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  • 特開-液体状洗浄剤組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159860
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】液体状洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 10/06 20060101AFI20221011BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20221011BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20221011BHJP
   C11D 3/28 20060101ALI20221011BHJP
   C11D 7/32 20060101ALI20221011BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20221011BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20221011BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20221011BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20221011BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
C11D10/06
C11D1/04
C11D17/08
C11D3/28
C11D7/32
A61Q19/10
A61K8/02
A61K8/36
A61K8/49
A61Q5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064301
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】591040144
【氏名又は名称】太陽油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】政田 尚子
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC251
4C083AC252
4C083AC851
4C083AC852
4C083CC23
4C083CC38
4C083DD23
4C083EE01
4H003AB03
4H003BA12
4H003DA01
4H003DA02
4H003DA17
4H003EA21
4H003EB07
4H003EB17
4H003EB20
4H003FA15
4H003FA16
(57)【要約】
【課題】 時間の経過による色調変化及び劣化臭の発生が抑制された、不飽和脂肪酸を含む脂肪酸のアルカリ金属塩を含有する新規な液体状洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】 液体状洗浄剤組成物であって、前記組成物は、前記組成物全体を基準として、不飽和脂肪酸を含む脂肪酸のアルカリ金属塩を3~36質量%、ピロリドンカルボン酸及びその塩からなる群から選択される1種以上を0.01~10.3質量%含有する、前記組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体状洗浄剤組成物であって、
前記組成物は、前記組成物全体を基準として、不飽和脂肪酸を含む脂肪酸のアルカリ金属塩を3~36質量%、ピロリドンカルボン酸及びその塩からなる群から選択される1種以上を0.01~10.3質量%含有する、前記組成物。
【請求項2】
前記脂肪酸のアルカリ金属塩の含有量をx[質量%]、前記ピロリドンカルボン酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の含有量の上限値をy[質量%]としたときに、以下の式(1)又は式(2)を満たす、請求項1に記載の液体状洗浄剤組成物。
(1)xが3質量%以上、20質量%以下のとき y=0.4x+2.25
(2)xが20質量%より大きく、36質量%以下のとき y=-0.17x+13.5
【請求項3】
前記不飽和脂肪酸が、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、エイコセン酸、及びエルカ酸からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の液体状洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記脂肪酸のアルカリ金属塩において、ナトリウム塩とカリウム塩とのモル比が0:10~4:6である、請求項1~3のいずれかに記載の液体状洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体状洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪酸のアルカリ金属塩、いわゆる脂肪酸石けんは古くから使用されている洗浄剤であり、植物油脂の鹸化や、脂肪酸と水酸化カリウムや水酸化ナトリウムとの中和反応により製造されている。鹸化で用いられる植物油脂の多くには不飽和脂肪酸が含まれているが、一般的に不飽和脂肪酸は酸化されやすく、不飽和脂肪酸を配合した脂肪酸のアルカリ金属塩は経時変化により劣化臭の発生や色調の変化といった問題が生じていた。
その対策として、不飽和脂肪酸を含む油脂には、一般的にトコフェロール等の酸化防止剤が使用されており(特許文献1)、この抗酸化作用を目的としてトコフェロールを配合した石けん製品も広く流通している。
酸化防止剤を使用しない場合に、発生する劣化臭を香料でマスキングする方法もあるが、抜本的な解決には至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭57-179297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、時間の経過による色調変化及び劣化臭の発生が抑制された、不飽和脂肪酸を含む脂肪酸のアルカリ金属塩を含有する新規な液体状洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ピロリドンカルボン酸及びその塩からなる群から選択される1種以上を特定の量で配合させることにより、液体状洗浄剤としての使用適性を具備しながら、時間の経過による液体状洗浄剤組成物の色調変化及び劣化臭の発生を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
本発明によれば、以下の液体状洗浄剤組成物等を提供できる。
1.液体状洗浄剤組成物であって、
前記組成物は、前記組成物全体を基準として、不飽和脂肪酸を含む脂肪酸のアルカリ金属塩を3~36質量%、ピロリドンカルボン酸及びその塩からなる群から選択される1種以上を0.01~10.3質量%含有する、前記組成物。
2.前記脂肪酸のアルカリ金属塩の含有量をx[質量%]、前記ピロリドンカルボン酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の含有量の上限値をy[質量%]としたときに、以下の式(1)又は式(2)を満たす、1に記載の液体状洗浄剤組成物。
(1)xが3質量%以上、20質量%以下のとき y=0.4x+2.25
(2)xが20質量%より大きく、36質量%以下のとき y=-0.17x+13.5
3.前記不飽和脂肪酸が、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、エイコセン酸、及びエルカ酸からなる群から選ばれる1種以上である、1又は2に記載の液体状洗浄剤組成物。
4.前記脂肪酸のアルカリ金属塩において、ナトリウム塩とカリウム塩とのモル比が0:10~4:6である、1~3のいずれかに記載の液体状洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、時間の経過による色調変化及び劣化臭の発生が抑制された、不飽和脂肪酸を含む脂肪酸のアルカリ金属塩を含有する新規な液体状洗浄剤組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例10~19における脂肪酸カリウムの含有量とピロリドンカルボン酸ナトリウムの含有量の上限値との相関関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の液体状洗浄剤組成物の実施形態について、具体的に説明する。
本明細書中において、一の特徴についての好ましい態様を、他の一又はそれより多い特徴の好ましい態様と任意に組み合わせることができる。
また、本明細書中において、数値範囲を示す「X~Y」の記載は、「X以上、Y以下」であることを意味し、各パラメータについて、下限値と上限値を任意に組み合わせて数値範囲とすることができる。
【0010】
本発明の液体状洗浄剤組成物は、前記組成物全体を基準として、不飽和脂肪酸を含む脂肪酸のアルカリ金属塩を3~36質量%、ピロリドンカルボン酸及びその塩からなる群から選択される1種以上を0.01~10.3質量%含有することを特徴とするものである。
本発明の液体状洗浄剤組成物は、ピロリドンカルボン酸及びその塩からなる群から選択される1種以上を特定の量で配合させることにより、時間の経過による色調変化及び劣化臭の発生が抑制されるという効果を奏することができ、さらに、液体洗浄剤としての使用適性を具備することができる。
【0011】
本明細書において、「液体状」とは、B型粘度計(製品名:VISCOMETER(MODEL LVP)、BROOKFIELD社製)を用いて、25℃にてローターNo.4を使用し、30rpmで1分間回転させた後の値を測定したときに、粘度が20000mPa・s以下であることをいうものとする。この粘度範囲であれば、液体洗浄剤としての使用適性を示す流動性があることを意味する。
【0012】
本発明の液体状洗浄剤組成物において、脂肪酸のアルカリ金属塩を構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸からなる群から選択される1種以上であり、不飽和脂肪酸を含むものとする。
アルカリ金属塩は、アルカリ金属元素の塩であり、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0013】
本発明の液体状洗浄剤組成物において、不飽和脂肪酸を含む脂肪酸のアルカリ金属塩の含有量は、組成物全体を基準として、3~36質量%であり、好ましくは5~35質量%であり、より好ましくは10~35質量%である。
【0014】
飽和脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸は、脂肪酸自体が好ましくない臭いを呈し、カプリル酸、カプリン酸とラウリン酸のナトリウム塩若しくはカリウム塩は皮膚刺激性があるため、液体状洗浄剤組成物中における炭素数14以下の飽和脂肪酸の含有量は、全脂肪酸の含有量を基準として、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは65%質量以下である。パルミチン酸、ステアリン酸等の炭素数16以上の飽和脂肪酸が多いと、得られる洗浄剤組成物の粘度が高くなる傾向があり、場合によっては洗浄剤組成物が固化するため、液体状洗浄剤組成物中における炭素数16以上の飽和脂肪酸の含有量は、全脂肪酸の含有量を基準として、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0015】
不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸等が挙げられる。
液体状洗浄剤組成物中における飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の含有割合(「飽和脂肪酸の含有量:不飽和脂肪酸の含有量(質量比)」)は、特に限定されず、例えば20:80~95:5、好ましくは25:75~93:7、より好ましくは30:70~90:10である。
【0016】
本発明の液体状洗浄剤組成物において、脂肪酸のアルカリ金属塩における、ナトリウム塩とカリウム塩とのモル比は、好ましくは0:10~4:6であり、より好ましくは0:10~3:7である。上記の範囲であることにより、洗浄剤組成物の性状を液体状に保ったまま、洗浄組成物中における脂肪酸のアルカリ金属塩の含有量を0.1~1.0質量%高くすることができる。
【0017】
本発明の液体状洗浄剤組成物において、ピロリドンカルボン酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の含有量は、組成物全体を基準として、0.01~10.3質量%であり、好ましくは0.01~8.5質量%であり、より好ましくは0.1~5.0質量%であり、さらにより好ましくは、0.25~3.0質量%、さらにより好ましくは0.25~1.5質量%である。
【0018】
ピロリドンカルボン酸の塩としては、例えば、ナトリウム、亜鉛、カリウム等の塩が挙げられる。
ピロリドンカルボン酸ナトリウムは、天然保湿因子のなかで重要な働きをしている保湿成分であることが知られているが、本発明の液体状洗浄剤組成物において、不飽和脂肪酸を含む脂肪酸のアルカリ金属塩と組み合わせて特定の含有割合で使用することにより、時間の経過による色調変化や劣化臭の発生を抑制できるということは、従来知られていなかった新たな知見である。
【0019】
本発明の液体状洗浄剤組成物は、前記脂肪酸のアルカリ金属塩の含有量をx[質量%]、前記ピロリドンカルボン酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の含有量の上限値をy[質量%]としたときに、以下の式(1)又は式(2)を満たすことが好ましい。
(1)xが3質量%以上、20質量%以下のとき y=0.4x+2.25
(2)xが20質量%より大きく、36質量%以下のとき y=-0.17x+13.5
式(1)及び式(2)は、後述する実施例における検討により導出した、脂肪酸のアルカリ金属塩の含有量とピロリドンカルボン酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の含有量の上限値との相関関係を示す実験式である。
本発明の液体状洗浄剤組成物は、脂肪酸のアルカリ金属塩を特定の含有量で含有し、これに対して、ピロリドンカルボン酸及びその塩からなる群から選択される1種以上を特定の含有量で含有することにより、時間の変化による劣化臭の発生等を抑制することができる。特に、式(1)及び式(2)にしたがい、ピロリドンカルボン酸及びその塩からなる群から選択される1種以上の含有量の上限値を規定することにより、液体状洗浄剤組成物の相分離を抑制して均一系の溶液とすることができる。
【0020】
本発明の液体状洗浄剤組成物の一態様において、脂肪酸のアルカリ金属塩と、ピロリドンカルボン酸及びその塩からなる群から選択される1種以上との質量比は、例えば1:0.001~1:0.600であり、好ましくは1:0.003~1:0.400、より好ましくは1:0.005~1:0.200である。
本発明の液体状洗浄剤組成物は、脂肪酸のアルカリ金属塩を特定の含有量で含有し、これに対して、ピロリドンカルボン酸及びその塩からなる群から選択される1種以上を特定の含有量で含有することにより、時間の変化による劣化臭の発生等を抑制することができる。
【0021】
本発明の液体状洗浄剤組成物は、そのまま洗浄剤製品として使用することができ、又は、さらに任意成分として、脂肪酸のアルカリ金属塩以外の陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、増粘剤、香料、pH調整剤、エキス成分、洗浄補助剤、防腐剤等を含んでもよい。
洗浄剤製品において、本発明の液体状洗浄剤組成物の含有量は、製品全体を基準として、例えば、60質量以上、70質量%以上、80質量以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、又は100質量%である。
洗浄剤製品が上記の任意成分を含む場合、任意成分の含有量は、製品全体を基準として、例えば、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、又は2質量%以下である。
【0022】
脂肪酸のアルカリ金属塩以外の陰イオン界面活性剤としては、当技術分野において既知の任意のものを使用することができ、例えば、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アシルアミノ酸塩等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、当技術分野において既知の任意のものを使用することができ、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、当技術分野において既知の任意のものを使用することができ、例えば、アルキル酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0023】
非イオン界面活性剤としては、当技術分野において既知の任意のものを使用することができ、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット・ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は、一般に化粧料、洗浄料に用いられるものから選択することができる。
【0024】
保湿剤としては、当技術分野において既知の任意のものを使用することができ、例えば、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、プロパンジオール、ベタイン、トレハロース、ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
増粘剤としては、当技術分野において既知の任意のものを使用することができ、例えば、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム、タマリンドガム、アルギン酸ナトリウム等の天然高分子;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化セルロース等の半合成高分子;カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、メタクリロイルエチルベタイン・メタクリル酸エステル共重合体、塩化ジメチルアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体等の合成高分子が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。増粘剤を使用することにより、液体洗浄剤組成物の用途に合わせた好適な性状とすることができる。
【0026】
香料としては、当技術分野において既知の任意のものを使用することができ、例えば、リモネン、ゲラニオール、リナロール、シトラール等の単離香料又は合成香料、ラベンダー油、ペパーミント油、オレンジ油、イランイラン油、フランキンセンス油、ローレル油、ローズウッド油等の精油が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
pH調整剤としては、当技術分野において既知の任意の無機酸、有機酸、無機塩基、有機塩基を使用することができる。なかでも有機酸と無機塩基が好ましく、例えば、有機酸は、クエン酸、乳酸、酪酸、グリコール酸等が挙げられ、無機塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の液体状洗浄剤組成物のpHは、特に限定されないが、洗浄力、皮膚刺激性の観点から、8.5~10.99であることが好ましい。
【0028】
エキス成分としては、当技術分野において既知の任意のものを使用することができ、例えば、アシタバエキス、アセンヤクエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アマチャヅルエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、油溶性アルニカエキス、アルモンドエキス、アロエエキス、アンソッコウエキス、イチョウエキス、イラクサエキス、イリス根エキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オクラエキス、オトギリソウエキス、油溶性オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、油溶性オドリコソウエキス、オノニスエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、オレンジフラワー水、海藻エキス、カキタンニン、カッコンエキス、カノコソウエキス、ガマエキス、カモミラエキス、油溶性カモミラエキス、カモミラ水、カラスムギエキス、カロットエキス、油溶性カロットエキス、カロット油、カワラヨモギエキス、カンゾウエキス、カンゾウ抽出末、カンゾウフラボノイド、カンタリスチンキ、キイチゴエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、キョウニンエキス、クインスシードエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミ殻エキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、黒砂糖エキス、クロレラエキス、クワエキス、ケイヒエキス、ゲンチアナエキス、ゲンノショウコエキス、紅茶エキス、コウホネエキス、ゴボウエキス、油溶性ゴボウエキス、コムギ胚芽エキス、加水分解コムギ末、コメヌカエキス、コメヌカ発酵エキス、コンフリーエキス、サイシンエキス、サフランエキス、サボンソウエキス、油溶性サルビアエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、ジオウエキス、シコンエキス、油溶性シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、油溶性シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ジュズダマエキス、ショウキョウエキス、油溶性ショウキョウエキス、ショウキョウチンキ、ショウブ根エキス、シラカバエキス、油溶性シラカバエキス、シラカバ樹液、スイカズラエキス、スギナエキス、油溶性スギナエキス、スコルジニン、ステビアエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウネズエキス、セイヨウノコギリソウエキス、油溶性セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、油溶性セージエキス、セージ水、ゼニアオイエキス、セロリエキス、センキュウエキス、センキュウ水、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、チャエキス、チャ乾留液、チャ実エキス、チョウジエキス、チンピエキス、ツバキエキス、ツボクサエキス、油溶性テウチグルミエキス、デュークエキス、テルミナリアエキス、トウガラシチンキ、トウキエキス、油溶性トウキエキス、トウキ水、トウキンセンカエキス、油溶性トウキンセンカエキス、豆乳末、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、トルメンチラエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、油溶性ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、油溶性ノバラエキス、バクガエキス、バクガ根エキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、ハダカムギ葉汁濃縮物、蒸留ハッカ水、ハマメリス水、ハマメリス抽出液、バラエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビワ葉エキス、油溶性ビワ葉エキス、フキタンポポエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブッチャーブルームエキス末、ブドウエキス、ブドウ葉エキス、ブドウ水、ヘイフラワーエキス、ヘチマエキス、ヘチマ水、ベニバナエキス、油溶性ボダイジュエキス、ボダイジュ水、ボタンエキス、ホップエキス、油溶性ホップエキス、マツエキス、マリアアザミエキス、マロニエエキス、油溶性マロニエエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、メリロートエキス、モモ葉エキス、油溶性モモ葉エキス、モヤシエキス、ヤグルマギクエキス、ヤグルマギク水、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、油溶性ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ヨモギ水、ラベンダーエキス、ラベンダー水、リンゴエキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズ水、ローズマリーエキス、油溶性ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ワレモコウエキス等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
洗浄補助剤としては、当技術分野において既知の任意のものを使用することができ、例えば、炭酸塩、ムクロジエキス等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
防腐剤としては、当技術分野において既知の任意のものを使用することができ、例えば、フェノキシエタノール、安息香酸又はその塩、ソルビン酸又はその塩、デヒドロ酢酸又はその塩、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
本発明の液体状洗浄剤組成物は、一態様において、セルロース誘導体を含有しないか、又は、セルロース誘導体を含有する場合は、その含有量が、組成物全体を基準として0.01質量%未満であることが好ましい。
【0031】
本発明の液体状洗浄剤組成物は、一態様において、ポリオキシエチレンアルキルグリコシドを含有しないか、又は、ポリオキシエチレンアルキルグリコシドを含有する場合は、その含有量が、組成物全体を基準として0.001質量%未満であることが好ましい。
【0032】
本発明の液体状洗浄剤組成物は、一態様において、粘土鉱物を含有しないか、又は、粘土鉱物を含有する場合は、その含有量が、組成物全体を基準として2.5質量%未満であることが好ましい。粘土鉱物としては、例えば、ソジウム・モンモリロナイト、ヘクトライト等が挙げられる。
【0033】
本発明の液体状洗浄剤組成物は、一態様において、ポリオキシプロピレン脂肪酸イソプロパノールアミドを含有しない。
【0034】
本発明の液体状洗浄剤組成物は、無色であってもよく、又は、当技術分野において既知の任意の着色剤を配合することにより着色されていてもよい。洗浄剤組成物の製品設計に応じて、適宜、変更することができる。
【0035】
本発明の液体状洗浄剤組成物は、すべての構成成分が均一相を構成し、透明であることが好ましい。一部の構成成分が連続相から相分離し、浮遊物が発生すると、白濁の原因となり、美観の観点から好ましくない。
【0036】
本発明の液体状洗浄剤組成物は、天然由来の材料のみから構成してもよく、又は、天然由来の材料に合成材料を配合して構成してもよい。天然由来の材料のみから構成した場合、合成化学物質を好まない需要者層に対して、嗜好性の高い液体状洗浄剤組成物を提供することができる。
【0037】
本発明の液体状洗浄剤組成物は、ハンドソープ、ボディーソープ、シャンプー、洗顔剤等の皮膚洗浄剤や、食器用洗剤、洗濯用洗剤等の洗浄剤として好適に使用することができる。
【0038】
本発明の液体状洗浄剤組成物は、所定の構成成分を所定量で配合し、均一に混合することにより、製造することができる。混合の手段は、当技術分野において既知のものを使用することができ、混合の条件は、組成物が均一になることを条件として、適宜設定することができる。
【実施例0039】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に何ら限定されるものではない。
【0040】
実施例1
表1に示す量の脂肪酸、水、及び水酸化カリウムを混合し、クエン酸水溶液を適量加えてpHを9.5~10.5に調整した。次いで、表1に示す量のピロリドンカルボン酸ナトリウム(味の素株式会社製、AJIDEW(登録商標)NL-50:50%水溶液)を添加し混合して、洗浄剤組成物試料を調製した。表1中、水の含有量の「残分」とは、洗浄剤組成物試料を構成する他の成分の含有量と合計して100質量%となる量を意味する。
調製した試料100gを100mlのポリプロピレン製容器に入れ、50℃の恒温槽に1週間静置したあと、臭気と色調を次の手順で評価した。
【0041】
臭気の評価
臭気評価は、試料の酸化劣化臭について専門パネル5名により1点~7点の7段階の基準で評点を付けて行った。評価に際して、専門パネルの間で、劣化臭がどれだけ強くなった場合に評点を上げるか、どれだけよくなった場合に評点を下げるかについて、基準を統一した。
1点:劣化臭なし
2点:かなり弱い劣化臭あり
3点:やや劣化臭あり
4点:劣化臭あり
5点:やや強い劣化臭あり
6点:かなり強い劣化臭あり
7点:非常に強い劣化臭あり
さらに、各試料について専門パネル5名の評点の平均値を計算して、次の基準により評価した。結果を表1に示す。
◎:評点平均値2点以下
〇:評点平均値2点超~3点以下
△:評点平均値3点超~4点以下
×:評点平均値4点超
【0042】
色調の評価
色調の評価は、各試料を色彩色差計CR-400(コニカミノルタ株式会社製)にて専用セルを用いΔb*値を測定し、後述する表1の比較例1を作製した直後のΔb*値との差を求め、次の基準で評価した。比較例1は、ピロリドンカルボン酸ナトリウムを配合していない、透明の試料である。結果を表1に示す。
◎:差が2.0以下
〇:差が2.0超~3.0以下
△:差が3.0超~6.0以下
×:差が6.0超
【0043】
実施例2~9及び比較例1~4
表1に示す成分を使用して、実施例1と同様に、洗浄剤組成物試料を調製した。トコフェロールを配合する場合は、トコフェロールをグリセリンに分散し、これをpH調整後の混合物に添加した。調製した試料について、実施例1と同様に臭気と色調を評価した。結果を表1に示す。
【0044】

【表1】
【0045】
ピロリドンカルボン酸ナトリウムを配合していない比較例1は、透明で液体の洗浄剤組成物が得られ、使用したとき泡立ちがよく、洗浄剤としての使用適性に問題がないことを確認した。しかし、臭気評価において、時間の経過による劣化臭が発生した。
【0046】
ピロリドンカルボン酸ナトリウムを配合した実施例1~9は、いずれも透明で液体の洗浄剤組成物が得られ、使用したとき泡立ちがよく、洗浄剤としての使用適性に問題がないことを確認した。臭気評価、色調評価ともに、50℃の過酷な環境においても時間の経過による劣化はみられなかった。
【0047】
実施例1を基準として、ピロリドンカルボン酸ナトリウムの代わりにトコフェロールとその溶剤としてグリセリンとを配合した比較例2は、色調評価において、時間の経過により許容できない色調変化がみられた。トコフェロールは天然由来成分の酸化防止剤であるが、酸化により赤色を呈するため、色調変化の要因となったと考えられる。一方、比較例2に対してピロリドンカルボン酸ナトリウムを配合した実施例2は、トコフェロールを含有していても色調評価において色調の変化はみられなかった。
【0048】
脂肪酸カリウムの含有量が少ない比較例4は、洗浄剤として使用したときに非常に泡立ちにくく、使用適性に乏しかった。
脂肪酸カリウムの含有量が多い比較例3は、調製後の組成物が液体ではなく固体となり、液体状洗浄剤組成物を調製できなかった。臭気及び色調の評価は行わなかった。
【0049】
実施例1を基準として、脂肪酸カリウムを構成する脂肪酸の種類と配合量とを変更した実施例6、8及び9は、透明で液体の洗浄剤組成物が得られ、使用したとき泡立ちがよく、洗浄剤としての使用適性に問題がないことを確認した。
実施例6に対してトコフェロールとその溶剤としてグリセリンとを配合した実施例7は、色調評価において、時間の経過による色調の変化はみられなかった。
【0050】
実施例10~19及び比較例5~14
表2又は表3に示す成分を使用して、実施例1と同様に、洗浄剤組成物試料を調製した。表2及び表3中、水の含有量の「残分」とは、洗浄剤組成物試料を構成する他の成分の含有量と合計して100質量%となる量を意味する。
調製した試料について、実施例1と同様に臭気と色調を評価した。結果を表2及び表3に示す。
【0051】

【表2】
【表3】
【0052】
脂肪酸カリウム含有量を種々変更して、ピロリドンカルボン酸ナトリウムを配合した実施例10~19は、いずれも透明で液体の洗浄剤組成物が得られ、使用したとき泡立ちがよく、洗浄剤としての使用適性に問題がないことを確認した。臭気評価、色調評価ともに、50℃の過酷な環境においても時間の経過による劣化はみられなかった。
種々の脂肪酸カリウム含有量において、ピロリドンカルボン酸ナトリウムの含有量が多い比較例5~14は、液相が分離して液表面に浮遊し、外観上、白濁した。臭気及び色調の評価は行わなかった。
【0053】
実施例10~19の結果に基づき、脂肪酸カリウムの含有量とピロリドンカルボン酸ナトリウムの含有量の上限値との相関関係を一次式に近似して導出した。結果を図1に示す。
実施例10~19はいずれも、液体状洗浄剤としての使用適性を具備し、時間の経過による色調変化及び劣化臭の発生が抑制された試料である。一方、比較例5~14はいずれも、液体状洗浄剤としての性状が好ましくない試料である。種々の脂肪酸カリウム含有量において、ピロリドンカルボン酸ナトリウムの含有量が実施例10~19における値を上限とする範囲においては、実施例10~19と同様に液体状洗浄剤として好適な試料が得られるものと推測される。
【0054】
実施例10~19の結果から、図1に示すとおり、脂肪酸カリウムの含有量をx[質量%]、ピロリドンカルボン酸ナトリウムの含有量の上限値をy[質量%]としたときに、脂肪酸カリウムの含有量により、以下の式(1)又は式(2)を満たすことが分かる。
(1)xが3質量%以上、20質量%以下のとき y=0.4x+2.25
(2)xが20質量%より大きく、36質量%以下のとき y=-0.17x+13.5
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の液体状洗浄剤組成物は、時間の経過による色調変化及び劣化臭の発生を抑制することができ、ハンドソープ、ボディーソープ、シャンプー、洗顔剤等の皮膚洗浄剤や、食器用洗剤、洗濯用洗剤等の洗浄剤として使用できる点で、産業上の利用可能性にすぐれる。
図1