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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159858
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】繰出容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/06 20060101AFI20221011BHJP
   A45D 40/00 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
A45D40/06 Z
A45D40/00 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064299
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】三国 良太
(57)【要約】
【課題】塗布材を容易に交換することができる繰出容器を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る繰出容器は、スリーブ13を有する繰出機構を備え、スリーブ13の内面には、塗布材を保持する保持部材に形成された突起11bが通る第1溝13d、及び第1溝13dからスリーブ13の端面13fまで延びる第2溝13gが形成されており、第1溝13dは、第2溝13gとの接続部13kよりも延長した箇所に、突起11bが入り込む突起保持部13mを有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリーブを有する繰出機構を備え、
前記スリーブの内面には、塗布材を保持する保持部材に形成された突起が通る第1溝、及び前記第1溝から前記スリーブの端面まで延びる第2溝が形成されており、
前記第1溝は、前記第2溝との接続部よりも延長した箇所に、前記突起が入り込む突起保持部を有する、
繰出容器。
【請求項2】
前記繰出機構は、
前記スリーブと前記保持部材の間に介在する第1筒状部材と、
前記第1筒状部材の外側に位置する第2筒状部材と、を備え、
前記第1筒状部材及び第2筒状部材の一方は、前記第1筒状部材の軸線方向に対して傾斜する傾斜面を有する傾斜リブを備え、
前記第1筒状部材及び第2筒状部材の他方は、前記傾斜リブに、前記第2筒状部材の周方向に係合するリブを備え、
前記突起が前記突起保持部に入り込んでいるときに、前記リブの前記軸線方向の端部の位置が、前記傾斜面の前記軸線方向の位置と一致している、
請求項1に記載の繰出容器。
【請求項3】
前記スリーブの前記第2溝には、凸部が形成されている、
請求項1又は2に記載の繰出容器。
【請求項4】
前記第2溝は、前記スリーブの端面に向かうに従って前記第2溝の幅が広がる拡幅部を有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の繰出容器。
【請求項5】
前記拡幅部は、前記スリーブの軸線方向に対して傾斜する第1面及び第2面によって画成されており、
前記第1面の前記端面とは反対側の前記軸線方向の位置が、前記第2面の前記端面とは反対側の前記軸線方向の位置からずれている、
請求項4に記載の繰出容器。
【請求項6】
前記拡幅部は、前記スリーブの軸線方向に対して傾斜する第2面によって一部が画成されており、
前記突起保持部の前記軸線方向の位置が、前記第2面の前記軸線方向の範囲内にある、
請求項4又は5に記載の繰出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から繰出容器としては種々のものが知られている。国際公開第2003/028502号公報には、スティック状化粧料用容器が記載されている。スティック状化粧料容器は、内面にネジが形成された回転筒と、スリーブ及びスティック状化粧料が充填された円筒状の内皿とを備える。スリーブは内皿ガイド溝を有し、内皿は内皿ガイド溝に入り込む小突起を有する。内皿ガイド溝は、主溝と、主溝の下端において逆J字状を呈する副溝とを含む。
【0003】
回転筒がスリーブに対して左に回転すると、回転筒内に設けられたネジによって内皿の小突起に下左方向への力が与えられる。しかしながら、内皿の小突起は、スリーブの内皿ガイド溝でガイドされているため下左方向に移動することはなく、内皿ガイド溝に沿って下方に移動する。小突起が副溝の入口に至ると、左側に移動して小突起受けに当たり、主溝に戻される。その後、小突起は、下方に移動していき、主溝最下部に収納される。小突起が主溝最下部に収納されている状態で回転筒がスリーブに対して右に回転すると、回転筒内のネジによって小突起に上右方向への力が付与され、小突起が内側ガイド溝に沿って上昇する。内側ガイド溝に沿って上昇する小突起は、回転筒内のネジの上端に達して停止する。
【0004】
内皿に充填されたスティック状化粧料を使い切った場合等において内皿を分解する場合には、内皿が下方に移動できるところまで移動し、小突起が内皿ガイド溝の最下部に収納される。そして、回転筒が右に回転し小突起が副溝の入口位置まで移動して、更に、治具の使用等の適当な手段により小突起が左方向に移動した後、回転筒が左に回転する。これにより、内皿は、下に開放されている副溝を通り、下方に排出される。新しい内皿の取り付けは、回転筒のネジが切られた部分と副溝との位置が合わせられ、この位置合わせされた部分に内皿の小突起が通された後に回転筒が右に回転することによって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2003/028502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スティック状化粧料容器では、前述したように、内皿を分解するときに、小突起が内側ガイド溝の最下部に収納された後に副溝の入口位置に移動し、更に、治具等の適当な手段によって小突起を左に移動させた後に回転筒が左に回転する。このように、スティック状化粧料が充填されていた内皿を分解するときに治具等が必要となるので、化粧料等の塗布材の交換作業が煩雑である。
【0007】
新しい内皿の取り付けは、回転筒のネジが切られた部分に副溝の位置を合わせ、この位置合わせされた内皿の小突起を通した後に回転筒を右に回転することによって行われる。従って、新しい塗布材を取り付けるときに、ネジが切られた部分への副溝の位置合わせ、副溝への小突起の挿入、及び回転筒の回転が必要となるので、塗布材の取り付け作業が煩雑であるという問題が生じうる。更に、スティック状化粧料用容器が落下したりしたときに意図せず塗布材が容器から脱落する可能性も生じうる。
【0008】
本開示は、塗布材を容易に交換することができる繰出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る繰出容器は、スリーブを有する繰出機構を備え、スリーブの内面には、塗布材を保持する保持部材に形成された突起が通る第1溝、及び第1溝からスリーブの端面まで延びる第2溝が形成されており、第1溝は、第2溝との接続部よりも延長した箇所に、突起が入り込む突起保持部を有する。
【0010】
この繰出容器では、塗布材を保持する保持部材に突起が形成されており、スリーブの内面には当該突起が通る第1溝及び第2溝が形成されている。第2溝は、当該突起が通る第1溝からスリーブの端面まで延びている。従って、塗布材を保持する保持部材の突起を第1溝及び第2溝に通すことによってスリーブの端面から突起を外すことができるので、スリーブから保持部材を容易に外すことができる。よって、塗布材を保持する保持部材の交換を容易に行うことができる。また、スリーブの内面に形成された第1溝は、第2溝との接続部よりも延長した箇所に突起が入り込む突起保持部を有する。突起保持部は、入り込んだ突起を保持する。従って、塗布材を保持する保持部材の突起が突起保持部に保持されるので、スリーブからの保持部材の意図しない脱落を抑制することができる。よって、塗布材が意図せず脱落することを抑制することができる。
【0011】
繰出機構は、スリーブと保持部材の間に介在する第1筒状部材と、第1筒状部材の外側に位置する第2筒状部材と、を備え、第1筒状部材及び第2筒状部材の一方は、第1筒状部材の軸線方向に対して傾斜する傾斜面を有する傾斜リブを備え、第1筒状部材及び第2筒状部材の他方は、傾斜リブに、第2筒状部材の周方向に係合するリブを備え、突起が突起保持部に入り込んでいるときに、リブの軸線方向の端部の位置が、傾斜面の軸線方向の位置と一致していてもよい。この場合、保持部材の突起がスリーブの突起保持部に入り込んでいるときに、リブの軸線方向の端部が、傾斜リブに形成された傾斜面の軸線方向の位置と一致する。この状態で第2筒状部材が第1筒状部材に対して相対回転することにより、リブが傾斜リブの傾斜面に当接し、第2筒状部材に対して第1筒状部材を軸線方向に移動させることができる。従って、第1筒状部材を第2筒状部材に対して突出させることができるので、保持部材を第1筒状部材と共に第2筒状部材から引き抜くことが可能となる。
【0012】
スリーブの第2溝には、凸部が形成されていてもよい。この場合、保持部材の突起が第2溝に存在すると当該突起はスリーブに形成された第2溝の凸部に当接する。従って、第2溝の凸部に突起が当接することにより、スリーブから保持部材が意図せず外れる可能性をより低減させることができる。
【0013】
第2溝は、スリーブの端面に向かうに従って第2溝の幅が広がる拡幅部を有してもよい。この場合、第2溝の拡幅部がスリーブの端面に向かうに従って拡幅することにより、第2溝への突起の挿入を容易に行うことができる。従って、塗布材を保持する保持部材の突起を第2溝を介して第1溝に容易に挿入することができるので、塗布材の交換を容易に行うことができる。また、スリーブの第2溝の拡幅部により、スリーブに対する保持部材の周方向の位置によらずに拡幅部を介して第2溝に突起を挿入可能となるので、スリーブに対する保持部材の装着を容易に行うことができる。
【0014】
拡幅部は、スリーブの軸線方向に対して傾斜する第1面及び第2面によって画成されていてもよく、第1面の端面とは反対側の軸線方向の位置が、第2面の端面とは反対側の軸線方向の位置からずれていてもよい。この場合、拡幅部を画成する第1面における軸線方向の端部の位置が、拡幅部を画成する第2面における軸線方向の端部の位置からずれている。従って、スリーブの第2溝に保持部材の突起がかみ込むことを抑制することができるので、スリーブに対する保持部材の装着を一層容易に行うことができる。
【0015】
拡幅部は、スリーブの軸線方向に対して傾斜する第2面によって一部が画成されており、突起保持部の軸線方向の位置が、第2面の軸線方向の範囲内にあってもよい。この場合、突起保持部の軸線方向の位置が、第2面の軸線方向の範囲内にあることにより、保持部材及びスリーブを相対回転させたときに、突起保持部に保持されている突起を第2溝の第2面に移動させることができる。従って、相対回転によって突起を第2溝の第2面に移動させることにより、保持部材をスリーブから容易に外すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、塗布材を容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)は、実施形態に係る繰出容器を示す側面図である。(b)は、図1(a)の繰出容器からキャップを外した状態を示す側面図である。
図2図1(a)の繰出容器のA-A線断面図である。
図3】(a)は、図1の繰出容器のスリーブを示す斜視図である。(b)は、図3(a)のスリーブの断面図である。
図4】(a)は、図1の繰出容器の第2筒状容器を示す斜視図である。(b)は、図4(a)の第2筒状容器の断面図である。
図5】(a)は、図1の繰出容器の第1筒状容器を示す斜視図である。(b)は、図5(a)の第1筒状容器の断面図である。
図6】(a)は、図1の繰出容器の保持部材を示す斜視図である。(b)は、図6(a)の保持部材の断面図である。
図7図2の繰出容器からキャップを外して塗布材が繰り出された状態を示す断面図である。
図8】実施形態に係るスリーブの内面に形成された第1溝及び第2溝と、保持部材の突起との位置関係を示す図である。
図9図8の第1溝の突起保持部に突起が入り込んだ状態における第1筒状部材と第2筒状部材との位置関係を示す図である。
図10図9に示される状態において保持部材及び第1筒状部材がスリーブ及び第2保持部材に対して回転したときにおける保持部材の突起の動きを示す図である。
図11図10に示される状態において保持部材及び第1筒状部材がスリーブ及び第2保持部材に対して回転したときにおける第1筒状部材の位置を示す図である。
図12】(a)は、第1筒状部材及び保持部材が第2保持部材及びスリーブから抜け出た状態を示す斜視図である。(b)は、第2保持部材及びスリーブに塗布材付きの保持部材及び第1筒状部材を装着する状態を示す斜視図である。
図13図12(b)の装着時におけるスリーブの第1溝及び第2溝と保持部材の突起との位置関係を示す図である。
図14】変形例に係る繰出容器の断面図である。
図15図14の繰出容器のスリーブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る繰出容器の実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0019】
本開示において、「塗布材」は、塗布対象である被塗布部に塗布されるものを示している。「塗布材」は、例えば、化粧料、パフ、スポンジ、チップ、含浸体若しくはブラシ等の化粧料塗布具、又は、筆若しくは文房具等の描画材であってもよい。本実施形態では、塗布材が化粧料である例について説明する。
【0020】
「化粧料」は、例えば、リップスティック、リップライナー、リップグロス、アイライナー、アイブロウ、美容スティック又はコンシーラーである。「化粧料」は、柔軟性材料を含む(例えば、半固形状、軟固形状、軟質状、ゼリー状、ムース状又はこれらを含む練り物等の)棒状物であってもよい。
【0021】
図1(a)は、実施形態に係る例示的な繰出容器1の側面図である。図1(b)は、繰出容器1からキャップ2を外した状態を示す側面図である。図2は、図1(a)のA-A線断面図である。図1(a)、図1(b)及び図2に示されるように、繰出容器1は、例えば、内部に収容された化粧料Mを使用者の操作によって繰り出す(押し出す)化粧料繰出容器である。繰出容器1は、化粧料Mを繰り出す繰出機構10と、繰出機構10に装着されるキャップ2とを備える。
【0022】
キャップ2は、繰出容器1の軸線が延びる軸線方向に沿って繰出機構10に装着される。本開示において、「軸線」とは、筒状体の軸線であって、例えば、繰出容器の長手方向に沿って延在する繰出容器の中心線を示している。「軸線方向」とは、例えば、繰出容器の長手方向であって、軸線に沿った方向、すなわち、軸線が延びる方向を示している。「径方向」は軸線に直交する方向を示しており、「周方向」は軸線を中心とする環に沿う方向を示している。
【0023】
キャップ2は、例えば、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂によって構成されている。キャップ2は、例えば、有底円筒状を呈する。キャップ2は、繰出機構10がキャップ2の軸線方向D1に沿って挿入される開口2fと、開口2fに挿入された繰出機構10の外周面に対向する内周面2bとを有する。キャップ2の内周面2bには、繰出機構10が軸線方向D1に係合する環状凹部2c及び環状凸部2dが形成されており、環状凸部2dは環状凹部2cよりもキャップ2の開口2f寄りの位置に設けられる。キャップ2の環状凹部2c及び環状凸部2dに繰出機構10が軸線方向D1に沿って係合することにより、繰出機構10にキャップ2が装着される。
【0024】
繰出機構10は、軸線方向D1に沿って化粧料Mを繰り出して化粧料Mを突出させる。以下では、化粧料Mの繰出方向を前、前側又は前方(前進する方向)とし、化粧料Mの繰出方向の反対方向を後、後側又は後方(後退する方向)とすることがある。しかしながら、これらの方向は、説明の便宜のためのものであって、部品の配置位置等を限定するものではない。
【0025】
繰出機構10は、例えば、化粧料Mを保持する保持部材11と、保持部材11が収容された第1筒状部材12と、第1筒状部材12が挿入される筒状のスリーブ13と、第1筒状部材12及びスリーブ13の径方向外側に位置すると共にキャップ2が装着される第2筒状部材14とを備える。本実施形態に係る繰出容器1では、スリーブ13及び第2筒状部材14に対して保持部材11及び第1筒状部材12を着脱可能とされている。スリーブ13及び第2筒状部材14に対して保持部材11及び第1筒状部材12が着脱されることにより、繰出容器1では、新しい化粧料M付きの保持部材11及び第1筒状部材12に交換することが可能である。
【0026】
図3(a)は、スリーブ13を示す斜視図である。図3(b)は、軸線方向D1及び径方向D2に延びる平面でスリーブ13を切断したときのスリーブ13の断面図である。図2図3(a)及び図3(b)に示されるように、スリーブ13は、軸線方向D1にスリーブ13を貫通する筒孔13bを有する。スリーブ13は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)樹脂によって構成されている。しかしながら、スリーブ13の材料は、ABS樹脂であってもよく、適宜変更可能である。
【0027】
スリーブ13の筒孔13bには、第1筒状部材12及び保持部材11が挿入される。筒孔13bには、例えば、後方から第1筒状部材12及び保持部材11が挿入される。スリーブ13は、挿入された第1筒状部材12が対向する内周面13cを有する。内周面13cには、第1溝13d、及び第1溝13dからスリーブ13の端面13f(後端面)まで延びる第2溝13gが形成されている。
【0028】
第1溝13dは、スリーブ13の軸線方向D1の一端13hから、軸線方向D1に沿って螺旋状に延びている。第1溝13dには、保持部材11の後述する突起11b(図6(a)参照)が係合し、第1溝13dに沿って保持部材11が回転すると共に軸線方向D1に沿って移動する。例えば、保持部材11はスリーブ13に対して回転しながら前後に移動可能とされている。
【0029】
繰出機構10では、保持部材11がスリーブ13に対して前進することによって保持部材11に保持された化粧料Mが繰り出され、化粧料Mがスリーブ13の開口13jから突出する。保持部材11がスリーブ13に対して後退することによって保持部材11に保持された化粧料Mがスリーブ13の内部へ繰り戻される(後退する)。
【0030】
第1溝13dは、第2溝13gとの接続部13kよりも延長した箇所に保持部材11の突起11bを保持する突起保持部13mを有する。突起保持部13mは、例えば、スリーブ13の周方向に窪む凹状とされている。一例として、突起保持部13mは、接続部13kから延長すると共に軸線方向D1に対して傾斜する方向に延在する第1面13pと、第1面13pから軸線方向D1に延びる底面13qと、底面13qの第1面13pとは反対側の端部からスリーブ13の周方向に延びる第2面13rとによって画成されている。
【0031】
第2溝13gは、例えば、接続部13kから軸線方向D1に沿って延在する。第2溝13gは、一例として、接続部13kから軸線方向D1に沿って延びる延在部13sと、延在部13sから端面13fまで延びる拡幅部13tとを有する。第2溝13gには、例えば、保持部材11の突起11bが当接する凸部13vが形成されている。凸部13vは、例えば、スリーブ13の径方向内側に突出すると共にスリーブ13の周方向に沿って延びている。
【0032】
拡幅部13tは、例えば、軸線方向D1に対して傾斜する第1面13w及び第2面13xによって画成されている。第1面13w及び第2面13xのそれぞれは延在部13sから端面13fまで延びており、第1面13w及び第2面13xは端面13fから離間するに従って互いに接近している。例えば、第1面13w及び第2面13xの少なくともいずれかは、互いに離れる方向に外側に湾曲している。図3(b)の例では、第1面13wが湾曲している。例えば、第2溝13gは角部13b3,13b4を有する。第1面13wは角部13b3から端面13fに向かって延在しており、第2面13xは角部13b4から端面13fに向かって延在している。
【0033】
第1面13wの端面13fとは反対側(例えば角部13b3)の軸線方向D1の位置は、第2面13xの端面13fとは反対側(例えば角部13b4)の軸線方向D1の位置からずれている。すなわち、第1面13wの端面13fとは反対側の角部13b3は、第2面13xの端面13fとは反対側の角部13b4よりも前側(端面13fとは反対側)に位置している。
【0034】
延在部13sは、突起保持部13mから第1面13wまで延びる第3面13yと、第1溝13dから第2面13xまで延びる第4面13zとによって画成されている。例えば、第3面13y及び第4面13zは、互いに平行に延びている。一例として、第3面13yの軸線方向D1の長さは、第4面13zの軸線方向D1の長さよりも短い。
【0035】
スリーブ13は、キャップ2及び第2筒状部材14に対向する外周面13b1を有する。外周面13b1には、スリーブ13の周方向に延在する環状突起13b2が形成されている。環状突起13b2が第2筒状部材14の内周面14bに軸線方向D1に係合することにより、スリーブ13は第2筒状部材14に軸線方向D1に係合すると共に第2筒状部材14に相対回転可能に係合する。
【0036】
図4(a)は、第2筒状部材14を示す斜視図である。図4(b)は、軸線方向D1及び径方向D2に延びる平面で第2筒状部材14を切断したときの第2筒状部材14の断面図である。図2図4(a)及び図4(b)に示されるように、第2筒状部材14は、外周面14cに段差部14dを有する段付き円筒状とされている。第2筒状部材14は、例えば、ABS樹脂によって構成されている。
【0037】
第2筒状部材14は、段差部14dの軸線方向D1の一方側に位置する小径部14fと、段差部14dの軸線方向D1の他方側に位置する大径部14gとを有する。外周面14cの小径部14fには突起14hが形成されている。突起14hがキャップ2の環状凸部2dを乗り越えて環状凹部2cに入り込むことにより、第2筒状部材14にキャップ2が係合する。キャップ2が第2筒状部材14に係合するときに、小径部14fはキャップ2の内部に入り込み、大径部14gは外部に露出する。
【0038】
第2筒状部材14の内周面14bには、第2筒状部材14の周方向に延びる環状凹凸部14jと、軸線方向D1に延在するリブ14kとが形成されている。環状凹凸部14jは、例えば、第2筒状部材14の軸線方向D1の一端(一例として後端)に形成されている。環状凹凸部14jに第1筒状部材12が係合することにより、第2筒状部材14に第1筒状部材12が軸線方向D1に係合する。
【0039】
第2筒状部材14は、例えば、複数のリブ14kを備える。複数のリブ14kは、例えば、第2筒状部材14の周方向に沿って並んでいる。軸線方向D1に延びるリブ14kが第1筒状部材12に係合することにより、第2筒状部材14に第1筒状部材12が周方向に係合する。すなわち、第2筒状部材14は第1筒状部材12に同期回転可能に係合する。
【0040】
第2筒状部材14は、例えば、リブ14kから見て第2筒状部材14の端面14mとは反対側に第2筒状部材14の周方向に延びる環状凹凸部14pを有する。環状凹凸部14pに第1筒状部材12が係合することによって、第2筒状部材14は第1筒状部材12に軸線方向D1に係合する。
【0041】
図5(a)は、第1筒状部材12を示す斜視図である。図5(b)は、軸線方向D1及び径方向D2に延びる平面で第1筒状部材12を切断したときの第1筒状部材12の断面図である。図2図5(a)及び図5(b)に示されるように、第1筒状部材12は、例えば、有底円筒状を呈する。第1筒状部材12は、例えば、PP(Polypropylene)によって構成されている。第1筒状部材12は、化粧料Mを保持する保持部材11が挿入される筒孔12bを有する。
【0042】
第1筒状部材12は、スリーブ13に挿入される挿入部12cと、挿入部12cの軸線方向D1の一端において拡径する拡径部12dとを有する。拡径部12dは、第2筒状部材14の軸線方向D1の一端(後端)に入り込む部位である。第1筒状部材12は、第2筒状部材14に周方向に係合する傾斜リブ12pを有する。第1筒状部材12は、例えば、拡径部12dから突出するリブ12vを有する。一例として、径方向D2の外側から見たリブ12vの形状は第1筒状部材12の周方向に延びる長円状を呈する。第1筒状部材12は、例えば、複数のリブ12vを有する。リブ12vは、第2筒状部材14の環状凹凸部14jに係合する。リブ12vが環状凹凸部14jに係合することにより、第2筒状部材14が第1筒状部材12と軸線方向D1に係合する。
【0043】
傾斜リブ12pは軸線方向D1に沿って延在しており、軸線方向D1の一方側(前側)に傾斜部12sを有する。傾斜部12sは、軸線方向D1に対して傾斜する傾斜面12rを有する。傾斜部12sからは延在部12tが軸線方向D1に沿って延在している。第1筒状部材12は、例えば、複数(一例として4個)の傾斜リブ12pを有する。
【0044】
複数の傾斜リブ12pは、例えば、第1筒状部材12の周方向に沿って等間隔となるように配置されている。複数の傾斜リブ12pのそれぞれは、例えば、凸部12qの径方向外側に設けられる。凸部12qは、挿入部12cから突出すると共に拡径部12dから軸線方向D1に延在している。
【0045】
挿入部12cには、保持部材11の突起11bが貫通する貫通溝12fが形成されている。貫通溝12fは、例えば、軸線方向D1に延びる第1溝部12gと、第1溝部12gの一端において第1筒状部材12の周方向に延在する第2溝部12hと、第1溝部12gの他端において第2溝部12hの反対方向に延在する第3溝部12jとを含む。
【0046】
第1筒状部材12は、例えば、2つの貫通溝12fを有し、2つの貫通溝12fのうちの一方の貫通溝12fは、第3溝部12jから第1筒状部材12の端面12kまで延びる第4溝部12mを含む。第1筒状部材12に挿入された保持部材11は、突起11bが第1溝部12gに位置するときには、第1筒状部材12に対して同期回転可能とされている。
【0047】
図6(a)は、保持部材11を示す斜視図である。図6(b)は、軸線方向D1及び径方向D2に延びる平面で保持部材11を切断したときの保持部材11の断面図である。図2図6(a)及び図6(b)に示されるように、保持部材11は、軸線方向D1の一端及び他端が開口する筒状を呈する。一例として、保持部材11は円筒状を呈する。
【0048】
保持部材11は、化粧料Mを保持する塗布材保持部11cと、塗布材保持部11cから軸線方向D1に延在する筒状部11dとを有する。塗布材保持部11cは、例えば、筒状を呈する。塗布材保持部11cの内周面11fには、径方向内側に突出するリブ11gが形成されている。
【0049】
リブ11gは、塗布材保持部11cに充填された化粧料Mに食い込む。このようにリブ11gが化粧料Mに食い込むことで保持部材11によって化粧料Mを強固に保持することが可能である。保持部材11は、例えば、複数(一例として4個)のリブ11gを有し、複数のリブ11gのそれぞれは軸線方向D1に延在している。複数のリブ11gは、例えば、保持部材11の周方向に沿って等間隔となるように配置されている。
【0050】
筒状部11dは、例えば、塗布材保持部11cから後方に延びる部位である。筒状部11dは、保持部材11の径方向外側に突出する突部11hを有する。突部11hの周囲には筒状部11dを径方向D2に貫通する貫通孔11jが形成されている。貫通孔11jは、例えば、軸線方向D1に延びると共に保持部材11の周方向に沿って並ぶ一対の第1貫通孔11kと、一対の第1貫通孔11kの軸線方向D1の端部間において保持部材11の周方向に延在する第2貫通孔11mとを含む。
【0051】
突部11hは、一対の第1貫通孔11kの間であって第2貫通孔11mの軸線方向D1の一方側に形成されている。このように、突部11hは、貫通孔11jの周囲に形成されることにより、保持部材11の径方向D2に弾性を有する。突部11hは、第1筒状部材12の内周面に接触する。突部11hが第1筒状部材12の内周面に接触することにより、突部11hを、使用時に化粧料Mが繰出容器1内へ戻らないための摺動抵抗として機能させることが可能である。以上の説明では、保持部材11が突部11hを有する例について説明した。しかしながら、保持部材11は突部11hを有しないものであってもよい。例えば、スリーブ13の外周面13b1の周方向に延在する環状凹部13b6(図3(b)参照)にOリングが配置されていてもよい。
【0052】
保持部材11は、保持部材11の径方向外側に突出する突起11bを有する。突起11bは、前述したスリーブ13の螺旋状の第1溝13d、及び第2溝13gに入り込むと共に第1溝13d及び第2溝13gに沿って移動する。突起11bは、例えば、円柱状を呈する。一例として、保持部材11は2個の突起11bを有し、保持部材11の径方向D2の一方側及び他方側のそれぞれに突起11bが形成されている。
【0053】
以上のように構成される繰出容器1における化粧料Mの使用方法の一例について説明する。以下では、繰出容器1における化粧料Mの繰出方法及び繰戻方法について説明する。まず、図2に示される初期状態(キャップ2が繰出機構10に装着されている状態)において、繰出機構10からキャップ2が取り外される。
【0054】
そして、スリーブ13と第2筒状部材14とが一方向(以下では「繰出方向」と称することもある)に相対回転されると、第1筒状部材12及び保持部材11が第2筒状部材14と同期回転し、スリーブ13に対して保持部材11が相対回転する。スリーブ13に対する保持部材11の相対回転によって、保持部材11の突起11bがスリーブ13の第1溝13dに沿って螺旋状に前進する。
【0055】
図7に示されるように、突起11bは、第1溝13dに沿って螺旋状に移動すると共に、第1筒状部材12の第1溝部12gに沿って前進する。よって、第1筒状部材12に対して保持部材11が前進し、保持部材11に保持された化粧料Mが第1筒状部材12及びスリーブ13から繰り出され、化粧料Mが使用に供される。
【0056】
化粧料Mを繰り戻すときには、スリーブ13と第2筒状部材14とが上記一方向の反対方向(以下では「繰戻方向」と称することもある)に相対回転される。このとき、第2筒状部材14と同期回転する第1筒状部材12及び保持部材11がスリーブ13に対して相対回転する。
【0057】
この相対回転によって保持部材11の突起11bがスリーブ13の第1溝13dに沿って螺旋状に後退する。突起11bは、第1溝13dに沿って螺旋状に後退すると共に第1筒状部材12の第1溝部12gに沿って後退する。そして、保持部材11に保持された化粧料Mが第1筒状部材12及びスリーブ13に没入し、繰出機構10にキャップ2が装着されることによって繰出容器1の使用が完了する。
【0058】
次に、例えば、化粧料Mを使い切ってスリーブ13及び第2筒状部材14から保持部材11及び第1筒状部材12を交換する手順について説明する。まず、スリーブ13及び第2筒状部材14から保持部材11及び第1筒状部材12を外す手順について説明する。図8に示されるように、スリーブ13に対して保持部材11が後退限に位置するときに、保持部材11の突起11bは、第1溝13dにおける接続部13kの前側に位置すると共に、第1筒状部材12の第2溝部12hに位置している。
【0059】
上記の状態で更にスリーブ13と第2筒状部材14とが繰戻方向に相対回転すると、第2筒状部材14と同期回転する保持部材11の突起11bが第1溝13dの突起保持部13mに入り込む。突起11bが突起保持部13mに入り込むときには、図9に示されるように、スリーブ13及び第2筒状部材14に対して保持部材11と共に第1筒状部材12が移動し、第2筒状部材14から第1筒状部材12が(後方に)突出する。
【0060】
第2筒状部材14から第1筒状部材12が突出するときには、第2筒状部材14のリブ14kに対して第1筒状部材12の傾斜リブ12pが後退する。また、第2筒状部材14から第1筒状部材12が突出しているときには、リブ14kの軸線方向D1の端部14qが、傾斜リブ12pにおける傾斜部12sの軸線方向D1の位置と一致する。
【0061】
すなわち、リブ14kの端部14qの位置が傾斜部12sの軸線方向D1の範囲内に位置しており、第1筒状部材12の周方向に沿って端部14qが傾斜部12sに対向している。なお、突起11bが突起保持部13mに入り込んでいる状態では、第1筒状部材12を第2筒状部材14から引き抜こうとしても突起保持部13mに突起11bが引っ掛かるため第2筒状部材14から第1筒状部材12は外れない。
【0062】
この状態でスリーブ13と第2筒状部材14とが繰出方向に相対回転すると、図10に示されるように、保持部材11の突起11bが突起保持部13mから抜け出て第2溝13gに移動し、その後、凸部13vに当接する。このとき凸部13vに突起11bが引っ掛かるので、意図しない保持部材11及び第1筒状部材12の落下を抑制することができる。
【0063】
突起11bが突起保持部13mから抜け出るときには、図11に示されるように、第2筒状部材14に対して保持部材11及び第1筒状部材12が相対回転し、リブ14kの端部14qに傾斜リブ12pの傾斜部12sが当接する。リブ14kの端部14qに傾斜部12sが当接すると、端部14qが傾斜部12sに沿って斜めに滑ると共に傾斜部12sが軸線方向D1に(後方に)押し出される。これにより、第2筒状部材14から更に第1筒状部材12が軸線方向D1に突出する。
【0064】
図10及び図11に示される状態では、突起11bが凸部13vに引っ掛かっているものの、第2筒状部材14から第1筒状部材12が軸線方向D1に引き出されることによって、図12(a)に示されるように第1筒状部材12及び保持部材11を外すことが可能である。このとき、スリーブ13の凸部13vを保持部材11の突起11bが乗り越えて、突起11bが拡幅部13tを介してスリーブ13から抜け出ることにより、保持部材11及び第1筒状部材12がスリーブ13及び第2筒状部材14から外される。
【0065】
次に、スリーブ13及び第2筒状部材14に保持部材11及び第1筒状部材12を装着する手順について説明する。図12(b)及び図13に示されるように、第1筒状部材12及び保持部材11が第2筒状部材14に軸線方向D1に沿って挿し込まれる。このとき、保持部材11の突起11bがスリーブ13の第2溝13gの拡幅部13tに入り込む。第2溝13gが拡幅部13tを有することにより、スリーブ13に対する保持部材11の回転位置によらずにスリーブ13への保持部材11の挿し込みをスムーズに行うことができる。本実施形態では、突起11bが第1面13w及び第2面13xの少なくともいずれかに案内されるため、スリーブ13への保持部材11の挿し込みをスムーズに行うことができる。
【0066】
スリーブ13の拡幅部13tに入り込んだ保持部材11の突起11bは、第2溝13gにおいて延在部13sに案内されつつ凸部13vに当接する。このとき、第2筒状部材14に第1筒状部材12が更に押し込まれることにより、突起11bが凸部13vを乗り越えて第1溝13dに移動すると共に、第2筒状部材14に第1筒状部材12が周方向に係合して第1筒状部材12の装着が完了する。
【0067】
次に、本実施形態に係る繰出容器1から得られる作用効果について詳細に説明する。図8及び図10に示されるように、繰出容器1では、化粧料Mを保持する保持部材11に突起11bが形成されており、スリーブ13の内面には突起11bが通る第1溝13d及び第2溝13gが形成されている。第2溝13gは、突起11bが通る第1溝13dからスリーブ13の端面13fまで延びている。従って、化粧料Mを保持する保持部材11の突起11bを第1溝13d及び第2溝13gに通すことによってスリーブ13の端面13fから突起11bを外すことができるので、スリーブ13から保持部材11を容易に外すことができる。
【0068】
化粧料Mを保持する保持部材11の交換を容易に行うことができるので、化粧料Mを容易に交換することができる。また、スリーブ13の内面に形成された第1溝13dは、第2溝13gとの接続部13kよりも延長した箇所に突起11bが入り込む突起保持部13mを有する。突起保持部13mは、入り込んだ突起11bを保持する。従って、化粧料Mを保持する保持部材11の突起11bが突起保持部13mに保持されるので、スリーブ13からの保持部材11の意図しない脱落を抑制することができる。よって、化粧料Mが意図せず脱落することを抑制することができる。
【0069】
図8及び図9に示されるように、繰出機構10は、スリーブ13と保持部材11の間に介在する第1筒状部材12と、第1筒状部材12の外側に位置する第2筒状部材14と、を備えてもよい。第1筒状部材12は、第1筒状部材12の軸線方向D1に対して傾斜する傾斜面12rを有する傾斜リブ12pを備えてもよい。第2筒状部材14は、傾斜リブ12pに、第2筒状部材14の周方向に係合するリブ14kを備えてもよい。そして、突起11bが突起保持部13mに入り込んでいるときに、リブ14kの軸線方向D1の端部14qの位置が、傾斜面12rの軸線方向D1の位置と一致していてもよい。
【0070】
この場合、保持部材11の突起11bがスリーブ13の突起保持部13mに入り込んでいるときに、第2筒状部材14のリブ14kの軸線方向D1の端部14qが、第1筒状部材12の傾斜リブ12pに形成された傾斜面12rの軸線方向D1の位置と一致する。この状態で第2筒状部材14が第1筒状部材12に対して繰出方向に相対回転することにより、第2筒状部材14のリブ14kが第1筒状部材12の傾斜リブ12pの傾斜面12rに当接し、第2筒状部材14に対して第1筒状部材12を軸線方向D1(後方)に移動させることができる。従って、第1筒状部材12を第2筒状部材14に対して突出させることができるので、保持部材11を第1筒状部材12と共に第2筒状部材14から引き抜くことが可能となる。
【0071】
スリーブ13の第2溝13gには、スリーブ13の軸線方向D1に移動する突起11bが当接する凸部13vが形成されていてもよい。この場合、保持部材11の突起11bが第2溝13gに存在すると突起11bはスリーブ13に形成された第2溝13gの凸部13vに当接する。従って、第2溝13gの凸部13vに突起11bが当接することにより、スリーブ13から保持部材11が意図せず外れる可能性をより低減させることができる。
【0072】
第2溝13gは、スリーブ13の端面13fに向かうに従って第2溝13gの幅が広がる拡幅部13tを有してもよい。この場合、第2溝13gの拡幅部13tがスリーブ13の端面13fに向かうに従って拡幅することにより、第2溝13gへの突起11bの挿入を容易に行うことができる。従って、化粧料Mを保持する保持部材11の突起11bを第2溝13gを介して第1溝13dに容易に挿入することができるので、化粧料Mの交換を容易に行うことができる。また、スリーブ13の第2溝13gの拡幅部13tにより、スリーブ13に対する保持部材11の周方向の位置によらずに拡幅部13tを介して第2溝13gに突起11bを挿入可能となるので、スリーブ13に対する保持部材11の装着を容易に行うことができる。前述したように、例えば、突起11bが第1面13w及び第2面13xに案内されるため、スリーブ13への保持部材11の挿し込みをスムーズに行うことができる。
【0073】
図3(b)に示されるように、拡幅部13tは、スリーブ13の軸線方向D1に対して傾斜する第1面13w及び第2面13xによって画成されていてもよく、第1面13wの端面13fとは反対側(例えば角部13b3)の軸線方向D1の位置が、第2面13xの端面13fとは反対側(例えば角部13b4)の軸線方向D1の位置からずれていてもよい。この場合、拡幅部13tを画成する第1面13wにおける軸線方向D1の端部の位置が、拡幅部13tを画成する第2面13xにおける軸線方向D1の端部の位置からずれている。従って、スリーブ13の第2溝13gに保持部材11の突起11bがかみ込むことを抑制することができるので、スリーブ13に対する保持部材11の装着を一層容易に行うことができる。
【0074】
以上、本開示に係る繰出容器の実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係る繰出容器は、前述の実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、繰出容器を構成する部品の構成、形状、大きさ、数、材料及び配置態様は前述した実施形態に限られず適宜変更可能である。
【0075】
例えば、前述の実施形態では、保持部材11、第1筒状部材12、スリーブ13及び第2筒状部材14を有する繰出機構10にキャップ2が着脱される繰出容器1について説明した。しかしながら、繰出容器の繰出機構の構成は、保持部材11、第1筒状部材12、スリーブ13及び第2筒状部材14を備えるものに限られず適宜変更可能である。例えば、第1筒状部材12及び第2筒状部材14の少なくともいずれかを有しない繰出容器であってもよい。前述の実施形態では、第1筒状部材12が傾斜リブ12pを有し、第2筒状部材14がリブ14kを有する例について説明した。しかしながら、第1筒状部材12がリブを有し、第2筒状部材14が傾斜リブを有していてもよい。
【0076】
前述の実施形態では、塗布材が化粧料Mである例について説明した。このように、本開示に係る塗布材はリップグロス、リップ、アイカラー、アイライナー、美容液、洗浄液、ネールエナメル、ネールケア溶液、ネールリムーバー、マスカラ、ヘアーカラー、頭髪用化粧料、オーラルケア、マッサージオイル、角栓ゆるめ液、ファンデーション、コンシーラー、スキンクリーム、若しくはマーキングペン等の文房具(描画材)、液状の医薬品、又は泥状物等を含む液状の塗布材であってもよく、これらの塗布材を本開示に係る繰出容器に適用することも可能である。
【0077】
次に、変形例に係る繰出容器21について図14及び図15を参照しながら説明する。繰出容器21の一部の構成は、前述した繰出容器1の一部の構成と同一であるため、前述した内容と重複する内容の説明を適宜省略する。図14は、繰出容器21の断面図である。図15は、繰出容器21のスリーブ33の断面図である。図14及び図15に示されるように、繰出容器21は、第2筒状部材14を有しない点において繰出容器1とは異なっている。
【0078】
繰出容器21は、繰出機構30を備える。繰出機構30は、例えば、化粧料Mを保持する保持部材31と、保持部材31が収容された第1筒状部材32と、第1筒状部材32が挿入される筒状のスリーブ33と、スリーブ33に入り込んでスリーブ33を封止する尾栓34とを備える。なお、図14では、保持部材31の構成をより明確に示すため、化粧料Mの図示を省略している。
【0079】
繰出容器21では、スリーブ33に対して尾栓34、第1筒状部材32及び保持部材31が着脱される。スリーブ33は、第1筒状部材32及び保持部材31が挿入される筒孔33bを有する。スリーブ33は、挿入された第1筒状部材32が対向する内周面33cを有する。内周面33cには、第1溝33d、及び第1溝33dから後方に延びる第2溝33gが形成されている。
【0080】
第1溝33dは、スリーブ33の一端33hから螺旋状に延びている。保持部材31は、突起11bと同様の突起を有し、この突起が第1溝33dに係合する。よって、保持部材31は、前述した保持部材11と同様、スリーブ33に対して回転しながら前後に移動可能とされている。繰出機構30では、保持部材31がスリーブ33に対して前進することによって保持部材31に保持された化粧料Mが繰り出され、化粧料Mが第1筒状部材32の開口32jから突出する。保持部材31がスリーブ33に対して後退することによって保持部材31に保持された化粧料Mが第1筒状部材32の内部へ繰り戻される。
【0081】
第1溝33dは、第2溝33gとの接続部33kよりも延長した箇所に保持部材31の突起を保持する突起保持部33mを有する。突起保持部33mは、例えば突起保持部13mと同様、接続部33kから延長して延びる第1面33pと、第1面33pからスリーブ33の軸線方向D1に延びる底面33qと、底面33qの第1面33pとは反対側の端部から第2溝33gまで延びる第2面33rとによって画成されている。
【0082】
第2溝33gは、接続部33kから延びる延在部33sと、延在部33sから後方に向かって広がる拡幅部33tとを有する。拡幅部33tは、軸線方向D1に対して傾斜する第1面33w及び第2面33xによって画成されている。延在部33sは、第2面33xと、軸線方向D1に延在する第3面33yによって画成されている。第2溝33gは、第1面33w及び第3面33yの間に位置する角部33b3と、接続部33k及び第2面33xの間に位置する角部33b4とを有する。角部33b4は、第2面33xの端面33fとは反対側の端部に位置している。角部33b4の軸線方向D1の位置は、突起保持部33mの軸線方向D1の位置と一致している。
【0083】
スリーブ33は、一端33hから後方に延びる外周面33b1と、外周面33b1の後端において拡径する第1段差部35yと、第1段差部35yの後端において拡径する第2段差部35xとを有する。スリーブ33は、第2段差部35xから端面33fに向かうに従って拡径するように傾斜する傾斜面35gを有し、傾斜面35gの後端に端面33fが設けられる。
【0084】
スリーブ33の内周面における端面33fの前側には、スリーブ33の周方向に延びる環状凹凸部35jと、軸線方向D1に延在するリブ35kとが形成されている。環状凹凸部35jには尾栓34が係合する。環状凹凸部35jへの尾栓34の係合により、スリーブ33に尾栓34が軸線方向D1に係合する。スリーブ33は、例えば、複数のリブ35kを備える。リブ35kが尾栓34に係合することにより、スリーブ33に尾栓34が周方向に係合する。すなわち、尾栓34はスリーブ33に同期回転可能に係合する。
【0085】
以上のように構成される繰出容器21では、保持部材31の突起が突起保持部33mに入り込んだ後、保持部材31及びスリーブ33を繰出方向へ相対回転させることにより保持部材31の突起が周方向に移動して第2溝33gの第2面33xに接触する。第2面33xに接触した保持部材31の突起は、第2面33xに沿って後方に案内された後、スリーブ33から離脱する。このように保持部材31の突起をスリーブ33から離脱させることによってスリーブ33から保持部材31を取り外すことができる。
【0086】
スリーブ33に保持部材31を装着するときには、保持部材31がスリーブ33に軸線方向D1に沿って挿し込まれる。このとき、保持部材31の突起がスリーブ33の第2溝33gの拡幅部33tに入り込む。第2溝33gが拡幅部33tを有することにより、スリーブ33に対する保持部材31の回転位置によらずにスリーブ33への保持部材31の挿し込みをスムーズに行うことができる。本実施形態では、保持部材31の突起は、接続部33kに軸線方向D1に沿って入り込まない(保持部材31の突起の周方向の位置が接続部33kの周方向の位置からずれている)場合であっても、第1面33w及び第2面33xの少なくともいずれかに案内されるため、スリーブ33への保持部材31の挿し込みをスムーズに行うことができる。
【0087】
以上、変形例に係る繰出容器21では、化粧料Mを保持する保持部材31の突起を第2溝33gに通すことによってスリーブ33の端面33fから当該突起を外すことができるので、スリーブ33から保持部材31を容易に外すことができる。従って、繰出容器21からは前述した繰出容器1と同様の作用効果が得られる。
【0088】
更に、変形例に係る繰出容器21において、拡幅部33tは、スリーブ33の軸線方向D1に対して傾斜する第2面33xによって一部が画成されており、突起保持部33mの軸線方向D1の位置が、第2面33xの軸線方向D1の範囲内にある。すなわち、突起保持部33mの少なくとも一部の軸線方向D1の位置が、第2面33xの少なくとも一部の軸線方向D1の位置と一致している。このように、突起保持部33mの軸線方向D1の位置が、第2面33xの軸線方向D1の範囲内にあることにより、保持部材31及びスリーブ33を相対回転させたときに、突起保持部33mに保持されている突起を第2溝33gの第2面33xに移動させることができる。従って、相対回転によって保持部材31の突起を第2溝33gの第2面33xに移動させることができるので、スリーブ33から保持部材31を更に容易に外すことができる。以上、変形例に係る繰出容器21について説明した。しかしながら、本開示に係る繰出容器は、前述の変形例にも限定されず、更に変形することが可能である。
【符号の説明】
【0089】
1,21…繰出容器、2…キャップ、2b…内周面、2c…環状凹部、2d…環状凸部、2f…開口、10,30…繰出機構、11,31…保持部材、11b…突起、11c…塗布材保持部、11d…筒状部、11f…内周面、11g…リブ、11h…突部、11j…貫通孔、11k…第1貫通孔、11m…第2貫通孔、12,32…第1筒状部材、12b…筒孔、12c…挿入部、12d…拡径部、12f…貫通溝、12g…第1溝部、12h…第2溝部、12j…第3溝部、12k…端面、12m…第4溝部、12p…傾斜リブ、12q…凸部、12r…傾斜面、12s…傾斜部、12t…延在部、12v…リブ、13,33…スリーブ、13b,33b…筒孔、13b1,33b1…外周面、13b2…環状突起、13b3,13b4…角部、13b6…環状凹部、13c,33c…内周面、13d,33d…第1溝、13f,33f…端面、13g,33g…第2溝、13h,33h…一端、13j…開口、13k,33k…接続部、13m,33m…突起保持部、13p,33p…第1面、13q,33q…底面、13r,33r…第2面、13s,33s…延在部、13t,33t…拡幅部、13v…凸部、13w,33w…第1面、13x,33x…第2面、13y,33y…第3面、13z…第4面、14…第2筒状部材、14b…内周面、14c…外周面、14d…段差部、14f…小径部、14g…大径部、14h…突起、14j,35j…環状凹凸部、14k,35k…リブ、14m…端面、14p…環状凹凸部、14q…端部、32j…開口、34…尾栓、35g…傾斜面、35x…第2段差部、35y…第1段差部、D1…軸線方向、D2…径方向、M…化粧料(塗布材)。
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