(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159922
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】機械式駐車システム、機械式駐車設備の監視センター、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20221011BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
E04H6/18 601B
E04H6/42 Z
E04H6/18 601G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064393
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】難波 政浩
(57)【要約】
【課題】機械式駐車設備の乗降部内の安全確認の確度を高める。
【解決手段】機械式駐車システム100は、画像内の人の有無を判定する無人判定モデルを有し、機械式駐車設備1の乗降部10内を撮影した画像を、無人判定モデルに入力することにより、乗降部内の人の有無を判定した結果を出力する判定部62と、判定部が、無人である判定結果を出力した場合に、乗降部に設けられた扉13を閉じる制御部(入出庫制御装置30)と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像内の人の有無を判定する無人判定モデルを有し、機械式駐車設備の乗降部内を撮影した画像を、前記無人判定モデルに入力することにより、前記乗降部内の人の有無を判定した結果を出力する判定部と、
前記判定部が、無人である判定結果を出力した場合に、前記乗降部に設けられた扉を閉じる制御部と、を備えている、
機械式駐車システム。
【請求項2】
請求項1に記載の機械式駐車システムにおいて、
判定部は、撮影角度が異なる複数の画像を、前記無人判定モデルに入力する、
機械式駐車システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の機械式駐車システムにおいて、
前記判定部は、所定のアプリケーションが動作することにより、カメラ機能を使って、前記乗降部内を撮影する携帯機器が撮影した画像を、前記無人判定モデルに入力することにより、前記乗降部内の人の有無を判定した結果を出力する、
機械式駐車システム。
【請求項4】
請求項3に記載の機械式駐車システムにおいて、
前記乗降部内の、少なくとも床又は壁には、画像認識において識別可能な識別子が付加されており、
前記アプリケーションは、前記識別子が画像に含まれるように、撮影すべき画像を指定し、
前記判定部は、前記画像に含まれる識別子に基づいて、当該画像の撮影角度の適否を判定する、
機械式駐車システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の機械式駐車システムにおいて、
前記乗降部内が撮影された画像を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている画像を使って、前記無人判定モデルに学習させる学習部と、を備えている、
機械式駐車システム。
【請求項6】
通信部と、
機械式駐車設備の乗降部内が無人であるか否かの判定結果を、前記通信部を通じて出力する判定部と、を備え、
前記判定部は、画像内の人の有無を判定する無人判定モデルを有し、前記通信部を通じて取得した、前記乗降部内が撮影された画像を、前記無人判定モデルに入力することにより、前記乗降部内の人の有無を判定した結果を出力する、
機械式駐車設備の監視センター。
【請求項7】
携帯機器にインストールされるアプリケーションのプログラムであって、
前記携帯機器が有するカメラ機能を使って、機械式駐車設備の乗降部内の画像を撮影し、
画像内の人の有無を判定する無人判定モデルを有し、撮影した前記画像を、前記無人判定モデルに入力することにより、前記乗降部内の人の有無を判定した結果を出力する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、機械式駐車システム、機械式駐車設備の監視センター、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、携帯端末を使った操作が可能な機械式駐車設備が記載されている。より詳細に、特許文献1の機械式駐車設備は、利用者が所有する携帯端末(例えばスマートフォン)と通信をすることができる通信部を備えている。携帯端末を機械式駐車設備に接続すれば、利用者は、携帯端末を操作することによって、入庫時又は出庫時にパレットを呼び出すことができる。パレットの呼び出し中には、入庫又は出庫に関する注意事項が、携帯端末に表示されたり、入庫時に車両をパレットに乗せる際には、車両の停止位置に関する誘導情報が、携帯端末に表示されたりする。利用者は、携帯端末を通じて、駐車に関する様々な情報を取得できる。
【0003】
尚、特許文献1の機械式駐車設備では、利用者が降車をして周囲の安全を確認した後、入出庫口近くに設けられた操作盤を操作することにより、扉が閉まる。
【0004】
特許文献2にも、携帯端末を使った操作が可能な機械式駐車設備が記載されている。より詳細に、特許文献2の機械式駐車設備は、利用者が所有する携帯端末(例えばタブレット端末)に、機械式駐車設備の操作盤と同じ操作画面が表示される。利用者は、機械式駐車設備の操作盤を操作する場合と同じ感覚で、携帯端末を操作することにより、機械式駐車設備への入庫又は機械式駐車設備からの出庫を行うことができる。
【0005】
特許文献2の機械式駐車設備ではまた、乗降室内に設置された乗降室内を撮影する監視カメラの映像が、携帯端末に表示される。利用者は、携帯端末に表示された監視カメラ映像を見ることにより、乗降室内の安全確認を行って、入出庫口の扉を閉める操作を、携帯端末において行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-108227号公報
【特許文献2】特開2020-70695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2にも記載されているように、乗降部の扉を閉める前には、乗降部内が無人であるか否かの安全確認を行う必要がある。安全確認は、利用者等が、乗降部内を直接、目視することによって行う場合の他に、特許文献2に記載されているように、乗降部内に設置されたカメラが撮影した映像又は画像に基づいて行う場合もある。
【0008】
ところが、人が直接、目視する場合、又は、撮影された画像を見る場合のいずれにおいても、人が乗降部内の無人を確認する場合は、見落とし等のミスが生じる可能性がある。
【0009】
ここに開示する技術は、機械式駐車設備の乗降部内の安全確認の確度を高める。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここに開示する技術は、画像認識技術を使い、乗降部内を撮影した画像に基づいてAI(Artificial Intelligence:人工知能)が安全確認を行うことにより、その確度を高めることにした。
【0011】
具体的に、ここに開示する技術は、機械式駐車システムに係る。この機械式駐車システムは、
画像内の人の有無を判定する無人判定モデルを有し、機械式駐車設備の乗降部内を撮影した画像を、前記無人判定モデルに入力することにより、前記乗降部内の人の有無を判定した結果を出力する判定部と、
前記判定部が、無人である判定結果を出力した場合に、前記乗降部に設けられた扉を閉じる制御部と、を備えている。
【0012】
この構成によると、判定部は、機械式駐車設備の乗降部内を撮影した画像を入力とし、無人判定モデルによって乗降部内の人の有無を判定する。画像は、静止画像及び動画像のどちらであってもよい。判定部は、人を介さずに判定を行うため、乗降部内が無人であることを、精度良く判定できる。
【0013】
無人判定モデルは、一例として、ディープラーニング技術を使って、事前に人の有無に関係する大量の画像データの学習を行うことにより、画像に人が写っている(つまり、乗降部内に人がいる)か、写っていない(つまり、乗降部内に人がいない)かを出力するモデルとして、予め構築され、判定部に実装させることができる。無人判定モデルは、ディープラーニング技術を使って構築したモデルに限らず、ディープラーニング以外のAI技術(例えば教師あり学習、教師なし学習、又は、強化学習)を利用して構築したモデルであってもよい。
【0014】
尚、無人判定モデルは、画像内における人の有無の判定だけでなく、画像内におけるペット等の動物の有無の判定が可能なモデルとして構築してもよい。
【0015】
ここで、判定部は、乗降部内を撮影した画像を用いて判定を行うため、通信を利用して画像を送ることにより、判定部は、機械式駐車設備から離れた場所に設置することができる。機械式駐車システムは柔軟に構築できる。
【0016】
制御部は、判定部が、無人である判定結果を出力した場合に、乗降部に設けられた扉を閉じる。また、判定部が、無人である判定結果を出力した場合に、且つ操作部が、閉信号を出力したことを条件に、乗降部に設けられた扉を閉じるとしてもよい。操作部は、機械式駐車設備の利用者、又は、係員が、操作部を操作することに伴い、閉信号を出力してもよい。このようにすれば、利用者や係員などが明示的に扉を閉じる意思表示を行うことができる。また、判定部が無人である判定結果を出力した場合に、且つ乗降部の入出庫口近傍に設けられ乗降部への人や車両の出入りを検知する入出庫口センサが人や車両の通過を検知したことを条件に、乗降部に設けられた扉を閉じるとしてもよい。
【0017】
この構成の機械式駐車システムは、判定部が乗降部内の無人を判定するため、機械式駐車設備の乗降部内の安全確認の確度が高まる。
【0018】
判定部は、撮影角度が異なる複数の画像を、前記無人判定モデルに入力する、としてもよい。
【0019】
撮影角度が異なる複数の画像を用いることにより、画像には、乗降部内の全体が、死角なく含まれる。判定部は、複数の画像を無人判定モデルに入力することにより、判定部の判定結果の確かさが高まる。
【0020】
前記機械式駐車システムは、所定のアプリケーションが動作することにより、カメラ機能を使って、前記乗降部内を撮影する携帯機器を備え、
前記判定部は、前記携帯機器が撮影した画像を、前記無人判定モデルに入力することにより、前記乗降部内の人の有無を判定した結果を出力する、としてもよい。
【0021】
携帯機器は、カメラ機能を有する。携帯機器はまた、通信機能を有していることが好ましい。通信機能は、近距離無線通信(例えばBluetooth(登録商標)等)による通信であってもよいし、例えばインターネット回線を介した広域通信であってもよい。携帯機器は、この機械式駐車システム専用の機器である必要はない。携帯機器は、例えば市販のスマートフォン、タブレット端末等であってもよい。携帯機器は、例えば機械式駐車設備の利用者が所有する携帯機器であってもよい。以下では、機械式駐車設備の利用者が、自身が所有する市販の携帯機器を用いる場合を例に、前記構成の機械式駐車システムについて説明をするが、撮影主体は、機械式駐車設備の利用者に限らない。例えば機械式駐車設備の係員であってもよい。また、携帯機器も、利用者の所有する市販の携帯機器に限らない。
【0022】
利用者は、携帯機器のカメラ機能を利用して、乗降部内を撮影する。携帯機器を使うため、利用者は、撮影する位置、及び、角度を変えて、乗降部内を撮影できる。乗降部に設置された固定カメラとは異なり、車両等によって死角が生じることなく、利用者は、乗降部内を撮影することができる。また、携帯機器を用いるため、車両の入庫時に、利用者は、乗降部内の車両のドアを開けて、車内の撮影をすることもできる。
【0023】
判定部は、携帯機器が撮影した画像を、無人判定モデルに入力することにより、乗降部内の人の有無を判定する。携帯機器が撮影した画像は、様々な位置及び角度で撮影された乗降部内の画像であるため、判定部の判定結果は、乗降部内が無人であることの確かさが高まる。また、車内を撮影した画像を使って、判定部が乗降部内の無人を判定すれば、乗降部内に人がいないことの確度がさらに高まる。
【0024】
また、携帯機器を用いることによって、乗降部内に固定カメラを設置する必要がなくなる。前記の機械式駐車システムは、既存の機械式駐車設備に対しても、後付けで構築することができる。
【0025】
前記乗降部内の、少なくとも床又は壁には、画像認識において識別可能な識別子が付加されており、
前記アプリケーションは、前記識別子が画像に含まれるように、撮影すべき画像を指定し、
前記判定部は、前記画像に含まれる識別子に基づいて、当該画像の撮影角度の適否を判定する、としてもよい。
【0026】
こうすることで、利用者が、床又は壁の識別子が画像に含まれるような位置及び角度で、撮影を行うことにより、乗降部内において死角が生じることなく画像を撮影できる。知識に乏しい利用者であっても、乗降部内において死角が生じることなく、無人であることを確認できる画像を撮影できる。
【0027】
識別子が画像認識において識別可能な識別子であるため、判定部は、画像認識処理によって、撮影された画像に識別子が含まれているか否かを判断できる。識別子が画像に含まれていれば、その画像は適切な位置及び角度で撮影された画像であると特定できる。判定部が、撮影角度が適合している画像のみを、無人判定モデルに入力することにより、乗降部内の人の有無の判定精度が高まる。
【0028】
尚、撮影角度が不適合である場合、判定部は、携帯機器のアプリケーションを通じて利用者に対し、乗降部内の撮影のやり直しを指示してもよい。そうすることによって、乗降部内の安全確認の確度が高まる。
【0029】
前記機械式駐車システムは、
前記乗降部内が撮影された画像を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている画像を使って、前記無人判定モデルに学習させる学習部と、を備えている、としてもよい。
【0030】
乗降部内が撮影された画像を使って、学習部が無人判定モデルに学習させることで、判定部の判定精度が高まるから、乗降部内の安全確認の確度が高まる。
【0031】
ここに開示する技術は、機械式駐車設備の監視センターに係る。この監視センターは、
通信部と、
機械式駐車設備の乗降部内が無人であるか否かの判定結果を、前記通信部を通じて出力する判定部と、を備え、
前記判定部は、画像内の人の有無を判定する無人判定モデルを有し、前記通信部を通じて取得した、前記乗降部内が撮影された画像を、前記無人判定モデルに入力することにより、前記乗降部内の人の有無を判定した結果を出力する。
【0032】
この構成の監視センターは、乗降部内の人の有無を遠隔で判定できる。機械式駐車設備は、無人であるという判定結果を受けて、扉を閉じることができる。
【0033】
監視センターは、複数の機械式駐車設備の監視を行うことができるから、一つ一つの機械式駐車設備に係員が常駐しなくても、各機械式駐車設備を安全に運用できる。
【0034】
ここに開示する技術は、携帯機器にインストールされるアプリケーションのプログラムである。このプログラムは、
前記携帯機器が有するカメラ機能を使って、機械式駐車設備の乗降部内の画像を撮影し、
画像内の人の有無を判定する無人判定モデルを有し、撮影した前記画像を、前記無人判定モデルに入力することにより、前記乗降部内の人の有無を判定した結果を出力する。
【0035】
この構成により、携帯機器は、乗降部内の画像の撮影と、撮影した画像に基づく乗降部内の人の有無の判定とを行うことができる。利用者は、携帯機器を使って、機械式駐車設備の乗降部内の安全確認を行うことができる。
【発明の効果】
【0036】
以上説明したように、前記の機械式駐車システム、機械式駐車設備の監視センター、及び、プログラムによると、無人判定モデルを有する判定部が、乗降部内の人の有無を確認するため、乗降部内の安全確認の確度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、機械式駐車設備の乗降部の構成を例示する模式図である。
【
図2】
図2は、機械式駐車システムの構成を例示するブロック図である。
【
図3】
図3は、携帯機器と機械式駐車設備との間の通信確立に関する制御手順を例示するフローチャートである。
【
図4】
図4は、機械式駐車システムの入庫制御の手順を例示するフローチャートである。
【
図5】
図5は、機械式駐車システムの出庫制御の手順を例示するフローチャートである。
【
図6】
図6は、携帯機器に表示される撮影ガイドに係る画面の一例である。
【
図7】
図7は、携帯機器に表示される撮影ガイドに係る画面の一例である。
【
図8】
図8は、撮影位置及び撮影角度を案内する画面の例示である。
【
図9】
図9は、携帯機器に表示される撮影ガイドに係る画面の一例である。
【
図10】
図10は、携帯機器に表示される閉操作に係る画面の一例である。
【
図11】
図11は、監視センターを備えない機械式駐車システムの入庫制御の手順を例示するフローチャートである。
【
図12】
図12は、監視センターを備えない機械式駐車システムの出庫制御の手順を例示するフローチャートである。
【
図13】
図13は、携帯機器において無人判定を行う機械式駐車システムの入庫制御の手順を例示するフローチャートである。
【
図14】
図14は、携帯機器において無人判定を行う機械式駐車システムの出庫制御の手順を例示するフローチャートである。
【
図15】
図15は、携帯機器と監視センターとが直接通信する構成の機械式駐車システムの入庫制御の手順を例示するフローチャートである。
【
図16】
図16は、携帯機器と監視センターとが直接通信する構成の機械式駐車システムの出庫制御の手順を例示するフローチャートである。
【
図17】
図17は、固定カメラが設置されている乗降部の構成を例示する模式図である。
【
図18】
図18は、携帯機器を備えない機械式駐車システムの入庫制御の手順を例示するフローチャートである。
【
図19】
図19は、携帯機器を備えない機械式駐車システムの出庫制御の手順を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、機械式駐車システム、機械式駐車設備、機械式駐車設備の監視センター、及び、プログラムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。ここで説明するシステム等は例示である。
【0039】
(機械式駐車システムの全体構成)
図1は、機械式駐車設備1の乗降部10を例示している。ここに開示する技術は、タワー方式、地下方式、及び、平面往復方式等の様々な方式の機械式駐車設備1に適用することができる。
図2は、機械式駐車システム100の構成を例示している。機械式駐車システム100は、機械式駐車設備1と、携帯機器5と、監視センター6と、を備えている。機械式駐車設備1と、携帯機器5と、監視センター6とはそれぞれ、
図2の構成例では、インターネット回線40に接続されている。
【0040】
尚、以下において説明の便宜上、入庫時に乗降部10内に進入する車両Vを基準にして、
図1の紙面上を前、紙面下を後、紙面左を左、紙面右を右と呼ぶ。
【0041】
(機械式駐車設備の構成)
乗降部10は、利用者が車両Vに乗り降りする場所である。
図1の構成例において、機械式駐車設備1は、いわゆるパレット式の駐車設備である。パレット式の駐車設備は、車両Vを載せるパレット16と、パレット16を搬送するパレット駆動手段14(
図2参照)と、を備えている。利用者は、乗降部10において入庫対象の車両Vをパレット16に載せて降車する。利用者はまた、乗降部10において、パレット16に載った出庫対象の車両Vに乗車する。パレット駆動手段14は、車両Vを載せたパレット16、又は、車両Vを載せていない空のパレット16を、乗降部10と、図示を省略する複数の格納部との間で搬送する。尚、機械式駐車設備1は、パレット式に限定されない。
【0042】
乗降部10は、入出庫口12と、入出庫口12を開閉する扉13とを備えている。入出庫口12は、乗降部10における後部に設けられている。車両Vは、入出庫口12を通って乗降部10に入り、入出庫口12を通って乗降部10から出る。扉13は、入庫時及び出庫時に開き、それ以外は閉じている。詳細は後述するが、入庫時及び出庫時のそれぞれにおいて、扉13を閉める前に、乗降部10内が無人であるか否かの安全確認が必要である。
【0043】
図1の構成例において、乗降部10内には、光電センサ21が設置されている。光電センサ21は、乗降部10内に複数配設されている。光電センサ21は、乗降部10内の人やペット等を含む物体の検知を行う。具体的に、パレット16よりも左方には、前後方向に光軸が延びる光電センサ21が、左右方向に間隔をあけて2つ配設されている。また、パレット16よりも右方には、前後方向に光軸が延びる光電センサ21が、左右方向に間隔をあけて2つ配設されている。なお、パレット16の左右に配設された光電センサ21は、それぞれ1つずつでも構わない。
【0044】
乗降部10の入出庫口12の近傍には、入出庫口12を横切るように左右方向に光軸が延びる入出庫口センサ22が配設されている。入出庫口センサ22では、乗降部10の人の出入り、又は、車両Vの出入りを検知する。
【0045】
乗降部10内の後側には、左右方向に光軸が延びる光電センサ21が配設されている。この光電センサ21では、人や物体を検知するとともに、入庫対象の車両Vの後端部を検知して、車両Vがパレット16の定位置に停車しているかの検知を兼ねている。
【0046】
乗降部10内の前側には、左右方向に光軸が延びる光電センサ21が配設されている。この光電センサ21では、人や物体を検知するとともに、入庫対象の車両Vの前端部を検知して、車両Vが定位置からはみ出しているかの検知を兼ねている。
【0047】
乗降部10の前後方向の中央位置には、パレット16を横切るように左右方向に光軸が延びる車両検知センサ23が配設されている。車両検知センサ23では、パレット16に車両Vが停車しているかを検知する。尚、乗降部10に設置する各センサ21、22、23は、他の方式のセンサを用いても構わない。
【0048】
パレット駆動手段14は、パレット16の駆動の他、入出庫口12の扉13を開閉する駆動装置、及び、前述したセンサ21、22、23を含んでいる。このパレット駆動手段14は、プログラマブルコントローラ15によって駆動制御される。パレット16の移動等を行う機械式駐車設備1の運転(動作)は、プログラマブルコントローラ15によって制御される。
【0049】
運転操作盤17が、プログラマブルコントローラ15と接続されている。運転操作盤17は、
図1に例示するように、乗降部10の外側でかつ、入出庫口12の右側に配設されている。利用者が運転操作盤17を操作することにより、その操作に応じた操作信号がプログラマブルコントローラ15に入力され、プログラマブルコントローラ15によって、機械式駐車設備1は、入庫運転、又は、出庫運転を行う。また、後述するように、運転操作盤17を操作することに代えて携帯機器5を操作した操作信号を、通信部(51、56、34、35)を介してプログラマブルコントローラ15に入力して入庫運転、又は、出庫運転を行うことができる。
【0050】
機械式駐車設備1は、入出庫制御装置30を備えている。入出庫制御装置30は、制御部31と近距離無線通信部34と広域通信部35とを備えている。制御部31は、中央演算処理装置(以下、単に「CPU」という)32と、ROMおよびRAMを含み、CPU32が実行するコンピュータプログラム及び種々のデータ等を記憶する記憶部33とを有している。
【0051】
制御部31は、CPU32がプログラマブルコントローラ15と接続されていて、プログラマブルコントローラ15を制御する。制御部31はまた、入庫された車両Vや利用者に関する情報、及び、出庫された車両Vや利用者に関する情報を、記憶部33に記憶する。記憶部33は、機械式駐車設備1に関する管理リストを記憶している。管理リストは、予め登録された利用者の情報、当該利用者の車両Vの情報、及び、当該車両Vの入庫及び出庫の情報を含んでいる。
【0052】
近距離無線通信部34は、ブルートゥース(「Bluetooth(登録商標)」)と呼ばれる近距離無線通信規格に準拠して、携帯機器5と双方向無線通信を行うための送受信機能を有している。尚、近距離無線通信部34は、その他の通信規格に準拠して、携帯機器5と双方向無線通信を行ってもよい。
【0053】
広域通信部35は、広域通信網、例えばインターネット回線40を通じて、双方向通信を行うための送受信機能を有している。
【0054】
制御部31は、後述するように、機械式駐車設備1に対して双方向無線通信により接続された携帯機器5からの各種の信号に基づき、プログラマブルコントローラ15を通じて、機械式駐車設備1の入庫運転、又は、出庫運転の制御を行う。
【0055】
(携帯端末の構成)
携帯機器5としては、市販の携帯電話機(例えばスマートフォン)を用いることができる。携帯機器5は、この構成例においては、機械式駐車設備1の利用者が所有しているものとする。
【0056】
携帯機器5は、例えば、上記の近距離無線通信規格に準拠して双方向無線通信を行うための近距離無線通信部56を備えている。携帯機器5はまた、通話及びインターネットに接続するための広域無線通信部51、主に通話用のマイク52及びスピーカ53、操作入力部54、画面に文字及び画像等を表示する表示部55、近距離無線通信部56、これらを制御する制御部57等を備えている。ここでは、操作入力部54及び表示部55は、タッチパネル付ディスプレイ58によって構成されている。また、携帯機器5において、必要なプログラム及び記憶すべき情報等は全て、記憶部59に記憶される。
【0057】
携帯機器5は、カメラ510を備えており、静止画像、及び、動画像を撮影し、記憶部59に記憶することができると共に、撮影した画像を、広域無線通信部51、又は、近距離無線通信部56を通じて、外部に送信することができる。
【0058】
また、携帯機器5には、機械式駐車設備1を利用するための所定のプログラムであるアプリケーションソフト(以下、「駐車利用アプリ」という)がインストールされている。例えば、携帯機器5はインターネット回線40を介して駐車利用アプリを提供しているサイトにアクセスし、そのサイトからダウンロードした駐車利用アプリをインストールしている。
【0059】
駐車利用アプリを使って機械式駐車設備1を利用する利用者は、機械式駐車システム100に関して、予め会員登録を行っている。登録された会員の情報、具体的には会員を特定するIDコードと、機械式駐車設備1に入庫する車両Vの情報とは、前述したように、機械式駐車設備1の記憶部33に記憶されていると共に、駐車利用アプリがインストールされた携帯機器5の記憶部59にも記憶されている。
【0060】
(監視センターの構成)
監視センター6は、コンピュータ60を備えている。コンピュータ60は、広域通信部61と、判定部62と、学習部63と、記憶部64と、を構成している。広域通信部61は、インターネット回線40を介して、携帯機器5、又は、機械式駐車設備1の入出庫制御装置30との間で、通信を行うことができる。
【0061】
判定部62は、画像認識技術を使って、機械式駐車設備1の乗降部10内に人がいるかいないかの判定を行う。より具体的に、判定部62は、無人判定モデルを有している。判定部62は、乗降部10内を撮影した画像を、無人判定モデルに入力することによって、乗降部10内の人の有無を判定した結果を出力する。無人判定モデルは、例えばディープラーニング技術を使って、事前に人の有無に関係する大量の画像データの学習を行うことによって、画像に人が写っている(つまり、乗降部10内に人がいる)か、写っていない(つまり、乗降部10内に人がいない)かを出力するモデルとして、予め構築され、判定部62に実装させることができる。
【0062】
尚、無人判定モデルは、画像内における人の有無の判定だけでなく、画像内におけるペット等の動物の有無の判定が可能なモデルとして構築してもよい。本明細書、特許請求の範囲、及び図面の全体において、無人判定モデルの判定対象は、人に限定されず、ペット等の動物を含んでもよい。
【0063】
また、無人判定モデルは、ディープラーニング技術、及び、ディープラーニング以外のAI技術(例えば教師あり学習、教師なし学習、又は、強化学習)を利用して構築したモデルに限定されない。様々な画像処理技術を使った無人判定モデルを構築できる。例えば、無人判定モデルは、入庫時又は出庫時に乗降部10内を撮影した画像と、無人の乗降部10内を撮影した画像との差分に基づいて、画像に人(又は車両以外の物体)が写っているか、写っていないかを出力するモデルとして構築してもよい。
【0064】
記憶部64は、乗降部10内を撮影した画像を記憶する。学習部63は、記憶部64に記憶されている画像を使って、無人判定モデルの機械学習(ディープラーニングを含む)を行う。学習部63が無人判定モデルの機械学習を行うことによって、無人判定モデルの判定精度が向上する。
【0065】
次に、前述した構成の機械式駐車システム100における、入庫制御及び出庫制御に関して、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0066】
(携帯機器と機械式駐車設備と連携制御)
図3は、携帯機器5と機械式駐車設備1との間の双方向通信を確立し、携帯機器5と機械式駐車設備1との連携を行うための手順を例示するフローチャートである。
【0067】
利用者が、携帯機器5において駐車利用アプリを起動すると、携帯機器5は、近距離無線通信をオンにする(ステップS101)。携帯機器5が機械式駐車設備1と通信可能な範囲に入ったことで自動的に駐車利用アプリを起動し、近距離無線通信をオンにしてもよい。機械式駐車設備1は、携帯機器5からの通信信号を受信したか否かを判断し(ステップS201)、受信した場合、機械式駐車設備1は、携帯機器5に対して返信を行う(ステップS202)。携帯機器5は、機械式駐車設備1からの返信を受信したか否かを判断し(ステップS102)、受信した場合、携帯機器5は、記憶部59に記憶している利用者のIDを送信する(ステップS103)。携帯機器5が利用者のIDを自動送信する代わりに、携帯機器5は、利用者が自身のIDを手入力することに基づいて利用者のIDを送信してもよい。機械式駐車設備1は、携帯機器5から送信されたIDを受信する(ステップS203)。機械式駐車設備1は、必要に応じて、利用者のIDに関する処理を行ってもよい(例えば、当該IDが記憶部33に記憶されているかの確認処理、又は、利用者にパスワードを入力させる等を含む利用者の認証処理等)。
【0068】
機械式駐車設備1は、受信したIDと、記憶部33に記憶している管理リストとを照合し、受信したIDに対応する車両Vが、機械式駐車設備1に入庫されているか否かを判断する(ステップS204)。入庫されている場合、当該利用者は車両Vの出庫を行うと予想できるため、プロセスはステップS208の出庫制御に進む。機械式駐車システム100の制御プロセスは、
図5のフローに進む。入庫されていない場合、当該利用者は車両Vの入庫を行うと予想できるため、プロセスはステップS205に進む。
【0069】
ステップS205において、機械式駐車設備1は、車両Vを入庫できるか否かを判断する。入庫できる場合、プロセスはステップS207の入庫制御に進む。機械式駐車システム100の制御プロセスは、
図4のフローに進む。入庫できない場合、機械式駐車設備1は、入庫不可情報を、携帯機器5に送信する(ステップS206)。携帯機器5は、入庫不可情報を受信し(ステップS104)、プロセスは終了する。
【0070】
(入庫制御)
図4は、
図3のステップS207の入庫制御に関する、携帯機器5、機械式駐車設備1、及び、監視センター6の制御を例示するフローチャートである。
【0071】
先ずステップS211で、機械式駐車設備1は、空きパレット16を呼び出し、続くステップS212で、空きパレット16が乗降部10に到着したか否かを判断する。空きパレット16が到着すれば、プロセスは、ステップS212からステップS213に進む。ステップS213で機械式駐車設備1は、空きパレット16の到着情報を送信する。携帯機器5は、空きパレット16の到着情報を受信したか否かを判断し(ステップS111)、受信した場合、プロセスは、S111からS112へ進む。
【0072】
ステップS214で、機械式駐車設備1は扉13を開ける。ステップS111で空きパレット16の到着情報を受信した携帯機器5に扉開操作を促すメッセージを表示させ、利用者が扉13周囲の安全を確認してから、携帯機器5に表示された操作ボタンを操作して機械式駐車設備1に扉13を開ける指示を送信し、これを受信した機械式駐車設備1がステップS214で扉開を行うようにしてもよい。利用者は、入出庫口12を通って車両Vを乗降部10内へ進入させて、車両Vをパレット16の上に載せる。各種のセンサ21、22、23の検知に基づいて、利用者は、車両Vを定位置に停車させる。利用者はその後、車両Vを降りる。
【0073】
降車した利用者は、携帯機器5を使って乗降部10内を撮影する。携帯機器5の駐車利用アプリは、ステップS112で、利用者に対する撮影案内を行う。
図6は、携帯機器5の表示部55に表示される、撮影案内の初期画面D1を例示している。
図6の初期画面の例では、利用者に対し、乗降部10内の前後左右の四隅それぞれに立って、乗降部10の中央を撮影するよう指示されている。当該画面D1には、「右後」ボタン、「左後」ボタン、「右前」ボタン、及び、「右後」ボタンの四つのボタンが設けられている。利用者は、四つのボタンを順に選択する。利用者がボタンの選択操作を行うと、
図4のフローのプロセスは、ステップS112からステップS113に進み、駐車利用アプリは、携帯機器5のカメラ510を起動する。また、携帯機器5には、次の画面が表示される。
【0074】
図7は、「右後」ボタンを選択操作した場合に、携帯機器5に表示される撮影ガイド画面D2を例示している。当該画面D2には、携帯機器5のカメラ機能によって撮影されている映像が表示されていると共に、当該映像に重なるように、三つの枠18が表示されている。
【0075】
利用者は、「右後」ボタンを選択操作した場合、乗降部10における右後の隅に立って、そこから乗降部10の中央を撮影する。ここで、乗降部10の床及び壁の所定箇所には、
図1にも示すように、後述する画像認識において識別される識別子11が付加されている。識別子11は、例えば、前後左右の壁それぞれにおける2箇所の計8箇所と、パレット16の左右の両側部それぞれにおける2箇所の計4箇所とに付加されている。
【0076】
識別子11は、図例では、二次元コード(例えばQRコード(登録商標))である。撮影ガイド画面D2において、表示されている三つの枠18のそれぞれに、床及び壁に付加されている識別子11が入る角度で、乗降部10内を撮影することが案内される。つまり、駐車利用アプリが撮影すべき画像を指定する。利用者は、案内に従い、携帯機器5の向きを調整し、乗降部10内を撮影する。利用者は、携帯機器5によって、撮影が必要なエリアを含んだ範囲の画像を撮影できる。
【0077】
図8の(a)は、「右後」ボタンが選択操作された場合の画面例、(b)は、「左後」ボタンが選択操作された場合の画面例、(c)は、「右前」ボタンが選択操作された場合の画面例、(d)は、「左前」ボタンが選択操作された場合の画面例をそれぞれ示している。利用者は、「左後」ボタンを選択操作した場合、乗降部10における左後の隅に立って、そこから乗降部10の中央を撮影する。利用者は、「右前」ボタンを選択操作した場合、乗降部10における右前の隅に立って、そこから乗降部10の中央を撮影する。利用者は、「左前」ボタンを選択操作した場合、乗降部10における左前の隅に立って、そこから乗降部10の中央を撮影する。
【0078】
三つの枠18は、各画面における下部中央、左上部、及び、右上部に位置している。下部中央の枠18は、乗降部10の床に付加された識別子11に対応する。左上部、又は、右上部の枠18はそれぞれ、乗降部10の壁に付加された識別子11に対応する。なお、ステップS112における四つのボタンを選択する操作を省略し、撮影された画像に含まれる識別子11の情報に基づいて自動的に撮影した場所を判定するようにして、撮影が行われていない残りの場所が分かるように表示(撮影案内)するようにしてもよい。
【0079】
駐車利用アプリが、利用者に対して撮影案内を行うことにより、利用者は、携帯機器5を使って、死角が生じることなく、乗降部10内を撮影することができる。撮影された画像は、後述するように、画像認識に利用されるが、乗降部10内の安全確認に関する知識に乏しい利用者でも適切な画像を撮影できるため、機械式駐車システム100は、乗降部10内の人の有無を精度良く判定することができる。
【0080】
車両Vの入庫の場合、駐車利用アプリは、車両Vの外側の撮影の他に、例えば
図9に例示するように、利用者に車内の撮影を指示する。利用者は、指示に従って、車両Vのドアを開けて、車内を撮影する。車内の画像は、1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。携帯機器5を使うため、利用者は、車内の撮影を容易に行うことができる。車内の撮影を行うことによって、入庫対象の車両Vの車内が無人であることを確認できる。
【0081】
利用者が必要な画像を撮影すれば、携帯機器5は、撮影された画像を送信する(ステップS114)。画像の送信は、必要なすべての画像が撮影されたと駐車利用アプリが判定したときにまとめて送信してもよいし、撮影が行われる都度送信してもよい。
【0082】
機械式駐車設備1は、ステップS215において、全ての画像、例えば入庫の場合は、車外の4枚の画像と、少なくとも1枚の車内の画像との少なくとも5枚の画像を受信したか否かを判断する。全ての画像を受信すれば、プロセスはステップS216に進む。ステップS216において、機械式駐車設備1は、監視センター6へ画像を転送する。
【0083】
監視センター6は、広域通信部61を通じて画像を受信したか否を判断する(ステップS311)。画像を受信すれば、プロセスは、ステップS311からステップS312に進む。判定部62は、受信した画像を無人判定モデルに入力することによって、乗降部10内の人の有無を判定した結果を出力する。監視センター6はその後、判定結果を、機械式駐車設備1へ送信する(ステップS313)。監視センター6はまた、無人判定に用いた画像を、記憶部64に保存する。前述したように、学習部63は、記憶部64に記憶されている画像を使って、無人判定モデルの機械学習を実行する。また、保存した画像は、例えば予期しない事態が発生した場合に原因の分析に使用したり、安全確認の実施状況を統計的に調査する用途等に利用したりすることもできる。
【0084】
機械式駐車設備1は、監視センター6からの判定結果を受信すれば、その判定結果を、携帯機器5へ転送する(ステップS217)。
【0085】
携帯機器5は、監視センター6の判定部62による判定結果を受けて、無人であると判定されているか否かを判断する(ステップS115)。無人であれば、プロセスは、ステップS116へ移行する。無人でなければ、プロセスは、ステップS112に戻る。利用者は、乗降部10が無人であることを確認し、再度、乗降部10内の撮影を行って、画像を、機械式駐車設備1へ送信する(ステップS112~S114)。機械式駐車設備1は、画像を転送し(ステップS215、S216)、監視センター6の判定部62は、再撮影された画像に基づいて、もう一度、乗降部10内が無人であるか否かの判定を行う(ステップS311~S314)。無人でないと判定された場合に、無人でないと判定された画像を携帯機器5に表示して利用者に場内の確認及び対処をさせるようにしてもよいし、明らかに判定部の誤検出である場合に、利用者が誤検出であることを入力してステップS116へ移行できるようにしてもよい。
【0086】
無人であると判定された場合、利用者は、携帯機器5において扉13の閉操作を行う(ステップS116)。
図10は、携帯機器5の閉操作画面D4の例を示している。駐車利用アプリは、閉操作画面D4において、無人であると判定されない間は、左図に示すように、「扉を閉じる」ボタンが操作できない(例えばグレーアウトになる)ようにし、無人であると判定されれば、右図に示すように、「扉を閉じる」ボタンを操作できるようにする。利用者は、乗降部10内の無人を確認した上で、携帯機器5において「扉を閉じる」ボタンを操作する。ボタン操作があれば、プロセスは、ステップS116からステップS117に進み、携帯機器5は、機械式駐車設備1へ、扉閉信号を送信する。
【0087】
機械式駐車設備1は、携帯機器5からの扉閉信号を受信したか否かを判断する(ステップS218)。扉閉信号を受信すれば、プロセスは、ステップS218からステップS219に進み、機械式駐車設備1は、扉13を閉じる。
【0088】
尚、ステップS217の後、機械式駐車設備1は、乗降部10内が無人である判定結果の場合、携帯機器5からの閉信号を待ち、無人でない判定結果の場合、機械式駐車設備1は、再撮影された画像の送信を待てばよい。
【0089】
(出庫制御)
図5は、
図3のステップS208の出庫制御に関する、携帯機器5、機械式駐車設備1、及び、監視センター6の制御を例示するフローチャートである。
【0090】
先ずステップS221で、機械式駐車設備は、利用者のIDに対応する車両Vが載置されたパレット16を呼び出す。続くステップS222~ステップS224は、
図4のフローのステップS212~ステップS214と、実質的に同じである。
【0091】
利用者は、パレット16が乗降部10に到着しかつ、扉13が開けば、車両Vに乗車して、車両Vを、入出庫口12を通じて乗降部10から退出させる。利用者はまた、車両Vを退出させると、車両Vから降りて、乗降部10内の撮影を行う(
図6~8参照)。携帯機器5におけるステップS122~ステップS123は、
図4のフローのステップS112~ステップS113と、実質的に同じである。尚、出庫制御においては、乗降部10内に車両Vがないため、車内の撮影は行われない。また、車両Vによる死角が生じないため、撮影すべき場所を例えば1~2か所に減らすようにしてもよい。
【0092】
利用者が乗降部10内の撮影を全て行うと、携帯機器5は撮影された画像(ここでは4枚の画像)を、機械式駐車設備1へ送信する(ステップS124)。機械式駐車設備1は、受信した画像を、監視センター6へ転送する(ステップS225、S226)。
【0093】
監視センター6において、画像を受信すれば(ステップS321)、前記と同様に、判定部62が、受信した画像を無人判定モデルに入力して、乗降部10内が無人であるか否かの判定結果を出力する(ステップS322)。監視センター6は、広域通信部61を通じて、判定結果を機械式駐車設備1に送信する(ステップS323)と共に、画像を保存する(ステップS324)。
【0094】
機械式駐車設備1は、監視センター6の判定結果を携帯機器5へ転送する(ステップS227)。乗降部10内が無人であれば、機械式駐車設備1は、携帯機器5からの閉信号を待つ。無人でなければ、機械式駐車設備1は、再撮影された画像の送信を待つ。
【0095】
携帯機器5において、監視センター6の判定結果が無人でない場合、再撮影を行うべく、プロセスは、ステップS125からステップS122に戻る。判定結果が無人である場合、携帯機器5は、利用者による閉操作を待ち(ステップS126)、利用者が閉操作をすれば、携帯機器5は、機械式駐車設備1へ閉信号を送信する(ステップS127)。扉閉信号を受信した機械式駐車設備1は、扉13を閉じる(ステップS228、S229)。
【0096】
このように、機械式駐車システム100は、携帯機器5のカメラ機能を利用して、乗降部10内の撮影を行う。乗降部10内に配設される固定カメラとは違って、利用者は、死角が生じないように、乗降部10内を撮影できる。また、駐車利用アプリが利用者に撮影案内を行うことによって、利用者は、適切な位置及び適切な角度で、乗降部10内を撮影することができる。
【0097】
機械式駐車設備1は、携帯機器5が閉信号を出力しかつ、少なくとも携帯機器5が乗降部10内を撮影したことを、近距離無線通信部34又は広域通信部35を通じて確認した場合(ステップS216、S217、S226、S227)、扉13を閉じる。携帯機器5を用いて乗降部10内を撮影することにより、乗降部10内が無人であることの確かさが高いため、機械式駐車システム100は、乗降部10内が無人であることを担保して、扉13を閉じることができる。
【0098】
また、前記の構成の機械式駐車システム100は、監視センター6の判定部62が、画像に基づいて、乗降部10内における人の有無を判定する。判定部62は、人を介さずに判定を行うため、乗降部10内が無人であることを、精度良く判定できる。
【0099】
従って、携帯機器5を利用して乗降部10内を撮影することと、その画像に基づいて、判定部62が乗降部10内の無人判定を行うことと、が組み合わさることにより、機械式駐車システム100は、乗降部10内が無人であることを、より一層高い確度で判定でき、その判定に基づいて、乗降部10の扉13を閉じることができる。
【0100】
ここで、監視センター6の判定部62は、乗降部10内の人の有無を判定する他にも、識別子11が画像内の適切な位置に存在しているか、換言すると、画像が適切な位置及び適切な角度で撮影されているか否かをも、判定するようにしてもよい。図に示すように二次元コードからなる識別子11は画像認識によって識別可能であるため、判定部62は、撮影された画像における識別子11の位置と、枠18の位置とを比較できる。判定部62は、識別子11が枠18内に位置しているか否かを判定できる。
【0101】
判定部62が、識別子11が枠18内に位置していないと判定した場合、機械式駐車システム100は、携帯機器5を通じて、利用者に対し、乗降部10内の撮影のやり直しを促せばよい。つまり、駐車利用アプリは、改めて撮影すべき画像を指定すればよい。
【0102】
尚、監視センター6の判定部62が識別子11の位置判定を行う代わりに、携帯機器5の駐車利用アプリが、利用者が撮影をしている最中に、識別子11が枠18内に位置しているか否かを判定し、必要に応じて、利用者に対し、乗降部10内の撮影のやり直しを促してもよい。
【0103】
尚、識別子11は、前述した二次元コードに限定されない。画像認識によって識別が可能であれば、識別子11は、どのようなものであってもよい。また、識別子を利用せずに、例えばAIにより、撮影された画像から乗降部10内の位置と方向を判定してもよい。
【0104】
また、監視センター6は、一つの機械式駐車設備1の監視を行うことに限らず、各所に存在する複数の機械式駐車設備1の監視を行うことができる。監視センター6に判定部62を設けることによって、監視センター6は、複数の機械式駐車設備1それぞれの乗降部10について、無人判定を行うことができる。一つ一つの機械式駐車設備1に係員が常駐しなくても、この機械式駐車システム100は、各機械式駐車設備1を安全に運用できる。また、監視センター6に備える判定部62がAI技術を利用して構築したモデルである場合は、モデルの更新が容易に行えるという利点もある。
【0105】
また、この機械式駐車システム100は、乗降部10内に固定カメラが設置されていない既存の機械式駐車設備1に対しても、通信部等を追加することによって構築することができるという利点もある。
【0106】
(機械式駐車システムの第1変形例)
図2に示す機械式駐車システム100は、監視センター6が、乗降部10内の無人判定を行っていたが、判定部は、監視センター6以外に設けてもよい。図示は省略するが、例えば機械式駐車設備1が、画像に基づいて無人判定を行う判定部を備えていてもよい。この場合、機械式駐車システム100は、監視センター6を省略できる。
【0107】
図11は、機械式駐車設備1が判定部を備えている機械式駐車システム100の入庫制御のフローチャートを例示している。
図11のフローチャートは、
図4のフローチャートに対応する。
【0108】
ステップS231~ステップS234は、
図4のフローのステップS211~ステップS214と同じである。機械式駐車設備1は、空きパレット16を呼び出し(ステップS231)、空きパレット16が乗降部10に到着すれば、機械式駐車設備1は、空きパレットの到着情報を、携帯機器5に送信する(ステップS232、S233)。機械式駐車設備1は、扉13を開ける(ステップS234)。携帯機器5が空きパレット16の到着情報を受信すれば、プロセスは、S131からS132へ進む。利用者は、車両Vを乗降部10内へ進入させて、車両Vをパレット16の上の所定の位置に止める。利用者はその後、車両Vを降りる。
【0109】
ステップS132~ステップS134は、
図4のフローのステップS112~114と同じである。携帯機器5は、利用者に対して撮影案内を行う(ステップS132)と共に、カメラ510を起動する(ステップS133)。利用者は、前述したように、指定された位置から指定された角度で、乗降部10内を撮影する(
図6~9参照)。利用者が、指定された画像を、携帯機器5を使って撮影すれば、携帯機器5は、撮影された画像を送信する(ステップS134)。
【0110】
機械式駐車設備1は、全ての画像を受信したか否かを判断する(ステップS235)。全ての画像を受信すれば、プロセスはステップS235からステップS236へ進む。ステップS236において、機械式駐車設備1の判定部は、受信した画像を、無人判定モデルに入力し、乗降部10内が無人であるか否かの判定結果を出力する。機械式駐車設備1はまた、近距離無線通信部34を通じて、判定結果を携帯機器5に送信すると共に、例えば記憶部33に画像を保存する(ステップS237)。機械式駐車設備1の学習部は、記憶されている画像を使って、無人判定モデルの機械学習を実行する。
【0111】
携帯機器5は、機械式駐車設備1の判定部による判定結果を受ける。無人である場合、プロセスは、ステップS135からステップS136へ進む。無人でなければ、プロセスは、ステップS132に戻り、利用者は、乗降部10が無人であることを確認し、再度、乗降部10を撮影する(ステップS132~S134)。機械式駐車設備1の判定部は、再撮影された画像に基づいて、もう一度、乗降部10内が無人であるか否かの判定を行う。
【0112】
利用者は、無人であると判定された場合、
図10の閉操作画面D4によって扉13の閉操作を行う(ステップS136)。利用者が操作を行うと、携帯機器5は、機械式駐車設備1へ、扉閉信号を送信する(ステップS137)。
【0113】
機械式駐車設備1は、携帯機器5からの扉閉信号を受信したか否かを判断し(ステップS238)、扉閉信号を受信すれば、機械式駐車設備1は、扉13を閉じる(ステップS239)。
【0114】
図12は、機械式駐車設備1が判定部を備えている機械式駐車システム100の出庫制御のフローチャートを例示している。
図12は、
図5のフローに対応する。
【0115】
ステップS241~ステップS244は、
図5のフローのステップS221~ステップS224と同じである。機械式駐車設備1は、利用者のIDに対応する車両Vが載置されたパレット16を呼び出し(ステップS241)、パレット16が乗降部10に到着すれば、機械式駐車設備1は、パレット16の到着情報を、携帯機器5へ送信する(ステップS242、S243)。機械式駐車設備1は、扉13を開ける(ステップS244)。携帯機器5がパレット16の到着情報を受信すれば、プロセスは、S141からS142へ進む。利用者は、車両Vに乗車をして、車両Vを乗降部10から退出させる。利用者はその後、車両Vを降りる。
【0116】
ステップS142~ステップS144は、
図5のフローのステップS122~ステップS124と同じである。携帯機器5は、利用者に対して撮影案内を行う(ステップS142)と共に、カメラ510を起動する(ステップS143)。利用者は、前述したように、指定された位置から指定された角度で、乗降部10内を撮影する(
図6~8参照)。利用者が、携帯機器5を使って指定された画像を撮影すれば、携帯機器5は、撮影された画像を送信する(ステップS144)。
【0117】
機械式駐車設備1は、入庫制御の場合と同様に、全ての画像を受信すると(ステップS245)、機械式駐車設備1の判定部が、受信した画像を無人判定モデルに入力して、乗降部10内が無人であるか否かの判定結果を出力する(ステップS246)。機械式駐車設備1は、近距離無線通信部34を通じて判定結果を携帯機器5に送信すると共に、画像を、例えば記憶部33に保存する(ステップS247)。機械式駐車設備1の学習部は、記憶されている画像を使って、無人判定モデルの機械学習を実行する。
【0118】
携帯機器5は、機械式駐車設備1の判定部による判定結果を受ける。無人でなければ、再撮影を行うべく、プロセスは、ステップS142に戻る。無人であれば、利用者による閉操作を待ち(ステップS146、
図10)、利用者が閉操作をすれば、携帯機器5は、機械式駐車設備1へ閉信号を送信する(ステップS147)。扉閉信号を受信した機械式駐車設備1は、扉13を閉じる(ステップS248、S249)。
【0119】
この構成の機械式駐車システム100も、前記と同様に、携帯機器5を使った乗降部10内の撮影と、AIによる無人判定との組み合わせにより、乗降部10内が無人であることを、高い確度で判定し、その判定に基づいて、乗降部10の扉13を閉じることができる。また、個々の機械式駐車設備1に判定部を備えることで、同時に複数の判定処理が集中することが回避でき、処理の負荷を軽減することが期待できる。
【0120】
(機械式駐車システムの第2変形例)
携帯機器5が、判定部を備えてもよい。
図13及び
図14は、携帯機器5が無人の判定を行う機械式駐車システム100の入庫制御及び出庫制御のフローチャートを例示している。
【0121】
図13のフローチャートは、
図4又は
図11のフローチャートに対応する。ステップS251~ステップS254は、
図4のフローのステップS211~ステップS214と同じであり、ステップS151は、
図4のフローのステップS111と同じである。
【0122】
入庫対象の車両Vを乗降部10内のパレット16の上に載せた利用者は、携帯機器5の撮影案内に従って、指定された画像を撮影する(ステップS152、S153、
図6~9参照)。携帯機器5の判定部は、撮影された画像を無人判定モデルに入力し、乗降部10内が無人であるか否かの判定結果を出力する(ステップS154)。無人判定モデルの判定結果が無人である場合、プロセスはステップS155からステップS156に進み、携帯機器5は、利用者による扉閉操作を待つ。無人でない場合、プロセスはステップS152に戻り、携帯機器5は、前述したように、利用者に再撮影を促す。
【0123】
利用者が、携帯機器5において扉閉操作を行えば(ステップS156、
図10参照)、携帯機器5は、扉閉信号を機械式駐車設備1へ送信する(ステップS157)。機械式駐車設備1は、扉閉信号を受信すれば(ステップS255)、扉13を閉じる(ステップS256)。
【0124】
図14のフローチャートは、
図5又は
図12のフローチャートに対応する。ステップS261~ステップS264は、
図5のフローのステップS221~ステップS224と同じであり、ステップS161は、
図4のフローのステップS121と同じである。
【0125】
出庫対象の車両Vを乗降部10から退出させた利用者は、車両Vから降車する。利用者はまた、携帯機器5の撮影案内に従って、指定された画像を撮影する(ステップS162、S163、
図6~8参照)。ここで、携帯機器5の判定部は、画像内の識別子11に基づいて、撮影すべき画像(場所や角度)をリアルタイムに指定するようにしてもよい。携帯機器5の判定部は、撮影された画像を無人判定モデルに入力し、乗降部10内が無人であるか否かの判定結果を出力する(ステップS164)。無人判定モデルの判定結果が無人である場合、プロセスはステップS165からステップS166に進み、携帯機器5は、利用者による扉閉操作を待つ。無人でない場合、プロセスはステップS162に戻り、携帯機器5は、前述したように、利用者に再撮影を促す。
【0126】
利用者が、携帯機器5において扉閉操作を行えば(ステップS166、
図10参照)、携帯機器5は、扉閉信号を機械式駐車設備1へ送信する(ステップS167)。機械式駐車設備1は、扉閉信号を受信すれば(ステップS265)、扉13を閉じる(ステップS266)。
【0127】
この構成の機械式駐車システム100も、前記と同様に、携帯機器5を使った乗降部10内の撮影と、AIによる無人判定との組み合わせにより、乗降部10内が無人であることを、高い確度で判定し、その判定に基づいて、乗降部10の扉13を閉じることができる。
【0128】
携帯機器5では、乗降部10内が無人である判定結果を判定部が出力しないと、扉13の閉操作ができず、閉信号を出力できない。機械式駐車設備1は、携帯機器5からの閉信号を受信することによって、携帯機器5が閉信号を出力したことと、携帯機器5が乗降部10内を撮影したこととを、近距離無線通信部34を通じて確認できる。機械式駐車設備1は、乗降部10内の無人であることを担保して、扉13を閉じることができる。この変形例によれば、例えば既存の機械式駐車設備に対しても、通信部等を追加することによって容易にシステムを構築することができる。
【0129】
(機械式駐車システムの第3変形例)
図4及び
図5に例示するフローチャートでは、機械式駐車設備1が、携帯機器5と監視センター6との間で画像等の転送を行っている。これとは異なり、機械式駐車システム100は、携帯機器5と監視センター6とが画像等の送受信を直接行うよう構成してもよい。
【0130】
尚、この変形例において、図示は省略するが、携帯機器5と監視センター6との間の双方向通信を確立するための制御は、
図3のフローに準じて行われる。
【0131】
図15及び
図16は、携帯機器5と監視センター6とが画像等の送受信を直接行うよう構成された機械式駐車システム100の、入庫制御のフローチャート、及び、出庫制御のフローチャートを例示している。
【0132】
図15のフローチャートは、
図4のフローチャートに対応する。
図15のステップS271~ステップS274は、
図4のステップS211~ステップS214と同じであり、ステップS171~ステップS173は、
図4のステップS111~113と同じである。
【0133】
携帯機器5は、利用者が携帯機器5を使って撮影した画像を、広域無線通信部51を通じて、監視センター6へ送信する(ステップS174)。監視センター6は、携帯機器5からの画像を受信したか否を判定し(ステップS371)、受信した場合、プロセスはステップS371からステップS372へ進む。監視センター6の判定部62は、無人判定モデルに画像を入力することによって、乗降部10内が無人であるか否かの判定結果を出力する(ステップS372)。監視センター6は、判定結果を、インターネット回線40を通じて携帯機器5へ送信し、携帯機器5は、広域無線通信部51を通じて、監視センター6からの判定結果を直接、受信する。判定結果が無人である場合、プロセスはステップS175からステップS176へ進み、携帯機器5は、利用者による閉操作を待つ。利用者が閉操作を行うと(ステップS176)、携帯機器5は、近距離無線通信部56を通じて、機械式駐車設備1に、扉閉信号を送信する(ステップS177)。機械式駐車設備1は、携帯機器5からの扉閉信号を受信すれば(ステップS275)、扉13を閉じる(ステップS276)。
【0134】
図16のフローチャートは、
図5のフローチャートに対応する。
図16のステップS281~ステップS284は、
図5のステップS221~ステップS224と同じであり、ステップS181~ステップS183は、
図5のステップS121~ステップS123と同じである。
【0135】
携帯機器5は、利用者が携帯機器5を使って撮影した画像を、広域無線通信部51を通じて、監視センター6へ送信する(ステップS184)。監視センター6は、携帯機器5からの画像を受信したか否を判定し(ステップS381)、受信した場合、プロセスはステップS381からステップS382へ進む。監視センター6の判定部62は、無人判定モデルに画像を入力することによって、乗降部10内が無人であるか否かの判定結果を出力する(ステップS382)。監視センター6は、判定結果を、インターネット回線40を通じて携帯機器5へ送信し、携帯機器5は、広域無線通信部51を通じて、監視センター6からの判定結果を直接、受信する。判定結果が無人である場合、プロセスはステップS185からステップS186へ進み、携帯機器5は、利用者による閉操作を待つ。利用者が閉操作を行うと(ステップS186)、携帯機器5は、近距離無線通信部56を通じて、機械式駐車設備1に、扉閉信号を送信する(ステップS187)。機械式駐車設備1は、携帯機器5からの扉閉信号を受信すれば(ステップS285)、扉13を閉じる(ステップS286)。
【0136】
この第3変形例においても、携帯機器5では、乗降部10内が無人である判定結果を判定部が出力しないと、扉13の閉操作ができず、閉信号を出力できない。機械式駐車設備1は、携帯機器5からの閉信号を受信することによって、携帯機器5が閉信号を出力したことと、携帯機器5が乗降部10内を撮影したこととを、近距離無線通信部34を通じて確認できる。機械式駐車設備1は、乗降部10内の無人であることを担保して、扉13を閉じることができる。
【0137】
尚、図示は省略するが、携帯機器5から機械式駐車設備1へ扉閉信号を送信する代わりに、携帯機器5から監視センター6へ扉閉信号を送信し、扉閉信号を受信した監視センター6が、機械式駐車設備1へ扉閉信号を転送してもよい。この場合、携帯機器5と機械式駐車設備1との双方向通信の確立は省略できる。この構成例においても、機械式駐車設備1は、監視センター6から転送された扉閉信号に基づいて、携帯機器5が閉信号を出力したことと、携帯機器5が乗降部10内を撮影したこととを確認できる。この変形例によれば、例えば既存の機械式駐車設備に対しても、通信部等を追加することによって容易にシステムを構築することができる。
【0138】
(機械式駐車システムの第4変形例)
前述した機械式駐車システムにおいては、携帯機器5が判定部の判定結果を受けて、乗降部10内が無人である場合に、携帯機器5が、扉13の閉操作の可否を切り替えている。これとは異なり、例えば機械式駐車設備1が、携帯機器5からの扉閉信号を受けたときに、乗降部10内が無人であれば、扉13を閉じるようにしてもよい。具体的に、例えば
図4のフローチャートにおいて、機械式駐車設備1は、監視センター6からの判定結果を携帯機器5へ転送するステップS217を省略する。また、携帯機器5は、ステップS115の判定ステップを省略して、判定部62の判定結果にかかわらず、利用者の操作に応じて、機械式駐車設備1へ、扉閉信号を送信する。機械式駐車設備1は、監視センター6からの判定結果を受けて乗降部10内が無人であると判定されかつ、扉閉信号を受信した場合に、扉13を閉じる(ステップS219)。尚、
図5等のフローチャートにおいても同様の変更を行ってもよい。
【0139】
また、携帯機器5において扉13の閉操作を行うのではなく、機械式駐車設備1の運転操作盤17において、利用者が扉13の閉操作を行うようにしてもよい。つまり、携帯機器5を乗降部10内の撮影にのみ利用し、利用者は、乗降部10の入出庫口12の近くに設置されている運転操作盤17において扉13の閉操作を行う。具体的に、例えば
図4のフローチャートにおいては、機械式駐車設備1は、監視センター6からの判定結果を携帯機器5へ転送するステップS217を省略する。また、携帯機器5における、ステップS115~ステップS117の各ステップを省略する。また、機械式駐車設備1において、携帯機器5からの扉閉信号の受信を待つステップS218の代わりに、運転操作盤17において扉13の閉操作がされたか否かを判定し、機械式駐車設備1は、扉13の閉操作が行われると共に、乗降部10内が無人であると判定された場合に、扉13を閉じる(ステップS219)。尚、
図5等のフローチャートにおいても同様の変更を行ってもよい。
【0140】
尚、前述した各構成例において、携帯機器5は、静止画像ではなく、動画像を撮影してもよい。
【0141】
(機械式駐車システムの第5変形例)
図17は、機械式駐車設備1の乗降部10の変形例を示している。この機械式駐車システム100は、携帯機器5を備えないシステムである。携帯機器5のカメラ機能に代えて、乗降部10には、固定カメラ25が設置されている。固定カメラ25は、例えば乗降部10の前後左右の四隅に設置されている。固定カメラ25は、四隅のそれぞれから、乗降部10の中央部を撮影するように構成されている。
【0142】
図18は、携帯機器5を含まない機械式駐車システム100の入庫制御のフローを例示している。
図18のステップS291~ステップS293は、
図4のフローのステップS211~ステップS213と同じである。利用者は、空きパレット16が乗降部10に到着すると、入庫対象の車両Vを乗降部10内に進入させてパレット16の上に載置する。利用者は、車両Vから降りて入出庫口12から退出する。利用者の退出を入出庫口センサ22が検知すれば、固定カメラ25は、乗降部10内を撮影する(ステップS294)。尚、利用者が運転操作盤17を操作することをトリガーとして、固定カメラ25は、乗降部10内を撮影してもよいし、例えば扉開(ステップS293)や車両入庫の時点から継続的に撮影するようにしてもよい。機械式駐車設備1は、広域通信部35を通じて、撮影した画像を監視センター6へ送信する。
【0143】
監視センター6のステップS391~ステップS394は、
図4のステップS311~ステップS314と同じである。なお、判定結果の送信(ステップS393)は判定結果が無人となるまで待機してもよい。機械式駐車設備1は、監視センター6からの判定結果が無人であれば、その旨を、運転操作盤17において表示すると共に、利用者が、運転操作盤17において閉操作を行うことを待つ(ステップS297)。利用者が、扉13の閉操作を行えば、機械式駐車設備1は、扉13を閉じる。監視センター6からの判定結果が無人でない場合、機械式駐車設備1は、運転操作盤17を通じてその旨を利用者に通知し、利用者に対して、乗降部10内の確認を促す。このとき、無人でないと判定した画像を運転操作盤に表示したり、その画像の無人でないと判断された箇所を強調表示したりしてもよい。固定カメラ25は、乗降部10内を、再度、撮影し、監視センター6の判定部62は、新たな画像に基づいて、乗降部10内の無人判定を改めて行う。
【0144】
図19は、携帯機器5を含まない機械式駐車システム100の出庫制御のフローを例示している。
図19のステップS2101~ステップS2103は、
図5のステップS221~ステップS223と同じである。利用者は、出庫対象の車両Vを載せたパレット16が乗降部10に到着すれば、当該車両Vを乗降部10から退出させる。車両Vの退出を入出庫口センサ22が検知すれば、固定カメラ25は、乗降部10内を撮影する(ステップS2104)。尚、利用者が車両Vから降りて運転操作盤17を操作することをトリガーとして、固定カメラ25は、乗降部10内を撮影してもよい。機械式駐車設備1は、広域通信部35を通じて、撮影した画像を監視センター6へ送信する。
【0145】
監視センター6のステップS3101~ステップS3104は、
図5のステップS321~ステップS324と同じである。機械式駐車設備1は、監視センター6からの判定結果が無人であれば、その旨を、運転操作盤17において表示すると共に、利用者が、運転操作盤17において閉操作を行うことを待つ(ステップS2107)。利用者が、扉13の閉操作を行えば、機械式駐車設備1は、扉13を閉じる。監視センター6からの判定結果が無人でない場合、機械式駐車設備1は、運転操作盤17を通じてその旨を利用者に通知し、利用者に対して、乗降部10内の確認を促す。固定カメラ25は、乗降部10内を、再度、撮影し、監視センター6の判定部62は、新たな画像に基づいて、乗降部10内の無人判定を改めて行う。
【0146】
尚、図示は省略するが、
図17~
図19に係る機械式駐車システム100において、機械式駐車設備1が、判定部を備えていてもよい。AIを利用して無人判定を行う機械式駐車システム100は、機械式駐車設備1のみで構成することができる。
【0147】
また、固定カメラ25は、静止画像ではなく、動画像を撮影してもよい。
【符号の説明】
【0148】
1 機械式駐車設備
10 乗降部
11 識別子
13 扉
17 運転操作盤(操作部)
100 機械式駐車システム
30 入出庫制御装置(制御部)
34 近距離無線通信部
35 広域通信部
5 携帯機器
51 広域無線通信部
54 操作入力部(操作部)
56 近距離無線通信部
61 広域通信部
62 判定部
6 監視センター