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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159867
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】部品の取付構造
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20221011BHJP
   B60J 5/06 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
F16J15/10 N
B60J5/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064316
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 直也
(72)【発明者】
【氏名】石垣 浩
【テーマコード(参考)】
3J040
【Fターム(参考)】
3J040BA01
3J040EA02
3J040EA16
3J040HA03
(57)【要約】
【課題】シール性を確保した状態でパネルの内外にわたって部品を取り付けること。
【解決手段】パネルQPの車外面Paに取付板部333を配設し、部品挿通孔Qaを介して入力部ユニット330をパネルQPの内部に挿入した状態で、取付板部333から締結用挿通孔Qbを介してパネルQPに締結部材を設けることによって取付板部333をパネルQPに取り付けるようにした部品の取付構造であって、パネルQPと取付板部333との間には、取付板部333を覆う大きさを有した面状を成し、部品挿通孔Qa及び締結用挿通孔Qbに対応する部分にそれぞれ挿通用開口334bが設けられたシール部材334が介在され、シール部材334においてパネルQPに対向する面には、外周となる縁部に一連の外周リップ41が設けられているとともに、挿通用開口334bの周囲となる部分にそれぞれ一連となる内周リップ42が設けられている。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品挿通孔及び前記部品挿通孔の周囲に締結用挿通孔が設けられたパネルの外表面に前記部品挿通孔よりも外形の大きな取付板部を配設し、前記取付板部に設けられた部品を、前記部品挿通孔を介して前記パネルの内部に挿入した状態で、前記取付板部から前記締結用挿通孔を介して前記パネルに締結部材を設けることによって前記取付板部を前記パネルに取り付けるようにした部品の取付構造であって、
前記パネルと前記取付板部との間には、前記取付板部を覆う大きさを有した面状を成し、前記部品挿通孔及び前記締結用挿通孔に対応する部分にそれぞれ挿通用開口が設けられたシール部材が介在され、
前記シール部材において前記パネルに対向する面には、外周となる縁部に一連の外周リップが設けられているとともに、前記挿通用開口の周囲となる部分にそれぞれ一連となる内周リップが設けられていることを特徴とする部品の取付構造。
【請求項2】
前記外周リップは、前記パネルの外表面に向けて漸次外周側となるように設けられ、前記内周リップは、前記パネルの外表面に向けて漸次前記挿通用開口に近接するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の部品の取付構造。
【請求項3】
前記シール部材において前記取付板部に対向する面には、前記外周リップの先端部に対応する部分及び前記内周リップの先端部に対応する部分にそれぞれ逃げ用凹部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の部品の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品挿通孔を有したパネルの外表面から取付板部に設けられた部品を挿入した状態で取り付けるようにした部品の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に設けられるスライドドアの駆動装置では、駆動源となるモータが車両本体の内部に配設される一方、スライドドアの移動をガイドするガイドレールが車両本体の外部に設けられている。このため、これらモータ及びスライドレールの間に設けられる駆動ベルトは、車両本体を構成するパネルに部品挿通孔を形成し、この部品挿通孔を介して車両本体の内外にわたって配設されている。
【0003】
こうした部品の取付構造では、パネルに形成した部品挿通孔から雨水等の外部の水や塵埃が車両本体の内部に浸入する事態を防止する必要がある。そこで従来では、部品挿入孔よりも外形の大きな取付板部を部品に設けるとともに、取付板部の外周部分にシール部材を配設し、シール部材を介して取付板部をパネルの外表面に取り付けることによって外部からの水や塵埃の浸入を防止するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-108740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、取付板部をパネルに取り付ける場合には、加工誤差や組み立て誤差等の影響により、シール部材が全周にわたってパネルに均等に押しつけられていない状況が生じ得る。シール部材がパネルに均等に押しつけられていない場合には、取付板部とパネルとの間のシール性がバラ付くことになり、外部からの水や塵埃が浸入する事態を招来する懸念がある。水や塵埃の浸入を防止するには別のシール部材を追加することが考えられるが、部品の組み付け性が悪くなるといった別の問題が生じうる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、シール性を確保した状態でパネルの内外にわたって部品を取り付けることのできる部品の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る部品の取付構造は、部品挿通孔及び前記部品挿通孔の周囲に締結用挿通孔が設けられたパネルの外表面に前記部品挿通孔よりも外形の大きな取付板部を配設し、前記取付板部に設けられた部品を、前記部品挿通孔を介して前記パネルの内部に挿入した状態で、前記取付板部から前記締結用挿通孔を介して前記パネルに締結部材を設けることによって前記取付板部を前記パネルに取り付けるようにした部品の取付構造であって、前記パネルと前記取付板部との間には、前記取付板部を覆う大きさを有した面状を成し、前記部品挿通孔及び前記締結用挿通孔に対応する部分にそれぞれ挿通用開口が設けられたシール部材が介在され、前記シール部材において前記パネルに対向する面には、外周となる縁部に一連の外周リップが設けられているとともに、前記挿通用開口の周囲となる部分にそれぞれ一連となる内周リップが設けられていることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上述した部品の取付構造において、前記外周リップは、前記パネルの外表面に向けて漸次外周側となるように設けられ、前記内周リップは、前記パネルの外表面に向けて漸次前記挿通用開口に近接するように設けられていることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上述した部品の取付構造において、前記シール部材において前記取付板部に対向する面には、前記外周リップの先端部に対応する部分及び前記内周リップの先端部に対応する部分にそれぞれ逃げ用凹部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シール部材において外周となる縁部に外周リップを設けるとともに、部品挿通孔及び締結用挿通孔に対応する部分の周囲に内周リップを設けるようにしているため、取付板部とパネルとの間に加工誤差や組み立て誤差があった場合にも外部からの水や塵埃の浸入をより確実に防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態である部品の取付構造を適用した車両を示す図である。
図2図2は、図1に示した車両の要部を示す斜視図である。
図3図3は、図1に示した車両の要部を示す分解斜視図である。
図4図4は、図1に示した車両に適用する伝達モジュールの斜視図である。
図5図5は、図1に示した車両を車内側から見たもので、(a)は伝達モジュールを取り付ける以前の斜視図、(b)は伝達モジュールを取り付けた状態の斜視図である。
図6図6は、図1に示した車両に適用する駆動ユニット及びセンターガイドユニットの分解斜視図である。
図7図7は、図4に示した伝達モジュールの分解斜視図である。
図8図8は、図1に示した車両に適用する伝達モジュールの取付板部及びシール部材を車内側から示すもので、(a)は分解斜視図、(b)は取付板部にシール部材を装着した状態の斜視図である。
図9図9は、図1に示した車両に適用する伝達モジュールの取付板部及びシール部材を車外側から示すもので、(a)は分解斜視図、(b)は取付板部にシール部材を装着した状態の斜視図である。
図10図10は、図1に示した車両のパネルにおいて部品挿通孔を通過する部分で破断した要部断面図である。
図11図11は、図1に示した車両のパネルにおいて締結用挿通孔を通過する部分で破断した要部断面図である。
図12図12は、図1に示した車両に適用する伝達モジュールの取付板部及びシール部材を車内側から見た要部断面図である。
図13図13は、図1に示した車両に適用する伝達モジュールの取付板部及びシール部材を車内側から見た要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る部品の取付構造の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である部品の取付構造を適用した車両を示したものである。ここで例示する車両は、車両本体Bの左側面に設けられた後部座席への乗降口EをスライドドアRDによって開閉するように構成したものである。すなわち、図1に示す車両では、車両本体Bの左側面に、前方からフロントフェンダーFF、フロンドドアFD、スライドドアRD、クォータパネル(パネル)QPが設けられており、スライドドアRDを車両本体Bの車外後方側へ移動させることにより、後部座席への乗降口Eが開放されるように構成してある。
【0013】
本実施の形態で例示する車両用ドア開閉装置は、車両本体Bに対してスライドドアRDを移動可能に支持するガイドユニットUG,LG,CGと、車両本体Bに対してスライドドアRDを移動させる駆動ユニット1とを備えて構成したものである。
【0014】
ガイドユニットUG,LG,CGは、乗降口Eの上縁部に設けたアッパーガイドユニットUG、乗降口Eの下縁部に設けたロアガイドユニットLG、クォータパネルQPに設けたセンターガイドユニットCGを備えてスライドドアRDを移動可能に支持している。これらのガイドユニットUG,LG,CGは、図には明示していないが、車両本体Bの前後方向に沿って長手となるように設けたガイドレール10U,10L,10Cと、ガイドレール10U,10L,10Cの延在方向に沿って走行可能に配設したアーム部材11U,11L,11Cとを備え、アーム部材11U,11L,11Cを介してスライドドアRDに連結することにより、車両本体Bに対してスライドドアRDを移動可能に支持するものである。
【0015】
アッパーガイドユニットUG及びロアガイドユニットLGは、乗降口Eを閉じた場合にスライドドアRDによって覆われる位置にガイドレール10U,10Lが設けてある。これに対してセンターガイドユニットCGは、図1図3に示すように、スライドドアRDによって乗降口Eを閉じた場合に露出されるクォータパネルQPの車外面(外表面)Paにガイドレール10Cが取り付けてあり、別体に取り付けたカバープレートCPによってガイドレール10Cが覆ってある。図からも明らかなように、センターガイドユニットCGを設ける位置は、クォータパネルQPにおいてタイヤハウスTHと燃料給油口FCとの間となる部分である。
【0016】
後述する駆動ユニット1は、このセンターガイドユニットCGに付設するように構成したものである。アッパーガイドユニットUG及びロアガイドユニットLGについては、従前から用いられているものを適用することができる。従って、以下においては、センターガイドユニットCG及び駆動ユニット1の構成について主に説明を行う。なお、以下の説明では便宜上、車両本体Bに搭載した状態の姿勢でそれぞれの構成要素の方向を特定することとする。
【0017】
図2図7に示すように、センターガイドユニットCGのガイドレール10Cは、車両本体Bの前後方向に沿ってほぼ直線状に延在する直線レール部10Caと、直線レール部10Caの前端部から前方に向けて漸次車内側となるように湾曲して延在した湾曲レール部10Cbとを有したもので、全長にわたってほぼ同一の断面形状を有するように構成してある。本実施の形態では、主板部10a、底板部10b、上板部10c、外板部10dを一体に成形したガイドレール10Cを例示している。主板部10aは、上下方向に沿って延在するものである。底板部10b及び上板部10cは、主板部10aの上下両縁部からそれぞれ同一方向に向けて延在したものである。外板部10dは、上板部10cから主板部10aとほぼ平行となるように下方に向けて延在したものである。外板部10dと底板部10bとの間には、アーム部材11Cの通過を許容するスリットが確保してある。このガイドレール10Cは、直線レール部10Caが前後に沿ってほぼ水平となり、湾曲レール部10Cbが前方となる状態で、主板部10aの外表面を介してクォータパネルQPの車外面Paに固定してある。
【0018】
アーム部材11Cは、図には明示していないが、複数のローラを介してガイドレール10Cに配設してあり、ガイドレール10Cの長手に沿って走行可能となる状態でガイドレール10Cに支持してある。ガイドレール10Cに支持された状態のアーム部材11Cは、ガイドレール10Cのスリットを通過して外部に延在し、ドア連結ブラケット15を介してスライドドアRDに連結してある。
【0019】
駆動ユニット1は、ガイドレール10Cの上方部に配設されるもので、モータモジュール20及び伝達モジュール30を備えている。モータモジュール20は、車両用ドア開閉装置の駆動源となるもので、図には明示していないが、例えばモジュールケース21の内部に電動モータ及び減速歯車機構を配設することによって構成してある。電動モータとしては、双方向に回転することができるものを適用している。このモータモジュール20は、後述する伝達モジュール30の入力部ユニット(部品)330に連結した状態でクォータパネルQPの車内面に配設されることになる。
【0020】
伝達モジュール30は、モータモジュール20とアーム部材11Cとの間に介在するもので、駆動ベルト130、ベルトガイド230及び入力部ユニット330を備えて構成してある。
【0021】
駆動ベルト130は、図には明示していないが、一方の表面に複数の噛合溝が等間隔に設けられたタイミングベルトと称されるもので、無端の環状に構成してある。本実施の形態では、ガイドレール10Cの前後に沿った寸法に対して2倍よりも大きな長さを有する駆動ベルト130を適用している。
【0022】
ベルトガイド230は、ガイドレール10Cと同様、車両本体Bの前後方向に沿ってほぼ直線状に延在する直線ガイド部230aと、直線ガイド部230aの前端部から前方に向けて漸次車内側となるように湾曲して延在した湾曲ガイド部230bとを有したもので、ガイドレール10Cとほぼ同じ寸法となるように構成してある。このベルトガイド230には、前端部及び後端部にそれぞれ反転プーリ231,232が設けてあるとともに、直線ガイド部230a及び湾曲ガイド部230bの適宜箇所にガイドプーリ233が設けてある。これら反転プーリ231,232及びガイドプーリ233は、それぞれが上下方向に沿ったプーリ軸231a,232a,233aを中心として回転可能となるように配設したものである。上述の駆動ベルト130は、反転プーリ231,232の間に巻き掛けられるとともに、ガイドプーリ233によってガイドされることにより、後述する入力部ユニット330の駆動プーリ331を経由して、ベルトガイド230の形状に沿って双方向に循環移動することが可能である。
【0023】
ベルトガイド230に巻き掛けた駆動ベルト130は、車外側を移動する経路においては外部に露出された状態となっており、その一部にベルトブラケット234を備えている。ベルトブラケット234は、アーム部材11Cと駆動ベルト130との間を連結するためのもので、駆動ベルト130から下方に向けて延在し、駆動ベルト130と一体に移動することが可能である。
【0024】
入力部ユニット330は、ユニットケース332の内部に駆動プーリ331を備えて構成したものである。ユニットケース332は、ベルトガイド230の直線ガイド部230aにおいてクォータパネルQPとの取付面となる部分から車内側に向けて突出するように形成してあり、ベルトガイド230をクォータパネルQPの車外面Paに当接させた場合に、後述するクォータパネルQPの部品挿通孔Qaを通じて車内側に挿入されるものである。駆動プーリ331は、上下に沿った支持軸を介してユニットケース332の内部に回転可能に配設したもので、外周面に駆動ベルト130が巻き掛けてある。図には明示していないが、駆動プーリ331の支持軸には、ユニットケース332の外部に露出する端部にメススプライン331aが設けてあり、メススプライン331aを介してモータモジュール20の出力端部(図示せず)に接続することが可能である。
【0025】
クォータパネルQPの部品挿通孔Qaは、ユニットケース332を挿通することのできる大きさに形成した略四角形状の貫通孔である。クォータパネルQPにおいて部品挿通孔Qaの周囲となる部分には、4つの締結用挿通孔Qbが形成してある。締結用挿通孔Qbは、後述するユニットケース332の取付板部333をクォータパネルQPに取り付ける際にネジ部材が挿通される貫通孔である。
【0026】
上述したユニットケース332には、取付板部333が設けてある。取付板部333は、クォータパネルQPの部品挿通孔Qa及び4つの締結用挿通孔Qbのすべてを同時に覆うことのできる大きさを有した略四角形状を成すものである。本実施の形態では、ユニットケース332の上面、両側側面及び下面からそれぞれ突出し、ユニットケース332を車外側から部品挿通孔Qaに挿入した場合に、その全面がクォータパネルQPの車外面Paに倣って延在するように取付板部333が構成してある。
【0027】
取付板部333において締結用挿通孔Qbのそれぞれに対応する部分には、締結用孔333aが設けてある。締結用孔333aは、取付板部333をクォータパネルQPに取り付ける際にクォータパネルQPの締結用挿通孔Qbとともにネジ部材が挿通される貫通孔である。
【0028】
取付板部333において車内側に位置する表面には、ほぼ全面となる部分に面状を成すシール部材334が装着してある。シール部材334は、図8図13に示すように、周縁部に装着溝334aを有したもので、装着溝334aの内部に取付板部333の四周縁部を挿入することによって取付板部333に装着してある。シール部材334には、クォータパネルQPの部品挿通孔Qa及び締結用挿通孔Qbのそれぞれに対応する部分に挿通用開口334bが設けてある。部品挿通孔Qaに対応した挿通用開口(以下、区別する場合に部品挿通用開口334b1という)は、部品挿通孔Qaよりもわずかに大きな略四角形状を成すように形成してある。締結用挿通孔Qbのそれぞれに対応した挿通用開口(以下、区別する場合に締結挿通用開口334b2という)は、対応する締結用挿通孔Qbよりもわずかに大きな形状を成すように形成してある。図からも明らかなように、このシール部材334は、装着溝334aを形成した周縁部の板厚が、中央部分よりも大きく構成してある。従って、装着溝334aを介して取付板部333に装着した状態においては、薄肉厚に構成した中央部分と取付板部333の表面との間にわずかに隙間(逃げ用凹部)dが確保された状態となる。シール部材334においてクォータパネルQPに対向する表面には、外周リップ41及び内周リップ42が設けてある一方、取付板部333に対向する表面には内周リブ51及び外周リブ52が設けてある。さらに、本実施の形態では、取付板部333の車内側に位置する表面において締結用孔333aの周囲となる部分に突出部333a1が設けてある。
【0029】
外周リップ41は、シール部材334の外周となる縁部に設けた薄板状の突出部であり、四周で一連となるように形成してある。この外周リップ41は、クォータパネルQPに向けて突出するに従って漸次外周側となり、先端縁部が取付板部333の外周側に向くように、傾斜した状態で設けてある。
【0030】
内周リップ42は、各締結用開口の周囲となる部分に個別に設けた薄板状の突出部であり、それぞれが一連の無端状となるように形成してある。締結挿通用開口334b2の周囲に設けた内周リップ(以下、区別する場合に締結用内周リップ42aという)は、それぞれの締結挿通用開口334b2に近接した部分から突出し、クォータパネルQPに向けて突出するに従って漸次締結挿通用開口334b2の内周側にとなるように傾斜した状態で設けてある。この締結用内周リップ42aは、内周側に倒れた場合にも取付板部333の突出部333a1に当接することがないように、突出部333a1よりも大きな寸法に形成してある。部品挿通用開口334b1の周囲に設けた内周リップ(以下、区別する場合に部品用内周リップ42bという)は、左右において上下に延在する部分がそれぞれ部品挿通用開口334b1に近接した部分から突出している一方、上下において左右に延在する部分が部品挿通用開口334b1との間に比較的大きな間隙を確保した部分から突出し、クォータパネルQPに向けて突出するに従って漸次締結挿通用開口334b2の内周側にとなるように傾斜した状態で設けてある。
【0031】
内周リブ51及び外周リブ52は、それぞれシール部材334の薄肉厚に構成した中央部分において取付板部333の表面に当接するように突出したもので、取付板部333の表面に対して線接触するように略半円形状の断面に形成してある。本実施の形態では、挿通用開口334bの周囲となる部分に内周リブ51が設けてあるとともに、シール部材334の外周となる縁部に外周リブ52が設けてある。より詳細に説明すると、内周リブ51は、上方において左右に延在する部分及び左右において上下に延在する部分が部品用内周リップ42bの基端部に対応する位置とほぼ同じとなる部分に設けてある一方、下方において左右に延在する部分が部品用内周リップ42bの基端部に対応する位置よりも内周側となる部分に設けてある。外周リブ52は、上方において左右に延在する部分及び左右において上下に延在する部分がそれぞれ外周リップ41の基端部に対応する位置よりも内周側となる部分に設けてあり、かつ左右において上下に延在する部分の下端部が互いに近接する方向に屈曲することにより内周リブ51の左右において上下に延在する部分の下端部に連結している。
【0032】
上記のように構成した車両用ドア開閉装置は、車両本体Bに取り付ける場合、モータモジュール20、伝達モジュール30、センターガイドユニットCGを互いに独立して取り扱うことができる状態にある。つまり、モータモジュール20と伝達モジュール30との間においては、駆動プーリ331のメススプライン331aとモータモジュール20との接続状態を解除した状態となっている。伝達モジュール30とセンターガイドユニットCGとの間においては、ベルトブラケット234とアーム部材11Cとの間の連結状態が解除された状態となっている。
【0033】
この状態から、例えばまず、クォータパネルQPにガイドレール10Cを取り付けた後、クォータパネルQPに伝達モジュール30、モータモジュール20を順次取り付け、伝達モジュール30と、モータモジュール20との間を互いに連結すれば、車両用ドア開閉装置によってスライドドアRDの駆動が可能となる。
【0034】
具体的には、伝達モジュール30の入力部ユニット330をクォータパネルQPに形成した部品挿通孔Qaを介して車内側に挿入し、この状態から取付板部333の締結用孔333a、シール部材334の締結挿通用開口334b2及びクォータパネルQPの締結用挿通孔Qbにボルト等の締結部材を設ければ、クォータパネルQPに取付板部333を取り付けることができる。さらに、伝達モジュール30のベルトガイド230をクォータパネルQPに取り付ければ、伝達モジュール30をクォータパネルQPに支持させることができる。さらに、この状態から車内側においてモータモジュール20を入力部ユニット330に連結させれば、モータモジュール20の駆動によって駆動ベルト130の移動が可能となる状態でクォータパネルQPにモータモジュール20及び伝達モジュール30を取り付けることができる。
【0035】
このとき、上述したドア開閉装置によれば、取付板部333とクォータパネルQPとの間に面状を成すシール部材334を介在させるようにしているため、クォータパネルQPに形成した部品挿通孔Qa及び締結用挿通孔Qbを通じて車内側へ雨水等の外部の水や塵埃が浸入する事態を防止することができる。特に、シール部材334の外周となる縁部に外周リップ41を設け、かつ部品挿通孔Qa及び締結用挿通孔Qbに対応する部分の周囲に内周リップ42を設けるようにしているため、取付板部333とクォータパネルQPとの間に加工誤差や組み立て誤差があった場合にも外部からの水や塵埃の浸入をより確実に防止することができるようになる。
【0036】
しかも、シール部材334の外周リップ41及び内周リップ42は、クォータパネルQPの車外面Paに向けて傾斜するように突出しているため、取付板部333を介して車外面Paに当接させた際に、常に先端部が取付板部333の端縁部に向くように撓むことになる。従って、クォータパネルQPに伝達モジュール30を取り付けさえすれば、常に取付板部333の端縁部からクォータパネルQPとの間に水や塵埃が浸入し難くなる状態が再現されることになり、上述の作用効果を容易に、かつ安定して得ることができる。加えて、シール部材334の中央部分を薄肉厚に構成する一方で、シール部材334の取付板部333に対向する表面において内周リップ42及び外周リップ41に対応して内周リブ51及び外周リブ52を設けている。このため、内周リブ51及び外周リブ52により、内周リップ42及び外周リップ41を確実にクォータパネルQPの車外面Paに当接させることができるとともに、薄肉厚に構成した中央部分と取付板部333の表面との間に構成される隙間dにおいて内周リップ42及び外周リップ41の板厚を逃げることができる。またさらに、締結用孔333aの周囲においては、突出部333a1によってクォータパネルQPの車外面Paとの間に隙間Xが確保されるため、この隙間Xにおいて締結用内周リップ42aの板厚を逃げることができる。これらの結果、仮に取付板部333がクォータパネルQPに強く押されるように取り付けられたとしても、シール部材334の外周リップ41及び内周リップ42が適正に潰れることになり、クォータパネルQPに変形を来すような事態を招来することなく水や塵埃の浸入を防止することができるようになる。さらに、シール部材334としては、単一のものを適用すれば良いため、部品の取付作業が煩雑化する懸念もない。
【0037】
伝達モジュール30をクォータパネルQPに取り付けた後においては、駆動ベルト130のベルトブラケット234をアーム部材11Cに重ね合わせた状態で、ベルトブラケット234を介してアーム部材11Cに連結ネジCBを螺合することにより伝達モジュール30とセンターガイドユニットCGとの間を連結すれば良い。この状態においては、モータモジュール20を駆動すると、ベルトガイド230に対して駆動ベルト130が適宜方向に移動し、これに伴ってベルトブラケット234がベルトガイド230に対して移動することになる。これにより、駆動ベルト130の移動がベルトブラケット234を介してアーム部材11Cに伝達されることになり、アーム部材11Cに連結したスライドドアRDを車両本体Bに対して前後方向に移動させることが可能となる。
【0038】
なお、上述した実施の形態では、車両本体を構成するクォータパネルQPに伝達モジュール30の入力部ユニット330を取り付けるものを例示しているが、その他のパネルにその他の部品を取り付ける場合にも適用することが可能である。この場合、締結用挿通孔は必ずしも4つである必要もない。
【0039】
また、上述した実施の形態では、取付板部333に締結用孔333aを有し、締結用孔333aに締結部材を挿通させるようにしているが、取付板部に締結部材が溶着されていても構わない。
【0040】
さらに、上述した実施の形態では、シール部材334の中央部分の板厚を小さく構成するとともに、取付板部333に対向する表面にリブ51,52を設けることにより逃げ用凹部となる隙間dを設けるようにしているが、本発明は必ずしもこれに限定されず、シール部材334においてリップ41,42に対応する部分のみに凹部を形成することによって逃げ凹部を構成することも可能である。
【符号の説明】
【0041】
30 伝達モジュール
41 外周リップ
42 内周リップ
51 内周リブ
52 外周リブ
330 入力部ユニット
332 ユニットケース
333 取付板部
333a 締結用孔
334 シール部材
334b 挿通用開口
Pa 車外面
QP クォータパネル
Qa 部品挿通孔
Qb 締結用挿通孔
d 隙間
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