(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159898
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】条鋼材の計数システム
(51)【国際特許分類】
G06M 7/00 20060101AFI20221011BHJP
B65G 43/08 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
G06M7/00 301B
B65G43/08 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064358
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】391029624
【氏名又は名称】滝川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 倫史
(72)【発明者】
【氏名】岩迫 翔
(72)【発明者】
【氏名】光岡 賢
(72)【発明者】
【氏名】川口 透
(72)【発明者】
【氏名】広田 雅則
【テーマコード(参考)】
3F027
【Fターム(参考)】
3F027AA04
3F027CA04
3F027EA09
3F027FA14
(57)【要約】
【課題】搬送時及び集積時に生じた条鋼材の重なりを検出し、条鋼材の本数を正確に計数する。
【解決手段】計数システム1は、搬送装置10と、搬送装置10の前後途中の第1基準位置S1を通過する条鋼材Kの高さH2を計測する第1センサ21と、第1基準位置S1より前方側の第2基準位置S2において条鋼材Kを集積する集積装置30と、第2基準位置S2よりも後方側に集積されている条鋼材Kの搬送方向についての集積長さLを計測する第2センサ22と、搬送装置10を制御する制御装置50と、を備え、制御装置50が、第1センサ21が検出した条鋼材Kの高さH2、及び第2センサ22が検出した集積長さLに基づいて、第2基準位置S2から後方側に集積されている条鋼材Kの本数を決定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
条鋼材の長手方向に直交する方向を搬送方向として搬送装置によって搬送される条鋼材の本数を計数する計数システムであって、
前記条鋼材を載置して前記搬送方向の後方側から前方側へ複数の前記条鋼材を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の前後途中の第1位置において、当該第1位置を通過する前記条鋼材の高さを計測する第1センサと、
前記第1位置より前方側の第2位置から後方側に前記条鋼材を集積する集積装置と、
前記集積装置により前記第2位置よりも後方側に集積されている前記条鋼材の搬送方向についての集積長さを計測する第2センサと、
前記搬送装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記第1センサ及び前記第2センサが前記制御装置に接続されており、
前記制御装置が、
前記第1センサが検出した前記条鋼材の高さ、及び前記第2センサが検出した前記集積長さに基づいて、前記第2位置から後方側に集積されている前記条鋼材の本数を決定する、条鋼材の計数システム。
【請求項2】
前記制御装置が、
前記条鋼材の高さに基づいて、前記第1位置を通過する前記条鋼材の本数である第1本数を検出するとともに、前記集積長さに基づいて、前記第2位置から後方側に集積されている前記条鋼材の本数である第2本数を算出し、
前記第1本数と前記第2本数とが一致する場合に、前記制御装置が、前記第2位置から後方側に集積されている前記条鋼材の本数として、前記第2本数を採用する、請求項1に記載の条鋼材の計数システム。
【請求項3】
前記第1本数と前記第2本数とが一致しない場合に、前記制御装置が前記搬送装置を停止する、請求項2に記載の条鋼材の計数システム。
【請求項4】
前記制御装置が、前記条鋼材の高さから当該条鋼材の頂点の高さを検出し、
前記頂点の高さが所定の第1閾値以上であり、かつ、所定の第2閾値以下の値である場合、前記制御装置が前記第1本数を1増加する、請求項2又は請求項3に記載の条鋼材の計数システム。
【請求項5】
前記条鋼材の頂点の高さが前記第2閾値より大きい所定の第3閾値以上の値である場合、前記制御装置が前記搬送装置を停止する、請求項4に記載の条鋼材の計数システム。
【請求項6】
前記搬送装置における異常の発生を報知する報知部をさらに備え、
前記条鋼材の頂点の高さが前記第3閾値以上の値である場合、及び、前記第1本数と前記第2本数とが一致しない場合に、前記制御装置が、前記報知部により報知する、請求項5に記載の条鋼材の計数システム。
【請求項7】
前記制御装置が、
前記第1センサが計測する前記条鋼材の高さが増加から減少に転じたときの当該条鋼材の高さを前記条鋼材の頂点の高さとして採用する、請求項4から請求項6の何れか一項に記載の条鋼材の計数システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、条鋼材の本数を計数する計数システムに関する。
【背景技術】
【0002】
山型鋼や丸鋼等の条鋼材を製造する製鉄圧延工場においては、所定長さに切断された複数の条鋼材を、所定本数を1単位にまとめて(例えば束ねて)出荷する場合がある。このため従来、搬送装置によって搬送される条鋼材について、その本数を計数する計数システムが用いられており、特許文献1に開示された計数装置等が知られている。そして従来、搬送装置によって搬送される条鋼材の本数を計数する計数システムとして、
図8A及び
図8Bに示す計数システムが用いられている。
【0003】
図8Aに示す計数システム100は、条鋼材Kを搬送する搬送装置101と、搬送装置101上の条鋼材Kを検出するセンサ102と、搬送装置101の動作を制御する制御装置103とを備えている。センサ102は、反射型のフォトセンサで構成されており、投光受光部102aと反射部102bとを有している。センサ102は、投光受光部102aから投射した光を反射部102bで反射させて投光受光部102aで受光することができるように構成され、制御装置103に接続されている。条鋼材Kが投光受光部102aと反射部102bとの間を通過するとき、投光受光部102aは反射部102bからの反射光を受光することができない。センサ102は、このように反射光が受光できない状態を検出することによって条鋼材Kを検出する。計数システム100では、制御装置103が、反射光が遮られた回数を検出することによって、条鋼材Kの本数を計数する。
【0004】
図8Bに示す計数システム110は、条鋼材Kを搬送する搬送装置111と、搬送装置111上の条鋼材Kを検出するセンサ112と、搬送装置111の動作を制御する制御装置113とを備えている。センサ112は、反射型のフォトセンサで構成されており、投光受光部112a及び反射部112bを有している。投光受光部112aは、前後方向に所定間隔で配置された複数の素子112cを備えている。センサ112は、各素子112cから投射した光を反射部112bで反射させて、当該素子112cで受光することができるように構成され、制御装置113に接続されている。条鋼材Kが素子112cと反射部102bとの間を通過するとき、当該素子112cは反射部112bからの反射光を受光することができない。計数システム110では、制御装置113が、素子112cが反射光を受光できない範囲を検出することで、条鋼材Kが存在する範囲を検出する。
【0005】
図8Bには、ストッパ114によって堰き止められて、搬送装置111上に集積されている4本の条鋼材Kを示している。この場合、最も前方側に位置する条鋼材Kの前端から最も後方側に位置する条鋼材Kの後端までの集積距離Laと、1つの条鋼材Kの幅Wと、が判れば、搬送装置111上に集積されている条鋼材Kの本数を算出することができる。
センサ112は、最も後方側に位置する条鋼材Kの後端が、前から7番目の素子112cと前から8番目の素子112cとの間に位置していることが検出できる。言い換えると、センサ112によれば、最も前方側に位置する条鋼材Kの前端から最も後方側に位置する条鋼材Kの後端までの集積距離Laが、距離Lbより大きく、かつ、距離Lcより小さい、という情報を取得することができる。制御装置113は、このセンサ112が取得した情報と、条鋼材Kの幅Wの情報と、に基づいて、条鋼材Kの本数を計数する。具体的には、制御装置113は、幅Wをn倍(nは自然数)した値のうち、Lbより大きく、かつ、Lcより小さくなる値を抽出し、その抽出した値の算出に用いられたnの値を、集積されている条鋼材Kの本数(この場合は4本)として取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図8Aに示す計数システム100では、複数の条鋼材Kが搬送方向に隙間なく隣接している状態で搬送される場合、条鋼材Kの本数を正確に計数することが困難である。また、前記計数システム100では、条鋼材Kが重なった状態で搬送されている場合、その重なりを検出することができないため、センサ102の下方を通過した条鋼材Kの本数を正確に計数することが困難である。
図8Bに示す計数システム110では、条鋼材Kが重なった状態で集積されている場合、その重なりを検出することができないため、センサ112の下方で集積されている条鋼材Kの本数を正確に計数することが困難である。
【0008】
本発明はこのような現状の課題に鑑みてなされたものであり、搬送時及び集積時に生じた条鋼材の重なりを検出し、条鋼材の本数を正確に計数することが可能な計数システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、条鋼材の長手方向に直交する方向を搬送方向として搬送装置によって搬送される条鋼材の本数を計数する計数システムであって、前記条鋼材を載置して前記搬送方向の後方側から前方側へ複数の前記条鋼材を搬送する搬送装置と、前記搬送装置の前後途中の第1位置において、当該第1位置を通過する前記条鋼材の高さを計測する第1センサと、前記第1位置より前方側の第2位置から後方側に前記条鋼材を集積する集積装置と、前記集積装置により前記第2位置よりも後方側に集積されている前記条鋼材の搬送方向についての集積長さを計測する第2センサと、前記搬送装置を制御する制御装置と、を備え、前記第1センサ及び前記第2センサが前記制御装置に接続されており、前記制御装置が、前記第1センサが検出した前記条鋼材の高さ、及び前記第2センサが検出した前記集積長さに基づいて、前記第2位置から後方側に集積されている前記条鋼材の本数を決定する。
【0010】
この条鋼材の計数システムによれば、第1位置を通過する条鋼材、及び、第2位置において集積されている条鋼材に重なりが生じている場合、その重なりを検出することができ、これにより、第1位置と第2位置との間に集積された条鋼材の本数を正確に計数することができる。
【0011】
また、前記制御装置が、前記条鋼材の高さに基づいて、前記第1位置を通過する前記条鋼材の本数である第1本数を検出するとともに、前記集積長さに基づいて、前記第2位置から後方側に集積されている前記条鋼材の本数である第2本数を算出し、前記第1本数と前記第2本数とが一致する場合に、前記制御装置が、前記第2位置から後方側に集積されている前記条鋼材の本数として、前記第2本数を採用する。
この構成によれば、第1位置を通過する条鋼材の第1本数と、第2位置において集積されている条鋼材の第2本数とを比較することによって、条鋼材の重なりを容易に検出することができる。
【0012】
また、前記第1本数と前記第2本数とが一致しない場合に、前記制御装置が前記搬送装置を停止すると好ましい。
この構成によれば、重なりが生じている条鋼材が計数システムの後工程に移送されるのを抑制することができる。
【0013】
また、前記制御装置が、前記第1センサが計測する前記条鋼材の高さから当該条鋼材の頂点の高さを検出し、前記頂点の高さが所定の第1閾値以上であり、かつ、所定の第2閾値以下の値である場合、前記制御装置が前記第1本数を1増加すると好ましい。
この構成によれば、第1センサによって、条鋼材の本数を正確に検出することができる。
【0014】
また、前記条鋼材の頂点の高さが前記第2閾値より大きい所定の第3閾値以上の値である場合、前記制御装置が前記搬送装置を停止すると好ましい。
この構成によれば、第1センサによって、条鋼材の重なりを検出することができ、これにより、搬送中に重なりが生じた条鋼材が計数システムの後工程に移送されるのを抑制することができる。
【0015】
また、前記搬送装置における異常の発生を報知する報知部をさらに備え、前記制御装置は、前記第1計測値が増加から減少に転じたときの当該第1計測値が、前記第3閾値以上の値である場合、及び、前記第1本数と前記第2本数とが一致しない場合、前記報知部により報知すると好ましい。
この構成によれば、搬送中の条鋼材に重なりが生じた場合に、ユーザーが条鋼材の状態をタイムリーに確認することができる。
【0016】
また、前記制御装置が、前記第1センサが計測する前記条鋼材の高さが増加から減少に転じたときの当該条鋼材の高さを前記条鋼材の頂点の高さとして採用すると好ましい。
この構成によれば、第1センサによって、条鋼材の頂点の高さを精度よく検出することができ、これにより、条鋼材の本数を精度よく検出することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の条鋼材の計数システムによれば、搬送時及び集積時に生じた条鋼材の重なりを検出し、条鋼材の本数を正確に計数することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図4】計数システムを構成する第1センサの説明図である。
【
図5】計数システムを構成する第2センサの説明図である。
【
図7A】計数システムの動作説明図(その1)である。
【
図7B】計数システムの動作説明図(その2)である。
【
図7C】計数システムの動作説明図(その3)である。
【
図7D】計数システムの動作説明図(その4)である。
【
図8A】従来の計数システム(その1)の説明図である。
【
図8B】従来の計数システム(その2)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
[計数システムの全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る計数システムの平面模式図であり、
図2は、本発明の一実施形態に係る計数システムの側面模式図である。
図1および
図2に示す計数システム1は、本発明に係る条鋼材の計数システムの一実施形態であり、搬送装置10と、センサ部20と、集積装置30と、退避装置40と、制御装置50とを備えている。
【0021】
[条鋼材について]
図1に示すように、本実施形態の計数システム1は、条鋼材Kを計数対象としている。本実施形態に示す条鋼材Kは、山形鋼である。なお、計数システム1が計数対象とする条鋼材Kは山形鋼に限定されず、丸鋼、レール鋼、CT型鋼、T型鋼等であってもよい。計数システム1は、複数の条鋼材Kを搬送及び集積するときに当該条鋼材K同士で重なりが生じるおそれのある場合に、その条鋼材Kの本数を計数する用途に特に適している。
【0022】
[搬送装置10]
搬送装置10は、所定長さ(例えば12m程度)に切り出された条鋼材Kを搬送するための装置であり、条鋼材Kを水平方向に順次搬送する。搬送装置10によって搬送される条鋼材Kの長手方向に直交する方向が当該条鋼材Kの搬送方向となっている。なお、以下の説明において、条鋼材Kの搬送方向を前後方向と定義し、搬送装置10によって搬送される条鋼材Kの長手方向を左右方向と定義し、前後方向および左右方向に直交する方向を上下方向と定義する。また、条鋼材Kの搬送方向下流側を前方側と定義し、その反対方向を後方側と定義する。
【0023】
図1に示すように、搬送装置10は、左右方向に間隔を置いて配置された複数(
図1に示す範囲には3個)のチェーンコンベア11を備えている。チェーンコンベア11は、前後一対のスプロケット12,13と、各スプロケット12,13にかみあう無端のチェーン14とを備えている。なお、
図1には、搬送装置10の一部を示している。搬送装置10は、左右方向に1500mm程度のピッチで合計9列のチェーンコンベア11を全体で有しており、最大で左右方向に12m程度の長さを有する条鋼材Kを搬送することができる。
【0024】
複数のスプロケット12は、左右方向に間隔を置いて配置され、共通の駆動軸15に同軸で固定されている。このため、各スプロケット12は、駆動軸15の回転に伴って、同時に同じ回転数で回転する。複数のスプロケット13は、左右方向に間隔を置いて配置されており、複数の回転軸16によってそれぞれ支持されている。駆動軸15と各回転軸16の軸心は、同じ高さに位置しており、平面視において条鋼材Kの搬送方向と直交する。チェーン14の長さ方向は、条鋼材2の搬送方向に平行である。なお、本実施形態では、チェーン14の上端が側面視において水平となる場合を例示しているが、チェーン14の上端は水平方向に対して傾斜していてもよい。
【0025】
本説明では、複数のチェーン14の上端に接する仮想の水平面を、搬送装置10の搬送面10aとして定義する(
図2参照)。そして、本実施形態の計数システム1では、山形鋼である条鋼材Kを、角部を上に向けた姿勢で搬送装置10により搬送する。各条鋼材Kは、角部を上に向けた同じ姿勢で搬送面10aに載置され、搬送装置10によって搬送方向の前方側に搬送される。本実施形態の条鋼材Kは、角部が頂点Pとなっている。頂点Pは、搬送面10aに載置された条鋼材Kにおいて、最も上方に位置する部位である。
【0026】
図1に示すようにチェーンコンベア11では、前側の駆動軸15が駆動モータ17で駆動され、前側のスプロケット12が回転するとともにチェーン14を介して後側のスプロケット13が従動回転し、各スプロケット12,13にかみあうチェーン14が駆動される。そして、搬送装置10の前後方向途中の各チェーンコンベア11と左右方向に隣接しているスペースには、複数(
図1に示す範囲にはそれぞれ3個)の集積装置30と退避装置40とが配置されている。
【0027】
計数システム1では、搬送装置10の前後方向の途中において、条鋼材Kの本数を計数するときの基準位置となる第1基準位置S1と第2基準位置S2とを設定している。第1基準位置S1は、後で説明する第1センサ21によって、条鋼材Kの本数を計測するときの基準となる位置である。第2基準位置S2は、後で説明する第2センサ22によって、条鋼材Kの本数を計測するときの基準となる位置である。
【0028】
なお、計数システム1では、チェーンコンベア11を上流側と下流側に分けて構成してもよい。この場合、上流側のチェーンコンベア11から下流側のチェーンコンベア11に条鋼材Kを受け継ぐ箇所に第1基準位置S1を設定し、下流側のチェーンコンベア11において第2基準位置S2を設定する。上流側と下流側にチェーンコンベア11を分けた場合、上流側及び下流側の各チェーンコンベア11について、条鋼材Kの搬送速度を異ならせることができる。そして、このような構成のチェーンコンベア11を用いた場合、上流側のチェーンコンベア11によって、第1基準位置S1より上流側で前後方向に所定の間隔を空けつつ条鋼材Kを搬送するとともに、下流側のチェーンコンベア11において、第2基準位置S2から後方側に条鋼材Kを集積させることができる。
【0029】
[センサ部]
図3は、計数システム1の制御ブロック図である。
図1~
図3に示すように、センサ部20は、搬送装置10により搬送及び集積される条鋼材Kを検出する部位であり、第1センサ21と第2センサ22とを備えている。
図1及び
図3に示すように、センサ部20を構成する第1センサ21及び第2センサ22は、制御装置50に接続されている。
【0030】
[第1センサ]
図4は、計数システム1を構成する第1センサの説明図である。
図1、
図2、及び
図4に示すように、第1センサ21は、搬送装置10上の第1基準位置S1を通過する条鋼材Kを検出するセンサである。本実施形態の第1センサ21は、いわゆるレーザ距離計である。第1センサは、当該第1センサ21から測定対象に向けてレーザ光を照射するとともに、測定対象で反射したレーザ光を当該第1センサ21で受光することによって、第1センサ21における基準位置h0と測定対象物との間の距離Hを測定することができる。なお、本実施形態では、第1センサ21の下端を基準位置h0としているが、例えば、第1センサ21に内蔵されたレーザ素子の位置(レーザー光の発出点の位置)を基準位置h0としてもよく、基準位置h0の位置は
図4に示す位置に限定されない。
【0031】
計数システム1において、第1センサ21は、第1基準位置S1における距離Hを連続的に測定する。第1基準位置S1に条鋼材Kがない場合、第1センサ21により計測する距離Hは、基準位置h0から搬送面10aまでの距離H0となる。計数システム1において、距離H0は既知の値であり、制御装置50に記憶されている。
【0032】
第1基準位置S1に条鋼材Kがある場合、第1センサ21により計測する距離Hは、距離H0よりも小さい距離H1となる。計数システム1では、第1センサ21が距離H0よりも小さい距離H1を検出したことに基づいて、条鋼材Kが第1基準位置S1を通過していることを検出する。なお、第1センサ21を構成するセンサは、上記距離Hを連続的に測定することができるセンサであればレーザ距離計以外のセンサであってもよく、例えば、超音波センサ等であってもよい。
【0033】
第1センサ21が距離H0よりも小さい距離H1を検出した場合、距離H0から距離H1を差し引いた距離が、第1基準位置S1における条鋼材Kの高さH2(H2=H0-H1)となる。このため、第1センサ21は、距離H1を検出するとともに、条鋼材Kの高さH2を検出する。
【0034】
[第2センサ]
図5は、計数システム1を構成する第2センサの説明図である。
図1、
図2、及び
図5に示すように、第2センサ22は、搬送装置10上の第2基準位置S2から後方側の所定範囲に存在している条鋼材Kを検出する。本実施形態の第2センサ22は、投光受光部22a及び反射部22bを備えたセンサ(いわゆるフォトセンサ)である。投光受光部22aは前後方向に所定間隔(本実施形態では5mmピッチ)で並べて配置された複数の素子22cを有している。第2センサ22は、各素子22cから投射した光を反射部22bで反射させるとともに、その反射光を各素子22cで受光することができる。
【0035】
素子22cと反射部22bとの間に条鋼材Kが存在している場合、素子22cが投射した光を条鋼材Kが遮るため、当該素子22cは反射部22bからの反射光を受光することができない。この場合、当該素子22cは、条鋼材Kの検出フラグを「ON」とする。一方、素子22cと反射部22bとの間に条鋼材Kが存在していない場合、素子22cが投射した光の反射光を当該素子22cが受光することができる。この場合、当該素子22cは、条鋼材Kの検出フラグを「OFF」とする。そして、第2センサ22は、検出フラグが「ON」となっている素子22cが存在する前後方向の範囲から、投光受光部22aの下方において条鋼材Kが存在しているおおよその範囲を検出する。
【0036】
[集積装置]
図1~
図3に示すように、集積装置30は、搬送装置10によって前方側に搬送される条鋼材Kを、搬送途中で堰き止めて集積させるための装置であり、ストッパ31を備えている。集積装置30は、制御装置50に接続されている。
【0037】
ストッパ31は、図示しない昇降装置によって支持されており、搬送面10aから上方に突出する位置と突出しない位置との間で上下に変位可能とされている。なお、ストッパ31は、搬送面10aから上方に突出する位置に固定されていてもよい。ストッパ31は、搬送面10aから上方に突出する位置で、搬送面10a上の条鋼材Kを係止し堰き止めることができる。ストッパ31で堰き止められた条鋼材Kは、さらに後続の条鋼材Kを堰き止める。これにより、条鋼材Kは、搬送面10a上において、第2基準位置S2を前端として前後方向に並んで集積される。
【0038】
[退避装置]
図1~
図3に示すように、退避装置40は、搬送装置10により搬送される条鋼材Kを、搬送面10aより上方(即ち、チェーンコンベア11と接触しない位置)へ退避させるための装置であり、分離レバー41と回動軸42とを備えている。退避装置40は、第1基準位置S1よりも後方側に配置されている。退避装置40は、制御装置50に接続されている。計数システム1では、適宜のタイミングで退避装置40を作動させることによって、前後方向における条鋼材Kの搬送間隔を調整する。
【0039】
分離レバー41は、側面視で略矩形状の金属製板材からなり、その長手方向を搬送装置10の前後方向に向けた姿勢で配置されている。分離レバー41は、図示しないアクチュエータによって、回動軸42回りに回動可能とされている。前記アクチュエータは、分離レバー41を回動させるための駆動源となる装置であって、制御装置50によって動作が制御される。退避装置40は、前記アクチュエータの動作に伴って、分離レバー41が略上下方向へ変位するように回動軸42回りに回動する。
【0040】
[制御装置]
図1及び
図3に示すように、制御装置50は、少なくとも搬送装置10と集積装置30と退避装置40の動作を制御する装置であり、コンピュータ装置により構成されている。制御装置50は、
図3に示すように、搬送装置10と、集積装置30と、退避装置40と、センサ部20とに接続されている。そして、制御装置50は、センサ部20の検知結果に基づいて、搬送装置10、集積装置30および退避装置40の動作を制御する。
【0041】
[報知部]
図1及び
図3に示すように、計数システム1は、さらに報知部60を備えている。報知部60は、制御装置50が計数システム1の異常を検知した場合に、その異常をユーザーに報知するための部位である。報知部60は、制御装置50に接続されている。報知部60は、例えば、ブザーやランプ等の図示しない報知手段を有している。報知部60は、ブザーの鳴動やランプの点灯等によって、ユーザーに異常を報知することができる。報知部60は、計数システム1に隣接する場所、及び計数システム1から離れた場所に設置することができる。
【0042】
[第1基準位置S1における条鋼材Kの計数方法]
図4に示すように、計数システム1では、第1センサ21で検出する高さH2について、各閾値Ha、Hb、Hcを設定する。各閾値Ha、Hb、Hcは、搬送面10aを基準とした条鋼材Kの高さについての閾値である。閾値Haは、高さH2の下限値であり、以下の説明では、下限値Haと称する。閾値Hbは、高さH2の上限値であり、以下の説明では、上限値Hbと称する。閾値Hcは、高さH2が異常を判定する場合の下限値であり、以下の説明では、異常判定値Hcと称する。
【0043】
計数システム1では、条鋼材Kの本数を計数する際に、仕様上既知である条鋼材Kの頂点Pまでの高さHkを使用する。高さHkは、条鋼材Kの仕様に応じて決まっており、制御装置50に予め記憶されている。計数システム1では、計数対象とする条鋼材Kの仕様をユーザーが制御装置50に対して指定(入力)することができる。なお、計数システム1では、条鋼材Kの仕様を変更する際には、ユーザーは、制御装置50を操作するだけでよく、第1センサ21及び第2センサ22の配置を調整する必要がない。
【0044】
第1基準位置S1を通過する条鋼材Kについて、第1センサ21で高さH2を計測するとき、頂点Pが第1基準位置S1を通過するより前は高さH2が増加し、頂点Pが第1基準位置S1を通過した後は高さH2が減少する。このため、計数システム1では、第1センサ21が検出する高さH2が増加から減少に転じたときの当該高さH2を、制御装置50が当該条鋼材Kの頂点Pの高さHpとして取得する。
【0045】
搬送面10a上の条鋼材Kに重なりが生じていない場合に検出した高さHpは、仕様上の高さHkに等しい。計数システム1では、第1センサ21により検出した高さHpが、高さHkに一致する場合、制御装置50が、重なりのない条鋼材Kが第1基準位置S1を通過したと判定する。言い換えると、この場合は、制御装置50が、第1基準位置S1を通過した条鋼材Kは1本のみであると判定する。計数システム1では、この場合に、制御装置50による条鋼材Kの計数値を「1」増加させる。以下の説明では、第1基準位置S1における条鋼材Kの計数値を第1本数C1と称する。一方、計数システム1では、高さHpが高さHkに一致しない場合、重なりを有する条鋼材Kが第1基準位置S1を通過したと判定する。
【0046】
計数システム1では、搬送面10aが上下方向に変位することを考慮して、高さHkを基準とした下限値Ha及び上限値Hbを設定している。計数システム1では、高さHpが、下限値Haより大きく、かつ、上限値Hbより小さい場合に、制御装置50が、高さHpが高さHkに一致すると判定する。
【0047】
搬送面10a上の条鋼材Kに重なりが生じている場合、高さH2は、1本の条鋼材Kの仕様上の高さHkに比べて大きくなる。計数システム1では、検出した高さHpが、異常判定値Hc以上である場合に、制御装置50が、重なりを有する条鋼材Kが第1基準位置S1を通過したと判定する。異常判定値Hcは、上限値Hbに比べて大きい値である(Hc>Hb)。
【0048】
制御装置50は、条鋼材Kの仕様ごとに、高さH2についての異常判定値Hcが記憶されている。異常判定値Hcは、条鋼材Kが2本重なっている場合の高さH2を基準として設定する。なお、異常判定値Hcは、搬送面10aの変動を考慮して設定してもよい。
【0049】
計数システム1では、第1センサ21が異常判定値Hc以上の高さH2を検出した場合、制御装置50は、2本以上の条鋼材Kが上下に重なった状態で第1基準位置S1を通過したと判定する。この場合、制御装置50は、第1本数C1を「1」増加させることなく、報知部60によって、ユーザーに異常を報知するとともに、搬送装置10を停止する。
【0050】
以上に説明したとおり、計数システム1では、第1センサ21で計測した距離Hに基づいて、第1基準位置S1を通過する条鋼材Kの本数(第1本数C1)を計数することができるとともに、第1基準位置S1を通過する条鋼材Kに重なりが生じているか否かを検出することができる。なお、本実施形態の計数システム1では、第1センサ21で計測した距離H1から高さHpを検出し、高さHpに基づいて条鋼材Kの本数を計数しているが、高さHpを求めずに距離H1に基づいて条鋼材Kの本数を計数してもよい。
【0051】
計数システム1では、制御装置50が、第1センサ21が計測する条鋼材Kの高さH2が増加から減少に転じたときの当該条鋼材Kの高さH2を条鋼材の頂点Pの高さHpとして採用する。この構成によれば、第1センサ21によって、条鋼材Kの頂点Pの高さHpを精度よく検出することができる。
【0052】
計数システム1では、第1センサ21によって検出した高さHpに基づいて条鋼材Kの本数を計数する。計数システム1では、これにより、複数の条鋼材Kが前後方向に隙間のない状態で搬送されている場合であっても、精度よく条鋼材Kの本数を計数することができる。
【0053】
[第2基準位置S2における条鋼材Kの計数方法]
計数システム1では、第2基準位置S2に集積されている条鋼材Kの本数を計数する際に、仕様上既知である条鋼材Kの幅W(
図5参照)を使用する。幅Wは、条鋼材Kの仕様に応じて決まっており、制御装置50に予め記憶されている。計数システム1は、第2センサ22の素子22cの検出フラグが「ON」となっている範囲と、既知である条鋼材Kの幅Wと、に基づいて、条鋼材Kの集積長さLを算出するとともに、第2基準位置S2に集積されている条鋼材Kの本数(以下では、第2本数C2と称する)を算出する。
【0054】
具体的には、
図5に示すように、第2基準位置S2から条鋼材Kの後端までの距離L(集積長さL)は、検出フラグが「ON」となっている各素子22cのうち最も後方側の素子22cまでの距離L1より大きく、その直後(検出フラグが「OFF」の各素子22cのうち最も前方側)の素子22cまでの距離L2より小さい。計数システム1では、制御装置50が、条鋼材Kの幅Wをn倍(nは自然数)した値Wn(Wn=n×W)を算出するとともに、距離L1より大きく、かつ、距離L2より小さい値Wnを抽出する。そして、制御装置50は、抽出した値Wnの算出に用いたnの値を、条鋼材Kの第2本数C2として採用する。
【0055】
[計数システム1における条鋼材Kの計数方法]
制御装置50は、第1センサ21の検出結果に基づく条鋼材Kの第1本数C1と、第2センサ22の検出結果に基づく条鋼材Kの第2本数C2と、を比較する。ここで、第1本数C1と第2本数C2とが一致している場合、制御装置50は、第1基準位置S1と第2基準位置S2の間に位置する条鋼材Kについて、重なりは生じていないと判定する。そして、この場合において、制御装置50は、第2本数C2を、第1基準位置S1と第2基準位置S2の間に位置する条鋼材Kの本数として採用する。
【0056】
第1本数C1が第2本数C2に比べて少ない場合、制御装置50は、第1基準位置S1を通過する前に条鋼材Kに重なりが生じていたと判定する。この場合、制御装置50は、搬送装置10を停止させるとともに、報知部60によってユーザーに条鋼材Kに重なりが生じていることを報知する。またこの場合、制御装置50は、報知部60によって、第1基準位置S1よりも後方側で条鋼材Kに重なりが生じていることをユーザーに報知することができる。
【0057】
第2本数C2が第1本数C1に比べて少ない場合、制御装置50は、第1基準位置S1を通過した後で条鋼材Kに重なりが生じたと判定する。この場合、制御装置50は、搬送装置10を停止させるとともに、報知部60によってユーザーに条鋼材Kに重なりが生じていることを報知する。またこの場合、制御装置50は、報知部60によって、第1基準位置S1よりも前方側で条鋼材Kに重なりが生じていることをユーザーに報知することができる。
【0058】
[計数システム1の動作について]
ここでは、
図1に示す計数システム1を用いて、ユーザーが設定した目標本数M(本実施形態では、M=5本)の条鋼材Kを計数するとともに、目標本数Mの条鋼材Kを集積させる場合を例示して説明する。
図1に示す計数システム1では、搬送装置10のさらに後方側(上流側)に配置された図示しない装置(例えば、条鋼材Kの切り出し装置)から、搬送装置10に条鋼材Kが供給される。そして、計数システム1では、搬送装置10に条鋼材Kが供給されたときから、制御装置50が、以下に示す一連の制御動作を開始する。
【0059】
制御動作の開始時において、制御装置50は、集積装置30を作動させて、ストッパ31を第2基準位置S2で搬送面10a上の条鋼材Kを堰き止めることができる位置に配置する。制御動作の実行中において、制御装置50は、退避装置40を適宜のタイミングで作動させて、前後方向における条鋼材Kの搬送間隔を調整する。
【0060】
図6に示すように、計数システム1の制御が開始すると、制御装置50はステップ(ST01)を実行する。ステップ(ST01)において、制御装置50は、当該制御装置50に記憶されている条鋼材Kの第1本数C1を「0」にリセットする。
【0061】
次に、制御装置50はステップ(ST02)を実行する。ステップ(ST02)において、制御装置50は、第1センサ21によって第1基準位置S1における距離Hを計測する。
図7Aに示すように、第1センサ21は、距離Hを連続的に計測し、その距離Hの計測結果を第1センサ21から制御装置50(
図1参照)に入力する。
【0062】
図6に示すように、次に、制御装置50はステップ(ST03)を実行する。ステップ(ST03)において、制御装置50は、第1センサ21による距離Hの計測結果から、条鋼材Kの頂点Pを検出する。ステップ(ST03)において、頂点Pの第1基準位置S1の通過を検出した場合(YESの場合)、制御装置50は、ステップ(ST04)を実行する。一方、ステップ(ST03)において、頂点Pの第1基準位置S1の通過が検出できない場合(NOの場合)、制御装置50は、処理をステップ(ST02)に戻し、頂点Pの第1基準位置S1の通過を検出するまで、各ステップ(ST02)~(ST03)を繰り返し実行する。
【0063】
図7Bに示すように、第1基準位置S1を通過した条鋼材Kは、搬送装置10によってさらに前方側に搬送され、やがて第2基準位置S2に位置するストッパ31により堰き止められるとともに、第2基準位置S2を前端として当該第2基準位置S2より後方側に集積される。
【0064】
図6に示すように、次に、制御装置50はステップ(ST04)を実行する。ステップ(ST04)において、制御装置50は、第1基準位置S1を通過した条鋼材Kの高さH2を検出するとともに、高さH2の検出結果から頂点Pまでの高さHpを検出する。
【0065】
次に、制御装置50はステップ(ST05)を実行する。ステップ(ST05)において、制御装置50は、頂点Pの高さHpが所定の異常判定値Hcより小さいか否かを判定する。ステップ(ST05)において、高さHpが所定の異常判定値Hcより小さい場合(YESの場合)、制御装置50は、ステップ(ST06)を実行する。一方、ステップ(ST05)において、高さHpが所定の異常判定値Hc以上である場合(NOの場合)、制御装置50は、後で説明するステップ(ST13)を実行する。
【0066】
次に、制御装置50はステップ(ST06)を実行する。ステップ(ST06)において、制御装置50は、高さHpが下限値Haより大きく、かつ、上限値Hbより小さいか否かを判定する。ステップ(ST06)において、高さHpが下限値Haより大きく、かつ、上限値Hbより小さい場合(YESの場合)、制御装置50は、ステップ(ST07)を実行する。一方、ステップ(ST06)において、高さHpが下限値Haより大きく、かつ、上限値Hbより小さい、という条件を満たさない場合(NOの場合)、制御装置50は、後で説明するステップ(ST13)を実行する。なお、計数システム1において、ステップ(ST06)は省略してもよい。言い換えると、ステップ(ST05)において条鋼材Kに重なりがないと判定された場合、制御装置50が、ステップ(ST06)における判定を行わずに、重なりのない状態で条鋼材Kが第1基準位置S1を通過したと判定してもよい。
【0067】
次に、制御装置50はステップ(ST07)を実行する。ステップ(ST07)において、制御装置50は、条鋼材Kの第1本数C1を「1」増加した値に更新する。
【0068】
このように、計数システム1では、制御装置50が、第1センサ21が計測する条鋼材Kの高さH2から当該条鋼材Kの頂点Pの高さHpを検出し、頂点Pの高さHpが下限値Ha以上であり、かつ、上限値Hb以下の値である場合、制御装置50が第1本数C1の計数を1増加する。この構成によれば、第1センサ21によって、第1基準位置S1を通過する条鋼材Kの第1本数C1を正確に検出することができる。
【0069】
次に、制御装置50はステップ(ST08)を実行する。ステップ(ST08)において、制御装置50は、第2センサ22による集積長さL(
図7B参照)の計測を開始する。第2センサ22により検出した集積長さLは、制御装置50に入力される。
【0070】
次に、制御装置50はステップ(ST09)を実行する。ステップ(ST09)において、制御装置50は、集積長さLに基づいて第2基準位置S2から後方側に集積されている条鋼材Kの第2本数C2を算出する。本実施形態(
図6に示す制御フロー図)では、第1本数C1が増加する度に、第2本数C2を算出しているが、第1本数C1が目標本数Mに達したときに第2本数C2の算出を1回だけ行う構成としてもよい。なお、
図6に示す制御フローのように、第1本数C1が増加する度に第2本数C2を算出する構成では、第2本数C2の算出を1回だけ行う構成に比べて、条鋼材Kの重なりを早期に検出できる可能性が高くなる。
【0071】
次に、制御装置50はステップ(ST10)を実行する。ステップ(ST10)において、制御装置50は、ステップ(ST09)で算出した第2本数C2と、ステップ(ST10)の時点で当該制御装置50に記憶されている第1本数C1とを比較し、第1本数C1と第2本数C2とが一致するか否かを判定する。
【0072】
ステップ(ST10)において、第1本数C1と第2本数C2とが一致する場合(YESの場合)、制御装置50は、第2基準位置S2から後方側に集積されている条鋼材Kの本数として、第2本数C2を採用するとともに、ステップ(ST11)を実行する。なお、この場合、第2本数C2は第1本数C1と同じであるため、制御装置50は、第2基準位置S2から後方側に集積されている条鋼材Kの本数として、第1本数C1を採用してもよい。一方、ステップ(ST10)において、第1本数C1と第2本数C2とが一致しない場合(NOの場合)、制御装置50はステップ(ST13)を実行する。
【0073】
計数システム1では、ステップ(ST13)において、第1本数C1が第2本数C2よりも多かった場合、制御装置50が、第1基準位置S1の下流側で条鋼材Kに重なりが生じたと判定する。計数システム1では、ステップ(ST13)において、第2本数C2が第1本数C1よりも多かった場合、制御装置50が、第1基準位置S1の上流側で条鋼材Kに重なりが生じたと判定する。このように、計数システム1では、制御装置50によって、条鋼材Kの重なりが生じた位置に係る情報を取得することができ、これにより、条鋼材Kに重なりが生じる原因を特定することが容易になる。
【0074】
ステップ(ST11)において、制御装置50は、第2本数C2が、所定の目標本数Mと一致するか否かを判定する。ステップ(ST11)において、第2本数C2が目標本数Mと一致する場合(YESの場合)、制御装置50はステップ(ST12)を実行する。
【0075】
ステップ(ST11)において、第2本数C2が目標本数Mと一致する場合、
図7Cに示すように、制御装置50は、退避装置40を作動させて、第1基準位置S1より後方側に位置する各条鋼材Kが、搬送装置10によって第1基準位置S1よりも前方側に搬送されるのを抑制する。
【0076】
ステップ(ST12)において、制御装置50は、目標本数Mだけ集積された条鋼材Kを計数システム1の後工程に移送する。
図7Dに示すように、ステップ(ST12)では、搬送装置10が、目標本数Mが集積された複数の条鋼材Kを後工程に移送する。なお、本実施形態では、ステップ(ST12)において、ストッパ31を下降させるとともに搬送装置10によって条鋼材Kを後工程に移送しているが、計数システム1は、ストッパ31を下降させずに、図示しない移載装置によって目標本数Mの条鋼材Kを後工程に移送する構成としてもよい。
【0077】
計数システム1では、制御装置50が搬送装置10による搬送中に条鋼材Kに重なりが生じたと判定した場合、当該制御装置50がステップ(ST13)を実行する。ステップ(ST13)において、制御装置50は、搬送装置10を停止するとともに、報知部60(
図1及び
図3参照)による報知を行う。このためユーザーは、報知部60による報知を受けて、第1基準位置S1と第2基準位置S2の間に集積されている条鋼材Kの状態をタイムリーに確認することができる。また、計数システム1では、条鋼材Kに重なりが生じたと判定した場合に搬送装置10を停止することにより、重なりを有し目標本数Mとは異なる本数で集積された条鋼材Kが、計数システム1の後工程に移送されるのを抑制することができる。
【0078】
このように、計数システム1では、条鋼材Kの頂点Pの高さHpが異常判定値Hc以上の値である場合、及び、第1本数C1と第2本数C2とが一致しない場合、制御装置50が搬送装置10を停止する。この構成によれば、第1センサ21によって、条鋼材Kの重なりを検出することができ、これにより、搬送中に重なりが生じた条鋼材Kが計数システム1の後工程に移送されるのを抑制することができる。
【0079】
また、計数システム1では、搬送装置10における異常の発生を報知する報知部60をさらに備え、高さHpが異常判定値Hc以上の値である場合、及び、第1本数C1と第2本数C2とが一致しない場合、制御装置50が報知部60により報知する。この構成によれば、搬送中の条鋼材Kに重なりが生じた場合に、ユーザーが条鋼材Kの状態をタイムリーに確認することができる。
【0080】
そして、計数システム1では、制御装置50によって、ステップ(ST01)からステップ(ST13)までの一連の動作を所望の回数繰り返し実行することで、ユーザーは条鋼材Kを目標本数Mだけ正確に集積させることができる。
【0081】
以上に説明した通り、本発明の一実施形態に係る計数システム1は、条鋼材Kの長手方向に直交する方向を搬送方向として搬送装置10によって搬送される条鋼材Kの本数を計数する。計数システム1は、条鋼材Kを載置して搬送方向の後方側から前方側へ複数の条鋼材Kを搬送する搬送装置10と、搬送装置10の前後途中の第1基準位置S1において、当該第1基準位置S1を通過する条鋼材Kの高さH2を計測する第1センサ21と、第1基準位置S1より前方側の第2基準位置S2において条鋼材Kを集積する集積装置30と、集積装置30により第2基準位置S2よりも後方側に集積されている条鋼材Kの搬送方向についての集積長さLを計測する第2センサ22と、搬送装置10を制御する制御装置50と、を備えている。第1センサ21及び第2センサ22が制御装置50に接続されている。計数システム1では、制御装置50が、第1センサ21が検出した条鋼材Kの高さH2、及び第2センサ22が検出した集積長さLに基づいて、第2基準位置S2から後方側に集積されている条鋼材Kの本数を決定する。
【0082】
このような条鋼材Kの計数システム1によれば、第1基準位置S1を通過する条鋼材K、及び、第2基準位置S2において集積されている条鋼材Kに重なりが生じている場合、その重なりを検出することができる。これにより、第1基準位置S1と第2基準位置S2との間に集積された条鋼材Kの本数を正確に計数することができる。
【0083】
計数システム1では、制御装置50が、第1センサ21が計測する高さH2に基づいて、第1基準位置S1を通過する条鋼材Kの本数である第1本数C1を検出するとともに、第2センサ22が計測する集積長さLに基づいて、第2基準位置S2から後方側に集積されている条鋼材Kの本数である第2本数C2を算出する。計数システム1では、第1本数C1と第2本数C2とが一致する場合に、制御装置50が、第2基準位置S2から後方側に集積されている条鋼材Kの本数として、第2本数C2を採用する。
【0084】
このような条鋼材Kの計数システム1によれば、第1基準位置S1を通過する条鋼材Kの第1本数C1と、第2基準位置S2において集積されている条鋼材Kの第2本数C2とを比較することによって、条鋼材Kの重なりを容易に検出することができる。
【0085】
以上のとおり開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。つまり、本発明の条鋼材の計数システムは、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。例えば、搬送装置10、センサ部20、集積装置30、制御装置50等の構成は、図示した構成以外であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
1:計数システム 10:搬送装置 10a:搬送面 21:第1センサ
22:第2センサ 30:集積装置 50:制御装置 60:報知部
K:条鋼材 C1:第1本数 C2:第2本数 S1:第1基準位置(第1位置)
S2:第2基準位置(第2位置) P:(条鋼材の)頂点 L:集積長さ H:距離
Hp:(頂点の)高さ Ha:下限値(第1閾値) Hb:上限値(第2閾値)
Hc:異常判定値(第3閾値)