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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159910
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】修理要員管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20221011BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064378
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】牟田 幹彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智之
(72)【発明者】
【氏名】長江 悠介
(72)【発明者】
【氏名】中島 幸祐
(72)【発明者】
【氏名】玉井 淳基
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 福郎
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 弘明
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】給湯器の故障等に対して適した修理点検作業員により対応できるようにすることが可能な修理要員管理システムを提供する。
【解決手段】複数の給湯器1それぞれの給湯器側制御手段7及び事業所側制御手段8と通信手段5を介して通信可能に接続された管理サーバ3に、給湯器1についての故障情報を予測する故障情報予測手段10と、過去の修理実績データを管理する修理データ管理手段11と、故障情報に基づいて修理難易度を算出する難易度算出手段12と、修理難易度と過去の修理実績データとに基づいて、修理難易度に適した修理点検作業員を選定する作業員選定手段13と、外部通信端末4に対して選定された修理点検作業員の情報を出力可能な出力手段14と、が備えられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに給湯器側制御手段が備えられた複数の給湯器と、
前記複数の給湯器が設置される地区を担当する複数の修理点検作業員を要する事業所に備えられた事業所側制御手段と、
前記複数の給湯器それぞれの前記給湯器側制御手段及び前記事業所側制御手段と通信手段を介して通信可能に接続された管理サーバと、が備えられ、
前記管理サーバに、
前記複数の給湯器側制御手段から入手した前記給湯器の使用状況データに基づいて当該給湯器についての故障情報を予測する故障情報予測手段と、
前記事業所側制御手段から入手した複数の修理点検作業員のそれぞれについての過去の修理実績データを管理する修理データ管理手段と、
前記複数の給湯器のうち対象となる対象給湯器について、前記故障情報予測手段にて予測された故障情報に基づいて修理難易度を算出する難易度算出手段と、
前記難易度算出手段にて算出された前記修理難易度と、前記修理データ管理手段にて管理される修理実績データとに基づいて、複数の修理点検作業員の中から前記修理難易度に適した修理点検作業員を選定する作業員選定手段と、
前記通信手段を介して前記管理サーバと通信可能な外部通信端末に対して選定された修理点検作業員の情報を出力可能な出力手段と、が備えられている修理要員管理システム。
【請求項2】
前記給湯器側制御手段は、前記使用状況データとして、自己が担当する給湯器において、給湯動作に異常が生じると、その発生した動作異常に対応するエラーコードを前記管理サーバに送信するように構成され、
前記難易度算出手段は、前記修理難易度として、送信された前記エラーコードの個数及び種別に基づいて故障原因特定のための難易度を算出するとともに、前記エラーコードに対応する必要確認事項と必要な修理工事手順とから修理作業のための難易度を算出する請求項1に記載の修理要員管理システム。
【請求項3】
前記難易度算出手段は、前記エラーコードの種別として、前記通信手段を介して実行される通信処理に関する異常であるか否かを判定する請求項2に記載の修理要員管理システム。
【請求項4】
対象となる給湯器の前記給湯器側制御手段は、修理点検作業が終了したのちに、修理点検作業が終了したことを前記管理サーバに送信するように構成され、
前記修理データ管理手段は、当該給湯器に対する修理点検作業の作業内容を担当した修理点検作業員についてのデータを追加して前記修理実績データを更新するように構成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の修理要員管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器について点検修理を行う際における担当する修理点検作業員を選定するための修理要員管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器が長期間にわたり使用されると、部品の故障等により給湯器を修理点検する必要が生じる。そのとき、給湯器の使用者は、給湯器の製造事業者の販売店やサービスセンター等の事業所に連絡して修理点検を依頼することになる。
【0003】
従来では、例えば、給湯器に、使用状況に応じてメンテナンスが必要であるか否かを判別する判別手段を備えて、給湯器が故障する前に、メンテナンスが必要と判別されると、給湯器の使用者にそのこと報知するようにしたものがあった(特許文献1参照)。
【0004】
給湯器の修理を行う修理点検作業員は、対象となる給湯器が設置される地区を担当する事業者に複数人が在籍している。当該地区内には多くの給湯器があり、事業者は地区内の全ての給湯器を担当することになる。そして、給湯器の使用者から依頼を受けた事業者のうちのいずれかの修理点検作業員が使用者宅に出向いて修理点検作業を行うことになる。
【0005】
このように修理点検作業員が訪問して修理点検を行う場合、修理点検作業員は、例えば、予め定めた順番通りに担当したり、そのときに余裕がある修理点検作業員が担当するようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-143616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
修理点検作業員は、過去の点検修理の経験の違いや経験年数の違い等から、個人毎に点検修理のスキルに差がある。しかし、従来のように、給湯器の故障の内容の違いにかかわらず、予め定めた順番通りに担当したり、そのときに時間の余裕がある修理点検作業員が担当する場合であれば、次のような不利な面があった。
【0008】
すなわち、点検修理についての要求があった給湯器において、発生している異常内容に対して、担当する修理点検作業員では対応できない場合、あるいは、簡単な修理内容であっても、高いスキルを有する修理点検作業員が担当することになり、他の給湯器において発生した高いスキルを必要とする点検修理の依頼に対して対応ができない等、複数の修理点検作業員を適切に担当させることができないおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、給湯器の故障等に対して適した修理点検作業員により対応できるようにすることが可能な修理要員管理システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る修理要員管理システムの特徴構成は、
それぞれに給湯器側制御手段が備えられた複数の給湯器と、
前記複数の給湯器が設置される地区を担当する複数の修理点検作業員を要する事業所に備えられた事業所側制御手段と、
前記複数の給湯器それぞれの前記給湯器側制御手段及び前記事業所側制御手段と通信手段を介して通信可能に接続された管理サーバと、が備えられ、
前記管理サーバに、
前記複数の給湯器側制御手段から入手した前記給湯器の使用状況データに基づいて当該給湯器についての故障情報を予測する故障情報予測手段と、
前記事業所側制御手段から入手した複数の修理点検作業員のそれぞれについての過去の修理実績データを管理する修理データ管理手段と、
前記複数の給湯器のうち対象となる対象給湯器について、前記故障情報予測手段にて予測された故障情報に基づいて修理難易度を算出する難易度算出手段と、
前記難易度算出手段にて算出された修理難易度と、前記修理データ管理手段にて管理される修理実績データとに基づいて、複数の修理点検作業員の中から前記修理難易度に適した修理点検作業員を選定する作業員選定手段と、
前記通信手段を介して前記管理サーバと通信可能な外部通信端末に対して選定された修理点検作業員の情報を出力可能な出力手段と、が備えられている点にある。
【0011】
本発明によれば、故障情報予測手段が、複数の給湯器側制御手段から入手した給湯器の使用状況データに基づいて当該給湯器についての故障情報を予測する。使用状況データとしては、例えば、給湯動作において動作異常が発生した際にその異常の内容に対応する情報、あるいは、給湯器の使用期間や給湯使用量の累積データ等、故障の予測が可能な情報等がある。難易度算出手段は、修理依頼の対象である給湯器について、予測される故障情報に基づいて故障に対する点検修理を行う際における修理難易度を算出する。
【0012】
一方、修理データ管理手段が、事業所に所属する複数の修理点検作業員のそれぞれについての過去の修理実績データを管理する。例えば、どの修理点検作業員が過去にどのような内容の点検修理をどの程度経験したか等の情報である。
【0013】
そして、作業員選定手段が、算出された修理難易度と、修理点検作業員についての修理実績データとに基づいて、複数の修理点検作業員の中から対象給湯器の修理難易度に適した修理点検作業員を選定するのである。
【0014】
その結果、発生している異常内容に対して対応できない場合があったり、簡単な修理に対して高いスキルを有する修理点検作業員が担当して、他の給湯器において発生した高いスキルを必要とする点検修理の依頼に対して対応ができなくなる、等の不都合な状態を回避して、複数の修理点検作業員を効率よく担当させることが可能となる。
【0015】
本発明に係る修理要員管理システムの別の特徴構成は、
前記給湯器側制御手段は、前記使用状況データとして、自己が担当する給湯器において、給湯動作に異常が生じると、その発生した動作異常に対応するエラーコードを前記管理サーバに送信するように構成され、
前記難易度算出手段は、前記修理難易度として、送信された前記エラーコードの個数及び種別に基づいて故障原因特定のための難易度を算出するとともに、前記エラーコードに対応する必要確認事項と必要な修理工事手順とから修理作業のための難易度を算出する点にある。
【0016】
本構成によれば、給湯器において動作異常が発生すると、給湯器側制御手段が動作異常に対応するエラーコードを管理サーバに送信する。そして、難易度算出手段は、エラーコードの個数及び種別に基づいて故障原因特定のための難易度を算出するとともに、エラーコードに対応する必要確認事項と必要な修理工事手順とから修理作業のための難易度を算出する。
【0017】
エラーコードに対応する修理点検内容は過去の経験等を元に予め定められており、給湯器側でエラーコードで管理することは従来より行われている。そこで、このような従来から用いられているエラーコードを管理サーバに送信することにより、難易度算出手段にて故障修理に対する修理難易度を容易に求めることができる。
【0018】
本発明に係る修理要員管理システムの更に別の特徴構成は、前記難易度算出手段は、前記エラーコードの種別として、前記通信手段を介して実行される通信処理に関する異常であるか否かを判定する点にある。
【0019】
本構成によれば、通信処理に関する異常は、給湯器の内部における部品等の故障に比べて新しい技術分野であり、修理技術のスキルが高い場合があるので、このような異常については難易度を高く設定する等の処理を取ることができる。
【0020】
本発明に係る修理要員管理システムの更に別の特徴構成は、
対象となる給湯器の前記給湯器側制御手段は、修理点検作業が終了したのちに、修理点検作業が終了したことを前記管理サーバに送信するように構成され、
前記修理データ管理手段は、当該給湯器に対する修理点検作業の作業内容を担当した修理点検作業員についてのデータを追加して前記修理実績データを更新するように構成されている点にある。
【0021】
本構成によれば、修理点検作業員が対象となる給湯器について点検修理を実行したのちに、給湯器側制御手段から管理サーバに対して修理点検作業が終了したことが送信され、修理実績データが更新される。このとき、修理点検作業員についての情報、当該給湯器の故障原因や修理に必要な確認事項と必要な修理工事手順等についても情報も合わせて追加されて更新される。
【0022】
従って、点検修理についての実績データが蓄積されてその後の修理点検作業員の選定をより的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】修理要員管理システムのブロック図である。
図2】原因特定の難易度についての動作フローチャートである。
図3】修理作業の難易度についての動作フローチャートである。
図4】各担当者の現場対応数を表す一覧表である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明に係る修理要員管理システムが示されている。この修理要員管理システムは、複数の住居に各別に設置された複数の給湯器1と、複数の給湯器1が設置される地区を担当する給湯器1を製造販売する事業者のサービスセンター(事業所)2と、事業者により管理される管理サーバ3と、スマートフォン又はタブレット端末等の外部通信端末4と、が通信手段としてのインターネット回線5を介して情報を通信可能に構成されている。外部通信端末4は、タッチパネル式の表示器を備えて、情報の入力が可能であり、必要な情報を画面に表示することができる。外部通信端末4は、例えば、サービスセンター2の所員等が利用することができる。
【0025】
複数の給湯器1には、それぞれ、給湯動作を司る給湯動作部6と、給湯動作部6の運転動作を制御するとともに、インターネット回線5を介して給湯器1についての使用状況データを管理サーバ3に送信する給湯器側制御手段7と、が備えられている。
【0026】
図示はしていないが、給湯動作部6は、水道水が通流する熱交換器、燃料ガスの燃焼により熱交換器を加熱するバーナ、バーナの加熱状態や熱交換器に通流する水の通流状態を調節するための各種の調節バルブ、等が備えられている。給湯器側制御手段7は、予め設定された設定温度の湯が給湯されるように給湯動作部6の運転動作を制御するように構成されている。
【0027】
詳細な構成については記載は省略するが、給湯器1の給湯器側制御手段7は、給湯動作部6の運転動作を制御する際に、給湯動作が正常に行われているか否かを判別し、異常があればエラーコードを判定して外部に報知する自己診断機能を有している。尚、このような自己診断機能は、従来より給湯器1に備えられている周知の構成である。
【0028】
例えば、給湯温度の検知センサ、バーナの燃焼検知センサ、その他の各種センサの検出結果に基づいて、通常動作における検知内容と異なる内容を検知した場合に、何らかの動作異常があるとして、各種の動作異常に対応したエラーコードを判定することができる。エラーコードは、給湯器1のリモコン操作具にて表示することにより、給湯器1の使用者に報知することができる。
【0029】
給湯器1の異常発生の状況によっては、給湯器側制御手段7は、複数のエラーコードを判定する場合がある。この複数のエラーコードが判定される場合に、点検修理作業を行うことを想定すると、異常の発生原因を特定することが難しいものとなる。これに対して、エラーコードが1つであれば、異常の発生原因を特定することが容易となる。
【0030】
動作異常としては、給湯動作部6の内部における動作異常だけではなく、給湯器1がインターネット回線5を介して外部の管理サーバ3と情報を通信可能に接続されている場合においては、インターネット回線5との接続に関する異常が発生するおそれもある。このようなインターネット回線5との接続に関する異常に関しては、給湯器1の点検修理作業を行う修理点検作業員にとっては原因の特定が難しい場合がある。
【0031】
エラーコードには、異常発生状況に応じて複数種のものが設定されている。そして、発生したエラーコードに対して修理点検作業員が行うべき確認事項は、エラーコードの種類によって異なる。すなわち、異常発生状況が複雑であるエラーコードでは、確認事項が多く、修理点検作業員により作業の手間が掛かるおそれがあるとともに、点検修理作業を実行するに際して高いスキル(技能)が必要とされる。一方、異常発生状況がそれほど複雑でなく簡単であるエラーコードでは、確認事項が少なく、修理点検作業員により作業の手間がそれほど掛からないので、点検修理作業を実行するに際してそれほど高いスキルが必要とされない。
【0032】
修理に必要となる交換部品が複雑なものであるときは、修理に手間がかかり、作業工数が多くなり、難しい作業となる。これに対して、部品交換が簡単であれば、修理に要する時間も短く、作業工数が少ないので、簡単な作業となる。つまり、エラーコードの違いによって必要な修理工事手順が異なる。
【0033】
サービスセンター2には、複数の給湯器1が設置される地区を担当する複数の修理点検作業員が所属している。サービスセンター2には、インターネット回線5を介して通信可能に管理サーバ3と接続される事業所側制御手段8が備えられている。
【0034】
サービスセンター2には、図示していないが、キーボード及びモニター装置等からなる手動操作式の入力装置が備えられ、その入力装置により、複数の修理点検作業員に関するデータが入力され、事業所側制御手段8は複数の修理点検作業員に関するデータを管理している。修理点検作業員に関するデータとして、各修理点検作業員の過去に行われた点検修理作業についての履歴を管理している。例えば、各修理点検作業員が、どの地区で、どのような原因の異常に何回対応したか、どのような作業を何回行ったか、という点についての作業実績データである。
【0035】
外部通信端末4には、給湯器1に対する修理点検作業員を選定するためのアプリケーションプログラム(以下、操作アプリと称する)を、インターネット回線5を介して管理サーバ3からダウンロード可能に構成されている。この操作アプリは、給湯器1の製造事業者等から提供される。いずれかの給湯器1からエラーコードが発信された場合に、操作アプリに従って操作することで、管理サーバ3から後述するようにして、異常が発生した給湯器1の点検修理に適した修理点検作業員についての情報を入手することができる。
【0036】
管理サーバ3には、複数の給湯器側制御手段7から入手した給湯器1の使用状況データとしてのエラーコード情報に基づいて当該給湯器1についての故障情報を予測する故障情報予測手段10と、事業所側制御手段8から入手した複数の修理点検作業員のそれぞれについての過去の修理実績データを管理する修理データ管理手段11と、複数の給湯器1のうち対象となる対象給湯器について、故障情報予測手段10にて予測された故障情報に基づいて修理難易度を算出する難易度算出手段12と、難易度算出手段12にて算出された修理難易度と、修理データ管理手段11にて管理される修理実績データと、に基づいて、複数の修理点検作業員の中から修理難易度に適した修理点検作業員を選定する作業員選定手段13と、外部通信端末4に対して選定された修理点検作業員の情報を出力可能な出力手段14と、が備えられている。
【0037】
複数の給湯器1のいずれかの給湯器1において動作異常が発生した場合、当該給湯器1の給湯器側制御手段7は、エラーコードを判定する。このとき、エラーコードは、給湯器1のリモコン装置に表示するとともに、管理サーバ3に向けて送信する。故障情報予測手段10は、給湯器1から送信されたエラーコードに基づいて当該給湯器1についての故障情報を予測する。すなわち、給湯器側制御手段7から送信されたエラーコードの個数、及び、該当するエラーコードに対して修理点検作業員が行うべき確認事項の内容等の情報を予測する。
【0038】
修理データ管理手段11は、事業所側制御手段8から送信された複数の修理点検作業員のそれぞれについての過去の修理実績データ、すなわち、複数の修理点検作業員のそれぞれが過去に実行した点検修理作業についての履歴の情報をデータベースとして蓄積して管理している。この管理データは点検修理作業が行われる毎に新たに記憶されて更新される。
【0039】
難易度算出手段12は、対象となる対象給湯器として、エラーコードが発信された給湯器1について、給湯器側制御手段7から送信されたエラーコードの個数、及び、該当するエラーコードに対して修理点検作業員が行うべき確認事項の内容等の予測された故障情報に基づいて修理難易度を算出する。
【0040】
難易度算出手段12は、修理難易度として、送信されたエラーコードの個数及び種別に基づいて故障原因特定のための難易度を算出するとともに、エラーコードに対応する必要確認事項と必要な修理工事手順とから修理作業のための難易度を算出する。更に、エラーコードの種別として、インターネット回線5を介して実行される通信処理に関する異常であるか否かを判定する。
【0041】
図2に故障原因特定のための難易度を算出する処理を示している。給湯器側制御手段7からエラーコードが送信されると(ステップ♯1)、エラーコードが1種類だけであれば、故障原因特定のための難易度として最も低い難易度C1を設定し(ステップ♯2、♯3)、エラーコードが複数であり、かつ、異常が通信処理に関する異常でなければ、故障原因特定のための難易度として中間的な難易度B1を設定し(ステップ♯4、ステップ♯5)、エラーコードが複数であり、かつ、通信処理に関する異常を含むものであれば、故障原因特定のための難易度として最も高い難易度A1として設定する(ステップ♯6)。
【0042】
又、図3に示すように、給湯器側制御手段7からエラーコードが送信され(ステップ♯11)、対象となるエラーコードについて確認事項が複数でなければ、修理作業のための難易度として最も低い難易度C2を設定し(ステップ♯12、♯13)、エラーコードについて確認事項が複数であれば、修理作業のための難易度として中間的な難易度B2を設定し(ステップ♯14、♯15)、エラーコードについて確認事項が複数であり、かつ、修理する際の交換部品が複雑なものであれば、修理作業のための難易度として最も高い難易度A2として設定する(ステップ♯16)。交換部品が複雑なものであるか否かについては、予め定めた基準に従って定められる。
【0043】
作業員選定手段13は、上述したように設定された修理難易度、すなわち、故障原因特定のための難易度(A1,B1,C1のいずれか)及び修理作業のための難易度(A2,B2,C2のいずれか)と、修理データ管理手段11にて管理される修理実績データ、すなわち、複数の修理点検作業員のそれぞれが過去に実行した点検修理作業についての履歴の情報とに基づいて、複数の修理点検作業員の中から修理難易度に適した修理点検作業員を選定する。
【0044】
つまり、複数の修理点検作業員の過去の修理実績から判断される点検修理に関するスキル(技能)と、実際に発生した給湯器1の異常の内容とを照らし合わせて、複数の修理点検作業員のうち適した修理点検作業員を選定するのである。
【0045】
図4に、複数の修理点検作業員の過去の修理実績データの一例を示している。そのうち、作業員「a」及び作業員「e」は、どの難易度の故障に対しても数多い実績があり、他の作業員はそれより少ない件数となっている。作業員「a」は担当する地区が「〇〇」であり、「〇〇」地区に設置されている給湯器1に対する点検修理を行っており、作業員「e」は担当する地区が「△△」であり、「△△」地区に設置されている給湯器1に対する点検修理を行っている。
【0046】
そして、例えば、「〇〇」地区に設置されている給湯器1からエラーコードが発信され、そのエラーコードに対する修理難易度が、故障原因特定のための難易度が「C1」であり、修理作業のための難易度が「C2」であり、高難度の異常であると判定された場合、複数の修理点検作業員の過去の修理実績データと照らし合わせて、この場合には、作業員「a」を担当する修理点検作業員として選定する。
【0047】
このような選定結果は、外部通信端末4からの要求に応じて、出力手段14からインターネット回線5を介して外部通信端末4に出力され、外部通信端末4にてその情報を表示部に表示することができる。外部通信端末4を操作するサービスセンター2の所員は、給湯器1の使用者からの要求に応じて、該当する修理点検作業員を異常が発生した給湯器1の設置場所に派遣することができる。
【0048】
修理点検作業員は、該当する給湯器1について点検修理が終了したのち、給湯器側制御手段7に対して点検修理が終了した旨の情報を入力する。そうすると、給湯器側制御手段7は、修理点検作業が終了したことを管理サーバ3に送信する。その情報を受信した管理サーバ3の修理データ管理手段11は、当該給湯器1に対する修理点検作業の作業内容を担当した修理点検作業員についてのデータを追加して修理実績データを更新する。このとき、修理点検作業員についての情報、当該給湯器1の故障原因や修理に必要な確認事項と必要な修理工事手順等についての情報も合わせて追加されて更新される。このようにして、点検修理についての実績データが蓄積される。
【0049】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、修理難易度として、エラーコードの個数及び種別に基づいて故障原因特定のための難易度を算出するとともに、エラーコードに対応する必要確認事項と必要な修理工事手順とから修理作業のための難易度を算出するようにしたが、この構成に代えて、修理難易度として、故障原因特定のための難易度、及び、修理作業のための難易度のいずれか1つだけを算出するものでもよい。
【0050】
(2)上記実施形態では、故障原因特定のための難易度、及び、修理作業のための難易度のそれぞれについて、3段階の難易度(A,B,C)を設定したが、難易度としては、3段階に代えて、2段階、あるいは、4段階以上の段数を設定してもよい。
【0051】
(3)上記実施形態では、給湯器側制御手段7は、使用状況データとして、動作異常に対応するエラーコードを管理サーバ3に送信する構成とし、更に、エラーコードの種別として通信処理に関する異常であるか否かを判定する構成としたが、この構成に代えて、エラーコードの種別として通信処理に関する異常であるか否かを判定しないようにしてもよく、また、使用状況データとして、エラーコードではなく、給湯器1において通常の動作とは異なる動作が発生した回数やその頻度についての情報、あるいは、給湯器1の使用者に入力に基づいて送信可能な複数種の異常種別コードを予め設定しておき、そのいずれかの指令情報を送信ようにしてもよく、種々の形態で実施することができる。
【0052】
(4)上記実施形態では、給湯器1の給湯器側制御手段7が、修理点検作業が終了したのちに、修理点検作業が終了したことを管理サーバ3に送信する構成としたが、このような送信を行わないようにしてもよい。例えば、修理点検作業員が、サービスセンター2の入力手段により入力するようにしてもよい。
【0053】
(5)上記実施形態では、外部通信端末4としてスマートフォンやタブレット端末を用いるようにしたが、これに代えて、据え置き型のパーソナルコンピュータ等であってもよい。
【0054】
尚、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、又、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、給湯器について点検修理を行う際における担当する修理点検作業員を選定するための修理要員管理システムに適用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 給湯器
2 事業所(サービスセンター)
3 管理サーバ
4 外部通信端末
5 通信手段(インターネット回線)
7 給湯器側制御手段
8 事業所側制御手段
10 故障情報予測手段
11 修理データ管理手段
12 難易度算出手段
13 作業員選定手段
14 出力手段
図1
図2
図3
図4