、高温(例えば、60℃以上)の洗浄水が、複数の容器30の左側方に位置する第1、第2洗浄水噴射ノズルから、容器30の開口面に向けて噴射される。第1洗浄水噴射ノズルからは、洗浄水が容器30の開口面の手前側の部分(前側に隣接する容器30と重なっていない部分)に向けて噴射される。一方、第2洗浄水噴射ノズルからは、洗浄水が容器30の開口面の奥側の部分(前側に隣接する容器30と重なる部分)に向けて噴射される。更に、容器30の移動により、被噴射位置が容器30の奥から手前に向けて順に移動することになる。これらにより、洗浄水が容器30の開口面の全域に行き渡る。
【0056】
更に、第1、第2洗浄水噴射ノズルから噴射された洗浄水は、容器30の開口面で反射して、前側に隣接する容器30の背面の全域にも行き渡る。この結果、洗浄水が、各容器30の開口面及び背面を含む全面に行き渡り、各容器30に付着している汚れが容器30の全面に渡って洗浄され得る。容器30の洗浄に使用された洗浄水は、洗浄タンク61に回収され、第1、第2洗浄水噴射ノズルからの噴射に再び供される。洗浄装置3によって洗浄された容器30は、搬送装置2によって排出口22に向けて前方へ移動していき、排出口22から筐体10の外部へと排出される。
【0057】
<洗浄装置3の作用・効果>
【0058】
本実施形態に係る洗浄装置3によれば、容器30は、搬送経路に対して上下に起立した姿勢にて保持されながら、搬送経路に沿って搬送される。このように搬送される容器30に向けて、第1、第2洗浄水噴射ノズルから洗浄水が噴射される。これにより、容器30に洗浄水を行き渡らせて汚れを洗い落とすことができる。このように、洗浄装置3は、容器30を搬送しながら容器30全体を適正に洗浄可能である。
【0059】
更に、洗浄装置3によれば、容器30が、搬送経路に対して上下に起立し且つ搬送経路の前方から角度θだけ側方に傾いた向きに開口する姿勢で保持される。換言すると、容器30は、上下軸に沿って立ち上がり且つ上下軸周りに側方に向けて傾いた状態で保持される。このような姿勢にある容器30の開口部に向けて、搬送経路の側方から洗浄水が噴射される。これにより、容器30の上方等から洗浄水を噴射する場合に比べ、容器30の開口面に効率良く洗浄水を衝突させ、容器30の汚れを強力に落とすことができる。加えて、複数の容器30をそのように傾かせながら規則的に高密度で搬送すれば、搬送方向に直交する幅方向および搬送方向の双方において洗浄装置3を小型化できる。
【0060】
更に、洗浄装置3によれば、第1洗浄水噴射ノズルで容器30の開口部内の手前側に向けて洗浄水を噴射しつつ、第2洗浄水噴射ノズルで容器30の開口部内の奥側に向けて洗浄水を噴射する。これにより、搬送経路の側方からの噴射のみを行う場合であっても、容器30の開口面の全体に洗浄水を行き渡らせることができる。その結果、簡単な構成で洗浄装置3の洗浄能力を更に向上できる。
【0061】
更に、洗浄装置3によれば、容器30の下方両端部が第1保持部52及び第2保持部53に保持される。これにより、第1保持部52及び第2保持部53の上方から容器30を載せるように、容器30を第1保持部52及び第2保持部53に保持させることができる。よって、移動している第1保持部52及び第2保持部53に容器30を保持させる作業が容易になり、洗浄装置3の実際の使用時の作業効率を向上できる。更に、容器30の重量を容器30の下方で支えることで、容器30の姿勢を安定させることができる。
【0062】
<洗浄装置3の他の形態>
洗浄水噴射ノズルの向きはそれぞれ、2方向に設定されているが、容器30の開口面全体に洗浄水を噴射できる限りにおいて、1方向であっても、3方向以上であってもよい。
【0063】
洗浄水が、複数の容器30の左側方に位置する第1、第2洗浄水噴射ノズルのみから、容器30の開口面に向けて噴射される。これに加えて、洗浄水が、複数の容器30の上方に位置する洗浄水噴射ノズルから、容器30の開口面に向けて噴射されるように構成してもよい。
【0064】
<出口シュート4の構成>
次いで、洗浄機1が有する出口シュート4について説明する。出口シュート4は、搬送装置2によって排出口22から押し出された洗浄後の容器30の姿勢を制御しながら、容器30を回収用容器5に向けて滑り落とす機能を果たす。出口シュート4は、図4に示すように、ガイド部材70と、排出シュート80と、延長ガイド90と、滑りガイド100と、を備える。
【0065】
ガイド部材70は、筐体10の前端壁における、排出口22の右端縁の上下方向略中央の位置より右側に離れた箇所に設けられている。ガイド部材70は、当該箇所から前向きに延びる平板状の第1部分71と、第1部分71の延出端から左斜め前向きに延びる平板状の第2部分72と、第2部分72の延出端から左斜め後向きに延びる平板状の第3部分73とで、構成されている。ガイド部材70は、ステンレスなどの金属で構成された短冊状の板を折り曲げることで形成され得る。
【0066】
図5から理解できるように、上方からみたとき、保持具50によって保持されている容器30の左右方向からの傾斜角度(図2(b)に示す角度θ)よりも、ガイド部材70の第3部分73の左右方向からの傾斜角度は、小さい。第3部分73の延出端73aは、左右方向において、排出口22の右端縁と排出口22の中央との間に位置し、前後方向において、後述するシュート板81の延出端縁83より前側に位置している。
【0067】
ガイド部材70の第2部分72及び第3部分73の排出口22側を向いた面は、それぞれ、容器30をガイドする(容器30が接触する)ガイド面75及びガイド面74を構成している。ガイド面74,75には、本例では、容器30を保護するために樹脂板が貼り付けられている。
【0068】
排出シュート80は、シュート板81と、ローラ82とを備える。シュート板81は、筐体10の前端壁における矩形状の排出口22の下端縁部に設けられ、排出口22の下端縁から下向きに傾斜しながら前方に延びる矩形平板状の部材である。シュート板81の延出端縁83は、左右方向に平行に延びている。シュート板81は、例えば、ステンレス等の金属で構成されている。ローラ82は、左右方向に延びる円柱状の形状を有しており、シュート板81の根元側縁部の直上、且つ、排出口22の下端縁の近傍の位置にて、回転可能に支持されている。ローラ82は、例えば、ステンレス等の金属で構成されている。ローラ82の左右方向略中央の位置には、ローラ82の外周面から径方向外側に突出し且つ周方向に延びる凸条形状を有する仕切ローラ82aが設けられている。仕切ローラ82aは、ローラ82と別体になっており、ローラ82と同軸的に独立して回転するようになっている。また、仕切ローラ82aの外周端は、テーパ処理または丸み処理が施されていてもよく、これにより、出口シュート4の機能で後述するように、仕切ローラ82aと容器30の下端縁部との係合が解除され易くなり、容器30の下端縁部が仕切ローラ82aを容易に乗り越えることができるようになっている。
【0069】
延長ガイド90は、筐体10の前端壁における矩形状の排出口22の右端縁部の上部に設けられ、排出口22の右端縁の上部から前方に延びる矩形平板状の部材である。本例では、延長ガイド90は、筐体10内の処理室11内にて前後方向に延びる搬送ガイド板49の前端から連続して前方に延びるように、配置されている。延長ガイド90は、例えば、ステンレスなどの金属で構成されている。延長ガイド90は、ガイド部材70より上方に配置されている。
【0070】
図5から理解できるように、上方からみたとき、延長ガイド90の延出端は、前後方向において、ガイド部材70の第3部分73の延出端73aより後側に位置している。上方からみたとき、延長ガイド90の延出端と、ガイド部材70の第3部分73のガイド面74との間には、隙間L(図5(a)参照)が設けられている。
【0071】
延長ガイド90の排出口22側を向いた面は、容器30をガイドする(容器30が接触する)ガイド面91を構成している。ガイド面91には、本例では、容器30を保護するために樹脂板が貼り付けられている。
【0072】
滑りガイド100は、筐体10の前端壁における矩形状の排出口22の左端縁部の下端部に設けられ、排出口22の左端縁の下端部から、シュート板81の左端部の直上にて、左斜め前向きに延びる矩形平板状の部材である。滑りガイド100は、例えば、ステンレスなどの金属で構成されている。滑りガイド100は、ガイド部材70より下方に配置されている。
【0073】
滑りガイド100の排出口22側を向いた面は、容器30をガイドする(容器30が接触する)ガイド面101を構成している。ガイド面101には、本例では、容器30を保護するために樹脂板が貼り付けられている。
【0074】
<出口シュート4の機能>
次いで、上記のように構成される出口シュート4の機能について図5及び図6を参照しながら説明する。筐体10の処理室11内にて、洗浄装置3によって洗浄された容器30は、搬送装置2によって排出口22に向けて前方へ移動していき、図5及び図6に示すように、排出口22から筐体10の外部へと押し出される。
【0075】
容器30が排出口22から押し出される前の段階では、容器30は、下方右端部及び下方左端部がそれぞれ第1保持部52及び第2保持部53に保持され、且つ、背面が搬送ガイド板49に支持されて、安定した状態で移動している。
【0076】
一方、容器30が排出口22から押し出される段階では、まず、容器30の下方右端部を保持している第1保持部52が搬送経路(搬送チェーン45)の前端に到達することで駆動ギヤ42により下方に回り込み、第1保持部52による容器30の下方右端部の保持が終了し、且つ、搬送ガイド板49による容器30の背面の支持が終了する。さらに、容器30の下方左端部を保持している第2保持部53によって容器30が前方に押されながら、容器30の下端縁部がその前端側(右端側)からローラ82に徐々に乗り移る。これに伴い、容器30の背面が延長ガイド90のガイド面91に支持されるようになる(即ち、ガイド面91上を前方に擦動するようになる)。このとき、容器30の下端縁部の前方への移動に伴ってローラ82が左方からみて時計回りに回転することで、容器30の下端縁部の前方への移動が円滑に行われ得る。
【0077】
容器30の下方左端部を保持している第2保持部53によって容器30が更に前方に押されると、容器30の右方縁部が、ガイド部材70の第3部分73の延出端73aに接触する。即ち、容器30は、第2保持部53とガイド部材70の第3部分73とに挟まれた状態で、ガイド部材70の第3部分73に受け止められる。このとき、ローラ82の左右方向略中央にある仕切ローラ82aに、容器30の下端縁部が引っ掛かることで、容器30の下端縁部がローラ82の外周面上を仕切ローラ82aよりも左方側に移動する(例えば、滑る)ことが抑制される。これにより、容器30は、上下方向に起立した姿勢を保ちながらガイド部材70に送り込まれ、徐々に容器30の開口面が前方に向くことになる。
【0078】
第2保持部53による押し出しが更に進行し、容器30の下端縁部の中央部がローラ82に乗り移ると、それ以降は容器30の重心がローラ82より前側に位置することで、容器30に対して左方からみて時計回りのモーメントが作用する。この結果、容器30が徐々に前方に倒れ始める(左方からみて時計回りに回転し始める)とともに、延長ガイド90のガイド面91による容器30の背面の支持が終了する。
【0079】
容器30は、容器30の右側縁部を隙間L(図5(a)参照)に通過させながら、更に前方に倒れようとする。このとき、ガイド部材70の第3部分73のガイド面74が、容器30の右側縁部を受け止める(図5(a)参照)。このとき、隙間Lが、容器30が1つずつ通過可能な(2つが同時に通過不能な)大きさに設計されていることで、2つ以上の容器30が、ガイド面74に向けてひとまとめになだれ込むことが抑制される。
【0080】
その後、容器30の下方左端部を保持している第2保持部53によって容器30が更に前方に押されながら、容器30の右側縁部がガイド面74上をガイド面75に向けて右斜め前向きに擦動していく。これにより、上方からみたときの容器30の左右方向からの傾斜角度(即ち、図2(b)に示す角度θ)が、上方からみたときの第3部分73の左右方向からの傾斜角度に近づくように、徐々に減少していく。即ち、搬送経路に対する容器30の傾きが直交に近づいていく。
【0081】
容器30の下方左端部をなおも保持している第2保持部53が搬送経路(搬送チェーン45)の前端に到達すると、第2保持部53による容器30の下方左端部の保持が終了し、容器30の下方左端部がローラ82に乗り移る。このとき、容器30が前方に倒れることで、仕切ローラ82aと容器30の下端縁部との係合が解除され、容器30の下端縁部が仕切ローラ82aを乗り越える。このとき、仕切ローラ82aの外周端にテーパ処理または丸み処理が施されていることで、容器30の下端縁部が仕切ローラ82aを容易に乗り越えることができる。この乗り越えに伴い、容器30の下方左端部が、ローラ82を乗り越えてシュート板81上に落下し、シュート板81上を滑落し始める。これとほぼ同時に、ガイド面74上をガイド面75に向けて右斜め前向きに擦動していた容器30の右側縁部が、ガイド面75に当接(衝突)する(図5(b)及び図6(a)参照)。
【0082】
以降、ガイド面75と、滑りガイド100のガイド面101とによって、容器30の左右方向への移動が適正に規制されながら、容器30の下方左端部がシュート板81上をシュート板81の延出端縁83に向けて滑落していく。これに伴い、図5(c)に示すように、ガイド部材70の第3部分73の延出端73aを支点として、上方からみて反時計回りのモーメントが容器30に作用するとともに(図5(c)参照)、且つ、左方からみて反時計回りのモーメントが容器30に作用する(図6(a)参照)。この結果、容器30は、上方からみて反時計回りに、且つ、左方からみて反時計回りに回転し始める。即ち、搬送経路に対する容器30の傾きが更に直交に近づいていく。
【0083】
容器30の下方左端部がシュート板81の延出端縁83を通過すると、以降、上方からみたときの容器30の左右方向からの傾斜角度が略ゼロに維持され(搬送経路に対する容器30の傾きが略直交となり)、且つ、左方からみて容器30が反時計回りになおも回転しながら、容器30が、回収用容器5(図1参照)に向けて落下していく(図5(c)及び図6(b)参照)。この結果、容器30の開口面が上方を向いた状態で、容器30が回収用容器5に収容される。なお、本例では、回収用容器5の中には、容器30を冷却するための水が貯められている。
【0084】
<出口シュート4の作用・効果>
出口シュート4によれば、洗浄後の容器30が排出口22から排出されるとき、容器30は、搬送装置2とガイド部材70とに挟まれた状態で搬送装置2によって徐々に排出口22の外に押し出され、ガイド部材70の案内効果によって搬送経路に対する傾きが直交に近づくように姿勢変更がなされる。更に、容器30の下部を支持する排出シュート80(シュート板81)により、所定の排出向きに(洗浄機1の外部の回収用容器5に向けて)容器30が案内される。このように、搬送装置2、ガイド部材70及び排出シュート80の協働により、容器30の姿勢が、処理に適した姿勢から排出に適した姿勢に変更されながら、容器30が排出口22から排出されることになる。したがって、容器30を処理室11内での処理に適した姿勢で搬送しながら処理室11から排出する容器30の姿勢を制御可能である。
【0085】
更に、出口シュート4によれば、排出口22から排出された容器30が、ガイド部材70と延長ガイド90との間の隙間Lを通じて、ガイド部材70に向けて案内される。そのため、複数の容器30を連続して処理して排出する場合において、複数の容器30がガイド部材70にひとまとめになだれ込むことが抑制され、容器30が一つ一つ整然とガイド部材70に案内されることになる。よって、複数の容器30が乱雑にガイド部材70に入り込む場合に比べ、ガイド部材70による案内効果(上述した姿勢制御)を設計通りに適正に発揮することができる。
【0086】
更に、出口シュート4によれば、ガイド部材70よりも上方に延長ガイド90が配置される。これにより、搬送装置2によって上下に起立した姿勢で排出口22から押し出される容器30の出来る限り上部を延長ガイド90で支え、容器30が倒れる等の想定外の傾きを抑制できる。よって、ガイド部材70による案内効果(上述した姿勢制御)を設計通りに適正に発揮することができる。
【0087】
更に、出口シュート4によれば、容器30の下部を支持する排出シュート80が、容器30の下部に接触しながら回転して容器30を排出向きに案内するローラ82を有する。これにより、排出口22からの容器30の排出を更に円滑に行うことができる。
【0088】
更に、出口シュート4によれば、滑りガイド100が、容器30の下部を排出シュート80(シュート板81)に向けて案内する。これにより、搬送装置2による押し出しの度合いやガイド部材70による姿勢制御の度合いに若干のバラツキが生じても、容器30の下部をより確実に排出シュート80(シュート板81)に導くことができ、排出シュート80(シュート板81)による容器30の案内効果をより適正に発揮することができる。
【0089】
<出口シュート4の他の形態>
出口シュート4の具体的な構造は、特に限定されない。例えば、出口シュート4では、延長ガイド90は、ガイド部材70より上方に配置されている。これに対し、延長ガイド90は、上下方向においてガイド部材70と同じ位置に配置されていてもよい。更に、延長ガイド90が省略されていてもよい。
【0090】
更に、出口シュート4では、排出シュート80(シュート板81)がローラ82を備えている。これに対し、排出シュート80(シュート板81)がローラ82を備えていなくてもよい。
【0091】
更に、出口シュート4では、滑りガイド100が設けられている。これに対し、滑りガイド100が省略されていてもよい。
【0092】
ここで、上述した本発明に係る洗浄機1(容器処理装置1)の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
容器(30)に所定の処理を施す処理室(11)を有する容器処理装置(1)であって、
処理後の前記容器(30)を前記処理室(11)から排出するための排出口(22)と、
前記容器(30)を、前記処理室(11)の内部から前記排出口(22)に向かう所定の搬送経路に対して上下に起立し且つ前記搬送経路に対して側方に傾いた姿勢に保持しながら、前記搬送経路に沿って移動させる搬送装置(2)と、
前記搬送装置(2)によって前記排出口(22)から押し出される途中の前記容器(30)を前記搬送装置(2)との間に挟んだ状態にて受け止め可能な位置に配置され、前記排出口(22)から押し出された前記容器(30)を前記搬送経路に対する前記容器(30)の傾きが直交に近づくように案内する、第1案内部(70)と、
前記排出口(22)から押し出された前記容器(30)の下部を所定の排出向きに案内する第2案内部(80)と、を備える、
容器処理装置(1)。
[2]
上記[1]に記載の容器処理装置(1)であって、
前記排出口(22)の開口縁から前記第1案内部(70)に向けて延び且つ前記排出口(22)から押し出された前記容器(30)が一つずつ通過可能な隙間(L)を前記第1案内部(70)との間にあける位置に配置され、前記容器(30)を前記第1案内部(70)に向けて案内する、第3案内部(90)を、更に備える、
容器処理装置(1)。
[3]
上記[1]又は上記[2]の何れか一つに記載の容器処理装置(1)において、
前記第2案内部(80)は、
前記容器(30)の前記下部に接触しながら回転して前記排出向きに前記容器(30)を案内するローラ(82)を有する、
容器処理装置(1)。
[4]
上記[1]~上記[3]の何れか一つに記載の容器処理装置(1)であって、
前記排出口(22)の開口縁から前記第2案内部(80)に向けて延び、前記容器(30)の前記下部を前記第2案内部(80)に向けて案内する第4案内部(100)を、更に備える、
容器処理装置(1)。
【符号の説明】
【0093】
1 洗浄機(容器処理装置)
2 搬送装置
11 処理室
22 排出口
30 容器
70 ガイド部材(第1案内部)
80 排出シュート(第2案内部)
82 ローラ
82a 仕切ローラ
90 延長ガイド(第3案内部)
100 滑りガイド(第4案内部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6