(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159942
(43)【公開日】2022-10-18
(54)【発明の名称】防除車両
(51)【国際特許分類】
A01M 7/00 20060101AFI20221011BHJP
B05B 17/00 20060101ALI20221011BHJP
B05B 13/02 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
A01M7/00 L
B05B17/00 101
B05B13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064432
(22)【出願日】2021-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】涌田 健作
(72)【発明者】
【氏名】中山 亜委
【テーマコード(参考)】
2B121
4D074
4F035
【Fターム(参考)】
2B121CB02
2B121CB13
2B121CB23
2B121CB33
2B121CB42
2B121CB45
2B121CB51
2B121CB61
2B121CB62
2B121CB66
2B121CB69
4D074AA05
4D074BB01
4D074BB06
4D074CC04
4D074CC22
4D074CC32
4D074CC34
4D074CC42
4D074CC55
4F035AA02
4F035CA01
4F035CA05
4F035CC01
4F035CC04
(57)【要約】
【課題】薬液を適切に散布できる防除車両を提供する。
【解決手段】防除車両1は、クローラ走行部10と、薬液タンク22と、筒状部材31と、を備える。薬液タンク22は、防除用の薬液を貯留する。筒状部材31は、内部に空間が形成される。筒状部材31は、薬液通路と、薬液噴射部32と、空気通路と、空気噴射部33と、を備える。薬液通路は、薬液が流れる。薬液噴射部32は、薬液通路と接続されており、薬液を噴射する。空気通路は、空気が流れる。空気噴射部33は、空気通路と接続されており、空気を噴射することにより薬液の散布を補助する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部と、
防除用の薬液を貯留するための薬液タンクと、
内部に空間が形成された筒状部材と、
を備え、
前記筒状部材は、
薬液が流れる薬液通路と、
前記薬液通路と接続されており、薬液を噴射する薬液噴射部と、
空気が流れる空気通路と、
前記空気通路と接続されており、空気を噴射することにより前記薬液の散布を補助する空気噴射部と、
を備えることを特徴とする防除車両。
【請求項2】
走行部と、
防除用の薬液を貯留するための薬液タンクと、
薬液が流れる薬液ダクトと、
前記薬液ダクトに接続され、薬液を噴射する薬液噴射部と、
空気が流れる空気ダクトと、
前記空気ダクトに接続され、空気を噴射することにより、前記薬液の散布を補助する空気噴射部と、
を備えることを特徴とする防除車両。
【請求項3】
請求項2に記載の防除車両であって、
前記空気ダクトは間隔を空けて左右一対で配置されており、
左側の前記空気ダクトには、左側に薬液を噴射する前記薬液噴射部が接続された前記薬液ダクトと、右側に薬液を噴射する前記薬液噴射部が接続された前記薬液ダクトと、が配置されており、
右側の前記空気ダクトには、左側に薬液を噴射する前記薬液噴射部が接続された前記薬液ダクトと、右側に薬液を噴射する前記薬液噴射部が接続された前記薬液ダクトと、が配置されていることを特徴とする防除車両。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の防除車両であって、
前記空気噴射部から噴射する空気を供給するブロア装置を備え、
前記ブロア装置が、前記空気噴射部よりも上方に配置されることを特徴とする防除車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、防除用の薬液を散布する防除車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、薬液タンクと、ノズルユニットと、を備える農作業用車両を開示する。薬液タンクには、防除用の薬液が貯留される。ノズルユニットは、農作業用車両に左右一対で配置される。薬液タンクの薬液は、ノズルユニットまで送出され、ノズルユニットから噴射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、風向きの影響を受けたり、作物の葉までの散布距離が安定しないので、薬液の散布が不均一になったりする。その結果、薬液を適切に散布できない可能性がある。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、薬液を適切に散布できる防除車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の防除車両が提供される。即ち、防除車両は、走行部と、薬液タンクと、筒状部材と、を備える。前記薬液タンクは、防除用の薬液を貯留する。前記筒状部材は、内部に空間が形成される。前記筒状部材は、薬液通路と、薬液噴射部と、空気通路と、空気噴射部と、を備える。前記薬液通路は、薬液が流れる。前記薬液噴射部は、前記薬液通路と接続されており、薬液を噴射する。前記空気通路は、空気が流れる。前記空気噴射部は、前記空気通路と接続されており、空気を噴射することにより前記薬液の散布を補助する。
【0008】
これにより、空気の噴射により薬液の散布が補助されるので、薬液を適切に散布することができる。また、筒状部材が薬液通路と空気通路を備えるため、コンパクトな構成を実現できる。
【0009】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の防除車両が提供される。即ち、防除車両は、走行部と、薬液タンクと、薬液ダクトと、薬液噴射部と、空気ダクトと、空気噴射部と、を備える。前記薬液タンクは、防除用の薬液を貯留する。前記薬液ダクトは、薬液が流れる。前記薬液噴射部は、前記薬液ダクトに接続され、薬液を噴射する。前記空気ダクトは、空気が流れる。前記空気噴射部は、前記空気ダクトに接続され、空気を噴射することにより、前記薬液の散布を補助する。
【0010】
これにより、空気の噴射により薬液の散布が補助されるので、薬液を適切に散布することができる。
【0011】
前記の防除車両においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記空気ダクトは間隔を空けて左右一対で配置されている。左側の前記空気ダクトには、左側に薬液を噴射する前記薬液噴射部が接続された前記薬液ダクトと、右側に薬液を噴射する前記薬液噴射部が接続された前記薬液ダクトと、が配置されている。右側の前記空気ダクトには、左側に薬液を噴射する前記薬液噴射部が接続された前記薬液ダクトと、右側に薬液を噴射する前記薬液噴射部が接続された前記薬液ダクトと、が配置されている。
【0012】
これにより、1回の走行で4方向に薬液を散布できる。また、1つの薬液ダクトに左側用の薬液噴射部と右側用の薬液噴射部を取り付ける構成と比較して、構成をコンパクトにできる。
【0013】
前記の防除車両においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、防除車両は、前記空気通路に空気を供給するブロア装置を備える。前記ブロア装置が、前記空気噴射部よりも上方に配置される。
【0014】
これにより、筒状部材による薬液の噴霧の邪魔にならない位置にブロア装置が配置されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図5】支持部材により薬液の散布位置を変更する構成を説明する斜視図。
【
図6】左側のクローラに取り付けられる接触検出機構の構成を示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、防除車両1の斜視図である。
図2は、防除車両1の背面図である。以下の説明では、防除車両1が薬液を散布する際に進む方向を前として、前後左右を定義する。従って、車幅方向は左右方向に一致し、車長方向は前後方向に一致する。また、防除車両1のうち、左右一対(又は前後一対)で配置されている部品については、同じ符号を付し、説明を省略又は簡略化することがある。
【0017】
防除車両1は、農場等に栽培された植物100(散布対象物、作業対象物)に薬液を散布する車両である。植物100は、例えば果樹であるが、野菜であってもよい。
図1及び
図2に示すように、防除車両1は、クローラ走行部10と、左車体11と、右車体12と、上車体13と、を備える。
【0018】
クローラ走行部10は、油圧式であり、図略の油圧モータに作動油が供給されることで駆動スプロケットが回転する。これにより、駆動スプロケット及び転輪等に巻き掛けられたクローラが回転し、防除車両1が走行する。また、左右のクローラ走行部10の駆動速度を異ならせることで、防除車両1を旋回させることができる。また、左右のクローラ走行部10の駆動方向を異ならせることで、防除車両1の位置を変えずに旋回させることができる。
【0019】
左車体11は、主として左側のクローラ走行部10に支持されている。左車体11は、フレームと、フレームを覆うカバーと、を備える。右車体12は、主として右側のクローラ走行部10に支持されている。右車体12は、フレームと、フレームを覆うカバーと、を備える。左車体11の上部と右車体12の上部は、上車体13によって連結されている。これにより、左車体11と右車体12と上車体13で囲まれる通過空間14が形成される。
【0020】
通過空間14は、地面から所定の高さまで部品が配置されておらず、防除車両1の走行時に植物100を通過させることが可能な空間である。これにより、左右のクローラ走行部10は、植物100を左右方向で挟むようにして走行する。つまり、防除車両1は、植物100を跨ぐようにして農場を走行する。
【0021】
左車体11には、エンジン21が設けられている。エンジン21は、防除車両1を走行させる駆動力(油圧モータを動作させる動力)を発生させる。なお、エンジン21は、右車体12に設けられていてもよい。
【0022】
右車体12には、薬液タンク22が設けられている。薬液タンク22には、薬液が貯留される。薬液タンク22に貯留される薬液は、防虫、殺虫、又は除草等の機能を有する液体状の薬剤である。なお、薬液タンク22は、左車体11に設けられてもよい。
【0023】
また、左車体11と右車体12の後面には、それぞれ噴射ユニット30が設けられている。それぞれの噴射ユニット30は、左側と右側の両方に薬液を散布する。これにより、
図2に示すように、防除車両1は、防除車両1の左側の植物100の右部分、通過空間14を通過する植物100の左右両側部分、防除車両1の右側の植物100の左部分に同時に薬液を散布できる。なお、噴射ユニット30は、左車体11と右車体12の前面に設けられていてもよい。噴射ユニット30の詳細な構成は後述する。
【0024】
防除車両1は、農場内を自律走行できるように構成されている。即ち、防除車両1は、GNSS等を用いて現在位置を検出する。また、農場の位置情報に基づいて、予め自律走行経路が作成されている。この構成により、防除車両1は、現在位置と自律走行経路とに基づいて自律走行を行いながら植物100に薬液を散布する。
【0025】
なお、防除車両1は、自律走行を行う車両に限られない。防除車両1は、例えば遠隔操作で走行する車両であってもよい。遠隔操作とは、防除車両1とは離れた位置にいる作業者(つまり、防除車両1に搭乗していない作業者)の操作によって、防除車両1を走行させたり、防除車両1に薬液を散布させたりすることである。
【0026】
次に、
図1から
図3を参照して噴射ユニット30について詳細に説明する。
図3は、筒状部材31の断面斜視図である。
【0027】
左右の噴射ユニット30は同じ構成であるか、あるいは、車幅方向の中央を通る平面に対して対称な構成である。そのため、以下では、左右の噴射ユニット30をまとめて説明する。
図1及び
図2に示すように、噴射ユニット30は、左右に並べて配置された2つの筒状部材31を備える。つまり、本実施形態では、左側に2つの筒状部材31が配置され、右側に2つの筒状部材31が配置されるので、合計4つの筒状部材31が配置されている。
【0028】
筒状部材31は、上下に延びるように配置されている。言い換えれば、筒状部材31は細長状の部材であり、その長手方向が上下方向(車高方向)と実質的に一致するように配置されている。なお、例えば筒状部材31の長手方向が上下方向から数度ズレていた場合であっても、筒状部材31の長手方向は上下方向に実質的に一致すると定義する(即ち、筒状部材31が上下に延びている)。
【0029】
筒状部材31は、筒状であり、内部に空間が形成されている。筒状部材31は、樹脂製であり、型を用いて一体的に成形されている。なお、筒状部材31は樹脂以外であってもよい。
図3に示すように、筒状部材31の内部には、薬液通路31aと、空気通路31bと、が形成されている。
【0030】
薬液通路31aは、薬液が通るための空間である。薬液通路31aは、上下方向に延びる通路である。薬液通路31aには薬液ホース34が接続されている。具体的には、薬液通路31aの上端は開放されており、薬液通路31aの上端には薬液ホース34のカプラが接続可能に構成されている。薬液ホース34は、薬液タンク22に接続されている。また、薬液タンク22と薬液通路31aを接続する経路には図略のポンプが配置されており、このポンプにより、薬液タンク22の薬液が薬液通路31aまで送出される。なお、薬液ホース34の経路は任意であるが、通過空間14を通過しないように配置されることが好ましい。つまり、左側の薬液通路31aに接続される薬液ホース34は、上車体13を通って薬液タンク22に接続されることが好ましい。
【0031】
筒状部材31には、複数の薬液噴射部32が設けられている。薬液噴射部32は、薬液を噴射するためのノズルである。薬液噴射部32は、上下方向に並ぶように配置されている。薬液噴射部32は、上述した薬液の散布を実現できる向きに配置されている。具体的には、左車体11に配置されている左右一対の筒状部材31では、左側の筒状部材31では左面に薬液噴射部32が設けられており、右側の筒状部材31では右面に薬液噴射部32が設けられている。右車体12についても同様である。
【0032】
空気通路31bは、薬液の散布を補助するための空気(詳細には圧縮空気)が通るための空間である。空気通路31bは、上下方向に延びる通路である。空気通路31bは、薬液通路31aと前後方向で並ぶ位置に形成されている。具体的には、空気通路31bは、薬液通路31aよりも前側(言い換えれば、薬液通路31aよりも車体に近い側)に形成されている。なお、空気通路31bが薬液通路31aよりも後側(言い換えれば薬液通路31aよりも車体に遠い側)に形成されてもよい。
【0033】
空気通路31bにはブロアホース35が接続されている。具体的には、空気通路31bの上端は開放されており、空気通路31bの上端にはブロアホース35のカプラが接続可能に構成されている。ブロアホース35は、ブロア装置36に接続されている。本実施形態では、ブロアホース35の少なくとも一部は、伸縮可能なフレキシブルホースである。これにより、筒状部材31の位置等を調整した場合、又は、ガタツキ等が生じた場合に対応できる。
【0034】
ブロア装置36は、空気を吸入又は送出することにより圧縮空気を生成して送出する。ブロア装置36は、筒状部材31よりも高い位置に配置されている。ブロア装置36は、左車体11に1つ、右車体に1つの合計2つ配置されている。ブロア装置36は、外気を吸引するために少なくとも一部が車体から露出するように配置されている。本実施形態では、1つのブロア装置36は、2つの筒状部材31に空気を供給するが、筒状部材31毎にブロア装置36を設けてもよい。なお、薬液ホース34とブロアホース35は一部の経路が重複するため、バンド等の結束具により束ねられていてもよい。ブロア装置36が送出した空気はブロアホース35を介して、空気通路31bに供給される。
【0035】
筒状部材31には、複数の空気噴射部33が設けられている。空気噴射部33は、空気を噴射するための孔である。なお、空気噴射部33はノズルであってもよい。空気噴射部33は、上下方向に並ぶように配置されている。空気噴射部33は、筒状部材31の左右の面のうち、薬液噴射部32と同じ側に形成されている。空気噴射部33が噴射した空気により薬液の散布が補助される。具体的には、空気によって薬液が飛ばされるので、薬液を均一に塗布することができる。特に、植物100の葉に対して薬液を散布する場合、空気によって葉が揺れるので、葉の表と裏に均一に薬液を散布することができる。また、噴射する空気を強くすることにより、薬液の散布距離を長くすることもできる。
【0036】
本実施形態では、1つの筒状部材31に設けられる空気噴射部33の数は、1つの筒状部材31に設けられる薬液噴射部32の数よりも多い。これにより、薬液噴射部32の数を抑えつつ、薬液を均一に散布することができる。ただし、薬液噴射部32と空気噴射部33の数は同じであってもよいし、薬液噴射部32の方が空気噴射部33よりも多くてもよい。
【0037】
次に、
図4及び
図5を参照して、第2実施形態について説明する。
図4は、第2実施形態に係る防除車両1の斜視図である。
図5は、支持部材40により薬液の散布位置を変更する構成を説明する斜視図である。なお、以後の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0038】
第1実施形態では、薬液と空気はともに筒状部材31の中を通る。これに対し、第2実施形態では、薬液と空気はそれぞれ別の部材を通る。具体的には、第2実施形態の噴射ユニット30は、筒状部材31の代わりに、薬液ダクト41と、空気ダクト42と、を備える。
【0039】
薬液ダクト41は、薬液通路31aと同様の機能を有する。従って、薬液ダクト41には薬液ホース34が接続されており、薬液タンク22の薬液が供給される。更に、薬液ダクト41には薬液噴射部32が設けられており、薬液を噴射する。
【0040】
空気ダクト42は、空気通路31bと同様の機能を有する。従って、空気ダクト42にはブロアホース35が接続されており、ブロア装置36が送出した空気が供給される。更に、空気ダクト42には空気噴射部33が設けられており、空気を噴射する。
【0041】
ここで、第2実施形態では、1つの空気ダクト42が2つの薬液ダクト41による薬液の散布を補助する。具体的には、左車体11及び右車体12には、それぞれ1つの空気ダクト42が設けられている。空気ダクト42には、左右一対の薬液ダクト41が設けられている。更に、空気ダクト42は、左右両側に空気噴射部33が形成されている。以上により、1つの空気ダクト42を用いて、2つの薬液ダクト41による薬液の散布が補助できる。
【0042】
また、第2実施形態では、左右方向における薬液の散布位置を変更することができる。具体的には、
図5に示すように、空気ダクト42は、支持部材40を介して、左車体11又は右車体12に取り付けられている。支持部材40は、ベース部40aと、スライド部40bと、固定具40cと、を備える。
【0043】
ベース部40aは、左車体11又は右車体12に固定されている。スライド部40bは、ベース部40aに対して左右方向にスライド可能に構成される。スライド部40bには、空気ダクト42が相対移動不能に固定されている。上述したように薬液ダクト41は、空気ダクト42に固定されている。
【0044】
ベース部40aには左右方向に並べて一定の間隔Lで取付孔401が形成されている。スライド部40bにも同じ間隔L又はLの整数倍の間隔で取付孔402が形成されている。以上の構成により、ベース部40aに対してスライド部40bを左右方向にスライドさせて所望の位置に併せた後に、ベース部40aの取付孔401とスライド部40bの取付孔402とを合わせて固定具40cにより固定する。以上により、空気ダクト42の左右方向の位置(同時に、薬液ダクト41の左右方向の位置)を変更することができる。
【0045】
第1実施形態と第2実施形態の特徴は組み合わせることができる。例えば、左右方向の位置を調整可能な第2実施形態の構成を第1実施形態に適用することができる。
【0046】
第1実施形態及び第2実施形態の防除車両1は、
図6に示す接触検出機構50を備える。
図6は、左側のクローラ走行部10に取り付けられる接触検出機構50の構成を示す概略平面図である。
【0047】
一般的に、前後左右の4方向において障害物等の接触を検出する場合、接触式のセンサを前後左右に設置する。しかし、接触式のセンサでは、障害物等に強く接触することによって破損した際に交換する必要がある。特にこの種の接触式のセンサは専用品になる傾向があるため、交換のコストも高くなる。
【0048】
これに対し、本実施形態では非接触センサであるマグネットスイッチ54等を用いて、障害物等の接触を検出する接触検出機構50を備える。具体的には、接触検出機構50は、接触バー51と、回動軸部52と、バネ53と、マグネットスイッチ54と、を備える。
【0049】
接触バー51はL字状であり、平面視において、クローラ走行部10の2方向(例えば前方と左方)を覆うように配置される。接触バー51は、その端部の回動軸部52を中心に回動可能に構成される。また、接触バー51が回動することにより、接触バー51とクローラ走行部10が接触することを防止するために、クローラ走行部10と接触バー51はバネ53を介して接続されている。また、接触バー51の他端と、クローラ走行部10と、にはそれぞれマグネットスイッチ54が配置されている。
【0050】
以上の構成により、
図6に示すように、2方向の何れに接触バー51が接触した場合であっても、接触バー51は同じ方向に回動する。その結果、2つのマグネットスイッチ54の位置が近接するので、接触を検出できる。このように、本実施形態では、交換の頻度が低くなる非接触式のセンサを用いるとともに、1つのセンサで2方向の接触を検出できる。そのため、低コストで4方向の障害物101の接触を検出できる。
【0051】
本実施形態の防除車両1は、クローラ走行部10と、薬液タンク22と、筒状部材31と、を備える。薬液タンク22は、防除用の薬液を貯留する。筒状部材31は、内部に空間が形成される。筒状部材31は、薬液通路31aと、薬液噴射部32と、空気通路31bと、空気噴射部33と、を備える。薬液通路31aは、薬液が流れる。薬液噴射部32は、薬液通路31aと接続されており、薬液を噴射する。空気通路31bは、空気が流れる。空気噴射部33は、空気通路31bと接続されており、空気を噴射することにより薬液の散布を補助する。
【0052】
これにより、空気の噴射により薬液の散布が補助されるので、薬液を適切に散布することができる。また、筒状部材が薬液通路と空気通路を備えるため、コンパクトな構成を実現できる。
【0053】
本実施形態の防除車両1は、クローラ走行部10と、薬液タンク22と、薬液ダクト41と、薬液噴射部32と、空気ダクト42と、空気噴射部33と、を備える。薬液タンク22は、防除用の薬液を貯留する。薬液ダクト41には、薬液が流れる。薬液噴射部32は、薬液ダクト41に接続され、薬液を噴射する。空気ダクト42には、空気が流れる。空気噴射部33は、空気ダクトに接続され、空気を噴射することにより、薬液の散布を補助する。
【0054】
これにより、空気の噴射により薬液の散布が補助されるので、薬液を適切に散布することができる。
【0055】
本実施形態の防除車両1において、空気ダクト42は間隔Lを空けて左右一対で配置されている。左側の空気ダクト42には、左側に薬液を噴射する薬液噴射部32が接続された薬液ダクト41と、右側に薬液を噴射する薬液噴射部32が接続された薬液ダクト41と、が配置されている。右側の空気ダクト42には、左側に薬液を噴射する薬液噴射部32が接続された薬液ダクト41と、右側に薬液を噴射する薬液噴射部32が接続された薬液ダクト41と、が配置されている。
【0056】
これにより、1回の走行で4方向に薬液を散布できる。また、1つの薬液ダクトに左側用の薬液噴射部と右側用の薬液噴射部を取り付ける構成と比較して、構成をコンパクトにできる。
【0057】
本実施形態の防除車両1は、空気通路31bに空気を供給するブロア装置36を備える。ブロア装置36が、空気噴射部33よりも上方に配置される。
【0058】
これにより、筒状部材31による薬液の噴霧の邪魔にならない位置にブロア装置36が配置されることになる。
【0059】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0060】
上記実施形態では、左車体11に左右一対で筒状部材31が配置されるが、1つの筒状部材31が配置される構成であってもよい。この場合は、1つの筒状部材31は左右に薬液及び空気を噴射するための構成を備えてもよい。
【0061】
上記実施形態の防除車両1はクローラにより走行するが、車輪により走行する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 防除車両
10 クローラ走行部(走行部)
11 左車体
12 右車体
13 上車体
14 通過空間
21 エンジン
22 薬液タンク
31 筒状部材
31a 薬液通路
31b 空気通路
32 薬液噴射部
33 空気噴射部
34 薬液ホース
35 ブロアホース
36 ブロア装置
41 薬液ダクト
42 空気ダクト